(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-11
(45)【発行日】2023-05-19
(54)【発明の名称】クラッチ装置、及びキャビネット
(51)【国際特許分類】
E05B 65/468 20170101AFI20230512BHJP
E05C 9/08 20060101ALI20230512BHJP
A47B 88/90 20170101ALI20230512BHJP
F16D 11/00 20060101ALI20230512BHJP
F16D 43/26 20060101ALI20230512BHJP
E05B 49/00 20060101ALN20230512BHJP
【FI】
E05B65/468
E05C9/08
A47B88/90
F16D11/00 Z
F16D43/26 C
E05B49/00 B
E05B49/00 J
E05B49/00 S
(21)【出願番号】P 2019055647
(22)【出願日】2019-03-22
【審査請求日】2022-02-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000139780
【氏名又は名称】株式会社イトーキ
(74)【代理人】
【識別番号】100074561
【氏名又は名称】柳野 隆生
(74)【代理人】
【識別番号】100177264
【氏名又は名称】柳野 嘉秀
(74)【代理人】
【識別番号】100124925
【氏名又は名称】森岡 則夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141874
【氏名又は名称】関口 久由
(74)【代理人】
【識別番号】100163577
【氏名又は名称】中川 正人
(72)【発明者】
【氏名】横田 一寿
【審査官】素川 慎司
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-155084(JP,A)
【文献】特開2018-109288(JP,A)
【文献】特開2009-052298(JP,A)
【文献】実開平06-078554(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 1/00 - 85/28
F16D 11/00 - 23/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
棒状の軸部材を含む家具に用いる、第1クラッチ体、第2クラッチ体、及び付勢ばねからなるクラッチ装置であって、
前記第1クラッチ体は前記軸部材に遊嵌し、
前記第2クラッチ体は、前記軸部材に対して相対回動不能かつスライド可能に、前記軸部材を軸支する軸支部を有し、
前記第1クラッチ体の傾斜面と前記第2クラッチ体の傾斜面とが当接した状態で、前記傾斜面同士を圧接するように前記付勢ばねで弾性付勢し、
前記第2クラッチ体は、前記傾斜面を有する部分と前記軸支部とを、軸方向にずらして配設し
、
前記家具は施錠装置を備え、
前記施錠装置の施錠状態では、規制部材で前記軸部材の回動を阻止し、
前記家具は操作部を備え、
前記第1クラッチ体は前記操作部の操作により回動し、
前記施錠装置の解錠状態では、
前記操作部の操作力が前記第1クラッチ体から前記第2クラッチ体を介して前記軸部材を回動させ、
前記施錠装置の施錠状態では、
前記操作部の操作力によって、回動する前記第1クラッチ体の傾斜面で前記第2クラッチ体の傾斜面が押圧され、前記第2クラッチ体が前記付勢ばねの付勢力に抗して前記軸部材に沿ってスライドする、
クラッチ装置。
【請求項2】
前記第2クラッチ体の前記軸部材が挿通される孔部は、前記軸支部の第1孔部と、前記傾斜面を有する部分の第2孔部とからなり、
前記第1孔部の隙間は、前記軸部材により操作される部材に適切な作動範囲を確保できる所要の隙間を有し、
前記第2孔部の隙間は、前記第1孔部の隙間よりも大きく設定した、
請求項
1に記載のクラッチ装置。
【請求項3】
前記軸部材により操作される部材は、ラッチ装置のラッチ爪である、
請求項
2に記載のクラッチ装置。
【請求項4】
請求項1~
3の何れか1項に記載のクラッチ装置を備えたキャビネット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャビネットの施錠状態で、引出し又は扉の操作部を誤って操作して無理な操作力が作用した際に、機構部品の破損を防止するクラッチ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
キャビネット(例えば、特許文献1及び2参照)等の家具の施錠状態で、扉又は引出しの引手を誤って操作し、その際に無理な操作力が作用しても、ラッチ機構等の機構部品を破損する恐れをなくすように設けるクラッチ装置がある(例えば、特許文献1、並びに、特願2017-253905号(以下において「先願1」という)、及び特願2018-192315号(以下において「先願2」という)参照)。
