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特許7277622ハイブリッド冷却電子機器における気流管理及び冷却改善のための装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-10
(45)【発行日】2023-05-19
(54)【発明の名称】ハイブリッド冷却電子機器における気流管理及び冷却改善のための装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 1/20 20060101AFI20230511BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20230511BHJP
【FI】
G06F1/20 C
G06F1/20 A
G06F1/20 B
H05K7/20 G
H05K7/20 M
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2022003281
(22)【出願日】2022-01-12
(65)【公開番号】P2022050600
(43)【公開日】2022-03-30
【審査請求日】2022-01-12
(31)【優先権主張番号】17/148,063
(32)【優先日】2021-01-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516357421
【氏名又は名称】バイドゥ ユーエスエイ エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Baidu USA LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】ガオ チェンイー
【審査官】佐賀野 秀一
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-347778(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0262499(US,A1)
【文献】米国特許第06011689(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0109290(US,A1)
【文献】国際公開第2008/035579(WO,A1)
【文献】米国特許第06330155(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0128704(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 1/20
H05K 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
弾性部材と、
一又は複数のバッフルブレードと
を備え、各バッフルブレードは、第1の縁及び第2の縁を有し、各バッフルブレードの第1の縁が前記弾性部材に結合されており、各バッフルブレードは、前記一又は複数のバッフルブレードに加えられた空気力に応じて、前記弾性部材回りに回転して前記弾性部材を変形させ
前記一又は複数のバッフルブレードの1つの前記第2の縁に結合された追加の弾性部材をさらに備え
バッフルユニット。
【請求項2】
前記弾性部材は、ねじりばねである
請求項1に記載のバッフルユニット。
【請求項3】
軸芯を有し、前記弾性部材の中央部に配置された軸をさらに備え、
各バッフルブレードの第1の縁が前記軸に結合されて、各バッフルブレードが前記空気力に応じて前記軸芯回りに回転できるようにする
請求項1に記載のバッフルユニット。
【請求項4】
各バッフルブレードは、四辺形であり、一対の長辺及び一対の短辺を有し、前記一対の長辺の一方は、前記第1の縁であり、前記一対の長辺の他方は前記第2の縁である
請求項1に記載のバッフルユニット。
【請求項5】
第1の縁及び第2の縁を有する追加のバッフルブレードをさらに備え、前記追加のバッフルブレードの前記第1の縁は前記追加の弾性部材に結合されている
請求項4に記載のバッフルユニット。
【請求項6】
前記一又は複数のバッフルブレードの1つの前記第2の縁は固定されている
請求項4に記載のバッフルユニット。
【請求項7】
基板に取り付けるように構成される取付構造と、
前記取付構造に結合されたバッフルユニットと
を備え、
前記バッフルユニットは、
弾性部材と、
一又は複数のバッフルブレードと
を備え、各バッフルブレードは
第1の縁及び第2の縁を有し、各バッフルブレードの第1の縁が前記弾性部材に結合されて、前記一又は複数のバッフルブレードに加えられた空気力に応じて、各バッフルブレードが前記弾性部材回りに回転して前記弾性部材を変形させるようにし、
前記一又は複数のバッフルブレードの1つの前記第2の縁は、前記取付構造に固定されている
バッフルシステム。
【請求項8】
前記取付構造は、
内部に固定チャンネルを有する垂直支持体と、
内部に固定チャンネルを有する角度付き支持体と
を備え、前記角度付き支持体の一端部は、前記垂直支持体の前記固定チャンネルに可動に結合されている
請求項に記載のバッフルシステム。
【請求項9】
前記一又は複数のバッフルブレードの1つの前記第2の縁は、前記角度付き支持体の前記固定チャンネルに固定されている
請求項に記載のバッフルシステム。
【請求項10】
前記角度付き支持体の、前記垂直支持体の前記固定チャンネルに可動に結合された前記一端部は、前記固定チャンネル内を移動して、前記垂直支持体に対する前記角度付き支持体の角度を変えることが可能である
