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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-10
(45)【発行日】2023-05-19
(54)【発明の名称】回転コンパクト光測距システム
(51)【国際特許分類】
   G01S 7/481 20060101AFI20230511BHJP
   G01S 7/4861 20200101ALI20230511BHJP
   G02B 26/10 20060101ALN20230511BHJP
【FI】
G01S7/481 A
G01S7/481 Z
G01S7/4861
G02B26/10 G
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2020531148
(86)(22)【出願日】2018-12-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-18
(86)【国際出願番号】 US2018064328
(87)【国際公開番号】W WO2019113368
(87)【国際公開日】2019-06-13
【審査請求日】2021-12-06
(31)【優先権主張番号】62/596,018
(32)【優先日】2017-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/209,869
(32)【優先日】2018-12-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/209,875
(32)【優先日】2018-12-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/209,879
(32)【優先日】2018-12-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/209,867
(32)【優先日】2018-12-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519064609
【氏名又は名称】アウスター インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100107537
【弁理士】
【氏名又は名称】磯貝 克臣
(72)【発明者】
【氏名】パカラ アンガス
(72)【発明者】
【氏名】フリクトル マーク
(72)【発明者】
【氏名】シュウ マーヴィン
(72)【発明者】
【氏名】ヤング エリック
【審査官】九鬼 一慶
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-203697(JP,A)
【文献】独国実用新案第202014101753(DE,U1)
【文献】特開2008-076131(JP,A)
【文献】特開2015-148605(JP,A)
【文献】特開2015-211552(JP,A)
【文献】特開2017-134294(JP,A)
【文献】国際公開第2017/164989(WO,A1)
【文献】特開2016-205851(JP,A)
【文献】特表2010-501069(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/48 - 7/51
G01S 17/00 -17/95
G02B 26/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光測距システムであって、
シャフトと、
第1の回路基板アセンブリであって、前記第1の回路基板アセンブリの表面上の前記シャフト周りに配置された複数のステータ要素を有するステータアセンブリを含む、第1の回路基板アセンブリと、
前記シャフトに回転可能に結合された第2の回路基板アセンブリであって、当該第2の回路基板アセンブリの表面上の前記シャフト周りに配置された複数のロータ要素を有するロータアセンブリを含み、前記複数のロータ要素は前記複数のステータ要素と位置整合されて離間する、第2の回路基板アセンブリと、
前記第2の回路基板アセンブリと共に回転するように結合された光測距デバイスであって、周囲環境内の物体に光パルスを送信するように構成された光源と、前記周囲環境内の前記物体から反射された前記光パルスの反射部分を検出して前記光パルスの前記反射部分に基づいて測距データを計算するように構成された検出器回路と、を含む、光測距デバイスと、
前記第2の回路基板アセンブリまたは前記第1の回路基板アセンブリのいずれかの上に配設され、前記複数のステータ要素に駆動信号を提供するように構成されており、それにより前記複数のロータ要素に電磁力を与えて前記シャフト周りの前記第2の回路基板アセンブリの回転を駆動する、ステータドライバ回路と、
を備え
前記第2の回路基板アセンブリは、前記光測距デバイスから前記シャフト内の中心穴を通して測距データを送信するように構成された光ダウンリンクトランスミッタを更に含み、
前記第1の回路基板アセンブリは、前記シャフト内の前記中心穴を介して前記光ダウンリンクトランスミッタから測距データを受信するように構成された光ダウンリンクレシーバを更に含む
ことを特徴とする光測距システム。
【請求項2】
前記複数のロータ要素及び前記複数のステータ要素は、前記シャフト周りに対称に配置されている
ことを特徴とする請求項1に記載の光測距システム。
【請求項3】
前記第2の回路基板アセンブリは、前記第2の回路基板アセンブリの回路基板上に配設され、かつ、前記シャフト周りに対称に配置された、複数の光アップリンクレシーバを更に含み、
前記第1の回路基板アセンブリは、前記第1の回路基板アセンブリの回路基板上に配設され、かつ、前記シャフト周りに対称に配置された、複数の光アップリンクトランスミッタを更に含む
ことを特徴とする請求項1に記載の光測距システム。
【請求項4】
前記複数のステータ要素が、複数のソレノイドコイルを含み、
前記複数のソレノイドコイルの各々が、前記シャフトを中心としたリング内に配置されている
ことを特徴とする請求項1に記載の光測距システム。
【請求項5】
前記複数のステータ要素の各々が、前記第1の回路基板アセンブリに対して垂直な長手方向軸を有し、磁性材料のコア周りに巻かれたソレノイドコイルを有し、
前記複数のロータ要素における各ロータ要素が、磁石を有し、当該磁石の磁極が、当該ロータ要素に隣接する磁石の磁極と反対に配置されている
ことを特徴とする請求項4に記載の光測距システム。
【請求項6】
前記複数のステータ要素におけるステータ要素の数が、3の倍数であり、
前記光測距システムは、前記複数のステータ要素に結合され、かつ、前記複数のステータ要素に三相交流信号を提供するように構成された、モータドライバ回路を更に有する
ことを特徴とする請求項5に記載の光測距システム。
【請求項7】
前記複数のステータ要素は、前記シャフトを中心としたリング内に配置された複数の永久磁石を含み、
前記複数のロータ要素は、前記複数の永久磁石に正対する、前記シャフトを中心としたリング内に配置された複数のソレノイドコイルを含む
ことを特徴とする請求項1に記載の光測距システム。
【請求項8】
前記第1の回路基板アセンブリは、前記第2の回路基板アセンブリに電気的に接続された前記光測距デバイスに電力を送信するように構成された無線電力送信サブシステムを有し、
前記無線電力送信サブシステムは、前記第1の回路基板アセンブリ上に配設されかつ前記シャフト周りに配設されたトランスミッタコイルを有し、
前記第2の回路基板アセンブリは、前記無線電力送信サブシステムから電力を受信するように構成された無線電力レシーバサブシステムを有し、
前記無線電力レシーバサブシステムは、前記第2の回路基板アセンブリ上に配設されかつ前記シャフト周りに配設されたレシーバコイルを有する
ことを特徴とする請求項1に記載の光測距システム。
【請求項9】
光測距システムであって、
光学的に透明な窓及びベースを有する固定筐体と、
前記筐体内に配設された中空シャフトと、
前記中空シャフトに結合されたベアリングシステムと、
前記筐体内に配設され、前記中空シャフトに対して垂直な第1の平面に対して平行な、第1の回路基板アセンブリであって、当該第1の回路基板アセンブリの表面上の前記シャフト周りに環状に配置された複数の等間隔をなすステータ要素を有するステータアセンブリを含む、第1の回路基板アセンブリと、
前記筐体内に前記第1の平面に対して平行に配設され、かつ、前記ベアリングシステムによって前記シャフトに回転可能に結合された、第2の回路基板アセンブリであって、当該第2の回路基板アセンブリの表面上の前記シャフト周りに環状に配置された複数の等間隔をなすロータ要素を有するロータアセンブリを含み、前記複数のロータ要素は前記複数のステータ要素と位置整合されて離間する、第2の回路基板アセンブリと、
前記固定筐体内の前記第2の回路基板アセンブリと共に回転するように結合された光測距デバイスであって、前記窓を通して周囲環境内の物体に光パルスを送信するように構成された光源と、前記周囲環境内の前記物体から反射されて前記窓を通して受信された前記光パルスの反射部分を検出して、前記光パルスの前記反射部分に基づいて測距データを計算するように構成された検出器回路と、を含む、光測距デバイスと、
前記第2の回路基板アセンブリまたは前記第1の回路基板アセンブリのいずれかの上に配設され、前記複数のステータ要素に駆動信号を提供するように構成されており、それにより前記複数のロータ要素に電磁力を与えて前記シャフト周りの前記第2の回路基板アセンブリ及び前記光測距デバイスの回転を駆動する、ステータドライバ回路と、
を備えたことを特徴とする光測距システム。
【請求項10】
前記第1の回路基板アセンブリと前記第2の回路基板アセンブリとの間で前記中空シャフトを通してデータを光学的に送信するように構成された第1の光通信チャネルであって、前記第1の回路基板アセンブリ上に配設された回路に結合された第1の光学コンポーネントと、前記第2の回路基板アセンブリ内に配設された回路に結合された第2の光学コンポーネントと、を含む、第1の光通信チャネルと、
前記中空シャフトを取り囲み、前記第1の回路基板アセンブリと前記第2の回路基板アセンブリとの間でデータを光学的に送信するように構成された、第2の環状の光通信チャネルであって、前記第1の回路基板上に配設された回路に結合された第1の環状の光学コンポーネントと、前記第2の回路基板アセンブリ内に配設された回路に結合された第2の環状の光学コンポーネントと、を含む、第2の環状の光通信チャネルと、
を更に備えたことを特徴とする請求項に記載の光測距システム。
【請求項11】
前記第1の光通信チャネルは、前記光測距デバイスから第1の回路基板サブアセンブリに結合されたプロセッサに測距データを送信するように構成されたダウンリンクチャネルであり、
前記第2の光通信チャネルは、前記プロセッサから前記光測距デバイスに制御信号を送信するように構成されたアップリンクチャネルである
ことを特徴とする請求項10に記載の光測距システム。
【請求項12】
前記第1の回路基板アセンブリに結合された熱拡散要素を更に含み、
前記光測距システムの構成要素が、前記ベアリングシステム及び前記熱拡散要素を通して、前記第2の回路基板アセンブリから前記ベースに熱を伝導するように構成されている
ことを特徴とする請求項に記載の光測距システム。
【請求項13】
前記複数の等間隔をなすステータ要素の各々が、前記第1の回路基板アセンブリに対して垂直な長手方向軸を有し、磁性材料のコア周りに巻き付けられたソレノイドコイルを有し、
前記複数の等間隔をなすロータ要素における各ロータ要素が、磁石を有し、当該磁石の磁極が、当該ロータ要素に隣接する磁石の磁極と反対に配置されている
ことを特徴とする請求項乃至12のいずれかに記載の光測距システム。
【請求項14】
前記光測距デバイスは、飛行時間光測距デバイスである
ことを特徴とする請求項9乃至13のいずれかに記載の光測距システム。
【請求項15】
前記第1の回路基板は、当該第1の回路基板に対して機械的に結合されて平行に配置された付加的な回路基板を含む第1の回路基板アセンブリの一部であり、
前記第2の回路基板は、当該第2の回路基板に対して機械的に結合されて平行に配置された付加的な回路基板を含む第2の回路基板アセンブリの一部である
ことを特徴とする請求項9乃至14のいずれかに記載の光測距システム。
【請求項16】
前記飛行時間光測距デバイスは、複数の光エミッタ及び複数の光センサを含み、
前記複数の光エミッタは、前記光測距システムの外部のフィールド内へと、正確にタイミングを合わせたパルスを放出し、
当該光測距デバイスへの前記フィールド内の物体からの前記パルスの反射が、前記複数の光センサによって検出され、
放出と検出との間の経過時間が、前記物体までの距離を計算するために使用され得る
ことを特徴とする請求項14に記載の光測距システム。
【請求項17】
前記シャフトは中空であり、
当該システムは、前記第1の回路基板と前記第2の回路基板との間で前記中空シャフトを通る第1の通信チャネルを更に備えている
ことを特徴とする請求項16に記載の光測距システム。
【請求項18】
前記シャフトから間隔を空けた位置で、前記第1の回路基板と前記第2の回路基板との間で第2の通信チャネルを更に備え、
前記第2の通信チャネルは、前記第1の回路基板または前記第2の回路基板の一方の上に配設されたレシーバと、前記レシーバに対向する関係で配置され且つ前記第1の回路基板または前記第2の回路基板の他方の上に配設されたトランスミッタと、を含んでいる
ことを特徴とする請求項17に記載の光測距システム。
【請求項19】
前記第1の回路基板に取り付けられた無線電力トランスミッタと、当該無線電力トランスミッタに対向する関係で前記第2の回路基板に取り付けられた無線電力レシーバと、を含む無線電力システムと、
前記第1の回路基板または前記第2の回路基板の一方に取り付けられたエンコーダストリップと、
前記エンコーダストリップに対向する関係で前記第1の回路基板または前記第2の回路基板の他方に取り付けられたエンコーダリーダと、
を更に備えたことを特徴とする請求項16乃至18のいずれかに記載の光測距システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2018年12月4日に出願された「Rotating Compact Light Ranging System」と題する米国特許出願第16/209,867号(‘867出願)、2018年12月4日に出願された米国特許出願第16/209,869号「Light Ranging System with Opposing Circuit Boards」(‘869出願)、2018年12月4日に出願された「Rotating Light Ranging System with Optical Communication Uplink and Downlink Channels」と題する米国特許出願第16/209,875号(‘875出願)、および、2018年12月4日に出願された「Light Ranging Device with a Multi-element Bulk Lens System」と題する米国特許出願第16/209,879号(‘879出願)の優先権を主張する。‘867、‘869、‘875、および‘879出願の各々は、すべての目的でそれらの全体が参照により本明細書に組み込まれ、各々は、2017年12月7日に出願された「Compact LIDAR System」と題する米国仮特許出願第62/596,018号の利益を主張し、この出願は、すべての目的でその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
光撮像、検出および測距(LIDAR)システムは、標的にパルスレーザ光を照射し、センサで反射パルスを測定することにより、標的までの距離を測定する。その後、飛行時間測定を使用して、標的のデジタル3D表現を作成することができる。LIDARシステムは、考古学、地理学、地質学、森林学、マッピング、建設、医療用画像処理、軍事用途など、3D深度画像が役立つ様々な用途に使用できる。自律車両は、障害物の検出と回避、および車両のナビゲーションにもLIDARを使用できる。
【0003】
自律車両における障害物の検出および回避に十分なカバレッジおよび分解能を提供する多くの現在利用可能なLIDARセンサは、技術的に複雑であると共に、製造コストが高い。それゆえ、このようなセンサは、費用がかかりすぎて、大衆市場の自動車、トラック、および他の車両に広く展開できない場合がある。特定のタイプのLIDARセンサの全体的な構成要素のコストと製造の複雑さとは、通常、LIDARセンサ自体のアーキテクチャの根本的な複雑さによって助長される。これは、いくつかの最新のLIDARセンサでさらに悪化する可能性があり、これらのLIDARセンサは、種々の内部サブシステムの集まりであり、その各々がそれ自体でかなり複雑になる可能性があり、例えば、光電子システム、電気機械システム、コンピュータ制御システム、高速通信システム、データ処理システムなどである。
【0004】
いくつかの最新のセンシングアプリケーションにとって重要であり得る高い位置精度、長距離範囲、および低消費電力を実現するために、これらのサブシステムの各々のサブシステムに対する厳しい技術要件は、構築するのが複雑で難しく、多くの場合、個々のLIDARユニットを顧客が使用する前に費用がかかる較正および調整の手順が必要になる、アーキテクチャおよび設計をもたらした。例えば、いくつかのLIDARシステムは、1つ以上の大型のマザーボードと、バランスが取れた構造部材上に取り付けられた、かさばる重い光学系と、を使用し、すべてが1,000RPMのオーダーの速度で回転するタレット内にある内部アーキテクチャを有する。これらのシステムのうちのいくつかでは、別個のレーザエミッタ/検出器のペアが、個々の別個の回路基板に取り付けられている。それゆえ、各エミッタ基板およびレシーバ基板は、マザーボードに別個に取り付け、各エミッタ/検出器のペアを、特定の方向に沿って正確に位置整合させて、各検出器の視野が検出器のそれぞれのエミッタの視野と確実に重なるようにすることが必要となり得る。上記のアーキテクチャの結果として、各エミッタ基板および各レシーバ基板を別個に位置整合させるために、組み立て中に高精度の位置整合技術が通常必要となる。
【0005】
上述のアーキテクチャは、デバイスの分解能をスケーリングしたい場合、ますます問題になる。分解能を増大させるには、やはり各々が独自の回路基板上に取り付けられたレーザエミッタ/検出器のペアをさらに追加する必要がある。その結果、このタイプのアーキテクチャで分解能を線形にスケーリングすると、製造コストが指数関数的に増大し、また、これに伴う非常に多くの個々の部品および基板に起因して、信頼性が指数関数的に低下する可能性がある。組み立ておよび位置整合が完了すると、正確に位置整合したマルチ基板の配置が、システムの設計寿命にわたって、出荷時または他の何らかの時点で位置整合から乱されるか、または外れないように、十分に注意しなければならない。
【0006】
光学系の位置整合および組み立ての複雑さに加えて、現在利用可能なほとんどのLIDARユニットは、比較的低いシステム統合の総合度を有する。例えば、現在利用可能な多くのLIDARユニットの制御回路と駆動回路とは、カスタム基板に取り付けられた別個のモジュールである。当該これらのカスタム基板は、LIDARユニット内のマザーボードに取り付ける必要があり得るか、または1つ以上の取り付けブラケットによりLIDARユニットの構造要素上のいずれか他の場所に取り付けられ得る。いくつかの場合では、各基板は、最終的にマザーボードに接続するために、筐体内の1つ以上の内部容積または通路を経由する必要がある、1つ以上の電気的相互接続を有し得る。
【0007】
回転LIDARシステムの場合、電気モータのロータおよび/またはステータにさらに追加の専用マウントおよび相互接続が必要になり得る。電源接続に加えて、データのアップリンクおよびダウンリンクのラインが必要であり、通常、1つ以上の誘導性、容量性、および/または金属スリップリングロータリカプラによって達せられ、これは、低レートのデータ伝送を実施および/またはもたらすことが困難であり得る。いくつかのシステムは、回転カプラ内に金属ブラシを使用しているため、回転機構内でブラシを機械的に接触させる必要があることに起因して、信頼性を有しない可能性がある。他のスリップリングタイプのコネクタは、水銀などの危険物質を使用する可能性があり、これらのタイプのカプラは、有害物質制限指令2002/95/EC(ROHS)に準拠していないため、いくつかの管轄区域では回避または禁止されている。
【0008】
オプトエレクトロニクスシステムに関して、この業界は、近赤外波長での量子効率が低く、かつダイナミックレンジが低いことに起因して、CMOSベースの単一光子アバランシェダイオード(SPAD)などのコスト効率がよい単一光子光検出器を組み込む際に課題に遭遇した。量子効率を向上させるために、いくつかのSPADベースの検出器はInGaAs技術を使用しているが、このようなシステムは、CMOSデバイスよりもコスト効率がよい方法で統合することがより大きな課題である。したがって、InGaAs技術を使用して製造されたSPAD検出器と関連付けられた外部/サポート回路(例えば、アバランシェ電流のリーディングエッジを感知し、アバランシェビルドアップと同期する標準出力パルスを生成し、バイアスを降伏電圧まで降下させることによりアバランシェをクエンチし、次いでフォトダイオードを動作レベルに復元する、クエンチ回路)は、通常、SPADアレイとは別個に、例えば、SPADアレイの外部にあるパッケージ内に製造される。加えて、InGaAs基板は比較的高価であり、関連付けられた製造プロセスは、通常、シリコン基板の製造プロセスよりも歩留まりが低く、コストの増加をさらに悪化させる。さらに厄介なことに、InGaAs基板は、通常、暗電流を好適なレベルに低減するために、積極的に冷却する必要があり、これにより、ランタイム中に消費されるエネルギー量が増加し、コストおよび複雑さがさらに増大する。
【0009】
多くの市販のLIDARソリューションは、SPADベースの検出器を使用しないで、アバランシェフォトダイオード(APD)を使用する。APDは、バイナリ検出デバイスではなく、検出器に入射する光強度に比例して結果として高いダイナミックレンジを有するアナログ信号(例えば、電流)を出力する。しかしながら、APDは、例えば、トランスインピーダンスアンプおよび/または差動アンプなどのアナログ回路、高速A/D変換器、1つ以上のデジタルシグナルプロセッサ(DSP)など、いくつかの追加のアナログ回路によって支持されなければならない。従来のAPDはまた、標準のCMOSプロセスでは不可能な高い逆バイアス電圧を必要とする。成熟したCMOSがないと、このすべてのアナログ回路をコンパクトなフォームファクタで単一のチップに統合することは困難であり、通常、これらの既存のユニットの高コストに寄与するプリント回路基板上に位置する複数の外部回路モジュールが使用される。
【0010】
したがって、3D感知システムの成長市場をサポートするために、よりコスト効率がよいが、なお高性能であるLIDARシステムの必要性が依然として存在する。さらに、大規模に効率的に使用できる合理化された組み立てプロセスを可能にする、改善されたよりエレガントなシステムアーキテクチャの必要性が依然として存在する。
【発明の概要】
【0011】
本開示の実施形態は、使用の中でもとりわけ、自律車両における障害物検出および回避に使用できるLIDARセンサに係る。本開示の様々な実施形態は、現在利用可能ないくつかのLIDARシステムに関連付けられた上述の問題のうちの1つ以上に対処することができる。いくつかの特定の実施形態は、システムを十分に安価で十分な信頼性をもって製造すること、および大量市場の自動車、トラック、および他の車両での使用に採用される十分に小さいフットプリントを有することを可能にする設計特徴を含むLIDARセンサに係る。
【0012】
いくつかの実施形態では、本開示による転回光測距システムは、シャフトによって画定された軸の周りを回転する上部回路基板アセンブリに接続された(例えば、光パルスを放出し、反射されたパルスを検出する)光測距デバイスを含むことができる。上部回路基板アセンブリは、下部回路基板アセンブリと協調して、例えば、それぞれの回路要素を介して、電力、データ、および/または符号化された位置を提供することができる。回転する上部基板アセンブリおよび下部基板アセンブリに(例えば、外部の物理的接続とは対照的に)協調する無線回路要素を含めることで、よりコンパクトな設計を提供することができる。さらに、特定の回路要素(例えば、光学または電力)は、効率的な通信を可能にするように、および/または磁束を増加させるように位置決めされ得る。例えば、無線電力レシーバは、上部回路基板アセンブリの外縁のリングに設けられ、誘導性リングによって捕捉される磁束の量を最大化することができるか、または容量性システムで利用可能な領域を最大化することができる。
【0013】
いくつかの実施形態によれば、光通信サブシステムは、回転光測距デバイスと、シャフトを中心に回転しないベースサブシステムと、の間に光通信チャネルを提供することができる。光通信チャネルは、高速通信を提供することができるが、コンパクトで安価な設計を提供することもできる。例えば、タレット光通信コンポーネントを回転アセンブリ上に位置決めして、データ(例えば、光測距デバイスからの測距データ)をベース光通信コンポーネントと通信することができる。このような位置決めにより、よりかさばる通信メカニズムの必要性を軽減することができる。例えば、ダウンリンクトランスミッタは、回転に使用される中空シャフトを通して光測距データを送信するように位置決めされ得る。別の例として、ベースサブシステムの1つ以上のアップリンクトランスミッタは、回転アセンブリ上で回転する1つ以上のアップリンクレシーバにアップリンク信号を送信することができ、ここでこれらのアップリンク要素は位置整合するリング内に位置決めされる。
【0014】
いくつかの実施形態によれば、上部回路基板アセンブリの回転は、上部および下部回路基板上に統合されたステータ要素およびロータ要素によって駆動され、それにより、光測距システムがコンパクトになり得る。例えば、上部回路基板アセンブリは、回転シャフトを中心に対称に配置された複数のロータ要素を含むことができ、下部回路基板アセンブリは、シャフトを中心に対称に配置された複数のステータ要素を含むことができる。ドライバ回路は、ステータ要素を駆動することができる。このようなロータ要素およびステータ要素を回路基板自体の上に組み込むと、よりかさばるモータ(例えば、ステッピングモータ、ブラシ付きモータ、または統合されていないブラシレスモータ)を使用する製品と比較して様々な利点が提供される。
【0015】
いくつかの実施形態によれば、光測距システムは、長手方向軸を有するシャフトと、第1の回路基板アセンブリであって、第1の回路基板アセンブリの表面上のシャフトを中心に配置された複数のステータ要素を備えるステータアセンブリを含む、第1の回路基板アセンブリと、シャフトに回転可能に結合されており、かつ第1の回路基板アセンブリと離間して対向する関係にある、第2の回路基板アセンブリであって、第2の回路基板アセンブリは、複数のロータ要素であって、複数のロータ要素が、複数のステータ要素と位置整合して離間するように、第2の回路基板アセンブリの表面上のシャフトを中心に配置された複数のロータ要素を備えるロータアセンブリを含む、第2の回路基板アセンブリと、第2の回路基板アセンブリまたは第1の回路基板アセンブリのいずれかの上に配置されており、複数のステータ要素に駆動信号を提供するように構成されており、それにより複数のロータ要素に電磁力を与えてシャフトの長手軸の周りの第2の回路基板アセンブリの回転を駆動する、ステータドライバ回路と、光測距デバイスであって、光測距デバイスが第2の回路基板アセンブリと共に回転するように、第2の回路基板アセンブリに機械的に結合された、光測距デバイスと、を含む。
【0016】
いくつかの実施形態では、光測距システムは、シャフトと、第1の回路基板アセンブリであって、第1の回路基板アセンブリの表面上のシャフトを中心に配置された複数のステータ要素を備えるステータアセンブリを含む、第1の回路基板アセンブリと、シャフトに回転可能に結合された第2の回路基板アセンブリであって、第2の回路基板アセンブリは、複数のロータ要素であって、複数のロータ要素が、複数のステータ要素と位置整合して離間するように、第2の回路基板アセンブリの表面上のシャフトを中心に配置された複数のロータ要素を備えるロータアセンブリを含む、第2の回路基板アセンブリと、第2の回路基板アセンブリと共に回転するように結合された光測距デバイスであって、光測距デバイスが、周囲環境内の物体に光パルスを送信するように構成された光源と、周囲環境内の物体から反射された光パルスの反射部分を検出して光パルスの反射部分に基づいて測距データを計算するように構成された検出回路と、を含む、光測距デバイスと、第2の回路基板アセンブリまたは第1の回路基板アセンブリのいずれかの上に配設されており、複数のステータ要素に駆動信号を提供するように構成されており、それにより複数のロータ要素に電磁力を与えてシャフトの周りの第2の回路基板アセンブリの回転を駆動するステータドライバ回路と、を含む。
