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特許7277465プロカルシトニンと中間領域プロアドレノメデュリンを使用したリスク評価と患者管理のためのワークフロー
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-10
(45)【発行日】2023-05-19
(54)【発明の名称】プロカルシトニンと中間領域プロアドレノメデュリンを使用したリスク評価と患者管理のためのワークフロー
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/68 20060101AFI20230511BHJP
   G01N 33/74 20060101ALI20230511BHJP
   C12Q 1/04 20060101ALI20230511BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20230511BHJP
   A61P 31/00 20060101ALI20230511BHJP
【FI】
G01N33/68
G01N33/74
C12Q1/04 ZNA
A61K45/00
A61P31/00
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020533266
(86)(22)【出願日】2018-12-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-22
(86)【国際出願番号】 EP2018086150
(87)【国際公開番号】W WO2019122100
(87)【国際公開日】2019-06-27
【審査請求日】2021-12-17
(31)【優先権主張番号】17209151.4
(32)【優先日】2017-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】508093584
【氏名又は名称】ベー.エル.アー.ハー.エム.エス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100168631
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 康匡
(72)【発明者】
【氏名】ペラ アリーン
(72)【発明者】
【氏名】ウィルソン ダライアス
【審査官】白形 優依
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-503329(JP,A)
【文献】特表2006-523302(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0010284(US,A1)
【文献】ANGELETTI, S. et al.,Diagnostic and prognostic role of procalcitonin(PCT) and MR-pro-adrenomedullin (MR-proADM) in bacterial infections,APMIS,2015年06月08日,Vol.123, No.9,pp.740-748
【文献】ANDALUZ-OJEDA, D. et al.,Superior accuracy of mid-regional proadrenomedulllin for mortality prediction in sepsis with varying levels of illness severity,Annals of Intensive Care,2017年07月10日,Vol.7, Artilcle number:15,pp.1-8
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 33/48 - 33/98
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象における感染症の重症度の評価方法であって、
(i)対象由来の血液試料中の、プロカルシトニン(PCT)(配列番号1)のレベル、および
プロアドレノメデュリン(proADM)(配列番号3)またはその断片であって少なくとも12アミノ酸残基の長さを有する前記断片、或いはMR-proADM(配列番号2)またはその前駆体、または前記MR-proADM若しくはその前駆体の断片であって少なくとも12アミノ酸残基の長さを有する前記断片のレベル
を決定するステップ、および
(ii)PCTの前記決定されたレベルと、proADMまたはその断片、或いはMR-proADMまたはその前駆体またはそれらの断片の前記決定されたレベルとを、閾値レベルと比較することにより、感染症の重症度を決定するステップ、
を含み、ここで、
(iii)PCTについての前記決定されたレベルが0.1ng/ml未満であり、且つ、proADMまたはその断片或いはMR-proADMまたはその前駆体またはそれらの断片についての前記決定されたレベルが0.88nmol/L未満である場合に、前記対象は重症でない感染症を有し、
または
(iv)PCTについての前記決定されたレベルが0.1ng/ml未満であり、且つ、proADMまたはその断片或いはMR-proADMまたはその前駆体またはそれらの断片についての前記決定されたレベルが0.88nmol/L以上であり且つ1.28nmol/L未満である場合、前記対象はほとんど重症でない感染症を有し、
または
(v)PCTについての前記決定されたレベルが0.1ng/ml未満であり、且つ、proADMまたはその断片或いはMR-proADMまたはその前駆体またはそれらの断片についての前記決定されたレベルが1.28nmol/L以上であって、1.50nmol/L未満である場合、前記対象は低重症の感染症を有し、
または
(vi)PCTについての前記決定されたレベルが0.1ng/ml以上であり、且つ、proADMまたはその断片或いはMR-proADMまたはその前駆体またはそれらの断片についての前記決定されたレベルが0.88nmol/L未満である場合、前記対象は非常に低重症の感染症を有し、
または
(vii)PCTについての前記決定されたレベルが0.1ng/ml以上であり、且つ、proADMまたはその断片或いはMR-proADMまたはその前駆体またはそれらの断片についての前記決定されたレベルが0.88nmol/L以上であり且つ1.28nmol/L未満である場合、前記対象は低重症の感染症を有し、
または
(viii)PCTについての前記決定されたレベルが0.1ng/ml以上であり、且つ、proADMまたはその断片或いはMR-proADMまたはその前駆体またはそれらの断片についての前記決定されたレベルが1.28nmol/L以上であって、1.50nmol/L未満である場合、前記対象は重症感染症を有し、
または
(ix)PCTについての前記決定されたレベルが0.1ng/ml未満であり、且つ、proADMまたはその断片或いはMR-proADMまたはその前駆体またはそれらの断片についての前記決定されたレベルが1.50nmol/L以上であって、2.25nmol/L未満である場合、前記対象は重症感染症を有し、
または
(x)PCTについての前記決定されたレベルが0.1ng/ml未満であり、且つ、proADMまたはその断片或いはMR-proADMまたはその前駆体またはそれらの断片についての前記決定されたレベルが2.25nmol/L以上である場合、前記対象は重症感染症を有し、
または
(xi)PCTについての前記決定されたレベルが0.1ng/ml以上であり、且つ、proADMまたはその断片或いはMR-proADMまたはその前駆体またはそれらの断片についての前記決定されたレベルが1.50nmol/L以上であって、2.25nmol/L未満である場合、前記対象は高重症の感染症を有し、
または
(xii)PCTについての前記決定されたレベルが0.1ng/ml以上であり、且つ、proADMまたはその断片或いはMR-proADMまたはその前駆体またはそれらの断片についての前記決定されたレベルが2.25nmol/L以上である場合、前記対象は非常に高重症の感染症を有する、
前記方法。
【請求項2】
(i)において、MR-proADM(配列番号2)またはその前駆体或いは前記MR-proADM若しくはその前駆体の断片であって少なくとも12アミノ酸残基の長さを有する前記断片が使用される、請求項1に記載の対象における感染症の重症度の評価方法。
【請求項3】
治療的介入または管理またはガイダンスを含む、臨床決定の実行のための請求項1または2に記載の対象における感染症の重症度の評価方法であって
前記治療的介入または管理またはガイダンスは、対象を入院させる決定、臨床現場への入院または臨床現場からの退院、並びに、他の対象の保護のための対象の隔離または非隔離を含み、
重症感染症の場合には、そのような臨床決定は、医薬品の使用および/または最小限の若しくは侵襲的な手技の使用から選択される、治療的介入または管理またはガイダンスを更に含む、
前記評価方法。
【請求項4】
proADMまたはその断片或いはMR-proADMまたはその前駆体またはそれらの断片の決定されたレベルが、1.28nmol/L以上であることが、以下の処置a)~d)の1つ以上が適用可能であることを示す、請求項1~3のいずれかに記載の対象における感染症の重症度の評価方法:
a)中心ラインおよび/または異なる源と試料から血液培養検査を実施すること、
b)ガイドラインに従って、抗生物質の経口または静脈内投与を実施すること、
c)a)で陰性の試験結果が提供され、PCTの決定されたレベルが0.1ng/ml未満の場合は、抗生物質の投与を中止すること、
d)乳酸、FBC(全血球数)、U&E(尿素および電解質)、LFT(肝機能検査)、CRP、及び凝固からなる群から選ばれる1以上についての血液検査結果をモニタリングすること。
【請求項5】
PCTの決定されたレベルと、proADM又はその断片或いはMR-proAM又はその前駆体又はそれらの断片の決定されたレベルが、前記(iii)の範囲内であることが、前記対象への抗生物質を差し控えることを示し
PCTの決定されたレベルと、proADM又はその断片或いはMR-proAM又はその前駆体又はそれらの断片の決定されたレベルが、前記(iv)の範囲内であることが、前記対象への抗生物質を差し控え、且つ、明確化または精密検査のために対象の試料を使用して6~12時間または24時間以内にPCTのさらなる測定を行ってもよいことを示し
PCTの決定されたレベルと、proADM又はその断片或いはMR-proAM又はその前駆体又はそれらの断片の決定されたレベルが、前記(v)の範囲内であることが、前記対象に抗生物質を投与することを示し
PCTの決定されたレベルと、proADM又はその断片或いはMR-proAM又はその前駆体又はそれらの断片の決定されたレベルが、前記(vi)の範囲内であることが、前記対象への抗生物質を差し控えることを示し
PCTの決定されたレベルと、proADM又はその断片或いはMR-proAM又はその前駆体又はそれらの断片の決定されたレベルが、前記(vii)の範囲内であることが、前記対象に抗生物質を投与し、且つ、明確化または精密検査のために対象の試料を使用して6~12時間または24時間以内にPCTのさらなる測定を行ってもよいことを示し
PCTの決定されたレベルと、proADM又はその断片或いはMR-proAM又はその前駆体又はそれらの断片の決定されたレベルが、前記(viii、ix、x、xi、xii)のうちの1つの範囲内であることが、前記対象に抗生物質を直ちに投与することを示す、請求項1に記載の対象における感染症の重症度の評価方法。
【請求項6】
(iv、v、vi、vii、viii、ix、x、xi、xii)のうちの1つに該当する場合は、前記対象を入院させ、
または
(iii)または(vi)に該当する場合は、前記対象を退院させる、請求項1に記載の対象における感染症の重症度の評価方法。
【請求項7】
proADMまたはその断片或いはMR-proADMまたはその前駆体またはそれらの断片が、1.50nmol/L以上であることが、以下の処置a)~f):
a)フェイスマスクにより酸素を提供すること、
b)流体ボーラス療法を実施すること、
c)中心ラインおよび/または異なる源および試料からの血液培養検査を実施すること、
d)ガイドラインに従って、抗生物質の経口または静脈内投与を実施すること、
e)乳酸、FBC(全血球数)、U&E(尿素および電解質)、LFT(肝機能検査)、CRP、及び凝固からなる群から選ばれる1以上についての血液検査結果をモニタリングすること、
f)尿量をモニタリングすること、
の1つ以上を適用可能であることを示し
または、
proADMまたはその断片或いはMR-proADMまたはその前駆体またはそれらの断片が2.25nmol/L以上であることが、以下の処置g):
g)臨床パラメータおよび他の生命維持措置をチェックすることを含む、臓器機能不全をモニタリングすること、
をさらに適用可能であることを示す
請求項1~のいずれかに記載の対象における感染症の重症度の評価方法。
【請求項8】
前記血液試料が、血清試料、および血漿試料を含む群から選択される、請求項1~のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記対象が細菌感染症を有するか、前記対象が感染症の疑いを有するか、前記対象が感染症にかかる増大したリスクを有するか、前記対象が退院後の対象であるか、或いは、前記対象が臨床現場にいる、請求項1~のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
PCTとproADMまたはMR-proADMとに加えて、少なくとも1つの更なるバイオマーカー、臨床スコアおよび/またはパラメータを決定することを更に含む、請求項1~のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
前記更なるパラメータは、以下:
急性生理学および慢性健康評価II(Acute Physiology and Chronic Health Evaluation II(APACHE II))、簡易急性生理学スコア(the simplified acute physiology score(SAPSIIスコア))、迅速順次臓器不全評価スコア(quick sequential organ failure assessment score(qSOFA))、順次臓器不全評価スコア(sequential organ failure assessment score(SOFAスコア))、体格指数、体重、年齢、性別、IGS II、液体摂取量、白血球数、赤血球数、血小板数、ヘモグロビン、ヘマトクリット、ナトリウム、カリウム、温度、血圧、ドーパミン、ビリルビン、呼吸数、酸素分圧、世界脳神経外科学会(WFNS)グレーディング、およびグラスゴー昏睡尺度(GCS)からなる群から選択される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記更なるマーカーおよび/またはパラメータは、以下:
