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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-11
(45)【発行日】2023-05-19
(54)【発明の名称】伝送装置、制御装置、及び伝送方法
(51)【国際特許分類】
   H04J 14/00 20060101AFI20230512BHJP
   H04L 47/76 20220101ALI20230512BHJP
   H04B 10/27 20130101ALI20230512BHJP
   H04L 1/00 20060101ALI20230512BHJP
【FI】
H04J14/00
H04L47/76
H04B10/27
H04L1/00 E
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019003761
(22)【出願日】2019-01-11
(65)【公開番号】P2020113902
(43)【公開日】2020-07-27
【審査請求日】2021-10-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087480
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 修平
(72)【発明者】
【氏名】小山 智史
【審査官】対馬 英明
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-124934(JP,A)
【文献】特開2016-082318(JP,A)
【文献】特開2016-127549(JP,A)
【文献】SHIBAHARA K. et al.,Space-Time Coding-Assisted Transmission for Mitigation of MDL Impact on Mode-Division Multiplexed Signals,2016 Optical Fiber Communications Conference and Exhibition (OFC),米国,2016年03月,Th4C.4
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 10/00-10/90
H04J 14/00-14/08
H04L 1/00
H04L 1/08-1/24
H04L 12/00-12/26
H04L 12/50-12/955
H04L 47/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャネルがそれぞれ割り当てられた電気的な複数のデータ信号に基づきそれぞれ光変調された複数の光信号を多重して伝送する伝送装置において、
前記複数のデータ信号のうち、第1の組合せに含まれる各データ信号の伝送品質を平均化する第1信号処理部と、
前記複数のデータ信号のうち、第2の組合せに含まれる各データ信号の伝送品質を平均化する第2信号処理部と、
前記第1の組合せ及び前記第2の組合せの各々の伝送品質を平均化された前記複数のデータ信号に基づき前記複数の光信号をそれぞれ光変調する変調部と、
前記複数の光信号を受信する受信装置から、受信後の前記複数の光信号から変換された前記複数のデータ信号の各々の伝送品質を示す指標値を取得する取得部と、
前記受信装置において、前記第1の組合せに含まれる各データ信号の伝送品質と前記第2の組合せに含まれる各データ信号の伝送品質の差分が低減されるように、前記指標値に基づいて前記複数のデータ信号にチャネルをそれぞれ割り当てる割当部とを有することを特徴とする伝送装置。
【請求項2】
前記割当部は、前記差分が低減されるように、前記指標値に基づいて前記複数の光信号の波長を、前記チャネルとして前記複数のデータ信号にそれぞれ割り当てることを特徴とする請求項1に記載の伝送装置。
【請求項3】
前記複数の光信号がそれぞれ伝送される伝送路中の空間を切り替えるスイッチ部を有し、
前記割当部は、前記差分が低減されるように、前記指標値に基づいて前記スイッチ部を制御することにより前記伝送路中の空間を、前記チャネルとして前記複数のデータ信号にそれぞれ割り当てることを特徴とする請求項1または2に記載の伝送装置。
【請求項4】
前記第1信号処理部は、前記第1の組合せに含まれる各データ信号をユニタリ変換することにより伝送品質を平均化し、
前記第2信号処理部は、前記第2の組合せに含まれる各データ信号をユニタリ変換することにより伝送品質を平均化することを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の伝送装置。
【請求項5】
前記割当部は、
前記第1信号処理部及び前記第2信号処理部により伝送品質が平均化されていないときの前記指標値に基づいて前記複数のデータ信号に割り当てる前記チャネルを選択し、
前記第1信号処理部及び前記第2信号処理部により伝送品質が平均化されたときの前記指標値に基づいて前記複数のデータ信号に割り当てる前記チャネルを確定させることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の伝送装置。
【請求項6】
前記割当部は、前記第1信号処理部及び前記第2信号処理部により伝送品質が平均化されたときの前記複数のデータ信号の何れかの前記指標値が所定の基準を満たさない場合、前記第1信号処理部または前記第2信号処理部が当該データ信号の伝送品質を平均化する処理の回数を増加させることを特徴とする請求項5に記載の伝送装置。
【請求項7】
前記割当部は、前記第1信号処理部及び前記第2信号処理部により伝送品質が平均化されたときの前記データ信号の前記指標値が所定の基準を満たさない場合、前記データ信号の伝送品質を平均化する処理の回数が上限に達したとき、前記データ信号に割り当てる前記チャネルの選択を変更することを特徴とする請求項6に記載の伝送装置。
【請求項8】
チャネルがそれぞれ割り当てられた電気的な複数のデータ信号に基づきそれぞれ光変調された複数の光信号を多重して伝送する伝送装置を制御する制御装置において、
前記伝送装置は、前記複数のデータ信号のうち、第1の組合せに含まれる各データ信号の伝送品質を平均化し、前記複数のデータ信号のうち、第2の組合せに含まれる各データ信号の伝送品質を平均化し、前記第1の組合せ及び前記第2の組合せの各々の伝送品質を平均化された前記複数のデータ信号に基づき前記複数の光信号をそれぞれ光変調し、
前記複数の光信号を受信する受信装置から、受信後の前記複数の光信号から変換された前記複数のデータ信号の各々の伝送品質を示す指標値を取得する取得部と、
前記第1の組合せに含まれる各データ信号の伝送品質と前記第2の組合せに含まれる各データ信号の伝送品質の差分が低減されるように、前記指標値に基づいて前記複数のデータ信号に前記チャネルをそれぞれ割り当てる割当部とを有することを特徴とする制御装置。
【請求項9】
チャネルがそれぞれ割り当てられた電気的な複数のデータ信号に基づきそれぞれ光変調された複数の光信号を多重して伝送する伝送方法において、
前記複数のデータ信号のうち、第1の組合せに含まれる各データ信号の伝送品質を平均化し、
前記複数のデータ信号のうち、第2の組合せに含まれる各データ信号の伝送品質を平均化し、
前記第1の組合せ及び前記第2の組合せの各々の伝送品質を平均化された前記複数のデータ信号に基づき前記複数の光信号をそれぞれ光変調し、
前記複数の光信号を受信する受信装置から、受信後の前記複数の光信号から変換された前記複数のデータ信号の各々の伝送品質を示す指標値を取得し、
前記第1の組合せに含まれる各データ信号の伝送品質と前記第2の組合せに含まれる各データ信号の伝送品質の差分が低減されるように、前記指標値に基づいて前記複数のデータ信号に前記チャネルをそれぞれ割り当てることを特徴とする伝送方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件は、伝送装置、制御装置、及び伝送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば偏波が相違する光信号を多重して光ファイバに伝送する技術がある(例えば特許文献1参照)。この種の光多重伝送方式では、光信号のチャネルとして、偏波に限らず、例えば波長及び光ファイバ内の空間(つまりモードやコア)などが用いられる。
【0003】
伝送路には光ファイバだけでなく、光アンプなどの光信号の伝送特性に影響する他のデバイスも設けられているため、光信号はチャネルごとにSNR(Signal- Noise Ratio)などの伝送品質が相違する。例えば、光ファイバの伝搬損失、光アンプの利得及びNF(Noise Figure)、及び非線形光学係数は光信号の波長、モード、及びコアに依存する。
【0004】
これに対して、光信号に用いる変調方式の選択及びFEC(Forward Error Correction)冗長度などをチャネルごとに最適化することにより各光信号の伝送品質を向上する方法があるが、変調方式及びFEC冗長度の選択肢が多いほど、光信号の送信器及び受信器の構成及び制御が複雑化する。また、光ファイバに入力する光信号のパワーを最適化する方法もあるが、光ファイバ内の非線形光学効果による他のチャネルの伝送特性への影響や光アンプの利得の変化及び上限パワーなどがあるため、有効ではない。
【0005】
また、例えばモードが相違する光信号を多重する光多重伝送方式において、電界信号をアダマール変換することによりチャネルごとの光信号の伝送品質を平均化する方法もある(例えば非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2012-124934号公報
【非特許文献】
【0007】
【文献】K.Shibahara et al.,”Space-Time Coding-Assisted Transmission for Mitigation of MDL Impact on Mode-Division Multiplexed Signals”,OFC2016,Th4C.4
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上記のような平均化手段を例えばDSP(Digital Signal Processor)により実現する場合、DSPの回路規模の増加や構成の複雑化を避けるため、伝送品質を平均化する複数の光信号の組み合わせを固定する必要がある。このため、例えば伝送品質が高いチャネルの光信号同士の組み合わせで平均化処理が行われ、伝送品質が低いチャネルの光信号同士の組み合わせで平均化処理が行われる場合、多重伝送される光信号全体として伝送品質のばらつきが低減されないという問題がある。
【0009】
そこで本件は、多重伝送される各光信号の伝送品質のばらつきを低減することができる伝送装置、制御装置、及び伝送方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
1つの態様では、伝送装置は、チャネルがそれぞれ割り当てられた電気的な複数のデータ信号に基づきそれぞれ光変調された複数の光信号を多重して伝送する伝送装置において、前記複数のデータ信号のうち、第1の組合せに含まれる各データ信号の伝送品質を平均化する第1信号処理部と、前記複数のデータ信号のうち、第2の組合せに含まれる各データ信号の伝送品質を平均化する第2信号処理部と、前記第1の組合せ及び前記第2の組合せの各々の伝送品質を平均化された前記複数のデータ信号に基づき前記複数の光信号をそれぞれ光変調する変調部と、前記複数の光信号を受信する受信装置から、受信後の前記複数の光信号から変換された前記複数のデータ信号の各々の伝送品質を示す指標値を取得する取得部と、前記受信装置において、前記第1の組合せに含まれる各データ信号の伝送品質と前記第2の組合せに含まれる各データ信号の伝送品質の差分が低減されるように、前記指標値に基づいて前記複数のデータ信号にチャネルをそれぞれ割り当てる割当部とを有する。
【0011】
1つの態様では、制御装置は、チャネルがそれぞれ割り当てられた電気的な複数のデータ信号に基づきそれぞれ光変調された複数の光信号を多重して伝送する伝送装置を制御する制御装置において、前記伝送装置は、前記複数のデータ信号のうち、第1の組合せに含まれる各データ信号の伝送品質を平均化し、前記複数のデータ信号のうち、第2の組合せに含まれる各データ信号の伝送品質を平均化し、前記第1の組合せ及び前記第2の組合せの各々の伝送品質を平均化された前記複数のデータ信号に基づき前記複数の光信号をそれぞれ光変調し、前記複数の光信号を受信する受信装置から、受信後の前記複数の光信号から変換された前記複数のデータ信号の各々の伝送品質を示す指標値を取得する取得部と、前記第1の組合せに含まれる各データ信号の伝送品質と前記第2の組合せに含まれる各データ信号の伝送品質の差分が低減されるように、前記指標値に基づいて前記複数のデータ信号に前記チャネルをそれぞれ割り当てる割当部とを有する。