【0003】
このようなクラッチ装置として、例えば先願1のクラッチ装置C1,C2,C3は、特許文献1の上保持管6に相当する第1クラッチ体31、特許文献1の下保持管8に相当する第2クラッチ体32、及び特許文献1の復帰バネ10’に相当する圧縮コイルばね33からなる。先願1の操作杆Q1~Q3は、特許文献1の作動杆7に相当する。
第1クラッチ体31は、引手P1~P3と一体成形され、左右方向の丸孔35を有し、第2クラッチ体32は、角軸である操作杆Q1~Q3が嵌入される、左右方向の角孔を有する。
第1クラッチ体31の傾斜面31Aと第2クラッチ体32の傾斜面32Aは当接しており、傾斜面31A及び32A同士を圧接するように、圧縮コイルばね33の復元力を付与する。
【0004】
施錠状態Lでは、角軸である操作杆Q1~Q3、及び操作杆Q1~Q3が嵌入している第2クラッチ体32も回動できない。
この状態で、引手P1~P3を引く力が大きくクラッチ装置C1~C3の第1クラッチ体31に負荷されるトルクが大きい場合、回動する第1クラッチ体31の傾斜面31Aで第2クラッチ体32の傾斜面32Aが押圧され、第2クラッチ体32が圧縮コイルばね33の付勢力に抗して角軸である操作杆Q1~Q3に沿ってスライドする。よって、第1クラッチ体31及び第1クラッチ体31と一体の引手P1~P3は空転し、クラッチ装置C1~C3により回転力の伝達を遮断できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】実用新案登録第2604608号公報
【文献】実公平6-3922号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
先願1及び先願2では、引出しを引き出せないようにロックするための、施錠装置で動作する規制部材であるロック片(先願1の規制部材6A、先願2のロック片4)を、引出しの左右方向の端部に配置している。それにより、施錠装置のアクチュエータからロック片までの構成をシンプルにして製造コストを低減するとともに、引出しを一括して施解錠するオールロック装置の信頼性を向上している。
【0007】
しかしながら、本願の発明者が評価検討を鋭意行った結果、キャビネットの施錠状態で角軸である操作杆の端部をロックするロック片の位置と、前記操作杆の中央部に配置するクラッチ装置の位置とが離れていることから、角軸である操作杆にねじれが生じ、それによりクラッチ装置の動作の信頼性が低下する場合があることが分かった。
【0008】
そこで、本発明は、前記クラッチ装置の動作の信頼性を向上できる、規制部材とクラッチ装置の配置に自由度を持たせることが可能な汎用性の高いクラッチ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の要旨は以下の通りである。
〔1〕棒状の軸部材を含む家具に用いる、第1クラッチ体、第2クラッチ体、及び付勢ばねからなるクラッチ装置であって、
前記第1クラッチ体は前記軸部材に遊嵌し、
前記第2クラッチ体は、前記軸部材に対して相対回動不能かつスライド可能に、前記軸部材を軸支する軸支部を有し、
前記第1クラッチ体の傾斜面と前記第2クラッチ体の傾斜面とが当接した状態で、前記傾斜面同士を圧接するように前記付勢ばねで弾性付勢し、
前記第2クラッチ体は、前記傾斜面を有する部分と前記軸支部とを、軸方向にずらして配設し、
前記家具は施錠装置を備え、
前記施錠装置の施錠状態では、規制部材で前記軸部材の回動を阻止し、
前記家具は操作部を備え、
前記第1クラッチ体は前記操作部の操作により回動し、
前記施錠装置の解錠状態では、
前記操作部の操作力が前記第1クラッチ体から前記第2クラッチ体を介して前記軸部材を回動させ、
前記施錠装置の施錠状態では、
前記操作部の操作力によって、回動する前記第1クラッチ体の傾斜面で前記第2クラッチ体の傾斜面が押圧され、前記第2クラッチ体が前記付勢ばねの付勢力に抗して前記軸部材に沿ってスライドする、
クラッチ装置。
【0012】
〔2〕前記第2クラッチ体の前記軸部材が挿通される孔部は、前記軸支部の第1孔部と、前記傾斜面を有する部分の第2孔部とからなり、
前記第1孔部の隙間は、前記軸部材により操作される部材に適切な作動範囲を確保できる所要の隙間を有し、
前記第2孔部の隙間は、前記第1孔部の隙間よりも大きく設定した、
前記〔1〕に記載のクラッチ装置。
【0013】
〔3〕前記軸部材により操作される部材は、ラッチ装置のラッチ爪である、
前記〔2〕に記載のクラッチ装置。
【0014】
〔4〕前記〔1〕~前記〔3〕の何れかに記載のクラッチ装置を備えたキャビネット。
【0015】
