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特許7277518情報処理装置、プログラム、および情報処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-10
(45)【発行日】2023-05-19
(54)【発明の名称】情報処理装置、プログラム、および情報処理方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/0601 20230101AFI20230511BHJP
   G06Q 40/03 20230101ALI20230511BHJP
   G06Q 20/06 20120101ALI20230511BHJP
【FI】
G06Q30/0601 308
G06Q40/03
G06Q20/06
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021126601
(22)【出願日】2021-08-02
(65)【公開番号】P2023021621
(43)【公開日】2023-02-14
【審査請求日】2022-01-14
(73)【特許権者】
【識別番号】593022629
【氏名又は名称】株式会社ジェーシービー
(74)【代理人】
【識別番号】100126480
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 睦
(74)【代理人】
【識別番号】100140431
【弁理士】
【氏名又は名称】大石 幸雄
(72)【発明者】
【氏名】間下 公照
(72)【発明者】
【氏名】堀口 智也
(72)【発明者】
【氏名】梁 在石
(72)【発明者】
【氏名】河野 哲也
【審査官】山崎 雄司
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-026602(JP,A)
【文献】特開2019-160089(JP,A)
【文献】特開2018-045570(JP,A)
【文献】特開2020-166866(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
企業が使用する企業装置を含む外部装置と通信可能に接続された情報処理装置であって、
前記外部装置から提供される企業情報であって、前記企業に関する、取引履歴情報、財務情報、業績情報、銀行の口座情報またはインターネットの情報の少なくともいずれかを含む企業情報を取得する取得部と、
前記企業情報に基づいて、前記企業の信用度を算出する算出部と、
前記取得された企業情報を企業記憶部に蓄積し、前記算出された信用度を信用度記憶部に蓄積する蓄積部と、
前記蓄積された企業情報と前記蓄積された信用度とに基づいて、前記企業が利用可能な取引条件を特定する特定部と、
前記特定された取引条件を、条件記憶部に登録する登録部と、
前記企業装置から、前記企業の取引のための第1アカウントの発行の申込を受け付ける受付部と、
前記受付部が前記申込を受け付けた場合、前記条件記憶部を参照して、前記登録された取引条件に基づいて、前記第1アカウントを発行するための処理を行うアカウント制御部と、を備える、
情報処理装置。
【請求項2】
前記企業情報に基づいて、予め設定された将来の期間における、前記企業の取引の発生を予測する取引予測部をさらに備え、
前記算出部は、前記予測された取引の発生にさらに基づいて、前記企業の信用度を算出し、
前記特定部は、前記予測された取引の発生にさらに基づいて、前記取引条件を特定する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記算出された信用度に基づいて、前記企業に関する取引リスクを評価するリスク評価部をさらに備え、
前記特定部は、前記評価された取引リスクにさらに基づいて、前記取引条件を特定する、
請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記蓄積された信用度による前記企業の信用度の時系列推移に基づいて、前記企業に関する取引リスクの時系列推移を推定する推定部と、をさらに備え、
前記特定部は、前記推定した取引リスクの時系列推移にさらに基づいて、前記取引条件を特定する、
請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記企業情報に基づいて、前記企業の売上を予測する売上予測部をさらに備え、
前記特定部は、取引リスクと売上予測との組み合わせによる取引条件の複数の条件パターンを記憶するパターン記憶部を参照して、前記評価された取引リスクと前記予測された売上とに基づいて、複数の条件パターンの中から、前記取引条件として使用する条件パターンを特定し、
前記登録部は、前記特定された条件パターンを、前記取引条件として前記条件記憶部に登録する、
請求項3または4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記受付部は、前記企業装置から、前記発行された第1アカウントにおける取引のための資金移動の申込を受け付け、
前記アカウント制御部は、前記受付部が前記申込を受け付けた場合、前記条件記憶部を参照して、前記取引条件に基づいて、前記第1アカウントにおける前記資金移動のための処理を行い、
前記蓄積部は、前記資金移動のための処理が行われた場合、前記企業情報に含まれる前記取引履歴情報として、前記処理の結果を前記企業記憶部に蓄積する、
請求項1から5のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記登録部は、前記第1アカウントが発行された際、前記第1アカウントの情報をアカウント記憶部に登録し、
前記受付部は、前記企業装置から、前記企業の取引のための第2アカウントの発行の申込を受け付け、
前記アカウント制御部は、前記第2アカウントの申込を前記受付部が受け付けた場合、前記条件記憶部を参照する代わりに前記アカウント記憶部を参照して、前記第1アカウントの情報に基づいて、前記第2アカウントを発行するための処理を行う、
請求項1から6のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
企業が使用する企業装置を含む外部装置と通信可能に接続されたコンピュータに、
前記外部装置から提供される企業情報であって、前記企業に関する、取引履歴情報、財務情報、業績情報、銀行の口座情報またはインターネットの情報の少なくともいずれかを含む企業情報を取得する取得機能と、
前記企業情報に基づいて、前記企業の信用度を算出する算出機能と、
前記企業情報と前記算出された信用度とに基づいて、前記企業が利用可能な取引条件を特定する特定機能と、
前記特定された取引条件を、条件記憶部に登録する登録機能と、
前記企業装置から、前記企業の取引のための第1アカウントの発行の申込を受け付ける受付機能と、
前記受付機能が前記申込を受け付けた場合、前記条件記憶部を参照して、前記登録された取引条件に基づいて、前記第1アカウントを発行するための処理を行うアカウント制御機能と、を実現させる、
プログラム。
【請求項9】
企業が使用する企業装置を含む外部装置と通信可能に接続されたコンピュータが、
前記外部装置から提供される企業情報であって、前記企業に関する、取引履歴情報、財務情報、業績情報、銀行の口座情報またはインターネットの情報の少なくともいずれかを含む企業情報を取得し、
前記企業情報に基づいて、前記企業の信用度を算出し、
前記企業情報と前記算出された信用度とに基づいて、前記企業が利用可能な取引条件を特定し、
前記特定された取引条件を、条件記憶部に登録し、
前記企業装置から、前記企業の取引のための第1アカウントの発行の申込を受け付け、
前記申込が受け付けられた場合、前記登録された取引条件に基づいて、前記第1アカウントを発行するための処理を行う、
情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、プログラム、および情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
