(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-11
(45)【発行日】2023-05-19
(54)【発明の名称】リニアアクチュエータおよびXYテーブル
(51)【国際特許分類】
H02K 41/03 20060101AFI20230512BHJP
H02K 41/02 20060101ALI20230512BHJP
B23Q 1/62 20060101ALI20230512BHJP
B23Q 3/02 20060101ALI20230512BHJP
H01L 21/683 20060101ALI20230512BHJP
【FI】
H02K41/03 A
H02K41/02 C
B23Q1/62 A
B23Q3/02 A
H01L21/68 N
(21)【出願番号】P 2019099211
(22)【出願日】2019-05-28
【審査請求日】2022-05-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000229645
【氏名又は名称】日本パルスモーター株式会社
(72)【発明者】
【氏名】井上 光司
(72)【発明者】
【氏名】西前 佳子
【審査官】佐藤 彰洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-244928(JP,A)
【文献】特開2004-338015(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 41/03
H02K 41/02
B23Q 1/62
B23Q 3/02
H01L 21/683
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基台の一端部側に設けられたコイルユニットに、スライド自在に外嵌される複数の棒状磁石が直列状に配列された可動軸を、コイルの励磁によって所定の可動域を進退駆動する第1リニアモータと、前記基台上に設けられて前記可動軸の駆動と共に進退移動可能なワーク体とを備えるリニアアクチュエータであって、
前記第1リニアモータは、前記可動軸の両端部を前記ワーク体に持設せしめ、かつ、前記コイルユニットを前記基台中央に配設固定した状態で、前記ワーク体の一端部側に設けられると共に、
前記ワーク体は、前記第1リニアモータの内側となる両側下面域に、対向配設されるガイドレールを介して、前記基台上にスライド自在に案内支持せしめ、前記第1リニアモータ単体による1軸駆動が可能に構成される一方、
前記第1リニアモータが配設されていない前記ワーク体の他端部側を、任意仕様に応じてパラレル状に配置される第2リニアモータの後付け装着可能な装着域部として設定し、
前記第2リニアモータは、そのコイルユニットを前記基台に並設取着される補助基台上の中央に配設固定せしめた状態で、その可動軸の両端部に前記ワーク体に持設取着される連結部材を軸着させて、前記第1リニアモータと同一の駆動機能を備えて構成せしめる一方、
当該第2リニアモータを、前記装着域部において、前記補助基台を前記基台に対して面一状に並設し、かつ、前記連結部材を前記ワーク体の両端部に取着すると共に、前記第1リニアモータと同期して複合駆動するよう対称配置させて選択的に後付け装着せしめることで、
前記第1リニアモータ単体で1軸駆動するワーク体を、後付け装着された前記第2リニアモータとの複合による2軸駆動によって、その推力設定を変更可能に構成してあることを特徴とするリニアアクチュエータ。
【請求項2】
請求項1において、前記対向配設されたガイドレールは、前記第2リニアモータを装着した際に、前記第1リニアモータとの間に配置されるよう設けられると共に、当該ガイドレール間には、エンコーダを配設してあることを特徴とするリニアアクチュエータ。
【請求項3】