請求項に記載のバッフルシステム。
【請求項11】
前記バッフルユニットは、軸芯を有し、前記弾性部材の中央部に配置された軸をさらに備え、各バッフルブレードの第1の縁が前記軸に結合されて、前記バッフルブレードに加えられた空気力に応じて、各バッフルブレードが前記軸芯回りに回転できるようにする
請求項に記載のバッフルシステム。
【請求項12】
前記バッフルユニットは、前記一又は複数のバッフルブレードの1つの前記第2の縁に結合された追加の弾性部材をさらに備える
請求項に記載のバッフルシステム。
【請求項13】
前記バッフルユニットは、第1の縁及び第2の縁を有する追加のバッフルブレードをさらに備え、前記追加のバッフルブレードの前記第1の縁は前記追加の弾性部材に結合されている
請求項1に記載のバッフルシステム。
【請求項14】
一又は複数の発熱電子構成要素が取り付けられている基板と、
前記一又は複数の発熱構成要素の少なくとも1つに結合された冷却板を有する液体冷却システムと、
前記基板上に気流を向ける気流源と、
前記基板、及び/又は、一もしくは複数の冷却板に結合された一又は複数のバッフルユニットと
を備え、各バッフルユニットは、
弾性部材と
一又は複数のバッフルブレードとを含み、各バッフルブレードは第1の縁及び第2の縁を有し、各バッフルブレードの第1の縁が前記弾性部材に結合されて、前記気流によって前記一又は複数のバッフルブレードに加えられた空気力に応じて、各バッフルブレードが前記弾性部材回りに回転して前記弾性部材を変形させるようにする
ハイブリッド冷却システム。
【請求項15】
前記一又は複数のバッフルユニットの少なくとも1つは、前記基板の前縁に結合されている
請求項1に記載のハイブリッド冷却システム。
【請求項16】
前記一又は複数のバッフルユニットの少なくとも1つは、前記一又は複数の冷却板の少なくとも1つの前縁に結合されている
請求項1に記載のハイブリッド冷却システム。
【請求項17】
前記一又は複数のバッフルユニットは、マルチバッフルユニットを含み、各バッフルユニットは各冷却板の上流で前記基板に結合されている
請求項1に記載のハイブリッド冷却システム。
【請求項18】
前記一又は複数のバッフルユニットの少なくとも1つは、取付構造によって前記基板、又は一もしくは複数の冷却板に結合されており、
前記取付構造は、
内部に固定チャンネルを有する垂直支持体と、
内部に固定チャンネルを有する角度付き支持体とを備え、前記角度付き支持体の一端部は、前記垂直支持体の前記固定チャンネルに可動に結合されている
請求項1に記載のハイブリッド冷却システム。
【請求項19】
前記一又は複数のバッフルブレードの1つの前記第2の縁は、前記角度付き支持体の前記固定チャンネルに固定されている
請求項1に記載のハイブリッド冷却システム。
【請求項20】
前記角度付き支持体の、前記垂直支持体の前記固定チャンネルに可動に結合された前記一端部は、前記固定チャンネル内を移動して、前記垂直支持体に対する前記角度付き支持体の角度を変えることが可能である。
請求項1に記載のハイブリッド冷却システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示された実施形態は、一般的に、電子機器の温度制御のためのハイブリッド冷却システムに関し、限定しないが、特に、ハイブリッド冷却電子機器における気流を管理することで液体冷却を改善するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
サーバ、ブレードサーバ、ルータ、エッジサーバなどの多くの現代の情報技術(IT)機器は、動作中に大量の熱を発生する。個々の構成要素、特に複数のチップレットを含むプロセッサやSoCなどの高出力構成要素により発生された熱により、これらの個々の構成要素の多くは、空気冷却システムで効果的に冷却することが不可能又は困難になる。従って、最新のIT機器には、液体冷却、又は液体-空気ハイブリッド冷却(つまり空気冷却と液体冷却とを組み合わせる冷却)が必要である。
【0003】
液体冷却を必要とした結果、一部のIT機器は液体冷却システムを搭載する。該システムは、冷却板のような素子を使用して、冷却を必要とする各構成要素に熱的に結合されている。これらの設計では、冷却液を熱源の近くに配置することにより、放熱性能を向上させる。しかし、これらの機載液体冷却システムは、通常、単独で動作せず、電子機器ラックにおける液体冷却システムなど、少なくとも1つの大きな冷却システムに結合されている。また、ラックの冷却システムは、データセンタなど、大きな設備の液体冷却システムにさらに結合することができる。このようなシステムでは、データセンタの冷却システムが作動流体をラック冷却システムに循環させ、ラック冷却システムが作動流体をIT機器における冷却システムに循環させる。
【0004】
