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特許7277392遠隔制御装置、処理装置、およびコンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-10
(45)【発行日】2023-05-18
(54)【発明の名称】遠隔制御装置、処理装置、およびコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/0354 20130101AFI20230511BHJP
   G06F 3/041 20060101ALI20230511BHJP
【FI】
G06F3/0354 450
G06F3/041 534
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020007462
(22)【出願日】2020-01-21
(65)【公開番号】P2021114229
(43)【公開日】2021-08-05
【審査請求日】2022-03-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】今井 貴夫
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 至
(72)【発明者】
【氏名】柿沼 章司
【審査官】木村 慎太郎
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0039376(US,A1)
【文献】特開2008-310521(JP,A)
【文献】国際公開第2009/128148(WO,A1)
【文献】特開2010-153989(JP,A)
【文献】特開2007-207146(JP,A)
【文献】特開2015-204067(JP,A)
【文献】特開2015-014949(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/0354
G06F 3/041
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体に搭載されて被制御装置の動作を遠隔制御する遠隔制御装置であって、
対象物による前記被制御装置の第一機能を有効にする第一操作を受け付け可能である第一領域、当該対象物による前記被制御装置の第二機能を有効にする第二操作を受け付け可能である第二領域、および当該第一領域と当該第二領域の間に位置する部分を含む第三領域を有している操作面と、
前記操作面と前記対象物との間の静電容量を検出する検出部と、
前記静電容量に基づいて、前記対象物が前記第一領域、前記第二領域、または前記第三領域に接触または接近したと判断する処理装置と、
を備えており、
前記処理装置は、
前記対象物が前記第一領域に接触または接近したと判断すると、前記第三領域において前記第一操作を受け付け可能にし、
前記対象物が前記第二領域に接触または接近したと判断すると、前記第三領域において前記第二操作を受け付け可能にし、
前記対象物が前記第一領域と前記第二領域よりも先に前記第三領域に接触または接近したと判断すると、前記第一操作と前記第二操作のいずれも受け付け不能に
前記第二領域において前記第二操作の受け付けが開始されると、前記第一領域において前記第二操作を受け付け可能にし、
前記第二操作は、前記操作面において接触または接近が検出される前記対象物の位置が閾値未満の速度で変化する操作である、
遠隔制御装置。
【請求項2】
前記被制御装置は、画像を表示する表示部を備えており、
前記第二操作は、前記操作面上の位置を前記画像中の位置に対応付ける操作であり、
前記第二領域において前記第二操作の受け付けが開始されると、前記処理装置は、前記第一領域において前記第二操作を受け付け可能にする、
請求項1に記載の遠隔制御装置。
【請求項3】
前記処理装置は、前記操作面における複数の箇所に前記対象物が接近または接触したと判断すると、前記第三領域の初期状態を維持する、
請求項1または2に記載の遠隔制御装置。
【請求項4】
移動体における被制御装置の動作を遠隔制御する遠隔制御装置に搭載される処理装置であって、
対象物による前記被制御装置の第一機能を有効にする第一操作を受け付け可能である第一領域、当該対象物による前記被制御装置の第二機能を有効にする第二操作を受け付け可能である第二領域、および当該第一領域と当該第二領域の間に位置する部分を含む第三領域を有している操作面と当該対象物との間の静電容量に対応する検出信号を受け付ける受付部と、
前記検出信号に基づいて、前記対象物が前記第一領域、前記第二領域、または前記第三領域に接触または接近したと判断する処理部と、
を備えており、
前記処理部は、
前記対象物が前記第一領域に接触または接近したと判断すると、前記第三領域において前記第一操作を受け付け可能にし、