請求項1または2において、前記ワーク体の上面部に、前記リニアアクチュエータをY軸方向に移動可能に載置して、直交する2方向に動作移動するXYテーブルとして組付け固定せしめると共に、当該組となるリニアアクチュエータ同士は、1軸駆動及び/又は2軸駆動による組合せ設定可能に構成されていることを特徴とするリニアアクチュエータ。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れかにおいて、前記連結部材は、前記可動軸の端部を軸装支持する軸止部と、前記ワーク体の装着域部の両端部に形成されたL字状の連結部に嵌着される連結部とを有して形成されていることを特徴とするリニアアクチュエータ。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れかに記載のリニアアクチュエータを上下に組付けして用いることで、当該上側と下側リニアアクチュエータのワーク体を、それぞれX軸方向とY軸方向に移動可能に載置固定して構成してあることを特徴とするXYテーブル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基台に固定されたコイルユニットに、スライド自在に挿通された永久磁石が内装された可動軸を、コイルの励磁によってリニア駆動するリニアモータによって、基台上に設けらたワーク体を可動軸と共に1軸駆動により直進移動することのできるリニアアクチュエータおよびXYテーブルに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、直線駆動する電気アクチュエータとしてシャフト型リニアアクチュエータが注目されている。この種リニアアクチュエータは、複数の棒状磁石が直列状に配列された可動軸(シャフト)と、該可動軸をスライド自在に外嵌する固定子としてコイルユニットを備え、該コイルユニットの内周部に設けられるコイルの励磁によって、可動軸を直線的に駆動させるようになっている。このような構成によれば、コギングや速度ムラが少ないので、様々な分野での応用が検討されており、殊に、半導体レーザー加工装置、半導体ウェハ検査装置、半導体ウェハダイサー、外観検査装置医療検査装置などの分野への応用が期待されている。
【0003】
一般に、この種のリニアアクチュエータは、XYテーブルとして、例えば、特許文献1のものに開示されたように、電動式ステージ(100)を、基板(110)の一端部側にリニアモータ(140)を配設し、リニアモータの内側となる両側にレール(114、114)配置させて、プラットホーム(120)を移動できる構造のものや、特許文献2のものに開示されたように、ステージ装置を、基台(1)の中央にリニアモータ(4)を内装配置し、その両側にレール(28、28)に配置させてステージ(2)を移動できる構造のものが知られている。
しかしながら、この様なリニアアクチュエータに採用されるリニアモータは、当該ステージを移動するのに最適な推力を有するもの、即ち、リニアモータ自体の推力を、予め所望のコイルの起磁力や、永久磁石の磁気力を選択して仕様決定されたコイルユニットやシャフトを用いて専用のものとして製作されていた。
【0004】
そのため、かかる専用仕様のリニアアクチュエータを、例えば、既存の精密ステージや半導体レーザー加工装置などに採用しようとした際に、必要な推力が得られなかったり、速度が足りないなどの適合性の問題が生じ、既存のワークに対してそのまま採用することができない場合が多く、或いは、採用を決定した後に、さらにリニアモータ自体の推力や速度、高応答性などの機能向上が必要であると判明した場合に、当該推力等の設定変更したいという要求に対応することができないという問題がある。しかも、この様な推力等の仕様変更に対する要求が生じた際には、数種の異なるリニアアクチュエータを個々別々に製作するなどしていたため、組付け構成が複雑となって、組み立て作業に時間を要し製作コストが高くなり、製品単価が高価なものとなってしまうという問題があるだけでなく、かかるXYテーブル構造は、X軸テーブル上にY軸テーブルを階層状に載置した一体構造と成っているため、X軸テーブル単体での動作を必要とするワークへの採用を行うことができず、その汎用性に欠けるものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2013-508757号公報
【文献】特開2004-112864号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記の如き問題点を一掃すべく創案されたものであって、第1リニアモータ単体で1軸駆動によりX軸方向に移動するワーク体を備えたリニアアクチュエータを、単独の製品ベースとして提供できるものでありながら、当該リニアアクチュエータに対して、第2リニアモータを任意仕様に応じて後付け装着可能とすることで、第1リニアモータとの複合による2軸駆動への推力設定の仕様変更を行うことができるだけでなく、当該リニアアクチュエータ同士を組み合わせて、X軸方向とY軸方向への直