(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-10
(45)【発行日】2023-05-19
(54)【発明の名称】ケーブル加工装置のための位置合わせ方法
(51)【国際特許分類】
H01R 43/055 20060101AFI20230511BHJP
H01R 43/048 20060101ALI20230511BHJP
【FI】
H01R43/055
H01R43/048 Z
(21)【出願番号】P 2021195989
(22)【出願日】2021-12-02
(62)【分割の表示】P 2019572386の分割
【原出願日】2017-06-30
【審査請求日】2021-12-27
(73)【特許権者】
【識別番号】506058451
【氏名又は名称】コマックス ホルディング アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】KOMAX HOLDING AG
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】ウェバー、 ブルーノ
(72)【発明者】
【氏名】フェウブリ、 ドーミニク
(72)【発明者】
【氏名】コンテ、 アーロイス
(72)【発明者】
【氏名】フラー、 ニルス
【審査官】井上 信
(56)【参考文献】
【文献】特表2008-547167(JP,A)
【文献】特開2005-141909(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0150260(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第2592703(EP,A2)
【文献】特開2017-208328(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 43/048
H01R 43/055
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーブル加工装置における圧着カセットの圧着工具の位置合わせ方法であって、
前記圧着カセット(10)は固定工具部品および可動工具部品を有する前記圧着工具を含み、
前記圧着カセット(10)は、前記固定工具部品に直接的または間接的に固定された装着部品に取り付けるための保持装置をさらに有し、前記保持装置は、空間的に制限された調整範囲内での前記固定工具部品の調整移動を可能にするための位置を有し、
前記ケーブル加工装置は
、圧着装置に設けられた取り付け面に対して前記装着部品に張力を加える前記装着部品のための張力装置を有し、
前記方法は、
前記張力装置を解放することと、
前記張力装置の張力領域に前記圧着工具の前記固定工具部品を挿入することと、
前記可動工具部品が前記固定工具部品に接触する少し前まで前記固定工具部品に向けて前記可動工具部品を移動させることと、
前記可動工具部品と前記固定工具部品との間で前記調整範囲内での位置合わせが行われるように、前記可動工具部品と前記固定工具部品との間の押圧力を達成するか、または超えるまで、前記固定工具部品に向けて前記可動工具部品を移動させることと、
前記張力装置を用いて張力を加えることと、を含む位置合わせ方法。
【請求項2】
前記保持装置は、少なくとも2つの爪(21a、21b)であって、前記爪(21a、21b)の装着領域において前記装着部品を取り付けるための少なくとも2つの爪(21a、21b)を有する、請求項1に記載の位置合わせ方法。
【請求項3】
空間的に制限された調整範囲内での前記固定工具部品の調整移動を可能にする前記位置は固定解除された閉鎖位置であり、前記保持装置は、前記爪(21a、21b)が前記装着部品にしっかりとクランプされる固定された閉鎖位置と、前記固定工具部品が前記保持装置から分離可能になるように前記爪(21a、21b)が前記装着部品を解放する開放位置と、をさらに有し、前記方法は、
前記張力装置を解放する前に、前記固定解除された閉鎖位置に前記保持装置を移動させることと、
前記可動工具部品と前記固定工具部品との間で前記調整範囲内での位置合わせが行われるように、前記可動工具部品と前記固定工具部品との間の押圧力を達成するか、または超えるまで、前記固定工具部品に向けて前記可動工具部品を移動させる前に、前記開放位置に前記保持装置を移動させることと、をさらに含む、請求項2に記載の位置合わせ方法。