取引のためのアカウントを発行する技術が知られている。下記特許文献1には、決済のためのアカウントを発行し、発行したアカウントに対して、ユーザの信用度に基づいて後払い決済に利用できる最大金額を決定し、決定した最大金額以下の上限金額を決定することが記載されている。このような構成によれば、発行されたアカウントを利用する取引の条件(上限金額)をユーザの信用度に応じて決定することができ、取引に関するリスクを低減することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-126545号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年、取引を速やかに開始させるために、取引のためのアカウントの発行や発行したアカウントに対する条件の設定等、取引のためのアカウントに関するセットアップを効率的に行いたいという要望がある。しかしながら、上記従来技術では、取引を開始させるにあたって、アカウントを発行した後に、最大金額や上限金額等の取引の条件を決定する必要があり、このセットアップを効率的に行えないという問題がある。このため、取引に関するリスクを低減することと、取引を開始させるためのアカウントに関するセットアップとの両立に課題がある。
【0005】
そこで、本発明は、上記課題を解決するため、取引に関するリスクを低減しつつ、取引を開始させるためのアカウントに関するセットアップを効率的に行うことができる情報処理装置、プログラム、および情報処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る情報処理装置は、企業が使用する企業装置を含む外部装置と通信可能に接続された情報処理装置であって、外部装置から提供される企業情報であって、企業に関する、取引履歴情報、財務情報、業績情報、銀行の口座情報またはインターネットの情報の少なくともいずれかを含む企業情報を取得する取得部と、企業情報に基づいて、企業の信用度を算出する算出部と、企業情報と算出された信用度とに基づいて、企業が利用可能な取引条件を特定する特定部と、特定された取引条件を、条件記憶部に登録する登録部と、企業装置から、企業の取引のための第1アカウントの発行の申込を受け付ける受付部と、受付部が申込を受け付けた場合、条件記憶部を参照して、登録された取引条件に基づいて、第1アカウントを発行するための処理を行うアカウント制御部と、を備える。
【0007】
本発明の一態様に係るプログラムは、企業が使用する企業装置を含む外部装置と通信可能に接続されたコンピュータに、外部装置から提供される企業情報であって、企業に関する、取引履歴情報、財務情報、業績情報、銀行の口座情報またはインターネットの情報の少なくともいずれかを含む企業情報を取得する取得機能と、企業情報に基づいて、企業の信用度を算出する算出機能と、企業情報と算出された信用度とに基づいて、企業が利用可能な取引条件を特定する特定機能と、特定された取引条件を、条件記憶部に登録する登録機能と、企業装置から、企業の取引のための第1アカウントの発行の申込を受け付ける受付機能と、受付部が申込を受け付けた場合、条件記憶部を参照して、登録された取引条件に基づいて、第1アカウントを発行するための処理を行うアカウント制御機能と、を実現させる。
【0008】
本発明の一態様に係る情報処理方法は、企業が使用する企業装置を含む外部装置と通信可能に接続されたコンピュータが、外部装置から提供される企業情報であって、企業に関する、取引履歴情報、財務情報、業績情報、銀行の口座情報またはインターネットの情報の少なくともいずれかを含む企業情報を取得し、企業情報に基づいて、企業の信用度を算出し、企業情報と算出された信用度とに基づいて、企業が利用可能な取引条件を特定する特定し、特定された取引条件を、条件記憶部に登録し、企業装置から、企業の取引のための第1アカウントの発行の申込を受け付け、受付部が申込を受け付けた場合、登録された取引条件に基づいて、第1アカウントを発行するための処理を行う。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、取引に関するリスクを低減しつつ、取引を開始させるためのアカウントに関するセットアップを効率的に行うことができる情報処理装置、プログラム、および情報処理方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施形態に係る取引支援システムのシステム構成例を説明するための図である。
図2】本実施形態に係る取引支援システムの概要の一例を説明するための図である。
図3】本実施形態に係る取引支援システムの概要の一例を説明するための図である。
図4】本実施形態に係る取引支援システムの概要の一例を説明するための図である。
図5】本実施形態に係る取引支援システムの概要の一例を説明するための図である。
図6】本実施形態に係る取引支援システムの概要の一例を説明するための図である。
図7】本実施形態に係るサーバ装置の機能構成の一例を示す図である。
図8】本実施形態に係る条件パターンの一例を示す図である。
図9】本実施形態に係るサーバ装置の動作例を示す図である。
図10】本実施形態に係るサーバ装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態(以下、「本実施形態」ともいう)について説明する。なお、各図において、同一の符号を付したものは、同一又は同様の構成を有する。
【0012】
本実施形態に係る取引支援システム1は、B2B(企業間)取引を支援するためのシステムである。取引支援システム1は、例えば、取引を開始させるためのセットアップ処理として、取引のためのアカウント(以下、単に「アカウント」ともいう)の発行やアカウントに対する条件の設定、発行したアカウントの関係者との連携等のサービス(以下、「取引支援サービス」ともいう)を行う。このアカウントは、例えば、取引に使用する金融機関の口座、クレジットカード等の決済サービスを利用するための権利等を含む。
【0013】
本実施形態では、取引支援サービスのプロセスのうちアカウントを利用可能な状態にするプロセスを、「(取引を開始させるための)アカウントに関するセットアップ」ともいう。アカウントに関するセットアップは、例えば、アカウントの発行やアカウントに対する条件の設定等を含む。
【0014】
取引支援システム1を運営する事業者(以下、単に「運営事業者」ともいう)は、取引の決済で利用可能な決済サービスを提供する事業者であってもよい。また、運営事業者は、例えば、取引の決済を行う業者(例えば、PSP(Payment Service Provider))等であってもよい。また、運営事業者は、決済指示サービス提供者(PISP(Payment Initiation Service Provider))として銀行等の金融機関に対して決済や資金移動を指示するサービスを提供するものであってもよい。また、他の例として、運営事業者は、資金移動を行う金融機関そのものであってもよい。
【0015】
<1.システム構成>
図1を参照して、本実施形態に係る取引支援システム1のシステム構成例を説明する。
【0016】
図1に示すように、取引支援システム1は、運営事業者が使用するサーバ装置100と、第1企業が使用する第1企業装置200aと、第2企業が使用する第2企業装置200bとを含む。また、第1企業装置200aと第2企業装置200bとは、特に区別の必要が無い場合は、総称して「企業装置200」ともいう。また、第1企業と第2企業とは、特に区別の必要が無い場合は、総称して「企業」ともいう。この企業には、法人企業や個人企業の民間企業、または公企業が含まれる。また、取引支援システム1は、ネットワークNを介して外部システム500と連携(情報連携および/または機能連携を含む。以下同じ。)する。外部システム500に含まれる各種装置と企業装置200とを、総称して「外部装置」ともいう。
【0017】
ネットワークNは、無線ネットワークや有線ネットワークにより構成される。ネットワークの一例としては、携帯電話網や、PHS(Personal Handy-phone System)網、無線LAN(Local Area Network)、3G(3rd Generation)、LTE(Long Term Evolution)、4G(4th Generation)、5G(5th Generation)、WiMax(登録商標)、赤外線通信、Bluetooth(登録商標)、有線LAN、電話線、電灯線ネットワーク、IEEE1394等に準拠したネットワークがある。
【0018】
[サーバ装置]
