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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-11
(45)【発行日】2023-05-19
(54)【発明の名称】製函装置
(51)【国際特許分類】
   B31B 50/62 20170101AFI20230512BHJP
   B31B 50/52 20170101ALI20230512BHJP
【FI】
B31B50/62
B31B50/52
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019003316
(22)【出願日】2019-01-11
(65)【公開番号】P2020110971
(43)【公開日】2020-07-27
【審査請求日】2021-11-30
(73)【特許権者】
【識別番号】393027121
【氏名又は名称】シブヤパッケージングシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090169
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 孝
(74)【代理人】
【識別番号】100124497
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 洋樹
(72)【発明者】
【氏名】高畑 昌三
【審査官】種子島 貴裕
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-338602(JP,A)
【文献】特開2015-160428(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B31B 50/62
B31B 50/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
折り曲げ線を介して前方側壁と後方側壁と一対の下フラップとがそれぞれ連設された矩形形状の底面と、折り曲げ線を介して前記前方側壁に連設される一対の前方フラップと、折り曲げ線を介して前記後方側壁に連設される一対の後方フラップとを有するシートから、前記底面と、対向する前方側壁および後方側壁と、対向する一対の側方側壁とで形成される収容空間を有するケースを製造する製函装置であって、
前記前方および後方フラップと前記下フラップとを折り曲げて、前記下フラップが前方フラップおよび後方フラップに重合する重合部分を有する前記側方側壁を形成する側方側壁形成手段と、
前記重合部分に前記収容空間の内側から当接して押圧する内側押圧手段と、
前記重合部分に前記収容空間の外側から当接して押圧する外側押圧手段とを備え、
前記内側押圧手段および前記外側押圧手段によって、接着剤が塗布された前記重合部分を挟圧する製函装置において、
前記内側押圧手段は、
前記前方フラップと下フラップとが重合する2箇所の重合部分と、前記後方フラップと下フラップとが重合する2箇所の重合部分とに対応する4つの内側押圧部材と、
前記内側押圧部材を収容空間外の待機位置から前記収容空間内に挿入する内側押圧部材挿入手段と、
前記4つの内側押圧部材のうちの一対を一組として、当該一対の内側押圧部材を相互に接近させた待機状態と、前記一対の内側押圧部材がそれぞれ対応する重合部分に対向できるように所定距離だけ相互に離間させた離間状態とに切り替える内側押圧部材移動手段とから構成されるものであり、
前記前方側壁が搬送方向前方を向き、前記後方側壁が搬送方向後方を向いた状態で前記シートを製函位置に搬送する搬送手段と、
前記製函位置に搬送されるシートの前方フラップおよび後方フラップをそれぞれ前記収容空間に向けて折り曲げる前方および後方フラップ折り曲げ手段とが設けられ、
前記外側押圧手段は、前記下フラップに当接する外側押圧部材と、当該外側押圧部材を前記製函位置下方の待機位置から上方に向けて移動する外側押圧部材昇降手段とから構成され、前記外側押圧部材を前記待機位置から上方に向けて移動させることにより、前記下フラップを前記収容空間に向けて折り曲げて前記前方および後方フラップに重合させるものであり、
前記内側押圧部材挿入手段は、
前記製函位置に、搬送手段を挟んで対向して配置されるとともに、それぞれ一対の内側押圧部材を有する一組のユニットから構成され、