交する2方向に動作移動することのできるXYテーブルとしてのアッセンブリを行うことのできるリニアアクチュエータを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明のリニアアクチュエータは、基台の一端部側に設けられたコイルユニットに、スライド自在に外嵌される複数の棒状磁石が直列状に配列された可動軸を、コイルの励磁によって所定の可動域を進退駆動する第1リニアモータと、前記基台上に設けられて前記可動軸の駆動と共にX軸方向に移動可能なワーク体とを備えるリニアアクチュエータであって、前記第1リニアモータは、前記可動軸の両端部を前記ワーク体に持設せしめ、かつ、前記コイルユニットを前記基台中央に配設固定した状態で、前記ワーク体の一端部側に設けられると共に、前記ワーク体は、前記第1リニアモータの内側となる両側下面域に、対向配設されるガイドレールを介して、前記基台上にスライド自在に案内支持せしめ、前記第1リニアモータ単体による1軸駆動が可能に構成される一方、前記第1リニアモータが配設されていない前記ワーク体の他端部側を、任意仕様に応じてパラレル状に配置される第2リニアモータの後付け装着可能な装着域部として設定し、前記第2リニアモータは、そのコイルユニットを前記基台に並設取着される補助基台上の中央に配設固定せしめた状態で、その可動軸の両端部に前記ワーク体に持設取着される連結部材を軸着させて、前記第1リニアモータと同一の駆動機能を備えて構成せしめる一方、当該第2リニアモータを、前記装着域部において、前記補助基台を前記基台に対して面一状に並設し、かつ、前記連結部材を前記ワーク体の両端部に取着すると共に、前記第1リニアモータと同期して複合駆動するよう対称配置させて選択的に後付け装着せしめることで、前記第1リニアモータ単体で1軸駆動するワーク体を、後付け装着された前記第2リニアモータとの複合による2軸駆動によって、その推力設定を変更可能に構成してあることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、上記のように構成したことにより、第1リニアモータ単体で1軸駆動により直進方向に移動するワーク体を備えたリニアアクチュエータを、単独の製品ベースとして提供できるものでありながら、当該1軸駆動仕様のリニアアクチュエータを、精密ステージなどへ採用する決定した後に、必要な推力や速度が足りない場合や、さらに高応答性が必要なことが判明した場合に際して、推力の設定変更をしたいなどの要求が生じても、ベースとなる1軸駆動仕様のリニアアクチュエータに対して、第2リニアモータを任意仕様に応じて後付け装着可能とすることができるので、第1リニアモータとの複合による2軸駆動への推力設定の仕様変更を行い得て、2軸駆動仕様のリニアアクチュエータとして提供することができるだけでなく、当該リニアアクチュエータ同士を組み合わせて、X軸方向とY軸方向への直交する2方向に動作移動することのできるXYテーブルとしてのアッセンブリを、1軸駆動か2軸駆動かの推力変更による組合せ仕様の設定を加味し、かつ、その組み立て作業を容易に行うことができる。その結果、ベースとなるリニアアクチュエータと、後付け装着可能な第2リニアモータだけをそれぞれ製作すれば良く、製作の効率化や、取り扱い製品の簡素化が図られて、製品コストを大幅に低減でき、バリエーションに富んだ組合せ設定が可能な汎用性の有る安価なものを提供することができ、安価な導入コストをもって半導体レーザー加工装置、半導体ウェハ検査装置、半導体ウェハダイサー、外観検査装置医療検査装置など多分野のものに容易に採用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態を示すリニアアクチュエータであって、(A)は1軸駆動仕様のリニアアクチュエータの斜視図、(B)は1軸駆動仕様のリニアアクチュエータに後付け装着される第2リニアモータの斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態を示す2軸駆動仕様のリニアアクチュエータであって、(A)は正面図、(B)は右側面図、(C)は背面図、(D)は底面図である。
【
図3】本発明の実施形態にかかる2軸駆動仕様のリニアアクチュエータを用いて、XYテーブルとして組付けした状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を好適な実施の形態として例示するリニアアクチュエータを図面に基づいて詳細に説明する。
