(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-10
(45)【発行日】2023-05-19
(54)【発明の名称】活性エネルギー線硬化性組成物、及び艶消しコーティング膜の製造方法
(51)【国際特許分類】
C08F 2/50 20060101AFI20230511BHJP
C08F 2/44 20060101ALI20230511BHJP
C08F 290/00 20060101ALI20230511BHJP
【FI】
C08F2/50
C08F2/44 A
C08F290/00
(21)【出願番号】P 2022568590
(86)(22)【出願日】2022-04-07
(86)【国際出願番号】 JP2022017220
(87)【国際公開番号】W WO2022224830
(87)【国際公開日】2022-10-27
【審査請求日】2022-11-10
(31)【優先権主張番号】P 2021072512
(32)【優先日】2021-04-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】310000244
【氏名又は名称】DICグラフィックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149445
【氏名又は名称】大野 孝幸
(72)【発明者】
【氏名】大倉 雄介
(72)【発明者】
【氏名】河田 はるか
(72)【発明者】
【氏名】福島 利雄
(72)【発明者】
【氏名】尾薗 圭一
【審査官】藤井 明子
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-052437(JP,A)
【文献】特開2019-065245(JP,A)
【文献】特開2004-238556(JP,A)
【文献】特開平03-056514(JP,A)
【文献】特開2000-211249(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 2/00-2/60、283/01、290/00-
290/14、299/00-299/08
C09D 1/00-10/00、101/00-201/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性エネルギー線硬化型化合物、光重合開始剤、及び艶消し剤とを含有する活性エネルギー線硬化性組成物であって、(1)、(2)及び(3)を満たすことを特徴とする活性エネルギー線硬化性組成物。
(1)活性エネルギー線硬化型化合物として、エチレンオキサイド変性1,6-ヘキサンジオールジアクリレートを活性エネルギー線硬化型化合物全質量に対し10~50質量%、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクリレートを活性エネルギー線硬化型化合物全質量に対し10~50質量%含有する。
(2)前記艶消し剤の平均粒子径が1~10μmであって、活性エネルギー線硬化型化合物全質量に対し前記艶消し剤を5~20質量%含有する。
(3)エトキシエトキシエタノールアクリル酸多量体エステルを活性エネルギー線硬化型化合物全質量に対し1~30質量%含有する。
【請求項2】
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートを活性エネルギー線硬化型化合物全質量に対し1~20質量%含有する請求項1に記載の活性エネルギー線硬化性組成物。
【請求項3】
ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、及びアクリル(メタ)アクリレートからなる群から選ばれる少なくとも1種の(メタ)アクリルオリゴマーを、活性エネルギー線硬化型化合物全質量に対し1~20質量%含有する請求項1又2に記載の活性エネルギー線硬化性組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、活性エネルギー線硬化性組成物、及び該組成物を用いた艶消しコーティング膜の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、家具、住宅内装、車輌内装材等を対象に、基材表面に貼り合わせることで天然の材料に近い外観(意匠性)を付与することが出来る材料として「化粧シート」が採用されている。
そして該化粧シートの最表層を構成するコーティング剤として、照明器具の反射防止や木質表面の再現のための艶消し化(低光沢化とも称されることがある)、及び基材・加飾層を保護する耐スクラッチ性、耐汚染性、加工性の点で良好な粘度等の物性が求められている。
一方で、現状のコーティング剤はその大半が有機溶剤を含む二液硬化型塗料であるが、近年、環境対応の観点から活性エネルギー線硬化型の無溶剤系塗料が着目されている。しかしながら、無溶剤系塗料では溶剤系塗料の様な溶剤揮発の際に艶消し剤が塗膜表層に配向し光沢を下げるメカニズムが使えない事から、膜厚に応じた粒径の大きい艶消し剤を使用せざるを得ず、十分な低光沢が得られないという課題がある。