各ユニットは、前記一対の内側押圧部材を回転軸周りに揺動して、当該一対の内側押圧部材を前記待機位置から前記収容空間に挿入するとともに、各ユニットに設けられた前記内側押圧部材移動手段によって、前記収容空間に挿入された一対の内側押圧部材を離間状態にする
ことを特徴とする製函装置。
【請求項2】
前記内側押圧部材移動手段は、前記底面の幅に応じて前記離間状態で相互に離間する距離を変更可能に構成されることを特徴とする請求項1に記載の製函装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、展開されたシートを折り曲げて箱型に成形する製函装置に関する。
【背景技術】
【0002】
箱型を展開したシートを折り曲げて例えばパッケージ用の箱を形成する製函装置が知られている。同製函装置では、組み立てられるケースの内側にぴったりと嵌合する型枠をシート上に配置し、展開された周囲の側板やフラップを型枠を包み込むように折り曲げることで所望の箱型に成形している(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開昭63-307935号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の構成では、型枠がケースの内側の空間と略同形、同寸なので型替えの際には型枠を交換する必要がある。そのため多品種少量生産では、型替えの効率が悪く生産性が低下する。
【0005】
本発明は、型替えにも簡単に対応できる製函装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の発明である製函装置は、折り曲げ線を介して前方側壁と後方側壁と一対の下フラップとがそれぞれ連設された矩形形状の底面と、折り曲げ線を介して前記前方側壁に連設される一対の前方フラップと、折り曲げ線を介して前記後方側壁に連設される一対の後方フラップとを有するシートから、前記底面と、対向する前方側壁および後方側壁と、対向する一対の側方側壁とで形成される収容空間を有するケースを製造する製函装置であって、前記前方および後方フラップと前記下フラップとを折り曲げて、前記下フラップが前方フラップおよび後方フラップに重合する重合部分を有する前記側方側壁を形成する側方側壁形成手段と、前記重合部分に前記収容空間の内側から当接して押圧する内側押圧手段と、前記重合部分に前記収容空間の外側から当接して押圧する外側押圧手段とを備え、前記内側押圧手段および前記外側押圧手段によって、接着剤が塗布された前記重合部分を挟圧する製函装置において、前記内側押圧手段は、前記前方フラップと下フラップとが重合する2箇所の重合部分と、前記後方フラップと下フラップとが重合する2箇所の重合部分とに対応する4つの内側押圧部材と、前記内側押圧部材を収容空間外の待機位置から前記収容空間内に挿入する内側押圧部材挿入手段と、前記4つの内側押圧部材のうちの一対を一組として、当該一対の内側押圧部材を相互に接近させた待機状態と、前記一対の内側押圧部材がそれぞれ対応する重合部分に対向できるように所定距離だけ相互に離間させた離間状態とに切り替える内側押圧部材移動手段とから構成されるものであり、前記前方側壁が搬送方向前方を向き、前記後方側壁が搬送方向後方を向いた状態で前記シートを製函位置に搬送する搬送手段と、前記製函位置に搬送されるシートの前方フラップおよび後方フラップをそれぞれ前記収容空間に向けて折り曲げる前方および後方フラップ折り曲げ手段とが設けられ、前記外側押圧手段は、前記下フラップに当接する外側押圧部材と、当該外側押圧部材を前記製函位置下方の待機位置から上方に向けて移動する外側押圧部材昇降手段とから構成され、前記外側押圧部材を前記待機位置から上方に向けて移動させることにより、前記下フラップを前記収容空間に向けて折り曲げて前記前方および後方フラップに重合させるものであり、前記内側押圧部材挿入手段は、前記製函位置に、搬送手段を挟んで対向して配置されるとともに、それぞれ一対の内側押圧部材を有する一組のユニットから構成され、各ユニットは、前記一対の内側押圧部材を回転軸周りに揺動して、当該一対の内側押圧部材を前記待機位置から前記収容空間に挿入するとともに、各ユニットに設けられた前記内側押圧部材移動手段によって、前記収容空間に挿入された一対の内側押圧部材を離間状態にすることを特徴としている。