図1(A)は、1軸駆動仕様のリニアアクチュエータの斜視図、(B)は1軸駆動仕様のリニアアクチュエータに後付け装着される第2リニアモータの斜視図である。これら図に示すように、リニアアクチュエータ1は、矩形状の基台2の一端部側に設けられた固定子としてのコイルユニット31と、コイルユニット31にスライド自在に外嵌されてコイルの励磁によって所定の可動域を進退駆動する可動軸32とを備えた第1リニアモータ3と、基台2上に設けられて可動軸の駆動と共にX軸方向に移動可能なワーク体4とを備えて構成される。
【0011】
可動軸32は、非磁性体ステンレス管よりなる円筒パイプ内に、図示しない中心に孔が穿設された複数のドーナツ状の棒状磁石が互いの磁極が対向するように直列状に配列されて形成されており、第1リニアモータ3は、可動軸32の両端部をワーク体4に持設せしめ、かつ、コイルユニット31を基台2の中央に配設固定した状態で、ワーク体4の一端部に設けられている。なお、棒状磁石は、その中心に孔が穿設されていない棒状磁石でも良い。各棒状磁石は、直接接している必要はなく、樹脂材などの非磁性体や純鉄などの軟磁性体を介在させても良い。
【0012】
コイルユニット31は、内部に図示しない、予めドーナツ状に巻線形成された複数のコイルが、筒状ボビンの胴部に都合12個嵌挿配設され、3相駆動のためのU相、V相、W相の3個のコイルを1組として4組の組数による各コイルブロックにて構成される。なお、コイルの組数は任意であり、各相のコイル同士はそれぞれ直列または並列に接続せしめた所定のパターンによって結線されており、また、必要において各コイルの間には、ドーナツ状の絶縁紙や絶縁樹脂シートなどを介在させても良い。
【0013】
ワーク体4は、第1リニアモータ3の内側となる両側下面域に、対向配設されるガイドレール5を介して、基台2上にスライド自在に案内支持せしめて、第1リニアモータ3単体による1軸駆動によって直線的な進退移動が可能に構成され、第1リニアモータ3が配設される一端部側が、可動軸32の両端部を軸装支持するよう突出された軸止部41、41を有して凹状に形成され、軸止部41、41間のその凹状溝部の中央にコイルユニット31が配設され、可動軸32の端部が挿入された後、ネジ螺入により圧接挟持できるようスリット41aが設けられており、第1リニアモータ3が配設されていない他端部側が、任意仕様に応じてパラレル状に配置される第2リニアモータ3aの後付け装着が可能な装着域部42として設定される。
【0014】
つまり、この様に構成されたリニアアクチュエータ1は、1軸駆動仕様のリニアアクチュエータ1としての本体ベースとして機能し、可動軸32は、コイルユニット31の端部から軸止部41まで間隔を可動域とする移動ストロークを、3相コイルを組とするコイルブロック毎に、或いは、中間のコイルブロックと、上側または下側のコイルブロックを組として、順次に切換え励磁制御されて反復リニア駆動することで、ワーク体4を直線方向に進退移動することができ、単体製品としての機能を有している。
【0015】
一方、第2リニアモータ3aは、そのコイルユニット31を基台2に並設取着される補助基台2a上の中央に配設固定せしめた状態で、その可動軸32の両端部に対して、ワーク体4に持設取着される連結部材43を軸着させて、第1リニアモータと同一の駆動機能を備え、同形状に形成されている。補助基台2aは、その幅が基台2に対して面一状に形成されてパラレル状に配置して並設されると共に、可動軸32と略同幅となるよう長形に形成される。
【0016】
また、連結部材43は、可動軸32の端部が挿入された後、ネジ螺入により圧接挟持できるようスリット432が設けられた軸装支持する軸止部43aと、ワーク体4の装着域部42の両端部に形成されたL字状の連結部421に嵌着されるよう、同形のL字状の連結部431が形成され、ネジ孔433を介して装着域部42にネジ固定するようになっている。
つまり、第2リニアモータ3aを装着域部42に連結するには、先ず、補助基台2aを基台2に面当てさせてボルト止め固定した後、可動軸32の両端部に連結部材43、43を仮軸着させた状態で、連結部421、421に連結固定してスリット432をネジ締め付けして本軸着すれば良く、その組付け作業を容易に行うことができる。
【0017】
この様に、1軸駆動仕様のリニアアクチュエータ1をベースとして、そのワーク体4を挟んで平行して第2リニアモータ3aをパラレル状に配置することで、
