(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-10
(45)【発行日】2023-05-19
(54)【発明の名称】鼻弁インプラントおよびその移植方法
(51)【国際特許分類】
A61F 2/18 20060101AFI20230511BHJP
【FI】
A61F2/18
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021135810
(22)【出願日】2021-08-23
(62)【分割の表示】P 2018557363の分割
【原出願日】2017-04-28
【審査請求日】2021-09-09
(32)【優先日】2016-05-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2016-08-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2016-11-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-02-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516234199
【氏名又は名称】エンテラス メディカル インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】ENTELLUS MEDICAL,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100180231
【氏名又は名称】水島 亜希子
(74)【代理人】
【氏名又は名称】有原 幸一
(72)【発明者】
【氏名】フォースバーグ,アンドリュー ティー.
(72)【発明者】
【氏名】ドゥダ,アンソニー エイ.
【審査官】齊藤 公志郎
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2009/0318875(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0238363(US,A1)
【文献】特表2016-508427(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0154412(US,A1)
【文献】特表2007-537784(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
インプラントを対象者の鼻弁領域内に送達するための送達システムであって、
近位端及び遠位端を有するハンドルと、前記ハンドルの前記遠位端から延び、インプラントを含むように構成されたルーメンを備えた針と、前記針の前記ルーメン内に少なくとも部分的に配置され、前記針の前記ルーメン内において前記インプラントの近位端と接触するように構成されたプッシャ部材と、を備えた送達ツールと、
前記送達ツール内に配置またはこれに接続された光源と、
を備え、
前記光源が、前記ハンドルのハウジング内で光を発生させるか、または前記ハウジングを介して光を通過させるように構成され、
前記針が、前記光源から発せられた光を放出するように構成された、送達システム。
【請求項2】
前記針が、光学的に透明な材料または半透明な材料から作られている、
請求項1に記載の送達システム。
【請求項3】
前記針が、前記針から光を放射する複数の開口部を備えた、
請求項1または2に記載の送達システム。
【請求項4】
前記針が、前記針の遠位領域の長さ方向に沿ったストライプを介して光を放出するように構成さ
れた、
請求項1~3のいずれか1つに記載の送達システム。
【請求項5】
前記送達ツールが、前記プッシャ部材のルーメン内に光ファイバをさらに備え、
前記光ファイバが、前記光源に光学的に結合された、
請求項1~4のいずれか1つに記載の送達システム。
【請求項6】
前記インプラントをさらに備え、
前記インプラントが、光学的に透明な材料または半透明な材料から形成された、
請求項1~5のいずれか1つに記載の送達システム。
【請求項7】
前記光源が、前記送達ツールのハンドル内に配置された、
請求項1~6のいずれか1つに記載の送達システム。
【請求項8】
インプラントを対象者の鼻弁領域内に送達するための送達システムであって、
遠位端及び近位端を有するハンドルと、前記ハンドルの前記遠位端から延び、インプラントを含むように構成されたルーメンを有する針と、前記針の前記ルーメン内において前記インプラントの近位端と接触するように構成されたプッシャ部材と、を備えた送達ツールと、
前記ハンドルのハウジングの前記遠位端の光源と、
を備え、
前記光源が、目標領域を照らすために前記ハンドルの前記遠位端から遠位に光を放射するように構成された、送達システム。
【請求項9】
前記ハウジングの前記遠位端で前記光源に光学的に結合された1つまたは複数のレンズをさらに備えた、
請求項8に記載の送達システム。
【請求項10】
前記針が、前記ハンドルの長手方向軸に沿って前記ハンドルに対して移動可能である、
請求項1~9のいずれか1つに記載の送達システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野は、概して、鼻弁インプラントおよびこれを哺乳動物に移植する方法に関する。
【0002】
本出願は、2016年5月2日に出願された米国仮特許出願第62/330,439号、2016年8月23日に出願された米国仮特許出願第62/378,577号、2016年11月3日に出願された米国仮特許出願第62/417,210号、および2017年2月8日に出願された米国仮特許出願第62/456,427号に対する優先権を主張するものであり、それらは、引用によりその全体が本明細書に援用される。優先権は、米国特許法第119条およびその他の適用される法律に従って主張される。
【背景技術】
【0003】
哺乳動物の鼻弁領域は、呼吸中に殆どの流れ抵抗が生じる鼻通路の狭い部分である。それは、一般に、鼻中隔と鼻の軟骨の外側または可動側との間に位置する領域である。空気が鼻弁領域を通過する吸入の間、負圧が形成されて、弁領域が潰れ易くなり、それにより医学的に前庭部狭窄として知られている状態をもたらす。鼻弁領域の虚脱は、動的(例えば、運動中)である場合があり、あるいは固定的または永久的である場合もある。例えば、老化、外傷または先天的状態を含む、鼻弁虚脱のいくつかの原因がある。中隔弁領域を変更して、中隔と軟骨との間にスプレッダーグラフトを配置するために、外科的介入を実施することができる。代替的には、鼻弁領域を開いた状態で維持するのを助けるために、鼻の外側に人工副子(例えば、BREATHE RIGHT(登録商標)ストリップ)を配置することができる。さらに別の代替例では、ステント状の構造物を鼻の内側に配置して、鼻弁領域を補強し開いた状態に保持することができる。残念ながら、これらの侵襲性の低い解決策は、装着時に不快を伴い、社会的に受け入れることができる解決策としては、一般に認識されていない。
【0004】
鼻弁領域の虚脱に対処するためのより最近の選択肢は、対象者の外側軟骨に挿入されて鼻の上部領域の骨組織に係合または被せられる剛性インプラントの開発である。それらのタイプの装置の例は、例えば、米国特許出願公開第2011/0251634号、第2014/0243975号、第2016/0058556号および米国特許第7,780,730号において見ることができる。これらの剛性インプラントを配置するために使用される手術は、鋭利な器具(例えば、針)を眼および他の構造に向かう方向に押すことを含む。このため、医師にとって、インプラントおよび/またはツール先端の位置および軌道の非常に詳細な理解を有することが非常に重要である。既存のインプラントツールは、インプラントおよび/または送達システムの先端の位置を判定するために、外部の固定および測定ツールを使用する。しかしながら、それらのツールは、複雑で、使用するのが煩雑であり、インプラントおよびツール先端の位置に関する近似値または推定値しかユーザに与えることができない。このため、鼻弁領域にインプラントを安全に配置するに際して医師を助けるデバイスおよび方法が必要とされている。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、鼻弁インプラントシステムおよびデバイス、並びに、それを哺乳類に移植する方法に関する。本発明の一実施形態では、透過照明(transillumination)を使用して鼻弁インプラントが移植される。一実施形態によれば、透過照明機能を有する送達ツールは、鼻弁領域への送達および移植のために、鼻腔組織を通って所望の位置に進められる。透過照明は、送達ツール、インプラントまたはその両方を介して行うようにしてもよい。