ハイブリッド冷却システムが注意深く管理されていない場合、空気冷却及び液体冷却は互いに反して作用する可能性があり、又は互いに悪影響を及ぼし、システム全体の効率及び有効性を低下させる可能性がある。液体システムから空気への熱の損失を防ぐために、従来では、冷却装置の蓋に高耐熱性材料を配置するか、又は上部に熱損失防止材料を追加する解決策があった。これらの設計では、熱抵抗を増やして対流による熱損失を防ぐ。これらの方法は、柔軟性がなく、実装が容易ではなく、遮断機能だけで一層よい気流管理を提供することができないという欠点がある。また、エアバッフルを使用する従来の解決策もあるが、現在では、ほとんどのエアバッフルはサーバのシャーシとサーバの内部レイアウトに大きく依存している。これは、各エアバッフルが特定のレイアウト及び機能に応じてカスタマイズされることを意味する。その結果、従来のエアバッフルはあまり拡張性が高くない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様は、弾性部材と、一又は複数のバッフルブレードとを備え、各バッフルブレードは、第1の縁及び第2の縁を有し、各バッフルブレードの第1の縁が前記弾性部材に結合されており、各バッフルブレードは、前記一又は複数のバッフルブレードに加えられた空気力に応じて、前記弾性部材回りに回転して前記弾性部材を変形させるバッフルユニットである。
【図面の簡単な説明】
【0006】
以下、図面を参照して本発明の非限定的かつ非網羅的な実施形態を説明する。同一の符号は、特別の指定がない限り、各図において同様の部分を指す。
【0007】
図1A】バッフルユニットの実施形態の分解側面図である。
図1B】バッフルユニットの実施形態の組立側面図である。
図1C】バッフルユニットの他の実施形態の側面図である。
図2A】バッフルユニットの実施形態を取り付けるための取付構造の実施形態の正面図である。
図2B】バッフルユニットの実施形態を取り付けるための取付構造の実施形態の側面図である。
図3図2A及び図2Bに示す取付構造によって基板に取り付けられたバッフルユニットの実施形態の側面図である。
図4】ハイブリッド冷却システムの実施形態に取り付けられたバッフルユニットの実施形態の側面図である。
図5】ハイブリッド冷却システムの実施形態に取り付けられたバッフルユニットの実施形態の側面図である。
図6】冷却板に結合された電子構成要素に隣接して基板に取り付けられたバッフルユニットの他の実施形態の側面図である。
図7】電子構成要素及び冷却板に隣接して基板に取り付けられたバッフルユニットの他の実施形態の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
実施形態では、ハイブリッド冷却システムにおいて気流管理を改善することで冷却を改善するためのバッフルユニットについて説明する。実施形態の理解のために特定の詳細が記載されているが、当業者であれば、一又は複数の詳細がなくても本発明を実施することができるか、又は、他の方法、構成要素、材料などを用いて本発明を実施することができる。周知の構造、材料、又は操作は、詳細に示されていないか、又は説明されていないが、それにもかかわらず、本発明の範囲内に含まれている。
【0009】
本明細書における「一実施形態」又は「実施形態」への言及は、当該実施形態に関連して説明された特定の特徴、構造、又は特性が本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれ得ることを意味する。本明細書の様々な箇所に出現する「一実施形態では」とは、必ずしも全て同じ実施形態を指すわけではない。さらに、特定の特徴、構造、又は特性は、一又は複数の実施形態において、任意の適切な方法で組み合わせることができる。本出願で使用される場合、「前」、「後」、「上」、「下」、「側」、「横方向」、「縦方向」などの方向性用語は、実施形態において図面に示されている方向を指す。方向性のある用語は、実際の使用時に、記載された実施形態の特定の方向性を暗示したり要求したりするものと解釈されるべきではない。
【0010】
液体冷却システム、特に、空気及び液体の両方によって冷却されるハイブリッド冷却システムの性能を向上させる装置及びアプローチが提案される。装置は、取付構造及びバッフル構造を含む。2つの主要なユニット(即ち回転ユニット及びブレード)はバッフル構造に使用される。回転部は、可撓性ばねと統合して、異なる空気圧に応じてブレードの異なる開口率を制御する。この設計により、空気ストリームに導入される気流抵抗が適切に動的に調整できることが確保される。また、装置がシャーシに取り付けられ、気流を遮断して液体冷却装置から遠ざけると同時に目標の熱負荷への気流を支援するためのアプローチとして使用される。装置は、液体冷却装置から独立したユニットであってもよいし、冷却装置に統合されたユニットとして設計されてもよい。全体の構造設計により、様々なサーバシャーシ及びボードレイアウトでの柔軟な統合方法が可能になる。
【0011】
開示された実施形態は、発熱電子機器に直接装着される冷却板などの液体冷却構成要素を使用する液体冷却システムに使用される。これらの解決策のほとんどの用途はハイブリッド冷却環境であり、つまり、空気冷却される装置の熱管理に冷却空気も供給される。気流は、対流、特に強制対流により、液体冷却装置に悪影響を及ぼす可能性がある。これは、液体によって捕捉された熱の一部が、外部の液体熱伝達ループに伝達される前に気流に抽出される可能性があるためである。これは、IT側と設備側との両方の冷却性能に影響を及ぼす可能性があり、システム効率を低下させる可能性もある。また、液体冷却装置は、気流遮断機能によって空気冷却に悪影響を及ぼす可能性があるため、液体冷却電子機器と電子機器の液体冷却装置とを冷却空気で分離させることで、空気冷却システムに有利であり得る。開示された実施形態は、また、気流抵抗を最小化することで気流管理を改善することを目的とする。
【0012】
