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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-11
(45)【発行日】2023-05-19
(54)【発明の名称】換気装置
(51)【国際特許分類】
   F24F 7/007 20060101AFI20230512BHJP
   F24F 13/02 20060101ALI20230512BHJP
   F24F 7/08 20060101ALI20230512BHJP
   F24F 13/22 20060101ALI20230512BHJP
   F24F 11/86 20180101ALI20230512BHJP
   F24F 11/83 20180101ALI20230512BHJP
   F24F 11/81 20180101ALI20230512BHJP
【FI】
F24F7/007 B
F24F13/02 G
F24F7/08 101J
F24F7/08 101Z
F24F7/08 101M
F24F13/22 221
F24F11/86
F24F11/83
F24F11/81
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022012802
(22)【出願日】2022-01-31
【審査請求日】2022-10-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】増田 文香
(72)【発明者】
【氏名】中野 晃宏
(72)【発明者】
【氏名】高橋 健
【審査官】岩瀬 昌治
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-079655(JP,A)
【文献】特開2001-091021(JP,A)
【文献】国際公開第2019/193680(WO,A1)
【文献】特開2006-084044(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 7/007
F24F 13/02
F24F 7/08
F24F 13/22
F24F 11/86
F24F 11/83
F24F 11/81
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
室外空気を天井裏空間(8)に配置されるダクト(D3)を通じて室内空間(5)に供給するための給気路(13)と、室内空気を室外に排出するための排気路(14)とが形成されるケーシング(12)と、
前記給気路(13)に配置される給気ファン(22)と、
前記排気路(14)に配置される排気ファン(23)と、
前記給気路(13)を流れる空気と前記排気路(14)を流れる空気とを熱交換させる第1熱交換器(21)と、
圧縮機(82)と、前記給気路(13)における前記第1熱交換器(21)の下流側に配置される蒸発器としての第2熱交換器(52)とを有する冷媒回路(R)と、
前記室外空気を前記第2熱交換器(52)で冷却し、前記ダクト(D3)を通じて室内空間(5)に供給する運転時に、前記天井裏空間(8)の空気の温度および湿度に基づき前記ダクト(D3)に供給される吹出空気の温度を調節する制御部(100)とを備える
換気装置。
【請求項2】
前記制御部(100)は、前記天井裏空間(8)の空気の温度および湿度と、前記室内空間(5)の空気の温度および湿度とに基づき前記吹出空気の温度を調節する
請求項1に記載の換気装置。
【請求項3】
前記制御部(100)は、前記天井裏空間(8)の空気、および前記室内空間(5)の空気のうち、結露がしやすい方の空気の温度および湿度に基づいて前記吹出空気の温度を調節する
請求項1または2に記載の換気装置。
【請求項4】
前記制御部(100)は、前記天井裏空間(8)の空気の温度及び湿度に基づき前記蒸発器としての前記第2熱交換器(52)の冷媒の蒸発温度を調節することで前記吹出空気の温度を調節する
請求項1~3のいずれか1つに記載の換気装置。
【請求項5】
前記制御部(100)は、前記天井裏空間(8)の空気の温度および湿度に基づき前記圧縮機(82)の回転数を調節することで前記吹出空気の温度を調節する
請求項1~4のいずれか1つに記載の換気装置。
【請求項6】
前記蒸発器としての前記第2熱交換器(52)を通過した空気を加熱する再熱動作を行う加熱部(52b)を備え、
前記制御部(100)は、前記天井裏空間(8)の空気の温度および湿度に基づき、前記加熱部(52b)による前記再熱動作を制御することで前記吹出空気の温度を調節する
請求項1~3のいずれか1つに記載の換気装置。
【請求項7】
前記制御部(100)は、前記天井裏空間(8)の空気の温度および湿度に基づき、前記給気ファン(22)の風量を調節することで前記吹出空気の温度を調節する
請求項1~3のいずれか1つに記載の換気装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、換気装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示された換気装置は、給気ファンと、排気ファンと、第1熱交換器(全熱熱交換素子)と、第2熱交換器(室内熱交換器)とを備える。給気ファンおよび排気ファンが運転されると、第1熱交換器において室内空気と室外空気とが熱交換する。第1熱交換器で熱交換した室外空気は、第2熱交換器で冷却または加熱された後、室内へ供給される。第1熱交換器で熱交換した室内空気は、室外へ排出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-75117号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のような換気装置は、天井裏に配置されるダクトを通じて室内空間へ空気を供給する。ここで、換気装置の第2熱交換器を蒸発器として空気を冷却する場合、比較的低温の空気がダクトを流れる。天井裏空間の空気の温度や湿度が比較的高い場合、この空気の露点温度が高くなる。このため、ダクトの表面において天井裏空間の空気中の水分が結露してしまうという問題があった。
【0005】
本開示の目的は、天井裏空間に配置されたダクト表面での結露を抑制できる換気装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様は、室外空気を天井裏空間(8)に配置されるダクト(D3)を通じて室内空間(5)に供給するための給気路(13)と、室内空気を室外に排出するための排気路(14)とが形成されるケーシング(12)と、前記給気路(13)に配置される給気ファン(22)と、前記排気路(14)に配置される排気ファン(23)と、前記給気路(13)を流れる空気と前記排気路(14)を流れる空気とを熱交換させる第1熱交換器(21)と、圧縮機(82)と、前記給気路(13)における前記第1熱交換器(21)の下流側に配置される蒸発器としての第2熱交換器(52)とを有する冷媒回路(R)と、前記天井裏空間(8)の空気の温度および湿度に基づき前記ダクト(D3)に供給される吹出空気の温度を調節する制御部(100)とを備える換気装置である。
【0007】
第1の態様では、制御部(100)が、天井裏空間(8)の空気の温度および湿度に基づき、ダクト(D3)に供給される吹出空気の温度を調節する。ここで、天井裏空間(8)の空気の温度および湿度は、天井裏空間(8)の空気の結露のしやすさを示す指標となる。しがって、この制御により吹出温度を調節することで、ダクト(D3)の表面での結露を抑制できる。
【0008】
第2の態様は、第1の発明において、前記制御部(100)は、前記天井裏空間(8)の空気の温度および湿度と、前記室内空間(5)の空気の温度および湿度とに基づき前記吹出空気の温度を調節する。
