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特許7277810光学アクチュエータ、カメラモジュール、及びカメラ搭載装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-11
(45)【発行日】2023-05-19
(54)【発明の名称】光学アクチュエータ、カメラモジュール、及びカメラ搭載装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 7/04 20210101AFI20230512BHJP
   G03B 5/00 20210101ALI20230512BHJP
   G03B 15/00 20210101ALI20230512BHJP
   G03B 30/00 20210101ALI20230512BHJP
   H04N 23/50 20230101ALI20230512BHJP
【FI】
G02B7/04 E
G03B5/00 J
G03B15/00 V
G03B30/00
H04N23/50
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021139959
(22)【出願日】2021-08-30
(65)【公開番号】P2023033958
(43)【公開日】2023-03-13
【審査請求日】2023-02-22
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006220
【氏名又は名称】ミツミ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】菊地 篤
(72)【発明者】
【氏名】滝本 征宏
(72)【発明者】
【氏名】村上 智之
【審査官】▲うし▼田 真悟
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第212391698(CN,U)
【文献】特開2015-203715(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2021/0109307(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 7/02-7/16
G03B 17/17
G03B 30/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズ部を搭載可能であり、駆動部の駆動により移動する可動部と、
前記可動部を収容した固定部と、
前記可動部の幅方向で互いに離間して前記固定部上に固定された第一シャフト及び第二シャフトと、を備え、
前記可動部は
方向における2箇所で前記第一シャフトと当接し且つ前記軸方向における1箇所で前記第二シャフトと当接した状態で前記第一シャフト及び前記第二シャフト上を摺動するように構成され、
前記第二シャフトと当接する位置よりも前方に設けられた凸状の前側ストッパ部と、前記第二シャフトと当接する位置よりも後方に設けられた凸状の後側ストッパ部と、を有し、
前記可動部が前後方向に対して所定角度以上傾斜すると、前記第二シャフトの上端が前記前側ストッパ部又は前記後側ストッパ部に当接して、前記可動部の傾斜が抑制される、
光学アクチュエータ。
【請求項2】
前記軸方向における前記2箇所のそれぞれにおいて、前記可動部と前記第一シャフトとは、前記幅方向における2箇所で当接し、
前記軸方向における前記1箇所において、前記可動部と前記第二シャフトとは、前記幅方向における1箇所で当接している、請求項1に記載の光学アクチュエータ。
【請求項3】
前記可動部は、前記軸方向における前記2箇所で底部にそれぞれ設けられ、それぞれ前記幅方向における2箇所で前記第一シャフトと当接する一対の第一溝部と、前記幅方向における前記1箇所で前記底部に設けられ、前記幅方向における1箇所で前記第二シャフトと当接する第二溝部と、を有する、請求項1又は2に記載の光学アクチュエータ。
【請求項4】
前記第一溝部は、前記幅方向における前記2箇所で前記第一シャフトと当接するように、前記軸方向から見た断面においてV字状に設けられた支持面を有し、
前記第二溝部は、前記幅方向における前記1箇所で前記第二シャフトと当接するように、前記軸方向から見た断面において平坦状に設けられた支持面を有する、請求項3に記載の光学アクチュエータ。
【請求項5】
前記第二溝部の支持面は、前記第二シャフトに向かって凸となり且つ前記可動部の移動方向に直交する前記幅方向に延びる中心軸を有する円弧状の湾曲面である、請求項4に記載の光学アクチュエータ。
【請求項6】
前記可動部と前記第二シャフトとが当接する前記軸方向における前記1箇所は、前記可動部と前記第一シャフトとが当接する前記軸方向における前記2箇所の間に配置されている、請求項3~5の何れか一項に記載の光学アクチュエータ。
【請求項7】
前記光学アクチュエータの平面視において、前記可動部と前記第一シャフトとが当接する前記軸方向における前記2箇所と前記可動部と前記第二シャフトとが当接する前記軸方向における前記1箇所とを仮想線で結んだ三角形の領域に、前記レンズ部及び前記可動部の重心が含まれる、請求項1~6の何れか一項に記載の光学アクチュエータ。
【請求項8】
前記第一シャフト及び第二シャフトはそれぞれ、前記軸方向における2箇所のそれぞれにおいて、前記固定部と、前記幅方向における2箇所で当接している、請求項1~7の何れか一項に記載の光学アクチュエータ。
【請求項9】
請求項1~8の何れか一項に記載の光学アクチュエータと、
前記レンズ部よりも後段に配置された撮像素子と、
を備えるカメラモジュール。
【請求項10】
請求項9に記載のカメラモジュールと、
前記カメラモジュールを制御する制御部と、
を有するカメラ搭載装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学アクチュエータ、カメラモジュール、及びカメラ搭載装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スマートフォンやデジタルカメラなど、カメラモジュールを搭載した薄型のカメラ搭載装置が知られている。カメラモジュールは、1以上のレンズを有するレンズ部と、レンズ部により結像された被写体像を撮像する撮像素子とを備える。
【0003】
又、レンズ部よりも前段に設けられたプリズムにより、第一光軸に沿う被写体からの光を第二光軸の方向に屈曲してレンズ部に導光する屈曲光学系を備えるカメラモジュールも提案されている(例えば、特許文献1)。
【0004】
特許文献1に開示されたカメラモジュールは、カメラに生じる手振れを補正する振れ補正装置、及び、オートフォーカスを行うオートフォーカス装置を備えている。このようなカメラモジュールは、光学アクチュエータとして振れ補正用アクチュエータ及びオートフォーカス用アクチュエータを有する。このうちの振れ補正用アクチュエータは、プリズムを揺動させるアクチュエータを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2020-126231号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のような光学アクチュエータの場合、レンズを保持するホルダ(可動部)は、ホルダの上端と当該上端と対向するベース(固定部)の上面との間に設けられたボールにより支持されている。このため、ベースに対するホルダの支持状態が不安定になってしまう可能性がある。
【0007】
本発明の目的は、可動部を固定部に対して安定して支持できる光学アクチュエータ、カメラモジュール、及びカメラ搭載装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る光学アクチュエータの一態様は、
レンズ部を搭載可能であり、駆動部の駆動により移動する可動部と、
可動部を収容した固定部と、
可動部の幅方向で互いに離間して固定部上に固定された第一シャフト及び第二シャフトと、を備え、
可動部は、軸方向における2箇所で第一シャフトと当接し且つ軸方向における1箇所で第二シャフトと当接した状態で第一シャフト及び第二シャフト上を摺動するように構成される。
上述のような光学アクチュエータを実施する場合に、好ましくは、可動部は、第二シャフトと当接する位置よりも前方に設けられた凸状の前側ストッパ部と、第二シャフトと当接する位置よりも後方に設けられた凸状の後側ストッパ部と、を有してよい。
この場合、可動部が前後方向に対して所定角度以上傾斜すると、第二シャフトの上端が前側ストッパ部又は後側ストッパ部に当接して、可動部の傾斜が抑制される。
【0009】
本発明に係るカメラモジュールの一態様は、上述の光学アクチュエータと、レンズ部よりも後段に配置された撮像素子と、を備える。
【0010】
本発明に係るカメラ搭載装置の一態様は、上述のカメラモジュールと、当該カメラモジュールを制御する制御部と、を有する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、製品サイズの小型化を図ることができる光学アクチュエータ、カメラモジュール、及びカメラ搭載装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本発明の実施形態に係るカメラモジュールを模式的に示す斜視図である。
図2図2は、カバーを省略したカメラモジュールの斜視図である。
図3図3は、第一ベース及び第二ベースを説明するための斜視図である。
図4図4は、第一ベース及び第二ベースを説明するための斜視図である。
図5図5は、ホルダの斜視図である。
図6図6は、ホルダの斜視図である。
図7図7は、第一ベースの支持壁部の斜視図である。
図8A図8Aは、光路屈曲モジュールの断面図である。