開示された実施形態は、また、装置の可用性及び拡張性を向上させることを目的とする。これは、設計が様々な種類のシステム及び様々な用途に使用できることを意味する。これにより、ハードウェア設計に関連するコストが削減されるだけでなく、デバイスの実装に必要なシステムレベルの設計の量も削減される。この方法は、CPU、GPUなどの様々な実際の製品の設計と組み立てに使用できる。チップ又はプロセッサにパッケージ化された性能及び電力の増加に伴い、適切な機能と性能を確保するために冷却が重要になる。
【0013】
開示された実施形態は、異なるサーバ及び気流管理要件を含む、異なるシナリオに柔軟に使用することができる高度な装置を提供する。実施形態は、複数の構成要素を備えるシステムで使用し、個々の構成要素に実装することができる。さらに、これらの実施形態は、単に気流を遮断することではなく、気流を迂回させることによって気流管理を強化するとともに、目標位置での柔軟な実装及び取り付け方法を可能にさせる。なお、装置によって導入される気流抵抗が気流速度の変化に応じて動的に調整されるという点も重要である。
【0014】
図1A及び図1Bには、バッフルユニット100の実施形態が図示されている。図1Aは分解図、図1Bは組立図である。バッフルユニット100は、一対のバッフルブレード104、106に結合される回転ユニット102を含む。図示した実施形態では、バッフルブレードを2つ含むが、バッフルユニット100の他の実施形態では、1つのバッフルブレードを使用することができる(例えば図5を参照)。
【0015】
回転ユニット102は、軸110回りに配置された弾性部材108を含む。一実施形態では、弾性部材108は、ねじりばねであり得るが、他の実施形態では、別の種類の弾性部材を使用することができる。別の実施形態では、軸110を省略して弾性部材108のみを含む回転ユニット102でもあり得る。
【0016】
バッフルブレード104及び106それぞれは、少なくとも第1の縁及び第2の縁を含む。バッフルブレード104は第1の縁104a及び第2の縁104bを含み、バッフルブレード106は第1の縁106a及び第2の縁106bを含む。一実施例では、バッフルブレード104及び106は四辺形(例えば、正方形又は長方形)であり得るが、他の実施形態では、バッフルブレードは非四辺形状をなし得る。更なる他の実施形態では、バッフルブレード104及び106は、四辺形又は他の形状にかかわらず、同じ形状をなす必要はない。一実施形態では、バッフルブレード104及び106が長方形である場合、各バッフルの第1の縁及び第2の縁は長方形の長辺である。
【0017】
図示した実施形態では、各バッフルブレードの第1の縁(即ち第1の縁104a及び第1の縁106a)は、回転ユニット102に結合されている。一実施形態では、回転ユニット10は軸110を含み、第1の縁104a及び第1の縁106aは、軸110に回転可能に結合されており、それぞれが軸回りに回転できるため、バッフルブレード104と106との相対角度は変化できる。一実施形態では、回転ユニット102が軸110を含まず、第1の縁104a及び第1の縁106aが弾性部材108に結合されており、各バッフルブレードが弾性部材の中心回りに回転できるため、バッフルブレード同士の相対角度は変化できる。
【0018】
別の実施形態では、バッフルユニット100は、各バッフルブレードの第2の縁(即ち、第2の縁104b及び第2の縁106b)が以下のいずれかのように設けられ得る。
1.別の素子に固定される(即ち、該素子に対して回転も移動もできない)か、又は、メインフレームに固定される。
2.別の素子に回転可能に固定される(即ち、該素子回りに回転できるが、該素子に対して移動できない)。
3.別の素子に移動及び回転可能に装着される(即ち、該素子回りに回転でき、且つ該素子とともに、又は該素子に対して移動できる)。
4.自由である(即ち、別の素子に装着されない)。
【0019】
いくつかの実施形態では、バッフルブレードを2つ含み、第2の縁104b及び第2の縁106bのうち、少なくとも1つが自由であり、図示した一実施形態では、バッフルユニット100は、第2の縁104bが固定されているが、第2の縁106bは自由である。実施形態では、シングルバッフルブレードを1つのみ含み、弾性部材108及び/又は軸110(存在する場合)は固定されているため、装着されたバッフルブレードの第1の縁も固定されており、第2の縁は自由である。いくつかの実施形態では、バッフルブレード104及び106のうちの1つの第2の縁は、追加の回転ユニット152に結合することもできる(例えば、図1Cを参照)。
【0020】
バッフルユニット100の動作では、図示した矢印で示すように、空気が右から左へ流れる。一実施例では、気流源は自然対流であり得るが、他の実施形態では、気流はファンなどの素子によって駆動される強制対流であり得る。空気は、バッフルユニットの上を流れると、バッフルユニット、より具体的にはバッフルブレード104及び106に空気力を加える。上記のように、図示した一実施形態では、バッフルユニット100は、第2の縁104bが固定されており、第2の縁106bが自由であり、回転ユニット102も自由である。バッフルブレード104及び106に作用した空気力により、弾性部材108が撓み、弾性部材108及び軸110(存在する場合)の中心回りのモーメントが加えられる。弾性部材108は、その弾性によって、バッフルブレード104及び106に復元力を加えて、バッフルブレードに作用した空気力に抵抗する。空気力が増加することにつれて、力が平衡状態になるまで、弾性部材108によって加えられた力も増加する。平衡位置では下記の式がある。
【0021】
【数1】
【0022】