【0012】
1つの態様では、伝送方法は、チャネルがそれぞれ割り当てられた電気的な複数のデータ信号に基づきそれぞれ光変調された複数の光信号を多重して伝送する伝送方法において、前記複数のデータ信号のうち、第1の組合せに含まれる各データ信号の伝送品質を平均化し、前記複数のデータ信号のうち、第2の組合せに含まれる各データ信号の伝送品質を平均化し、前記第1の組合せ及び前記第2の組合せの各々の伝送品質を平均化された前記複数のデータ信号に基づき前記複数の光信号をそれぞれ光変調し、前記複数の光信号を受信する受信装置から、受信後の前記複数の光信号から変換された前記複数のデータ信号の各々の伝送品質を示す指標値を取得し、前記第1の組合せに含まれる各データ信号の伝送品質と前記第2の組合せに含まれる各データ信号の伝送品質の差分が低減されるように、前記指標値に基づいて前記複数のデータ信号に前記チャネルをそれぞれ割り当てる方法である。
【発明の効果】
【0013】
1つの側面として、多重伝送される各光信号の伝送品質のばらつきを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】比較例における伝送品質の平均化処理の方法を示す図である。
図2】実施例における伝送品質の平均化処理の方法を示す図である。
図3】伝送システムの一例を示す構成図である。
図4】送信器の一例を示す構成図である。
図5】受信器の一例を示す構成図である。
図6】制御部の一例を示す構成図である。
図7】チャネルの割り当て処理の一例を示すフローチャートである。
図8】チャネルの割り当ての一例を示す図である。
図9】チャネルの割り当て処理の他の例を示すフローチャートである。
図10】チャネルの割り当ての他の例を示す図である。
図11】波長変換器を用いた伝送システムの一例を示す構成図である。
図12】波長変換器の一例を示す構成図である。
図13】波長変換器を用いた伝送システムの他の例を示す構成図である。
図14】空間多重伝送方式の伝送システムの一例を示す構成図である。
図15】チャネルの割り当て処理の他の例を示す図である。
図16】波長多重伝送方式及び空間多重伝送方式の伝送システムの送信装置の一例を示す構成図である。
図17】波長多重伝送方式及び空間多重伝送方式の伝送システムの受信装置の一例を示す構成図である。
図18】送信装置の第1変形例を示す構成図である。
図19】送信装置の第2変形例を示す構成図である。
図20】ネットワーク監視制御装置の一例を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、比較例における伝送品質の平均化処理の方法を示す図である。伝送システムには、光ファイバなどの伝送路92を介して接続された送信装置9a及び受信装置9bが含まれる。送信装置9a及び受信装置9bは、一例として複数の光信号を波長多重伝送する。
【0016】
送信装置9aは、信号処理部90a,90b及び合波器91を有する。信号処理部90aは、一組のデータ信号S#1,S#2を、一例としてユニタリ変換することによりデータ信号S#1,S#2の各伝送品質を平均化する。なお、以降の説明において伝送品質の平均化処理を「プリコーディング」と表記する。なお、ユニタリ変換としてはHadamard変換が挙げられるが、これに限定されず、例えばSpace-Time codes(時空間符号)やPolarization-Time codes(偏波時空間符号)と呼ばれる変換方式が用いられてもよい。
【0017】
また、信号処理部90bは、他の一組のデータ信号S#3,S#4のプリコーディングを行う。例えばデータ信号S#1~#4には、チャネルとして個別の波長λ1~λ4が割り当てられている。データ信号S#1~#4は、波長λ1~λ4の光に変換された後、光カプラなどの合波器91により1つの波長多重光信号に多重されて伝送路92に出力される。
【0018】
一方、受信装置9bは、分波器95及び信号処理部94a,94bを有する。分波器95は、伝送路92から入力された波長多重光信号を波長λ1~λ4ごとのデータ信号S#1~#4に分波する。分波後、一組のデータ信号S#1,S#2は電気信号に変換されて信号処理部94aに入力され、他の一組のデータ信号S#3,S#4は電気信号に変換されて信号処理部94bに入力される。
【0019】
信号処理部94aは、一組のデータ信号S#1,S#2に対し、一例としてユニタリ変換の逆変換を行うことによりユニタリ変換前のデータ信号S#1,S#2を復元する。また、信号処理部94bは、一組のデータ信号S#3,S#4に対し、一例としてユニタリ変換の逆変換を行うことによりユニタリ変換前のデータ信号S#3,S#4を復元する。なお、以降の説明においてデータ信号S#1~#4復元処理を「デコーディング」と表記する。
【0020】
受信装置9bは、データ信号S#1~#4の伝送品質の一例としてSNRを監視する。例えば伝送路92における波長λ1,λ2のデータ信号S#1,S#2の伝送特性が、波長λ3,λ4のデータ信号S#3,S#4の伝送特性より良好である場合、データ信号S#1,S#2のSNRはデータ信号S#3,S#4のSNRより大きくなる(SNR「大」及び「小」参照)。なお、SNRは、伝送品質を示す指標値の一例である。
【0021】
このため、一方のデータ信号S#1,S#2の組合せの伝送品質と他方のデータ信号S#3,S#4の組合せの伝送品質の差分が大きくなる。したがって、データ信号S#1~#4全体として伝送品質のばらつきが低減されない。
【0022】
そこで、実施例の送信装置9aは、SNRの高いチャネルである波長λ1,λ2とSNRの低いチャネルである波長λ3,λ4がプリコーディングの組合せとなるように、データ信号S#1~#4に波長λ1~λ4を割り当てる。
【0023】
図2は、実施例における伝送品質の平均化処理の方法を示す図である。図2において、図1と共通する構成には同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0024】
本例では、比較例とは異なり、データ信号S#2には波長λ3が割り当てられ、データ信号S#3には波長λ2が割り当てられる。このため、データ信号S#2は、波長λ3に応じて伝送特性が劣化することによりSNRが低下し、データ信号S#3は、波長λ2に応じて伝送特性が向上することによりSNRが増加する。
【0025】
信号処理部90aは、波長λ1,λ3のデータ信号S#1,S#2の組合せをプリコーディングするため、SNRの高いチャネルである波長λ1とSNRの低いチャネルである波長λ3の間でSNRが平均化される。また、信号処理部90bは、波長λ2,λ4のデータ信号S#3,S#4の組合せをプリコーディングするため、SNRの高いチャネルである波長λ2とSNRの低いチャネルである波長λ4の間でSNRが平均化される(SNR「中」参照)。
【0026】
このため、一方のデータ信号S#1,S#2の組合せの伝送品質と他方のデータ信号S#3,S#4の組合せの伝送品質の差分が小さくなる。したがって、データ信号S#1~#4全体として伝送品質のばらつきが低減される。
【0027】
以下に、上記のようなチャネル割り当てを行うための構成について説明する。
【0028】
図3は、伝送システムの一例を示す構成図である。伝送システムには、上記のようなチャネル割り当てを行って波長多重伝送を行う送信装置1と、受信装置2と、送信装置1及び受信装置2を監視制御するネットワーク監視制御装置5とが含まれる。なお、ネットワーク監視制御装置5は、送信装置1を制御する制御装置の一例である。
【0029】
送信装置1は、伝送装置の一例であり、チャネルの一例として波長がそれぞれ割り当てられた複数のデータ信号S#1~S#4を波長多重して伝送する。複数の光信号が波長多重された波長多重光信号Smuxは伝送路92を介して受信装置2に入力される。受信装置2は、波長多重光信号Smuxを受信して波長λ1~λ4ごとに分離し、データ信号S#1~S#4を復元する。
【0030】
送信装置1は、制御部30、送信器31a~31d、及び合波器32を有する。送信器31a~31dは、光信号の一例であるデータ信号S#1~S#2をそれぞれ送信する。合波器32は、例えば光カプラであり、送信器31a~31dからのデータ信号S#1~S#4を合波して波長多重光信号Smuxを生成し伝送路92に出力する。
【0031】
送信器31a及び送信器31bはデータ信号S#1,S#2の組合せをプリコーディングし、送信器31c及び送信器31dはデータ信号S#3,S#4の組合せをプリコーディングする。データ信号S#1,S#2及びデータ信号S#3,S#4のうち、一方の組合せは第1の組合せの一例であり、他方の組合せは第2の組合せの一例である。
【0032】
受信装置2は、制御部40、分波器42、及び受信器41a~41dを有する。分波器42は、例えば光スプリッタであり、波長多重光信号Smuxを各受信器41a~41dに分波する。受信器41a~41dは、後述するように波長可変の光フィルタを備え、波長多重光信号Smuxを波長λ1~λ4ごとにフィルタリングすることによりデータ信号S#1~#4をそれぞれ受信する。
【0033】
受信器41a及び受信器41bはデータ信号S#1,S#2の組合せをデコーディングし、受信器41c及び受信器41dはデータ信号S#3,S#4の組合せをデコーディングする。これにより、プリコーディング前のデータ信号S#1~#4が復元される。
【0034】
受信器41a~41dは、データ信号S#1~#4の伝送品質を監視し、伝送品質を示す指標値としてSNRを制御部40に通知する。制御部40は、SNRから品質情報を生成し、例えばネットワーク監視制御装置5経由で送信装置1の制御部30に通知する。これにより、制御部30は品質情報を受信装置2から取得する。なお、品質情報は、これに限定されず、例えば受信装置2のノードから送信装置1のノードにデータ信号を伝送する回線を介して通知されてもよい。
【0035】
制御部30は、データ信号S#1,S#2の伝送品質とデータ信号S#3,S#4の伝送品質の差分が低減されるように、品質情報に基づいて各データ信号S#1~#4に波長をそれぞれ割り当てる。波長割り当ての一例としては、例えば図1及び図2に示される例が挙げられる。
【0036】
制御部30は、波長λ1~λ4がそれぞれ割り当てられたデータ信号S#1~#4の品質情報を受信装置2から取得する。このため、制御部30は、例えば、送信装置1から送信された波長多重光信号Smuxから各データ信号S#1~#4のSNRを予測する場合よりも高精度な品質情報を取得することができる。
【0037】
一例として、制御部30は、SNRが最大となる波長λ1とSNRを最小となる波長λ3がプリコーディングの組のデータ信号S#1,S#2にそれぞれ割り当てるように、データ信号S#2の波長λ2を波長λ3に変更する。また、制御部30は、SNRが2番目に大きくなる波長λ2とSNRが2番目に小さくなる波長λ4をプリコーディングの組のデータ信号S#3,S#4にそれぞれ割り当てるように、データ信号S#3の波長λ3を波長λ2に変更する。ここで、波長λ1~λ4は、例えばデータ信号S#1~#4の光源の中心波長を設定することにより変更される。
【0038】
また、制御部30は、上記の波長λ1~λ4の割り当てを示す設定情報を、ネットワーク監視制御装置5経由で受信装置2の制御部40に通知する。制御部40は、設定情報に基づいて、受信器41a~41dが受信するデータ信号S#1~#4の各波長λ1~λ4を設定する。このため、受信装置2は、送信装置1がデータ信号S#1~#4の波長割り当てを変更した場合でも正常にデータ信号S#1~#4を受信することができる。なお、設定情報は、これに限定されず、例えばデータ信号S#1~#4に収容して受信装置2に通知されてもよい。
【0039】
図4は、送信器31a~31dの一例を示す構成図である。図4には、送信器31a,31cの構成とともに、送信器31a,31cのプリコーディングの組の相手方となる送信器31b,31dのマッピング部801及びプリコーディング部802のみが示されているが、送信器31b,31dの全体構成は送信器31a,31cの構成と同様である。
【0040】
送信器31a~31dは、偏波多重方式を用い、デジタルコヒーレント光伝送方式に従ってデータ信号S#1~#4を伝送する。図4では、電気信号であるデータ信号S#1~#4をDtと表記し、光信号であるデータ信号S#1~#4をSoと表記する。
【0041】
送信器31a~31dは、送信処理回路80と、デジタルアナログ変換器(DAC: Digital-to-Analog Converter)82a~82dと、増幅器(AMP)84a~84dと、変調部83とを有する。変調部83には、マッハツェンダ変調器(MZM: Mach-Zehnder Modulator)83a~83dが含まれる。さらに、送信器31a~31dは、偏波ビームコンバイナ(PBC: Polarization Beam Combiner)85と、偏波ビームスプリッタ(PBS: Polarization Beam Splitter)86と、光源87とを有する。