【0009】
第2の態様では、制御部(100)が、天井裏空間(8)の空気の温度および湿度だけでなく、室内空間(5)の空気の温度および湿度に基づき、吹出空気の温度を調節する。ここで、室内空間(5)の空気の温度および湿度は、室内空間(5)の空気の結露のしやすさを示す指標となる。したがって、この制御により吹出温度を調節することで、さらに室内空間(5)での結露を抑制できる。
【0010】
第3の態様は、第1または第2の発明において、前記制御部(100)は、前記天井裏空間(8)の空気、および前記室内空間(5)の空気のうち、結露がしやすい方の空気の温度および湿度に基づいて前記吹出空気の温度を調節する。
【0011】
第3の態様では、制御部(100)が、天井裏空間(8)の空気、および室内空間(5)の空気のうち、結露がしやすい方の空気の温度および湿度に基づいて吹出温度を調節する。この制御により、結露がしやすい方の空気の結露を抑制できれば、もう一方の空気の結露を抑制できる。したがって、この制御により、ダクト(D3)の表面での結露、および室内空間(5)での結露の双方を抑制できる。
【0012】
第4の態様は、第1~第3のいずれか1つの態様において、前記制御部(100)は、前記天井裏空間(8)の空気の温度及び湿度に基づき前記蒸発器としての第2熱交換器(52)の冷媒の蒸発温度を調節することで前記吹出空気の温度を調節する。
【0013】
第4の態様では、第2熱交換器(52)の冷媒の蒸発温度を調節することで、吹出空気の温度を調節でき、さらにはダクト(D3)の表面での結露を抑制できる。
【0014】
第5の態様は、第1~第3のいずれか1つの態様において、前記制御部(100)は、前記天井裏空間(8)の空気の温度および湿度に基づき前記圧縮機(82)の回転数を調節することで前記吹出空気の温度を調節する。
【0015】
第5の態様では、制御部(100)が圧縮機(82)の回転数を調節することで、吹出空気の温度を調節でき、さらにはダクト(D3)の表面での結露を抑制できる。
【0016】
第6の態様は、前記蒸発器としての前記第2熱交換器(52)を通過した空気を加熱する再熱動作を行う加熱部(52b)を備え、前記制御部(100)は、前記天井裏空間(8)の空気の温度および湿度に基づき、前記加熱部(52b)による前記再熱動作を制御することで前記吹出空気の温度を調節する。
【0017】
第6の態様では、蒸発器としての第2熱交換器(52)で冷却された空気を、再熱動作を行う加熱部(52b)によって加熱することで、この空気を除湿できる。制御部(100)が加熱部(52b)による再熱動作を制御することで、吹出空気の温度を調節でき、ひいてはダクト(D3)の表面での結露を抑制できる。
【0018】
第7の態様は、前記制御部(100)は、前記天井裏空間(8)の空気の温度および湿度に基づき、前記給気ファン(22)の風量を調節することで前記吹出空気の温度を調節する。
【0019】
第7の態様では、制御部(100)が給気ファン(22)の風量を調節することで吹出空気の温度を調節でき、さらにはダクト(D3)の表面での結露を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、実施形態に係る換気装置が設けられる建物の概略の構成図である。
図2図2は、換気装置の冷媒回路の概略の構成図である。
図3図3は、換気装置の内部構造を示す縦断面図である。
図4図4は、換気装置のブロック図である。
図5図5は、結露抑制制御のフローチャートである。
図6図6は、第1空気および第2空気に基づく制御について、条件、条件の内容、ステータス、および制御内容の関係を表した表である。
図7図7は、変形例2の結露抑制制御のフローチャートである。
図8図8は、変形例3の結露抑制制御のフローチャートである。
図9図9は、変形例4の結露抑制制御のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
《実施形態》
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本開示は、以下に示される実施形態に限定されるものではなく、本開示の技術的思想を逸脱しない範囲内で各種の変更が可能である。各図面は、本開示を概念的に説明するためのものであるから、理解の容易のために必要に応じて寸法、比、または数を、誇張あるいは簡略化して表す場合がある。
【0022】
(1)換気装置の概要
本開示の換気装置(10)は、室内空間(5)を換気する。図1に示すように、換気装置(10)は、一般家屋などの建物の室内空間(5)を換気する。換気装置(10)は、室外空間(6)の室外空気(OA)を供給空気(SA)として室内に供給する。同時に、換気装置(10)は、室内空間(5)の室内空気(RA)を排出空気(EA)として室外に排出する。ここでいう「室内空間」は、居間などの居室と、廊下などの非居室とを含む。換気装置(10)は、室内空間(5)の空気の温度を調節する。
【0023】
換気装置(10)は、換気ユニット(11)を有する。換気ユニット(11)は、天井裏空間(8)に配置される。換気ユニット(11)は、ケーシング(12)を有する。図3に示すように、ケーシング(12)には、給気路(13)と排気路(14)が形成される。換気ユニット(11)は、給気ファン(22)、排気ファン(23)、全熱交換器(21)、および利用熱交換器(52)を有する。
【0024】
図2に示すように、換気装置(10)は、熱源ユニット(80)を有する。熱源ユニット(80)と、利用熱交換器(52)とは、第1連絡配管(86)および第2連絡配管(87)を介して接続される。この配管の接続により、冷媒回路(R)が構成される。冷媒回路(R)には、冷媒が充填される。冷媒は、例えばR32(ジフルオロメタン)である。冷媒回路(R)は、冷媒が循環することで冷凍サイクルを行う。第1連絡配管(86)は、ガス側の連絡配管である。第2連絡配管(87)は、液側の連絡配管である。
【0025】
(2)ダクト
図1に示すように、換気ユニット(11)には、外気ダクト(D1)、排気ダクト(D2)、および給気ダクト(D3)が接続される。外気ダクト(D1)の流入端は室外空間(6)に繋がる。外気ダクト(D1)の流出端は給気路(13)の流入端に繋がる。排気ダクト(D2)の流入端は排気路(14)の流出端に繋がる。排気ダクト(D2)の流出端は室外空間(6)に繋がる。給気ダクト(D3)の流入端は給気路(13)の流出端に繋がる。給気ダクト(D3)の流出端は室内空間(5)に繋がる。
【0026】
(3)熱源ユニット
図2に示す熱源ユニット(80)は、室外空間(6)に配置される。熱源ユニット(80)は、熱源ファン(81)を有する。熱源ユニット(80)は、冷媒回路(R)の要素として、圧縮機(82)、熱源熱交換器(83)、切換機構(84)および膨張弁(85)を有する。
【0027】
圧縮機(82)は、吸入した冷媒を圧縮する。圧縮機(82)は、圧縮した冷媒を吐出する。圧縮機(82)は、インバータ式である。
【0028】
熱源熱交換器(83)は、フィンアンドチューブ式の空気熱交換器である。熱源熱交換器(83)は、その内部を流れる冷媒と室外空気とを熱交換させる室外熱交換器である。
【0029】
熱源ファン(81)は、熱源熱交換器(83)の近傍に配置される。本例の熱源ファン(81)は、プロペラファンである。熱源ファン(81)は、熱源熱交換器(83)を通過する空気を搬送する。
【0030】