乳酸塩のレベル、CRP、該対象の順次臓器不全評価スコア(SOFAスコア)、該対象の簡易急性生理学スコア(SAPSII)、該対象の急性生理学および慢性健康評価II(APACHE II)スコア、可溶性fms様チロシンキナーゼ-1(sFlt-1)のレベル、ヒストンH2A、ヒストンH2B、ヒストンH3、ヒストンH4、カルシトニン、エンドセリン-1(ET-1)、アルギニンバソプレシン(AVP)、心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)、好中球ゼラチナーゼ関連リポカリン(NGAL)、トロポニン、脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)、C反応性タンパク質(CRP)、膵石タンパク質(PSP)、骨髄細胞発現誘発性受容体1(Triggering Receptor Expressed on Myeloid Cells1(TREM1))、インターロイキン6(IL-6)、インターロイキン1、インターロイキン24(IL-24)、インターロイキン22(IL-22)、インターロイキン20(IL-20)およびその他のインターロイキン(IL)、プレセプシン(sCD14-ST)、リポ多糖結合タンパク質(LBP)、アルファ-1-アンチトリプシン、マトリックスメタロプロテイナーゼ2(MMP2)、メタロプロテイナーゼ8(MMP8)、マトリックスメタロプロテイナーゼ9(MMP9)、マトリックスメタロプロテイナーゼ7(MMP7)、胎盤成長因子(PlGF)、クロモグラニンA、S100Aタンパク質、S100Bタンパク質および腫瘍壊死因子α(TNFα)、ネオプテリン、プロアルギニンバソプレシン、心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP、pro-ANP)、E-セレクチン、ICAM-1、VCAM-1、IP-10、CCL1/TCA3、CCL11、CCL12/MCP-5、CCL13/MCP-4、CCL14、CCL15、CCL16、CCL17/TARC、CCL18、CCL19、CCL2/MCP-1、CCL20、CCL21、CCL22/MDC、CCL23、CCL24、CCL25、CCL26、CCL27、CCL28、CCL3、CCL3L3、CCL4、CCL4L1/LAG-1、CCL5、CCL6、CCL7、CCL8、CCL9、CX3CL1、CXCL1、CXCL10、CXCL11、CXCL12、CXCL13、CXCL14、CXCL15、CXCL16、CXCL17、CXCL2/MIP-2、CXCL3、CXCL4、CXCL5、CXCL6、CXCL7/Ppbp、CXCL9、IL8/CXCL8、XCL1、XCL2、FAM19A1、FAM19A2、FAM19A3、FAM19A4、FAM19A5、CLCF1、CNTF、IL11、IL31、IL6、ICAM、レプチン、LIF、OSM、IFNA1、IFNA10、IFNA13、IFNA14、IFNA2、IFNA4、IFNA7、IFNB1、IFNE、IFNG、IFNZ、IFNA8、IFNA5/IFNaG、IFNω/IFNW1、BAFF、4-1BBL、TNFSF8、CD40LG、CD70、CD95L/CD178、EDA-A1、TNFSF14、LTA/TNFB、LTB、TNFa、TNFSF10、TNFSF11、TNFSF12、TNFSF13、TNFSF15、TNFSF4、IL18、IL18BP、IL1A、IL1B、IL1F10、IL1F3/IL1RA、IL1F5、IL1F6、IL1F7、IL1F8、IL1RL2、IL1F9、IL33またはそれらの断片
からなる群から選択される、請求項10又は11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、臨床診断の分野にある。特に、本発明は、感染症の疑いがある、または感染症を有する対象の重症度の評価であって、特に、患者の試料中のプロカルシトニン(以下、PCT)および/またはプロアドレノメデュリン(以下、proADM))(配列番号3)またはその部分ペプチドまたは断片、特に中間領域プロアドレノメデュリン(MR-proADM)(配列番号2)のレベルを測定することによる感染症からの、生理学的徴候または感染症のリスク因子が増加している可能性がある対象の、重症度の評価に関し、本発明は、これに関するワークフローに関する。さらに、本発明は、患者の除外/認定、および層別化、特に、再入院を回避するためのリスク評価、ならびに病院および退院後の死亡率のような感染症に関する評価に関する。
【0002】
評価された重症度により、臨床決定は、臨床現場への入院、または臨床現場からの退院、ならびに抗生物質、酸素、流体などの治療の開始および/または変更または停止、および/または改善されたモニタリングおよび/または患者および関連する治療の診断の評価を改善するためのさらなる診断経路の開始のように決定される。
【背景技術】
【0003】
PCTは細菌感染と敗血症のマーカーであることが知られている。このペプチドプロホルモンの血中または血清中のレベルが高いと、重症感染症を示す。
【0004】
PCTは細菌感染の重症度を反映し、特に敗血症、重度の敗血症、または敗血症性ショックへの感染の進行をモニターするために使用される。PCTを使用して、感染に関連した全身性炎症応答の活性を測定し、抗菌療法の成功を制御し、予後を推定することができる(Assicot et al.1993.Lancet 341:515-8;Clec’h C et al.2004.Crit Care Med 32:1166-9;Lee et al.2004.Yonsei Med J 45:29-37;Meisner et al.2005.Curr Opin Crit Care 11:473-480;Wunder et al.2004.Inflamm Res 53:158-163)。敗血症の患者におけるPCTレベルの増加は、死亡率と相関する(Oberhoffer et al.1999.Clin Chem Lab Med 37:363-368)。
【0005】
細菌感染症の間、血漿PCT濃度は通常0.25ng/mlを超え、PCT濃度は正常範囲を超えて上昇する可能性があるが、これはこれまで抗菌治療を必要とする細菌感染症に関連することが知られており、これらのPCT濃度はこれらの患者の有害事象の予後と関連している(Sinnig et al.2011.Circ J 75:1184-1191;Kelly et al.2010.Biomarkers 15:325-331)。さらに、細菌感染症または敗血症の存在のカットオフとして、>0.1ng/mlのPCTのレベルが示唆される。
【0006】
PCTは、感染症の症状(例えば、呼吸または呼吸数の障害(例えば、息切れ、または咳)、異常な体温(36℃未満または38℃(発熱))、消化器系の障害(例えば、下痢、悪心または嘔吐)、泌尿器系の問題、循環障害(例えば、速脈、痛み、炎症徴候))がある患者の抗生物質の治療ガイダンスにすでに使用されている。下気道感染症の症状を示す救急部(ED)にいる患者では、PCTが測定され、PCT濃度が>0.25ng/mLまたは>0.5ng/mLの患者のみが抗生物質で治療された(Christ-Crain et al.2004.Lancet 363:600-7)。市中肺炎(CAP)患者の抗生物質治療は、血清PCT濃度に基づいていた(PCT濃度<0.1ng/mLでは強く推奨されない、PCT濃度<0.25ng/mLでは推奨されない、PCT濃度>0.25ng/mLで推奨、PCT濃度が>0.5ng/mLで強く推奨され、PCTの50~80%の減少のデルタは、抗生物質の投与を停止する時点を示す)(Christ-Crain et al.2006.Am J Resp Crit Care Med 174:84-93;Schuetz et al.2009.JAMA302(10)1059-1066)。PCTガイダンスは、患者の転帰を悪化させることなく、CAPにおける抗生物質の使用を大幅に削減した。同様に、上記と同じ決定閾値を使用したPCTに基づく治療は、患者の転帰を損なうことなく、プライマリケアにおける急性呼吸器感染症の抗生物質使用を著しく削減した(Briel et al.2008.Arch Intern Med 168:2000-7;Burkhardt et al.2010.Eur Resp J Express;doi:10.1183/09031936.00163309)。
【0007】
したがって、感染症に罹患している可能性のある患者の体液試料のPCTレベルを決定してから、有害な可能性のある抗生物質療法を開始することが勧められる。血中または血清中のPCTレベルが高い場合は、重度の細菌感染または敗血症の存在を示しており、抗生物質によるそれぞれの患者の治療が必要である。0.1ng/mL未満のPCT値は、非感染性疾患、非細菌性感染症を示すが、細菌感染症の初期段階も示す。患者を病院に入院させるという決定の範囲内で細菌感染を除外するために、次の6~12時間、または少なくとも次の24時間以内の再測定が推奨される。この患者グループは過去には無視された。
【0008】
さらに、先行技術は、診断においてプロアドレノメデュリン(proADM)およびアドレノメデュリンを決定する方法を記載しており(EP0622458B1,Lewis LK,Smith MW,Yandle TG,Richards AM,Nicholls MG.Adrenomedullin(1-52)measured in human plasma by radioimmunoassay:plasma concentration,adsorption,and storage.Clin Chem 1998;44:571-7;Ueda S,Nishio K,Minamino N,Kubo A,Akai Y,Kangawa K,et al.Increased plasma levels of adrenomedullin in patients with systemic inflammatory response syndrome.Am J Respir Crit Care Med 1999;160:132-6;Kobayashi K,Kitamura K,Etoh T,Nagatomo Y,Takenaga M,Ishikawa T,et al.Increased plasma adrenomedullin levels in chronic congestive heart failure.Am Heart J 1996;131:994-8;Kobayashi K,Kitamura K,Hirayama N,Date H,Kashiwagi T,Ikushima I,et al.Increased plasma adrenomedullin in acute myocardial infarction.Am Heart J 1996;131:676-80.)、特に敗血症を診断する目的で(EP1121600B1)記載している。
【0009】
MR-proADMは、診断目的でEP1488209B1に開示されている(Struck J,Tao C,Morgenthaler NG,Bergmann A.Identification of an Adrenomedullin precursor fragment in plasma of sepsis patients.Peptides 2004;25:1369-72;Morgenthaler NG,Struck J,Alonso C,Bergmann A.Measurement of mid-regional pro-adrenomedullin in plasma with an immunoluminometric assay.Clin Chem 2005;51:1823-9;Christ-Crain M,Morgenthaler NG,Stolz D,Muller C,Bingisser R,Harbarth S,et al.Pro-adrenomedullin to predict severity and outcome in community-acquired pneumonia [ISRCTN04176397].Crit Care 2006;10:R96;Christ-Crain M,Morgenthaler NG,Struck J,Harbarth S,Bergmann A,Muller B.Mid-regional pro-adrenomedullin as a prognostic marker in sepsis:an observational study.Crit Care 2005;9:R816-24)。
【0010】
PCTと追加のリスク評価および予後支援を組み合わせることにより、感染とは無関係に患者の全体的な状態に焦点を当て、適切な療法と治療を導く際の患者の安全と医師の信頼を最大化できる(Schuetz P,Mueller B.The role of immune and metabolic biomarkers for improved management of sepsis patients.Expert Rev Clin Immunol.Sep 2014;10(9):1255-1262)。
【0011】
MR-proADMとその前駆体であるproADMは、救急科(ED)と集中治療室(ICU)の両方で患者の敗血症状態のより正確で迅速なリスク評価を提供し(Travaglino F,De Berardinis B,Magrini L,et al.Utility of Procalcitonin(PCT) and Mid regional pro-Adrenomedullin(MR-proADM) in risk stratification of critically ill febrile patients in Emergency Department(ED).A comparison with APACHE II score.BMC Infect Dis.2012;12:184)、ならびに、さらに、血栓形成、組織死、低酸素症、臓器血流障害、そして最終的には臓器機能不全および臓器不全を含み得る、元の敗血症状態の結果として発生する可能性があるさらなる臨床合併症を発症するリスクを評価する。実際、正常な臓器の血流が観察された場合でも組織低酸素症が発生する可能性があり、検出が非常に困難になる。
【0012】
しかしながら、患者の臨床的安全性を高め、患者の治療、特に治療的介入または管理またはガイダンスに関して医師を支援するために、プライマリケアや救急車、特にEDやICUなどの臨床現場に来院した患者の改善された、特に迅速な評価が必要である。
【発明の概要】
【0013】
定義:
他に定義されない限り、本明細書で使用される技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。以下の用語およびその他の用語の追加の定義は、本明細書全体に記載されている。
【0014】
「a」、「an」、および「the」という用語は、量の制限を示すのではなく、参照される項目の「少なくとも1つ」の存在を示す。
【0015】
本出願で使用される場合、「約」および「おおよそ」という用語は、同等物として使用される。約/おおよその有無にかかわらず、本出願で使用される任意の数字は、当業者によって理解される通常の変動をカバーすることを意味する。本明細書で使用する場合、対象となる1つ以上の値に適用される「おおよそ」または「約」という用語は、述べられた基準値と同様の値を指す。特定の実施形態では、「おおよそ」または「約」という用語は、特に明記されていない限り、または文脈から明らかでない限り(そのような数が可能な値の100%を超える場合を除いて)、指定された参照値のいずれかの方向(より大きいまたはより少ない)内に5%以下の範囲に入る値の範囲を指す。