【0017】
いくつかの実施形態では、光測距システムは、光学的に透明な窓およびベースを有する固定筐体と、筐体内に配設された中空シャフトと、中空シャフトに連結されたベアリングシステムと、筐体内に配設されており、かつ中空シャフトに対して垂直な第1の平面に対して平行な、第1の回路基板アセンブリであって、第1の回路基板アセンブリが、第1の回路基板アセンブリの表面上のシャフトを中心に環状に配置された複数の等間隔をなすステータ要素を備えるステータアセンブリを含む、第1の回路基板アセンブリと、筐体内に第1の平面に対して平行に配設されており、かつベアリングシステムによってシャフトに回転可能に結合された、第2の回路基板アセンブリであって、第2の回路基板アセンブリは、第2の回路基板アセンブリの表面上のシャフトを中心に環状に配置された複数の等間隔をなすロータ要素を備えるロータアセンブリを含むことにより、複数のロータ要素が複数のステータ要素と位置整合して離間する、第2の回路基板アセンブリと、固定筐体内の第2の回路基板アセンブリと共に回転するように結合された光測距デバイスであって、光測距デバイスが、窓を通して周囲環境内の物体に光パルスを送信するように構成された光源と、周囲環境内の物体から反射された、窓を通して受信された光パルスの反射部分を検出するように、かつ光パルスの反射部分に基づいて測距データを計算するように構成された検出器回路と、を含む、光測距デバイスと、第2の回路基板アセンブリまたは第1の回路基板アセンブリのいずれかの上に配設されており、かつ複数のステータ要素に駆動信号を提供するように構成されており、それにより複数のロータ要素に電磁力を与えて、シャフトを中心とした第2の回路基板および光測距デバイスの回転を駆動するステータドライバ回路と、を含む。
【0018】
いくつかの実施形態によれば、光測距システムは、ハウジングと、回転軸を画定するシャフトと、第1の回路基板アセンブリであって、第1の回路基板アセンブリが、回転軸に対して垂直な第1の平面に沿って位置整合するように、定置関係をなしてハウジング内に配設されており、かつハウジングに結合されており、第1の回路基板アセンブリが、第1の回路基板上に配設された複数の第1の回路要素を含む、第1の回路基板アセンブリと、第2の回路基板アセンブリであって、第2の回路基板アセンブリが、回転軸を中心に回転するように、第1の平面に対して平行な第2の平面においてハウジング内で第1の回路基板アセンブリから離間し、かつシャフトに回転可能に結合されており、第2の回路基板アセンブリが、第2の回路基板上に配設されており、かつ第1の複数の回路要素のうちの少なくとも1つと位置整合して無線協調して機能するように構成された、複数の第2の回路要素を含む、第2の回路基板アセンブリと、第2の回路基板アセンブリに電気的に接続されて共に回転するように結合された光測距デバイスであって、光測距デバイスが、周囲環境内の物体に光パルスを送信し、周囲環境内の物体から反射された光パルスの反射部分を検出し、光パルスの反射部分に基づいて測距データを計算するように構成されている、光測距デバイスと、を含む。
【0019】
いくつかの実施形態では、光測距システムは、光学的に透明な窓を有する筐体と、筐体を通る回転軸を画定するシャフトと、筐体内に配設されており、かつ筐体に定置結合されており、かつ回転軸に対して垂直に位置整合した、第1の回路基板アセンブリと、筐体内に配設されており、かつ第1の回路アセンブリと離間して対向する関係にある、第2の回路基板アセンブリであって、第2の回路基板アセンブリが、シャフトに回転可能に結合されている、第2の回路基板アセンブリと、第2の回路基板アセンブリに定置関係をなして結合された光測距デバイスであって、光測距デバイスが、シャフトを中心に第2の回路基板アセンブリと共に回転するようになっている、光測距デバイスと、第1の回路基板または第2の回路基板の一方に取り付けられた環状のエンコーダストリップと、環状のエンコーダストリップと面して対向する箇所で第1の回路基板または第2の回路基板の他方に取り付けられたエンコーダリーダと、を備える、環状のエンコーダと、第1の回路基板に取り付けられた第1の環状の無線通信コンポーネントと、第1の環状の無線通信コンポーネントと面して対向する箇所で第2の回路基板に取り付けられた第2の環状の無線通信コンポーネントと、を備える、無線通信システムと、第1の回路基板に取り付けられた環状の無線電力トランスミッタと、環状の無線電力トランスミッタと面して対向する箇所で第2の回路基板に取り付けられた環状の無線電力レシーバと、を備える、環状の無線電力伝送システムと、を含む。
【0020】
いくつかの実施形態では、光測距システムは、光学的に透明な窓を有する筐体と、筐体を通る回転軸を画定するシャフトと、筐体内に配置されており、かつ筐体に定置結合されており、かつ回転軸に対して垂直に位置整合した、第1の回路基板アセンブリと、筐体内に配設されており、かつ第1の回路アセンブリと離間して対向する関係にある、第2の回路基板アセンブリであって、第2の回路基板アセンブリが、シャフトに回転可能に結合されている、第2の回路基板アセンブリと、光測距デバイスがシャフトを中心に第2の回路基板アセンブリと共に回転するように第2の回路基板アセンブリに取り付けられた光測距デバイスであって、光測距デバイスが、周囲環境内の物体に光パルスを送信し、周囲環境内の物体から反射された光パルスの反射部分を検出し、光パルスの反射部分に基づいて測距データを計算するように構成されている、光測距デバイスと、第1の回路基板または第2の回路基板の一方に取り付けられた環状のエンコーダストリップと、環状のエンコーダストリップと面して対向する箇所で第1の回路基板または第2の回路基板の他方に取り付けられたエンコーダリーダと、を備える、環状のエンコーダと、第1の回路基板に取り付けられた第1の環状の無線通信コンポーネントと、第1の環状の無線通信コンポーネントと面して対向する箇所で第2の回路基板に取り付けられた第2の環状の無線通信コンポーネントと、を備える、無線通信システムと、第1の回路基板アセンブリの表面上のシャフトを中心に配置された複数のステータ要素を備えるステータアセンブリと、第2の回路基板アセンブリの表面上のシャフトを中心に配置された複数のロータ要素を備え、複数のロータ要素が複数のステータ要素と面して対向する箇所に配設されるようになっている、ロータアセンブリと、を含む、電気モータと、第2の回路基板アセンブリまたは第1の回路基板アセンブリのいずれかの上に配設されており、複数のステータ要素に駆動信号を提供するように構成されており、それにより複数のロータ要素に電磁力を与えてシャフトを中心とした第2の回路基板アセンブリの回転を駆動する、ステータドライバ回路と、第1の回路基板に取り付けられた環状の無線電力トランスミッタと、環状の無線電力トランスミッタと面して対向する箇所で第2の回路基板に取り付けられた環状の無線電力レシーバと、を備える、環状の無線電力伝送システムと、を含む。
【0021】
いくつかの実施形態によれば、光測距システムは、長手方向軸を有するシャフトと、シャフトの長手方向軸を中心に回転するように構成された光測距デバイスであって、光測距デバイスが、周囲環境内の物体に光パルスを送信するように構成された光源と、周囲環境内の物体から反射された光パルスの反射部分を検出し、かつ光パルスの反射部分に基づいて測距データを計算するように構成された検出回路と、を含む、光測距デバイスと、シャフトを中心に回転しないベースサブシステムと、ベースサブシステムと光測距デバイスとの間に光通信チャネルを提供するように構成された光通信サブシステムであって、光通信サブシステムが、検出器回路に接続された1つ以上のタレット光通信コンポーネントと、ベースサブシステムに接続された1つ以上のベース光通信コンポーネントと、を含む、光通信サブシステムと、を含む。
【0022】
いくつかの実施形態では、光測距システムは、光学的に透明な窓を有するハウジングと、ハウジング内に配設された長手方向軸を有する中空シャフトと、ハウジング内に配設されており、かつシャフトの長手方向軸を中心に回転するように構成された、光測距デバイスであって、光測距デバイスが、光学的に透明な窓を通して周囲環境内の物体に光パルスを送信するように構成された光源と、周囲環境内の物体から反射された、光学的に透明な窓を通した光パルスの反射部分を検出するように、かつ光パルスの反射部分に基づいて測距データを計算するように構成された検出器回路と、を含む、光測距デバイスと、シャフトを中心に回転しない、ハウジング内に配設されたベースサブシステムと、ハウジング内に配設されており、かつベースサブシステムと光測距デバイスとの間に光通信チャネルを提供するように構成された、光通信サブシステムであって、光通信サブシステムが、中空シャフト内に配設された第1の光チャネルと、中空シャフトの外側に環状に配置された第2の光チャネルと、を含む、光通信サブシステムと、を含む。
【0023】
いくつかの実施形態では、光測距システムは、光学的に透明な窓を有するハウジングと、ハウジング内に配設された長手方向軸を有する中空シャフトと、ハウジング内に配設されており、シャフトの長手方向軸を中心に回転するように構成された光測距デバイスであって、光測距デバイスが、光学的に透明な窓を通して周囲環境内の物体に光パルスを送信するように構成された光源と、周囲環境内の物体から反射された、光学的に透明な窓を通した光パルスの反射部分を検出するように、かつ光パルスの反射部分に基づいて測距データを計算するように構成された検出器回路と、を含む、光測距デバイスと、シャフトを中心に回転しない、ハウジング内に配設されたベースサブシステムと、光測距デバイスとベースサブシステムとの間で中空シャフトを通してデータを光学的に送信するように構成された第1の光通信チャネルであって、第1の光通信チャネルが、光測距デバイスと共に回転するように結合された回路に結合された第1の光学コンポーネントと、ベースサブシステム上に配設された回路に結合された第2の光学コンポーネントと、を含む、第1の光通信チャネルと、中空シャフトを取り囲み、かつ光測距デバイスとベースサブシステムとの間でデータを光学的に送信するように構成された、第2の環状の光通信チャネルであって、環状の光通信チャネルが、光測距デバイスと共に回転するように結合された回路に結合された第1の環状の光学コンポーネントと、ベースサブシステム上に配設された回路に結合された第2の環状の光学コンポーネントと、を含む、第2の環状の光通信チャネルと、を含む。
【0024】
いくつかの実施形態によれば、光測距デバイスは、発光モジュールおよび光感知モジュールを含むことができる。発光モジュールは、周囲環境内の物体に光パルスを送信するように構成された光源を含むことができる。光感知モジュールは、レンズハウジングと、レンズハウジングに結合されており、周囲環境から光を受信して受信した光を焦点面に集束するように構成された、バルクレンズ系であって、バルクレンズ系が、レンズハウジングに取り付けられた第1のレンズ、第2のレンズ、および第3のレンズを備え、第1のレンズ、第2のレンズ、または第1のレンズと第2のレンズとが、プラスチックであり、第3のレンズがガラスである、バルクレンズ系と、バルクレンズ系から光を受信して周囲環境内の物体から反射された光パルスの反射部分を検出するように構成された、光センサのアレイと、レンズハウジングを光センサのアレイと機械的に結合するマウントであって、レンズハウジング、バルクレンズ系、およびマウントが、特定の温度範囲にわたってバルクレンズ系からの光を光センサのアレイ上に受動的に集束するように構成されている、マウントと、を含むことができる。いくつかの挙例では、-5℃~70℃などの温度範囲にわたって光が光センサのアレイ上に受動的に集束するように、レンズハウジング、バルクレンズ系、およびマウントが、温度の関数として、レンズ系の焦点距離を、レンズハウジングの膨張係数およびマウントの膨張係数と一致させるように構成されている。
【0025】
いくつかの実施形態では、光測距システムは、光学的に透明な窓を有する筐体と、筐体内に配設された光測距デバイスと、測距データを計算するように構成された回路と、を含む。光測距デバイスは、バルクトランスミッタレンズ系および複数のトランスミッタチャネルを備える光トランスミッタであって、各チャネルが、バルクトランスミッタの光学素子を通して、および光学的に透明な窓を通して、光測距システム内へと、狭帯域光のパルスを生成および送信するように構成された光エミッタを含む、光トランスミッタと、バルクレシーバレンズ系、レンズハウジング、および複数のマイクロ光学素子レシーバチャネルを備える光レシーバであって、各マイクロ光学素子チャネルが、バルクレシーバ光学素子の焦点面と一致した開口と、開口の背後のコリメートレンズと、コリメートレンズの背後の光学フィルタと、コリメートレンズ内へと開口を通過し、そしてフィルタを通過した入射光子に応答する光センサと、を含む、光レシーバと、を含むことができる。バルクレシーバレンズ系が、レンズハウジングに取り付けられた第1のレンズ、第2のレンズ、および第3のレンズであって、第1のレンズ、第2のレンズ、または第1のレンズと第2のレンズとがプラスチックであり、第3のレンズがガラスであり、レンズハウジングの熱膨張係数(CTE)が、特定の温度範囲にわたって、バルクレシーバレンズ系と一致することにより、焦点面が、この温度範囲にわたって、複数のマイクロ光学素子レシーバチャネル内の各光センサに対して安定している、第1のレンズ、第2のレンズ、および第3のレンズを含むことができる。いくつかの挙例では、温度範囲は20℃~70℃であり、いくつかの挙例では、温度範囲は-5℃~70℃である。
【0026】
いくつかの実施形態では、画像感知デバイスが提供される。画像感知デバイスは、レンズハウジングと、レンズハウジングに機械的に結合されており、周囲環境から光を受信して受信した光を焦点面に集束するように構成された、バルクレンズ系と、を含むことができる。バルクレンズ系は、レンズハウジングに取り付けられた第1のレンズ、第2のレンズ、および第3のレンズを備え、第1のレンズ、第2のレンズ、または第1のレンズと第2のレンズとが、プラスチックであり、第3のレンズがガラスである。画像感知デバイスは、バルクレンズ系から光を受信するように構成された光センサのアレイと、レンズハウジングを光センサのアレイと機械的に結合するマウントと、をさらに含むことができる。レンズハウジングの熱膨張係数(CTE)が、特定の温度範囲にわたってバルクレンズ系と一致することが可能であり、これにより焦点面がこの温度範囲にわたって光センサのアレイに対して安定である。いくつかの挙例では、温度範囲は20℃~70℃であり、いくつかの挙例では、温度範囲は-5℃~70℃である。そして、いくつかの実施形態では、マウントのCTEは、レンズハウジングのCTEと一致している。
【0027】
本発明のこれらおよび他の実施形態を以下に詳細に説明する。また、本開示の様々な実施形態の他の態様および利点は、例として、説明される実施形態の原理を例示する添付の図面と併せて以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1A】いくつかの実施形態による、自動車用途で使用できる回転光測距システムおよび非回転ソリッドステート光測距システムをそれぞれ示す。
図1B】いくつかの実施形態による、自動車用途で使用できる回転光測距システムおよび非回転ソリッドステート光測距システムをそれぞれ示す。
【0029】
図2A】いくつかの実施形態による、それぞれ、回転LIDARシステムおよびソリッドステートLIDARシステムの高レベルのブロック図を示す。
図2B】いくつかの実施形態による、それぞれ、回転LIDARシステムおよびソリッドステートLIDARシステムの高レベルのブロック図を示す。
【0030】
図3図2Aを参照して上述したものと同様のいくつかの実施形態による、回転LIDARシステム300のより詳細なブロック図を例示する。
【0031】
図4図2を参照して上記に導入したようにエミッタセンサチャネルの配置を形成するエミッタアレイおよびセンサアレイ上に焦点を有する、いくつかの実施形態による光測距システムの光送信および検出プロセスの例示的な例を示す。
【0032】
図5A】1つ以上の実施形態に従う、回転LIDARシステム500を示す。
図5B】1つ以上の実施形態に従う、回転LIDARシステム500を示す。
【0033】
図6A】1つ以上の実施形態に従う、LIDARシステムの断面図を示す。
図6B】1つ以上の実施形態に従う、LIDARシステムの断面図を示す。
図6C】1つ以上の実施形態に従う、LIDARシステムの断面図を示す。
【0034】
図6D】1つ以上の実施形態に従う、ステータ基板の上面図を示す。
【0035】
図6E】1つ以上の実施形態に従う、ロータ基板の底面図を示す。
【0036】
図6F】いくつかの実施形態による、環状フェライトチャネル内に位置付けられたマルチコイル無線電力レシーバの一部の簡略化された断面図である。
【0037】
図7】特定の実施形態による、コンパクトLIDARシステムの組み立てプロセスを例示するための下部回路基板アセンブリの分解図を示す。
【0038】
図8A】いくつかの実施形態による、LIDARシステムの分解図を示す。
図8B】いくつかの実施形態による、LIDARシステムの分解図を示す。
【0039】
図9A】特定の実施形態による、光測距デバイス900の斜視図、正面図、および拡大正面図をそれぞれ示す。
図9B】特定の実施形態による、光測距デバイス900の斜視図、正面図、および拡大正面図をそれぞれ示す。
図9C】特定の実施形態による、光測距デバイス900の斜視図、正面図、および拡大正面図をそれぞれ示す。
【0040】
図10】特定の実施形態による、Rxモジュール1001およびTxモジュール1003の両方の光学系を示す、光測距デバイス1000の光学ブロック図を示す。
【0041】
図11A】特定の実施形態による、マイクロ光学素子パッケージの上面図を示す。
【0042】
図11B】いくつかの実施形態による、単一のマイクロ光学素子レシーバチャネルの断面図を示す。
【0043】
図12A】いくつかの実施形態による、SPADベースの検出器の上面図を示す。
図12B】いくつかの実施形態による、SPADベースの検出器の上面図を示す。
【0044】
図13A】いくつかの実施形態による、VCSELチップトランスミッタの簡略化された上面図および側面図を示す。
図13B】いくつかの実施形態による、VCSELチップトランスミッタの簡略化された上面図および側面図を示す。
【0045】
図14】LIDARバルク光学系の実施形態の簡略図を表す。
【0046】
図15A】バルク光学素子レンズアセンブリの実施形態を表す。
図15B】バルク光学素子レンズアセンブリの実施形態を表す。
図15C】バルク光学素子レンズアセンブリの実施形態を表す。
【0047】
図16A】レンズアセンブリの実施形態の様々な図を表す。
図16B】レンズアセンブリの実施形態の様々な図を表す。
図16C】レンズアセンブリの実施形態の様々な図を表す。
図16D】レンズアセンブリの実施形態の様々な図を表す。
図16E】レンズアセンブリの実施形態の様々な図を表す。
【0048】
図17A】レンズアセンブリのレンズの実施形態の断面図を表す。
図17B】レンズアセンブリのレンズの実施形態の断面図を表す。
図17C】レンズアセンブリのレンズの実施形態の断面図を表す。
図17D】レンズアセンブリのレンズの実施形態の断面図を表す。
【0049】
図18】3つのレンズを有するレンズアセンブリの実施形態を表す。
【0050】
[用語]
他に定義されない限り、本明細書で使用される技術用語および科学用語は、当業者によって一般に理解されているのと同じ意味を有する。しかしながら、以下の定義は、頻繁に使用される特定の用語の理解を容易にするために提供されており、本開示の範囲を限定することを意味するものではない。本明細書で使用される略語は、関連技術内でのそれらの従来の意味を有する。
【0051】
測距データという用語は、レーザ測距デバイス、例えば回転LIDARシステムのタレットコンポーネントから送信できる任意のデータを指し得る。測距データの例としては、距離情報、例えば特定の角度(方位角および/または天頂)での所与の目標点までの距離、距離レートまたは速度情報、例えば時間に関する測距データの導関数、さらにはリターンまたは信号強度の信号対雑音比(SNR)、ターゲット反射率、各ピクセルの視野から到来する周囲NIRレベル、温度、電圧レベルなどを含む診断情報が挙げられる。いくつかの実施形態では、測距データは、タレットに位置するRGBカメラ、例えば、ラインスキャンカメラまたはサーマルイメージャーなどの高速読み出しカメラからのRGB情報を含むことができる。
【0052】
タレットという用語は、回転LIDARシステムの回転部または回転部分を指す可能性がある。タレットコンポーネントは、LIDARシステムのタレット部分にある回転コンポーネントまたは回路基板を含み、光測距デバイスに位置する1つ以上の構成要素、および/または回転アクチュエータの回転回路基板上に位置する1つ以上の構成要素を含むことができる。
【0053】
回転LIDARシステム(本明細書では「転回LIDARシステム」と呼ばれることもある)の文脈では、ベースという用語は、回転LIDARシステムの非回転部または非回転部分を指す可能性がある。ベースコンポーネントは、LIDARシステムのベース部分にある非回転コンポーネントまたは回路基板を含み、ベースアセンブリに位置する1つ以上の構成要素および/または回転アクチュエータの非回転回路基板に位置する1つ以上の構成要素を含むことができる。
【0054】
上部および下部という用語は、LIDARシステムの回転軸に沿った構成要素の位置または相対位置を指す。いくつかの実施形態では、タレットコンポーネントとも呼ばれる上部構成要素は、LIDARシステムのタレット上に位置するのに対し、ベースコンポーネントとも呼ばれる下部構成要素は、LIDARシステムのベース上に位置する。
【0055】
リングという用語は、円形形状だけでなく、わずかに非円形、例えば楕円形である形状、および円周における擾乱または振動(例えば、波状)を含めて、中心軸を中心に円周方向に配置された形状も含む。
【0056】
対称と呼ばれる1つ以上の形状は、完全に対称な形状、ならびに一般に完全には対称でない形状を含むことができる。本明細書で説明する電子コンポーネントの配置は、対称構成で最も効率的に動作し得るが、対称という用語は、それらの構成が結果として最適な動作構成にならない場合でも、わずかに非対称である構成、または対称からわずかに逸脱している構成を除外しない。
【0057】
平行という用語は、完全な平行に限定されず、製造ばらつきの結果として実質的に平行である幾何学的配置および構成も含み、例えば、本明細書で平行であると呼ばれる2つの要素は、使用される製造公差に応じて、2つの要素間に、-5~5度、または-1~1度の角度を有し得る。
【0058】
垂直という用語は、完全な垂直に限定されず、製造ばらつきの結果として実質的に垂直である幾何学的配置および構成も含み、例えば、本明細書で垂直と呼ばれる2つの要素は、2つの要素間に、85~95度の角度を有し得る。
【0059】
光センサ(または単にセンサ)という用語は、光を電気信号(例えば、アナログ電気信号またはバイナリ電気信号)に変換することができるセンサを指す。アバランシェフォトダイオード(APD)は、光センサの一例である。単一の光センサは、複数のより小さい「光検出器」を含むことができる。それゆえ、複数の単一光子アバランシェダイオード(SPAD)は、複数のSPAD内の個々のSPAD(例えば、SPADのアレイ内の各SPAD)を光検出器と呼ぶことができる、光センサの別の例であり得る。センサアレイという用語は、時として複数のセンサのアレイを含むセンサチップを指すことができる。また、ピクセルという用語は、時として光センサまたはセンサと交換可能に使用される。
【0060】
トランスミッタという用語は、1つ以上の光送信要素、例えば、LED、レーザ、VCSELなどを含む構造を指すことができる。トランスミッタという用語は、時としてエミッタアレイと呼ばれるトランスミッタのアレイを含むトランスミッタチップを含むこともできる。
【0061】
バルク光学素子(複数可)という用語は、例えば、市販のカメラレンズおよび顕微鏡レンズに使用されるものなどの、センチメートル以上のオーダーの直径を有する、1つ以上の巨視的なサイズの光学素子を含む単一レンズおよび/またはレンズアセンブリを指す。本開示では、バルク光学素子という用語は、サイズが数マイクロメートル~数ミリメートル以下のオーダーである個々の要素の直径を有する光学要素または光学要素のアレイを指すマイクロ光学素子という用語と対比される。一般に、マイクロ光学素子は、エミッタのアレイまたは検出器のアレイの、異なるエミッタおよび/または異なる検出器の光を異なる方法で変更することができる一方、バルク光学素子はアレイ全体の光を変更する。
【0062】
本明細書で使用される、画像空間テレセントリック光学モジュールという用語は、レンズの開口内からの主光線のすべて(または実質的にすべて)が画像平面上に、指定された許容誤差内(例:+/-2度)で、「まっすぐに」またはゼロの入射角で入射する光学系(バルクまたはその他)を指す。
【発明を実施するための形態】
【0063】
特定の実施形態によれば、本明細書で開示される方法およびシステムは、コンパクトな光測距および検出(LIDAR)システムおよびコンパクトなLIDARシステムの組み立て方法に関する。LIDARシステムは、モジュール式の測距装置と、オプションの非常にコンパクトで統合された回転アクチュエータと、を含めることができる。モジュラー光測距デバイスは、スタンドアロンの非回転ソリッドステートLIDARとして動作するか、統合回転アクチュエータに接続されている場合は、回転LIDARのタレットの一部として動作することができる。光測距デバイスは、光測距モジュールの周囲に位置するフィールド内の物体を照明するための光伝送モジュール(時として「発光モジュール」と呼ばれる)を含むことができ、また3D深度画像の計算に使用する照明光パルスの反射部分または散乱部分を感知するための光感知モジュールを含む。光測距モジュールはまた、光センサのアレイを含む検出器チップ(例えば、CMOSチップ)を含むことができ、その各々は、例えば、SPADのアレイであり得る。
【0064】
いくつかの実施形態では、回転アクチュエータは、上部回路基板アセンブリ(本明細書ではタレットまたは回転回路基板アセンブリとも呼ばれる)、およびベース回路基板アセンブリ(本明細書では固定回路基板アセンブリとも呼ばれる)を含む。回転アクチュエータの様々な回路基板は、LIDARシステムの機能コンポーネントおよび/またはサポート用電子コンポーネントおよび光学コンポーネントの多くを、回転アクチュエータの1つ以上の基板に直接取り付けられ得るという意味で、高度に統合できる。例えば、光送信モジュールの様々な放出パラメータを制御することができるLIDARシステムのベースコントローラを、回転アクチュエータのベース回路基板アセンブリの基板上に取り付けることができる。さらに、回転アクチュエータの基板上にも統合されている無線電力送信システムによって、光測距モジュールに電力を提供することができる。光アップリンク/ダウンリンクチャネルをサポートする電気コンポーネントおよび光学コンポーネントも回転アクチュエータの1つ以上の回路基板に統合されている光アップリンクチャネルと光ダウンリンクチャネルによって、ベースコントローラから光測距モジュールへの、およびその逆の通信を可能にすることができる。
【0065】
いくつかの実施形態では、これらの同じ基板は、回転アクチュエータの上部回路基板アセンブリおよび下部回路基板アセンブリの1つ以上の表面上に統合された電気モータ構成要素を含む。例えば、電気モータステータは、他の電気コンポーネント、例えば、一群の光アップリンクトランスミッタ、光ダウンリンクレシーバ、および無線電力トランスミッタと共に、回転アクチュエータの下部回路基板アセンブリの表面に直接接合できる。同様に、電気モータのロータは、他の電気コンポーネント、例えば一群の光アップリンクレシーバ、光ダウンリンクトランスミッタ、光または磁気ロータリエンコーダリーダ、および無線電力レシーバと共に、回転アクチュエータの上部回路基板アセンブリの表面に直接接合できる。
【0066】
いくつかの実施形態では、上部回路基板アセンブリは、光測距モジュールを上部回路基板アセンブリに接続するために、上部回路基板アセンブリの表面にも接合された1つ以上のコネクタを含むことができる。また、回転アクチュエータはまた、取得したデータに対してデータ処理を実行するために光測距モジュールによって使用され得る、追加の計算リソース、1つ以上のFPGA、ASIC、マイクロプロセッサなどを含むことができる。
【0067】
本明細書に開示されたコンパクトLIDARにおける高レベルのシステム統合を考慮して、完全に機能するシステムは、光測距モジュールを回転アクチュエータに単に取り付けることによって組み立てられ得る。別個の電気モータモジュール、別個の通信モジュール、別個のパワーモジュールなどは必要ない。