基材上に、電子線硬化型(EB硬化型と称されることもある)や紫外線硬化型(UV硬化型と称されることもある)の艶消し剤を添加したコーティング剤を塗工することは知られている(例えば特許文献1参照)。
また、艶消し剤を添加したコーティング剤を硬化させる際に、酸素含有不活性ガス雰囲気下において含有酸素濃度を多段階に変化させて電子線を照射し、電子線硬化型クリヤーを硬化させることで、十分な艶消し効果が得られ、かつ、耐候性の格段に優れた高耐候性艶消し化粧板を得る方法も知られている。(例えば特許文献2参照)
しかしながらこれらの方法であっても、未だ所望する艶消し効果を保持しつつ、耐スクラッチ性、耐汚染性、加工性の点で良好な粘度を兼備するに充分であるとは言えない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2002-69332号公報
【文献】特開2001-87703号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、コーティング剤として塗工可能な粘度、艶消し効果をもたらす低光沢性、耐汚染性、耐スクラッチ性を兼備した活性エネルギー線硬化性組成物、及び該活性エネルギー線硬化性組成物を使用した艶消しコーティング膜の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、特定の活性エネルギー線硬化型化合物を特定量、光重合開始剤、及び特定の粒子径サイズの艶消し剤を特定量含有する活性エネルギー線硬化性組成物が前記課題を解決することを見出した。
【0006】
即ち本発明は、 活性エネルギー線硬化型化合物、光重合開始剤、及び艶消し剤とを含有する活性エネルギー線硬化性組成物であって、(1)及び(2)を満たすことを特徴とする活性エネルギー線硬化性組成物を提供する。
(1)活性エネルギー線硬化型化合物として、エチレンオキサイド変性1,6-ヘキサンジオールジアクリレートを活性エネルギー線硬化型化合物全質量に対し10~50質量%、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクリレートを活性エネルギー線硬化型化合物全質量に対し10~50質量%含有する。
(2)前記艶消し剤の粒子径が1~10μmであって、活性エネルギー線硬化型化合物全質量に対し前記艶消し剤を5~20質量%含有する。
【0007】
また本発明は、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートを活性エネルギー線硬化型化合物全質量に対し1~20質量%含有し、エトキシエトキシエタノールアクリル酸多量体エステルを活性エネルギー線硬化型化合物全質量に対し1~30質量%含有する活性エネルギー線硬化性組成物を提供する。
【0008】
また本発明は、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、及びアクリル(メタ)アクリレートからなる群から選ばれる少なくとも1種の(メタ)アクリルオリゴマーを、活性エネルギー線硬化型化合物全質量に対し1~20質量%含有する活性エネルギー線硬化性組成物を提供する。
【0009】
また本発明は、基材上に、活性エネルギー線硬化性組成物のコーティング膜を形成する工程(I)と、前記コーティング膜上に、大気下で紫外線照射する工程(II)と、前記コーティング膜上に、活性エネルギー線照射する工程(III)とをこの順に有することを特徴とする、艶消しコーティング膜の製造方法であって、活性エネルギー線硬化性組成物が記載活性エネルギー線硬化性組成物であることを特徴とする、艶消しコーティング膜の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、無溶剤であってもコーティング剤として塗工可能な粘度、艶消し効果をもたらす低光沢性、耐汚染性、耐スクラッチ性を兼備することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、活性エネルギー線硬化型化合物、光重合開始剤、及び艶消し剤とを含有する活性エネルギー線硬化性組成物であって、(1)及び(2)を満たすことを特徴とする。
(1)活性エネルギー線硬化型化合物として、エチレンオキサイド変性1,6-ヘキサンジオールジアクリレートを活性エネルギー線硬化型化合物全質量に対し10~50質量%、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクリレートを活性エネルギー線硬化型化合物全質量に対し10~50質量%含有する。
(2)前記艶消し剤の粒子径が1~10μmであって、活性エネルギー線硬化型化合物全質量に対し前記艶消し剤を5~20質量%含有する。
【0012】
(活性エネルギー線硬化性組成物の硬化物からなる艶消しコーティング膜)
本発明の艶消しコーティング膜は、活性エネルギー線硬化性組成物からなるコーティング剤の硬化物からなる艶消しコーティング膜である。