切換機構(84)は、冷房サイクルである第1冷凍サイクルと、暖房サイクルである第2冷凍サイクルとを切り換えるように、冷媒回路(R)の流路を変更する。切換機構(84)は、四方切換弁である。切換機構(84)は、第1ポート(84a)、第2ポート(84b)、第3ポート(84c)、および第4ポート(84d)を有する。切換機構(84)の第1ポート(84a)は、圧縮機(82)の吐出部と繋がる。切換機構(84)の第2ポート(84b)は、圧縮機(82)の吸入部と繋がる。切換機構(84)の第3ポート(84c)は、第1連絡配管(86)を介して利用熱交換器(52)のガス側端部と繋がる。切換機構(84)の第4ポート(84d)は、熱源熱交換器(83)のガス側端部と繋がる。
【0031】
切換機構(84)は、第1状態と第2状態とに切り換わる。第1状態(図2の実線で示す状態)の切換機構(84)は、第1ポート(84a)と第4ポート(84d)とを連通し且つ第2ポート(84b)と第3ポート(84c)とを連通する。第2状態(図2の破線で示す状態)の切換機構(84)は、第1ポート(84a)と第3ポート(84c)とを連通し、第2ポート(84b)と第4ポート(84d)とを連通する。
【0032】
膨張弁(85)は、一端が熱源熱交換器(83)の液側端部と繋がり、他端が第2連絡配管(87)を介して利用熱交換器(52)の液側端部と繋がる。膨張弁(85)は、その開度が調節可能な電子膨張弁である。
【0033】
(4)換気ユニットの詳細構造
(4-1)ケーシング
図1および図3に示すように、ケーシング(12)は、天井裏空間(8)に配置される。ケーシング(12)は、直方体状に形成される。ケーシング(12)は天井(7)に沿うように延びている。ケーシング(12)は、上板(12a)と下板(12b)と4つの側板とを有する。4つの側板は、互いに対向する第1側板(12c)と第2側板(12d)を含む。
【0034】
上板(12a)は、ケーシング(12)の上面を構成する。下板(12b)は、ケーシング(12)の下面を構成する。第1側板(12c)は、ケーシング(12)の長手方向の一端側の側面を構成する。第2側板(12d)は、ケーシング(12)の長手方向の他端側の側面を構成する。
【0035】
第1側板(12c)には、第1ダクト接続部(C1)および第2ダクト接続部(C2)が設けられる。第1ダクト接続部(C1)および第2ダクト接続部(C2)は筒状に形成される。第1ダクト接続部(C1)および第2ダクト接続部(C2)は、第1側板(12c)の外面から側方に突出する。第1ダクト接続部(C1)には、外気ダクト(D1)の流出端が接続される。第2ダクト接続部(C2)には、排気ダクト(D2)の流入端が接続される。
【0036】
第2側板(12d)には、第3ダクト接続部(C3)が設けられる。第3ダクト接続部(C3)は筒状に形成される。第3ダクト接続部(C3)は、第2側板(12d)の外面から側方に突出する。第3ダクト接続部(C3)には,給気ダクト(D3)の流入端が接続される。
【0037】
ケーシング(12)の下板(12b)には、室内パネル(15)が設けられる。図1および図3に示すように、室内パネル(15)は、天井(7)を貫通する開口(7a)の内部に設けられる。室内パネル(15)は室内空間(5)に面する。室内パネル(15)には、吸込口(15a)が形成される。吸込口(15a)は、室内空間(5)と排気路(14)の流入端とを互いに連通させる。
【0038】
図1に示すように、天井(7)には、給気口(9)が形成される。給気口(9)は、給気ダクト(D3)の流出端が接続する。給気口(9)は、室内空間(5)に面する。給気ダクト(D3)を通過した空気は、給気口(9)を通じて室内空間(5)に吹き出される。
【0039】
(4-2)仕切板
図3に示すように、ケーシング(12)の内部には、第1仕切板(16)と第2仕切板(17)とが設けられる。第1仕切板(16)は、第1側板(12c)寄りに形成される。第2仕切板(17)は、上板(12a)寄りに形成される。ケーシング(12)の内部には、第1流路(P1)、第2流路(P2)、第3流路(P3)、および第4流路(P4)が形成される。
【0040】
第1流路(P1)は、第1側板(12c)と第1仕切板(16)と全熱交換器(21)との間に形成される。第1流路(P1)は、給気路(13)のうち全熱交換器(21)の上流側の流路を構成する。第1流路(P1)は、第1ダクト接続部(C1)と連通する。
【0041】
第2流路(P2)は、上板(12a)と第1仕切板(16)と第2仕切板(17)と全熱交換器(21)との間に形成される。第3流路(P3)は、第2流路(P2)の流出端と連通口(18)を介して接続する。第3流路(P3)は、第2流路(P2)よりもケーシング(12)の幅方向の奥側に形成される。第2流路(P2)および第3流路(P3)は、排気路(14)のうち全熱交換器(21)の下流側の流路を構成する。第3流路(P3)は、第2ダクト接続部(C2)と連通する。
【0042】
第4流路(P4)は、上板(12a)と第2側板(12d)と下板(12b)と第2仕切板(17)と全熱交換器(21)との間に形成される。第4流路(P4)は、給気路(13)のうち全熱交換器(21)の下流側の流路を構成する。第4流路(P4)は、第3ダクト接続部(C3)と連通する。
【0043】
(4-3)全熱交換器
全熱交換器(21)は、本開示の第1熱交換器に対応する。全熱交換器(21)は、給気路(13)を流れる空気と排気路(14)を流れる空気とを熱交換させる。全熱交換器(21)は直方体状に形成される。全熱交換器(21)は、その下面が下板(12b)に沿うように配置される。図3において模式的に示すように、全熱交換器(21)の内部には、給気側内部流路(21a)と、排気側内部流路(21b)とが形成される。給気側内部流路(21a)と排気側内部流路(21b)とは、互いに直交する。
【0044】
給気側内部流路(21a)の流入部は、第1流路(P1)に繋がる。給気側内部流路(21a)の流出部は、第4流路(P4)に繋がる。排気側内部流路(21b)の流入部は、吸込口(15a)に繋がる。排気側内部流路(21b)の流出部は、第2流路(P2)に繋がる。
【0045】
全熱交換器(21)は、給気側内部流路(21a)の空気と、排気側内部流路(21b)の空気との間で熱を移動させる。全熱交換器(21)は、給気側内部流路(21a)の空気と、排気側内部流路(21b)の空気との間で水分を移動させる。このように、全熱交換器(21)は、給気側内部流路(21a)の空気と、排気側内部流路(21b)の空気との間で、潜熱および顕熱を交換させる。
【0046】
(4-4)給気ファンおよび排気ファン
給気ファン(22)は、第4流路(P4)に配置される。給気ファン(22)は、第4流路(P4)における利用熱交換器(52)の上流側に配置される。排気ファン(23)は、第2流路(P2)に配置される。給気ファン(22)は、給気路(13)の空気を搬送する。排気ファン(23)は、排気路(14)の空気を搬送する。給気ファン(22)および排気ファン(23)は、シロッコ型である。給気ファン(22)および排気ファン(23)は、ターボ型やプロペラ型であってもよい。給気ファン(22)および排気ファン(23)は、各々の回転軸が上下に延びる。給気ファン(22)および排気ファン(23)は、上下方向に互いに隣接して配置される。
【0047】
給気ファン(22)の第1モータ(M1)の回転数は可変である。第1モータ(M1)は、制御回路により回転数が調節されるDCファンモータである。給気ファン(22)は、その風量が可変に構成される。排気ファン(23)の第2モータ(M2)の回転数は可変である。第2モータ(M2)は、制御回路により回転数が調節されるDCファンモータである。排気ファン(23)は、その風量が可変に構成される。
【0048】
(4-5)利用熱交換器
利用熱交換器(52)は、本開示の第2熱交換器に対応する。利用熱交換器(52)は、給気路(13)における全熱交換器(21)の下流側に配置される。図2に示すように、利用熱交換器(52)は、第1熱交換部(52a)、第2熱交換部(52b)、および減圧弁(52c)を有する。第1熱交換部(52a)および第2熱交換部(52b)は、減圧弁(52c)が設けられた冷媒配管を介して互いに接続される。