【0006】
一実施形態では、対象者の鼻弁領域内にインプラントを送達する方法が、遠位先端部で終端する遠位領域を有する送達ツールを提供するステップを含み、遠位先端部および遠位領域の少なくとも一方がそこから光を放射する。送達ツールは、送達ツールから光が放出されている間に、経鼻組織を通って鼻弁領域内の所望の位置に前進され、その光(すなわち、透過照明)が、対象者の皮膚を通して観察可能である。その後、インプラントは、送達ツールを使用して鼻弁領域に送達される。
【0007】
別の実施形態では、対象者の鼻弁領域にインプラントを送達する送達システムが、遠位先端部で終端する遠位領域を有する送達ツールを含む。光源は、送達ツール内に配置されるか、または送達ツールに接続され、遠位先端部および遠位領域のうちの少なくとも一方がそこから光を放射する。インプラントは、送達ツールの遠位領域上またはその内部に配置され、鼻弁領域内の所望の位置に送達され得る。
【0008】
別の実施形態では、インプラントを対象者の鼻弁領域内に送達する方法が、ハンドルと、ハンドルの遠位端から延びる針とを有する送達ツールを提供するステップを含み、インプラントが、針内に収容されるとともに、プッシャ部材に近接または隣接して配置され、プッシャ部材が、針内に部分的に配置されるとともに、光ファイバを含む。送達ツールは、針から光が放出されている間に、鼻腔組織を介して鼻弁領域内の所望の位置に前進され、光が、対象者の皮膚を通して送達ツールのオペレータにより観察可能である。その後、インプラントは、送達ツールを使用して対象者の鼻弁領域に送達される。
【0009】
別の実施形態では、対象者の鼻弁領域にインプラントを送達する送達システムが、ハンドルと、ハンドルの遠位端から延びる針とを有する送達ツールを含む。インプラントは、針内に収容されるとともに、針内に少なくとも部分的に配置されたプッシャ部材に近接または隣接して配置され、針には、複数の開口部が形成されている。光源は、送達ツール内に配置され、プッシャ部材の端部で終端となる光ファイバに結合される。送達ツールは、ハンドルに配置されたスライド可能なボタンを含み、当該ボタンが、針を近位方向に引き込んで針からインプラントを放出するように構成されている。
【0010】
別の実施形態では、患者の鼻弁領域内にインプラントを送達する送達システムが、ハンドルと、ハンドルの遠位端から延びる針とを有する送達ツールを含み、インプラントが、針内に収容されるとともに、針内に部分的に配置されたプッシャ部材に近接または隣接して配置されている。針には、複数の開口部が形成されている。光源は、送達ツール内に配置され、プッシャ部材の一端で終端となる光ファイバに結合される。少なくとも1の付勢バネがハンドル内に配置され、バネが負荷状態にあるときに針に近位方向の力を加えるために針に動作可能に結合されている。ハンドルはさらに、ハンドル内に配置された放出機構を含み、作動時に、ハンドル内へと針を近位方向に引き込んでインプラントを放出するように構成されている。放出機構は、針と直接的にインターフェースするボタン作動ラッチ、爪または一時的ロックインターフェース(例えば、摩擦係合)、または針に連結された間接的なスライド部材を含み得る。ハンドル上に配置されたボタンは、一実施形態では、放出機構を作動させるために使用される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図面は、本明細書で論じられる様々な実施形態を例示として一般に示すものであって、限定として示すものではない。
【
図1】
図1Aは、一実施形態による送達システムの斜視図を示している。アーミングレバーは、針シャトルバネに張力がかからない非装備位置または出荷位置にある。
図1Bは、
図1Aの送達システムの平面図を示している。
【
図2】
図2Aは、アーミングレバーが装備位置にある
図1Aおよび
図1Bの送達システムの斜視図を示している。針シャトルは張力を受けており、アクチュエータを介して定位置にロックされている。
図2Bは、
図2Aの送達システムの平面図を示している。
【
図3】
図3Aは、送達ツールの作動後の
図1Aおよび
図1Bの送達システムの斜視図を示している。針シャトルおよび針は、インプラントを抜き放たないように近位方向に引っ込められている。
図3Bは、
図3Aの送達システムの平面図を示している。
【
図4】
図4Aは、一実施形態による取り外し可能な針およびハブの斜視図を示している。
図4Bは、取り外し可能な針およびハブの別の斜視図を示している。
図4Cは、針の縦軸に沿った取り外し可能な針およびハブの断面図を示している。インプラントが針の内側に見える。
図4Dは、取り外し可能な針およびハブの別の斜視図を示し、針の上面を示している。
図4Eは、取り外し可能な針およびハブの別の斜視図を示し、針の底面を示している。
【
図5】
図5は、一実施形態によるインプラントの斜視図を示している。
【
図6】
図6は、別の実施形態によるインプラントの斜視図を示している。
【
図7】
図7は、一実施形態による針シャトルの斜視図を示している。この実施形態では、針シャトルは、取り外し可能な針を取り付け/取り外しするために使用される針マウントに固定されている。
【
図8】
図8は、送達ツールの別の実施形態を概略的に示している。
【
図9】
図9Aは、ロッキングジョイントを介してプッシャ部材の遠位端に結合されるインプラントの一実施形態を示している。
図9Bは、一実施形態によるインプラントの断面の端面図を示している。
【
図10】
図10Aは、鼻インプラント送達ツールの別の実施形態の平面図を示している。
図10Bは、
図10Aの鼻インプラント送達ツールの側面図を示している。
図10Cは、プッシャ部材上に装填され、インプラント送達ツールのシャフトまたは針内に収容された鼻インプラントの部分断面図を示している。
【
図11】
図11Aは、送達システムの針内の定位置にインプラントを一時的に固定するために使用されるスナップ嵌めまたは締まり嵌め機構を示している。
図11Bは、送達システムの針内の定位置にバネ形状(例えば、S字形状または湾曲形状)のインプラントを一時的に固定するために使用されるスナップ嵌合または締まり嵌め機能の別の実施形態を示している。
図11Cは、一実施形態によるインプラントを保持するために使用される複数のタブを有する針の断面図を示している。
図11Dは、インプラントのバネ付勢されたタブまたはアームを受ける開口または開口部を有する針の断面図を示している。
図11Eは、インプラントを内部に一時的に保持するために針のタブと相互作用するインプラントを内部に有する針の断面図を示している。
【
図12】
図12は、鼻腔壁インプラント装填/再装填ツールの一実施形態を示している。
【
図13】
図13Aは、インプラント装填/再装填ツールの別の実施形態を示している。インプラント装填ツールには、内部に装填されるインプラントが予め装填されている。
図13Bは、作動レバーの側面図を示している。
図13Cは、コレット内に配置されたインプラントを示す拡大図を示している。送達システムは、インプラント装填/再装填ツールの凹部内に装填されている。
【
図14】
図14Aは、インプラント装填/再装填ツールの別の実施形態の斜視図を示している。送達ツールの針はツール内にまだ挿入されていない。
図14Bは、送達ツールの針がツール内に挿入されている
図14Aのインプラント装填/再装填ツールの斜視図を示している。
【
図15】
図15は、送達ツールと、インプラントを内部に含む複数の針とを含むキットの一実施例を示している。
【
図16】
図16Aは、対象者の鼻の底面図を示し、鼻腔壁と、送達ツールの針が挿入される可能性のある一つの位置とを示している。
図16Bは、対象者の鼻の側面図を示し、鼻の粘膜組織の内側の鼻弁領域内に展開されたインプラントを示している。
図16Cは、送達ツールの針の上側に沿って配置された開口部または穴を通って放射される光を示している。この光は、対象者の皮膚を通して観察可能である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、鼻弁インプラントおよびこれを哺乳動物に移植する方法に関する。
【0013】
図1A、
図1B、
図2A、
図2B、
図3A、
図3Bは、対象者の鼻弁領域内にインプラント10(