上記の式において、バッフルブレード106(一例とする)の力の分析に基づいて、-Ksは弾性力の気流とは反対する方向における構成要素を示し、pAは気流方向における空気力を示す。Kは弾性部材108のばね定数であり、sは弾性部材108の気流方向におけるたわみ(これは正しいかもしれないが、通常はある方向におけるたわみと言わない)であり、pは気流の動圧であり、Aはバッフルブレードの基準面積であり、ρは空気密度であり、vは気流速度である。平衡位置に達すると、バッフルユニット100は、その後方(即ち、バッフルユニットの気流の起点とは反対の側、例えば図2Bを参照)における全ての構成要素を気流から保護する。速度や密度などの気流の特性が変化すると、バッフルユニットは上記の式を満たす新しい平衡位置に自動的に合わせる。このように、バッフルユニットは、弾性構造のため、空気圧に応じて自動的に調整され、弾性部材108の適切な弾性係数を選択することにより、抵抗が動的に調整されるため、一層よい気流管理の効率を達成することができる。これは、流動抵抗が空気の流量に基づいて自動的かつ動的に調整及び最適化されることを意味する。
【0023】
図1Cには、バッフルユニット150の実施形態が示されている。いくつかの実施形態では、図1A及び1Bに示すように、バッフルユニット100は回転ユニット及びバッフルブレードを追加することにより拡張され得る。バッフルユニット150はそのように拡張されたバッフルユニット100の実施形態である。バッフルユニット150は、バッフルユニット100の全ての素子に加えて、バッフルブレード106の第2の縁に結合された追加の回転ユニット152をも含み、また、第1の縁154aが追加の回転ユニット152に結合された追加のバッフルブレード154をも含む。回転ユニット102と同様に、回転ユニット152は、軸158回りに配置された弾性部材156を含む。一実施例では、弾性部材156はねじりばねであるが、他の実施形態では、別の種類の弾性部材を使用することができる。他の実施形態では、軸158を省略することができ、これにより、回転ユニット152は弾性部材156のみを含む。
【0024】
追加のバッフルブレード154は、少なくとも、第1の縁154a及び第2の縁154bを含む。一実施例では、バッフルブレード154は四辺形(例えば、正方形又は長方形)であり得るが、他の実施形態では、バッフルブレードは非四辺形状であり得る。更なる他の実施形態では、バッフルブレード154は、バッフルブレード104及び106と同様な形状を有する必要はない。一実施形態では、バッフルブレード154は長方形であり、第1の縁154a及び第2の縁154bは長方形の長辺であり得る。図示した実施形態では、バッフルユニット150の第1の縁154aは、弾性部材156及び軸158(存在する場合)に結合されており、第2の縁154bは自由である。バッフルユニット150は、バッフルユニット100と同様に動作し、ただし、バッフルユニットが空気力に対抗するために使用する復元力は、1つではなく、2つの回転ユニットにより提供される。
【0025】
図2A及び図2Bには、バッフルシステム200の実施形態が示されている。図2Aは正面図、図2Bは側面図である。バッフルシステム200は、バッフルユニット150(図1Cを参照)などのバッフルユニットと、バッフルユニット150を基板などの構成要素(図3~7を参照)に固定するための取り付けフレーム202とを含む。他の実施形態では、バッフルシステム200は、バッフルユニット100(図1A及び1Bを参照)など、バッフルユニットの様々な実施形態を使用することができる。
【0026】
取り付けフレーム202は垂直支持体204及び角度付き支持体206を含む。垂直支持体204は固定チャンネル208を含み、角度付き支持体206は固定チャンネル210を含む。他の実施形態では、取り付けフレーム202が使用する支持体は図示した数より多くても少なくてもよい。他の実施形態では、支持体は、図示した位置、又は図示した相互関係にある必要はない。固定チャンネル208及び210は、バッフルユニット150を取り付けフレームに結合することを可能にするだけでなく、角度付き支持体が垂直支持体に対して移動できるように、垂直支持体204を角度付き支持体206に結合することを可能にするため、バッフルユニット150の位置を調整することができる。図示した実施形態では、バッフルブレード104の第2の縁104bは固定ノブ214によって固定チャンネル210に可動に固定されている。同様に、角度付き支持体206の一端部は固定ノブ212によって固定チャンネル208に可動に固定されている。この配置により、取り付けフレーム及びバッフルユニット150を調整する方法が2つ得られる。角度付き支持体206の垂直支持体204に対する角度、及びバッフルブレード104の気流に対する角度は、角度付き支持体206の一端部が固定チャンネル208の中を上下移動するように固定ノブ212を移動することで調整できる。バッフルブレード104の気流に対する角度、さらにバッフルユニット150の角度は、固定チャンネル210の中を固定ノブ214を移動させることでさらに調整することができる。これにより、一層よい気流の遮断が確保されるとともに、装置により導入される抵抗を最小限に抑えることで、気流への影響が排除される。垂直支持体及び角度付き支持体の両方に固定チャンネルがあるため、実装の柔軟性が向上する。
【0027】