サーバ装置100は、企業装置200や外部システム500との通信が可能な情報処理装置である。サーバ装置100は、所定のプログラムを実行することにより、外部装置から企業情報や環境情報を取得して、取得した企業情報等を記憶部140に記憶させて管理するDBサーバを実現してもよい。また、サーバ装置100は、蓄積させた情報から、各企業の信用度を算出し、各企業における取引の発生や取引に関するリスク(以下、「取引リスク」ともいう)を予測する。また、サーバ装置100は、取引支援サービスを提供するためのWebサイト(以下、「取引支援サイト」ともいう)を生成し、生成した取引支援サイトのWebページを外部装置に配信するようなWebサーバの機能を実現してもよい。
【0019】
「企業情報」とは、企業に関する情報である。企業情報は、例えば、企業に関する、取引履歴情報、財務情報、業績情報、銀行の口座情報またはインターネットの情報の少なくともいずれかを含む。
【0020】
取引履歴情報は、各企業が行った取引の履歴を示す情報である。取引履歴情報は、例えば、各取引を識別するための取引識別情報、各取引に用いる各アカウントのアカウント識別情報、各取引の関係者である企業を識別するための企業の識別情報、各取引を決済するための決済指示の履歴、または各取引の取引金額等を含む。
【0021】
財務情報は、例えば、各企業の財務諸表(例えば、賃借対照表やキャッシュフロー等)の情報である。
【0022】
業績情報は、例えば、四半期ごとや年度ごとの、売上高、営業利益、または経常利益等である。また、業績情報は、例えば企業が決済サービスの加盟店である場合、この加盟店での売上の履歴を示す売上履歴情報を含んでもよい。
【0023】
インターネトの情報は、例えば、SNSに掲載されている情報、各企業の企業サイトで公開されている情報、またはEDINET(金融商品取引法に基づく有価証券報告書等の開示書類に関する電子開示システム)で開示されている情報等である。
【0024】
「(銀行の)口座情報」とは、銀行の各口座を管理するための情報である。口座情報は、例えば、対象の銀行を識別するための銀行コード、各口座を識別するための口座番号、各口座に入金されている総額等の口座残高を示す口座残高、または口座を利用した資金移動のための入出金の履歴を示す入出金履歴等を含む。
【0025】
入出金履歴は、例えば、各入出金を識別するための入出金識別情報、入出金の相手方を示す相手方識別情報、入出金された日時を示す入出金日時、口座に入金された金額を示す入金額、または口座から出金された金額を示す出金額等を含む。
【0026】
「環境情報」とは、各企業の周辺環境に関する情報である。環境情報は、例えば、各企業の周辺の気象情報、各企業の周辺でのイベントの開催情報、または株価情報等を含む。
【0027】
[企業装置]
企業装置200は、各企業が使用し、サーバ装置100や外部システム500と通信可能な情報処理装置である。企業装置200は、所定のプログラムを実行することにより、各企業のアカウントの発行における申込の入力受け付けや、この申込の結果について取引支援サイト等の画面を介した出力を行う。企業装置200は、例えば、企業の担当者が使用し販売管理機能や会計管理機能を備えるERPシステム等の業務システムを制御するサーバ装置であってもよい。また他の例として、企業装置200は、企業の経営者や従業員が使用するスマートフォンやラップトップ等の端末装置であってもよい。企業装置200は、例えば、サーバ装置100と直接つながってやり取りするだけでなく、その間に仲介事業者が使用する仲介装置を介して間接的につながってやり取りしてもよい。この場合、企業は、仲介装置が提供するサービスを介して、この取引支援サービスを利用してもよい。
【0028】
[外部システム]
外部システム500は、ネットワークNを介して、サーバ装置100および/または企業装置200と通信可能に接続されている。外部システム500は、例えば、企業が利用する、クラウド会計システム、SCM(Supply Chain Management)システム、ERPシステム、クレジットカードシステム、銀行システム、またはECシステム等である。
【0029】
<2.概要>
図2~6を参照して、本実施形態に係る取引支援システム1の概要の一例を説明する。
【0030】
<2-1.全体像>
図2を参照して、取引支援システム1の全体像の一例を説明する。図2に示すように、取引支援システム1全体が実現する機能は、「A.情報取得機能」、「B.取引予測・リスク評価機能」、「C.DB機能」、「D.アカウント即時設定機能」、「E.アカウント発行・連携機能」、「F.既存流用機能」、「G.法人貸付機能」の7つのセクションに分類される。取引支援システム1では、それぞれのセクションが互いに連携して、取引支援サービスを提供する。また、それぞれのセクションは、企業装置200や外部システム500とも連携を行う。
【0031】
<2-2.基本機能>
図3を参照して、取引支援システム1の基本機能の一例を説明する。図3に示すように、基本機能には、「A.情報取得機能」と「B.取引予測・リスク評価機能」とが含まれている。また、基本機能は、「C.DB機能」と連携して、取得した情報や処理した結果を、DB機能の各記憶部に蓄積または登録させていく。取引支援システム1は、取引のためのアカウントの発行の申込を各企業から受け付けるより前に、企業ごとに、DB機能に蓄積または登録された情報に基づいて、取引の発生等を予測して取引条件を予め特定しておく。
【0032】
「取引条件」とは、例えば、取引金額の上限(以下、「金額上限」ともいう)、取引に適用される金利(例えば、貸出利率等)の範囲、取引の種類(例えば、サービスや商品の提供による売買取引、貸付、ファクタリング、電子マネー等の価値の移転等)等を含む。
【0033】
(1)<A1)情報取得>サーバ装置100の取得部111は、企業装置200や外部システム500の装置を含む外部装置から提供される企業情報を取得する。蓄積部113は、予め設定された期間(以下、「第1蓄積期間」ともいう)、取得された企業情報を企業記憶部141に蓄積する。
【0034】
(2)<B1)取引予測>サーバ装置100の取引予測部118は、企業記憶部141に蓄積された企業情報に基づいて、予め設定された将来の期間(以下、「予測期間」ともいう)における、各企業の取引の発生を予測する。予測期間とは、取引の発生を予測する対象の期間であり、例えば、現時点(予測時点)から、数日後、1週間後、四半期後、半年後、または1年後までの期間であってもよい。蓄積部113は、予測された取引の発生を、企業ごとに企業記憶部141に蓄積する。
【0035】
(3)<B2)リスク評価>サーバ装置100の算出部112は、企業記憶部141に蓄積された企業情報に基づいて、各企業の信用度を算出する。蓄積部113は、予め設定された期間(以下、「第2蓄積期間」ともいう)、算出された信用度を、企業ごとに信用度記憶部142に蓄積する。また、サーバ装置100のリスク評価部119は、企業記憶部141に蓄積された企業情報と信用度記憶部142に蓄積された各企業の信用度とに基づいて、企業に関する取引リスクを評価する。蓄積部113は、予め設定された期間(以下、「第3蓄積期間」ともいう)、評価された取引リスクを、企業ごとにリスク記憶部143に蓄積する。
【0036】
(4)<B3)最適取引条件>サーバ装置100の特定部114は、企業記憶部141に蓄積された企業情報と信用度記憶部142に蓄積された信用度とに基づいて、企業が利用可能な取引条件(以下、単に「利用可能取引条件」ともいう)を特定する。登録部115は、特定された取引条件を、条件記憶部144に登録する。
【0037】
上記構成によれば、取引支援システム1は、アカウントの発行の申込を受け付ける前に、このアカウントの発行等のアカウントに関するセットアップに必要な情報をDB機能に予め蓄積・登録することができる。
【0038】
<2-3.アカウント機能>
図4、5を参照して、取引支援システム1のアカウント機能の一例を説明する。図4、5に示すように、アカウント機能には、「D.アカウント即時設定機能」と「E.アカウント発行・連携機能」と「F.既存流用機能」とが含まれている。また、アカウント機能は、「C.DB機能」と連携して、DB機能の各記憶部に蓄積または登録されている各種情報や各処理の結果を参照して、アカウントに関するセットアップを行う。
【0039】
図4を参照して、「D.アカウント即時設定機能」と「E.アカウント発行・連携機能」の一例を説明する。
【0040】
