(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-10
(45)【発行日】2023-05-19
(54)【発明の名称】ケーブルの絶縁被覆を除去するための装置および方法
(51)【国際特許分類】
H02G 1/12 20060101AFI20230511BHJP
【FI】
H02G1/12 065
(21)【出願番号】P 2020570737
(86)(22)【出願日】2019-06-14
(86)【国際出願番号】 EP2019065699
(87)【国際公開番号】W WO2019243193
(87)【国際公開日】2019-12-26
【審査請求日】2022-02-17
(32)【優先日】2018-06-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AT
(73)【特許権者】
【識別番号】506058451
【氏名又は名称】コマックス ホルディング アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】KOMAX HOLDING AG
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100208258
【氏名又は名称】鈴木 友子
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】ペーター・クー
【審査官】遠藤 尊志
(56)【参考文献】
【文献】西独国特許出願公告第1073050(DE,B)
【文献】実開平06-013319(JP,U)
【文献】特開平02-133017(JP,A)
【文献】特開平05-184031(JP,A)
【文献】特開平05-219621(JP,A)
【文献】特開昭49-010385(JP,A)
【文献】米国特許第04987801(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーブル(4)の絶縁被覆を除去するための
装置であって、
この装置が、少なくとも1つの支持ローラー装置(20)と1つの作業ホイール装置(10)とを有し、
絶縁被覆を除去されるべき前記ケーブル(4)の端部が、押付け力の付与のもとで、前記作業ホイール装置(10)と前記支持ローラー装置(20)との間に挟み込み可能であり、
作業ホイール装置(10)と支持ローラー装置(20)とから成るユニットが、回転状態で前記ケーブル(4)の周囲を回って転動して駆動可能で
ある上記装置において、
前記作業ホイール装置(10)が、少なくとも1つのローリングホイール(8)と、少なくとも1つの切断ホイール(9)とを有しており、これらローリングホイールと切断ホイールとが、前記ケーブル(4)の周囲における切断領域(15)に沿って転動し、
少なくとも1つの前記ローリングホイール(8)が、前記切断ホイール(9)よりも尖っていない縁部幾何学的形状を有していること、および、
少なくとも1つの前記ローリングホイール(8)の半径方向に外側の縁部が、前記切断ホイール(9)の半径方向に外側の縁部よりも、回転軸線(1)に近接して配置されていること、
を特徴とする装置。
【請求項2】
前記支持ローラー装置(20)は、回転ベース(2)に配置されており、
前記作業ホイール装置(10)が、作業ホイールガイド(5)に配設されており、および、
前記回転ベース(2)と前記作業ホイールガイド(5)とが、少なくとも1つのリニアガイド(7)を介して互いに接続されており、且つ
、前記回転ベース(2)の前記回転軸線(1)に対して横向きに延びる案内方向(6)に沿って、相対して移動可能であることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記リニアガイド(7)の長さ及び/または位置は、調節可能であることを特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記作業ホイールガイド(5)は、前記回転軸線(1)に関して、偏心的な重量分布を有しており、
前記回転ベース(2)が、この回転ベースに前記リニアガイド(7)を介して配置された前記作業ホイールガイド(5)と共に、前記回転軸線(1)を中心として回転する場合、前記押付け力を生じさせる遠心力(F
zf)が、前記作業ホイールガイド(5)に作用する、
ことを特徴とする
請求項2に記載の装置。
【請求項5】
少なくとも1つの前記ローリングホイール(8)は、前記切断ホイール(9)よりも大きな半径を有していることを特徴とする
請求項1から4のいずれか一つに記載の装置。
【請求項6】
少なくとも1つ
の前記ローリングホイール(8)は、加熱可能であることを特徴とする
請求項1から5のいずれか一つに記載の装置。
【請求項7】
前記作業ホイール装置(10)の少なくとも1つの要素、特に1つのローリングホイール(8)及び/または切断ホイール(9)、及び/または、1つの電極に、電圧が印加可能であることを特徴とする
請求項1から6のいずれか一つに記載の装置。
【請求項8】
前記作業ホイール装置(10)は、少なくとも2つのローリングホイール(8)を有しており、これらローリングホイールが、異なる縁部幾何学的形状を有していることを特徴とする請求項1から7のいずれか一つに記載の装置。
【請求項9】
前記作業ホイール装置(10)の少なくとも1つの要素は、揺動ホイール(24)として構成されていることを特徴とする請求項1から8のいずれか一つに記載の装置。
【請求項10】
ケーブル(4)の絶縁被覆を除去するための
方法であって、
絶縁被覆が除去されるべき前記ケーブル(4)の端部が、押付け力の付与のもとで、作業ホイール装置(10)と支持ローラー装置(20)との間に挟み込まれ、
作業ホイール装置(10)と支持ローラー装置(20)とから成るユニットが、回転状態で前記ケーブル(4)の周囲を回って転動して駆動
される上記方法において、
前記作業ホイール装置(10)の、少なくとも1つのローリングホイール(8)と少なくとも1つの切断ホイール(9)とが、前記ケーブル(4)の周囲における切断領域(15)に沿って転動し、
少なくとも1つの前記ローリングホイール(8)が、前記切断ホイール(9)よりも尖っていない縁部幾何学的形状を有していること、および、
少なくとも1つの前記ローリングホイール(8)の半径方向に外側の縁部が、前記切断ホイール(9)の半径方向に外側の縁部よりも、回転軸線(1)に近接して配置されること、
を特徴とする方法。
【請求項11】
前記支持ローラー装置(20)は、回転ベース(2)に配置されており、
前記作業ホイール装置(10)が、作業ホイールガイド(5)に配設されており、および、
前記回転ベース(2)と前記作業ホイールガイド(5)とが、少なくとも1つのリニアガイド(7)を介して互いに接続されており、且つ
、前記回転ベース(2)の前記回転軸線(1)に対して横向きに延びる案内方向(6)に沿って、相対して移動可能であることを特徴とする
請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記作業ホイールガイド(5)は、前記回転軸線(1)に関して、偏心的な重量分布を有しており、