前記対象物が前記第二領域に接触または接近したと判断すると、前記第三領域において前記第二操作を受け付け可能にし、
前記対象物が前記第一領域と前記第二領域よりも先に前記第三領域に接触または接近したと判断すると、前記第一操作と前記第二操作のいずれも受け付け不能に
前記第二領域において前記第二操作の受け付けが開始されると、前記第一領域において前記第二操作を受け付け可能にし、
前記第二操作は、前記操作面において接触または接近が検出される前記対象物の位置が閾値未満の速度で変化する操作である、
処理装置。
【請求項5】
移動体における被制御装置の動作を遠隔制御する遠隔制御装置に搭載される処理装置により実行されるコンピュータプログラムであって、
実行されることにより、前記処理装置に、
対象物による前記被制御装置の第一機能を有効にする第一操作を受け付け可能である第一領域、当該対象物による前記被制御装置の第二機能を有効にする第二操作を受け付け可能である第二領域、および当該第一領域と当該第二領域と間に位置する部分を含む第三領域を有している操作面と当該対象物との間の静電容量に対応する検出信号を受け付けさせ、
前記検出信号に基づいて、前記対象物が前記第一領域、前記第二領域、または前記第三領域に接触または接近したと判断させ、
前記対象物が前記第一領域に接触または接近したと判断されると、前記第三領域において前記第一操作を受け付け可能にさせ、
前記対象物が前記第二領域に接触または接近したと判断されると、前記第三領域において前記第二操作を受け付け可能にさせ、
前記対象物が前記第一領域と前記第二領域よりも先に前記第三領域に接触または接近したと判断されると、前記第一操作と前記第二操作のいずれも受け付け不能にさせ、
前記第二領域において前記第二操作の受け付けが開始されると、前記第一領域において前記第二操作を受け付け可能にさせ、
前記第二操作は、前記操作面において接触または接近が検出される前記対象物の位置が閾値未満の速度で変化する操作である、
コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体に搭載されて被制御装置の動作を遠隔制御する遠隔制御装置に関連する。本発明は、当該遠隔制御装置に搭載される処理装置、および当該処理装置により実行されるコンピュータプログラムにも関連する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、移動体の一例である車両に搭載される遠隔制御装置を開示している。当該装置は、乗員の指による操作を受け付ける操作面を備えている。操作面に対して行なわれた操作に応じて、被制御装置の一例である表示装置の動作が制御される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-115121号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、移動体に搭載される遠隔制御装置の操作性を高めることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するための一態様は、移動体に搭載されて被制御装置の動作を遠隔制御する遠隔制御装置であって、
対象物による前記被制御装置の第一機能を有効にする第一操作を受け付け可能である第一領域、当該対象物による前記被制御装置の第二機能を有効にする第二操作を受け付け可能である第二領域、および当該第一領域と当該第二領域の間に位置する部分を含む第三領域を有している操作面と、
前記操作面と前記対象物との間の静電容量を検出する検出部と、
前記静電容量に基づいて、前記対象物が前記第一領域、前記第二領域、または前記第三領域に接触または接近したと判断する処理装置と、
を備えており、
前記処理装置は、
前記対象物が前記第一領域に接触または接近したと判断すると、前記第三領域において前記第一操作を受け付け可能にし、
前記対象物が前記第二領域に接触または接近したと判断すると、前記第三領域において前記第二操作を受け付け可能にし、
前記対象物が前記第一領域と前記第二領域よりも先に前記第三領域に接触または接近したと判断すると、前記第一操作と前記第二操作のいずれも受け付け不能にする。
【0006】
上記の目的を達成するための一態様は、移動体における被制御装置の動作を遠隔制御する遠隔制御装置に搭載される処理装置であって、
対象物による前記被制御装置の第一機能を有効にする第一操作を受け付け可能である第一領域、当該対象物による前記被制御装置の第二機能を有効にする第二操作を受け付け可能である第二領域、および当該第一領域と当該第二領域の間に位置する部分を含む第三領域を有している操作面と当該対象物との間の静電容量に対応する検出信号を受け付ける受付部と、
前記検出信号に基づいて、前記対象物が前記第一領域、前記第二領域、または前記第三領域に接触または接近したと判断する処理部と、
を備えており、
前記処理部は、