図2に示す2軸駆動仕様のリニアアクチュエータ1を構成することができる。従って、1軸駆動仕様のリニアアクチュエータ1を、精密ステージなどへ採用する決定した後に、必要な推力や速度が足りない場合や、さらに高応答性が必要なことが判明した場合に際して、推力の設定変更をしたいなどの要求が生じても、ベースとなる1軸駆動仕様のリニアアクチュエータ1に対して、第2リニアモータ3aを任意仕様に応じて後付け装着可能とすることができるようになり、第1リニアモータ3との複合による2軸駆動への推力設定の仕様変更を行うことで、2軸駆動仕様のリニアアクチュエータ1として提供することができる。
【0018】
また、5はガイドレールであって、ガイドレール5は、ワーク体4を挟んで平行して配置される第1リニアモータ3と第2リニアモータ3aとが、右対称状に対向配置され、この第1リニアモータ3と第2リニアモータ3aとの間に、左右対称状に対向配置されて設けられており、2軸駆動仕様のリニアアクチュエータ1として構成された際に、全体が線対称となるよう配置形成されている。この様に線対称に配置された構造に対して、当該ガイドレール5、5間に、エンコーダ6が配設されており、エンコーダ6での位置決めにおいて、モーメント剛性や姿勢精度の影響を少なくすることができると共に、機械的剛性も向上できるようになっている。
なお、2軸駆動仕様のリニアアクチュエータ1の動作制御は、第1リニアモータ3と第2リニアモータ3aにより、同じ信号を同期させて一つのドライバに入力することで駆動制御を行えば良い。
【0019】
図3は、本発明の実施形態にかかる2軸駆動仕様のリニアアクチュエータを用いて、XYテーブルとして組付けした状態を示す斜視図である。この図に示すように、下部側に配置される1軸駆動仕様または2軸駆動仕様のリニアアクチュエータ1のワーク体4を、X軸方向に移動するように配置させ、当該ワーク体4の上面部に他の1軸仕様または2軸駆動仕様のリニアアクチュエータ1をY軸方向に移動可能に載置して、直交する2方向に動作移動するよう組付け固定することでXYテーブル1aを構成している。
このXYテーブル1aを組合せ設定するにあたっては、1軸駆動仕様同士または2軸駆動仕様同士の組合せ態様に加え、上下の配設変えを加味した1軸駆動仕様と2軸駆動仕様との組合せ態様とすることができるので、XYテーブル1aとしてのアッセンブリを、ワーク体4が要求される動作推力に応じて、1軸駆動か2軸駆動かの推力変更による最適な組合せ設定にて行うことができるようになっている。
【0020】
その組み立てにあたっては、下側に配置されるワーク体4を載置用基台として機能させ、その上面に、載置される基台2の底面と略同幅の間隔で取着された位置決めストッパ7…を少なくとも4個所に予め配設させておき、基台2を載置した際に、その両側面が接して位置決めされた状態で仮組付けした後、上側に配置されるワーク体4を片寄り動作させて両者をネジ固定する。なお、本実施例の位置決めストッパ7として平行ピンを用いたが、L型の止め金具を用いて、下側に配置されるワーク体4の上面にネジ固定しておき、載置される基台2の側面にネジ固定する様にしても良い。
【0021】
叙述の如く構成された本発明の実施の形態において、リニアアクチュエータ1のワーク体4は、基台2に固定されたコイルユニット31のコイルのON/OFF切り替えにより、可動軸32の駆動と共にX軸方向に進退移動するのであるが、本発明におけるリニアアクチュエータ1にあっては、第1リニアモータ3を、可動軸32の両端部をワーク体4に持設せしめ、かつ、コイルユニット31を基台2中央に配設固定した状態で、ワーク体4の一端部側に設けると共に、ワーク体4は、第1リニアモータ3の内側となる両側下面域に、対向配設されるガイドレール5、5を介して、基台2上にスライド自在に案内支持せしめて、第1リニアモータ単体による1軸駆動が可能に構成させて、単独の製品ベースとして提供することができるようになっている。
【0022】