図3には、バッフルシステム200など、バッフルシステムの実施形態を使用したハイブリッド冷却システム300の実施形態が示されている。ハイブリッド冷却システム300では、プロセッサ又は他の発熱電子構成要素304が基板302に取り付けられている。一実施例では、基板302はプリント回路基板であり得るが、他の実施形態では、基板302は別の種類の基板であり得る。冷却板306が構成要素304に熱的に結合されているため、熱は発熱構成要素304から冷却板を通り流れる液体に伝達される。図面には示されていないが、他の流体構成要素(例えば、ホース、ポンプ、熱交換器、バルブなど)は、冷却板306に結合されて、冷却流体を循環させて冷却板を通す。図示しない他の発熱電子構成要素は、液体冷却の代わりに空気冷却ができる。
【0028】
取り付けフレーム202は、少なくとも垂直支持体204を基板302に取り付けて結合することにより、基板302に結合されている。角度付き支持体206は、前述したように、固定チャンネル208に結合されている。バッフルユニット100などの2つのブレードを有するバッフルユニットは、バッフルブレード104の第2の縁が角度付き支持体206の固定チャンネル210に結合されるように、取り付けフレームに結合されている。図示したバッフルシステムの動作は、図1A~1Cに基づいて説明した通りである。
【0029】
バッフルシステム200は、冷却板の右側に組み立てられており、これは入射気流が冷却板に近づく方向である。バッフルシステムの取り付け位置は、一又は複数の冷却板の近傍であり、バッフルブレードは気流入口に実装される。PCB又はシャーシ/システムのレイアウト又はスペース/フットプリントの可用性に大きく依存することはない。拡張可能な取り付けフレームを様々な場所に取り付けることができるため、PCB又はシャーシのレイアウトへの依存が排除できるということは示されている。バッフルブレードは、気流の遮断路を形成し、空気経路を最適化させて気流への影響を最小限に抑える。取り付けフレームにおける固定チャンネルは、2つの支持体の間、並びに回転ユニットと1つの取り付けフレーム(図3に示す傾斜したもの)との間で調整が可能になる。一実施形態では、より複雑な構造環境において、複数の角度付き支持体206を有してもよい。
【0030】
図4には、シングルブレードバッフルユニットの実施形態を使用するハイブリッド冷却システム400の実施形態が示されている。ハイブリッド冷却システム400では、一対のプロセッサ又は他の発熱電子構成要素404a及び404bが基板402に取り付けられている。一実施例では、基板402はプリント回路基板であり得るが、他の実施形態では、基板402は別の種類の基板であり得る。冷却板406が各構成要素404に(冷却板406aが構成要素404aに、冷却板406bが構成要素404bに)熱的に結合されているため、熱は各発熱構成要素404から対応する冷却板406を通り流れる液体に伝達され得る。図面には示されていないが、他の流体構成要素(例えば、ホース、ポンプ、熱交換器、バルブなど)は、冷却板406a及び406bに結合されて、冷却流体を循環させて冷却板を通す。
【0031】
シングルブレードバッフルユニット408は基板402の前縁(即ち、基板の入射気流源に最も近い縁、又は入射気流に最初に衝突される縁)に取り付けられている。バッフルユニット408は、バッフルユニット100(図1A~1Bを参照)のシングルブレードの実施形態であり、回転ユニット102が基板402に取り付けられており、バッフルブレード106が回転ユニットから延出されている。一実施例では、バッフルユニット408は、図2A~2Bに示す取り付けフレーム202を使用して取り付けることができるが、他の実施形態では、バッフルユニット408は異なる態様で取り付けることができる。他の実施形態では、バッフルユニット408は、プリント回路基板402の代わりに、例えばサーバシャーシなど、別の素子に実装され得る(例えば図7を参照)。
【0032】
動作中に、システム400における気流は、バッフルユニット408に遭遇し、バッフルブレード106に空気力を加え、回転ユニット102の弾性部材によって平衡化される。一実施例では、気流源は自然対流であり得るが、他の実施形態では、気流はファンなどの素子によって駆動される強制対流であり得る。バッフルブレードがその平衡位置(即ち、気流方向における空気力=気流と反対の方向における弾性復元力の分力)にある際に、バッフルブレード106によって、気流が冷却板406b及び406aのうちの一方又は両方の上を迂回するため、冷却板の表面を気流が通ることは低減又は防止され、冷却板からの熱の抽出は低減される。これらの熱は、より良い冷却効率のために、冷却板を通り流れる液体中に留まるべきである。
【0033】
図5には、シングルブレードバッフルユニットの実施形態を使用するハイブリッド冷却システム500の実施形態が示されている。ハイブリッド冷却システム400と同様に、ハイブリッド冷却システム500は、一対のプロセッサ又は他の発熱電子構成要素404a及び404bが基板402に取り付けられている。一実施例では、基板402はプリント回路基板であり得るが、他の実施形態では、基板402はある別の種類の基板であり得る。冷却板406は、各構成要素404に(冷却板406aが構成要素404aに、冷却板406bが構成要素404bに)熱的に結合されて、熱を各発熱構成要素404から対応する冷却板406を通り流れる液体に伝達する。図面には示されていないが、他の流体構成要素(例えば、ホース、ポンプ、熱交換器、バルブなど)は、冷却板406a及び406bに結合されて、冷却流体を循環させて冷却板を通す。
【0034】