【0049】
第1熱交換部(52a)および第2熱交換部(52b)は、その内部を流れる冷媒と、給気路(13)を流れる空気とを熱交換させる。第1熱交換部(52a)および第2熱交換部(52b)は、フィンアンドチューブ式の空気熱交換器である。
【0050】
減圧弁(52c)は、冷媒を減圧する。減圧弁(52c)は、その開度が調節可能な電子膨張弁である。減圧弁(52c)は、電磁弁であってもよい。減圧弁(52c)が電磁弁である場合、減圧弁(52c)は、全開状態と、冷媒を減圧するように開度を小さくする状態とに切り換わる。
【0051】
(5)センサ
図2および図4にも示すように、換気装置(10)は、複数の冷媒センサと、複数の空気センサとを有する。
【0052】
複数の冷媒センサは、第1冷媒温度センサ(111)を含む。第1冷媒温度センサ(111)は、蒸発器として機能する利用熱交換器(52)の蒸発温度Teを検出する。なお、冷媒センサは、冷媒回路(R)の低圧圧力を検出する低圧圧力センサを有してもよい。蒸発温度Teは、低圧圧力に相当する飽和温度によって求められてもよい。
【0053】
複数の空気センサは、第1温度センサ(125)、第1湿度センサ(126)、第2温度センサ(123)、第2湿度センサ(124)、第3温度センサ(121)、第3湿度センサ(122)、第4温度センサ(127)、および第4湿度センサ(128)を含む。
【0054】
図1に示すように、第1温度センサ(125)および第1湿度センサ(126)は、天井裏空間(8)に配置される。第1温度センサ(125)および第1湿度センサ(126)は、第3ダクト接続部(C3)付近に配置される。言い換えると、第1温度センサ(125)および第1湿度センサ(126)は、給気ダクト(D3)付近に配置される。第1温度センサ(125)は、天井裏空間(8)の空気である第1空気の温度を検出する。第1湿度センサ(126)は、天井裏空間(8)の空気である第1空気の湿度を検出する。厳密には、第1湿度センサ(126)は、第1空気の相対湿度を検出する。第1湿度センサ(126)は、第1空気の絶対湿度を検出してもよい。第1温度センサ(125)および第1湿度センサ(126)は、天井裏空間(8)に配置されていればよく、例えば排気ダクト(D2)付近に配置されてもよい。
【0055】
図1に示すように、第2温度センサ(123)および第2湿度センサ(124)は、室内空間(5)に配置される。第2温度センサ(123)および第2湿度センサ(124)は、例えば吸込口(15a)の付近に配置される。第2温度センサ(123)は、第2空気である室内空間(5)の室内空気(RA)の温度を検出する。第2湿度センサ(124)は、室内空気(RA)の湿度を検出する。厳密には、第2湿度センサ(124)は、室内空気(RA)の相対湿度を検出する。第2湿度センサ(124)は、室内空気(RA)の絶対湿度を検出してもよい。
【0056】
図2に示すように、第3温度センサ(121)および第3湿度センサ(122)は、熱源ユニット(80)に設けられる。第3温度センサ(121)は、室外空気(OA)の温度を検出する。第3湿度センサ(122)は、室外空気(OA)の湿度を検出する。厳密には、第3湿度センサ(122)は、室外空気(OA)の相対湿度を検出する。第3湿度センサ(122)は、室外空気(OA)の絶対湿度を検出してもよい。
【0057】
図3に示すように、第4温度センサ(127)および第4湿度センサ(128)は、換気ユニット(11)のケーシング(12)の内部に設けられる。第4温度センサ(127)および第4湿度センサ(128)は、給気路(13)における全熱交換器(21)と利用熱交換器(52)との間に配置される。厳密には、第4温度センサ(127)および第4湿度センサ(128)は、給気路(13)における全熱交換器(21)と給気ファン(22)との間に配置される。第4温度センサ(127)は、全熱交換器(21)を通過した後、且つ利用熱交換器(52)を通過する前の空気の温度を検出する。第4湿度センサ(128)は、全熱交換器(21)を通過した後、且つ利用熱交換器(52)を通過する前の空気の湿度を検出する。厳密には、第4湿度センサ(128)は、この空気の相対湿度を検出する。第4湿度センサ(128)は、この空気の絶対湿度を検出してもよい。
【0058】
(6)制御部
換気装置(10)は、制御部(100)を有する。図2および図4に示すように、制御部(100)は、第1制御装置(101)と第2制御装置(102)とを含む。第1制御装置(101)は、熱源ユニット(80)に設けられる。第2制御装置(102)は、換気ユニット(11)に設けられる。第1制御装置(101)と第2制御装置(102)とは、通信線(W)によって互いに接続される。通信線(W)は有線または無線である。
【0059】
第1制御装置(101)および第2制御装置(102)のそれぞれは、MCU(Micro Control Unit,マイクロコントローラユニット)、電気回路、電子回路を含む。MCUは、CPU(Central Processing Unit,中央演算処理装置)、メモリ、通信インターフェースを含む。メモリには、CPUが実行するための各種のプログラムが記憶されている。
【0060】
第1制御装置(101)は、圧縮機(82)、熱源ファン(81)、切換機構(84)、および膨張弁(85)を制御する。第1制御装置(101)は、第3温度センサ(121)および第3湿度センサ(122)の検出値を受信する。第1制御装置(101)は、室外空気(OA)の温度、および室外空気の相対湿度に基づいて室外空気(OA)の絶対湿度を求める。
【0061】
第2制御装置(102)は、給気ファン(22)および排気ファン(23)を制御する。具体的には、本実施形態の第2制御装置(102)は、給気ファン(22)の風量が目標風量になるように、第1モータ(M1)の回転数を制御する。第2制御装置(102)は、排気ファン(23)の風量が目標風量になるように第2モータ(M2)の回転数を制御する。このように、本実施形態の給気ファン(22)および排気ファン(23)は、いわゆる風量一定制御方式によって制御される。
【0062】
第2制御装置(102)は、第2温度センサ(123)、第2湿度センサ(124)、第1温度センサ(125)、第1湿度センサ(126)、第4温度センサ(127)、および第4湿度センサ(128)、の検出値を受信する。第2制御装置(102)は、室内空気(RA)の温度、および室内空気の相対湿度に基づいて室内空気(RA)の絶対湿度を求める。第2制御装置(102)は、第1空気の温度、および第1空気の相対湿度に基づいて第1空気の絶対湿度を求める。第2制御装置(102)は、第2空気の温度、および第2空気の相対湿度に基づいて第2空気の絶対湿度を求める。
【0063】
(7)運転動作
換気装置(10)の運転動作について図2および図3を参照しながら説明する。換気装置(10)は、冷房運転と暖房運転と再熱除湿運転とを行う。図2では、冷房運転時の冷媒の流れを実線矢印で示し、暖房運転時の冷媒の流れを破線矢印で示している。
【0064】
(7-1)冷房運転
冷房運転では、制御部(100)が圧縮機(82)、熱源ファン(81)、給気ファン(22)、および排気ファン(23)を運転させる。制御部(100)は、切換機構(84)を第1状態とし、膨張弁(85)の開度を小さくし、減圧弁(52c)を全開状態とする。第1熱交換部(52a)および第2熱交換部(52b)は蒸発器として機能する。
【0065】