図5に最もよく示される)を送達するための送達システム2の例示的な一実施形態を示している。この実施形態では、送達システム2は、インプラントを対象者の鼻弁領域に送達するように、ユーザによって操作される送達ツール12を含む。送達ツール12は、近位端16および遠位端18を有するハウジング14を含む。ハウジング14の外側本体は、本明細書中で説明するように、送達ツール12のユーザによって保持または把持されるハンドル20を規定する。ハンドル20は、ユーザまたはオペレータの片手で保持するのに適応するように人間工学的に設計することができる。これは、ユーザが片手で送達ツール12を保持または操作するのを助ける隆起、窪み、曲面などの様々な表面特徴部を含むことができる。本明細書で説明するように、ハウジング14はさらに、適切な解剖学的位置への送達ツール12の配置をガイドするとともにインプラント10を鼻弁の標的組織に送達するために使用される送達ツール12の操作コンポーネントを含む。
【0014】
ハンドル20の遠位端18は、ハンドル20の遠位端18から遠位方向に延びる針22を含む。本明細書で説明するように、針22は、(
図4Bおよび
図4Cに見られる)中空ルーメン21を内部に含み、この中空ルーメンは、インプラント10を受け入れるようにサイズ設定されている。一実施形態では、針22は、ハンドル20の長軸に沿った方向にハンドル20に対して移動可能であり、(例えば、
図1Aおよび
図1Bに示すような)伸長状態と、(
図3Aおよび
図3Bに示すような)後退状態との間で移動可能である。伸長状態において、針22は、
図4Cに見られるように、中空ルーメン内にインプラント10を収容する。送達ツール12は、針22が伸長状態にありインプラント10を含む状態で、針22を鼻弁領域付近の対象者の鼻の粘膜組織内に挿入するように、ユーザによって操作される。以下により詳細に説明するように、送達ツール12上に配置されたアクチュエータ24は、(例えば、指または親指を使用して)オペレータにより起動されて、静止状態のインプラント10に対する針22の近位方向への移動に応答して、針22のルーメンからインプラント10を展開する。この点に関して、アクチュエータ24は、少なくとも部分的にハンドル20内への針22の近位方向の引き込みを開始し、それにより抜き放つ動きでインプラント10を針22のルーメンから展開する。
【0015】
好ましい実施形態では、針22の遠位先端部26を鋭利にして、組織貫通または組織切開を補助する。針22は、光に対して不透明(例えば、ステンレス鋼などで作られるもの)であってもよい。代替的には、針またはシャフトは、光学的に透明な材料または半透明な材料から作られるものであってもよい。針またはシャフトが光学的に透明または半透明でない場合、インプラント10が針22内に完全に装填されるときに、インプラント10よりも遠位側に延びる針22またはシャフトの部分は、安全目的のために比較的短く保たれるようにしてもよい。
【0016】
針22は、先端部26で終端となる、例えばハイポチューブのような剛性材料の中空シャフトを使用して形成することができ、その先端部が、いくつかの実施形態では、組織貫通を助けるために尖鋭化または斜めに形成されたものであってもよい。一実施形態では、針22は18XTゲージであるが、他のゲージを使用できることを理解されたい。
図4Dおよび
図16Cに示すように、一実施形態では、針22は、針本体に配置された穴または開口部28を有し、それにより、ハウジング14内の光源56から発せられて光学的に透明または半透明なインプラント10に入る光(他の実施形態ではハウジングを通過する光)による透過照明を使用して、移植処置中にインプラント10を可視化することができる。好ましい一実施形態では、複数の開口部28が(ハンドル20の上面に対応する)針22の上面に沿って配置されて、鼻の外側を介して視覚的フィードバックを提供し、インプラント10および/または針先端部26の位置およびインプラント10のベクトルを示す。また、光が、
図4Eに示すように、1つまたは複数の開口部28を介して針22の底面を通って放出されるようにして、それにより、インプラント10の近位端が鼻粘膜内側の下に完全に配置されているか否かをユーザが視覚的に見ることを可能にするようにしてもよい。
【0017】
開口部28は、互いに等間隔に配置するようにしてもよく、あるいは針22の長さ方向に沿って穴間の距離が異なるようにしてもよい。開口部28の寸法は、同じであってもよく、あるいは針22の長さ方向に沿って異なるようにしてもよい。例えば針22の一方の側から光が入射するため、その端部に最も近い開口部28は最も明るい光を放つ傾向がある。これを考慮して、開口部28の間隔および/またはサイズを調整して、針22の全長に沿ってほぼ均一な照明を提供するようにしてもよい。例えば、針22に沿って遠位方向に進むに連れて開口部28のサイズが大きくなるようにしてもよい。針22に沿って開口部28のサイズが大きくなると、針22の長さ方向に沿って一定であるとユーザに知覚される透過照明パターンが生成される。追加的または代替的には、針22は、針22の先端部に明るいゾーンを形成するために、遠位先端部近傍にスロット付き穴を任意選択的に含むことができる。
【0018】
図4Aを参照すると、一実施形態では、針22の側面が、針22の本体(例えば、針22の両側または両面)に形成されたそれぞれのタブ30によって形成または生成される部分開口部または開口を含み、それらが、展開まで、インプラント10と摩擦的に係合してインプラント10を針22内に保持するのに使用される。タブ30は、針22のルーメンに向けて内側に曲げることができ、それにより、インプラント10がオペレータによって意図的に展開されるまで、タブ30がインプラント10の外面に摩擦係合して、針22からのインプラント10の早過ぎる移動または脱落を防止することができる。いくつかの実施形態では、針22は、そのようなタブ30によって形成された1、2、3、4、5、6またはそれ以上の部分開口部または開口を含む。
【0019】
図4Aおよび
図4Cを参照すると、一実施形態では、針22の最遠位部分が複数の開口部28を含む針22の上面で終わるように、針22の先端部26が斜めに形成されている。この構成では、上面の複数の開口部28と斜めの先端部26が、鼻の外面に向かって上を向く。図示のように斜めの先端26を鼻の外側に向けることにより、組織内への挿入を容易にすることができ(例えば、針22は内側鼻孔表面を滑り難くなり)、また、頭蓋骨との接触の改善された触覚フィードバックを提供して、針22の先端部26と骨組織との望ましくない接触をユーザが防止するのを助けることも意図される。
【0020】
図5は、一実施形態によるインプラント10を示している。インプラント10は様々な長さを有することができるが、典型的には、その長さが約1.5cm~約2.5cmの範囲内にある。患者の解剖学的構造等に依存して、様々な長さのインプラント10が必要とされることもある。インプラント10の直径も変えることができ、使用される針22のサイズに応じたものとなる。インプラント10の最大外径は、インプラント10が装填中または展開中に針22に固着しないように、針22の内径よりも小さくする必要がある。インプラント10の典型的な直径には、0.040インチまたは1mmが含まれる。本発明のいくつかの実施形態では、インプラント10は、光がインプラント10から放出されるように、少なくとも部分的に光学的に半透明または光学的に透明であってもよい。これにより、インプラント10の向きおよび配置の直接フィードバックがユーザに提供される。この光は、インプラント10のすべての表面から放出されるようにしても、あるいはインプラント10の表面の一部から放出されるようにしてもよい。例えば、任意の一実施形態において、インプラント10の1または複数の外面は、下にある組織内のインプラント10の特定の向きに関するより良い情報を提供するために、光の指向的放射光を放つように設計するようにしてもよい。いくつかの実施形態では、光は、送達ツール12のみから放射される。例えば、光は、針22の遠位先端部26から放射されるようにしてもよい。代替的には、または針22の遠位先端部26に加えて、光は、針22の遠位領域の長さ方向に沿って、針22の一方の側に位置するストライプまたはノッチ(図示省略)または一列に配置された一連の開口部28に放出されるようにしてもよい。他の実施形態では、光は、送達ツール12およびインプラント10の両方から放出される。さらに別の実施形態では、光はインプラント10のみから放出される。
【0021】