一方、このベースとなるリニアアクチュエータ1には、第1リニアモータ3が配設されていないワーク体4の他端部側を、任意仕様に応じてパラレル状に配置される第2リニアモータ3aの後付け装着が可能な装着域部42として設定形成すると共に、第2リニアモータ3aを、そのコイルユニット31を基台2に並設取着される補助基台2a上の中央に配設固定せしめた状態で、その可動軸32の両端部にワーク体4に持設取着される連結部材43を軸着させて、第1リニアモータ3と同一の駆動機能を備えて構成させたものを製作しておく。この第2リニアモータ3aを、装着域部42において、補助基台2aを基台2に対して面一状に並設し、かつ、連結部材43をワーク体4の両端部に取着させて、第1リニアモータ3と同期して複合駆動するよう対称配置させることで選択的に後付け装着できるようにし、第1リニアモータ3単体で1軸駆動するワーク体4を、後付け装着された第2リニアモータ3aとの複合による2軸駆動によって、その推力設定を変更可能に構成されている。
【0023】
この様に構成すると、第1リニアモータ3単体で1軸駆動により直進方向に移動するワーク体4を備えたリニアアクチュエータ1を、単独の製品ベースとして提供できるものでありながら、当該1軸駆動仕様のリニアアクチュエータ1を、精密ステージなどへ採用する決定した後に、必要な推力や速度が足りない場合や、さらに高応答性が必要なことが判明した場合に際して、推力の設定変更をしたいなどの要求が生じても、ベースとなる1軸駆動仕様のリニアアクチュエータ1に対して、第2リニアモータ3aを任意仕様に応じて後付け装着可能とすることができるので、第1リニアモータ3との複合による2軸駆動への推力設定の仕様変更を行い得て、2軸駆動仕様のリニアアクチュエータとして提供することができるだけでなく、当該リニアアクチュエータ1同士を組み合わせて、X軸方向とY軸方向への直交する2方向に動作移動することのできるXYテーブル1aとしてのアッセンブリを、1軸駆動か2軸駆動かの推力変更による組合せ仕様の設定を加味し、かつ、その組み立て作業を容易に行うことができる。その結果、ベースとなるリニアアクチュエータと、後付け装着可能な第2リニアモータ3aだけをそれぞれ製作すれば良く、製作の効率化や、取り扱い製品の簡素化が図られて、製品コストを大幅に低減でき、バリエーションに富んだ組合せ設定が可能な汎用性の有る安価なものを提供することができ、安価な導入コストをもって半導体レーザー加工装置、半導体ウェハ検査装置、半導体ウェハダイサー、外観検査装置医療検査装置など多分野のものに容易に採用することができる。
【0024】
また、対向配設された前記ガイドレール5、5は、前記第2リニアモータ3aを装着した際に、前記第1リニアモータ3との間に配置されるよう設けられると共に、当該ガイドレール5、5間には、エンコーダ6を配設してあるので、エンコーダ6での位置決めにおいて、モーメント剛性や姿勢精度の影響を少なくすることができると共に、機械的剛性も向上できる。
【0025】
また、ワーク体4の上面部に、リニアアクチュエータ1をY軸方向に移動可能に載置して、直交する2方向に動作移動するXYテーブル1aとして組付け固定せしめると共に、当該組となるリニアアクチュエータ1、1同士は、1軸駆動及び/又は2軸駆動による組合せ設定可能に構成されている。
つまり、XYテーブル1aを組合せ設定するにあたっては、1軸駆動仕様同士または2軸駆動仕様同士の組合せ態様に加え、上下の配設変えを加味した1軸駆動仕様と2軸駆動仕様との組合せ態様とすることができるので、例えば、X軸方向の移動には1軸駆動の推力で好適な動作が行えるものであれば、2軸駆動仕様とする過剰品質化を防止することができ、また、Y軸方向の移動には1軸駆動仕様では推力不足となる場合には、2軸駆動仕様のものを導入することができ、XYテーブル1aとしてのアッセンブリを、ワーク体4が要求される動作推力に応じて、1軸駆動か2軸駆動かの推力変更による最適な組合せ設定にて行うことができる。
【0026】
また、連結部材43は、可動軸32の端部を軸装支持する軸止部43aと、ワーク体4の装着域部42の両端部に形成されたL字状の連結部421、421に嵌着される連結部431とを有して形成されているので、第2リニアモータ3aのコイルユニット31を、補助基台2a上の中央に配設固定せしめた後、その可動軸32の両端部に対して連結部材43を仮軸着させた状態で、連結部421、421に連結固定して本軸着すれば良く、その組付け作業を容易に行うことができる。
【符号の説明】
【0027】
1 リニアアクチュエータ
1a XYテーブル
2 基台
2a 補助基台
3 リニアモータ
3a リニアモータ
31 コイルユニット
32 可動軸
4 ワーク体
41 軸止部
41a スリット
42 装着域部
421 連結部
43 連結部材
43a 軸止部
431 連結部
432 スリット
433 ネジ孔
5 ガイドレール
6 エンコーダ
7 ストッパ