【0068】
いくつかの実施形態では、回転アクチュエータのアーキテクチャは、洗練された組み立て方法に役立つ。例えば、システムは、通信コンポーネント、電気モータコンポーネント、および無線電力コンポーネントを含む電気コンポーネントが、システムの中心軸の周囲に同心円状に、またはさらにシステムの軸と同軸に配置されるように、構築できる。中心軸はまた、上部回路基板アセンブリまたはタレットの回転軸と同一線上にあることができる。回転アクチュエータの1つ以上の基板は、定置筐体の下部またはベースに(直接または間接的に)取り付けられ得るシャフトを受け入れるように構成された中央穴を含むことができる。いくつかの実施形態では、シャフトは、システムの回転軸を画定し、それに取り付けられた1つ以上のベアリングは、下部回路基板アセンブリに対する上部回路基板アセンブリの回転運動を提供する。
【0069】
上記のアーキテクチャを考慮して、いくつかの実施形態における回転アクチュエータの組み立ては、連続する基板をシャフト上の所定の位置に降下させるところまで縮減できる。電気コンポーネントのサブセット(通信コンポーネント、電気モータコンポーネント、無線電力コンポーネントなど)は、システムの中心軸を中心に円周方向に配置されるため、アセンブリが完了すると、これらのシステムは複雑な位置整合手順を必要とせずに効果的に動作することができる。
【0070】
いくつかの実施形態では、システムは、光送信モジュールまたは光感知モジュール、またはその両方内で使用される熱的に安定な画像空間テレセントリック光学モジュールを使用する。熱的に安定した画像空間テレセントリック光学素子モジュールは、光送信モジュールまたは光感知モジュールのトランスミッタおよび/またはセンサのアレイをそれぞれ含むトランスミッタまたはセンサチップに対して空間的に安定した画像平面を有するように、設計できる。温度に対する屈折率の変化と共に、レンズハウジングおよびレンズハウジング内の光学要素の熱膨張係数は、熱的に安定した画像平面を提供するように選択できる。様々な実施形態では、光学系の個々の光学素子は、経済的であるが熱的に安定した設計を提供するために、ガラスおよび/またはプラスチックであってよい。
【0071】
本開示のいくつかの実施形態によるモジュール式の光測距デバイスは、放射線のパルスをフィールドに放出する照明源としての垂直キャビティ面発光レーザ(VCSEL)のセットを含み、フィールド内の表面から反射または散乱された放射線を検出するピクセルのセット(検出器)のセットとしての単一光子アバランシェダイオード(SPAD)検出器のアレイを含む。上記に述べたように、SPADは、現在利用可能ないくつかのLIDARセンサで使用されるAPDと比較して、比較的低いダイナミックレンジを有する。SPADに固有の低いダイナミックレンジは、一部にはSPADがどのように光子を検出するかの物理的性質に起因し、それらは、各光子検出イベントに対してアバランシェ電流パルスの形態でバイナリ電気信号(光子検出または非検出)を生成する、いわゆるガイガーモードデバイスである。VCSELをエミッタとして使用し、SPADを検出器として使用すると、複数の測定を同時に行うことができ(すなわち、VCSELエミッタを同時に発射できる)、かつ、エミッタのセットと光センサのセットをそれぞれ単一チップ上の標準CMOSプロセスを使用して製造できるため、製造および組み立てプロセスが大幅に簡素化される。しかし、特定の実施形態でVCSELおよびSPADを使用することは、本開示の様々な実施形態が克服する課題を提示する。例えば、VCSELは、現在利用可能ないくつかのLIDARセンサで使用されるレーザよりもパワーがはるかに小さく、SPADは、いくつかのLIDARセンサで使用される検出器よりも効率がはるかに低い。これらの課題、ならびに複数のエミッタを同時に発射させることによって提示される課題に対処するために、本開示の特定の実施形態は、光学コンポーネントを含み、VCSELエミッタ並びに様々な光学コンポーネント(例えば、レンズ、フィルタ、および開口層)の輝度を向上することができ、これは、本明細書で説明するように、各アレイが異なる光センサに対応するSPADの複数のアレイと連携して機能し得る。
【0072】
I.例示的な自動車用LIDARシステム
図1Aおよび1Bは、いくつかの実施形態による、本明細書でLIDARシステムとも称される自動車用光測距デバイスを示す。LIDARシステムの自動車用途は、ここでは単に例示のために選択したものであり、本明細書で説明されるセンサは、例えば、ボート、航空機、列車などの他の種類の車両で、ならびに医用イメージング、測地学、ジオマティクス、考古学、地理学、地質学、地形学、地震学、林業、大気物理学、レーザ誘導、空中レーザスワスマッピング(ALSM)、およびレーザ高度計などの、3D深度画像が有用である多様な他の用途で、使用され得る。いくつかの実施形態では、図1Aおよび図1Bに示されるように、例えば、スキャニングLIDARシステム100および/またはソリッドステートLIDARシステム120などのLIDARシステムを車両105の屋根に取り付けることができる。他の実施形態では、1つ以上のLIDARセンサを、車両の前部または後部、車両の側部および/または車両のコーナを含むがこれらに限定されない車両の他の箇所に取り付けることができる。
【0073】
図1Aに示されるスキャニングLIDARシステム100は、LIDAR光送信モジュール102(例えば、レーザパルスを放出する光源)および/または光感知モジュール104(例えば、物体までの距離を決定するために反射されたパルスを検出するための検出器回路)の向きが、車両105の外側にある外部のフィールドまたはシーン内の1つ以上の視野110の周りをスキャンされ得るスキャンアーキテクチャを使用することができる。スキャンアーキテクチャの場合、放射光112は、示されているように周囲環境にわたってスキャンされ得る。例えば、LIDARシステム100内に位置する1つ以上の光源(図示しない、赤外線または近赤外線パルスIRレーザなど)の出力ビーム(複数可)は、車両の周囲のシーンを照明するためにスキャン、例えば回転できる。いくつかの実施形態では、回転矢印115によって表されるスキャンは、機械的手段、例えば、発光体を回転柱または回転プラットフォームに取り付けることによって実施することができる。いくつかの実施形態では、スキャンは、検流計の使用などの他の機械的手段を通じて実施することができる。例えば、例えばデジタルマイクロミラー(DMD)デバイス、デジタル光処理(DLP)デバイスなどの1つ以上のMEMSベースの反射器を使用するマイクロチップを使用することによって、チップベースの操縦技術を使用することもできる。いくつかの実施形態では、スキャンは、非機械的手段を介して、例えば、電子信号を使用して1つ以上の光フェーズドアレイを操縦することにより達成することができる。
【0074】
図1Bに示されるソリッドステートLIDARシステム120と同様の固定アーキテクチャの場合、1つ以上のソリッドステートLIDARサブシステム(例えば、光送信モジュール122および光感知モジュール124)を車両105に取り付けることができる。各ソリッドステートLIDARユニットは、各ユニットがそれ自体でキャプチャできるよりも大きい複合視野をキャプチャできるように、異なる方向を(おそらくユニット間で部分的に重複するおよび/または非重複の視野を有して)向くことができる。
【0075】
回転アーキテクチャまたは固定アーキテクチャのいずれかで、シーン内の物体は、LIDAR光源から放出される光パルスの一部分を反射することができる。その後、1つ以上の反射部分がLIDARシステムに戻り、検出器回路により検出され得る。例えば、反射部分114は、検出器回路104によって検出され得る。光送信モジュールは、光感知モジュールと同じハウジングに配設され得る。スキャンシステムおよび固定システムの態様は相互に排他的ではないため、組み合わせて使用され得る。例えば、図1Bの個々のLIDARサブシステム122および124は、MEMS振動ミラーなどの操縦可能なエミッタを使用することができ、または複合ユニット全体が機械的手段によって回転し、それにより、例えば視野130から視野132まで、LIDARシステムの前方のシーン全体をスキャンすることができる。
【0076】
図2A~2Bは、いくつかの実施形態による、それぞれ、回転LIDARシステム200および固定ソリッドステートLIDARシステム230の高レベルのブロック図を示す。両方のシステムは、光送信モジュール212および光感知モジュール214を含む光測距デバイス210を使用する。光送信モジュール212および感知モジュール214は、各々、例えば、感知モジュールおよび送信モジュールの入力/出力にそれぞれ位置付けられたバルク光学素子215、例えば多素子レンズアセンブリを含むことができる。光送信モジュール212は、マイクロ光学素子アレイと、バルク光学素子215と発光回路216との間に位置する任意のノッチフィルタ素子(図示せず)と、をさらに含むことができる。いくつかの実施形態では、発光回路216は、ヒ化インジウムガリウム(InGA)基板上の垂直共振器面発光レーザ(VCSEL)のアレイなどの光源のチップスケールアレイを含む。光感知モジュール214はまた、マイクロ光学素子アレイ、およびバルク光学素子215と光検出器回路218との間に位置するノッチフィルタ素子(図示せず)を含むことができる。いくつかの実施形態では、光検出器回路218は、CMOS技術で製造された単一光子アバランシェダイオード(SPADS)のアレイなどの、光検出器のチップスケールアレイを含むことができる。他の検出器技術、例えば、アバランシェフォトダイオード、CCDイメージセンサ、CMOSフォトダイオードイメージセンサ、空洞強化光検出器、表面強化光検出器なども採用することができる。
【0077】
図2Aを参照すると、回転LIDARシステム200において、光測距デバイス210は、タレット回路基板アセンブリ222(本明細書では、上部回路基板アセンブリまたは測距回路基板アセンブリとも呼ばれる)に電気的に接続され得る。回路基板アセンブリ222は、回路基板アセンブリ222が光測距デバイス210に接続される範囲まで測距すると考えられ得る。以下の図3でより詳細に説明するように、タレット回路基板アセンブリ222は、1つ以上のプロセッサおよびメモリを含むいくつかの回路要素を含むことができる。例えば、タレット回路基板アセンブリ222は、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、およびまたは特定のLIDAR機能を提供するように調整された1つ以上の特定用途向け集積回路(ASIC)を含むことができる。いくつかの実施形態では、光測距デバイス210は、マルチピン電気コネクタを介してタレット回路基板アセンブリ222にハードワイヤードされ得るか、または、例えば、光またはRF接続を使用する通信チャネルを通して、タレット回路基板アセンブリ222に無線で接続されてもよい。
【0078】
タレット回路基板アセンブリ222は、ベース回路基板アセンブリ226の真上に配設され得る。いくつかの実施形態では、ベース回路基板アセンブリ226は、タレット回路基板アセンブリ222に電力を無線送信して、例えば、光測距デバイス210および他の任意の関連付けられた回路(例えば、ASICS、FPGA、通信回路など)に給電することができる。加えて、光学、誘導、および/または容量通信チャネルは、ベース回路基板アセンブリ226をタレット回路基板アセンブリ222に接続することができ、それにより、ベース回路基板アセンブリから非接触データ伝送を介して光測距デバイス210を制御することができる。
【0079】
図2Aに示される実施形態では、タレット回路基板アセンブリ222は、回転カプラ224を通してベース回路基板アセンブリ226に回転可能に結合されている。回転カプラ224は、光測距デバイス210およびタレット回路基板アセンブリ222が、LIDARシステム200のハウジング220内で完全に360度回転することを可能にする。光測距デバイス210の回転により、システムは、デバイスの周りの容積の完全な360視野3Dマップを構築するために使用できるデータを取得することができる。いくつかの実施形態において、ベース回路基板アセンブリ226は、ベース回路基板アセンブリ226が固定状態で、かつハウジング220に対して回転しないように、例えば、機械的ブラケットおよびねじ(図示せず)によってハウジング220に連結され得る。ハウジング220は、LIDARシステム200が内部で動作する環境の湿気および様々な要素からLIDARシステム200の光測距デバイス210および他の内部構成要素を保護する防水ハウジングであり得る。
【0080】
回転カップリング224は、様々な実施形態において、いくつかの異なる方法で実装できる。例えば、いくつかの実施形態は、シャフトおよびベアリング構造(図示せず)を使用することができる。いくつかの実施形態では、回転カップリング224はまた、回転運動を可能にするだけでなく、タレット回路基板アセンブリ222の回転運動を駆動することも行う回転アクチュエータ用の1つ以上の構成要素を含む。例えば、ロータ要素(例えば、永久磁石)の配置を含む電気モータロータアセンブリは、タレット回路基板アセンブリ222、およびソレノイドコイルなどのステータ要素の配置を含む電気モータステータアセンブリに直接統合されることが可能であり、ベース回路基板アセンブリ226に直接統合されることが可能である。このような実施形態では、1つ以上の回転作動構成要素がベース回路基板アセンブリ226および/またはタレット回路基板アセンブリ222に統合される場合、回転作動のための別個のモジュールはもはや必要ではない。結果として、本明細書に開示されるLIDARシステムの実施形態は、別個の電気モータモジュールを使用するスピニングLIDARシステムよりも、よりコンパクトなフォームファクタおよびはるかに単純化された組み立てプロセスを有することができる。
【0081】
図2Bは、いくつかの実施形態による固定ソリッドステートLIDARシステム230の簡略化されたブロック図である。図2Aに示される回転LIDARシステム200と同様に、固定ソリッドステートLIDARシステム230は、防水ハウジング240内に収容された光測距デバイス210を含む。光測距デバイス210は、ハウジング240内のベース回路基板アセンブリ232に直接接続され得る。システム230は、光測距デバイス210を回転させないため、別個の回転タレット回路基板アセンブリまたは回転カプラの必要がない。したがって、タレット回路基板アセンブリ222とベース回路基板アセンブリ226との間に事前に分配された回路は、単一のベース回路基板アセンブリ232に完全に統合されており、および/または光感知モジュール214および/または送信モジュール212に関連付けられた回路との間で共有され得る。
【0082】
いくつかの実施形態では、図2A図2Bに示される実施形態のいずれかについて、1つ以上のLIDAR固有の操作を実行するためのハードウェアおよびソフトウェア/ファームウェア(例えば、光子時系列累積に続くピーク検出および測距データ計算および出力)光測距デバイス210の回路および/または回路基板アセンブリ(例えば、LIDARシステム200のタレット回路基板アセンブリ222および/またはベース回路基板アセンブリ226、またはLIDARシステム230のベース回路基板アセンブリ232)のうちの1つ以上に組み込まれ得る。例えば、いくつかの実施形態では、光検出器回路218はまた、SPADのアレイと同じ基板上に統合されたASICを含むことができる。このような状況では、ソフトウェア/ファームウェアの再プログラミング/再構成により、光測距デバイス210が(図2Aに示されるLIDARシステム200と同様の)回転LIDARシステムの一部として、または(図2Bに示されるLIDARシステム230と同様の)独立型ソリッドステートLIDARシステムとして動作できるという意味で、光測距デバイス210はモジュール式である。すでに上述したように、機械的回転アクチュエータを必要とせずにビームステアリングを可能にすることもできる回路(例えば、MEMS、DMD、光学フェーズドアレイなど)を使用することができる。したがって、本明細書で開示されるシステムのモジュール設計は、ハードウェアおよび機械的アーキテクチャ全体の高価かつ時間のかかる再設計なしに、ユーザのニーズに適合することができる高度に適応可能なシステムをもたらす。
【0083】
II.詳細ブロック図
図3は、図2Aを参照して上述したものと同様のいくつかの実施形態による、回転LIDARシステム300のより詳細なブロック図を示す。より具体的には、回転LIDARシステム300は、任意で、無線データおよび電力の送信能力および受信能力を有する回転アクチュエータを使用することができる。いくつかの実施形態では、回転アクチュエータは、回転回路基板の表面上に統合されたロータと、固定回路基板の表面上に統合されたステータと、を含み、両方の基板アセンブリは、無線電力およびデータ転送の能力を具備している。
【0084】
図3に示される回転LIDARシステム300は、2つの主要モジュール、すなわち、以下に詳細に説明される光測距デバイス320および回転アクチュエータ315を含む。また、回転LIDARシステム300は、ユーザインターフェースハードウェアおよびソフトウェア305の1つ以上のインスタンス化と相互作用することができる。ユーザインターフェースハードウェアおよびソフトウェア305の異なるインスタンス化は、変化することができ、例えば、モニタ、キーボード、マウス、CPU、およびメモリを有するコンピュータシステム、自動車のタッチスクリーン、タッチスクリーンを有するハンドヘルドデバイス、または他の任意の適切なユーザインターフェースを含み得る。ユーザインターフェースハードウェアおよびソフトウェア305は、回転LIDARシステム300が上に取り付けられる物体に対してローカルであってもよいが、遠隔操作システムであることもできる。例えば、LIDARシステム300への/からのコマンドおよびデータは、セルラーネットワーク(LTEなど)、パーソナルエリアネットワーク(Bluetooth、Zigbeeなど)、ローカルエリアネットワーク(WiFi、IRなど)、またはインターネットなどの広域ネットワークを通してルーティングされ得る。
【0085】
ユーザインターフェースハードウェアおよびソフトウェア305は、デバイスからのLIDARデータをユーザに提示できるが、ユーザが1つ以上のコマンドで回転LIDARシステム300を制御することを可能にすることもできる。コマンドの例として、LIDARシステムを作動させるまたは不作動にするコマンド、光検出器の露出レベル、バイアス、サンプリング期間、および他の動作パラメータ(例えば、放出パルスパターンおよび信号処理)を指定し、輝度などの光エミッタパラメータを指定するコマンドを挙げることができる。さらに、結果を表示する方法をユーザが選択することを、コマンドで可能にすることができる。ユーザインターフェースは、LIDARシステムの結果を表示することができ、この結果は、例えば、単一フレームのスナップショット画像、絶えず更新されるビデオ画像、および/または、周囲のノイズ強度、戻り信号強度、較正されたターゲットの反射率、ターゲットの分類(ハードターゲット、拡散ターゲット、再帰反射ターゲット)、範囲、信号対雑音比、ターゲットの半径方向速度、戻り信号の一時的なパルス幅、信号の偏波、ノイズの偏波など。などのいくつかまたはすべてのピクセルの他の光測定の表示を含むことができる。いくつかの実施形態では、ユーザインターフェースハードウェアおよびソフトウェア305は、車両からの物体の距離(近接性)を追跡し、場合によっては運転者に警告を提供するか、または運転者の行動の分析のためにこのような追跡情報を提供する。
【0086】
いくつかの実施形態では、LIDARシステムは車両制御ユニット310と通信することができ、車両の制御に関連する1つ以上のパラメータは、受信されたLIDARデータに基づいて修正することができる。例えば、完全自律走行車両では、LIDARシステムは、ナビゲーションを支援するために、車を取り巻く環境のリアルタイム3D画像を提供できる。他の場合では、LIDARシステムは、先進運転支援システム(ADAS)の一部として、または、任意の数の異なるシステム(例えば、適応型クルーズコントロール、自動駐車、運転者の眠気監視、死角監視、衝突回避システムなど)に3D画像データを提供することができる安全システムの一部として、使用され得る。車両制御ユニット310が光測距デバイス320に通信可能に結合されているとき、警報を運転者に提供することができるか、または物体の近接を追跡および/または表示することができる。
【0087】
光測距デバイス320は、光感知モジュール330、光送信モジュール340、および光測距システムコントローラ350を含む。回転アクチュエータ315は、少なくとも2つの回路基板アセンブリ、下部回路基板アセンブリ360(本明細書ではベースサブシステムとも呼ばれる)、および上部回路基板アセンブリ380(本明細書ではタレットサブシステムとも呼ばれる)を含む。下側回路基板アセンブリ360は、筐体またはハウジング(図示せず)の定置部分に機械的に取り付けられることが可能である一方、上側回路基板アセンブリ380は、通常は、筐体にも(直接または間接的に)取り付けられたシャフト(図3に表されていない)によって画定される回転軸を中心に自由に回転する。光測距デバイス320は、回転可能な上部回路基板アセンブリ380に機械的に取り付けられることが可能であり、したがって、ハウジング内で自由に回転する。
【0088】
図3は、光測距デバイス320および回転アクチュエータ315内の構成要素の1つの特定の配置を示すが、いくつかの実施形態では、特定の構成要素は、示されるものとは異なり、一方または他方のモジュールに統合され得る。一例として、例えば、FPGA、ASIC、または組み込みシステムまたはシステムオンチップ(SOC)と同様のより一般的なコンピューティングデバイスであり得る測距システムコントローラ350は、上部回路基板アセンブリ380の一部であるプリント回路基板に、直接取り付けられ(例えば、はんだ付けされ)得る。言い換えれば、いくつかの実施形態では、回転アクチュエータの部品は、光測距デバイス320内に統合されることが可能であり、逆もまた同様である。
【0089】
回転アクチュエータ315は、下部回路基板アセンブリ360および上部回路基板アセンブリ380の1つ以上のプリント回路基板上に統合されたいくつかの異なるシステムを含む。例えば、回転アクチュエータ315は、ブラシレス電気モータアセンブリ、光通信サブシステム、無線電力送信サブシステム、およびベースコントローラを含むことができる。これらのシステムは、上部回路基板アセンブリ380上の1つ以上の回路要素と協調して動作する(例えば、相補的である機能を有する)下部回路基板アセンブリ360上の1つ以上の回路要素を含む各ペアとの協調回路要素のペアによって形成されている。以下でより詳細に説明するように、相補的機能は、例えば、電力および/またはデータ通信信号の送信(Tx)および受信(Rx)を含む。
【0090】
ブラシレス電気モータアセンブリは、下部回路基板アセンブリ360のプリント回路基板上に統合されたステータアセンブリ362と、上部回路基板アセンブリ380のプリント回路基板上に統合されたロータアセンブリ382と、を含む。ロータアセンブリ382の回転は、モータドライバ回路364から生じる駆動信号、例えば、三相駆動電流を基に駆動される。いくつかの実施形態では、1つ以上のモータ制御線が、モータドライバ回路をステータアセンブリ362のコイルに接続して、駆動信号をモータステータに提供できるようにする。さらに、モータドライバ回路364は、ベースコントローラ366がロータアセンブリの回転速度、それゆえ、光測距デバイス320の回転速度(すなわち、フレームレート)を制御することができるように、ベースコントローラ366に電気的に接続され得る。
【0091】
いくつかの実施形態では、ロータアセンブリ382は、10~30Hzの速度で回転することができる。いくつかの実施形態では、ロータアセンブリ382は、上部回路基板アセンブリの回路基板に取り付けられた一連の永久磁石を含む受動デバイスであり得る。これらの永久磁石は、下側回路基板アセンブリ360に対する上側回路基板アセンブリ380の回転を駆動するために、ステータアセンブリのコイルによって生成される電磁力、例えば磁力に誘引されるか、または反発されるかのいずれかである。上部回路基板アセンブリ380の回転方向は、ロータリエンコーダ374上の1つ以上の特徴の通過を検出することによって上部回路基板アセンブリの角度位置を追跡することができるロータリエンコーダレシーバ394によって追跡され得る。多様なロータリエンコーダ技術を使用することができる。いくつかの実施形態では、ロータリエンコーダ374は、下部回路基板アセンブリ360の回路基板の表面に直接統合されている。
【0092】
回転アクチュエータ310はまた、本明細書で回転変圧器と呼ばれる構成をなす無線電力トランスミッタ372および無線電力レシーバ392を含む無線電力システムを含むことができる。トランスミッタ372から無線電力レシーバ392に送信された電力は、光測距デバイス320、および/または、タレット/上部回路基板アセンブリ上の電力を必要とする任意の回路によって消費され得る。いくつかの実施形態では、光測距デバイス320が必要とするすべての電力は、無線電力レシーバ392を通して提供され、それゆえ、スリップリングまたは水銀ベースのデバイスと同様の回転電気カプラの必要がなく、それによってシステム全体の信頼性を高め、コストを減少させる。
【0093】
回転アクチュエータ310はまた、いくつかの光トランスミッタ(例えば、光トランスミッタ378および396)と、回転アクチュエータ315と光測距デバイス320との間の(または回転アクチュエータ315の上部回路基板アセンブリ380に機械的に接続された他の任意のデバイスまたはシステムへの/からの)双方向非接触データ送信に使用されるいくつかの光レシーバ(例えば、光レシーバ376および398)と、を含む光通信サブシステムを含むことができる。より具体的には、光通信サブシステムは、LIDARシステム300の固定ベースの一部である下部回路基板アセンブリ360に取り付けられた(例えば、はんだ付けされた)ベース光通信コンポーネントのセットを含み、LIDARシステム300の回転タレットの一部である回転上部回路基板アセンブリ380に取り付けられた(例えば、はんだ付けされた)タレット光通信コンポーネントのセットを含むことができる。これらの光通信コンポーネントは、制御信号を含む光信号を光測距デバイス320に提供するためのアップリンクデータチャネルを提供し、測距および運用データを含む光信号を、光測距デバイス320からベースコントローラ366、ユーザインターフェースハードウェアおよびソフトウェア305、および/または車両制御ユニット310に提供するためのダウンリンクデータチャネルも提供する。
【0094】
上部回路基板アセンブリ360から下部回路基板アセンブリ380へのダウンリンク光通信チャネルは、光ダウンリンクトランスミッタ396と光ダウンリンクレシーバ376との間に作成され得る。光測距デバイス320は、上部回路基板アセンブリ380に直接接続されることが可能であり、したがって、ダウンリンク光通信チャネルにアクセスして、さらなる使用のために測距データおよび動作データを下部回路基板アセンブリ360に渡すことができる。いくつかの実施形態では、光ダウンリンクを介して光信号で受け渡されるデータは、フィールド内の個々のポイント(ピクセル)の範囲データ(または、場合によっては、例えば霧/雨の間にガラス窓を通してみるときの単一のピクセルおよび角度についての複数の範囲)、方位角および天頂角のデータ、戻り値または信号強度の信号対雑音比(SNR)、目標反射率、各ピクセルの視野から到来する周囲近赤外線(NIR)レベル、温度などの光測距デバイスからの診断動作情報、電圧レベルなどを含むことができる。加えて、回転アクチュエータの上部回路基板380に接続された他の任意のシステムからのデータは、光ダウンリンクを介して受け渡され得る。例えば、高速RGBまたはサーマルカメラ、ラインスキャンカメラなどからのデータ。
【0095】
下部回路基板アセンブリ360からのアップリンク光通信チャネルは、光アップリンクトランスミッタ378と光アップリンクレシーバ398との間に作成され得る。いくつかの実施形態では、ベースコントローラ366からの制御信号は、光アップリンク通信チャネルを介して光測距デバイス320に渡され得る。例えば、いくつかの実施形態では、ベースコントローラ366は、(ダウンリンクチャネルから受信した)デバイスにおける様々な温度を監視でき、過熱状態の場合、緊急シャットダウン信号をアップリンクチャネルを介して光測距デバイス320に送出することができる。いくつかの実施形態では、ベースコントローラは、モバイルコンピュータ、例えば、関連付けられたメモリおよびI/O能力(例えば、イーサネットなど)を有するARM+FPGAアーキテクチャを使用するプログラム可能なシステムオンチップであり得る。
【0096】