図8B図8Bは、光学屈曲モジュールの断面模式図である。
図9図9は、FPCの斜視図である。
図10図10は、FPCの斜視図である。
図11図11は、第一駆動部、第二駆動部、及び第三駆動部の斜視図である。
図12図12は、レンズガイドの斜視図である。
図13図13は、レンズガイドの斜視図である。
図14図14は、レンズガイドの底面図である。
図15図15は、衝撃吸収部が組付けられたレンズガイドの斜視図である。
図16図16は、衝撃吸収部が組付けられたレンズガイドの斜視図である。
図17図17は、図14のX-X線で切断したレンズモジュールの部分断面図である。
図18図18は、図14のY-Y線で切断したレンズモジュールの部分断面図である。
図19図19は、図14のZ-Z線で切断したレンズモジュールの部分断面図である。
図20図20は、衝撃吸収部の斜視図である。
図21図21は、衝撃吸収部の斜視図である。
図22A図22Aは、衝撃吸収部の作用について説明するためのレンズモジュールの部分断面図である。
図22B図22Bは、衝撃吸収部の作用について説明するためのレンズモジュールの部分断面図である。
図23A図23Aは、カメラモジュールを搭載したカメラ搭載装置の一例を示す図である。
図23B図23Bは、カメラモジュールを搭載したカメラ搭載装置の一例を示す図である。
図24A図24Aは、車載用カメラモジュールを搭載するカメラ搭載装置としての自動車を示す図である。
図24B図24Bは、車載用カメラモジュールを搭載するカメラ搭載装置としての自動車を示す図である。
【0013】
以下、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、後述する実施形態に係る光学アクチュエータ、カメラモジュール、及びカメラ搭載装置は、本発明に係る光学アクチュエータ、カメラモジュール、及びカメラ搭載装置の一例であり、本発明は実施形態により限定されない。
【0014】
[実施形態]
図1図24Bを参照して、本発明の実施形態に係るカメラモジュール1について説明する。以下、カメラモジュール1の概要について説明した後、カメラモジュール1が備える光路屈曲モジュール2、レンズモジュール4、及び撮像素子モジュール9の構造について説明する。尚、本発明に係る光学アクチュエータ、カメラモジュール、及びカメラ搭載装置は、後述する全ての構成を備えてもよいし、一部の構成を備えなくてもよい。
【0015】
カメラモジュール1は、例えば、スマートフォンM(図23A及び図23B参照)、携帯電話機、デジタルカメラ、ノート型パソコン、タブレット端末、携帯型ゲーム機、及び薄型のカメラ搭載装置(車載カメラ等)に搭載される。スマートフォンMは、2つの背面カメラOC1、OC2からなるデュアルカメラを有する。本実施形態では、背面カメラOC2に、カメラモジュール1が適用されている。
【0016】
以下、本実施形態のカメラモジュール1を構成する各部については、カメラモジュール1に組み込まれた状態を基準として説明する。又、本実施形態のカメラモジュール1の構造を説明するにあたり、各図に示す直交座標系(X,Y,Z)を使用する。
【0017】
カメラモジュール1は、カメラ搭載装置で実際に撮影が行われる場合に、例えばX方向がカメラ搭載装置における左右方向、Y方向がカメラ搭載装置における上下方向、Z方向がカメラ搭載装置における前後方向となるように搭載される。被写体からの光(入射光)は、図1に一点鎖線α(第一光軸とも称する。)で示されるように、カメラモジュール1のZ方向+側(プラス側)から光路屈曲モジュール2のプリズム22に入射する。プリズム22は、光路屈曲部材の一例に該当する。
【0018】
プリズム22に入射した光(出射光)は、図1に一点鎖線β(第二光軸とも称する。)で示されるように、プリズム22の光路屈曲面で屈曲して、プリズム22よりも前段(X方向+側)に配置されたレンズモジュール4のレンズ部6へと導光される。
【0019】
そして、レンズ部6により結像された被写体像が、レンズモジュール4よりも前段に配置された撮像素子モジュール9(図2参照)により撮像される。
【0020】
本実施形態のカメラモジュール1は、光路屈曲モジュール2に組み込まれた振れ補正装置3により、振れ補正(OIS:Optical Image Stabilization)を行う。つまり、光路屈曲モジュール2は、手振れ補正機能を有する。
【0021】
又、本実施形態のカメラモジュール1は、レンズモジュール4に組み込まれたAF(Auto Focus)装置7によりレンズ部をX方向に変位させて、オートフォーカスを行う。つまり、レンズモジュール4は、オートフォーカス機能を有する。
【0022】
(光路屈曲モジュール)
図1図11を参照して光路屈曲モジュール2について説明する。光路屈曲モジュール2は、カバー93、第一ベース21、プリズム22、及び振れ補正装置3を備える。
【0023】
第一ベース21は、ホルダ31の揺動中心をホルダ31の搭載面310の中央付近の位置に規定するようホルダ31の凹部314に挿入された支持部214bを有する。
【0024】
具体的には、第一ベース21は、第一ベース本体210、及び、支持壁部214を有する。第一ベース21は、カバー93と組み合わされることによりプリズム22及び振れ補正装置3を配置可能な収容空間を形成している。
【0025】
第一ベース本体210は、固定部本体の一例に該当し、前端、後端、及び上端が開口したU字状の部材である。第一ベース本体210は、底壁部211、左壁部212、及び右壁部213を有する。第一ベース本体210は、前端部において後述の第二ベース5に接続されている。つまり、第一ベース本体210と第二ベース5とは一体である。
【0026】
底壁部211は、XY平面に平行な板状である。底壁部211は、第二駆動部37の第二コイル371を配置するための第二コイル配置部211aを有する。第二コイル配置部211aは、貫通孔である。
【0027】
左壁部212は、下端部が底壁部211の左端部に接続されたXZ平面に平行な板状である。左壁部212は、第一駆動部33の左側第一コイル341を配置するための左側第一コイル配置部212aを有する。左側第一コイル配置部212aは、貫通孔である。
【0028】
右壁部213は、下端部が底壁部211の右端部に接続されたXZ平面に平行な板状である。右壁部213は、第一駆動部33の右側第一コイル351を配置するための右側第一コイル配置部213aを有する。右側第一コイル配置部213aは、貫通孔である。
【0029】
支持壁部214は、第一ベース本体210とは別体の部材であって、後壁部214a及び支持部214bを有する。後壁部214aは、YZ平面に平行な板状である。後壁部214aは、第一ベース本体210の後端を塞いでいる。後壁部214aは、後述の付勢ばね322を介して、第一ベース本体210に支持されている。
【0030】
支持部214bは、後述のホルダ31を揺動可能に支持するためのものであり、後壁部214aの前側面に設けられている。支持部214bは、後壁部214aから前方(X方向+側)に延在した凸部により構成されている。支持部214bは、先端部に、後方に進むほど内径が小さくなる円錐状の凸部側テーパ面214cを有する。
【0031】
支持部214bは、後述のホルダ31の凹部314に挿入された状態で、ボール321を介してホルダ31を揺動可能に支持している。支持部214bによるホルダ31の支持態様については、後述する。
【0032】
尚、本実施形態の場合、支持部214bは、第一ベース21の後壁部214aに設けられている。但し、支持部の構成は、本実施形態の場合に限定されない。例えば、支持部は、第一ベースの底壁部に設けられていてもよい。この場合、支持部は、第一ベースの底壁部から、上方に延在してもよい。この場合、ホルダの凹部は、ホルダの下側面に設けられてもよい。
【0033】
次に、振れ補正装置3について説明する。振れ補正装置3は、Z方向に平行な第一軸A1及びY方向に平行な第二軸A2を中心にプリズム22を揺動させることにより、第一軸A1を中心とした回転方向の振れ補正、及び、第二軸A2を中心とした回転方向の振れ補正を行う。このような振れ補正装置3は、カバー93と第一ベース21とで囲まれた収容空間に配置されている。本実施形態の場合、第一軸A1及び第二軸A2は、ボール321を通る直線である。
【0034】
振れ補正装置3は、ホルダ31、揺動支持部32、第一駆動部33、及び第二駆動部37を備える。
【0035】
振れ補正装置3において、ホルダ31は、揺動支持部32を介して、第一ベース21に支持されている。ホルダ31は、第一ベース21に対して、第一軸A1を中心とした揺動可能、且つ、第二軸A2を中心とした揺動可能である。この状態でホルダ31は、第一駆動部33が発生する駆動力に基づいて第一軸A1を中心に揺動し、第二駆動部37が発生する駆動力に基づいて第二軸A2を中心に揺動する。
【0036】
制御部92(図1参照)の制御下で第一駆動部33が駆動すると、ホルダ31及びプリズム22が、第一軸A1を中心に揺動する。これにより、第一軸A1を中心とした回転方向の振れが補正される。又、制御部92(図1参照)の制御下で第二駆動部37が駆動すると、ホルダ31及びプリズム22が、第二軸A2を中心に揺動する。これにより、第二軸A2を中心とした回転方向の振れが補正される。以下、振れ補正装置3が備える各部材の具体的構造について説明する。
【0037】
ホルダ31は、プリズム22(図1参照)を第一ベース21に対して揺動可能に支持している。ホルダ31は、プリズム22を搭載する搭載面310と、搭載面310の裏側で搭載面の中央に向けて延在する凹部314と、を有し、第一駆動部33及び第二駆動部37の駆動により揺動する。
【0038】