以下、本発明で使用する活性エネルギー線硬化性組成物からなるコーティング剤を、「活性エネルギー線硬化性艶消しコーティング剤」と称する。
尚、本発明において「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート及びメタクリレートの一方または両方をいう。
【0013】
(活性エネルギー線硬化型化合物)
本発明で使用する活性エネルギー線硬化型化合物としては、エチレンオキサイド変性1,6-ヘキサンジオールジアクリレートを活性エネルギー線硬化型化合物全質量に対し10~50質量%、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクリレートを活性エネルギー線硬化型化合物全質量に対し10~50質量%含有する事を必須とする。
エチレンオキサイド変性1,6-ヘキサンジオールジアクリレートを活性エネルギー線硬化型化合物全質量に対し10質量%以上であれば低光沢性を保持できる傾向にあり、50質量%以下であれば耐スクラッチ性を保持する傾向となる。
エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクリレートを活性エネルギー線硬化型化合物全質量に対し10質量%以上であれば耐スクラッチ性を保持できる傾向にあり、50質量%以下であれば低光沢を保持する傾向となる。
【0014】
エチレンオキサイド変性1,6-ヘキサンジオールジアクリレートにおいて、変性におけるアルキレンオキサイドの付加量は1~2モルが好ましい。また、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクリレートにおいて、変性におけるアルキレンオキサイドの付加量は1~3モルが好ましく、より好ましくは2~3モルである。
【0015】
更に本発明で使用する活性エネルギー線硬化型化合物としては、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートを活性エネルギー線硬化型化合物全質量に対し1~20質量%含有し、エトキシエトキシエタノールアクリル酸多量体エステルを活性エネルギー線硬化型化合物全質量に対し1~30質量%含有してもよい。
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートを活性エネルギー線硬化型化合物全質量に対し1質量%以上であれば耐汚染性を保持できる傾向にあり、20質量%以下であれば低光沢を保持する傾向となる。
エトキシエトキシエタノールアクリル酸多量体エステルを活性エネルギー線硬化型化合物全質量に対し1質量%以上であれば低光沢を保持できる傾向にあり、30質量%以下であれば耐汚染性を保持する傾向となる。
【0016】
更に必要に応じて(メタ)アクリルオリゴマーを使用してもよい。(メタ)アクリルオリゴマーとしては、ウレタン(メタ)アクリレート、アクリル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、アミン変性ポリエーテルアクリレート、アミン変性エポキシアクリレート、アミン変性脂肪族アクリレート、アミン変性ポリエステルアクリレート、アミノ(メタ)アクリレートなどのアミン変性アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ポリオレフィン(メタ)アクリレート、ポリスチレン(メタ)アクリレート等が挙げられる。
中でもウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、及びアクリル(メタ)アクリレートが好ましく、ウレタン(メタ)アクリレートがコーティング剤として塗工可能な粘度、低光沢、耐汚染性、及び耐スクラッチ性が兼備できる点でより好ましい。
【0017】
前記(メタ)アクリルオリゴマーの分子量は、数平均分子量150~100000の範囲が好ましく、より好ましくは数平均分子量200~10000の範囲である。
【0018】
尚、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、及びアクリル(メタ)アクリレートからなる群から選ばれる少なくとも1種の(メタ)アクリルオリゴマーは、活性エネルギー線硬化型化合物全質量に対し1~20質量%含有する事が好ましい。前記(メタ)アクリルオリゴマーを、活性エネルギー線硬化型化合物全質量に対し1質量%以上含有する事で耐スクラッチ性を保持する傾向となり、20質量%以下であればコーティング剤として塗工可能な粘度を保持する傾向となる。
【0019】
(光重合開始剤)
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、通常光重合開始剤を使用する。この際に使用する光重合開始剤としては、公知のものを使用すればよい。
【0020】