1つ以上の光パルスを光送信モジュール340から光測距デバイスを取り囲む視野内の物体に送信することにより、光測距デバイス320によって測距データが生成され得る。次いで、送信された光の反射部分が、いくらかの遅延時間の後、光感知モジュール330によって検出される。一般に「飛行時間」と呼ばれる遅延時間に基づいて、反射表面までの距離が決定され得る。例えば、連続波、ドップラーなどの他の測距法も使用することができる。
【0097】
光送信モジュール340は、エミッタアレイ342および送信(Tx)光学系344を含むことができる。エミッタアレイ342は、トランスミッタの一次元または二次元のアレイであることができ、送信光学系344と組み合わされると、バルク撮像光学素子の背後にトランスミッタチャネルのアレイを形成する。これらのトランスミッタチャネルは、ビーム成形、ビームステアリング、輝度向上などのためのマイクロ光学素子構造を任意で含むことができる。光送信モジュール340は、任意のプロセッサ346およびメモリ348をさらに含むことができるが、いくつかの実施形態では、これらのコンピューティングリソースは測距システムコントローラ350に組み込まれ得る。いくつかの実施形態では、例えばバーカーコードなどのパルスコーディング技術を使用することができる。そのような場合、メモリ348は、光をいつ送信すべきかを示すパルスコードを格納することができる。一実施形態では、パルスコードは、メモリに格納された整数のシーケンスとして格納される。
【0098】
光感知モジュール330は、センサアレイ332およびレシーバ(Rx)光学系334を含むことができる。センサアレイ332は、光センサの一次元または二次元のアレイであり得る。いくつかの実施形態では、各光センサは、バイナリ光子検出器(例えば、SPADなど)のコレクションを含むことができる一方、他の実施形態では、各光センサは、線形光検出器(例えば、APD)であり得る。レシーバ光学系334およびセンサアレイ332は、以下でより詳細に説明するように、バルク光学素子の背後にマイクロ光学素子レシーバチャネルのアレイを形成することができる。各マイクロ光学受信機チャネルは、周囲容積の明確な視野内の画像ピクセルに対応する光を測定する。センサアレイ332の各光センサ(例えば、SPADの集合体)は、例えば、光感知モジュール330および光送信モジュール340の幾何学的構成の結果として、エミッタアレイ342の特定のエミッタに対応し得る。代替実施形態では、センサアレイ332の各センサは、エミッタアレイ342の複数のエミッタ(例えば、VCSELのクラスタ)に対応し得る。さらに別の実施形態では、エミッタアレイ342内の単一の大きなエミッタ(例えば、レーザダイオードバー)は、センサアレイ336内の複数のセンサに対応し得る。
【0099】
いくつかの実施形態では、光感知モジュール330のセンサアレイ332は、アレイ内の個々の光センサ(または光センサのグループ)からの原信号を信号処理するための光センサのアレイ、プロセッサ336、およびメモリ338の両方を含む単一基板上のモノリシックデバイスの一部として、例えば、CMOS技術を使用して、製造され得る。センサアレイ332、プロセッサ336、およびメモリ338を含むモノリシック構造は、専用のASICとして製造することができる。いくつかの実施形態では、レシーバ光学系334の一部であるマイクロ光学素子コンポーネントはまた、センサアレイ332、プロセッサ334、およびメモリ338が一部であるモノリシック構造の一部であり得る。このような挙例では、マイクロ光学素子コンポーネントは、マイクロ光学素子コンポーネントがレシーバチャネルの各層に対して別個の基板層を有するモノリシック構造の一部になるように、ASIC上に形成され得る。例えば、開口層、コリメートレンズ層、光学フィルタ層、および光検出器層を積み重ねて、ダイシング前にウェーハレベルで複数のASICに接合することができる。開口層は、透明基板の上に非透明基板を置くか、透明基板に不透明フィルムをコーティングすることによって形成され得る。このような実施形態では、ダイシングステップにより複数のASICが形成され、各々が、各々に直接接合された独自のマイクロ光学素子構造を有する。別の例として、マイクロ光学素子コンポーネントは、ASICがダイシングプロセスによってより大きなウェーハから分離された後、ASICに直接接合され得る別個のモノリシック構造として形成され得る。このようにして、ASICとマイクロ光学素子構造とを互いに接合して、単一のモノリシック構造を形成することができる。さらに他の実施形態では、Rxモジュール330の1つ以上の構成要素が、モノリシック構造の外側にあってもよい。例えば、開口層は、ピンホールを有する別個の金属シートとして実装されてもよい。
【0100】
上述のように、プロセッサ336およびメモリ338(例えば、SRAM)は、信号処理を実行することができる。信号処理の例として、各光子検出器、または各光子検出器のグループについて、光感知モジュール330のメモリ338は、連続する時間ビンにわたって検出された光子のカウントを累積することができ、これらの時間ビンを組み合わせて使用して、反射された光パルスの時系列(すなわち、光子のカウント対時間)を再作成することができる。集計された光子カウントのこの時系列は、本明細書では強度ヒストグラム(または単にヒストグラム)と称される。加えて、プロセッサ336は、SPADの飽和およびクエンチングに起因して起こり得るパルス形状歪みの影響を受けにくい光子時系列を回復するのに役立つ、整合フィルタリングなどの特定の信号処理技術が達せられ得る。いくつかの実施形態では、測距システムコントローラ350の1つ以上の構成要素を、センサアレイ332、プロセッサ336、およびメモリ338と同じASICに統合することもでき、それにより、測距コントローラモジュールを分離する必要がなくなる。
【0101】
いくつかの実施形態では、プロセッサ336からの出力は、さらなる処理のために測距システムコントローラ350に送出される。例えば、データは、測距システムコントローラ350の1つ以上のエンコーダによって符号化され、次いで、光ダウンリンクを介してデータパケットとして下部回路基板アセンブリ360に送出され得る。測距システムコントローラ350は、例えば、ASICまたはASICの一部としてのFPGAなどのプログラマブルロジックデバイスを使用すること、プロセッサ352をメモリ354と共に使用すること、および上記の何らかの組み合わせ、によることを含む複数の方法で実現され得る。測距システムコントローラ350は、ベースコントローラ366と協調するか、またはベースコントローラとは独立して(事前にプログラムされた命令を介して)動作して、光検出の開始および停止を含み、光検出器パラメータを調整するコマンドを送出することにより、光感知モジュール330を制御することができる。同様に、測距システムコントローラ350は、発光の開始および停止の制御と、(波長調節のための)エミッタ温度制御、エミッタ駆動電力および/または電圧などの他の光エミッタパラメータを調整し得る制御と、を含むコマンドを送出するか、またはベースコントローラ366からのコマンドを中継することにより、光送信モジュール340を制御することができる。
【0102】
エミッタアレイ342が複数の独立した駆動回路を有する場合には、測距システムコントローラ350によって適切に順序付けられ得る複数のオン/オフ信号があり得る。同様に、エミッタアレイがアレイ内の異なるエミッタを異なるように調節するために複数の温度制御回路を含む場合、トランスミッタパラメータは複数の温度制御信号を含むことができる。いくつかの実施形態では、測距システムコントローラ350は、光感知モジュール330および光送信モジュール340とデータを交換するための1つ以上の有線インターフェースまたはコネクタを有する。他の実施形態では、測距システムコントローラ320は、光通信リンクなどの無線相互接続を介して、光感知モジュール330および光送信モジュール340と通信する。
【0103】
III.光の送信および検出
図4Aおよび図4Bは、いくつかの実施形態による光測距システムの光の送信および検出プロセスの例示的な例を表しており、図2を参照して上記で導入したように、エミッタ-センサチャネルの配置を形成するエミッタアレイおよびセンサアレイ上に焦点を有する。図4Aは、光測距システム400の外部のボリュームまたはシーン450の三次元距離データを収集する光測距システム400(例えば、ソリッドステートまたはおよび/または走査)を表す。図4Bは、図4Aからの光測距システム400の拡大図である。光測距システム400は、上記で論じた光測距システム200、220、または300、ならびに以下で論じる様々な光測距デバイスのうちの任意のものを表すことができる。図4Aおよび図4Bは、エミッタとセンサとの間の関係を強調する大幅に簡略化された図であり、それゆえ、他の構成要素は示されていない。
【0104】
図4Aおよび図4Bに示されるように、光測距システム400は、光エミッタアレイ410および光センサアレイ420を含む。光エミッタアレイ410は、エミッタ410(1)およびエミッタ410(9)などの個々のエミッタを含む光エミッタのアレイ(例えば、VCELのアレイなど)を含む。光センサアレイ420は、センサ420(1)および420(9)などの個々の光センサを含む光センサのアレイを含む。光センサは、ピクセルごとに、単一光子アバランシェダイオード(SPAD)などの離散した光検出器のセットを使用する、ピクセル化された光センサであり得る。ただい、様々な実施形態は、任意の種類の光子センサを展開することができる。いくつかの実施形態では、光測距システム400は、本明細書ではバルク光学素子と呼ばれるバルク光学素子の1つ以上のセット(図示せず)を含み、示されている方向にビームを方向転換するために、光エミッタアレイ410および/または光センサアレイ420の前に配置される。
【0105】
各エミッタは、隣接するエミッタからわずかにオフセットされ得、かつ隣接するエミッタから異なる視野内に光パルスを送信するように構成され得るため、そのエミッタのみに関連付けられたそれぞれの視野を照明することができる。例えば、エミッタ410(1)は、(1つ以上の光パルスから形成された)照明ビーム415(1)を円形視野452(そのサイズは明確にするために誇張されている)内に放出する。同様に、エミッタ410(9)は、照明ビーム415(9)(エミッタチャネルとも呼ばれる)を円形視野454内に放出する。煩雑さを避けるために図4Aおよび図4Bには示さないが、各エミッタは、対応する照明ビームをその対応する視野内に放出し、結果として2Dアレイの視野(この例では、光エミッタアレイ410の、3×7アレイに配置された21個のエミッタに対応する21個の個別の視野)が照明される。
【0106】
エミッタによって照明される各視野は、測距データから生成される対応する3D画像内のピクセルまたはスポットと考えられ得る。各エミッタチャネルは、各エミッタに個別であり得、他のエミッタチャネルと非重複であり得る、すなわち、エミッタのセットと非重複の視野のセットとの間に1対1のマッピングがある。それゆえ、図4Aおよび図4Bの例では、システムは、3D空間内の21個の個別のポイントをサンプリングすることができる。より高密度のエミッタアレイを有することにより、または1つのエミッタが空間内の複数のポイントをサンプリングすることができるように、エミッタビームの角度位置を経時的にスキャンすることにより、ポイントの高密度サンプリングを達成することができる。
【0107】
各センサは、上述のエミッタのように、隣接するセンサからわずかにオフセットすることができ、各センサはセンサの前のシーンの異なる視野を見ることができる。さらに、各センサの視野は、例えば、それぞれのエミッタチャネルの視野と実質的に一致し、例えば重なり合い、同じサイズである。上述のエミッタと同様に、センサの視野は、アセンブリの回転によってスキャンされ得る。スキャンは、検流計、MEMSミラーを使用して、または何らかの他の方法でも達せられ得る。
【0108】
図4Aおよび図4Bでは、対応するエミッタ-センサチャネル間の距離は、視野内の物体までの距離に対して誇張されている。実際には、視野内の物体までの距離は、対応するエミッタ-センサチャネル間の距離よりもはるかに大きく、それゆえエミッタから物体までの光路は、物体からセンサまで戻る反射光路にほぼ平行である(すなわち、光はほとんど「後方反射」される)。したがって、システム400の前には、個々のセンサの視野と個々のエミッタの視野とが重なり合う距離の範囲があり、システムが深度情報を最も正確に決定することができるのは、この距離範囲を越えるところである。
【0109】
エミッタの視野はそれぞれのセンサの視野と重なっているため、各センサチャネルは理想的には、それぞれのエミッタチャネルを起源とし、理想的にはクロストークのない反射照明ビームを検出できる、つまり、他の照明ビームからの反射光は検出されない。例えば、エミッタ410(1)は、照明ビーム415(1)を円形視野452内に放出し、照明ビームの一部は、反射ビーム425(1)として物体460から反射する。理想的には、反射ビーム425(1)は、センサ420(1)のみによって検出される。それゆえ、エミッタ410(1)およびセンサ420(1)は、同じ視野(例えば、視野452)を共有し、エミッタ-センサペアを形成する。同様に、エミッタ410(9)およびセンサ420(9)は、エミッタ-センサペアを形成し、視野454を共有する。いくつかの実施形態では、エミッタアレイ410およびセンサアレイ420は、各エミッタ-センサペアの視野が(閾値距離を越えて)他のエミッタ-センサペアの視野と重なり合わないように(バルク光学系と併せて)設計および構成される。
【0110】
エミッタ-センサ対は、図4Aおよび図4Bでは、それぞれのアレイ内の同じ相対箇所にあるものとして示されているが、システムで使用される光学素子の設計に応じて、任意のエミッタを任意のセンサとペアにすることができる。いくつかの実施形態では、同一に配置されたエミッタ/センサペアの前に同一のバルク撮像光学素子を有することは、設計の単純さ/コストの観点から有利であり得る。
【0111】
測距測定中、LIDARシステムを取り巻く容積の周りに分布する様々な視野からの反射光が様々なセンサによって収集されて処理され、それぞれの視野内の任意の物体の範囲情報をもたらす。上記のように、正確にタイミングを合わせたパルスを光エミッタが放出し、ある経過時間の後にパルスの反射がそれぞれのセンサによって検出される、飛行時間技術を使用することができる。次に、放出と検出との間の経過時間と、既知の光速度とを使用して、反射面までの距離を計算する。いくつかの実施形態では、範囲に加えて、反射面の他の特性を決定するために、センサにより追加情報を取得することができる。例えば、パルスのドップラーシフトをセンサで測定し、センサと反射面との間の相対速度を計算するために使用することができる。
【0112】
いくつかの実施形態では、LIDARシステムは、エミッタチャネルおよびセンサチャネルの比較的大きな2Dアレイで構成され、ソリッドステートLIDARとして動作することができる、つまり、LIDARシステムは、エミッタおよび/またはセンサの方向をスキャンする必要なしに、範囲データのフレームを取得することができる。他の実施形態では、エミッタおよびセンサのセットの視野が、周囲容積の完全な360度領域(または360度領域の何らかの有用な部分)をサンプリングすることを確実にするために、エミッタおよびセンサをスキャンさせる、例えば軸を中心に回転させることができる。例えば、ある所定の時間にわたってスキャンシステムから収集された範囲データを、次に後処理して1つ以上のフレームのデータにし、これをさらに処理して、1つ以上の深度画像または3D点群にすることがでる。深度画像および/または3D点群をさらに処理して、3Dマッピングおよびナビゲーションアプリケーションで使用するためのマップファイルにすることができる。
【0113】
IV.統合アーキテクチャを有するLIDARユニット
図5A図5Bは、本開示のいくつかの実施形態による、360スキャンアーキテクチャを使用する回転LIDARシステム500を示す。いくつかの実施形態では、LIDARシステム500は、時計回りまたは反時計回りの方向に転回して車両の周りの周囲フィールドを観察する。システム500は、固定ベースハウジング502、光学的に透明な窓504、およびLIDARシステム500の内部構成要素の保護を提供する固定蓋506を含むことができる。窓504は、近赤外光の双方向送信を可能にするために、透明な材料から作製され得る。固定ベースハウジング502、窓504、および蓋506は、LIDARシステム500の内部構成要素を完全に閉囲し、要素から構成要素を保護する耐水性または防水システムハウジングまたは筐体508を構成する。ハウジング/筐体508は、例えば、図2Aに関して上述したハウジング220を表すことができる。いくつかの実施形態では、筐体は、図5Aに示されるように、概して円筒形状を有することができる。
【0114】
いくつかの実施形態では、窓504は、筐体508の周縁の全周に延在し、定置関係をなしてベースハウジング502および蓋506に取り付けられ得る。このような実施形態では、(図5Bに示される)光測距デバイス510は、窓504の背後の筐体508内で回転することができる。他の実施形態では、窓504は、光測距デバイス510と共に回転することができる。図5Aに示されるベースハウジング502、窓504、および固定蓋506の構成は、本開示の実施形態による筐体508の一例にすぎない。当業者は、LIDARシステム500に適した筐体の他の構成が可能であることを認識するであろう。異なる構成の一例として、蓋506は、窓504の一部であり得る。別の例として、窓504が光測距デバイス510と共に回転する実施形態では、窓504は、非透明な領域によって分離された2つ以上の別個の窓を含むことができる。例えば、いくつかの実施形態では、LIDARシステム500は、光トランスミッタと位置整合した第1の窓と、光レシーバと位置整合した第1の窓から離間した第2の窓と、を含むことができる。本明細書で使用される場合、「位置整合」は、光トランスミッタまたは光レシーバが窓を通して光を送信または受信することを意味する。
【0115】
システム500の内部構成要素(図5Aには図示せず)は、図3に関して説明したアクチュエータ310および光測距デバイス320などの回転アクチュエータおよび光測距デバイスを含むことができる。光測距デバイスは、窓504と位置整合することができ、回転アクチュエータによって転回されて、窓504を通してLIDARシステム500を取り囲むフィールドにパルスビームを投射し、同時に光測距デバイスは、時計回りまたは反時計回りの方向に連続的に360度転回している。次いで、フィールドから窓504を通して戻る反射光は、本明細書で説明するように、光測距デバイスによって検出され、フィールド内の物体までの距離を決定することができる。
【0116】
以下でより詳細に説明するように、回転LIDARシステム500は、高度に統合されたアーキテクチャを使用することができ、内部の機械要素および回路のための高度にコンパクトな構成を可能にする。したがって、本開示のいくつかの実施形態によるLIDARシステムの全体的なフォームファクタは、多くの既存のシステムよりも小さいことが可能であり、例えば、図5Aに見られるように、コーヒーマグ550の容積と同様かそれよりも小さい全体的な容積を有する。
【0117】
図5Bは、本開示のいくつかの実施形態による、統合された積層基板設計を強調するために、外側筐体/システムハウジング508(窓504および蓋506を含む)が取り外されたLIDARシステム500の実施形態を示す。図5Bに示されるように、回転LIDARシステム500は、光トランスミッタ512および光レシーバ514を含む光測距デバイス510を含み、光測距デバイス510は、光トランスミッタの第1のハウジング部分516と光レシーバの第2のハウジング部分518とを含むハウジング515内に取り付けられている。光測距デバイス510は、積層基板回転アクチュエータ520の回転端を形成するプリント回路基板522に、定置関係をなして機械的に接続されている。プリント回路基板524を含む、積層基板回転アクチュエータ520の定置側は、筐体のベース部分502に取り付けられている。
【0118】
以下でより詳細に説明するように、LIDARシステムの実施形態は、それらを非常にコンパクトな回転LIDARシステムに特に適したものにする、高度に統合された設計を具備する。LIDARシステムの様々な機能要素(機械式と電子式との両方)は、図5Bに示されるように、並列配置で積層された1つ以上の回路基板、例えば回路基板522、524、526、および528を含む積層回路基板アセンブリに統合されている。いくつかの実施形態では、電源システム、電気モータ、通信システム、およびLIDAR制御システムはすべて、積層板回転アクチュエータ520の1つ以上の積層平面回路基板に統合される。光測距デバイス510は、1つ以上のマルチピンコネクタなど(図示せず)によって上部基板522に都合よく取り付けられ得る。以下に詳述するように、基板は、中央シャフトが通過する中央開口を含むことができる。上部基板は、1つ以上のベアリングを介してシャフトの上部に取り付けられ得る。基板の各々は、基板の平坦な表面がシャフト、したがって回転軸に対して垂直をなして配置され得る。この構成の結果として、LIDARシステム内で向きが異なる複数の基板を使用する他のシステムに対して、組み立ておよびメンテナンスがはるかに簡単である。
【0119】
図6A図6Cは、本開示の様々な実施形態に従う、LIDARシステム600、650、および660の断面図を示す。より具体的には、図6A図6Cに示される個々の構成要素は、図3を参照して既に上述したものに概して対応し、図6A図6Cに示される図は、いくつかの実施形態による、様々な回路素子の幾何学的配置の例を提供する。図6Aおよび図6Bは各々、上部回路基板アセンブリと下部回路基板アセンブリとの間に光通信を使用する実施形態を示すのに対して、図6Cは、上部回路基板アセンブリと下部回路基板アセンブリとの間に誘導通信を使用する実施形態を示す。図6D図6Eは、いくつかの実施形態による個々の回路基板の表面の図を提供し、いくつかの個々の回路素子の周方向の同心配置をさらに例示している。
【0120】
ここで図6Aを参照すると、LIDARシステム500を表すことができるLIDARシステム600は、上部回路基板アセンブリ610および下部回路基板アセンブリ620のそれぞれとともに光測距デバイス602を含むことができ、その上部基板アセンブリ610は、基板アセンブリに対して垂直である軸605を中心に、下部回路基板アセンブリ620に対して回転する。回路基板アセンブリ610および620は、LIDARシステムの構成要素のすべてまたは本質的にすべてを保持するLIDARシステム600の各構造コンポーネントである。ツーピース設計により、システム600は、現在入手可能な多くのLIDARシステムと比較して、サイズが小さくなり、信頼性が向上し、システム600をより低いコストで製造することが可能になる。
【0121】
光測距デバイス602は、上部基板アセンブリ610の回路基板の1つに取り付けられて、光測距デバイスを上部基板アセンブリ610とともに回転させることができる一方、下部基板アセンブリ620は、各々がLIDARシステム600の固定ベースの一部であるベース604およびまたは側壁606に取り付けられ得る。上部回路基板アセンブリ610および光測距デバイス602の回転は、長手方向軸または回転605に沿って中心に置かれた中空シャフト606上に位置するベアリングシステム607によって可能とされる。
【0122】
アセンブリ610、620の各々は、互いに対して平行な関係で配置された2つ以上の積層された平面回路基板を含むことができる。示される特定の実施形態では、上部アセンブリ610は、ロータ通信基板612およびロータ制御基板614を含む一方、下部アセンブリ620は、ステータ通信基板622およびステータ制御基板624を含む。以下でより詳細に説明するように、電気モータは、エンコーダ、無線電力システム、および光通信システムとともに、基板アセンブリ上に直接統合できる。これらの同じ要素の多くまたはすべては、図6Bおよび図6Cにそれぞれ示されるLIDARシステム650および660の基板アセンブリ上にも統合されている。それゆえ、図6A図6Cの説明を簡略化し、繰り返しを避けるために、同様の参照番号は同様の要素を示すために使用され、このような同様の要素の説明は通常繰り返されない。
【0123】
LIDARシステム600のこの高度に統合された積層基板設計は、LIDARシステムの異なる機能要素の各々に多数のスタンドアロンモジュールを使用するシステムと比較して、アセンブリプロセスが大幅に簡略化されたシステムを提供する。代替実施形態では、本開示のLIDARシステムは、各々が単一の回路基板である上部基板アセンブリおよび下部基板アセンブリを含むことができ、積層基板設計をさらにいっそう単純化する。例えば、図6Bに示されるLIDARシステム650は、単一の下部回路基板652および単一の上部回路基板654を含む。
【0124】
図6A図6Cには明確に示されていないが、1つ以上のサポート電源回路、駆動/制御回路、および通信回路は、以下で説明するシステムの各々とペアを形成することができ、これらのサポートシステムを回転アクチュエータの1つ以上の回路基板上に統合することもできる。例えば、ステータのソレノイドに三相駆動電流を提供するためのモータドライバは、下部回路基板アセンブリ620の回路基板の表面に取り付けられ得る。電力駆動および調整回路は、無線電力送信コンポーネントとペアを形成し、上部基板アセンブリおよび/または下部基板アセンブリに取り付けられ得る。バッファ、LED/レーザ電流ドライバ、エンコーダ/デコーダ、クロック回復回路、光検出器駆動および調整回路などのデジタル通信システムのサポート回路も、回路基板アセンブリの1つ以上の基板に取り付けられ得る。これらの要素のいくつかは以下でさらに詳細に論じられるが、当業者は、本開示の範囲から逸脱することなく、標準の回路構成要素の任意の数の配置および構成を使用できることを理解するであろう。いくつかの実施形態では、回転対称光アップリンク、無線電力回転変圧器、ブラシレスdcモータ、およびロータリエンコーダの性質のため、シャフトの周囲のこれらのサブシステムの同心配置を使用することができる。
【0125】
V.光リンク
1.統合された中心光ダウンリンク
いくつかの実施形態では、中空シャフト606は、基板アセンブリの各々を支持する中心構造部材として作用することができるだけでなく、データ、例えば、測距および/または動作データを、タレットアセンブリから、下部回路基板アセンブリ620(ベースシステムとも呼ばれる)に位置する制御および処理回路に提供するためのダウンリンク光通信チャネル(「ダウンリンクチャネル」)のハウジングとしても作用する。光ダウンリンクチャネルは、光ダウンリンクトランスミッタ626および光ダウンリンクレシーバ628を含むことができ、その各々を回転軸605に沿って中心に置くことができる。光ダウンリンクトランスミッタ626は、上部回路基板アセンブリ610の回路基板の表面に直接取り付けられる(例えば、はんだ付けされる)ことが可能であり、光ダウンリンクトランスミッタ626が中空シャフト606の中心穴または開口部を通して光を送信することができるように位置付けられ得る。同様に、光ダウンリンクレシーバ628は、下部回路基板アセンブリ620の回路基板の表面に直接取り付けられる(例えば、はんだ付けされる)ことが可能である。光ダウンリンクレシーバ628は、光ダウンリンクレシーバ628が光ダウンリンクトランスミッタ626から送信される光信号を受信することができるように、シャフトの下端に位置付けられ、光ダウンリンクトランスミッタ626と位置整合し得る。
【0126】
回転アクチュエータの光アップリンクに使用される光トランスミッタおよびレシーバは、任意の好適な光エミッタまたは検出器であり得る。例えば、IR LED、レーザダイオード、VCSELなどを光エミッタに使用することができる。同様に、任意の好適な光検出技術を、フォトダイオードなどのレシーバに使用することができる。
【0127】
2.統合された光アップリンク
光アップリンクチャネルは、複数の光アップリンクトランスミッタ642の周方向配置と、複数の光アップリンクレシーバ632の相補的な周方向配置と、の間に形成され得る。光ダウンリンクトランスミッタ/レシーバペアと同様に、個々の光アップリンクトランスミッタおよび光アップリンクレシーバは、それぞれ下部回路基板アセンブリおよび上部回路基板アセンブリのそれぞれの回路基板に直接取り付けられる(例えば、はんだ付けされる)。下部回路基板アセンブリ上に配設された光通信コンポーネントは、本明細書では「ベース光通信コンポーネント」とも呼ばれる。上部回路基板アセンブリまたはタレット上に配設された光通信コンポーネントは、本明細書では「タレット光通信コンポーネント」とも呼ばれる。有利には、中空シャフト606の壁は、アップリンクチャネルとダウンリンクチャネルとの間の光学的分離を提供し、したがってクロストークを最小限に抑える。
【0128】