【0016】
EDまたは他の臨床現場での患者の管理は、患者の治療、特に治療的介入または管理またはガイダンスに関して迅速かつ適切な決定を行う臨床スタッフの高い責任と関連している。患者は、呼吸や、喘息または中毒などの非感染性疾患に関連する可能性のあるその他の問題のような、非感染性疾患や病気と非常によく似た、臨床的な感染の徴候を示すことがよくある。障害の重症度に関連する、感染または感染のリスクの特定、ならびにさらなる治療選択および医学的トリアージに関する管理は、非常に重要である。感染にかかるまたは合併症の発症のリスクが高い患者(例えば、併存疾患のある患者、特に免疫応答が低下している高齢者または子供)は、管理が容易でないことがよくある。患者の評価に失敗すると、死亡リスクや、敗血症や臓器機能不全などの重大なイベントが増加する可能性がある。合併症および/または再入院(rehospitalisation)を含む病院への再入院(re-admission)(退院後段階)を避けるために、特に死亡のリスクに関連する、低い重度の病状の患者を退院させることが重要である。
【0017】
したがって、そのような患者の管理にワークフローを提供するには、1つ以上のカットオフレベル(同義:閾値レベル)のマーカーの組み合わせによってサポートされる複雑な決定木またはマトリックスが必要になり得る。
【0018】
本発明の目的は、リスク評価および関連する臨床決定、特に退院、入院、退院後の患者の再入院、を含む、患者の感染の重症度の改善された評価に言及する。
本発明の課題は、提示された請求項によって解決される。
驚いたことに、PCTとpro-ADM、特にMR-proADMを補完的に使用することによる重症度の評価、および感染ならびに病状の重症度の認定/または除外により、これまでのワークフローを確立する目的での、対象の分類による臨床決定の管理の改善を可能になることが見出された。
【0019】
したがって、本発明は、特に、感染症の疑いのあるまたは感染症を有する対象の重症度の評価方法であって、
(i)該対象からの体液の試料を提供するステップと、
(ii)該試料における、プロカルシトニン(PCT)(配列番号1)もしくはその断片またはその前駆体または少なくとも12アミノ酸残基の長さを有するその片のレベル、および
プロアドレノメデュリン(proADM)(配列番号3)、またはその部分ペプチドまたは少なくとも12アミノ酸残基の長さを有するその片、特に中間領域プロアドレノメデュリン(MR-proADM)(配列番号2)、またはその前駆体または少なくとも12アミノ酸残基の長さを有するその片のレベルを決定するステップと、
(iii)該決定されたPCTレベルおよびproADMレベル、特にMR-proADMレベル、または該それらの断片(複数可)のレベルを閾値レベルと比較することにより、特に感染症の疑いのあるまたは感染症を有する対象の、感染症の重症度を決定するステップと、を含む、方法に関する。
【0020】
驚くべきことに、本発明は、感染症のまたは感染症の疑いのある患者および感染症の重症度を管理するための、PCTおよびpro-ADMまたはその断片(複数可)の相乗作用に言及する。PCTレベルが0.1ng/mL未満であり、pro-ADMまたはその断片(複数可)、特にMR-proADMが0.88nmol/L未満の場合、評価された障害の低い重症度と、それぞれの死亡率のため、このような患者は、臨床現場、特にEDから退院するのが有利である。特に、PCTが0.1ng/ml以上であり、pro-ADMまたはその断片(複数可)、特にMR-proADMが0.88nmol/L未満の場合、感染症と患者を退院させる決定には関係なく、死亡率に関して深刻なリスクは低いままである。この場合、外来診療の場では、例えば、侵襲的な処置形式ではなく、抗生物質などの経口薬または局所薬を処方することで、治療を管理できる。
本発明のまた別の態様は、以下のとおりであってもよい。
〔1〕対象における感染症の重症度の評価方法であって、
(i)前記対象からの体液の試料を提供するステップと、
(ii)前記試料における、プロカルシトニン(PCT)(配列番号1)またはその断片またはその前駆体または少なくとも12アミノ酸残基の長さを有するその断片のレベル、および/または
プロアドレノメデュリン(proADM)(配列番号3)またはその部分ペプチドまたは少なくとも12アミノ酸残基の長さを有するその断片、特に中間領域プロアドレノメデュリン(MR-proADM)(配列番号2)またはその前駆体または少なくとも12アミノ酸残基の長さを有するその断片のレベルを決定するステップと、
(iii)前記決定されたPCTレベルおよび/またはproADMレベル、特にMR-proADMレベル、または前記それらの断片(複数可)のレベルを閾値レベルと比較することにより、特に感染症の疑いのあるまたは感染症を有する対象の、感染症の重症度を決定するステップと、を含む、方法。
〔2〕PCTの前記閾値レベルが0.1ng/ml未満または0.1ng/ml以上から選択され、proADMの閾値レベルが0.88nmol/L未満または0.88nmol/L以上から選択される、前記〔1〕に記載の対象における感染症の重症度の評価方法。
〔3〕MR-proADM(配列番号2)または少なくとも12アミノ酸残基の長さを有するその断片を使用する、前記〔1〕または〔2〕に記載の対象における感染症の重症度の評価方法。
〔4〕(iv)PCTの前記閾値レベルが、0.06ng/ml未満、より好ましくは0.08ng/ml未満、最も好ましくは0.1ng/ml未満であり、proADMまたはその断片(複数可)の前記閾値レベルが、0.6nmol/L未満、より好ましくは0.75nmol/L未満、最も好ましくは0.88nmol/L未満である場合、前記対象は重症でない感染症を有し、
かつ/または
(v)PCTの前記閾値レベルが、0.06ng/ml未満、より好ましくは0.08ng/ml未満、最も好ましくは0.1ng/ml未満であり、proADMまたはその断片(複数可)の前記閾値レベルが、0.6nmol/L以上、より好ましくは0.75nmol/L以上、最も好ましくは0.88nmol/L以上および1.1nmol/L未満、より好ましくは1.2nmol/L未満、最も好ましくは1.28nmol/L未満である場合、前記対象はほとんど重症でない感染症を有し、
かつ/または
(vi)PCTの前記閾値レベルが、0.06ng/ml未満、より好ましくは0.08ng/ml未満、最も好ましくは0.1ng/ml未満であり、proADMまたはその断片(複数可)の前記閾値レベルが、1.1nmol/L以上、より好ましくは1.2nmol/L以上、最も好ましくは1.28nmol/L以上である場合、前記対象は低重症の感染症を有し、
かつ/または
(vii)PCTの前記閾値レベルが、0.06ng/ml以上、より好ましくは0.08ng/ml以上、最も好ましくは0.1ng/ml以上であり、proADMまたはその断片(複数可)の前記閾値レベルが、0.6nmol/L未満、より好ましくは0.75nmol/L未満、最も好ましくは0.88nmol/L未満である場合、前記対象は非常に低重症の感染症を有し、
かつ/または
(viii)PCTの前記閾値レベルが、0.06ng/ml以上、より好ましくは0.08ng/ml以上、最も好ましくは0.1ng/ml以上であり、proADMまたはその断片(複数可)の前記閾値レベルが、0.6nmol/L以上、より好ましくは0.75nmol/L以上、最も好ましくは0.88nmol/L以上、および1.1nmol/L未満、より好ましくは1.2nmol/L未満、最も好ましくは1.28nmol/L未満である場合、前記対象は低重症の感染症を有し、
かつ/または
(ix)PCTの前記閾値レベルが、0.06ng/ml以上、より好ましくは0.08ng/ml以上、最も好ましくは0.1ng/ml以上であり、proADMまたはその断片(複数可)の前記閾値レベルが、1.1nmol/L以上、より好ましくは1.2nmol/L以上、最も好ましくは1.28nmol/L以上である場合、前記対象は重症感染症を有し、
かつ/または
(x)PCTの前記閾値レベルが、0.06ng/ml未満、より好ましくは0.08ng/ml未満、最も好ましくは0.1ng/ml未満であり、proADMまたはその断片(複数可)の前記閾値レベルが、1.30nmol/L以上、より好ましくは1.40nmol/L以上、最も好ましくは1.50nmol/L以上である場合、前記対象は重症感染症を有し、
かつ/または
(xi)PCTの前記閾値レベルが、0.06ng/ml未満、より好ましくは0.08ng/ml未満、最も好ましくは0.1ng/ml未満であり、proADMまたはその断片(複数可)の前記閾値レベルが、2.25nmol/L以上、より好ましくは2.50nmol/L以上、最も好ましくは2.75nmol/L以上である場合、前記対象は重症感染症を有し
かつ/または
(xii)PCTの前記閾値レベルが、0.06ng/ml以上、より好ましくは0.08ng/ml以上、最も好ましくは0.1ng/ml以上であり、proADMまたはその断片(複数可)の前記閾値レベルが、1.30nmol/L以上、より好ましくは1.40nmol/L以上、最も好ましくは1.50nmol/L以上である場合、前記対象は高重症の感染症を有し、
かつ/または
(xiii)PCTの前記閾値レベルが、0.06ng/ml以上、より好ましくは0.08ng/ml以上、最も好ましくは0.1ng/ml以上であり、proADMまたはその断片(複数可)の前記閾値レベルが、2.25nmol/L以上、より好ましくは2.50nmol/L以上、最も好ましくは2.75nmol/L以上である場合、前記対象は非常に高重症の感染症を有する、前記〔1〕に記載の対象における感染症の重症度の評価方法。
〔5〕臨床決定の実行が、治療的発明または管理またはガイダンス、特に、薬物および他の健康製品または添加物、特に、抗生物質、酸素、流体を使用する高度な治療および療法、ならびに特に、集中治療室または救急治療室または他の特別治療室での治療の開始および/または変更もしくは停止を含み、臨床現場への入院または臨床現場からの退院を含み、患者の診断および関連する治療の評価を改善するための改善されたモニタリングおよび/またはさらなる診断経路の開始を含み、他の患者、特に入院患者の保護のための患者の隔離または非隔離を含む、対象を入院させるという決定を含んでおり、重症感染症の場合、そのような臨床決定には、医薬品の使用のような、および/または、外科的処置などの最小限または侵襲的手技、および/またはハルトマン液、血液または血液断片などの流体の適用、体液のバランス、循環および代謝を維持または回復するための流体ボーラスなどの臓器支持処置、および/または酸素、人工呼吸による呼吸サポートおよび/または血液希釈などの臓器支持処置、透析などのアフェレーシス腎代替療法、免疫抑制薬物療法、疼痛治療などの、治療的発明、または管理、またはガイダンスがさらに含まれる、前記〔1〕~〔4〕のいずれかに記載の対象における感染症の重症度の評価方法。
〔6〕proADMまたはその断片(複数可)が、1.28nmol/L以上であり、以下の1つ以上の処置i.)~iv.):
i)中心ラインおよび/または異なる源と試料から血液培養検査を実施することと、
ii)ガイドラインに従って、好ましくは抗生物質の組み合わせを使用して、抗生物質の経口または静脈内投与を実施することと、
iii)i)で陰性の試験結果が提供され、PCTが0.1ng/ml未満の場合は、抗生物質の投与を中止することと、
iv)乳酸、FBC(全血球数)、U&E(尿素および電解質)、LFT(肝機能検査)、CRP、凝固などの血液検査結果をモニタリングすることと、が該当する、前記〔1〕~〔5〕のいずれかに記載の対象における感染症の重症度の評価方法。
〔7〕(iv)に該当する場合は、前記対象への抗生物質を差し控え、
(v)に該当する場合は、前記対象への抗生物質を差し控え、明確化または精密検査のために任意選択的に、患者の試料を使用して少なくとも6~12時間または24時間以内にPCTのさらなる測定を行う必要があり、
(vi)に該当する場合は、前記対象に抗生物質を投与し、
(vii)に該当する場合は、前記対象に抗生物質を可能に差し控え、
(viii)に該当する場合は、前記対象に抗生物質を可能に投与し、明確化または精密検査のために任意選択的に、患者の試料を使用して少なくとも6~12時間または24時間以内にPCTのさらなる測定を行う必要があり、
(ixx、xi、xii、xiii)のうちの1つに該当する場合は、前記対象に抗生物質を直ちに投与する、前記〔4〕に記載の対象における感染症の重症度の評価方法。
〔8〕(v、vi、vii、viii、ix、x、xi、xii、xiii)のうちの1つに該当する場合は、前記対象を入院させ、
かつ/または
(iv)または(vii)に該当する場合は、前記対象を退院させる、前記〔4〕に記載の対象における感染症の重症度の評価方法。
〔9〕対象における感染症の重症度の評価方法であって、
(i)前記対象からの体液の試料を提供するステップと、
(ii)PCTレベルから独立して、
プロアドレノメデュリン(proADM)(配列番号3)またはその部分ペプチドまたは少なくとも12アミノ酸残基の長さを有するその断片、特に中間領域プロアドレノメデュリン(MR-proADM)(配列番号2)またはその前駆体または少なくとも12アミノ酸残基の長さを有するその断片のレベルを決定するステップと、
(iii)前記決定されたproADMレベル、特にMR-proADMレベル、または前記その断片(複数可)のレベルを閾値レベルと比較することにより感染症の重症度を決定するステップであって、
a)0.88nmol/L以上の閾値レベルは、病院への入院に対象を評価する臨床決定を指し、または
b)1.50nmol/L以上の閾値レベルは、少なくとも25%のおおよその死亡率を有する高リスクの感染症患者の識別を指し、または
c)2.75nmol/L以上の閾値レベルは、少なくとも35%のおおよその死亡率を有する非常に高リスクの感染症患者の識別を指し、または
d)2.75nmol/L以上の閾値レベルは、ICUへの入院に対象を評価する臨床決定を指す、感染症の重症度を決定するステップと、を含む、方法。
〔10〕proADMまたはその断片(複数可)、特に中間領域プロアドレノメデュリン(MR-proADM)(配列番号2)が、1.50nmol/L以上である場合、以下の1つ以上の処置i.)~vi.):
i)フェイスマスクにより酸素を提供する(おおよそ15L/分)ことと、
ii)流体ボーラス療法、特にハルトマン溶液(乳酸リンゲル液としても知られている)の迅速投与のための静脈内ボーラスを実施することと、
iii)中心ラインおよび/または異なる源および試料からの血液培養検査を実施することと、
iv)ガイドラインに従って、好ましくは抗生物質の組み合わせを使用して、抗生物質の経口または静脈内投与を実施することと、
v)乳酸、FBC(全血球数)、U&E(尿素および電解質)、LFT(肝機能検査)、CRP、凝固などの血液検査結果をモニタリングすることと、
vi)尿量をモニタリングすることと、が該当し、
または、
proADMまたはその断片(複数可)、特に中間領域プロアドレノメデュリン(MR-proADM)(配列番号2)が2.75nmol/L以上である場合、以下の処置vii.):
vii)臨床パラメータおよび他の生命維持措置をチェックすることを含む、臓器機能不全をモニタリングすること、を追加で該当する必要がある、前記〔1〕~〔9〕のいずれかに記載の対象における感染症の重症度の評価方法。