中でもラジカル重合タイプの光重合開始剤が好ましく、活性エネルギー線硬化性化合物溶解時に溶解液の着色が無く、経時による黄変の少ないα-ヒドロキシアルキルケトン系光重合開始剤が挙げられる。α-ヒドロキシアルキルケトン系光重合開始剤としては例えば、1-フェニル-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、1-(4-i-プロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル-(2-ヒドロキシ-2-プロピル)ケトン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等が挙げられる。更にフェニルグリオキソレート系光重合開始剤も好ましい。フェニルグリオキソレート系光重合開始剤としては例えばメチルベンゾイルフォルマート等を挙げることができる。中でも、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンが好ましい。
【0021】
また、その他のラジカル重合タイプの光重合開始剤としては紫外線の中でも長波長領域に吸収波長を有するモノアシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤を適宜、組合わせて使用してもよい。モノアシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤としては活性エネルギー線硬化性化合物への溶解時に着色するビスアシルフォスフィンオキサイド類は除き、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニルフォスフィンオキサイド、2,6-ジメトキシベンゾイル-ジフェニルフォスフィンオキサイド、2,6-ジクロロベンゾイル-ジフェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6-トリメチルベンゾイル-フェニルフォスフィン酸メチルエステル、2-メチルベンゾイル-ジフェニルフォスフィンオキサイド、ピバロイルフェニルフォスフィン酸イソプロピルエステル等のモノアシルフォスフィンオキサイド類等が挙げられ、特に、これらの中でも、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニルフォスフィンオキサイドは、385nmや395nmに発光波長を有するUV-LEDの発光波長領域に合致するUV吸収波長を有することで、好適な硬化性が得られ、且つ、硬化皮膜の黄変が少ない点でより好ましい。
【0022】
前記した光重合開始剤はそれぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。前記光重合開始剤の総計の添加量は、活性エネルギー線硬化性組成物全量の0.01~5.0質量%の範囲であることが好ましい。 0.01質量%以上であれば良好な硬化性が得られる。また従来の化粧シート等で使用される活性エネルギー線硬化性艶消しコーティング剤では、光重合開始剤はコーティング剤固形分全量の5.0~10.0質量%添加するのが一般的であるが、本発明では5.0質量%以下とする事で、コーティング剤としての流動性が保持でき加工性、作業性が保持される上、大気下での紫外線照射を行う工程(II)により、艶消しコーティング膜の塗膜表面を半硬化状態となる傾向となり、艶消し剤の微粒子が表面配向により効率よく配列する事で艶消し効果が得られやすい。
【0023】
更に、脂肪族アミン誘導体及び/又は安息香酸アミン誘導体から選ばれる3級アミン化合物を増感剤として添加することによって、硬化速度を速めることもできる。3級アミン化合物は、反応性を高め、酸素による反応阻害を阻止することで知られている。好適な3級アミン化合物としては、例えば、トリエチルアミン、メチルジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどの遊離アルキルアミン、2-エチルヘキシル-4-ジメチルアミノベンゾエート、エチル-4-ジメチルアミノベンゾエートなどの芳香族アミン、およびポリマー性不飽和アミン(例えば、(メタ)アクリレート化アミン類)などの活性エネルギー線重合性化合物は、低臭気性、低揮発性、および硬化によってポリマーマトリックス中に組み込むことができる能力によって黄ばみが抑制される性質があることから、好ましいとされる。
【0024】
前記3級アミン化合物は、有機溶剤を含む塗料全量に対して、好ましくは、0.1~10質量%、より好ましくは、0.3~3質量%の量で用いる事ができる。
【0025】
(平均粒子径1~10μmの艶消し剤)
本発明で使用する艶消し剤の平均粒子径1~10μmのものであれば公知のものでよく、有機系及び/又は無機系特に限定なく単独もしくは併用して使用することができる。具体的には例えばシリカ、酸化チタン、アルミナ粒子(酸化アルミニウム)、炭酸カルシウムや硫酸バリウム、ガラスなどの無機粒子、あるいはアクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコーン樹脂、ポリスチレン樹脂などの有機粒子、シリコーンビーズ等を使用することができる。高い艶消し効果を期待できるものとして、無機微粒子としてシリカやアルミノケイ酸塩ビーズ等、有機微粒子としてアクリル樹脂ビーズやウレタン樹脂ビーズ等の他、シリコーンビーズ等が好ましい。