周方向配置の個々のエミッタおよびレシーバは、単一の複合レシーバおよび単一の複合トランスミッタとしてともに機能するように互いに結合される。例えば、システムが回転するため、光アップリンクレシーバの全配置によって検出されるアップリンク信号の全体の光強度は、個々のエミッタ/検出器が互いに通過する際に、わずかしか変化しない。さらに、複合トランスミッタの個々のトランスミッタの数は、複合レシーバの個々のレシーバの数と同じであるか、または異なることができる。
【0129】
回転アクチュエータの光アップリンクに使用される光トランスミッタおよびレシーバは、任意のタイプの光エミッタまたは検出器であり得る。例えば、複合光トランスミッタとして、IR LED、レーザダイオード、VCSELなどのリングを使用することができる。同様に、任意の好適なタイプの光検出技術をレシーバに使用することができ、例えば、フォトダイオードのリングなどを複合光レシーバとして使用することができる。加えて、光アップリンクに使用される光トランスミッタおよびレシーバは、ダウンリンクに使用されるものと同じまたは異なるタイプ(例えば、電源および波長)であり得る。
【0130】
光アップリンクトランスミッタ642の周方向配置の例が図6Dに示されており、それは、固定回路基板(例えば、図6Aの回路基板622)の上面図を例示している。この例では、中心穴672の周囲に周方向に配置された6つの光アップリンクトランスミッタ642がある。6つのトランスミッタは、中心が、シャフトの中心(それゆえ穴672の中心)に位置し、かつ回転軸と重なり合う円674の周囲で等間隔をなす。
【0131】
回転基板(例えば、図6Aの回路基板612、または図6Bの回路基板654)の対向する表面は、図6Eに示されるように、光アップリンクレシーバ632の対応する周方向配置を含み、それは、いくつかの実施形態による、回転回路基板の底面図を例示している。この例では、中心穴672の周囲に周方向に配置された7つの光アップリンクレシーバがある。7つのレシーバは、中心がシャフト(図示せず)の中心に位置し、したがって回転軸と重なり合う円684の周囲で等間隔をなす。したがって、基板が回転すると、光アップリンクレシーバ632の配列は、回転軸を中心に回転する。円684の半径は円674の半径と同じであるため、トランスミッタはレシーバと位置合わせされており、回転は時間の経過とともに平均信号のわずかな上昇および下降をもたらすだけであり、周波数はタレットシステムの回転周波数の倍数である。信頼性を有するアップリンクチャネルに必要であるトランスミッタの数は、トランスミッタの公称電力、ならびに各トランスミッタから放出される光コーンの発散の両方に依存する。理想的には、回転基板の前面でのトランスミッタ光のスポットサイズは、回転基板が回転する際に個々のスポットが重なり合い、レシーバの集合から見た平均強度の全体的な変化が指定値を下回る。
【0132】
図6Dおよび図6Eは、中空シャフト606内に光ダウンリンクチャネルが形成され、複数の光アップリンクトランスミッタの周方向配置と、シャフトの外側に配設された複数の光アップリンクレシーバの相補的な周方向配置と、の間に光アップリンクチャネルが形成される実施形態を表すが、他の実施形態では、光チャネルの他の配置が可能である。例えば、いくつかの実施形態では、アップリンクチャネルを中空シャフト606内に形成することができ、ダウンリンクチャネルをシャフトの外側に形成することができる。さらに他の構成では、ダウンリンクチャネルとアップリンクチャネルとの両方を、シャフト606の内側に(例えば、別個の光ガイドを使用して)形成することができるか、またはダウンリンクチャネルとアップリンクのチャネルとの両方を、光学コンポーネントの別個の周方向配置でシャフトの外側に形成することができる。
【0133】
VI.誘導通信リンク
図6Cを再度参照すると、図6Cは、上部回路基板アセンブリと下部回路基板アセンブリとの間の誘導通信システム666、668を使用する実施形態を示す。この例では、データのアップリンクおよびダウンリンクは、示されるように、下部回路基板アセンブリおよび上部回路基板アセンブリにそれぞれ取り付けられたコイルのペア666a~eおよび668a~eによって提供される。コイルは、データラインおよびクロックラインの両方を含むことができる。各コイルは、それぞれの回路基板の表面に取り付けられたそれら自体である上部コイルハウジング666および下部コイルハウジング668などのハウジングの別のチャネル、例えば円形チャネル内に埋め込むことができる。いくつかの実施形態では、複数の誘導データ線に使用されるいくつかのコイル、例えば、ダウンリンクチャネル1トランスミッタコイル666bおよびダウンリンクチャネル1レシーバコイル668b、ダウンリンクチャネル2トランスミッタコイル666c、ならびにダウンリンクチャネル2レシーバコイル668cがあり得る。いくつかの実施形態において、ダウンリンククロック信号は、別のコイルペア、例えば、ダウンリンククロック送信コイル666aおよびダウンリンククロックレシーバコイル668aを介して送信され得る。同様に、データアップリンクチャネルは、1つ以上のペアのコイルから、例えばアップリンクトランスミッタコイル668dおよびアップリンクレシーバコイル666dにより、形成することができる。ダウンリンクと同様に、データアップリンククロック信号は、一ペアのコイル、例えば、アップリンククロックトランスミッタコイル668eおよびアップリンククロックレシーバコイル666eから形成される、専用チャネルを有することもできる。
【0134】
いくつかの実施形態では、誘導通信リンクの使用は、光学構成に勝るいくつかの利点を提供することができ、(1)中空シャフト606の、構築するのがより単純かつ容易である中実シャフト665との交換、(2)いくつかの状況にでは、誘導コイルの配置により、機械的な位置整合に必要な厳格な許容誤差が少なくなり、それゆえ製造コストが低いことが可能である、(3)基板間で複数の情報チャネルをやり取りするためのより簡易な構成、(4)データと共にクロックを渡すことができるため、クロックおよびデータリカバリ(CDR)チップの必要性が除去される、(5)マルチチャネル(パラレル)データ送信ライン配置を提供することにより、帯域幅のスケーリングを可能にすることができる、(6)基板間で別個のクロック信号を分配することにより、下部基板アセンブリ(ステータ)と上部基板アセンブリ/光測距ユニット(ロータ)との間で確定的なタイミング動作を達成することができる、を含む。
【0135】
図6Cは、5つのコイルペアを有する実施形態を示しているが、本開示の範囲から逸脱することなく、任意の数のコイルペアを実装することができる。例えば、1つのデータアップリンクチャネルおよび1つのダウンリンクチャネルのみを有する2コイルペア構成を実装することができる。この場合、クロック信号は、アップリンクチャネルを介して提供され得、ダウンリンククロックは、このアップリンククロック信号から導出され得る。他の実施形態では、3つのコイルペアを使用することができ、1つはアップリンクデータ用、1つはダウンリンクデータ用、もう1つはアップリンククロック信号用であり、ダウンリンククロック信号はアップリンククロック信号から導出される。アップリンククロック信号チャネルとダウンリンククロック信号チャネルとの両方を提供する4つのコイルペア構成も可能である。上記のすべてに加えて、本開示の範囲から逸脱することなく、任意の数のデータチャネルを使用することができる。
【0136】
VII.統合された電気モータ
特定の実施形態によれば、電気回転モータを回路基板上に直接統合することができる。モータは、対向するステータ基板上の平面ステータアセンブリに対向するロータ基板上の平面ロータアセンブリを有する「パンケーキ」または「軸方向」設計を有することができる。電気モータのステータアセンブリおよびロータアセンブリは、回転アクチュエータ608の基板上に統合され得、すなわち、電気モータの要素は、プリント回路基板の表面上の多くの構成要素の1つであり、それゆえ、LIDARシステム600に別個のモータモジュールは必要とされない。例えば、図6Dを再度参照すると、ステータアセンブリ644は、ステータ要素644(i)、例えば、(接着剤を使用して)下部回路基板アセンブリ620の基板(例えば、基板622)に、または軟磁性コアに固設され、次いで、下部回路基板アセンブリ620に固設される、垂直に配向されたソレノイド(基板の表面に対して垂直な、ソレノイドの長手方向軸を有する)の環状配置を含むことができる。ステータ要素の例は、図6Dの上面図に示されている。各ステータ要素644(i)は、磁性材料、例えばフェライトなどのコア644bを中心に巻かれたソレノイドコイル644aを含むことができる。コイルは、ソレノイドを出る磁場が回路基板の平面に実質的に垂直である方向に実質的に配向されるように配向される。図6Dに示される実施形態では、ステータアセンブリ644は、互いに等間隔に離間した18個の個々のステータ要素644(i)を含むが、本開示の実施形態は、任意の特定の数のステータ要素を有するステータアセンブリに限定されず、他の実施形態は、より少ないまたはより多い個々のステータ要素644(i)を含むことができる。例えば、いくつかの実施形態では、ステータアセンブリ644は、環状配置で少なくとも12個の個々のステータ要素644(i)を含む。また、いくつかの実施形態では、ステータアセンブリ644内の個々のステータ要素644(i)の数は3の倍数であり、モータドライバ回路およびコントローラ(図6Dに示さず)は、基板622の回転速度、それゆえ、光測距デバイス602の回転速度を制御するために、三相交流信号をステータアセンブリ644に提供する。
【0137】
モータステータアセンブリ644に正対して配置されており、上部回路基板アセンブリ610の基板に取り付けられているのは、モータロータアセンブリ634である。いくつかの実施形態では、図6Eに示される基板図により詳細に示されるように、モータロータアセンブリ634は、永久磁石634(i)の環状配置を含む受動素子であり得、それらの極は、ステータアセンブリの様々なソレノイドコイルの開口部に順番に対向して開口部を誘引するために交互のパターンで配置されている。それゆえ、図6Eに示されるように、各個々の磁石634aは、その隣接する磁石634bと対向して配置されたその極を有することができ、各個々の磁石634bは、その隣接する磁石634aと対向して配置されたその極を有することができる。また、図6Eに示されるステータアセンブリ644の実施形態は、互いに等間隔をなして離間した24個の個々の磁石634(i)を含むが、本開示の実施形態は、特定の数の要素を有するロータアセンブリに限定されず、他の実施形態は、より少ないまたはより多い個々の磁石634(i)を含むことができる。さらに、図6Dおよび図6Eに見られるように、モータステータアセンブリ644およびモータロータアセンブリ634は、ステータの円およびロータの円の両方が同じ半径および中心位置を有する全体的に円形リング形状を有することができる(例えば、両方のリングは、シャフトを中心とすることができる)。
【0138】
図6Dおよび図6Eに示される実施形態は、永久磁石であるロータ要素およびソレノイドコイルであるステータ要素を使用するが、本開示の範囲から逸脱することなく、対向する構成を使用することもできる。例えば、ロータ要素としてソレノイドを使用することができ、ステータ要素として永久磁石を使用することができ、その場合、ステータ要素への電力は、以下で説明する無線電力送信システムによって提供することができる。加えて、特定の実施形態では、ロータ/ステータ要素として永久磁石を使用するのではなく、電磁石を使用することができる。本開示の利益を有する当業者は、PCB搭載ブラシレスDCモータの任意の実装を使用することができ、例えば、ソレノイドコイルおよび永久磁石要素の任意の非接触構成を使用することができ、基礎となるハードウェアの回転運動を実装する任意の駆動スキームを、本開示の範囲から逸脱することなく使用することができることを理解するであろう。
【0139】
VIII.統合された無線電力送信システム
回転する上部回路基板アセンブリ610に接続された回路要素に電力を提供するために、回転アクチュエータ608は、本明細書では回転変圧器とも呼ばれる無線電力システムを含む。無線電力システムは、無線電力トランスミッタ648を含む無線電力送信サブシステムと、無線電力レシーバ638を含む無線電力受信サブシステムと、を含む。無線電力トランスミッタ648は、例えば、図6Dに示されるように、下部回路基板アセンブリ620の回路基板(例えば、基板622)の表面に取り付けられた、円形ループアンテナの形態をなすトランスミッタコイル(例えば、シングルターンまたはマルチターンのコイル)であり得る。同様に、無線電力レシーバ638は、図6Eに示されるように、上部回路基板アセンブリ610の回路基板(例えば、基板612)の表面に取り付けられた、円形ループアンテナの形態をなすレシーバコイル(例えば、シングルターンまたはマルチターンのコイル)であり得る。無線電力トランスミッタ648および無線電力レシーバ638の両方の中心は、中空シャフト606の中心に位置付けられ、したがって、光学エンコーダリング、電気モータアセンブリ、および光学アップリンクレシーバ/トランスミッタと同心である。有利には、無線電力トランスミッタおよびレシーバは、基板622および612の最も外側の領域に配置されて、電力伝送効率を最大化し、かつLIDARシステム環境または内部からの光を光エンコーダ、アップリンクまたはダウンリンクに到達しないように有利に遮断する円形ループの面積(したがってインダクタンス)を最大化することができる。
【0140】
いくつかの実施形態では、無線電力トランスミッタ648および無線電力レシーバ638は、それぞれの基板の環状領域内に配置されており、環状領域の壁および底は、磁性材料、例えばフェライトなどから形成されている。例えば、図6Eは、フェライト壁686および688(図6A図6Cには図示せず)および閉塞されたフェライト底部から形成される環状領域内に配設された無線電力レシーバ638を示す。フェライト材料のこのような配置は、図6Fに表されており、これは、フェライト壁686、688および下部フェライト壁690によって画定される環状チャネル内に配置されたマルチコイル無線電力レシーバ638の一部の簡略化された断面図である。図6Fに示される配置は、トランスミッタとレシーバとの間に磁場を通して、電力伝送効率を改善し、システムから漏れる電磁放射を低減することに役立つ。
【0141】
IX.統合された光学エンコーダ
回転アクチュエータ608は、下部回路基板アセンブリ620に対する上部回路基板アセンブリ610の角度位置の読み出しを可能にする、統合された光学エンコーダアセンブリをさらに含む。光学エンコーダアセンブリは、パターン化された環状光学エンコーダ646と、例えば、システムが回転する際にロータリエンコーダ検出器636を通過するパターンの数を検出およびカウントすることによりアセンブリの角度位置を読み取るためのロータリエンコーダ検出器636を含む。特定の実施形態では、ロータリエンコーダ検出器636は、LEDなどの照明デバイスと、環状光学エンコーダのパターン化された表面を照射および検出するためのフォトダイオードまたは撮像検出器などの検出器と、を含むことができる。いくつかの実施形態では、環状光学エンコーダは、円環上の一意の位置で発生する開始コードを含むことができ、または絶対エンコーディングパターンを提供し、それにより絶対角度配向測定を可能にする。いくつかの実施形態では、エンコーダシステムは、本質的に光学的ではなく磁気的であり、同様に位置付けられた磁気エンコーダストリップおよび磁気エンコーダリーダに依存する。
【0142】
いくつかの実施形態では、環状光学エンコーダ646は、下部回路基板アセンブリ620の回路基板(例えば、基板622)の表面に取り付けられることが可能であり、ロータリエンコーダ検出器636は、ここに図示するように、上部回路基板アセンブリ610の表面(例えば、基板612)に取り付けられることが可能であり、またはその逆も可能である。環状光学エンコーダ646は、どちらの基板上に配置されるかに関わらず、その中心が中空シャフト606の中心にあるように配置されることが可能であり、したがって、例えば図6Dに示されるように、電気モータアセンブリおよび光アップリンクレシーバ/トランスミッタの両方と同心である。いくつかの実施形態では、ロータリエンコーダ検出器636は、例えば図6Eに示すように、環状光学エンコーダ646の上方のどこか回転回路基板上に位置付けられる。
【0143】
有利には、エンコーダアセンブリは、無線電力送信システムと電気モータアセンブリとの間に配置されて、エンコーダ検出器と光学アップリンクシステムのトランスミッタとの間の光学的分離を最大化することができる。図6Aの例に示すように、いくつかの実施形態では、環状光学エンコーダ646は、回転アクチュエータ606のステータ側にあり、ロータリエンコーダ検出器636はロータ側にあり得る。これは、回転アクチュエータの非標準的な構成であるが、LIDAR用途にはこの構成が有利である。例えば、このようにロータリエンコーダ検出器636と光測距システム602との間の回転接続を除去することにより、2つのシステム間の低遅延接続の実装を実施することができる。LIDAR用途では、ロータリエンコーダ検出器636の角度位置測定値を迅速に取り込むため、および現在の測距情報をロータの現在の角度位置と相関させて空間精度を高めるために、低遅延接続が重要になり得る。
【0144】
X.組み立て方法
図7図8は、特定の実施形態による組み立てプロセスを例示するためのLIDARシステムの分解図を示す。図7は、下部回路基板アセンブリ(本明細書ではベースアセンブリとも呼ばれる)の機械的アセンブリを例示している。図8は、上部回路基板アセンブリの機械的アセンブリと、下部回路基板アセンブリおよび光測距デバイスの両方へのその取り付けとを例示しており、それにより、完全なLIDARシステムを形成する。
【0145】
1.下部回路基板アセンブリの組み立て
図7は、特定の実施形態によるコンパクトLIDARシステムの組み立てプロセスを例示するための、下部回路基板アセンブリ700の分解図を示す。図7に示される実施形態では、下部回路基板アセンブリ700は、図6Aを参照して上述したものと同様の2基板構成である。具体的には、下部回路基板アセンブリ700は、本明細書ではベース制御基板720およびステータ基板730と呼ばれる、第1のサブ基板および第2のサブ基板を含む。いくつかの実施形態では、図6Aに示されるように、ベース制御基板720およびステータ基板730は、それぞれ基板643および基板641に対応する。
【0146】
下部回路基板アセンブリ700の組み立ては、ベース制御基板720がねじ728によってベースハウジングユニット710に機械的に取り付けられることで開始され得る。図3および図6Aを参照して既に上述したように、ベース制御基板は、ベースコントローラ366と同様のベースコントローラを含む、いくつかの回路要素を含むことができる。サポート回路、例えば、光通信システム、無線電力送信システム、およびロータリエンコーダシステムの要素のドライバも、ベース制御基板上に含められ得る。光ダウンリンク通信チャネルを可能にするために、光ダウンリンクレシーバ722は、図6Aを参照して上述したように、基板の中央領域のベース制御基板720の上面に取り付けられ(例えば、はんだ付けされ)得る。
【0147】
いくつかの実施形態では(例えば、図6Bを参照して上述したように)、光ダウンリンクレシーバ722および他のサポート回路要素は、ステータ基板730上に直接統合され、それによって別個のベース制御基板720の必要性を排除する。このような場合、下部回路基板アセンブリ700の組み立ては、熱拡散要素725をベース710に直接取り付けることによって開始することができ、またはベースまたは熱拡散要素725を使用しない場合、組み立ては、ステータ基板730を設置することによって開始することができる。
【0148】
ベース制御基板720がベース710に取り付けられた後、シャフト715は、ねじ706を使用して、ベース制御基板720に取り付けられ得る。いくつかの実施形態では、シャフト715をベース710に直接取り付けて、ベアリングシステムを介して上部回路基板アセンブリからベース710への熱の熱伝導を改善することができる(以下の図8Aおよび図8Bにより詳細に示す)。図6A図6Bを参照して上述したように、シャフト715は、その長さにわたって、光ダウンリンクチャネルに開いた光路を提供する中央穴716を含むことができる。したがって、シャフト715は、ベース710の概して中心近くに位置する光ダウンリンクレシーバ722の上に直接配置され得る。いくつかの実施形態では、ベース制御基板712またはベース710の外周の形状に関わらず、シャフト715は、システムの回転軸705を画定する。それゆえ、シャフト715の位置は、ベース制御基板720の中心またはベース710の中心に直接ある必要はない。
【0149】
シャフト715がベース制御基板710に取り付けられた後、熱拡散要素725は、1つ以上のねじ716によってベース制御基板720に取り付けられ得る。いくつかの実施形態では、熱拡散要素725は、高い熱伝導率を有する材料(例えば、アルミニウムなど)から作製され得る。加えて、熱拡散要素725と基板との間に、伝導熱経路を提供しながら電気的短絡を防止するための1つ以上の介在する熱発泡パッドが存在してもよい。いくつかの実施形態では、熱拡散要素725は、ステータ基板730の下面の1つ以上の部分とベース制御基板720の上面の1つ以上の部分とに熱接触し、それによってこれらの基板の回路要素からの集中した熱が基板間により均等に分布するための熱経路を提供する。その周辺で、熱拡散要素725はまた、ベース710の側面と熱的に接触し、それゆえ、熱が基板からベース710に、そして最終的にはシステムの外に伝導されるための改善された熱経路を提供してもよい。
【0150】
熱拡散要素725を固定した後、ステータ基板730は、ねじ736によって取り付けられ得る。いくつかの実施形態では、ステータ基板730は、1つ以上のマルチピン電気コネクタ(例えば、下部コネクタ724および726)によってベース制御基板720に電気的に接続され得る。いくつかの実施形態では、基板間の物理的接続は、ステータ基板730とベース制御基板720との間に機械的接続圧力を加えることにより(例えば、ステータ基板をベース710に取り付けられた後にベース制御基板に押し付けることにより)行われる。接続圧力は、ステータ基板730をベース制御基板720に固定するために使用されるねじ736によって、システムの寿命にわたって維持され得る。
【0151】
組み立てられてベース710に固定されると、1つ以上の任意のカラーカメラ732をステータ基板730の周囲に配置して、1つ以上の撮像開口712を通るベース710からの明確な視覚経路を有することができ、いくつかの実施形態では、撮像を支援するために、開口をクリアすることができるか、または1つ以上の光学要素を包含することができる。他の実施形態では、カラーカメラ732は、ステータ基板730に取り付けられるのではなく、ベース710に直接取り付けられ得る。カラーカメラ732は、LIDARシステムによって蓄積されたLIDARデータを、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる、「Augmenting Panoramic LIDAR Results with Color」と題する米国特許出願第15/980,509号に説明されている静止フレームおよび/またはビデオなどのカラー撮像データで補うことを可能にする。
【0152】
2.上部回路基板アセンブリの組み立ておよび下部回路基板アセンブリへの取り付け
図8Aは、本開示のいくつかの実施形態によるLIDARシステムの組み立てプロセスを例示するためのコンパクトLIDARシステム800の分解図である。LIDARシステム800は、例えば、図5Aに示されるLIDARシステム500であり得る。LIDARシステム800は、図7に関して上述した下部回路基板アセンブリ700、上部回路基板アセンブリ810、光測距デバイス820、および筐体830を含む。図8Aに示されるように、LIDARシステム800は、上部回路基板アセンブリ8を含む。
【0153】
図8Aに示されるように、上部回路基板アセンブリ810は、図6Aを参照して上述したものと同様の2基板構成であり、測距デバイス制御基板840およびロータ基板850を含む。いくつかの実施形態では、測距デバイス制御基板850およびロータ基板730は、それぞれ、図6Aを参照して上述したステータ制御基板624およびロータ制御基板614に対応する。
【0154】
ロータ基板850は、ロータ基板850の分解図である図8Bに示されるベアリングアセンブリ860を含む。ベアリングアセンブリ860は、T字型ベアリングハウジング865の両端に挿入されたベアリング862および864を含む。次いで、T字型のベアリングハウジング865は、ねじ866でロータ基板850に取り付けられ得る。
【0155】
ロータ基板850は、シャフト715の上にT字型ベアリングハウジング865の中央部分をはめ込むことにより、組み立てられた下部回路基板アセンブリ700の上に配置され得る。次いで、T字型ベアリングハウジング86の上面の円形中央凹部854に円形ナット852をはめ込み、シャフト715の最上部にねじ込んで、ロータ基板850を下部回路基板アセンブリ700に定置させて取り付けることができる。上記で論じたように、シャフト715とベアリング862および864との間で行われる回転可能な結合に起因して、ロータ基板850は、下部回路基板アセンブリ700に対して回転することができる。
【0156】
次いで、測距デバイス制御基板840に下向きの圧力を加えることにより、測距デバイス制御基板840を回転基板850に連結することができる。測距デバイス制御基板840とロータ基板850との間の電気的接続を提供するために、測距デバイス制御基板840の下面(図8Aでは見えない)とロータ基板850の上面(例えば、コネクタ856)とに1つ以上の電気コネクタを取り付けることができる。次いで、測距デバイス制御基板840を、ねじ846を使用してロータ基板850に固定することができる。
【0157】
3.レーザ測距デバイスの回転アクチュエータへの取り付け
上部回路基板アセンブリが組み立てられて下部回路基板アセンブリに固定されると、光測距デバイス820を、測距デバイス制御基板840の上面に電気的に接続することができ、それにより光測距デバイスがT字型ベアリングハウジング865に機械的に接続される。光測距デバイス820は、Txモジュール822およびRxモジュール824を含み、これらの各々は、光測距デバイス制御基板840の上面上に配設された対応するコネクタ844および846と嵌合する専用の電気コネクタを有することができる。システム内の他の基板と同様に、構成要素に押圧力を加えることによって、光測距デバイス820を組み立てられたシステムの残部に接続することが達成され得る。接続が行われると、示されるように、光測距デバイス820のいずれの側にも取り付けられたねじ826によって押圧力を維持することができる。加えて、アセンブリにさらなる構造を提供するために、U字形ブラケット828を追加のねじ826で光測距デバイス820に固定することができる。
【0158】
すべての内部構成要素が組み立てられると、筐体830をアセンブリ全体の上に降下させ、例えば、1つ以上のねじ、ならびにより堅牢なシールを達成することが必要とされる場合は接着剤を使用して、ベース700に固設する。筐体830は、Txモジュール822からのレーザパルスをLIDARシステムから周囲環境内に投射することを可能にし、パルスからの反射光および散乱光をRxモジュール824を介したLIDARシステムによって受信することを可能にする、図5に関して上述したような光学的に透明な窓を含むことができる。
【0159】
上述の組み立て工程では、単に例のために、ねじおよびブラケットの様々な配置が開示されている。コンパクトLIDARシステムの実施形態は、図7図8に示されるものと同一であるねじ配置と、接着剤、変形可能なピンまたはラッチ、リベット、または溶接を含む、任意の数、配置、およびタイプのファスナと、を使用することは必要とされず、本開示の範囲から逸脱することなく使用され得る。
【0160】
XI.光学素子およびオプトエレクトロニクス
図9A図9Cは、特定の実施形態による光測距デバイス900の斜視図、正面図、および拡大正面図をそれぞれ示す。光測距デバイス900は、図1図6を参照して上述した実施形態、例えば、図3を参照して上述した光測距デバイス320、または図5に関して説明した光測距デバイス510に対応することができる。光測距デバイス900は、2つの主要モジュール、すなわち、2つのレンズ管、例えばトランスミッタレンズ管912および検出器レンズ管922を含む共通のハウジングまたはマウント905内で互いに離間した光送信(Tx)モジュール910および光感知(Rx)モジュール920、を含む。光Txモジュールおよび光Rxモジュールは各々、例えば、バルク光学モジュールを適切なレンズ管内にスライドさせることによってそれらのそれぞれのセンサ/エミッタの前に配置されるバルク光学素子モジュール(図示せず)を含む。バルク光学素子モジュールについては、以下でより詳細に説明する。送信側には、Tx側のバルク光学素子モジュールの背後に、任意でTx側のマイクロ光学素子アセンブリが位置する。マイクロ光学素子アセンブリの詳細は、図10図11を参照して以下に述べる。任意の送信側マイクロ光学素子アセンブリの背後には、エミッタアレイ914、例えば、InGaAs上に製造されたモノリシックシングルチップNIR VSCELアレイなどがある。検出器側には、Rx側のバルク光学素子モジュールの背後に、Rx側のマイクロ光学素子アセンブリがあり、これも図10図11を参照して以下でより詳細に説明する。Rx側マイクロ光学素子アセンブリの背後には、シングルチップ検出器アレイとASICとの組み合わせ924、例えば、CMOSプロセスで製造されたモノリシックシングルチップNIR SPADアレイなどがある。