前記回転ベース(2)が、この回転ベースに前記リニアガイド(7)を介して配置された前記作業ホイールガイド(5)と共に、前記回転軸線(1)を中心として回転する場合、前記押付け力を生じさせる遠心力(F
zf)が、前記作業ホイールガイド(5)に作用する、
ことを特徴とする
請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記作業ホイール装置(10)の少なくとも
1つの前記ローリングホイール(8)は、前記ケーブル(4)の周囲における切断領域(15)に沿って転動することを特徴とする
請求項10から12のいずれか一つに記載の方法。
【請求項14】
前記切断ホイール(9)よりも大きな半径を有している
、少なくとも1つの前記ローリングホイール(8)が使用されることを特徴とする
請求項10から13のいずれか一つに記載の方法。
【請求項15】
少なくとも1つの前記ローリングホイール(8)は、加熱されることを特徴とする
請求項10から14のいずれか一つに記載の方法。
【請求項16】
前記作業ホイール装置(10)の少なくとも1つの要素、
特に少なくとも1つの前記ローリングホイール(8)及び/または切断ホイール(9)、及び/または、1つの電極に、電圧が印加されることを特徴とする
請求項10から15のいずれか一つに記載の方法。
【請求項17】
前記回転ベース(2)は、3000U/minと5000U/minとの間、有利には3500U/minと4500U/minとの間の最大の速度でもって駆動されることを特徴とする
請求項11に記載の方法。
【請求項18】
前記作業ホイール装置(10)の、異なる縁部幾何学的形状を有する少なくとも2つのローリングホイール(8)は、前記ケーブル(4)の周囲における切断領域(15)に沿って転動することを特徴とする請求項10から17のいずれか一つに記載の方法。
【請求項19】
前記作業ホイール装置(10)の少なくとも1つの要素は、前記ケーブル(4)の周囲における切断領域(15)に沿って、揺動して転動することを特徴とする請求項10から18のいずれか一つに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーブルの絶縁被覆を除去するための装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
シールドされたケーブルは、基本的に、1つまたは複数の導体を有するシールドされた導線配列と、少なくとも1つのシールド層と、保護外被とから成っている。
シールド層と保護外被とは、同心的に、導線配列の周囲に配置されており、その際、このシールド層が、内側導体を、電気的または磁気的な場に対してシールドし、且つ、このシールド層の周囲に配置された保護外被が、特に外部影響に対する機械的な保護を提供する。
【0003】
シールドされたケーブルの接続のために、保護外被を、ケーブル端部からある程度の間隔をおいて、このケーブルの周りを切断すること、および、次いで、シールド層から引き離すことは必要である。その際、しかしながら、シールド層は、無傷に留まる必要がある。何故ならば、さもなければ、接続位置の領域内における正しいシールドが保証されないからである。
【0004】
シールド層は、一般的に、極めて薄い、且つ、敏感な材料、例えば、薄いアルミニウムフィルム、合成物質フィルム、繊細なワイヤーネット、または、複数のそのような被覆から成っている。保護外被は、それに反して、抵抗力のある材料、例えばPUR、PVC、シリコン等のような例えば抵抗力のある合成物質から成っている必要がある。
【0005】
シールドされたケーブルの絶縁被覆の除去は、従って、大抵の場合、手動で行われ、且つ、指先の繊細な感覚および経験を必要とする。例えば絶縁被覆除去用ペンチまたは回転カッターのような、同様に公知の機械的な補助手段も、極めて慎重な、且つ、熟練した操作を必要とする。何故ならば、同様にこれらによって、シールドが容易に破壊され得るからである。
【0006】
特に、例えばそのことが電気自動車の工業的な生産において必要であるような、多数のシールドされたケーブル接続部の組み付けは、従って、時間のかかる大胆な企てである可能性がある。
【0007】
特許文献1は、ケーブルの周囲を回転可能な刃物を有する、シールドされたケーブルの絶縁被覆を除去するための装置を開示しており、保護外被内への、切れ目の導入のためのこの刃物の送りが変化可能である。
電子式の検知装置は、刃物がシールドと接触状態に至る時を検出するが、但し、この検知装置が当接する時は通常はあまりにも遅すぎる。何故ならば、シールドまたは導体が、既に切り込まれている、もしくは、損傷させられているからである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】ヨーロッパ特許出願公開第2 693 581 A1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、装置および方法を提供することであり、これら装置および方法でもって、ケーブル、特にシールドされたケーブルの絶縁被覆の除去が、同様に練習を積んでいない使用者によっても、迅速に、容易に、および、確実に実施され得、または、しかも、高いプロセス信頼性を有する構成要素として、自動化されたケーブル大量生産において使用され得る。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この課題は、本発明に従い、冒頭に記載された様式の装置によって解決され、その際、
この装置が、少なくとも1つの支持ローラー装置と1つの作業ホイール装置とを有し、
絶縁被覆を除去されるべき前記ケーブルの端部が、押付け力の付与のもとで、前記作業ホイール装置と前記支持ローラー装置との間に挟み込み可能であり、
作業ホイール装置と支持ローラー装置とから成るユニットが、回転状態で前記ケーブルの周囲を回って転動して駆動可能である上記装置において、
前記作業ホイール装置が、少なくとも1つのローリングホイールと、少なくとも1つの切断ホイールとを有しており、これらローリングホイールと切断ホイールとが、前記ケーブルの周囲における切断領域に沿って転動し、
少なくとも1つの前記ローリングホイールが、前記切断ホイールよりも尖っていない縁部幾何学的形状を有していること、および、
少なくとも1つの前記ローリングホイールの半径方向に外側の縁部が、前記切断ホイールの半径方向に外側の縁部よりも、回転軸線に近接して配置されている。
【発明の効果】
【0011】
有利な方法において、支持ローラー装置が、回転ベースに配置されていることは可能であり、その際、作業ホイール装置が、作業ホイールガイドに配設されており、および、その際、回転ベースと作業ホイールガイドとが、少なくとも1つのリニアガイドを介して互いに接続されており、且つ、回転軸線に対して横向きに延びる案内方向に沿って、相対して移動可能である。
このことによって、押付け力は、容易な手段で発生され得、その際、場合によっては、ばねまたは相応する位置調節装置が、押付け力を生じさせ、且つ、調節することは可能である。
【0012】
有利な方法において、リニアガイドの長さ及び/または位置が、例えば制限要素及び/または位置調節ねじを用いて、調節可能であることはできる。このことによって、この装置は、簡単な方法で、異なるケーブル太さに対して適合可能である。