艶消し剤の添加量は、活性エネルギー線硬化型化合物全質量の5~20質量%が好ましく、10~18質量%であればさらに好ましい。該含有率が5質量%以上であれば充分な艶消し効果が得られ、20質量%以下であれば、コーティング剤として塗工可能な粘度、及び耐スクラッチ性を保持する傾向となる。
【0026】
(シリカ)
本発明で使用するシリカは、平均粒径が、平均粒子径1~10μmの範囲であるシリカであるならば特に限定はなく公知のシリカを使用することができる。本発明において平均粒子径はレーザー回折法により測定した値とする。
シリカとして具体的には、非晶性シリカがより好ましい。前記非晶性シリカとしては、珪藻土、活性白土等が挙げられ、非晶性シリカの中でも合成非晶性シリカとしては乾式シリカ、湿式シリカ、シリカゲル等が使用できる。中でもケイ酸ソーダ水溶液の酸またはアルカリ金属塩による中和、分解反応によって製造された湿式シリカが好ましい。前記湿式シリカは表面処理されたものを使用することもできる。シリカ粒子を表面処理する方法は、特に制限は無く公知の方法であれば良い。ワックスやシランカップリング剤で表面処理されたものが挙げられる。湿式シリカは、前記表面処理されたものと表面処理されていないものとを複数混合して用いてもよい。
【0027】
前記艶消し剤として用いる湿式シリカの平均粒子径としては平均粒子径1~10μm、より好ましくは1.5~8μmである。平均粒子径が1μm未満であると、増粘が著しくなりコーティングに適した粘度が得られにくくなる。また、平均粒子径が10μmより大きいと、シリカが塗膜表層に配向する効果が失われ、マット感が不十分となる。
【0028】
シリカの含有率は、活性エネルギー線硬化型化合物全質量の5~20質量%が好ましく、10~18質量%であればより好ましい。該含有率が5質量%未満であると充分な艶消し効果が見られず、20質量%を超えるとコーティング剤として塗工可能な粘度、及び耐スクラッチ性の保持が困難になる傾向があり好ましくない。
【0029】
(ビーズ)
本発明でビーズを用いる場合、特に限定はなく公知のビーズを使用することができる。具体的には、アクリル樹脂ビーズやシリコーンビーズ、ガラスビーズ、アルミノケイ酸塩ビーズ等を利用することができる。前記艶消し剤としてのシリカに、更にビーズを添加することで、適度な低艶に加えて塗工表面の耐傷性を向上させることが出来る。艶消し剤としてのビーズは、シリカよりも多量が必要とはなるが、その分ビーズの添加量による光沢度の微調整はしやすいという点も利点として挙げられる。中でもアクリル樹脂ビーズが好ましい。
【0030】
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、近年の環境対応の観点から無溶剤で使用することが好ましいが、必要に応じて有機溶剤を添加する事もできる。
【0031】
(有機溶剤)
有機溶剤としては、使用する活性エネルギー線硬化性組成物を溶解する溶剤であればいずれも使用できる。
例えば、トルエン、キシレン等の芳香族系炭化水素、n-ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン等の脂肪族または脂環式炭化水素、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸プロピル等のエステル類、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n-ブタノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルキレングリコールモノアルキルエーテル等、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエーテルエステル類等が挙げられる。
ただし環境対応を目的として、大気中への有機溶剤の蒸散量の徹底的な低減、即ち揮発性有機化合物(VOC)の削減をする場合は、上記の有機溶剤を含まない方がより好ましい。
【0032】
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、塗工性の観点から、後述の本発明の艶消しコーティング膜の製造方法において塗工可能な粘度に調整しておくことが好ましい。粘度としては300~10000mPa・sに調整するのが好ましく、2000~5000mPa・sであればより好ましい。前記活性エネルギー線硬化型化合物は総じて低分子量のものが多く有機溶剤で希釈しなくても該粘度に調整できる場合は有機溶剤で希釈する必要はない。一方、高分子量で粘度の高い重合性オリゴマーを併用する場合は、有機溶剤で希釈または加熱することで該粘度に調整することができる。
【0033】
(添加剤)