具体的には、ホルダ31は、第一ベース21の底壁部211、左壁部212、右壁部213、及び後壁部214aにより囲まれた空間に配置されている。ホルダ31は、第一ベース21に対して、第一軸A1を中心とした揺動可能、且つ、第二軸A2を中心とした揺動可能である。よって、プリズム22も、第一ベース21に対して、第一軸A1を中心とした揺動可能、且つ、第二軸A2を中心とした揺動可能である。
【0039】
ホルダ31は、例えば、合成樹脂製である。ホルダ31は、プリズム22を搭載可能な搭載面310を有する。搭載面310は、ホルダ31の左側面と右側面との間に設けられており、前方(X方向+側)に向かうほど下方(Z方向-側)に位置するように傾斜した傾斜面である。
【0040】
ホルダ31は、左側面に、後述の第一駆動部33の左側第一マグネット340を配置するための左側第一マグネット配置部311を有する。左側第一マグネット配置部311は、凹部により構成されている。左側第一マグネット配置部311は、第一ベース本体210の左側第一コイル配置部212aと左右方向に対向している。
【0041】
ホルダ31は、右側面に、後述の第一駆動部33の右側第一マグネット350を配置するための右側第一マグネット配置部312を有する。右側第一マグネット配置部312は、凹部により構成されている。右側第一マグネット配置部312は、第一ベース本体210の右側第一コイル配置部213aと左右方向に対向している。
【0042】
ホルダ31は、下側面に、後述の第二駆動部37の第二マグネット370を配置するための第二マグネット配置部313を有する。第二マグネット配置部313は、凹部により構成されている。第二マグネット配置部313は、第一ベース本体210の第二コイル配置部211aと上下方向に対向している。
【0043】
ホルダ31は、後側面に、凹部314を有する。凹部314は、ホルダ31の後側面から前方に向かって延在している。換言すれば、凹部314は、ホルダ31の後側面から搭載面310の中央部に向かって延在している。凹部314の中心軸は、前後方向に平行である。又、ホルダ31は、後側面において凹部314の周囲にばね固定部314bを有する(図6参照)。又、ばね固定部314bには、複数(本実施形態の場合、4個)の係止凸部314cが設けられている。ばね固定部314bには、後述の付勢ばね322の内側固定部324が、接着等の固定手段により固定されている。この状態で、係止凸部314cはそれぞれ、内側固定部324における係止孔324bに挿通されている。
【0044】
凹部314は、奥端部に、前方に進むほど内径が小さくなる円錐状の凹部側テーパ面314aを有する。凹部側テーパ面314aのテーパ角θ図8A参照)は、第一ベース21の凸部側テーパ面214cのテーパ角θよりも小さい。このような構成を採用すれば、凹部314の周囲(搭載面310の中央部付近)の肉厚を確保し易くなるため、ホルダ31の強度低下を抑制できる。
【0045】
凹部314には、第一ベース21の支持部214bが挿入されている。支持部214bの外径は、凹部314の内径よりも小さい。よって、支持部214bの外周面は、凹部314の内周面と当接していない。
【0046】
以上のような構成を有するホルダ31は、第一ベース21に収容されている。この状態で、ホルダ31は、第一ベース21に対する揺動可能な状態で、揺動支持部32により第一ベース21に支持されている。
【0047】
次に、揺動支持部32について説明する。揺動支持部32は、既述の第一ベース21の支持部214b、ボール321、ホルダ31の凹部314、及び付勢ばね322により構成されている。
【0048】
図8Aに示すように、支持部214bは、凹部314に挿入されている。又、支持部214bの凸部側テーパ面214cと凹部314の凹部側テーパ面314aとの間に、ボール321が配置されている。ボール321の中心(つまり、ホルダ31の揺動中心)と後述の第二駆動部37とは、Z方向に平行な同一直線上に配置されている。
【0049】
付勢ばね322は、ホルダ31を後方に付勢している。換言すれば、付勢ばね322は、凹部314を支持部214bに向かって付勢している。よって、ボール321は、凸部側テーパ面214cと凹部側テーパ面314aとの間で挟持されている。
【0050】
具体的には、付勢ばね322は、付勢部材の一例に該当し、図7に示すように、外側固定部323、内側固定部324、及び接続部325を有する。
【0051】
外側固定部323は、第一固定部の一例に該当し、YZ平面に平行な板状であって、第一ベース21の第一ベース本体210に固定されている。具体的には、外側固定部323は、左側固定部323a及び右側固定部323bを有する。左側固定部323aは、第一ベース本体210における左壁部212の後端部に固定されている。右側固定部323bは、第一ベース本体210における右壁部213の後端部に固定されている。
【0052】
内側固定部324は、第二固定部の一例に該当し、YZ平面に平行な板状である。内側固定部324は、中心孔324aと、複数(本実施形態の場合、4個)の係止孔324bとを有する。係止孔324bは、中心孔324aの周囲に設けられている。内側固定部324は、ホルダ31に固定されている。具体的には、内側固定部324は、ホルダ31の後側面に設けられたばね固定部314bに、接着等の固定手段により固定されている。この状態で、内側固定部324の中心孔324aに支持部214bが挿通されるとともに、内側固定部324の係止孔324bのそれぞれに、ばね固定部314bに設けられた係止凸部314cが挿通されている。
【0053】
接続部325は、弾性変形可能な線状であって、外側固定部323と内側固定部324とを接続している。具体的には、接続部325は、一対の左側接続部325a、325b、及び、一対の右側接続部325c、325dを有する。
【0054】
一対の左側接続部325a、325b及び一対の右側接続部325c、325dはそれぞれ、蛇行部を有する。
【0055】
組付け状態において、接続部325は、内側固定部324を後方に付勢するように弾性変形する。よって、付勢ばね322は、接続部325の復元力に基づいて、ホルダ31を支持壁部214に向けて後方に付勢する。この結果、ホルダ31の凹部314が、付勢ばね322により、支持部214bに向けて後方に付勢される。
【0056】
第一駆動部33は、第一軸A1を中心に、ホルダ31を揺動させる。第一軸A1は、Z方向に平行な軸である。具体的には、第一軸A1は、揺動支持部32のボール321の中心を通り且つZ方向に平行な軸である。ボール321の中心は、第一駆動部33の駆動に基づくホルダ31の揺動の揺動中心と捉えてよい。
【0057】
第一駆動部33は、左側第一駆動部34、右側第一駆動部35、及び第一位置検出素子36を有する。
【0058】
左側第一駆動部34は、ホルダ31の左側面と、第一ベース21の左壁部212に固定されたFPC(Flexible Printed Circuit)8の左側FPC81との間に設けられている。
【0059】
ここで図9及び図10を参照して、FPC8について説明する。FPC8は、左側FPC81、右側FPC82、及び下側FPC83を有する。
【0060】
左側FPC81は、XZ平面に平行な板状であって、光路屈曲モジュール2からレンズモジュール4にかけて前後方向に延在している。左側FPC81は、光路屈曲モジュール2及びレンズモジュール4の左側面に固定されている。
【0061】
左側FPC81は、前端部に上下方向に並んだ複数の端子により構成された左側端子部810を有する。左側端子部810は、例えば、電源のプラス側に接続された端子である。左側端子部810は、FPC8に設けられた配線を介して、第一駆動部33の左側第一コイル341及び第一位置検出素子36、第二駆動部37の第二コイル371及び第二位置検出素子372、並びに、第三駆動部72の左側第三コイル731及び第三位置検出素子75に接続されている。
【0062】
右側FPC82は、XZ平面に平行な板状であって、光路屈曲モジュール2からレンズモジュール4にかけて前後方向に延在している。右側FPC82は、光路屈曲モジュール2及びレンズモジュール4の右側面に固定されている。
【0063】
右側FPC82は、前端部に上下方向に並んだ複数の端子により構成された右側端子部820を有する。右側端子部820は、例えば、電源のマイナス側に接続された端子である。右側端子部820は、FPC8に設けられた配線を介して、第一駆動部33の右側第一コイル351及び第一位置検出素子36、第二駆動部37の第二コイル371及び第二位置検出素子372、並びに、第三駆動部72の右側第三コイル741及び第三位置検出素子75に接続されている。
【0064】
下側FPC83は、XY平面に平行な板状であって、光路屈曲モジュール2の下方において、左側FPC81の下端部と右側FPC82の下端部とを左右方向に接続している。下側FPC83は、光路屈曲モジュール2の下側面に固定されている。
【0065】
再び、左側第一駆動部34の説明に戻る。左側第一駆動部34は、ボイスコイルモータであって、左側第一マグネット340及び左側第一コイル341を有する。
【0066】
左側第一マグネット340は、ホルダ31の左側第一マグネット配置部311に配置されている。左側第一マグネット340は、ホルダ31の左側第一マグネット配置部311に、接着等の固定手段により固定されている。
【0067】
左側第一マグネット340は、前後方向に隣り合う2個のマグネット素子からなる。これら各マグネット素子はそれぞれ、長手方向が上下方向に一致するように配置されている。又、これら各マグネット素子はそれぞれ、左右方向に着磁され、片側に一つの磁極を有する。各マグネット素子の磁極の向きは、互いに反対である。
【0068】
左側第一コイル341は、振れ補正時に給電される長円形状のいわゆる空心コイルである。左側第一コイル341は、長軸が上下方向に一致している。左側第一コイル341は、第一ベース本体210の左側第一コイル配置部212aに配置された状態で、左側FPC81に、接着等の固定手段により固定されている。
