(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-11
(45)【発行日】2023-05-19
(54)【発明の名称】硫黄系ガス吸着方法および硫黄系ガス吸着性包装材の製造方法
(51)【国際特許分類】
B65D 65/40 20060101AFI20230512BHJP
B32B 27/18 20060101ALI20230512BHJP
【FI】
B65D65/40 D
B32B27/18 F
(21)【出願番号】P 2021173593
(22)【出願日】2021-10-25
【審査請求日】2021-11-02
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000222118
【氏名又は名称】東洋インキSCホールディングス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】711004436
【氏名又は名称】東洋インキ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 雄也
(72)【発明者】
【氏名】木島 拓郎
【審査官】杉田 剛謙
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-182536(JP,A)
【文献】特開2020-070040(JP,A)
【文献】特開2016-196560(JP,A)
【文献】特開2003-025524(JP,A)
【文献】特開2016-112510(JP,A)
【文献】特開2020-158140(JP,A)
【文献】特開2014-50988(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 65/40
B65D 81/26
B32B 27/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
包装材を用いた硫黄系ガス吸着方法であって、
前記包装材が、基材、印刷層、コート層、接着剤層、およびシーラント層を有してなり、
前記コート層が
、酸化亜鉛とバインダー樹脂とを含むコート剤からなり
、
前記
酸化亜鉛の、
動的光散乱法での測定におけるD50粒子径が、5~400nmであり、
BET法によるガス吸着量から得られる比表面積を用い算出される一次粒子径が、5~100nmであり、
前記酸化亜鉛の含有量が、コート剤100質量部中、4~60質量部であり、
前記バインダー樹脂が、ウレタン樹脂と、塩化ビニル共重合樹脂とを質量比95:5~40:60で含有する、
硫黄系ガス吸着方法。
【請求項2】
コート剤が、更に、イソシアネート硬化剤を含有する、請求項1に記載の硫黄系ガス吸着方法。
【請求項3】
接着剤層が、ポリオールとポリイソシアネート化合物との硬化物を含む層または、アンカーコート層と溶融性ポリオレフィン樹脂層との複合層を含む、請求項1または2に記載の硫黄系ガス吸着方法。
【請求項4】
基材の全表面積の30面積%以上のコート層を有する、請求項1~3いずれかに記載の硫黄系ガス吸着方法。
【請求項5】
硫黄系ガス吸着性包装材の製造方法であって、
前記消臭性包装材が、基材上に、印刷層、コート層、接着剤層、およびシーラント層を積層する工程を含み、
前記積層する工程中に、前記基材の全表面積のうち30面積%以上にコート層を形成する工程を含み、
前記コート層が
、酸化亜鉛とバインダー樹脂とを含むコート剤からなり
、
前記
酸化亜鉛の、
動的光散乱法での測定におけるD50粒子径が、5~400nmであり、
BET法によるガス吸着量から得られる比表面積を用い算出される一次粒子径が、5~100nmであり、
前記酸化亜鉛の含有量が、コート剤100質量部中、4~60質量部であり、
前記バインダー樹脂が、ウレタン樹脂と、塩化ビニル共重合樹脂とを質量比95:5~40:60で含有する、
硫黄系ガス吸着性包装材の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装材を用いた硫黄系ガス吸着方法に関する。金属酸化物とバインダー樹脂からなるコート層を含むラミネート包装材を使用した硫黄系ガスの吸着方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、食品パッケージに使用される包装材料は、安全性・衛生性の観点からプラスチックフィルムが主に使用されている。ただし、プラスチックフィルム単層では、食品包装容器に求められる加工適性や内容物保持性、ヒートシール適性などを満たすことは難しいため、異なる基材を張り合わせた包装材が使用されている。特に、内容物である食品の劣化防止や、内容物から発生する硫黄系ガスをはじめとした匂いの漏れおよび風味の変化を防止するために、従来技術として、アルミ箔などのバリア層を包装材に含めた構成が使用されてきた(特許文献1)。一方で、内容物から放出される硫黄系ガスなどの匂いは包装容器中に保たれるため、包装容器を開封したときに臭気として感じられることがあり、これを取り除くことができる包装材料が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、特定の包装材を使用することで内容物から発生する硫黄系ガスを吸着して放出しない方法を提供するものである。また、同時にラミネート強度の高い包装材を提供できるものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
発明者らは鋭意検討を行った結果、本発明の包装材を用いることで上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち本発明は、包装材を用いた硫黄系ガス吸着方法であって、
前記包装材が、基材、印刷層、コート層、接着剤層、およびシーラント層を有してなり、
前記コート層が、金属酸化物(A)とバインダー樹脂とを含むコート剤からなり、
前記金属酸化物(A)が、酸化銅、酸化亜鉛、酸化マンガン、酸化鉄、酸化コバルトおよび酸化マグネシウムからなる群より選ばれる少なくとも1種を含む、硫黄系ガス吸着方法に関する。
【0007】
また、本発明は、バインダー樹脂が、ウレタン樹脂と、塩化ビニル共重合樹脂とを質量比95:5~40:60で含有する、上記硫黄系ガス吸着方法に関する。
【0008】
また、本発明は、コート剤が、更に、イソシアネート硬化剤を含有する、上記硫黄系ガス吸着方法に関する。
【0009】
また、本発明は、接着剤層が、ポリオールとポリイソシアネート化合物との硬化物を含む層または、アンカーコート層と溶融性ポリオレフィン樹脂層との複合層を含む、上記硫黄系ガス吸着方法に関する。
【0010】
また、本発明は、基材の全表面積の30面積%以上のコート層を有する、上記硫黄系ガス吸着方法に関する。
【0011】
また、本発明は、硫黄系ガス吸着性包装材の製造方法であって、
前記消臭性包装材が、基材上に、印刷層、コート層、接着剤層、およびシーラント層を積層する工程を含み、
前記積層する工程中に、前記基材の全表面積のうち30面積%以上にコート層を形成する工程を含み、
前記コート層が、金属酸化物(A)とバインダー樹脂とを含むコート剤からなり、