前記対象物が前記第一領域に接触または接近したと判断すると、前記第三領域において前記第一操作を受け付け可能にし、
前記対象物が前記第二領域に接触または接近したと判断すると、前記第三領域において前記第二操作を受け付け可能にし、
前記対象物が前記第一領域と前記第二領域よりも先に前記第三領域に接触または接近したと判断すると、前記第一操作と前記第二操作のいずれも受け付け不能にする。
【0007】
上記の目的を達成するための一態様は、移動体における被制御装置の動作を遠隔制御する遠隔制御装置に搭載される処理装置により実行されるコンピュータプログラムであって、実行されることにより、前記処理装置に、
対象物による前記被制御装置の第一機能を有効にする第一操作を受け付け可能である第一領域、当該対象物による前記被制御装置の第二機能を有効にする第二操作を受け付け可能である第二領域、および当該第一領域と当該第二領域と間に位置する部分を含む第三領域を有している操作面と当該対象物との間の静電容量に対応する検出信号を受け付けさせ、
前記検出信号に基づいて、前記対象物が前記第一領域、前記第二領域、または前記第三領域に接触または接近したと判断させ、
前記対象物が前記第一領域に接触または接近したと判断されると、前記第三領域において前記第一操作を受け付け可能にさせ、
前記対象物が前記第二領域に接触または接近したと判断されると、前記第三領域において前記第二操作を受け付け可能にさせ、
前記対象物が前記第一領域と前記第二領域よりも先に前記第三領域に接触または接近したと判断されると、前記第一操作と前記第二操作のいずれも受け付け不能にさせる。
【0008】
遠隔制御装置は移動体に搭載されるので、当該移動体の乗員の目視を伴わずに操作面が操作される場合がある。上記の各態様に係る構成によれば、第一操作を受け付ける第一領域と第二操作を受け付ける第二領域のいずれかへの対象物の接近または接触が検出されると、両領域の間に位置する第三領域が、第一操作または第二操作を受け付け可能な領域に変化するので、操作面における操作入力位置に係る厳密性を緩和できる。したがって、移動体に搭載される遠隔制御装置の操作性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】一実施形態に係る遠隔制御装置の機能構成を例示している。
図2図1の遠隔制御装置が搭載される車両を例示している。
図3図1の処理装置により実行される処理の流れの一例を示している。
図4図1の処理装置により実行される処理の一例を示している。
図5図1の処理装置により実行される処理の一例を示している。
図6図1の処理装置により実行される処理の別例を示している。
図7図1の処理装置により実行される処理の別例を示している。
図8図1の処理装置により実行される処理の別例を示している。
図9図1の処理装置により実行される処理の別例を示している。
図10図1の処理装置により実行される処理の別例を示している。
図11図1の処理装置により実行される処理の別例を示している。
図12図1の処理装置により実行される処理の別例を示している。
【発明を実施するための形態】
【0010】
添付の図面を参照しつつ、実施形態の例について以下詳細に説明する。図1は、一実施形態に係る遠隔制御装置10の機能構成を例示している。
【0011】
図2に例示されるように、遠隔制御装置10は、車両20に搭載されるように構成されている。例えば、遠隔制御装置10は、車両20の車室内におけるステアリングホイール21やセンタクラスタ22に設置されうる。遠隔制御装置10は、車両20の乗員による操作を受け付け、当該操作に基づいて車両20に搭載されている被制御装置を遠隔操作するように構成されている。被制御装置の例としては、空調装置、照明装置、映像音響設備、パワーウインドウ装置、シート装置などが挙げられる。車両20は、移動体の一例である。
【0012】
図1に例示されるように、遠隔制御装置10は、操作面11を備えている。操作面11は、車両20の乗員の指31による操作を受け付けるように構成されている。乗員の指31は、対象物の一例である。
【0013】
操作面11は、第一スイッチ領域111、第二スイッチ領域112、第三スイッチ領域113、パッド領域114、および中間領域115を含んでいる。操作面11は、連続的な表面として形成されている。これらの領域は、当該表面に溝や段差が形成されることによって構造的に区画されるのではなく、当該表面に色が異なる部分、マーク、操作に影響の小さい凹凸などの少なくとも一つが便宜的に施されることによって、各領域の位置を乗員に認知させている。
【0014】
第一スイッチ領域111は、被制御装置における特定の機能f1を有効にするための指31による操作を受け付け可能な領域である。機能f1を有効にするための操作の例としては、複数回のタッピング操作や、長押し操作が挙げられる。
【0015】