【0069】
左側第一コイル341は、左側第一マグネット340よりも左側(幅方向における外側)に設けられている。左側第一コイル341は、左側第一マグネット340と左右方向に所定の間隔をあけて対向している。
【0070】
尚、本実施形態の場合、左側第一マグネット340が可動部に設けられ、左側第一コイル341が固定部に設けられている。但し、左側第一マグネット340が固定部に設けられ、左側第一コイル341が可動部に設けられてもよい。
【0071】
右側第一駆動部35は、ホルダ31の右側面と、第一ベース21の右壁部213に固定されたFPC8の右側FPC82との間に設けられている。
【0072】
右側第一駆動部35も、ボイスコイルモータであって、右側第一マグネット350及び右側第一コイル351を有する。
【0073】
右側第一マグネット350は、ホルダ31の右側第一マグネット配置部312に配置されている。右側第一マグネット350は、ホルダ31の右側第一マグネット配置部312に、接着等の固定手段により固定されている。
【0074】
右側第一マグネット350は、前後方向に隣り合う2個のマグネット素子からなる。これら各マグネット素子はそれぞれ、長手方向が上下方向に一致するように配置されている。又、これら各マグネット素子はそれぞれ、左右方向に着磁され、片側に一つの磁極を有する。各マグネット素子の磁極の向きは、互いに反対である。
【0075】
右側第一コイル351は、振れ補正時に給電される長円形状のいわゆる空心コイルである。右側第一コイル351は、長軸が上下方向に一致している。右側第一コイル351は、第一ベース本体210の右側第一コイル配置部213aに配置された状態で、右側FPC82に、接着等の固定手段により固定されている。右側第一コイル351は、左側第一コイル341にFPC8を介して電気的に接続されている。
【0076】
右側第一コイル351は、右側第一マグネット350よりも右側(幅方向における外側)に設けられている。右側第一コイル351は、右側第一マグネット350と左右方向に所定の間隔をあけて対向している。
【0077】
尚、本実施形態の場合、右側第一マグネット350が可動部に設けられ、右側第一コイル351が固定部に設けられている。但し、右側第一マグネット350が固定部に設けられ、右側第一コイル351が可動部に設けられてもよい。
【0078】
第一位置検出素子36は、図10に示すように、左側第一コイル341の中央部に配置された状態で、左側FPC81に固定されている。第一位置検出素子36は、左側第一マグネット340と左右方向に対向している。第一位置検出素子36は、左側第一マグネット340の磁束を検出し、検出値を、センサ基板91に実装された制御部92に送る。制御部92は、第一位置検出素子36から受け取った検出値に基づいて、ホルダ31の、第一軸A1周りの位置を求める。
【0079】
以上のような構成を有する第一駆動部33の場合、制御部92の制御下で、FPC8を介して左側第一コイル341及び右側第一コイル351に電流が流れると、左側第一マグネット340及び右側第一マグネット350を前後方向に変位させるローレンツ力が生じる。
【0080】
具体的には、左側第一マグネット340には、前後方向における一方を向いた上記ローレンツ力が作用する。一方、右側第一マグネット350には、前後方向における他方を向いた上記ローレンツ力が作用する。このように左側第一マグネット340と右側第一マグネット350に、前後方向において互いに逆方向を向いた力が作用する。
【0081】
左側第一マグネット340及び右側第一マグネット350はそれぞれ、ホルダ31に固定されているため、上記ローレンツ力に基づいてホルダ31が、第一軸A1を中心に揺動する。左側第一コイル341及び右側第一コイル351に流れる電流の向きを制御することにより、ホルダ31の移動方向(回転方向)が切り換わる。
【0082】
第二駆動部37は、第二軸A2を中心に、ホルダ31を揺動させる。第二軸A2は、揺動支持部32のボール321の中心を通り且つY方向に平行な軸である。ボール321の中心は、第二駆動部37の駆動に基づくホルダ31の揺動の揺動中心と捉えてよい。
【0083】
第二駆動部37は、第二マグネット370、第二コイル371、及び第二位置検出素子372を有する。第二駆動部37は、ホルダ31の下側面と第一ベース21の底壁部211との間に設けられている。
【0084】
第二マグネット370は、ホルダ31の第二マグネット配置部313に配置されている。第二マグネット370は、第二マグネット配置部313に、接着等の固定手段により固定されている。
【0085】
第二マグネット370は、前後方向に隣り合う2個のマグネット素子からなる。これら各マグネット素子はそれぞれ、長手方向が左右方向に一致するように配置されている。これら各マグネット素子はそれぞれ、上下方向に着磁され、片側に一つの磁極を有する。各マグネット素子の磁極の向きは、互いに反対である。
【0086】
第二コイル371は、振れ補正時に給電される長円形状のいわゆる空心コイルである。第二コイル371は、長軸が左右方向に一致するように配置されている。第二コイル371は、第一ベース21の第二コイル配置部211aに配置された状態で、FPC8の下側FPC83に固定されている。
【0087】
第二コイル371は、第二マグネット370よりも下方に設けられている。第二コイル371は、第二マグネット370と上下方向に所定の間隔をあけて対向している。
【0088】
第二位置検出素子372(図8A及び図9参照)は、第二コイル371の中央部に配置された状態で、下側FPC83に固定されている。第二位置検出素子372は、第二マグネット370と上下方向に対向している。第二位置検出素子372は、第二マグネット370の磁束を検出し、検出値を、センサ基板91に実装された制御部92に送る。制御部92は、第二位置検出素子372から受け取った検出値に基づいて、ホルダ31の、第二軸A2周りの位置を求める。
【0089】
以上のような構成を有する第二駆動部37の場合、制御部92の制御下で、FPC8を介して第二コイル371に電流が流れると、第二マグネット370を前後方向における一方に移動させるローレンツ力が生じる。
【0090】
第二マグネット370は、ホルダ31に固定されているため、上記ローレンツ力に基づいてホルダ31が、第二軸A2を中心に揺動する。尚、第二コイル371に流れる電流の向きを制御することにより、ホルダ31の移動方向(回転方向)が切り換わる。
【0091】
(レンズモジュール)
次に、図1図4、及び、図11図21を参照してレンズモジュール4について説明する。レンズモジュール4は、カバー93、第二ベース5、レンズ部6、及びAF装置7、及び衝撃吸収部76を有する。
【0092】
第二ベース5は、固定部の一例に該当し、カバー93と組み合わされることにより、レンズ部6及びAF装置7を配置可能な収容空間を形成する。第二ベース5は、後述の支持機構71を介してレンズ部6のレンズガイド70を支持している。
【0093】
第二ベース5は、底壁部50、左壁部51、右壁部52、及び前壁部53を有する。第二ベース5の後端部は、第一ベース21の前端部に接続されている。よって、第一ベース21と第二ベース5とは一体である。
【0094】
底壁部50は、XY平面に平行な矩形板状である。底壁部50は、第二ベース5の底部を構成している。底壁部50の後端部は、第一ベース本体210の底壁部211に接続されている。
【0095】
底壁部50は、上面に、左側溝部500(図4参照)及び右側溝部501(図3参照)を有する。左側溝部500及び右側溝部501は、左右方向において離間しており、互いに平行である。左側溝部500及び右側溝部501はそれぞれ、前後方向に延在している。
【0096】
左側溝部500は、前後方向における2箇所に、左側第一支持部500a、500b(図4参照)を有する。左側第一支持部500aは、左側溝部500の前端部に設けられている。左側第一支持部500aは、図17に示すように、V字状に設けられた一対のテーパ支持面500c、500dを有する。
【0097】
左側第一支持部500bは、左側溝部500の後端部に設けられている。左側第一支持部500bは、図19に示すように、V字状に設けられた一対のテーパ支持面500c、500dを有する。
【0098】
左側溝部500には、図17図19に示すように、左側シャフト710の下半部が配置されている。左側シャフト710は、円柱状であって、中心軸が前後方向に一致した状態で配置されている。左側シャフト710は、左側溝部500において左側第一支持部500a、500bにより下方から支持されている。左側シャフト710は、軸方向の2箇所において第二ベース5に支持されている。
【0099】
又、左側シャフト710は、軸方向(前後方向)における2箇所それぞれにおいて、左側第一支持部500a、500bの一対のテーパ支持面500c、500dと当接している。よって、左側シャフト710は、軸方向(前後方向)における2箇所それぞれにおいて、第二ベース5と幅方向における2箇所で接触している。尚、左側シャフト710と一対のテーパ支持面500c、500dとの接触は、線接触である。
【0100】
又、左側シャフト710の前端面は、左側溝部500の前端部と当接している。左側シャフト710の後端面は、左側溝部500の後端部と当接している。このような構成により、左側シャフト710は、第二ベース5に対して前後方向に位置決めされている。
【0101】
右側溝部501は、前後方向における2箇所に、右側第一支持部501a、501b(図3参照)を有する。右側第一支持部501aは、右側溝部501の前端部に設けられている。右側第一支持部501aは、図17に示すように、V字状に設けられた一対のテーパ支持面501c、501dを有する。
【0102】