【0007】
本発明の第2の発明である製函装置は、第1の発明において、前記内側押圧部材移動手段が、前記底面の幅に応じて前記離間状態で相互に離間する距離を変更可能に構成されるることを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、型替えにも簡単に対応できる製函装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態である製函装置の一部側面図である。
図2図1に示される製函装置の平面図である。
図3】内側押圧機構を搬送方向上流側から下流側に見た一部拡大正面図である。
図4】シート状に展開されたケースの展開図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態である製函装置の一部側面図である。図2は、図1に示される製函装置の平面図である。
【0012】
本実施形態の製函装置10は、展開されたシートSを折り曲げて例えば直方体形状のケースを製函する装置である。本実施形態においてシートSは、ケースの底面を構成する矩形の底面S1を備え、底面S1のシート搬送方向前後には、折り曲げ線を介して矩形の前方側壁S2および後方側壁S3が各々連設される。また、底面S1の左右(シート搬送方向に対し横方向)の側辺には、一対の下フラップS4が各々折り曲げ線を介して連設される。前方側壁S2の左右の側辺には、一対の前方フラップS5が折り曲げ線を介して各々連設され、後方側壁S3の左右の側辺には、一対の後方フラップS6が折り曲げ線を介して各々連設される。更に本実施形態では、前方側壁S2における底面S1とは反対側の辺に、底面S1と対となる矩形の天面S7が折り曲げ線を介して連設され、天面S7の左右の側辺には一対の上フラップS8が折り曲げ線を介して各々連設される。なお、後方側壁S3における底面S1とは反対側の辺には、折り曲げ線を介してシームフラップS9が連設される。
【0013】
本実施形態の製函装置10は、製函中のシートSを搬送する搬送コンベヤ(搬送手段)12を備える。搬送コンベヤ12は、中央に配置される1本の中央チェーンコンベヤ12Aと、その左右に同じ高さで平行に配置される一対の側部チェーンコンベヤ12Bとを備える。中央チェーンコンベヤ12Aはサーボモータ13Aにより駆動され、側部チェーンコンベヤ12Bはサーボモータ13Bにより間欠駆動される。これにより、搬送コンベヤ12は、シートSを後述する供給位置A、成形位置B、箱詰位置Cに順次間欠的に移動される。
【0014】
中央チェーンコンベヤ12Aの上流端は、側部チェーンコンベヤ12Bよりも下流側に位置し、中央チェーンコンベヤ12Aが設けられていない側部チェーンコンベヤ12Bの間には、シートSをシートマガジン14から取り出すための取り出しアーム16が配置される。
【0015】
シートマガジン14は、側部チェーンコンベヤ12Bよりも上流側の上方に配置され、シートSは平面に展開された状態でシートマガジン14に保持される。取り出しアーム16は、搬送方向に対し横向きに配置される軸を中心に、その基端部が軸支される。取り出しアーム16は、取り出しアーム揺動機構16Aによりシートマガジン14からシートSを取り出す直立位置と、シートSをチェーンコンベヤ12A、12Bに受け渡す水平位置との間で揺動される。
【0016】
取り出しアーム16の先端寄りには、複数の吸着ヘッド16Bが設けられ、直立位置では、吸着ヘッド16Bがシートマガジン14の開口部に位置するシートSに当接され、1枚のシートSが吸着される(図1では、直立位置にある吸着ヘッド16Bのみが破線で描かれ、直立位置にある取り出しアーム16は省略されている)。また、水平位置では、吸着ヘッド16Bに保持されるシートSが、チェーンコンベヤ12A、12B上の供給位置Aに載置され、吸着ヘッド16Bによる吸着が解除される。
【0017】
吸着ヘッド16Bで保持され、取り出しアーム16によりシートマガジン14からチェーンコンベヤ12A、12B上へと移動されるシートSは、その間に、取り出しアーム16の基端部側に位置する部分が円弧状のガイド部材18に係合し、取り出しアーム16の先端部側に位置する部分が図示しないガイド部材に係合する。本実施形態では、底面S1が吸着ヘッド16Bにより保持され、後方側壁S3がガイド部材18に係合し、前方側壁S2および天面S7が図示しないガイド部材に係合する。これにより、水平位置においてシートSの底面S1は、水平にチェーンコンベヤ12A、12Bの上に載置され、前方側壁S2および後方側壁S3は、底面S1との間の折り曲げ線に沿って曲げられ、直立される。