〔11〕体液の前記試料が、血液試料、血清試料、および血漿試料を含む群から選択される、前記〔1〕~〔10〕のいずれかに記載の方法。
〔12〕前記患者が細菌感染症を有し、前記患者が発明の疑いを有し、前記患者の感染症にかかるリスクが増大し、前記患者が退院後の患者であり、前記患者がプライマリケアまたは救急車のような臨床現場、好ましくはEDまたはICUにいる、前記〔1〕~〔11〕のいずれかに記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、ワークフローを示す。
図2図2は、ワークフローを示す。
図3図3は、0.88nmol/Lの最適化されたMR-proADMカットオフを使用したカプラン・マイヤープロットで、完全な除外の28日死亡率を示す。
図4図4は、28日死亡率の予測のためのED入院患者のADM(黒)とPCT(灰色)のROC分析を示す。
図5図5は、既存の臓器機能(SOFAが2ポイント以上)によって決定された、疾患の重症度のレベルが増加した患者を特定するためのED入院におけるADM(黒)とPCT(灰色)のROC分析を示す。
図6図6は、ED入院時に抗生物質の投与が必要な患者におけるADM(黒)とPCT(灰色)のROC分析を示す。
図7図7は、ED入院時に入院を必要とする患者におけるADM(黒)とPCT(灰色)のROC分析を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の好ましい実施形態は、重症度が評価された以下の場合に関する。
したがって、本発明は、特に、感染症の疑いのあるまたは感染症を有する対象の感染症の重症度の評価方法であって、
(i)該対象からの体液の試料を提供するステップと、
(ii)該試料における、プロカルシトニン(PCT)もしくはその断片またはその前駆体または少なくとも12アミノ酸残基の長さを有するその断片のレベル、および
プロアドレノメデュリン(proADM)(配列番号3)、またはその部分ペプチドまたは少なくとも12アミノ酸残基の長さを有するその片、特に中間領域プロアドレノメデュリン(MR-proADM)(配列番号2)、またはその前駆体または少なくとも12アミノ酸残基の長さを有するその片のレベルを決定するステップと、
(iii)該決定されたPCTレベルおよびproADMレベル、特にMR-proADMレベル、または該それらの断片(複数可)のレベルを閾値レベルと比較することにより、特に感染症の疑いのあるまたは感染症を有する対象の、感染症の重症度を決定するステップと、を含み、
(iv)PCTの該閾値レベルが、0.06ng/ml未満、より好ましくは0.08ng/ml未満、最も好ましくは0.1ng/ml未満であり、proADMまたはその断片(複数可)の該閾値レベルが、0.6nmol/L未満、より好ましくは0.75nmol/L未満、最も好ましくは0.88nmol/L未満である場合、該対象は重症でない感染症を有し、
かつ/または
(v)PCTの該閾値レベルが、0.06ng/ml未満、より好ましくは0.08ng/ml未満、最も好ましくは0.1ng/ml未満であり、proADMまたはその断片(複数可)の該閾値レベルが、0.6nmol/L以上、より好ましくは0.75nmol/L以上、最も好ましくは0.88nmol/L以上および1.1nmol/L未満、より好ましくは1.2nmol/L未満、最も好ましくは1.28nmol/L未満である場合、該対象はほとんど重症でない感染症を有し、
かつ/または
(vi)PCTの該閾値レベルが、0.06ng/ml未満、より好ましくは0.08ng/ml未満、最も好ましくは0.1ng/ml未満であり、proADMまたはその断片(複数可)の該閾値レベルが、1.1nmol/L以上、より好ましくは1.2nmol/L以上、最も好ましくは1.28nmol/L以上である場合、該対象は低重症の感染症を有し、
かつ/または
(vii)PCTの該閾値レベルが、0.06ng/ml以上、より好ましくは0.08ng/ml以上、最も好ましくは0.1ng/ml以上であり、proADMまたはその断片(複数可)の該閾値レベルが、0.6nmol/L未満、より好ましくは0.75nmol/L未満、最も好ましくは0.88nmol/L未満である場合、該対象は非常に低重症の感染症を有し、
かつ/または
(viii)PCTの該閾値レベルが、0.06ng/ml以上、より好ましくは0.08ng/ml以上、最も好ましくは0.1ng/ml以上であり、proADMまたはその断片(複数可)の該閾値レベルが、0.6nmol/L以上、より好ましくは0.75nmol/L以上、最も好ましくは0.88nmol/L以上、および1.1nmol/L未満、より好ましくは1.2nmol/L未満、最も好ましくは1.28nmol/L未満である場合、該対象は低重症の感染症を有し、
かつ/または
(ix)PCTの該閾値レベルが、0.06ng/ml以上、より好ましくは0.08ng/ml以上、最も好ましくは0.1ng/ml以上であり、proADMまたはその断片(複数可)の該閾値レベルが、1.1nmol/L以上、より好ましくは1.2nmol/L以上、最も好ましくは1.28nmol/L以上である場合、該対象は重症感染症を有し、
かつ/または
(x)PCTの該閾値レベルが、0.06ng/ml未満、より好ましくは0.08ng/ml未満、最も好ましくは0.1ng/ml未満であり、proADMまたはその断片(複数可)の該閾値レベルが、1.30nmol/L以上、より好ましくは1.40nmol/L以上、最も好ましくは1.50nmol/L以上である場合、該対象は重症感染症を有し、
かつ/または
(xi)PCTの該閾値レベルが、0.06ng/ml未満、より好ましくは0.08ng/ml未満、最も好ましくは0.1ng/ml未満であり、proADMまたはその断片(複数可)の該閾値レベルが、2.25nmol/L以上、より好ましくは2.50nmol/L以上、最も好ましくは2.75nmol/L以上である場合、該対象は重症感染症を有し
かつ/または
xii)PCTの該閾値レベルが、0.06ng/ml以上、より好ましくは0.08ng/ml以上、最も好ましくは0.1ng/ml以上であり、proADMまたはその断片(複数可)の該閾値レベルが、1.30nmol/L以上、より好ましくは1.40nmol/L以上、最も好ましくは1.50nmol/L以上である場合、該対象は高重症の感染症を有し、
かつ/または
xiii)PCTの該閾値レベルが、0.06ng/ml以上、より好ましくは0.08ng/ml以上、最も好ましくは0.1ng/ml以上であり、proADMまたはその断片(複数可)の該閾値レベルが、2.25nmol/L以上、より好ましくは2.50nmol/L以上、最も好ましくは2.75nmol/L以上である場合、該対象は非常に高重症の感染症を有する、対象における感染症の重症度の評価方法に関する。
【0023】
上記の症例は、患者の分類と相関している、重症度の低いものからより重症のそして最も重症なものへの重症度の発展を指す。
【0024】
したがって、評価された重症度により、患者を除外するかまたは患者を認めるために、上記の事例(iv~xiii)を互いに区別することができる。
したがって、
(iv)は、重症でない感染患者に関し、それぞれ重症感染症を除外するべきで、入院の必要がなくおよび/または患者を退院させることに関する。
(v)は、ほとんど重症でない感染患者に関し、感染の可能性または非感染性重症疾患がそれぞれ認められるべきで、隔離する必要なしに入院の必要がある。
(vi)は、低重症の感染患者に関し、感染の可能性または非感染性重症疾患がそれぞれ認められるべきで、隔離の必要なしに入院の必要がある。
(vii)は、非常に低重症の感染患者に関し、それぞれ重症感染症を除外するべきで、入院の必要がないか、および/または患者を退院させる。
(viii)は、低重症の感染患者に関し、それぞれ重症感染症であると認められるべきで、入院の必要性と隔離の必要性を有する。
(ix)は、重症感染患者に関し、それぞれ重症感染症であると認められるべきで、入院の厳密な必要および隔離の必要とより頻繁なモニタリングの必要がある。
(x)は、重症感染患者に関し、それぞれ感染症の可能性、または合併症を発症する高いリスク(死亡リスク25%)を伴う、感染症または非感染性の重症疾患にかかる高いリスクが認められるべきで、隔離の必要のない入院の必要がある。
(xi)は、重症感染患者に関し、それぞれ感染症の可能性、または合併症を発症する非常に高いリスク(死亡リスク35%)を伴う、感染症または非感染性の重症疾患にかかる高いリスクが認められるべきで、隔離の必要のない入院の必要がある。
(xii)は、非常に重症の感染患者に関し、それぞれ重症感染症と合併症を発症する高いリスク(死亡リスク25%)が認められるべきで、入院の厳密な必要と隔離の必要がある。
(xiii)は、非常に重症の感染患者に関し、それぞれ重症感染症と合併症を発症する非常に高いリスク(死亡リスク35%)が認められるべきで、入院の厳密な必要およびICUなどの特殊ユニットへの入院と隔離の必要がある。
【0025】
また、感染症が疑われる患者を治療する方法が提供され、この方法は、上記の態様のステップと、さらに
(ii)患者が(x)重症感染患者、(xi)重症感染患者、(xii)非常に重症の感染患者、または(xiii)非常に重症の感染患者として指定される場合、ICU環境で患者に抗生物質を投与すること、を含む。
【0026】
また、感染症が疑われる患者を治療する方法が提供され、この方法は、上記の態様のステップと、さらに
(ii)患者が(vi)低重症の感染患者または(viii)低重症の感染患者として指定される場合、ICU環境の範囲外の病院で患者に抗生物質を投与すること、を含む。
【0027】
また、感染症が疑われる患者を治療する方法も提供され、この方法は以下のステップ:
(i)該対象からの体液の試料を提供するステップと、
(ii)該試料における、プロカルシトニン(PCT)もしくはその断片またはその前駆体または少なくとも12アミノ酸残基の長さを有するその片のレベル、および
プロアドレノメデュリン(proADM)(配列番号3)、またはその部分ペプチドまたは少なくとも12アミノ酸残基の長さを有するその片、特に中間領域プロアドレノメデュリン(MR-proADM)(配列番号2)、またはその前駆体または少なくとも12アミノ酸残基の長さを有するその片のレベルを決定するステップと、
(iii)PCTのレベルが0.06ng/mlより高く、proADMのレベルが0.6nmol/Lより高い場合、抗生物質を患者に投与するステップと、を含む。
【0028】
該認定の場合に言及する本発明の好ましい実施形態では、感染症の可能性のある状態(v、vi、x、xi)を制御するために、好ましくは最初の測定後少なくとも6~12時間または24時間以内にPCTの測定を繰り返されなければならないまたは、たとえば抗生物質による治療(vi、vii、viii、xii、xiii)に対する応答をモニターする。このアプローチにより、感染症の初期段階にある偽陰性の患者群を見つけることや、感染症にかかったりまたは合併症を発症するリスクが高い対象をモニターすることを可能とする。
【0029】
該入院症例(v、vi、vii、viii、ix、x、xi、xii、xiii)に言及する本発明のさらに好ましい実施形態では、PCTおよび/またはproADMまたはそれらの断片(複数可)の定期的な再測定は同じ試料の重症度のモニタリングと治療管理のために実行される。
【0030】
さらに、上記のケース(iv~ix)は、以下のようにさらに互いを区別できる。
(iv)に該当する場合は、対象への抗生物質を差し控え、
(v)に該当する場合は、対象への抗生物質を差し控え、明確化または精密検査のために任意選択的に、患者の試料を使用して少なくとも6~12時間または24時間以内にPCTのさらなる測定を行う必要がある。
【0031】
(vi)に該当する場合は、対象に抗生物質を投与し、ウイルスまたは真菌感染症または細菌感染症の初期段階を特定するために、明確化または精密検査のために任意選択的に、PCTをさらに測定する。
【0032】
(vii)に該当する場合は、特にPCT値が抗生物質を開始するための典型的なカットオフ(例えば、対象に対して0,25ng/mL)を下回る場合、またはPCT値が抗生物質を開始するための典型的なカットオフを超えるか、または重度の感染症を発症する増加したリスクを有する患者で、抗生物質を開始する場合、抗生物質を対象に可能に差し控える。おそらく抗生物質は、非経口的に、例えば経口的または局所的に適用することができる。
【0033】
(viii)に該当する場合は、特にPCT値が抗生物質を開始するための典型的なカットオフ(例えば、対象に対して0.25ng/mL)を下回っている場合、またはPCT値が通常のカットオフを超え、または重度の感染症を発症する増加したリスクを有する患者で抗生物質を開始するための、明確化または精密検査のために任意選択的に、患者の試料を使用して少なくとも6~12時間または24時間以内にPCTをさらに測定を行うべきである。
【0034】
(ix、x、xi、xii、xiii)のうちの1つに該当する場合は、対象に抗生物質を直ちに投与する。
【0035】
(x、xi、xii、xiii)のうちの1つに該当する場合は、対象に抗生物質を直ちに投与し、明確化または精密検査のために、PCTおよび/またはproADMまたはその断片を少なくとも6~12時間または24時間以内にさらに測定を行うべきである。患者は合併症を発症する高リスク(死亡リスク25%~35%)を有し、したがって特に臓器機能不全、診断的介入(さらなるバイオマーカーまたはパラメータ)および、例えば酸素、流体、抗生物質(静脈内)の投与、腎置換、人工呼吸器などの臓器保護処置のような治療に関するさらなるモニタリングがなされる。再測定は、治療効果の評価をサポートする。
【0036】
「可能に投与する」という用語は、投与が好ましく推奨されること、すなわち抗生物質の投与を実施する必要があることを意味し、必要であれば、低重度感染症における低用量の抗生物質または局所治療が好ましい。さらなる明確化または精密検査のために、患者の試料を用いた血液培養検査が実施され得る。
【0037】
「可能に投与する」という用語は、投与が好ましく推奨されること、すなわち抗生物質の投与を実施する必要があることを意味し、必要であれば、低重症の感染症における低用量の抗生物質または局所治療が好ましい。さらなる明確化または精密検査のために、患者の試料を用いた血液培養検査が実施され得る。
【0038】
低重症の感染症の場合(合併症や死亡率など)、抗生物質や抗炎症薬などの薬物による局所または経口治療の適用が必要である。臨床スタッフは患者を退院させる選択肢を有する。中程度または重症感染症のようなより重症な感染症における該適用は、静脈内または筋肉内のように望ましくは全身的であるべきであるが、少なくとも経口または局所またはそれらの組み合わせである。
【0039】
しかしながら、すべての場合(iv~xiii)において、PCTおよび/またはproADMまたはその断片(複数可)のレベルの増加または減少を予測するために、PCTおよびproADMまたはその断片の決定が行われ得る。これに関して、決定は、別々にまたは同時に行うことができる。PCTおよび/またはproADMまたはその断片の該再測定は、偽陰性の感染性患者を回避するため、および/または治療応答をモニターするために、定期的に適用されることが好ましい。