ハイブリッド冷却システム500及び400の主な相違は、ハイブリッド冷却システム500がより多いバッフルユニットを含み、且つこれらのバッフルユニットの位置が異なるという点にある。バッフルユニットを実際の使用に応じて調整することができ、設計が既存のシステムを変更せずに適合できることが示されている。さらに、実装方法の多様性により、様々な用途に応じて設計を適用するためのより柔軟な方法が可能になる。
【0035】
システム500では、シングルブレードバッフルユニット502aは冷却板406aの前縁(即ち、冷却板の入射気流源に最も近い縁、又は入射気流に最初に衝突される縁)に取り付けられており、シングルブレードバッフルユニット502bは冷却板406bの前縁に取り付けられている。図示した実施形態では、バッフルユニット502a及び502bは、いずれもバッフルユニット100(図1A~1Bを参照)のシングルブレードの実施形態であり、回転ユニット102が冷却板406a及び406bに取り付けられており、対応するバッフルブレード106a及び106bが回転ユニットから延出されている。他の実施形態では、複数のバッフルユニットを使用する必要はなく、その代わりに、冷却板406a又は冷却板406bに配置されたシングルバッフルユニットのみを使用することができる。他の実施形態では、シングルブレードバッフルユニットを使用する必要もなく、その代わりに、図1A~1Cに示すマルチブレードバッフルユニットを使用することができる。一実施例では、バッフルユニット502a~502bは、図2A~2Bに示す取り付けフレーム202を使用して取り付けることができるが、他の実施形態では、バッフルユニット502a~502bは異なる態様で取り付けることができる。
【0036】
動作中に、システム500における気流は、バッフルユニット502bに遭遇し、バッフルブレード106bに空気力を加え、回転ユニット102の弾性部材によって平衡化される。一実施例では、気流源は自然対流であり得るが、他の実施形態では、気流はファンなどの素子によって駆動される強制対流であり得る。バッフルブレード106bがその平衡位置(即ち、気流方向における空気力=気流と反対の方向における弾性復元力の分力)にある際に、バッフルブレード106bによって、気流が冷却板406bの上を迂回する。そして、気流は、バッフルユニット502aに遭遇するまで移動し、該バッフルユニット502aは、バッフルブレード106aを使用して、気流を冷却板406aの上を迂回させる。バッフルユニット502a及び502bは、それぞれの冷却板の表面を気流が通ることを防止するため、冷却板からの熱の対流抽出は低減又は防止される。これらの熱は、より良い冷却効率のために、冷却板を通り流れる液体中に留まるべきである。
【0037】
図6には、シングルブレードバッフルユニットの実施形態及びマルチブレードバッフルユニットの実施形態を使用するハイブリッド冷却システム600の実施形態が示されている。ハイブリッド冷却システム500と同様に、ハイブリッド冷却システム600では、一対のプロセッサ又は他の発熱電子構成要素404a及び404bは、基板402に取り付けられている。一実施例では、基板402はプリント回路基板であり得るが、他の実施形態では、基板402は別の種類の基板であり得る。冷却板406は、各構成要素404に(冷却板406aが構成要素404aに、冷却板406bが構成要素404bに)熱的に結合されて、熱を各発熱構成要素404からその対応する冷却板406を通り流れる液体に伝達する。図面には示されていないが、他の流体構成要素(例えば、ホース、ポンプ、熱交換器、バルブなど)は、冷却板406a及び406bに結合されて、冷却流体を循環させて冷却板を通す。
【0038】
ハイブリッド冷却システム600及び500の主な相違は、ハイブリッド冷却システム600が異なるバッフルユニットを使用し、且つ該バッフルユニットの位置が異なるという点にあり、実際の使用に基づいてシステムを調整することができる1つの方法が示されている。図示した実施形態では、最適な気流管理を実現するために、異なる種類の取り付け方法を必要とする場合があるが、これは、既存のシステムを変更することなく、既存のシステムに設計が実装できることを示している。
【0039】
システム600では、マルチブレードバッフルユニット602aは基板402において冷却板406aの前方(即ち、冷却板よりも入射気流源に近い側)に取り付けられており、シングルブレードバッフルユニット602bは、基板402において冷却板406bの前方に取り付けられている。図示した実施形態では、バッフルユニット602aは、バッフルユニット100の実施形態であり、2つの回転ユニット102a1及び102a2と、2つのバッフルブレード104a及び106aとを含む。回転ユニット102a1は、基板402の表面に配置され、バッフルブレード104の第2の縁に結合されている。バッフルブレード104の第1の縁及びバッフルブレード106の第1の縁は、回転ユニット102a2に結合されている。一実施例では、バッフルユニット602a~602bは、図2A~2Bに示す取り付けフレーム202を使用して取り付けることができるが、他の実施形態では、バッフルユニット602a~602bは異なる態様で取り付けることができる。
【0040】
バッフルユニット602bは、バッフルユニット100(図1A~1Bを参照)のシングルブレードの実施形態であり、回転ユニット102bが基板402に配置されており、バッフルブレード106bが回転ユニットから延出されている。他の実施形態では、システム600は、2つのバッフルユニットを使用する必要はなく、その代わりに、基板402に配置されたシングルバッフルユニットのみを使用することができる(例えば、図3を参照)。他の実施形態では、シングルブレードバッフルユニットを使用する必要もなく、その代わりに、図1A~1Cに示すマルチブレードバッフルユニットを使用することができる。