【請求項4】
前記圧着カセット(10)は、少なくとも前記固定された閉鎖位置と前記固定解除された閉鎖位置との間で前記保持装置を操作する操作装置をさらに含む、請求項
3に記載の位置合わせ方法。
【請求項5】
前記ケーブル加工装置は圧着装置および固定装置を有し、前記圧着カセット(10)の前記固定工具部品および前記可動工具部品は前記ケーブル加工装置の前記圧着装置の圧着動作中に協働するように構成され、前記固定装置は前記圧着カセットを解除可能に固定するために前記圧着カセットの前記操作装置を操作するように構成されており、
前記ケーブル加工装置は、装填された圧着カセットの前記圧着工具の前記可動工具部品を取り付けるように構成された装着装置をさらに有し、
前記装着装置は、前記可動工具部品の把持相手を把持するために把持軌道に従って移動可能に構成されて配置されたグリッパを有し、
前記方法は、
装填される前記圧着カセット(10)に向けて前記固定装置を移動させることと、
前記操作装置を操作して前記固定解除された閉鎖位置に前記保持装置を移動させることと、
前記固定装置に前記圧着カセットを取り付けることと、
前記固定工具部品から前記可動工具部品を解放することと、
前記可動工具部品と前記装着装置を接近させるように前記装着装置に対して前記可動工具部品を移動させることと、
前記可動工具部品の前記把持相手を把持することと、をさらに含む、請求項
4に記載の位置合わせ方法。
【請求項6】
前記圧着カセット(10)において、前記固定解除された閉鎖位置で前記爪の把持を閉鎖するように閉鎖ばねが設けられて配置されている、請求項
3から5のいずれか1項に記載の位置合わせ方法。
【請求項7】
前記保持装置の前記固定解除された閉鎖位置において、前記空間的に制限された調整範囲は、実質的に、前記固定工具部品に対する前記可動工具部品の圧着動作移動に垂直な平面内にある、請求項
3から6のいずれか1項に記載の位置合わせ方法。
【請求項8】
前記保持装置が前記固定解除された閉鎖位置にあるときに、前記空間的に制限された調整範囲内で前記固定工具部品を機械的に移動させるように、圧着動作を実行する場合よりも長い距離、前記固定工具部品に向かって前記可動工具部品を移動させる、請求項
3から7のいずれか1項に記載の位置合わせ方法。
【請求項9】
前記保持装置はマンドレルをさらに有し、前記マンドレルは、
前記爪(21a、21b)の対応する面に押し付けられたときに前記装着領域において前記爪(21a、21b)を前記装着部品に締め付けるように形成された背面と、
前記爪の対応する面に押し付けられたときに前記爪を広げるように形成された前面と、を有し、
前記方法は、
前記マンドレルを、前記保持装置の前記固定解除された閉鎖位置での工具部品位置合わせ動作を容易にするために、前記背面と前記前面のどちらも前記爪を押していないアイドル状態に移動させることをさらに含む、請求項
3から8のいずれか1項に記載の位置合わせ方法。
【請求項10】
前記圧着工具は連結装置をさらに有し、前記方法は、前記可動工具部品を前記固定工具部品に解放可能に連結させることをさらに含む、請求項1から9のいずれか1項に記載の位置合わせ方法。
【請求項11】
前記把持軌道は、前記把持相手を把持するための前記グリッパの移動において、直線軌道と、それに続く旋回軌道とを有する、請求項
5に記載の位置合わせ方法。
【請求項12】
前記グリッパは、前記グリッパの操作面に力を加えたときに前記把持軌道に従って移動するように配置されて形成され、前記力は、前記把持軌道に従って前記グリッパが移動している間、一定の方向を有する、請求項11に記載の位置合わせ方法。
【請求項13】
前記ケーブル加工装置はアクチュエータをさらに有し、前記方法は
、空気圧シリンダを操作することによって前記グリッパを開放することをさらに含む、請求項
5に記載の位置合わせ方法。
【請求項14】
前記ケーブル加工装置は昇降装置をさらに有し、前記方法は、前記装着装置に向けて前記可動工具部品を引き上げることをさらに含む、請求項
5に記載の位置合わせ方法。
【請求項15】
前記ケーブル加工装置は、前記可動工具部品と前記固定工具部品との間の押圧力を検出するように配置された圧力検