以上のような構成からなる本発明に係るクラッチ装置によれば、第1クラッチ体は軸部材に遊嵌し、第2クラッチ体は、傾斜面を有する部分と軸支部とを、軸方向にずらして配設しているので、第1クラッチ体に無理な力が作用した際に、棒状の軸部材にねじれが生じても、前記軸部材に対して相対回動不能な第2クラッチ体の軸支部は、前記軸部材に対してスライドできる。
例えば前記クラッチ装置を施錠装置を有するキャビネットに用いた場合、施錠装置の施錠状態において、引出し又は扉の操作部を誤って操作して無理な操作力が作用した際に、例えば角軸である軸部材(操作杆)にねじれが生じても、ねじれた前記軸部材が第2クラッチ体の内面に接触しないか、あるいは接触しても第2クラッチ体のスライド動作に影響を及ぼさない。
それにより、施錠状態で規制部材(ロック片)により軸部材の回動を阻止する位置(軸部材の端部)と、クラッチ作動部(軸部材の中央部)とが離れた位置にある構成において、施錠状態で前記操作部を誤って操作して過度な負荷が掛かっても、前記操作部を確実に空転させることができる。それにより、ラッチ装置等の機構部品を破損する恐れをなくすクラッチ装置の動作の信頼性を向上できる。
このような効果を有する本願発明により、規制部材とクラッチ装置の配置に自由度を持たせることが可能な汎用性の高いクラッチ装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施の形態に係るクラッチ装置を有するキャビネットを右上前方から見た斜視図であり、引出しを閉止した錠の施錠状態を示している。当該キャビネットはキャビネットにおける引出しのオールロック装置を備えている。
【
図2】前記施錠状態における右側のラッチ装置まわりの要部拡大横断平面図である。
【
図3】前記施錠状態におけるキャビネットにおける引出しのオールロック装置を取り出して示す右上前方から見た斜視図である。
【
図4】操作杆回動阻止連動機構を取り出して示す左方から見た図であり、前記施錠状態を示している。
【
図5】前記施錠状態における操作杆回動阻止機構及び操作杆回動阻止連動機構を示す右上後方から見た要部拡大斜視図であり、キャビネット本体の側板を取り外した状態を示している。
【
図6】同じく要部拡大右側面図であり、キャビネット本体の側板を取り外した状態を示している。
【
図7】操作杆回動阻止機構及び操作杆回動阻止連動機構を取り出して示す左上後方から見た斜視図である。
【
図9】
図7においてロック片を後退させた解錠状態を示す左上後方から見た斜視図である。
【
図10】本発明の実施の形態に係るクラッチ装置を有するキャビネットを右上前方から見た斜視図であり、引出しを閉止した錠の解錠状態で上段の引出しの引手を引いた状態を示している。
【
図11】同状態におけるキャビネットにおける引出しのオールロック装置を取り出して示す右上前方から見た斜視図である。
【
図12】操作杆回動阻止連動機構を取り出して示す左方から見た図であり、引出しを閉止した錠の解錠状態で上段の引出しの引手を引いた状態を示している。
【
図13】本発明の実施の形態に係るクラッチ装置を有するキャビネットを右上前方から見た斜視図であり、引出しを閉止した錠の解錠状態で中段の引出しの引手を引いた状態を示している。
【
図14】同状態におけるキャビネットにおける引出しのオールロック装置を取り出して示す右上前方から見た斜視図である。
【
図15】操作杆回動阻止連動機構を取り出して示す左方から見た図であり、引出しを閉止した錠の解錠状態で中段の引出しの引手を引いた状態を示している。
【
図16】本発明の実施の形態に係るクラッチ装置を示す要部拡大斜視図である。
【
図18】(a)は第2クラッチ体の斜視図、(b)は第2クラッチ体の正面図である。
【
図19】(a)第2クラッチ体の左側面図、(b)は第2クラッチ体の右側面図、(c)は第2クラッチ体の(b)における矢視Y-Y断面図である。
【
図20】施錠状態において、引出しの引手を引いて過度な負荷が掛かった際に、クラッチ装置が作動して引手が空転している状態を示す要部拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、添付図面に示した実施形態に基づき、本発明を更に詳細に説明する。
本明細書においては、キャビネットの引出しを引出す方向を前、引出しをキャビネット本体に収容するように押し込む方向を後とし、後方へ向かった状態で左右を定義し、前方から見た図を正面図とする。
【0018】
本発明の実施の形態に係るクラッチ装置を有するキャビネットは、引出しの一つの鏡板に、錠装置の一例である電池式の電子錠を備える。よって、前記鏡板内に電池を内蔵している。電池式の電子錠は、認証部、アクチュエータ、及び電池を備える。
前記電子錠のアクチュエータは、引出しの左右方向において、キャビネット本体の側板の内側に位置する、後述する連動作動体に近づけた位置に設ける。
【0019】
電子錠の「電池」は、例えばマンガン乾電池やアルカリ乾電池等のような再充電できない一次電池であってもよいし、例えば鉛蓄電池やリチウムイオン電池のような再充電できる二次電池であってもよい。