(1)<D1)申込受付>図4に示すように、サーバ装置100の受付部116は、第1企業装置200aから、第1企業の取引のための第1アカウントの発行の申込(以下、単に「発行申込」ともいう)を受け付ける。この第1アカウント発行の申込は、例えば、希望する取引条件(以下、「希望取引条件」ともいう)を含んでもよい。
【0041】
(2)<D2)発行可否判定>サーバ装置100の判定部1171は、条件記憶部144を参照して、登録された取引条件に基づいて、第1アカウントを利用した第1企業の取引の可否を判定し、ひいては第1アカウントの発行可否を判定する。判定部1171は、例えば、(ア)取引条件の登録の可否、(イ)登録されている取引条件と希望取引条件とが合致するか否か、等を判定し、この判定の結果によって取引の可否を判定し、さらにアカウントの発行可否を判定してもよい。
【0042】
(3)<D3)アカウント設定>サーバ装置100のアカウント制御部117は、受付部116が発行申込を受け付けた場合、条件記憶部144を参照して、登録された取引条件に基づいて、第1アカウントを発行するための処理(以下、「アカウント発行処理」ともいう)を行う。アカウント発行処理について、例えば、(ア)第1アカウントを取引支援システム1自らが発行する、(イ)連携する外部システム500に第1アカウントの発行を指示する、等の方法が考えられる。また、アカウント制御部117は、第1アカウントのアカウント発行処理の結果を、アカウント情報として、アカウント記憶部145に登録する。アカウント発行処理の(4)~(6)では、例えば、発行するアカウントの種類に応じて、以下のE1)~E4)のような態様が考えられる。
【0043】
<E1)法人カード>法人用のプラスチックカードやバーチャルカードについて、運営事業者自らが法人カード発行者となりこれらのカードを発行する場合、アカウント制御部117は、これらのカードのアカウントを発行する。他方、他の事業者が法人カード発行者となりこれらのカードを発行する場合、アカウント制御部117は、この法人カード発行者の外部装置に対して、これらのカードのアカウントの発行指示を行う。また、法人用のプラスチックカードの場合、アカウント制御部117または法人カード発行者の外部装置は、カードのアカウント発行と併せて、この発行したカードの発送のための処理も行う。また、法人用のバーチャルカードの場合には、アカウント制御部117または法人カード発行者の外部装置は、第1企業装置200aに対して、この法人用のバーチャルカードのアカウントのアカウント情報(例えば、カード番号等)を通知する。なお、例えばモバイル決済として、取引支援システム1専用の、バーチャルカードを用いて端末装置で決済できるアプリ(以下、「決済アプリ」ともいう)を第1企業装置200aにダウンロードさせてもよい。第1企業は、通知されたアカウントの情報で決済アプリにログインをし、取引支援サービスを利用する。決済アプリでは、例えば、NFC、QRコード(登録商標)、InAPP等の様々な決済手段を可能としてもよい。
【0044】
<E2)加盟店端末>クレジットカード決済等の決済サービスについて、運営事業者自らが加盟店契約者となり加盟店端末のセットアップを行う場合、アカウント制御部117は、加盟店端末のセットアップに必要なアカウントを発行する。他方、他の事業者が加盟店契約者となり加盟店端末のセットアップを行う場合は、アカウント制御部117は、この加盟店契約者の外部装置に対して、加盟店端末の設置のためのアカウントの発行指示を行う。また、加盟店端末のセットアップにおいて専用の端末装置(ハードウェア)が必要な場合、アカウント制御部117または加盟店契約者の外部装置は、アカウント発行と併せて、加盟店端末の登録および発送のための処理を行う。他の例として、加盟店端末のセットアップにおいて専用の端末装置は不要とし汎用的な端末装置である第1企業装置200aに加盟店向けの決済アプリのインストールを行う場合、アカウント制御部117または加盟店契約者の外部装置は、第1企業装置200aに対して、決済アプリのプログラムや発行したアカウントの情報を含むこの加盟店端末のセットアップに必要な情報(例えば、加盟店番号等)を通知する。この加盟店向けの決済アプリでは、例えば、NFCを利用したTap on Mobile機能、またはQRコード決済機能等のいわゆるモバイル加盟店端末機能を備えてもよい。
【0045】
<E3)口座・アカウント>銀行等の金融機関の口座について、運営事業者自らが口座契約者の場合、アカウント制御部117は、アカウントの発行として、口座開設のための処理を行う。他方、他の事業者が口座契約者の場合、アカウント制御部117は、この口座契約者の外部装置に対して、口座開設のためのアカウント発行指示を行う。アカウント制御部117または口座契約者の外部装置は、第1企業装置200aに対して、この開設された口座のアカウント情報(例えば、口座番号等)を通知する。また、口座開設にあたってプラスチックカードが発行される場合、アカウント制御部117または口座契約者の外部装置は、アカウントの発行と併せて、プラスチックカードの発行および発送のための処理を行う。また、口座開設にあたってモバイル用のアカウント(以下、「モバイルアカウント」ともいう)が発行される場合には、アカウント制御部117または口座契約者の外部装置は、第1企業装置200aに対して、このモバイルアカウントのアカウント情報(例えば、口座番号等)を通知する。なお、上記「E1)法人カード」と同様に、例えば、モバイル決済として、取引支援システム1専用のモバイルアカウントで決済できる決済アプリを第1企業装置200aにダウンロードさせてもよい。第1企業は、通知されたアカウントの情報でこの決済アプリにログインし、取引支援サービスを利用する。決済アプリでは、例えば、NFC、QRコード(登録商標)、InAPP等の様々な決済手段を可能としてもよい。
【0046】
<E4)他サービス連携>アカウント制御部117は、発行されたアカウントの情報を、会計システムやERPシステム等の第1企業が利用している外部システム500に提供してもよい。
【0047】
「アカウント情報」は、各企業が保有するアカウントに関する情報である。アカウント情報は、例えば、各アカウントを識別するための識別情報(以下、「アカウント識別情報」ともいう)、および/またはアカウント識別情報に関連付けられた認証情報(例えば、パスワードやセキュリティコード等)を含む。アカウント識別情報は、例えば、取引支援システム1で採番された各アカウントを一意に識別するための番号、金融機関の口座番号やクレジットカードのカード番号等が考えられる。アカウント情報は、例えば、各アカウントに適用される取引条件そのもの、または取引条件との対応付けを含んでもよい。
【0048】
(7)<D4)結果通知>サーバ装置100の通知部121は、アカウント発行処理の処理結果を第1企業装置200aに通知する。
【0049】
上記構成によれば、取引支援システム1は、アカウントの発行の申込を受け付けた場合、申込前に予め登録された取引条件を参照して、アカウント発行処理を即時に行うことができる。このため、取引支援システム1は、アカウントの発行の申込があった際に、与信等の処理を行わなくても取引リスクを低減することができ、取引を開始させるためのアカウント発行やアカウントに対する条件の設定を即時に行うことができる。したがって、取引支援システム1は、取引リスクを低減しつつ、取引を開始させるためのアカウントに関するセットアップを効率的に行うことができる。
【0050】
図5を参照して、「F.既存流用機能」の一例を説明する。
【0051】
(1)<F1)申込受付>図5に示すように、サーバ装置100の受付部116は、第2企業装置200bから、仲介装置を介して第1企業の取引のための第2アカウントの発行申込を受け付ける。この第2アカウントは、第1アカウントとは異なるアカウントであり、例えば、既存の第1アカウントとは別に新たに取得するアカウントであってもよい。本例では、第2企業が第1アカウントを既に発行しており、この既に発行された第1アカウントを流用して第2アカウントを発行する例を説明する。
【0052】