【0040】
したがって、本発明のさらに好ましい実施形態では、感染の重症度を評価する方法は、臨床決定の実行に適しており、特に薬物および他の健康製品または添加物、特に抗生物質、酸素、流体を使用する高度な治療および療法、ならびに特に集中治療室または救急治療室または他の特別治療室での治療の開始および/または変更もしくは停止を含み、臨床現場への入院または臨床現場からの退院を含み、患者の診断および関連する治療の評価を改善するための改善されたモニタリングおよび/またはさらなる診断経路の開始を含み、他の患者、特に入院患者の保護のための患者の隔離または非隔離を含む、対象の入院の決定を含んでいる。
【0041】
特に、すべての場合(vi.、ix、x、xi、xii、およびxiii.)で、proADMまたはその断片(複数可)が1.28nmol/L以上である場合、以下の1つ以上の処置i.)~iv.):
i)中心ラインおよび/または異なる源および試料(血液、血清、血漿、尿、CSF、体液など)から血液培養検査を実施することと、
ii)ガイドラインに従って、好ましくは抗生物質の組み合わせを使用して、抗生物質の経口または静脈内投与を実施することと、
iii)i)で陰性の試験結果が提供され、PCTが0.1ng/ml未満の場合は、抗生物質の投与を中止することと、
iv)乳酸、FBC(全血球数)、U&E(尿素および電解質)、LFT(肝機能検査)、CRP、凝固などの血液検査結果をモニタリングすることと、が該当する。
【0042】
しかしながら、PCTおよび/またはproADMまたはその断片(複数可)の増加または減少するレベルを予測するために、PCTおよび/またはproADMまたはその断片の決定を実施することができる。これに関して、決定は、別々にまたは同時に行うことができる。PCTおよび/またはproADMまたはその断片の該再測定は、偽陰性の感染性患者を回避するため、および/または治療応答をモニターするために、定期的に適用されることが好ましい。
【0043】
要約すると、本発明はワークフローを扱い、感染症の疑いがある、または感染症を有する患者、特にプライマリケア救急車、できればEDまたはICUのような臨床現場に現れた、特に増大するリスクを有する患者のリスク評価を有利に管理することができる。ここでは、ワークフローを図1に示する。
【0044】
さらに、本発明者らは、PCTレベルの決定とは無関係に、プロアドレノメデュリン(proADM)(配列番号3)またはその部分ペプチドまたは少なくとも12アミノ酸残基の長さを有するその片の、特に中間領域プロアドレノメデュリン(MR-proADM)(配列番号2)、またはその前駆体または少なくとも12アミノ酸残基の長さを有するその片の、以下の閾値レベルが、さらなる臨床決定のための評価を可能にすることを見出した。
【0045】
したがって、さらなる態様では、本発明は、以下のステップを含む、対象における感染症の重症度を評価するための方法であって、
(i)該対象からの体液の試料を提供するステップと、
(ii)PCTレベルから独立して、
プロアドレノメデュリン(proADM)(配列番号3)、またはその部分ペプチドまたは少なくとも12アミノ酸残基の長さを有するその片、特に中間領域プロアドレノメデュリン(MR-proADM)(配列番号2)、またはその前駆体または少なくとも12アミノ酸残基の長さを有するその片のレベルを決定するステップと、
(iii)該決定されたproADMレベル、特にMR-proADMレベル、または該その断片(複数可)のレベルを閾値レベルと比較することにより感染症の重症度を決定するステップであって、
a.)0.88nmol/L以上の閾値レベルは、病院への入院に対象/患者を評価する臨床決定を指し、かつ/または
b.)1.50nmol/L以上の閾値レベルは、少なくとも25%のおおよその死亡率を有する高リスクの感染症患者または非感染症患者の識別を指し、かつ/または
c.)2.75nmol/L以上の閾値レベルは、少なくとも35%のおおよその死亡率を有する非常に高リスクの感染症患者または非感染症患者の識別を指し、かつ/または
d.)2.75nmol/L以上の閾値レベルは、ICUへの入院に対象/患者を評価する臨床決定を指す、感染症の重症度を決定するステップと、を含む方法を提供する。
【0046】
さらなる態様において、本発明は、重症感染症を有する患者を治療するための方法であって、
(i)該対象からの体液の試料を提供するステップと、
(ii)PCTレベルから独立して、
プロアドレノメデュリン(proADM)(配列番号3)、またはその部分ペプチドまたは少なくとも12アミノ酸残基の長さを有するその片、特に中間領域プロアドレノメデュリン(MR-proADM)(配列番号2)、またはその前駆体または少なくとも12アミノ酸残基の長さを有するその片のレベルを決定するステップと、
(iii)該決定されたproADMレベル、特にMR-proADMレベル、または該その断片(複数可)のレベルを閾値レベルと比較することにより感染症の重症度を決定するステップと、
(iv)MR-proADMレベルが1.50nmol/L以上の場合、抗生物質で患者を治療するステップと、を含む方法を提供する。
【0047】
いくつかの実施形態では、MR-proADMレベルが2.75nmol/L以上である場合、患者はICU内にて抗生物質で治療される。
【0048】
特に、proADMまたはその断片が1.50nmol/L以上であるすべての場合に、以下の1つ以上の処置i.)~vi.):
i)フェイスマスクにより酸素を提供する(おおよそ15L/分)ことと、
ii)流体ボーラス療法、特にハルトマン溶液(乳酸リンゲル液としても知られている)の迅速投与のための静脈内ボーラスを実施することと、
iii)中心ライン、異なる源および試料(尿、脳脊髄液、体液など)からの血液培養検査を実施することと、
iv)ガイドラインに従って、好ましくは抗生物質の組み合わせを使用して、抗生物質の経口または静脈内投与を実施することと、
v)乳酸、FBC(全血球数)、U&E(尿素および電解質)、LFT(肝機能検査)、CRP、凝固などの血液検査結果をモニタリングすることと、
vi)尿量/体液バランスをモニタリングすることと、が該当する。
【0049】
特に、proADMまたはその断片(複数可)が2.75nmol/L以上であるすべての場合に、次の処理vii.):
vii)臨床パラメータおよび他の生命維持対策をチェックすることを含む、臓器機能不全をモニタリングすること、が追加で該当する。
【0050】
しかしながら、PCTおよび/またはproADMまたはその断片(複数可)の増加または減少するレベルを予測するために、PCTおよび/またはproADMまたはその断片の決定を実施することができる。これに関して、決定は、別々にまたは同時に行うことができる。PCTおよび/またはproADMまたはその断片の該再測定は、偽陰性の感染性患者を回避するため、および/または治療応答をモニターするために、定期的に適用されることが好ましい。
【0051】
要約すると、本発明はワークフローを扱い、感染症の疑いがある、または感染症を有する患者、特にプライマリケア救急車、できればEDまたはICUのような臨床現場に現れた、特に増大するリスクを有する患者のリスク評価を有利に管理することができる。ここでは、ワークフローを図2に示する。
【0052】
本発明の範囲内で、「プロカルシトニン(PCT)」は、EP0656121B1およびDE10027954A1に記載されているような、1~116アミノ酸または2~116アミノ酸(PCT2~116)または3~116アミノ酸(PCT3-116)のアミノ酸配列またはその断片を有するヒトタンパク質またはポリペプチドであると理解される。したがって、PCT断片の長さは、少なくとも12アミノ酸、好ましくは50のアミノ酸より多く、より好ましくは110アミノ酸より長い。PCTは、グリコシル化、リポシド化(liposidation)、誘導体化などの翻訳後修飾を含んでいてもよい。PCT自体は、カルシトニンとカタカルシンの前駆体である。PCT1~116のアミノ酸配列は、配列番号1に提示される。
【0053】
アドレノメデュリン(ADM)は、185アミノ酸を含む前駆体ペプチド(「プレプロアドレノメデュリン」または「pre-proADM」)としてコードされ、本明細書では配列番号4で提供される。ADMおよび特に生理活性ADM形態は、pre-proADMアミノ酸配列の95~146位を含み、そのスプライス産物である。
【0054】
「プロアドレノメデュリン」(「Pro-ADM」)は、シグナル配列を含まないpre-proADM(アミノ酸1~21)、すなわちpre-proADMのアミノ酸残基22~185を指す。「中間領域プロアドレノメデュリン」(「MR-proADM」)は、pre-proADMのアミノ酸45~92を指す。MR-proADMのアミノ酸配列は、配列番号2に示される。また、本明細書に記載の方法のために、pre-proADMまたはMR-proADMのペプチドおよびその断片を使用できることも本明細書で想定される。例えば、ペプチドおよびその断片は、pre-proADM(PAMPペプチド)のアミノ酸22~41またはpre-proADM(成熟アドレノメデュリン)のアミノ酸95~146を含み得る。proADMのC末端断片(preproADMのアミノ酸153~185)はアドレノテンシンと呼ばれる。proADMペプチドまたはMR-proADMの断片は、例えば5個以上のアミノ酸を含む。したがって、proADMの断片は、例えば、MR-proADM、PAMP、アドレノテンシンおよび成熟または生理活性アドレノメデュリンからなる群から選択することができ、好ましくは、本明細書では、断片は、MR-proADMである。
したがって、本発明の文脈において、proADMの断片は、好ましくはMR-proADM、PAMP、アドレノテンシンおよび成熟アドレノメデュリンからなる群から選択することができ、本明細書では最も好ましくは断片はMR-proADMである。
【0055】
MR-proADM(EP1488209B1)は優れた血漿安定性を示し、これは特に有利である。さらに、MR-proADM断片の長さは、少なくとも12アミノ酸、好ましくは25アミノ酸を超える、より好ましくは40アミノ酸を超える。
【0056】
さらに、本発明は、MR-proADMの前駆体、すなわち、proADM(配列番号3)およびpreproADM(配列番号4)、ならびにそれらの断片を包含する。本発明の範囲内で、「プロアドレノメデュリン(proADM)」は、1~185のアミノ酸配列を有するヒトタンパク質またはポリペプチドであると理解される。したがって、proADM断片の長さは、少なくとも12アミノ酸、好ましくは80アミノ酸を超える、より好ましくは150アミノ酸を超える。proADMには、グリコシル化、リポシド化(liposidation)、誘導体化などの翻訳後修飾が含まれる場合がある。
【0057】
とりわけ、N末端に21アミノ酸のシグナル配列を含むこの前駆体ペプチドは、「プレプロアドレノメデュリン」(pre-proADM)と呼ばれる(Kitamura K,Sakata J,Kangawa K,Kojima M,Matsuo H,Eto T.Cloning and characterization of cDNA encoding a precursor for human adrenomedullin,Biochem Biophys Res Commun 1993:194:720-725)。Pre-proADMは185アミノ酸を含み、配列番号4による配列を有する。Pre-pro-ADMの既知の断片には、PAMP(AA 22-41)、MR-pro-ADM(中間領域プロアドレノメデュリン)(AA 45-92)(配列番号2)、ADM(アドレノメデュリン)、およびADMの生理活性形態(AA 95-146)、CT-pro-ADM(アドレノテンシン)(AA 153-185)および「プロアドレノメデュリン」(proADM)(AA 22-185)(配列番号3)が含まれる。
【0058】
これまでに、pre-proADMの切断で形成されたペプチド断片の実質的に数個の断片のみがより正確に特徴付けられており、特に生理的に活性なペプチドアドレノメデュリン(ADM)および「PAMP」、pre-proADMのシグナルペプチドの21アミノ酸に続く、20アミノ酸(22-41)を含む、ペプチドである。
【0059】
診断のための(プレ)プロアドレノメデュリンのN末端断片もEP0622458B1に記載されており、例えばPAMP(Hashida S,Kitamura K,Nagatomo Y,Shibata Y,Imamura T,Yamada K,et al.Development of an ultra-sensitive enzyme immunoassay for human pro-adrenomedullin N-terminal peptide and direct measurement of two molecular forms of PAMP in plasma from healthy subjects and patients with cardiovascular disease.Clin Biochem 2004;37:14-21)である。
【0060】
診断のための(プレ)プロアドレノメデュリンのC末端断片、すなわちCT-プロ-ADM(アドレノテンシン)もEP2111552B1に記載されている。
【0061】
本明細書で使用される「対象または同義の患者」という用語は、医療を受けている、または疾患、特に感染症のために医療を受けなければならない、生きているヒトまたは非ヒト生物を指す。これには、病状の徴候がないか調査されている明確な病気のない人が含まれる。したがって、本明細書に記載の方法およびアッセイは、ヒトおよび獣医学的疾患の両方に該当する。
【0062】
本発明の意味での「増大したリスクを有する患者」という用語は、特に、感染症にかかるか、または合併症を発症する素因がより高い対象を意味する。そのような患者は、自己免疫障害、糖尿病、または、癌または免疫系例えば扁桃腺の一部の喪失を有するもしくは例えば移植またはHIV後の免疫抑制薬で治療されている患者などの宿主応答の欠陥、または、特定の年齢群、高齢者や幼児、乳児など、または、例えば心不全、心筋炎、心膜炎、心臓弁欠損症、アテローム性動脈硬化症もしくは腎不全などの心臓血管異常、COPD、喘息もしくは嚢胞性線維症などの呼吸器障害、皮膚欠損、例えば火傷またはより広い皮膚炎症、消化管異常、例えばクローン病(Morbus Crohn)、胃炎または胆石;または肝障害、例えば、肝炎、肝硬変または薬物/アルコール依存症または中毒症などの臓器欠陥を有する患者;または認知能力の障害、例えば無感覚な患者または認知症、または重篤な有害事象を起こすリスクが高い薬の服用、または肥満、などの併存症または身体的または精神的な制限を持っている可能性がある。
【0063】
本発明の意味における「治療的介入または管理またはガイダンス」という用語は、バイオマーカー値または臨床パラメータの組み合わせにおける臨床像に基づく医療活動の決定を意味する。決定されたPCTおよび/またはADM値が重度の障害または感染症、あるいは感染症または合併症を起こすリスクの増大を示している場合には、医療行為、例えば抗生物質および/または医薬品などの薬物の投与および/または外科的手技のような最小限または侵襲的手技および/または、例えばハルトマン液、血液または血液断片輸血などの流体の適用、体液バランス、循環および代謝を維持または回復するための流体ボーラスのような臓器支持処置および/または例えば酸素、人工呼吸(例えば、機械的人工呼吸)による呼吸サポート、および/または例えば、血液希釈、アフェレーシス腎代替療法、例えば、透析、免疫抑制薬、例えば、ステロイドなどの臓器支持処置、疼痛治療または他の患者からの患者の隔離。