出器と、前記圧力検出器に接続されたストローク制限装置とをさらに有し、前記方法は、
所定の最大押圧力を超える押圧力を検出したときに前記固定工具部品に対する前記可動工具部品のストロークを、前記ストローク制限装置によって制限することをさらに含む、請求項1から14の何れか1項に記載の位置合わせ方法。
【請求項16】
前記圧着カセット(10)は、前記爪(21a、21b)を解放するために操作可能な前記操作装置として固定解除レバー(26)に連結された固定解除押しボタン(25)をさらに有し、前記ケーブル加工装置の前記固定装置は、前記固定装置が全体として外側に移動した時点で、ばね(64)の張力によって受動的に旋回されるレバー(61)をさらに有し、前記ケーブル加工装置の前記固定装置は、アクチュエータとして空気圧シリンダ(63)によって作動可能な開放レバーをさらに有する、請求項
5に記載の位置合わせ方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ケーブル加工装置の圧着カセットの圧着工具の位置合わせ方法に関する。
【背景技術】
【0002】
圧着カセットを装填可能な圧着装置を有するケーブル加工装置が当技術分野で知られている。圧着カセットは、圧着工具の部品と、圧着コンタクトのマガジン(リール)などを有している。圧着カセットの構成要素としての圧着工具部品は、ケーブル加工装置の圧着装置に配置することができ、一般的には自動的に配置することができる。圧着装置用の圧着工具の中には分割されたものもあり、すなわち、それらは固定工具部品と可動工具部品を有している。固定工具部品と可動工具部品は、圧着装置の圧着動作中に協働するように構成されている。
【0003】
分割された圧着工具の工具部品は、例えば工具の交換作業中に、位置がずれる可能性がある。誤った圧着や信頼性の低い圧着を引き起こすこのような位置ずれを解消することが望まれている。
国際公開第2006/136930号は、圧着工具を含む圧着ステーションを有する、異なる圧着および押圧加工用の圧着機械について記載している。圧着工具は2つの部分で形成されている。
米国特許出願公開第2004/0007042号明細書は、押圧具の背面から挿入できるカセットを有する圧着押圧具について説明している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示の目的は、分割された圧着工具の工具部品の位置合わせと、圧着装置内部でのカセットの位置決めまたは位置合わせとが改善される、圧着カセットを装填可能な圧着装置を有するケーブル加工装置の圧着カセットの位置合わせ方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記に鑑みて、請求項1に記載の方法が提供される。
【0006】
本開示のさらなる態様、利点、および特徴は、従属請求項、明細書、および添付の図面から明らかである。なお、以下に示す態様は、必要に応じて自由に組み合わせることができる。
【0007】
本開示の一態様によれば、ケーブル加工装置の圧着装置用の圧着カセットは、圧着装置の圧着動作中に協働するように構成された固定工具部品および可動工具部品を有する圧着工具を有している。圧着カセットは、固定工具部品に直接的または間接的に固定された装着部品に取り付けるための保持装置を有している。保持装置は、空間的に制限された調整範囲内での固定工具部品の調整移動を可能にするための位置を有している。保持装置は、爪の装着領域の装着部分へ取り付けるための少なくとも2つの爪を有していてもよい。空間的に制限された調整範囲内での固定工具部品の調整移動を可能にするための位置は、固定解除された閉鎖位置と呼ばれてもよく、爪は、固定解除された閉鎖位置で装着部品を緩く把持するようにしてもよい。保持装置は、爪が装着部品にしっかりとクランプされる、固定された閉鎖位置と、固定工具部品が保持装置から分離可能になるように爪が装着部品を解放する開放位置と、をさらに有していてもよい。
【0008】
固定位置では、爪は、装着部品の装着部品にしっかりとクランプされている。固定解除された閉鎖位置にあるとき、装着部品は、固定工具部品の完全な取り外しが可能になるような方法ではまだ解放されていない。しかしながら、固定解除された閉鎖位置では、制限された調整範囲内での可動工具部品に対する固定工具部品の調整が可能である。したがって、可動工具部品と固定工具部品は、互いに相対的に容易に位置合わせされる。
