IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ヴィアサット,インコーポレイテッドの特許一覧

特許7277634光フィーダリンクを使用した広帯域衛星通信システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-10
(45)【発行日】2023-05-19
(54)【発明の名称】光フィーダリンクを使用した広帯域衛星通信システム
(51)【国際特許分類】
   H04B 10/118 20130101AFI20230511BHJP
   H04J 14/02 20060101ALI20230511BHJP
   H04B 10/67 20130101ALI20230511BHJP
   H04B 7/15 20060101ALI20230511BHJP
   H04B 10/50 20130101ALI20230511BHJP
【FI】
H04B10/118
H04J14/02
H04B10/67
H04B7/15
H04B10/50
【請求項の数】 50
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022033193
(22)【出願日】2022-03-04
(62)【分割の表示】P 2018534159の分割
【原出願日】2016-12-30
(65)【公開番号】P2022084696
(43)【公開日】2022-06-07
【審査請求日】2022-03-30
(31)【優先権主張番号】62/273,730
(32)【優先日】2015-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513180451
【氏名又は名称】ヴィアサット,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】ViaSat,Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】弁理士法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】メンデルソーン,アーロン
【審査官】佐藤 敬介
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第1466824(CN,A)
【文献】米国特許第06246498(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2005/0100339(US,A1)
【文献】米国特許第06404398(US,B1)
【文献】特開2010-016485(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0259497(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第02723001(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 10/118
H04J 14/02
H04B 10/67
H04B 7/15
H04B 10/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のディジタル出力を有する光受信機と、
ディジタル入力とアナログ出力とを有する複数の無線周波数変調器であって、前記ディジタル入力が、前記光受信機の前記複数のディジタル出力のうちの1つに連結されている、複数の変調器と、
前記アナログ出力のうちの対応するものに連結されている複数のビーム形成器入力を有するビーム形成器であって、ビーム形成器入力の数が、前記ビーム形成器によって形成される利用者スポットビームの数に等しく、前記ビーム形成器が、複数のビーム形成器出力を更に有する、ビーム形成器と、
複数のアンテナ素子を有するアンテナアレイであって、それぞれのアンテナ素子が、前記ビーム形成器出力のうちの対応する1つに連結されている入力を有する、アンテナアレイと、を備える、衛星。
【請求項2】
複数の無線周波数(RF)出力を有する光受信機と、
前記RF出力のうちの対応するものに連結されている複数のビーム形成器入力を有するビーム形成器であって、ビーム形成器入力の数が、前記ビーム形成器によって形成される利用者スポットビームの数に等しく、前記ビーム形成器が、複数のビーム形成器出力を更に有する、ビーム形成器と、
複数のアンテナ素子を有するアンテナアレイであって、それぞれのアンテナ素子が、前記ビーム形成器出力のうちの対応する1つに連結されている入力を有する、アンテナアレイと、を備える、衛星。
【請求項3】
複数のLNAを更に備え、それぞれのLNAが、前記複数の変調器のうちの1つと前記ビーム形成器入力のうちの対応する1つとの間に連結されている、請求項1に記載の衛星。
【請求項4】
前記アンテナ素子のうちの少なくともいくつかのアンテナパターンが重なり合い、その結果、そこから送信された信号が互いの上に重ねられ、ひいてはコヒーレントに合成されて利用者スポットビームを形成することになる、請求項1または2に記載の衛星。
【請求項5】
利用者スポットビームが、利用者ビームカバレッジエリアよりも実質的に大きい衛星サービスカバレッジエリアの上に分散された利用者ビームカバレッジエリアに向けられている、請求項4に記載の衛星。
【請求項6】
前記光受信機が、入力と複数の出力とを有する光逆多重化装置を含み、それぞれの出力が、対応する光波長と関連付けられている、請求項2または3に記載の衛星。
【請求項7】
前記光逆多重化装置の前記出力と関連付けられている前記波長が、光帯域にグループ化されている、請求項6に記載の衛星。
【請求項8】
同じ光帯域内の波長が、一意の光チャネルを画定する、請求項7に記載の衛星。
【請求項9】
前記光受信機が、前記光受信機の対応するディジタル出力に連結されているディジタル出力をそれぞれ有する複数の衛星受信機用光検知器を含む、請求項1または2に記載の衛星。
【請求項10】
それぞれの衛星受信機用光検知器が光入力を有し、前記ディジタル出力が2つの論理的な状態を有しており、第1の論理的な状態は、第1の強度レベルを上回っている、前記衛星受信機用光検知器の入力に連結されている受信光信号と関連付けられており、第2の論理的な状態は、第2の強度レベルを下回っている前記信号と関連付けられている、請求項9に記載の衛星。
【請求項11】
前記変調器が2相変調器である、請求項1に記載の衛星。
【請求項12】
前記変調器がQAM変調器である、請求項1に記載の衛星。
【請求項13】
対応するビーム形成器出力と対応するアンテナ素子入力との間に連結されている少なくとも1つの周波数変換器を更に備える、請求項1または2に記載の衛星。
【請求項14】
周波数変換器の出力と対応するアンテナ素子入力との間に連結されている電力増幅器を更に備える、請求項13に記載の衛星。
【請求項15】
複数の光受信機を更に備えており、それぞれが複数の光受信機出力を有し、それぞれの光受信機出力が、対応する変調器のディジタル入力に連結されている、請求項1に記載の衛星。
【請求項16】
追加のビーム形成器と追加の光受信機とを更に備えており、それぞれの追加の光受信機は複数のディジタル出力を有し、前記追加のビーム形成器は、前記追加の光受信機のアナログ出力のうちの対応するものに連結されている複数のビーム形成器入力を有し、ビーム形成器入力の数は、前記ビーム形成器によって形成される利用者スポットビームの数に等しく、前記ビーム形成器は複数のビーム形成器出力を更に有し、それぞれの追加のビーム形成器からのビーム形成器出力の数は、1つの利用者スポットビームを形成するために使用されるビーム素子信号の数に等しい、請求項1に記載の衛星。
【請求項17】
システムにおいて、
複数の光変調器を含む光送信機であって、それぞれの光変調器が無線周波数(RF)入力と光出力とを有する、光送信機と、
複数の入力を有する光コンバイナであって、それぞれの入力が、前記複数の光変調器のうちの対応する1つの前記光出力に連結されている、光コンバイナと、
レンズと、
を含む、少なくとも1つの衛星アクセスノード(SAN)と、
複数の無線周波数(RF)出力を有する光受信機と、
前記RF出力のうちの対応するものに連結されている複数のビーム形成器入力を有するビーム形成器であって、ビーム形成器入力の数が、前記ビーム形成器によって形成される利用者スポットビームの数に等しく、前記ビーム形成器が、複数のビーム形成器出力を更に有する、ビーム形成器と、
複数のアンテナ素子を有するアンテナアレイであって、それぞれのアンテナ素子が、前記ビーム形成器出力のうちの対応する1つに連結されている入力を有する、アンテナアレイと、
を含む衛星と、を備えるシステム。
【請求項18】
前記アンテナ素子のうちの少なくともいくつかのアンテナパターンが重なり合い、その結果、そこから送信された信号が互いの上に重ねられ、ひいてはコヒーレントに合成されて利用者スポットビームを形成することになる、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
利用者スポットビームが、利用者ビームカバレッジエリアよりも実質的に大きい衛星サービスカバレッジエリアの上に分散された利用者ビームカバレッジエリアに向けられている、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
複数の光変調器を含む光送信機であって、それぞれの光変調器が電気入力と光出力とを有する、光送信機と、
複数の入力を有する光コンバイナであって、それぞれの入力が、前記複数の光変調器のうちの対応する1つの前記光出力に連結されている、光コンバイナと、
レンズと、を含む、少なくとも1つの衛星アクセスノード(SAN)と、
前記光送信機から光信号を受信するように構成されている少なくとも1つの光受信機であって、前記光受信機が複数のディジタル出力を有する、少なくとも1つの光受信機と、
ディジタル入力とアナログ出力とを有する複数の電気変調器であって、前記ディジタル入力が、前記光受信機の前記複数のディジタル出力のうちの1つに連結されている、複数の無線周波数(RF)変調器と、
前記アナログ出力のうちの対応するものに連結されている複数のビーム形成器入力を有するビーム形成器であって、ビーム形成器入力の数が、前記ビーム形成器によって形成される利用者スポットビームの数に等しく、前記ビーム形成器が、複数のビーム形成器出力を更に有する、ビーム形成器と、
複数のアンテナ素子を有するアンテナアレイであって、それぞれのアンテナ素子が、前記ビーム形成器出力のうちの対応する1つに連結されている入力を有する、アンテナアレイと、を含む、衛星と、を備える、衛星通信システム。
【請求項21】
前記光受信機が、入力と複数の出力とを有する光逆多重化装置を含み、それぞれの出力が、対応する光波長と関連付けられている、請求項19または20に記載のシステム。
【請求項22】
前記光逆多重化装置の前記出力と関連付けられている前記波長が、光帯域にグループ化されている、請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
前記光受信機が、前記光受信機の対応するRF出力に連結されているRF出力をそれぞれ有する複数の衛星受信機用光検知器を含む、請求項17に記載のシステム。
【請求項24】
それぞれの光受信機が、前記複数の衛星受信機用光検知器のうちの少なくとも1つの前記入力に連結されている出力を有する操縦可能なレンズを更に含む、請求項23に記載のシステム。
【請求項25】
前記ビーム形成器出力のうちの対応する1つと前記アンテナ素子入力のうちの対応する1つとの間に連結されている少なくとも1つの周波数変換器を更に備える、請求項17または20に記載のシステム。
【請求項26】
前記複数の周波数変換器のうちの1つの出力と前記アンテナ素子入力のうちの対応する1つとの間に連結されている電力増幅器を更に備える、請求項25に記載のシステム。
【請求項27】
前記アンテナ素子のうちの少なくともいくつかのアンテナパターンが重なり合い、その結果、そこから送信された信号が互いの上に重ねられ、コヒーレントに合成されて利用者スポットビームを形成することになる、請求項20に記載のシステム。
【請求項28】
前記利用者スポットビームが利用者ビームカバレッジエリアに向けられている、請求項20に記載のシステム。
【請求項29】
利用者スポットビームが、利用者ビームカバレッジエリアよりも実質的に大きい衛星サービスカバレッジエリアの上に分散された利用者ビームカバレッジエリアに向けられている、請求項28に記載のシステム。
【請求項30】
前記光受信機が、前記光受信機の対応するディジタル出力に連結されているディジタル出力をそれぞれ有する複数の衛星受信機用光検知器を含む、請求項20に記載のシステム。
【請求項31】
それぞれの衛星受信機用光検知器が光入力を有し、前記ディジタル出力が2つの論理的な状態を有しており、第1の論理的な状態は、第1の強度レベルを上回っている、前記衛星受信機用光検知器の入力に連結されている受信光信号と関連付けられており、第2の論理的な状態は、第2の強度レベルを下回っている前記信号と関連付けられている、請求項30に記載のシステム。
【請求項32】
複数の低雑音増幅器(LNA)を更に備え、それぞれが、光受信機出力と対応するビーム形成器入力との間に連結されている、請求項2に記載の衛星。
【請求項33】
前記衛星受信機用検知器からの前記RF信号出力が、前記衛星受信機用検知器の入力に印加された前記光信号の前記強度を追跡する振幅を有する、請求項2に記載の衛星。
【請求項34】
それぞれの光受信機が、前記複数の衛星受信機用光検知器のうちの少なくとも1つの前記入力に連結されている出力を有する操縦可能なレンズを更に含む、請求項33に記載の衛星。
【請求項35】
前記操縦可能なレンズが、地上コマンドに応じて少なくとも2つの軸の周りの回転によって位置決めされることができる、請求項34に記載の衛星。
【請求項36】
前記操縦可能なレンズが、オンボード処理に応じて少なくとも2つの軸の周りの回転によって位置決めされることができる、請求項34に記載の衛星。
【請求項37】
前記衛星受信機用光検知器がフォトダイオードである、請求項33に記載の衛星。
【請求項38】
複数の光受信機を更に備えており、それぞれが複数の光受信機出力を有し、それぞれの光受信機出力が、ビーム形成器入力に連結されている、請求項2に記載の衛星。
【請求項39】
衛星通信システムの衛星を介して情報を送信する方法であって、
衛星内で光信号を受信する工程と、
前記光信号を逆多重化し、複数の逆多重化された光信号を出力する工程であって、前記複数の逆多重化された光信号のそれぞれが、一意の光チャネル内で波長を有する、工程と、
複数のアナログ電気信号を生成する工程であって、それぞれが、前記逆多重化された光信号のうちの1つの光強度に応じて決定される振幅を有する、工程と、
前記複数のアナログ電気信号を前記衛星に搭載されたビーム形成器に印加する工程と、
前記ビーム形成器からビーム素子信号を受信する工程と、
前記ビーム素子信号が互いと重なると利用者スポットビームを形成するように、アンテナアレイから前記ビーム素子信号を送信する工程と、を含む、方法。
【請求項40】
前記ビーム形成器内でコマンドを受信してビーム素子信号を生成する工程を更に含み、前記ビーム素子信号のそれぞれが、衛星アクセスノード(SAN)と前記衛星との間の前記光リンクの前記品質に基づいて第1の利用者ビームカバレッジエリアに向けられた利用者スポットビームを形成するようにビーム加重される、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記受信されたコマンドが、ビーム素子信号を生成するためのコマンドを含み、前記ビーム素子信号のそれぞれが、第1の期間中には第1の利用者ビームカバレッジエリアに向けられた利用者スポットビームを形成するように、第2の期間中には第2の利用者ビームカバレッジエリアに向けられた利用者スポットビームを形成するように、ビーム加重される、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記ビーム素子信号を送信前に増幅する工程を更に含む、請求項39に記載の方法。
【請求項43】
複数のアンテナ出力を有するアンテナと、
複数の周波数変換器であって、それぞれが、前記複数のアンテナ出力のうちの対応する1つに連結されている、複数の周波数変換器と、