右側第一支持部501bは、右側溝部501の後端部に設けられている。右側第一支持部501bは、図19に示すように、V字状に設けられた一対のテーパ支持面501c、501dを有する。
【0103】
右側溝部501には、図17図19に示すように、右側シャフト711の下半部が配置されている。右側シャフト711は、円柱状であって、中心軸が前後方向に一致した状態で配置されている。右側シャフト711は、右側溝部501において右側第一支持部501a、501bにより下方から支持されている。右側シャフト711は、軸方向の2箇所において第二ベース5に支持されている。
【0104】
又、右側シャフト711は、軸方向(前後方向)における2箇所それぞれにおいて、右側第一支持部501a、501bの一対のテーパ支持面501c、501dと当接している。よって、右側シャフト711は、軸方向(前後方向)における2箇所それぞれにおいて、第二ベース5と幅方向における2箇所で接触している。右側シャフト711と一対のテーパ支持面501c、501dとの接触は線接触である。
【0105】
又、右側シャフト711の前端面は、右側溝部501の前端部と当接している。右側シャフト711の後端面は、右側溝部501の後端部と当接している。このような構成により、右側シャフト711は、第二ベース5に対して前後方向に位置決めされている。
【0106】
底壁部50において、後述の左側第三マグネット730と上下方向に対向する位置に、左側ヨーク502(図11参照)が設けられている。又、底壁部50において、後述の右側第三マグネット740と上下方向に対向する位置に、右側ヨーク503(図11参照)が設けられている。左側ヨーク502と左側第三マグネット730との引力、及び、右側ヨーク503と右側第三マグネット740との引力に基づいて、後述のレンズガイド70は、第二ベース5の底壁部50に向けて下方に付勢されている。
【0107】
左壁部51は、下端部が底壁部50の左端部に接続されたXZ平面に平行な板状である。左壁部51は、第三駆動部72の左側第三コイル731を配置するための左側第三コイル配置部510(図4参照)を有する。左側第三コイル配置部510は、貫通孔である。
【0108】
左壁部51は、内側面(右側面)の前端部に前側ストッパ部511(図4参照)を有する。前側ストッパ部511は、左壁部51の内側面から右側(幅方向における内側)に延在した矩形板状である。前側ストッパ部511の後端面は、後述のレンズガイド70の左壁部703の前端面と前後方向に対向している。前側ストッパ部511の後端面は、レンズガイド70の前方への移動を所定の範囲に規制するストッパ面として機能する。
【0109】
左壁部51は、内側面(右側面)の後端部に後側ストッパ部512(図4参照)を有する。後側ストッパ部512は、左壁部51の内側面から右側(幅方向における内側)に延在した矩形板状である。後側ストッパ部512の前端面は、後述のレンズガイド70の左壁部703の後端面と前後方向に対向している。後側ストッパ部512の前端面は、レンズガイド70の後方への移動を所定の範囲に規制するストッパ面として機能する。
【0110】
右壁部52は、下端部が底壁部50の右端部に接続されたXZ平面に平行な板状である。右壁部52は、第三駆動部72の右側第三コイル741を配置するための右側第三コイル配置部520(図3参照)を有する。右側第三コイル配置部520は、貫通孔である。
【0111】
右壁部52は、内側面(左側面)の前端部に前側ストッパ部521(図3参照)を有する。前側ストッパ部521は、右壁部52の内側面から左側(幅方向における内側)に延在した矩形板状である。前側ストッパ部521の後端面は、後述のレンズガイド70の右壁部704の前端面と前後方向に対向している。前側ストッパ部521の後端面は、レンズガイド70の前方への移動を所定の範囲に規制するストッパ面として機能する。
【0112】
右壁部52は、内側面(左側面)の後端部に後側ストッパ部522(図3参照)を有する。後側ストッパ部522は、右壁部52の内側面から右側(幅方向における内側)に延在した矩形板状である。後側ストッパ部522の前端面は、後述のレンズガイド70の右壁部704の後端面と前後方向に対向している。後側ストッパ部522の前端面は、レンズガイド70の後方への移動を所定の範囲に規制するストッパ面として機能する。
【0113】
前壁部53は、YZ平面に平行な矩形枠状である。第二ベース5において、前壁部53の後側面に隣接した位置に、撮像素子モジュール9の撮像素子90が配置されている。撮像素子90は、例えばCCD(charge-coupled device)型イメージセンサー、CMOS(complementary metal oxide semiconductor)型イメージセンサー等の撮像素子である。
【0114】
レンズ部6(図1参照)は、後述のレンズガイド70により保持されている。レンズ部6は、筒状のレンズバレル、及び、レンズバレルに保持された1以上のレンズを有する。例えば、レンズ部6は、レンズバレルのX方向-側の端部とレンズバレルのX方向+側の端部との間に固定された、たとえば光学3倍以上の望遠レンズ群を有する。
【0115】
AF装置7は、オートフォーカスを目的として、レンズ部6を第二光軸に平行な方向(X方向)に移動させる。具体的には、AF装置7は、レンズガイド70、支持機構71、及び第三駆動部72を有する。
【0116】
レンズガイド70は、可動部の一例に該当し、レンズ部6のレンズバレルを保持する。レンズガイド70は、少なくとも第二光軸の方向(X方向)の移動を可能な状態で、支持機構71を介して第二ベース5に支持されている。
【0117】
レンズガイド70は、前方、後方、及び上方が開口したU字状である。具体的には、レンズガイド70は、底壁部700、左壁部703、及び右壁部704を有する。
【0118】
底壁部700は、第二ベース5の底壁部50と隙間を介して上下方向に対向している。底壁部700は、図13及び図14に示すように、下面に左側溝部701及び右側溝部702を有する。左側溝部701及び右側溝部702は、左右方向において離間しており、互いに平行である。
【0119】
左側溝部701及び右側溝部702はそれぞれ、第一溝部及び第二溝部の一例に該当し、前後方向に延在している。左側溝部701及び右側溝部702は、第二ベース5の左側溝部500及び右側溝部501と上下方向に対向している。
【0120】
左側溝部701は、前後方向における2箇所に、左側第二支持部701a、701bを有する。左側第二支持部701aは、支持面の一例に該当し、左側溝部701の前端部に設けられている。左側第二支持部701bは、支持面の一例に該当し、左側溝部701の後端部に設けられている。
【0121】
左側第二支持部701a、701bはそれぞれ、第二ベース5の左側第一支持部500a、500bと上下方向に対向している。左側第二支持部701aは、V字状に設けられた一対のテーパ支持面701c、701dを有する(図17参照)。左側第二支持部701bは、V字状に設けられた一対のテーパ支持面701c、701dを有する。
【0122】
左側溝部701には、図17図19に示すように、左側シャフト710の上半部が配置されている。左側シャフト710は、左側溝部701において左側第二支持部701a、701bに下方から当接している。左側シャフト710は、軸方向の2箇所においてレンズガイド70を下方から支持している。
【0123】
具体的には、左側シャフト710は、軸方向(前後方向)における2箇所それぞれにおいて、左側第二支持部701a、701bの一対のテーパ支持面701c、701dと当接している。よって、左側シャフト710は、軸方向(前後方向)における2箇所それぞれにおいて、レンズガイド70と2箇所で接触している。
【0124】
左側シャフト710と一対のテーパ支持面701c、701dとの接触は、線接触である。左側シャフト710の前端面及び後端面は、レンズガイド70と当接していない。
【0125】
本実施形態の場合、左側第二支持部701a、701bのテーパ支持面701c、701dにより溝部内の空間が絞られる(浅くなる及び/又は狭くなる)ように左側溝部701がくびれた形状となっている。このため、通常状態では左側第二支持部701a、701b以外の部分で左側シャフト710と左側溝部701が接触していない。
【0126】
右側溝部702は、前後方向における1箇所に、右側第二支持部702aを有する。右側第二支持部702aは、右側溝部702の前後方向における中央部に設けられている。右側第二支持部702aは、下方に向かって凸となる曲面状の支持面702bを有する。支持面702bは、Y方向に平行な中心軸を中心とした曲面である。又、支持面702bは、X方向から見た断面において平坦状に設けられている。X方向から見た断面とは、支持面702bをYZ平面に平行な面で切断した場合の断面を意味する。又、X方向から見た断面において平坦状とは、断面においては角や凹凸、湾曲がない又はほぼないことを意味する。
【0127】
右側第二支持部702aの前後方向における位置は、左側第二支持部701aと左側第二支持部701bとの間である。又、レンズ部6を搭載したレンズガイド70の重心Gを通るZ方向に平行な直線が、右側第二支持部702a、左側第二支持部701a、及び左側第二支持部701bの位置を結んだ直線により形成される三角形の領域(図14参照)を通る。このような構成は、レンズガイド70を第二ベース5に対して安定して支持できる。
【0128】
右側溝部702には、図17図19に示すように、右側シャフト711の上半部が配置されている。右側シャフト711は、図18に示すように、右側溝部702において右側第二支持部702aに下方から当接している。右側シャフト711は、軸方向の1箇所においてレンズガイド70を下方から支持している。
【0129】