【0013】
有利な実施形態において、作業ホイールガイドが、回転軸線に関して、偏心的な重量分布を有していることは可能であり、その際、回転ベースが、この回転ベースにリニアガイドを介して配置された作業ホイールガイドと共に、回転軸線を中心として回転する場合、押付け力を生じさせる遠心力が、作業ホイールガイドに作用する。
その際、押付け力の発生のためのどんな種類の緊張ばねまたは位置調節装置も必要ではない。
【0014】
有利な方法において、作業ホイール装置が、少なくとも1つのローリングホイールを有していることは可能である。
ローリングホイールの使用は、外被において切断領域に沿って転動するローリングホイールが、この外被の材料を、この外被がこのローリングホイールの押圧力にもはや耐えられず且つこのローリングホイールが外被を切断するまで、その間ずっと脆化することの利点を有している。それに反して、より硬く且つより強固なシールド層内へと、このローリングホイールは食い込み可能ではなく、且つ、このシールド層が、その際、無傷のままである。
【0015】
更に有利な実施形態において、作業ホイール装置が、少なくとも2つのローリングホイールを有しており、これらローリングホイールが、場合によっては、異なる縁部幾何学的形状を有していることは可能である。
このことは、外被材料の脆化を加速する。異なる縁部幾何学的形状によって、外被材料は、「捏ねり運動」の様式において、それぞれに異なる方法で変形され得、このことは、同様に、脆化工程を加速する。
これら個々のローリングホイールが、相前後して、基本的に同じ線に沿って転動することは可能であり、または、これら個々のローリングホイールが、切断領域内において、側方に互いに位置ずれされた状態で配置されていることは可能である。場合によっては、これら個々のローリングホイールの外側の縁部が、同様に回転軸線に対して軽度に異なった隔たりを有していることも可能である。
【0016】
本発明の更に有利な実施形態において、作業ホイール装置の少なくとも1つの要素が、揺動ホイールとして構成されていることは可能である。
このことは、例えば、ホイール面への法線に対して軽度に傾斜して配置された軸線によって、または、このホイール面に対して波形にされた、例えばいわゆる「自転車の車輪が衝突などして法線方向に歪んでいる」形における、外側の縁部の経過によって行われ得る。このことによって、外被材料は、ローリングホイールのそれぞれの「周回」の際に、何度もあっちこっちで押圧され、このことは、材料疲労および材料脆化を加速する。
【0017】
有利な方法において、作業ホイール装置が、少なくとも1つのローリングホイールと、少なくとも1つの切断ホイールとを有していることは可能であり、これらローリングホイールと切断ホイールとが、ケーブルの周囲における切断領域に沿って転動し、その際、ローリングホイールが、切断ホイールよりも尖っていない縁部幾何学的形状を有している。より尖っていないローリングホイールが、このことによって、ケーブルの保護外被の材料を、ローリングによって人工的に疲労させ、且つ、脆化することは可能であり、その際、しかしながら、このローリングホイールが保護されるべきシールド層及び/または導線配列において転動する場合に、保護されるべきシールド層及び/または導線配列内への、切断ホイールの食い込みは防止される。
【0018】
更に有利な実施形態において、ローリングホイールの半径方向に外側の縁部が、切断ホイールの半径方向に外側の縁部よりも、回転軸線に近接して配置されていることは可能である。このことによって、シールド層及び/または導線配列の損傷は、確実に防止される。
【0019】
有利な方法において、ローリングホイールが、切断ホイールよりも大きな半径を有していることは可能である。
これに伴って、ローリングホイールと切断ホイールとの送りの差分は、簡単な方法で形成され得、その際、ローリングホイールと切断ホイールとの旋回軸線が、回転軸線から同じ隔たりにおいて配置されている。
【0020】
更なる有利な実施形態において、少なくとも1つのローリングホイールが、加熱可能であることはできる。
【0021】
有利な方法において、作業ホイール装置の少なくとも1つの要素、特に1つのローリングホイール及び/または切断ホイール、及び/または、1つの電極に、電圧が印加可能であることはできる。この電圧によって、火花が発生され得、これら火花は、保護外被及び/または境界被覆の材料を、合目的な方法で弱化し、且つ、クリーンな分離を可能にする。
特に、放電加工を用いて、幾つかのケーブルタイプにおいて、シールド層と保護外被との間に設けられている導電性の境界被覆は、合目的に、作業ホイール装置の回転の際に、放電加工を用いて、この境界被覆の「ほつれ」が、保護外被の引き離しの際に回避されるように弱化され、もしくは、パーフォレーションを付けられる。
火花は、その際、電圧が印加されているローリングホイールまたは切断ホイールまたは電極と、境界被覆及び/またはシールド層の金属被覆との間で生じる。電圧は、有利には、作業ホイール装置が、既にシールド層に十分に接近した時に初めて印加される。放電加工の使用の、1回転に適合された継続時間によって、シールド層の阻害、例えば場合によっては存在するシールドネットまたは導電性フィルムの損傷は回避され得る。
【0022】
ケーブルの絶縁被覆を除去するための冒頭に記載された方法であって、
その際、絶縁被覆が除去されるべき前記ケーブルの端部が、押付け力の付与のもとで、作業ホイール装置と支持ローラー装置との間に挟み込まれ、
作業ホイール装置と支持ローラー装置とから成るユニットが、回転状態で前記ケーブルの周囲を回って転動して駆動される上記方法において、
前記作業ホイール装置の、少なくとも1つのローリングホイールと少なくとも1つの切断ホイールとが、前記ケーブルの周囲における切断領域に沿って転動し、
その際、少なくとも1つの前記ローリングホイールが、前記切断ホイールよりも尖っていない縁部幾何学的形状を有していること、および、
少なくとも1つの前記ローリングホイールの半径方向に外側の縁部が、前記切断ホイールの半径方向に外側の縁部よりも、回転軸線に近接して配置される。
【0023】
有利な方法において、支持ローラー装置が、回転ベースに配置されていることは可能であり、
その際、作業ホイール装置が、作業ホイールガイドに配設されており、および、
その際、回転ベースと作業ホイールガイドとが、少なくとも1つのリニアガイドを介して互いに接続されており、且つ、回転軸線に対して横向きに延びる案内方向に沿って、相対して移動可能である。
【0024】
有利な実施形態において、作業ホイールガイドが、回転軸線に関して、偏心的な重量分布を有していることは可能であり、
その際、回転ベースが、この回転ベースにリニアガイドを介して配置された作業ホイールガイドと共に、回転軸線を中心として回転する場合、押付け力を生じさせる遠心力が、作業ホイールガイドに作用する。
【0025】
有利な方法において、作業ホイール装置の少なくとも1つのローリングホイールが、ケーブルの周囲における切断領域に沿って転動することは可能であり、このことによって、外被材料が脆化される。
【0026】