複数のビーム形成器入力及びビーム形成器出力を有するビーム形成器であって、それぞれのビーム形成器入力が、前記周波数変換器のうちの対応する1つに連結されている、ビーム形成器と、
複数の無線周波数(RF)復調器であって、それぞれが、対応するビーム形成器出力からRF信号を受信するように構成されているRF復調器入力を有し、かつ、ディジタルデータストリームを出力するように構成されている、複数のRF復調器と、
それぞれが前記RF復調器のうちの対応する1つの出力に連結されている、複数のディジタル入力を有し、かつ、前記ディジタルデータストリームが上に変調されている多重化された光チャネルを有する光信号を出力するように構成されている光出力を有する、光送信機と、を備える、衛星。
【請求項44】
前記RF復調器がバイナリ復調器である、請求項43に記載の衛星。
【請求項45】
前記RF復調器がQAM復調器である、請求項43に記載の衛星。
【請求項46】
複数のアンテナ出力を有するアンテナと、
複数の周波数変換器であって、それぞれが、前記アンテナ出力のうちの対応する1つに連結されている変換器入力を有し、かつ、変換器出力を有する、複数の周波数変換器と、
複数のビーム形成器入力及びビーム形成器出力を有するビーム形成器であって、前記ビーム形成器入力のそれぞれが、前記複数の周波数変換器のうちの1つの対応する出力に連結されている、ビーム形成器と、
それぞれが対応するビーム形成器出力に連結されている、複数の無線周波数(RF)入力を有し、かつ、光出力を有する、光送信機であって、前記光出力が、前記RF入力に連結されている信号によって変調されている多重化された光チャネルを有する光信号を出力するように構成されている、光送信機と、を備える、衛星。
【請求項47】
複数のアンテナ出力を有するアンテナと、
複数の周波数変換器であって、それぞれが、前記複数のアンテナ出力のうちの対応する1つに連結されている、複数の周波数変換器と、
複数のビーム形成器入力及びビーム形成器出力を有するビーム形成器であって、それぞれのビーム形成器入力が、前記周波数変換器のうちの対応する1つに連結されている、ビーム形成器と、
複数の無線周波数(RF)復調器であって、それぞれが、対応するビーム形成器出力からRF信号を受信するように構成されているRF復調器入力を有し、かつ、ディジタルデータストリームを出力するように構成されている、複数のRF復調器と、
それぞれが前記RF復調器のうちの対応する1つの出力に連結されている、複数のディジタル入力を有し、かつ、前記ディジタルデータストリームが上に変調されている多重化された光チャネルを有する光信号を出力するように構成されている光出力を有する、光送信機と、を含む、衛星と
光信号を前記衛星から受信するように構成されている操縦可能な光学レンズと、
前記光信号を前記光学レンズから受信するように連結されている逆多重化装置入力と、前記光信号から逆多重化された光チャネルを出力するように構成されている複数の逆多重化装置出力と、を有する光逆多重化装置と、
複数の光検知器であって、それぞれの光検知器が、前記逆多重化装置出力のうちの対応する1つに連結されており、前記光検知器が検知器出力を有する、複数の光検知器と、を含む、衛星アクセスノード(SAN)と、を備える、衛星通信システム。
【請求項48】
前記検知器出力が、ディジタルデータストリームを出力するように構成されている、請求項47に記載の衛星通信システム。
【請求項49】
前記検知器出力が、RF信号を出力するように構成されており、前記RF信号の振幅が、前記逆多重化装置出力のうちの前記対応する1つから前記検知器に連結されている信号の強度に比例する、請求項47に記載の衛星通信システム。
【請求項50】
複数のアンテナ出力を有するアンテナと、
複数の周波数変換器であって、それぞれが、前記アンテナ出力のうちの対応する1つに連結されている変換器入力を有し、かつ、変換器出力を有する、複数の周波数変換器と、
複数のビーム形成器入力及びビーム形成器出力を有するビーム形成器であって、前記ビーム形成器入力のそれぞれが、前記複数の周波数変換器のうちの1つの対応する出力に連結されている、ビーム形成器と、
それぞれが対応するビーム形成器出力に連結されている、複数の無線周波数(RF)入力を有し、かつ、光出力を有する、光送信機であって、前記光出力が、前記RF入力に連結されている信号によって変調されている多重化された光チャネルを有する光信号を出力するように構成されている、光送信機と、を含む、衛星と、
光信号を前記衛星から受信するように構成されている操縦可能な光学レンズと、
前記光信号を前記光学レンズから受信するように連結されている逆多重化装置入力と、前記光信号から逆多重化された光チャネルを出力するように構成されている複数の逆多重化装置出力と、を有する光逆多重化装置と、
複数の光検知器であって、それぞれの光検知器が、前記逆多重化装置出力のうちの対応する1つに連結されており、前記光検知器が検知器出力を有する、複数の光検知器と、を含む、衛星アクセスノード(SAN)と、を備える、衛星通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示される技術は、広帯域衛星通信システムのリンクに関し、より具体的には、衛星アクセスノードと衛星との間の広帯域通信のために光リンクを使用した衛星に関する。
【背景技術】
【0002】
衛星通信システムは、オーディオ、ビデオ、及び様々な他の種類のデータを含めて、データをある場所から別の場所へと通信することができる手段を提供する。このような衛星通信システムの使用は、広帯域通信への需要が高まるにつれて普及してきた。これに合わせて、各衛星でのより大きな容量への需要が高まっている。
【0003】
衛星システムでは、情報は、本明細書において衛星アクセスノード(SAN)と称する地球局(いくつかの事例では地上局であるが、空中局、海上局などもあり得る)から発信され、衛星まで送信される。いくつかの実施形態では、衛星は静止衛星である。静止衛星は、地球の回転に同期する軌道を有しており、それにより、衛星は地球に対して本質的に静止した状態を維持している。あるいは、衛星は、衛星がその軌道経路に沿って移動すると、衛星のフットプリントが地球の表面の上を移動することになる、地球を回る軌道内にある。
【0004】
衛星によって受信された情報は、地上の利用者ビームカバレッジエリアに再送信され、第2の地球局(利用者端末など)によって受信される。通信は、一方向性(例えば、SANから利用者端末へ)にするか、又は双方向性(即ち、SANと利用者端末の両方で発信され、衛星を介して他方に至る経路を通過する)のいずれかにすることができる。比較的多数のSAN及びスポットビームを提供し、衛星が同一周波数でいくつかの異なるSANと通信することを可能にする周波数再利用計画を確立することにより、システムの容量を増やすことができる可能性がある。利用者スポットビームは、信号を特定の利用者カバレッジエリアに向けるアンテナパターンである(例えば、複数の給電部が共通の反射器を照射するマルチビームアンテナであり、それぞれの給電部が異なるスポットビームを生成する)。しかしながら、それぞれのSANを構築し、維持するには高額な費用がかかる。そのため、少数のこのようなSANで高い容量を提供できる技術を見つけることが望まれる。
【0005】
更に、衛星通信システムの容量が増加すると、様々な問題が発生する。例えば、スポットビームは周波数再利用の増加(ひいては容量の増加)を可能にする一方、スポットビームは、容量の実際の需要に対して良好な一致をもたらさず、いくつかのスポットビームは過剰に予約され、他のスポットビームは過小に予約されることがある。容量の増加はまた、結果としてフィーダリンク帯域幅の需要を増加させる傾向もある。一方、フィーダリンクに割り当てられた帯域幅は、利用者リンクに使用可能な帯域幅を減少させることがある。これに合わせて、高容量広帯域衛星システムを提供するための改良された技術が望まれる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
開示される技術は、1つ又は2つ以上の様々な実施形態により、以下の図を参照して説明されている。図面は、単に例示の目的で提供され、開示される技術のいくつかの実施形態の単なる実施例を表すに過ぎない。これらの図面は、開示される技術の読者の理解を容易にするために提供される。これらの図面は、特許請求される発明の広さ、範囲、又は適用性を限定するものと見なすべきではない。明確にするために、及び例示を容易にするために、これらの図面は、必ずしも一定の比率ではないことに留意されたい。
【0007】
図1】衛星と通信するために無線周波数信号を使用し、高容量システムを作成するために比較的多数の衛星アクセスノード(「SAN」、「ゲートウェイ」とも称される)を有する、衛星通信システムの実施例の説明図である。
【0008】
図2】RF信号を使用してSANと通信する簡略化した衛星の説明図である。
【0009】
図3】往路リンク上で使用される中継器の実施例の簡略化した説明図である。
【0010】
図4】フィーダリンク上で通信するために光リンクが使用されている、3つのシステムアーキテクチャのうちの第1のアーキテクチャの実施例の簡略化した概略図である。
【0011】
図5】いくつかの実施形態においてシステムによって使用されるIF信号、光チャネル、及び光帯域の関係の実施例を示す。
【0012】
図6】光信号上へのバイナリデータストリームの光変調を行うために使用される光送信機の実施例を示す。
【0013】
図7図4のシステムの復路の実施例の説明図である。
【0014】
図8】フィーダリンク上で通信するために光リンクが使用されている、第3のシステムアーキテクチャの実施例の簡略化した概略図である。
【0015】
図9図8のシステム内でのサブチャネルと、搬送波と、光信号との間の関係の実施例の説明図である。
【0016】
図10】SANの実施例の簡略化した説明図である。
【0017】
図11図8のシステムの復路リンクの実施例の説明図である。
【0018】
図12】衛星がオンボードビーム形成を有する、システムアーキテクチャの実施例の簡略化した概略図である。
【0019】
図13】加重/コンバイナモジュールの実施例の簡略化したブロック図である。
【0020】
図14】光信号がSANにおいてRF変調され、オンボードビーム形成能力を有する衛星に送信される、システムアーキテクチャの実施例の簡略化した概略図である。
【0021】
図15】地上ビーム形成を使用し、光往路アップリンク及び無線周波数往路ダウンリンクを含む、衛星通信システムの往路リンクの実施例の説明図である。
【0022】
図16】地上ビーム形成を行うシステムで使用される往路ビーム形成器の実施例である。
【0023】
図17】地上ビーム形成を使用した例示的なシステムの往路リンクを受信及び送信するために使用される衛星の構成要素の簡略化した説明図である例示的な図18内での復路リンク構成要素の実施例のより詳細な説明図である。
【0024】
図18】衛星の構成要素の実施例を詳細に示す。
【0025】
図19】米国本土の上に形成された利用者ビームカバレッジエリアの実施例の説明図である。
【0026】
図20】ビーム素子信号及びタイミングパイロット信号のタイミングを調整するためのタイミングモジュールを有する光送信機の実施例の説明図である。
【0027】
図21】K個の往路ビーム入力信号のそれぞれがS本の500MHz幅のサブチャネルを含んでいるシステムである。
【0028】
図22】ビーム形成器の実施例の簡略化したブロック図である。
【0029】
図23】SANの実施例の説明図である。
【0030】
図24】地上ビーム形成を有するシステムの復路リンクの実施例の説明図である。
【0031】
図25】復路リンク内のSANのうちの1つの実施例の説明図である。
【0032】
図26】例示的な復路ビーム形成器の説明図の例である。
【0033】
図面は、網羅的であること、又は特許請求される発明を開示される特定の形態に限定することを意図しない。開示される技術は、修正及び変更が行われる場合があり、本発明は、特許請求の範囲及びその均等物だけによって限定されるべきであることを理解されたい。
【発明を実施するための形態】
【0034】
最初に、衛星アクセスノード(SAN)と衛星との間で無線周波数(RF)通信リンクを使用するシステムについて論じる。この前置きに続いて、広帯域容量衛星のためのいくつかの光送信技術について論じる。光フィーダリンクを有するシステムの導入的な議論の後、光フィーダリンク上で信号を変調するための3つの技術について論じる。加えて、これらの技術を実装するための3つのアーキテクチャを提供する。
【0035】
図1は、比較的大容量のシステム100を作成するために、比較的多数の地球局(本明細書において「SAN」と称するが、「ゲートウェイ」と称されることもある)102がフィーダリンクと利用者リンクの両方でRF信号を使用して衛星104と通信する、衛星通信システム100の説明図である。情報は、SAN 102から衛星104を経由して、複数の利用者端末106が存在し得る利用者ビームカバレッジエリアに送信される。いくつかの実施形態では、システム100は、数千の利用者端末106を含む。いくつかのこのような実施形態では、SAN 102のそれぞれは、衛星104に対してフィーダアップリンク108を確立すること、及び衛星104からフィーダダウンリンク110を受信することができる。いくつかの実施形態では、SAN 102から衛星104へのフィーダアップリンク108は、帯域幅3.5GHzを有する。いくつかの実施形態では、フィーダアップリンク信号は、16直交振幅変調(QAM)を使用して変調されることができる。16QAM変調の使用は、ヘルツ当たり約3ビット/秒の容量をもたらす。スポットビーム当たり3.5GHzの帯域幅を使用することにより、それぞれのスポットビームは約10~12Gbpsの容量を提供することができる。それぞれが3.5GHz帯域幅の信号を送信することができる、88個のSANを使用することにより、システムは、およそ308GHz帯域幅又は約1000Gbps(即ち、1Tbps)の容量を有する。
【0036】
図2は、図1のシステムで使用されることができる簡略化した衛星の説明図であり、衛星は、SANと通信するためにRF信号を使用する。図3は、図2の衛星内において往路リンク上で使用される(即ち、RFフィーダアップリンクを受信し、RF利用者ダウンリンクを送信する)中継器201の簡略化した説明図である。衛星104のフィーダリンクアンテナ(図示せず)内の給電部202は、SAN 102からのRF信号を受信する。詳細に示されてはいないが、利用者リンクアンテナは、1つ又は2つ以上のマルチビームアンテナアレイ(例えば、複数の給電部が共有の反射器を照射する)、直接放射型給電部、又は他の好適な構成のうちのいずれかにすることができる。また、利用者リンク及びフィーダリンクのアンテナは、給電部(例えば、二重帯域の組み合わされた送信、受信を使用して)、反射器、又は両方を共有することができる。一実施形態では、給電部202は、2つの直交する偏波(即ち、右円偏波(RHCP)及び左円偏波(LHCP)又は代替的には、水平偏波及び垂直偏波)上で信号を受信することができる。このような一実施形態では、1つの偏波(例えば、RHCP)からの出力203は、第1の中継器201に供給される。出力は、低雑音増幅器(LNA)304の入力に連結されている(図3を参照されたい)。LNA 304の出力は、ダイプレクサ306の入力に連結されている。ダイプレクサは、信号を第1の出力信号308及び第2の出力信号310に分割する。第1の出力信号308は、第1のRF周波数にある。第2の出力信号310は、第2のRF周波数にある。出力信号308、310のそれぞれは、周波数変換器312、314に連結されている。局部発振器(LO)315もまた、周波数変換器312、314のそれぞれに連結されている。周波数変換器は、出力信号の周波数を利用者ダウンリンク送信周波数にシフトさせる。いくつかの実施形態では、同一LO周波数が両方の周波数変換器312、314に適用される。周波数変換器312、314の出力は、チャネルフィルタ316、318を介してハイブリッド320に連結されている。ハイブリッド320は、2つのチャネルフィルタ316、318の出力を合成し、合成した信号を線形化チャネル増幅器322に連結している。
【0037】