【0042】
送信処理回路80は、例えば他装置または後段の処理回路から電気的なデータ信号Dtが入力され、データ信号Dtから生成されたデジタル信号Hi,Hq,Vi,Vqを出力する。なお、データ信号Dtとしては、例えば、イーサネット(登録商標)信号が挙げられるが、これに限定されない。
【0043】
デジタル信号Hi,Hqは、それぞれ、データ信号SoのH偏波成分(偏波光Sh)に対応する電界信号Ehの同相成分及び直交位相成分である。デジタル信号Vi,Vqは、それぞれ、データ信号SoのV偏波成分(偏波光Sv)に対応する電界信号Evの同相成分及び直交位相成分である。
【0044】
送信処理回路80は、FEC(Forward Error Correction)付与部800と、マッピング部801と、プリコーディング部802と、信号挿入部803と、予等化処理部804とを有する。なお、送信処理回路80としては、例えばDSP(Digital Signal Processor)が挙げられるが、これに限定されず、例えばFPGA(Field Programmable Gate Array)が用いられてもよい。
【0045】
FEC付与部800は、データ信号Dtに、誤り訂正符号の一例であるFEC符号を挿入する。FEC符号は、例えばデータ信号Dtのフレームの最後尾に位置する。FEC付与部800は、データ信号Dtをマッピング部801に出力する。
【0046】
マッピング部801は、データ信号Dtをその変調方式に応じたシンボルにマッピングする。変調方式としては、QPSK(Quadrature Phase Shift Keying)やBPSK(Binary Phase Shift Keying)が挙げられるが、これに限定されず、QAM(Quadrature Amplitude Modulation)が用いられてもよい。
【0047】
マッピング部801は、例えばシリアル-パラレル変換を行うことにより、データ信号DtをH軸及びV軸の各偏波成分にそれぞれ割り当てる2つのデータ列に分割する。マッピング部801は、データ信号Dtをデータ列ごとにマッピング処理を実行して、各偏波成分のデータ列をそれぞれ電界信号Eh,Evとしてプリコーディング部802に出力する。
【0048】
プリコーディング部802には、前段のマッピング部801と、プリコーディングの組の相手方のマッピング部801とからそれぞれ電界信号Eh,Evが入力される。
【0049】
例えば送信器31aのプリコーディング部802には、前段のマッピング部801と、プリコーディングの組の相手方である送信器31bのマッピング部801とから電界信号Eh,Evが入力され、送信器31bのプリコーディング部802には、前段のマッピング部801と、送信器31aのマッピング部801とから電界信号Eh,Evが入力される。送信器31a,31bと同様に、送信器31c,31dの各プリコーディング部802にも、各マッピング部801から電界信号Eh,Evが入力される。
【0050】
送信器31a,31bの各プリコーディング部802は、データ信号S#1,S#3をユニタリ変換することにより伝送品質を平均化する。送信器31c,31dの各プリコーディング部802は、データ信号S#2,S#4をユニタリ変換することにより伝送品質を平均化する。
【0051】
このため、プリコーディング部802は、汎用的な数値計算により容易に平均化処理を行うことができる。プリコーディング部802は、制御部30から平均化処理の回数(以下、「プリコーディング回数」と表記)が設定される。なお、送信器31a,31bの各プリコーディング部802、及び送信器31c,31dの各プリコーディング部802の一方は第1信号処理部の一例であり、他方は第2信号処理部の一例である。プリコーディング部802は、電界信号Eh,Evを信号挿入部803に出力する。
【0052】
信号挿入部803は、制御部30からの挿入指示に従って、プリコーディング部802から出力された電界信号Ehに、プリコーディングされていないデータ信号S#1~#4の伝送品質を監視するための所定パタンの参照信号を挿入する。参照信号には、データ信号Dtのフレームの同期パタンであるトレーニングシーケンス(TS: Training Sequence)と、試験パタンであるパイロットシンボル(PS: Pilot Symbol)とが含まれる。信号挿入部803は、電界信号Eh,Evをそれぞれ予等化処理部804に出力する。
【0053】
予等化処理部804は、電界信号Eh,Evに対し予等化処理を行う。例えば、予等化処理部804は、電界信号Eh,Evに対し、予め伝送路92の伝送路特性とは逆の特性を電気的に与えておくことにより伝送路特性による信号波形の歪みを抑制する。予等化処理部804は、電界信号Eh,Evを、デジタル信号Hi,Hq,Vi,VqとしてDAC82a~82dにそれぞれ出力する。
【0054】
DAC82a~82dは、デジタル信号Hi,Hq,Vi,Vqをそれぞれアナログ信号に変換する。アナログ信号は、AMP84a~84dにより増幅された後、MZM83a~83dに入力される。なお、DAC82a~82dは、送信処理回路80内に構成されてもよい。
【0055】
光源87は、例えばレーザダイオードなどから構成され、制御部30から設定された中心波長の送信光LOsをPBS86に出力する。PBS86は、送信光LOsをH軸及びV軸(偏光軸)に分離する。送信光LOsのH偏波成分はMZM83a,83bにそれぞれ入力され、送信光LOsのV偏波成分はMZM83c,83dにそれぞれ入力される。
【0056】
変調部83は、送信光LOsを電界信号Eh,Evに基づきそれぞれ光変調することにより、互いに直交する偏波光Sh,Svを生成する。MZM83a~83dは、DAC82a~82dからのアナログ信号に基づき送信光LOsを光変調する。より具体的には、MZM83a,83bは、送信光LOsのH軸成分をDAC82a,82bからのアナログ信号に基づき光変調し、MZM83c,83dは、送信光LOsのV軸成分をDAC82c,82dからのアナログ信号に基づき光変調する。
【0057】
光変調された送信光LOsのH軸成分及びV軸成分は、偏波光Sh,SvとしてPBC85に入力される。PBC85は、送信光LOsのH軸成分及びV軸成分を偏波合成することによりデータ信号Soを生成し伝送路92に出力する。
【0058】
図5は、受信器41a~41dの一例を示す構成図である。受信器41a~41dは送信器31a~31dからデータ信号Soを受信する。図5には、受信器41a,41cの構成とともに、受信器41a,41cのデコーディングの組の相手方となる受信器41b,41dの搬送波位相復元部703及びデコーディング部704のみが示されているが、受信器41b,41dの全体構成は受信器41a,41cの構成と同様である。
【0059】
受信器41a~41dは、受信処理回路70と、ADC(Analog-to-Digital Convertor)72a~72dと、モニタ部78と、フロントエンド部79とを有する。フロントエンド部79は、光源71と、バランス型のフォトダイオード(PD: Photodiode)73a~73dと、90度光ハイブリッド回路740,741と、PBS75,76、光フィルタ77とを有する。
【0060】
フロントエンド部79は、信号変換部の一例であり、送信器31a~31dから波長多重光信号Smuxを受信し、波長多重光信号Smuxに含まれるデータ信号Soから偏波光Sh,Svに分離して電界信号Eh,Evにそれぞれ変換する。光フィルタ77は、波長多重光信号Smuxからデータ信号Soを分離してPBS76に出力する。このとき、分離されるデータ信号Soの中心波長は制御部40から設定される。
【0061】
PBS76は、データ信号Soを偏波光Sh,Svに分離して90度光ハイブリッド回路740,741にそれぞれ出力する。また、光源71は、例えばレーザダイオードなどから構成され、制御部40から設定された中心波長の局発光LOrをPBS75に入力する。PBS75は、局発光LOrをH軸成分及びV軸成分に分離して90度光ハイブリッド回路740,741にそれぞれ出力する。
【0062】
90度光ハイブリッド回路740は、偏波光Sh及び局発光LOrのH軸成分を干渉させるための導波路を有し、偏波光Shを検波する。90度光ハイブリッド回路740は、検波結果として、同相成分及び直交位相成分の振幅及び位相に応じた光成分をPD73a,73bにそれぞれ出力する。
【0063】
90度光ハイブリッド回路741は、偏波光Sv及び局発光LOrのV軸成分を干渉させるための導波路を有し、偏波光Svを検波する。90度光ハイブリッド回路741は、検波結果として、同相成分及び直交位相成分の振幅及び位相に応じた光成分をPD73c,73dにそれぞれ出力する。
【0064】
PD73a~73dは、90度光ハイブリッド回路740,741から入力された光成分を電気信号に変換して、電気信号をADC72a~72dにそれぞれ出力する。ADC72a~72dは、PD73a~73dから入力された電気信号をデジタル信号Hi,Hq,Vi,Vqにそれぞれ変換する。デジタル信号Hi,Hq,Vi,Vqは受信処理回路70に入力される。
【0065】
受信処理回路70は、分散補償部700と、適応等化処理部701と、搬送波位相復元部703と、デコーディング部704と、誤り訂正部705とを有する。なお、受信処理回路70としては、例えばDSPが挙げられるが、これに限定されず、例えばFPGAであってもよい。また、受信処理回路70には、上記以外の機能が含まれてもよい。
【0066】
分散補償部700は、伝送路92上の波長分散により生じたデータ信号Soの波形歪みを固定的なパラメータに基づいて補償する。分散補償部700は、デジタル信号Hi,Hq,Vi,Vqを、電界信号Eh,Evとして適応等化処理部701に出力する。
【0067】
適応等化処理部701は、電界信号Eh,Evに対し適応等化処理を行う。より具体的には、適応等化処理部701は、伝送路92上の波長分散や非線形光学効果などにより生じたデータ信号Soの波形歪みを動的なパラメータに基づいて補償する。
【0068】
適応等化処理部701はデータ信号Soの品質劣化を補償する。より具体的には、適応等化処理部701は、FIR(Finite Impulse Response)フィルタにより電界信号Eh,Evに対し伝送路92の特性とは逆の特性を与えることにより、電界信号Eh,Evの波形を補正する。適応等化処理部701は、電界信号Eh,Evを搬送波位相復元部703に出力する。
【0069】
搬送波位相復元部703は、電界信号Eh,Evから雑音成分を除去し、正しい搬送波位相を推定し、電界信号Eh,Evの位相を、推定した搬送波位相に同期させる。搬送波位相復元部703は、電界信号Eh,Evをデコーディング部704に出力する。
【0070】
デコーディング部704には、前段の搬送波位相復元部703と、デコーディングの組の相手方のデコーディング部704の搬送波位相復元部703とからそれぞれ電界信号Eh,Evが入力される。
【0071】
例えば受信器41aのデコーディング部704には、前段の搬送波位相復元部703と、デコーディングの組の相手方である受信器41bの搬送波位相復元部703とから電界信号Eh,Evが入力され、受信器41bのデコーディング部704には、前段の搬送波位相復元部703と、受信器41aの搬送波位相復元部703とから電界信号Eh,Evが入力される。受信器41a,41cと同様に、受信器41b,41dの各デコーディング部704にも、各搬送波位相復元部703から電界信号Eh,Evが入力される。デコーディング部704は各電界信号Eh,Evをデコーディングして誤り訂正部705に出力する。
【0072】
誤り訂正部705は、電界信号Eh,Evからデータ信号Dtを再生し、データ信号Dtに付与されたFEC符号に基づいてデータ信号Dtの誤り訂正処理を軟判定により行う。誤り訂正処理は、データ信号Dtのフレームごとに行われる。このようにして復元されたデータ信号Dtは他の装置に出力される。
【0073】
また、モニタ部78はデータ信号Dtの伝送品質を監視する。モニタ部78は、データ信号Dtから例えばSNRを算出し、品質情報として制御部40に出力する。なお、モニタ部78は、例えばDSPやFPGAなどにより構成される。
【0074】
図6は、制御部30の一例を示す構成図である。制御部30は、CPU(Central Processing Unit)10、ROM(Read Only Memory)11、RAM(Random Access Memory)12、ストレージメモリ13、通信ポート14、及びハードウェアインターフェース部(HW-IF)15を有する。CPU10は、互いに信号の入出力ができるように、ROM11、RAM12、ストレージメモリ13、通信ポート14、及びHW-IF15と、バス19を介して接続されている。
【0075】
