(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-10
(45)【発行日】2023-05-19
(54)【発明の名称】血液サンプル最適化システム及び血液隔離装置
(51)【国際特許分類】
A61B 5/15 20060101AFI20230511BHJP
【FI】
A61B5/15 100
A61B5/15 200
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020118498
(22)【出願日】2020-07-09
(62)【分割の表示】P 2020000340の分割
【原出願日】2016-07-22
【審査請求日】2020-08-11
(32)【優先日】2015-10-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2016-04-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2015-07-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2016-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2016-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518026730
【氏名又は名称】クリン インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100126572
【氏名又は名称】村越 智史
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【氏名又は名称】大渕 一志
(72)【発明者】
【氏名】ロジャーズ、 ボビー
(72)【発明者】
【氏名】カン、 ジーノ
(72)【発明者】
【氏名】デトロフ、 ジョン
【審査官】磯野 光司
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2008/0145933(US,A1)
【文献】特開2001-000424(JP,A)
【文献】特表平09-504726(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0009713(US,A1)
【文献】特開昭58-025146(JP,A)
【文献】特開平02-224742(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0306899(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00-5/398
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
採血器によって集められる血液サンプルを最適化するための血液サンプル最適化システムであって、
汚染物質を含む第1の部分と前記第1の部分に続く第2の部分とを含む患者の血液サンプルを取り出せるようにするために患者の静脈穿刺用に構成された患者針と、
前記患者針に接続され、前記血液サンプルを運ぶように構成された採血経路と、
前記血液サンプルの第2の部分を集めるために前記採血器を受け入れるように構成されたサンプル針と、
前記患者針と前記サンプル針との間の前記採血経路に接続された
装置であって、
前記血液サンプルを受け入れるように構成された入口ポートと、
前記入口ポートに接続され、空気透過性血液バリアを含む
チャンバであって、前記血液サンプルの第1の部分を受け入れ、前記
空気透過性血液バリアを通して
チャンバ内の空気を追い出し、前記血液サンプルの第1の部分
を受け入れるように構成された
チャンバと、
前記入口ポートに接続される近位端を有し、前記血液サンプルの第2の部分を受け入れるように構成されたサンプリング流路と
前記入口ポート、出口ポート、前記
チャンバ及び前記サンプリング流路を収容及び画定するハウジングと
を含み、
前記血液サンプルの第2の部分が前記
チャンバを迂回することを可能にし、前記血液サンプルの第2の部分を前記出口ポートに向かわせるように構成され、前記出口ポートは、前記血液サンプルの第2の部分を前記採血器に排出するように構成される、
装置と
を含み、
前記
装置の前記空気透過性血液バリアは、血液と接触すると前記血液サンプルの第1の部分から密封
して空気の通過を防止又は阻止する空気透過性材料を含む、血液サンプル最適化システム。
【請求項2】
前記
装置の前記
チャンバは、周囲空気圧であり、前記
チャンバは、前記患者の血圧が前記
チャンバ内の周囲空気圧に打ち勝つことによって前記血液サンプルの第1の部分を受け入れる、請求項1に記載の血液サンプル最適化システム。
【請求項3】
前記サンプル針は、前記採血経路及び前記サンプリング流路を介して前記患者針へのアクセスを開放するために前記採血器によって穿孔される密封材を含む、請求項2に記載の血液サンプル最適化システム。
【請求項4】
前記
装置の前記サンプリング流路は、前記サンプル針を開封する真空採血管によって真空圧力下で前記血液サンプルの第2の部分を前記入口ポートに進入させる、請求項3に記載の血液サンプル最適化システム。
【請求項5】
前記採血経路はチューブを含む、請求項1に記載の血液サンプル最適化システム。
【請求項6】
前記空気透過性血液バリアを含む通気口をさらに含む、
請求項1に記載の血液サンプル最適化システム。
【請求項7】
患者の静脈穿刺用に構成された患者針と、患者から血液サンプルの少なくとも一部を集めるように構成された採血器とを含む採血システムに接続される
装置であって、
患者からの血液サンプルを受け入れるように構成された前記患者針に接続されるように構成された入口ポートと、
前記入口ポートに接続され、空気透過性血液バリアを含む
チャンバであって、前記血液サンプルの第1の部分を受け入れ、前記空気透過性血液バリアを通して
チャンバ内の空気を追い出し、
チャンバ内の前記血液サンプルの第1の部分
を受け入れるように構成された
チャンバと、
前記入口ポートに接続される近位端を有し、前記血液サンプルの第1の部分に続く前記血液サンプルの第2の部分を受け入れるように構成されたサンプリング流路と、
前記サンプリング流路の遠位端に接続される出口ポートと
を含み、
前記血液サンプルの第2の部分が前記
チャンバ
を迂回することを可能にし、前記血液サンプルの第2の部分を前記出口ポートに向かわせるように構成され、
前記空気透過性血液バリアは、血液と接触すると
前記血液サンプルの第1の部分から密封して空気の通過を防止又は阻止する空気透過性材料を含む、
装置。
【請求項8】
前記
チャンバは、周囲空気圧であり、前記
チャンバは、前記患者の血圧が前記
チャンバ内の周囲空気圧に打ち勝つことによって前記血液サンプルの第1の部分を受け入れる、請求項
7に記載の
装置。
【請求項9】
前記入口ポート、前記出口ポート、前記
チャンバ、及び前記サンプリング流路を収容及び画定するハウジングをさらに含む、請求項
7に記載の
装置。
【請求項10】
前記空気透過性血液バリアを含む通気口をさらに含む、
請求項7に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
関連出願との相互参照
本出願は、2016年4月27日に出願された「血液サンプル最適化システム及び血液
汚染物質隔離装置及び方法」と題する米国非仮出願第15/140,443号及び201
6年4月27日に出願された「血液サンプル最適化システム及び血液汚染物質隔離装置及
び方法」と題する米国非仮出願第15/140,448号の優先権の利益を主張するもの
であり、これらの米国非仮出願の両方が2015年7月24日に出願された「血液培養改
良システム及び方法」と題する米国仮特許出願第62/196,797号、2015年1
0月7日に出願された「非汚染採血用の血液隔離システム」と題する米国仮出願第62/
238,636号、及び2016年4月4日に出願された「血液サンプル最適化システム
及び血液汚染物質隔離装置及び方法」と題する米国仮特許出願第62/318,194号
の優先権を主張しており、これらの開示はその全体が参照により本明細書に含まれるもの
とする。
【0002】
菌血症は、血液中に微生物が存在することである。一方、敗血症は、発熱、頻脈、頻呼
吸及び低血圧などの臨床症状及び臨床兆候がある場合の菌血症である。菌血症及び敗血症
は、高い死亡率、入院発生率及び入院期間と関連する費用の増加とを伴う。多くの菌血症
、敗血症、真菌血症及び他の病原体が実際に病院又は他の医療施設内で発生し、カテーテ
ル及び静脈穿刺がこれらの病原体の潜在的なキャリアとしての汚染源である。
【0003】
血液培養は、患者の血液中の菌血症及び敗血症に関連する微生物病原体を検出するのに
使用される標準検査である。血液培養という用語は、血液が1つ以上の血液培養ボトル又
は容器に接種される、末梢部位又は中心ライン又は動脈ラインからの1回の静脈穿刺を指
す。1つのボトルが1つの血液培養と見なされ、2つ以上がセットと見なされる。複数の
セットは複数の静脈穿刺から得られ、患者の異なる部位に関連する。
【0004】
これらの方法は、敗血症を管理する上で重要な要素である微生物同定及び感受性検査を
可能にするが、迅速な結果が得られないことと厄介な病原体に対する感度が低いことが、
改良されたシステムの開発及び補助的な分子検査又はプロテオミクス検査につながってい
る。
【0005】
血液培養を行うための血液サンプルの採取は、現代の患者ケアの重要な要素であり、正
確な診断を提供することによって患者の結果に良い影響を与えることも、不必要な抗菌療
法を長引かせ、入院期間を長くし、コストを増加させることによって結果に悪影響を与え
ることもある。
【0006】
血液培養の採取の1つの結果は、汚染である。血液培養の汚染は、偽陽性の培養結果及
び/又は医療関連コストの著しい増加につながる可能性がある。血液培養の汚染の原因は
、不適切な皮膚消毒、不適切な採取管の消毒、最初の採血の汚染を含み、これらは結果を
歪める可能性がある。
【0007】
血液培養採取キットは、一般に、BD、スミス、ビー・ブラウンなどの会社によって提
供される「バタフライ」セット、輸液セット、又は他のタイプの静脈穿刺装置と、好気性
血液培養ボトル及び嫌気性血液培養ボトルとで構成される。様々な異なるボトルも検査要