その他本発明で使用する活性エネルギー線硬化性組成物は、必要に応じて重合禁止剤、レベリング剤、チクソ性付与剤、ワックス、乾燥剤、増粘剤、垂れ止め剤、可塑剤、分散剤、沈降防止剤、消泡剤、紫外線吸収剤、光安定剤等を含有することが可能である。
【0034】
(活性エネルギー線硬化性組成物の製造)
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、 活性エネルギー線硬化型化合物、光重合開始剤、及び艶消し剤、その他各種添加剤などを混合練肉・分散することにより製造することができる。
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、 分散機の粉砕メディアのサイズ、粉砕メディアの充填率、分散処理時間などを適宜調節することにより、調整することができる。分散機としては、一般に使用される、例えば、ローラーミル、ボールミル、ペブルミル、アトライター、サンドミルなどを用いることができる。
コーティング剤中に気泡や予期せずに粗大粒子などが含まれる場合は、塗工物品質を低下させるため、濾過などにより取り除くことが好ましい。濾過器は従来公知のものを使用することができる。
【0035】
(艶消しコーティング膜の形成方法)
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、公知の塗布・印刷方式でコーティング膜を形成することができる。具体的な例としては、コーティング方法としては、たとえばロールコーター、グラビアコーター、グラビアオフセットコーター、フレキソコーター、エアドクターコーター、ブレードコーター、エアナイフコーター、スクイズコーター、含浸コーター、トランスファロールコーター、キスコーター、カーテンコーター、キャストコーター、スプレイコーター、ダイコーター、オフセット印刷機、スクリーン印刷機等を適宜採用することができる。
【0036】
前記形成方法で形成した艶消しコーティング膜は、使用するコーティング剤が有機溶剤を含有する場合は溶剤を乾燥炉等で乾燥させた後、活性エネルギー線で硬化させて硬化させたコーティング膜を得る事が出来るが、無溶剤の場合はその必要はない。
【0037】
(基材)
本発明で使用する基材は、艶消し意匠を所望される基材であれば特に限定なく使用できる。たとえば建材用の化粧シートであれば、化粧シートに使用する汎用の基材シートを基材として使用することができる。
基材シートとしては特に限定はなく、一般的な化粧シートに汎用の熱可塑性樹脂により形成されたシート(フィルム)や紙を使用する。
熱可塑性樹脂により形成されたシート(フィルム)としては、例えば、ポリエチレン、エチレン-αオレフィン共重合体、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリブテン、エチレン-プロピレン共重合体、プロピレン-ブテン共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体ケン化物、エチレン-(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸エステル共重合体等のポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエチレンナフタレート、アイオノマー、アクリル酸エステル系重合体、メタアクリル酸エステル系重合体等が挙げられる。前記基材シートは、これら樹脂を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることにより形成されていてもよい。
【0038】
前記基材シートは着色されていてもよく、また必要に応じて、充填剤、艶消し剤、発泡剤、難燃剤、滑剤、帯電防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定化剤等の各種の添加剤が含まれていてもよい。また基材シートの厚みは、最終製品の用途、使用方法等により適宜設定できるが、一般には20~300μmが好ましい。
【0039】
基材シートの片面又は両面には、必要に応じて、コロナ放電処理、オゾン処理、プラズマ処理、電離放射線処理、重クロム酸処理等の表面処理を施してもよい。例えば、コロナ放電処理を行う場合には、基材シート表面の表面張力が30dyne以上、好ましくは40dyne以上となるようにすればよい。表面処理は、各処理の常法に従って行えばよい。
【0040】
また化粧シート向け紙基材の種類としては、例えば、薄葉紙、普通紙、強化紙、樹脂含浸紙等の紙質シート、チタン紙、等が挙げられる。
【0041】
また化粧板に汎用される木質化粧板等を基材としてもよい。木質化粧板の木質基材としては、従来から化粧板や家具、建築部材等の木質基材として使用されている合板、パーティクルボード、ハードボード、MDF等の公知のものが挙げられる。またこれらの公知基材はどのような製法で得られたものであるかは問わない。