【0009】
調整範囲は、通常は固定工具部品に対する可動工具部品の圧着動作移動に垂直な平面内にあるが、効率的な位置合わせ動作を実行するのに十分な範囲に制限され、例えば、平面の2つの方向において、10MM未満または2MM未満の範囲内に制限される。
【0010】
開放位置では、爪は装着部品を解放し、固定工具部品が保持装置から分離することを可能にする。これにより、ケーブル加工装置内での、または手動での圧着カセットの容易な交換が可能になる。
【0011】
前記ケーブル加工装置は、前記圧着装置に設けられた取り付け面に対して前記装着部品に張力を加える前記装着部品のための張力装置をさらに含む。したがって、信頼性のある確実な固定が可能になる。
ケーブル加工装置において圧着カセットの圧着工具の位置合わせ方法(位置合わせする方法または位置合わせ法)によれば、前記方法は、前記張力装置を解放することと、前記張力装置の張力領域に前記圧着工具の前記固定工具部品を挿入することと、前記可動工具部品が前記固定工具部品に接触する少し前まで前記固定工具部品に向けて前記可動工具部品を移動させることと、前記可動工具部品と前記固定工具部品との間で前記調整範囲内での位置合わせが行われるように、前記可動工具部品と前記固定工具部品との間の押圧力を達成するか、または超えるまで、前記固定工具部品に向けて前記可動工具部品を移動させることと、前記張力装置を用いて張力を加えることと、を含む。
【0012】
本方法は、前記張力装置を解放する前に、前記固定解除された閉鎖位置に前記保持装置を移動させることと、前記可動工具部品と前記固定工具部品との間で前記調整範囲内での位置合わせが行われるように、前記可動工具部品と前記固定工具部品との間の押圧力を達成するか、または超えるまで、前記固定工具部品に向けて前記可動工具部品を移動させる前に、前記開放位置に前記保持装置を移動させることと、をさらに含むことができる。本方法は、最終工程として、前記固定された閉鎖位置に前記保持装置を移動させることをさらに含むことができる。
【0013】
上記実施態様の特定の態様によれば、取り付け面は、装着部品と取り付け面との摩擦を低減する少なくとも1つの支持部材を備え、一般的には支持ローラを備えている。これにより、締め付け前と解放後の少なくとも一方において、取り付け面上の装着部品の移動が容易になる。
【0014】
いくつかの実施態様では、固定解除された閉鎖位置で爪の把持を閉鎖するように閉鎖ばねが設けられて配置されている。換言すると、閉鎖ばねは爪に作用し、固定解除された閉鎖位置において十分なクランプ力を維持するとともに、保持装置からの固定工具部品の早期の解放を抑制し、しかも効率的な位置合わせ動作を可能にする。
【0015】
いくつかの実施態様では、圧着工具は、工具部品位置合わせ動作を実行するように構成され、工具部品位置合わせ動作では、保持装置が固定解除された閉鎖位置にあるときに、可動工具部品は、空間的に制限された調整範囲内で固定工具部品を機械的に移動させるように、通常は圧着動作を実行する場合よりも大幅に固定工具部品に向かって移動される。
【0016】
信頼性のある位置合わせを確実にするために、そのような位置合わせ動作に関与する可動工具部品と固定工具部品のそれぞれの表面の対応する形状を有益に形成することができる。したがって、可動工具部品と固定工具部品は、それぞれ位置合わせ面を有していてもよく、位置合わせ面は、工具部品位置合わせ動作中に相互作用して可動工具部品に対する固定工具部品の自動位置合わせを行うように形成される。
【0017】
いくつかの実施態様では、保持装置はマンドレルをさらに有している。マンドレルは、爪の対応する面に押し付けられたときに装着領域において爪を装着部品に締め付けるように形成された背面と、爪の対応する面に押し付けられたときに爪を広げるように形成された前面とを有している。
【0018】
マンドレルは、保持デバイスの固定解除された閉鎖位置での工具部品の位置合わせ動作を容易にするために、背面と前面のどちらも爪を押していないアイドル状態に移動可能である。したがって、アイドル状態では、マンドレルが、可動工具部品に対する固定工具部品の位置合わせ運動を妨げることはない。
【0019】