ROM11は、CPU10を駆動するプログラムが格納されている。RAM12は、CPU10のワーキングメモリとして機能する。通信ポート14は、例えばLAN(Local Area Network)ポートであり、ネットワーク監視制御装置5とCPU10の間の通信を処理する。
【0076】
CPU10は、ROM11からプログラムを読み込むと、機能として、品質情報取得部101及びチャネル割当部102が形成される。また、ストレージメモリ13には、チャネル設定テーブル(TBL)130が格納されている。
【0077】
品質情報取得部101は、取得部の一例であり、チャネル割当部102からの指示に従って各データ信号S#1~#4のSNRを受信装置2から取得する。チャネル割当部102は、割当部の一例であり、データ信号S#1,S#2の伝送品質とデータ信号S#3,S#4の伝送品質の差分が低減されるように、SNRに基づいてデータ信号S#1~#4に波長λ1~λ4の何れかをチャネルとして割り当てる。例えばチャネル割当部102は、上述したように、波長λ1~λ4のうち、SNRが高い波長とSNRが低い波長がプリコーディングの組となるように波長割り当てを行う。
【0078】
チャネル割当部102は、HW-IF15を介して例えば光源71に中心波長を設定する。チャネル割当部102は、HW-IF15を介して送信装置1内の他のハードウェアに各種の設定や指示を行う。
【0079】
チャネル設定テーブル130には、各データ信号S#1~#4のチャネル割り当てに関する情報が登録される。例えばチャネル設定テーブル130には、データ信号S#1~#4の識別子の信号ID#1~#4、チャネルの識別子であるCH-ID#1~#4、チャネルに応じた波長λ1~λ4、及びSNRが登録される。なお、受信装置2の制御部40も、例えば上記と同様のCPU回路により構成される。
【0080】
図7は、チャネルの割り当て処理の一例を示すフローチャートである。チャネルの割り当て処理は、例えばデータ信号S#1~#4の伝送品質が所定の基準を満たさなくなったとき、及び送信装置1に新たな送信器、つまりデータ信号が追加されたときなどに実行される。なお、本処理に先立ち、チャネル割当部102は、各送信器31a~31dのプリコーディング部802のプリコーディング回数を1回に設定しておく。
【0081】
チャネル割当部102は、プリコーディングされていないデータ信号S#1~#4が受信装置2に送信されるように信号挿入部803にデータ信号S#1~#4への参照信号の挿入を指示する(ステップSt1)。このとき、データ信号S#1~#4には、例えばCH-ID#1~#4が初期設定として割り当てられている。
【0082】
次に品質情報取得部101は、プリコーディングされていない各データ信号S#1~#4のSNRを含む品質情報を受信装置2から通信ポート14を介して取得する(ステップSt2)。このとき、品質情報取得部101は、SNRをチャネル設定テーブル130に登録する。なお、プリコーディングされていないときのSNRは、データ信号S#1~#4に参照信号を挿入することで取得されるが、これに限定されず、参照信号が挿入されていないデータ信号S#1~#4を、受信装置2の搬送波位相復元部703及びデコーディング部704の間で監視することでも得られる。
【0083】
次にチャネル割当部102は、各データ信号S#1~#4に割り当てるチャネルの候補から、SNRが最小であるチャネルを選択し(ステップSt3)、SNRが最大であるチャネルを選択する(ステップSt4)。例えばチャネル割当部102は、チャネル設定テーブル130のSNRを参照し、SNRが最大であるCH-IDと、SNRが最小であるCH-IDを選択する。
【0084】
次にチャネル割当部102は、選択中のチャネルの組をプリコーディングの組のデータ信号S#1~#4にそれぞれ割り当てる(ステップSt5)。例えばチャネル割当部102は、プリコーディングの組となる送信器31a,31bのデータ信号S#1,S#2または送信器31c,31dのデータ信号S#3,S#4に選択中の各チャネルの波長を割り当てる。
【0085】
チャネル割当部102は、選択中の各チャネルの波長λ1~λ4に応じて送信器31a,31bまたは送信器31c,31dの光源87に送信光LOsの中心波長を設定する。これにより、送信器31a,31b(または送信器31c,31d)は、選択中の各チャネルの波長のデータ信号S#1,S#2(またはデータ信号S#3,S#4)を送信する。
【0086】
次にチャネル割当部102は、選択中の各チャネルの波長のデータ信号S#1,S#2(またはデータ信号S#3,S#4)へのチャネルの割り当てを示す設定情報を、通信ポート14を介して受信装置2に通知する(ステップSt6)。受信装置2の制御部40は、設定情報に従って各受信器41a~41dの光フィルタ77及び光源71に、データ信号S#1~#4に割り当てた波長に応じた中心波長をそれぞれ設定する。これにより、各受信器41a~41dは正常にデータ信号S#1,S#2(またはデータ信号S#3,S#4)を受信することができる。
【0087】
次にチャネル割当部102は、プリコーディングされたデータ信号S#1~#4が受信装置2に送信されるように信号挿入部803にデータ信号S#1~#4への参照信号の挿入の停止を指示する(ステップSt7)。次に品質情報取得部101は、プリコーディングされた各データ信号S#1~#4のSNRを含む品質情報を受信装置2から通信ポート14を介して取得する(ステップSt8)。
【0088】
次にチャネル割当部102は、選択中の各チャネルを割り当てたデータ信号S#1,S#2(またはデータ信号S#3,S#4)のプリコーディング回数が上限値に達したか否かを判定する(ステップSt9)。プリコーディング回数の上限値は、例えばハードウェアの構成に応じて決定され、送信器31a~31dごとに異なっていてもよいし、同一であってもよい。
【0089】
チャネル割当部102は、プリコーディング回数が上限値に達していない場合(ステップSt9のNo)、プリコーディング部802のプリコーディング回数を増加させる(ステップSt12)。その後、ステップSt3以降の各処理が再び実行される。
【0090】
また、チャネル割当部102は、プリコーディング回数が上限値に達している場合(ステップSt9のYes)、選択中のチャネルを、残りのデータ信号S#3,S#4(またはデータ信号S#1,S#2)に割り当てるチャネルの候補から除外する(ステップSt10)。これにより、選択中のチャネルを割り当てるデータ信号S#1,S#2(またはデータ信号S#3,S#4)が確定するため、チャネル割当部102は、割り当てたチャネルについてチャネル設定テーブル130を更新する。
【0091】
次にチャネル割当部102は、残りのチャネルの候補に未選択のチャネルが有るか否かを判定する(ステップSt11)。未選択のチャネルが有る場合(ステップSt11のYes)、ステップSt3以降の各処理が実行される。未選択のチャネルが無い場合(ステップSt11のNo)、本処理は終了する。このようにして、割り当て処理は実行される。
【0092】
次にチャネルの割り当て処理の例を説明する。
【0093】
図8は、チャネルの割り当ての一例を示す図である。符号Gaは、チャネルの割り当て前のチャネル設定テーブル130を示し、符号Gbは、チャネルの割り当て後のチャネル設定テーブル130を示す。
【0094】
各チャネル設定テーブル130には、データ信号S#1~#4(信号ID#1~#4)ごとの受信側のコンスタレーションが示されている。ここで、データ信号S#1~#4の変調方式は一例としてQPSKとしたが、これに限定されない。なお、本例では、各送信器31a~31dのプリコーディング回数の上限値は1とする。
【0095】
割り当て処理前、データ信号S#1~#4には、初期設定として波長λ1~λ4がそれぞれ設定されている。データ信号S#1~#4のSNRは、プリコーディングされていないときの値を示す。データ信号S#1,S#2のSNRはデータ信号S#3,S#4のSNRより高く、データ信号S#1~#4全体でSNRのばらつきが大きい。このため、データ信号S#1,S#3のコンスタレーションとデータ信号S#2,S#4のコンスタレーションの間で信号点の分布に明確な差分がある。
【0096】
チャネル割当部102は、SNRが最大(14(dB))である波長λ1のチャネル#1(CH-ID#1)、及びSNRが最小(5.4(dB))である波長λ4のチャネル#4(CH-ID#4)を選択する。チャネル割当部102は、チャネル#1,#4の波長λ1,λ4をプリコーディングの組のデータ信号S#1,S#2にそれぞれ割り当てる。プリコーディング回数は上限値に達したため、チャネル#1,#4はチャネルの候補から除外される。
【0097】
次にチャネル割当部102は、SNRが2番目に大きい(11.2(dB))である波長λ2のチャネル#2(CH-ID#2)、及びSNRが2番目に小さい(6.9(dB))である波長λ3のチャネル#3(CH-ID#3)を選択する。チャネル割当部102は、チャネル#2,#3の波長λ2,λ3をプリコーディングの組のデータ信号S#3,#4にそれぞれ割り当てる。プリコーディング回数は上限値に達したため、チャネル#3,#4はチャネルの候補から除外される。他にチャネルの候補は残っていないため、チャネル割当部102は、割り当て処理を終了する。
【0098】
割り当て処理後、波長λ1,λ4がそれぞれ割り当てられたプリコーディング済みのデータ信号S#1,S#2のSNRはともに7.4(dB)となり、波長λ3,λ2がそれぞれ割り当てられたプリコーディング済みのデータ信号S#3,S#4のSNRはともに6.4(dB)となる。このため、割り当て処理前のSNRと比較すると、データ信号S#1~#4全体でSNRのばらつきが低減されている。したがって、データ信号S#1,S#3のコンスタレーションとデータ信号S#2,S#4のコンスタレーションの間の信号点の分布の差分も低減されている。
【0099】
このように、チャネル割当部102は、データ信号S#1,S#2の伝送品質とデータ信号S#3,S#4の伝送品質の差分が低減されるように、SNRに基づいてデータ信号S#1~#4に波長を、チャネルとしてそれぞれ割り当てる。このため、波長に依存したデータ信号S#1~#4全体の伝送品質のばらつきが低減される。
【0100】
本例では、伝送品質の指標値としてSNRが用いられるが、これに限定されず、以下の例のようにSNRマージン(以下、単に「マージン」と表記)が用いられてもよい。マージンは、FEC付与部800の符号化方式に応じたFECリミットにより決定されるSNRの下限値に対するSNRの差分である。
【0101】
図9は、チャネルの割り当て処理の他の例を示すフローチャートである。図9において、図7と共通する処理には同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0102】
品質情報取得部101は、SNRとFECリミットからマージンを算出する(ステップSt2a)。マージンは、チャネル設定テーブル130に登録される。チャネル割当部102は、チャネルの候補から、マージンが最小となるチャネルを選択し(ステップSt3a)、マージンが最大となるチャネルを選択する(ステップSt4a)。チャネル割当部102は、選択中のチャネルをデータ信号S#1,S#2(またはデータ信号S#3,S#4)に割り当て(ステップSt5)、設定情報を受信装置2に通知する(ステップSt6)。
【0103】
品質情報取得部101は、プリコーディング済みのデータ信号S#1,S#2(またはデータ信号S#3,S#4)のSNRの取得後(ステップSt8)、SNRとFECリミットからマージンを算出する(ステップSt8a)。マージンは、チャネル設定テーブル130に登録される。
【0104】
チャネル割当部102は、データ信号S#1,S#2(またはデータ信号S#3,S#4)の各マージンが0以上である場合(ステップSt21のYes)、選択中のチャネルを候補から除外する(ステップSt22)。これにより、選択中のチャネルの割り当ては確定する。
【0105】
このように、チャネル割当部102は、プリコーディングされていないときのSNRに基づいて、データ信号S#1~#4に割り当てるチャネルを選択し、プリコーディングされたときのSNRに基づいて、データ信号S#1~#4に割り当てるチャネルを確定させる。このため、チャネル割当部102は、精度良くチャネルごとの伝送品質を判定ことができ、データ信号S#1~#4の伝送品質のばらつきをより効果的に低減することができる。
【0106】
次にチャネル割当部102は、残りのチャネルの候補に未選択のチャネルが有るか否かを判定する(ステップSt23)。未選択のチャネルが有る場合(ステップSt23のYes)、ステップSt3a以降の各処理が実行される。未選択のチャネルが無い場合(ステップSt23のNo)、本処理は終了する。
【0107】