具体的には、右側シャフト711は、軸方向(前後方向)における1箇所において、右側第二支持部702aの支持面702bと当接している。支持面702bと右側シャフト711との接触は、点接触である。このような構成は、レンズガイド70を安定して移動させることができる。右側シャフト711の前端面及び後端面は、レンズガイド70と当接していない。
【0130】
本実施形態の場合、右側第二支持部702aの支持面702bにより溝部内の空間が絞られる(浅くなる及び/又は狭くなる)ように右側溝部702がくびれた形状となっている。このため、通常状態では右側第二支持部702a以外の部分で右側シャフト711と右側溝部702が接触していない。尚、レンズガイド70が前後方向に対して所定角度以上傾斜すると、右側シャフト711の上端は、後述の前側ストッパ部702c又は後側ストッパ部702dに当接する。
【0131】
又、右側溝部702は、図14に示すように、前側ストッパ部702c、及び、後側ストッパ部702dを有する。前側ストッパ部702cは、前後方向において右側第二支持部702aよりも前方に設けられている。後側ストッパ部702dは、前後方向において右側第二支持部702aよりも後方に設けられている。
【0132】
前側ストッパ部702c及び後側ストッパ部702dはそれぞれ、右側溝部702の底部から下方に突出してた凸部である。前側ストッパ部702c及び後側ストッパ部702dの上下方向における位置は、右側第二支持部702aの支持面702bの下端部(先端部)よりも上方である。
【0133】
前側ストッパ部702c及び後側ストッパ部702dは、レンズガイド70が前後方向に平行な状態では、右側シャフト711に当接しない。一方、レンズガイド70が前後方向に対して傾斜した状態(換言すれば、レンズガイド70がY方向に平行な軸を中心に回動した状態)で、前側ストッパ部702c又は後側ストッパ部702dが、右側シャフト711の上端に当接する。このように、前側ストッパ部702c及び後側ストッパ部702dは、レンズガイド70が前後方向に対して大きく傾くことを抑制している。
【0134】
左壁部703は、下端部が底壁部700の左端部に接続されたXZ平面に平行な板状である。左壁部703は、左側面(幅方向における外側面)に、第三駆動部72の左側第三マグネット730を配置するための左側第三マグネット配置部703aを有する。左側第三マグネット配置部703aは、凹部である。
【0135】
左壁部703は、前端面の左半部に複数個(本実施形態の場合、3個)の前側ダンパ保持部703b、703c、703dを有する(図13参照)。前側ダンパ保持部703b、703c、703dは、後述の衝撃吸収部76のダンパ部材77を保持するための部分である。前側ダンパ保持部703b、703c、703dはそれぞれ、環状の凸部であって、上下方向に並んで配置されている。
【0136】
左壁部703は、前端面の右半部に、前側板ばね固定部703hを有する(図13参照)。前側板ばね固定部703hには、図16に示すように、後述の左側第一衝撃吸収部76aにおける板ばね78の固定部780が固定されている。前側板ばね固定部703hは、AF時に、第二ベース5に当接しない部分である。
【0137】
左壁部703は、後端面の左半部に複数個(本実施形態の場合、3個)の後側ダンパ保持部703e、703f、703gを有する(図12参照)。後側ダンパ保持部703e、703f、703gは、後述の衝撃吸収部76のダンパ部材77を保持するための部分である。後側ダンパ保持部703e、703f、703gは、環状の凸部であって、上下方向に並んで配置されている。
【0138】
左壁部703は、後端面の右半部に、後側板ばね固定部703iを有する(図12参照)。後側板ばね固定部703iには、図15に示すように、後述の左側第二衝撃吸収部76bにおける板ばね78の固定部780が固定されている。後側板ばね固定部703iは、AF時に、第二ベース5に当接しない部分である。
【0139】
右壁部704は、下端部が底壁部700の右端部に接続されたXZ平面に平行な板状である。右壁部704は、外側面(左側面)に、第三駆動部72の右側第三マグネット740を配置するための右側第三マグネット配置部704aを有する。右側第三マグネット配置部704aは、凹部である。
【0140】
右壁部704は、前端面の右半部に複数個(本実施形態の場合、3個)の前側ダンパ保持部704b、704c、704dを有する(図13参照)。前側ダンパ保持部704b、704c、704dは、後述の衝撃吸収部76のダンパ部材77を保持するための部分である。前側ダンパ保持部704b、704c、704dは、環状の凸部であって、上下方向に並んで配置されている。
【0141】
右壁部704は、前端面の左半部に、前側板ばね固定部704hを有する(図13参照)。前側板ばね固定部704hには、図16に示すように、後述の右側第一衝撃吸収部76cにおける板ばね78の固定部780が固定されている。前側板ばね固定部704hは、AF時に、第二ベース5に当接しない部分である。
【0142】
右壁部704は、後端面の右半部に複数個(本実施形態の場合、3個)の後側ダンパ保持部704e、704f、704gを有する(図12参照)。後側ダンパ保持部704e、704f、704gは、後述の衝撃吸収部76のダンパ部材77を保持するための部分である。後側ダンパ保持部704e、704f、704gは、環状の凸部であって、上下方向に並んで配置されている。
【0143】
右壁部704は、後端面の左半部に、後側板ばね固定部704iを有する(図12参照)。後側板ばね固定部704iには、図15に示すように、後述の右側第二衝撃吸収部76dにおける板ばね78の固定部780が固定されている。後側板ばね固定部704iは、AF時に、第二ベース5に当接しない部分である。
【0144】
以上のような構成を有するレンズガイド70は、底壁部700、左壁部703、及び右壁部704により画定される空間に、レンズ部6(図1参照)を保持している。レンズガイド70は、支持機構71を介して第二ベース5に支持されている。レンズガイド70は、第二ベース5に対して軸方向に移動可能である。レンズガイド70は、移動の際、後述の支持機構71の左側シャフト710及び右側シャフト711の上を摺動しながら移動する。
【0145】
支持機構71は、第二ベース5に対してレンズガイド70を支持するための機構である。支持機構71は、既述の左側シャフト710及び右側シャフト711により構成されている。左側シャフト710及び右側シャフト711は、第一シャフト及び第二シャフトの一例に該当する。左側シャフト710及び右側シャフト711の下半部は、図17図19に示すように、第二ベース5における底壁部50の左側溝部500及び右側溝部501に配置されている。左側シャフト710及び右側シャフト711の上半部は、図17図19に示すように、レンズガイド70における底壁部700の左側溝部701及び右側溝部702に配置されている。つまり、レンズガイド70は、左側シャフト710及び右側シャフト711の上に載置されている。
【0146】
第三駆動部72は、レンズガイド70を第二光軸の方向(X方向)に移動させるためのアクチュエータである。第三駆動部72は、左側第三駆動部73、右側第三駆動部74、及び第三位置検出素子75を有する。
【0147】
左側第三駆動部73は、レンズガイド70の左壁部703と、第二ベース5における左壁部51の左側面(幅方向における外側面)に固定された左側FPC81との間に設けられている。左側第三駆動部73は、ボイスコイルモータであって、左側第三マグネット730及び左側第三コイル731を有する。
【0148】
左側第三マグネット730は、レンズガイド70の左側第三マグネット配置部703aに配置されている。左側第三マグネット730は、レンズガイド70の左側第三マグネット配置部703aに、接着等の固定手段により固定されている。
【0149】
左側第三マグネット730は、前後方向に隣り合う2個のマグネット素子からなる。これら各マグネット素子はそれぞれ、長手方向が上下方向に一致するように配置されている。又、これら各マグネット素子はそれぞれ、左右方向に着磁され、片側に一つの磁極を有する。各マグネット素子の磁極の向きは、互いに反対である。
【0150】
左側第三コイル731は、AF時に給電される長円形状のいわゆる空心コイルである。左側第三コイル731は、長軸が上下方向に一致している。左側第三コイル731は、第二ベース5の左側第三コイル配置部510に配置された状態で、左側FPC81に、接着等の固定手段により固定されている。
【0151】
左側第三コイル731は、左側第三マグネット730よりも左側(幅方向における外側)に設けられている。左側第三コイル731は、左側第三マグネット730と左右方向に所定の間隔をあけて対向している。左側第三コイル731は、右側第三コイル741及びFPC8の左側端子部810に接続されている。
【0152】
尚、本実施形態の場合、左側第三マグネット730が可動部に設けられ、左側第三コイル731が固定部に設けられている。但し、左側第三マグネット730が固定部に設けられ、左側第三コイル731が可動部に設けられてもよい。
【0153】
右側第三駆動部74は、レンズガイド70の右壁部704と、第二ベース5における右壁部52の右側面(幅方向における外側面)に固定された右側FPC82との間に設けられている。右側第三駆動部74も、ボイスコイルモータであって、右側第三マグネット740及び右側第三コイル741を有する。
【0154】
右側第三マグネット740は、レンズガイド70の右側第三マグネット配置部704aに配置されている。右側第三マグネット740は、レンズガイド70の右側第三マグネット配置部704aに、接着等の固定手段により固定されている。
【0155】
右側第三マグネット740は、前後方向に隣り合う2個のマグネット素子からなる。これら各マグネット素子はそれぞれ、長手方向が上下方向に一致するように配置されている。又、これら各マグネット素子はそれぞれ、左右方向に着磁され、片側に一つの磁極を有する。各マグネット素子の磁極の向きは、互いに反対である。