本明細書で用いられる「タッピング操作」という語は、操作面11の表面を指31で比較的短時間触れる操作を意味する。換言すると、操作面11と指31の接触時間が第一時間閾値未満である操作を意味する。
【0016】
本明細書で用いられる「長押し操作」という語は、操作面11の表面を指31で触れた状態を維持する操作を意味する。換言すると、操作面11と指31の接触時間が第二時間閾値を超える操作を意味する。第一時間閾値と第二時間閾値は、同じであっても相違してもよい。
【0017】
第二スイッチ領域112は、被制御装置における特定の機能f2を有効にするための指31による操作を受け付け可能な領域である。機能f2は、機能f1に係る被制御装置とは異なる被制御装置の一機能であってもよいし、機能f1に係る被制御装置における別の機能であってもよい。機能f2を有効にするための操作の例としては、複数回のタッピング操作や、長押し操作が挙げられる。
【0018】
第三スイッチ領域113は、被制御装置における特定の機能f3を有効にするための指31による操作を受け付け可能な領域である。機能f3は、機能f1または機能f2に係る被制御装置とは異なる被制御装置の一機能であってもよいし、機能f1または機能f2に係る被制御装置における別の機能であってもよい。機能f3を有効にするための操作の例としては、スワイプ操作やフリック操作が挙げられる。
【0019】
本明細書で用いられる「スワイプ操作」という語は、操作面11の表面に触れた状態で指31を動かす操作を意味する。換言すると、操作面11において指31の接触位置が第一速度閾値未満の速度で変化する操作を意味する。
【0020】
本明細書で用いられる「フリック操作」という語は、操作面11の表面を指31で擦る操作を意味する。換言すると、操作面11において指31の接触位置が第二速度閾値を超える速度で変化する操作を意味する。第一速度位置と第二速度閾値は、同じであっても相違してもよい。
【0021】
第一スイッチ領域111、第二スイッチ領域112、および第三スイッチ領域113の各々は、第一領域の一例である。機能f1を有効にするための操作、機能f2を有効にするための操作、および機能f3を有効にするための操作の各々は、第一機能を有効にするための第一操作の一例である。なお、以降の説明においては、第一スイッチ領域111、第二スイッチ領域112、および第三スイッチ領域113のいずれかに対する操作を、必要に応じて「スイッチ操作」と称する。
【0022】
パッド領域114は、被制御装置における少なくとも機能f4を有効にするための指31による操作を受け付け可能な領域である。機能f4は、機能f1、機能f2、または機能f3に係る被制御装置とは異なる被制御装置の一機能であってもよいし、機能f1、機能f2、または機能f3に係る被制御装置における別の機能であってもよい。
【0023】
少なくとも機能f4を有効にするための操作の例としては、タッピング操作、長押し操作、スワイプ操作、フリック操作、ピンチイン操作、ピンチアウト操作などが挙げられる。特に、図1に例示されるように被制御装置が画像を表示する表示部Dを備える場合、パッド領域114が受け付ける操作は、操作面11上の位置を当該画像中の位置に対応付ける操作でありうる。
【0024】
本明細書で用いられる「ピンチイン操作」という語は、操作面11の表面に二本の指で触れ、指同士の間隔を狭める操作を意味する。本明細書で用いられる「ピンチアウト操作」という語は、操作面11の表面に二本の指で触れ、指同士の間隔を広げる操作を意味する。
【0025】
パッド領域114は、第二領域の一例である。少なくとも機能f4を有効にするための操作は、第二機能を有効にするための第二操作の一例である。なお、以降の説明においては、パッド領域114に対する操作を、必要に応じて「パッド操作」と称する。
【0026】
中間領域115は、第一スイッチ領域111、第二スイッチ領域112、および第三スイッチ領域113の各々とパッド領域114の間に位置する部分を有している。中間領域115は、第三領域の一例である。
【0027】
遠隔制御装置10は、検出部12を備えている。検出部12は、操作面11と指31の間の静電容量を検出するように構成されている。
【0028】
具体的には、検出部12は、複数の電極と充放電回路を備えている。複数の電極は、操作面11と対向するように配置されている。複数の電極の各々は、操作面11における特定の位置に対応付けられている。充放電回路は、充電動作と放電動作を行ないうる。充電動作時の充放電回路は、不図示の電源から供給される電流を各電極へ供給する。放電動作時の充放電回路は、各電極から電流を放出させる。各電極に供給された電流により、操作面11の周囲に電界が発生する。指31がこの電界に近づくと、特定の電極との間に疑似的なコンデンサが形成される。これにより、当該特定の電極と操作面11の間の静電容量が増加する。静電容量が増加すると、放電動作時に当該特定の電極から放出される電流が増加する。