インプラント10および/または送達ツール12の様々な表面は、異なる光効果を提供するようにパターン化するか、あるいはテクスチャを加えることができる。さらに、送達ツール12またはインプラント10は、より広い領域から放射される光によるウォッシュアウトを低減するために、光によって照明される目盛り線などを有するようにしてもよい。いくつかの実施形態では、光を伝えるためにインプラント10を使用することができる(例えば、導波路または光伝達部材)。いくつかの実施形態では、インプラント10の先端部の一方または両方が、光を指向的に導くために、斜めに形成され、角度を付けられ、またはファセット加工されるものであってもよい。さらに、インプラント10は、いくつかの実施形態では、方向付けのために外面に沿ってストライプを有することができる。
【0022】
インプラント10を光伝達部材として使用することは、いくつかの利点をもたらす。例えば、インプラント10の先端部(または先端部に近い領域)および/またはインプラント10に沿ったストライプ、または患者の皮膚を向く一連の開口部28が、光を放つ場合、医師は、インプラント10が患者の解剖学的構造のどこに位置しているのかを可視化することができる。光る先端部は、インプラント先端位置の正確な把握を与え、ストライプは、インプラントの軌道および向きの正確な把握を与えるものとなる。光は、対象者の皮膚または他の組織を通って、送達ツール12のオペレータ(例えば、医師)により可視化されるように、十分な強度を有する。この点に関して、経皮照明または皮膚を介した光の可視化は、送達ツール12および/またはインプラント10の位置および/または軌道を追跡および監視するために使用される。いくつかの実施形態では、放射光が観察されるように、周囲光を弱めるか、低減する必要がある場合もあるが、使用される光の輝度によっては、これが必要ではないこともある。
図1A、
図1B、
図2A、
図2B、
図3A、
図3Bは、光源56が送達ツール12内に配置されていることを示しているが、他の実施形態では、光源56を提供するために、外部光源(図示省略)を(ハンドル20に配置された光ポートなどを介して)送達ツール12に結合することができることを理解されたい。光源56により放射される光は、可視光、好ましくは対象者の皮膚をより良好に透過する赤色光である。
【0023】
一実施形態では、インプラント10は、光学的に透明または半透明の生体適合性ポリマー材料から作製される。インプラント10は、長期間(例えば、12ヶ月以上)で分解する再吸収性のポリマーから作製することができる。再吸収性の半透明ポリマーの例は、ポリ(1-乳酸)(PLLA)とポリ(ε-カプロラクトン)(PCL)の混合物(例えば、PLLA90-95%とPCL10-5%の混合物)である。インプラント10は、典型的には、鼻弁領域の虚脱に抵抗するかまたはそれを防止するように、構造が剛性または半剛性である。インプラント10は、当該インプラントが鼻弁領域内の定位置に確実に保持されるように、装飾されるか、または任意の様々な表面特徴部を有することができる。それには、リブ、フック、バーブおよび保持部材などが含まれる。任意選択的には、インプラント10は、1または複数の生物学的作用物質または薬剤(例えば、抗炎症剤、抗生剤または他の活性医薬剤)を担持することができる。
【0024】
一実施形態では、
図6に示すように、インプラント10は、組織内へのインプラント10の挿入を容易にするために、針22の傾斜先端部26のように斜めの遠位先端部32を含むことができる。しかしながら、他の実施形態では、インプラント10は、斜めの先端部26を一切含まず、例えば、
図5に示すように、長手方向および/または軸方向に対称であってもよい。インプラント10の別の任意の特徴部は、インプラント10の外面に沿って位置する窪み34を含む。窪み34は、例えば円形であり、放出後にインプラント10を定位置に保持するテクスチャを加える。さらに、窪み34は、針22に含まれる開口部28からの光をブロードキャストするのを助ける。他の実施形態では、窪み34は完全に省略することができる。代替的な別の実施形態では、
図5に示すように、インプラント10は、インプラント10の外面に沿って配置された複数の周方向リブ36を含む。リブ36は、有利には、針22のタブ30と接触して、送達前に針22内にインプラント10を固定するのを助ける。さらに、リブ36は、展開後に鼻弁領域の組織内にインプラント10を保持する働きをする。
【0025】
インプラント10の寸法は、適用位置および対象者の解剖学的構造に応じて変えることができる。一実施例では、インプラント10は、円筒形であり、約0.038インチ(約0.97mm)の直径および約0.79インチ(約20.07mm)の長さを有する。なお、インプラント10のために他の直径および長さを使用できることを理解されたい。一実施形態では、インプラント10は、針22の内部に予め装填される。本明細書で説明するように、一実施形態では、針22は、送達ツール12に対して取り外し可能であってもよい。これに関して、インプラント10が事前に装填された複数の異なる針22とともに単一の送達ツール12を含む(例えば
図15に見られる)キットなどが、ユーザに対して提供されるものであってもよい。例えば、キットの一部として含まれる異なる長さのインプラント10および針22が存在してもよい。別の実施形態では、インプラント10が、ユーザによって針22内に装填される。この針22の装填には、本明細書でより詳細に説明されるような特別な針装填デバイスが必要とされ得る。
【0026】
図1A、
図1B、
図2A、
図2B、
図3A、
図3Bおよび
図7を参照すると、針22の近位端が針シャトル40に連結されている。針シャトル40は、本明細書で説明するように、送達ツール12の作動時に針22を近位方向に引っ張るために使用される。ハンドル20内に配置された針シャトル40は、ハウジング14の内部に位置する長手方向の軌道に沿って進む。針シャトル40は、複数の近位側および遠位側のピンまたはボス要素42を含む。近位側に位置するピンまたはボス要素42は、以下でより詳細に説明するように、針シャトル40を一対のバネ66に固定する。遠位側に位置するピンまたはボス要素42は、針シャトル40に針マウント45(
図7に最もよく示される)を固定する。また、ピンまたはボス要素42は、シャトルアクチュエータ24を針シャトル40に取り外し可能に接続するためにも使用される。針マウント45は、針22に配置されたハブ23を介して、針22を取り外し可能に取り付けることを可能にする。ハブ23は、針マウント45に含まれる凹部46と係合するボスまたは歯25(
図4Bを参照)を含む。凹部46は、ハブ23を針マウント45内に押し込み、約1/4回転させてハブ23を針シャトル40に対して固定することを可能にする。針ハブ23を針マウント45から取り外すには、針22は反対方向に回転される。いくつかの実施形態では、ピンまたはボス要素42、針マウント45および/または針シャトル40は、個別の部品または要素ではなく、材料の一体部分から形成される。
【0027】
針シャトル40は、針22がハンドル20の長軸の方向に長手方向に移動することを可能にする。すなわち、針シャトル40および針22は、送達ツール12の特定の装填および装備操作の間に遠位方向に移動することができる。アクチュエータ24がユーザにより作動されてインプラント10を展開するときに、針シャトル40および針22は近位方向に移動することができる。一実施形態では、針22は、針シャトル40に永久的に取り付けられている。代替的な実施形態では、針22は、上述のようにハブ23を用いて針シャトル40から取り外し可能であってもよい。この最後の構成では、異なる針22(例えば、異なる長さの針22または異なるインプラント10を含む針)を針シャトル40に選択的に取り付けることができる。
【0028】
図1A、
図1B、
図2A、
図2B、
図3Aおよび
図3Cを参照すると、プッシャ部材またはアンカ48が、ハウジング14の内側に配置され、このプッシャ部材またはアンカが、ハウジング14に対して固定された近位ベース50と、ベース50から遠位側に長手方向に延びる管状要素52とを含む。針シャトル40は、開口部または通路41(
図7に見られる)を内部に含み、それを通って管状要素52が延びている。このため、針シャトル40は、プッシャ部材またはアンカ48の一部の上を進む。具体的には、管状要素52は、当該管状要素52が針22のルーメン内に少なくとも部分的に位置する状態で、針22と同軸上に配置されており、針22の近位方向への引き込みにより、固定された管状要素52の上で針22を近位方向に移動させるようになっている。すなわち、管状要素52の外径は、針22の内径よりも小さく、そのため、針22は、必要に応じて管状要素52に対して自由に移動することができる。管状要素52は、ベース50に固定されたハイポチューブのセグメントを含むことができる。プッシャ部材またはアンカ48は、インプラント10の展開中に使用され、針22を近位方向に引き込む際にインプラント10が近位方向に移動するのを防止する。このため、プッシャ部材またはアンカ48は、針22の近位方向への引っ張りによってインプラント10が抜き放たれてる際に、インプラント10の近位端に物理的に接触する近位側の当接部として機能する。