更に、基材として使用できる不燃材としては、石膏ボード、石膏板、珪酸カルシウム板等を素材とした開孔ボード建材等、陶器、磁器、せっ器、土器、硝子、琺瑯などのセラミックス板、鉄板、亜鉛メッキ鋼板、ポリ塩化ビニルゾル塗布鋼板、アルミニウム板、銅板などの金属板を挙げることができる。
【0042】
(工程(I))
使用目的に応じ前記基材から選ばれた基材上に、記載活性エネルギー線硬化組成物を、前記コーティング方式の何れかを用いてコーティング膜を形成する。
【0043】
(工程(II))
次いで前記コーティング膜を、大気下で紫外線照射を行なうことが好ましい。
【0044】
ここで大気下での紫外線照射は公知の方法で行うことができる。例えば、殺菌灯、紫外線用蛍光灯、紫外線発光ダイオード(UV-LED)、カーボンアーク、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ケミカルランプ、低圧水銀ランプ、複写用高圧水銀灯、中圧又は高圧水銀灯、超高圧水銀灯、無電極ランプ、メタルハライドランプ、自然光等を光源とする紫外線を照射する。
工程(2)における紫外線の積算光量は20~1000mJ/cm2の範囲であることが、本発明の効果を最大限に発揮でき好ましい。なかでも積算光量が40~800mJ/cm2の範囲であることがなお好ましい。
20mJ/cm2以上であれば硬化効率がよく、1000mJ/cm2以下であれば、発熱による基材の損傷などを防ぐ事も出来る。
工程(II)により、本発明の艶消しコーティング膜の塗膜表面を半硬化状態とすることで、艶消し剤の表面配向により効率よく艶消し効果が得られやすく、無溶剤であっても溶剤系塗料と同様な艶消し効果が得られる。
【0045】
(工程(III)
前記工程(II)の後、活性エネルギー線照射する工程(III)にて艶消しコーティング膜を完全硬化させる。前記活性エネルギー線としては、電子線でも紫外線でも構わない。
紫外線照射の場合、酸素濃度5%未満の雰囲気下での照射がより好ましい。
ここで酸素濃度5%未満の雰囲気下とは、酸素を含有する不活性ガスを充満させた雰囲気下であって、その酸素濃度が5%未満である雰囲気下である。不活性ガスとしては窒素ガス、二酸化炭素ガス、アルゴンガス等のガスを1種または複数種混合して使用してもよい。またその他空気が含有する二酸化酸素等のガスは少々含まれていても問題ない。
【0046】
酸素濃度5%未満の雰囲気下では、紫外線を照射する。工程(III)における紫外線の積算光量は20~1000mJ/cm2の範囲であることが、本発明の効果を最大限に発揮でき好ましい。なかでも積算光量が40~800mJ/cm2の範囲であることがなお好ましい。
【0047】
一方電子線を使用する場合は、電子線照射装置を使用する。照射量は、10~230kGy程度が好ましく、10~100kGy程度がより好ましい。電子線照射の場合の雰囲気下は、酸素濃度2%以下であることが好ましい。
【0048】
このようにして得たコーティング膜の膜厚は、0.1~100μmの範囲であることが好ましく、0.5~50μmの範囲が最も好ましい。この膜厚の範囲であることで、本発明の効果を最大限に発揮できる。
【0049】
また、本発明の製造方法は、前述の化粧シート等建築材料用途のみならず、家具、楽器、事務用品、スポーツ用品、玩具等の表面塗装用途に幅広く展開され得る。
【実施例】
【0050】
以下、実施例により、本発明をさらに詳しく説明する。尚、以下実施例中にある部、質量部とは、質量%を表す。
【0051】
また、シリカの平均粒子径は日機装株式会社製ナノ粒子粒度分布測定器Nanotrac UPA EX-150を使って測定した。
【0052】
(活性エネルギー線硬化性組成物の調整)
〔実施例1〕
エチレンオキサイド変性1,6-ヘキサンジオールジアクリレートであるMiramer M202(MIWON社製)50部、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクリレートであるM3130(MIWON社製)50部、光重合開始剤1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン「Omnirad184」(BASF社製)1.5部、艶消し剤として有機表面処理シリカ(湿式シリカ)であるニップシールE170(平均粒子径:3μm、東ソー・シリカ(株)社製)15部の合計116.5部を攪拌機で1時間撹拌混合することで、活性エネルギー線硬化性組成物1を作製した。
【0053】
〔実施例2~8、比較例1~9〕
表1~3に示す配合に従って、実施例1と同様の手順にて各活性エネルギー線硬化性組成物を調整した。
【0054】
<工程(I)によるコーティング膜の形成>
基材としてポリプロピレンフィルム(オカモト(株)社製、0.5mm厚)を用い、バーコーター(10μm)を使用して前記実施例1~8、比較例1~9で作製した活性エネルギー線硬化性組成物を其々塗布した塗工物を、表1~3に従って大気下で紫外線照射する工程(II)に次いで活性エネルギー線照射する工程(III)を行う。
【0055】
<工程(II)による紫外線照射>