いくつかの実施態様では、圧着カセットは、少なくとも固定された閉鎖位置と固定解除された閉鎖位置との間で保持装置を操作する操作装置をさらに有している。
【0020】
操作装置は、互いに連結された固定解除押しボタンおよび固定解除レバーを有していてもよい。固定解除押しボタンの直線運動は、固定解除レバーを介して、マンドレルのアイドル状態への直線運動に変換することができる。これにより、位置合わせ動作が容易に可能である。
【0021】
いくつかの実施態様では、圧着工具は、可動工具部品を固定工具部品に解放可能に連結させる連結装置をさらに有している。連結装置は、可動工具部品に固定されていてもよい。連結装置は、固定工具部品に設けられた対応する円錐ボアと係合する円錐端面を有していてもよい。
【0022】
ケーブル加工装置に関するいくつかの実施態様では、ケーブル加工装置は、装填された圧着カセットを解放可能に固定する固定装置をさらに有している。固定装置は、圧着カセットの操作装置を操作するように構成されている。
【0023】
いくつかの実施態様では、ケーブル加工装置は、装填された圧着カセットの圧着工具の可動工具部品を取り付けるように構成された装着装置をさらに有している。
【0024】
いくつかの実施態様では、装着装置は、可動工具部品の把持相手を把持するために把持軌道に従って移動可能に構成されて配置されたグリッパを有し、把持軌道は、把持相手を把持するためのグリッパの移動において、直線軌道と、それに続く旋回軌道とを有している。
【0025】
直線軌道と旋回軌道が連続することにより、工具部品の相互の自動固定および位置合わせ動作がさらに容易になる。
【0026】
いくつかの実施態様では、グリッパは、グリッパの操作面に力を加えたときに把持軌道に従って移動するように配置されて形成されている。この力は、把持軌道に従ってグリッパが移動している間、一定の方向を有している。さらなる態様によれば、ケーブル加工装置は、グリッパを開放するためのアクチュエータであって、一般的には空気圧シリンダと、グリッパを閉鎖するためのばね構成とをさらに有している。
【0027】
したがって、アクチュエータとばね部材の少なくとも一方の単純な直線的配置によれば、グリッパの単一面に作用することで、高度な軌道を伴う信頼性のある把持動作が可能になる。
【0028】
いくつかの実施態様では、ケーブル加工装置は、装着装置に向けて可動工具部品を引き上げる昇降装置をさらに有している。しかしながら、代替的な実施態様によれば、装着装置自体が可動工具部品に向かって移動可能であってもよい。
【0029】
いくつかの実施態様では、ケーブル加工装置は、装着部品のための張力装置であって、圧着装置に設けられた取り付け面に対して装着部品に張力を加える張力装置をさらに有している。これにより、確実かつ緊密な固定が可能である。
【0030】
上記実施態様の特定の態様によれば、取り付け面は、装着部品と取り付け面との摩擦を低減する少なくとも1つの支持部材を備え、一般的には支持ローラを備えている。これにより、締め付け前と解放後の少なくとも一方において、取り付け面上の装着部品の移動が容易になる。
【0031】
いくつかの実施態様では、ケーブル加工装置は、可動工具部品と固定工具部品との間の押圧力を検出するように配置された圧力検出器と、圧力検出器に接続され、所定の最大押圧力を超える押圧力を検出したときに固定工具部品に対する可動工具部品のストロークを制限するストローク制限装置とをさらに有している。
【0032】
本開示の一態様によれば、上記の位置合わせ方法の前に、本発明のケーブル加工装置における、圧着カセットの装填方法を実行することができる。その装填方法は、装填される圧着カセットに向けて固定装置を移動させることと、保持装置を固定解除された閉鎖位置にするように操作することと、圧着カセットを固定装置に取り付けることと、可動工具部品を固定工具部品から解放することと、可動工具と装着装置を接近させるように装着装置に対して可動工具部品を移動させることと、可動工具部品の把持相手を把持することと、を含んでいる。
【0033】