以下の実施の形態に示す電池式の電子錠は、引手に隣接して認証部を備えたものである。認証部は、暗証番号をテンキー若しくはタッチパネルで入力する方式だけでなく、指紋認証方式、又は、磁気カード、LSIカード若しくはスマートフォン等から電磁的に入力する方式等であってもよい。
【0020】
<キャビネット>
図1の右上前方から見た斜視図に示すキャビネット1は、左右の側板S,S、天板T及び背板Rを含むキャビネット本体Oと、キャビネット本体O内に収容される上下3段の引出しH1~H3を有する。
また、キャビネット1は、引出しH1~H3の飛出しを防止するラッチ装置L1~L3、及びオールロック装置Aを備える。
引出しH1~H3は、鏡板I,…に操作部である引手P1~P3を備え、上段の引出しH1は、引手P1に隣接した認証部Nを有する、電池式の電子錠Bを備える。
電子錠Bのアクチュエータを含む機械構造部分は、キャビネット本体Oの右側の側板Sの内側に位置する連動作動体F側に、すなわち引出しH1の右端部に位置する。
【0021】
<ラッチ装置>
(係合状態)
図1の右上前方から見た斜視図、
図2の要部拡大横断平面図、及び
図3の右上前方から見た斜視図に示すように、引出しH1~H3を閉止した状態では、ラッチ装置L1~L3の引出し側のラッチ爪3A~3Cが、ラッチ装置L1~L3のキャビネット本体O側の係合部16A~16Cと係合した係合状態Cになる。それにより、引出しH1~H3の飛出しが防止される。
ラッチ爪3A~3Cは、
図4の左方から見た図、及び
図7の左上後方から見た斜視図に示す、上端部に左右方向内方へ屈曲する屈曲片14を有する上下方向の回動軸13まわりに回動し、弾性片15により係合部16A~16Cに向かう方向(左右方向外方)へ付勢される。
【0022】
(係合解除状態)
電子錠Bの解錠状態で引出しH1~H3の何れかの引手P1~P3を引くと、引手P1~P3に連結された作動体であり、左右方向軸まわりに回動可能に支持された、棒状の軸部材である操作杆2A~2Cが回動する。
【0023】
すなわち電子錠Bの解錠状態で上段引出しH1の引手P1を引くと、作動体である操作杆2Aが回動し、左方から見た図である
図4のように操作杆2Aの左右両端部に取り付けられて後方へ突出する操作片17Aが、左方から見た図である
図12のように下方へ回動する。それにより、屈曲片14が操作されて回動軸13が回動する。よって、上段引出しH1の左右のラッチ装置L1,L1において、左右のラッチ爪3A,3Aが左右方向内方へ回動し、ラッチ爪3A,3Aの係合部16A,16Aとの係合状態Cが解除された係合解除状態D(
図10及び
図11)になるので、上段引出しH1を引き出すことができる。
【0024】
また、電子錠Bの解錠状態で中段引出しH2の引手P2を引くと、作動体である操作杆2Bが回動し、左方から見た図である
図4のように操作杆2Bの左右両端部に取り付けられて後方へ突出する操作片17Bが、左方から見た図である
図15のように下方へ回動する。それにより、屈曲片14が操作されて回動軸13が回動する。よって、中段引出しH2の左右のラッチ装置L2,L2において、左右のラッチ爪3B,3Bが左右方向内方へ回動し、ラッチ爪3B,3Bの係合部16B,16Bとの係合状態Cが解除された係合解除状態D(
図13及び
図14)になるので、中段引出しH2を引き出すことができる。
【0025】
同様に、電子錠Bの解錠状態で下段引出しH3の引手P3を引くと、作動体である操作杆2C及び操作片17Cが回動するので、屈曲片14が操作されて回動軸13が回動する。よって、下段引出しH3の左右のラッチ装置L3,L3において、左右のラッチ爪3C,3Cの係合部16C,16Cとの係合状態Cが解除された係合解除状態Dになるので、下段引出しH3を引き出すことができる。
【0026】
<オールロック装置>
図1及び
図3の右上前方から見た斜視図に示すオールロック装置Aは、電子錠Bの施錠時Lにおいて、電子錠Bを設けた引出しH1の操作杆2Aの回動を阻止する操操作杆回動阻止機構Eと、引出しH1以外の引出しH2,H3の操作杆2B,2Cの回動を阻止するように操作杆回動阻止機構Eと連動する操作杆回動阻止連動機構Gとを備える。
【0027】
(作動体、及び連動作動体)
オールロック装置Aは、引出しH1~H3の夫々に設けられ、かつ、引出しH1~H3の操作部の操作により作動する作動体と、キャビネット本体O側に設けられ、かつ、前記作動体の作動に連動して作動する連動作動体Fと、を備える。
ここで、前記作動体は、操作杆2A~2C、及び操作杆2A~2Cの右端部から後方へ突出する回動部材11A~11Cであり、前記連動作動体Fについては後述する。
【0028】
(操作杆回動阻止機構)
図5の右上後方から見た要部拡大斜視図、
図6の要部拡大右側面図、並びに
図7の左上後方から見た斜視図、及び