【0029】
すなわち、検出部12は、操作面11と指31の間の静電容量を検出することにより、操作面11におけるいずれの箇所に指31が接近または接触したかを検出できる。検出部12は、操作面11におけるいずれの箇所に指31が接近または接触したかを示す検出信号SSを出力するように構成されている。検出信号SSは、アナログ信号でもデジタル信号でもよい。
【0030】
遠隔制御装置10は、処理装置13を備えている。処理装置13は、受付部131、処理部132、および出力部133を備えている。
【0031】
受付部131は、検出部12から出力された検出信号SSを受け付けるインターフェースとして構成されている。検出信号SSがアナログ信号である場合、受付部131は、A/Dコンバータを含む適宜の変換回路を含みうる。
【0032】
前述のように、検出信号SSは、操作面11におけるいずれの箇所に指31が接近または接触したかを示しうる。処理部132は、検出信号SSに基づいて、操作面11における第一スイッチ領域111、第二スイッチ領域112、第三スイッチ領域113、パッド領域114、または中間領域115に接触または接近したことを判断するように構成されている。
【0033】
出力部133は、被制御部の動作を制御する制御信号CSを出力するインターフェースとして構成されている。処理部132は、指31の接触または接近が検出された操作面11上の位置に基づいて、出力部133から制御信号CSを出力するように構成されている。制御信号CSは、アナログ信号でもデジタル信号でもよい。制御信号CSがアナログ信号である場合、出力部133は、D/Aコンバータを含む適宜の変換回路を含みうる。
【0034】
例えば、検出信号SSに基づいて第一スイッチ領域111に指31が接触したことが検出されると、処理部132は、被制御装置の機能f1を有効にする制御信号CSを出力部133から出力する。
【0035】
図3を参照しつつ、処理装置13の処理部132によって実行されるより具体的な処理の流れについて説明する。
【0036】
処理部132は、検出信号SSに基づいて、指31が中間領域115に接触または接近したかを判断する(STEP1)。
【0037】
指31が中間領域115に接触または接近したと判断されると(STEP1においてYES)、処理部132は、操作面11を、スイッチ操作とパッド操作のいずれも受け付け不能にする(STEP2)。その後、処理はSTEP1に戻る。
【0038】
検出信号SSに基づいて指31が中間領域115に接触または接近していないと判断されると(STEP1においてNO)、処理部132は、第一スイッチ領域111、第二スイッチ領域112、および第三スイッチ領域113のいずれかに指31が接触または接近したかを判断する(STEP3)。
【0039】
指31が第一スイッチ領域111、第二スイッチ領域112、および第三スイッチ領域113のいずれかに接触または接近したと判断されると(STEP3においてYES)、処理部132は、中間領域115においてスイッチ操作を受け付け可能にする(STEP4)。
【0040】
処理部132は、第一スイッチ領域111、第二スイッチ領域112、および第三スイッチ領域113のいずれかに対応付けられた被制御装置の機能を有効にする制御信号CSを出力部133から出力し、処理を終了する。
【0041】
例えば、図4に示されるように指31が第一スイッチ領域111に接近または接触すると、図5に示されるように、中間領域115は、第一スイッチ領域111に対する操作を受け付け可能な領域に変更される。換言すると、第一スイッチ領域111に対する操作を受け付け可能な領域が拡大する。したがって、指31が当初の第一スイッチ領域111内に位置していなくとも中間領域115内に位置していれば、第一スイッチ領域111に対応付けられた被制御装置の機能f1を有効にできる。
【0042】
あるいは、図6に示されるように指31が第三スイッチ領域113に接近または接触すると、図7に示されるように、中間領域115は、第三スイッチ領域113に対する操作を受け付け可能な領域に変更される。換言すると、第三スイッチ領域113に対する操作を受け付け可能な領域が拡大する。したがって、指31が当初の第三スイッチ領域113内に位置していなくとも中間領域115内に位置していれば、第三スイッチ領域113に対応付けられた被制御装置の機能f3を有効にできる。
【0043】
検出信号SSに基づいて指31が第一スイッチ領域111、第二スイッチ領域112、および第三スイッチ領域113のいずれかに接触または接近していないと判断されると(図3のSTEP3においてNO)、処理部132は、パッド領域114に指31が接触または接近したかを判断する(STEP5)。
【0044】
指31がパッド領域114に接触または接近したと判断されると(STEP5においてYES)、処理部132は、中間領域115におけるパッド操作を受け付け可能にする(STEP6)。