【0064】
本発明の意味における「感染」という用語は、細菌、ウイルス、真菌または寄生虫などの病原菌によるそれらの増殖による生物の体組織の侵入、ならびに感染組織およびそれらが産生する毒素に対する宿主組織の反応を意味する。伝染病または感染性疾患としても知られる感染症は、感染に起因する病気である。このような感染症は、抗生物質を投与することにより好適に治療することができる。
【0065】
vi~xiiiで使用される「感染」という用語には、前述の説明の説明に加えて、特に0.1ng/mL未満のPCTの場合、感染の初期段階、細菌感染の初期段階、非細菌感染または他の感染のない疾患または障害も含み、これらはproADMまたはその断片のコンビナトリアル測定により特に0,88nmol/L以上、1.28nmol/L以上、1.5nmol/L以上または2.75nmol/L以上で重症として評価できる。
【0066】
好ましい実施形態では、本発明は、細菌によって引き起こされる感染、すなわち細菌感染に関する。愁訴や症状は、細菌の種類や細菌感染の場所によって異なる。そのような愁訴や症状は、他の疾患や障害と重複することが多く、頭痛、体の特定の部分(腹部など)にある痛みの訴え、温度調節不全(>38℃(発熱)、>36℃)、咳、痰の産生、呼吸困難、頻呼吸および胸膜痛を含む群から選択される呼吸器症状、聴診中の所見(例えば、ラ音、捻髪音)および感染の徴候(中核体温>38℃、震え)と消化管感染の徴候(吐き気、嘔吐、下痢)、泌尿器系の問題、速脈のような循環障害、調節不全血圧、年齢、免疫系の障害、その他の感染症の徴候またはリスク因子、からなる群から選択できる。
【0067】
感染症の典型的な症状は、局所的な赤み、熱、腫れ、痛みである。細菌感染症の特徴の1つは、局所的な痛み、体の特定の部分にある痛みである。たとえば、切り傷が発生して細菌に感染すると、感染部位に痛みが生じる。細菌性咽頭痛は、喉の片側のより多くの痛みが特徴である。痛みが片方の耳だけに発生した場合、耳の感染症は細菌である可能性が高い。
【0068】
上記のように、細菌感染症の症状は感染症のタイプによって異なる。感染部位によって症状は異なる。ただし、その部位が少しでも感染している場合、症状は常に発生する。気道に細菌感染が見られると、喉や呼吸に関連する症状が見られる。喉の感染は、高い汚染の地域に住んでいる人々に非常によく見られる。肺炎は、自然免疫力が非常に低下する子供や高齢者に非常によく見られる。気管支炎、副鼻腔炎および咽頭炎は、細菌感染症に苦しむ人々にも見られる。細菌感染が気道にある場合、着色した鼻汁と頭痛が一般的に発生する。
【0069】
消化管で感染が見つかった場合(胃腸炎など)、症状は主に消化の問題に関連している。胃の炎症と痛みは通常経験される。下痢および嘔吐は、消化管の感染を示す他の症状である。重度の細菌感染症の症状の結果として、吐き気、例えば、胃酸過多および脱水症との代謝不均衡も経験される可能性がある。
【0070】
膣部位の悪臭または魚臭は、膣感染症の症状である。女性の膣には、臓器に良いバクテリアがいくつかある。ただし、このタイプの細菌の生産が不規則である場合、感染につながる可能性がある。尿路感染症の細菌感染症状には、かゆみや小便器の痛みがある。膣感染症や尿路感染症は、腎臓などの内臓にさらなる炎症を引き起こす可能性があるため、無視してはならない。
【0071】
髄膜炎は、脳と脊髄を覆う膜における細菌感染の深刻な結果である。これは成人にも見られるが、乳児はこの問題の影響を受けやすくなっている。髄膜炎の一般的な細菌感染症の症状は、体と首のこわばり、頭痛、過敏症、発熱または通常の温度より低い、皮膚の発疹である。
【0072】
丹毒は真皮の急性細菌感染症であり、炎症を引き起こす。患者は通常、高熱、震え、悪寒 頭痛、嘔吐を含む症状を、最初の感染から48時間以内に発症する。紅斑性皮膚病変は急速に拡大し、はっきりと境界が定められた隆起した縁を有する。それは、オレンジの皮と同じような一貫性のある、赤く、腫れた、温かく、固く、痛みを伴う発疹のように見える。より深刻な感染症は、小胞、水疱、および点状出血を引き起こし、皮膚壊死を引き起こす可能性がある。リンパ節が腫れ、リンパ浮腫が発生することがある。ときおり、リンパ節に広がる赤い線が見られる。感染症は、顔、腕、指、足、つま先を含む皮膚のあらゆる部分に発生する可能性があるが、四肢を好む傾向がある。脂肪組織は最も感染しやすく、通常は目、耳、頬の周りの顔の部位である。
【0073】
腹膜炎は、腹腔と内臓の一部を覆う漿膜である腹膜の炎症である。腹膜炎は限局性または全身性である場合があり、感染に起因する場合がある(腹部外傷または虫垂炎で発生する可能性がある中空器官の破裂が原因であることが多い)。腹膜炎の主な症状は、急性腹痛、腹部圧痛、および腹壁防御である。これらの症状の局在は、腹膜炎が限局性であるか(例えば、穿孔前の虫垂炎または憩室炎)、または腹部全体の全身性であるかによって異なる。どちらの場合も、痛みは通常、全身性腹痛として始まり(内臓腹膜層の神経支配が不十分に限局しているため)、後で局所化することがある(体性神経支配の壁側腹膜層が関与する)。感染した腹膜炎の最も一般的な原因は、胃腸管の一部の穿孔と腹膜の破壊である。
【0074】
胆管炎は胆管の炎症である。最も一般的な原因は細菌感染である。胆管炎の典型的な三徴候は、発熱、黄疸、右上腹部の腹痛である。
【0075】
胆嚢炎は胆嚢の炎症であり、通常、右上腹部の痛みとして現れる。これには通常、微熱、嘔吐、吐き気が伴う。
【0076】
骨髄炎は骨または骨髄の感染症を意味する。一般に、微生物は3つの基本的な方法の1つ以上を介して骨に感染する可能性がある:血流を介して、感染の局所領域から隣接して、または関節置換術や骨折や根管歯の内部固定などの医原性の原因を含む貫通性外傷による。骨髄炎の徴候と症状には、発熱、感染部位の痛み、腫れ、熱感、感染部位の発赤などがある。
【0077】
これに関して、最も危険な細菌感染症は、臓器の機能不全を引き起こして死に至る重篤な状態である敗血症を引き起こす。発熱と体内の激しい震えが敗血症の細菌感染症の症状である。関節の痛みは敗血症の患者にも感じられる。感染が内臓に広がるのを抑え、サイトカインストームとその致命的な結果を防止または克服するために、これは直ちに治療されなければならない。敗血症の場合、患者は集中治療のために入院する。あるいは、敗血症という用語は、感染に対する調節不全の宿主応答によって引き起こされる生命にかかわる臓器機能不全として定義されてもよい。臨床的操作化(clinical operationalization)のために、臓器機能不全は、好ましくは、2%以上の順次臓器不全評価(Sequential Organ Failure Assessment(SOFA))スコアの増加によって表すことができ、これは10%を超える院内死亡率と関連している。敗血症性ショックは、特に深刻な循環、細胞、および代謝異常が敗血症のみの場合よりも死亡リスクが高い敗血症のサブセットとして定義することができる。敗血症性ショックの患者は、血液量減少症のない状態で、平均血圧を65mmHg以上に維持し、血清乳酸値を2mmol/L(>18mg/dL)超に維持するための昇圧剤要件によって臨床的に特定できる。重症敗血症とは、臓器機能不全、低灌流異常、または敗血症誘発性低血圧に関連する敗血症を指す。低灌流異常には、乳酸アシドーシス、乏尿症、精神状態の急性変化が含まれる。敗血症誘発性低血圧は、他の低血圧の原因(心原性ショックなど)がない場合、収縮期血圧が約90mmHg未満であるか、ベースラインから約40mmHg以上低下があることにより定義される。敗血症性ショックは、低灌流異常または臓器機能不全の存在とともに、適切な輸液蘇生にもかかわらず敗血症誘発性低血圧が持続する重症敗血症として定義される(Bone et al.,CHEST 101(6):1644-55、1992)。本明細書で使用される「敗血症」という用語は、敗血症の発展におけるすべての可能な段階に関する。
【0078】
したがって、感染の重症度は、患者の死、臓器機能不全、または他の生命を脅かす状態などの症状、愁訴および有害事象または転帰と相関している。本発明の方法およびキットはまた、PCTおよびpro-ADMに加えて、少なくとも1つのさらなるバイオマーカー、マーカー、臨床スコアおよび/またはパラメータを決定することを含み得る。
【0079】
本明細書で使用される場合、パラメータは、特定のシステムの定義に役立つことができる特性、機能、または測定可能な要素である。パラメータは、疾患/障害/臨床状態のリスク、好ましくは臓器機能不全(複数可)などの健康および生理学関連の評価にとって重要な要素である。さらに、パラメータは、正常な生物学的プロセス、病原性プロセス、または治療的介入に対する薬理学的応答の指標として客観的に測定および評価される特性として定義される。例示的なパラメータは、急性生理学および慢性健康評価II(Acute Physiology and Chronic Health Evaluation II(APACHE II))、簡易急性生理学スコア(the simplified acute physiology score(SAPSIIスコア))、迅速順次臓器不全評価スコア(quick sequential organ failure assessment score(qSOFA))、順次臓器不全評価スコア(sequential organ failure assessment score(SOFAスコア))、体格指数、体重、年齢、性別、IGS II、液体摂取量、白血球数(特に好中球桿状顆粒球(neutrophilic bandform granulocyte)、分葉核好中球、好酸球、好塩基球、単球、リンパ球)、赤血球数、血小板数、ヘモグロビン、ヘマトクリット、ナトリウム、カリウム、温度、血圧、ドーパミン、ビリルビン、呼吸数、酸素分圧、世界脳神経外科学会(WFNS)グレーディング、およびグラスゴー昏睡尺度(GCS)からなるグループから選択できる。
【0080】
本明細書で使用される場合、「マーカー」、「代理(surrogate)」、「予後マーカー」、「因子」または「バイオマーカー」または「生物学的マーカー」などの用語は交換可能に使用され、測定可能および定量可能な生物学的マーカー(例えば、特定のタンパク質または酵素濃度またはその断片、特定のホルモン濃度またはその断片、または生物学的物質またはその断片の存在)に関連し、これらは、疾患/障害/臨床状態のリスク、好ましくは有害事象など、健康および生理学関連の評価の指標として機能する。マーカーまたはバイオマーカーは、正常な生物学的プロセス、病原性プロセス、または治療的介入に対する薬理学的応答の指標として客観的に測定および評価できる特性として定義される。バイオマーカーは、試料(血液、血漿、尿、または組織検査として)で測定できる。
【0081】
該対象の少なくとも1つのさらなるマーカーおよび/またはパラメータは、乳酸塩のレベル、CRP、該対象の順次臓器不全評価スコア(SOFAスコア)、該対象の簡易急性生理学スコア(SAPSII)、該対象の急性生理学および慢性健康評価II(APACHE II)スコアと、可溶性fms様チロシンキナーゼ-1(sFlt-1)のレベル、ヒストンH2A、ヒストンH2B、ヒストンH3、ヒストンH4、カルシトニン、エンドセリン-1(ET-1)、アルギニンバソプレシン(AVP)、心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)、好中球ゼラチナーゼ関連リポカリン(NGAL)、トロポニン、脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)、C反応性タンパク質(CRP)、膵石タンパク質(PSP)、骨髄細胞発現誘発性受容体1(Triggering Receptor Expressed on Myeloid Cells1(TREM1))、インターロイキン6(IL-6)、インターロイキン1、インターロイキン24(IL-24)、インターロイキン22(IL-22)、インターロイキン(IL-20)その他のIL、プレセプシン(sCD14-ST)、リポ多糖結合タンパク質(LBP)、アルファ1アンチトリプシン、マトリックスメタロプロテイナーゼ2(MMP2)、メタロプロテイナーゼ(MMP8)、マトリックスメタロプロテイナーゼ9(MMP9)、マトリックスメタロプロテイナーゼ7(MMP7、胎盤成長因子(PlGF)、クロモグラニンA、S100Aタンパク質、S100Bタンパク質および腫瘍壊死因子α(TNFα)、ネオプテリン、プロアルギニンバソプレシン(AVP、proAVPまたはコペプチン(Copeptin))、心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP、pro-ANP)、E-セレクチン、ICAM-1、VCAM-1、IP-10、CCL1/TCA3、CCL11、CCL12/MCP-5、CCL13/MCP-4、CCL14、CCL15、CCL16、CCL17/TARC、CCL18、CCL19、CCL2/MCP-1、CCL20、CCL21、CCL22/MDC、CCL23、CCL24、CCL25、CCL26、CCL27、CCL28、CCL3、CCL3L3、CCL4、CCL4L1/LAG-1、CCL5、CCL6、CCL7、CCL8、CCL9、CX3CL1、CXCL1、CXCL10、CXCL11、CXCL12、CXCL13、CXCL14、CXCL15、CXCL16、CXCL17、CXCL2/MIP-2、CXCL3、CXCL4、CXCL5、CXCL6、CXCL7/Ppbp、CXCL9、IL8/CXCL8、XCL1、XCL2、FAM19A1、FAM19A2、FAM19A3、FAM19A4、FAM19A5、CLCF1、CNTF、IL11、IL31、IL6、ICAM、レプチン、LIF、OSM、IFNA1、IFNA10、IFNA13、IFNA14、IFNA2、IFNA4、IFNA7、IFNB1、IFNE、IFNG、IFNZ、IFNA8、IFNA5/IFNaG、IFNω/IFNW1、BAFF、4-1BBL、TNFSF8、CD40LG、CD70、CD95L/CD178、EDA-A1、TNFSF14、LTA/TNFB、LTB、TNFa、TNFSF10、TNFSF11、TNFSF12、TNFSF13、TNFSF15、TNFSF4、IL18、IL18BP、IL1A、IL1B、IL1F10、IL1F3/IL1RA、IL1F5、IL1F6、IL1F7、IL1F8、IL1RL2、IL1F9、IL33またはそれらの断片、からなる群から選択することができる。
【0082】
乳酸塩、または乳酸は、式CH3CH(OH)COOHの有機化合物で、血液を含む体液で発生する。乳酸の血液検査は、体内の酸塩基ホメオスタシスの状態を決定するために行われる。乳酸は、細胞の代謝産物であり、細胞が十分な酸素を欠き(低酸素状態)、エネルギー生産の効率の低い手段に切り替えなければならいない場合、または状態が乳酸の過剰生産またはクリアランス障害を引き起こす場合に、蓄積する可能性がある。乳酸アシドーシスは、細胞や組織内の酸素量が不十分であること(低酸素症)によって引き起こされる可能性があり、例えば、ショック、敗血症性ショック、うっ血性心不全など、細胞や組織に供給される酸素量の減少につながる可能性がある状態にある人がいる場合、乳酸検査は低酸素症と乳酸アシドーシスの重症度の検出と評価に役立ち得る。