図8の部分分解斜視図に示すように、操作杆回動阻止機構Eは、電子錠Bから右方へ突出し、操作杆2Aの右端部から後方へ突出する回動部材11Aの下側に進出しているロック片4である。規制部材であるロック片4により、作動体である回動部材11Aが下方へ回動できないので、作動体である操作杆2Aの回動が阻止される。
【0029】
電子錠BのアクチュエータMは、認証部Nの認証が成功した解錠時UL(
図10及び
図13)に作動する。
アクチュエータMは、
図7の左上後方から見た斜視図の状態から、
図9の左上後方から見た斜視図の状態までロック片4を後退させる。このように、アクチュエータが作動している所定時間内は、ロック片4が後退していることから、作動体である回動部材11Aが下方へ回動できるので、作動体である操作杆2Aも回動できる。
前記所定時間外であるアクチュエータMの非作動状態では、ばねによりロック片4が進出し、施錠状態Lになる。
【0030】
このように、電子錠Bは、施錠状態Lでは、ばねの復元力によりロック片4が進出した状態を保持し、アクチュエータMは非作動状態である。そして、認証部Nの認証が成功した解錠時ULにおける所定時間(例えば10秒程度)のみ、アクチュエータMが作動状態になってロック片4が後退するので、省電力に寄与する。
【0031】
(操作杆回動阻止連動機構)
操作杆回動阻止連動機構Gは、キャビネット本体O側の連動作動体Fと、引出しH1~H3側の作動体である回動部材11A~11Cとからなる。
【0032】
(連動作動体)
図1及び
図3の右上前方から見た斜視図、並びに
図4の左方から見た図に示すように、連動作動体Fは、キャビネット本体Oの側板Sにより支持した、引出しH1~H3に対応する回動体8A~8C、及び昇降体5からなる。
回動体8A~8Cは、
図5~
図8に示す回動支持体18を介して、左右方向の回動支軸X1~X3により中間部を軸支されており、回動部材11A~11Cの回動に連動して上下方向に回動する。
昇降体5は、上下方向にスライド可能に支持されており、回動体8A~8Cの回動に連動して昇降する。
【0033】
連動作動体Fを構成する回動体8A~8Cの前端部の操作端9A~9Cは、作動体操作杆2A~2Cの右端の回動部材11A~11Cの下側に位置し、回動体8A~8Cの後端部の連結端10A~10Cは、昇降体5の上下の連結体6A~6Cから内方(左方)へ突出する突片7A~7Cに係合する。
【0034】
(操作杆回動阻止連動機構の動作)
図5の右上後方から見た要部拡大斜視図、
図6の要部拡大右側面図、及び
図7の左上後方から見た斜視図に示すように、ロック片4が回動体8Aの操作端9Aの下側に進出している状態では、
図4の左方から見た図に示す操作端9Aは下方へ移動できない。それにより回動体8Aが回動できないので、回動体8Aの連結端10Aに係合する昇降体5が上昇できない。
よって、昇降体5に連結端10B,10Cが係合している回動体8B,8Cも回動できないことから、回動部材11B,11Cが下方へ回動できないので、操作杆2B,2Cも回動できない。
【0035】
以上のとおり、操作杆回動阻止機構Eを構成するロック片4が回動体8Aの操作端9Aの下側に進出している電子錠Bの施錠時Lでは、操作杆回動阻止連動機構Gを構成する、引出しH1~H3側の回動部材11A~11C、及びキャビネット本体O側の連動作動体Fにより、操作杆2A~2Cの回動が阻止される。
よって、引出しH1~H3の引手P1~P3を引いても操作杆2A~2Cが回動しないことから、ラッチ装置L1~L3の係合状態Cを解除できないので、全段の引出しL1~L3を一括してロックしたオールロック状態となる。
すなわち、錠装置により連動作動体Fの作動が規制されるので、前記オールロック状態になる。
【0036】
操作杆回動阻止連動機構Gを構成する連動作動体Fは、キャビネット本体Oの側板Sにより支持した、前記のように作動する回動体8A~8C及び昇降体5からなるので、連動作動体Fの構成が簡単になる。
その上、電子錠Bのロック片4の進出により回動体8Aの回動を規制することにより前記オールロック状態にするので、電子錠Bの省電力化を図ることができ、特に電子錠Bが電池式でアクチュエータMの作動力が弱い場合であっても、安定かつ確実な動作が可能になる。
【0037】
<解錠時の動作>
図9の左上後方から見た斜視図に示す電子錠Bの認証が成功した解錠時ULには、アクチュエータMが作動し、操作杆回動阻止機構Eを構成するロック片4が後退する。
それにより、錠装置により連動作動体Fの作動を規制しないので、前記オールロック状態が解除される。
【0038】
(上段引出しを引き出す動作)
前記オールロック状態が解除された解錠時ULに、
図10及び
図11の右上前方から見た斜視図のように上段引出しH1の引手P1を引くと、
図12の左方から見た図のように操作杆2Aが回動し、前記<ラッチ装置>の説明のように、上段引出しH1の左右のラッチ装置L1,L1が係合解除状態Dになるので、