件に応じて利用可能である。これらのボトルは、好気性生物と嫌気性生物の両方の回収を
最適化するように特別に設計されている。従来のキットでは、使用されるボトルは一般に
「バキュテナー(登録商標)」として知られており、これは、所定の量の血液などの液体
の採取を容易にするべく管の内部に真空を作り出すために排気される蓋を備える滅菌ガラ
ス管又は滅菌プラスチック管から形成される採血管である。
【0008】
偽陽性の血液培養は、一般的に、不十分なサンプリング技術の結果である。それらは、
必要でないときに抗生物質を使用させ、病院費及び患者の不安を増大させる。血液培養は
、皮膚内への針刺しから採取され、その後で血液のサンプルを取り込むためにバキュテナ
ー(登録商標)が取り付けられる。汚染は、穿刺部位及びその周辺の皮膚領域の不適切又
は不完全な消毒によって生じ得る。それはまた、挿入中の針による皮膚のくりぬきから、
くりぬかれた皮膚細胞と関連する汚染物質とがサンプル中に引き込まれることで生じるこ
ともある。
【0009】
皮下注射針を通る血流は層流であり、このため、皮下注射針に圧力降下が加えられると
きに流管にわたって流速勾配が発生する。血液を強く吸引するか又は非常に小さな皮下注
射針を使用すると、溶解及び赤血球からのカリウムの放出が起こり、それにより血液サン
プルが異常になる可能性がある。
【0010】
他の例では、一部の患者は繊細な静脈を有し、繊細な静脈は、特に患者の状態に対して
あまりにも急速に引き出される注射器のプランジャによって加えられるような圧力低下又
は真空の下で崩壊し得る。このような状態は事前に知ることが不可能であるため、このよ
うな静脈崩壊は危険であり、制御することは非常に困難である。
【0011】
血液培養の汚染率を低下させるために、例えば、無菌採取技術に関するスタッフの訓練
、汚染率に関するフィードバック、及び血液培養採取キットの導入など、様々な戦略が実
施されている。皮膚消毒は汚染の心配を減らすことができるが、20%以上の皮膚の微生
物は真皮の深部に位置し、消毒の影響を受けない。ボトル接種の前に針を交換することは
、汚染率を低下させることなく針刺し損傷を受ける危険性を高めるので推奨されない。
【0012】
血液培養の汚染を低減するための一部の従来のシステム及び技術は、中心静脈カテーテ
ル、静脈穿刺及び他の血管アクセスシステムから採取された最初のアリコートの血液を捨
てることを含む。しかしながら、これらのシステムは、ユーザーが血管内装置を機械的に
操作することを必要とするか又は確実にすることが困難な複雑な一連のステップを踏むこ
と必要とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本明細書は、血液培養の汚染、細胞の溶解、及び静脈崩壊を低減するためのシステム及
び方法を提示する。一部の実施では、システム及び方法は、ユーザーの消毒のばらつきを
なくし、また皮膚細胞が血液培養サンプルに入り込む危険性をなくすこともできる。本明
細書に開示されたシステム及び方法は、汚染物質のない血液サンプルを採取するためにバ
キュテナー(登録商標)又は他の採血装置(すなわち、注射器)をいつ取り付けるべきか
を潜在的に示す以外は、既存の臨床プロセスの変更を必要としない。
【0014】
本明細書に開示されたシステム及び方法の一部の実施では、採血は、患者自身の血圧の
使用によって受動的に成し遂げられ、それによって静脈崩壊の危険性を低減し、現行の実
務を超える更なるユーザーのステップを排除する。システム及び方法は、短経路の直接刺
し又はバタフライ静脈穿刺システムに適合するように適用されることができる。カテーテ
ルを通して採取されたサンプルと共に使用されることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0015】
一態様では、血液隔離装置が提示されている。血液隔離装置は、入口ポートと出口ポー
トとを含む。血液隔離装置は、入口ポートと接続される隔離チャンバであって、空気透過
性血液バリアを含む通気口を有する隔離チャンバを更に含む。血液隔離装置は、入口ポー
トと接続される近位端と、出口ポートと接続される遠位端とを有する、サンプリング流路
を更に含む。
【0016】
別の態様では、採血経路と接続される血液隔離装置が記載されている。採血経路は、患
者針とサンプル採取装置とを有する。血液隔離装置は、患者針と接続される入口ポートと
、入口ポートと接続される隔離チャンバであって、空気透過性血液バリアを含む通気口を
有する隔離チャンバとを含む。血液隔離装置は、入口ポートと接続される近位端を有する
サンプリング流路と、サンプリング流路の遠位端及びサンプル採取装置と接続される出口
ポートとを更に含む。
【0017】
更に別の態様では、採血システムと接続される血液隔離装置が記載されている。採血シ
ステムは、患者から血液サンプルを取り出せるようにするための患者針と、密封され且つ
真空採血管を受け入れるように適合されたサンプル針とを含む。血液隔離装置は、患者か
らの血液サンプルを受け入れるために患者針と接続される入口ポートを含む。血液隔離装
置は、入口ポートと接続され且つ空気透過性血液バリアを含む通気口を有する隔離チャン
バであって、サンプル針が真空採血管によって開封されるより前に血液サンプルの最初の
部分を受け入れ且つ隔離する隔離チャンバを更に含む。血液隔離装置は、入口ポートと接
続される近位端を有するサンプリング流路であって、真空採血管によってサンプル針が開
封されると血液サンプルの後続の部分を運ぶサンプリング流路を更に含む。血液隔離装置
は、血液サンプルの後続の部分をサンプル針に運ぶためにサンプリング流路の遠位端と接
続される出口ポートを更に含む。
【0018】
更に別の態様では、血液サンプル最適化システムが開示され、記載されている。血液サ
ンプル最適化システムは、患者の血液の1つ以上のサンプルを取り出せるようにし且つ得
るための採血システムと、静脈穿刺プロセスによって汚染されている恐れがあり且つ患者
の血液中の病原体の偽陽性同定をもたらす可能性がある患者の血液の1つ以上のサンプル
の最初の部分を受け入れ且つ隔離するための血液隔離装置とを含む。
【0019】
採血システムは、患者の血液のサンプルを取り出せるようにするために患者の静脈穿刺
用に構成された患者針と、血液サンプルを運ぶために患者針と接続される採血経路と、血
液サンプルの後続の部分を採取し且つ収容するために真空採血容器を受け入れるように構
成されたサンプル針とを含む。
【0020】
更に別の態様では、血液隔離装置が開示され、記載されている。一部の実施では、血液
隔離装置は、入口ポートと、入口ポートと接続される出口ポートと、入口ポートと接続さ
れる隔離チャンバとを含むことができる。隔離チャンバは、空気透過性血液バリアを含む
通気口を有することができる。
【0021】
血液隔離装置は、患者針とサンプル針との間で採血経路に沿って接続され、血液サンプ
ルを受け入れるための入口ポートを含む。血液隔離装置は、血液サンプルの最初の量を受
け入れるために入口ポートと接続される隔離チャンバであって、血液サンプルの最初の量
の少なくとも最初の部分を隔離するために空気透過性血液バリアを含む通気口を有する隔
離チャンバを更に含む。血液隔離装置は、入口ポートと接続される近位端を有するサンプ
リング流路であって、隔離チャンバが血液サンプルの最初の量の少なくとも最初の部分を
隔離すると血液サンプルの後続の量を真空採血容器に運ぶサンプリング流路を更に含む。
血液隔離装置は、サンプリング流路の遠位端と接続される出口ポートであって、血液サン
プルの後続の量を出力する出口ポートを更に含む。
【0022】
1つ以上の実施形態の詳細が、添付の図面及び以下の説明に記載されている。他の特徴
及び利点は、明細書及び図面並びに特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0023】
以下、これら及び他の態様について、以下の図面を参照して詳細に説明する。
【
図2】代替的な実施に従う血液サンプル最適化システムを示す。
【
図3】別の代替的な実施に従う血液サンプル最適化システムを示す。
【
図4】別の代替的な実施に従う血液サンプル最適化システムを示す。
【
図5】別の代替的な実施に従う血液サンプル最適化システムを示す。
【
図6】代替的な実施に従う血液サンプル最適化システムを示す。
【
図7】血液培養の質を最適化するための方法のフローチャートである。
【
図8A】一部の実施に従う非汚染採血用の血液隔離システムを示す。
【
図8B】一部の実施に従う非汚染採血用の血液隔離システムを示す。
【
図8C】一部の実施に従う非汚染採血用の血液隔離システムを示す。
【
図8D】一部の実施に従う非汚染採血用の血液隔離システムを示す。
【
図8E】一部の実施に従う非汚染採血用の血液隔離システムを示す。
【
図9】血液隔離システムに用いる経路スプリッタを示す。
【
図10A】代替的な実施に従う非汚染採血用の血液隔離システムを示す。
【
図10B】代替的な実施に従う非汚染採血用の血液隔離システムを示す。
【
図10C】代替的な実施に従う非汚染採血用の血液隔離システムを示す。
【
図10D】代替的な実施に従う非汚染採血用の血液隔離システムを示す。
【
図11A】他の代替的な実施に従う非汚染採血用の血液隔離システムを示す。
【
図11B】他の代替的な実施に従う非汚染採血用の血液隔離システムを示す。
【
図11C】他の代替的な実施に従う非汚染採血用の血液隔離システムを示す。
【
図11D】他の代替的な実施に従う非汚染採血用の血液隔離システムを示す。
【
図11E】他の代替的な実施に従う非汚染採血用の血液隔離システムを示す。
【
図12A】更に他の代替的な実施に従う血液隔離装置を含む血液サンプル最適化システムを示す。
【
図12B】更に他の代替的な実施に従う血液隔離装置を含む血液サンプル最適化システムを示す。
【
図12C】更に他の代替的な実施に従う血液隔離装置を含む血液サンプル最適化システムを示す。
【
図12D】更に他の代替的な実施に従う血液隔離装置を含む血液サンプル最適化システムを示す。
【
図13A】更に別の代替的な実施に従う血液サンプル最適化システム1300を示す。
【
図13B】更に別の代替的な実施に従う血液サンプル最適化システム1300を示す。
【
図13C】更に別の代替的な実施に従う血液サンプル最適化システム1300を示す。
【
図13D】更に別の代替的な実施に従う血液サンプル最適化システム1300を示す。