また、チャネル割当部102は、データ信号S#1,S#2(またはデータ信号S#3,S#4)の何れかのマージンが0未満である場合(ステップSt21のNo)、マージンが0未満であるデータ信号の送信器31a~31dのプリコーディング回数が上限値に達したか否かを判定する(ステップSt24)。チャネル割当部102は、プリコーディング回数が上限値未満である場合(ステップSt24のNo)、プリコーディング部802に対しプリコーディング回数を増加させる設定を行う(ステップSt27)。その後、ステップSt8以降の各処理が実行される。
【0108】
このように、チャネル割当部102は、マージンが0未満である場合、プリコーディング回数を増加させる。このため、例えばプリコーディング部802内の消費電力は増加するおそれがあるものの、マージンを改善することが可能である。なお、本例では、マージンが0以上であることを伝送品質の基準としたが、これに限定されず、例えばマージンが1以上であることを伝送品質の基準としてもよい。
【0109】
また、チャネル割当部102は、プリコーディング回数が上限値に達している場合(ステップSt24のYes)、残りのチャネルの候補に未選択のチャネルが有るか否かを判定する(ステップSt25)。チャネル割当部102は、未選択のチャネルが有る場合(ステップSt25のYes)、選択中のチャネルのうち、SNRが小さい方のチャネルに代えて、その次にSNRが小さいチャネルを選択する(ステップSt26)。例えばチャネル割当部102は、SNRが最小のチャネルが選択されている場合、そのチャネルに代えて、SNRが2番目に小さいチャネルを選択する。その後、ステップSt4a以降の各処理が実行される。
【0110】
このように、チャネル割当部102は、マージンが0未満である場合、プリコーディング回数が上限に達したとき、データ信号S#1~#4に割り当てるチャネルの選択を変更する。このため、チャネル割当部102は、プリコーディング回数が上限に達したためにマージンの改善が見込めないチャネルを除いて、チャネル割り当てを行うことができる。なお、チャネルの候補には、最終的に未割当のままのチャネルが残ってもよい。
【0111】
また、未選択のチャネルが無い場合(ステップSt25のNo)、本処理は終了する。このようにして、チャネルの割り当て処理は実行される。
【0112】
次にチャネルの割り当て処理の例を説明する。
【0113】
図10は、チャネルの割り当ての他の例を示す図である。符号Gcは、チャネルの割り当て前のチャネル設定テーブル130を示し、符号Gdは、チャネルの割り当て後のチャネル設定テーブル130を示す。
【0114】
各チャネル設定テーブル130には、データ信号S#1~#4(信号ID#1~#4)ごとの受信側のコンスタレーションが示されている。ここで、データ信号S#1~#4の変調方式は一例としてQPSKとしたが、これに限定されない。なお、本例では、各送信器31a~31dのプリコーディング回数の上限値は1とする。また、本例では、図8の例とは異なり、チャネル設定テーブル130に、SNRマージンが追加されている。なお、FECリミットに基づくSNRの下限値は7.0(dB)とする。
【0115】
割り当て処理前、データ信号S#1~#4には、初期設定として波長λ1~λ4がそれぞれ設定されている。データ信号S#1~#4のマージンは、プリコーディングされていないときの値を示す。データ信号S#1,S#2のマージンは0より大きいが、データ信号S#3,S#4のマージンは0より小さく、データ信号S#1~#4全体でマージンのばらつきが大きい。このため、データ信号S#1,S#3のコンスタレーションとデータ信号S#2,S#4のコンスタレーションの間で信号点の分布に明確な差分がある。
【0116】
チャネル割当部102は、マージンが最大(+7.0(dB))である波長λ1のチャネル#1(CH-ID#1)、及びマージンが最小(-1.6(dB))である波長λ4のチャネル#4(CH-ID#4)を選択する。チャネル割当部102は、チャネル#1,#4の波長λ1,λ4をプリコーディングの組のデータ信号S#1,S#2にそれぞれ割り当てる。
【0117】
プリコーディング済みのデータ信号S#1,S#2のマージンはともに+0.4(dB)(>0)であるため、チャネル割当部102は、伝送品質の基準が満たされると判断し、チャネル#1,#4をチャネルの候補から除外する。これにより、チャネル#1,#4の割り当てが確定する。
【0118】
次にチャネル割当部102は、マージンが2番目に大きい(+4.2(dB))である波長λ2のチャネル#2(CH-ID#2)、及びマージンが2番目に小さい(-0.1(dB))である波長λ3のチャネル#3(CH-ID#3)を選択する。チャネル割当部102は、チャネル#3,#2の波長λ3,λ2をプリコーディングの組のデータ信号S#3,S#4にそれぞれ割り当てる。
【0119】
プリコーディング済みのデータ信号S#3,S#4のマージンはともに+1.4(dB)(>0)であるため、チャネル割当部102は、伝送品質の基準が満たされると判断し、チャネル#3,#2をチャネルの候補から除外する。これにより、チャネル#3,#2の割り当てが確定する。他にチャネルの候補は残っていないため、チャネル割当部102は、割り当て処理を終了する。
【0120】
割り当て処理後、波長λ1,λ4がそれぞれ割り当てられたプリコーディング済みのデータ信号S#1,S#2のマージンはともに+0.4(dB)となり、波長λ3,λ2がそれぞれ割り当てられたプリコーディング済みのデータ信号S#3,S#4のマージンはともに+1.4(dB)となる。このため、割り当て処理前のマージンと比較すると、データ信号S#1~#4全体でマージンのばらつきが低減されている。したがって、データ信号S#1,S#3のコンスタレーションとデータ信号S#2,S#4のコンスタレーションの間の信号点の分布の差分も低減されている。
【0121】
このように、チャネル割当部102は、データ信号S#1,S#2の伝送品質とデータ信号S#3,S#4の伝送品質の差分が低減されるように、マージンに基づいてデータ信号S#1~#4に波長を、チャネルとしてそれぞれ割り当てる。このため、波長に依存したデータ信号S#1~#4全体の伝送品質のばらつきが低減される。なお、伝送品質の指標値としては、他にもFECによる誤り訂正前のビットエラーレートやEVM(Error Vector Magnitude)などが用いられてもよい。
【0122】
(波長変換器を用いた伝送システム)
上記の例において、チャネル割当部102は、各送信器31a~31dの送信光LOsの中心波長を設定することにより各データ信号S#1~#4に波長を割り当てるが、これに限定されず、各データ信号S#1~#4の波長変換後の波長を設定することにより波長を割り当ててもよい。
【0123】
図11は、波長変換器33,43を用いた伝送システムの一例を示す構成図である。図11において、図3と共通する構成には同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0124】
送信装置1aは、伝送装置の他の例であり、送信器31a~31f、送信器31a~31fと同数の波長変換器(CNV)33、合波器32a、及び制御部30を有する。ここで、送信器31e,31fは、他の送信器31a~31dと同様の構成を有する。送信器31a,31bの組、送信器31c,31dの組、及び送信器31e,31fの組は、それぞれ、プリコーディングの組のデータ信号S#1~#n(n:正の整数)を送信する。
【0125】
各送信器31a~31fは共通の波長λoのデータ信号S#1~#nを送信するが、波長λoは波長変換器33により他の波長λ1~λnに変換される。波長変換器33は、送信器31a~31fから入力されたデータ信号S#1~#nの波長λoを、制御部30からの設定に従って波長λ1~λnに変換する。
【0126】
制御部30は、例えば波長変換器33の波長シフト量を設定することによりデータ信号S#1~#nに波長λ1~λnの何れかを割り当てる。なお、図11には、一例としてデータ信号S#1~#nに波長λ1~λnがそれぞれ割り当てられた場合が示されている。波長変換されたデータ信号S#1~#nは合波器32aに入力される。
【0127】
合波器32aは、例えば波長選択スイッチであり、データ信号S#1~#nを合波して波長多重光信号Smuxを生成する。制御部30は、波長変換器33の変換後の波長λ1~λnを合波器32aの入力ポートに設定する。波長多重光信号Smuxは伝送路92を介して受信装置2aに入力される。
【0128】
受信装置2aは、受信器41a~41f、受信器41a~41fと同数の波長変換器43、分波器42a、及び制御部40を有する。波長多重光信号Smuxは分波器42aに入力される。
【0129】
分波器42aは、例えば波長選択スイッチであり、波長多重光信号Smuxから波長λ1~λnのデータ信号S#1~#nを分波する。制御部40は、データ信号S#1~#nがそれぞれの受信器41aに入力されるように、波長λ1~λnを分波器42aの出力ポートに設定する。データ信号S#1~#nは分波器42aから各波長変換器43に入力される。
【0130】
各波長変換器43は、制御部40からの設定に従って、データ信号S#1~#nの波長λ1~λnをそれぞれ共通の波長λoに変換する。制御部40は、波長変換後の波長λoに合わせて波長変換器43の波長シフト量を設定する。データ信号S#1~#nは各波長変換器43から受信器41a~41fに入力される。なお、受信器41e,41fは、他の受信器41a~41dと同様の構成を有する。
【0131】
図12は、波長変換器33,43の一例を示す構成図である。波長変換器33,43は、レーザダイオードなどの励起光源331、高非線形ファイバや高非線形半導体導波路などの非線形光学素子332、及びバンドパスフィルタ(BPF:Band Pass Filter)333を有する。
【0132】
非線形光学素子332には、励起光源331からの励起光と波長λj(=λ1~λn,λo)のデータ信号S#i(i=1,2,・・・,n)が入力される。非線形光学素子332内では、励起光とデータ信号S#iの間で例えば四光波混合が発生する。四光波混合により生じたアイドラ光は、波長変換後のデータ信号S#i’としてBPF333により抽出される。なお、BPF333は、不要な周波数成分の光を除去する必要がある場合に設けられればよく、必ずしも波長変換器33,43に設けられる必要はない。
【0133】
アイドラ光は、周波数軸上、データ信号S#iに対して励起光を挟んだ対象な位置に生成される。このため、アイドラ光の波長は、データ信号S#iの波長λjに対し励起光の中心波長を挟んだ対象な値となる。したがって、制御部30,40は、励起光源331に励起光の中心波長を制御することにより波長変換の波長シフト量を変更することができる。なお、本例では、四光波混合を用いて波長変換を行う場合を挙げたが、他の非線形光学効果が波長変換に用いられてもよい。
【0134】
このように、伝送システムには波長変換器33,43が設けられている。このため、送信器31a~31fの光源87に設定可能な送信光LOsの中心波長、及び受信器41a~41fの光源71に設定可能な局発光LOrの中心波長が制限される場合でも、送信器31a~31f及び受信器41a~41fは単一の波長λoのデータ信号S#1~#nを送受信することができる。なお、送信器31a~31f及び受信器41a~41fは、単一の波長λoではなく、複数の波長のデータ信号S#1~#nを送受信してもよい。
【0135】
また、制御部30は、上記のステップSt5の処理において、各波長変換器33aの波長シフト量を設定することによりデータ信号S#1~#nに波長を割り当てる。これにより、データ信号S#1~#nの伝送品質のばらつきが低減される。なお、受信装置2aの制御部40は、制御部30から通知された設定情報に従って波長変換器43を背低する。
【0136】
(波長変換器を用いた他の伝送システム)
上記の例のように波長変換器33,43を用いる場合、波長変換後のデータ信号S#1~#nの伝送品質は波長変換前よりも低下する。
【0137】
そこで、全てのデータ信号S#1~#nを波長変換するのではなく、一部のデータ信号S#2,S#4,・・・,S#nだけを波長変換して、波長変換されない他のデータ信号S#1,S#3,・・・,S#(n―1)との間でプリコーディングの組を構成してもよい。これにより、伝送品質のばらつきをより効果的に低減することが可能である。
【0138】
図13は、波長変換器33a,43aを用いた伝送システムの他の例を示す構成図である。図13において、図11と共通する構成には同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0139】
送信装置1bは、伝送装置の他の例であり、送信器31a~31f、波長変換器(CNV)33a、合波器32b,32c、及び制御部30を有する。送信器31a~31fはデータ信号S#1~#nをそれぞれ送信する。データ信号S#1~#nは、送信器31a~31fから合波器32bにそれぞれ入力される。
【0140】