更に有利な実施形態において、作業ホイール装置の、場合によっては異なる縁部幾何学的形状を有することが可能である少なくとも2つのローリングホイールが、ケーブルの周囲における切断領域に沿って転動することは可能である。
【0027】
有利な方法において、作業ホイール装置の少なくとも1つの要素が、ケーブルの周囲における切断領域に沿って、揺動して転動することは可能である。
【0028】
有利な手段において、この方法は、作業ホイール装置によって実施され得、この作業ホイール装置が、少なくとも1つのローリングホイールと、少なくとも1つの切断ホイールとを有しており、これらローリングホイールと切断ホイールとが、ケーブルの周囲における切断領域に沿って転動し、および、
その際、ローリングホイールが、切断ホイールよりも尖っていない縁部幾何学的形状を有している。
【0029】
更に有利な実施形態において、ローリングホイールの半径方向に外側の縁部が、切断ホイールの半径方向に外側の縁部よりも、回転軸線に近接して配置されることは可能である。切断ホイールの代わりに、この場合に、同様に固定状態の刃が使用され得る。何故ならば、シールド層と接触する刃が排除され得るからである。
【0030】
特別な方法において、切断ホイールよりも大きな半径を有しているローリングホイールが使用されることは可能である。
【0031】
更に有利な実施形態において、ローリングホイールが、加熱されることは可能である。
【0032】
回転ベースが、本発明に従い、有利な方法において、3000U/minと5000U/minとの間、有利には3500U/minと4500U/minとの間の最大の速度でもって駆動されることは可能であり、従って、絶縁被覆を除去する工程が、極めて迅速に実施され得る。
【0033】
有利な方法において、保護外被の少なくとも一部分の材料を、放電加工によって弱化する、もしくは、パーフォレーションを付けるために、
作業ホイール装置の少なくとも1つの要素、特に1つのローリングホイール及び/または切断ホイール、及び/または、1つの電極に、電圧が印加されることは可能である。
電圧の印加は、有利な方法で、回転ベースの駆動の制御によって、作業ホイール装置の送りによって、及び/または、回転ベースの半径方向の位置もしくはこの回転ベースの回転によって、調整され得る。
【0034】
本発明を、以下で、例示的、概略的、および、非限定的に、本発明の有利な構成を示している、
図1から7までの参照のもとで、詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】ケーブルの絶縁被覆を除去するための本発明に従う装置の、例示的な実施形態の概略的な平面図である。
【
図2】
図1内における線II-IIに沿っての、
図1内において図示された装置の側面図である。
【
図3】概略的に横断面図において図示されたケーブルの図であり、このケーブルが絶縁被覆を除去するために、本発明に従う装置内において配置されており、および、このケーブルに係合する作業ホイール装置および支持ローラー装置の図である。
【
図4】更に別の実施形態に従う、概略的に横断面図において図示されたケーブル、および、このケーブルに係合する作業ホイール装置および支持ローラー装置の図である。
【
図5】更に別の実施形態に従う、概略的に横断面図において図示されたケーブル、および、このケーブルに係合する作業ホイール装置および支持ローラー装置の図である。
【
図6】更に別の実施形態に従う、概略的に横断面図において図示されたケーブル、および、このケーブルに係合する作業ホイール装置および支持ローラー装置の図である。
【
図7】ローリングホイールの選択的な実施形態の横断面図であり、このローリングホイールが、揺動ホイールとして構成されている。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図1および2内において例示的に図示された、ケーブル4の絶縁被覆を除去するための装置は、回転軸線1を中心として回転可能な、板状に形成された回転ベース2を有しており、この回転ベースの前面側に、支持ローラー3、3´の対体から成る支持ローラー装置20が配置されている。回転ベース2が、例えば軸19を介して、この回転ベース2を駆動するモータ(図示されていない)と接続されていることは可能である。
支持ローラー3、3´の旋回軸線は、回転軸線1に対して平行に配置されており、且つ、この回転軸線1に対してある間隔を有しており、この間隔が、絶縁被覆が除去されるべきケーブル4の直径に関して、支持ローラー3、3´の上に配置されたケーブル4が中央で、この回転軸線1に対して心合わせするように選択されている。
この装置を異なる太さのケーブルに対して調節可能とするために、場合によっては、支持ローラーの位置が調節されることは可能である。絶縁被覆を除去する間じゅう、支持ローラー3、3´の位置は、しかしながら、回転する回転ベース2に関して不変の状態に留まり、その際、支持ローラーが、ケーブル4の周囲を回って移動し、且つ、このケーブルの外側面の上を転動する。
【0037】
回転ベース2において、板状に形成された作業ホイールガイド5が配置されており、この作業ホイールガイドは、回転軸線1に対して横向きに延びるガイド方向6に(即ち、板平面に対して平行に)移動可能である。
作業ホイールガイド5が、例えば、1つまたは複数のリニアガイド7を介して、回転ベース2と接続されていることは可能であり、その際、
図1および2内において図示されているリニアガイド7が、スリットガイドとして構成されており、これらスリットガイドのスライド本体が、ガイドスリット内において移動可能に配置されている。しかしながら、適宜に形成されたリニアガイド7が使用されることは可能である。
場合によっては、リニアガイド7の長さが、例えば、位置調節可能な制限要素(例えば、位置調節ねじのような)を介して位置調節及び/または制限されることは可能である。使用可能なリニアガイド7および相応する制限要素は、当業者にとって十分に公知であり、且つ、従って、この明細書内でより詳細に説明される必要はない。リニアガイド7の構成において、十分な移動精度は配慮されるべきである。
【0038】
回転ベース2が、場合によっては、中央の切欠き部21を備えていることは可能であり、この切欠き部内へと、ケーブルの端部が突出可能であり、従って、回転する部材の空間必要量が最小限に減らされ得る。切欠き部21は、
図1内において、単に概略的にだけ示唆されており、この切欠き部が、同様に、しかしながら、明確により深く形成されていることも可能である。
【0039】
作業ホイールガイド5において、ローリングホイール8と切断ホイール9とから成る作業ホイール装置10が配置されている。ローリングホイール8と切断ホイール9とは、それぞれに1つの、回転軸線1に対して平行に配置された旋回軸線を有している。
回転軸線1(および、この内で規定されたケーブル4の位置)に関して、作業ホイール装置10は、案内方向6に、支持ローラー3、3´と向かい合って位置する側において配置されており、従って、支持ローラー3、3´に載置するケーブル4が、案内方向6における作業ホイール装置10の移動によって、支持ローラー3、3´と作業ホイール装置10との間で挟み込み可能である。