冷房運転時の換気ユニット(11)では、排気ファン(23)の運転に伴い室内空気(RA)が吸込口(15a)に取り込まれる。給気ファン(22)の運転に伴い室外空気(OA)が第1流路(P1)に取り込まれる。吸込口(15a)の空気は、全熱交換器(21)の排気側内部流路(21b)を流れる。第1流路(P1)の空気は、全熱交換器(21)の給気側内部流路(21a)を流れる。
【0066】
例えば夏季においては、図1に示す他の空気調和装置(A)により室内空間(5)が冷房される。この場合、室内空気(RA)の温度は室外空気(OA)の温度よりも低くなる。加えて、室内空気(RA)の湿度は室外空気(OA)の湿度よりも低くなる。このため、全熱交換器(21)では、給気側内部流路(21a)の空気が排気側内部流路(21b)の空気によって冷却される。同時に、全熱交換器(21)では、給気側内部流路(21a)の空気中の水分が排気側内部流路(21b)の空気へ移動する。
【0067】
排気側内部流路(21b)から第2流路(P2)へ流出した空気は、第3流路(P3)および排気ダクト(D2)を流れ、排出空気(EA)として室外空間(6)へ排出される。
【0068】
給気側内部流路(21a)において冷却および除湿された空気は、第4流路(P4)に流出する。この空気は、利用熱交換器(52)の第1熱交換部(52a)および第2熱交換部(52b)によって冷却される。冷却された空気は、給気ダクト(D3)を流れ、供給空気(SA)として室内空間(5)へ供給される。
【0069】
(7-2)暖房運転
暖房運転では、制御部(100)が圧縮機(82)、熱源ファン(81)、給気ファン(22)、および排気ファン(23)を運転させる。制御部(100)は、切換機構(84)を第2状態とし、膨張弁(85)の開度を小さくし、減圧弁(52c)を全開状態とする。第1熱交換部(52a)および第2熱交換部(52b)は放熱器あるいは凝縮器として機能する。
【0070】
暖房運転時の換気ユニット(11)では、排気ファン(23)の運転に伴い室内空気(RA)が吸込口(15a)に取り込まれる。給気ファン(22)の運転に伴い室外空気(OA)が第1流路(P1)に取り込まれる。吸込口(15a)の空気は、全熱交換器(21)の排気側内部流路(21b)を流れる。第1流路(P1)の空気は、全熱交換器(21)の給気側内部流路(21a)を流れる。
【0071】
例えば冬季においては、図1に示す他の空気調和装置(A)により室内空間(5)が暖房される。この場合、室内空気(RA)の温度は室外空気(OA)の温度よりも高くなる。加えて、室内空気(RA)の湿度は室外空気(OA)の湿度よりも高くなる。このため、全熱交換器(21)では、給気側内部流路(21a)の空気が排気側内部流路(21b)の空気によって加熱される。同時に、全熱交換器(21)では、排気側内部流路(21b)の空気中の水分が給気側内部流路(21a)の空気へ移動する。
【0072】
排気側内部流路(21b)から第2流路(P2)へ流出した空気は、第3流路(P3)および排気ダクト(D2)を流れ、排出空気(EA)として室外空間(6)へ排出される。
【0073】
給気側内部流路(21a)において加熱および加湿された空気は、第4流路(P4)に流出する。この空気は、利用熱交換器(52)の第1熱交換部(52a)および第2熱交換部(52b)によって加熱される。加熱された空気は、給気ダクト(D3)を流れ、供給空気(SA)として室内空間(5)へ供給される。
【0074】
(7-3)再熱除湿運転
再熱除湿運転では、制御部(100)が圧縮機(82)、熱源ファン(81)、給気ファン(22)、および排気ファン(23)を運転させる。制御部(100)は、切換機構(84)を第1状態とし、膨張弁(85)を全開とし、減圧弁(52c)の開度を小さくする。第1熱交換部(52a)が蒸発器として機能し、第2熱交換部(52b)は放熱器あるいは凝縮器として機能する。
【0075】
例えば夏季においては、冷房運転時と同様に、全熱交換器(21)では、給気側内部流路(21a)の空気が排気側内部流路(21b)の空気によって冷却される。同時に、全熱交換器(21)では、給気側内部流路(21a)の空気中の水分が排気側内部流路(21b)の空気へ移動する。
【0076】
排気側内部流路(21b)から第2流路(P2)へ流出した空気は、第3流路(P3)および排気ダクト(D2)を流れ、排出空気(EA)として室外空間(6)へ排出される。
【0077】
給気側内部流路(21a)において冷却および除湿された空気は、第4流路(P4)に流出する。この空気は、利用熱交換器(52)の第1熱交換部(52a)において露点温度以下まで冷却される。これにより、空気中の水分が結露し、この空気が除湿される。第1熱交換部(52a)で冷却および除湿された空気は、第2熱交換部(52b)で加熱される。その結果、空気の温度が過剰に低くなることを抑制できるとともに、この空気の相対湿度を下げることができる。第2熱交換部(52b)で加熱された空気は、給気ダクト(D3)を流れ、供給空気(SA)として室内空間(5)へ供給される。
【0078】
(8-1)結露の課題
上述した冷房運転のように、利用熱交換器(52)を蒸発器として機能させる運転では、利用熱交換器(52)によって空気が冷却される。冷却された空気は、給気路(13)から吹出空気として給気ダクト(D3)に供給される。給気ダクト(D3)は、天井裏空間(8)に配置される。このため、天井裏空間(8)の第1空気の温度や湿度が高い条件下において、比較的低温の吹出空気が給気ダクト(D3)を流れると、給気ダクト(D3)の表面の温度が低下し、第1空気中の水分が給気ダクト(D3)の表面で結露してしまうことがある。
【0079】
特に、本例の換気装置(10)は、一般家屋を対象としており、給気ダクト(D3)の径も業務用のそれと比べて小さい。例えば1本の給気ダクト(D3)の外径は約50mmである。このような小径の給気ダクト(D3)では、その表面において特に結露が生じやすくなる。
【0080】
加えて、給気ダクト(D3)に供給された吹出空気は、給気口(9)を通じて室内空間(5)へ流出する。室内空間(5)の空気の温度や湿度が高い条件下において、比較的低温の吹出空気が室内空間(5)へ供給されると、給気口(9)付近の第2空気中の水分が天井(7)などの表面において結露してしまうことがある。
【0081】
(8-2)結露抑制制御
換気装置(10)は、上述した結露の課題を解決するための結露抑制制御(第1制御)を行う。結露抑制制御について、図5および図6を参照しながら詳細に説明する。
【0082】
(8-2-1)結露抑制制御
制御部(100)は、利用熱交換器(52)が蒸発器として機能する運転において、結露抑制制御を実行する。この運転の一例は、冷房運転であるが、利用熱交換器(52)で空気を冷却して除湿する除湿運転や、利用熱交換器(52)の一部を蒸発器として機能させる運転(例えば上述した再熱除湿運転)も含む。
【0083】
結露抑制制御では、制御部(100)が、天井裏空間(8)の第1空気の温度および湿度と、室内空間(5)の第2空気の温度および湿度とに基づき給気ダクト(D3)に供給される吹出空気の温度を調節する。本例の制御部(100)は、圧縮機(82)の回転数、さらには利用熱交換器(52)の蒸発温度を調節することで、この吹出空気の温度を調節する。
【0084】
図5に示すように、結露抑制制御が開始されると、ステップS11では、第1温度センサ(125)が、第1空気である天井裏空間(8)の空気の温度を検出する。加えて、第1湿度センサ(126)は、第1空気の湿度を検出する。
【0085】
ステップS12では、制御部(100)は、第1空気の温度および湿度から第1判定値TAを求める。第1判定値TAは、ダクト(D3)表面での結露を抑制するための蒸発温度Teに対応する。蒸発温度Teが第1判定値TAより低くなると、給気ダクト(D3)の表面で結露が生じ得る。第1判定値TAは、第1空気の温度および湿度をパラメータとする関数やテーブルを用いて決定される。第1判定値TAは、第1空気の温度および湿度が高くなるほど大きくなる。