前記金属酸化物(A)が、酸化銅、酸化亜鉛、酸化マンガン、酸化鉄、酸化コバルトおよび酸化マグネシウムからなる群より選ばれる少なくとも1種を含む、硫黄系ガス吸着性包装材の製造方法に関する。
【発明の効果】
【0012】
本発明により、特定の包装材を使用することで内容物から発生する硫黄系ガスを吸着して放出しない方法を提供することが可能となった。また、同時にラミネート強度の高い包装材を提供することが可能となった。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を超えない限りこれらの内容に限定されない。
【0014】
以下、本発明の積層体について詳細に説明する。
本発明は、包装材を用いた硫黄系ガス吸着方法に関し、
前記包装材が、基材、印刷層、コート層、接着剤層、およびシーラント層を有してなり、
前記コート層が、金属酸化物(A)とバインダー樹脂とを含むコート剤からなり、
前記金属酸化物(A)が、酸化銅、酸化亜鉛、酸化マンガン、酸化鉄、酸化コバルトおよび酸化マグネシウムからなる群より選ばれる少なくとも1種を含む、硫黄系ガス吸着方法である。
【0015】
コート層に所定の金属酸化物(A)を使用することで硫黄系ガスを包装材に吸着させる機能を付与し、かつ、バインダー樹脂に均一に分散され、基材への密着性やラミネート強度が良好となる。
【0016】
<包装材>
本発明で用いられる包装材の構成は、代表例は、少なくとも、基材、印刷層、コート層、接着剤層、及びシーラント層が、この順に外層側から積層されている構成を備えた包装材である。その積層構成は、具体的には、以下において外層側(左側)から順に以下のような積層構成を例示することができる。なお以下(1)から(4)の構成表示においては、「/」は各層の境界を意味する。また、印刷層とコート層については積層構成の順序が逆でも良い。また、印刷層、コート層が一部なく、基材と接着剤層とが直接する部分がある場合を排除しているのではない。
【0017】
(1)基材/印刷層/コート層/接着剤層/シーラント層
(2)基材/印刷層/コート層/接着剤層/中間基材層/接着剤層/シーラント層
(3)基材/コート層/印刷層/接着剤層/シーラント層
(4)基材/コート層/印刷層/接着剤層/中間基材層/接着剤層/シーラント層
なお、印刷層を外側(基材側)から視認できる限り上記以外の層構成を任意に選択することができる。
【0018】
<コート層、コート剤>
本発明の包装材の一構成であるコート層は、下記コート剤を塗布することで得られる。硫黄系ガスなどの臭気除去のために、コート層の膜厚は0.1~20μmであることが好ましく、0.1~10μmであることがなお好ましく、0.3~5μmであることが更に好ましい。
【0019】
<金属酸化物(A)>
本発明で用いられるコート剤は、少なくとも1種の金属酸化物(A)を必須の成分とする。金属酸化物(A)は、酸化銅、酸化亜鉛、酸化マンガン、酸化鉄、酸化コバルトおよび酸化マグネシウムから選ばれるが、中でも、酸化銅、酸化亜鉛、酸化鉄(II)、酸化鉄(III)、酸化マンガンから選ばれる金属に由来する金属酸化物が好ましく、酸化亜鉛が更に好ましい。
【0020】
金属酸化物(A)の平均粒子径は5~400nmであることが好ましく、5~350nmであることがなお好ましく、10~250nmであることが更に好ましい。ここでいう平均粒子径とは、動的光散乱法での測定におけるD50粒子径をいう。
例えばマイクロトラックベル社製MicrotracWaveII-EX150を用いて測定することができる。更には一次粒子径が5~100nmであることが好ましく、5~80nmであることがなお好ましく、10~50nmであることが更に好ましい。ここでいう一次粒子径は、BET法によるガス吸着量から得られる比表面積を用い算出されるものをいう。また更に吸油量としては14~33cm3/100gであることが好ましく、17~30cm3/100gであることがなお好ましい。当該吸油量とは、JISK5101による測定値をいう。
【0021】
コート剤における金属酸化物(A)の含有量は、良好な印刷適性や、コート剤製造適性および被膜物性を得るため、コート剤100質量部中、4~60質量部であることが好ましく、10~50質量部であることがより好ましい。
【0022】
<バインダー樹脂>
本発明で用いられるコート剤は、バインダー樹脂を含有することで、前記金属酸化物(A)を良好に分散でき、優れたインキ製造適性、コート剤経時安定性、印刷適性が得られる。さらに、二軸延伸ポリプロピレンフィルム、二軸延伸ポリエステルフィルム、二軸延伸ポリアミドフィルムその他の基材への密着性に優れ、ラミネートして得られる積層体において良好なラミネート強度が得られる。
なかでもフィルムへの密着性とラミネート強度等の面で、ウレタン樹脂と塩化ビニル共重合樹脂を含むことが好ましく、バインダー樹脂の総量中に合計で50質量%~100質量%含むことがより好ましい。なお、ウレタン樹脂と塩化ビニル共重合樹脂とを質量比95:5~40:60で含有することがさらに好ましい。
【0023】
本発明で用いられるコート剤のバインダー樹脂の含有量は、コート剤100質量部中、3~30質量部の範囲内とすることが好ましい。コート剤のフィルム密着性や、インキ製造適性の面から、より好ましくは4~20質量部の範囲である。
【0024】
<ウレタン樹脂>
ウレタン樹脂は、重量平均分子量として10,000~100,000のものが好ましく、ガラス転移温度が-60℃~0℃であることが好ましく、更には動的粘弾性測定において40℃における貯蔵弾性率が1~100MPaであるものが好ましい。
なお、本発明においてガラス転移温度とは示差走査熱量計(DSC)により測定し、ガラス転移が起こる温度範囲の変曲点を表す。
【0025】
ウレタン樹脂は、アミン価および/または水酸基価を有するものが好ましく、アミン価は1~20mgKOH/gであることが好ましい。また水酸基価は1~20mgKOH/gであることが好ましい。なお、本発明のウレタン樹脂はウレア結合を有していても良いし、ウレア結合を有していなくても良く、更に2種類以上を併用してもよい。
【0026】
本発明で用いられるウレタン樹脂は特に制限はなく、例えば特開2013-213109号公報や特開2005-298618号公報に記載された公知の方法により適宜製造される。
本発明で用いられるウレタン樹脂は、製造方法にて限定されるものではないが、例えばポリオールとポリイソシアネートからなるウレタン樹脂や、ポリオールとポリイソシアネートからなる末端イソシアネートのウレタンプレポリマーと、更にアミン化合物で鎖延長反応させることで得られるウレタン樹脂が好ましい。
【0027】
上記ポリオールとしては、例えばポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカプロラクトンジオール、ポリカーボネートポリオール、ポリオレフィンポリオール、ひまし油ポリオール、水素添加ひまし油ポリオール、ダイマージオール、水添ダイマージオールなどが挙げられる。ポリエステルポリオールを使用することが好ましく、ポリエーテルポリオールとポリエステルポリオールを併用することがより好ましい。
【0028】