ハイブリッド320内で信号を合成することにより、信号を1つの進行波管増幅器(TWTA)324によって増幅することが可能になる。線形化チャネル増幅器322の出力は、TWTA 324に連結されている。TWTA 324は、信号を増幅し、増幅した出力をハイパスフィルタ及びダイプレクサ326の入力に連結している。ハイパスフィルタ及びダイプレクサ326は、信号を元の信号の周波数に基づいて分割して2つの出力に戻し、周波数が高い方の信号部分は第1のアンテナ給電部328に連結され、周波数が低い方の信号部分は第2のアンテナ給電部330に連結されている。第1のアンテナ給電部328は、利用者ダウンリンクビームを第1の利用者ビームカバレッジエリアU1に送信する。第2のアンテナ給電部330は、利用者ダウンリンクビームを第2の利用者ビームカバレッジエリアU3に送信する。
【0038】
第2の偏波(例えば、LHCP)からの給電部202の出力331は、中継器の第2のアーム332に連結されている。第2のアーム332は、第1の201と類似した態様で機能するが、利用者ビームカバレッジエリアU2及びU4に送信される出力周波数は、利用者ビームカバレッジエリアU1及びU3に送信される周波数とは異なるものになる。
【0039】
いくつかの実施形態では、各SAN 102から衛星104へのフィーダアップリンク108及び衛星から各SAN 102へのフィーダダウンリンク110の帯域幅を広げるために、光リンクを使用することができる。これにより、より多くのスペクトルが利用者リンクに対して使用可能になることも含めて、数々の利点をもたらすことができる。更に、フィーダリンク108、110の帯域幅を広げることにより、SAN 102の数を減らすことができる。各SAN 102へ/からの各フィーダリンクの帯域幅を広げることによってSAN 102の数を減らすと、システム容量を減少させることなく、システムの全体的なコストが減少する。一方、光送信信号の使用に伴う課題の1つは、光信号が、大気中を通過しているときに減衰しやすいことである。特に、衛星からSANまでの経路に沿って空が澄んでいない場合は、光信号は、信号の減衰に起因した有意な伝搬損失を呈することになる。
【0040】
視程の低下に起因した減衰に加えて、シンチレーションが、大気の悪条件下で発生する。そのため、大気条件に起因する光信号のフェーディングの影響を軽減するための技術を使用することができる。特に、以下により詳細に論じるように、光信号を受信するために使用される、衛星に搭載されたレンズ、及び光信号を送信するために使用される、衛星に搭載されたレーザを、いくつかのSANのうちの1つに向けることができる。これらのSANは、大気の悪条件を呈する可能性が別々の時間に高くなるように地球上に散在している(即ち、衛星と特定のSANとの間の経路上でフェーディングが起こる可能性が高いとき、衛星と他のSANのそれぞれとの間の経路上ではフェーディングが起こる可能性が相対的に低くなる)。
【0041】
国土の様々な地域における大気条件の違いを考慮に入れることにより、衛星と特定のSANとの間の大気が光信号の送信に好ましくないときは、大気条件がより好ましいものである別のSANを使用する決定を行うことができる。例えば、米国本土の南西部は、比較的澄んだ空を有する。これに合わせて、国土内のこれらの澄んだ場所にSANを配置すると、国土の他の地域にあるSANと衛星との間の空が遮られているときに、それらのSANを介して送信されることになっていたデータのための入り口を提供することができる。
【0042】
衛星へ/からの好ましい大気経路を有するそれらのSANと通信するように衛星を向けることに加えて、いくつかの光受信機/送信機のうちの1つを介して衛星によって受信/送信される信号は、選択された利用者ビームカバレッジエリアへの送信用のいくつかのアンテナのうちの1つに向けることができる。光アップリンク上で受信することができる光信号の発信源の決定における柔軟性と、発信源から受信した信号が送信されることになる特定のアンテナを選択する能力との組み合わせにより、システムは、SANと衛星との間の変わりやすい大気条件による悪影響を軽減することが可能になる。
【0043】
本明細書に開示されているように、情報を、SANから、衛星を介して、利用者端末が存在し得る利用者ビームカバレッジエリアに伝達するために、少なくとも3つの異なる技術を使用することができる。ここからは、このような3つの技術について説明する。それぞれの極めて簡潔な概要を示し、続いて、各アーキテクチャをより詳細に開示する。
【0044】
簡潔には、第1の技術は、バイナリ変調された光信号をアップリンク上で使用する。いくつかのSANはそれぞれ、利用者ビームカバレッジエリア内に存在する利用者端末に送信される情報を受信する。光信号は、ディジタル情報で変調される。いくつかの実施形態では、それぞれのSANは、こうしたバイナリ変調された光信号を衛星に送信する。ディジタル情報は、利用者端末が存在し得る利用者ビームカバレッジエリアに送信されることを意図した情報を表すものであってよい。信号は、フォトダイオードなど、光検知器を使用して、衛星内で検知される。いくつかの実施形態では、結果として生じたディジタル信号は、次いで、中間周波数(IF)信号を変調する2位相偏移変調(BPSK)など、バイナリ符号化を提供するために使用される。次いで、IF信号は、衛星RFダウンリンク搬送波周波数にアップコンバートされる。RF信号をBPSKで変調することは比較的簡単に行うことができ、衛星上でのサイズ、電力、及び熱適応は小さい。しかしながら、BPSKを利用者ダウンリンク114上のRF信号に対するベースバンド変調として使用すると、システムの最大容量が提供されないことがある。即ち、RF利用者ダウンリンク114の最大潜在能力は、RF利用者ダウンリンク114上でBPSKの代わりに16 QAMなどのより稠密な変調方式が使用された場合に可能であり得るものから減少する。
【0045】
第2の技術もまた、バイナリ変調方式を使用してアップリンク上の光信号を変調する。変調された光信号は、フォトダイオードによって検知される。結果として生じたディジタル信号は、モデムに連結される。モデムは、直交振幅変調(QAM)など、比較的帯域幅効率の良い変調方式を使用して、ディジタル情報をIF信号上に符号化する。QAMは、本明細書において、例えば、4位相偏移変調(QPSK)、オフセットQPSK、8位相偏移変調、16 QAM、32 QAM、振幅位相偏移変調(APSK)、及び関連する変調形式を含めて、シンボル当たり2ビットを超える符号化を行う変調形式を参照するために使用される。より稠密なQAM方式の使用は、より効率的なRF利用者リンクの使用をもたらすが、このような符号化をRF利用者ダウンリンク114上で使用するには、比較的に複合的なディジタル/中間周波数(IF)変換ブロック(例えば、モデム)を必要とする。こうした複合性は、サイズ、質量、コスト、電力消費量、及び放熱量を増加させる。
【0046】
第3の技術は、(最初の2つの技術のバイナリ変調された光信号とは対照的に)RF変調された光信号を使用する。この実施形態では、利用者ビームカバレッジエリアに送信されるディジタル情報で光信号を変調するのではなくて、RF信号が光搬送波上に直接変調される(即ち、強度変調される)。その後、衛星は、RF変調された信号を光信号から検知し(即ち、光信号の強度エンベロープを検知し)、その信号を利用者ダウンリンク周波数に周波数アップコンバートするだけでよく、その結果、複合モデムの必要性が衛星から取り除かれる。RF変調された光信号の使用は、衛星の複合性を低減すると同時に、利用者リンクRF信号のより稠密な変調を可能にすることによって、通信システムの全体的な容量を増加させる。光信号において使用可能な帯域幅のおかげで、多くのRF搬送波を光搬送波上に多重化することができる。しかしながら、RF信号で強度変調された光信号は、光信号のフェーディングを含め、いくつかの要因による誤りの影響を受けやすい。
【0047】
これら3つの技術のそれぞれは、SANから衛星への光チャネルに信頼できないものが存在するという事実に悩まされている。そのため、信頼できない光フィーダリンクチャネルの問題を軽減するために、3つのシステムアーキテクチャについて論じる。それぞれの構成では、衛星への光リンクに内在する信頼性の欠如を埋め合わせるために追加のSANが使用されている。信号は、任意のSANから任意の利用者ビームカバレッジエリアに送られることができる。追加のSANを使用することにより、衛星への高品質な光リンクを有する所望の数のSANが使用可能であることが保証される。更に、衛星を介した経路の選択における柔軟性(即ち、本明細書において「フィーダリンク多様性」と称するもの)により、データは、所望の品質の光チャネルを有するそれらのSANからフィーダリンク上の衛星に、及び利用者リンク上の利用者スポットビームに、柔軟な方法で送信されることが可能になる。
【0048】
ここからは、これら3つの技術のそれぞれについて詳細に論じる。これらの技術のそれぞれは、特定の数の構成要素(即ち、SAN、各SANのレーザ、衛星内のトランスポンダなど)を有する実施形態に照らして論じられる。しかしながら、このような具体的な実施形態は、単に議論を明確にかつ容易にするためにのみ提供されている。更に、幅広いIF及び/又はRF周波数、光波長、SANの数、衛星上のトランスポンダの数などは、開示される実施形態の範囲内におけるものである。したがって、特定の周波数、波長、アンテナアレイ素子、及び類似の並列チャネル、構成要素、デバイス、利用者ビームカバレッジエリアの数などは、本明細書に添付された特許請求の範囲によって明示的に制限されない限り、開示されるシステムが実装されることのできる態様に関する制限として見なされるべきではない。
【0049】
図4は、上記の3つの技術のうちの第1の簡略化した概略図である。第1の技術を実装するためのシステム600は、複数のSAN 602と、少なくとも1つのビーム当たり単一給電のアンテナ638、640を有する衛星604と、利用者ビームカバレッジエリア1801(図19を参照されたい)内の複数の利用者端末606と、を含む。代替的には、直接放射型アンテナなど、任意のアンテナを使用することができ、アンテナは複数の入力を有し、入力のそれぞれは、利用者ビームカバレッジエリアに利用者スポットビームで送信することが可能な信号を受信することができる。アンテナ638、640は、直接放射型アレイ、又は反射器/アンテナシステムの一部であってもよい。いくつかの実施形態では、システム600は、M個のSAN 602を有する。例示的なシステム600では、また本開示の全体にわたって論じられる実施例のそれぞれに対しては、M=8である。しかしながら、本明細書に開示されるシステムはいずれも、この数に制限されるものではない。M=8は、単に都合のよい実施例でしかなく、他の実施形態では、Mは、2、4、10、12、16、20、32、40、又は任意の他の好適な値にすることができる。いくつかの実施形態では、SAN 602は、発信源(図示されていないコアノードなど)からシステムを通って伝達される「往路トラヒック」を受信し、発信源は、情報ネットワーク(例えば、インターネット)から情報を受信し得る。コアノードからSAN 602に伝達されるデータは、バイナリデータストリームの形態を含めて、SAN 602へのデータの効率的な伝達を可能にする任意の形態で提供されることができる。いくつかの実施形態では、データは、光信号上に変調されたバイナリデータストリームとして提供され、光ファイバ上でSANに送信される。往路トラヒックは、特定の利用者ビームカバレッジエリア1801で識別されるストリームにおいて受信される。いくつかの実施形態では、データはまた、データの送信先である特定の利用者端末又は利用者端末のグループと関連付けられてもよい。いくつかの実施形態では、データは、データを搬送する信号の周波数及び/又はタイミングに基づいて端末と関連付けられる。代替的には、データヘッダ又は他の識別子が、データと共に提供されても、データに含められてもよく、又はデータ内にあってもよい。
【0050】
受信されると、往路トラヒックは、バイナリデータストリーム601である。即ち、いくつかの実施形態では、往路トラヒックは、強度変調された又は位相変調された光信号など、バイナリ表現である。代替実施形態では、往路トラヒックは、任意の他のバイナリ表現に復号されることができる。
【0051】
図5は、いくつかの実施形態においてシステムによって使用されるIF信号903、光チャネル915、及び光帯域907、909、911、913の関係を示している。特定の帯域幅、周波数、チャネル数、及び波長の選択は、概念の開示を容易にするために提供された単なる実施例に過ぎない。他の光波長、チャネル数、並びに他のRF及び/又はIF帯域幅及び周波数に加えて、代替変調方式も使用することができる。示されている方式は、単に使用され得る1つの特定の方式を例示するために提供されているに過ぎない。示されているように、複数の3.5GHz幅バイナリ変調IF信号(例えば64個)903が、1つの利用者スポットビームで送信されるバイナリデータを搬送する。使用可能な他の帯域幅の実施例には、500MHz、900MHz、1.4GHz、1.5GHz、1.9GHz、2.4GHz、又は任意の他の好適な帯域幅が挙げられる。
【0052】
それぞれの3.5GHz幅バイナリ変調IF信号903上に変調されているバイナリ(即ち、ディジタル)コンテンツは、4つの光帯域905のうちの1つの内部にある16本の光チャネルのうちの1つのバイナリ強度変調を行うために使用される。いくつかの実施形態では、光スペクトルの4つの帯域907、909、911、913は、1100nm、1300nm、1550nm、及び2100nmである。一方で、有用な光スペクトル(即ち、大気通過中に過度に減衰することなく少なくとも最低限に使用可能な光スペクトルの部分)内の任意の場所に存在する帯域が選択されてもよい。一般には、選択していない帯域と比較して減衰が大きくない光帯域が選択される。即ち、いくつかの光帯域は、残りの光帯域よりも小さい減衰を有し得る。このような実施形態では、それらの光帯域の部分集合が選択される。それらの選択された帯域のいくつかは、非常によく似た減衰を呈し得る。
【0053】
一実施例では、それぞれの光チャネルはチャネルの中心の波長によって画定され、それぞれの光チャネルはおよそ0.8nm離して離間配置される(即ち、100GHz幅)。光チャネル上に変調されているRF信号903は3.5GHz幅でしかないが、間隔があいていることにより、光信号は効率的に逆多重化されることができる。いくつかの実施形態では、それぞれのSAN 602は、いくつか(例えば、64個)のこのような3.5GHz光信号903(即ち、4×16個)を共に光出力信号上に波長分割多重化(WDM)する。これに合わせて、64本の光チャネルのディジタルコンテンツは、1つのSAN 602から送信されることができる。
【0054】
図6は、光信号上へのバイナリデータストリーム601の光変調を行うために使用される光送信機607を示している。図5に示されている方式を実装する実施形態によれば、光送信機607は、4つの光帯域モジュール608a~608d(簡略化のために2つ図示されている)及び光コンバイナ609を含む。4つの光帯域モジュール608のそれぞれは、16個の光変調器611(簡略化のために2つ図示されている)を含み、合計で64個の変調器611になる。64個の変調器611のそれぞれは、64本の光チャネル915のうちの1つに存在する光信号を出力する(図5を参照されたい)。チャネルは、4つの光帯域907、909、911、913に分割される。
【0055】
変調器611は、光信号を生成する光源654の波長λ1に基づいて光チャネル915を決定する。MZM 652は、バイナリデータストリーム601の振幅に比例した強度で第1の光源654の出力を強度変調する。バイナリデータストリーム601は、加算器656においてDCバイアスと加算される。バイナリデータストリーム610はディジタル信号(即ち、2つの振幅のみを有する信号)なので、結果として生じる光信号は、バイナリ変調された光信号である。MZM変調器652からの変調された光出力は、光コンバイナ609に連結されている。図5に例示されているものなどの変調方式を使用したシステムでは、同じ光帯域モジュール608内に存在する16個の光源654のそれぞれは、16個の異なる波長λ1のうちの1つで光信号を出力する。16個の波長は、第1の光帯域907内の16本の光チャネル915に対応する。同様に、他の各光帯域モジュール608内にある光変調器611内の光源654は、対応する光帯域909、911、913内のチャネルの波長に等しい波長λ1を有する光信号を出力する。これに合わせて、4つの光帯域モジュール608a~608dからの64個の光出力915はそれぞれ、異なる波長を有しており、64個の光源654によって生成される信号の波長λ1によって画定される4つの帯域の16本の光チャネル内にある。光コンバイナ609は、各信号915の合成体である波長分割多重化(WDM)光信号660を出力する。