空冷高圧水銀灯(出力120W/cm 1灯)およびベルトコンベアを搭載したUV照射装置(株式会社ジーエス・ユアサ コーポレーション)を使用し、前記塗工物をコンベア上に載せ、大気下にてランプ直下(照射距離11cm)を分速25メートルの速度で通過させることにより、コーティング膜を半硬化させた。
紫外線照射量は紫外線積算光量計(株式会社ジーエス・ユアサ コーポレーション製 工業用UVチェッカー UVR-N1)を用いて55mJ/cm2である事を確認した。
【0056】
<工程(III)による電子線照射>
次にカーテン型電子線照射装置(岩崎電気株式会社製「エレクトロカーテンEC250/15/180L」)を用いて、照射線量50kGyにて電子線を照射し、コーティング膜を完全に硬化させた。
【0057】
〔評価方法〕
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物、及び作製した艶消しコーティング膜の評価方法を示す。
【0058】
〔評価項目1:粘度〕
25℃に調整した活性エネルギー線硬化性組成物について、デジタルB型粘度計(東機産業株式会社製「TVB-10M」)を用いて、M3型ロータ、60rpmの条件で測定した。
(評価基準)
◎:2000mPa・s以上、5000mPa・s未満
○:300mPa・s以上、2000mPa・s未満、
又は5000mPa・s以上、10000mPa・s未満
×:300mPa・s未満、又は10000mPa・s以上
【0059】
〔評価項目2:光沢度〕
完全に硬化した艶消しコーティング膜表面を、JIS Z8741に順じた鏡面光沢度測定すべく、グロスメーター(コニカミノルタ社製「MULTI GLOSS 268A」)を用いて光沢値(グロス値)を測定しした。
光沢値の測定条件は入射角60°反射角60°とした。
(評価基準)
◎:10%未満
○:10%以上20%未満
×:20%以上
【0060】
〔評価項目3:耐汚染性〕
JAS特殊合板 汚染A試験に準拠して、汚染物を化粧板表面に塗布し、4時間後にアルコールを含むウェスで表面を拭き取った後の汚染物の残存具合を目視にて観察した。なお汚染物としては、市販の事務用黒マジックを用いた。
(評価基準)
◎:汚染物の残存が全くない
○:汚染物の残存はあるが軽微で実用上問題無い
×:汚染物の残存が著しい
【0061】
〔評価項目4:耐スクラッチ性〕
得られたコーティング膜の表面について、ホフマンスクラッチ試験機(BYK Gardner社製)を用いて評価した。具体的には、コーティング膜表面に45°の角度でスクラッチ刃をセットし試験機を移動させた。徐々に荷重を上げていき表面に擦り傷、又は圧痕が生じる荷重を測定した。
(評価基準)
◎:荷重400g以上
○:荷重200g以上、400g未満
×:荷重200g未満
【0062】
各活性エネルギー線硬化性組成物の組成、及び作製した艶消しコーティング膜の評価結果を表1~3に示す。
尚、表中の数値は、全て質量部、又は質量%であり。空欄は未配合であることを示す。
また、表3中のN.D.は粘度が高過ぎて評価出来ない事を示す。
【0063】
【0064】
【0065】
【0066】
表中の略語を下記に示す。
・Photomer6184:IGM Resins B.V.社製 ウレタンアクリレートオリゴマー
・アクリルアクリレート樹脂A:DIC(株)社製 アクリルアクリレートオリゴマー
・エポキシアクリレート樹脂B:DIC(株)社製 エポキシアクリレートオリゴマー
・ビスコート190D:大阪有機化学工業株式会社製 エトキシエトキシエタノールアクリル酸多量体エステル
・MiramerM202:MIWON社製 エチレンオキサイド変性1,6-ヘキサンジオールジアクリレート
・MiramerM220 :MIWON社製 トリプロピレングリコールジアクリレート
・MiramerM284 :MIWON社製 ポリエチレングリコールジアクリレート
・MiramerM3130:MIWON社製 エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクリレート
・MiramerM340:MIWON社製 ペンタエリスリトールトリアクリレート
・DPA600T:張家港東亜迪愛生化学有限公司社製 ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
・Omnirad184:BASF社製の光重合開始剤 1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン
・Nipsil E170:東ソー・シリカ株式会社製シリカ、平均粒子径 3μm
・サイロイド ED-50:W.R.Grace社製シリカ、平均粒子径 8μm
・NIPGEL BY-001:東ソー・シリカ株式会社製シリカ、平均粒子径 14μm
【0067】
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、有機溶媒を使用せずともコーティング剤として塗工可能な粘度を保持しつつ、艶消し効果をもたらす低光沢性、耐汚染性、耐スクラッチ性を兼備することができる。