上記ポリエーテルポリオールは例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリトリメチレングリコールや、これら2種以上の組み合わせからなる共重合体のポリエーテルポリオール類が挙げられる。中でもポリテトラメチレングリコールやポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコールが好ましく、数平均分子量は500~10,000であることが好ましい。なお、本発明に記載したポリオールの数平均分子量は、ポリオール一分子の有する水酸基の価数(平均個数)と、ポリオール固形分1g中水酸基価(水酸基モル数の水酸化カリウム量換算値)から計算されるものであり、(式1)により求められる。
(式1)ポリオールの数平均分子量=1000×56.1×水酸基の価数/水酸基価
【0029】
上記ポリエステルポリオールとしては、例えば、二塩基酸とジオールとのエステル化反応により得られる縮合物等が挙げられる。二塩基酸としては、アジピン酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、マレイン酸、フマル酸、コハク酸、シュウ酸、マロン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、スベリン酸、グルタル酸、1,4-シクロヘキシルジカルボン酸、ダイマー酸、水添ダイマー酸等が挙げられる。ジオールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、3,3,5-トリメチルペンタンジオール、2、4-ジエチル-1,5-ペンタンジオール、1,12-オクタデカンジオール、1,2-アルカンジオール、1,3-アルカンジオール、1-モノグリセライド、2-モノグリセライド、1-モノグリセリンエーテル、2-モノグリセリンエーテル、ダイマージオール、水添ダイマージオール等が挙げられる。上記二塩基酸としてはセバシン酸、アジピン酸が特に好ましい。また、カルボキシル基を3個以上有する多価カルボン酸を併用することもできる。
【0030】
上記ポリエステルポリオールを構成するジオールとしては、アルキル基を有するジオールが好ましい。アルキル基を有するジオールとは、ジオールに含まれるアルキレン基の水素原子の少なくとも1つがアルキル基によって置換された構造を有するジオールを意味し、プロピレングリコール、1,3-ブタンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4-ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2,5-ヘキサンジオール、2-メチル-1,4-ペンタンジオール、2,4-ジエチル-1,5-ペンタンジオール、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール、2-メチル-1,8-オクタンジオール、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオール、および2,2,4-トリメチル-1,6-ヘキサンジオール等が挙げられる。これらは、後述する様々な基材に対して強い密着性を発現するため、特に好ましい。また、ヒドロキシル基を3個以上有するポリオールを併用することもできる。
これらのポリエステルポリオールは単独で、または2種以上を混合して用いることができる。
【0031】
ポリエステルポリオールの数平均分子量は、好ましくは500~10,000である。数平均分子量は、上記(式1)により求められる。本発明に用いるポリエステルポリオールの酸価は1.0mgKOH/g以下であることが好ましく、0.5mgKOH/g以下であることがより好ましい。
【0032】
ウレタン樹脂は、上記ポリエーテルポリオール由来の構造単位を含むものが好ましく、前記構造単位含有量はウレタン樹脂固形分100質量部中、0.5~30質量部であることが好ましく、更に好ましくは1~25質量部である。本発明において、ポリエーテルポリオール由来の構造単位とは、ウレタン樹脂の原料であるポリエーテルポリオールの、一つの末端の水酸基の酸素原子から、他の末端の水酸基の酸素原子までの構造を示し、ポリエーテルポリオールの配合量より算出した値である。
【0033】
ウレタン樹脂は、上記ポリエステルポリオール由来の構造単位を含むものが好ましく、前記構造単位含有量はウレタン樹脂固形分100質量部中、30~75質量部であることが好ましく、より好ましくは40~75質量部であり、更に好ましくは45~75質量部である。本発明において、ポリエステルポリオール由来の構造単位とは、ウレタン樹脂の原料であるポリエステルポリオールの、一つの末端の水酸基の酸素原子から、他の末端の水酸基の酸素原子までの構造を示し、ポリエステルポリオールの配合量より算出した値である。
【0034】
ウレタン樹脂は、上記ポリエステルポリオール由来の構造単位と上記ポリエーテルポリオール由来の構造単位の両方を含有することが好ましく、ポリエステルポリオール由来の構造単位とポリエーテルポリオール由来の構造単位を質量比(ポリエステル/ポリエーテル)が55/45~99/1で含有することが好ましく、60/40~90/10の質量比で含有することがより好ましく、70/30~90/10の質量比で含有することが更に好ましい。後述する様々な基材に対して、より密着性を向上させることができるためである。
【0035】
なお、ポリエステルポリオール由来の構造単位とポリエーテルポリオール由来の構造単位は合計で、ウレタン樹脂総質量中、30~85質量部含有することが好ましく、45~85質量部含有することがより好ましい。
【0036】
上記ポリイソシアネートとしては、ウレタン樹脂の製造に一般的に用いられる各種公知の芳香族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネートなどが挙げられる。
芳香族ジイソシアネートとしては例えば、1,5-ナフチレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、4,4’-ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、4,4’-ジベンジルイソシアネート、1,3-フェニレンジイソシアネート、1,4-フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、m-テトラメチルキシリレンジイソシアネートなどが挙げられる。
脂肪族ジイソシアネートとしては例えば、メチレンジイソシアネート、エチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソプロピレンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等が挙げられ、脂環族ジイソシアネートとしては例えば、シクロヘキサン-1,4-ジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジイソシアネート、1,3-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、やダイマー酸のカルボキシル基をイソシアネート基に転化したダイマージイソシアネート等が挙げられる。