【
図14A】患者の血液サンプルに対して実施される血液培養又は検査における偽陽性を低減するために最初のアリコート又はサンプルの汚染物質を隔離する採血システムの更に別の実施を示す。
【
図14B】患者の血液サンプルに対して実施される血液培養又は検査における偽陽性を低減するために最初のアリコート又はサンプルの汚染物質を隔離する採血システムの更に別の実施を示す。
【
図14C】患者の血液サンプルに対して実施される血液培養又は検査における偽陽性を低減するために最初のアリコート又はサンプルの汚染物質を隔離する採血システムの更に別の実施を示す。
【
図14D】患者の血液サンプルに対して実施される血液培養又は検査における偽陽性を低減するために最初のアリコート又はサンプルの汚染物質を隔離する採血システムの更に別の実施を示す。
【
図14E】患者の血液サンプルに対して実施される血液培養又は検査における偽陽性を低減するために最初のアリコート又はサンプルの汚染物質を隔離する採血システムの更に別の実施を示す。
【
図15A】更に別の実施に従う血液隔離装置及びそれを使用する方法を示す。
【
図15B】更に別の実施に従う血液隔離装置及びそれを使用する方法を示す。
【
図15C】更に別の実施に従う血液隔離装置及びそれを使用する方法を示す。
【
図15D】更に別の実施に従う血液隔離装置及びそれを使用する方法を示す。
【
図15E】更に別の実施に従う血液隔離装置及びそれを使用する方法を示す。
【
図15F】更に別の実施に従う血液隔離装置及びそれを使用する方法を示す。
【
図15G】更に別の実施に従う血液隔離装置及びそれを使用する方法を示す。
【
図16A】更に別の実施に従う血液隔離装置を示す。
【
図16B】更に別の実施に従う血液隔離装置を示す。
【
図16C】更に別の実施に従う血液隔離装置を示す。
【
図16D】更に別の実施に従う血液隔離装置を示す。
【
図17A】血液隔離装置用のハウジングの下部部材を示す。
【
図17B】血液隔離装置用のハウジングの下部部材を示す。
【
図17C】血液隔離装置用のハウジングの下部部材を示す。
【
図17D】血液隔離装置用のハウジングの下部部材を示す。
【
図17E】血液隔離装置用のハウジングの下部部材を示す。
【
図18A】血液隔離装置用のハウジングの上部部材を示す。
【
図18B】血液隔離装置用のハウジングの上部部材を示す。
【
図18C】血液隔離装置用のハウジングの上部部材を示す。
【
図18D】血液隔離装置用のハウジングの上部部材を示す。
【
図18E】血液隔離装置用のハウジングの上部部材を示す。
【
図18F】血液隔離装置用のハウジングの上部部材を示す。
【
図19A】下部部材と嵌合する上部部材を有する血液隔離装置を示す。
【
図19B】下部部材と嵌合する上部部材を有する血液隔離装置を示す。
【
図20】血液隔離装置を含む血液サンプル最適化システムを示す。
【
図21】ウィッキング材料チャンバを使用する通気口付きでない血液隔離装置を示す。
【
図22A】血液隔離装置の隔離チャンバ内の血液を隔離するためのフィルタの材料構成を示す。
【
図22B】血液隔離装置の隔離チャンバ内の血液を隔離するためのフィルタの材料構成を示す。
【
図23A】採血装置による真空力を使用する血液隔離装置の別の実施を示す。
【
図23B】採血装置による真空力を使用する血液隔離装置の別の実施を示す。 様々な図面における同様の符号は同様の要素を示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本明細書は、採取される血液サンプル中の汚染物質を低減又は排除し、その結果、採取
される血液サンプルの血液培養又は他の検査における偽陽性の判断を減少又は排除する血
液サンプル最適化システム及び方法を記載している。一部の実施では、血液サンプル最適
化システムは、患者の血流への血管アクセスのための患者針と、バキュテナー(登録商標
)のような真空採血容器又は真空採血管などの採血容器か又は他のサンプリング装置に血
液サンプルを供給するためのサンプル針と、患者針とサンプル針との間に位置する血液隔
離装置とを含む。血液隔離装置は、汚染されている可能性のある最初のアリコートの血液
を隔離するための隔離チャンバを含み、最初のアリコートの血液が隔離チャンバ内に隔離
された後に患者針とサンプル針との間の汚染されていない可能性のある血液を運ぶために
隔離チャンバを迂回するサンプリング流路を更に含むことができる。
【0025】
図1は、一部の実施に従う血液サンプル最適化システムを示す。システムは、患者の皮
膚を穿刺してその中の患者の静脈及び静脈内の血液にアクセスするための患者針1を含む
。システムは、再密封可能なブーツ10、ルアー作動弁、又は別の採取インターフェース
又は装置内に収容され且つ再密封可能なブーツ10、ルアー作動弁、又は別の採取インタ
ーフェース又は装置によって当初は密封されていることができる、サンプル針(すなわち
、バキュテナー(登録商標)などと共に使用するための再密封可能に密封された針)5を
更に含む。再密封可能なブーツ10は、患者の血液を採取するためのバキュテナー(登録
商標)ボトル(図示せず)を用いることによって、サンプル針5のそばに又はサンプル針
5の周りに押し付けることができる。システムは、サンプル針5に通じる低容量チャンバ
30を更に含むことができるが、ハウジング50によって形成される隔離チャンバ55に
通じる穴又は1つ以上の流路45も含む。
【0026】
隔離チャンバ55は、隔離チャンバ55の容積に応じて、所定の又は測定された量であ
ることができる、患者の血液の最初のアリコートを受け入れ且つ保持するためのチャンバ
、流路、通路、ロック、又は他の構造である。最初の採血は、一般的に、後続の採血に比
べて菌血症及び敗血症を引き起こす微生物又は他の病原体を含有しているか又はより含有
の影響を受けやすい。隔離チャンバ55は、硬いハウジング内に収容されるか、ハウジン
グ自体に形成され又はハウジング自体によって画定された容器であることができ、或いは
チューブ又は内腔として実現されることができる。隔離チャンバ55は、どのように形成
され且つ実施されるかにかかわらず、所定の容積を有することができる。一部の実施では
、所定の容積は、患者針の容積に基づくこと、すなわち、患者針の容積よりも少ない容積
から任意の容積から患者針の容積の20倍以上大きい容積までの範囲であることができる
。隔離チャンバ55の所定の容積は、隔離され且つ処分される血液の量を節約又は最小化
するように設定されることもできる。
【0027】
隔離チャンバ55は、チャンバハウジング50内に形成、包含、又は収容されることが
でき、プラスチック、ゴム、鋼、アルミニウム又は他の適切な材料で作られることができ
る。例えば、隔離チャンバ55は、可撓性チューブ又は他のエラストマー材料から形成さ
れることができる。隔離チャンバ55は、空気が隔離チャンバ55から出ることを可能に
する空気透過性血液バリア20を更に含む。本明細書で使用される「空気透過性血液バリ
ア」という用語は、空気透過性であるが実質的に血液不透過性の物質、材料又は構造体を
意味する。代表的な例は、疎水性膜及び疎水性コーティング、疎水性膜又は疎水性コーテ
ィングと組み合わせた親水性膜又は親水性コーティング、メッシュ、フィルタ、機械的弁
、抗菌性材料、又は隔離チャンバ55が血液で満たされるときに隔離チャンバ55から空
気を追い出すことができる他の任意の手段を含むことができる。様々な例示的な実施形態
において、空気透過性血液バリアは、空気が液体と接触するまで通過することを可能にす
る1つ以上の材料によって形成されることができ、このような材料は、空気及び/又は液
体の通過を防止又は阻止するために完全に又は部分的に密封される。言い換えれば、液体
との接触より前に、材料は空気透過性のバリアを形成している。液体との接触後、材料は
、空気及び/又は液体の更なる通過を実質的に又は完全に防止する。
【0028】
穴又は流路45は、任意の所望の長さ、断面形状又はサイズであることができ、且つ/
又は任意の所望の角度又は向きで低容量チャンバ30から離れるように形成されることが
できる。穴又は流路45はまた、最初のアリコートの血液サンプルを隔離チャンバ55内
に保持する一方向フラップ又は一方向弁60を含むことができる。一部の特定の実施では
、穴又は流路45は、低容量チャンバ30から隔離チャンバ55への一方向の血液の流れ
のための「ダックビル」弁又はフラッパ弁60などを含むことができる。空気透過性血液
バリア20は、空気が出ることを可能にするが血液と接触すると密封する材料で構成する
こともでき、それによって外気が隔離チャンバ55に入ることを許容しない。この密封は
弁を不要にする。
【0029】
弁60は、任意のタイプの弁又は開閉機構であることができる。チャンバ30は、実質
的に残留血液を保持しないように設計されており、特定の容積又は割合の血液を隔離チャ
ンバ55に保持し又は通過させるように構成することができる。同様に、隔離チャンバ5
5は、抗菌コーティングのような任意のタイプのコーティング、又は隔離された最初の採
血の成分の同定及び/又は診断を支援するコーティングも含むことができる。
【0030】
ハウジング50及び40は、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)又は他の
熱可塑性材料又はポリマー材料などのプラスチック、ゴム、鋼、又はアルミニウムを含む
任意の適切な材料から形成されることができる。空気透過性血液バリア20は、最初の採
血による血液と接触すると又は空気の追い出しが停止されたときに、又は事象と隔離チャ
ンバ55内の血液との任意の組み合わせの場合に活性化される、色提供物質又は他の信号
伝達機構を含むことができる。空気透過性のバリアはまた、外部流体源、しぶき等による
フィルタの不注意による又は早過ぎる密封を阻止又は防止する疎水性膜又はカバーなどの
外層を含むことができる。隔離チャンバ55はまた、チャンバが充填されたことをユーザ
ーが視覚的に確認することを可能にするために半透明又は透明であることができる。
【0031】
図2は、一部の代替的な実施に従う血液サンプル最適化システムを示す。
図2に示す実
施では、隔離チャンバ55又は廃棄チャンバが患者針1を取り囲み、端部が開放されたカ
フ又はハウジングが廃棄チャンバと接続され、サンプル針ハウジングベース及びハウジン
グを取り囲んでいる。患者針1とサンプル針5とは、ブーツ56によって互いと接続され