(2)<F2)既存アカウント情報取得>サーバ装置100のアカウント制御部117は、第2アカウントの申込を受付部116が受け付けた場合、条件記憶部144を参照する代わりにアカウント記憶部145を参照してもよい。そして、アカウント制御部117は、条件記憶部144に登録されている取引条件ではなく、第1アカウントのアカウント情報に基づいて、第2アカウントを発行するための処理を行ってもよい。すなわち、アカウント制御部117は、取引の可否や希望取引条件と合致しているかを取引条件で判定することなく、第1アカウントでの信用を流用して、第2アカウントを発行することができる。第2アカウントは、例えば、第1アカウントのアカウント情報(取引条件等)をそのまま流用してもよい。具体的には、第2アカウントのアカウント情報として、第2アカウントのアカウント識別情報(取引支援システム1で採番した番号)と、第1アカウントのアカウント識別情報である金融機関の口座番号とを含んでもよい。すなわち、第1アカウントと第2アカウントとは、同じ金融機関の口座番号を利用できるようにしてもよい。アカウント制御部117は、図4で示したアカウント即時設定機能とアカウント発行・連携機能の例と同様に、アカウント発行処理の(3)~(5)を、発行するアカウントの種類に応じて、上記E1)~E4)のような態様で行ってもよい。
【0053】
(6)<F3)アカウント紐づけ>サーバ装置100のアカウント制御部117は、第2アカウントのアカウント発行処理の結果を、第2アカウントのアカウント情報として、第1アカウントのアカウント情報と対応付けてアカウント記憶部145に登録する。
【0054】
(7)<F4)結果通知>サーバ装置100の通知部121は、第2アカウントのアカウント発行処理の処理結果を、仲介装置を介して第2企業装置200bに通知する。
【0055】
上記構成によれば、取引支援システム1は、アカウントの発行の申込を受け付けた場合既存のアカウント情報を参照することで取引条件の設定を省くことができ、アカウント発行処理をさらに即時に行うことができる。このため、取引支援システム1は、取引を開始させるためのアカウントに関するセットアップとして、リスクを低減しつつアカウントに関するセットアップをさらに速やかに行うことができる。したがって、取引支援システム1は、取引に関するリスクを低減しつつ、取引を開始させるためのアカウントに関するセットアップをさらに効率的に行うことができる。
【0056】
<2-4.貸付機能>
図6を参照して、取引支援システム1の法人貸付機能の一例を説明する。また、法人貸付機能は、「C.DB機能」と連携して、DB機能のアカウント記憶部145等を参照して、発行されたアカウントを利用して企業(法人)に対する貸付を行う。この貸付は、例えば、企業に対する、単発の融資、ファクタリングサービスの提供、または極度枠設定による貸付等であってもよい。本例では、発行されたアカウントを金融機関の口座Aとして説明する。
【0057】
(1)<G1)貸付申込受付>図6に示すように、サーバ装置100の受付部116は、企業装置200から、口座Aに対する各種貸付の申込を受け付ける。この貸付の申込には、例えば、口座Aのアカウント識別情報(口座番号)、希望取引条件として、企業が希望する貸付条件等を含んでもよい。
【0058】
(2)<G2)取引可否判定>サーバ装置100の判定部1171は、アカウント記憶部145と条件記憶部144とを参照して、口座Aに適用されている取引条件に基づいて、口座Aを利用した取引として、貸付の可否を判定する。判定部1171は、例えば、口座Aに適用されている取引条件と希望貸付条件とが合致するか否か等を判定し、この判定の結果によって貸付の可否を判定してもよい。
【0059】
(3)<G3)貸付>サーバ装置100のアカウント制御部117は、自ら貸付を実施する場合、上記判定部1171による判定の結果に基づいて、企業に対する貸付のための処理を行う。アカウント制御部117は、例えば上記判定の結果が貸付可能の場合、取引条件の1つである貸付限度額(金額上限)に基づく貸付契約情報であって企業からこの貸付契約に対する同意を得るための貸付契約情報を生成する。アカウント制御部117は、この貸付契約情報を、貸付可能の通知と併せて、通知部121を介して企業装置200に送信する。この貸付契約情報に対する同意(契約申込)を示す同意情報を企業装置200から受付部116が受け付けると、アカウント制御部117は、この限度額の範囲内の金銭を口座Aに振り込む。このような構成によれば、口座Aを利用した貸付に適用される取引条件が予め設定されているため、貸付可否を即時に判定して、企業に対する貸付を行うことができる。
【0060】
(4)<G4)オークション>運営事業者は、例えば、上記のように自ら貸付を実施しない場合、オークション的に第三者の資金提供者を募集し、募集者からの入札によって貸付を貸付する者を決めてもよい。サーバ装置100のアカウント制御部117は、口座Aに対する貸付のための資金提供者の募集情報を外部装置に送信する。この募集情報には、口座Aに対応付けられている取引条件が含まれていてもよい。アカウント制御部117は、募集情報の送信に応じて、希望貸付条件を含む入札情報を、受付部116を介して外部装置から受け付ける。アカウント制御部117は、取引条件と希望貸付条件とが最も合致する入札情報を特定し、特定した入札情報を送信した外部装置の事業者を資金提供者として特定する。
【0061】
(5)<G5)付保>サーバ装置100のアカウント制御部117は、オプションとして、上記オークションで募集した資金提供者に対する保険や保障を付ける処理を行ってもよい。アカウント制御部117は、外部システム500の1つである保険システムに対して、資金提供者または運営事業者を契約者とし、また被保険者を資金提供者として、この貸付に対する保険の申込を行う。
【0062】
<3.サーバ装置の機能構成>
図7を参照して、本実施形態に係るサーバ装置100の機能構成を説明する。図7に示すように、サーバ装置100は、制御部110と、通信部130と、記憶部140と、を備える。
【0063】
制御部110は、取得部111と、算出部112と、特定部114と、登録部115と、受付部116と、アカウント制御部117と、を備える。また、制御部110は、例えば、蓄積部113、取引予測部118、リスク評価部119、売上予測部120、および/または通知部121を備えてもよい。
【0064】
[取得部]
取得部111は、企業装置200を含む外部装置から、企業情報等の各種情報を取得する。取得部111が各種情報を取得する態様に関してはどのような態様でもよい。取得部111は、例えば、取引情報の場合、取引支援サイトで表示する画面に企業の担当者から企業情報が入力された際、この入力された企業情報を示すメッセージを随時受信してもよい。また他の例として、取得部111は、外部装置から、企業情報のデータファイルをサイクリックまたはイベントドリブンで受信してもよい。また他の例として、取得部111は、外部装置が実装するAPIに企業情報の参照を指示して、その結果として企業情報を取得してもよい。
【0065】
[算出部]
算出部112は、取得部111により取得された企業情報に基づいて、企業の信用度を算出する。なお以降、「取得部111により取得された企業情報」には、例えば、企業記憶部141に蓄積された企業情報を含んでもよい。
【0066】
算出部112は、例えば、企業情報が示す取引や売上の履歴、インターネット上での評判等に対してそれぞれ閾値を設定して、この閾値を上回るか、閾値と同等か、または下回るかで数値(スコア)を割り当てる。なお、この閾値は、例えば、企業の規模や業種等に応じてそれぞれ設定されてもよい。算出部112は、例えば、直近1年間の企業の売上高が設定された閾値を超える場合は「+1」を、閾値と等しい場合は「0」を、閾値を下回る場合は「-1」を割り当てる。算出部112では、この割り当てた数値を信用度としてもよい。
【0067】
算出部112は、キャッシュフローによる信用度、売上高による信用度、インターネット上の評判による信用度等、複数の観点それぞれによる信用度を算出してもよい。算出部112は、例えば、企業ごとに、複数の信用度それぞれにおける上記のように割り当てた数値を集計する。そして算出部112は、この集計の結果を各企業の信用度としてもよい。なお算出部112は、例えば、この集計の結果から統計値を算出して、算出した統計値を信用度としてもよい。ここで「統計値」とは、例えば、平均値、中央値、または最頻値等であってもよい。
【0068】
算出部112は、例えば、取引予測部118により予測された取引の発生にさらに基づいて、企業の信用度を算出してもよい。
【0069】
[蓄積部]