【0029】
一実施形態では、少なくとも1つの光ファイバ54が、プッシャ部材またはアンカ48のルーメンの内側に配置され、管状要素52の長さ方向に沿って延び、管状要素52の最遠位端を有する遠位端で終端(例えば、光ファイバ54の遠位端と管状要素52の遠位端の同一平面上の配置)となる。使用する光ファイバ54の直径は、デバイスおよびプッシャ部材またはアンカ48の寸法に応じて変えることができ、典型的には直径が約0.75mm(約0.03インチ)以下である。当然のことながら、光ファイバ54は、それより小さくても大きくてもよい。一実施例として、光ファイバ54は、直径が約0.5mm(約0.02インチ)または直径が約0.75mm(約0.03インチ)である。また、プッシャ部材またはアンカ48は、様々な寸法であってもよく、例えば、19.5ゲージのハイポチューブ(0.039インチの外径×0.027インチの内径;0.99mmの外径×0.69mmの内径)から作られるものであってもよい。プッシャ部材またはアンカ48は、19TWハイポチューブ(0.042インチの外径×0.032インチの内径;1.07mmの外径×0.81mmの内径)から作られるものであってもよく、0.75mm(0.03インチ)の光ファイバ54が、改善された経皮照明のために使用される。さらに別の代替的な実施形態では、光ファイバ54を完全に省いて、光源をプッシャ部材またはアンカ48内に組み込むことができる。
【0030】
少なくとも1つの光ファイバ54は、近位方向に延び、ベゼル57を介して、LEDスターボード58に取り付けられた赤色光源56(例えば、赤色発光ダイオード(LED))に光学的に結合され、LEDスターボードには、電子機器および光源56に電力を供給する1または複数のバッテリ62とともにハンドル20内に収容された駆動回路60によって、電力が供給される。光源56によって放射された赤色光は、少なくとも1本の光ファイバ54によって管状要素52の長さ方向に伝えられ、そこで光がインプラント10にエンド結合される。光は、インプラント10の本体を通って伝えられ、インプラント10の円筒面および/またはインプラントの遠位先端部を介して出射する。その後、伝達された光は、針22に含まれる開口部28を通過し、それにより送達ツール12のオペレータによるインプラント10の可視化を可能にする。いくつかの実施形態では、光源56は、レーザまたはレーザダイオードである。
【0031】
図1A、
図1B、
図2A、
図2B、
図3A、
図3Bを参照すると、針シャトル40が、近位側のピンまたはボス42により、1または複数のバネ66の端部に固定されている。そのような2つのバネが
図1B、
図2Bおよび
図3Bに例示されている。バネ66の両端部は、一対のピン69を介してレバー68に連結されたアーミングシャトル(arming shuttle)67に固定されている。アーミングシャトル67は、プッシャ部材またはアンカ48の管状要素52を収容する開口部を含む。装備操作の間、アーミングシャトル67は、管状要素52の上を同軸にスライドする。レバー68は、ピン69を介して2つのサイドアーム71でアーミングシャトル67に固定され、ピン69の周りをハンドル20に対して回転可能となっている。レバー68は近位方向に延び、送達ツール12の装備中にオペレータによって使用される一対のフィンガタブ70(他の構成も考えられる)で終端となる。アーミングレバー68は、アクチュエータ24の作動により針22が近位方向に引っ込められてインプラント10が展開するように、装備状態(armed state)にあるときに針シャトル40に張力を与えるために使用される。一実施形態では、アーミングレバー68を定位置にロックして、送達ツール12を装備状態にすることができ、それによりバネ66を緊張状態にすることができる。例えば、レバー68は、
図1Aおよび
図1Bに示すように、レバー68のクロスメンバを受け入れる、ハウジング20の近位端16に形成されたノッチ72内に載置されるようにしてもよい。これにより、レバー68が定位置にロックされて、バネ66の引張力に応答してレバーが遠位方向に移動することを防止する。代替的な実施形態では、レバー68の外面に配置された1または複数のロックタブ(図示省略)を、ハウジング14と係合させてアーミングレバー68を定位置にロックするために使用することができる。
【0032】
使用時に作動されて定位置にロックされるアーミングレバー68を利用することにより、経時的にデバイスの構造的要素を変形させる蓄積エネルギーが原因で材料のクリープおよびデバイスの故障のリスクがある滅菌および保管中に一対の針引張りバネ66を緊張状態に置くことが回避される。この実施形態に示す送達システム2は、針22を前方のロック位置に配置した状態(但し、一対の引っ張りバネ66に張力がかかっていない状態)で、針22内に予め装填されたインプラント10とともに出荷することができる。代替的には、インプラント10は、送達ツール12にまだ取り付けられていない針22に装填される。これは、エンドユーザに対して最大の使い易さを提供する。ユーザは、送達システムを含むパッケージまたはキットを開けて、送達ツール12を取り出し、インプラント10を含む針22を送達ツール12に固定し(まだ固定されていない場合)、アーミングレバー68を引っ張って送達ツール12を装備し、システムをすぐに使用できる状態にする。
【0033】
図1B、
図2Bおよび
図3Bに最もよく示されているように、レバー68のアーム71の1つは、内向きに延びるボスまたはタブ74を含み、このボスまたはタブは、ハウジング14内または光源駆動回路60を含む基板上に配置されたスイッチ76を作動させるように配置され、このスイッチは、アーミングレバー68がハンドル20に対して十分に近位側に引っ張られてノッチ72内に配置されたときに、赤色光源56を点灯させる。一実施形態では、駆動回路60は、光源56として使用される赤色LEDを駆動するが、いずれかの代替的な光源56が使用される場合、光源56は赤色レーザまたは赤色レーザダイオードも含むことができる。一実施形態では、光源56の赤色LEDは、インプラント10が展開された後にノッチ72からレバー68を取り外すことによって消灯される。別の実施形態では、光源56のLEDは、起動された後も点灯状態のままで、バッテリ62が切れるまで作動し続ける。いくつかの実施形態では、光源56は、製造中に戦略的に配置されたプルタブ(図示省略)の使用によって作動させることができる。プルタブの存在は、電流が光源56を作動させるのを防止する。ユーザは、プルタブを送達システムから取り外し、それにより光源56を点灯し、光源56は、バッテリが切れるまで連続的に光る。
【0034】
一実施形態では、スイッチ76は、ハウジング14の遠位端に配置された白色のLED光源78を作動させる光源駆動回路60にも結合されている。白色光源78は、針が挿入される鼻の内側の位置を医師が選択するのを支援する。ハンドル内に位置する白色光源78または「ヘッドライト」は、赤色光源56に電力を供給するために使用されるのと同じ制御ボード58によって駆動される従来の電球、LEDまたは複数のLEDによって提供されるものであってもよい。代替的には、ハンドル内に配置された別個の制御ボードまたは駆動回路を使用して、白色光源78を駆動することができる。白色光源78(例えば、LEDまたは電球)は、
図1A、
図1B、
図2A、
図2B、
図3A、
図3Bに示すように、ハンドル20の遠位端またはその近傍に取り付けることができる。白色光源78は、直接的に標的領域を照らすことができ、また、ハンドル20の遠位端に同様に位置するレンズアセンブリなどが、1または複数のレンズ(図示省略)を含むことができる。代替的には、白色光源78は(例えば、共通のマウントまたは回路基板上の赤色LEDとともに)ハンドル20内に配置されてもよく、また、白色光は、ライトパイプ、光ファイバ、またはファイバの束を使用してハンドルの遠位端から送出される。
【0035】
図1A、
図1B、
図2A、
図2B、
図3A、
図3Bを参照すると、アクチュエータ24がボタン80を含み、このボタンが、ハンドル20の表面に沿って露出されるとともに、バネ84を用いてハンドル20に対してバネ付勢されたアクチュエータ本体82に接続されている。アクチュエータ本体82は、その内部に位置するノッチ86(