これらは3量体となってイソシアヌレート環構造となっていても良い。これらのポリイソシアネートは単独で、または2種以上を混合して用いることができる。中でも好ましくはトリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体等である。
【0037】
上記アミン化合物は、ウレタンプレポリマーの鎖延長を行うためポリアミン化合物を含む。一実施形態において、上記アミン化合物は、ポリアミン化合物に加えて、必要に応じて、重合停止剤となるアミン化合物を含んでもよい。
鎖延長剤となるポリアミン化合物としては、以下に限定されるものではないが、分子量500以下が好ましく、ジアミン系、多官能アミン系等のものが挙げられ、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、イソホロンジアミン、ジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジアミン、p-フェニレンジアミンなどのジアミン系鎖延長剤の他、2-ヒドロキシエチルエチレンジアミン、2-ヒドロキシエチルプロピルジアミン、2-ヒドロキシエチルプロピレンジアミン、ジ-2-ヒドロキシエチルエチレンジアミン、ジ-2-ヒドロキシエチレンジアミン、ジ-2-ヒドロキシエチルプロピレンジアミン、2-ヒドロキシピロピルエチレンジアミン、ジ-2-ヒドロキシピロピルエチレンジアミン、ジ-2-ヒドロキシプロピルエチレンジアミンなど水酸基を有するジアミン系鎖延長剤も用いることが出来る。これらの鎖延長剤は単独で、または2種以上を混合して用いることができる。また必要に応じて3官能以上の多官能のアミン系鎖延長剤も使用出来る。具体的には、ジエチレントリアミン、イミノビスプロピルアミン:(IBPA、3,3’-ジアミノジプロピルアミン)、トリエチレンテトラミン、N-(3-アミノプロピル)ブタン-1,4-ジアミン:(スペルミジン)、6,6-イミノジヘキシルアミン、3,7-ジアザノナン-1,9-ジアミン、N,N’-ビス(3‐アミノプロピル)エチレンジアミンが挙げられる。中でも好ましくはイソホロンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、イミノビスプロピルアミンである。
【0038】
重合停止剤となるアミン化合物は、例えば1価のアミン化合物が挙げられる。1価のアミン化合物は1級アミンであってもよいし2級アミンであってもよい。1価のアミン化合物は過剰な反応を停止することを目的とした重合停止剤として機能する。かかる化合物としては例えば、ジ-n-ブチルアミン等のジアルキルアミン類や2-エタノールアミンなどのアミノアルコール類等があげられる。
【0039】
<塩化ビニル共重合樹脂>
本発明で用いられる塩化ビニル共重合樹脂としては、塩化ビニル由来の構造単位とその他モノマー由来の構造単位を含有するものであれば特に限定されない。中でも(1)塩化ビニル‐酢酸ビニル共重合樹脂および(2)塩化ビニル‐アクリル共重合樹脂が好ましい。
【0040】
<(1)塩化ビニル‐酢酸ビニル共重合樹脂>
塩化ビニル‐酢酸ビニル共重合樹脂としては、塩化ビニルと酢酸ビニルが共重合したものであり、分子量としては重量平均分子量で5,000~100,000のものが好ましく、20,000~70,000が更に好ましい。塩化ビニル‐酢酸ビニル共重合樹脂の固形分100質量部中の酢酸ビニルモノマー由来の構造は、1~30質量部が好ましく、塩化ビニルモノマー由来の構造は、70~95質量部であることが好ましい。この場合有機溶剤への溶解性が向上し、更に基材への密着性、被膜物性、ラミネート強度等が良好となる。
【0041】
<(2)塩化ビニル-アクリル共重合樹脂>
塩化ビニル-アクリル共重合樹脂は塩化ビニルモノマーとアクリルモノマーを主成分とする共重合樹脂であり、アクリルモノマーとしては、基材に対する密着性と有機溶剤に対する溶解性が向上するため(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルを含むことが好ましい。アクリルモノマーは、ポリ塩化ビニルの主鎖にブロックないしランダムに組み込まれていても良いし、ポリ塩化ビニルの側鎖にグラフトされていても良い。塩化ビニル-アクリル共重合樹脂は、重量平均分子量が10,000から100,000であることが好ましく、30,000から70,000であることが更に好ましい。
【0042】
また、塩化ビニル-アクリル共重合樹脂中の塩化ビニルモノマー由来の構造は、塩化ビニル-アクリル共重合樹脂固形分100質量部中、70~95質量部であることが好ましい。この場合有機溶剤への溶解性が向上し、更に基材への密着性、被膜物性、ラミネート強度等が良好となる。
なお、塩化ビニル-アクリル共重合樹脂に用いられるアクリルモノマーは上記アクリル樹脂の場合と同様ものもが好適に挙げられ、同一でも異なっていてもよい。中でも(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチル、アクリル酸2-ヒドロキシプロピルが有機溶剤に対する溶解性を向上させるため、なお好ましい。これらは単独または2種以上を併用できる。
【0043】
塩化ビニル共重合樹脂は、有機溶剤への溶解性が向上するため、ケン化反応あるいは共重合でビニルアルコール由来の水酸基を含むものが更に好ましく、水酸基価として20~200mgKOH/gであることが好ましい。また、ガラス転移温度は50℃~90℃であることが好ましい。
【0044】
<併用樹脂>
コート剤は、バインダー樹脂として上記のウレタン樹脂、塩化ビニル共重合樹脂のうち単独、または2種を混合して用いることができるほか、これに加え、必要に応じて上記以外の樹脂も併用することができる。併用樹脂としては例えば、アクリル樹脂、塩素化ポリオレフィン樹脂、セルロース樹脂、エチレン‐酢酸ビニル共重合樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、ロジン系樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、環化ゴム、塩化ゴム、ブチラールなどが挙げられる。併用樹脂の使用量としてはバインダー樹脂総質量中に1~50質量%で含有することが好ましい。
【0045】
<バイオマス樹脂>
なお、本発明で用いられるコート剤のバインダー樹脂の全部または一部がバイオマス樹脂であってもよい。当該バイオマス樹脂とは、バイオマス由来の原料を構成成分として有する樹脂を指し、ウレタン樹脂、エチレン‐酢酸ビニル共重合樹脂、セルロース系樹脂、ロジン系樹脂などが挙げられる。
【0046】
<添加剤>
コート剤は、添加剤として公知のものを適宜含むことができ、コート剤の製造においては必要に応じて公知の添加剤、例えば分散剤、湿潤剤、接着補助剤、レベリング剤、消泡剤、帯電防止剤、トラッピング剤、ブロッキング防止剤、ワックス成分、イソシアネート硬化剤、シランカップリング剤などを使用することができる。
【0047】
<硬化剤>