蓄積部113は、予め設定された第2蓄積期間の間、取得部111により取得された企業情報を、企業記憶部141に蓄積する。また、蓄積部113は、例えば、予め設定された第2蓄積期間の間、算出部112により算出された信用度を、信用度記憶部142に蓄積してもよい。
【0070】
蓄積部113は、例えば、予め設定された第3蓄積期間の間、リスク評価部119により評価された取引リスクをリスク記憶部143に蓄積してもよい。
【0071】
蓄積部113は、例えば、アカウント制御部117により資金移動のための処理が行われた場合、企業情報に含まれる取引履歴情報として、この処理の結果を企業記憶部141に蓄積してもよい。このような構成によれば、蓄積部113は、発行されたアカウントにおいて取引が行われる度に取引履歴情報の最新化を自動で図ることができる。このため、
【0072】
[特定部]
特定部114は、取得部111により取得された企業情報と、算出部112により算出された信用度と、に基づいて、各企業が利用可能な取引条件(利用可能取引条件)を特定する。特定部114は、例えば、企業記憶部141に蓄積された企業情報と、信用度記憶部142に蓄積された信用度と、に基づいて、利用可能取引条件を特定してもよい。特定部114は、例えば、企業情報から企業の規模や企業の業種を特定し、さらにこの特定した規模や業種ごとに設定された信用度の基準値と、算出された信用度とを比較する。特定部114は、この比較の結果、例えば、算出された信用度がこの基準値より下回る場合は、取引条件として、同じ規模や業種の企業に対して、相対的に低い取引金額の上限を特定する。
【0073】
特定部114は、例えば、取引予測部118により予測された取引の発生にさらに基づいて、利用可能取引条件を特定してもよい。特定部114は、例えば、予測期間において予測された取引数が基準値より多い場合、すなわち取引が今後多く発生することが見込まれる場合、企業に対して許容されうる最低金利を、利用可能取引条件として特定してもよい。このような構成によれば、特定部114は、将来発生することが予測される取引をふまえて、各企業が利用可能な取引条件を特定することができる。このため、特定部114は、より精度よく取引条件を特定することができる。
【0074】
特定部114は、例えば、リスク評価部119により評価された取引リスクにさらに基づいて、利用可能取引条件を特定してもよい。特定部114は、例えば、取引リスクの評価方法が格付けによる評価で取引リスクが「AAA」と評価されている場合、評価された企業に対して許容されうる最大の金額上限を、利用可能取引条件として特定してもよい。このような構成によれば、特定部114は、評価された取引リスクをふまえて、各企業が利用可能な取引条件を特定することができる。このため、特定部114は、より精度よく取引条件を特定することができる。
【0075】
特定部114は、例えば、複数の条件パターンを記憶するパターン記憶部1441を参照して、リスク評価部により評価された取引リスクと売上予測部120により予測された売上とに基づいて、複数の条件パターンの中から、取引条件として使用する条件パターンを特定してもよい。この「条件パターン」とは、取引リスクと売上予測との組み合わせによる取引条件のパターンである。
【0076】
ここで図8を参照して、条件パターンの一例を説明する。図8に示すように、条件パターンは、例えば、取引リスクと売上予測(売上高の予測)との組み合わせごとに取引条件をパターン化したものであってもよい。特定部114は、例えば、条件パターンA~Cの中から、売上予測に設定された金額が売上予測部120により予測された売上高に最も合致する条件パターンを特定し、この特定した条件パターンを利用可能取引条件としてもよい。
【0077】
上記構成によれば、特定部114は、企業ごとに一から取引条件を特定しなくても、どの条件パターンに最も当てはまるかを判定すれば、取引条件を特定することができる。このため、特定部114は、効率的に取引条件を特定することができる。
【0078】
[登録部]
図7に戻って説明を続ける。登録部115は、特定部114により特定された取引条件を、条件記憶部144に登録する。また、登録部115は、例えば、第1アカウントが発行された際、第1アカウントの情報(アカウント情報)をアカウント記憶部145に登録してもよい。
【0079】
[受付部]
受付部116は、企業装置200から、企業の取引のための第1アカウントの発行の申込を受け付ける。アカウントの発行申込を含む各種申込を受付部116が受け付ける態様は、どのような態様でもよい。受付部116は、例えば、各種申込を示すデータファイルやメッセージを外部装置から受信してもよい。また他の例として、受付部116は、外部装置の表示部に表示させた取引支援サイトのWebページから各種申込を企業の担当者に入力させて受け付けてもよい。また、受付部116は、例えば、サーバ装置100が実装するAPIや取引支援システム1に対応するSDKのライブラリ等を外部装置が利用することで、各種申込を受け付けてもよい。
【0080】
受付部116は、例えば、企業装置200から、企業の取引のための第2アカウントの発行の申込を受け付けてもよい。
【0081】
受付部116は、例えば、企業装置200から、発行された第1アカウントにおける取引のための資金移動の申込を受け付けてもよい。この資金移動とは、例えば、アカウント(口座)間の送金や価値移転等である。
【0082】
[アカウント制御部]
アカウント制御部117は、受付部116がアカウントの発行の申込を受け付けた場合、条件記憶部144を参照して、登録された取引条件に基づいて、第1アカウントを発行するための処理を行う。
【0083】
上記構成によれば、アカウント制御部117は、アカウントの発行の申込があった場合、申込前に予め登録された取引条件を参照して、アカウントに対する条件の設定を含めたアカウント発行処理を即時に行うことができる。このため、アカウント制御部117は、アカウント発行の申込があった際に与信等の処理を行わなくても取引リスクを低減することができ、取引を開始させるためのアカウント発行やアカウントに対する条件の設定を即時に行うことができる。したがって、取引支援システム1は、取引リスクを低減しつつ、取引を開始させるためのアカウントに関するセットアップを効率的に行うことができる。
【0084】
アカウント制御部117は、例えば、受付部116が資金移動の申込を受け付けた場合、条件記憶部144を参照して、取引条件に基づいて、第1アカウントにおける資金移動のための処理を行ってもよい。例えば上記の図6の例のように貸付の場合、アカウント制御部117は、資金移動のための処理として、運営事業者が保有する金融機関の口座Bから企業の口座Aに対して口座振込のための処理を行う。アカウント制御部117は、具体的には、口座Bを開設している金融機関のシステム(外部システム500)に対して、取引条件に含まれる金額上限内で口座Bから口座Aへの口座振込の指示を送信してもよい。
【0085】
アカウント制御部117は、例えば、第2アカウントの申込を受付部116が受け付けた場合、条件記憶部144を参照する代わりにアカウント記憶部145を参照して、第1アカウントの情報に基づいて、第2アカウントを発行するための処理を行ってもよい。
【0086】
上記構成によれば、アカウント制御部117は、アカウントの発行の申込を受け付けた場合、既存の第1アカウントのアカウント情報を参照することで、取引条件の設定等を省いてアカウント発行処理をさらに即時に行うことができる。このため、取引支援システム1は、取引を開始させるためのアカウントに関するセットアップとして、第1アカウントへの信用によりリスクを低減しつつアカウントに関するセットアップをさらに速やかに行うことができる。
【0087】
アカウント制御部117は、例えば、判定部1171を備えてもよい。判定部1171は、例えば、第1アカウントを利用した第1企業の取引の可否を判定する。判定部1171は、例えば、第1企業の取引の可否を判定の結果に基づいて、第1アカウントの発行可否を判定してもよい。また、判定部1171は、例えば、取引の可否や発行可否を判定するにあたって、条件記憶部144に登録されている取引条件と希望取引条件とがどの程度合致するか(例えば、100%のうち〇〇%等)判定してもよい。判定部1171は、例えば、設定された閾値をこの合致の程度が超える場合に、取引を可能と判定してもよい。判定部1171は、例えば、企業に対応付けられている取引条件が複数ある場合には、複数の取引条件の中から、第1アカウント発行の申込に含まれている希望取引条件に最も合致する取引条件を判定し、この取引条件を採用してもよい。