【0056】
SAN 602は、光フィーダアップリンク108を介して光信号660を衛星604に送信する(図4を参照されたい)。光送信機607によって放出された光信号は、衛星604内のレンズ610によって受信される。いくつかの実施形態では、レンズ610は、光受信機622内の望遠鏡の一部である。いくつかの実施形態では、レンズ610は操縦可能である(即ち、システム内のいくつかのSAN 602のいずれか1つ、又は部分集合内からいずれか1つに向くように方向付けることができる)。レンズ610をSAN 602のうちの2つ以上に向けることができることにより、レンズ610は、信号フェーディングの影響を現在受けていない衛星への光路を有するSAN 602に向けられることができる。レンズ610は、機械的な2軸位置決め機構を使用して向けられてもよい。レンズを向けることは、光チャネルを介して送信された信号の受信信号強度を測定し、この信号強度を使用して、十分な品質の(即ち、所望の品質閾値を上回る)光リンクを有するSANにレンズが向けられたときを識別することによって達成され得る。地上コマンド又はオンボード処理のいずれかが、レンズ610を所望のSAN 602へ正確に向けるように、レンズ位置決め機構に対する指示を提供し得る。
【0057】
光受信機622は、フィルタ又はプリズムなど、光逆多重化装置650を更に含む。光受信機622は複数の出力を有し、それぞれの出力は光波長と対応している。図4に示されているように、光受信機622は64個の出力を有する。しかしながら、上述したように、特定の周波数、光帯域数、及び波長の選択、ひいては光受信機622からの出力数は、本明細書において単に実施例として提供されるに過ぎず、システム600などのシステムを特定の数値に制限することを意図するものではない。
【0058】
いくつかの実施形態では、それぞれの波長は、4つの光帯域907、909、911、913のうちの1つの内部に存在する。それぞれの光波長は、光チャネルの中心に位置する。1つの帯域内にある光チャネルは、およそ0.8nm離して離間配置される(即ち、100GHz)。光チャネルを間隔全体に作製すると、64本の光チャネルのそれぞれを別個の出力上で提供するように光信号を逆多重化することができる光逆多重化装置650を提供することがより容易になる。いくつかの実施形態では、追加のレンズ613は、光逆多重化装置650の出力をフォトダイオード612などの光検知器の入力に焦点を合わせるように提供されている。フォトダイオード612は、フォトダイオードへの光入力において与えられた光信号660の強度エンベロープを検知することによって電気信号を生成する。光信号660が2つの強度レベルの一方に強度変調されたいくつかの実施形態では、論理的な「1」を表す第1の強度レベルは、やはり論理的な「1」を表す第1の振幅を有する電気信号をもたらす。論理的な「0」を表す第2の強度レベルは、論理的な「0」を表す振幅の電気信号をもたらす。そのため、電気信号は、光信号660の強度が論理的な「1」を表す状態にあるときは第1の状態に置かれ、光信号660の強度が論理的な「0」を表す状態にあるときは第2の状態に置かれる。これに合わせて、光受信機は、複数のディジタル出力615を有する。フォトダイオード612のディジタル出力615からの電気信号出力は、2相変調器など、変調器614に連結されている。図4の実施形態など、いくつかの実施形態では、LNA 617が、フォトダイオード612と2相変調器614との間に提供されている。2相変調器614の出力は、2つの相を有するBPSK変調IF信号(即ち、アナログ信号)である。BPSK変調器614は、第1の振幅の(即ち、第1の状態にある)電気入力信号に応じて、論理的な「1」を表す第1の相を有する信号を出力する。変調器614への入力が論理的な「0」を表す振幅(即ち、第2の状態)を有するときは、BPSK変調器614の出力の相は、第1の相とは異なる第2の相にシフトされる。変調器614の出力は、スイッチマトリックス616の入力に連結されている。
【0059】
図4の簡略化した概略図では、第2のSAN 602、レンズ610、光受信機622、及び複数(即ち、64個)の2相変調器614がスイッチマトリックス616に連結されている。図4には2つのSAN 602のみが示されているが、衛星は、いくつか(例えば、8個)のSAN 602から光信号を受信してもよいことを理解されたい。
【0060】
いくつかの実施形態では、図4に示されているスイッチマトリックス616は、それぞれのレンズ610に対して複数(例えば、64個)の入力を有する。即ち、衛星604が8個のレンズ610を有する場合は、マトリックススイッチ616は512個の入力を有し、それぞれが変調器614のうちの1つに連結されている。スイッチマトリックス616により、スイッチマトリックス616の出力での信号は、スイッチマトリックス616の入力に選択的に連結されることができる。いくつかの実施形態では、任意の入力を任意の出力に連結することができる。一方、いくつかの実施形態では、1つの入力のみをいずれか1つの出力に連結することができる。代替的には、入力及び出力は、入力が同じグループ内の出力にしか連結されることができないようにグループ化される。入力を連結することができる出力の数を制限すると、システムの柔軟性は低下するが、スイッチマトリックス616の複合性は減少する。
【0061】
スイッチマトリックス616の出力はそれぞれ、アップコンバータ626に連結されている。アップコンバータ626は、信号を利用者ダウンリンク搬送波の周波数にアップコンバートする。例えば、いくつかの実施形態では、スイッチマトリックス616から出力される信号は、3.5GHz幅IF信号である。3.5GHz幅IF信号は、20GHz中心周波数を有するRF搬送波にアップコンバートされる。それぞれのアップコンバータ626の出力は、対応する電力増幅器630に連結されている。それぞれの増幅器630の出力は、アンテナ638、640の一方の入力(例えば、図示されていないアンテナ給電部)など、複数のアンテナ入力のうちの1つに連結されている。これに合わせて、スイッチマトリックス616の出力のそれぞれは、アンテナ入力のうちの対応する1つに効果的に連結されている。いくつかの実施形態では、それぞれのアンテナ638、640のそれぞれの入力は、利用者スポットビームを1つの利用者ビームカバレッジエリア1801(図19を参照されたい)に送信する。スイッチマトリックス616は、どの入力(即ち、2相変調器614)がどの出力(即ち、アップコンバータ626)に連結されるかを選択することができる。これに合わせて、SAN 602のうちの1つからの信号がフェーディングし、誤りが許容できないほどになると(又はそうなる前に)、スイッチマトリックス616は、アップコンバータ626(即ち、関連するアンテナ給電部)の入力を、有意なフェーディングを呈していない光信号を送信しているSAN 602に連結することができる。いくつかの実施形態では、スイッチマトリックス616により、特定のSANからのコンテンツを2つ以上の利用者スポットビーム(即ち、アンテナ給電部)に分配することができるように、アンテナ入力に供給されるコンテンツを時分割多重化することができる。
【0062】
即ち、それぞれのレンズ610が、その向いている方向にあるSAN 602から信号を受信しているとき、そのレンズ610に関連した光受信機622からの64個の出力のそれぞれは、信号を有することになる。アンテナ638、640へのそれぞれのアンテナ入力が利用者スポットビームを特定の利用者カバレッジエリア1801に送信する実施形態では、全ての利用者カバレッジエリア1801が信号を受信することになる(スイッチマトリックス616が、それぞれの入力を1つの出力に連結するようにマッピングされていることを仮定している)。スイッチマトリックス616は、2相変調器614からのどのアナログ出力をそれぞれのアンテナ入力に(即ち、それぞれの利用者スポットビーム内で)連結する(例えば、ビーム当たり単一給電のアンテナ638、640のそれぞれの給電部に送信する)かを選択する。一方、特定のSAN 602からの光信号がフェーディングしても、信号は依然として全てのアンテナ入力に提供されて、いずれの利用者カバレッジエリア1801もカバレッジを失うことはない。1つのSANからの信号を65個以上のアンテナ入力に時分割多重化すると、1つのSAN 602は、信号を65個以上の利用者カバレッジエリア1801に提供することができる。システムの合計容量は減少するが、それぞれの利用者カバレッジエリアにコンテンツを提供するシステムの可用性は強化される。これは、光フィーダリンクを有するシステムにおいて有益である。いくつかの実施形態では、弱い光リンクを有するSAN 602に向けられているレンズ610が、より強い光リンクが存在する別のSANに向け直される間、このような時分割多重化が短時間行われる。より一般には、マトリックス616は、光受信機622から出力されたアナログ信号を2つ以上の利用者スポットビームに時分割多重化するために使用されることができ、第1の期間中は、アナログ信号は、第1の利用者ビームカバレッジエリアに向けられた利用者スポットビームを送信する第1のアンテナ入力(例えば、給電部)に連結されている。第2の期間中は、アナログ信号は、第2の利用者ビームカバレッジエリアに向けられた利用者スポットビームを送信する第2のアンテナ入力(例えば、給電部)に連結されている。
【0063】
それぞれのレンズ610が十分に強い光信号を受信している状態になると、スイッチマトリックス616は、再びそれぞれの出力を入力から出力への1対1の対応で一意の出力にマッピングすることができる。いくつかのこのような実施形態では、スイッチマトリックス616の制御は、制御局からの遠隔測定信号によって提供される。ほとんどの実施形態では、同じSAN 602からの64個のIF信号は全て共に劣化することになるので、スイッチマトリックス616は、K/64個の出力の間で選択することができさえすればよい。ここで、Kは利用者スポットビームの数、64は1つの光受信機622内にあるフォトダイオード612の数である。上述したように、衛星を介した経路の選択を制御してSAN 602を利用者スポットビームにマッピングするプロセスは、本明細書においてフィーダリンク多様性と称する。以下に論じるように、フィーダリンク多様性は、3つの異なる方法で提供することができる。
【0064】
いくつかの実施形態では、衛星604は、トランスポンダ(即ち、光受信機からスイッチ634、636までの経路)よりも多い数のアンテナ入力を有する。即ち、電力増幅器(PA)630、アップコンバータ626などを含む、限定された数のトランスポンダを使用して、相対的により多い数の利用者ビームカバレッジエリアに信号を送信することができる。アンテナ入力間でトランスポンダを共有することにより、それぞれのフォトダイオード612からの出力は、時分割多重化されて、衛星604上に提供されているトランスポンダの数よりも多く存在する複数の利用者ビームカバレッジエリアに情報を提供することができる。この実施形態では、RFスイッチ634は、異なる時間に、アンテナ638、640の一方又は両方の異なる入力に、PA 630の出力を向けるために使用される。時間は、信号上に存在する情報が、入力の向いている(即ち、給電部の向いている)利用者ビームカバレッジエリアに送信されることが意図されているものとなるように調整される。これに合わせて、1つのトランスポンダは、時分割多重化される方法で情報をいくつかの利用者ビームカバレッジエリアに提供するために使用されることができる。信号を特定のアンテナ638、640へ向けるようにスイッチ634、636を設定することにより、レンズ610のそれぞれによって受信された信号は、特定のスポットビームに向けられることができる。これにより、システムの容量の動的な割り当てにおいて柔軟性がもたらされる。
【0065】
スイッチ634、636は、衛星に搭載されているアンテナ638、640のいずれかの入力へ信号を向ける。いくつかの実施形態では、スイッチ634、636からの出力は、アンテナの部分集合に向けられてもよい。それぞれのアンテナ638、640は、特定の利用者ビームカバレッジエリアに向けられたビーム当たり単一給電のアンテナであり、それにより、スポットビームを生成する。代替実施形態では、PA 630は、アンテナ入力に直接接続されてもよく、マトリックススイッチ616が、それぞれの特定のフォトダイオード612によって検知されたどの信号が、どの利用者ビームカバレッジエリアに送信されるかを決定する。加えて、等しい数の衛星トランスポンダ及びアンテナ入力が存在する実施形態であっても、スイッチ634、636を有することにより、スイッチマトリックス616の複合性を減少させることができる。即ち、スイッチマトリックス616とスイッチ634、636とを組み合わせて使用すると、スイッチマトリックス616は、それぞれの入力をそれぞれの出力に連結することができなくてもよい。むしろ、マトリックス入力、出力、及びアンテナ入力は、グループの任意の入力がそれと同じグループの任意の出力にのみ連結されることができるように、グループ化することができる。スイッチ634、636は、1つのグループの出力が、別のグループのアンテナ入力に連結されることができるように、アンテナ入力(例えば、給電部)を切り替えることができる。
【0066】
スイッチマトリックス616は、静的に又は動的な時分割多重アクセスモードで動作してよい。静的な動作モードでは、スイッチマトリックス616を介した経路の構成は、比較的長い期間にわたって本質的に固定された状態であり続ける。スイッチマトリックス616の構成は、比較的長期間にわたる送信トラヒック量の変化、長期間にわたる特定リンクの品質の変化などに適応するためにのみ変更される。対照的に、動的な時分割多重アクセスモードでは、スイッチマトリックス616は、異なる往路ダウンリンクアンテナ入力間でデータを時分割多重化するために使用される。これに合わせて、スイッチマトリックス616は、どの入力をスイッチマトリックス616の出力に連結するかを選択する。この選択は、利用者端末842、844において信号の復調時に発生する誤りの数が許容範囲内になるほどに、入力信号が十分に強いかどうかに基づく。いくつかのこのような実施形態では、光受信機622のアナログ出力を異なるアンテナ入力に時分割多重化することにより、1つのSAN 602は、2つ以上の利用者ビームカバレッジエリアに情報を提供することが可能になる。第1の期間中は、光受信機622から出力された1つ又は2つ以上の信号はそれぞれ、アンテナ入力の第1の集合のうちの一意の1つ(即ち、利用者ビームカバレッジエリアの第1の集合のうちの一意の1つに向けられたアンテナ入力)にまで連結されることができる。第2の期間中は、それらの同じ信号のうちの1つ又は2つ以上が、異なるアンテナ入力(即ち、異なる利用者ビームカバレッジエリア)にまで連結されることができる。光受信機622からのアナログ出力615のこのような時分割多重化は、光受信機622のレンズ610のうちの1つが「弱い」SAN 602(即ち、品質閾値を下回っている光リンクを有するSAN 602)に向いていることに応じて行われることができる。このような実施形態では、最初に弱いSAN 602に設定された第1のデータストリームは、コアノードによって「強い」SAN 602(即ち、品質閾値を上回っている光リンクを有するSAN 602)に向け直されることができる。強いSAN 602はその情報を時分割多重化し、その結果、時間の一部にわたって、強いSAN 602は、第1のデータストリームの送信先として意図されている利用者ビームカバレッジエリアの第1の集合に向けられた情報を送信する。第2の期間中、強いSAN 602は、利用者ビームカバレッジエリアの第2の集合に向けられた第2のデータストリームを送信する。これに合わせて、ある期間中、弱いSAN 602と衛星604との間の低品質の光リンクによって衛星604への到達が妨げられている可能性のある情報は、強いSAN 602を介して衛星604に送信されることができる。この時間中、弱いSAN 602に向いているレンズ610は、衛星604への送信をまだ行っていない強いSAN 602に向くように、向け直されることができる。上述したように、この弱いSANから強いSANへと情報を向け直すプロセスは、フィーダリンク多様性の一態様である。