本発明で用いられるコート剤を塗布する際の、印刷層の強度、耐熱性、耐水性、耐溶剤性等の向上を目的に、コート剤は硬化剤を併用することができる。硬化剤としてはイソシアネート系、オキサゾリン系、カルボジイミド系、エチレンイミン系等が使用できる。膜強度、膜物性の点からはイソシアネート硬化剤が好ましい。イソシアネート硬化剤の中でも3官能以上のものが特に好ましい。添加量はコート剤100質量部に対し1~5質量部であることが好ましく、3~5質量部であることがさらに好ましい。
【0048】
<媒体、有機溶剤>
コート剤は有機溶剤、水その他の媒体を含んでよい。限定されるものではないが有機溶剤であればトルエンその他の芳香族系有機溶剤、メチルエチルケトンその他のケトン系有機溶剤、酢酸エチル、酢酸ノルマルプロピルその他のエステル系有機溶剤、エタノール、イソプロパノール、ノルマルプロパノールその他のアルコール系有機溶剤などが好適に挙げられる。水を含んでもよく、有機溶剤を主たる媒体とする場合では媒体全体の10質量%以下で含むことが好ましい。
【0049】
<印刷層>
印刷層とは、印刷インキから形成された印刷層をいい、従来あるスクリーンインキ、グラビアインキ、フレキソインキ、インクジェットインキ、オフセットインキその他の印刷インキが好適に挙げられ、例えば、特開2005-298618号公報、特開2006-299136号公報、特開2009-249388号公報、特開2013-127038号公報、特開2017-19991号公報、特開2006-131844号公報、特開2013-40248号公報、特開2007-231148号公報、特開2006-257302号公報等に記載されている印刷インキを好適に使用することができる。ただしこれらに限定されない。中でも、グラビアインキ、フレキソインキ、インクジェットインキの使用が好ましく、グラビアインキの使用がなお好ましい。
【0050】
<着色剤>
本発明で用いられる印刷インキにおいては、着色剤を含有していてもよい。着色剤は染料、顔料その他の着色剤が挙げられる。中でも顔料を含むことが好ましく、当該顔料は、有機顔料、無機顔料のいずれでも使用は可能である。無機顔料としては、黄鉛、チタン黄、弁柄、カドミウム赤、群青、コバルトブルー等が挙げられ、有機顔料としては、溶性アゾ系、不溶性アゾ系、アゾ系、フタロシアニン系、ハロゲン化フタロシアニン系、アントラキノン系、アンサンスロン系、ジアンスラキノニル系、アンスラピリミジン系、ペリレン系、ペリノン系、キナクリドン系、チオインジゴ系、ジオキサジン系、イソインドリノン系、キノフタロン系、アゾメチンアゾ系、フラバンスロン系、ジケトピロロピロール系、イソインドリン系、インダンスロン系などの顔料が挙げられる。また、カラーインデックスにおけるC.I.ピグメントナンバーで示される顔料を任意に使用可能である。
印刷インキには、着色剤のほかに、前記コート層のバインダー樹脂や、添加剤、硬化剤、有機溶剤を任意に使用可能である。
【0051】
<基材>
基材はプラスチックフィルムが好ましく、包装材の外層側の基材として役割を担うものであり、印刷層を外観から視認できるように、光透過性を有する材料で構成される。
具体的には、ポリエチレン(PE)系やポリプロピレン(PP)系等のポリオレフィン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル-スチレン共重合体(AS)樹脂、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS)樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)、エチレン-ビニルエステル共重合体ケン化物、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル系樹脂、各種ナイロン(Ny)等のポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アセタール系樹脂、セルロース系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂(PVDC)等が挙げられる。基材は、一軸延伸又は二軸延伸されたものであってもよい。また、上記のうちの2種以上の樹脂フィルムが積層された複合フィルムであってもよい。またシリカ、アルミナ等の金属酸化物が蒸着された形態であってもよい。
【0052】
基材は、ボイル、レトルト処理の観点から、耐熱性に優れるものが好ましい。耐熱性に優れる基材を構成する樹脂としては、ポリエステル系樹脂および/またはポリアミド系樹脂等が好適である。
耐熱性に優れる基材の具体例としては、ポリエステルフィルムの単体、ナイロン等のポリアミドフィルムの単体、ポリエステルフィルム及びポリアミドフィルムの一種以上を含む複合フィルムが挙げられる。前記複合フィルムの例としては、PET/Ny/PET、外層側からPET/Nyの構成からなる共押出し延伸フィルムが挙げられる。また、前記複合フィルムとしては、ポリエステルフィルム及びポリアミドフィルムの一種以上と、エチレン-ビニルアルコール共重合体フィルム及びポリ塩化ビニリデンフィルムの一種以上とを組み合わせることも好ましい。
【0053】
基材の厚みは、特に限定されるものではなく、包装材の用途に応じて適宜設定することができるが、通常、5~50μm程度であることが好ましく、より好ましくは10~30μmである。
【0054】
基材は、JIS K7361-1:1997の全光線透過率が85%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。また、基材は、JISK7136:2000のヘイズが1.5%以下であることが好ましく、1.0%以下であることがより好ましく、0.5%以下であることがさらに好ましい。
【0055】
<グラビア印刷>
(グラビア版)
グラビアインキは、グラビア版を用いてグラビア印刷機でグラビア印刷される。
グラビア版は金属製の円筒状のものであり、彫刻または腐蝕・レーザーにて凹部が各色用に作製される。彫刻とレーザーは使用に制限は無く、柄に合わせて任意に設定が可能である。線数としては100線~300線のものが適宜使用され、線数の大きいものほど目の細かい印刷が可能である。印刷層の厚みとしては、0.1μm~100μmが好ましい。
(グラビア印刷機)
グラビア印刷機において一つの印刷ユニットには上記グラビア版およびドクターブレードを備えている。印刷ユニットは多数あり、有機溶剤系印刷インキおよび絵柄インキに対応する印刷ユニットを設定でき、各ユニットはオーブン乾燥ユニットを有する。印刷は輪転により行われ、巻取印刷方式である。版の種類やドクターブレードの種類は適宜選択され、仕様に応じたものが選定できる。
【0056】
<中間基材層>
本発明で用いられる包装材は、印刷層とシーラント層の間に中間基材層を有していてもよい。中間基材層は、包装材の強度の向上や加工適性の向上を目的として必要に応じて設けられる層である。中間基材層の構成材料としては、例えば、プラスチックフィルム状の基材などが挙げられる。当該基材としては上述した基材と同様のものを用いることができる。電子レンジでの加熱やレトルト処理を考慮して、包装材の耐熱性を高めるために、中間基材層は耐熱性に優れるものが好ましい。ポリエステル基材やポリアミド基材などが好適に使用される。
【0057】
<接着剤層>