本明細書に記載の態様および実施態様によれば、圧着プレスなどの圧着装置は、中間位置を有する圧着カセットの横方向挿入の機能、すなわち、可動工具部品と固定工具部品との間の連結装置を開放することと、例えば圧着装置のスライド上で可動工具部品を引き継いで保持することと、保持装置を2段階(固定解除された閉鎖位置および開放位置)で開放して固定工具部品を圧着装置に引き継ぐことと、工具部品を一緒に任意に移動させることで工具部品を位置合わせすることと、圧着装置上で固定工具部品をクランプすることとのいずれかまたはすべてを実行してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】本発明の一実施形態
で用いられるケーブル加工装置の圧着カセットおよび圧着装置の斜視図である。
【
図4】固定位置にある保持装置の概略上面図である。
【
図5】固定解除された閉鎖位置にある保持装置の概略上面図である。
【
図6】開放位置にある保持装置の概略上面図である。
【
図7】圧着装置に配置された固定装置の斜視図である。
【
図8】
図7の固定装置のレバー動作を示す斜視図である。
【
図9】
図7の固定装置の開放レバー動作を示す斜視図である。
【
図10】圧着装置に配置された連結装置の斜視図である。
【
図12】上方位置にある装着装置のグリッパを示す図である。
【
図13】直線運動の終端位置にある装着装置のグリッパを示す図である。
【
図14】旋回運動の終端位置にある装着装置のグリッパを示す図である。
【
図18】圧着カセットの上側工具部品および下側工具部品の位置合わせ面を示す図である。
【
図19】圧着カセットの上側工具部品および下側工具部品の位置合わせ動作中の圧着装置の斜視図である。
【
図21】位置合わせ動作中の
図19の圧着装置の側断面図である。
【
図22】ケーブル加工装置の圧着装置における圧着カセットの装填動作の一段階を示す側断面図である。
【
図23】ケーブル加工装置の圧着装置における圧着カセットの装填動作の他の段階を示す側断面図である。
【
図24】ケーブル加工装置の圧着装置における圧着カセットの装填動作の他の段階を示す側断面図である。
【
図25】ケーブル加工装置の圧着装置における圧着カセットの装填動作のさらに他の段階を示す側断面図である。
【
図26】ケーブル加工装置の圧着装置における圧着カセットの装填動作のさらに他の段階を示す側断面図である。
【
図27】ケーブル加工装置の圧着装置における圧着カセットの装填動作のさらに他の段階を示す側断面図である。
【
図28】ケーブル加工装置の圧着装置における圧着カセットの装填動作のさらに他の段階を示す側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
添付の図面に示す好ましい例示的な実施形態を参照して、本開示の主題をより詳細に説明する。図面では、同じまたは対応する部分に同じ参照符号が割り当てられている。
【0036】
図1は、本発明の一実施形態実施形態
で用いられるケーブル加工装置の圧着カセット10および圧着装置50の斜視図である。
【0037】
圧着装置は、装着装置51と昇降装置を有している。図1では、装着装置51はプレススライドとして構成され、昇降装置は昇降フォーク52として構成されている。以下でより詳細に説明するように、装填された圧着カセット10を解放可能に固定するために、圧着装置には固定装置60が設けられている。
【0038】
図1の拡大図である
図2には、圧着カセット10の保持装
置がより詳細に示されている。保持装
置は、2つの爪21a,21bを有するブラケットを備え、これらの爪は、さらに以下で説明されるばねを介して、通常はクランプ位置つまり固定位置に一緒に押し込められている。固定解除押しボタン25は、爪21a,21bを解放するために固定解除レバー26に連結されているが、これについては以下でより詳細に説明する。
【0039】
圧着工具アセンブ
リは、固定圧着工具部品32が固定されたベースプレート31を有している。爪21a,21bは、ベースプレート31をクランプする。さらに、圧着工具アセンブ
リは、可動圧着工具部品を固定圧着工具部
品に解放可能に連結することができるように構成された連結器35を有している。圧着工具部品3
1はそれぞれ、圧着アンビ
ルおよび圧着インデン
タを有している(
図18も参照)。傷つきやすい圧着アンビル32aと圧着インデンタ33aを保護するために、固定工具部
品と可動工具部
品は横方向に移動される。
【0040】
図3は、保持装
置の概略側面図を示している。固定位置、固定解除された閉鎖位置、および開放位置における保持装