図3Aに最もよく示される)を含み、このノッチが、針シャトル40が遠位方向に十分に前進したときに遠位側の一対のピンまたはボス42を受け入れるように寸法決めされている。ノッチ86は、送達ツール12がボタン80を使用して発射されるまで、遠位方向に進められた位置に固定された針シャトル40を保持する。(例えば、ハンドル20を保持する手の親指または指を使用して)ボタン80を押下すると、アクチュエータ本体82およびノッチ86が移動し、その後、針シャトル40が、アクチュエータ本体82から解放されて、張力がかけられたバネ66を介してハンドル20内へと近位方向に引き込まれる。ここではノッチ86が記載されているが、代わりに爪またはラッチなどを使用できることを理解されたい。
【0036】
図3Aおよび
図3Bは、針22が針シャトル40を介してハンドル20内に少なくとも部分的に近位方向に引き込まれている、発射後の状態の送達ツール12を示している。針22のルーメン内に収容されたインプラント10は、針22を近位方向に引っ込めることにより引き抜かれて、対象者の鼻弁領域内で展開される。プッシャ部材48(すなわち、プッシャ部材48の管状要素52)は、インプラント10が針22とともに近位方向に引っ込むのを防止する。
【0037】
図1A、
図1B、
図2A、
図2B、
図3Aおよび
図3Bの実施形態では、プッシャ部材またはアンカとインプラントとの間に機械的なインターロックはなく、それにより、送達システムの除去中にインプラントが外れる可能性を大きく低減することができる。針22を引っ込めることは(針22の遠位端からインプラント10を押し出すのではなく)、送達中のインプラント10の脱落または誤配置を防止するのにも役立つ。一対のバネ66を使用する代わりに、他のエネルギー蓄積機構によって針22を作動させることができる。例えば、必要な張力を加えるのに単一のバネで十分である場合もある。針22を近位方向に移動させるために、圧縮空気を含むエアシリンダを使用することもできる。別の実施例では、電気的に操作されるアクチュエータが、針22を近位方向に動かすことができる。また、
図1A、
図1B、
図2A、
図2B、
図3Aおよび
図3Bは、針22の近位方向への引っ張りおよびプッシャ部材またはアンカ48の使用によるインプラント10の引き抜きによってインプラント10が展開される実施形態を示しているが、代替的な実施形態では、異なる送達機構が使用される。例えば、
図8を参照すると、送達ツール12の別の実施形態は、(例えば、矢印Aの方向に)移動可能または押圧可能でありかつ針22に連結されたスライドまたはノブ90などのアクチュエータを使用する。スライドまたはノブ90は、インプラント10を針22から放出するためにスライドさせて戻すことができる。プッシャ部材92が静止したままでインプラント10をハンドル20に対して静止状態に保持する間に、スライドまたはノブ90をハンドル20に対して近位方向に導くことができ、それにより針22をハンドル20内に引き込むことができる。あるいは、インプラント10は、解放可能なロックジョイントなどからロックを解除することができる。
【0038】
図9Aは、ロックジョイント94を介してプッシャ部材92の遠位端に連結されたインプラント10の一実施形態を示している。ロックジョイント94は、ロック解除されて、展開のためにインプラント10を放出することができる。ロックジョイント94は、留め具、締まり嵌めなどのような機械的接続を含むことができる。本明細書で説明されるように、光は、プッシャ部材92を通ってインプラント10内に伝達され得る。インプラント10は、任意選択的には、
図9Bに示すように、光の指向的放射のために、片側に平坦面を有することができる。インプラント10は、インプラント10の残りの部分で発光およびテクスチャのために使用される研磨された表面を有することができ、代替的には内部反射および発光を閉じ込めるようにコーティングすることができる。代替的に、光は、インプラント10のすべてから放射されるようにしてもよい。インプラント10の遠位先端部は、任意選択的には、尖鋭化されるか、または切開先端部として機能するように傾斜が付けられるようにしてもよいことに留意されたい。
図8は、送達ツール12の針22内に装填または配置されたインプラント10の一実施形態を示している。この実施形態におけるインプラント10は、針22が引き込まれている間に、プッシャ部材92によって静止位置に保持されるようにしてもよい。
【0039】
図10A-
図10Cは、インプラント10を対象者の鼻弁領域内に送達するための送達ツール12の別の実施形態を示している。この実施形態では、送達ツール12が遠位領域100および近位領域102を有する。遠位領域100は、先端部106で終端となるシャフトまたは針104(例えば、ハイポチューブ)を含むことができ、いくつかの実施形態では、組織の貫通を補助するために、先端部が先鋭化されるか、または斜めに形成される。この実施形態では、使用中に傾斜した先端部106が鼻の外面を向くように、傾斜した先端部106が送達ツール12に対して方向付けられている。近位領域102は、使用中にユーザ(例えば、医師)によって把持されるハンドル108を含む。
図10A-
図10Cの実施形態では、インプラント10が針104内に配置される。すなわち、インプラント10は、ハンドル108から遠位方向に延びるシャフトまたは針104のルーメン内に収容される。シャフトまたは針104は、外径(OD)が0.050インチ(1.27mm)、内径(ID)が0.044インチ(1.12mm)の18UTSゲージ針を含むことができる。当然のことながら、シャフトまたは針104のために他のサイズを使用することもできる。例えば、18XXサイズのハイポチューブも使用することができる。別の実施例では、ハイポチューブは、外径0.050インチ(1.27mm)および内径0.042インチ(1.07mm)の18XTである。どちらの針のサイズも直径0.040インチまたは1mmのインプラント10を収容することができる。さらに、
図10Aに示すように、シャフトまたは針104の一側(例えば、上側)に穴または開口部110が形成されている。開口部110は、本明細書で説明されるように鼻の外面を照らすことができるように、シャフトまたは針104の上側に形成されている。
【0040】
さらに、
図10A-
図10Cを参照すると、送達ツール12は、シャフトまたは針104のルーメンの中に部分的に延在するプッシャ部材112を含み、インプラント10の押圧を支援する。
図10A-
図10Cの実施形態では、プッシャ部材112は、送達ツール12に対して静止しており、シャフトまたは針104は、
図10Bの矢印Aで示すように、近位方向に(すなわち、ハンドル108に向かって)移動可能であり、それにより、シャフトまたは針104のルーメン内に装填されたインプラント10が、引き抜かれて、定位置に放出される。プッシャ部材112は、展開中にシャフトまたは針104を近位方向に引き込む際に、インプラント10の近位方向への動きを防止する近位配置ストッパとして機能する。本発明の一実施形態では、プッシャ部材112は、シャフトまたは針104のルーメン内に部分的に延在するハイポチューブの19.5ゲージのセグメント(外径0.039インチ×内径0.027インチ;外径0.991mm×内径0.686mm)であるが、他のサイズも考えられる。このサイズのプッシャ部材112は、0.5mm(0.02インチ)の光ファイバ114を収容することができる。プッシャ部材112の遠位端は、インプラント10の近位端を固定するために使用される留め具またはロック部材116(
図10Cに最もよく示される)で終端となる。インプラント10の近位端は、係合する留め具またはロック部材11を含む。2つの留め具またはロック部材11,116は、係合時には、インプラント10が放出されるまで、インプラント10を回転および長手方向に定位置でロックする。プッシャ部材112は、内部に光ファイバ114を収容するように寸法決めされたルーメンを含む(
図10Cに最もよく見られる)。光ファイバ114は、光源122からの透過照明のために光をインプラント10に伝えるために使用される。
【0041】
インプラント10は、送達ツール12の針104から展開可能である。例えば、送達ツール12からインプラント10を放出するために、移動可能またはスライド可能なスライド、ノブまたはボタンなどのアクチュエータ118を使用することができる。
図10A-
図10Cの実施形態では、スライドボタン118を押下して最初にロックを解除した後、
図10Bの矢印Bの近位方向に引き戻して針104をインプラント10に対して引き込むことにより、針104からインプラント10を放出することができる。インプラント10は、プッシャ部材112によって近位方向に移動することが防止され、インプラント10に対する針104の近位方向の引き込みの後に放出される。代替的な構成では、アクチュエータ118の遠位方向の前進によって静止状態の針104からインプラント10が押し出されるように、アクチュエータ118をプッシャ部材112に連結することができる。