【0067】
フィーダアップリンク信号が許容不可能なフェーディングを呈しているときを決定することにより、データは、障害のあるフィーダアップリンクを使用しているSAN 602から離れて、許容可能な信号レベルを有するフィーダアップリンク信号を有するSAN 602へと送られることができる。次いで、フィーダリンク多様性のプロセスにより、選択されたSAN 602を介して送信された信号は、スイッチマトリックス616を介して、データの送信先として意図されているスポットビームに送られることができる。
【0068】
システム600は、衛星604の内部での実装が比較的簡単であるという利点を有する。フォトダイオード612及び2相変調器614を使用した、バイナリ変調された光データからBPSK変調IF信号への変換は、比較的簡単である。このような2相変調器は、構築することが比較的に容易かつ安価であり、比較的少量の電力しか必要とせず、比較的に小型かつ軽量にすることができる。しかしながら、RF利用者ダウンリンク114上でBPSK変調を使用すると、有限のRFスペクトルを最大限に活用することはできない。即ち、RF利用者ダウンリンク114(図1を参照されたい)上でBPSKの代わりに16QAMなどのより稠密な変調方式を使用することによって、より大きい容量のRF利用者ダウンリンク114を達成することができる。
【0069】
例えば、上記の3つの技術の第2を実装するシステム600の代替実施形態では、利用者ダウンリンク上で送信されることになるアナログ信号618は、より稠密な変調方式で変調される。アナログ信号618に対して複合変調を生成するので、変調器は、ディジタルデータストリームを取得し、データストリームを1つ又は2つ以上の複合変調された信号に変換する、極めて複合的な変調器でなければならない。複合変調された信号618は、例えば、64-QAM、8psk、QPSKなどの高次変調にすることができる。代替的には、シンボルをIF搬送波上に変調することができる任意の他の変調方式を使用することもでき、シンボルは、3つ以上の論理的な状態を表す。即ち、光信号のバイナリ強度変調は、光受信機622の出力615をもたらし、元のコンテンツを表現しているバイナリ変調を有する電子信号を提供する。アナログ信号618を16QAMなどのより複合的な変調方式で変調するために、変調器614は、QAM変調器であり、したがって、フォトダイオード612から出力されたディジタルコンテンツに基づいてIF信号のQAM変調を行う。
【0070】
これに合わせて、いくつかの実施形態では、システム600の2相変調器614は、QAM変調器614(即ち、それぞれのシンボルが3ビット以上を表現する変調器)で置き換えられる。これに合わせて、IF信号618の変調をBPSKなどのバイナリ変調方式(即ち、2つの論理的な状態)に制限するのではなくて、変調器614により、IF信号618は、より稠密な変調方式(即ち、QAMなど、シンボルが3つ以上の値を表現することができる方式)で変調されることができる。より複合的なQAM変調器は、より効率的なIF信号618の変調を提供するが(QAM対BPSK)、2相変調器と比べて、より複合的であり、より電力を必要とし、より重くかつ高価である。
【0071】
図7は、システム600の復路の説明図である。利用者端末606は、バイナリ変調された信号を衛星604に送信する。アンテナの各素子(例えば、給電当たり単一ビームのアンテナ404、406)に連結されているスイッチ402は、低雑音増幅器(LNA)408、周波数変換器409、及びディジタル復号器410を含む衛星トランスポンダの中から選択する。周波数変換器409は、受信した信号を利用者アップリンク周波数からIFにダウンコンバートする。復号器410は、受信したIF信号上のバイナリ変調を復号する。これに合わせて、それぞれの復号器410の出力は、ディジタル信号である。ディジタル復号器410は、スイッチマトリックス416への入力に連結されている。スイッチマトリックス416により、利用者スポットビームのそれぞれを介して受信された信号は、各SAN 602への光ダウンリンク上に有意なフェーディングが存在するかどうかに応じて異なる光リンク上に変調される(即ち、異なるSAN 602に送信される)ことができる。スイッチマトリックス416の出力は、光送信機607への入力に連結されている。それぞれの光送信機607は、図6に示されている上述の光送信機607と本質的に同じである。光スペクトルが、往路フィーダリンク上で使用されるのと本質的に同じ態様で使用される(図5を参照されたい)、いくつかの実施形態では、4つの光帯域モジュール608のそれぞれが、マトリックススイッチ416から16個の出力を受信し、光送信機607に対して合計で64個の入力になる。衛星が8つのSAN 602から光信号を受信することができる、いくつかの実施形態では、合計で512個の出力をスイッチマトリックス416から受信することができる8つのこのような光送信機607が存在する。それぞれの光送信機607は、光信号660を出力する。光信号660は、SAN 602内の光受信機414の内部にあるレンズ412によって受信される。光受信機414及びレンズ412は、図4を参照して上述したように、衛星604の内部にある光受信機622及びレンズ610と本質的に同じである。これに合わせて、光受信機414の出力は、バイナリデータストリームである。光受信機の出力は、往路トラヒックをSAN 602に提供したネットワークなど、情報ネットワークに送信される。
【0072】
システム600の復路リンクである、代替実施形態では、利用者端末606から衛星604への復路アップリンク上で使用される変調は、バイナリ変調よりも効率的な変調方式である。これに合わせて、バイナリ変調410は、より複合的な変調器410である。復調器410から出力されるバイナリデータは、利用者端末606によってIF信号上に変調された変調シンボルを復号した結果である。例えば、利用者アップリンク上で16QAMが使用された場合、復調器から出力される信号は、16QAMシンボルによって表現された値のディジタルストリームである。変換器502から出力されたバイナリ信号は、スイッチマトリックス416への入力に連結されている。バイナリ復調器及び複合復調器410はどちらも、光送信機607によってフィーダダウンリンク上に送信される光信号のバイナリ変調を行うために使用されるディジタルデータストリームを出力する。
【0073】
図8は、第3の技術を実装するためのシステム800の簡略化した概略図である。システム800のいくつかの実施形態では、SAN 802は、IF変換器1605へのベースバンドの入力に連結されている「ベースバンド」信号809として往路トラヒックを受信する。いくつかの実施形態では、7本の500MHz幅ベースバンドサブチャネル809が、3.5GHz幅IF信号811に合成される。3.5GHz幅信号811のそれぞれは、1つの利用者カバレッジエリア1801に送信される。図9は、システム800内でのベースバンドサブチャネル809と、IF信号811と、光信号との間の関係を例示している。
使用可能な他の帯域幅の実施例には、500MHz(例えば、単一の500MHzサブチャネル)、900MHz、1.4GHz、1.5GHz、1.9GHz、2.4GHz、又は任意の他の好適な帯域幅が挙げられる。
【0074】
図10は、図8に示されているSAN 802など、SAN 802の簡略化した説明図である。いくつかの実施形態では、64個のベースバンドからIFへの変換器1605が存在し、これらは、4つのIFコンバイナ1602に組織化されて図示されており、それぞれのIFコンバイナは16個の変換器1605を含む。IF変換器1602内でのベースバンドからIFへの変換器1605のグループ化は、図8では図を簡略化するために示されていない。64個のベースバンドからIFへの変換器1605のそれぞれは、S個の入力を有しており、Sはサブチャネル809の本数である。サブチャネル809が帯域幅500MHzを有し、かつ、信号811が帯域幅3.5GHzを有する、いくつかの実施形態では、Sは7に等しい。それぞれの入力は、サブチャネル809のうちの1つを対応する周波数変換器1606に連結する。周波数変換器1606は、サブチャネル809の部分集合(例えば、図10ではS=7)が加算器1608で加算されることができるように、周波数オフセットを提供する。これに合わせて、図10に例示されているものなど、いくつかの実施形態では、SAN 802は、それぞれが3.5GHz幅の64本のチャネルを処理する。いくつかの実施形態では、3.5GHz幅の信号は、中心をDCに合わせることができる(即ち、ゼロIF変調を使用する)。代替的には、信号811は、中心を特定のRF周波数に合わせることができる。特定の一実施形態では、RF搬送波811は、中心をRFダウンリンク周波数に合わせられている(この場合、衛星は、以下に更に説明されるように、アップコンバータ626が不要になる)。それぞれの加算回路1608からの出力811は、64個の光変調器611のうちの1つに連結されているIF信号811である。64個の光変調器611は、4つの光帯域モジュール608にグループ化されている。それぞれの光変調器611は、図6に示されている上述の光変調器611と本質的に同様に動作する。しかしながら、それぞれの光変調器608への入力811はアナログ信号なので、それぞれの光変調器611から出力される光信号は、IF信号811の振幅に従った振幅エンベロープを有する強度変調された光信号である。
【0075】
光コンバイナ609は、64個の光変調器611のそれぞれからの出力を合成して、波長分割多重化(WDM)合成光信号1624を生成する。ベースバンドからIFへの変換器1605の数、及び光帯域モジュール608内の光変調器611の数は、様々であり得る。図9に示されているように、4つの光変調器611は、中心に1100ナノメートル、1300ナノメートル、1550ナノメートル、及び2100ナノメートルの波長を有する光信号を出力するように設計されることができる。
【0076】
システム800では、光送信機607(図4の光送信機607と同様のもの)は、RF変調された合成光信号1624を放出する。RF変調された合成光信号1624は、衛星804の内部でレンズ610によって受信される(図8を参照されたい)。レンズ610は、光信号を衛星804に送信することができる複数のSAN 802のうちのいずれかに向けられることができる。レンズ610の出力は、フォトダイオード612(例えばPINダイオード)など、光検知器の入力に連結されている。フォトダイオード612は、光信号のエンベロープ(即ち、強度の外形)を検知し、光信号のエンベロープを電気信号に変換する。光信号はIF信号811で強度変調されているので、フォトダイオード612から出力された、結果として生じた電気信号は、SAN 802によって合成光信号1624上に変調されたIF信号811と本質的に同じである。フォトダイオード612は、増幅器808に連結されている。次いで、増幅器808から出力された信号は、マトリックススイッチ616の入力に連結されている。マトリックススイッチ616は、図4に関して上で論じたマトリックススイッチ616と同様に機能する。これに合わせて、スイッチマトリックス616は、どの入力をスイッチマトリックス616の出力に連結するかを選択する。マトリックススイッチ616の出力は、信号811がゼロIFに位置している実施形態では上述のシステム600の場合と同様に処理される。SAN内でベースバンドからIFモジュール607へと出力された信号811が、衛星804からそのまま送信される周波数に位置している実施形態では、アップコンバータ626が不要であることを除けば、処理は同様になる。
【0077】
図11は、システム800の復路リンクの説明図である。システム800の復路リンクは、本質的には図7に示されているのと同じである。しかしながら、利用者端末606が、バイナリ変調を有する信号を送信するのではなくて、利用者端末606は、より効率的な変調(例えば、QPSKではなくて16QAM)を有する信号を送信する。これに合わせて、出力ディジタル復号器410は不要である。ダウンコンバータ850は、利用者アップリンク上で使用されているRF周波数を適当なIF周波数にダウンコンバートする。いくつかの実施形態では、IF周波数信号は、3.5GHz幅のゼロIF信号である。それぞれのダウンコンバータ850の出力は、スイッチマトリックス416の入力に連結されている。そのため、MZM変調器652の入力(図6を参照されたい)は、スイッチマトリックス416からアナログ信号を受信する。これに合わせて、それぞれの光変調器611の出力は、強度エンベロープがダウンコンバータ850から出力された信号を追跡している、強度変調された光信号である。いくつかの実施形態では、光変調器611は、RF利用者アップリンク周波数を光信号上に直接変調する。これに合わせて、周波数変換器850は不要である。ダウンコンバータ850が利用者アップリンク周波数をゼロIF信号に減少させる実施形態では、合成された光信号660は、図7に関して論じたのと同様に処理される。光信号が利用者アップリンク周波数で変調される実施形態では、ダウンコンバータは、モデム418内に、又は光受信機414からの信号をモデム418に連結する前に、含められてもよい。
【0078】
フィーダリンク上の信号を変調するための3つの異なる技術について論じてきたが、これらの技術のそれぞれは、第1のシステムアーキテクチャを使用しており、このアーキテクチャは、受信した搬送波を利用者スポットビームへ柔軟に割り当てることを可能にするためにマトリックススイッチ616を使用する衛星を有する。ここからは、第2及び第3のシステムアーキテクチャについて論じる。第2のシステムアーキテクチャは、オンボードビーム形成を有する衛星を含んでいる。第3のシステムアーキテクチャは、地上ビーム形成を使用する。
【0079】
図12は、図4に示されている技術を使用したシステム1000の簡略化した概略図である(即ち、光フィーダアップリンクをバイナリ変調で変調し、そのバイナリコンテンツを使用してRF利用者ダウンリンクを変調する)。ただし、システム1000は、衛星1004がオンボードビーム形成を行うことができる、第2のシステムアーキテクチャを使用する。システム1000は、上述のシステム600と同様に動作する。しかしながら、それぞれの2相変調器614からのIF出力は、スイッチマトリックス616ではなくて、加重/コンバイナモジュール1006に連結されている。
【0080】
図13は、K個の往路ビーム信号1002が加重/コンバイナモジュール1006内でビーム形成器入力モジュール1052によって受信される、加重/コンバイナモジュール1006の簡略化したブロック図である。K個の信号1002は、入力モジュール1052を介してN経路分割モジュール1054に送られる。N経路分割モジュール1054は、K個の信号1002のそれぞれを、それぞれの往路ビーム信号のN個のコピーに分割し、Nは、K本の利用者スポットビームを形成するために使用されるアンテナアレイ内の素子の数である。
【0081】
図4に関して上述したシステムの実施例では、8個のアクティブなSANが存在し、それぞれが、64本の光チャネルを含む光信号を送信している。64本の光チャネルのそれぞれは、3.5GHzのIF信号(即ち、往路ビーム信号)を搬送する。したがって、512個の往路ビーム信号(即ち、8個のSAN×64個のIF信号)が存在する。これに合わせて、K=512である。いくつかの実施形態では、衛星は、512個のアレイ素子を有するアンテナアレイ1008を有する。これに合わせて、N=512である。
【0082】