置の対応する概略上面図が、それぞれ
図4から
図6に示されている。
【0041】
固定位置および固定解除された閉鎖位置では、爪21a,21bは、閉鎖ばね22によってクランプ状態つまり閉鎖状態に押し込められている。固定位置(
図4)では、爪21a,21bは、ベースプレートの装着部品にしっかりとクランプされている。固定解除された閉鎖位置(
図5)では、爪21a,21bは、空間的に制限された調整範囲内での固定工具部
品の調整移動を可能にするために、装着部品を緩く把持している。開放位置(
図6)では、爪21a,21bは、装着部品から解放されている。
【0042】
それぞれの位置における挙動を補完するために、保持装置にはマンドレル23が設けられている。固定解除押しボタン25が操作されると、固定解除レバー26が旋回し、マンドレル23を直線的に移動させる。マンドレル23の背面23aは、爪21a,21bの対応する面に押し付けられたときに爪21a,21bを装着部品で締め付けるように形成されている。マンドレル23の前面23bは、爪21a,21bの対応する面に押し付けられたときに爪21a,21bを広げて開放するように形成されている。図示した例では、マンドレル23は、ローラ24を押して爪21a,21bを広げる。
【0043】
固定解除された閉鎖位置(
図5)のアイドル状態では、マンドレルは、爪21a,21bの面のいずれにも実質的に接触せず、したがって、工具部
品の制限された空間的な位置合わせ運動が可能になる。
【0044】
図7の斜視図には、固定装
置が示されている。固定装
置は、圧着カセット10に取り付けるための部品に加えて、爪を固定解除および開放するための部材を有している。レバー61は、固定装
置が全体として外側に移動した時点で、ばね64の引張力によって受動的に旋回される(
図8)。レバー61の操作とは無関係に、開放レバー62を空気圧シリンダ63(
図9)によって作動させてもよい。
【0045】
レバー61と開放レバー62は共に、保持装置の固定解除押しボタン25に作用する。このとき、固定解除押しボタン25は圧着カセット10のハウジングと同一平面にあり、爪21a,21bが完全に開く程度まで固定解除押しボタン25を押し込むことはできない。
【0046】
図10は、圧着装置に配置された連結装置35の斜視図である。
図10において、連結装置35は、可動工具部
品に固定されており、固定工具部
品に設けられた対応する円錐ボアと係合する円錐端面を有している。連結装置35の端面がボアに挿入されたときに横に押されるラッチボルト36が設けられている。そして、ラッチボルト36は、ばね(図示せず)によって初期位置に戻され、連結装置35の端面を固定する。
【0047】
図11において、装着装置51は、回転軸53aを中心として旋回可能なグリッパ53を有している。引張ロッド54を空気圧シリンダ(図示せず)によって作動させてもよく、それにより、引張ロッド54を下向きの方向に押し込み、引張ロッド54とグリッパ53が固定されたヨーク55を移動させてもよい。空気圧シリンダが解放されると、この移動は、グリッパ53を上方位置に引き上げる押しば
ねによって妨げられる。
【0048】
グリッパ53は、ヨーク55に挿入され、2つの部材との接触部を有している。回転軸53aは、それらの部材の一方であり、グリッパ53の回転運動を可能にする。他方の部材としてのボルト53bは、グリッパ53の別の接触部材である。
【0049】
回転軸53aの両側には、押しばねとばねホルダをそれぞれが有する2つの装着片が設けられている。装着片は、装着装置51の溝内に保持され、グリッパのわずかな直線運動を可能にする。グリッパが最初に直線運動を行うことを確実にするための補助手段として、軌道輪郭59が設けられている。通常では、グリッパは、軌道輪郭59と接触していないが、グリッパの回転または旋回運動につながる不規則な運動が生じる例示的な場合には、グリッパは、軌道輪郭59に沿って案内される。
【0050】
空気圧シリンダ(図示せず)が後退位置にあるとき、ばねは、ヨーク55を最上方位置(
図12)に引っ張っている。軌道輪郭59の形状により、グリッパ53の旋回運動が抑制される。
【0051】
空気圧シリンダを外側に移動させると、ヨーク5は下方に移動する。第1段階では、装着
片は、グリッパ53を直線的に下方に移動させる(