【0018】
このとき、下フラップS4は底面S1と同一面に維持され、前方フラップS5、天面S7、上フラップS8は、前方側壁S2と同一面に維持される。また、後方フラップS6、シームフラップS9は後方側壁S3と同一面に維持される。これにより、シートマガジン14から取出されたシートSは供給位置Aにおいて、横から見るとJの字状に折り曲げられた状態とされる。
【0019】
中央チェーンコンベヤ12Aには、折り曲げられた前方側壁S2の前面に当接するフィンガ20が設けられ、側部チェーンコンベヤ12Bには、折り曲げられた後方側壁S3の後面に当接するフィンガ22が設けられている。これにより、Jの字状に折り曲げられ、チェーンコンベヤ12A、12B上に移載されたシートSは、その前後をフィンガ20、22によって保持され、チェーンコンベヤ12A、12Bの走行とともに下流側へと搬送される。
【0020】
中央チェーンコンベヤ12Aよりも上流側において、各側部チェーンコンベヤ12Bの外側には、搬送方向に沿って一対の後方フラップ折り曲げ機構(後方フラップ折り曲げ手段)24が配置される。後方フラップ折り曲げ機構24は後方フラップ折り曲げガイド24Aを備える。後方フラップ折り曲げガイド24Aは、例えば直動機構によって保持され、搬送方向に沿って配置されるレーン24Bに沿って往復動可能である。
【0021】
取り出しアーム16によりシートSが搬送コンベヤ12上に移載されるまでの間、後方フラップ折り曲げガイド24Aは、移載されるシートSと干渉しない上流側の位置にまで退避されている。Jの字状に折り曲げられたシートSが搬送コンベヤ12に移載され、搬送コンベヤ12により搬送され始めると、後方フラップ折り曲げガイド24Aは下流側に向けてシートSよりも高速で移動される。このとき後方フラップ折り曲げガイド24Aは後方側壁S3に連設される後方フラップS6に後方から押し当てられ、後方フラップS6を折り曲げ線に沿って前方へと折り曲げる。後方フラップS6は、次のシートSが取り出しアーム16により搬送コンベヤ12上に移動されるまでの間に、上流側の退避位置にまで移動する。なお、図2には、退避位置にある後方フラップ折り曲げガイド24Aが破線で描かれ、最も下流側に移動された後方フラップ折り曲げガイド24Aが実線で描かれる。
【0022】
一方、中央チェーンコンベヤ12Aの上流端付近の搬送コンベヤ12の側方には、前方フラップ折り曲げガイド(前方フラップ折り曲げ手段)26が配置される。前方フラップ折り曲げガイド26は固定式であり、搬送コンベヤ12によりシートSが下流側へと移送されると前方フラップS5は、前方フラップ折り曲げガイド26に押し当てられ、折り曲げ線に沿って後方へと折り曲げられる。なお、後方フラップ折り曲げガイド24Aが最も下流に位置するとき、後方フラップ折り曲げガイド24Aの下流側の端部と前方フラップ折り曲げガイド26の上流側の端部は、搬送方向において重なるが、両者は互いに干渉しないように櫛状に構成されている。
【0023】
前方フラップ折り曲げガイド26は、搬送方向に底面S1の搬送方向長さよりも長い所定の長さにわたり延在する。左右の前方フラップ折り曲げガイド26に挟まれる成形位置Bでは、折り曲げられた前方フラップS5、後方フラップS6に重なるように下フラップS4が折り曲げられる。そして、下フラップS4が前方フラップS5および後方フラップS6と重なる部分(重合部分)を接着して、天面S7が閉じられていない状態のケースが組み立てられる。
【0024】
すなわち、搬送コンベヤ12の上流側においてJ字形状に折り曲げられ、搬送コンベヤ12上へ移載されたシートSは、搬送コンベヤ12により下流側へと搬送される間に、前方フラップS5および後方フラップS6が折り曲げられ、前方フラップ折り曲げガイド26の間に位置する成形位置Bに移送される。この間に搬送コンベヤ12の両側方に配置された接着剤ディスペンサ28から、折り曲げられた前方フラップS5および後方フラップS6の重合部分に向けて接着剤が噴射され、各フラップの重合部分の所定位置Pに塗布される。
【0025】