【0088】
[取引予測部]
取引予測部118は、取得部111により取得された企業情報に基づいて、予め設定された将来の予測期間における、企業の取引の発生を予測する。取引予測部118は、例えば、企業情報が新しく取得される都度、すなわち、企業記憶部141に企業情報が蓄積される都度、企業の取引の発生を予測し直してもよい。取引予測部118は、例えば、取得部111により取得された環境情報にさらに基づいて、予測期間における企業の取引の発生を予測してもよい。
【0089】
取引予測部118は、例えば、設定された過去の期間における取引履歴情報を学習データとして入力することで、取引発生のパターンモデルを構築してもよい。このパターンモデルは、例えば、取引の規模ごとに、時系列にそって発生する取引数のパターンをモデル化したものであってもよい。取引予測部118は、この構築した取引発生のパターンモデルを用いて、予測期間における、企業の取引の発生を予測してもよい。取引予測部118は、例えば、この取引発生のパターンモデルを用いて、直近1年間の企業Aの取引数を入力データとし、今後1年間(予測期間)における企業Aの取引数を出力データとして、この出力データを今後1年間における取引の発生数として予測してもよい。取引予測部118は、この構築した取引発生のパターンモデルをパターン記憶部1441に記憶させる。
【0090】
取引予測部118は、他の例として、月別等の期間別に取引の発生頻度を算出して、この算出した発生頻度に基づいて、取引の発生を期間別に予測してもよい。取引予測部118は、例えば、直近の過去1年間のうち5月の取引発生数が5件であった場合、今後1年間における5月の取引発生数は5件と予測してもよい。また、取引予測部118は、過去10年間の期間別の取引発生の統計値を算出して、算出した統計値により取引の発生を期間別に予測してもよい。
【0091】
[リスク評価部]
リスク評価部119は、算出部112により算出された信用度に基づいて、企業に関する取引リスクを評価する。リスク評価部119は、例えば、信用度が新しく算出される都度、すなわち、信用度記憶部142に信用度が蓄積される都度、取引リスクを評価し直してもよい。リスク評価部119は、例えば、以下のような評価方法で、取引リスクを評価してもよい。
・スコアによる評価:信用度に応じた数値(例えば、100点満点で〇〇点等。また、信用度の合計を反転させてリスクの数値としてもよい。すなわち信用度の合計が低ければ低いほど取引リスクの数値を高くしてもよい。)
・定性評価:H(High「高」)、M(Middle「中」)、L(Low「低」)
・格付けによる評価(段階評価):AAA(高信用)、AA(次点)~C(ジャンクレベル)
【0092】
リスク評価部119は、格付けにより取引リスクを評価する場合、例えば、信用度記憶部142に蓄積された信用度を訓練データとして、信用度に対する格付けを正解データとして、最適な格付けに各企業を分類するための分類モデルを構築してもよい。リスク評価部119は、このように構築された分類モデルを用いて、算出された各企業の信用度を入力データとし、格付けを出力データとして、格付けそれぞれに各企業を分類する。
【0093】
リスク評価部119は、例えば、企業情報および/または環境情報にさらに基づいて、取引リスクを評価してもよい。リスク評価部119は、例えば、二つの企業において、算出された信用度が同じ数値であっても、企業情報に含まれる財務情報に示された資産に対する負債の比率について一方の企業がもう一方の企業より大きければ、負債の比率が大きい企業を相対的に取引リスクが高いと評価してもよい。リスク評価部119は、例えば、企業情報に含まれる財務情報が示す損失の情報(減損損失)に応じて取引リスクの評価を調整してもよい。
【0094】
リスク評価部119は、例えば、推定部1191を備えてもよい。推定部1191は、信用度記憶部142に蓄積された信用度による企業の信用度の時系列推移に基づいて、企業に関する取引リスクの時系列推移を推定する。
【0095】
推定部1191は、例えば、数日前、1週間前、四半期前、半年前、または1年前から、現時点に至るまでの過去の期間における信用度の時系列推移を推定してもよい。推定部1191は、さらに、過去の期間における信用度の時系列推移から、現時点から、数日後、1週間後、四半期後、半年後、または1年後までの将来の期間における信用度の時系列推移を推定してもよい。この将来の時系列推移の推定にあたって、推定部1191は、信用度の時系列推移を入力データとして信用度の時系列推移のパターンモデルを構築し、この構築した時系列推移のパターンモデルを利用してもよい。推定部1191は、例えば、この将来の期間における信用度の時系列推移に基づいて、将来の期間における取引リスクの時系列推移を推定してもよい。
【0096】
推定部1191は、例えば、企業の信用度の時系列推移を学習データとして入力することで、取引リスクの時系列推移を推定する学習モデルを構築してもよい。この学習モデルは、例えば、企業の規模や業種、取引の種類ごとに、時系列にそって推移するの取引リスクをモデル化したものであってもよい。推定部1191は、例えば、過去の特定の期間における信用度の時系列推移を訓練データとし、同一期間における取引リスクの時系列推移を正解データとして、学習モデルを構築する(学習させる)。推定部1191は、この構築した学習モデルを用いて、信用度の時系列推移を入力データとし、取引リスクの時系列推移を出力データとして、推定してもよい。
【0097】
上記構成によれば、推定部1191は、ある時点の評価された取引リスクだけでなく、その前後の時点の取引リスクによる取引リスクの推移をふまえて、各企業が利用可能な取引条件を特定することができる。例えば、評価方法が格付けの場合、最新の取引リスクが「B」であっても、その前の時点の評価が「AAA」であったかそれとも「B」であったかによってその企業に対する評価が分かれることがある。例えば、前者であれば取引リスクが大幅に下落していると評価でき、後者であれば取引リスクを維持していると評価できる。このため、特定部114は、前者においては、取引条件を後者と比較して厳しい条件(例えば、金額上限を引き下げる等)にしてもよい。このように、特定部114は、取引リスクの時系列推移をふまえて、より精度よく取引条件を特定することができる。
【0098】
[売上予測部]
売上予測部120は、取得部111により取得された企業情報に基づいて、企業の売上を予測する。売上予測部120は、例えば、現時点から、数日後、1週間後、四半期後、半年後、または1年後までの将来の期間における売上を予測する。
【0099】
売上予測部120は、例えば、月別等の期間別に売上高を算出して、この算出した売上高に基づいて、期間別に売上を予測してもよい。売上予測部120は、例えば、直近の過去1年間のうち5月の売上高が1千万円であった場合、今後1年間における5月の売上を1千万円と予測してもよい。また、売上予測部120は、過去10年間の期間別の売上高の統計値を算出して、算出した統計値により期間別に売上を予測してもよい。
【0100】
[通知部]
通知部121は、アカウント情報を含むアカウント発行処理の結果等の各種処理の結果を、企業装置200に通知する。
【0101】
[通信部]
通信部130は、ネットワークNを介して、外部装置と各種情報を送受信する。通信部130は、例えば、ネットワークNを介して、外部装置から送信された企業情報や企業装置200から送信された各種申込を受信したり、この申込の応答としてアカウント発行処理の結果を企業装置200に送信したりする。
【0102】
[記憶部]
記憶部140は、取引発生のパターンモデルや分類モデル等の各種モデルや各種情報を記憶してもよい。記憶部140は、データベースマネジメントシステム(DBMS)を利用して各情報を記憶してもよいし、ファイルシステムを利用して各情報を記憶してもよい。DBMSを利用する場合は、上記情報ごとにテーブを設けて、当該テーブル間を関連付けて各情報を管理してもよい。
【0103】
記憶部140は、条件記憶部144を備える。条件記憶部144は、特定部114により特定された取引条件を記憶する。条件記憶部144は、例えば、パターン記憶部1441を備えてもよい。パターン記憶部1441は、1以上の条件パターンを記憶する。
【0104】