図10の位置からから上段引出しH1を引き出すことができる。
【0039】
(中段引出しを引き出す動作)
前記オールロック状態が解除された解錠時ULに、
図13及び
図14の右上前方から見た斜視図のように、中段引出しH2の引手P2を引くと、
図15の左方から見た図のように操作杆2Bが回動し、前記<ラッチ装置>の説明のように、中段引出しH2の左右のラッチ装置L2,L2が係合解除状態Dになるので、
図13の位置からから中段引出しH2を引き出すことができる。
【0040】
(下段引出しを引き出す動作)
前記オールロック状態が解除された解錠時ULに、中段引出しH2を引き出す動作と同様に、下段引出H3の引手P3を引くと、前記<ラッチ装置>の説明のように、下段引出しH3の左右のラッチ装置L3,L3が係合解除状態Dになるので、下段引出しH3を引き出すことができる。
【0041】
<クラッチ装置>
図1及び
図3の右上前方から見た斜視図に示すように、キャビネット1は、引出しH1~H3に、本発明の実施の形態に係るクラッチ装置J1~J3を備える。
それにより、電子錠Bの施錠時Lにおけるオールロック状態において、引出しH1~H3の引手P1~P3を引いて過度な負荷が掛かっても、引手P1~P3が空転する。
よって、引手P1~P3を操作して操作杆2A~2Cから操作杆回動阻止連動機構Gに過度な力が作用することがないことから、操作杆回動阻止連動機構Gの破損を防止できるので、オールロック装置Aの信頼性が向上する。
【0042】
クラッチ装置J1~J3は、同じ構造であるので、上段引出しH1のクラッチ装置J1を代表させ、クラッチ装置J1の構造について説明する。
図16の要部拡大斜視図、及び
図17の分解斜視図に示すように、第1クラッチ体21、第2クラッチ体22、及び付勢ばねである圧縮コイルばね23が、クラッチ装置J1を構成する。
【0043】
本実施の形態では、第1クラッチ体21を引手P1と一体に成形して引手体Vとしているが、第1クラッチ体21を引手P1と別体のものとして、それらを連結してもよい。あるいは、引手P1の回動軸と第1クラッチ体21の回動軸とを別にして、引手P1の回動に連動して第1クラッチ体21が回動するように構成してもよい。
引手体Vは、
図16に二点鎖線で示す鏡板Iのブラケット19,20により支持される。
引出しH1の引手P1を引いた後(例えば
図10の引手P1参照)、引手P1を離すと、ねじりコイルばね12の復元力により元の状態(例えば
図1の引手P1参照)に復帰する。
【0044】
図17の分解斜視図の状態から
図16の要部拡大斜視図のようにクラッチ装置J1を組み付けた状態では、第1クラッチ体21の傾斜面21Aと第2クラッチ体22の傾斜面22Aが当接しており、傾斜面21A及び22A同士を圧接するように、圧縮コイルばね23の復元力を付与している。傾斜面21A及び傾斜面22Aが圧接している部分が、クラッチ装置J1を作動させるように操作力を発生させるクラッチ作動部Qである。
【0045】
引手体Vは、棒状の軸部材であり、角軸である操作杆2Aが挿通される左右方向の丸孔24,25を有する。したがって、第1クラッチ体21も丸孔24を有する。操作杆2Aの断面は正方形であり、その正方形の外接円よりも丸孔24,25の径は大きい。それにより、引手P1を引いても、第1クラッチ体21から操作杆2Aへトルクが直接伝達されることはない。
図10及び
図11の斜視図に示すように電子錠Bの解錠状態ULで引出しH1の引手P1を引いた際のトルクは、第1クラッチ体21の傾斜面21Aから第2クラッチ体22の傾斜面22Aに伝わり、第1クラッチ体22を介して第2クラッチ体22に嵌合している操作杆2Aに伝達される。
【0046】
図1及び
図3の斜視図に示すように、クラッチ装置J1(クラッチ作動部Q)は、引手P1の近くに、すなわち左右方向の中央部に位置する。
それに対して、
図1、
図3、
図5ないし
図7の斜視図のように、錠装置である電子錠Bの規制部材であるロック片4は、上段引出しH1の右端部(左右方向の端部)に位置するので、
図5ないし
図7のロック部LKは、操作杆2Aの左右方向の端部近傍に位置する。
それにより、クラッチ作動部Qとロック部LKとは離れた位置にある。
【0047】
図1及び
図3の斜視図に示す電子錠Bの施錠状態Lでは、操作杆2Aの右端部から後方へ突出する回動部材11Aの下側にロック片4(
図5ないし
図7参照)が進出している。それにより、作動体である回動部材11Aが下方へ回動できないので、作動体である操作杆2Aの回動が阻止される。
このような施錠状態Lで上段引出しH1の引手P1を操作した場合、引手P1と一体である第1クラッチ体21の傾斜面21Aから第2クラッチ体22の傾斜面22Aへトルクが伝達され、第2クラッチ体22から操作杆2Aにトルクが伝達されるので、角軸である操作杆2Aにねじれが生じる。
【0048】