合波器32bは、例えば波長選択スイッチであり、制御部30の設定に従ってデータ信号S#1~#nを2つの出力ポートP1,P2の一方から後段の合波器32cに出力する。また、出力ポートP2と合波器32cの間には波長変換器33aが設けられている。波長変換器33aは、図12に示された波長変換器33,43と同様の構成を有する。
【0141】
合波器32bは、例えば波長選択スイッチであり、前段の合波器32bの出力ポートP1,P2から入力されたデータ信号S#1~#nを合波することにより波長多重光信号Smuxを生成する。波長多重光信号Smuxは、伝送路92を介して受信装置2bに入力される。
【0142】
制御部30は、例えばプリコーディングの組となるデータ信号S#1~#nごとに共通の波長λ1~λm(m=n/2)を割り当てる。例えばデータ信号S#1,S#2には共通の波長λ1が割り当てられ、データ信号S#3,S#4には共通の波長λ2が割り当てられ、データ信号S#(n-1),S#nには共通の波長λmが割り当てられる。
【0143】
また、制御部30は、プリコーディングの組となるデータ信号S#1~#nが合波器32bの別々の出力ポートP1,P2からそれぞれ出力されるように、出力ポートP1,P2に波長を設定する。例えば制御部30は、プリコーディングの組の一方のデータ信号S#1,S#3,・・・,S#(n―1)が出力ポートP1から出力され、プリコーディングの組の他方のデータ信号S#2,S#4,・・・,S#nが出力ポートP2から出力されるように設定を行う(点線参照)。
【0144】
このため、データ信号S#1,S#3,・・・,S#(n―1)は波長変換されずに合波器32cに入力され、データ信号S#2,S#4,・・・,S#nは波長変換器33aにより波長変換されて合波器32cに入力される。なお、制御部30は、合波器32bの各入力ポートにデータ信号S#1~#nの波長λ1~λmを設定する。
【0145】
波長変換器33aは、符号330で示されるように、波長λ1~λmを波長λm+1~λ2mにそれぞれ変換する。このため、データ信号S#2の波長λ2は波長λm+1に変換され、データ信号S#4の波長λ2は波長λm+2に変換され、データ信号S#nの波長λmは波長λ2mに変換される。このため、波長多重光信号Smuxに含まれる波長数(2m)は、送信器31a~31fが用いる波長数(m)の2倍となる。
【0146】
また、波長変換によって、波長λ1のデータ信号S#1と波長λ2のデータ信号S#2がプリコーディングの組となり、波長λ2のデータ信号S#3と波長λ2のデータ信号S#4がプリコーディングの組となり、波長λmのデータ信号S#(n-1)と波長λ2mのデータ信号S#nがプリコーディングの組となる。つまり、波長変換されないデータ信号S#1,S#3,・・・,S#(n―1)と波長変換されるデータ信号S#2,S#4,・・・,S#nの間でプリコーディングの組が構成される。これにより、伝送品質のばらつきをより効果的に低減することが可能である。
【0147】
また、制御部30は、上記のステップSt5の処理において、送信器31a~31f(送信光LOsの中心波長)に対してデータ信号S#1~#nの波長λ1~λmの何れかを設定することにより波長を割り当てる。波長変換器33aによる波長変換前の波長λ1~λmと波長変換後の波長λm+1~λ2mの組の関係は一定であるため、プリコーディングの組となるデータ信号S#1~#nにそれぞれ任意の波長λ1~λmを割り当てることが可能である。
【0148】
例えば波長λ1は波長λ2に変換されるため、制御部30は、送信器31a,31bにそれぞれ波長λ1を設定することによりデータ信号S#1,S#2に波長λ1,λ2をそれぞれ割り当てることができる。なお、本例では、プリコーディングの組となるデータ信号S#1~#nの送信器31a~31fに同一の波長λ1~λmが設定されているが、互いに異なる波長λ1~λmが設定されてもよい。
【0149】
受信装置2bは、分波器42b,42c、受信器41a~41f、波長変換器43a、及び制御部40を有する。波長多重光信号Smuxは伝送路92から分波器42cに入力される。
【0150】
分波器42cは、例えば波長選択スイッチであり、波長多重光信号Smuxから波長λ1~λ2mのデータ信号S#1~#nを分離し、制御部40からの設定に従って出力ポートP3.P4の一方から出力する。データ信号S#1~#nは、分波器42cから後段の分波器42bに入力される。また、出力ポートP4と分波器42bの間には波長変換器43aが接続されている。
【0151】
分波器42bは、制御部40からの設定に従って、データ信号S#1~#nを受信器41a~41fにそれぞれ出力する。受信器41a~41fは、制御部40から設定された波長λ1~λmに従って、データ信号S#1~#nを受信する。
【0152】
制御部40は、送信装置1bの制御部30から通知された設定情報に基づき分波器42b,42c及び受信器41a~41fを設定する。制御部40は、出力ポートP3から波長λ1~λmのデータ信号S#1,S#3,・・・,S#(n―1)が出力され、出力ポートP4から波長λm+1~λ2mのデータ信号S#2,S#4,・・・,S#nが出力されるように出力ポートP3,P4に波長を設定する。
【0153】
データ信号S#2,S#4,・・・,S#nは出力ポートP4から波長変換器43aに入力される。波長変換器43aは、符号430で示されるように、波長λm+1~λ2mを波長λ1~λmにそれぞれ変換する。なお、波長変換器43aは、図12に示された波長変換器33,43と同様の構成を有する。
【0154】
制御部40は、出力ポートP3から分波器42bに入力された波長λ1~λmのデータ信号S#1,S#3,・・・,S#(n―1)が受信器41a,41c,・・・,41eにそれぞれ入力されるように、分波器42bの各入出力ポートに波長を設定する。また、制御部40は、出力ポートP4から分波器42bに入力された波長λ1~λmのデータ信号S#2,S#4,・・・,S#nが受信器41b,41d,・・・,41fにそれぞれ入力されるように、分波器42bの各入出力ポートに波長を設定する。
【0155】
このため、プリコーディングの組のデータ信号S#1~#nは、デコーディングの組となる受信器41a~41fにそれぞれ入力される。例えばデータ信号S#1,S#2は受信器41a,41bにそれぞれ入力され、データ信号S#3,S#4は受信器41c,41dにそれぞれ入力され、データ信号S#(n-1),S#nは受信器41e,41fにそれぞれ入力される。
【0156】
上記の構成によると、波長変換器33a,43aが波長λm+1~λ2mを波長λ1~λmにそれぞれ変換するため、図11の例のようにデータ信号S#1~#nごとに波長変換器33,43を設ける場合よりも波長変換器33a,43aの個数が1個で済むため、ハードウェアの規模が低減される。
【0157】
(空間多重伝送方式の伝送システム)
上記の例では波長をチャネルとする波長多重伝送方式の伝送システムを例に挙げたが、光ファイバのコア及びモードのような伝送路内の空間をチャネルとする空間多重伝送方式の伝送システムにおいても、上述したようなチャネルの割り当てにより伝送品質のばらつきを低減することができる。
【0158】
図14は、空間多重伝送方式の伝送システムの一例を示す構成図である。図14において、図3と共通する構成には同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0159】
送信装置1c及び受信装置2cは、マルチモード及びマルチコアの少なくとも一方の機能を備えた光ファイバを含む伝送路93により接続されている。送信装置1cは、送信器31a~31d、光スイッチ(4×4 SW)34、多重器39、及び制御部30を有する。なお、送信装置1cは伝送装置の他の例である。
【0160】
送信器31a~31dはデータ信号S#1~#4をそれぞれ光スイッチ34に出力する。なお、データ信号S#1~#4の各波長は任意である。
【0161】
光スイッチ34は入力ポートP1~P4と出力ポートP5~P8を有する。制御部30は、入力ポートP1~P4及び出力ポートP5~P8の間の接続関係を設定する。このため、光スイッチ34に入力されたデータ信号S#1~#4は、制御部30からの設定に応じた出力ポートP5~P8の1つからそれぞれ多重器39に出力される。なお、初期設定としてデータ信号S#1~#4は例えば出力ポートP5~P8からそれぞれ出力される。
【0162】
多重器39は、光スイッチ34と伝送路93を接続するコネクタであり、光スイッチ34からデータ信号S#1~#4がそれぞれ入力される入力ポートPa~Pdを有する。入力ポートPa~Pdは光スイッチ34の出力ポートP5~P8にそれぞれ接続されている。
【0163】
入力ポートPa~Pdは伝送路93内の別々の空間に接続されている。伝送路93の光ファイバがマルチコアである場合、データ信号S#1~#4は入力ポートPa~Pdから別々のコアに入力され、伝送路93の光ファイバがマルチモードである場合、データ信号S#1~#4は入力ポートPa~Pdから別々のモードの伝搬経路に入力される。また、伝送路93の光ファイバがマルチコア及びマルチモードである場合、データ信号S#1~#4は入力ポートPa~Pdから別々のコア及びモードの伝搬経路の組み合わせに入力される。
【0164】
このため、データ信号S#1~#4は、多重器39から伝送路93に入力されることにより空間多重伝送される。なお、光スイッチ34は、データ信号#1~#4がそれぞれ伝送される伝送路93中の空間を切り替えるスイッチ部の一例である。データ信号S#1~#4は、伝送路93から受信装置2cに入力される。
【0165】
受信装置2cは、受信器41a~41d、光スイッチ(4×4 SW)44、分離器49、及び制御部40を有する。分離器49は、光スイッチ44と伝送路93を接続するコネクタであり、伝送路93から入力されたデータ信号S#1~#4を出力ポートPe~Phから光スイッチ44にそれぞれ出力する。出力ポートPe~Phは伝送路93を介して多重器39の入力ポートPa~Pdにそれぞれ接続されている。
【0166】
光スイッチ44は入力ポートP11~P14と出力ポートP15~P18を有する。入力ポートP11~P14は分離器49の出力ポートPe~Phにそれぞれ接続され、出力ポートP15~P16は受信器41a~41dにそれぞれ接続されている。
【0167】
制御部40は、データ信号S#1~#4が受信器41a~41dにそれぞれ入力されるように、入力ポートP11~P14及び出力ポートP15~P18の間の接続関係を設定する。制御部40は、送信装置1cの光スイッチ34の設定を示す設定情報に従って光スイッチ44を設定する。また、制御部40は、受信器41a~41dから例えばデータ信号S#1~#4のSNRをそれぞれ取得し、品質情報としてネットワーク監視制御装置5を介し送信装置1cの制御部30に送信する。
【0168】
制御部30のチャネル割当部102は、品質情報の示すSNRに基づいて光スイッチ44を制御することにより、伝送路93内の空間をデータ信号S#1~#4にそれぞれ割り当てる。例えば図1の例のように、プリコーディングの組であるデータ信号S#1,S#2のSNRが、他のプリコーディングの組であるデータ信号S#3,S#4のSNRより高い場合、チャネル割当部102は、データ信号S#2の出力ポートP6を出力ポートP8に変更し、データ信号S#4の出力ポートP8を出力ポートP6に変更する。
【0169】
つまり、チャネル割当部102は、入力ポートP2を出力ポートP8に接続し、入力ポートP4を出力ポートP6に接続する設定を行う。これにより、データ信号S#2が入力される多重器39の入力ポートPbは入力ポートPdとなり、データ信号S#4が入力される多重器39の入力ポートPdは入力ポートPbとなる。
【0170】
制御部30は、各データ信号S#1~#4の出力ポートP5~P8の設定を示す設定情報を、ネットワーク監視制御装置5を介して受信装置2cに通知する。受信装置2cの制御部40は、設定情報に従ってデータ信号S#1~#4が出力ポートP15~P18から出力されるように光スイッチ44を設定する。
【0171】
つまり、制御部40は、入力ポートP12を出力ポートP18に接続し、入力ポートP14を出力ポートP16に接続する設定を行う。このため、分離器49の出力ポートPfから出力されたデータ信号S#4は、出力ポートP18から受信器41dに入力され、分離器49の出力ポートPhから出力されたデータ信号S#2は、出力ポートP16から受信器41bに入力される。
【0172】
これにより、データ信号S#1~#4のプリコーディング及びデコーディングの組を変更することなく、データ信号S#2,S#4が伝送される伝送路93内の空間が入れ替えられる。したがって、データ信号S#2,S#4の伝送特性が伝送路93内の空間に応じて変化するため、データ信号S#1,S#2のSNRとデータ信号S#3,S#4のSNRの差分を低減することができる。
【0173】
制御部30は、図7または図9に示された処理により伝送路93内の空間をチャネルとしてデータ信号S#1~#4に割り当てる。以下に割り当て処理の例を述べる。