記憶部140は、例えば、企業記憶部141、信用度記憶部142、リスク記憶部143、および/またはアカウント記憶部145を備えてもよい。企業記憶部141は、取得部111により取得された企業情報を記憶する。信用度記憶部142は、算出部112により算出された企業の信用度を記憶する。リスク記憶部143は、リスク評価部119により評価された取引リスクを記憶する。アカウント記憶部145は、発行されたアカウントのアカウント情報を記憶する。
【0105】
<4.動作例>
図9を参照して、本実施形態に係るサーバ装置100の動作例を説明する。図9(a)は、外部装置から企業情報を取得した際の一連の処理の流れの一例を示すフロー図である。図9(b)は、企業装置200からアカウントの発行の申込を受け付けた際の一連の処理の流れの一例を示すフロー図である。なお、以下に示す処理の順番は一例であって、適宜、変更されてもよい。
【0106】
図9(a)に示すように、サーバ装置100の取得部111は、外部装置から企業情報を取得する(S10)。蓄積部113は、この取得された企業情報を企業記憶部141に蓄積する(S11)。
【0107】
サーバ装置100の算出部112は、取得部111により取得された(蓄積部113により蓄積された)企業情報に基づいて、企業の信用度を算出する(S12)。蓄積部113は、この算出された信用度を信用度記憶部142に蓄積する(S13)。
【0108】
サーバ装置100の特定部114は、企業情報と企業の信用度とに基づいて、企業が利用可能取引条件を特定する(S14)。登録部115は、この特定された取引条件を条件記憶部144に登録する(S15)。
【0109】
図9(b)に示すように、サーバ装置100の受付部116は、企業装置200から、企業の取引のための第1アカウントの発行の申込を受け付ける(S20)。アカウント制御部117は、受付部116がこの申込を受け付けた場合、条件記憶部144を参照して、登録された取引条件に基づいて、第1アカウントを発行するための処理を行う(S21)。通知部121は、この処理の結果を、企業装置200に通知する(S22)。
【0110】
<5.ハードウェア構成>
図10を参照して、上述してきたサーバ装置100をコンピュータ800により実現する場合のハードウェア構成の一例を説明する。なお、それぞれの装置の機能は、複数台の装置に分けて実現することもできる。
【0111】
図10に示すように、コンピュータ800は、プロセッサ801と、メモリ803と、記憶装置805と、入力I/F部807と、データI/F部809と、通信I/F部811、および表示装置813を含む。
【0112】
プロセッサ801は、メモリ803に記憶されているプログラムを実行することによりコンピュータ800における様々な処理を制御する。例えば、サーバ装置100の制御部110が備える各機能部等は、メモリ803に一時記憶されたプログラムをプロセッサ801が実行することにより実現可能である。
【0113】
メモリ803は、例えばRAM(Random Access Memory)等の記憶媒体である。メモリ803は、プロセッサ801によって実行されるプログラムのプログラムコードや、プログラムの実行時に必要となるデータを一時的に記憶する。
【0114】
記憶装置805は、例えばハードディスクドライブ(HDD)やフラッシュメモリ等の不揮発性の記憶媒体である。記憶装置805は、オペレーティングシステムや、上記各構成を実現するための各種プログラムを記憶する。この他、記憶装置805は、企業情報を登録するテーブルと、当該テーブルを管理するDBを記憶することも可能である。このようなプログラムやデータは、必要に応じてメモリ803にロードされることにより、プロセッサ801から参照される。
【0115】
入力I/F部807は、ユーザからの入力を受け付けるためのデバイスである。入力I/F部807の具体例としては、キーボードやマウス、タッチパネル、各種センサ、ウェアラブル・デバイス等が挙げられる。入力I/F部807は、例えばUSB(Universal Serial Bus)等のインタフェースを介してコンピュータ800に接続されても良い。
【0116】
データI/F部809は、コンピュータ800の外部からデータを入力するためのデバイスである。データI/F部809の具体例としては、各種記憶媒体に記憶されているデータを読み取るためのドライブ装置等がある。データI/F部809は、コンピュータ800の外部に設けられることも考えられる。その場合、データI/F部809は、例えばUSB等のインタフェースを介してコンピュータ800へと接続される。
【0117】
通信I/F部811は、コンピュータ800の外部の装置と有線または無線により、インターネットNを介したデータ通信を行うためのデバイスである。通信I/F部811は、コンピュータ800の外部に設けられることも考えられる。その場合、通信I/F部811は、例えばUSB等のインタフェースを介してコンピュータ800に接続される。
【0118】
表示装置813は、各種情報を表示するためのデバイスである。表示装置813の具体例としては、例えば液晶ディスプレイや有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ、ウェアラブル・デバイスのディスプレイ等が挙げられる。表示装置813は、コンピュータ800の外部に設けられても良い。その場合、表示装置813は、例えばディスプレイケーブル等を介してコンピュータ800に接続される。また、入力I/F部807としてタッチパネルが採用される場合には、表示装置813は、入力I/F部807と一体化して構成することが可能である。
【0119】
[変形例]
なお、本発明を上記実施の形態に基づいて説明してきたが、以下のような場合も本発明に含まれる。
【0120】
[変形例1]
上記実施形態では、企業記憶部と、信用度記憶部と、リスク記憶部と、条件記憶部と、アカウント記憶部と、をサーバ装置100の記憶部140が備える例を説明したが、本発明に係るこれらの記憶部はこれに限定されない。これらの記憶部は、例えば、外部装置の記憶部が備えてもよい。例えば、外部装置の記憶部が企業記憶部を備えてもよく、サーバ装置100は遠隔でこの企業記憶部を管理(例えば、新規登録、参照、更新、削除等)してもよい。
【0121】
[変形例2]
上記実施形態では、第2アカウント発行の際に、第1アカウントの取引条件をそのまま流用する例を説明したが、本発明に係る第2アカウントに対応付けられた取引条件はこれに限定されない。アカウント制御部117は、例えば、第2アカウントのアカウント発行処理において、条件記憶部144を参照して、登録されている取引条件により第1アカウントの取引条件の少なくとも一部を更新(オーバーライド)し、この更新された取引条件を第2アカウントに適用してもよい。すなわち、アカウント制御部117は、第2アカウントのアカウント発行処理時点の最新の取引条件を、第2アカウントの取引条件に反映させることができる。このような構成によれば、第1アカウントで実績のある取引条件を流用しつつ最新化を図ることもできる。
【0122】
[変形例3]
上記実施形態では示していないが、判定部1171による取引可否やアカウントの発行可否の判定結果が「否」の場合には、アカウント制御部117は、申込元の企業に対する与信の判定を行ってもよい。この判定の結果が与信承認となった場合には、アカウント制御部117は、取引可否やアカウントの発行可否の判定結果を「可」として判定し直してもよい。また、判定部1171の判定結果により登録されている取引条件と希望取引条件とが合致せず、希望取引条件に見合う信用度が得られていない企業に対しても、アカウント制御部117は、同様に、申込元の企業に対する追加の与信の判定を行ってもよい。
【符号の説明】
【0123】
1…取引支援システム、100…サーバ装置、110…制御部、111…取得部、112…算出部、113…蓄積部、114…特定部、115…登録部、116…受付部、117…アカウント制御部、118…取引予測部、119…リスク評価部、120…売上予測部、121…通知部、130…通信部、140…記憶部、200…企業装置、200a…第1企業装置、200b…第2企業装置、500…外部システム、800…コンピュータ、801…プロセッサ、803…メモリ、805…記憶装置、807…入力I/F部、809…データI/F部、811…通信I/F部、813…表示装置。
図1
図2
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図9
図10