図13)。第1段階の最後に、その直線運動は溝58によって制限される。回転軸53aが固定されているため、グリッパ53は軌道輪郭59に沿って旋回する(
図14)。
【0052】
図15から
図17には、グリッパによる可動圧着工具部
品の把持動作が例示的に示されている。
【0053】
図19から
図21は、可動および固定工具部
品の位置合わせ中の圧着プレスを示している。ベースプレート31は、圧力センサ40a,40bを備えている。
図示した例では、第3の圧力センサが設けられているが、
図19から
図21には図示されていない。本開示は、特定の数の圧力センサ40a,40bに限定されず、一般には、構造的な手段や所望の精度に応じて、1つ、2つ、3つ、またはそれ以上の圧力センサ40a,40bが設けられていてもよい。圧力センサ40a,40bは、圧着アンビ
ルと圧着インデン
タが互いに接触した時点を検出するのに役立ち、圧着アンビ
ルと圧着インデン
タに過剰な圧力がかかるのを抑制する。
【0054】
ベースプレート31の取り付け面41には、装着部品と取り付け面41との摩擦を低減するための支持ローラ42が設けられている。図示した例では、装着部品には、クランプ部材43と装着シリンダ44が含まれる。支持ローラ42は、任意の部品であって省略されてもよく、特に、特定の最小サイズを有する圧着コンタクトを用いる場合には、支持ローラ42なしで位置合わせを実行してもよい。
【0055】
非装填状態において、支持ローラ42は、図示した例では取り付け面41からわずかに突出している。ばね機構(図示せず)によって支持ローラ42は支持され、それにより、支持ローラ42をそれに作用する荷重によって下方に押圧することができ、すなわち、十分な荷重の場合に、支持ローラ42を取り付け面41の平面と少なくとも同一平面にすることができる。これにより、固定工具部品32は、取り付け面41上に完全に載置され、支持ローラ42にほとんど影響を受けない。
【0056】
位置合わせ動作を行うために、クランプ部材43が緩められ、次いで固定工具部品が挿入される。そして、可動工具部品が下降し、圧着アンビルの位置合わせ面と圧着インデンタの位置合わせ面が接触する。この動作は、圧力センサ40a,40bを用いて監視される。加えられた力に応じて、任意の支持ローラ42が下方に押され、固定工具部品は取り付け面41上に完全に載置される。位置合わせが行われた後、クランプ部材43が締め付けられる。
【0057】
図22から
図28は、ケーブル加工装置の圧着装置における圧着カセット10の装填動作の異なる段階を示している。
【0058】
図22では、カセット10は初期位置にある。
図23では、圧着装置の固定装
置が外側に移動し、グリッパ53が開放される。もしあれば、昇降フォーク52が下降する。
【0059】
図24では、カセット10が右側に移動し、固定解除押しボタン25が操作される。装着シリンダ44を用いて固定工具部
品を相対的に位置合わせすることができる。図示した
例では、その位置合わせは、ベースプレート31のスリットの位置合わせ運動によって、装着シリンダ44の周縁に対して行われ、さらに、クランプ部材43の下の装着シリンダの周縁に対して行われる(
図20参照)。
【0060】
図25では、可動工具部
品が装着装置51まで移動しており、カセットがさらに右側に移動する。ラッチボルト36が当接部65によって操作されているため、連結器は開放している。
【0061】
図26では、可動工具部
品がグリッパ53に把持される。その後、昇降フォーク52によって可動工具部
品が装着装置51まで引き上げられる。昇降フォーク52のない代替の実施形態では、装着装置51が可動工具部
品に向かって下降する。いずれの場合も、可動工具部
品と装着装置51が互いに接近するように、可動工具部
品が装着装置51に対して相対的に移動する。
【0062】
続いて、固定装
置が内側に移動し、カセット10がさらに右側に移動してクランプされ、可動工具部
品が下降する(
図27)。そして、開放レバー(
図28)を旋回させることで爪21a,21bが開放され、固定工具部
品が解放される。
【0063】
その後、上述した位置合わせ工程を行ってもよい。
【0064】
本発明をいくつかの好ましい実施形態に基づいて説明したが、当業者はこれらの実施形態が本発明の範囲を限定するものではないことを理解すべきである。