【0042】
図10A-
図10Cを参照すると、光ファイバ114が、プッシャ部材112のルーメンを通って延び、インプラント10の近位端で終端となり、またはインプラントの近位端に隣接している。光ファイバ114を通った光は、次にインプラント10に入り、
図6に示すように窪み特徴部34を任意に含むインプラント10から放射方向に出射し、シャフトまたは針104の開口部110から出る。光ファイバ114の近位端は、発光ダイオード(LED)またはレーザダイオードのような光源122に結合されている。光源122は、駆動回路124によって電力が供給され、1または複数のバッテリ126によって電力が供給される。本発明の任意の一態様において、光源122は、ボタン118を引き込めると消灯される。好ましくは、光源122は、良好に組織を通る赤色光を放射する。
【0043】
図10A-
図10Cの実施形態の送達ツール12を使用するために、送達ツール12は、鼻組織を通って鼻弁領域の所望の位置に前進され、その間に、針104から光が放出され、その光が透過照明によって対象者の皮膚を通して観察できる。その後、例えば、ボタン118を押して近位方向にスライドさせることにより、インプラント10が鼻弁領域に送達されて、当該インプラント10が展開される。
【0044】
図11A~
図11Eは、針22および/またはインプラント10が、展開までインプラント10を針22に一時的に係合させるための1または複数の特徴部を有する、針22およびインプラント10の様々な実施形態を示している。
図11Aは、針に含まれる孔または開口部28と相互作用する突起またはボス13を有するインプラント10を示している。インプラント10は、針22の所望の内部位置における定位置に「スナップ」することができる。スナップ嵌め構成は、回転方向のアライメントを与え、インプラント10を定位置に保持することができる。
図11Bは、針22およびインプラント10の別の実施形態を示しており、インプラント10は、当該インプラントを針に対して一時的に固定(例えば、スナップ嵌め)するために、針22に配置された開口部28またはスロットと相互作用する(
図11Aと同様の)突起またはボス13を含む。インプラント10は、針22とインプラント10との間に一時的な機械的ロックを形成するためにバネタイプの付勢を与えるために湾曲した形状を有することができる。
図11Cは、針22設計が、針22に形成されて内側に曲げられた複数のタブ128(例えば、両側のタブ)を含む一実施形態を示しており、この実施形態では、インプラントを押し込んで、展開までタブ128と摩擦係合させてインプラント10を針22に対して静止状態に保持することによって、インプラント10を針22の遠位端から装填することができる。
図11Dは、針22の壁に含まれる開口部または開口28と相互作用するバネ付勢セクションまたは領域130を有するインプラント10の別の代替的な実施形態を示している。さらに別の実施形態(図示省略)では、針の内側に摩擦嵌めを形成するためにインプラント10の一部を大きめにするようにしてもよい。
【0045】
図11Eは、インプラント10を針22に一時的に固定するさらに別の実施形態を示している。この実施形態では、針22に配置されたタブ30が、インプラント10に配置された特徴部132と係合する。タブ30は、針22をレーザ切断した後、タブ30を内側に曲げることによって形成することができる。タブ30およびインプラント10上の対応する特徴部132(例えば、バーブ、リブなど)は、装填、針の引き込みおよび組織内のインプラント保持のために最適化することができる。この実施形態の利点は、インプラント10の複雑さを低減し、インプラント10の長軸の周りの回転対称性を可能にすることであり、それにより、インプラント10の設計、製造およびデバイス内の位置決めを大幅に単純化することができる。他の実施形態(図示省略)では、1または複数のタブを使用することができる。
【0046】
針22の長さ方向に沿った締り嵌めまたはスナップ/タブ嵌めの位置は、調整することができる。例えば、針22が完全にまたは大部分が引き抜かれるまで、インプラント10を安定化させ、送達システムに固定した状態で保つことが望ましい場合がある。このため、いくつかの実施形態では、特徴部を針22の遠位端近くに配置することが有利となる場合がある。針/インプラントのインターフェースが摩擦嵌合、スナップ嵌め、タブ嵌合などの何れかであるのかにかかわらず、形成された一時的な接続は、アクチュエータ24,118が起動されたときの針22の近位方向への急速な引き抜きによって、解除することができる。そのような実施形態は、要求される製造の精度が低く、必ずインプラント10から解放されるものとなり、容易に再装填することができる。
【0047】
インプラント10と針22との間に一時的なロックを形成するために針22および/またはインプラント10の特徴部を使用することにより、針22の遠位端を介して送達システムの容易な装填および再装填が可能になる。一実施形態では、デバイスを装填または再装填するために、針22は、ハンドル20に対して遠位方向に進められ、所定の位置にロックされる。その後、インプラント10は、針22の先端部内に挿入され、針22内に収容される。以下に説明するように、このプロセスを支援するために、装填ツールまたは固定具を使用することができる。ツールまたは固定具は、回転対称性を有さないインプラント10を装填するのに特に有用となる場合がある。ツールまたは固定具は、装填/再装填プロセス中に針が刺さる負傷を減少させるという追加の安全上の利点を提供する。
【0048】
図12は、インプラント装填/再装填ツール140の一実施形態を示している。ツール140は、インプラント10を収容した後、インプラントを針22の遠位端に装填するために使用される。一実施形態では、ツール140または固定具にインプラント10が装填され、その後、インプラントが、ユーザによって送達ツール12内に装填される。代替的には、送達ツール12にインプラント10が予め装填され、ツール140または固定具に第2のインプラント10が予め装填され、第2のインプラントが、必要に応じてユーザにより迅速に送達ツール12内に装填される。さらに別の代替例では、各インプラント10がツール140(または複数のツール)に予め装填され(またはユーザがインプラント10をツール140に装填し)、医師が、インプラント10をツール140から針22に装填する。
図12に示すように、ツール140は、凹部またはキャビティ142に前向きに配置されたインプラント10を含む。ツール140に配置された当接部144は、遠位側のストッパとして機能し、装填/再装填操作中のインプラント10の遠位方向の動きを防止する。針22にインプラント10を装填するために、ユーザは、凹部またはキャビティ142に針22を挿入する。凹部またはキャビティがインプラント10に対して針22を案内する。針22は、インプラント10が(例えば、スナップ嵌め、タブ嵌め構成を介して)定位置に固定されるまで、さらに進められる。代替的には、針22がさらに進むことができなくなるまで、針22が完全に押し込まれるように凹部の寸法が設定される。
【0049】
図13A~
図13Cは、インプラント装填/再装填ツール150の別の実施形態を示しており、インプラント装填ツール150内にインプラント10が予め装填されている。インプラント10は、コレット152を介して装填ツールに固定されている。インプラント装填ツール150は、凹部154を含み、その内部に、インプラントを装填するために、送達ツール12が配置される(
図13Aおよび
図13C)。具体的には、引き込んだ位置にある針(および緩めたバネ66)を有する送達ツール12が、インプラント装填ツール150の凹部154内に挿入される。インプラント10を送達ツール12内に装填するために、レバー156が
図13Aの矢印Aの方向に引き戻され、それにより、針22をハンドル20に対して遠位方向に自動的に伸長させ、針22を前方位置にロックし、インプラント10を針22に装填する。
図13Bは、一対のピン161で終わる延長部158を含むレバー156を示している。それらのピン161は、送達ツールの内側に位置する針シャトル40と係合する。針シャトル40の移動は、本明細書で説明するように、対応する針22の移動を引き起こす。
【0050】
図13Aおよび
図13Cを参照すると、インプラント10および針22によって規定される軸方向経路に沿って装填ツール150にピン162がセットされ、このピンが、レバー156の作動により針22がインプラント10に対して進む間に、インプラント10の軸方向移動を防止する。その後、送達ツール12がインプラント装填ツールから取り出されて、使用準備が整う。