【0174】
図15は、チャネルの割り当て処理の他の例を示す図である。符号Geは、チャネルの割り当て前のチャネル設定テーブル130を示し、符号Gfは、チャネルの割り当て後のチャネル設定テーブル130を示す。
【0175】
チャネル設定テーブル130には、図8のチャネル設定テーブル130の波長に代えて、光スイッチ34の出力ポートP5~P8を示すポートIDが登録されている。チャネル割当部102は、データ信号S#1~#4が、ポートIDに応じた出力ポートP5~P8から出力されるように光スイッチ34の入力ポートP1~P4と出力ポートP5~P8を接続する。なお、本例では、各送信器31a~31dのプリコーディング回数の上限値は1とする。
【0176】
割り当て処理前、データ信号S#1~#4には、初期設定として出力ポートP5~P8がそれぞれ対応するように設定されている。データ信号S#1~#4のSNRは、プリコーディングされていないときの値を示す。データ信号S#1,S#2のSNRはデータ信号S#3,S#4のSNRより高く、データ信号S#1~#4全体でSNRのばらつきが大きい。
【0177】
チャネル割当部102は、SNRが最大(14(dB))である出力ポートP5のチャネル#1(CH-ID#1)、及びSNRが最小(5.4(dB))である出力ポートP8のチャネル#4(CH-ID#4)を選択する。チャネル割当部102は、チャネル#1,#4に対応する出力ポートP5,P8をプリコーディングの組のデータ信号S#1,S#2にそれぞれ割り当てる。
【0178】
これにより、データ信号S#1,S#2には、出力ポートP5,P8の接続先の伝送路93内の空間が割り当てられる。プリコーディング回数は上限値に達したため、チャネル#1,#4はチャネルの候補から除外される。
【0179】
次にチャネル割当部102は、SNRが2番目に大きい(11.2(dB))である出力ポートP7のチャネル#2(CH-ID#2)、及びSNRが2番目に小さい(6.9(dB))である出力ポートP6のチャネル#3(CH-ID#3)を選択する。チャネル割当部102は、チャネル#2,#3に対応する出力ポートP6,P7をプリコーディングの組のデータ信号S#3,#4にそれぞれ割り当てる。
【0180】
これにより、データ信号S#3,S#4には、出力ポートP7,P6の接続先の伝送路93内の空間が割り当てられる。プリコーディング回数は上限値に達したため、チャネル#3,#4はチャネルの候補から除外される。他にチャネルの候補は残っていないため、チャネル割当部102は、割り当て処理を終了する。
【0181】
割り当て処理後、出力ポートP5,P8がそれぞれ割り当てられたプリコーディング済みのデータ信号S#1,S#2のSNRはともに7.4(dB)となり、出力ポートP7,P6がそれぞれ割り当てられたプリコーディング済みのデータ信号S#3,S#4のSNRはともに6.4(dB)となる。このため、割り当て処理前のSNRと比較すると、データ信号S#1~#4全体でSNRのばらつきが低減されている。
【0182】
このように、チャネル割当部102は、データ信号S#1,S#2の伝送品質とデータ信号S#3,S#4の伝送品質の差分が低減されるように、光スイッチ34を制御することにより伝送路93内の空間を、チャネルとしてデータ信号S#1~#4にそれぞれ割り当てる。このため、伝送路93内の空間に依存したデータ信号S#1~#4全体の伝送品質のばらつきが低減される。
【0183】
(波長多重伝送方式及び空間多重伝送方式の伝送システム)
波長多重伝送方式及び空間多重伝送方式(以下、「波長・空間多重伝送方式」と表記)の伝送システムにおいても、チャネルとして波長及び伝送路93内の空間をデータ信号に割り当てることで伝送品質のばらつきを低減することが可能である。
【0184】
図16は、波長・空間多重伝送方式の伝送システムの送信装置1dの一例を示す構成図である。送信装置1dは、伝送装置の他の例であり、送信ユニットUs(#1~#m(m:正の整数))、合波器35、光スイッチ(m×m SW)34a、多重器39a、及び制御部30を有する。
【0185】
各送信ユニットUsはn個の送信器Tx(1-x)~(n-x)(x:1,2,・・・,m)を含む。送信器Tx(1-x)~(n-x)は、波長λ1~λnのデータ信号を送信する。波長λ1~λnのデータ信号は、送信ユニットUsごとに伝送路93内の別々の空間に入力される。
【0186】
送信器Tx(1-x)~(n-x)は、図4に示された送信器31a~31dと同様の構成を有する。ここで、送信器Tx(1-x),Tx(2-x)の組、送信器Tx(3-x),Tx(4-x)の組、・・・、送信器Tx(n―1-x),Tx(n-x)の組は、それぞれ、プリコーディングの組であるデータ信号を送信する。各送信器Tx(1-x)~(n-x)のデータ信号には、送信ユニットUsごとに波長λ1~λnが割り当てられる。各データ信号は合波器35に入力される。
【0187】
合波器35は、例えば波長選択スイッチであり、データ信号を送信ユニットUs単位で波長多重して光スイッチ34aの各入力ポート#1~#mの1つに出力する。例えば合波器35は、送信ユニットUs(#1)の送信器Tx(1-1)~(n-1)のデータ信号を波長多重し、送信ユニットUs(#2)の送信器Tx(1-2)~(n-2)のデータ信号を波長多重し、送信ユニットUs(#m)の送信器Tx(1-m)~(n-m)のデータ信号を波長多重する。合波器35は、各送信ユニットUsの波長多重光信号を、制御部30からの設定に従って出力ポート#1~#mの1つから光スイッチ34aに出力する。
【0188】
光スイッチ34aは、入力ポート#1~#mと出力ポート#1~#mを有する。光スイッチ34aの入力ポート#1~#mには、合波器35の出力ポート#1~#mから波長多重光信号がそれぞれ入力される。
【0189】
また、光スイッチ34aは、制御部30からの設定に従って入力ポート#1~#mと出力ポート#1~#mの間を接続する。各波長多重光信号は、光スイッチ34aの出力ポート#1~#mの1つから多重器39aに入力される。なお、光スイッチ34aはスイッチ部の一例である。
【0190】
多重器39aは、上記の例の多重器39と同様の機能を備える。多重器39aは、伝送路93内の空間に接続された入力ポート#1~#mを有する。多重器39aの入力ポート#1~#mには、光スイッチ34aの出力ポート#1~#mから波長多重光信号がそれぞれ入力される。波長多重光信号は、多重器39aの入力ポート#1~#mに応じた伝送路93内の空間に入力されることにより空間多重される。
【0191】
このようにして、データ信号は波長多重及び空間多重されて伝送路93に入力される。伝送路93には、m組のモード及びコアを備える光ファイバが含まれる。例えば光ファイバが、Ma個のモードとMb個のコアを備える場合、mはMaとMbの積(Ma×Mb)となる。
【0192】
制御部30のチャネル割当部102は、各送信ユニットUsの送信器Tx(1-1)~(n-1)に対して、プリコーディングの組となるデータ信号の間の伝送品質の差分が低減されるように、波長λ1~λn(送信光LOsの中心波長)を設定する。これにより、各送信ユニットUsのデータ信号に波長λ1~λnの1つがそれぞれ割り当てられる。また、チャネル割当部102は、送信ユニットUs(#1~#m)の波長多重光信号が合波器35の出力ポート#1~#mからそれぞれ出力されるように合波器35の出力ポート#1~#mを設定する。
【0193】
また、チャネル割当部102は、光スイッチ34aに対して、各送信ユニットUsのプリコーディングの組となるデータ信号の間で伝送品質の差分が低減されるように、入力ポート#1~#mと出力ポート#1~#mの接続を設定する。これにより、各送信ユニットUsの波長多重光信号に伝送路93内の空間が割り当てられる。
【0194】
制御部30は、送信器Tx(1-1)~(n-1)の波長の設定、合波器35の出力ポート#1~#mの設定、及び光スイッチ34aの入力ポート#1~#m及び出力ポート#1~#mの接続の設定を設定情報として受信装置2dに通知する。
【0195】
図17は、波長・空間多重伝送方式の伝送システムの受信装置2dの一例を示す構成図である。受信装置2dは、受信ユニットUr(#1~#m)、分離器49a、光スイッチ(m×m SW)44a、分波器47、及び制御部40を有する。各送信ユニットUsの波長多重光信号は伝送路93から分離器49aに入力される。
【0196】
分離器49aは、上記の例の分離器49と同様の機能を備える。分離器49aは、伝送路93内の空間に接続された出力ポート#1~#mを有する。分離器49aは、各波長多重光信号を出力ポート#1~#mから光スイッチ44aに出力する。
【0197】
光スイッチ44aは、入力ポート#1~#mと出力ポート#1~#mを有する。光スイッチ44aの入力ポート#1~#mには、分離器49aの出力ポート#1~#mから波長多重光信号がそれぞれ入力される。
【0198】
また、光スイッチ44aは、制御部40からの設定に従って入力ポート#1~#mと出力ポート#1~#mの間を接続する。各波長多重光信号は、光スイッチ44aの出力ポート#1~#mの1つから分波器47に入力される。
【0199】
分波器47は、例えば波長選択スイッチであり、光スイッチ44aの出力ポート#1~#mと接続される入力ポート#1~#mを有する。分波器47は、各波長多重光信号を波長λ1~λnごとのデータ信号に分離して、制御部40からの設定に従って各受信ユニットUrに出力する。
【0200】
各受信ユニットUrは、n個の受信器Rx(1-x)~(n-x)を含む。受信器Rx(1-x)~(n-x)は波長λ1~λnのデータ信号を受信する。
【0201】
受信器Rx(1-x)~(n-x)は、図5に示された受信器41a~41dと同様の構成を有する。ここで、受信器Rx(1-x),Rx(2-x)の組、受信器Rx(3-x),Rx(4-x)の組、・・・、受信器Rx(n―1-x),Rx(n-x)の組は、それぞれ、デコーディングの組であるデータ信号を受信する。各受信器Rx(1-x)~(n-x)のデータ信号には、受信ユニットUrごとに波長λ1~λnが割り当てられる。
【0202】
制御部40は、送信装置1dの制御部30から通知された設定情報に従って、光スイッチ44aの入力ポート#1~#mと出力ポート#1~#mの接続と、分波器47の入力ポート#1~#mの波長λ1~λmと、各受信ユニットUrの受信器Rx(1-x)~(n-x)の波長λ1~λmを設定する。これにより、各受信ユニットUrの受信器Rx(1-x)~(n-x)は、送信装置1dにおけるチャネル割当に従って正常にデータ信号を受信することができる。
【0203】
上記の構成によると、チャネル割当部102は、伝送品質の品質情報に基づいて波長及び伝送路93内の空間をチャネルとしてデータ信号に割り当てることにより、チャネルごとの伝送損失のばらつきを低減することができる。
【0204】
(送信装置1dの第1変形例)
上記の例において、送信装置1dは、1個の光スイッチ34aにより各波長多重光信号の伝送路93内の空間を選択するが、ポート数(m×m)が多い場合、光の挿入損失が大きくなるおそれやサイズが大きくなるおそれがある。そこで、以下の例のように複数個の光スイッチが用いられてもよい。
【0205】
図18は、送信装置1dの第1変形例を示す構成図である。図18において、図16と共通する構成には同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0206】
本例の送信装置1dは、光スイッチ34aに代えて、2個の光スイッチ(m/2×m/2 SW)34b,34cを有する。各光スイッチ34b,34cは、それぞれ、入力ポート#1~#(2/m)と出力ポート#1~#(m/2)を有する。なお、mは2の倍数であると仮定する。
【0207】
光スイッチ34bの入力ポート#1~#(2/m)は、合波器35の出力ポート#1~#(m/2)にそれぞれ接続され、光スイッチ34bの出力ポート#1~#(2/m)は、多重器39aの入力ポート#1~#(m/2)にそれぞれ接続されている。また、光スイッチ34cの入力ポート#1~#(2/m)は、合波器35の出力ポート#(m/2+1)~#mにそれぞれ接続され、光スイッチ34bの出力ポート#1~#(2/m)は、多重器39aの入力ポート#(m/2+1)~#mにそれぞれ接続されている。
【0208】
このため、光スイッチ34b,34cは、上記の例の光スイッチ34aと同様に、制御部30からの設定に従って、各送信ユニットUsの波長多重光信号を多重器39aの入力ポート#1~#mの1つに入力することができる。
【0209】
本構成によると、各光スイッチ34b,34cのポート数が、上記の例の光スイッチ34aより少ないため、各光スイッチ34b,34cの光の挿入損失が大きくなるおそれやサイズが大きくなるおそれが低減される。なお、受信装置2dにおいても、本例の送信装置1dに従って、1個の光スイッチ44aに代えて、ポート数の少ない2個の光スイッチを設けることができる。
【0210】