ここで、回転ベース2が回転軸線1を中心として回転する場合、支持ローラー3、3´、ローリングホイール8、および、切断ホイール9は、ケーブル4の周囲において、即ちこのケーブルの保護外被14において、切断領域15に沿って転動する。
【0040】
切断領域15が、如何なる切断線でもなく、むしろ、その領域内においてケーブルの保護外被14が切断されるべきである該領域を識別表示していることは、顧慮されるべきである。
更に続いて説明されるように、ローリングホイール8の作用は、同様にローリングホイール8と保護外被14との間の直接的な接触の領域を越えて側方へと延在し、従って、ローリングホイール8と切断ホイール9とが、同様に側方へと軽度に互いに位置ずれされた状態で配置されていることも可能である。ローリングホイール8の作用に関係付けられるこの領域は、本発明との関連において、切断領域15と称される。
【0041】
ケーブル4が、固定の(即ち回転する部材と共に回転しない)締付け装置22内において固定されていることは可能であり、この締付け装置は、
図2内において、単に概略的にだけ示唆されている。ケーブルをその締付け装置の円形の横断面形状において押圧するため、および、加工の間じゅう、その締付け装置内において固持するために、該締付け装置22は、作業ホイール装置に極めて近接して配置されていることは可能である。このことは、特に、より柔軟なケーブルの場合に有利である。
場合によっては、同様にケーブル4の自由な端部が相応する内側の締付け装置22´によって保持されることも可能であり(この内側の締付け装置は、
図2内において、同様に概略的に示唆されている)、その際、この内側の締付け装置22´が、例えば、玉軸受(図示されていない)を用いて回転ベース2に組み付けられていることは可能である。これに伴って、この内側の締付け装置は、可動部材の回転の間じゅう静止しており、且つ、ケーブルを調心する。
内側の締付け装置22´は、その場合に、例えば、同様に保護外被14の切断された部材を、加工の後にケーブル4から引き離すためにも使用され得る。
【0042】
回転軸線1に関して、案内方向6において作業ホイール装置10に向かい合って位置する、作業ホイールガイド5の端部において、おもり16が設けられており、このおもりは、偏心的な重量分布を与える。偏心的な重量分布は、同様に付加的なおもり16無しに、専らこの作業ホイールガイド5の形状だけによっても保証され得る。
【0043】
回転ベース2が、この回転ベースにリニアガイド7を介して配置された作業ホイールガイド5と共に、回転軸線1を中心として回転する場合、遠心力Fzfが、おもり16(もしくは、作業ホイールガイド5の偏心的な重心)に対して作用し、従って、作業ホイール装置10が、ケーブル4の外側の表面(もしくは、支持ローラー3、3´によって付与された対抗力)に対して押圧される。ケーブルに対する、作業ホイール装置10の押付け力は、これに伴って、構造的に、おもり16の構成を介して、および、方法に従い、回転速度を介して調節され得る。場合によっては、押付け力を変化させるために、おもり16が交換可能または変更可能に形成されていることは可能である。
作業ホイールガイド5が、場合によっては、例えばばねのような、緊張手段を介して、「開放された」位置に予緊張されていることは可能であり、その際、装置が十分に迅速に回転し、且つ、作業ホイールガイド5が遠心力によって、十分に強度に、ばね力に抗して押圧される場合に、次いで、作業ホイール装置10が、先ず第一に、ケーブル4の保護外被14との接触状態に至る。
選択的または付加的に、この目的のために、回転する部材の駆動は、おもり16が静止状態において上方に配置されており従って作業ホイール装置が自動的に自重によって下方へと(即ち、開放された位置に)押圧されるように、調節され得る。
【0044】
「前面側」とは、本発明の開示内容との関連において、その側において絶縁被覆が除去されるべきケーブル4が配置されるべき、装置の該側、即ち
図1内において図示された側である。この概念は、単に理解および方向の確認のためだけに利用され、且つ、限定的に解釈されるべきではない。
特に、回転ベース2および作業ホイールガイド5の配置を「逆にする」ことは、同様に可能であり、従って、作業ホイールガイド5が、この作業ホイールガイドの配置された要素と共に、回転ベース2の「後ろに」配置されており、その際、作業ホイール装置および支持ローラー装置と接触するために、ケーブルが、その場合に、回転ベース2内において設けられた、中央の開口部を通って差し込まれる。場合によっては、作業ホイール装置10が、同様に回転ベース2と作業ホイールガイド5との間に配置されていることは可能であり、または、この作業ホイール装置が、作業ホイールガイド5の内側空間内において保護された状態において配置されていることは可能である。
そのような選択的な実施形態のために必要である、構造的な変更の置換は、平均的な当業者の力量内において存在する。
【0045】
ケーブル4は、基本的に、1つの導体11または複数の導体11から成り、前記導体が、ケーブル4の芯部を形成する導線配列12内において配置されている。個々の導体11は、互いに対して、もしくは、外へ向かって電気的に絶縁されていることは可能であり、その際、例えば個々の導体束を相互に境界するために、それぞれのケーブルタイプに応じて、更に別の被覆が設けられていることは可能である。
導線配列12の周囲に、シールド層13、例えばアルミニウムまたは銅から成る例えば薄い金属フィルム、または、線条細工的なワイヤーネットが設けられている。場合によっては、シールド層13が、同様にそのような複数の層から成っていることも可能である。この様式のシールド層13は、専門領域内で、極めて種々の実施形態において十分に公知であり、且つ、従って、この明細書内においてより詳細には説明される必要はない。
シールド層13が、大抵の場合、比較的に高価な材料から成るので、製造者は、この層を可能な限り薄く構成することに努力する。従って、シールド層13は、大抵の場合、極めて傷み易い。最も外側の被覆として、従って、シールド層13の周囲に、保護外被14が配置されており、この保護外被が、導線配列12とシールド層13とから成るユニットを、外側の影響に対して保護する。
【0046】
シールド層13と保護外被14との間に、場合によっては、更に付加的な、極めて薄い境界被覆(図示されていない)が設けられていることは可能であり、この境界被覆が、例えば、極めて薄い金属被覆された合成物質ストリップから成っていることは可能であり、この合成物質ストリップが、シールド層13の周囲に巻回されている。
【0047】
ローリングホイール8と切断ホイール9とは、これらの回転軸線に対して平行な1つの平面内において、それぞれに異なる断面を有している。特に、切断ホイール9は、半径方向に周囲に延在する切断エッジ部17を有しており、それに対して、ローリングホイール8が、この切断ホイール9よりも尖っていない縁部幾何学的形状を有しており、この縁部幾何学的形状が、本発明の開示内容との関連において、「ローリング輪郭部18」と称される。
ローリングホイール8のローリング輪郭部18は、その際、切断されるべき保護外被14の材料パラメータに対して、および、調節されるもしくは調節可能な押付け力に対して、ローリングホイール8が切断して保護外被14の材料内へと食い込むのではなく、むしろ、この材料を単に押圧し且つ少し押し退けるように、構成されている。