【0051】
図14Aおよび
図14Bは、インプラント装填ツール160の別の実施形態を示している。この実施形態では、ツール160が2つのインプラントグリップ163,164を含み、それらインプラントグリップが、インプラント10の両側部を掴むために、それぞれのバネ166によってバネ付勢されたファスナ167上に回転可能に取り付けられている。針アライメントトラック165は、インプラント装填ツール160内に形成され、送達ツール12の針22を受けるように寸法設定されかつ位置合わせされている。ピン168は、インプラント装填ツール160内に位置するとともに、インプラント10の一端に隣接してインプラント10を定位置に保持する。インプラント10を装填するために、ユーザは、送達ツール12の針22を針アラインメントトラック165内に挿入し、これを前進させる。針アライメントトラック165は、インプラント10に対して同軸上に位置合わせされ、針アライメントトラック165内の針22の前進が、静止状態のインプラント10に対して針22を前進させる。本明細書に記載の一時固定手段(例えば、スナップ嵌め、タブ嵌めなど)のうちの一つによりインプラント10が針22に「ロック」されるまで、針22は前進される。2つのインプラントグリップ163,164は、針22がインプラント10に対して前進するに連れて分離する。インプラント10は、ピン168により針22とともに移動することが防止される。インプラント10が定位置にロックされると、針22は(インプラント10とともに)、インプラント装填ツール160から取り外すことができる。
【0052】
本明細書に記載のインプラント装填ツール140,150,160は任意選択的なものであることを理解されたい。先に述べたように、
図15に示す別の実施形態では、インプラント10が予め装填された複数の針22とともに、本明細書で説明した送達ツール12を含むキット200を提供することができる。例えば、同じまたは異なるインプラント10を有する異なる長さの針22が提供されるようにしてもよい。代替的には、同じ長さの針22に異なるインプラント10を設けることができる。例えば、異なる長さまたは物理的構造のインプラント10を針22に設けることができる。この方法では、実施者は、特定の患者のニーズに最も適した特定の針22/インプラント10のセットを使用することができる。
【0053】
本明細書に記載の送達システム2、例えば、
図1A、
図1B、
図2A、
図2B、
図3Aおよび
図3Bに示す送達ツール12を使用するために、患者または対象者は、移植手術の前に麻酔を施される。手術が外来手術として診療室環境で行われる場合、患者に対して局所麻酔薬と注射麻酔薬の組み合わせを与えることができる。さらに、手術の前に、患者に対して、診療室に到着する前に服用される抗不安薬を処方することができる。当然のことながら、手術は、手術室のような病院または他の臨床環境でも行うことができる。そのような場合、患者に対して局所麻酔薬の代わりに全身麻酔薬を投与することができる。手術中、患者は、一般に、全身麻酔下にある場合、背中を平坦なまたは僅かに上昇したポジションに置いて横たわっている。患者の意識がしっかりしている場合、患者は起立姿勢またはリクライニングした着席姿勢を取ることができる。
【0054】
移植の準備ができた患者とともに、医師は、患者の鼻内のインプラントの位置を計画する。このプロセスの一部として、医師は、標的移植位置および軌道の計画を補助するために、1または複数のマーク(例えば、外科用ペンを使用)で鼻の外面に印を付けることができる。医師は、未だの場合、例えば、インプラント10を含む針22(例えば、キット200の針)を送達デバイス12に装填する。その後、本明細書に記載のように、アーミングレバー68を近位方向に引っ張ることにより、送達デバイス12の装備を行う。この装備動作は、赤色光源56および白色光源78を点灯させる。送達デバイス12がプルタブを含む場合、医師または助手は、それを除去して光源56,78またはデバイス12の他の電気的構成要素70を作動させることができる。
【0055】
その後、送達デバイス12が、鼻組織内にインプラント10のための経路を確立するために使用される。典型的には、針22が、鼻孔の近くの鼻腔側壁の鼻粘膜内に進められる。
図16Aは、針22が鼻粘膜内に挿入される一般的な位置(I)を示している。針22は、鼻の粘膜または鼻の外皮の何れかを突き抜けるのを避けるように注意を払いながら、側壁の中間の厚さ部分を通って前進される。このプロセスの間、透過照明を使用して、針22の鼻腔側壁への挿入の進行を監視できることに留意されたい。針22の進入深さは変化し得るが、典型的には、インプラント10は、
図16Bに見られるように、上部外側軟骨および下部外側(翼)軟骨の両方にまたがって配置される。送達デバイス12は、針22の上面に穴または開口部28を外向きに配置するように方向付けられており、
図16Cに見られるように、透過照明された光が医師により観察されて、針22の適切な軌道および前進が確認される。さらに、医師は、患者の鼻孔の内部を見て、針22の底面に位置する単一の開口部28を使用してその位置を確認することとなる。針22(およびインプラント10)が所望の位置にあることが確認されると、医師は、アクチュエータ24(例えば、親指で押しボタン80)を作動させて、それにより、針22の近位方向への急速な引き込みを引き起こし、インプラント10を定位置に残す。その後、送達ツール12は鼻領域から除去することができる。任意選択的には、送達ツール12を鼻領域から除去する前に、または送達ツール12を鼻領域に再挿入した後に、第2またはそれ以上のインプラント10を解剖学的構造内に配置することができる。
【0056】
手術に応じて、送達ツール12を再び使用して、患者の他方の鼻腔内で同じプロセスを行うことができる。同じ送達ツール12を使用して、インプラント10を含む別の針22を送達ツール12に装填し、患者の鼻の他側について上述したのと同じプロセスを繰り返すことができる。当然のことながら、ある状況では、単一のインプラント10のみが患者の鼻道のうちの一方に配置される。さらに、上述した手術は、他の鼻手術と併せて実行されるものであってもよい。そのようなものには、一例として、下鼻甲介の縮小、中隔形成、副鼻腔または副鼻腔のバルーン拡張などが含まれる。
【0057】
本発明は、移植用の組織を準備して移植を行うために使用される送達ツール12を使用するものとして本明細書に記載したが、別の方法は、送達ツール12を使用して、所望の移植部位を取り囲む組織に先ず「ポケット」を用意した後、インプラント10を送達する。ポケットの用意は、組織面の鈍的切開、針の挿入または組織のコアの切断によって行うことができる。ポケットが用意できたら、別個の送達ツールを使用してインプラントを用意したポケット内に配置することができる。さらに、本発明は、主に、インプラント10を対象者の鼻弁領域に送達することに関連させて記載してきたが、発光チップおよび/またはストライプを有するツールは、他の外科技術にも有用となる可能性がある。例えば、美容整形手術、脂肪吸引ツールなどに使用される鈍的解剖器具は、光ガイダンスを加えることによって、何れもより使い易くすることができる。
【0058】
以上の説明は、例示的なものであって、限定的なものではない。例えば、上述した例(またはその1または複数の態様)は、互いに組み合わせて使用することができる。当業者などが、上記説明を検討することにより、他の実施形態を使用することができる。要約書は、読者が技術的開示の本質を迅速に確認できるようにするために与えられている。それは、請求項の範囲および意味を解釈または制限するために使用されるものではないことを理解されたい。また、上述した詳細な説明では、開示を効率化するために様々な特徴がグループ化されている。これは、特許請求の範囲に含まれていない開示された特徴が何れかの請求項に不可欠であることを意図していると解釈すべきではない。むしろ、本発明の主題は、開示された特定の実施形態のすべての特徴よりも少なくなるであろう。このため、添付の特許請求の範囲は、実施例または実施形態としての詳細な説明に組み込まれ、各請求項は、別個の実施形態として独立に有効であり、そのような実施形態は、様々な組み合わせまたは順列で互いに組み合わせることができることが企図される。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲を参照して、そのような特許請求の範囲が権利を与えられる均等物の全範囲とともに、決定すべきである。