【0156】
右側第三コイル741は、AF時に給電される長円形状のいわゆる空心コイルである。右側第三コイル741は、長軸が上下方向に一致している。右側第三コイル741は、第二ベース5の右側第三コイル配置部520に配置された状態で、右側FPC82に、接着等の固定手段により固定されている。
【0157】
右側第三コイル741は、右側第三マグネット740よりも右側(幅方向における外側)に設けられている。右側第三コイル741は、右側第三マグネット740と左右方向に所定の間隔をあけて対向している。右側第三コイル741は、左側第三コイル731及びFPC8の右側端子部820に接続されている。
【0158】
尚、本実施形態の場合、右側第三マグネット740が可動部に設けられ、右側第三コイル741が固定部に設けられている。但し、右側第三マグネット740が固定部に設けられ、右側第三コイル741が可動部に設けられてもよい。
【0159】
第三位置検出素子75は、図4及び図11に示すように、左側第三コイル731の中央部に配置された状態で、左側FPC81に固定されている。第三位置検出素子75は、左側第三マグネット730と左右方向に対向している。第三位置検出素子75は、左側第三マグネット730の磁束を検出し、検出値を、センサ基板91に実装された制御部92に送る。制御部92は、第三位置検出素子75から受け取った検出値に基づいて、ホルダ31の、第二光軸に平行な方向(前後方向)の位置を求める。
【0160】
以上のような構成を有する第三駆動部72の場合、制御部92の制御下で、FPC8を介して左側第三コイル731及び右側第三コイル741に電流が流れると、左側第三マグネット730及び右側第三マグネット740を前後方向に変位させるローレンツ力が生じる。その結果、左側第三マグネット730及び右側第三マグネット730が固定されたレンズガイド70が、X方向に移動する。この際、レンズガイド70は、支持機構71の左側シャフト710及び右側シャフト711の上を摺動しながらX方向に移動する。このようにしてオートフォーカスが実行される。
【0161】
又、本実施形態に係るレンズモジュール4は、レンズガイド70が前後方向に移動して第二ベース5に衝突する際の衝撃を吸収するための衝撃吸収部76を有する。以下、衝撃吸収部76について説明する。
【0162】
衝撃吸収部76は、図15図16図20、及び図21に示すように、レンズガイド70の四隅に設けられた左側第一衝撃吸収部76a、左側第二衝撃吸収部76b、右側第一衝撃吸収部76c、及び右側第二衝撃吸収部76dにより構成されている。
【0163】
左側第一衝撃吸収部76aは、レンズガイド70の左壁部703の前端面に設けられている。左側第二衝撃吸収部76bはレンズガイド70の左壁部703の後端面に設けられている。右側第一衝撃吸収部76cは、レンズガイド70の右壁部704の前端面に設けられている。右側第二衝撃吸収部76dは、レンズガイド70の右壁部704の後端面に設けられている。
【0164】
左側第一衝撃吸収部76a、左側第二衝撃吸収部76b、右側第一衝撃吸収部76c、及び右側第二衝撃吸収部76dはそれぞれ、図20及び図21に示すように、ダンパ部材77、及び、板ばね78を有する。
【0165】
ダンパ部材77は、軟質部の一例に該当する。本実施形態の場合、左側第一衝撃吸収部76a、左側第二衝撃吸収部76b、右側第一衝撃吸収部76c、及び右側第二衝撃吸収部76dそれぞれのダンパ部材77の数は、3個である。但し、ダンパ部材77の数は、本実施形態の場合に限定されない。ダンパ部材77の材料は、例えば、接着剤、ゴム、及びモールド材(エラストマー)等の弾性を有する材料であると好ましい。
【0166】
左側第一衝撃吸収部76aのダンパ部材77はそれぞれ、レンズガイド70における左壁部703の前側ダンパ保持部703b、703c、703dに固定されている。
【0167】
左側第二衝撃吸収部76bのダンパ部材77はそれぞれ、レンズガイド70における左壁部703の後側ダンパ保持部703e、703f、703gに固定されている。
【0168】
右側第一衝撃吸収部76cのダンパ部材77はそれぞれ、レンズガイド70における右壁部704の前側ダンパ保持部704b、704c、704dに固定されている。
【0169】
右側第二衝撃吸収部76dのダンパ部材77はそれぞれ、レンズガイド70における右壁部704の後側ダンパ保持部704e、704f、704gに固定されている。
【0170】
板ばね78は、例えば、金属製であって、固定部780及び吸収部781を有する。固定部780は、レンズガイド70において、第二ベース5と当接しない部分に固定される。吸収部781は、ダンパ部材77の表面を覆っている。吸収部781は、ダンパ部材77の表面に当接している。
【0171】
吸収部781は、ダンパ部材77の表面に吸着されていてもよいし、接着剤等の固定手段によりダンパ部材77の表面に固定されていてもよい。吸収部781は、AF時に第二ベース5と当接する場合がある。又、吸収部781は、例えば、落下等によりレンズガイド70に加わる衝撃に起因して、第二ベース5と当接する場合もある。吸収部781は、第二ベース5と当接した際、弾性変形することにより、衝撃を吸収する。
【0172】
具体的には、左側第一衝撃吸収部76aの板ばね78は、レンズガイド70における左壁部703の前端面に固定されている。より具体的には、左側第一衝撃吸収部76aにおける板ばね78の固定部780は、レンズガイド70における左壁部703の前側板ばね固定部703hに固定されている。又、左側第一衝撃吸収部76aにおける板ばね78の吸収部781は、左側第一衝撃吸収部76aにおけるダンパ部材77の表面(前側面)を覆っている。左側第一衝撃吸収部76aにおける板ばね78の吸収部781は、第二ベース5における左壁部51の前側ストッパ部511(図4参照)と前後方向に対向している。
【0173】
左側第二衝撃吸収部76bの板ばね78は、レンズガイド70における左壁部703の後端面に固定されている。具体的には、左側第二衝撃吸収部76bにおける板ばね78の固定部780は、レンズガイド70における左壁部703の後側板ばね固定部703iに固定されている。又、左側第二衝撃吸収部76bにおける板ばね78の吸収部781は、左側第二衝撃吸収部76bにおけるダンパ部材77の表面(後側面)を覆っている。左側第二衝撃吸収部76bにおける板ばね78の吸収部781は、第二ベース5における左壁部51の後側ストッパ部512(図4参照)と前後方向に対向している。
【0174】
右側第一衝撃吸収部76cの板ばね78は、レンズガイド70における右壁部704の前端面に固定されている。具体的には、右側第一衝撃吸収部76cにおける板ばね78の固定部780は、レンズガイド70における右壁部704の前側板ばね固定部704hに固定されている。又、右側第一衝撃吸収部76cにおける板ばね78の吸収部781は、右側第一衝撃吸収部76cにおけるダンパ部材77の表面(前側面)を覆っている。右側第一衝撃吸収部76cにおける板ばね78の吸収部781は、第二ベース5における右壁部52の前側ストッパ部521(図3参照)と前後方向に対向している。
【0175】
右側第二衝撃吸収部76dの板ばね78は、レンズガイド70における右壁部704の後端面に固定されている。具体的には、右側第二衝撃吸収部76dにおける板ばね78の固定部780は、レンズガイド70における右壁部704の後側板ばね固定部704iに固定されている。又、右側第二衝撃吸収部76dにおける板ばね78の吸収部781は、右側第二衝撃吸収部76dにおけるダンパ部材77の表面(後側面)を覆っている。右側第二衝撃吸収部76dにおける板ばね78の吸収部781は、第二ベース5における右壁部52の後側ストッパ部522(図3参照)と前後方向に対向している。
【0176】
以上のような構成を有する衝撃吸収部76は、レンズガイド70が前後方向に移動して第二ベース5に衝突した際の衝撃を吸収する。図22A及び図22Bは、左側第一衝撃吸収部76a及び右側第一衝撃吸収部76cに相当する部分の断面図である。
【0177】
図22Aは、レンズガイド70が前後方向に移動していない状態(以下、レンズガイド70の基準状態と称する。)に対応する図である。図22Bは、レンズガイド70が、基準状態から前方に所定距離移動した状態に対応する図である。
【0178】
レンズガイド70の基準状態において、左側第一衝撃吸収部76aにおける板ばね78の吸収部781と、第二ベース5における左壁部51の前側ストッパ部511との間には、図22Aに示すように、前後方向における隙間が存在する。
【0179】
レンズガイド70の基準状態において、右側第一衝撃吸収部76cにおける板ばね78の吸収部781と、第二ベース5における右壁部52の前側ストッパ部521との間には、図22Aに示すように、前後方向における隙間が存在する。
【0180】
レンズガイド70が、基準状態から前方に所定距離移動すると、図22Bに示すように、左側第一衝撃吸収部76aにおける板ばね78の吸収部781が、第二ベース5における左壁部51の前側ストッパ部511に当接するとともに、右側第一衝撃吸収部76cにおける板ばね78の吸収部781が、第二ベース5における右壁部52の前側ストッパ部521に衝突する。
【0181】
このような衝突の際、左側第一衝撃吸収部76aにおける板ばね78の吸収部781及び右側第一衝撃吸収部76cにおける板ばね78の吸収部781が弾性変形するとともに、左側第一衝撃吸収部76aのダンパ部材77及び右側第一衝撃吸収部76cのダンパ部材77が弾性変形することにより、上記衝突に伴う衝撃を吸収する。
【0182】