【0083】
C反応性タンパク質(CRP)は、血漿などの体液に含まれる五量体タンパク質である。CRPレベルは炎症に応答して上昇する可能性がある。CRP値の測定とグラフ化は、疾患の進行または治療の有効性を判断するのに役立つ。
【0084】
本明細書で使用する場合、「順次臓器不全評価スコア」または「SOFAスコア」は、集中治療室(ICU)での滞在中の患者の状態を追跡するために使用される1つのスコアである。SOFAスコアは、人の臓器機能の範囲または不全率を決定するためのスコアリングシステムである。スコアは6つの異なるスコアに基づいており、それぞれ呼吸器系、心血管系、肝臓系、凝固系、腎臓系、神経系のスコアである。平均と最高のSOFAスコアの両方が結果の予測因子である。ICUの最初の24~48時間のSOFAスコアの増加は、少なくとも50%~最大95%の死亡率を予測する。9未満のスコアでは予測死亡率が33%になり、14を超えると95%に近いか95%を超えることがある。
【0085】
本明細書で使用する場合、クイックSOFAスコア(qSOFA)は、患者の臓器機能不全または死亡リスクを示すスコアリングシステムである。スコアは3つの基準に基づいている:1)精神状態の変化、2)100mmHg未満の収縮期血圧の低下、3)毎分22呼吸を超える呼吸数。これらの状態が2つ以上ある患者は、臓器機能不全を起こしたり、死亡したりするリスクが高くなる。
【0086】
本明細書で使用する場合、「APACHE II」または「急性生理学および慢性健康評価II」は、疾患の重症度分類スコアリングシステムである(Knaus et al.,1985)。集中治療室(ICU)への患者の入院から24時間以内に適用でき、12の異なる生理学的パラメータ:AaDO2またはPaO2(FiO2に依存)、体温(直腸)、平均動脈圧、動脈のpH、心拍数、呼吸数、ナトリウム(血清)、カリウム(血清)、クレアチニン、ヘマトクリット、白血球数、グラスゴー昏睡尺度、に基づいて決定できる。
【0087】
本明細書で使用する場合、「SAPS II」または「簡易急性生理学スコアII」は、疾患または障害の重症度を分類するためのシステムに関連する(Le Gall JR et al.,A new Simplified Acute Physiology Score(SAPS II) based on a European/North American multicenter study.JAMA.1993;270(24):2957-63.を参照されたい)。SAPS IIスコアは、12の生理学的変数と3つの疾患関連変数で構成されている。ポイントスコアは、12の通例の生理学的測定値、以前の健康状態に関する情報、およびICUへの入院時に取得されたいくつかの情報から計算される。SAPS IIスコアはいつでも、望ましくは2日目に決定できる。「最悪」の測定値は、最も高いポイント数に相関する測定値として定義される。SAPS IIスコアの範囲は0~163ポイントである。分類システムには次のパラメータが含まれる:年齢、心拍数、収縮期血圧、体温、グラスゴー昏睡尺度、機械的人工呼吸またはCPAP、PaO2、FiO2、尿量、血液尿素窒素、ナトリウム、カリウム、重炭酸塩、ビリルビン、白血球、慢性疾患と入院の種類。死亡率とSAPS IIの合計スコアとの間にはS字型の関係がある。SAPSIIスコア29ポイントで対象の死亡率が10%、SAPSIIスコア40ポイントで死亡率が25%、SAPSIIスコア52ポイントで死亡率が50%、SAPSIIスコアが64ポイントで死亡率が75%、SAPSIIスコア77ポイントで死亡率は90%である(Le Gall loc.cit.)。
【0088】
PCTおよび/またはproADMまたはその断片(複数可)のマーカーとしての使用に関して、本明細書で使用する場合、「比較する」という用語は、患者におけるマーカーの存在または量を、所定の状態にかかっていることが知られている、またはそのリスクがあることが知られている人におけるその存在または量と比較することを指す。患者試料のマーカーレベルは、特定の予後と関連していることが知られているレベルと比較できる。試料のマーカーレベルは予後と相関していたと言われている。すなわち、当業者は、マーカーレベルを使用して、患者が有害事象に罹る特定のリスクを有するかどうかを決定し、それに応じて対応することができる。あるいは、試料のマーカーレベルを、良好な転帰(例えば、有害事象にかかるリスクが低い)に関連することがわかっているマーカーレベルと比較することもできる。
【0089】
本明細書で使用される「試料」という用語は、関心のある対象の評価、診断、予後、または査定、患者などの治療ガイダンスの目的で得られる体液の試料を指す。好ましい試験試料には、血液、血清、血漿、脳脊髄液、尿、唾液、痰、および胸水が含まれる。さらに、当業者は、いくつかの検査試料が、分画または精製手順、例えば、全血の血清または血漿成分への分離後に、より容易に分析されることを理解するであろう。
【0090】
したがって、本発明の好ましい実施形態では、試料は、血液試料、血清試料、血漿試料、脳脊髄液試料、唾液試料および尿試料または前述の試料のいずれかの抽出物を含む群から選択される。好ましくは、試料は血液試料、最も好ましくは血清試料または血漿試料である。
【0091】
本発明の文脈における「血漿」という用語は、遠心分離後に得られる抗凝固剤を含む血液の実質的に無細胞の上清である。例示的な抗凝固剤には、EDTAまたはクエン酸塩などのカルシウムイオン結合化合物およびヘパリネート(heparinate)またはヒルジンなどのトロンビン阻害剤が含まれる。無細胞血漿は、抗凝固処理された血液(例えば、クエン酸塩、EDTAまたはヘパリン添加血液)を、例えば2000~3000gで少なくとも15分間遠心分離することにより得ることができる。
【0092】
本発明の文脈における「血清」という用語は、血液が凝固した後に収集される全血の液体画分である。凝固血(血餅)を遠心分離すると、上澄みとして血清が得られる。
【0093】
「尿」という用語は、排尿(urination)(または排尿(micturition))と呼ばれるプロセスを通じて腎臓から分泌され、尿道から排泄される体の液体産物である。
【0094】
本発明の意味における「定期的な再測定」という用語は、例えば、6時間ごと、12時間ごと、非常に好ましいのは24時間ごと、2日ごと、3日ごと、4日ごと、または病院の場所の変更、退院、入院、または治療の中止もしくは変更の前などの決定プロセスで好ましい、繰り返し時間枠内を意味する。
【0095】
本発明の意味での「重症度の評価」という用語は、重症度および関連する感染症の発症の診断および進行のモニタリング、特にその重症度による異なる段階での感染症の検出およびマーキングを意味する。さらに、用語「重症度の評価」は、特に定義された症例(上記)で提供されるように、さらなる予後に従って対象を異なるリスク群に分類することに関する。これに関して、リスク評価は、予防的および/または治療的手段を適用するための層別化にも関連する。
【0096】
したがって、本発明の文脈における用語「診断」は、対象における感染の認識および検出、および/または感染の認定または除外、および関連する重症度、特に重症感染症に関する。
【0097】
「モニタリング」という用語は、既に診断された感染、感染関連障害または合併症またはリスクを追跡すること、例えば、疾患の進行、または特定の治療が感染または感染に関連する障害または合併症またはリスクの進行に及ぼす影響、および治療の応答の評価を分析することに関する。陽性応答は、マーカー値を正常範囲にシフトし、患者の健康状態を全般的に改善し(例:痛みが少ない、呼吸が改善される、発熱がないなど)、適切な治療法の指標、および/または医療行為または適用形式(例えば、静脈内から経口またはその逆)、治療手順/投薬の変更、停止または追加する必要性または医療場所の変更(通常のステーションからICUまたはその逆または退院)を指示する。
【0098】
本発明はさらに、キット、キットの使用およびそのようなキットが使用される方法に関する。本発明は、本明細書の上記および下記で提供される方法を実施するためのキットに関する。本明細書で提供される、例えば、方法に関連して提供される定義は、本発明のキットにも適用される。特に、本発明は、該対象における感染症または感染症の疑いの評価、リスク層別化、モニタリング、治療ガイダンスおよび/または治療制御のためのキットに関する。
【0099】
診断検査の感度と特異度は、検査の分析的な「品質」だけでなく、異常な結果を構成するものの定義にも依存する。実際には、受信者動作特性曲線(ROC曲線)は、通常、「正常」(つまり、明らかに健康)集団と「疾患」(すなわち、感染症に罹患している患者)集団における、変数の値とその相対頻度をプロットすることによって計算される。対処する特定の診断問題に応じて、参照群は必ずしも「正常」である必要はないが、別の疾患または状態に罹患している患者の群である可能性があり、そこから関心のある疾患群は区別されなければならない。特定のマーカーについては、疾患のある対象とない対象のマーカーレベルの分布が重なる可能性がある。そのような条件下では、検査は100%の精度で正常と疾患を完全に区別するわけではなく、重複の領域は、検査が正常と疾患を区別できない場所を示す。閾値が選択され、それを超えると(またはそれを下回ると、マーカーが疾患によってどのように変化するかに応じて)、検査は異常と見なされ、それを下回ると検査は正常と見なされる。ROC曲線下面積は、認知された測定によって状態を正しく特定できる確率の尺度である。ROC曲線は、検査結果が必ずしも正確な数値を与えない場合でも使用できる。結果をランク付けできる限り、ROC曲線を作成できる。たとえば、「病気」の試料に対する検査の結果は、程度に応じてランク付けされる(たとえば、1=低い、2=通常、3=高い)。このランキングは、「通常の」集団の結果を、および作成されたROC曲線と相関させることができる。これらの方法は、当技術分野でよく知られている(たとえば、Hanley et al.1982.Radiology 143:29-36を参照)。好ましくは、閾値は、約0.5を超える、より好ましくは約0.7を超えるROC曲線面積を提供するように選択される。この文脈における「約」という用語は、所与の測定の+/-5%を指す。
【0100】
ROC曲線の横軸は(1-特異度)を表し、偽陽性率とともに増加する。曲線の縦軸は感度を表し、真陽性率とともに増加する。したがって、選択された特定のカットオフについて、(1-特異度)の値を決定することができ、対応する感度を得ることができる。ROC曲線下面積は、測定されたマーカーレベルが疾患または状態(たとえば、予後)を正しく特定できる確率の尺度である。したがって、ROC曲線下面積を使用して、検査の有効性を判断できる。
【0101】
特定の実施形態では、マーカーおよび/またはマーカーパネルは、少なくとも約70%の特異度、より好ましくは少なくとも約80%の特異度、さらにより好ましくは少なくとも約85%の特異度、よりさらに好ましくは少なくとも約90%の特異度、および最も好ましくは少なくとも約95%の特異度と組み合わせて、少なくとも約70%の感度、より好ましくは少なくとも約80%の感度、さらにより好ましくは少なくとも約85%の感度、よりさらに好ましくは少なくとも約90%の感度および、最も好ましくは、少なくとも約95%の感度を示すように選択される。特に好ましい実施形態では、感度と特異度の両方が少なくとも約75%、より好ましくは少なくとも約80%、さらにより好ましくは少なくとも約85%、よりさらに好ましくは少なくとも約90%、および最も好ましくは少なくとも約95%である。この文脈における「約」という用語は、所与の測定の+/-5%を指す。
【0102】
閾値レベルは、例えばカプラン・マイヤー分析から得ることができ、疾患の発生または有害な転帰および/または死亡の確率は、集団におけるそれぞれのマーカーの、例えば五分位数と相関している。この分析によれば、80パーセンタイルを超えるマーカーレベルを有する対象は、本発明に従って有害事象にかかるリスクが著しく増加している。この結果は、旧知のリスク要因を調整するCox回帰分析によってさらにサポートされる。他のすべての対象に対する最高の四分位数は、本発明による疾患への罹患または有害な転帰および/または死亡の可能性の増加するリスクと非常に有意に関連している。
【0103】
他の好ましいカットオフ値は、例えば、準拠集団の90、95または99パーセンタイルである。80パーセンタイルよりも高いパーセンタイルを使用することにより、特定される偽陽性の対象の数を減らすが、リスクがまだ高いにもかかわらず、中等度の対象を特定できない場合がある。したがって、「偽陽性」も特定する代わりに、リスクのある対象のほとんどを特定する方が適切であると見なされるかどうか、または中程度のリスクでいくつかの対象を見逃す代わりに、主に高リスクの対象を特定することが適切であると見なされるかによって、カットオフ値を適応させることができる。
個人のマーカーレベル値と他の予後検査室および臨床パラメータを使用して個人のリスクを計算する他の数学的可能性は、たとえば、NRI(Net Reclassificationインデックス)またはIDI(Integrated Discriminationインデックス)である。インデックスは、Pencina(Pencina MJ,et al.:Evaluating the added predictive ability of a new marker:from area under the ROC curve to reclassification and beyond.Stat Med.2008;27:157-172)に従って計算できる。
【0104】
ここで、PCTとpro-ADMおよびその断片(複数可)の前述のカットオフは、5%、10%、15%、16%、17%まで変化する可能性があり、これは診断方法と装置、および通常の、患者集団内の生物学的変動によるものである。たとえば、前述のpro-ADMまたはその断片の10%変動を含む0.88nmol/Lのカットオフは、0,792~0,968nmol/Lの範囲になり、他の言及されたカットオフとの重複はない。
【0105】
好ましい検出方法は、例えば、質量分析(MS)、発光イムノアッセイ(LIA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)、化学発光および蛍光イムノアッセイ、酵素イムノアッセイ(EIA)、酵素結合イムノアッセイ(ELISA)、発光ベースのビーズアレイ、磁気ビーズベースのアレイ、タンパク質マイクロアレイアッセイ、イムノクロマトグラフィーストリップテストなどの迅速なテスト形式、レアクリプテートアッセイ(rare cryptate assay)、自動化システム/アナライザー例えばKRYPTORアッセイなど、のさまざまな形式のイムノアッセイを含む。
【0106】