包装材においては、各構成層は、各層間の接合強度の向上の観点から、接着剤層を介して積層される。接着剤層は、ポリオールとポリイソシアネート化合物との硬化物を含む層か、アンカーコート層と溶融性ポリオレフィン樹脂層との複合層を含婿とが好ましい。これらは公知の方法により形成することができる。
「ポリオールとポリイソシアネート化合物との硬化物」は、例えば、ポリオールとポリイソシアネート化合物の2液型ドライラミネート用接着剤などを反応させて得られる。ポリオールとしては、例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリラクトンポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリオレフィンポリオール、ひまし油ポリオール、水素添加ひまし油ポリオール、ダイマージオール、水添ダイマージオールなどが挙げられる。好ましくはポリエーテルポリオールおよび/またはポリエステルポリオールである。なお、当該ポリオールはウレタン変性されていてもよい。
ポリイソシアネート化合物としては、
芳香族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネートなどが挙げられる。なおこれらは3量体となってイソシアヌレート環構造となっていても良い。
芳香族ジイソシアネートとしては、1,5-ナフチレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、4,4’-ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、4,4’-ジベンジルイソシアネート、ジアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、テトラアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、1,3-フェニレンジイソシアネート、1,4-フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート等が挙げられる。
脂肪族ジイソシアネートとしては、ブタン-1,4-ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソプロピレンジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等が挙げられる。
脂環族ジイソシアネートとしては、シクロヘキサン-1,4-ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジイソシアネート、1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、m-テトラメチルキシリレンジイソシアネート、水素添加された4,4-ジフェニルメタンジイソシアネート、ダイマー酸のカルボキシル基をイソシアネート基に転化したダイマージイソシアネート等が挙げられる。
中でも好ましくはトリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、ヘキサメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートの3量体から選ばれる少なくとも一種である。これらのポリイソシアネートは単独で、または2種以上を混合して用いることができる。なお、ポリイソシアネート化合物は、イソシアネート化合物とポリオールからなる末端にイソシアネート基を有する形態であってもよい。
また、「アンカーコート層と溶融性ポリオレフィン樹脂層との複合層」とは、アンカーコート層上に溶融性ポリオレフィン樹脂層が配置された態様が好適であり、当該アンカーコート層は、イソシアネート系アンカー剤、ポリエチレンイミン系アンカー剤、変性ポリブタジエン系アンカー剤、有機チタネート系アンカー剤などが好適に挙げられる。溶融性ポリオレフィン樹脂は融点90~200℃のポリオレフィン樹脂であることが好ましく、融点100~140℃であることがなお好ましい。溶融性ポリオレフィン樹脂はシーラント層とよく接着して積層体を形成できる。
接着剤は印刷層、シーラント層あるいは中間基材層に塗布して形成され、その後各層、基材またはシーラント層と貼り合わせられる。塗布膜厚としては0.5~5μmであることが好ましく1~4μmであることがなお好ましい。
【0058】
<シーラント層>
シーラント層は、内層側の面が被包装物と直接接触し、被包装物を保護する役割を担う。包装材を袋状とするためにシーラント層は最内層がヒートシール性を有していることが好ましい。シーラント層を構成する材料としては、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、エチレン-酢酸ビニル共重合体、プロピレン単独重合体、エチレン-プロピレン共重合体等のポリオレフィン系樹脂等が挙げられ、これらのうちの1種又は2種以上の樹脂を用いることができる。シーラント層は、単層で構成されても、2層以上の多層で構成されてもよい。なお、シーラント層は、内容物由来の臭気を透過させてコート層においてガス吸着させるために、無延伸のポリオレフィンフィルムであることが好ましい。
【0059】
ボイルやレトルト処理での加熱の観点から、耐熱性を高めるために、シーラント層は耐熱性に優れる樹脂から構成することが好ましく、具体的には、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン共重合体等のプロピレン系樹脂及びHDPEが好ましい。
【0060】
シーラント層の厚みは、特に限定されるものではなく、包装材の用途及び被包装物の種類や性質等に応じて適宜設定されるが、通常、10~200μmであることが好ましい。また、パウチ(特にレトルトパウチ)の場合、シーラント層の厚みは、20~150μm、さらには30~100μmであることが好ましい。
【0061】
<包装材の製造方法>
本発明の包装材は、少なくとも基材、印刷層、コート層、接着剤層およびシーラント層を有する包装材の製造方法であって、インキ並びに、金属酸化物およびバインダー樹脂を含むコート剤を、前記基材上にグラビア印刷することで形成される工程を含む。上記接着剤層は当該印刷層上に塗布して形成される場合もあれば、シーラント層に塗布されて形成される場合もある。
好適な態様としては、例えば、接着剤を上記印刷層上に塗布形成して、その後シーラント層を貼り合わせる態様である。なお、包装材が、更に中間基材層を有する場合には、印刷層と当該中間基材層を一旦接着剤により貼り合わせておき、更に中間基材層とシーラント層を貼り合わせる工程を含む態様が好ましい。なお、構成としては任意であり特段限定されない。
このようにして得られた包装材は、所定のサイズにカットされて、シーラント層同士を互いに合わせた形で縁部分をヒートシールされて包装袋にされる。ヒートシールの温度としては50~250℃であることが好ましく、80~180℃であることがなお好ましい。ヒートシール圧力としては1~5kg/cm2等の条件であればよい。1枚の包装材を折り曲げて縁をヒートシールしてもよいし、2枚以上の包装材をヒートシールすることが好ましい。また、一態様として、包装材からなる包装袋は、中身を包装した後、すべての開口部をヒートシールしたものであってもよい。
【0062】