【0048】
この事と相違して、本発明との関連において、これら前提条件のもとで保護外被14の材料内へと切断して食い込む輪郭が、「切断エッジ部」と見なされる。
【0049】
ローリングホイール8によって実施された、保護外被14の「ローリング」の継続負荷によって、切断領域15内における材料は、品質的に阻害され、且つ、「脆化」され、従って、この材料は、切断ホイール9によって容易に切断され得る。シールド層13は、しかしながら、保護外被14(一般に、合成物質)とは異なる材料(一般に、金属)から成っているので、シールド層13の上での、転動するローリング輪郭部18の押圧力は、このことが保護外被14の材料においてそのような状況であるよりも少ない変形だけを生じさせる。
ローリング輪郭部18が、これに伴ってシールド層13の領域に到達するやいなや、ローリングホイール8は、より少ない深さで押し込み、従って、同様に、それどころか作業ホイール装置10の一部としてローリングホイール8と共に平行に連行される切断ホイール9も、シールド層13と接触しない。シールド層13は、従って、切断ホイール9によって切れ目を入れられ得ない。
【0050】
この効果を改善するために、ローリング輪郭部18の外側の縁部は、切断エッジ部17の外側の縁部よりも回転軸線1に少しだけ近接して配置されている。相応する寸法は、同様に
図3内においても図示されている。
ローリング輪郭部18と回転軸線1との間の(より小さな)隔たりdに対する、切断エッジ部17と回転軸線1との間の(より大きな)隔たりDの差分は、その際、極めて小さく、且つ、例えば、切断されるべき保護外被14の被覆厚さの5%と50%との間、有利には、10%と20%との間の値であることは可能である。例えば、差分は、約50μmと200μmとの間、特に約100μmの値である。
【0051】
差分(D-d)は、異なる方法で構造的に製造され得る。極めて容易に製造され得る実施形態において、例えば、ローリングホイール8と切断ホイール9とが、それぞれに異なる外径を有していることは可能であり、その際、ローリングホイール8の外径Rが、切断ホイール9の外径rよりも大きい。このことによって、ローリングホイール8と切断ホイール9とを、回転軸線1に対するそれぞれに同じ隔たりにおいて配置することは可能であり、このことは、構造的に有利である。
【0052】
半径、隔たり、および、輪郭は、
図3内において概略的および一目瞭然的に図示されている。
ローラーもしくはホイールが、ケーブルの周囲を回って回転している間じゅう、同軸的に回転軸線1に配置されているケーブル4は、両方の支持ローラー3、3´と、遠心力に基づいてこれら支持ローラー3、3´に対して押圧するローリングホイール8および切断ホイール9から成る作業ホイール装置10との間で、定位置において保持される。
その際、ローリングホイール8は、保護外被14の材料をローリングし、および、押し退け、且つ、極めて迅速に、合目的な材料疲労を誘起し、従って、この材料が、この位置において、(後に続く)切断ホイール9によって切断され得る。ローリングホイール8は、次いで、この断面内へと食い込み、および、この材料を更にいっそう押し退け、且つ、脆化する。
【0053】
ローリングホイール8がシールド層13の材料に到達するやいなや、この材料内への更なる押し退けおよび食い込みは、シールド層13と導線配列12とのより高い強度に基づいて防止され、且つ、このローリングホイールが、このシールド層13の上で転動し、および、このシールド層13が切断ホイール9との接触状態に至ることを防止する。
この位置は、
図3内において、ローリングホイール8および切断ホイール9の破線で書かれた輪郭線によって図示されている。装置の駆動は、次いで停止され得、ケーブルが取り出され、且つ、保護外被14の分離された部分が引き出される。
【0054】
この簡単且つ安定的な構造によって、本発明に従う装置は、高い速度、例えば約4000U/mmでもって作動され得る。ケーブル4の絶縁被覆を除去する工程は、このことによって、極めて迅速に行われ得、その際、ただほんの数秒だけ、絶縁被覆を除去する工程のために必要である。
保護外被14の切断を、複合的な、且つ、故障し易い装置によって測定することは、同様に必要ではない。何故ならば、本発明に従う装置において、シールド層の切断が、元来、排除されているからである。
【0055】
多くのケーブルにおいて、保護外被14とシールド層13との間に、更に、柔軟な合成物質材料から成る、極めて薄い(数μmの厚さの)境界被覆が配置されており、これら境界被覆は、この保護外被14と共に切断され且つ除去されねばならない。
同様にこの薄い境界被覆も切断するために、ローリングホイール8が、加熱装置でもって加熱可能に構成されていることは可能である。境界被覆を溶融するために、ローリングホイールがこの被覆の領域内に到達するやいなや、ローリングホイール8は、その際に十分に加熱される。ローリングホイールの加熱は、同様に保護外被14の脆化を付加的に加速可能である。
場合によっては、境界被覆、及び/または、保護外被14の残留する部分が、付加的または選択的に、放電加工を用いての、作業ホイール装置の要素の内の1つの要素に対する電圧の印加によって、弱化され得、もしくは、パーフォレーションを付けられ得る。
【0056】
図3内において、ローリングホイール8と切断ホイール9は、図示可能性の理由から、相互に比較的に隔たりをもって離間されて図示されている。
ケーブル4を、確実に、作業ホイール装置10と支持ローラー3、3´との間に挟み込むために、しかしながら、ローリングホイール8と切断ホイール9とを、より近接して接し合って配置することは有利であり、その際、ホイールプロフィルがこの事を許容する限り、両方のホイールの周囲輪郭が、場合によっては、同様にオーバラップすることも可能である。
オーバラップを許容する、ローリングホイール8および切断ホイール9のホイールプロフィルは、例えば、
図2内において図示されている。この配置は、保護外被14の材料を直接的な接触においてだけでなく、この接触の傍らで、ある程度の範囲内においても変形および脆化する、ローリングホイール8の特性を利用する。
【0057】
本発明は、それら実施形態において作業ホイール装置10が1つのローリングホイール8と1つの切断ホイール9とから成る該実施形態に限定されるのではなく、多数の選択的な実施形態が存在し、これら実施形態から、1つの選択肢が、以下で
図4から7までとの関連のもとで、例示的に説明される。
【0058】
図4から6までは、それぞれに1つのケーブル4を示しており、このケーブルが、(それぞれに1つの支持ローラー3、3´の対体を有する)支持ローラー装置20と、作業ホイール装置10との間に、そのことが先に
図1から3までとの関連において説明されたのと類似の方法で、挟み込まれている。
【0059】
図4内において、作業ホイール装置は、唯一のローリングホイール8を有しており、このローリングホイールが、保護外被14に対して、押圧状態でこの保護外被において転動し、且つ、その際、外被材料を、この外被材料がローリングホイール8の食い込みに対して如何なる十分な抵抗ももはや対抗可能でないまで、その間ずっと疲労する。