【0161】
Rxモジュール920とTxモジュール910との両方は、それぞれ、例えば、電圧レギュレータ、VCSEL電流ドライバなどの光測距デバイスのための追加のサポート回路を含む回路基板926および916によって支持されている。例えば、回路基板926は、SPADからの信号をカウントして時間ビンのヒストグラムに含めるための回路を含むことができ、これは時間デジタル変換器によって指定されてもよい。回路基板926は、ヒストグラムを分析して受信時間を決定するための整合フィルタリングを含むこともできる。いくつかの実施形態では、(例えば、補間などの高度なフィルタリングを実行するための)FPGAなどのプログラム可能な計算要素が、Rxモジュール920に動作可能に接続されてもよい。
【0162】
図9A図9Bには示されていないが、FPGAは、例えば、ブラシレスモータのロータハーフ、回転変圧器パワーリンクの受信側、回転光アップリンクの受信側、および回転光ダウンリンクの送信側を含む、上述した回転アクチュエータの上部基板アセンブリの1つ以上の基板上に位置し得る。これらの要素をまとめて、本明細書ではLIDARシステムのタレットアセンブリと呼ぶ。特定の実施形態では、タレットアセンブリは、1Hz~30Hzの周波数で転回し、一定の角度間隔で距離測定を行うことができる。一実施形態では、所与の全回転(「フレーム」)について、64×2048の解像度の深度画像を生成することができるが、ユーザは、デバイスの動作パラメータを変更することによって他の解像度を選択してもよい。いくつかの実施形態では、LIDARシステムは、毎秒2,621,440ポイント(距離測定)を取得することができる。
【0163】
1.TxモジュールおよびRxモジュールの光学系
図10は、本開示のいくつかの実施形態による光測距デバイス1000の光学ブロック図を示す。図10に示されるように、光測距デバイス1000は、光送信(Tx)モジュール1010および光感知(Rx)モジュール1040を含む。光送信モジュール1010は、Txモジュール910を表すことができる一方、光感知モジュール1040は、Rxモジュール920を表すことができる。本開示の実施形態は、図10に示される特定の光学構成に限定されない。他の実施形態では、光送信モジュール1010および光感知モジュール1040は、より少ない、より多い、または異なる光学コンポーネントを含むことができる。光送信モジュール1010および光感知モジュール1040の他の構成の非限定的な例は、2018年5月14日に出願された「Optical Imaging Transmitter with Brightness Enhancement」と題する米国特許出願第15/979,235号、および2018年5月14日に出願された「Spinning LIDAR Unit with Micro-optics Aligned behind Stationary Window」と題する米国出願第15/979,266号に述べられており、これらの各々の開示は、あらゆる目的で全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0164】
光測距デバイス1000の実施形態は、例えば図5A図5Bを参照して上述されたように、本明細書に開示されているコンパクトなLIDARシステム内で使用され得る。Txモジュール1010は、例えば、上記の図1A図1Bおよび図4に示されるように、例えば2nm、1nm、0.5nm、0.25nm、またはそれより小さいスペクトル幅を有するNIR光の狭帯域光のパルスを1つ以上の視野内に送信することにより、LIDARシステムの周囲の領域内の物体のアクティブな照明を提供する。Rxモジュール1040は、シーン内の物体によって反射される、送信された狭帯域光の反射部分を検出する。
【0165】
図10に示されるように、Txモジュール1010は、TX側マイクロ光学素子パッケージ1020およびバルク光学素子1030を含むことができる。TX側マイクロ光学素子パッケージ1020は、複数の光エミッタ1022を含み、任意で、マイクロレンズ層1024および開口層1026を含む。エミッタ1022は、トランスミッタチャネルの一次元アレイまたは二次元アレイ、例えば、ボックス領域に示されたチャネル1025に配置され得る。トランスミッタチャネルの各トランスミッタチャネルは、狭帯域光を放出することができる1つ以上の光エミッタ1022、例えばNIR VCSELなどと、任意でのレンズ層1024からのマイクロレンズおよび開口層1026からの開口と、を有する。
【0166】
トランスミッタの各トランスミッタから放出された光は、Tx側マイクロ光学素子レンズ層1024のマイクロ光学素子のうちの1つに近づくにつれて発散する。マイクロレンズ層1024からのマイクロレンズは発散光をキャプチャし、マイクロ光学素子のアレイおよびエミッタのアレイの位置に対応する開口のアレイを含む開口層1026の開口と一致する焦点面に発散光を再集束する。開口アレイ1026は、システムにおけるクロストークを低減することができる。マイクロレンズを出た後、集束した光は再び円錐の形態に発散し、次いでTx側のバルク撮像光学モジュール1030に衝突する。Tx側バルク撮像光学モジュール1030の詳細は、以下でより詳細に論じられる。
【0167】
いくつかの実施形態では、マイクロレンズ層1024とTx側バルク撮像光学素子モジュール1030との間の分離は、それらの焦点距離の合計に等しく、これにより開口アレイ1026で集束された光は、Tx側バルク撮像光学素子モジュール1030の出力にコリメートされた光として現れ、コリメートされた各光線束は異なる角度でTx側バルク撮像光学素子モジュール1030を出る。したがって、各エミッタからの光は、デバイスの前方の異なる視野に向けられる。いくつかの実施形態では、Tx側バルク撮像光学素子1030は、レンズのVCSEL側でテレセントリックである、すなわち、システムの光線図では、バルク撮像光学素子1030の開口内のどこかに入るすべての主光線がレンズを出て互いに対して平行に進行し、VCSEL(画像)平面に対して実質的に垂直である入射角でVCSEL(画像)平面と交差する。この構成では、VCSELアレイは有利にもテレセントリック光源として動作し、すなわち、光学素子は、エミッタアレイによって生成される実質的にすべての光、アレイの外縁部上のエミッタから放出される光をも、キャプチャする。テレセントリック設計がなければ、外側のエミッタによってキャプチャされた光は、大きく斜めの入射角のため、望ましくない方法で減少、散乱、または屈折する可能性がある。
【0168】
Rxモジュール1040は、Rx側バルク撮像光学素子モジュール1060およびRX側マイクロ光学素子パッケージ1050を含む。RX側マイクロ光学素子パッケージ1050は、TX側マイクロ光学素子パッケージ1020と一致する一次元アレイ配置または二次元アレイ配置のいずれかを有し、対応する各マイクロ光学素子トランスミッタチャネル1025に対するマイクロ光学素子レシーバチャネル1055を有する。RX側マイクロ光学素子パッケージ1050は、Rx側開口アレイ層1056、Rx側マイクロ光学レンズ層1054、狭帯域光学フィルタ層1028、およびセンサアレイ層1052を含む。光線1005として示される、フィールド内の物体で反射する放出された光の部分は、複数の方向からRx側バルク撮像光学素子モジュール1060に入る。Rx側バルク撮像光学素子モジュール1060は、Rx側開口アレイ層1056と一致する平面に光線を集束する。次いで、集束された光は、Rx側マイクロ光学素子レンズ層1054のマイクロレンズによってキャプチャされ、コリメートされて(すなわち、10度未満の発散半角を有する)センサアレイ層1052に向けられる。
【0169】
いくつかの実施形態では、センサアレイ層1052は、光センサの1Dアレイまたは2Dアレイ、または例えばSPADSなどの光センサのグループの一次元アレイまたは二次元アレイを含む。いくつかの実施形態では、アレイ内の各センサまたはセンサのグループは、エミッタモジュール内のエミッタに、それゆえ、測距データ内の「ピクセル」に対応する。
【0170】
いくつかの実施形態では、スプリアス背景光を除去するために、狭帯域光学フィルタ層1028を、例えば、マイクロ光学素子アレイとセンサアレイ層1052との間の層状構造内に配設することができる。狭帯域光学フィルタ層1028の通過帯域は、エミッタの中心波長に対応するように選択されることが可能であり、通過帯域の幅は、エミッタアレイ全体の出力波長の変動に対応するのに十分に広いことが可能である。非常に狭い通過帯域が望ましいいくつかの実施形態では、制御システムは、エミッタの波長を個々にまたは全体として安定させることができる。非常に狭い通過帯域が望ましいいくつかの実施形態では、フィルタ層1028を通過する光のコリメーション角度は、(薄膜干渉フィルタで一般的であるように)入射角シフトが発生しないように厳密に制御されなければならず、コリメーション角度は、主にRX側の開口アレイ層1056の開口のサイズ、RX側マイクロ光学素子レンズ層1054のレンズの焦点距離、RX側開口アレイ層1056とRX側マイクロ光学レンズ層1054との間の相対的な位置、およびRX側マイクロ光学素子レンズ層1054の表面品質および形状精度によって制御される。いくつかの実施形態では、狭帯域光学フィルタ層1028は、センサのアレイ全体にわたる連続的な平坦面層である。他の実施形態では、狭帯域光学フィルタ層1028は、センサアレイ層1052のピクセル形状に対応するマイクロ光学素子のアレイとして製造され得る。
【0171】
Tx側と同様に、Rxモジュール1040の個々の要素は、マイクロ光学素子レシーバチャネル、例えば、レシーバチャネル1055を形成する。特定の実施形態によれば、マイクロ光学素子およびレシーバのアレイは、層状モノリシック構造を有することができる。各マイクロ光学素子レシーバチャネル1055は、センサアレイ層1052内の異なるピクセルの光を測定し、すなわち、Rxモジュール1040の光学素子は、異なる角度からセンサアレイ層1052上の対応する異なる空間位置に入る平行光線束をマップするように機能する。いくつかの実施形態では、バルク撮像光学素子モジュール1060は、システムの検出器側でテレセントリックであり、上述のように、TX側と同様の方法で画像平面の非理想性を回避する。
【0172】
いくつかの実施形態では、マイクロ光学素子レンズ層1054、狭帯域光学フィルタ層1028、およびRx側開口アレイ層1056の間の協調によって形成されるマイクロ光学素子レシーバチャネルは、センサアレイ層上の異なるピクセル間の分離の向上を提供する。これは、エミッタ光が、停止標識などのフィールド内の強い反射器から反射される場合などのいくつかの状況では、各チャネルのRx側の光子束がかなり大きくなり、システムがクロストークおよびブルーミングしやすくなる(すなわち、1つのチャネルからの到来光が非常に明るく、隣接するチャネルで検出可能であり得る)。ブーミング問題に対する1つの解決策は、複雑な時間多重化スキームを使用して、任意の所与の時間に1つのみのエミッタ検出器ペア(または慎重に選択されたエミッタ検出器ペアのグループ)がトリガされるようにし、これによりクロストークのリスクを排除する。このような構成は、追加のタイミング電子装置と多重化ソフトウェアおよびハードウェアとを必要とし、これはシステムに追加のコストおよび複雑さを付加する。加えて、時間多重化は、各レシーバエミッタペアを順次連続してアクティブ化されなければならず、これにより全体としてアレイの全体の取得時間が増加するため、非効率的なデータ収集方法である。有利にも、Rx側マイクロ光学素子アセンブリの設計は、時間多重化および順次アクティブ化が必要ではない程度までクロストークを低減し、すなわち、フラッシュLIDARシステムと同様の方法で、すべてのチャネルを同時に使用してデータポイントを並列に収集することができる。
【0173】
Rxモジュール1040およびTxモジュール1010のマイクロ光学系の設計は、図3を参照して上述した概念的なLIDAR配置を有利に可能にし、各トランスミッタ要素は、トランスミッタが照明する視野からセンサ要素が光のみを見るようにセンサ要素とペアを形成する。この視野の1:1ペアリングは、隣接するまたは近隣のピクセルからの検出器のクロストークを排除するのに役立つ。追加のマイクロ光学開口層も、クロストークを排除するのに役立つ。狭帯域フィルタ層は、最終的に測距誤差につながるスプリアス信号の検出に寄与し得る背景光を除去するのに役立つ。
【0174】
2.マイクロ光学素子
図11Aは、特定の実施形態によるマイクロ光学素子パッケージ1100の簡略化された上面図を示す。マイクロ光学素子パッケージ1100は、光測距デバイスのトランスミッタ側または検出器側のいずれかまたは両方に適用することができ、複数のチャネル1102を含む。例えば、レシーバ側で実施される場合、各チャネル1102は、チャネル1055などの単一のマイクロ光学レシーバチャネルに対応する。同様に、トランスミッタ側で実施される場合、各チャネル1102は、チャネル1025などの単一のトランスミッタチャネルに対応する。図11Aに示される例では、マイクロ光学素子チャネルは、m×nの千鳥配置のアレイとしてレイアウトされており、例えば、16×4のアレイでレイアウトされている。一例として、図11Aが0.500mm(直径)のレシーバチャネルサイズのレシーバチャネルを表す場合、例示されたレイアウトは、8.000mm×2.000mmのサイズのチップで実施され得る。
【0175】
本開示の範囲から逸脱することなく、他のアレイパターンが可能である。例えば、千鳥配置のアレイではなく、次の形状のアレイ、すなわち、正方形アレイ、1D直線アレイ(m×1)、歪んだ線形(m×1)アレイ、歪んだ長方形m×n配列、または任意のパターンを有するアレイのいずれかを使用することができる。本明細書で使用される場合、「歪んだ」という用語は、レシーバチャネル間の間隔が不均一である実施形態を指す。例えば、中央付近のレシーバチャネルは互いにより近い間隔をなし、外部チャネルはより遠くに離間している。この歪んだレイアウトは、レンズの歪み曲線を補正できるという利点を有する(すなわち、レシーバチャネルの視野間の角度は、物体空間で等間隔をなす)。
【0176】
図11Bは、例えば図10に示されるレシーバチャネル1055を表すことができる、いくつかの実施形態による単一のマイクロ光学素子レシーバチャネル1120の断面を示す。レシーバチャネル1120は、広範囲の波長を含む光の入力円錐を受け入れ、動作波長を中心とする狭帯域のこれらの波長を除くすべてを除外するように機能し、ピクセル(光センサ)1171が、前述の狭帯域の波長内の光子のみまたは実質的に光子のみを検出することを可能にする。本開示の実施形態は、レシーバチャネルの特定の構成に限定されず、チャネル1120は、レシーバチャネル1055として実施され得るレシーバチャネルの一例にすぎない。
【0177】
いくつかの実施形態では、レシーバチャネル1132は、光学的に透明な開口1144および光学的に非透明な絞り領域1146を含む入力開口層1140を含む。開口1144は、バルク受信光学素子1060などの撮像光学素子の焦点面に配置されたときに狭い視野を画定するように構成されている。本明細書で使用される場合、「光学的に透明」という用語は、ほとんどまたはすべての入射光を通過させる材料を指す。本明細書で使用される場合、「光学的に非透明」という用語は、光をほとんどまたはまったく通過させない材料、例えば、反射または吸収表面を指す。開口層1140は、入力周辺光線ライン1133を受信するように構成されている。開口層1140は、光学的に透明な基板などの単一のモノリシックピース上に構築された光学的に透明な開口および光学的に非透明な絞り領域のアレイを含んでもよい。いくつかの実施形態では、開口層1140は、絞り領域1146を形成する光学的に非透明な材料から形成することができ、開口1144は、層1140の穴または開口部であり得る。
【0178】
いくつかの実施形態では、レシーバチャネル1120は、焦点距離によって特徴付けられるコリメートレンズ1151を含む光学レンズ層1150を含む。コリメートレンズは、焦点距離によって開口1144および絞り領域1146の平面からオフセットされ、かつ開口1144と軸方向に位置整合され得る(すなわち、コリメートレンズの光軸は、開口の中心と位置整合する)。このようにして、コリメートレンズは、光線がコリメートレンズ1151の光軸とほぼ平行に進行するように、開口を通過した光線をコリメートするように構成され得る。光学レンズ層1150は、クロストークを低減するために、開口、光学的に非透明な領域、および管構造を任意で含んでもよい。
【0179】
いくつかの実施形態では、レシーバチャネル1132は、例えばブラッグ反射器タイプのフィルタなどの光学フィルタ1161を含む光学フィルタ層1160を含む。いくつかの実施形態では、光学フィルタ層は、(開口側と対向する)光学レンズ層1150の検出器側に配設される。光学フィルタ層は、特定の動作波長および通過帯域で通常入射する光子を法線方向に通過させるように構成される。光学フィルタ層1160は、任意の数の光学フィルタ1161を包含してもよい。光学フィルタ層1160は、クロストークを低減するために、開口、光学的に非透明な領域、および管構造を任意で含んでもよい。
【0180】
いくつかの実施形態では、レシーバチャネル1132は、フィルタ層の背後に配設されたピクセル1171を含む光センサ層1170を含む。ピクセルは、例えば、標準的なフォトダイオード、アバランシェフォトダイオード、SPADのアレイ、RCP(共振空洞フォトダイオード)、または他の好適な光検出器からなる検出器アクティブ領域で光子を検出できる光センサであり得る。光センサ1171は、単一の大きなフォトン検出領域と比較して、しばしばより高いダイナミックレンジ、より速い応答時間、または他の有益な特性を有し、単一のピクセルとして機能するように協調し合ういくつかの光子検出器領域(例えば、各々異なるSPAD)で構成され得る。光センサ層1170は、ピクセルで作製された層を指し、検出効率を改善し、隣接するレシーバ構造とのクロストークを低減する任意の構造を含むことができる。光センサ層1170は、任意で、拡散器、収束レンズ、開口、光学的に非透明な管スペーサ構造、光学的に非透明な円錐スペーサ構造などを含んでもよい。
【0181】
迷光は、光学表面の粗さ、透明媒体の欠陥、後方反射などによって引き起こされる可能性があり、レシーバチャネル1132内またはレシーバチャネル1132の外部の多くの特徴で生成される可能性がある。迷光は、コリメートレンズ1151の光軸に非平行な経路に沿ってフィルタ領域1161を通るように向けられ、開口1144とコリメートレンズ1151との間で反射し、概して、多くの反射および屈折を包含する可能性のある他の経路または軌跡を取ることができる。複数のレシーバチャネルが互いに隣接して配列されている場合、あるレシーバチャネル内のこの迷光は、別のチャネル内のピクセルによって吸収され、それにより、光子に固有のタイミング、位相、または他の情報が汚染される可能性がある。したがって、レシーバチャネル1120はまた、クロストークを低減し、レシーバチャネル間の信号を増大させるためのいくつかの構造を特徴としてもよい。このような構造および他の好適なレシーバチャネルの例は、2018年5月14日に出願された「Micro-optics for Imaging Module with Multiple Converging Lenses per Channel」と題する米国特許出願第15/979,295号に説明されており、その開示は、あらゆる目的でその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0182】
3.検出器アレイ(例えば、SPAD)
図12Aおよび図12Bは、特定の実施形態による、SPADベースの光センサアレイ層1200の上面図を示す。図12Aに示される光センサアレイ層1200は、個々の各センサチャネルが、例えば、レシーバチャネル1055に対応することができる、センサチャネル1210の二次元アレイである。それゆえ、各センサチャネル1210は、上述のようにSPADのグループを含むことができる。図12Aに示される例では、光センサアレイ1200は、合計72個の個々のセンサチャネル1210を含む18×4のアレイである。光センサアレイ1200はまた、アレイの最上部に8つの較正ピクセル1220を含む。較正ピクセル1220は、例えば、それらがいかなる光にも曝されないように非透明な表面によって覆われることが可能であり、したがって、暗カウントを測定するために使用されることが可能である。
【0183】
図12Bは、センサチャネル1210のサブセットの拡大図を示し、各センサチャネル1210は、単一のピクセルとして機能するように協調し合う個々のSPAD1212のグループ(アレイ)から形成され得ることを示す。SPADが光検出器として使用されるとき、このような配置は有利であり、それは、光子検出イベントの後に、SPADは、外部回路がSPADをクエンチするように動作し、それにより、再び検出する準備ができるようなデッドタイムを被るからである。それゆえ、単一のSPADは、SPADが検出することができる光強度(光子/秒で測定される)の上限を有する。つまり、単一のSPADは、クエンチ時間あたり1光子を超える光強度を検出することができない。図12Bに示されるように、複数のSPADをまとめて収集すると、すべてのSPADが同時に飽和するわけではないため、検出できる全体的な強度が増加する。それゆえ、N個のSPADの集合は、単一のSPADのダイナミックレンジのN倍で検出することができる可能性がある。
【0184】
4.エミッタアレイ(例えば、VCSEL)
図13Aおよび図13Bは、特定の実施形態によるエミッタアレイ1300の簡略化された上面図および側面図をそれぞれ表す。エミッタアレイ1300は、単一のモノリシックチップ1305上に製造され、かつそのパターンが対応するセンサチップ上の光センサピクセルと一致する、VCSELエミッタ1310の二次元アレイを含むことができる。この例では、エミッタアレイ1300 VCSELアレイは、16 x 4であり、合計64個のエミッタチャネル1310が上記の図12Aに示される中央の64個の検出器チャネルと一致する。エミッタアレイ1300はまた、アレイ1300内の様々なエミッタを駆動するための信号がエミッタに送信され得る複数のリード1320を含むことができる。
【0185】
図12Aを参照して説明したように、光エミッタのモノリシックVCSELアレイは、TX側マイクロ光学素子パッケージの背後およびTX側バルク光学素子モジュールの背後に配置され得る。各VCSELエミッタは、VCSELから放出される光のすべてまたは実質的にすべてがフィールド内の物体に送信されることを確保するために、開口層またはマイクロ光学素子層のマイクロレンズの開口数のいずれかで定義される対応する開口の直径と実質的に同一(またはわずかに大きい)初期直径の照明ビームを出力することができる。
【0186】
5.バルク光学素子
いくつかの実施形態では、本開示は、高速レンズ系(例えば、Fナンバー=1.0、1.2、または1.4)および/または自動車、トラックまたは他の車両の自律操縦における障害物検出および回避のために光測距デバイスが使用されるときに行き当たる可能性が高い指定された温度範囲にわたって受動断熱レンズ系を有するテレセントリック光測距デバイスを提供する。加えて、バルク光学系が低焦点面歪を具備し、光学素子の1つ以上にARコーティングを施して、光学スループットを最大化し、異なるセンサチャネル間の迷反射、ゴースト、およびクロストークを低減してもよい。有利にも、光学系は、画像空間テレセントリックであり、それゆえ、センサアレイの検出器チャネル(各主光線は焦点面に対して垂直に到達する)の、アレイの外縁部上のものでまでの各々の「まっすぐな」ビュー(物体側から見た場合)を提供する。
【0187】
本明細書で使用される場合、受動断熱は光学素子系を説明するものであり、レンズ系によってアレイ上に集束された角度サイズがゼロ以外の拡張光源からの光のスポット品質が、温度が変化するにつれてあまり変化しない。レンズ系の後部焦点距離が変化し、かつアレイが後部レンズ要素に対して同じ場所に留まる場合には、アレイ上の光のスポット品質が変化する。本明細書で使用される場合、スポット品質は、像面上に集束され、かつ直径25μmの円に含まれる、0.13度の角度サイズを有する拡張光源からの光の割合によって定義され得る。スポット品質が特定の温度範囲内のすべての温度で50%を上回ったままである場合、オプトメカニカル系は、この温度範囲にわたって受動断熱であると見なされる。挙げられた直径および角度のサイズは例示的であり、マイクロ光学素子アレイの開口のサイズ、システムの焦点距離などに依存する。
【0188】
図14は、いくつかの実施形態による、広範囲の温度にわたって熱的に安定な画像平面を提供する光学モジュール1400の一部の簡略図を示す。光学モジュール1400は、アレイ1410、バルクレンズ系1420、レンズハウジング1430、およびハウジングをアレイと機械的に結合するためのマウント1440を含む。光学モジュール1400は、光感知モジュール330の実施形態(この場合、アレイ1410は光センサのアレイであり得る)、または発光モジュール340の実施形態(この場合、アレイ1410は、エミッタのアレイであり得る)を表すことができ、いくつかの実施形態では、マウント1440は、図9に示されるマウント905の一部分を表すことができる。本開示のいくつかの実施形態による光測距デバイスは、光感知モジュールとしての第1の光学モジュール1400と、発光モジュールとしての第2のモジュール1400と、を含むことができる。
【0189】
アレイ1410は、製造(例えば、半導体基板上にバルクでアレイを形成し、1つのアレイ内に複数のエミッタまたは検出器がある)を容易にするために(例えば、直径10mmのディスクにわたって1mm未満の、山から谷までの完全な平面からの不規則性を有する)平坦面であり得る。いくつかの実施形態では、アレイ1410は、光学モジュール1400に応じて図10に関して上記で論じたトランスミッタマイクロ光学素子パッケージ1020またはレシーバマイクロ光学素子パッケージ1050が光感知モジュールまたは発光モジュールとして実施されるように、マイクロ光学素子構造を含むことができる。
【0190】
図14に示されるように、レンズ系1420は、第1のレンズ1422、第2のレンズ1424、第3のレンズ1426、および第4のレンズ1428を含むことができる。いくつかの実施形態では、第1のレンズ、第2のレンズ、第3のレンズ、および第4のレンズは、レンズハウジング1430に取り付けられる。イメージャセンサの一部として実施されるとき(すなわち、アレイ1410は光センサのアレイである)、レンズハウジング1430、レンズ系1420、マウント1440は、特定の温度範囲(例えば、摂氏-40度~摂氏85度、摂氏-50度~摂氏95度、摂氏-35度~摂氏60度、摂氏-40度~摂氏105度、摂氏-45度~摂氏110度、または摂氏-35度~摂氏100度)にわたってレンズ系から光センサアレイに光を受動的に集束するように構成される。アレイにマイクロ光学素子構造を含む実施形態では、レンズ系1420は、レンズ系からマイクロ光学素子構造の開口層に光を受動的に集束するように構成され、次いで、マイクロ光学素子構造内の様々なマイクロ光学素子コンポーネントは、個々の各マイクロ光学素子チャネルで受信した光を、そのチャネルに対応する光センサに集束することができる。
【0191】
アレイは、温度の変化に対してレンズ系の像面に保持され得る。材料は、コストを低減し、重量を低減し、および/またはアレイで像面を維持するように選択され得る。コストを低減するために、第1のレンズ1422、第2のレンズ1424、第4のレンズ1428は、プラスチック(例えば、OKP-1)で作製され得る一方、第3のレンズ1426は、ガラスで作製され得る(例えば、レンズ系の温度変動を低減するため)。第4のレンズの頂点と像面との間の公称距離は8mmであある。示されているレンズアセンブリでは、温度が上昇するにつれて、像面は第4のレンズに向かって移動する。温度が上昇するにつれてプラスチックの屈折率は減少し、このことは、低屈折率のレンズが高屈折率の同様の形状のプラスチック凸レンズよりも光を鋭角に屈折しない(すなわち、より長い焦点距離)ことから、通常、像面をプラスチックレンズから押しやる(例えば、空気の屈折率が1に等しいとして焦点距離がレンズの屈折率と空気の屈折率の差に反比例するレンズメーカの方程式によるものであり、スネルの法則も参照)ことを考えると、これはおそらく直観に反する。ガラスレンズを2つ以上のプラスチックレンズと組み合わせることにより、レンズ系内の1つ以上のプラスチックレンズが温度とともに増加する焦点距離を有する場合でも、レンズ系の有効焦点距離を温度の増加とともに減少することを可能にしてもよい。