【0086】
ステップS13では、制御部(100)は、第1判定値TAおよび蒸発温度Teに基づき条件(a~d)のいずれが成立するかを判定する。図6に示すように、制御部(100)は、Te≦TAが成立する場合に条件aが成立すると判定し、TA<Te≦TA+Td1が成立する場合に条件bが成立すると判定し、TA+Td1≦Te≦TA+Td2が成立する場合に条件cが成立すると判定し、TA+Td2<Teが成立する場合に条件dが成立すると判定する。図6に示すTd1およびTd2は、第1判定値TA、および第2判定値TBに加算される温度である。例えばTd1は1.0℃、Td2は1.5℃に設定される。
【0087】
ステップS14では、制御部(100)は、ステップS13で判定した条件に対応する第1ステータスを求める。制御部(100)は、条件aが成立する場合に第1ステータスを3とし、条件bが成立する場合に第1ステータスを2とし、条件cが成立する場合に第1ステータスを1とし、条件dが成立する場合に第1ステータスを0とする。第1ステータスは、結露のしやすさの状態を意味し、第1ステータスの数値が高いほど結露リスクが大きくなる。
【0088】
ステップS15では、第2温度センサ(123)は、第2空気である室内空気(RA)の温度を検出する。加えて、第2湿度センサ(124)は、第2空気の湿度を検出する。
【0089】
ステップS16は、制御部(100)は、第2空気の温度および湿度から第2判定値TBを求める。第2判定値TBは、室内空間(5)における給気口(9)付近での結露を抑制するための蒸発温度Teに対応する。蒸発温度Teが第2判定値TBより低くなると、給気口(9)付近で結露が生じ得る。第2判定値TBは、第2空気の温度および湿度をパラメータとする関数やテーブルを用いて決定される。第2判定値TBは、第2空気の温度および湿度が高くなるほど大きくなる。
【0090】
ステップS17では、制御部(100)は、第2判定値TBおよび蒸発温度Teに基づき条件(e~h)のいずれが成立するかを判定する。図6に示すように、制御部(100)は、Te≦TBが成立する場合に条件eが成立すると判定し、TB<Te≦TB+Td1が成立する場合に条件fが成立すると判定し、TB+Td1≦Te≦TB+Td2が成立する場合に条件gが成立すると判定し、TB+Td2<Teが成立する場合に条件hが成立すると判定する。
【0091】
ステップ18では、制御部(100)は、ステップS17で判定した条件に対応する第2ステータスを求める。制御部(100)は、条件eが成立する場合に第2ステータスを3とし、条件fが成立する場合に第2ステータスを2とし、条件gが成立する場合に第2ステータスを1とし、条件hが成立する場合に第2ステータスを0とする。第2ステータスは、結露のしやすさの状態を意味し、第2ステータスの数値が高いほど結露リスクが大きくなる。
【0092】
ステップS19では、制御部(100)は、第1ステータスと第2ステースの大小関係を比較する。ステップS20において、制御部(100)は、第1ステータスと第2ステータスのうち、ステータスの数値が高い方の空気の温度及び湿度に基づき、そのステータスに応じて圧縮機の回転数を調節する。
この制御より、利用熱交換器(52)の蒸発温度Teを調節でき、さらには給気ダクト(D3)に供給される吹出空気の温度を調節できる。その結果、給気ダクト(D3)の表面、および室内空間(5)での結露を抑制できる。
【0093】
(8-2-2)具体例1
例えば第1空気が高温高湿であり、第2空気が低温低湿であったとする。言い換えると、第1空気の露点温度が、第2空気の露点温度よりも高いとする。この場合、第1判定値TAは、第2判定値TBよりも高くなる。
【0094】
具体的には、例えば第1判定値TAが13℃であり、第2判定値TBが11℃であるとする。ここで、第1冷媒温度センサ(111)で検出した蒸発温度Teが12℃であるとする。この場合、ステップS13では、蒸発温度Te(=12℃)が第1判定値TA(=13℃)以下であるので条件aが成立する。このため、ステップS14では、第1空気のステータスは3となる。
【0095】
一方、ステップS17では、蒸発温度Te(=12℃)は、TB(=11℃)より高く、且つTB+Td1(11+1.0=12℃)以下であるので、条件fが成立する。このため、ステップS18では、第2空気のステータスは2となる。
【0096】
ステップS20では、制御部(100)は、第1空気と第2空気のうち、ステータスが高い方の第1空気の条件に基づき、圧縮機(82)の回転数を調節する。本例では、第1空気について条件aが成立するため、制御部(100)は、圧縮機(82)の回転数を下げる。条件aは、天井裏空間(8)の空気が結露しやすいことを示す条件といえる。圧縮機(82)の回転数が下がると、蒸発温度Teが高くなり、吹出空気の温度が高くなる。その結果、給気ダクト(D3)を流れる空気の温度が高くなり、給気ダクト(D3)の表面での結露を抑制できる。
【0097】
この例では、第1空気の露点温度が第2空気の露点温度よりも高いため、第2空気よりも第1空気の方が結露しやすい。このため、給気ダクト(D3)の表面において結露を抑制できるように吹出温度を調節することで、室内空間(5)においても結露を抑制できる。したがって、この制御により、給気ダクト(D3)の表面での結露と、室内空間(5)での結露との双方を抑制できる。
【0098】
(8-2-3)具体例2
例えば第2空気が高温高湿であり、第1空気が低温低湿であったとする。言い換えると、第2空気の露点温度が、第1空気の露点温度よりも高いとする。この場合、第2判定値TBは、第1判定値TAよりも高くなる。
【0099】
具体的には、例えば第2判定値TBが13℃であり、第1判定値TAが11℃であったとする。ここで、第1冷媒温度センサ(111)で検出した蒸発温度Teが12℃であるとする。この場合、ステップS17では、蒸発温度Te(=12℃)が第2判定値TB(=13℃)以下であるので条件eが成立する。このため、ステップS18では、第2空気のステータスは3となる。
【0100】
一方、ステップS13では、蒸発温度Te(=12℃)は、TA(=11℃)より高く、且つTA+Td1(11+1.0=12℃)以下であるので、条件bが成立する。このため、ステップS14では、第1空気のステータスは2となる。
【0101】
ステップS20では、制御部(100)は、第1空気と第2空気のうち、ステータスが高い方の第2空気の条件に基づき、圧縮機(82)の回転数を調節する。本例では、第2空気について条件eが成立するため、制御部(100)は、圧縮機(82)の回転数を下げる。条件eは、室内空間(5)の空気が結露しやすいことを示す条件といえる。圧縮機(82)の回転数が下がると、蒸発温度Teが高くなり、吹出空気の温度が高くなる。その結果、室内空間(5)へ供給される空気の温度が高くなり、室内空間(5)での結露を抑制できる。
【0102】
この例では、第2空気の露点温度が第1空気の露点温度よりも高いため、第1空気よりも第2空気の方が結露しやすい。このため、室内空間(5)において結露を抑制できるように吹出温度を調節することで、給気ダクト(D3)の表面においても結露を抑制できる。したがって、この制御により、給気ダクト(D3)の表面での結露と、室内空間(5)での結露との双方を抑制できる。
【0103】
(8-2-4)その他具体例
ステップS20の制御では、このようにして結露しやすい空気の温度および湿度に基づいて、圧縮機(82)の回転数が調節される。第1空気のステータスが第2空気のステータスよりも高い場合には、上述した条件aの他に、条件b、条件c、または条件dに基づく制御が行われる。
【0104】