基材に塗工されたコート層中の金属酸化物に含まれる金属イオンが、硫黄系ガス中の悪臭成分と反応することで、消臭機能を発現する。
硫黄系ガスとは、硫化水素やメチルメルカプタン、硫化メチル、ジメチルスルフィドなどの化学構造中に硫黄を含むガス物質を指す。これらは包装材の内部に配置される食品等から放出され、いずれも嗅覚閾値が低く、微量でも臭気を感じやすいという特徴がある。
コート層が上記硫黄系ガスに対して十分な消臭性能を発現するために、基材の全表面積に対してコート層の面積比率は、30面積%以上であることが好ましく、40面積%以上がより好ましく、50面積%以上がさらに好ましい。コート層の面積比率は60面積%以上、70面積%以上あるいは80面積%以上であることが特に好ましい。また、コート層の膜厚は、消臭性能と基材への密着性を両立するために、0.1~20μmであることが好ましく、0.1~10μmあるいは0.1~8μmであることがなお好ましく、0.2~5μmであることがさらに好ましい。
なお、コート剤を塗布した基材が、スリット処理され一部の基材が除去されるときは、上記面積比率を求めるための基準は、スリット処理後の基材面積である。
【実施例】
【0063】
以下、実施例をあげて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、本発明における部および%は、特に注釈の無い場合、質量部および質量%を表わす。
<水酸基価>
JIS K0070に従って求めた。
<酸価>
JIS K0070に従って求めた。
<アミン価>
アミン価は、樹脂1g中に含有するアミノ基を中和するのに必要とする塩酸の当量と同量の水酸化カリウムのmg数でJISK0070に準じて以下の方法に従って求めた。試料を0.5~2g精秤した(試料固形分:Sg)。精秤した試料にメタノール/メチルエチルケトン=60/40(質量比)の混合溶液50mLを加え溶解させた。得られた溶液に指示薬としてブロモフェノールブルーを加え、得られた溶液を0.2mol/Lエタノール性塩酸溶液(力価:f)で滴定を行なった。溶液の色が緑から黄に変化した点を終点とし、この時の滴定量(AmL)を用い、下記(式2)によりアミン価を求めた。
(式2)アミン価=(A×f×0.2×56.108)/S [mgKOH/g]
【0064】
<重量平均分子量>
重量平均分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)装置(東ソー株式会社製HLC-8220)を用いて分子量分布を測定し、ポリスチレンを標準物質に用いた換算分子量として求めた。下記に測定条件を示す。
カラム:下記カラムを直列に連結して使用した。
東ソー株式会社製 TSKgel SuperAW2500
東ソー株式会社製 TSKgel SuperAW3000
東ソー株式会社製 TSKgel SuperAW4000
東ソー株式会社製 TSKgel guardcolumnSuperAWH
検出器:RI(示差屈折計)
測定条件:カラム温度40℃
溶離液:テトラヒドロフラン
流速:1.0mL/分
【0065】
<ガラス転移温度(Tg)>
ガラス転移温度(Tg)は、DSC(示差走査熱量測定測定)により求めた。なお、測定機は株式会社リガク社製DSC8231を使用し、測定温度範囲-70~250℃、昇温速度10℃/分、DSC曲線におけるガラス転移に基づくベースライン変化の変曲点をガラス転移温度とした。
【0066】
<合成例1>[ウレタン樹脂PU1の合成]
3-メチル-1,5-ペンタンジオールとアジピン酸の縮合物である数平均分子量5000のポリエステルポリオール(以下「MPD/AA」)100部、プロピレングリコールとアジピン酸の縮合物である数平均分子量2000のポリエステルポリオール(以下「PP/AA」)24部、数平均分子量2000のポリプロピレングリコール(以下「PPG」)16部、イソホロンジイソシアネート(以下「IPDI」)20.5部、および酢酸エチル73.7部を窒素気流下に80℃で4時間反応させ、末端イソシアネートウレタンプレポリマーの溶剤溶液を得た。次いでイソホロンジアミン(以下「IPDA」)8.2部、2-エタノールアミン(以下「2EtAm」)0.5部、酢酸エチル222.9部、イソプロパノール(以下「IPA」)127.1部を混合したものに、得られた末端イソシアネートプレポリマー溶液を40℃で徐々に添加し、次に80℃で1時間反応させ、固形分30%、アミン価3.5mgKOH/g、水酸基価1.7mgKOH/g、重量平均分子量50000、ガラス転移温度は-40℃のウレタン樹脂PU1溶液を得た。
【0067】
<合成例2>[バイオマスウレタン樹脂PU2の合成]
攪拌機、温度計、分水器および窒素ガス導入管を備えた丸底フラスコに、ネオペンチルグリコール(以下NPGとも略す)18部、1,3-プロパンジオール(以下1,3-PDとも略す)14部、アジピン酸14部、セバシン酸14部、テトラブチルチタネート0.002部を仕込み、窒素気流下に230℃で縮合により生じる水を除去しながらエステル化を8時間行った。ポリエステルの酸価が15以下になったことを確認後、真空ポンプにより徐々に真空度を上げ反応を終了した。これにより数平均分子量2000、水酸基価56.1mgKOH/g、酸価0.3mgKOH/g、バイオマス度75.2%、エステル結合濃度8.4mmol/gのポリエステルポリオ-ル(A1)を得た。
さらに、攪拌機、温度計、還流冷却器および窒素ガス導入管を備えた四つ口フラスコに、上記ポリエステルポリオ-ルA1を24.2部、イソホロンジイソシアネート(以下IPDIとも略す)4部、酢酸エチル10部、2-エチルヘキサン酸スズ0.003部を仕込み、窒素気流下に120℃で6時間反応させ、酢酸プロピル14部を加え冷却し、末端イソシアネートプレポリマーの溶液を得た。次いでイソホロンジアミン(以下IPDAとも略す)1.7部、n-ジブチルアミン(以下DBAとも略す)0.2部、酢酸エチル18部およびイソプロピルアルコール(以下IPAとも略す)28部を混合したものへ、得られた末端イソシアネートプレポリマーの溶液を室温で徐々に添加し、次に50℃で1時間反応させ、固形分30%、質量平均分子量70000、アミン価4mgKOH/gガラス転移温度-42℃、バイオマス度60.9質量%のバイオマスウレタン樹脂PU2溶液を得た。
【0068】
<調製例1>[コート剤S1の調製]
酸化マグネシウムA(酸化マグネシウム粒子)20部、ウレタン樹脂PU1溶液40部、塩化ビニル共重合樹脂(ソルバインTA5R:日信化学工業社製 塩化ビニル:酢酸ビニル:ビニルアルコール=88:1:11(固形分25%酢酸エチル溶液))10部、酢酸エチル20部、イソプロパノール(IPA)10部を混合し、ディスパーで撹拌した後、サンドミルを使用してこれを10分間で分散し、コート剤S1を得た。
【0069】
<調整例2~14(S2~S14)、比較調整例1~2(SS1~SS2)>
表1に示した原材料、配合組成および各種類の基材を使用した以外は実施例1の場合と同様に組成物を調製した。表中、「イソシアネート硬化剤」とは東洋インキ株式会社製「LPバイオ硬化剤」を表す。
【0070】
【0071】
【0072】
なお、表1中の酸化亜鉛は、平均粒子径200nm、一次粒子径25nm、吸油量24ml/100gのものを用いた。
【0073】