【0192】
レンズハウジング1430(例えば、ポリカーボネート製)は、温度が上昇するにつれて伸長し得る。いくつかの実施形態では、マウント1440は、第3のレンズ1426の近くでレンズハウジング1430に取り付けられ、その結果、ハウジングの温度が上昇するにつれて第4のレンズ1428が右に移動する。レンズハウジング1430をアレイ1410から分離するマウント1440の材料は、温度の上昇と共に膨張し、レンズハウジング1430をアレイ1410から(例えば、左に)移動させて遠ざける。同時に、レンズハウジング1430は、温度の上昇と共に拡張し、第4のレンズ1428をアレイ1410に向けて(例えば、右に)移動させる。また、同時に、前述のように、バックフォーカスシフトによって像面が左側に移動する。ハウジング材料のCTE、マウント材料のCTE、およびハウジング-マウント間インターフェースの箇所を適切に選択することにより、像面が温度範囲にわたってアレイとほぼ一致したままとなるように、前述のハウジング膨張およびマウント膨張によってバックフォーカスシフトを補償することができる。
【0193】
いくつかの実施形態では、マウント1440は、ガラスレンズ(すなわち、いくつかの実施形態では第3のレンズ1426)の近くでレンズハウジング1430と結合され得る。いくつかの実施形態では、マウント1440は、レンズ系1420の焦点距離がアレイ1410に対して(例えば、アレイから遠ざかるように)移動するにつれて、アレイ1410に最も近いレンズ系1410のレンズ(例えば、第4のレンズ1428)がアレイ1410に対して(例えば、アレイに向かって)移動することができるように、ガラスレンズの近くのレンズハウジング1430に結合され得る。いくつかの実施形態では、ガラスレンズに最も近い、レンズハウジング1430の外側の点または線の近くであり、および/またはこの点または線から+/-5mmまたは+/-10mm以内であり得る。
【0194】
図14のレンズ系のスポット品質は、Zemax光学設計プログラムを使用して、-5℃~70℃の温度範囲について実験的に検証された。いくつかの実施形態では、環境が特定の温度を下回っているときに、LIDARユニットの内部を意図的に加熱することができる。例えば、環境が-40℃であるとき、LIDARユニットの内部構成要素を加熱して、レンズ系を-5℃以上の温度に保持することができる。いくつかの実施形態では、光測距デバイスは、温度センサと、温度が温度センサによって検出される所定のレベルを下回っているときにレンズ系を加熱することができる加熱要素(例えば、抵抗加熱器)と、を含むことができる。したがって、システム1400は、少なくとも-40℃~70℃の範囲の温度(100℃の温度範囲)から良好に機能することが想定され得る。様々な実施形態では、システム1400は、0℃~32℃、0℃~55℃、-10℃~32℃、-10℃~55℃、-20℃~60℃、-40℃~85℃、およびそれらの組み合わせの範囲の温度にわたって安定した像面を提供することができる。いくつかの実施形態では、温度範囲は、-40℃~105℃(145度の温度範囲)であり得る。
【0195】
レンズへの応力を回避するために、多くの場合、レンズと同等の熱膨張係数(CTE)を有する材料でレンズハウジング1430を作成することが望ましい可能性がある。ハウジングの材料を変更すると、温度が上昇するにつれてレンズ要素がどのように離散するかが変わる可能性もある。いくつかの実施形態では、レンズハウジング1430の材料のCTEは、光学性能の低下を防止するために実質的に変更/調節されない。それゆえ、レンズハウジングの材料はレンズのCTEに近いCTEを有し、いくつかのハウジング材料は、レンズの光学性能の劣化をもたらし得るレンズの応力が発生するような、レンズのCTEとは十分に異なるCTEを有するため、ハウジングに考えられるすべての材料が考慮されるわけではない。
【0196】
レンズハウジング1430のCTEを、特定の温度範囲にわたってレンズ系1420と一致させることができ、これによりレンズ系1420の焦点面は温度範囲にわたってレンズハウジング1430に対して安定である。いくつかの実施形態では、マウント1440の熱係数は、レンズ系1420および/またはレンズハウジング1430の熱膨張と一致し、これにより焦点面は、温度範囲にわたって検出器(例えば、検出器アレイ)の位置に対して安定である。本明細書で使用される場合、焦点面が所与の温度範囲にわたってシステムの検出器で所定の分解能を維持する場合、焦点面は温度の範囲にわたって「安定」であると言われる。一例として、いくつかの実施形態では、所定の分解能は、検出器の点に集束された光が25ミクロンの円内の光の50%を有することを必要とし、他の実施形態では、所定の解像度は、検出器の点に集束された光が20ミクロンの円内の光の80%を有することを必要とする。マウント1440の材料のCTEは、マウント1440の材料が強く、および/または機械的に剛性である(低CTE材料はより強い傾向がある)ことに注意して選択され得る。この例では、バックフォーカスシフトが正(右側)ではなく負(左側)であるという事実により、非常に剛性の高いガラス充填ポリマー、またはさらにはマグネシウムまたはアルミニウムなどの金属をマウント1440の分離材料に使用することが可能になる。
【0197】
図15A図15B、および図15Cは、本開示のいくつかの実施形態による光学モジュール1500を表す。光学モジュール1500は、4つのレンズ(そのうちのレンズ1522および1528の2つだけが図15A図15Cで見える)を有するレンズ系1520およびハウジング1530を含む。レンズ系1520は、例えば、レンズ系1420であり得る一方、ハウジング1530は、例えば、レンズハウジング1430であり得る。画像センサは一般に円形ではないため、アセンブリシステム1500のレンズは一般に円形である必要はない。例えば、レンズアセンブリ1500に関連付けられた光センサアレイは、幅狭で高くすることができるため、レンズを長方形にクリップすることができる。長方形の成形ポリマー光学素子を作成する方が通常は簡単かつ安価であるが、ガラスレンズを長方形の形状に研削することはより高価であり得る。第3のレンズ(図15A図15Cには示さず)の直径は、レンズ系の最小幅を画定し、これにより長方形の形状の一部を画定することができる。円形のガラス要素および長方形の成形されたポリマー光学素子を使用することにより、レンズアセンブリ1500は、製造することが比較的簡単かつ安価であり得る。
【0198】
いくつかの実施形態では、2つのハウジングは、可能な限り互いに近接して(例えば、接触して)配置され、これは、ガラスレンズ(例えば、レンズ3)を小さく保つ別の理由である。例えば、光測距デバイスは、第1のハウジングに取り付けられた第1のレンズ系、第2のハウジングに取り付けられた第2のレンズ系、センサアレイ、およびエミッタアレイを含むことができる。第1のレンズ系、第1のハウジング、およびセンサアレイは、第1のユニットを形成することができる。第2のレンズ系、第2のハウジング、およびエミッタアレイは、第2のユニットを形成することができる。第1のユニットおよび第2のユニットを、できるだけ近くに並べて配置することができ(例えば、いくつかの実施形態では2.5cm以下、他の実施形態では5.0cm以下離間する)、これにより第の2ユニットから放出されて反射/散乱された光は、第の2レンズ系がエミッタアレイからの光を投影するのと同様の視野で、第1のユニットによって収取される。
【0199】
レンズ系1520は、高速レンズ系であるように設計され得る。いくつかの実施形態では、レンズ系1520のF値は、1.0~2.4(例えば、1.2)である。センサアレイ上のスポットサイズは、20μmの円の中に光の80%を含むことができる。さらに、レンズ系1520は、100mm以下、50mm以下、35mm以下、および/または20mm以下、および/または5、10、15、20、および/または25mm以上のトラック長を有することができる。
【0200】
様々な挙例において、本開示によるバルクレンズ系は、2つ以上のプラスチックレンズおよび少なくとも1つのガラスレンズ、2つ以上のプラスチックレンズ、および/または1つ以上のガラスレンズを含むことができる。いくつかの実施形態では、上述のように、マイクロ光学素子構造をアレイの一部として含むことができる。マイクロ光学素子は、アレイ上のエミッタおよび/または検出器ごとに異なる方法で光を変更することができるのに対して、バルクレンズ系は、アレイ全体の光を変更する。いくつかの実施形態では、個々の各アレイ要素に1つ以上のマイクロ光学素子要素がある。
【0201】
図16Aは、例えば、光学モジュール1500であり得る光学モジュール1600の実施形態の上面図を表す。図16Aに断面A-Aが特定されている。図16Bは、断面A-Aの実施形態を表す。図16Bに示されるように、光学モジュール1600は、要素1622(例えば、レンズ1)、要素1624(例えば、レンズ2)、要素1626(例えば、レンズ3)、および要素1628(例えば、レンズ4)、ならびにハウジング1630を含む。図16Cは、断面A-Aの拡大部分を示す。拡大部分は、レンズ1624およびレンズ1626をハウジング1630に取り付ける方法の一例を示す。レンズ系1600の開口絞り1625は、レンズ1624とレンズ1626との間にある。開口絞り1625は、レンズ1624をハウジング内に固定するために使用され得る。
【0202】
図16Dは、レンズアセンブリ1600の実施形態の側面図を表す。図16Dに断面B-Bが特定されている。図16Eは、断面B-Bの実施形態を表す。レンズ1、レンズ2、レンズ3、レンズ4、およびハウジングが示されている。
【0203】
図17Aは、第1のレンズ(レンズ1522)の実施形態の断面を表す。第1のレンズは、第1の表面S1および第2の表面S2を有する。レンズ1522の第1の表面S1とレンズ1の第2の表面S2とは、球面である。第1のレンズの第1の表面S1は、凸面であり得る。第1のレンズの第2の表面S2は、凹面であり得る。左から右へ進行する光は、第1のレンズで集束され得る。第1のレンズの第1の表面は、レンズ系の光を集める(例えば、レンズ系のF値を低減する)ために、第1のレンズの第2の表面よりも大きいことが可能である。
【0204】
図17Bは、第2のレンズ(レンズ1524)の実施形態の断面を表す。第2のレンズは、第1の表面S1および第2の表面S2を有する。レンズ1524の第1の表面S1とレンズ2の第2の表面S2とは、非球面である。第2のレンズの第1の表面S1は、凸面であり得る。第2のレンズの第2の表面S2は、平坦面で、わずかに凸面、またはわずかに凹面であり得る。左から右に進行する光は、第2のレンズによって非集束化され得る。
【0205】
図17Cは、第3のレンズ(レンズ1526)の実施形態の断面を表す。第3のレンズは、第1の表面S1および第2の表面S2を有する。レンズ1526の第1の表面S1とレンズ3の第2の表面S2とは、球面である。例として、第3のレンズは、10mm以上20mm以下(例えば、11、11.5、12、12.5、13、13.5、14、および/または14.5mm)の幅(例えば、直径)を有することができる。いくつかの実施形態では、第3のレンズは高屈折率ガラスである。いくつかの実施形態では、ガラスの屈折率は、100度の温度範囲では変化しない(例えば、0.05%以下の変化)。第3のレンズの第1の表面S1は、平坦面で、わずかに凸面、またはわずかに凹面であり得る。第3のレンズの第2の表面S2は、凸面であり得る。左から右へ進行する光は、第3のレンズによってコリメートされるか、またはわずかに集束され得る。
【0206】
図17Dは、第4のレンズ(レンズ1528)の実施形態の断面図を表す。第4のレンズは、第1の表面S1および第2の表面S2を有する。レンズ4の第1の表面S1とレンズ4の第2の表面S2とは、非球面である。第4のレンズの第1の表面S1は、凸面であり得る。第3のレンズの第2の表面S2は、凸面であり得る。左から右に進行する光は、アレイに集束され得る。
【0207】
プラスチックレンズとガラスレンズとを混合すると共に、非球面レンズと球面レンズとを混合することにより、自律車両用に経済的で軽量、コンパクト、および/または非熱的測距デバイスを作製することができる。
【0208】
いくつかの実施形態では、レンズ系は、一定の焦点距離を有する(例えば、一定温度での一定の焦点距離であり、ズームレンズを有しない)。いくつかの実施形態では、レンズ系は、レンズ系のサイズ、重量、部品数、および/または複雑さを低減するために一定の焦点距離を有する。
【0209】
図18は、3つのレンズ、すなわち第1のレンズ1822、第2のレンズ1824、および第3のレンズ1826を有する光学モジュール1800の実施形態を表す。第1のレンズ、第2のレンズ、および第3のレンズは、ハウジング1830に取り付けられている。コネクタ1805は、ハウジングをセンサ1810(例えば、アレイ内のセンサ)と結合する。第1のレンズ、第2のレンズ、および第3のレンズは、プラスチック(例えば、OKP-1)で作製され得る。第1のレンズ、第2のレンズ、および第3のレンズは、レンズ系1810の一部である。レンズ系1810は、50℃の温度範囲(例えば、0~50℃)にわたって約105μmのフォーカスシフトを有すると推定される。ハウジング1830は、高CTE材料で作製されることが可能であり、および/またはマウント1840は、レンズ1822の近くに取り付けられて、レンズ系1810の焦点面をアレイに保持する。図18の実施形態では、ポリカーボネート(CTE=70ppm/C)が使用され、マウント1840は、アレイから25~35mm離れたハウジング1830に取り付けられている。アレイ1810から30mm離れたハウジングに取り付けられたマウント1840、ハウジング1830の熱膨張に起因するレンズ系1810のレンズの動き、マウント1840の熱膨張に起因するハウジング1830の動き、および/または温度変化に起因するレンズ系1810のフォーカスシフトの組み合わせは、レンズ系の焦点面をアレイと位置整合するように適合されている。
【0210】
本発明の例示的な実施形態の上記の説明は、例示および説明の目的で提示されている。包括的であること、または本発明を説明された正確な形態に限定することは意図されず、多くの修正および変更が、先の教示に鑑みて可能である。実施形態は、本発明の原理およびその実際の用途を説明するために選択および説明され、それにより、当業者は、本発明を様々な実施形態で、企図される特定の用途に適した様々な修正を加えて利用することができる。
【0211】
例として、上記で開示された様々な実施形態は、自動車および他の路上車両の使用事例に関する3D感知の文脈の範囲内で、光測距の用途に重点を置いているが、本明細書で開示されるシステムは、本開示の範囲から逸脱することなく、任意の用途において使用され得る。本開示によるLIDARシステムの小さい、またはさらには小型のフォームファクタは、例えば、ソリッドステート光測距システムのための、いくつかの追加の使用事例を可能にする。例えば、システムは、携帯電話、タブレットPC、ラップトップ、デスクトップPCなどのデバイス内の、または他の周辺機器および/もしくはユーザインターフェースデバイス内の3Dカメラおよび/または深度センサにおいて使用され得る。他の例として、1つ以上の実施形態は、顔認識および顔追跡能力、視線追跡能力のサポート、および/または物体の3Dスキャンのために、モバイルデバイス内で使用され得る。他の使用事例としては、モバイルデバイスにおける拡張現実および仮想現実用途のための前面深度カメラが挙げられる。
【0212】
他の用途としては、飛行機、ヘリコプタ、無人機などの空中車両への1つ以上のシステムの配備が挙げられる。このような例は、3D感知および深度イメージングを提供して、ナビゲーション(自律的または他の方法)を支援すること、および/または後で分析するための3Dマップを生成すること、例えば、地球物理学的、建築学的、および/または考古学的な分析をサポートすることができる。システムはまた、建物、壁、ポール、橋、足場などの静止物体および構造物に取り付けることもできる。このような場合、本システムを使用して、製造設備、組み立てライン、産業設備、建設現場、掘削現場、車道、鉄道、橋などの屋外領域を監視することができる。さらに、システムは、屋内に取り付けて使用して、倉庫内の在庫品の移動、または事務所建物、空港、駅などの中の人々、荷物、もしくは商品の動きなどの、建物内の人々およびまたは物体の移動を監視することができる。本開示の利点を用いて当業者によって認識されるように、光測距システムの数多くの異なる用途が可能であり、したがって、本明細書で提供される実施例は例示のみの目的で提供されるものであり、このようなシステムの使用を明示的に開示される実施例のみに限定するものと解釈してはならない。
【0213】
別の例として、上記の様々な例は、本開示のいくつかの実施形態によるLIDARシステムのエミッタとしてIRまたは近IR波長のレーザを含んでいたが、本開示の実施形態は、特定の波長の光またはエミッタの他のタイプの放射に限定されない。例えば、いくつかの実施形態では、エミッタは、水中用途に特によく適した緑色(532nm)波長、または大気LIDARシステムに特に有用であり得るUV波長を含む任意の適切な既知の動作波長を有するパルスを生成するレーザであり得る。本開示の恩恵を受けて当業者によって理解されるように、光測距システムの多くの異なる用途が可能であり、したがって、本明細書で提供される例は、例示目的のみで提供され、このようなシステムの使用を明示的に開示された例のみに限定するものと解釈されるべきではない。
【0214】
特定の実施形態の具体的な詳細は、本発明の実施形態の趣旨および範囲から逸脱することなく、任意の好適な様態で組み合わせられてもよい。しかしながら、本発明の他の実施形態は、各個々の態様、またはこれらの個々の態様の具体的な組み合わせに関する具体的な実施形態を対象とし得る。例えば、アレイ上のスポットサイズを低減するために、より多くの非球面を使用して、および/または複数のタイプのプラスチックを使用して、4つよりも多いレンズを使用し得る。別の例として、いくつかの実施形態では、湾曲した検出器および/またはエミッタを使用することができる。また、いくつかの実施形態では、4つに代えて3つのレンズが使用される(例えば、2つのレンズはプラスチック、1つのレンズはガラス)。これらの例および他の例は、本開示の範囲内に含まれる。
本件出願の時点の特許請求の範囲は、以下の通りである。
[請求項1]
光測距システムであって、
シャフトと、
第1の回路基板アセンブリであって、前記第1の回路基板アセンブリの表面上の前記シャフト周りに配置された複数のステータ要素を有するステータアセンブリを含む、第1の回路基板アセンブリと、
前記シャフトに回転可能に結合された第2の回路基板アセンブリであって、当該第2の回路基板アセンブリの表面上の前記シャフト周りに配置された複数のロータ要素を有するロータアセンブリを含み、前記複数のロータ要素は前記複数のステータ要素と位置整合されて離間する、第2の回路基板アセンブリと、
前記第2の回路基板アセンブリと共に回転するように結合された光測距デバイスであって、周囲環境内の物体に光パルスを送信するように構成された光源と、前記周囲環境内の前記物体から反射された前記光パルスの反射部分を検出して前記光パルスの前記反射部分に基づいて測距データを計算するように構成された検出器回路と、を含む、光測距デバイスと、
前記第2の回路基板アセンブリまたは前記第1の回路基板アセンブリのいずれかの上に配設され、前記複数のステータ要素に駆動信号を提供するように構成されており、それにより前記複数のロータ要素に電磁力を与えて前記シャフト周りの前記第2の回路基板アセンブリの回転を駆動する、ステータドライバ回路と、
を備えたことを特徴とする光測距システム。
[請求項2]
前記複数のロータ要素及び前記複数のステータ要素は、前記シャフト周りに対称に配置されている
ことを特徴とする請求項1に記載の光測距システム。
[請求項3]
前記第2の回路基板アセンブリは、前記第2の回路基板アセンブリの回路基板上に配設され、かつ、前記シャフト周りに対称に配置された、複数の光アップリンクレシーバを更に含む
ことを特徴とする請求項1に記載の光測距システム。
[請求項4]
前記複数のロータ要素は、前記複数の光アップリンクレシーバよりも前記シャフトから遠い
ことを特徴とする請求項3に記載の光測距システム。
[請求項5]
前記第1の回路基板アセンブリは、前記第1の回路基板アセンブリの回路基板上に配設され、かつ、前記シャフト周りに対称に配置された、複数の光アップリンクトランスミッタを更に含む
ことを特徴とする請求項1に記載の光測距システム。
[請求項6]
前記シャフトと前記複数のステータ要素の各々との間の距離が、前記シャフトと前記複数の光アップリンクトランスミッタの各々との間の距離よりも大きい
ことを特徴とする請求項5に記載の光測距システム。
[請求項7]
前記複数のステータ要素が、複数のソレノイドコイルを含み、
前記複数のソレノイドコイルの各々が、前記シャフトを中心としたリング内に配置されている
ことを特徴とする請求項1に記載の光測距システム。
[請求項8]
前記複数のステータ要素の各々が、前記第1の回路基板アセンブリに対して垂直な長手方向軸を有し、磁性材料のコア周りに巻かれたソレノイドコイルを有し、
前記複数のロータ要素における各ロータ要素が、磁石を有し、当該磁石の磁極が、当該ロータ要素に隣接する磁石の磁極と反対に配置されている
ことを特徴とする請求項7に記載の光測距システム。
[請求項9]
前記複数のステータ要素におけるステータ要素の数が、3の倍数であり、
前記光測距システムは、前記複数のステータ要素に結合され、かつ、前記複数のステータ要素に三相交流信号を提供するように構成された、モータドライバ回路を更に有する
ことを特徴とする請求項8に記載の光測距システム。
[請求項10]
前記複数のロータ要素は、複数の永久磁石を含む
ことを特徴とする請求項8に記載の光測距システム。
[請求項11]
前記複数のステータ要素は、前記シャフトを中心としたリング内に配置された複数の永久磁石を含み、
前記複数のロータ要素は、前記複数の永久磁石に正対する、前記シャフトを中心としたリング内に配置された複数のソレノイドコイルを含む
ことを特徴とする請求項1に記載の光測距システム。
[請求項12]
前記複数のステータ要素は、少なくとも12個のステータ要素を含む
ことを特徴とする請求項11に記載の光測距システム。
[請求項13]
前記第2の回路基板アセンブリは、前記光測距デバイスから前記シャフト内の中心穴を通して測距データを送信するように構成された光ダウンリンクトランスミッタを更に含み、
前記第1の回路基板アセンブリは、前記シャフト内の前記中心穴を介して前記光ダウンリンクトランスミッタから測距データを受信するように構成された光ダウンリンクレシーバを更に含む
ことを特徴とする請求項1~12のいずれかに記載の光測距システム。
[請求項14]
前記第1の回路基板アセンブリは、前記第2の回路基板アセンブリに電気的に接続された前記光測距デバイスに電力を送信するように構成された無線電力送信サブシステムを有し、
前記無線電力送信サブシステムは、前記第1の回路基板アセンブリ上に配設されかつ前記シャフト周りに配設されたトランスミッタコイルを有し、
前記第2の回路基板アセンブリは、前記無線電力送信サブシステムから電力を受信するように構成された無線電力レシーバサブシステムを有し、
前記無線電力レシーバサブシステムは、前記第2の回路基板アセンブリ上に配設されかつ前記シャフト周りに配設されたレシーバコイルを有する
ことを特徴とする請求項1に記載の光測距システム。
[請求項15]
光測距システムであって、
光学的に透明な窓及びベースを有する固定筐体と、
前記筐体内に配設された中空シャフトと、
前記中空シャフトに結合されたベアリングシステムと、
前記筐体内に配設され、前記中空シャフトに対して垂直な第1の平面に対して平行な、第1の回路基板アセンブリであって、当該第1の回路基板アセンブリの表面上の前記シャフト周りに環状に配置された複数の等間隔をなすステータ要素を有するステータアセンブリを含む、第1の回路基板アセンブリと、
前記筐体内に前記第1の平面に対して平行に配設され、かつ、前記ベアリングシステムによって前記シャフトに回転可能に結合された、第2の回路基板アセンブリであって、当該第2の回路基板アセンブリの表面上の前記シャフト周りに環状に配置された複数の等間隔をなすロータ要素を有するロータアセンブリを含み、前記複数のロータ要素は前記複数のステータ要素と位置整合されて離間する、第2の回路基板アセンブリと、
前記固定筐体内の前記第2の回路基板アセンブリと共に回転するように結合された光測距デバイスであって、前記窓を通して周囲環境内の物体に光パルスを送信するように構成された光源と、前記周囲環境内の前記物体から反射されて前記窓を通して受信された前記光パルスの反射部分を検出して、前記光パルスの前記反射部分に基づいて測距データを計算するように構成された検出器回路と、を含む、光測距デバイスと、
前記第2の回路基板アセンブリまたは前記第1の回路基板アセンブリのいずれかの上に配設され、前記複数のステータ要素に駆動信号を提供するように構成されており、それにより前記複数のロータ要素に電磁力を与えて前記シャフト周りの前記第2の回路基板アセンブリ及び前記光測距デバイスの回転を駆動する、ステータドライバ回路と、
を備えたことを特徴とする光測距システム。
[請求項16]
前記第1の回路基板アセンブリと前記第2の回路基板アセンブリとの間で前記中空シャフトを通してデータを光学的に送信するように構成された第1の光通信チャネルであって、前記第1の回路基板アセンブリ上に配設された回路に結合された第1の光学コンポーネントと、前記第2の回路基板アセンブリ内に配設された回路に結合された第2の光学コンポーネントと、を含む、第1の光通信チャネルと、
前記中空シャフトを取り囲み、前記第1の回路基板アセンブリと前記第2の回路基板アセンブリとの間でデータを光学的に送信するように構成された、第2の環状の光通信チャネルであって、前記第1の回路基板上に配設された回路に結合された第1の環状の光学コンポーネントと、前記第2の回路基板アセンブリ内に配設された回路に結合された第2の環状の光学コンポーネントと、を含む、第2の環状の光通信チャネルと、
を更に備えたことを特徴とする請求項15に記載の光測距システム。
[請求項17]
前記第1の光通信チャネルは、前記光測距デバイスから第1の回路基板サブアセンブリに結合されたプロセッサに測距データを送信するように構成されたダウンリンクチャネルであり、
前記第2の光通信チャネルは、前記プロセッサから前記光測距デバイスに制御信号を送信するように構成されたアップリンクチャネルである
ことを特徴とする請求項16に記載の光測距システム。
[請求項18]
前記第1の回路基板アセンブリに結合された熱拡散要素を更に含み、
前記光測距システムの構成要素が、前記ベアリングシステム及び前記熱拡散要素を通して、前記第2の回路基板アセンブリから前記ベースに熱を伝導するように構成されている
ことを特徴とする請求項15に記載の光測距システム。
[請求項19]
前記複数の等間隔をなすステータ要素の各々が、前記第1の回路基板アセンブリに対して垂直な長手方向軸を有し、磁性材料のコア周りに巻き付けられたソレノイドコイルを有し、
前記複数の等間隔をなすロータ要素における各ロータ要素が、磁石を有し、当該磁石の磁極が、当該ロータ要素に隣接する磁石の磁極と反対に配置されている
ことを特徴とする請求項15~18のいずれかに記載の光測距システム。
[請求項20]
光測距システムであって、
長手方向軸を有するシャフトと、
第1の回路基板アセンブリであって、前記第1の回路基板アセンブリの表面上の前記シャフト周りに配置された複数のステータ要素を有するステータアセンブリを含む、第1の回路基板アセンブリと、
前記シャフトに回転可能に結合され、前記第1の回路基板アセンブリと離間して対向する関係にある、第2の回路基板アセンブリであって、当該第2の回路基板アセンブリの表面上の前記シャフト周りに配置された複数のロータ要素を有するロータアセンブリを含み、前記複数のロータ要素は前記複数のステータ要素と位置整合されて離間する、第2の回路基板アセンブリと、
前記第2の回路基板アセンブリまたは前記第1の回路基板アセンブリのいずれかの上に配設され、前記複数のステータ要素に駆動信号を提供するように構成されており、それにより前記複数のロータ要素に電磁力を与えて前記シャフトの前記長手方向軸周りの前記第2の回路基板アセンブリの回転を駆動する、ステータドライバ回路と、
光測距デバイスであって、前記第2の回路基板アセンブリと共に回転するように、前記第2の回路基板アセンブリに機械的に結合された、光測距デバイスと、