成形位置Bでは、前方フラップ折り曲げガイド26により、前方フラップS5および後方フラップS6の折り曲げられた状態が維持される。成形位置Bには、シートSで形成されたケースの4隅の角に外側から当接する外側押圧機構30が設けられる。外側押圧機構30は、下流側の2隅において前方側壁S2に外側から当接する一対の前方側壁当接部30Aと、上流側の2隅において後方側壁S3に外側から当接する一対の後方側壁当接部30Bと、搬送方向に対して横方向外側からケースの4隅に当接する4つの外側押圧部材30C(外側押圧手段)と、前方側壁当接部30Aと後方側壁当接部30Bと外側押圧部材30Cとが取り付けられる基部30Dとを備える。
【0026】
前方側壁当接部30A、後方側壁当接部30B、外側押圧部材30C、基部30Dは、外側押圧機構駆動部(外側押圧部材昇降手段)30Eにより一体的に昇降され、シートSが成形位置Bに移送され停止するまでは、搬送面下に退避している。シートSが成形位置Bで停止すると、前方側壁当接部30A、後方側壁当接部30B、外側押圧部材30C、基部30Dは下側から上昇され、左右の下フラップS4を折り曲げ線に沿って上向きに折り曲げながらシートSの4隅の角にそれぞれ外側から当接し、下フラップS4を収容空間に向けて折り曲げ、重合部分を形成する。
【0027】
一方、成形位置Bにおいて、搬送コンベヤ12の両側の搬送面よりも上方には、図3を参照して後述する内側押圧機構(内側押圧部材挿入手段)32が配置される。内側押圧機構32は、4隅に対応する4つの内側押圧部材(内側押圧手段)32Aを備え、外側押圧機構30によりシートSにより形成される収容空間の外側からケースの4隅が押えられると、内側押圧部材32Aが上方からケース内側に挿入され、収容空間の内側からケースの4隅の角に押し当てられる。
【0028】
これにより天面S7が閉じられていない状態の箱型に成形されたシートSの4隅が、内側押圧部材32Aと、前方側壁当接部30A、後方側壁当接部30B、外側押圧部材30C、基部30Dとの間に挟まれ、角部を中心に、各フラップが折り目に沿って確りと折り曲げられる。また、接着剤が塗布された前方フラップS5、後方フラップS6と、これらに重ねられる下フラップS4は、内側押圧部材32Aと外側押圧部材30Cにより、重合部分が挟持されるようにして圧着される。これにより、下フラップS4が前方フラップS5および後方フラップS6に確りと接着され(側方側壁形成手段)、底面S1の左右に、互いに対向する一体的な側方側壁が各々形成される。
【0029】
なお、内側押圧機構32は、前方フラップと下フラップとが重合する2箇所の重合部分を挟圧する一対の内側押圧部材32Aと、後方フラップと下フラップとが重合する2箇所の重合部分を挟圧する一対の内側押圧部材32Aとを各々備える左右一対のユニットとして構成され、左右の各ユニットはフレーム32Bによって各々支持される。フレーム32Bは例えばスライダーとレールとからなる直動機構32Cにより、搬送コンベヤ幅方向に各々移動可能に支持され、ユニット移動機構32Dにより幅方向に移動される。すなわち、扱われるケースの横幅に合わせて内側押圧機構32の位置が調整可能である。
【0030】
下フラップS4と、前方フラップS5、後方フラップS6との接着が完了すると、内側押圧部材32Aはケースの外側に、前方側壁当接部30A、後方側壁当接部30B、外側押圧部材30C、基部30Dは搬送面下に退避され、天面S7が開いた状態の箱型に成形されたシートSは、搬送コンベヤ12により下流側に搬送される。成形位置Bの下流側の箱詰位置Cでは、例えばケーサロボット34により、ワークWが間欠移動されて停止しているケース内に装填される。ワークWが装填された天面S7が開いた状態の箱型のシートSは、下流において天面S7およびシームフラップS9が折り曲げられ、両者が接着されることにより閉じられた状態のケースが完成される。
【0031】
図3は、内側押圧機構32を搬送方向上流側から下流側に見た一部拡大正面図である。図1図3を参照して内側押圧部材32Aの駆動機構およびその動作について説明する。
【0032】
内側押圧機構32は、搬送コンベヤ12の左右の側辺に沿って搬送方向に延在する一対のシャフト36A、36Bをそれぞれ備える。シャフト36A、36Bはともにフレーム32Bによって支持される。内側押圧部材32Aは、正面図においてL字形状を呈し、その短い側の端部は、シャフト36Aとともに一体的に回転可能であるとともに、スライダ部36Cを介してシャフト36A、36Bに摺動自在に保持される。