N経路分割モジュール1054からのそれぞれの出力は、512個の加重及び加算モジュール1056のうちの1つの対応する入力に連結されている。512個の加重及び加算モジュール1056のそれぞれは、512個の加重回路1058を含む。512個の加重回路1058のそれぞれは、N経路分割モジュール1054から出力された512個の信号のうちの対応する1つに対して加重値を配する(即ち、増幅し、位相シフトさせる)。加重回路1058からの加重出力は、加算器1060によって加算されて、512個のビーム素子信号1062を形成する。512個のビーム素子信号1062のそれぞれは、ビーム形成器出力モジュール1064を介して出力される。図12を再び見ると、加重/コンバイナモジュール1006から出力された512個のビーム素子信号1062はそれぞれ、512個のアップコンバータ626のうちの対応する1つに連結されている。アップコンバータ626は、PA 630に連結されている。PA 630の出力はそれぞれ、アンテナアレイ1008の512個のアンテナ素子のうちの対応する1つに連結されている。アンテナアレイは、直接放射型アレイ(それぞれのアンテナ素子が所望の方向に直接放出する)、アレイ給電反射器(それぞれのアンテナ素子が、全てのアンテナ素子によって共有されている反射器を照射する)、又は任意の他の好適なアンテナ構成のうちのいずれかにすることができる。アンテナアレイ1008と加重コンバイナモジュール1006との組み合わせは、フェーズドアレイアンテナとも称される。
【0083】
信号の相対加重値がフェーズドアレイアンテナ1008内のそれぞれの位置で素子に適用されると、複数の加重された信号が互いの上に重なって、ひいてはコヒーレントに合成されて、利用者ビームを形成することになる。
【0084】
これに合わせて、複数の信号1002に所望の加重を適用して、加重/コンバイナモジュール1006から出力されるビーム素子信号1062を生成することにより、加重/コンバイナモジュール1006のそれぞれの入力に印加された信号1002は、複数の利用者ビームカバレッジエリアのうちの1つに向けられることができる。衛星1004は、加重/コンバイナモジュール1006及びアレイアンテナ1008を使用して、任意の受信信号を任意の利用者ビームカバレッジエリアに向けることができるので、許容不可能なフェーディングを呈している特定のフィーダアップリンクを介して送信されることになっていた情報は、他のSANのうちの1つに送られることができる。これに合わせて、情報は、マトリックススイッチ616との関連で上述されているように、許容不可能なフェーディングを呈していないSAN 602を介して衛星1004に送信されて、フィードリンク多様性を提供することができる。上述したようにレンズ610のうちの1つによって受信された信号をいくつかの利用者スポットビームで送信するために、同様の時分割多重化を行うことができる。
【0085】
オンボードビーム形成を有する衛星1004を使用すると、複数のSAN 602から受信された信号に関してフィーダリンク多様性を可能にする柔軟性が提供される。オンボードビーム形成の使用は、図4に示されているスイッチマトリックス616を不要にする。同様のアーキテクチャは、復路(即ち、利用者アップリンク及びフィーダダウンリンク)上で用いられることができる。即ち、利用者地上端末606は、利用者アップリンク上で衛星1004までRF信号を送信する。アンテナアレイ1008内の受信素子は、RF信号を受信する。加重/コンバイナモジュール1006は、アンテナ1008のそれぞれの受信素子によって受信された受信信号を加重して受信ビームを作成する。加重/コンバイナモジュール1006からの出力は、RFからIFにダウンコンバートされる。
【0086】
いくつかの実施形態では、アップコンバータ626が、加重/コンバイナモジュール1006の、出力にではなくて、入力に配置される。したがって、RF信号(例えば、20GHzの信号)が加重され、加算される。次いで、ビーム素子信号は、アンテナアレイ素子のそれぞれを介して送信される。
【0087】
いくつかの実施形態では、衛星は、いくつかの加重/コンバイナモジュールを有する(簡略化のために図示せず)。それぞれの加重/コンバイナモジュールへの入力は、1つ又は2つ以上の光受信機622に連結されている。いくつかの実施形態では、1つの光受信機622からの全ての出力は、同じ加重/コンバイナモジュールに連結されている。それぞれの加重/コンバイナモジュールは、N個の出力を生成する。それぞれの加重/コンバイナモジュールからのN個の出力は、1つのN素子アンテナアレイ(簡略化のために1つのみ図示されている)の素子に1対1で連結されている。これに合わせて、アンテナアレイ1008と加重/コンバイナモジュール1006との間に1対1の関係が存在する。
【0088】
いくつかの実施形態では、図12に示されている第2のアーキテクチャ(即ち、オンボードビーム形成)は、システム600と同様に、QAM変調器614と共に使用される。ただし、衛星1104は、オンボードビーム形成を有する。
【0089】
図14は、光信号がSAN 802においてRF変調される図8に関して論じた技術を使用するシステム1200の簡略化した概略図である。ただし、衛星アーキテクチャは、衛星1204がオンボードビーム形成能力を有する図12及び図11のものと同様である。SAN 802、レンズ810、光検知器(フォトダイオード812など)、増幅器613、及びアップコンバータ626は全て、図8に関して説明したものと同様である。一方、加重/コンバイナモジュール1006及びアレイアンテナ1008は、図10図10A、及び図11に関して説明したものと同様である。図12で説明したアーキテクチャと同様に、加重/コンバイナ1006及びアレイアンテナ1008は、衛星1004が、SAN 802のうちの1つ又は2つ以上から受信された信号のコンテンツを利用者ビームカバレッジエリアのいずれかに送信することを可能にし、それにより、フィーダリンク多様性を提供する。したがって、SAN 802から衛星へのフィーダアップリンクの1つ又は2つ以上が、許容不可能なフェーディングを有する場合、そのフィーダアップリンク上で送信されることになっていたコンテンツは、代わりに他のSAN 802のうちの1つを介して、許容不可能なフェーディングを呈していないフィーダアップリンクを使用して、送信されることができる。
【0090】
図15は、光往路アップリンク1402及び無線周波数往路ダウンリンク1404を含む、第3のシステムアーキテクチャ(即ち、地上ビーム形成)を使用した衛星通信システム1400の往路リンクの説明図である。いくつかの実施形態では、システム1400は、512個の利用者ビームカバレッジエリア1801(以下に詳細に論じられている図19を参照されたい)内に位置する利用者端末806と通信するための比較的大容量の高信頼性システムを作成するように、往路リンク地上ビーム形成器1406、衛星1408、及び比較的多数(M個)のSAN 1410を含む。システム1400の議論の全体を通して、実施例ではM=8のSAN 1410が示されている。しかしながら、M=8は、単に都合のよい実施例でしかなく、システム1400などの開示されるシステムを特定の数のSAN 1410に制限することを意図するものではない。また、システム1400の実施例では、64本の光チャネルが示されている。更に、アンテナアレイは、512個の素子を有するものとして示されている。上述したように、特定の周波数、波長、アンテナアレイ素子、及び類似の並列チャネル、構成要素、デバイス、利用者ビームカバレッジエリアの数などは、本明細書に添付された特許請求の範囲によって明示的に制限されない限り、開示されるシステムが実装されることのできる態様に関する制限として見なされるべきではない。
【0091】
システム1400を介して伝達される往路トラヒック(即ち、往路ビーム入力信号1407)は、最初にインターネットなどの発信源から、コアノード又は類似のエンティティなどの配信機器を介して(図示せず)、ビーム形成器1406に提供される。配信機器は、他の機能を行うことに加えて、送信用の周波数及び/又はタイムスロットの個々の利用者端末への割り当てを管理し、宛先が特定のビームとなる送信用データをグループ化してもよい。ビーム形成器1406への入力信号1407(又は往路ビーム入力信号1407によって搬送されている情報のいくらかの部分)は、512本の利用者ビームのそれぞれに向けられたデータストリーム(又は変調されたデータストリーム)を表現することができる。一実施形態では、512個の往路ビーム入力信号1407のそれぞれは、3.5GHz幅IF信号である。いくつかの実施形態では、往路ビーム入力信号1407は、ビーム形成器1406の入力に連結されている合成3.5GHz幅搬送波である。
【0092】
往路ビーム入力信号1407のそれぞれは、ビーム形成器1406によって利用者ビームカバレッジエリア1801に「向けられる」。ビーム形成器1406は、(図16に関して以下に更に説明されるように)ビーム加重値を512個の往路ビーム入力信号1407に適用して、N個のビーム素子信号1409からなる集合を形成することによって、往路ビーム入力信号1407を特定の利用者ビームカバレッジエリア1801に向ける。一般には、NはK以上である。いくつかの実施形態では、N=512及びK=512である。512個のビーム素子信号1409は、増幅され、周波数変換されて、RFビーム素子信号1411を形成する。それぞれは、N素子(即ち、512素子)アンテナアレイ1416の素子から送信される。RFビーム素子信号1411は、利用者ビームカバレッジエリア1801内で互いの上に重なる。送信されたRFビーム素子信号1411の重ね合わせは、利用者ビームカバレッジエリア1801内で利用者ビームを形成する。
【0093】
いくつかの実施形態では、512個のビーム素子信号1409は、いくつかのSAN 1410の間で分割される。これに合わせて、ビーム素子信号1409の部分集合(例えば、512/8)は、それぞれのSAN 1410に連結されており、8はSAN 1410の数である。したがって、8個のSAN 1410の組み合わせは、ビーム形成器1406から衛星1408に512個のビーム素子信号1409を送信することになる。いくつかの実施形態では、ビーム形成器1406は、SAN 1410のうちの1つと同じ場所に位置する。代替的には、ビーム形成器1406は別の場所に位置する。更に、いくつかの実施形態では、ビーム形成器1406は、いくつかの場所の間で分散されていてもよい。このような一実施形態では、ビーム形成器1406の部分は、それぞれのSAN 1410と同じ場所に位置する。ビーム形成器1406のこのようなそれぞれの部分は、往路トラヒック1407の全てを受信するが、ビーム形成器1406のその部分と同じ場所に位置するSAN 1410に送信されるそれらの64(即ち、512/8)個の信号1409のみにビーム加重値を適用する。いくつかの実施形態では、いくつかのビーム形成器が提供される(簡略化のために図示せず)。それぞれのビーム形成器は、N個の出力(即ち、ビーム素子信号)を生成する。N個のビーム素子信号は、衛星1408上の1つのN素子アンテナアレイ(簡略化のために1つのみ図示されている)の素子に1対1で連結されることになる。これに合わせて、アンテナアレイ1416とビーム形成器1406との間に1対1の関係が存在する。1つのビーム形成器1406からのビーム素子の全てが、1つのSAN 1410を介して衛星1408に送信される、いくつかの実施形態では、別のSAN 1410からの送信のタイミングを調整する必要はない。代替的には、同じビーム形成器1406から出力されたビーム素子が異なるSANを介して衛星1408に送信される実施形態では、ビーム素子信号のタイミングは、以下に更に論じるようにタイミング制御を使用して考慮される。
【0094】
アンテナアレイ1416のN個の素子のそれぞれから送信されたRFビーム素子信号1411のそれぞれの間の位相関係、及びそれぞれの相対振幅により、ビーム素子信号が適切に重なって、所望の利用者ビームカバレッジエリア1801内にビームが形成されるかどうかが決まる。8個のSAN 1410(即ち、M=8)が存在するいくつかの実施形態では、それぞれのSAN 1410は、64個のビーム素子信号1409を受信する。
【0095】
512個のRFビーム素子信号1411の互いに対する位相及び振幅の関係を維持するために、ビーム形成器1406は、N個のビーム素子信号1409に加えて、8個のタイミングパイロット信号1413をそれぞれのSAN 1410に対して1つずつ出力する。それぞれのタイミングパイロット信号1413は、ビーム形成器1406からそれぞれのSAN 1410への送信時には、他のタイミングパイロット信号と揃っている。加えて、それぞれのタイミングパイロット信号1413の振幅は等しくなっている。
【0096】
図16は、往路ビーム形成器1406の詳細な説明図である。往路ビーム形成器1406は、システム1400を介して送信される往路トラヒックを表している512個の往路ビーム信号1407を受信する。信号1407は、マトリックス乗算器1501によって受信される。マトリックス乗算器1501は、ビーム形成器入力モジュール1502、512経路分割モジュール1504、並びに512個の加重及び加算モジュール1506を含む。マトリックス乗算器の他の配置、実装、又は構成を使用することができる。512個の往路ビーム信号1407のそれぞれは、512個の利用者ビームカバレッジエリア1801のうちの対応する1つの内部で受信されることが意図されている。これに合わせて、512個の利用者ビームカバレッジエリア1801と512個の往路ビーム信号1407との間には1対1の関係が存在する。いくつかの実施形態では、往路トラヒックをビーム形成器1406に提供する配信機器(例えば、コアノード)は、特定の利用者ビームカバレッジエリア1801に送信される情報が、その利用者ビームカバレッジエリア1801に対応した往路ビーム入力信号1407の内部に含まれていることを保証する。
【0097】
512経路分割モジュール1504は、512個の往路ビーム信号1407のそれぞれを512個の全く同じ信号に分割し、その結果、512×512(即ち、N×K)個の信号が512経路分割モジュール1504から出力される。Nが512に等しく、かつ、Kが512に等しい場合、分割モジュール1504は、512×512=524,288個の信号を出力する。分割モジュール1504から出力された512個の一意の信号は、512個の加重及び加算モジュール1506に連結されている。加重及び加算モジュール1506のそれぞれに連結されている信号は、往路ビーム加重値発生器1508によって計算されたビーム加重値に従って加重される(即ち、位相シフトされ、振幅調整される)。同じアレイ素子Nに対応した512個の加重された信号のそれぞれは、512個の加算器1512のうちの1つで加算される。
【0098】
加算器1512からの64個の出力からなるそれぞれのグループが、8個のSAN 1410のうちの異なる1つに連結され、そのSANによって送信されることになるので、タイミングモジュール1514が提供されている。タイミングモジュール1514は、64個のIFビーム素子信号1409からなるそれぞれのグループが、利用者ビームカバレッジエリア1801に適当な時間に到着することを保証して、信号1409の重ね合わせが利用者ビームの適切な形成を確実にもたらすように、ビーム素子信号1409がビーム形成器から送信されるタイミングを調整する。代替的には、往路ビーム加重値は、それぞれのSAN 1410から衛星1408への経路の長さ及び特性の差異を考慮して生成されることができる。これに合わせて、信号2122は、往路ビーム加重値発生器1508に連結されることになるであろう。いくつかの実施形態では、タイミングモジュール1514は、往路ビーム形成器1406からそれぞれのSAN 1410に送信されるタイミングパイロット信号1413を生成する。いくつかの実施形態では、1つのタイミングパイロット信号1413が生成され、等しい振幅の8つのコピーに分割され、それぞれのSAN 1410に1つのコピーが送信される。代替的には、コピーの振幅は所定の比であってよい。タイミングパイロット信号1413間の比が既知である限り、RFビーム素子信号1411は、それらが互いと重なって所望の利用者スポットビームを確実に形成するように、等化されることができる。ビーム形成器1406内のタイミングモジュール1514でアラインメントへの補正が行われるいくつかの実施形態では、往路ビーム形成器1406が、それぞれのSAN 1410への信号のアラインメントに対する補正を決定することができるように、それぞれのSAN 1410は、SANタイミング補正信号1419から算出された信号2122をビーム形成器へのタイミング制御入力に戻す。いくつかの実施形態では、SANタイミング補正信号1419は、その後、ビーム素子信号1409のタイミングを調整するために、タイミングモジュール1514によって使用される。他の実施形態では、SANタイミング補正信号1419は、ビーム形成器1406からSAN 1410のそれぞれを介して衛星1408に至るまでの経路の差異を考慮するようにビーム加重値を調整するために、往路ビーム加重値発生器1508によって使用される。上述したように、アラインメントへの補正は、それぞれのSAN 1410において代替的に行われることができる。