本発明では、前記ねじれを考慮して、角軸である操作杆2Aが挿通される、第2クラッチ体22の左右方向の孔部Kの形状及び大きさを定めている。
【0049】
第2クラッチ体22の形状を、
図18(a)の斜視図、及び
図18(b)の正面図、並びに
図19(a)の左側面図、
図19(b)の右側面図、及び
図19(c)の断面図に示す。
第2クラッチ体22は、角軸である操作杆2Aが挿通される、左右方向の孔部Kを有し、孔部Kの一部に、角軸である操作杆2Aが嵌合する軸支部を有する。
本実施の形態において、孔部Kは、クラッチ作動部Qから離れた、前記軸支部である第1角孔部22aと、クラッチ作動部Qに近い第2角孔部22bとからなる。なお、第1角孔部22aは、第2角孔部22bよりも、ロック部LK(ロック片4)から遠くなる方向へ離間している。
【0050】
また、第2クラッチ体22は、傾斜面21Aを有する外径が大きい部分と、ボス部である前記軸支部を有し、それらは軸方向にずらして配置される。
軸部材である操作杆2Aが挿通される第2クラッチ体22の孔部Kは、前記軸支部の第1孔部である第1角孔部22aと、傾斜面22Aを有する部分の第2孔部である第2角孔部22bとからなる。したがって、第1孔部である第1角孔部22aと、第2孔部である第2角孔部22bも、それらは軸方向にずらして配置されている。
【0051】
前記のとおり、クラッチ作動部Qとロック部LKとは離れた位置にある。それにより、角軸である操作杆2Aは、操作杆2Aが嵌合する第2クラッチ体22とロック部LKとの間でねじれが生じる。
孔部Kにおいて、操作杆2Aのねじれの影響は、クラッチ作動部Qに近い第2角孔部22bが大きく、クラッチ作動部Qから離れた第1角孔部22aは小さい。このような知見に基づき、クラッチ作動部Qから離れた第1角孔部22aの二面幅W1、及びクラッチ作動部Qに近い第2角孔部22bの二面幅W2を以下のように設定する。
【0052】
図19(a)に示す第1角孔部22aの二面幅W1、及び
図19(b)に示す第2角孔部22bの二面幅W2は、角軸である操作杆2Aの二面幅wよりも大きく、二面幅W1は二面幅W2より小さい。
また、第1角孔部22aの断面の内接円は、操作杆2Aの断面の外接円よりも小さい。それにより、第2クラッチ体22が回動すると、第2クラッチ体22から操作杆2Aへトルクが伝達される。
【0053】
第1角孔部22aの二面幅W1は、角軸である操作杆2Aが嵌合する部分であり、隙間嵌めとする所要の隙間を設定する。
当該隙間は、
図10及び
図11の斜視図のように、電子錠Bの解錠状態ULで引出しH1の引手P1を引くことにより、角軸である操作杆2Aが回動し、それにより左右方向内方へ回動して係合解除状態Dにするラッチ爪3A,3Aの適切な作動範囲を確保できるように設定する。
その上で、当該隙間は、
図1及び
図3の斜視図に示す電子錠Bの施錠状態Lで引出しH1の引手P1を誤って引いた際に、クラッチ装置J1が適切に作動するように、すなわち第2クラッチ体22が操作杆2Aに沿ってスライドできるように設定する。
【0054】
第2角孔部22bの二面幅W2は、クラッチ装置J1が作動する際に、第2クラッチ体22から操作杆2Aへトルクが伝達されて角軸である操作杆2Aにねじれが生じても、操作杆2Aが第2角孔部22bに接触しない大きさに設定する。それにより、ねじれた操作杆2Aが第2角孔部22bの内面に接触しないことから、第2クラッチ体22のスライド動作に干渉することがないので、操作杆2Aに沿って第2クラッチ体22が確実にスライドできるようになる。
【0055】
なお、孔部Kにおいて、クラッチ作動部Qから離れた第1角孔部22aは、操作杆2Aにトルクを伝達するとともに、クラッチ装置J1が作動する際に操作杆2Aに沿ってスライドする部分であることから、必須の構成要素である。
それに対して、クラッチ作動部Qに近い第2角孔部22bは、ねじれた操作杆2Aが第2角孔部22bの内面に接触することがなく、それにより第2クラッチ体22のスライド動作に干渉しないようにすればよいことから、孔部Kにおける第2角孔部22bの範囲は、角孔でなくてもよく、所要の大きさのバカ孔でもよく、孔自体を無くしてもよい。
【0056】
以上のようなクラッチ装置J1~J3により、施錠状態Lにおいて、引出しH1~H3の引手P1~P3を引いて過度な負荷が掛かった際に、
図20の要部拡大斜視図に示すように第2クラッチ体22が、図中矢印Zのように左方へ確実にスライドする。
【0057】
以上のような構成からなる本発明の実施の形態に係るクラッチ装置によれば、第1クラッチ体は軸部材に遊嵌し、第2クラッチ体は、傾斜面を有する部分と軸支部とを、軸方向にずらして配設しているので、第1クラッチ体に無理な力が作用した際に、棒状の軸部材にねじれが生じても、前記軸部材に対して相対回動不能な第2クラッチ体の軸支部は、前記軸部材に対してスライドできる。