アッセイは、同種または異種アッセイ、競合および非競合アッセイであってよい。特に好ましい実施形態では、アッセイは、非競合的イムノアッセイであるサンドイッチアッセイの形態であり、検出および/または定量化される分子は、第1抗体および第2抗体に結合される。第1抗体は、固相、例えば、ビーズ、ウェルまたは他の容器の表面、チップまたはストリップに結合され得、そして第2抗体は、例えば、色素で、放射性同位元素、または反応性もしくは触媒活性部分で、標識された抗体である。次に、被検物質に結合した標識抗体の量を適切な方法で測定する。「サンドイッチアッセイ」に関連する一般的な構成と手順は、十分に確立されており、当業者に知られている(The Immunoassay Handbook,Ed.David Wild,Elsevier LTD,Oxford;3rd ed.(May 2005),ISBN-13:978-0080445267;Hultschig C et al.,Curr Opin Chem Biol.2006 Feb;10(1):4-10.PMID:16376134、参照により本明細書に組み込まれる)。
【0107】
好ましい実施形態では、アッセイは、2つの捕捉分子、好ましくは、両方が液体反応混合物中に分散体として存在する抗体を含み、第1の標識成分は、第1の捕捉分子に付着され、ここで、該第1の標識成分は、蛍光または化学ルミネセンス消光または増幅に基づく標識システムの一部であり、該マーキングシステムの第2の標識成分は、第2の捕捉分子に取り付けられ、その結果、両方の捕捉分子が被検物質に結合すると、試料を含む溶液中で形成されたサンドイッチ複合体の検出を可能にする測定可能な信号が生成される。
【0108】
さらにより好ましくは、該標識システムは、蛍光色素または化学発光色素、特にシアニン型の色素と組み合わせた希土類クリプテートまたは希土類キレートを含む。
【0109】
本発明の文脈において、蛍光ベースのアッセイは、例えば、FAM(5-または6-カルボキシフルオレセイン)、VIC、NED、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、IRD-700/800、シアニン色素、例えばCY3、CY5、CY3.5、CY5.5、Cy7、Xanthen、6-カルボキシ-2’,4’,7’,4,7-ヘキサクロロフルオレセイン(HEX)、TET、6-カルボキシ-4’,5’-ジクロロ-2’,7’-ジメトジフルオレセイン(JOE)、N,N,N’,N’-テトラメチル-6-カルボキシローダミン(TAMRA)、6-カルボキシ-X-ローダミン(ROX)、5-カルボキシローダミン-6G(R6G5)、6-カルボキシローダミン-6G(RG6)、ローダミン、ローダミングリーン、ローダミンレッド、ローダミン110、BODIPY TMRなどのBODIPY染料、オレゴングリーン、クマリン例えばウンベリフェロン、ベンズイミド、例えばHoechst 33258、フェナントリジン、例えばテキサスレッド(Texas Red)、ヤキマイエロー(Yakima Yellow)、アレキサフルーア(Alexa Fluor)、PET、エチジウムブロマイド、アクリジニウム色素、カルバゾール色素、フェノキサジン色素、ポルフィリン色素、ポリメチン色素など、を含む群から選択され得る色素の使用を含む。
【0110】
本発明の文脈において、化学発光ベースのアッセイは、Kirk-Othmer,Encyclopedia of chemical technology,4th ed.,executive editor,J.I.Kroschwitz;editor,M.Howe-Grant,John Wiley & Sons,1993,vol.15,p.518-562で化学発光材料について説明された物理的原理に基づく色素の使用を含み、これは551~562頁の引用を含めて参照により本明細書に組み込まれる。好ましい化学発光染料は、アクリジニウムエステルである。
【0111】
本明細書で言及されるように、「アッセイ」または「診断アッセイ」は、診断の分野で適用される任意のタイプであり得る。そのようなアッセイは、特定の親和性を有する1つ以上の捕捉プローブへの検出されるべき被検物質の結合に基づくことができる。捕捉分子と標的分子または目的の分子との間の相互作用に関して、親和性定数は、好ましくは、108-1より大きい。
【0112】
本発明の文脈において、「捕捉分子」は、試料から標的分子または目的の分子、すなわち被検物質(すなわち、本発明の状況で、PCTおよびその断片および/またはpro-ADMまたは断片)を結合するために使用され得る分子である。したがって、捕捉分子は、空間的に、また表面電荷、疎水性、親水性、ルイスドナーおよび/またはアクセプターの有無などの表面特徴の観点から、標的分子または目的の分子に特異的に結合するために適切に成形する必要がある。これにより、結合は、例えば、捕捉分子と標的分子または目的の分子の間のイオン性、ファンデルワールス、パイ-パイ、シグマ-パイ、疎水性または水素結合相互作用、または前述の相互作用の2つ以上の組み合わせによって媒介され得る。本発明の文脈において、捕捉分子は、例えば、核酸分子、炭水化物分子、PNA分子、タンパク質、抗体、ペプチドまたは糖タンパク質を含む群から選択され得る。好ましくは、捕捉分子は抗体であり、標的分子または目的の分子に対して十分な親和性を有するその断片を含み、組換え抗体または組換え抗体断片、ならびに該抗体の化学的および/または生化学的に修飾された誘導体または長さが少なくとも12アミノ酸の鎖を有するバリアントに由来する断片を含む。
【0113】
さらに、本発明は、データの入力および評価、関連するワークフローコンテンツまたは該決定ツリーまたはマトリックスの処理、測定値および管理推奨の出力のためのコンピュータベースのツールに関し、臨床決定の管理をサポートするために、例えば人工知能および/または機械学習を使用することによることを含めることができ、ここで、参照データは、PCTまたはそのフラグメントの決定されたレベル、および/またはproADMまたはその断片(複数可)の決定されたレベルを該参照データと比較するため、コンピュータで読み取り可能な媒体に格納され、および/または構成されたコンピュータ実行可能コードの形式で使用され、参照データは、本発明の開示された実施形態において上記に示された閾値レベルを指す。
【0114】
実施例および図3図7
本発明は、以下の実施例および図によってさらに説明される。これらの実施例および図は、本発明の範囲を限定することを意図するものではなく、本明細書に記載される本発明をより詳しく説明するために提供される本発明の態様の好ましい実施形態を表す。
【0115】
患者:
言及された患者は、生理学的徴候または感染のリスク因子の増加もってEDに来た。EDへの入院後、血液試料を採取した(時点0)。血漿(MR-proADMの場合)および血清(PCTの場合)の濃度は、TRACE(Time Resolved Amplified Cryptate Emission)技術と新しいサンドイッチイムノアッセイ(Kryptor Compact Plus Analyser、BRAHMS、Hennigsdorf、ドイツ)を組み合わせて測定した。研究のエンドポイントは、特に抗生物質による治療と28日死亡率であった。
【0116】
統計分析:
28日の死亡率に関する臨床的特徴の違いは、カテゴリ変数のχ2検定を使用して、分布の正規性に応じて、連続変数のスチューデントのt検定またはマンホイットニーU検定のいずれかで評価された。正規分布変数と非正規分布変数は、それぞれ平均(標準偏差)と中央値[第1四分位-第3四分位]で表された。抗生物質のガイダンス、病状、特に感染の重症度、および28日以内の死亡率の予測と、各バイオマーカー他の臨床パラメータおよびスコアとの関連は、例えば、受信者動作特性曲線下面積(AUROC)、ロジスティックおよびコックス回帰分析を使用して評価された。ロジスティック回帰モデルは、バイオマーカーまたはスコアを単独で使用して作成されたか、死亡率や治療などの変数で調整され、例えば、オッズ比(OR)および95%信頼区間[95%CI]として表現された。両側p<0.05は統計的に有意であると見なされた。すべてのデータは、確立された統計ソフトウェアを使用して分析された。適切な参照レベルとカットオフを確立するために、この種の分析を可能にするソフトウェア、例えば、SASからJMP12、JMP13、Statistical Discoveryなどがあるが利用可能である。
群:
統計計算は、以下に基づく
1群、(iv)を指し、
PCT<0.1およびMR-proADM<0.88である
N=129
入院/入院率:33.1%
抗生物質の投与率:65.3%
抗生物質の静脈内投与率:22.6%
抗生物質の経口投与率:41.9%
28日死亡率:0.0%
2群、(v)を指し、
PCT<0.1およびMR-proADM≧0.88である
N=68
入院/入院率:83.8%
抗生物質の投与率:67.7%
抗生物質の静脈内投与率:46.2%
抗生物質の経口投与率:23.1%
28日死亡率:8.9%
3群、(v)を指し、
PCT<0.1およびMR-proADM≧0.88および<1.28
N=29
入院/入院率:82.5%
抗生物質の投与率:60.0%
抗生物質の静脈内投与率:35.9%
抗生物質の経口投与率:20.5%
28日死亡率:5.0%
1b群、(vii)を指し、
PCT≧0.1およびMR-proADM<0.88である
N=106
入院/入院率:61.3%
抗生物質の投与率:87.4%
抗生物質の静脈内投与率:32.6%
抗生物質の経口投与率:38.9%
28日死亡率:0.0%
2b群、(viii)を指し、
PCT<0.1およびMR-proADM≧0.88である
N=419
入院/入院率:96.2%
抗生物質の投与率:92.8%
抗生物質の静脈内投与率:81.6%
抗生物質の経口投与率:10.4%
28日死亡率:16.0%
3b群、(viii)を指し、
PCT≧0.1およびMR-proADM≧0.88および<1.28
N=99
入院/入院率:90.0%
抗生物質の投与率:84.3%
抗生物質の静脈内投与率:55.1%
抗生物質の経口投与率:29.2%
28日死亡率:0.0%
4群:PCT≧0.1およびMR-proADM≧1.50
N=262
入院率:97.3%
抗生物質の投与率:96.0%
抗生物質の静脈内投与率:92.2%
抗生物質の経口投与率:4.1%
28日死亡率:24.7%
【表1】
4群:PCT<0.1およびMR-proADM≧1.50
N=18
入院率:94.4%
抗生物質の投与率:88.9%
抗生物質の静脈内投与率:72.2%
抗生物質の経口投与率:22.2%
28日死亡率:22.2%
5群:PCT<0.1およびMR-proADM≧1.50
N=4
【0117】
図3は、0.88nmol/Lの最適化されたMR-proADMカットオフを使用したカプラン・マイヤープロットで、完全な除外の28日死亡率を示す。
【0118】
図4は、28日死亡率の予測のためのED入院患者のADM(黒)とPCT(灰色)のROC分析を示す。
【表2】
【0119】
表1は、1.5nmol/lのMR-proADMカットオフ、AUC0.84(0.78-0.89)、感度0.8[0.61-0.92]、特異度0.79[0.75-0.82]、PPV0.15[0.12-0.18]、NPV0.99[0.98-0.99]、LR+3.74[2.96-4.72]、LR-0.25[0.12-0.52]、およびOR14.7[5.9-36.7]を示す。表1は、2.0ng/mlのPCTカットオフ、AUC0.68(0.59-0.77)、感度0.8[0.61-0.92]、特異度0.49[0.45-0.53]、PPV0.07[0.06-0.08]、0.98[0.96-0.99]のNPV、1.58[1.30-1.91]のLR+、0.41[0.2-0.83]のLR-、およびOR3.9[1.6-9.6]を示す。
【0120】
図5は、既存の臓器機能(SOFAが2ポイント以上)によって決定された、疾患の重症度のレベルが増加した患者を特定するためのED入院におけるADM(黒)とPCT(灰色)のROC分析を示す。
【表3】
【0121】
表2は、1.28nmol/lのMR-proADMカットオフ、AUC0.78(0.69-0.87)、感度0.87[0.66-0.97]、特異度0.6[0.56-0.64]、PPV0.07[0.06-0.09]、NPV0.99[0.98-1.00]、LR+2.18[1.82-2.63]、LR-0.22[0.08-0.62]、およびOR10.1[2.0-34.3]を示す。表2は、0.47ng/mlのPCTカットオフ、AUC0.71(0.61-0.82)、感度0.7[0.47-0.87]、特異度0.66[0.63-0.70]、PPV0.07[0.05-0.08]、NPV0.98[0.97-0.99]、LR+2.07[1.55-2.77]、LR-0.46[0.25-0.85]、およびOR4.5[1.8-11.1]を示す。
【0122】
図6は、ED入院時に抗生物質の投与が必要な患者におけるADM(黒)とPCT(灰色)のROC分析を示す。
【表4】
【0123】
表3は、0.88nmol/lのMR-proADMカットオフ、AUC0.77(0.72-0.81)、感度0.78[0.74-0.82]、特異度0.64[0.56-0.71]、PPV0.86[0.84-0.88]、NPV0.50[0.45-0.56]、LR+2.16[1.76-2.65]、LR-0.34[0.28-0.42]、およびOR6.4[4.4-9.3]を示す。表3は、0.1ng/mlのPCTカットオフ、AUC0.73(0.69-0.78)、感度0.85[0.81-0.88]、特異度0.50[0.42-0.57]、PPV0.83[0.81-0.85]、NPV0.53[0.47-0.60]、LR+1.69[1.45-1.97]、LR-0.30[0.24-0.39]、およびOR5.6[3.8-8.2]を示す。
【0124】
図7は、ED入院時に入院を必要とする患者におけるADM(黒)とPCT(灰色)のROC分析を示す。
【表5】
【0125】
表4は、0.88nmol/lのMR-proADMカットオフ、AUC0.78(0.74-0.82)、感度0.79[0.76-0.83]、特異度0.65[0.57-0.72]、PPV0.86[0.83-0.88]、NPV0.54[0.49-0.59]、LR+2.26[1.84-2.77]、LR-0.32[0.26-0.39]、およびOR7.1[4.9-10.4]を示す。表4は、AUC0.73(0.69-0.77)で0.19ng/mlのPCTカットオフ、感度0.63[0.59-0.67]、特異度0.73[0.66-0.79]、PPV0.86[0.83-0.89]、NPV0.42[0.39-0.46]、LR+2.31[1.8-2.95]、LR-0.51[0.44-0.59]、およびOR4.5[3.1-6.6]を示す。
【0126】
本発明は、本明細書に記載される特定の実施形態によって範囲が限定されるべきではない。実際、本明細書に記載されているものに加えて、本発明の様々な変更が、前述の説明および添付の図から当業者には明らかになるであろう。そのような修正は、添付の特許請求の範囲内にあることが意図されている。さらに、すべての値は概算であり、説明のために提供されていることを理解されたい。
【0127】
配列
配列番号1(PCTのアミノ酸配列):
配列番号2(MR-pro-ADMのアミノ酸配列):
配列番号3(proADMのアミノ酸配列)
配列番号4(pre-proADMのアミノ酸配列)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【配列表】
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