<実施例1>[包装材T1の作成]
(印刷物)
コート剤S1、並びにグラビアインキ「リオアルファシリーズ」(東洋インキ社製)を、酢酸n-プロピル/イソプロピルアルコール=50/50の混合溶剤を用い、離合社製のザーンカップNo.3で16秒(25℃)になるように粘度を調整して希釈し、基材として下記OPPのコロナ処理面側に、イワセ社製の小型印刷機を用い、レーザー175線版深30μベタ版にてグラビア印刷し、印刷物を得た。
・コロナ処理延伸ポリプリピレン(OPP)フィルム(フタムラ化学製「FOR」、厚さ20μm)
その後、この印刷物を無溶剤型接着剤(東洋モートン製「EA-N373A/B」)を乾燥塗布量3.5g/m2となるように塗工し、シーラント層としての無延伸ポリプロピレンフィルム(CPP)(フタムラ化学製「FHK2」、厚さ30μm)と無溶剤ラミネーションにより貼り合わせて包装材を得た。
【0074】
<実施例2~14>[包装材T2~T14]
表2に記載した基材、印刷層(印刷インキ)、コート層(コート剤)、接着剤層(接着剤)、およびシーラント層を使用した以外は実施例1と同様の方法で、包装材T2~T14を得た。
【0075】
<実施例15~22>[包装材T15~T22]
表2に記載した基材、印刷層(印刷インキ)、コート層(コート剤)、およびシーラント層を使用した以外は実施例1と同様の方法で、包装材T15~T22を得た。
なお、接着剤層は、実施例15~18は押出しラミネート加工(EL451/L417)により、実施例19、20はドライラミネート加工(接着剤TM-320/CAT-13B)により、実施例21、22はドライラミネート加工(接着剤TM-569/CAT-RT37)により包装材T15~T22を得た。
【0076】
<比較例1~3>[包装材T23~T25]
表2に記載した基材、印刷層(印刷インキ)、コート層(コート剤)、接着剤層(接着剤)、およびシーラント層を使用した以外は実施例1と同様の方法で、包装材T23~T25を得た。
【0077】
【0078】
【0079】
表2の略号は、以下の通りである。
・OPP:コロナ処理延伸ポリプリピレンフィルム(フタムラ化学製「FOR」、厚さ20μm)
・PET:コロナ処理ポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡社製「E5100」、厚さ12μm)
・NY:コロナ処理ナイロンフィルム(ユニチカ製「ON-RT」、厚さ15μm)
・CPP:無延伸ポリプロピレンフィルム(フタムラ化学製「FHK2」、厚さ30μm)
・LLDPE:無延伸低密度ポリエチレン
・EL:押出しラミネート加工
・DL:ドライラミネート加工
・エーテル:ポリエーテルウレタン系接着剤(接着剤TM-320/CAT-13B)
・エステル:ポリエステルウレタン系接着剤(接着剤TM-569/CAT-RT37)
全実施例および比較例において基材の全表面積のうちコート層の面積は60面積%であり、膜厚は0.8~1μmであった。
【0080】
(測定及び評価)
実施例及び比較例の包装材に関して、下記の測定及び評価を行った。結果を表2に示す。
【0081】
<インキ経時安定性>
上記実施例および比較例で得られたコート剤について、ガラス瓶に100g充填、密栓し40℃の条件で7日間経時させ、分離・沈殿の有無及びインキ粘度の変化(増大)の度合いを評価した。
[評価基準]
A:分離・沈殿なく、粘度の変化も認められない。(良好)
B:5mm未満の分離・沈殿の発生、もしくは10%未満のコート剤粘度の増大が認められる。(やや良好)
C:1cm未満の分離・沈殿の発生、もしくは30%未満のコート剤粘度の増大が認められる。(実用可)
D:3cm未満の分離・固い沈殿の発生、もしくは50%未満のコート剤粘度の増大が認められる。(やや不良)
E:3cm以上の透明な液相の分離や不可逆な沈殿物の発生、もしくは50%以上のコート剤粘度の増大といった状態の不良が認められる。(不良)
なお実用可能である評価はA,BおよびCである。
【0082】
<印刷適性(版かぶり性)>
実施例および比較例のコート層について版かぶり性評価を行った。なお、希釈溶剤は酢酸エチル:メチルエチルケトン:IPA=40:40:20とし、粘度をザーンカップ#3で15秒(25℃)とし、印刷機における版の空転90分後の、版かぶり部分の面積を目視判定し、評価を行った。
[評価基準]
A(優):版かぶり面積が0%以上5%未満である
B(良):版かぶり面積が5%以上10%未満である
C(可):版かぶり面積が10%以上15%未満である
D(不可):版かぶり面積が15%以上30%未満である
E(劣):版かぶり面積が30%以上である
なお、A~Cは実用上問題がない範囲である。
【0083】
<ラミネート強度>
上記実施例および比較例で得られた包装材について、40℃48時間経過した後、印刷部分を巾15mmで裁断し、インキ面と基材面で剥離させた後、剥離強度(ラミネート強度)をインテスコ社製201万能引張り試験機にて測定した。
[評価基準]
A:1.6N以上(良好)
B:1.2N以上1.6N未満(やや良好)
C:0.8N以上1.2N未満(実用可)
D:0.4N以上0.8N未満(やや不良)
E:0.4N未満(不良)
なお実用可能である評価はA,BおよびCである。
【0084】
<硫黄系ガス吸着性>
上記実施例および比較例で得られた包装材を10cm×10cmに切り出し、におい袋(ジーエルサイエンス株式会社、25cm×40cm)に入れてヒートシールで封止した後に、空気3Lを封入し、硫化水素ガスを袋内のガス濃度が20ppmとなるように添加した。これを静置し、24時間後の袋内の硫化水素ガス濃度をガス検知管を用いて測定した。
[評価基準]
A:1ppm未満(良好)
B:1ppm以上3ppm未満(やや良好)
C:3ppm以上5ppm未満(実用可)
D:5ppm以上10ppm未満(やや不良)
E:10ppm以上(不良)
なお実用可能である評価はA,BおよびCである。
【0085】
<調整例15および16>
以下の原料を用いた以外は調整例1と同様の方法でコート剤S15(酸化亜鉛2)およびS16(酸化亜鉛3)を得た。
酸化亜鉛2:酸化亜鉛粒子(平均粒子径50nm 一次粒子径15nm 吸油量28ml/100g)
酸化亜鉛3:酸化亜鉛粒子(平均粒子径300nm 一次粒子径35nm 吸油量21ml/100g)
【0086】
<実施例23および24>
コート剤S15またはS16を用いた以外は、実施例1と同様の方法で包装材T26、T27を得た。包装材T26、T27は硫黄系ガス吸着性、ラミネート強度が以下の評価であった。
包装材T23:経時安定性A、印刷適性A、硫黄系ガス吸着性A、ラミネート強度A
包装材T24:経時安定性A、印刷適性B、硫黄系ガス吸着性A、ラミネート強度B
【0087】
上記より、本願は発明で用いる包装材は硫黄系ガスの吸着性能に優れ、かつ良好なラミネート物性を有する積層体を提供することができた。なおコート剤の経時安定性、コート層の基材密着性も良好であることが示された。
【産業上の利用可能性】
【0088】
本発明は、金属酸化物の硫黄原子吸着性が発現できる積層体を用いるため、硫化水素ガス以外の硫黄系ガスの吸着による消臭ができる。また、同時に、硫黄系ガス以外の窒素系ガス、酸素系ガスなどの吸着による消臭効果も期待できる。