このことによって、ローリングホイール8は、少なくとも絶縁被覆を除去する方法のために意図される時間内において、ローリングホイールが、このローリングホイール8によってもはや貫通され得ないシールド層13に到達するまで、依然として更に保護外被14の材料内へと食い込む。
場合によっては、ローリングホイール8は、脆化工程を加速するために、同様に加熱もされ得る。場合によっては、ローリングホイール8の転動速度は、同様に制動され得、または、駆動ユニットでもって変化され得、従って、ローリング輪郭部18と保護外被14の表面との間の相対的な速度に基づいて摩擦が形成され、この摩擦が、保護外被14の材料を、付加的に脆化し、且つ、その上、ローリングホイール8もしくは保護外被14の加熱を生じさせる。
類似の効果は、例えば、ローリングホイール8の旋回軸線が、ケーブル4の長手方向軸線に対して平行に配置されているのではなく、むしろ、このケーブルの長手方向軸線に対して、軽度に傾斜して配置されることによって達成され得る。このことによって、付加的な手段無しに、ローリングホイール8のローリング輪郭部18と保護外被14の表面との間の摩擦は達成され得る。
全てのこれら選択的な特徴は、そのことが技術的に可能である限り、同様に適宜な方法において、互いに、および、場合によっては先に及び/または以下で説明される特徴と、組み合わせされて使用され得る。
【0060】
図5は、作業ホイール装置10の更に別のバリエーションを示しており、この作業ホイール装置が、3つのローリングホイール8´、8´´および8´´´を有している。これらローリングホイール8´、8´´および8´´´は、異なるまたは同じ、直径及び/または縁部幾何学的形状を有しており、且つ、転動方向に(即ち、ケーブル4の保護外被14を囲んで延びる切断領域15に沿って)、相前後して配置されている。
作業ホイール装置10が、ローリングホイール8´、8´´および8´´´と共に、支持ローラー装置20の方向に、(そのことが、
図1から3までの説明との関連において説明されているように)移動される場合、これらローリングホイール8´、8´´および8´´´は、-ケーブル4の軸線への方向に関して-それぞれに異なる速度でもって、保護外被14内へと食い込む。
このことは、例えば、支持ローラー装置に対する作業ホイール装置10の増大する近接でもって、それぞれに異なるローリングホイール8´、8´´および8´´´が、最も遠く保護外被14内へと食い込まれていることのために利用され得る。半径方向(即ち、それぞれのローリングホイール8とケーブル4との間の接触点からこのケーブル4の中心点への方向)に関して、これら個々のローリングホイール8´、8´´および8´´´は、同様に異なる押付け力も有している。
【0061】
図5内において、例えば、1つの開始位置が図示されており、この開始位置において、外側のローリングホイール8´および8´´´は、保護外被14に当接しており、これに対して、中間のローリングホイール8´´が、保護外被14の縁部に、未だ接触していない。それに反して、絶縁被覆を除去する工程の最後に、シールド層13に当接するのは中間のローリングホイール8´´であり、他方、(
図5内において左側に図示されている)第1のローリングホイール8´が、最も遠くこのシールド層13から離れており、および、第3のローリングホイール8´´´が、同様に、シールド層13に、未だ到達していない。
これらローリングホイール8´、8´´および8´´´の異なる個々の特徴における、適切に選択された組み合わせによって、これに伴って、特に、公知の、および、常に同じケーブル4の使用のために、極めて効果的、迅速、および、確実な絶縁被覆の除去が保証され得る。
場合によっては、同様に、適宜な、より多くの数のホイールが設けられていることも可能であり、且つ、この明細書内において開示された、ホイールの特徴が、適宜、より有効な方法で、互いに組み合わせされることは可能である。場合によっては、その切断ホイールが先ず第一にシールド層との接触状態に到達しないことを前提として、
図5内において図示されたローリングホイール8´、8´´および8´´´の内の少なくとも1つのローリングホイールが、同様に該切断ホイールに置換されることも可能である。
【0062】
複数の(それらローリングホイールの実際の数に依存しない)ローリングホイール8´、8´´および8´´´は、場合によっては、走行方向において、互いに位置ずれされた状態で配置されていることは可能であり、このことによって、保護外被14の材料が、転動の際に、それぞれに軽度にあっちこっちで押圧される。
【0063】
図6は、作業ホイール装置の更に別の選択的な構成を示している。
図6は、作業ホイール装置内において、ただホイールだけが使用され得るのではなく、むしろ、この作業ホイール装置が、同様に他の、転動しない要素も備え得ることを示している。
特に、
図6内において、(
図4内において示されているのと類似して)1つのローリングホイール8が図示されており、このローリングホイールは、「偏心的に」配置された刃23と組み合わせされている。
同じ送り速度の際の、(ケーブル軸線に向かっての方向における)異なる食い込み速度の先に説明された効果によって、仮に刃23が、基本的に、同時にまたはそれどころかローリングホイール8より以前に、保護外被との接触状態に到達する場合であっても、この刃23は、決してシールド層13と接触状態に到達しない。それにも関わらず、ローリングホイール8との協働において、完全な分離を生じさせるために、刃23は、深く十分に保護外被14の材料内へと食い込む。
【0064】
図7は、作業ホイール装置10のホイールの選択的な特徴を示しており、このホイールが、揺動ホイール24として形成されている。揺動ホイール24の旋回軸線は、ホイール面に対して傾斜して起立しており、従って、揺動ホイール24と保護外被14の表面との間の接触点が、回転によって往復運動する。
図7の図示は、縮尺に従っていなく、且つ、純粋に具体的な説明(このことは、他の図に関しても言えることである)のために利用される。
図7内において、揺動ホイールの角度は、明確性のために、極めて大きく選択されている。実際的な置換において、外被材料を迅速且つ効果的に弱化する揺動運動を生じさせるために、既に遥かに小さな角度で十分である可能性がある。
【0065】
クリーンな切断エッジ部を得るために、作業ホイール装置の複数の要素の内の1つの要素(例えば、ローリングホイール8、切断ホイール9、刃23、及び/または、他の電極)を介して、電圧が印加され得、従って、既に弱化され且つほぼ切断された保護外被14、及び/または、保護外被14とシールド層13との間に配置された境界被覆が、放電加工を用いて、弱化され、及び/または、パーフォレーションを付けられる。
この電圧は、その際、有利には装置の制御に適合され、且つ、例えば、作業ホイール装置10が、十分に近くにシールド層13に近接した時に初めて、および、場合によっては作業ホイール装置10の回転との調和状態において行われる。
ローリングホイール8及び/または切断ホイール9は、その際、放電加工のための電極として作用する。場合によっては、この目的のために、同様に別個の電極が、作業ホイール装置に設けられていることも可能である。
なお、本願は、特許請求の範囲に記載の発明に関するものであるが、他の態様として以下も包含し得る。
1.