ており、ブーツ56は、それを貫通する連続的な採血流路を形成している。ブーツ56は
、採血流路から隔離チャンバ55に通じる単一の穴又は流路を含む。装置は、他の実施で
は、複数の穴又は流路を含むことができる。各穴又は流路は、一方向弁を含むことができ
、所定の量の血流のために寸法設定され且つ適合されることができる。
【0032】
隔離チャンバ55は、空気透過性血液バリアを含む。フィルタは、所定容積の血液が隔
離チャンバ55に集められたときに、それぞれ、感知及び/又は指示するためのセンサ又
は指標を更に含むことができる。その指示は、バキュテナー(登録商標)などの真空採血
管又はボトルをサンプル針5に取り付けるようにユーザーに警告する。隔離チャンバ55
用のハウジングは、任意のサイズ又は形状であることができ、ハウジング内の内部空間又
は容積を画定するために任意のタイプの材料を含むことができる。内部空間は、最初は空
気のみで満たされているが、汚染除去剤、凝固剤などの薬剤又は物質でコーティングされ
ることもできる。真空採血管がサンプル針5に取り付けられると、血液は自動的に患者針
1に、採血流路及びサンプル針5を通ってボトルに流入する。サンプル針5は、採血ボト
ルがサンプル針に取り付けられていないときにサンプル針を密封する再密封可能なブーツ
、コーティング又は膜によって覆われている。
【0033】
図3は、一部の代替的な実施に従う血液サンプル最適化システムを示す。図示の実施で
は、サンプル針5は、再密封可能なブーツ又は膜によって取り囲まれ、更に患者針1と接
続される。サンプル針及び患者針を通って血液流路が形成される。サンプル針と患者針と
の間の接続は、主血液流路から隔離チャンバ104へと導く流路、ポート又は開口部を含
む「T」又は「Y」コネクタ102を含む。
【0034】
T又はYコネクタ102は、フラップ又は一方向弁を含み、所定の流量の血液のために
寸法設定され且つ適合された穴を有する。隔離チャンバ104は、チューブから形成され
又は硬いハウジングによって形成されることができ、最初は空気で満たされている。隔離
チャンバ104は、自動的に、すなわち、患者自身の血圧による圧力下で患者から流出す
る血液を受け入れる。隔離チャンバ104は、好ましくは隔離チャンバ104を形成し且
つ近位端がT又はYコネクタ102に接続されたチューブの遠位端に、空気透過性血液バ
リア106を含む。T又はYコネクタ102は、最も効率的な血流のために任意の所望の
角度で分岐することができ、最初のアリコートの血液と主要な採血サンプルとの混合を最
小限に抑え又は排除するために、開口部及び流路と主血液流路との間の接合部分を最小化
するように形成されることができる。
【0035】
一部の代替的な実施では、サンプル針は、
図4に示すように、その反対側の端部がT又
はYコネクタ102と接続している任意の長さのチューブに取り付けられることができる
。隔離チャンバ104は、最初のアリコートに所定量の血液サンプルを含む限り、任意の
形状又は容積であることができる。T又はYコネクタ102はまた、主血液流路に対して
平行な開口部又は流路を含むことができる。空気透過性血液バリアは、所定量の血液が隔
離チャンバに集められたとき、又は放出される空気が特定の閾値、すなわちゼロに達した
ときを示す指標107又は他の機構を更に含むことができる。チューブはまた、挟んでチ
ューブを通る流体の流れを防止するのに使用することができるクリップ109を含むこと
ができる。
【0036】
空気透過性血液バリア及び一次チャンバが密封されると、最初のアリコートの血液が隔
離チャンバ104に閉じ込められ、サンプルを得るためにバキュテナー(登録商標)ボト
ルのような真空採血管がサンプル針5に取り付けられる。採血管は取り外すことができ、
サンプル針5は再密封される。更なる採血又はサンプルのために、任意の数の後続の採血
管を取り付けることができる。全ての採血が完了すると、最初のアリコートの血液が隔離
チャンバ104に閉じ込められたまま、システムは廃棄される。
【0037】
図5は、一部の代替的な実施に従う血液サンプル最適化システムを示す。図示の実施で
は、サンプル針5が患者針とチューブによって接続されている。「T」又は「Y」コネク
タ120が、チューブに沿って任意の所望の位置に追加され、実質的に上記のように、隔
離チャンバ204に通じる開口部、ポート又は流路を含む。
【0038】
図6は、一次採取流路として形成された隔離チャンバ304が最初のアリコートの血液
を受け入れ、採血流路に隣接して設けられている、一部の代替的な実施に従う血液サンプ
ル最適化システムを示す。隔離チャンバ304は、採血流路、患者針1及び/又はサンプ
ル針5を取り囲むことができる。一次採取流路は、T又はYコネクタ120、又は他のタ
イプの開口部又は流路を含むことができる。隔離チャンバ304は空気透過性血液バリア
を含み、上記のように、血液などの流体が接触したことの指標を含むこともできる。
【0039】
一部の実施では、患者針1又はサンプル針5のいずれか又は両方をルアーロック雄コネ
クタ又はルアーロック雌コネクタで置き換えることができる。しかしながら、様々な実施
で、血液サンプル最適化システムのサンプル針端部にあるコネクタを最初に密封し、周囲
空気圧で加圧され且つ空気透過性血液バリアの空気出口を含む隔離チャンバへ最初のアリ
コートの血液をそらすことを可能にする。このようにして、システムは受動的且つ自動的
に患者自身の血圧を用いて隔離チャンバの周囲空気圧に打ち勝ち、空気透過性血液バリア
を通して空気を押し出し、隔離チャンバ内の空気を血液に置き換える。
【0040】
図7は、血液培養の質を最適化するための例示的な方法のフローチャートである。70
2において、臨床医が患者の静脈に針を挿入する。704において、血液が隔離チャンバ
に流れ込み、隔離チャンバ内の空気を隔離チャンバから空気透過性血液バリアを通して押
し出す。一部の実施では、隔離チャンバの容積は、0.1立方センチメートル(cc)未
満から5立方センチメートル(cc)以上である。隔離チャンバは、血液サンプルの第2
部分及び他の後続の部分又は後続の採取よりも汚染しやすい血液サンプルの第1部分を採
取するように寸法設定され且つ適合されている。隔離チャンバは空気透過性血液バリアを
有し、この血液バリアを通して空気を患者の静脈から押し出された血液で追い出すことが
できるので、このような血液は、血液サンプルを受け入れ且つ保管するためのバキュテナ
ー(登録商標)又は他のボトルに引き込まれるか又は他の方法で入る前に、必然的に且つ
自動的に隔離チャンバに流入する。
【0041】
隔離チャンバがいっぱいになると、血液は、血液が通過するのを阻止又は防止する空気
透過性血液バリアに集まるか、さもなければ接触する。706において、血液が空気透過
性血液バリアの全内部表面積と接触すると、空気透過性血液バリアは閉じられ、空気はも
はや流出又は流入しない。708において、臨床医は、バキュテナー(登録商標)などの
真空採血管を取り付けることができることを示す指標を提供されるか又は満杯のチャンバ
を見ることができる。指標は、一次チャンバがいっぱいであるか否かを確認するための一
次チャンバの可視性、例えば、色を変える血液バリア、又は他の指標を含むことができる
。隔離チャンバの充填時間は、実質的に瞬間的であり得るので、このような指標は、存在
する場合、隔離チャンバが満たされているというだけである可能性がある。
【0042】
真空採血管が取り付けられる前、針、サンプリング流路、及び隔離チャンバの間の連通
は、隔離チャンバの血液バリアの密封によって制限され、従って隔離によって空気がシス
テムに再び入ることを可能にしない。連通経路の密封は、機械的にねじること又は他の動
作、小さな穴又は曲がりくねった経路によって達成され、臨床医による別個の弁又は機械
的な動作又は操作の必要性をなくす。710において、真空採血管を取り外すと、自己密
封式の膜がサンプル針を密封し、712で、更なる後続の真空採血管を取り付けることが
できる。714において、サンプルが採取されると、装置が患者から取り外され、廃棄さ
れる。
【0043】
図8A~8Eは、一部の実施に従う、非汚染採血用の例示的な血液サンプル最適化シス
テム800を示す。血液サンプル最適化システム800は、チューブ、患者針(又は両方
)、又は他の血管又は静脈アクセス装置に接続されることができる入口ポート802と、
隔離チャンバチューブ806への第1出口とサンプル採取チューブ808への第2出口と
を有する経路スプリッタ804とを含む。隔離チャンバチューブ806及びサンプル採取
チューブ808の一方又は両方は、チューブから形成されることができる。一部の実施で
は、隔離チャンバチューブ806は、特定の量の当初血液サンプルを収容するように寸法
設定される。サンプル採取チューブ808は、ひとたび隔離チャンバチューブ806が満
たされると、血液サンプルを受け入れる。サンプル採取チューブ808は、バキュテナー
(登録商標)ベース又はハウジング810、又は他の血液サンプル採取装置に接続される
ことができる。
【0044】
血液隔離システム800は血液隔離装置812を更に含み、血液隔離装置812は、図
8B~8Dにより詳細に示すようにハウジング818を含み、ハウジング818は、非汚
染サンプル採取チューブ808用の経路を画定するか又はいずれかの端部が非汚染サンプ
ル採取チューブ808と接続されるサンプリング流路820を含む。サンプリング流路8
20は、非汚染サンプル採取チューブ808に沿った位置でハウジング818をより良好
に固定し且つ安定させるように、ハウジング818を通って曲線状であることができる。
【0045】
血液隔離装置812は、隔離チャンバチューブ806と接続される隔離チャンバ822
又は他のチャンバを更に含む。隔離チャンバ822は、空気透過性血液バリア824で終
端している。空気透過性血液バリア824はまた、血液サンプル(すなわち、非汚染血液
サンプル)の正式な採取を開始することができる指標として、血液との完全な接触時に異
なる色に変わる着色剤を含むことができる。小さい光、音発生機構などの他の指標を使用
することができる。一部の実施では、空気透過性血液バリアは、隔離チャンバ822の方
向から直角に配置されているが、ハウジング818に使用される空間及び材料を節約する
ために任意の距離又は向きに配置されることができる。ハウジング818及びその内容物
は、任意の剛性材料又は半剛性材料又は一連の材料から形成されることができる。