を備えたことを特徴とする光測距システム。
[請求項21]
光測距システムであって、
ハウジングと、
回転軸を画定するシャフトと、
第1の回路基板アセンブリであって、前記回転軸に対して垂直な第1の平面に沿って位置整合するように定置関係をなして前記ハウジング内に配設されかつ前記ハウジングに結合され、第1の回路基板上に配設された複数の第1の回路要素を含む、第1の回路基板アセンブリと、
第2の回路基板アセンブリであって、前記回転軸周りに回転するように、前記第1の平面に対して平行な第2の平面において前記ハウジング内で前記第1の回路基板アセンブリから離間しかつ前記シャフトに回転可能に結合されており、第2の回路基板上に配設されかつ前記複数の第1の回路要素のうちの少なくとも1つと位置整合されて無線協調して機能するように構成された複数の第2の回路要素を含む、第2の回路基板アセンブリと、
前記第2の回路基板アセンブリと電気的に接続されて共に回転するように結合された光測距デバイスであって、周囲環境内の物体に光パルスを送信し、前記周囲環境内の前記物体から反射された前記光パルスの反射部分を検出し、前記光パルスの前記反射部分に基づいて測距データを計算するように構成されている、光測距デバイスと、
を備えたことを特徴とする光測距システム。
[請求項22]
前記無線協調は、光通信、無線電気通信、または、無線電力伝送、のうちの1つである
ことを特徴とする請求項21に記載の光測距システム。
[請求項23]
前記無線動作は、無線電力伝送を含み、
当該システムは、
前記第1の回路基板に取り付けられた環状の無線電力トランスミッタと、当該環状の無線電力トランスミッタと対向する箇所で前記第2の回路基板に取り付けられた環状の無線電力レシーバと、を含む無線電力システム
を更に備える
ことを特徴とする請求項21に記載の光測距システム。
[請求項24]
前記無線動作は、光通信を含み、
当該システムは、
前記第1の回路基板に取り付けられた第1の環状の光通信コンポーネントと、当該第1の環状の光通信コンポーネントと対向する箇所で前記第2の回路基板に取り付けられた第2の環状の光通信コンポーネントと、を含む環状の光通信チャネル
を更に備える
ことを特徴とする請求項21に記載の光測距システム。
[請求項25]
前記無線動作は、無線電気通信を含み、
当該システムは、
前記第1の回路基板に取り付けられた第1の環状の無線電気通信コンポーネントと、前記第1の環状の無線電気通信コンポーネントと対向する箇所で前記第2の回路基板に取り付けられた第2の環状の無線電気通信コンポーネントと、を含む環状の無線電気通信チャネル
を更に備える
ことを特徴とする請求項21に記載の光測距システム。
[請求項26]
前記複数の第1の回路要素は、無線電力トランスミッタコイルを有し、
前記複数の第2の回路要素は、前記無線電力トランスミッタコイルから無線で電力を受信するように動作可能に結合された無線電力レシーバコイルを含む
ことを特徴とする請求項21に記載の光測距システム。
[請求項27]
前記複数の第1の回路要素は、複数のアップリンクトランスミッタを有し、
前記複数の第2の回路要素は、複数の光アップリンクレシーバを有し、
前記複数のアップリンクトランスミッタ及び前記複数の光アップリンクレシーバは、協調して、光アップリンク通信チャネルを作成する
ことを特徴とする請求項21に記載の光測距システム。
[請求項28]
前記複数のアップリンクトランスミッタは、前記複数の光アップリンクレシーバと同心に配置されている
ことを特徴とする請求項27に記載の光測距システム。
[請求項29]
前記複数の第1の回路要素は、光ダウンリンクレシーバを有し、
前記複数の第2の回路要素は、前記測距データを送信するための光ダウンリンクトランスミッタを有し、
前記光ダウンリンクレシーバ及び前記光ダウンリンクトランスミッタは、協調して、光ダウンリンク通信チャネルを作成する
ことを特徴とする請求項21に記載の光測距システム。
[請求項30]
前記光ダウンリンクトランスミッタは、前記シャフト内の中心穴の上方に位置決めされており、
前記光ダウンリンクレシーバは、前記シャフト内の前記中心穴の下方に位置決めされており、
前記光ダウンリンクレシーバは、前記光ダウンリンクトランスミッタから前記シャフト内の前記中心穴を介して光信号を受信することができる
ことを特徴とする請求項29に記載の光測距システム。
[請求項31]
前記第1の回路基板または前記第2の回路基板の一方に取り付けられた環状のエンコーダストリップと、前記環状のエンコーダストリップと対向する箇所で前記第1の回路基板または前記第2の回路基板の他方に取り付けられたエンコーダリーダと、を含む環状のエンコーダ
を更に備えたことを特徴とする請求項21~30のいずれかに記載の光測距システム。
[請求項32]
光測距システムであって、
光学的に透明な窓を有する筐体と、
前記筐体を通る回転軸を画定するシャフトと、
前記筐体内に配設されて前記筐体に定置結合されており、前記回転軸に対して垂直に位置整合した、第1の回路基板アセンブリと、
前記筐体内に配設されて前記第1の回路アセンブリと離間して対向する関係にある第2の回路基板アセンブリであって、前記シャフトに回転可能に結合されている、第2の回路基板アセンブリと、
前記第2の回路基板アセンブリに定置関係をなして結合された光測距デバイスであって、前記シャフト周りに前記第2の回路基板アセンブリと共に回転するようになっている、光測距デバイスと、
前記第1の回路基板または前記第2の回路基板の一方に取り付けられた環状のエンコーダストリップと、当該環状のエンコーダストリップと面して対向する箇所で前記第1の回路基板または前記第2の回路基板の他方に取り付けられたエンコーダリーダと、を有する、環状のエンコーダと、
前記第1の回路基板に取り付けられた第1の環状の無線通信コンポーネントと、当該第1の環状の無線通信コンポーネントと面して対向する箇所で前記第2の回路基板に取り付けられた第2の環状の無線通信コンポーネントと、を有する、無線通信システムと、
前記第1の回路基板に取り付けられた環状の無線電力トランスミッタと、当該環状の無線電力トランスミッタと面して対向する箇所で前記第2の回路基板に取り付けられた環状の無線電力レシーバと、を有する、環状の無線電力伝送システムと、
を備えたことを特徴とする光測距システム。
[請求項33]
前記環状のエンコーダ及び前記無線通信システムは、各々、当該環状の無線電力伝送システムの半径内の箇所に配設されている
ことを特徴とする請求項32に記載の光測距システム。
[請求項34]
前記無線通信システムは、光通信システムを有する
ことを特徴とする請求項33に記載の光測距システム。
[請求項35]
前記無線通信システムは、無線電気通信システムを有する
ことを特徴とする請求項33に記載の光測距システム。
[請求項36]
前記シャフトは、中空であり、
前記無線通信システムは、
前記光測距デバイスと前記第1の回路基板アセンブリとの間で前記中空シャフトを通してデータを光学的に送信するように構成された第1の光通信チャネルであって、前記光測距デバイスと共に回転するように結合された回路に結合された第1の光学コンポーネントと、前記第1の回路基板アセンブリ上に配設された回路に結合された第2の光学コンポーネントと、を含む、第1の光通信チャネルと、
前記中空シャフトを取り囲み、前記光測距デバイスと前記ベースサブシステムとの間でデータを送信するように構成された、第2の環状の通信チャネルであって、前記第1の環状の無線通信コンポーネントと、前記第2の環状の無線通信コンポーネントと、を含む、第2の環状の通信チャネルと、
を有する
ことを特徴とする請求項32または33に記載の光測距システム。
[請求項37]
前記第2の環状の通信チャネルは、光通信チャネルであり、
前記第1の環状の無線通信コンポーネントは、第1の複数の光学コンポーネントを有し、
前記第2の環状の無線通信コンポーネントは、第2の複数の光学コンポーネントを有する
ことを特徴とする請求項36に記載の光測距システム。
[請求項38]
前記第1の光学コンポーネントは、環状配置で等間隔をなし複合光トランスミッタとして構成された複数の光トランスミッタを有し、
前記第2の光学コンポーネントは、環状配置で等間隔をなし前記複合光トランスミッタと位置整合されて離間した複合光レシーバとして構成された複数の光レシーバを有する
ことを特徴とする請求項36に記載の光測距システム。
[請求項39]
光測距システムであって、
光学的に透明な窓を有する筐体と、
前記筐体を通る回転軸を画定するシャフトと、
前記筐体内に配設されて前記筐体に定置結合されており、前記回転軸に対して垂直に位置整合した、第1の回路基板アセンブリと、
前記筐体内に配設されて前記第1の回路アセンブリと離間して対向する関係にある第2の回路基板アセンブリであって、前記シャフトに回転可能に結合されている、第2の回路基板アセンブリと、
前記シャフト周りに前記第2の回路基板アセンブリと共に回転するように前記第2の回路基板アセンブリに取り付けられた光測距デバイスであって、周囲環境内の物体に光パルスを送信し、前記周囲環境内の前記物体から反射された前記光パルスの反射部分を検出し、前記光パルスの前記反射部分に基づいて測距データを計算するように構成されている、光測距デバイスと、
前記第1の回路基板または前記第2の回路基板の一方に取り付けられた環状のエンコーダストリップと、当該環状のエンコーダストリップと面して対向する箇所で前記第1の回路基板または前記第2の回路基板の他方に取り付けられたエンコーダリーダと、を有する、環状のエンコーダと、
前記第1の回路基板に取り付けられた第1の環状の無線通信コンポーネントと、当該第1の環状の無線通信コンポーネントと面して対向する箇所で前記第2の回路基板に取り付けられた第2の環状の無線通信コンポーネントと、を有する、無線通信システムと、
前記第1の回路基板アセンブリの表面上の前記シャフト周りに配置された複数のステータ要素を有するステータアセンブリと、前記第2の回路基板アセンブリの表面上の前記シャフト周りに配置された複数のロータ要素を有するロータアセンブリと、を含み、前記複数のロータ要素は前記複数のステータ要素と面して対向する箇所に配設されるようになっている、ロータアセンブリと、を含む、電気モータと、
前記第2の回路基板アセンブリまたは前記第1の回路基板アセンブリのいずれかの上に配設され、前記複数のステータ要素に駆動信号を提供するように構成されており、それにより前記複数のロータ要素に電磁力を与えて前記シャフト周りの前記第2の回路基板アセンブリの回転を駆動するステータドライバ回路と、
前記第1の回路基板に取り付けられた環状の無線電力トランスミッタと、当該環状の無線電力トランスミッタと面して対向する箇所で前記第2の回路基板に取り付けられた環状の無線電力レシーバと、を有する、環状の無線電力伝送システムと、
を備えたことを特徴とする光測距システム。
[請求項40]
前記環状のエンコーダ、前記電気モータ、及び前記無線通信システムは、各々、前記環状の無線電力伝送システムの半径内の箇所に配設されている
ことを特徴とする請求項39に記載の光測距システム。
[請求項41]
光測距システムであって、
長手方向軸を有するシャフトと、
前記シャフトの前記長手方向軸周りに回転するように構成された光測距デバイスであって、周囲環境内の物体に光パルスを送信するように構成された光源と、前記周囲環境内の前記物体から反射された前記光パルスの反射部分を検出し前記光パルスの前記反射部分に基づいて測距データを計算するように構成された検出器回路と、を含む、光測距デバイスと、
前記シャフト周りに回転しないベースサブシステムと、
前記ベースサブシステムと前記光測距デバイスとの間に光通信チャネルを提供するように構成された光通信サブシステムであって、前記検出器回路に接続された1または複数のタレット光通信コンポーネントと、前記ベースサブシステムに接続された1または複数のベース光通信コンポーネントと、を含む、光通信サブシステムと、
を備えたことを特徴とする光測距システム。
[請求項42]
前記光通信サブシステムは、ダウンリンクチャネル及びアップリンクチャネルを有し、
前記ダウンリンクチャネルは、前記光測距デバイスから前記ベースサブシステムに測距データを光学的に送信するように構成されており、
前記アップリンクチャネルは、前記ベースサブシステムから前記光測距デバイスに制御信号を光学的に送信するように構成されている
ことを特徴とする請求項41に記載の光測距システム。
[請求項43]
前記シャフトは、中空であり、
前記ダウンリンクチャネルは、前記光測距デバイスに結合され前記中空シャフトを通して前記ベースサブシステムに結合された光レシーバに測距データを光学的に送信するように構成された光トランスミッタを有する
ことを特徴とする請求項42に記載の光測距システム。
[請求項44]
前記アップリンクチャネルは、前記ベースサブシステムに結合されかつ前記シャフトの外側に環状配置で配設された複数の光トランスミッタと、前記光測距デバイスに結合されかつ前記シャフトの外側に環状配置で配設された複数の光レシーバと、を有する
ことを特徴とする請求項43に記載の光測距システム。
[請求項45]
前記光通信サブシステムは、前記1または複数のタレット光通信コンポーネントの少なくとも1つの光ダウンリンクトランスミッタから、前記1または複数のベース光通信コンポーネントの少なくとも1つの光ダウンリンクレシーバに、測距データを光学的に送信するように構成されている
ことを特徴とする請求項41に記載の光測距システム。
[請求項46]
前記1または複数のタレット光通信コンポーネントは、前記シャフト周りに回転する前記光測距デバイスのタレット回路基板アセンブリ上に配設された光ダウンリンクトランスミッタを有し、
前記1または複数のベース光通信コンポーネントは、前記ベースサブシステムのベース回路基板アセンブリ上に配設された光ダウンリンクレシーバを有し、
前記シャフトは、中心開口部を有する中空シャフトであり、
前記光ダウンリンクトランスミッタ及び前記光ダウンリンクレシーバは、前記シャフトの前記中心開口部を通して光信号をそれぞれ送信及び受信するように位置決めされている、ことを特徴とする請求項41に記載の光測距システム。
[請求項47]
前記1または複数のベース光通信コンポーネントは、前記ベースサブシステムのベース回路基板アセンブリ上に配設された少なくとも1つの光アップリンクトランスミッタを有し、
前記少なくとも1つの光アップリンクトランスミッタは、前記光測距システムにアップリンク信号を通信するように構成されており、
前記1または複数のタレット光通信コンポーネントは、前記光測距デバイスのタレット回路基板アセンブリ上に配設された少なくとも1つの光アップリンクレシーバを有し、
前記少なくとも1つの光アップリンクレシーバは、前記アップリンク信号を受信するように構成されている
ことを特徴とする請求項41に記載の光測距システム。
[請求項48]
前記少なくとも1つの光アップリンクトランスミッタは、第1のリング内に配置された複数のトランスミッタを含み、
前記少なくとも1つの光アップリンクレシーバは、前記第1のリングと同心の第2のリング内に配置された複数のレシーバを含む
ことを特徴とする請求項47に記載の光測距システム。
[請求項49]
前記第2のリングは、前記タレット回路基板アセンブリによって画定されかつ前記シャフトに対して垂直な第1の平面内に配向されており、
前記第2のリングは、前記シャフト上に中心を有し、
前記タレット回路基板アセンブリ及び前記ベース回路基板アセンブリは、前記シャフトの長さに沿って互いから空間的に分離されている、
ことを特徴とする請求項48に記載の光測距システム。
[請求項50]
前記第1のリングは、前記ベースサブシステムの前記ベース回路基板アセンブリによって画定されかつ前記シャフトに対して垂直な第2の平面内に配向されており、
前記第1のリングは、前記シャフト上に中心を有する、
ことを特徴とする請求項49に記載の光測距システム。
[請求項51]
前記タレット回路基板アセンブリは、光ダウンリンクトランスミッタ及び前記複数のレシーバを含む単一の回路基板を有する
ことを特徴とする請求項48に記載の光測距システム。
[請求項52]
前記ベースサブシステムの前記ベース回路基板アセンブリは、光ダウンリンクレシーバ及び前記複数のトランスミッタを含む単一の回路基板を有する
ことを特徴とする請求項48に記載の光測距システム。
[請求項53]
光測距システムであって、
光学的に透明な窓を有するハウジングと、
前記ハウジング内に配設された、長手方向軸を有する中空シャフトと、
前記ハウジング内に配設され、前記シャフトの長手方向軸周りに回転するように構成された、光測距デバイスであって、前記光学的に透明な窓を通して周囲環境内の物体に光パルスを送信するように構成された光源と、前記周囲環境内の前記物体から反射されて前記光学的に透明な窓を通った前記光パルスの反射部分を検出して前記光パルスの前記反射部分に基づいて測距データを計算するように構成された検出器回路と、を含む、光測距デバイスと、
前記シャフト周りに回転しない、前記ハウジング内に配設されたベースサブシステムと、
前記ハウジング内に配設され、前記ベースサブシステムと前記光測距デバイスとの間に光通信チャネルを提供するように構成された、光通信サブシステムであって、前記中空シャフト内に配設された第1の光チャネルと、前記中空シャフトの外側に環状に配置された第2の光チャネルと、を含む、光通信サブシステムと、
を備えたことを特徴とする光測距システム。
[請求項54]
前記第1の光チャネルは、前記光測距デバイスに結合された光トランスミッタと、前記光トランスミッタから離間されかつ前記ベースサブシステムに結合された光レシーバと、を有する
ことを特徴とする請求項53に記載の光測距システム。
[請求項55]
前記第2の光チャネルは、前記ベースサブシステムに結合された複合光トランスミッタとして構成された、環状配置で等間隔をなす複数の光トランスミッタと、前記複合光トランスミッタと位置整合されて離間され前記光測距デバイスと結合された複合光レシーバとして構成された、環状配置で等間隔をなす複数の光レシーバと、を有する
ことを特徴とする請求項53または54に記載の光測距システム。
[請求項56]
前記光測距デバイスは、第1の回路基板を更に含み、
前記ベースサブシステムは、前記第1の回路基板と平行で離間した第2の回路基板を更に含み、
前記複数の光トランスミッタは、前記第1の回路基板上に配設されており、
前記複数の光レシーバは、前記第2の回路基板上に配設されている
ことを特徴とする請求項55に記載の光測距システム。
[請求項57]
前記複数の光トランスミッタ内の前記光トランスミッタの各々が、LEDを有し、
前記複数の光レシーバ内の前記光レシーバの各々が、フォトダイオードを有する
ことを特徴とする請求項56に記載の光測距システム。
[請求項58]
前記第1の光チャネルは、前記光測距デバイスから前記ベースサブシステムに測距データを送信するように構成されており、
前記第2の光チャネルは、前記ベースサブシステムから前記光測距デバイスに制御信号を送信するように構成されている、
ことを特徴とする請求項53~57のいずれかに記載の光測距システム。
[請求項59]
光測距システムであって、
光学的に透明な窓を有するハウジングと、
前記ハウジング内に配設された、長手方向軸を有する中空シャフトと、
前記ハウジング内に配設され、前記シャフトの長手方向軸周りに回転するように構成された、光測距デバイスであって、前記光学的に透明な窓を通して周囲環境内の物体に光パルスを送信するように構成された光源と、前記周囲環境内の前記物体から反射されて前記光学的に透明な窓を通った前記光パルスの反射部分を検出して前記光パルスの前記反射部分に基づいて測距データを計算するように構成された検出器回路と、を含む、光測距デバイスと、
前記シャフト周りに回転しない、前記ハウジング内に配設されたベースサブシステムと、
前記光測距デバイスと前記ベースサブシステムとの間で前記中空シャフトを通してデータを光学的に送信するように構成された第1の光通信チャネルであって、前記光測距デバイスと共に回転するように結合された回路に結合された第1の光学コンポーネントと、前記ベースサブシステム上に配設された回路に結合された第2の光学コンポーネントと、を含む、第1の光通信チャネルと、
前記中空シャフトを取り囲み、前記光測距デバイスと前記ベースサブシステムとの間でデータを光学的に送信するように構成された第2の環状の光通信チャネルであって、前記光測距デバイスと共に回転するように結合された回路に結合された第1の環状の光学コンポーネントと、前記ベースサブシステム上に配設された回路に結合された第2の環状の光学コンポーネントと、を含む、第2の環状の光通信チャネルと、
を備えたことを特徴とする光測距システム。
[請求項60]
前記第1の光通信チャネルは、前記光測距デバイスから前記ベースサブシステムに結合されたプロセッサに測距データを送信するように構成されたダウンリンクチャネルであり、
前記第2の光通信チャネルは、前記プロセッサから前記光測距デバイスに制御信号を送信するように構成されたアップリンクチャネルである、
ことを特徴とする請求項59に記載の光測距システム。
[請求項61]
光測距デバイスであって、
周囲環境内の物体に光パルスを送信するように構成された光源を含む、発光モジュールと、
光感知モジュールと、
を備え、
前記光感知モジュールは、
レンズハウジングと、
前記レンズハウジングに結合されており、前記周囲環境から光を受信し、当該受信した光を焦点面に集束するように構成された、バルクレンズ系であって、前記レンズハウジング内に取り付けられた第1のレンズ、第2のレンズ及び第3のレンズを有し、前記第1のレンズ、前記第2のレンズ、または、前記第1のレンズ及び前記第2のレンズが、プラスチックであり、前記第3のレンズが、ガラスである、バルクレンズ系と、
前記バルクレンズ系から光を受信し、前記周囲環境内の前記物体から反射された前記光パルスの反射部分を検出するように構成された、光センサのアレイと、
前記レンズハウジングを前記光センサのアレイと機械的に結合するマウントと、
を有しており、
前記レンズハウジング、前記バルクレンズ系、及び前記マウントは、特定の温度範囲にわたって前記バルクレンズ系からの光を前記光センサのアレイ上に受動的に集束するように構成されている
ことを特徴とする光測距デバイス。
[請求項62]
前記光パルスの前記反射部分に基づいて測距データを計算するように構成された回路
を更に備えたことを特徴とする請求項61に記載の光測距デバイス。
[請求項63]
前記温度範囲にわたって前記光センサのアレイ上に光が受動的に集束するように、前記レンズハウジング、前記バルクレンズ系、及び前記マウントが、温度の関数として、前記レンズ系の焦点距離を、前記レンズハウジングの膨張係数及び前記マウントの膨張係数と適合させるように構成されている、
ことを特徴とする請求項61に記載の光測距システム。
[請求項64]
前記温度範囲は、-5℃~70℃である、
ことを特徴とする請求項61~63のいずれかに記載の光測距システム。
[請求項65]
光測距システムであって、
光学的に透明な窓を有する筐体と、
前記筐体内に配設された光測距デバイスと、
を備え、
前記光測距デバイスは、
バルクトランスミッタレンズ系及び複数のトランスミッタチャネルを有する光トランスミッタであって、各チャネルが、バルクトランスミッタ光学素子を通して及び前記光学的に透明な窓を通して、前記光測距システムの外部のフィールド内へと、狭帯域光のパルスを生成及び送信するように構成された光エミッタを含む、光トランスミッタと、
バルクレシーバレンズ系、レンズハウジング及び複数のマイクロ光学素子レシーバチャネルを有する光レシーバであって、各マイクロ光学素子チャネルが、バルクレシーバ光学素子の焦点面と一致した開口と、当該開口の背後のコリメートレンズと、当該コリメートレンズの背後の光学フィルタと、前記コリメートレンズ内へと前記開口を通過して前記フィルタを通過した入射光子に応答する光センサと、を含む、光レシーバと、
前記光センサで受信した光子に基づいて測距データを計算するように構成された回路と、
を有し、
前記バルクレシーバレンズ系は、前記レンズハウジングに取り付けられた第1のレンズ、第2のレンズ及び第3のレンズを有し、
前記第1のレンズ、前記第2のレンズ、または、前記第1のレンズ及び前記第2のレンズが、プラスチックであり、前記第3のレンズが、ガラスであり、
前記レンズハウジングの熱膨張係数(CTE)が、特定の温度範囲にわたって、前記バルクレシーバレンズ系と適合されており、前記焦点面は、前記温度範囲にわたって、前記複数のマイクロ光学素子レシーバチャネル内の各光センサに対して安定している
ことを特徴とする光測距システム。
[請求項66]
前記温度範囲は、-5℃~70℃である、
ことを特徴とする請求項65に記載の光測距システム。
[請求項67]
前記バルクトランスミッタレンズ系は、画像空間テレセントリックレンズ系であり、
前記バルクレシーバレンズ系は、画像空間テレセントリックレンズ系である、
ことを特徴とする請求項65または66に記載の光測距システム。
[請求項68]
画像感知デバイスであって、
レンズハウジングと、
前記レンズハウジングに機械的に結合され、焦点面に光を集束するように構成された、バルクレンズ系であって、前記レンズハウジング内に取り付けられた第1のレンズ、第2のレンズ及び第3のレンズを有し、前記第1のレンズ、前記第2のレンズ、または、前記第1のレンズ及び前記第2のレンズが、プラスチックであり、前記第3のレンズが、ガラスである、バルクレンズ系と、
前記バルクレンズ系から光を受信するように構成された、光センサのアレイと、
前記レンズハウジングを前記光センサのアレイと機械的に結合するマウントと、
を備え、
前記レンズハウジングの熱膨張係数(CTE)が、特定の温度範囲にわたって、前記バルクレンズ系と適合されており、前記焦点面が前記温度範囲にわたって前記光センサのアレイに対して安定である
ことを特徴とする画像感知デバイス。
[請求項69]
前記温度範囲は、20℃~70℃である
ことを特徴とする請求項68に記載の画像感知デバイス。
[請求項70]
前記温度範囲は、-5℃~70℃である
ことを特徴とする請求項69に記載の画像感知デバイス。
[請求項71]
前記バルクレンズ系は、画像空間テレセントリックレンズ系である
ことを特徴とする請求項69に記載の画像感知デバイス。
[請求項72]
前記レンズハウジングを前記光センサのアレイと機械的に結合するマウント
を更に備え、
前記マウントのCTEが、前記レンズハウジングの前記CTEと適合されている
ことを特徴とする請求項69に記載の画像感知デバイス。
[請求項73]
温度センサと、
前記温度センサに応答して前記バルクレンズ系を加熱するように動作可能に結合された加熱要素と、
を更に備えたことを特徴とする請求項68~72のいずれかに記載の画像感知デバイス。
[請求項74]
前記光センサのアレイは、平坦であり、
当該画像感知デバイスは、前記光センサのアレイ内の各光センサのためのマイクロ光学チャネルを更に備え、
前記マイクロ光学チャネルは、前記焦点面、マイクロレンズ層、及びフィルタ層に位置決めされた開口層を含む
ことを特徴とする請求項68~72のいずれかに記載の画像感知デバイス。
[請求項75]
前記第3のレンズは、球面状であり、18mm以下であって5mm以上である幅を有する
ことを特徴とする請求項68~72のいずれかに記載の画像感知デバイス。
[請求項76]
前記レンズ系は、2.4以下であって0.7以上であるF値を有する
ことを特徴とする請求項68~72のいずれかに記載の画像感知デバイス。
[請求項77]
前記レンズ系は、第4のレンズを更に有する
ことを特徴とする請求項68~72のいずれかに記載の画像感知デバイス。
[請求項78]
前記第2のレンズ及び前記第4のレンズは、非球面の曲率を有する、前記レンズ系における唯一のレンズである、
ことを特徴とする請求項77に記載の画像感知デバイス。
[請求項79]
前記レンズハウジングは、第1のレンズハウジングと、当該第1のレンズハウジングと同一の形状を有する第2のレンズハウジングと、を有し、
前記バルクレンズ系は、前記第1のレンズハウジングに取り付けられた第1のバルクレンズ系であり、
前記光測距システムは、
前記第2のレンズハウジング内に配設されたレーザアレイと、
前記第2のレンズハウジングに取り付けられ、前記第1のバルクレンズ系と同様のレンズを有する、第2のバルクレンズ系であって、光が周囲環境に投射される前に前記レーザアレイからの光を散逸するように構成されている、第2のバルクレンズ系と、
を更に有する
ことを特徴とする請求項68~72のいずれかに記載の画像感知デバイス。
[請求項80]
前記ハウジングは、10mm~60mmの長さを有し、
前記第1のレンズハウジング及び前記第2のレンズハウジングは、2.5cm以下だけ分離されている
ことを特徴とする請求項79に記載の画像感知デバイス。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図6F
図7
図8A
図8B
図9A
図9B-9C】
図10
図11A
図11B
図12A-12B】
図13A
図13B
図14
図15A
図15B
図15C
図16A
図16B
図16C
図16D
図16E
図17A
図17B
図17C
図17D
図18