【0045】
処理部132は、パッド領域114に対応付けられた被制御装置の機能を有効にする制御信号CSを出力部133から出力し、処理を終了する。
【0046】
例えば、図8に示されるように指31がパッド領域114に接近または接触すると、図9に示されるように、中間領域115は、パッド領域114に対する操作を受け付け可能な領域に変更される。換言すると、パッド領域114に対する操作を受け付け可能な領域が拡大する。したがって、指31が当初のパッド領域114内に位置していなくとも中間領域115内に位置していれば、パッド領域114に対応付けられた被制御装置の機能f4を有効にできる。
【0047】
処理部132は、パッド領域114に対応付けられた被制御装置の機能を有効にする制御信号CSを出力部133から出力し、処理を終了する。
【0048】
検出信号SSに基づいて指31がパッド領域114に接触または接近していないと判断されると(図3のSTEP5においてNO)、処理部132は、操作面11に対して有効な操作がなされていないと判断し、処理をSTEP1に戻す。
【0049】
すなわち、処理部132は、第一スイッチ領域111、第二スイッチ領域112、第三スイッチ領域113、およびパッド領域114よりも先に指31が中間領域115に接触または接近したと判断された場合、中間領域115におけるスイッチ操作またはパッド操作の受け付けを不能にする。
【0050】
遠隔制御装置10は車両20に搭載されるので、運転中の乗員が目視を伴わずに操作面11を指31で操作する場合がある。したがって、第一スイッチ領域111、第二スイッチ領域112、第三スイッチ領域113、またはパッド領域114への操作の入力中に指31が所望の領域から外れてしまう事態が生じうる。スイッチ操作の入力を受け付ける領域とパッド操作を受け付ける領域とを物理的に分割する対策が考えられるが、遠隔制御装置10の構造の大型化や複雑化が避けられない。
【0051】
上記の構成によれば、スイッチ操作を受け付ける領域とパッド操作を受け付ける領域のいずれかへの指31の接近または接触が検出されると、両領域の間に位置する中間領域115が、スイッチ操作またはパッド操作を受け付け可能な領域に変化するので、操作面11における操作入力位置に係る厳密性を緩和できる。したがって、車両20に搭載される遠隔制御装置10の操作性を高めることができる。また、複数の被制御装置の機能に関連付けられた複数の領域を、連続的な表面を有する共通の操作面11に統合できるので、遠隔制御装置10の構造の大型化や複雑化を抑制しやすい。
【0052】
なお、第一スイッチ領域111、第二スイッチ領域112、および第三スイッチ領域113のいずれかに指31が接近または接触したかの判断(STEP3)と、パッド領域114に指31が接近または接触したかの判断(STEP5)とが行なわれる順序は逆でもよい。
【0053】
図3に例示されるように、パッド領域114に指31が接近または接触したと判断された場合(STEP5においてYES)、処理部132は、検出信号SSに基づいて、スワイプ動作が開始されたかを判断しうる(STEP7)。スワイプ動作に加えて、ピンチイン動作またはピンチアウト動作の開始が判断されてもよい。すなわち、処理部132は、操作面11において接触または接近が検出される指31の位置が閾値未満の速度で変化する操作が開始されたかを判断しうる。
【0054】
スワイプ動作が開始されたと判断されると(STEP7においてYES)、処理部132は、中間領域115に加えて、第一スイッチ領域111、第二スイッチ領域112、および第三スイッチ領域113においてもパッド操作を受け付け可能にする(STEP8)。すなわち、実質的に操作面11の全体でパッド操作を受け付け可能にする。
【0055】
図10は、パッド領域114において指31によるスワイプ動作が開始された状態を例示している。この場合、図11に例示されるように、第一スイッチ領域111、第二スイッチ領域112、第三スイッチ領域113、および中間領域115が、パッド領域114に対する操作を受け付け可能な領域に変更される。したがって、指31が当初のパッド領域114内に位置していなくとも操作面11内に位置していれば、パッド領域114に対応付けられた被制御装置の機能f4を有効にできる。
【0056】
スワイプ動作が開始されないと判断されると(図3のSTEP7においてNO)、処理部132は、図9を参照して説明したように、中間領域115においてパッド操作を受け付け可能にする(STEP6)。
【0057】
スワイプ動作、ピンチイン動作、またはピンチアウト動作のように操作面11において接触または接近が検出される指31の位置が閾値未満の速度で変化する操作は、指31の移動範囲が比較的広くなる傾向にある。上記のような構成によれば、このような操作に対しても、操作入力位置に係る厳密性を緩和できる。したがって、操作面11を有する遠隔制御装置10の操作性をさらに高めることができる。また、限られた面積を有する操作面11を、パッド操作を受け付けるために最大限に活用できる。