【0046】
図9は、例えば、
図8A~8Eに示すような血液隔離システムに用いる経路スプリッタ
900を示す。経路スプリッタ900は、入口ポート902と、主管路出口ポート904
と、隔離流路出口ポート906とを含む。入口ポート902は、同様に患者針システムに
接続される主チューブに、又は直接患者針に接続されることができる。主管路出口ポート
904は、バキュテナー(登録商標)ベース又はハウジングなどの採血システムへの主管
路チューブに、又は直接そのような採血システムに接続されることができる。隔離流路出
口ポート906は、測定された量又は所定の閾値まで血液の第1サンプルを受け入れ且つ
隔離するための隔離チューブに接続されることができる。代わりに、隔離流路出口ポート
906は、隔離チャンバに接続することができる。隔離流路出口ポート906は、好まし
くは、主管路出口ポート904から20~70度の角度に曲げられ、一方、主管路出口ポ
ート904は、好ましくは、入口ポート902と一直線である。所定の量の最初の血液サ
ンプルが、本明細書に記載された機構及び技術に従って隔離チューブ又は隔離チャンバ内
に隔離されると、後続の血液サンプルは、入口ポート902に流入し、障害物なしで主管
路出口ポート904から直接流出する。
【0047】
図10A~10Dは、別の実施に従う血液隔離装置1000を示す。血液隔離装置10
00は、入口ポート1002と、主出口ポート1004と、隔離流路ポート1006とを
含む。入口ポート1002は、患者針又は関連するチューブと接続されることができる。
主出口ポート1004は、バキュテナー(登録商標)、関連するチューブ、又はルアー作
動弁などの血液サンプル採取装置に接続されることができる。隔離流路ポート1006は
、主出口ポート1004から隔離チャンバ1008に分離する。一部の実施では、隔離チ
ャンバ1008は、ハウジング又は他の容器1001内に螺旋流路として形成される。
【0048】
隔離チャンバ1008は、実質的に上記のように、遠位端が空気透過性血液バリア10
10に接続される。隔離チャンバ1008内の空気は、空気透過性血液バリア1010を
通して、隔離流路ポート1006内に案内される最初のアリコートの血液によって追い出
される。ひとたび隔離チャンバ1008が満たされると、主出口ポート1004を通る更
なる採血が成し遂げられ、これらのサンプルは汚染されていない。
【0049】
図11A~11Eは、他の代替的な実施に従う血液隔離装置1100を示す。血液隔離
装置1100は、上述の入口ポートと同様の入口ポート1102と、主出口ポート110
4と、主出口ポート1104及び入口ポート1102から分離する隔離流路ポート110
6とを含む。隔離流路ポートは、隔離チャンバ1108に接続されている。
図11A~1
1Eに示す実施では、血液隔離装置は、隔離チャンバ1108として機能する流路を内部
に有するベース部材1101を含む。流路は、ベース部材1101を通る曲がりくねった
経路として形成されることができ、一方、ベース部材1101は、患者の四肢に載るよう
に成形され且つ形成される。
【0050】
隔離チャンバ1108の一部は、血液隔離指標1109として機能するように、空気透
過性血液バリア1110に出る直前に、ベース部材から又はベース部材の上面付近に突出
することができる。指標1109は、透明な材料、又は血液と接触すると変色する材料で
形成されることができる。
【0051】
一部の実施では、血液隔離装置1100は、常時閉じている針、バキュテナー(登録商
標)シールド又は他の採取装置などの採血装置1120を含むことができる。採血装置1
120は、患者針の挿入プロセスによって汚染される恐れがある最初のアリコートの血液
を隔離することができるように、効率及び利便性のために血液隔離装置1100と共に製
造及び販売されることができる。従って、採血装置1120は、偽陽性の検査のリスクを
低減するように非汚染血液サンプルを採取し且つ非汚染サンプルを確実にすることができ
る。
【0052】
図12A~12Dは、更に他の代替的な実施に従う血液サンプル最適化システム120
0を示す。システム1200は、バキュテナー(登録商標)又は他の採取及びサンプリン
グ装置のような採血装置1204に取り付けるための血液隔離装置1202を含む。血液
隔離装置1202は、バキュテナー(登録商標)容器又はバイアルが採血装置1204の
採取針に取り付けられる前に、最初のアリコート又は量の血液を受け入れ、且つその最初
のアリコート又は量を血液隔離装置1202の隔離流路内に隔離するように、構成され且
つ配置されている。
【0053】
一部の実施では、血液隔離装置1202は、入口ポート1212と、主出口ポートと、
隔離流路ポートとを含むことができる。入口ポート1212は、患者針又は関連するチュ
ーブに接続されることができる。主出口ポート1214は、真空採血容器又はバキュテナ
ー(登録商標)などの他の採取装置、関連するチューブ、ルアーコネクタ、注射器、ルア
ー作動弁との接続を可能にするために、常時閉じている針又は装置に接続されることがで
きる。隔離流路ポートは、主出口ポートから隔離チャンバ1218に分離する。
【0054】
一部の実施では、隔離チャンバ1218は、隔離装置1202の本体内の流路として形
成される。隔離チャンバ1218は、U字形流路、S字形流路、螺旋流路、又は任意の他
の曲がりくねった流路などの曲がりくねった流路であることができる。隔離装置1202
は、ハウジング又は他の収容体、及びその中に形成された1つ以上の流路を含むことがで
きる。
図12A及び12Bに示すように、隔離装置1202は、本体1206とキャップ
1208とを含む。本体1206には1つ以上の空洞又は流路が形成され、空洞又は流路
にはキャップ1208から延びる1つ以上のアーム1210が更に形成され、1つ以上の
アーム1210は、本体1206の空洞又は流路に当接して一次採取ポート及び主出口ポ
ートを形成している。
【0055】
図13A~13Dは、更に他の代替的な実施に従う血液サンプル最適化システム130
0を示す。システム1300は、バキュテナー(登録商標)又は他の体液採取及びサンプ
リング装置などの採血装置1304に取り付けるための血液隔離装置1302を含む。血
液隔離装置1302は、バキュテナー(登録商標)容器又はバイアルが採血装置1304
の採取針に取り付けられる前に、最初のアリコート又は量の血液を受け入れ、且つその最
初のアリコート又は量の血液又は他の体液を血液隔離装置1302の隔離流路内に隔離す
るように、構成され且つ配置されている。
【0056】
血液隔離装置1302は、入口ポート1314と、主出口ポート1312と、隔離流路
ポート1316とを有するハウジング1301を含む。入口ポート1314は、患者針又
は関連するチューブに接続されることができる。主出口ポート1312は、真空採血容器
又はバキュテナー(登録商標)などの他の採取装置、関連するチューブ、ルアーコネクタ
、注射器、ルアー作動弁との接続を可能にするために、常時閉じている針又は装置に接続
されることができる。隔離流路ポート1316は、主入口ポート1314から隔離チャン
バ1318に分離する。
【0057】
図13A~13Dに示す実施例では、隔離チャンバ1318は、ハウジング1301内
の空洞又はチャンバとして形成され、又はハウジング1301を画定する壁によって形成
される。隔離チャンバ1318は、U字形流路、S字形流路、螺旋流路などの曲がりくね
った流路、又はハウジング1301とキャップ1307との協働及び接続によって画定さ
れる任意の他の曲がりくねった流路であることができ、キャップ1307は、隔離チャン
バ1318内の曲がりくねった流路のための1つ以上の壁又はディレクタを提供する突出
部1305を含むことができる。キャップ1307からの突出部1305は、真っ直ぐで
あるか湾曲していることができ、様々な流路、開口部又は溝が埋め込まれていることがで
き、キャップ1307から任意の角度又は向きで延びることができる。隔離チャンバ13
18の形成を完了するためにキャップ1307がハウジング1301と接続されると、突
出部1305は曲がりくねった流路の少なくとも一部を形成し、隔離チャンバ1318内
に曲がりくねった流路によって形成される隔離流路に最初のアリコート又は量の血液又は
他の体液を隔離する。
【0058】
隔離チャンバ1318は、実質的に上記のように空気透過性血液バリア1310を含む
。隔離チャンバ1318内の空気は、患者の血圧によって隔離チャンバ1318内に供給
される最初のアリコートの血液によって空気透過性血液バリア1310を通して追い出さ
れる。隔離チャンバ1318が満たされ、隔離チャンバ1318内の空気が追い出される
と、バキュテナー(登録商標)のような血液サンプル採取装置によって提供されるような
真空又は他の圧力のような力が次のアリコート又は量の血液又は体液を引き抜くために提
供されるまで、患者の血圧は、血液隔離装置1302、特に、出口ポート1312に更な
る血液を追い込み又は提供するのには不十分である。主出口ポート1312を通して更な
る採血を行うことができ、あらゆる汚染物質が最初のアリコートの血液と共に隔離チャン
バ1318内に隔離されているので、これらのサンプルは汚染されない。
【0059】
図14A~14Eは、患者の血液サンプルに対して実施される血液培養又は検査におけ
る偽陽性を低減するために最初のアリコート又はサンプルの汚染物質を隔離する採血シス
テム1400の更に別の実施を示す。採血システム1400は、血液サンプル採取装置1
403と患者針(図示せず)との間に接続されることができる血液隔離装置1401を含
む。血液サンプル採取装置1403は、バキュテナー(登録商標)などであることができ
る。血液隔離装置1401は、血液サンプルへのアクセス及び血液サンプルの採取のため
に患者の血管系に挿入される患者針と接続されることができる入口ポート1402を含む
。入口ポート1402は、同様に患者針と接続されるチューブ又は他の導管と接続される
こともできる。
【0060】
入口ポート1402は、血液隔離装置1401への開口部を画定し、この開口部は、患
者針と接続されるチューブ又は他の導管又は患者針自体と同じ断面寸法であることができ
る。例えば、開口部は、約0.045インチ(1.143mm)の直径を有する円形であ
ることができるが、0.01インチ(0.254mm)から0.2インチ(5.08mm