条件bが成立すると、制御部(100)は圧縮機(82)の回転数を維持する。ここで、条件bは、天井裏空間(8)の空気の結露のリスクが低いことを示す条件といえる。制御部(100)は圧縮機(82)の回転数を維持することで、蒸発温度Teの低下を抑制でき、吹出空気の温度が低くなることを抑制できる。したがって、給気ダクト(D3)の表面、および室内空間(5)での結露を抑制できる。
【0105】
条件cが成立すると、制御部(100)は圧縮機(82)の回転数を上げる。条件cは天井裏空間(8)の空気の結露のリスクがほとんどないことを示す条件といえる。制御部(100)が圧縮機(82)の回転数を上げることで、蒸発温度Teが低くなり、吹出空気の温度が低くなる。このため、冷房運転などにおいて、室内空間(5)の室内空気(RA)の温度が高くなることを抑制でき、室内空間(5)の快適性を維持できる。第1空気および第2空気の結露のリスクはほぼない条件であるため、吹出空気の温度が低くなっても、給気ダクト(D3)の表面、および室内空間(5)で結露が生じること回避できる。
【0106】
条件dが成立すると、制御部(100)は圧縮機(82)の回転数を通常制御により調節する。通常制御では、制御部(100)は、現在の蒸発温度Teが目標蒸発温度に至るように、圧縮機(82)の回転数を調節する。冷房運転であれば、制御部(100)は、目標蒸発温度を冷房負荷に応じて決定する。冷房負荷は、現在の室内空気(RA)の温度と、室内空間(5)の設定温度との差によって決まる。条件dは、天井裏空間(8)の空気の結露のリスクが全くないことを示す条件といえる。このため、制御部(100)が通常制御を実行しても、給気ダクト(D3)の表面、および室内空間(5)で結露が生じること回避できる。通常制御では、換気装置(10)が冷房負荷に応じた空調を行うため、室内の快適性を確保できる。
【0107】
ステップS20において、第2空気のステータスが第1空気のステータスよりも高い場合では、上述した条件eの他に、条件f、条件g、または条件hに基づく制御が行われる。条件fに基づく制御は、上述した条件bに基づく制御と同様である。条件gに基づく制御は、上述した条件cに基づく制御と同様である。条件hに基づく制御は、上述した条件dに基づく制御と同様である。このため、これらの制御の詳細な説明は省略する。
【0108】
(9)実施形態の特徴
(9-1)
換気装置(10)は、天井裏空間(8)の空気の温度および湿度に基づき給気ダクト(D3)に供給される吹出空気の温度を調節する制御部(100)を備える。
【0109】
これにより、天井裏空間(8)の空気中の水分が給気ダクト(D3)の表面で結露しないように、吹出温度を調節できる。
【0110】
(9-2)
制御部(100)は、天井裏空間(8)の空気の温度および湿度と、室内空間(5)の空気の温度および湿度とに基づき吹出空気の温度を調節する。
【0111】
これにより、天井裏空間(8)の空気中の水分が給気ダクト(D3)の表面で結露しないように、あるいは室内空間(5)の空気中の水分が給気口(9)付近で結露しないように吹出温度を調節できる。
【0112】
(9-3)
制御部(100)は、天井裏空間(8)の空気、および室内空間(5)の空気のうち、結露がしやすい方の空気の温度および湿度に基づいて吹出空気の温度を調節する。ここで、上述した実施形態では、この結露のしやすさ(空気のステータス)を、空気の温度および湿度に基づく判定値(TA、TB)と、蒸発温度Teとを比較して判定している。
【0113】
このように結露のしやすい空気の温度および湿度に基づいて吹出温度を調節することで、天井裏空間(8)の空気の結露、および室内空間(5)の空気の結露の双方を抑制できる。
【0114】
(9-4)
制御部(100)は、天井裏空間(8)の空気の温度および湿度に基づき圧縮機(82)の回転数を調節することで、蒸発温度Teを調節し、さらには吹出空気の温度を調節する。加えて、制御部(100)は、室内空間(5)の空気の温度および湿度に基づき圧縮機(82)の回転数を調節することで、蒸発温度Teを調節し、さらには吹出空気の温度を調節する。
【0115】
これにより、吹出空気の温度を、天井裏空間(8)および室内空間(5)の空気の結露を抑制できる温度に容易に調節できる。
【0116】
(10)変形例
上述した実施形態の換気装置(10)は、以下の変形例の構成としてもよい。以下には、主として、実施形態と異なる点について説明する。
【0117】
(10-1)変形例1
変形例1の制御部(100)は、結露抑制制御において、圧縮機(82)の回転数を調節することで、蒸発温度Teを調節する。しかし、制御部(100)は、冷媒回路(R)の弁の開度を調節することで蒸発温度Teを調節してもよい。この弁は、膨張弁(85)や、圧縮機(82)の吸入側に設けた圧力調節弁などで構成される。
【0118】
(10-2)変形例2
変形例2の制御部(100)は、結露抑制制御において、天井裏空間(8)の空気の温度および湿度に基づき、加熱部としての第2熱交換部(52b)による再熱動作を制御することで吹出空気の温度を調節する。加えて、制御部(100)は、室内空間(5)の空気の温度および湿度に基づき、第2熱交換部(52b)による再熱動作を制御することで吹出空気の温度を調節する。具体的には、制御部(100)は、減圧弁(52c)を調節して第2熱交換部(52b)を加熱部として制御することで吹出空気の温度を制御する。再熱動作は、上述した再熱除湿運転における第2熱交換部(52b)の動作に相当する。
【0119】
図7に示すステップS21~S29は、上述した実施形態のステップS11~S19と同じである。ステップS30において、制御部(100)は、第1ステータスと第2ステータスのうち、ステータスの数値が高い方の空気の温度及び湿度に基づき、そのステータスに応じて加熱部としての第2熱交換部(52b)の再熱動作を制御する。
【0120】
例えば第1空気が第2空気よりも結露しやすいときに条件aが成立すると、ステップS29において、制御部(100)は、第2熱交換部(52b)の再熱動作を実行させる。これにより、第1熱交換部(52a)で冷却された空気が、第2熱交換部(52b)で加熱されるので、吹出空気の温度が高くなる。その結果、給気ダクト(D3)の表面での結露を抑制できる。この場合、室内空間(5)での結露も抑制できる。第2空気が第1空気よりも結露しやすいときに条件eが成立した場合にも、制御部(100)は、第2熱交換部(52b)の再熱動作を実行させる。
【0121】
例えば第1空気が第2空気よりも結露しやすいときに条件cが成立すると、制御部(100)は、第2熱交換部(52b)の再熱動作を終了させ、第2熱交換部(52b)を蒸発器として機能させる。第2空気が第1空気よりも結露しやすいときに条件gが成立した場合にも、制御部(100)は、第2熱交換部(52b)の再熱動作を終了させ、第2熱交換部(52b)を蒸発器として機能させる。これにより、室内空間(5)の室内空気(RA)の温度が高くなることを抑制できるとともに、天井裏空間(8)および室内空間(5)での結露も抑制できる。
【0122】
なお、本例の加熱部としての第2熱交換部(52b)は、利用熱交換器(52)の一部である。しかしながら、加熱部は、利用熱交換器(52)と別体の熱交換器であってもよい。また、加熱部は、空気を加熱できればよく、例えばヒータや熱電素子であってもよい。
【0123】
(10-3)変形例3
変形例3の制御部(100)は、結露抑制制御において、天井裏空間(8)の空気の温度および湿度に基づき、給気ファン(22)の風量を調節することで吹出空気の温度を調節する。加えて、制御部(100)は、室内空間(5)の空気の温度および湿度に基づき、給気ファン(22)の風量を調節することで 吹出空気の温度を調節する。
【0124】