【0033】
シャフト36Aは、各々クランク機構38により回動可能であり、クランク機構38は、押圧部材原動部40により駆動される。すなわち、内側押圧部材32Aは、押圧部材原動部40の駆動によりシャフト36Aを中心として揺動可能である。図3に示されるように、内側押圧部材32Aは、待機状態ではシートSと干渉しない位置にまで持ち上げられている。シートSが成形位置Bに移送され、箱型に成形されたシートSの外側4隅が外側押圧機構30により支持されると、内側部材32Aは、シャフト36Aの回転により、その長い方の腕が箱型のシートSの内側に下ろされる。
【0034】
また、搬送コンベヤ12の一方の側辺に設けられたシャフト36A、36Bにおいて対をなす内側押圧部材32Aは、シャフト36A、36Bに沿って互いに反対向きに往復運動を行う。本実施形態において、これらの運動はラックとピニオン機構を用いた内側押圧部材直動機構(内側押圧部材移動手段)42によって実現される。
【0035】
すなわち、一方の内側押圧部材32Aを支持するスライダ部36Cには、ラック42Aが設けられ、他方の内側押圧部材32Aを支持するスライダ部36Cには、ラック42Bが設けられる。ラック42A、42Bは1つのピニオン42Cを挟んで平行に配置され、それぞれピニオン42Cと係合する。ピニオン42Cが一方に回転されると、一対の内側押圧部材32Aは、互いに遠ざかる方向に移動し、他方に回転されると、互いに近づく方向に移動する。なお、ピニオン42Cはサーボモータ42Dによって、所望の方向に所望の回転量回転可能である。
【0036】
内側押圧部材直動機構42は、内側押圧部材32Aが持ち上げられ、待機位置にあるとき、各ユニットに設けられた一対の内側押圧部材32Aを互いに近づけ待機状態とする。一方、内側押圧部材32Aがケース内に挿入されると、両者を互いに遠ざける方向移動し、各内側押圧部材32Aはケースの内側の4隅の角にぴったりと押し当てられる。これにより、各ユニットの一対の内側押圧部材32Aは、所定距離だけ離間するように相互に移動され、離間状態となり、それぞれ対応する重合部分に押し当てられる。
【0037】
したがって、本実施形態の製函装置10では、シートSで形成されるケースの大きさが変更されても、外側押圧機構30の4隅の位置と、内側押圧機構32の左右のユニットの間隔を直動機構32Cにより調整するとともに、サーボモータ42Dの回転量を調整して内側押圧部材32Aが開く広さを調整することで対応でき、型替えにも簡単に対応できる。
【0038】
なお、本実施形態では、製函の際に接着剤を塗布し、これによりフラップ同士を接着したが、例えば製函装置外で、感圧性の接着テープを予めフラップ等に貼付し、これを外側押圧部材および内側押圧部材で挟圧して接着する構成としてもよい。
【0039】
本実施形態では、底面形状が矩形のケースの製函を例に説明を行ったが、本発明は底面形状が八角形等のケースの製函にも適用できる。底面形状が八角形のケースの場合、対応する箇所を切り欠いた内側押圧部材に交換することで対応できる。なお、底面が八角形の場合においても、八角形の切り欠き角度が同じであれば、外側押圧機構の4隅の位置、および内側押圧機構のユニット間の幅、搬送方向に沿った内側押圧部材の往復運動の幅を調整することで各種サイズのケースに対応できる。
【0040】
なお、本発明は、底面S1、前方側壁S2、後方側壁S3、下フラップS4、前方フラップS5、後方フラップS6を備えるシートからトレイ状の箱(天面がない箱)を成形する場合にも適用可能である。
【符号の説明】
【0041】
10 製函装置
12 搬送コンベヤ
14 シートマガジン
24 後方フラップ折り曲げ機構(後方フラップ折り曲げ手段)
26 前方フラップ折り曲げガイド(前方フラップ折り曲げ手段)
30 外側押圧機構
30C 外側押圧部材(外側押圧手段)
30D 基部
30E 外側押圧機構駆動部(外側押圧部材昇降手段)
32 内側押圧機構(内側押圧部材挿入手段)
32A 内側押圧部材(内側押圧手段)
42 内側押圧部材直動機構(内側押圧部材移動手段)
S1 底面
S2 前方側壁
S3 後方側壁
S4 下フラップ
S5 前方フラップ
S6 後方フラップ
S7 天面
S8 上フラップ
S9 シームフラップ
図1
図2
図3
図4