一方、図示は省略するが、レンズガイド70が後方に所定距離移動すると、左側第二衝撃吸収部76bにおける板ばね78の吸収部781が、第二ベース5における左壁部51の後側ストッパ部512に当接するとともに、右側第二衝撃吸収部76dにおける板ばね78の吸収部781が、第二ベース5における右壁部52の後側ストッパ部522に衝突する。
【0183】
このような衝突の際、左側第二衝撃吸収部76bにおける板ばね78の吸収部781及び右側第二衝撃吸収部76dにおける板ばね78の吸収部781が弾性変形するとともに、左側第二衝撃吸収部76bのダンパ部材77及び右側第二衝撃吸収部76dのダンパ部材77が弾性変形することにより、上記衝突に伴う衝撃を吸収する。
【0184】
上述のレンズモジュール4の場合、FPC8を介してAF装置7の左側第三コイル731及び右側第三コイル741に電流が流れると、左側第三コイル731及び右側第三コイル741を光軸の方向(X方向)に変位させるローレンツ力が生じる。
【0185】
すると、左側第三コイル731及び右側第三コイル741はレンズガイド70に固定されているため、上記ローレンツ力に基づいてレンズガイド70が、光軸の方向(X方向)に移動する。尚、左側第三コイル731及び右側第三コイル741に流れる電流の向きを制御することにより、レンズガイド70の移動方向が切り換わる。このようにしてオートフォーカスが行われる。
【0186】
以上のような構成を有する本実施形態に係るカメラモジュール1の場合、製品サイズの小型化を図れる。この理由について、図8Bを参照して説明する。先ず、従来構造のようにプリズム22の揺動中心C1がホルダ31の下面に配置されている場合、揺動中心C1からプリズム22の上面において揺動中心C1から最も遠い位置である角部P1までの距離は、R1である。よって、プリズム22が揺動中心C1を通り左右方向(Y方向)に平行な軸を中心に揺動する場合、角部P1の回転半径は、R1である。
【0187】
一方、本実施形態の場合、プリズム22の揺動中心C2は、ボール321の中心である。揺動中心C2がホルダ31の搭載面310の中央付近に配置されている場合、揺動中心C2から角部P1までの距離は、R2である。よって、プリズム22が揺動中心C2を通り左右方向(Y方向)に平行な軸を中心に揺動する場合、角部P1の回転半径は、R2である。図8Bに示すように、回転半径R2は、回転半径R1よりも小さい。このため、プリズム22の揺動角が同じ場合、本実施形態のカメラモジュール1に係る角部P1の移動距離は、従来構造のカメラモジュールに係る角部P1の移動距離よりも短くなる。角部P1の移動距離が大きいと、角部P1の周辺に配置される部材は、角部P1の移動軌跡を避けるように配置されるため、製品サイズが大型化する可能性がある。一方、本実施形態の場合、角部P1の移動距離が小さいため、角部P1の周辺に配置される部材を、角部P1に比較的近づけて配置できる。この結果、製品サイズの小型化を図れる。
【0188】
又、本実施形態に係るカメラモジュール1の場合、レンズモジュール4が、上述の衝撃吸収部76を備えている。衝撃吸収部76は、上述のように、レンズガイド70が第二ベース5に衝突する際の衝撃を吸収する。特に、本実施形態の場合、上記衝突時に、図22Bに示すように、衝撃吸収部76における板ばね78の吸収部781が、第二ベース5に衝突する。板ばね78は、金属製であって比較的硬度が高い材料により構成されている。このため、ダンパ部材77が第二ベース5に直接当接する場合と比べて、衝撃吸収部76の耐久性を向上できる。この結果、衝撃吸収部76の損傷を抑制できる。
【0189】
又、本実施形態に係るカメラモジュール1の場合、レンズガイド70は、左側シャフト710及び右側シャフト711により第二ベース5に支持されている。このような支持機構は、レンズガイドをボールにより支持する構成と比べて耐久性が高い。又、このような構成は、レンズガイドをボールにより支持する構成と比べて、レンズガイドを安定して支持できる。
【0190】
又、左側シャフト710は、軸方向(前後方向)における2箇所それぞれにおいて、レンズガイド70の左側第二支持部701a、701bと幅方向における2箇所で接触している。一方、右側シャフト711は、軸方向(前後方向)における1箇所において、レンズガイド70の右側第二支持部702aと幅方向における1箇所で接触している。このような構成は、レンズガイド70の寸法のばらつきの影響により組付け状態においてレンズガイド70が傾斜することを抑制できる。この結果、第二ベース5に対するレンズガイド70の姿勢が安定する。
【0191】
(付記)
以上、本発明を実施形態に基づいて具体的に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
【0192】
上述の各実施形態では、カメラモジュール1を備えるカメラ搭載装置の一例として、カメラ付き携帯端末であるスマートフォンM(図23A及び図23B参照)を挙げて説明したが、本発明は、カメラモジュールとカメラモジュールで得られた画像情報を処理する画像処理部を有するカメラ搭載装置に適用できる。カメラ搭載装置は、情報機器及び輸送機器を含む。情報機器は、例えば、カメラ付き携帯電話機、ノート型パソコン、タブレット端末、携帯型ゲーム機、webカメラ、及びカメラ付き車載装置(例えば、バックモニター装置、ドライブレコーダー装置)を含む。又、輸送機器は、例えば自動車を含む。
【0193】
図24A及び図24Bは、車載用カメラモジュールVC(Vehicle Camera)を搭載するカメラ搭載装置としての自動車Vを示す図である。図24Aは自動車Vの正面図であり、図24Bは自動車Vの後方斜視図である。自動車Vは、車載用カメラモジュールVCとして、実施の形態で説明したカメラモジュール1を搭載する。図24A及び図24Bに示すように、車載用カメラモジュールVCは、例えば前方に向けてフロントガラスに取り付けられたり、後方に向けてリアゲートに取り付けられたりする。この車載用カメラモジュールVCは、バックモニター用、ドライブレコーダー用、衝突回避制御用、及び自動運転制御用等として使用される。
【産業上の利用可能性】
【0194】
本発明に係る光学アクチュエータ及びカメラモジュールは、たとえば、スマートフォン、携帯電話機、デジタルカメラ、ノート型パソコン、タブレット端末、携帯型ゲーム機、車載カメラなどの薄型のカメラ搭載装置に搭載できる。
【符号の説明】
【0195】
1 カメラモジュール
2 光路屈曲モジュール
21 第一ベース
210 第一ベース本体
211 底壁部
211a 第二コイル配置部
212 左壁部
212a 左側第一コイル配置部
213 右壁部
213a 右側第一コイル配置部
214 支持壁部
214a 後壁部
214b 支持部
214c 凸部側テーパ面
22 プリズム
3 振れ補正装置
31 ホルダ
310 搭載面
311 左側第一マグネット配置部
312 右側第一マグネット配置部
313 第二マグネット配置部
314 凹部
314a 凹部側テーパ面
314b ばね固定部
314c 係止凸部
32 揺動支持部
321 ボール
322 付勢ばね
323 外側固定部
323a 左側固定部
323b 右側固定部
324 内側固定部
324a 中心孔
324b 係止孔
325 接続部
325a、325b 左側接続部
325c、325d 右側接続部
33 第一駆動部
34 左側第一駆動部
340 左側第一マグネット
341 左側第一コイル
35 右側第一駆動部
350 右側第一マグネット
351 右側第一コイル
36 第一位置検出素子
37 第二駆動部
370 第二マグネット
371 第二コイル
372 第二位置検出素子
4 レンズモジュール
5 第二ベース
50 底壁部
500 左側溝部
500a、500b 左側第一支持部
500c、500d テーパ支持面
501 右側溝部
501a、501b 右側第一支持部
501c、501d テーパ支持面
502 左側ヨーク
503 右側ヨーク
51 左壁部
510 左側第三コイル配置部
511 前側ストッパ部
512 後側ストッパ部
52 右壁部
520 右側第三コイル配置部
521 前側ストッパ部
522 後側ストッパ部
53 前壁部
6 レンズ部
7 AF装置
70 レンズガイド
700 底側壁
701 左側溝部
701a、701b 左側第二支持部
701c、701d テーパ支持面
702 右側溝部
702a 右側第二支持部
702b 支持面
702c 前側ストッパ部
702d 後側ストッパ部
703 左壁部
703a 左側第三マグネット配置部
703b、703c、703d 前側ダンパ保持部
703e、703f、703g 後側ダンパ保持部
703h 前側板ばね固定部
703i 後側板ばね固定部
704 右壁部
704a 右側第三マグネット配置部
704b、704c、704d 前側ダンパ保持部
704e、704f、704g 後側ダンパ保持部
704h 前側板ばね固定部
704i 後側板ばね固定部
71 支持機構
710 左側シャフト
711 右側シャフト
72 第三駆動部
73 左側第三駆動部
730 左側第三マグネット
731 左側第三コイル
74 右側第三駆動部
740 右側第三マグネット
741 右側第三コイル
75 第三位置検出素子
76 衝撃吸収部
76a 左側第一衝撃吸収部
76b 左側第二衝撃吸収部
76c 右側第一衝撃吸収部
76d 右側第二衝撃吸収部
77 ダンパ部材
78 板ばね
780 固定部
781 吸収部
8 FPC
81 左側FPC
810 左側端子部
82 右側FPC
820 右側端子部
83 下側FPC
9 撮像素子モジュール
90 撮像素子
91 センサ基板
92 制御部
93 カバー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
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図20
図21
図22A
図22B
図23A
図23B
図24A
図24B