ケーブル(4)の絶縁被覆を除去するための装置において、
この装置が、少なくとも1つの支持ローラー装置(20)と1つの作業ホイール装置(10)とを有し、
絶縁被覆を除去されるべき前記ケーブル(4)の端部が、押付け力の付与のもとで、前記作業ホイール装置(10)と前記支持ローラー装置(20)との間に挟み込み可能であり、
作業ホイール装置(10)と支持ローラー装置(20)とから成るユニットが、回転状態で前記ケーブル(4)の周囲を回って転動して駆動可能である、
ことを特徴とする装置。
2. 前記支持ローラー装置(20)は、回転ベース(2)に配置されており、
前記作業ホイール装置(10)が、作業ホイールガイド(5)に配設されており、および、
前記回転ベース(2)と前記作業ホイールガイド(5)とが、少なくとも1つのリニアガイド(7)を介して互いに接続されており、且つ、回転軸線(1)に対して横向きに延びる案内方向(6)に沿って、相対して移動可能であることを特徴とする上記1に記載の装置。
3. 前記リニアガイド(7)の長さ及び/または位置は、調節可能であることを特徴とする上記2に記載の装置。
4. 前記作業ホイールガイド(5)は、前記回転軸線(1)に関して、偏心的な重量分布を有しており、
前記回転ベース(2)が、この回転ベースに前記リニアガイド(7)を介して配置された前記作業ホイールガイド(5)と共に、前記回転軸線(1)を中心として回転する場合、前記押付け力を生じさせる遠心力(F
zf
)が、前記作業ホイールガイド(5)に作用する、
ことを特徴とする上記2または3に記載の装置。
5. 前記作業ホイール装置(10)は、少なくとも1つのローリングホイール(8)を有していることを特徴とする上記1から4のいずれか一つに記載の装置。
6. 前記作業ホイール装置(10)は、少なくとも2つのローリングホイール(8)を有しており、これらローリングホイールが、場合によっては、異なる縁部幾何学的形状を有していることを特徴とする上記1から5のいずれか一つに記載の装置。
7. 前記作業ホイール装置(10)の少なくとも1つの要素は、揺動ホイール(24)として構成されていることを特徴とする上記1から6のいずれか一つに記載の装置。
8. 前記作業ホイール装置(10)は、少なくとも1つのローリングホイール(8)と、少なくとも1つの切断ホイール(9)とを有しており、これらローリングホイールと切断ホイールとが、前記ケーブル(4)の周囲における切断領域(15)に沿って転動し、
前記ローリングホイール(8)が、前記切断ホイール(9)よりも尖っていない縁部幾何学的形状を有している、
ことを特徴とする上記1から7のいずれか一つに記載の装置。
9. 前記ローリングホイール(8)の半径方向に外側の縁部は、前記切断ホイール(9)の半径方向に外側の縁部よりも、前記回転軸線(1)に近接して配置されていることを特徴とする上記8に記載の装置。
10. 前記ローリングホイール(8)は、前記切断ホイール(9)よりも大きな半径を有していることを特徴とする上記9に記載の装置。
11. 少なくとも1つのローリングホイール(8)は、加熱可能であることを特徴とする上記5から10のいずれか一つに記載の装置。
12. 前記作業ホイール装置(10)の少なくとも1つの要素、特に1つのローリングホイール(8)及び/または切断ホイール(9)、及び/または、1つの電極に、電圧が印加可能であることを特徴とする上記5から11のいずれか一つに記載の装置。
13. ケーブル(4)の絶縁被覆を除去するための方法において、
絶縁被覆が除去されるべき前記ケーブル(4)の端部が、押付け力の付与のもとで、作業ホイール装置(10)と支持ローラー装置(20)との間に挟み込まれ、
作業ホイール装置(10)と支持ローラー装置(20)とから成るユニットが、回転状態で前記ケーブル(4)の周囲を回って転動して駆動される、
ことを特徴とする方法。
14. 前記支持ローラー装置(20)は、回転ベース(2)に配置されており、
前記作業ホイール装置(10)が、作業ホイールガイド(5)に配設されており、および、
前記回転ベース(2)と前記作業ホイールガイド(5)とが、少なくとも1つのリニアガイド(7)を介して互いに接続されており、且つ、回転軸線(1)に対して横向きに延びる案内方向(6)に沿って、相対して移動可能であることを特徴とする上記13に記載の方法。
15. 前記作業ホイールガイド(5)は、前記回転軸線(1)に関して、偏心的な重量分布を有しており、
前記回転ベース(2)が、この回転ベースに前記リニアガイド(7)を介して配置された前記作業ホイールガイド(5)と共に、前記回転軸線(1)を中心として回転する場合、前記押付け力を生じさせる遠心力(F
zf
)が、前記作業ホイールガイド(5)に作用する、
ことを特徴とする上記14に記載の方法。
16. 前記作業ホイール装置(10)の少なくとも1つのローリングホイール(8)は、前記ケーブル(4)の周囲における切断領域(15)に沿って転動することを特徴とする上記13から15のいずれか一つに記載の方法。
17. 前記作業ホイール装置(10)の、場合によっては異なる縁部幾何学的形状を有する少なくとも2つのローリングホイール(8)は、前記ケーブル(4)の周囲における切断領域(15)に沿って転動することを特徴とする上記13から16のいずれか一つに記載の方法。
18 前記作業ホイール装置(10)の少なくとも1つの要素は、前記ケーブル(4)の周囲における切断領域(15)に沿って、揺動して転動することを特徴とする上記13から17のいずれか一つに記載の方法。
19. 前記作業ホイール装置(10)は、少なくとも1つのローリングホイール(8)と、少なくとも1つの切断ホイール(9)とを有しており、これらローリングホイールと切断ホイールとが、前記ケーブル(4)の周囲における切断領域(15)に沿って転動し、および、
前記ローリングホイール(8)が、前記切断ホイール(9)よりも尖っていない縁部幾何学的形状を有している、
ことを特徴とする上記13から18のいずれか一つに記載の方法。
20. 前記ローリングホイール(8)の半径方向に外側の縁部は、前記切断ホイール(9)の半径方向に外側の縁部よりも、前記回転軸線(1)に近接して配置されることを特徴とする上記19に記載の方法。
21. 前記切断ホイール(9)よりも大きな半径を有しているローリングホイール(8)が使用されることを特徴とする上記20に記載の方法。
22. 少なくとも1つのローリングホイール(8)は、加熱されることを特徴とする上記16から21のいずれか一つに記載の方法。
23. 前記作業ホイール装置(10)の少なくとも1つの要素、特に1つのローリングホイール(8)及び/または切断ホイール(9)、及び/または、1つの電極に、電圧が印加されることを特徴とする上記16から22のいずれか一つに記載の方法。
24. 前記回転ベース(2)は、3000U/minと5000U/minとの間、有利には3500U/minと4500U/minとの間の最大の速度でもって駆動されることを特徴とする上記13から23のいずれか一つに記載の方法。
【符号の説明】
【0066】
1 回転軸線
2 回転ベース
3 支持ローラー
3´ 支持ローラー
4 ケーブル
5 作業ホイールガイド
6 案内方向
7 リニアガイド
8 ローリングホイール
9 切断ホイール
10 作業ホイール装置
11 導体
12 導線配列
13 シールド層
14 保護外被
15 切断領域
16 おもり
17 切断エッジ部
18 ローリング輪郭部
19 軸
20 支持ローラー装置
21 切欠き部
22 締付け装置
23 刃
24 揺動ホイール