【0058】
図3に例示されるように、検出信号SSに基づいて指31が第一スイッチ領域111、第二スイッチ領域112、および第三スイッチ領域113のいずれかに接触または接近したと判断されると(STEP3においてYES)、処理部132は、操作面11における複数の箇所に乗員の指が接近または接触しているかを判断しうる(STEP9)。
【0059】
操作面11における複数の箇所に乗員の指が接近または接触していると判断されると(STEP9においてYES)、処理部132は、中間領域115においてスイッチ操作を受け付け可能にすることなく、処理をSTEP1に戻す。すなわち、処理部132は、中間領域115の初期状態を維持し、スイッチ操作の受け付けを保留する。
【0060】
図12は、乗員の指31が第一スイッチ領域111に接触し、別の指32が操作面11における別の位置に接触している状態を例示している。この場合、中間領域115の初期状態が維持され、第一スイッチ領域111に対する操作の受け付けが保留される。
【0061】
操作面11における複数の箇所に乗員の指が接近または接触していないと判断されると(図3のSTEP9においてNO)、図5図7を参照して説明したように、処理部132は、中間領域115におけるスイッチ操作を受け付け可能にする(STEP4)。
【0062】
パッド領域114においてピンチイン操作やピンチアウト操作が行なわれる場合を除き、操作面11の複数の箇所に乗員の指の接触また接近が検出される状況は、意図しない操作や誤操作によりもたらされている可能性が高い。上記のような構成によれば、意図しない操作に基づく被制御装置の制御が行なわれる事態の発生を抑制できるとともに、乗員に所望の操作の正確な入力を促すことができる。
【0063】
これまで説明した各機能を有する処理部132は、汎用メモリと協働して動作する汎用マイクロプロセッサにより実現されうる。汎用マイクロプロセッサとしては、CPU、MPU、GPUが例示されうる。汎用メモリとしては、ROMやRAMが例示されうる。この場合、ROMには、上述した処理を実行するコンピュータプログラムが記憶されうる。ROMは、コンピュータプログラムを記憶している記憶媒体の一例である。プロセッサは、ROM上に記憶されたプログラムの少なくとも一部を指定してRAM上に展開し、RAMと協働して上述した処理を実行する。上記のコンピュータプログラムは、汎用メモリにプリインストールされてもよいし、通信ネットワークを介して外部サーバからダウンロードされて汎用メモリにインストールされてもよい。この場合、外部サーバは、コンピュータプログラムを記憶している記憶媒体の一例である。
【0064】
処理部132は、マイクロコントローラ、ASIC、FPGAなどの上記のコンピュータプログラムを実行可能な専用集積回路によって実現されてもよい。この場合、当該専用集積回路に含まれる記憶素子に上記のコンピュータプログラムがプリインストールされる。当該記憶素子は、コンピュータプログラムを記憶している記憶媒体の一例である。処理部132は、汎用マイクロプロセッサと専用集積回路の組合せによっても実現されうる。
【0065】
上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするための例示にすぎない。上記の実施形態に係る構成は、本発明の趣旨を逸脱しなければ、適宜に変更・改良されうる。
【0066】
複数の被制御装置の機能に関連付けられた複数の領域であれば、当該複数の領域の操作面11におけるレイアウト、および受け付け可能な操作の種別は、適宜に変更されうる。但し、当該複数の領域の間に中間領域115が位置していることを要する。
【0067】
上記の実施形態においては、操作面11と乗員の指31の間の静電容量が検出されている。操作面11に対する操作の入力に伴う静電容量の変化が検出できるのであれば、操作の入力は他の身体部位において行われてもよいし、身体部位と操作面11の間に衣料品や道具が介在してもよい。すなわち、当該衣料品や道具もまた、対象物の一例となりうる。
【0068】
遠隔制御装置10は、車両20以外の移動体にも搭載されうる。移動体の例としては、鉄道、航空機、船舶などが挙げられる。当該移動体は、運転者を必要としなくてもよい。
【符号の説明】
【0069】
10:遠隔制御装置、11:操作面、111:第一スイッチ領域、112:第二スイッチ領域、113:第三スイッチ領域、114:パッド領域、115:中間領域、12:検出部、13:処理装置、131:受付部、132:処理部、20:車両、31、32:乗員の指、f1、f2、f3、f4:被制御装置の機能、D:表示部
図1
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図12