)又はそれ以上の直径を有することができる。血液隔離装置1401は、血液隔離装置1
401から及び血液サンプル採取装置1403への開口部を画定する出口ポート1404
を更に含む。出口ポート1404は、同様に血液隔離装置1403と接続されるチューブ
又は他の導管と接続されることもできる。出口ポート1404は、ねじ付きキャップ、ル
アーコネクタ(雄型又は雌型)、チューブなどを含むがそれらに限定されない様々な装置
の取り付け用のねじが切られていない締め代又は接着継手などのコネクタ装置を更に含む
ことができる。
【0061】
血液隔離装置1401は、入口ポート1402と出口ポート1404との間にサンプリ
ング流路1406を更に含み、サンプリング流路1406は、最初のアリコートの血液が
隔離されると血液サンプル経路として機能する。サンプリング流路1406は、任意のサ
イズ、形状又は構成の流路又は導管であることができる。一部の実施では、サンプリング
流路1406は、入口ポート1402の開口部と実質的に同様の断面積を有する。他の実
施では、サンプリング流路1406は、入口ポート1402から出口ポート1404まで
徐々に広がることができる。
【0062】
血液隔離装置1401は隔離チャンバ1408を更に含み、隔離チャンバ1408は、
入口ポート1402と出口ポート1404との間の任意の位置でサンプリング流路140
6に接続され且つサンプリング流路1406から分離又は方向転換されるが、好ましくは
入口ポート1402の近くのサンプリング流路1406の近位端に接続され且つ近位端か
ら分離又は方向転換される。隔離チャンバ1408は、最初は大気圧に維持され、サンプ
リング流路1406からの方向転換点と反対側の隔離チャンバ1408の遠位端又はその
近傍に空気出口1412を含む。空気出口1412は、空気透過性血液バリア1412を
含む。
図14Bに示すように、空気透過性血液バリア1412は、保護カバー1416で
覆われていることができる。保護カバー1416は、ユーザーが彼らの指又は他の外部器
具で空気透過性血液バリア1412に触れるのを妨げるように寸法設定され且つ構成され
ることができ、一方それでも患者自身の血圧によって隔離チャンバ1408内に強制的に
血液が供給されることによって空気が隔離チャンバから追い出されるときに空気が空気透
過性血液バリア1412から出ることを可能にする。また、保護カバー1416は、空気
透過性血液バリアが周囲の流体又は飛沫に偶発的に曝されるのを阻止又は防止するように
構成されることができる。これは、保護カバーに疎水性膜を追加することを含むがそれに
限定されない、様々な機械的方法で行うことができる。
【0063】
図14C及び14Dに示すように、サンプリング流路1406は、赤血球を溶解する可
能性を最小限に抑えるために、より小さい直径からより大きい直径になる円筒形又は円錐
台形であることができる。同様に、サンプリング流路1406は、赤血球を溶解する可能
性がある急カーブ又は鋭角が最小限の量で又はなしで形成される。サンプリング流路14
06は、方向転換経路1409を通して入口ポート1402の近くで隔離チャンバ140
8へと分離する。方向転換経路1409は、任意の断面形状又はサイズを有することがで
きるが、好ましくは、入口ポート1402の少なくとも一部の断面形状と同様である。
【0064】
一部の実施では、サンプリング流路1406及び隔離チャンバ1408は、ハウジング
1414に形成された溝、流路、ロック又は他の経路によって形成される。ハウジング1
414は、プラスチック、金属又は他の剛性又は半剛性材料で作られることができる。ハ
ウジング1414は、上部部材と密封可能に嵌合する下部部材を有することができる。下
部部材及び上部部材の一方又は両方は、サンプリング流路1406及び隔離チャンバ14
08、並びに方向転換経路1409、入口ポート1402、及び出口ポート1404を含
むことができる。一部の他の実施態様では、方向転換経路1409、入口ポート1402
、及び/又は出口ポート1404のうちの1つ以上が、ハウジング1414のいずれかの
端部に接続されるキャップ部材によって少なくとも部分的に形成されることができる。一
部の実施では、上部部材及び下部部材、並びにキャップ部材は、レーザ溶接、ヒートシー
ル、接着、スナップ止め、ねじ止め、ボルト止めなどによって互いに連結されることがで
きる。他の実施では、方向転換経路1409及び/又は隔離チャンバ1408の内面の一
部又は全部が、汚染除去剤、凝固剤などの薬剤又は物質でコーティング又は充填されるこ
とができる。例えば、隔離チャンバ1408が満たされて最初のアリコートの血液が方向
転換経路1409に戻るとき、隔離された血液の最後の量が凝固し、隔離チャンバ140
8とサンプリング流路1406との間に障壁を作り出すように、方向転換経路1409に
凝固剤を設けることができる。
【0065】
図15A~15Gは、血液隔離装置1500を示す。血液隔離装置1500は、真空採
血容器又はバキュテナー(登録商標)などの他の採取装置、関連するチューブ、ルアーコ
ネクタ、注射器、ルアー作動弁などとの接続を可能にするために常時閉じている針又は装
置に接続されることができる。
【0066】
血液隔離装置1500は、血液サンプルへのアクセス及び血液サンプルの採取のために
患者の血管系に挿入される患者針と接続されることができる入口ポート1502を含む。
入口ポート1502は、同様に患者針と接続されるチューブ又は他の導管と接続されるこ
ともできる。入口ポート1502は、血液隔離装置1500への開口部を画定し、この開
口部は、患者針と接続されるチューブ又は他の導管又は患者針自体と同じ断面寸法である
ことができる。例えば、開口部は、約0.045インチ(1.143mm)の直径を有す
る円形であることができるが、0.01インチ(0.254mm)から0.2インチ(5
.08mm)又はそれ以上の直径を有することができる。
【0067】
入口ポート1502はまた、ねじ切り又はルアーフィッティングなどのような密封又は
流体密封のコネクタ又は接続部を含むことができる。一部の実施では、患者針に結合され
ているチューブ又は他の導管は、部品同士の共成形、接着、レーザ溶接、又は熱接合など
によって、入口ポート1502と一体化されることができる。これによって、血液隔離装
置1500は、患者針と共に単一ユニットとして製造及び販売され、採血又はサンプリン
グの際に患者針を血液隔離装置1500に接続する必要性をなくすことができる。
【0068】
血液隔離装置1500は、血液隔離装置1500から及び血液サンプル採取装置への開
口部を画定する出口ポート1504を更に含む。出口ポート1504は、同様に血液隔離
装置と接続されるチューブ又は他の導管と接続されることもでき、ねじ切り又はルアーフ
ィッティングなどの密封又は流体密封コネクタ又は接続部を含むことができる。したがっ
て、上記のように、血液隔離装置1500は、患者針及び/又はチューブ及び血液サンプ
ル採取装置と共に単一ユニットとして製造及び販売され、採血又はサンプリングの際に患
者針及び血液サンプル採取装置を血液隔離装置1500に接続する必要性をなくすことが
できる。
【0069】
血液隔離装置1500は、入口ポート1502と出口ポート1504との間にサンプリ
ング流路1506を更に含み、サンプリング流路1506は、最初のアリコートの血液が
隔離されると血液サンプル経路として機能する。サンプリング流路1506は、任意のサ
イズ、形状、又は構成の流路又は導管であることができる。一部の実施では、サンプリン
グ流路1506は、入口ポート1502の開口部と実質的に同様の断面積を有する。他の
実施では、サンプリング流路1506は、入口ポート1502から出口ポート1504ま
で徐々に広がることができる。
【0070】
血液隔離装置1500は隔離チャンバ1508を更に含み、隔離チャンバ1508は、
入口ポート1502と出口ポート1504との間の任意の位置でサンプリング流路150
6に接続され且つサンプリング流路1506から分離又は方向転換されるが、好ましくは
入口ポート1502の近くのサンプリング流路1506の近位端に接続され且つ近位端か
ら分離又は方向転換される。一部の実施では、分水路はY字路を含む。隔離チャンバ15
08は、好ましくは大気圧に維持され、隔離チャンバ1508の遠位端又はその近傍に通
気口1510を含む。通気口1510は、空気透過性血液バリア1512を含む。
図15
Cは、隔離チャンバ1508が患者からの血液の最初のアリコート又はサンプルで満たさ
れた血液隔離装置1500を示す。
【0071】
空気透過性血液バリア1512は、保護カバー1516で覆されていることができる。
保護カバー1516は、ユーザーが彼らの指又は他の外部器具で空気透過性血液バリア1
512に触れるのを妨げるように寸法設定され且つ構成されることができ、一方それでも
患者自身の血圧によって隔離チャンバ1508内に強制的に血液が供給されることによっ
て空気が隔離チャンバから追い出されるときに空気が空気透過性血液バリア1512から
出ることを可能にする。保護カバー1516は、フィルタが周囲の流体又は飛沫に偶発的
に曝されるのを阻止又は防止するように構成されることができる。これは、保護カバーに
疎水性膜を追加することを含むがそれに限定されない、様々な機械的方法で行うことがで
きる。
【0072】
図15Bは、血液隔離装置1500の出口ポート1504及び通気口1510を含むハ
ウジング1501の上面からの血液隔離装置1500の斜視図であり、サンプル採取装置
が起動される前、サンプリング流路1506が空である間に最初のアリコートの血液が隔
離チャンバ1508を満たすことを示す。
図15Gは、血液隔離装置1500の出口ポー
ト1504及びハウジング1501の底面からの血液隔離装置1500の斜視図であり、
サンプル採取装置が起動される前、サンプリング流路1506が空である間に最初のアリ
コートの血液が隔離チャンバ1508を満たすことを示す。
図15Cは、血液隔離装置1
500の入口ポート1502及び通気口1510を含むハウジング1501の上面からの
血液隔離装置1500の別の斜視図であり、隔離された血液は実質的に隔離チャンバ15
08内にとどまっている間に血液がサンプリング流路1506を通って採取されることを
示す。
【0073】
図15Dは、一部の実施に従う血液隔離装置1500の断面図であり、サンプリング流
路1506及び隔離チャンバ1508を画定するハウジング1501を示す。