【0041】
動作中に、システム600における気流は、バッフルユニット602bに遭遇し、空気力をバッフルブレード106bに加える。空気力は回転ユニット102の弾性部材によって平衡化される。一実施例では、気流源は自然対流であり得るが、他の実施形態では、気流源はファンなどの素子によって駆動される強制対流であり得る。バッフルブレード106bがその平衡位置(即ち、気流方向における空気力=気流と反対の方向における弾性復元力の分力)にある際に、バッフルブレード106bは気流を冷却板406bの上を迂回させる。気流は、バッフルユニット602aに遭遇するまで気流方向において移動し、バッフルユニット602aに遭遇すると、冷却板406aの上を迂回する。よって、バッフルユニット602a及び602bは、それぞれの冷却板の表面を空気が通ることを防止し、熱の対流抽出を低減又は防止する。これらの熱は、一層よい冷却効率のために、冷却板を通り流れる液体中に留まるべきである。
【0042】
図7には、シングルブレードバッフルユニットの実施形態を使用するハイブリッド冷却システム700の実施形態が示されている。ハイブリッド冷却システム500と同様に、ハイブリッド冷却システム700では、一対のプロセッサ又は他の発熱電子構成要素404a及び404bは基板402に取り付けられている。一実施例では、基板402はプリント回路基板であり得るが、他の実施形態では、基板402は別の種類の基板であり得る。冷却板406は、各構成要素404に(冷却板406aが構成要素404aに、冷却板406bが構成要素404bに)熱的に結合されて、熱を各発熱構成要素404からその対応する冷却板406を通り流れる液体に伝達する。図面には示されていないが、他の流体構成要素(例えば、ホース、ポンプ、熱交換器、バルブなど)は、冷却板406a及び406bに結合されて、冷却流体を循環させて冷却板を通す。
【0043】
ハイブリッド冷却システム700及び500の主な相違は、ハイブリッド冷却システム700が、冷却板406a~406bに取り付けられたバッフルに加えて、追加のバッフルをも含む点にある。異なる種類の取り付け方法を必要とする場合があるが、これは、既存のシステムに変更を加えることなく、既存のシステムに設計が実装できることをさらに示している。
【0044】
システム500と同様に、システム700では、シングルブレードバッフルユニット502aは冷却板406aの前縁(即ち、冷却板の入射気流源に最も近い縁、又は入射気流に最初に衝突される縁)に取り付けられており、シングルブレードバッフルユニット502bは冷却板406bの前縁に取り付けられている。
【0045】
図示した実施形態では、バッフルユニット502a及び502bは、いずれもバッフルユニット100(図1A~1Bを参照)のシングルブレードの実施形態であり、回転ユニット102が冷却板406a及び406bに取り付けられており、バッフルブレード106は回転ユニットから延出されている。他の実施形態では、複数のバッフルユニットを使用する必要はなく、その代わりに、冷却板406a又は冷却板406bに配置されたシングルバッフルユニットのみを使用することができる。他の実施形態では、シングルブレードバッフルユニットを使用する必要もなく、その代わりに、図1A~1Cに示すマルチブレードバッフルユニットを使用することができる。
【0046】
バッフルユニット502a~502bに加えて、システム700は、一又は複数の追加のバッフル702を含み、追加のバッフル702は、基板402又は冷却板406a~406b以外の構成要素704に取り付けることができる。一実施例では、構成要素704は、冷却構成要素704であり得るが、他の実施形態では、構成要素704は、サーバシャーシ又はラックなど、別の種類の構成要素であり得る。一実施例では、バッフルユニット702は図2A~2Bに示す取り付けフレーム202を使用して構成要素704に取り付けることができるが、他の実施形態では、バッフルユニット702は、異なる態様で取り付けることができる。さらに、例えばシステム700及び500などのマルチデバイス実装は、液体冷却ループからの構造的干渉に対応できる。図2Aに示す例と比較すると、より小さい装置を個々の冷却板に実装することができる。
【0047】
動作中に、バッフルユニット702は、システム500について説明したように、バッフルユニット502a~502bとともに動作して、冷却板406a~406bからの気流への対流熱伝達を制限又は防止する。
【0048】
前述した実施形態以外に、他のバッフルの実施形態も可能である。例えば、以下の実施形態が挙げられる。
・装置の取り付け方法が様々あり、追加の構成要素又は構造を必要とする場合がある。
・回転ユニットには、様々な弾性構造又はメカニズムを使用することができる。
・取付構造の設計には、様々なフレキシブル構造を使用することができる。
【0049】
実施形態の上記の説明は、網羅的であること、又は説明された形態に本発明を限定することを意図するものではない。本発明の特定の実施形態及びその例は、例示の目的で本明細書に記載されているが、様々な変形が可能である。
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7