(送信装置1dの第2変形例)
上記の例において、送信装置1dは、1個の合波器35により送信ユニットUsごとにデータ信号を波長多重して波長多重光信号を生成するが、送信ユニットUsごとの合波器によりデータ信号を波長多重してもよい。また、上記の例では、光スイッチ34a~34cが用いられたが、光スイッチ34aに代えて波長選択スイッチが用いられてもよい。
【0211】
図19は、送信装置1dの第2変形例を示す構成図である。図19において、図16と共通する構成には同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0212】
本例の送信装置1dは、合波器35に代えてm個の合波器37を有し、光スイッチ34aに代えて波長選択スイッチ36を有する。波長選択スイッチ36は入力ポート#1~#mと出力ポート#1~#mを有する。
【0213】
合波器37は、例えば光カプラであり、各送信ユニットUsに対応して設けられている。合波器37は、波長λ1~λnのデータ信号を合波することにより波長多重光信号を生成して波長選択スイッチ36に出力する。このため、m個の合波器37は、上記の例の合波器35と同様の機能を備える。なお、合波器37は波長選択スイッチであってもよい。
【0214】
波長選択スイッチ36は入力ポート#1~#mと出力ポート#1~#mを有する。波長選択スイッチ36の各入力ポート#1~#mは、各送信ユニットUsに対応する合波器37と接続されている。また、波長選択スイッチ36の出力ポート#1~#mは多重器39aの入力ポート#1~#mにそれぞれ接続されている。このため、波長選択スイッチ36は、上記の例の光スイッチ34a及び2個の光スイッチ34b,34cと同様の機能を備える。
【0215】
本例の構成によると、送信装置1dから光スイッチ34a~34cを省くとともに、合波器35よりポート数の少ない合波器37を用いることができる。なお、受信装置2dにおいても、本例の送信装置1dに従って、光スイッチ44aに代えて波長選択スイッチを設け、分波器47に代えて受信ユニットUrごとの分波器を設けることができる。
【0216】
(ネットワーク監視制御装置5によるチャネル割り当て)
これまでの例では、送信装置1,1a~1dの制御部30がデータ信号S#1~#nにチャネルを割り当てるが、制御部30に代えてネットワーク監視制御装置5がチャネルを割り当ててもよい。この場合、制御部30は、ネットワーク監視制御装置5の指示に従って送信光LOsの中心波長の設定などを行う。また、受信装置2dの制御部40も、ネットワーク監視制御装置5の指示に従って局発光LOrの中心波長の設定などを行う。
【0217】
図20は、ネットワーク監視制御装置5の一例を示す構成図である。ネットワーク監視制御装置5は、CPU50、ROM51、RAM52、HDD(Hard Disk Drive)53、及び通信ポート54を有する。CPU50は、互いに信号の入出力ができるように、ROM51、RAM52、HDD53、及び通信ポート54と、バス59を介して接続されている。なお、ネットワーク監視制御装置5は、HDD53に代えて、メモリなどの他の記憶装置を有してもよい。
【0218】
ROM51は、CPU50を駆動するプログラムが格納されている。RAM52は、CPU50のワーキングメモリとして機能する。通信ポート54は、例えばLANポートであり、各制御部30,40とCPU50の間の通信を処理する。
【0219】
CPU50は、ROM51からプログラムを読み込むと、機能として、品質情報取得部501及びチャネル割当部502が形成される。また、ストレージメモリ13には、チャネル設定テーブル(TBL)530が格納されている。
【0220】
品質情報取得部501は、取得部の一例であり、チャネル割当部502からの指示に従って各データ信号S#1~#nのSNRを通信ポート14を介して受信装置2,2a~2dから取得する。チャネル割当部502は、割当部の一例であり、データ信号S#1~#nを含むプリコーディングの各組の伝送品質の差分が低減されるように、SNRまたはマージンなどの品質情報に基づいてデータ信号S#1~#nに、波長λ1~λn及び伝送路93内の空間の少なくとも一方をチャネルとして割り当てる。
【0221】
ネットワーク監視制御装置5が実行するチャネルの割り当て処理は、上述した図7または図9に示される内容と同様である。なお、図7及び図9に示される処理は、実施例の伝送方法の一例である。
【0222】
上述したように、チャネル割当部102,502は、データ信号S#1~#nを含むプリコーディングの各組の伝送品質の差分が低減されるように、伝送品質の指標値に基づいてデータ信号S#1~#4にチャネルをそれぞれ割り当てる。このため、多重伝送される各データ信号S#1~#nの伝送品質の伝送品質のばらつきが低減される。このとき、プリコーディングの組となるデータ信号S#1~#n自体は変更されないため、例えばDSPなどのハードウェアの規模の増加や構成の複雑化のおそれが低減される。
【0223】
なお、上記の例では、波長及び伝送路93内の空間の少なくとも一方をチャネルとしてデータ信号S#1~#4に割り当てる場合を挙げたが、これに限定されず、チャネルとして例えばデータ信号S#1~#4の偏波、I成分、及びQ成分などが挙げられる。また、上記の例では、プリコーディングの組は2つのデータ信号S#1~#nから構成されたが、これに限定されず、3以上のデータ信号S#1~#nから構成されてもよい。
【0224】
上述した実施形態は本発明の好適な実施の例である。但し、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能である。
【0225】
なお、以上の説明に関して更に以下の付記を開示する。
(付記1) チャネルがそれぞれ割り当てられた複数の光信号を多重して伝送する伝送装置において、
前記複数の光信号のうち、第1の組合せに含まれる各光信号の伝送品質を平均化する第1信号処理部と、
前記複数の光信号のうち、第2の組合せに含まれる各光信号の伝送品質を平均化する第2信号処理部と、
前記複数の光信号の各々の伝送品質を示す指標値を取得する取得部と、
前記第1の組合せに含まれる各光信号の伝送品質と第2の組合せに含まれる各光信号の伝送品質の差分が低減されるように、前記指標値に基づいて前記複数の光信号に前記チャネルをそれぞれ割り当てる割当部とを有することを特徴とする伝送装置。
(付記2) 前記割当部は、前記差分が低減されるように、前記指標値に基づいて波長を、前記チャネルとして前記複数の光信号にそれぞれ割り当てることを特徴とする付記1に記載の伝送装置。
(付記3) 前記複数の光信号がそれぞれ伝送される伝送路中の空間を切り替えるスイッチ部を有し、
前記割当部は、前記差分が低減されるように、前記指標値に基づいて前記スイッチ部を制御することにより前記伝送路中の空間を、前記チャネルとして前記複数の光信号にそれぞれ割り当てることを特徴とする付記1または2に記載の伝送装置。
(付記4) 前記取得部は、前記複数の光信号をそれぞれ受信する受信装置から前記指標値を取得することを特徴とする付記1乃至3の何れかに記載の伝送装置。
(付記5) 前記第1信号処理部は、前記第1の組合せに含まれる各光信号をユニタリ変換することにより伝送品質を平均化し、
前記第2信号処理部は、前記第2の組合せに含まれる各光信号をユニタリ変換することにより伝送品質を平均化することを特徴とする付記1乃至4の何れかに記載の伝送装置。
(付記6) 前記割当部は、
前記第1信号処理部及び前記第2信号処理部により伝送品質が平均化されていないときの前記指標値に基づいて前記複数の光信号に割り当てる前記チャネルを選択し、
前記第1信号処理部及び前記第2信号処理部により伝送品質が平均化されたときの前記指標値に基づいて前記複数の光信号に割り当てる前記チャネルを確定させることを特徴とする付記1乃至5の何れかに記載の伝送装置。
(付記7) 前記割当部は、前記第1信号処理部及び前記第2信号処理部により伝送品質が平均化されたときの前記複数の光信号の何れかの前記指標値が所定の基準を満たさない場合、前記第1信号処理部または前記第2信号処理部が当該光信号の伝送品質を平均化する処理の回数を増加させることを特徴とする付記6に記載の伝送装置。
(付記8) 前記割当部は、前記第1信号処理部及び前記第2信号処理部により伝送品質が平均化されたときの前記光信号の前記指標値が所定の基準を満たさない場合、前記光信号の伝送品質を平均化する処理の回数が上限に達したとき、前記光信号に割り当てる前記チャネルの選択を変更することを特徴とする付記7に記載の伝送装置。
(付記9) チャネルがそれぞれ割り当てられた複数の光信号を多重して伝送する伝送装置を制御する制御装置において、
前記伝送装置は、前記複数の光信号のうち、第1の組合せに含まれる各光信号の伝送品質を平均化し、前記複数の光信号のうち、第2の組合せに含まれる各光信号の伝送品質を平均化し、
前記複数の光信号の各々の伝送品質を示す指標値を取得する取得部と、
前記第1の組合せに含まれる各光信号の伝送品質と第2の組合せに含まれる各光信号の伝送品質の差分が低減されるように、前記指標値に基づいて前記複数の光信号に前記チャネルをそれぞれ割り当てる割当部とを有することを特徴とする制御装置。
(付記10) 前記割当部は、前記差分が低減されるように、前記指標値に基づいて波長を、前記チャネルとして前記複数の光信号にそれぞれ割り当てることを特徴とする付記9に記載の制御装置。
(付記11) 前記伝送装置は、前記複数の光信号がそれぞれ伝送される伝送路中の空間を切り替えるスイッチ部を有し、
前記割当部は、前記差分が低減されるように、前記指標値に基づいて前記スイッチ部を制御することにより前記伝送路中の空間を、前記チャネルとして前記複数の光信号にそれぞれ割り当てることを特徴とする付記9または10に記載の制御装置。
(付記12) 前記取得部は、前記複数の光信号をそれぞれ受信する受信装置から前記指標値を取得することを特徴とする付記9乃至11の何れかに記載の制御装置。
(付記13) 前記割当部は、
伝送品質が平均化されていないときの前記指標値に基づいて前記複数の光信号に割り当てる前記チャネルを選択し、
伝送品質が平均化されたときの前記指標値に基づいて前記複数の光信号に割り当てる前記チャネルを確定させることを特徴とする付記9乃至12の何れかに記載の制御装置。
(付記14) 前記割当部は、伝送品質が平均化されたときの前記複数の光信号の何れかの前記指標値が所定の基準を満たさない場合、当該光信号の伝送品質を平均化する処理の回数を増加させることを特徴とする付記13に記載の制御装置。
(付記15) 前記割当部は、伝送品質が平均化されたときの前記光信号の前記指標値が所定の基準を満たさない場合、前記光信号の伝送品質を平均化する処理の回数が上限に達したとき、前記光信号に割り当てる前記チャネルの選択を変更することを特徴とする付記14に記載の制御装置。
(付記16) チャネルがそれぞれ割り当てられた複数の光信号を多重して伝送する伝送方法において、
前記複数の光信号のうち、第1の組合せに含まれる各光信号の伝送品質を平均化し、
前記複数の光信号のうち、第2の組合せに含まれる各光信号の伝送品質を平均化し、
前記複数の光信号の各々の伝送品質を示す指標値を取得し、
前記第1の組合せに含まれる各光信号の伝送品質と第2の組合せに含まれる各光信号の伝送品質の差分が低減されるように、前記指標値に基づいて前記複数の光信号に前記チャネルをそれぞれ割り当てることを特徴とする伝送方法。
(付記17) 前記差分が低減されるように、前記指標値に基づいて波長を、前記チャネルとして前記複数の光信号にそれぞれ割り当てることを特徴とする付記16に記載の伝送方法。
(付記18) 前記複数の光信号がそれぞれ伝送される伝送路中の空間をスイッチ部により切り替え、
前記差分が低減されるように、前記指標値に基づいて前記スイッチ部を制御することにより前記伝送路中の空間を、前記チャネルとして前記複数の光信号にそれぞれ割り当てることを特徴とする付記16または17に記載の伝送方法。
(付記19) 前記複数の光信号をそれぞれ受信する受信装置から前記指標値を取得することを特徴とする付記16乃至18の何れかに記載の伝送方法。
(付記20) 伝送品質が平均化されていないときの前記指標値に基づいて前記複数の光信号に割り当てる前記チャネルを選択し、
伝送品質が平均化されたときの前記指標値に基づいて前記複数の光信号に割り当てる前記チャネルを確定させることを特徴とする付記16乃至19の何れかに記載の伝送方法。
【符号の説明】
【0226】
1,1a~1d 送信装置
2,2a~2d 受信装置
5 ネットワーク監視制御装置
30,40 制御部
31a~31f,Tx 送信器
41a~41f,Rx 受信器
34,34a~34c,44,44a~44c 光スイッチ
101,501 品質情報取得部
102,502 チャネル割当部
704 デコーディング部
802 プリコーディング部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20