【0099】
ビーム素子信号1409が適切に加重され、必要なタイミング調整が全て行われた後、512個の信号1409のそれぞれは、SAN 1410のうちの1つに連結されている。即ち、8個のSAN 1410のそれぞれは、64個のビーム素子信号1409(即ち、512/8)を往路ビーム形成器1406から受信する。それぞれのSAN 1410内の光送信機1401は、受信するそれらの64個のビーム素子信号1409を受信し、多重化し、光搬送波上に変調する。
【0100】
図17は、システム1400のいくつかの実施形態で使用される光送信機1401の説明図である。光送信機1401は、図10に関して上で論じた光送信機607と同様である。しかしながら、入力信号1409は、ビーム形成器1406によってビーム加重されているので異なる。更に、ビーム形成器1406によって提供されるタイミングパイロット信号1413は、光変調器611に連結されており、その光変調器608内の光源654の波長によって決定される、同じ光帯域モジュール1403内の他の光変調器611の帯域と同じ帯域内で光搬送波上に変調される。いくつかの実施形態では、それぞれの光帯域モジュール1403は全く同じである。ただし、タイミングパイロット信号1413を変調することは、単に1つのこのような光帯域モジュール1403で行われさえすればよい。代替的には、図17に示されているように、1つの光帯域モジュール1403のみが、タイミングパイロット信号1413を変調するように構成されている。他の光帯域モジュール608は、図6に示されている上述した光帯域モジュール608と同様であってよい。いずれの実施形態でも、8個のSAN 1410がそれぞれ、64個のビーム素子信号1409を受信し、図5に示されているように、それらを4つの異なる光帯域内の16本の光チャネル上に変調する、システムでは、それぞれのSAN 1410において光送信機1401内に4つの光帯域モジュールが存在する。
【0101】
タイミングパイロット信号1413は、衛星までIFビーム素子信号1409と同じ経路を進む。したがって、衛星1408において、それぞれのSAN 1410から送信されたタイミングパイロット信号の到着時間を比較することにより、IFビーム素子信号の到着時間の差を決定することができ、そして補正信号を生成し、それぞれのSAN 1410に送信することができる。光送信機607と同様に、図17に示されているそれぞれの光変調器611によって出力された光チャネル915は、光コンバイナ609で合成される。合成光信号1624は、光送信機1401内の光学レンズ2002から放出される。光学レンズ2002は、光信号を衛星1408に送信することができる光信号送信機として動作する。
【0102】
64個のビーム素子信号1409及びタイミングパイロット信号1413を含む、SAN 1410のそれぞれからの合成光信号1624は、光往路アップリンク1402上で衛星1408に送信され、衛星1408内の8個の光受信機1412のうちの1つによって受信される。衛星1408内の8個の光受信機1412のそれぞれは、合成光信号1624から64本の光チャネル915を逆多重化する。
【0103】
図18は、衛星1408(図15を参照されたい)の構成要素をより詳細に示している。衛星1408は、地上ビーム形成を使用したシステムのいくつかの実施形態によれば、図15を参照して上述したように、往路リンクを受信及び送信する。衛星1408の往路リンクの構成要素には、8個の光受信機1412、8個の増幅器/変換器モジュール1414、及び512素子アンテナアレイ1416が挙げられる。システム1400のいくつかの実施形態では、8個のSANが存在する(即ち、M=8)、図9図13、及び図16に示されている実施形態と同様に、受信された合成信号1624は、それぞれ16本からなる4つの帯域に分割されている64本の光チャネルを含み、光チャネルのそれぞれは3.5GHz幅のIFチャネルを搬送する。更に、K=512個の利用者ビームカバレッジエリア1801及びアンテナアレイ内のN=512個の素子が存在する。本議論の他の場所に述べられているように、これらの数は、単に実施例として及び議論を容易にするために提供されているに過ぎない。
【0104】
それぞれの光受信機1412は、対応する増幅器/変換器モジュール1414と関連付けられている。光受信機1412はそれぞれ、レンズモジュール1701、及びフォトダイオード1703など、複数の光検知器を含む。レンズモジュール1701は、レンズ1702(いくつかの実施形態では、図4に関して上述したレンズ610と同様のものであってよい)、光逆多重化装置1704、複数の光逆多重化装置1706、及び複数の出力レンズ1708を含む。
【0105】
動作中、合成光信号1624は、8個のSAN 1410のそれぞれから受信される。レンズ1702は、それぞれの合成光信号1624を受信するように提供されている。いくつかの実施形態では、レンズ1702は、レンズ1702が受信する合成光信号1624の発信元となるSAN 1410に焦点を合わせる(いくつかの実施形態では、機械的に向けられる)ことができる。レンズ1702は、別のSAN 1410に向くように、後で焦点を合わせ直すことができる。レンズ1702はいくつかのSAN 1410のうちの1つから合成光信号1624を受信するように焦点を合わせることができるため、衛星1408は、より大きな数の8+X個のSAN 1410の中から選択された8個のSAN 1410から信号を受信することができる。いくつかの実施形態では、X=24である。したがって、32個の異なるSAN 1410が、システムで利用者ビームカバレッジエリア1801に伝達されることが意図されている情報を受信することができる。しかしながら、32個のSAN 1410のうちの8個のみが、送信される情報を有し、衛星1408によって受信されるように、選択される。
【0106】
次に、衛星1408の往路リンクを介した、合成光信号1624のうちの1つの信号経路を詳細に説明する。8個の受信された合成光信号1624によって取られる、衛星1408の往路リンクを介した8本の信号経路のそれぞれは、全く同じに機能することを理解されたい。レンズ1702によって受信される合成光信号1624は、光逆多重化装置1704に向けられる。図9に例示されている変調方式を使用したシステムでは、光逆多重化装置1702は、合成光信号1624を4つの帯域907、909、911、913に分割する(図9を参照されたい)。即ち、光逆多重化装置1704は、合成光信号1624を送信したSAN 1410がビーム素子信号1407を変調した4つの光波長に合成光信号1624を分割する。光逆多重化装置1704からの光出力のそれぞれは、対応する光逆多重化装置1706に連結されている。4つの光逆多重化装置1706のそれぞれは、512/(4×8)個の光信号を出力し、合計で4×(512/(4×8)=512/8=64個の光信号になる。4つの光逆多重化装置1706から出力された16個の光信号のそれぞれは、出力レンズ1708に向けられている。出力レンズ1708のそれぞれは、対応する光信号の焦点をフォトダイオード1703などの対応する光検出器の上に合わせている。それぞれのフォトダイオード1703は、その入力側で光信号の振幅エンベロープを検知し、検知した振幅エンベロープに対応するRF送信ビーム素子信号1418を出力する。これに合わせて、光受信機1412から出力されたRF送信ビーム素子信号1418は、本質的に、SAN 1410によって光信号上に変調されたビーム素子信号1409である。
【0107】
次いで、RF出力信号は、増幅器/変換器モジュール1414に連結されている。増幅器/変換器モジュール1414は、512/8本の信号経路を含む。いくつかの実施形態では、それぞれの信号経路は、低雑音増幅器(LNA)1710、周波数変換器1712、及びPA 1714を含む。他の実施形態では、信号経路は、周波数変換器1712及びPA 1714のみを含む。更に他の実施形態では、信号経路はPA 1714のみを含む(SANによって生成された給電信号が既に所望の往路ダウンリンク周波数にある場合は、周波数変換器1712を省略することができる)。周波数変換器1712は、RF送信ビーム素子信号1418を往路ダウンリンク搬送波周波数に周波数変換する。いくつかの実施形態では、それぞれのアップコンバータ1712の出力は、中心周波数20GHzでのRF搬送波である。8個の増幅器/変換器モジュール1414からの512個の出力のそれぞれは、512素子アンテナアレイ1416の512個の素子のうちの対応する1つに連結されている。したがって、アンテナアレイ1416は、512個の往路ダウンリンクビーム素子信号1718を送信する。
【0108】
図19は、いくつかの実施形態により、米国本土の上に形成された利用者ビームカバレッジエリア1801の説明図である。他の実施形態では、利用者ビームカバレッジエリアは、異なる場所に、異なる間隔及びパターンで、位置してもよい。図4図8、及び図12に示されている実施形態など、いくつかの実施形態では、アンテナのそれぞれの給電部は、利用者スポットビームを1つの利用者ビームカバレッジエリアに向けるように焦点を合わせられている。図10図11図12図14、及び図14Aに示されているものなど、他の実施形態では、512個の往路ダウンリンクビーム素子信号1718は、利用者ビームカバレッジエリア1801に向けられた利用者ビームを形成するように互いの上に重ねられる。図19に示されているように、利用者ビームカバレッジエリアは、利用者ビームカバレッジエリア1801よりも実質的に大きい衛星サービスエリアの上に分散されている。512素子アンテナアレイ1416は、往路ダウンリンク1404を介してRFビーム素子信号1411を512個の利用者ビームカバレッジエリア1801のそれぞれに送信する。それぞれの利用者ビームカバレッジエリア1801内にある利用者端末806は、512素子アンテナアレイ1416の512個の素子のそれぞれから送信されたRFビーム素子信号1411の重ね合わせによってその特定の利用者ビームカバレッジエリア1801に向けられた利用者ビームを受信する。
【0109】
それぞれの光受信機1412から出力されたIFビーム素子信号1418に加えて、それぞれの光受信機1412は、合成光信号1624から衛星タイミング信号1415を逆多重化する。衛星タイミング信号1415は、それぞれの受信機1412から出力され、対応する増幅器/変換器モジュール1414に連結されている。増幅器/変換器モジュール1414内のLNA 1710は、衛星タイミング信号1415を増幅する。LNA 1710の出力1416は、衛星タイミングモジュール1417に連結されている。いくつかの実施形態では、衛星タイミングモジュール1417は、それぞれの光受信機1412によって受信された衛星タイミング信号1415を比較して、それらが揃っているかどうかを判断する。衛星タイミングモジュール1417は、8個のSAN 1410のそれぞれに1つ戻される、8個のSANタイミング補正信号1419を出力する。いくつかの実施形態では、それぞれのSANタイミング補正信号1419は、復路増幅器/変換器モジュール1904への入力に連結されている(図24を参照されたい)。それぞれのSANタイミング補正信号1419は、増幅され、往路ダウンリンク周波数に周波数変換され、SAN 1410内で提供されている光送信機1401と同様の、衛星1408内の8個の光送信機1401のうちの1つへの入力に連結されている。いくつかの実施形態では、8個のうちの1つは、他の7個のための参照である。これに合わせて、参照衛星タイミング信号を送信したSAN 1410から送信された信号のタイミングに対して補正は行われない。したがって、そのSAN 1410には、SANタイミング補正信号1419は送信されない。SANタイミング補正信号1419は、衛星1408によってそれぞれのSAN 1410に送信されたそれぞれの合成光信号上に変調されている。
【0110】
それぞれのSANタイミング補正信号1419は、タイミングパイロット信号1413が他のタイミングパイロット信号(例えば、参照衛星タイミング信号1415)に対してどのくらいずれているかを示すタイミングアラインメント情報を提供する。いくつかの実施形態では、タイミング情報は、SAN 1410を介してビーム形成器1406内のタイミングモジュール1514(図16を参照されたい)に送信される。タイミングモジュール1514は、それぞれのSAN 1410にビーム素子のアラインメントを送信する前に、それらを調整する。代替的には、タイミングアラインメント情報は、SAN 1410からの送信のタイミングを調整して、それぞれのSAN 1410からのRFビーム素子信号1411が揃った状態で衛星1408に到着するように、それぞれのSAN 1410によって使用される。図20は、ビーム素子信号1409及びタイミングパイロット信号1413のタイミングを調整するためのタイミングモジュール1462を有する光送信機1460の説明図である。タイミングモジュール1462は、衛星1408から(以下に更に論じられている)復路ダウンリンクを介してタイミング制御信号1464を受信する。タイミングモジュールは、適当な遅延を信号1409、1413に適用して、SAN 1410によって送信された信号をシステム1400の他のSAN 1410によって送信された信号と揃える。
【0111】
代替実施形態では、タイミング調整は、衛星タイミングモジュール1417によって生成された制御信号に基づいて衛星内のRFビーム素子信号1411に対して行うことができる。いくつかのこのような実施形態では、制御信号は、それぞれのRFビーム素子信号1411に対して光受信機1412とアンテナアレイ1416との間の信号経路内に配されるプログラム可能な遅延を制御する。
【0112】
代替実施形態では、衛星タイミング信号1415のうちの少なくとも2つが、衛星からそれぞれのSAN 1410に返信される。第1は、全てのSANに返信される共通衛星タイミング信号1415である。即ち、受信された衛星タイミング信号1415のうちの1つは、他の全てがそれに揃えられることになる標準として選択される。第2は、衛星タイミング信号1415のループバックである。共通衛星タイミング信号1415をループバック衛星タイミング信号1415と比較することにより、それぞれのSAN 1410は、2つの信号を揃えるために、ひいてはそれぞれのSAN 1410からのIFビーム素子信号1418を衛星1410内で揃えるために必要な調整量を決定することができる。
【0113】
図21は、K個の往路ビーム入力信号1452のそれぞれがS本の500MHz幅のサブチャネルを含んでいるシステム1450である。いくつかの実施形態では、K=512及びS=7である。例えば、いくつかの実施形態では、7本の500MHz幅のサブチャネルは、1つの利用者カバレッジエリア1801に送信される。図22は、往路ビーム入力信号1452が7本の500MHz幅のサブチャネルを含み、それぞれがビーム形成器1300への一意の入力に連結されている、ビーム形成器1300の説明図である。これに合わせて、上述したように、サブチャネルは、図14図15に示されているように、IF搬送波に合成された後にビーム形成されることができる。代替的には、図14A図13に示されているように、サブチャネル1452は、ビーム形成器1300を使用して、合成される前にビーム形成されることができる。これに合わせて、ビーム形成器1300は、S×N個のビーム素子信号を出力し、(S×N)/M個のこのようなビーム素子信号が、それぞれのSAN 1410に送信される。例示的なシステム1450では、S=7、N=512、及びM=8である。上述したように、これらの数は、都合のよい実施例として提供されており、システム1450などのシステムをこれらの特定の値に制限することを意図するものではない。
【0114】