例えば前記クラッチ装置を施錠装置を有するキャビネットに用いた場合、施錠装置の施錠状態において、引出し又は扉の操作部を誤って操作して無理な操作力が作用した際に、例えば角軸である軸部材(操作杆)にねじれが生じても、ねじれた前記軸部材が第2クラッチ体の内面に接触しないか、あるいは接触しても第2クラッチ体のスライド動作に影響を及ぼさない。
それにより、施錠状態で規制部材(ロック片)により軸部材の回動を阻止する位置(軸部材の端部)と、クラッチ作動部(軸部材の中央部)とが離れた位置にある構成において、施錠状態で前記操作部を誤って操作して過度な負荷が掛かっても、前記操作部を確実に空転させることができる。それにより、ラッチ装置等の機構部品を破損する恐れをなくすクラッチ装置の動作の信頼性を向上できる。
このような効果を有する本願発明により、規制部材とクラッチ装置の配置に自由度を持たせることが可能な汎用性の高いクラッチ装置が得られる。
【0058】
以上の実施の形態においては、キャビネット1が引出しH1~H3を備えた例を示したが、キャビネット1は垂直軸まわりに開く扉を備えたものであってもよく、その場合、操作杆は上下方向に延びる角軸になる。また、本発明は、キャビネット以外の家具であって、棒状の軸部材を有する家具に対しても使用できる。
以上の実施の形態においては、棒状の軸部材が角軸である場合を示したが、棒状の軸部材は角軸に限定されるものではなく、その断面は多角形状、円形状又は楕円形状等であってもよい。
【0059】
以上の実施形態においては、キャビネット1は、引出しH1~H3の飛出しを防止するラッチ装置L1~L3を備えている。そして、オールロック装置Aは、錠装置の施錠時Lには、操作杆回動阻止機構E(錠装置のロック片4)及び操作杆回動阻止連動機構G(キャビネット本体O側の連動作動体F、引出しH1~H3側の作動体である回動部材11A~11C)により、全段の引出しH1~H3の作動体である操作杆2A~2Cの回動を阻止し、それによりラッチ装置L1~L3の係合状態Cを保持している。
すなわち、キャビネット1が備えるラッチ装置L1~L3を用いてオールロック装置Aを構成している。
【0060】
本発明は、キャビネット1がラッチ装置L1~L3を備える構成に限定されるものではなく、本発明の対象であるキャビネット1は、ラッチ装置L1~L3を備えずに、オールロック機能を有するロックユニットを備えるものであってもよい。
前記ロックユニットは、例えば、その被操作体が操作されない状態では、引出しH1~H3を一括して施錠したオールロック状態になり、前記被操作体が操作された際には、前記オールロック状態を解除するものである。
【0061】
また、以上の説明においては、キャビネット1の引出しH1~H3の一つに設ける錠装置が電子錠Bである場合を示したが、前記錠装置は、シリンダ錠やダイヤル錠等の機械錠であってもよい。
さらに、以上の説明においては、電子錠の電源が電池である例を示したが、本発明により省電力化を図ることができるので、電子錠の電源は、電池に限定されるものではなく、例えば商用電源や自家発電設備等の電源であってもよい。
さらにまた、以上の説明においては、錠装置を引出し側(例えば引出しH1)に設ける場合を示したが、錠装置はキャビネット本体O側に設けてもよい。例えば、キャビネット本体Oの框や天板T等に錠装置を設ける構成としてもよい。
【0062】
以上の実施の形態の記載はすべて例示であり、これに制限されるものではない。本発明の範囲から逸脱することなく種々の改良及び変更を施すことができる。
【符号の説明】
【0063】
1 キャビネット 2A,2B,2C 操作杆(作動体、軸部材)
3A,3B,3C ラッチ爪 4 ロック片(規制部材)
4A 傾斜面 5 昇降体
6A,6B,6C 連結体 7A,7B,7C 突片
8A,8B,8C 回動体 9A,9B,9C 操作端
10A,10B,10C 連結端
11A,11B,11C 回動部材(作動体)
12 ねじりコイルばね 13 回動軸
14 屈曲片 15 弾性片
16A,16B,16C 係合部 17A,17B,17C 操作片
18 回動支持体 19,20 ブラケット
21 第1クラッチ体 21A 傾斜面
22 第2クラッチ体 22A 傾斜面
22a 第1角孔部(軸支部、第1孔部) 22b 第2角孔部(第2孔部)
23 圧縮コイルばね(付勢ばね) 24,25 丸孔
A オールロック装置 B 電池式の電子錠(錠装置)
C 係合状態 D 係合解除状態
E 操作杆回動阻止機構 F 連動作動体
G 操作杆回動阻止連動機構 H1,H2,H3 引出し
I 鏡板 J1,J2,J3 クラッチ装置
K 孔部 L 施錠時(電子錠の施錠状態)
L1,L2,L3 ラッチ装置 LK ロック部
M アクチュエータ N 認証部
O キャビネット本体 P1,P2,P3 引手(操作部)
Q クラッチ作動部 R 背板
S 側板 T 天板
UL 解錠時(電子錠の解錠状態) V 引手体
W1,W2 角孔の二面幅 w 角軸の二面幅
X1,X2,X3 回動支軸