図15E及
び15Fは、本明細書に記載される1つ以上の実施に従う血液隔離装置用のハウジングの
様々なフォームファクタを示す。
【0074】
隔離チャンバ1508は、サンプリング流路1506よりも大きい断面積を有すること
ができ、断面積又は長さは、所定の又は特定の血液量が隔離又はロックされるように構成
されることができる。サンプリング流路1506は、患者針のチューブ又は採血装置のチ
ューブのいずれか又は両方のためのチューブに適合するように寸法設定されることができ
る。
【0075】
ハウジング1501は、複数の部品又は単一の一体部品から形成されることができる。
一部の実施では、
図15Dに示すように、ハウジング1501は、互いに嵌合する上部部
材1520と下部部材1522とを含み、それらの一方又は両方は、例えば、射出成形プ
ロセスによって又はエッチング、切削、穿孔などによって予め形成された溝、流路、ロッ
ク、導管又は他の経路を有する。上部部材1520は、レーザ溶接、熱接合、超音波溶接
、接着、ねじ、リベット、ボルトなどを使用することなどの任意の嵌合又は接続機構によ
って、又はラッチ、溝、舌状部、ピン、フランジなどの他の嵌合機構によって、下部部材
1522と接続されることができる。
【0076】
一部の実施では、
図15Dに示すように、上部部材1520は、溝、流路、ロック、導
管又は他の経路を含むことができ、一方、下部部材1522は、上部部材1520の溝、
流路、ロック又は他の経路のうちの少なくとも1つに嵌合するように寸法設定され且つ適
合された突出部1524を含むことができる。突出部1524は、例えば、サンプリング
流路1506及び/又は隔離チャンバ1508のいずれかの形成を完了させるために、部
分的な溝又は部分的な流路などの表面特徴を提供することができる。一部の実施では、突
出部1524は、対応する溝、流路、ロック又は他の経路内によりぴったりと嵌合するた
めに、1つ以上の傾斜した側面又は面を形成されることができる。更に他の実施では、上
部部材1520と下部部材の両方が、溝、流路、ロック又は他の経路、並びに1つ以上の
突出部1524を含むことができる。
【0077】
一部の実施では、サンプリング流路1506及び隔離チャンバ1508は、ハウジング
1501に形成された溝、流路、ロック又は他の経路によって形成される。ハウジング1
501は、ゴム、プラスチック、金属又は他の材料を含む任意の適切な材料で作られるこ
とができる。ハウジング1501は、透明又は半透明の材料から、又は不透明又は非半透
明の材料から形成されることができる。他の実施では、ハウジング1501は、大部分が
不透明又は非透明であることができるが、サンプリング流路1506及び/又は隔離チャ
ンバ1508に直接隣接するハウジング表面は、透明又は半透明であり、最初に隔離チャ
ンバ1508が必要又は所望の程度まで満たされているという視覚的な合図又はサイン、
及び/又は、次に汚染されていない血液サンプルがサンプリング流路1506を通して採
取される間、隔離された血液が隔離されたままであるという視覚的な合図又はサインを施
術者に与える。隔離の他の視覚的な合図又はサインは、以下に限定されるものではないが
、血液の接触、浸透、又は部分的な浸透で空気透過性血液バリア1512が異なる色に変
わること、隔離チャンバに沿った又は隔離チャンバに隣接する任意の位置にある色分けさ
れたタブ又は指標、可聴信号、振動信号、又は他の信号を含むことができる。
【0078】
患者の皮膚から多数の病原体を集める可能性がある患者針(図示せず)による静脈穿刺
の後、患者自身の血圧が隔離チャンバ1508内の大気圧に打ち勝って空気透過性血液バ
リア1512を通して隔離チャンバ1508内の空気を追い出すので、これらの病原体を
有する患者の血液の最初の量が、血液隔離装置1500入口ポート1502に入り、最も
抵抗の少ない経路をたどることによって隔離チャンバ1508に流入する。患者の血圧は
、密封されたサンプリング流路1506内で高まっている空気圧に打ち勝つのに十分では
ない。最終的に、所定の容積を有する隔離チャンバ1508は、空気透過性血液バリア1
512を通して空気を追い出す血液で満たされる。血液が空気透過性血液バリアに衝突す
ると、血液は空気透過性血液バリア1512の材料と相互作用して、通気口1510を完
全に又は部分的に密封する。施術者がいまやバキュテナー(登録商標)カプセル又は他の
血液サンプル採取装置を利用してサンプリングのために患者の血液の次の量を得ることが
できるという信号又は表示を提供することができる。隔離チャンバ1508内の血液は、
このとき隔離チャンバ内で事実上隔離されている。
【0079】
血液隔離経路1508を満たすと、バキュテナー(登録商標)又は他の血液サンプル採
取装置の使用より前に、患者の血圧は、サンプリング流路1506内の空気の圧縮を引き
起こし、場合によっては少量の血液が隔離チャンバ1508への方向転換点を過ぎてサン
プリング流路1506に移動し、サンプリング流路1506を通して採取される汚染され
ていない血液を待ち行列に入れる。
【0080】
図16~19は、血液隔離装置の更に別の実施を示す。
図16A~16Dは、バキュテ
ナー(登録商標)(図示せず)のような真空採血容器のような血液サンプル採取装置と患
者針(図示せず)及び/又は関連するチューブとの間に接続されることができる血液隔離
装置1600を示す。
図17は、血液隔離装置の下部部材を示し、
図18は、血液隔離装
置の上部部材を示し、上部部材及び下部部材は、以下でより詳しく説明するように、相互
に嵌合して、入口ポート、出口ポート、隔離チャンバ及びサンプリング流路を形成するこ
とができる。
図19A及び19Bは、互いに嵌合する上部部材及び下部部材を示す。
図1
6~19は本明細書に記載される血液隔離装置を構成する1つの例示的な方法を示してお
り、他の形態の構成も可能であることを理解されたい。
【0081】
図16A~16Dを参照すると、血液隔離装置1600は、血液サンプルへのアクセス
及び血液サンプルの採取のために患者の血管系に挿入される患者針と接続されることがで
きる入口ポート1602を含む。入口ポート1602は、同様に患者針と接続されるチュ
ーブ又は他の導管と接続されることもできる。入口ポート1602は、血液隔離装置16
00への開口部を画定し、この開口部は、患者針と接続されるチューブ又は他の導管又は
患者針自体と同じ断面寸法であることができる。例えば、開口部は、約0.045インチ
(1.143mm)の直径を有する円形であることができるが、0.01インチ(0.2
54mm)から0.2インチ(5.08mm)又はそれ以上の直径を有することができる
。
【0082】
入口ポート1602はまた、ねじ切り又はルアーフィッティングなどのような密封又は
流体密封コネクタ又は接続部を含むことができる。一部の実施では、患者針に結合されて
いるチューブ又は他の導管は、部品同士の共成形、接着、レーザー溶接、又は熱接合など
によって、入口ポート1602と一体化されることができる。これによって、血液隔離装
置1600は、患者針及び/又はチューブと共に単一ユニットとして製造及び販売され、
採血又はサンプリングの際に患者針を血液隔離装置1600に接続する必要性をなくすこ
とができる。
【0083】
血液隔離装置1600は、血液隔離装置1600から及び血液サンプル採取装置への開
口部を画定する出口ポート1604を更に含む。出口ポート1604は、同様に血液隔離
装置と接続されるチューブ又は他の導管と接続されることもでき、ねじ切り又はルアーフ
ィッティングなどの密封又は流体密封コネクタ又は接続部を含むことができる。したがっ
て、上記のように、血液隔離装置1600は、患者針及び/又はチューブ及び血液サンプ
ル採取装置と共に単一ユニットとして製造及び販売され、採血又はサンプリングの際に患
者針及び血液サンプル採取装置を血液隔離装置1600に接続する必要性をなくすことが
できる。
【0084】
血液隔離装置1600は、入口ポート1602と出口ポート1604との間のサンプリ
ング流路1606と、入口ポート1602と出口ポート1604との間の任意の位置でサ
ンプリング流路1606に接続され且つサンプリング流路1606から分離又は方向転換
される隔離チャンバ1608とを更に含む。サンプリング流路1606は、最初のアリコ
ートの血液が隔離チャンバ1608内に隔離されると、採血経路として機能する。サンプ
リング流路1606は、任意のサイズ、形状又は構成の流路又は導管であることができる
。一部の実施では、サンプリング流路1606は、入口ポート1602の開口部と実質的
に同様の断面積を有する。他の実施では、サンプリング流路1606は、入口ポート16
02から出口ポート1604まで徐々に広がることができる。隔離チャンバ1608は、
図17及び19により詳しく示すように、血液がサンプリング流路1606のより小さい
直径に入るのに対して、まずリザーバに入ろうとするように、隔離流路の経路に向かって
大きいリザーバを形成するべくより大きい断面を有することができる。
【0085】
一部の例示的な実施では、サンプリング流路1606と隔離チャンバ1608との間の
方向転換は、方向転換分岐点1607によって行われる。方向転換分岐点1607は、実
質的にY字形、T字形、又はU字形であることができる。一部の好ましい例示的な実施で
は、
図17A~17Bに示すように、方向転換分岐点1607は、入口ポート1602か
らの流れが優先的に隔離チャンバ1608に向けられるように構成される。隔離チャンバ
1608はまた、最初の血液流を隔離チャンバ1608に向かって且つ隔離チャンバ16
08内に移動させるための湾曲部又は傾斜路を含むか又は形成することができる。
【0086】
隔離チャンバ1608は、好ましくは大気圧に維持され、隔離チャンバ1608の遠位
端又はその近傍に通気口1610を含む。通気口1610は、上記のように空気透過性血
液バリア1612を含むことができる。
【0087】
血液隔離装置1600は、複数の部品又は単一の一体部品から形成されることができる
ハウジング1601を含むことができる。一部の実施では、
図17A~17D及び
図18
A~18Fに示すように、ハウジング1601は、互いに嵌合する上部部材1620と下
部部材1622とを含む。血液隔離装置1600は、上部部材1620が下部部材162
2に機械的に取り付けられたときに、両者の間の接合部分がガスケット又は密封部材によ