図22は、それぞれの搬送波がS本のサブチャネル1452を含むビーム形成器1300の簡略化したブロック図であり、ここでは、S=7である。サブチャネル1452のそれぞれは、独立した入力としてビーム形成器1300内のマトリックス乗算器1301に提供されている。したがって、512×7本のサブチャネル1452がマトリックス乗算器1301に入力される。ここで、形成される利用者スポットビームは512個であり、7はそれぞれの搬送波内でのサブチャネルの本数である。即ち、K=512及びS=7である。512経路分割器1304は、512×7本のサブチャネル1407のそれぞれを受信し、512はアンテナアレイ1416内の素子の数である。代替的には、Nはアンテナ素子の任意の数であってよい。それぞれのサブチャネル1452は、512本の経路に分割される。これに合わせて、512×512×7個の信号が、分割器1304から三次元マトリックスで出力される。信号1,1,1~1,K,1(即ち、K=512の場合は1,512,1)は、加重及び加算モジュール1306で加重され、加算される。同様に、信号1,1,7~1,512,7は、加重及び加算モジュール1313で加重され、加算される。類似の方法で、他の加重及び加算モジュールのそれぞれは、分割器1304からの出力を加重受信し、同出力を加重し、加算する。加重及び加算モジュール1306、1313からの512×7個の出力は、タイミングモジュール1514の入力に連結されている。タイミングモジュールは、上で論じたビーム形成器1406のタイミングモジュール1514と本質的に同じに機能する。ビーム形成器1300は、512×7個のビーム素子信号1454をSAN 1410に出力する。8個のSAN 1410のそれぞれは、IFコンバイナ1602を含む。
【0115】
図23は、システム1450のSAN 1456の説明図である。いくつかの実施形態では、第1のベースバンドからIFへの変換器805は、図10に関して上で論じたベースバンドからIFへの変換器805と類似した方法で動作する。変換器805は、7個の500MHzビーム素子信号1454の組み合わせである信号811を出力する。加えて、いくつかの実施形態では、ベースバンドからIFへの変換器1605のうちの少なくとも1つは、追加の周波数変換器1607を含む。追加の周波数変換器1607は、ビーム形成器1300からタイミングパイロット信号1413を受信する。タイミングパイロット信号1413は、ビーム素子サブチャネル1452と合成され、光送信機607に連結されている。光送信機607に連結されているIF信号811のそれぞれは、それぞれのSAN 1410の光コンバイナ609で合成されて、送信合成光信号1624を形成する。タイミングパイロット信号1413は、周波数変換器1607の入力に連結されている。周波数変換器1607は、タイミングパイロット信号を、加算器1608によってビーム素子信号1454と加算されることができる周波数に配する。代替的には、タイミングパイロット信号1413は、タイミングパイロット信号1413を変調することに特化した追加の光変調器1610に直接連結されることができる。追加の変調器1610の出力は、コンバイナ609に連結されており、タイミングパイロット信号専用の一意の光チャネル上で他の信号と合成される。
【0116】
図24は、地上ビーム形成を有するシステム1400の復路リンクの説明図である。512個の利用者ビームカバレッジエリア1801のうちの複数内に位置する利用者端末806は、RF信号を衛星1408に送信する。衛星1408上の512素子アンテナアレイ1902(アンテナアレイ1416と同じであってもなくてもよい)は、利用者端末806からのRF信号を受信する。512素子アンテナアレイ1902からの512/8個の出力は、8個の増幅器/変換器モジュール1904のそれぞれに連結されている。即ち、アンテナアレイ1902のそれぞれの素子は、増幅器/変換器モジュール1904のうちの1つの内部にある1つのLNA 1906に連結されている。それぞれのLNA1906の出力は、周波数変換器1908及び前置増幅器1910への入力に連結されている。LNA 1906の増幅された出力は、RF利用者アップリンク周波数からIFに周波数ダウンコンバートされる。いくつかの実施形態では、IF信号は帯域幅3.5GHzを有する。いくつかの実施形態では、前置増幅器1910は、光搬送波上への変調の前に追加の利得を提供する。それぞれの増幅器/変換器モジュール1904の出力は、図4の光送信機607と同様に、8個の光送信機1401のうちの1つへの対応する入力に連結されている。8個の光送信機1401のそれぞれは、光信号を出力し、対応するSAN 1410に送信する。SAN 1410は光信号を受信する。SAN 1410は、512/8個の復路ビーム素子信号1914をダウンリンクビーム形成器1916に出力する。ダウンリンクビーム形成器1916は、復路ビーム素子信号1914を処理し、それぞれが512個の利用者ビームカバレッジエリア1801のうちの1つに対応する、512個のビーム信号1918を出力する。
【0117】
増幅器/変換器モジュール1904から光送信機607に提供されたIF信号はそれぞれ、512/8個の光変調器611のうちの1つに連結されている。例えば、アンテナアレイ1902内に512個の素子が存在し(即ち、N=512)、かつ、システム1900内に8個のSAN 1410が存在すると、512/8=64になる。図9に示されているものなど、4つの帯域に分割された波長の上にIF信号が変調されるシステムでは、光変調器611は、512/(4×8)個の光変調器611を有する光帯域モジュール608にグループ化される。
【0118】
それぞれの光変調器611は、上述の、図10に示されているSAN 1410のアップリンク光モジュール611と本質的に同じである。同じ光帯域モジュール608内のそれぞれの光変調器611は、16個の波長λのうちの1つを有する光信号を生成する光源654を有する。これに合わせて、それぞれの光変調器611の出力は様々な波長になる。同じ光帯域モジュール608内で生成されたそれらの光信号は、同じ光帯域内にある波長を有することになる(即ち、図9に示されている事例の場合、例えば、光帯域は1100nm、1300nm、1550nm、及び2100nmである)。それらの光信号のそれぞれは、波長λ2に基づいた帯域内の16本の光チャネルのうちの1つにあることになる。それぞれの光変調器611からの光出力は、光コンバイナ609に連結されている。光コンバイナ609の出力は、光学レンズ2016を介してSAN 1410のうちの1つに送信される合成光信号である。光学レンズ2016は、いくつかのSAN 1410のうちの1つに向けられることができる。これに合わせて、8個の光送信機はそれぞれ、8個の光信号のうちの1つを8個のSAN 1410のうちの1つに送信する。8個のSANからなる特定の集合は、候補SANのより大きなグループから衛星とそれぞれの候補SANとの間の光リンクの品質に応じて選択されることができる。
【0119】
図25は、復路リンク内のSAN 1410のうちの1つの説明図である。光受信機622は、衛星からレンズ2016によってSAN 1410に向けられた光信号を受信するレンズ2102を含む。光帯域逆多重化装置2104は光信号を光帯域に分離する。例えば、4つのこのような帯域が存在するいくつかの実施形態では、4つの光出力2106のそれぞれは、光チャネル逆多重化装置2108に連結されている。光チャネル逆多重化装置2108は、衛星1408内で合成された512/(4×8)個の信号を分離する。4つの光チャネル逆多重化装置2108からの出力のそれぞれは、光チャネル逆多重化装置2108の光出力の焦点をフォトダイオード2112などの光検知器上に合わせる、対応するレンズ2110に連結されている。フォトダイオード2112からの出力信号2116はそれぞれ、512/8個のLNA 2114のうちの1つに連結されている。それぞれのLNA 2114からの出力は、復路リンクビーム形成器1916に連結されている(図24を参照されたい)。加えて、光受信機622からの1つのチャネル出力は、本質的には衛星タイミングモジュールによって復路増幅器/変換器モジュール1414に提供されたSANタイミング補正信号1419(図18を参照されたい)であるタイミング補正信号1464を出力する。いくつかの実施形態では、タイミング補正信号1464は、タイミングパイロットモデム2120に連結されている。タイミングパイロットモデムは、往路ビーム形成器1406に送信される信号2122を出力する。他の実施形態では、タイミング補正信号1464は、上で論じたタイミングモジュール1462(図20を参照されたい)のタイミング制御入力に連結されている。
【0120】
図26は、開示される技術のいくつかの実施形態による復路ビーム形成器1916をより詳細に例示している。512個の出力信号2116のそれぞれは、復路ビーム形成器1916によってSAN 1410のそれぞれから受信される。復路ビーム形成器は、ビーム形成入力モジュール2203、タイミングモジュール2201、マトリックス乗算器2200、及びビーム形成器出力モジュール2205を含む。マトリックス乗算器2200は、K経路分割モジュール2202及び512個の加重及び加算モジュール2204を含む。マトリックス乗算器2200は、ビーム信号のベクトルに加重マトリックスを乗じる。マトリックス乗算器2200の他の配置、実装、又は構成を使用することができる。それぞれの信号2116は、ビーム形成器1916によってビーム形成器入力モジュール2203で受信され、タイミングモジュール2201に連結されている。タイミングモジュール2201は、衛星からSAN 1410まで及びSAN 1410から復路ビーム形成器1916までの経路の長さ及び特性におけるあらゆる差異が考慮されることを保証する。いくつかの実施形態では、これは、1つのパイロット信号を復路ビーム形成器1916からそれぞれのSAN 1410に衛星に至るまで送信し、SAN 1410を介してこのパイロット信号を復路ビーム形成器1916に返信することによって行われてよい。復路ビーム形成器1916と衛星との間の経路における差異は、測定され、考慮されることができる。
【0121】
タイミングモジュールの出力は、それぞれの信号を512個の全く同じ信号に分割するK経路分割器2202に連結されている。512個の一意の信号は、512個の加重及び加算回路2204のそれぞれに印加される。512個の一意の信号のそれぞれは、加重回路2206内で加重され(即ち、位相及び振幅が調整され)、その結果、加算回路2208内で512個の他の加重された信号と加算されると、復路ビーム形成器の出力において復路リンク利用者ビームが形成される。
【0122】
上述のアーキテクチャのそれぞれは、衛星への光アップリンクに関して示されている。加えて、衛星から地上のSANへの光ダウンリンクは、本質的に、記載した光アップリンクの逆に動作する。例えば、図4に示されているアーキテクチャに関しては、衛星602からSAN 604への光ダウンリンクは、広帯域ダウンリンクを提供する。光アップリンクを受信するためのレンズ610ではなくて、レーザが、光ダウンリンクを送信するために提供される。更に、2相変調器614がRF搬送波上で送信されるBPSK変調された信号を生成するのではなくて、2相変調器は、光バイナリ変調方式を使用して光信号を変調する。また、光ダウンリンクは、図4に示されているものと同様のアーキテクチャを使用して提供されることができる。この実施形態では、変調器614は代わりに、QAM変調されたRF又はIF信号を受信し、それぞれのシンボルのビットを復調するQAM復調器になり、光ダウンリンク上での送信用に光信号のバイナリ光変調を使用しているであろう。図8に示されているアーキテクチャの実施形態では、衛星からSANへのフィーダダウンリンクが光である、類似のアーキテクチャが使用されることができ、利用者端末842、844からの受信RF信号は、信号を受信するように選択されている特定のSANに向いたレーザへマトリックススイッチによって導かれる。RF信号は、フィーダアップリンク光信号がSAN 802内でベースバンド/RFモデム811によってRF変調される方法と同様に、光信号上にRF変調される。
【0123】
いくつかの実施形態では、光フィーダダウンリンク信号を送信するために使用されるレーザは、いくつかのSANのうちの1つに向いている。これらのSANは、図4図8、及び図12のSANが選択される方法と同様に、衛星からそれぞれの使用可能なSANまでの光路における信号フェーディングの量に基づいて選択される。
【0124】
開示される技術は、実施形態及び実装の様々な実施例によって上述されているが、個々の実施形態のうちの1つ又は2つ以上に記載されている特定の特徴、態様、及び機能性は、それらの利用性において、それらが記載されている特定の実施形態に限定されるものではないことを理解されたい。したがって、特許請求される発明の広さ及び範囲は、上に開示された実施形態を説明する際に提供されているいずれの実施例によっても限定されるべきではない。
【0125】
本文書において使用される用語及び語句、並びにそれらの変形物は、別途明示的に記述されない限り、限定することとは対照的に、制約のないものであると解釈されるべきである。前述の例として、「含んでいる(including)」という用語は、「限定することなく、含んでいる(including without limitation)」又は同類のことを意味するものとして解釈されるべきであり、「例(example)」という用語は論述中の項目の代表的な事例を提供するために使用され、その網羅的又は限定的なリストを提供するためのものではなく、「a」又は「an」という用語は、「少なくとも1つの(at least one)」、「1つ又は2つ以上の(one or more)」又は同類のことを意味するものとして解釈されるべきであり、「従来の(conventional)」、「伝統的な(traditional)」、「通常の(normal)」、「標準の(standard)」、「既知の(known)」及び類似の意味の用語などの形容詞は、記述される項目を所与の期間に、又は所与の時点で利用可能な項目に、限定するものと受け取られるべきではなく、代わりに、現在又は将来において利用可能であり得る、従来の、伝統的な、通常の、又は標準の技術を包含するように解釈されるべきである。同様に、本文書が当業者にとって明白又は既知であろう技術を参照するときは、かかる技術は、現在又は将来において当業者に明白な又は既知の技術を包含する。
【0126】
接続詞「及び(and)」で結び付けられる一群の項目は、それらの項目のそれぞれ全てがその群の中に存在することを必要とするものとして解釈されるべきではなく、むしろ、別途明示的に記述されない限り、「及び/又は(and/or)」として解釈されるべきである。同様に、接続詞「又は(or)」で結び付けられる一群の項目は、その群の中で相互排他的であることを必要とするものとして解釈されるべきではなく、むしろ、別途明示的に記述されない限り、やはり「及び/又は(and/or)」として解釈されるべきである。更に、開示される技術の項目、要素、又は構成要素は、単数で説明され、又は特許請求され得るが、単数であることが明確に述べられていない限り、複数がその範囲内にあることが想定される。
【0127】
いくつかの事例における「1つ又は2つ以上の(one or more)」、「少なくとも(at least)」、「がこれらに限定されない(but not limited to)」又は他の同類の語句などの幅を広げる語又は語句の存在は、そのような幅を広げる語句がなかった場合に、より狭い事例を意図する、又は必要とすることを意味するためと解釈されるものではない。用語「モジュール(module)」の使用は、モジュールの一部として説明される又は特許請求される構成要素又は機能性が全て、共通のパッケージ内に構成されていることを含意するものではない。実際には、モジュールの様々な構成要素のいずれか又は全ては、制御論理又は他の構成要素のいずれであるかにかかわらず、単一パッケージに組み合わされる又は別個に維持されることができ、複数の群若しくはパッケージ内に又は複数の場所にわたって更に配置されることができる。
【0128】
加えて、本明細書に記載される様々な実施形態は、ブロック図、流れ図、及び他の説明図を援用して説明される。本文書を読めば当業者には明白であるように、例示した実施形態及びそれらの様々な代替手段は、例示された実施例に制限されることなく実装されることができる。例えば、ブロック図及びそれらに付随する説明は、特定のアーキテクチャ又は構成を義務付けるものとして解釈されるべきではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26