図8に示すステップS31~ステップS39は、上述した実施形態のステップS11~S19と同じである。ステップS40において、制御部(100)は、第1空気と第2空気のうち結露しやすい空気の温度および湿度に基づいて給気ファン(22)の風量を調節する。具体的には、制御部(100)は、第1ステータスと第2ステータスのうち、ステータスの数値が高い方の空気の温度及び湿度に基づき、そのステータスに応じて給気ファン(22)の風量を調節する。
【0125】
例えば第1空気が第2空気よりも結露しやすいときに条件aが成立すると、制御部(100)は、給気ファン(22)の風量を小さくする。これにより、給気ダクト(D3)を流れる空気の流速が下がり、給気ダクト(D3)の表面の温度が上がるので、給気ダクト(D3)の表面での結露を抑制できる。この場合、室内空間(5)での結露も抑制できる。第2空気が第1空気よりも結露しやすいときに条件eが成立した場合にも、制御部(100)は、給気ファン(22)の風量を小さくする。
【0126】
第1空気が第2空気よりも結露しやすいときに条件bが成立すると、制御部(100)は、給気ファン(22)の風量を維持する。第2空気が第1空気よりも結露しやすいときに条件fが成立すると、制御部(100)は、給気ファン(22)の風量を維持する。
【0127】
第1空気が第2空気よりも結露しやすいときに条件cが成立すると、制御部(100)は、給気ファン(22)の風量を大きくする。第2空気が第1空気よりも結露しやすいときに条件gが成立すると、制御部(100)は、給気ファン(22)の風量を大きくする。これにより、室内空間(5)の快適性を確保しつつ、天井裏空間(8)および室内空間(5)での結露を抑制できる。
【0128】
第1空気が第2空気よりも結露しやすいときに条件dが成立すると、制御部(100)は、換気装置(10)の通常制御を実行させる。第2空気が第1空気よりも結露しやすいときに条件hが成立すると、制御部(100)は、換気装置(10)の通常制御を実行させる。通常制御では、制御部(100)は、給気ファン(22)の風量を圧縮機(82)の回転数に応じて変化させる。制御部(100)は、圧縮機(82)の回転数が大きくなるほど給気ファン(22)の風量を大きくする。制御部(100)は、圧縮機(82)の回転数が小さくなるほど給気ファン(22)の風量を小さくする。
【0129】
変形例3の結露抑制制御において、制御部(100)は、排気ファン(23)の風量を給気ファン(22)の風量を同じとするように排気ファン(23)を制御してもよい。これにより、室内空間(5)への給気量と、室外空間(6)への排気量とをバランスさせることができる。
【0130】
(10-4)変形例4
上述した実施形態において、制御部(100)は、第1空気の温度および湿度のみに基づき給気ダクト(D3)に供給される吹出空気の温度を制御してもよい。
【0131】
図9に示すように、結露抑制制御が開始されると、ステップS51では、第1温度センサ(125)が、第1空気である天井裏空間(8)の空気の温度を検出する。加えて、第1湿度センサ(126)は、第1空気の湿度を検出する。ステップS52では、制御部(100)は、第1空気の温度および湿度から第1判定値TAを求める。ステップS53では、制御部(100)は、図6(A)に示す関係を用いて、第1判定値TAおよび蒸発温度Teに基づき条件(a~d)のいずれが成立するかを判定する。ステップS54では、制御部(100)は、ステップS53で判定した条件に対応する第1ステータスを求める。ステップ55では、制御部(100)は、第1空気の温度及び湿度に基づき、第1ステータスに応じて圧縮機(82)の回転数を調節する。ステップS55の具体的な制御は、上述した実施形態のステップS20と同じである。これにより、天井裏空間(8)の空気中の水分が給気ダクト(D3)の表面で結露しないように吹出温度を調節できる。
【0132】
なお、変形例4のステップS55において、制御部(100)は、変形例2に係る再熱動作の制御や、変形例3に係る給気ファン(22)の制御を行ってもよい。
【0133】
(10-5)変形例5
上述した実施形態の結露抑制制御において、制御部(100)は、第1空気と第2空気のうち結露リスクが高い方の空気を他の方法で決定してもよい。例えば、制御部(100)は、蒸発温度とTeと第1判定値TAとの差(Te-TA=ΔT1)と、蒸発温度Teと第2判定値TBとの差Δ(Te-TB=ΔT2)とを算出し、これらの差が小さい方の空気の結露リスクが高いと判定し、この空気の温度および湿度に基づいて吹出温度を調節してもよい。
【0134】
なお、変形例5において、制御部(100)は、変形例2に係る再熱動作の制御や、変形例3に係る給気ファン(22)の制御を行ってもよい。
【0135】
(11)その他の実施形態
上述した実施形態、およびその変形例においては、以下の構成としてもよい。
【0136】
制御部(100)は、上述した判定値(TA、TB)や、蒸発温度Te以外の指標を用いて空気の結露のしやすさを推定してもよい。この指標としては、第1空気の露点温度、第2空気の露点温度、給気ダクト(D3)に供給される吹出空気の温度などがあげられる。
【0137】
第1熱交換器(21)は、給気路(13)を流れる空気と、排気路(14)を流れる空気の顕熱のみを交換する顕熱交換器であってもよい。
【0138】
切換機構(84)は、四方切換弁でなくてもよい。切換機構(84)は、4つの流路とこれらを開閉する開閉弁を組み合わせた構成であってもよいし、2つの三方弁を組み合わせた構成であってもよい。
【0139】
膨張弁(85)は、電子膨張弁でなくてもよく、感温式の膨張弁や、回転式の膨張機構であってもよい。
【0140】
複数の給気ダクト(D3)を給気路(13)に接続してもよい。この場合、複数の給気路(13)のそれぞれの流出端が、1つの室内空間(5)または複数の室内空間(5)に繋がる。給気ダクト(D3)は、給気路(13)に繋がる1つの主管と、該主管から分岐する複数の分岐管を有してもよい。この場合、各分岐管の流出端が、1つの室内空間(5)または複数の室内空間(5)に繋がる。
【0141】
以上、実施形態および変形例を説明したが、特許請求の範囲の趣旨および範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。また、以上の実施形態、変形例、その他の実施形態の要素を適宜組み合わせたり、置換したりしてもよい。
【0142】
参考形態として、上述した結露抑制制御は、第1熱交換器(21)を有さず、第2熱交換器(52)を有する換気装置(10)において適用されてもよい。つまり、本開示の制御は、室内熱交換器を有する空気調和装置に適用されてもよい。
【0143】
以上に述べた「第1」、「第2」、「第3」…という記載は、これらの記載が付与された語句を区別するために用いられており、その語句の数や順序までも限定するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0144】
以上に説明したように、本開示は、換気装置について有用である。
【符号の説明】
【0145】
5 室内空間
8 天井裏空間
10 換気装置
12 ケーシング
13 給気路
14 排気路
21 全熱交換器(第1熱交換器)
22 給気ファン
23 排気ファン
52 利用熱交換器(第2熱交換器)
52b 第2熱交換部(加熱部)
82 圧縮機
100 制御部
D3 給気ダクト(ダクト)
OA 室外空気
R 冷媒回路
RA 室内空気
【要約】
【課題】天井裏空間に配置されたダクト表面での結露を抑制できる換気装置を提供する。
【解決手段】換気装置(10)は、天井裏空間(8)の空気の温度および湿度に基づきダクト(D3)に供給される吹出空気の温度を調節する制御部(100)を備える。
【選択図】図5
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9