って密封されるように、ガスケット又は他の密封部材(図示せず)を含むこともできる。
図17A~17Dは、血液隔離装置1600用のハウジングの下部部材1622を示す。
下部部材1622は、サンプリング流路1606、隔離チャンバ1608、及び方向転換
分岐点1607を形成するために、射出成形プロセスによって又はエッチング、切削、穿
孔などによって予め形成された溝、流路、ロック、導管又は他の経路を含むことができる
。
【0088】
隔離チャンバ1608は、血液がサンプリング流路1606のより小さい直径に入るの
に対して、まず隔離チャンバ内に優先的に移動するように、サンプリング流路1606よ
りも大きい断面を有することができる。
【0089】
図18A~18Fは、レーザ溶接、熱接合、接着、ねじ、リベット、ボルトなどを使用
することなどの任意の嵌合又は接続機構によって、又はラッチ、溝、舌状部、ピン、フラ
ンジなどの他の嵌合機構によって、下部部材1622と接続可能な上部部材1620を示
す。上部部材1620は、サンプリング流路1606、隔離チャンバ1608、及び方向
転換分岐点1607を形成するために、溝、流路、ロック、導管又は他の経路の一部又は
すべてを含むことができる。更に他の実施では、上部部材1620と下部部材1622の
両方が、溝、流路、ロック又は他の経路を含むことができる。
【0090】
一部の実施では、サンプリング流路1606及び隔離チャンバ1608は、ハウジング
1601に形成された溝、流路、ロック又は他の経路によって形成される。ハウジング1
601は、ゴム、プラスチック、金属又は任意の他の適切な材料で作られることができる
。ハウジング1601は、透明又は半透明の材料から、又は不透明又は非半透明の材料か
ら形成されることができる。他の実施では、ハウジング1601は、大部分が不透明又は
非半透明であることができるが、サンプリング流路1606及び/又は隔離チャンバ16
08に直接隣接するハウジング表面は、透明又は半透明であることができ、最初に隔離チ
ャンバ1608が必要又は所望の程度まで満たされているという視覚的な合図又はサイン
、及び/又は、次に汚染されていない血液サンプルがサンプリング流路1606を通して
採取される間、隔離された血液が隔離されたままであるという視覚的な合図又はサインを
施術者に与える。隔離の他の視覚的な合図又はサインは、以下に限定されるものではない
が、血液の接触、浸透、又は部分的な浸透で空気透過性血液バリア1612が異なる色に
変わること、隔離チャンバに沿った又は隔離チャンバに隣接する任意の位置にある色分け
されたタブ又は指標、可聴信号、振動信号、又は他の信号を含むことができる。
【0091】
図18A~18Fに示すように、空気透過性血液バリア1612は、保護部材1616
で覆われているか又は保護部材1616によって包囲されていることができる。保護部材
1616は、ユーザーが彼らの指又は他の外部器具で空気透過性血液バリア1612に触
れるのを妨げるように寸法設定され且つ構成されることができ、一方それでも空気が隔離
チャンバ1608から追い出されるときに空気が空気透過性血液バリア1612から出る
ことを可能にする。一部の実施では、保護部材1616は、上部部材1620の上面から
上に空気透過性血液バリア1612の周りに延びる突出部を含む。保護カバー1616は
、フィルタが周囲の流体又は飛沫に偶発的に曝されるのを阻止又は防止するように構成さ
れることができる。これは、保護カバーに疎水性膜を追加することを含むがそれに限定さ
れない、様々な機械的方法で行うことができる。
【0092】
使用時、血液隔離装置1600は、サンプリング流路1606と隔離チャンバ1608
とを含む。両方の経路が、最初は大気圧で空気を充填されているが、サンプリング流路1
606は、最初はバキュテナー(登録商標)又は他のこのような密封された採血装置によ
って密封されている出口ポート1604に向けられ、隔離チャンバ1608は、空気透過
性血液バリア1612を含む大気への通気口1610で終端している。
【0093】
患者の皮膚から多数の病原体を集める可能性がある患者針(図示せず)による静脈穿刺
の後、これらの病原体を有する患者の血液の最初の量が、血液隔離装置1600の入口ポ
ート1602を通過する。この汚染されている可能性のある血液の最初の量は、最も抵抗
の少ない経路を見出すことによって、隔離チャンバ1608に優先的に流入する。患者自
身の血圧は、通気口付きの隔離チャンバ1608内の大気圧に打ち勝ち、空気透過性血液
バリア1612を通して隔離チャンバ1608内の空気を追い出すが、密封されたサンプ
リング流路1606内で高まっている空気圧に打ち勝つには不十分である。様々な例示的
な実施形態では、隔離チャンバ1608及びサンプリング流路1606は、患者の血圧に
よって生じた力が、血液隔離装置の向きに関わらず、重力の影響に打ち勝つのに十分であ
るように構成されることができる。
【0094】
最終的に、隔離チャンバ1608は、空気透過性血液バリア1612を通して空気を追
い出す血液で満たされる。血液が空気透過性血液バリアと接触すると、血液は空気透過性
血液バリア1612の材料と相互作用して通気口1610を完全に又は部分的に密封する
。施術者がいまやバキュテナー(登録商標)又は他の採血装置を利用することができると
いう信号又は表示を提供することができる。
【0095】
血液隔離経路1608を満たすと、バキュテナー(登録商標)又は他の血液サンプル採
取装置の使用より前に、患者の血圧は、サンプリング流路1606内の空気の圧縮を引き
起こし、場合によっては少量の血液が方向転換点を過ぎてサンプリング流路1606に移
動しサンプリング流路1506を通して採取される汚染されていない血液を待ち行列に入
れる。
【0096】
図19Aは、血液隔離装置1600の側面図であり、
図19Bは、血液隔離装置160
0の断面図であり、下部部材1622と嵌合する上部部材1620を示す。
【0097】
図20は、患者の血流への血管アクセスのための患者針2002と、1つ以上の血液サ
ンプルの採取を容易にする血液サンプル採取装置2004と、患者針2002と血液サン
プル採取装置2004との間の流体接続を提供する導管2006とを含む血液サンプル最
適化システム2000を示す。一部の実施では、血液サンプル採取装置2004は、密封
された採取針を含む保護シールドを含み、採取針に密封された真空容器が置かれ、容器は
採取針によって一度穿孔されると、患者針2002から導管2006を通して真空圧力又
は真空力で血液サンプルを吸い込む。
【0098】
血液サンプル最適化システム2000は、本明細書で説明するように、患者針2002
と血液サンプル採取装置2004との間の導管2006上の任意の点に位置する血液隔離
装置2008を更に含む。
【0099】
図21は、ウィッキング材料チャンバを使用する通気口付きでない血液隔離装置210
0を示す。血液隔離装置2100は、ウィッキング材料で満たされた隔離チャンバ210
2によって少なくとも部分的に囲まれ又は当接されるサンプリング流路2104を有する
ハウジング2101を含む。最初のアリコートの血液が患者針からサンプリング流路21
04に引き込まれ、サンプリング流路2104において隔離チャンバ2102のウィッキ
ング材料の中に直ちに逃がされる。ウィッキング材料及び/又は隔離チャンバ2102は
、後続の又はそれ以降の採血がウィッキング材料を通り過ぎ、サンプリング流路2104
を通って直接バキュテナー(登録商標)などのサンプリング装置に流れるように、所定量
の血液を受け入れ且つ保持するように寸法設定され且つ適合されている。ウィッキング材
料は、固化剤、汚染除去剤、又は他の添加剤などの物質を含むことができる。
【0100】
本明細書に記載されるように、空気透過性血液バリアは、多種多様な異なる構造及び材
料を用いて作られることができる。
図22A及び22Bに示すように、血液隔離装置22
00の空気透過性血液バリア2202は、少なくとも一部のビーズが親水性になるように
処理されたポリマービーズマトリックス2204を含むことができる。空気透過性血液バ
リア2202は、カルボキシメチルセルロース(CMC)又はセルロースガムなどの自己
密封材料2206、又は他の密封材料を更に含む。空気透過性血液バリア2202は、血
液などの流体との接触前又は部分接触中の空気の流れを可能にする空隙2208を更に含
むことができる。
図22Bに示すように、流体と接触すると、自己密封材料2206が膨
張して空隙2208を閉鎖し、空隙2208を通る空気の流れを閉塞し、完全に又は部分
的に密封する。
【0101】
図23A及び23Bは、患者針と接続するための入口ポート2302と、血液サンプル
採取装置と接続するための出口ポート2304と、隔離チャンバ2306と、隔離チャン
バ2306と、隔離するべき汚染されている可能性のある血液の最初のアリコートまで隔
離チャンバが満たされると隔離チャンバ2306を迂回するサンプリング流路2308と
を有する、血液隔離装置2300の更に別の実施を示している。隔離チャンバ2306は
、入口ポート2302から最も遠い隔離チャンバ2306の遠位端に疎水性プラグ231
2を含む。バキュテナー(登録商標)などからのような、出口ポート2304から加えら
れる真空力又は他の吸引力は、血液を入口ポート2302内に、そして隔離チャンバ23
06内に直接吸い込み、そこで最初のアリコートの血液が疎水性プラグ2312に接触し
、最初のアリコートの血液を隔離チャンバ2306に戻してそこで隔離させる。少量の血
液が、最初は弁2308によって閉鎖されているサンプリング流路2308に入ることが
できる。弁2308が解放されると、真空の更なる力又は他の力の下で、後続の量の血液
が入口ポート2302に流れ、隔離チャンバ2306を迂回し、サンプリング流路230
8を通り抜けて出口ポート2304に向かって流れ、採取装置に送られる。
【0102】
サンプリング流路2308は、任意の適切な幾何学的形状を有することができ、プラス
チックチューブ又は任意の他の適切な材料から形成されることができる。弁2308は、
最初のアリコートの血液が隔離チャンバ2306内に隔離される前にサンプリング流路を
挟み、脇へそらし、曲げ、又は他の方法で閉じるためにクリップ又は他の包囲装置である
ことができる。
【0103】
様々な実施形態を上記で詳細に説明してきたが、他の変更も可能である。他の実施形態
は、添付の特許請求の範囲内に含まれ得る。