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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-11
(45)【発行日】2023-05-19
(54)【発明の名称】装置およびプログラム等
(51)【国際特許分類】
   H04N 7/18 20060101AFI20230512BHJP
   G07C 5/00 20060101ALI20230512BHJP
   G08G 1/00 20060101ALI20230512BHJP
   B60R 1/23 20220101ALI20230512BHJP
【FI】
H04N7/18 J
G07C5/00 Z
G08G1/00 D
B60R1/23
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018222979
(22)【出願日】2018-11-29
(65)【公開番号】P2020088705
(43)【公開日】2020-06-04
【審査請求日】2021-09-29
(73)【特許権者】
【識別番号】391001848
【氏名又は名称】株式会社ユピテル
(74)【代理人】
【識別番号】100180644
【弁理士】
【氏名又は名称】▲崎▼山 博教
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 晃
【審査官】益戸 宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-022315(JP,A)
【文献】特開2006-168717(JP,A)
【文献】特開2009-193257(JP,A)
【文献】特開2014-089513(JP,A)
【文献】特開2012-253609(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 7/18
H04N 23/00
G07C 5/00
G08G 1/00
B60R 1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車載カメラと、前記車載カメラから取得される映像を利用する車両側装置と、を車両メーカーからの出荷時から備えている車両に対し、車両メーカーからの出荷後に増設される装置であって、
前記車載カメラと前記車両側装置との間を流れる映像信号を直接的あるいは間接的に取得する取得部と、
前記取得部により取得された映像信号に所定の処理を行う処理部と、
前記取得部により取得された前記映像信号を、車両メーカーからの出荷時に前記車両に装備されている前記車両側装置に向けて直接的あるいは間接的に出力する出力部と、
を備え
前記車両側装置として、映像信号を加工した加工映像信号を出力可能なものを備えており、
前記取得部に前記加工映像信号を入力することにより、前記処理部において加工映像信号に対して所定の処理を行えることを特徴とする装置。
【請求項2】
車両に装備されている車載カメラから出力される映像信号を、未加工のまま前記取得部で取得し、前記処理部において処理可能であることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記処理部における処理の一部又は全部が、前記映像信号の記録又は通信による外部への出力のいずれか一方又は双方であることを特徴とする請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
通信回線に接続可能な通信部を備えており、
前記取得部において取得された映像信号の一部又は全部を前記通信部を介してそのまま出力する処理、
あるいは前記取得部において取得された映像信号の一部又は全部を処理部において処理してリアルタイムに前記通信部を介して出力する処理、
あるいは前記取得部において取得された映像信号の一部又は全部を処理部において処理したものを一旦記憶してから前記通信部を介して出力する処理、
の少なくともいずれかを行えることを特徴とする請求項1~のいずれかに記載の装置。
【請求項5】
外部メディアと接続可能なメディア接続部を備えており、
前記処理部において処理された映像信号の一部又は全部を、前記メディア接続部を介して出力可能であることを特徴とする請求項1~のいずれかに記載の装置。
【請求項6】
前記車載カメラが、車室外に配置されたものであることを特徴とする請求項1~のいずれかに記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば装置およびプログラム等に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、運転者の利便性を高める様々な車載用の機器が販売されている。そのような機器として、例えば、ドライブレコーダのようにカメラにより画像を撮影可能としたものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-57822号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで近年、あおり運転と呼ばれるような危険運転等が問題視されつつある。このような危険運転等による被害を受けた場合等に備え、その証拠となる映像を取得等すべく、例えば上述したドライブレコーダー等の装置やカメラ等を車両の前方だけではなく後方等の位置に設置したいという要望がある。
【0005】
しかしながら、例えばドライブレコーダを車両の後方や側方等の位置に設置しようとすると、このような装置の設置のために配線を配索したりするための作業が必要となるという問題等、様々な問題がある。また、車両の後方や側方に別途カメラを設置しようとすると、配線の配索だけでなく、カメラを設置するための孔を車体に形成したりする等、さらに複雑な加工等が必要となる。
【0006】
そこで本発明は、例えば、設置作業が容易に行えると共に、車両の前後左右等の位置において撮影された映像を取得等することなど、従来よりも優れた装置、及びプログラムを提供することを目的とする。
【0007】
本願の発明の目的はこれに限定されず、本明細書および図面等に開示される構成の部分から奏する効果を得ることを目的とする構成についても分割出願・補正等により権利取得する意思を有する。例えば本明細書において「~できる」と記載した箇所を「~が課題である」と読み替えた課題が本明細書には開示されており、この課題を解決するための構成についても分割出願・補正等により権利取得する意思を有する。本出願人は本明細書に記載の構成の一部を補正または分割出願にて特許請求の範囲とする意思を有する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)例えば、車載カメラと、前記車載カメラから取得される映像を利用する車両側装置と、を車両メーカーからの出荷時から備えている車両に対し、車両メーカーからの出荷後に増設される装置であって、前記車載カメラと前記車両側装置との間を流れる映像信号を直接的あるいは間接的に取得する取得部と、前記取得部により取得された映像信号に所定の処理を行う処理部と、前記取得部により取得された前記映像信号を、車両メーカーからの出荷時に前記車両に装備されている前記車両側装置に向けて直接的あるいは間接的に出力する出力部と、備えたものとすると良い。
【0009】
このようにすれば、車載カメラにより撮影された映像を車両側装置において活用するだけでなく、車両メーカーからの出荷後に増設される本装置においても利用できる。また、車両メーカーからの出荷後の車両に対し、車載カメラの設置のために車両本体に穴開け等の加工を施したり、車載カメラに繋がる配線の配索作業等を行ったりすることなく使用できる。車載カメラ等の部品代や、車載カメラ等を設置するための工賃等、設置に要する費用を最小限に抑制することができる。
【0010】
車両メーカーからの出荷時に車両に装備されている車載カメラから出力され、取得部において取得された映像信号を処理部において所定の処理を行うと共に、出力部を介して映像信号を車両側装置に向けて出力する構成とするとよい。これにより、車載カメラにより撮影された映像を車両側装置において活用するだけでなく、車両メーカーからの出荷時に増設される本発明の装置においても利用できる。
【0011】
また、車両メーカーからの出荷時に車両に装備されている車載カメラを用いるものであり、車両メーカーからの出荷後に新たに車載カメラを車両に設置しなくても使用できる構成とするとよい。このようにすれば、車両メーカーからの出荷後の車両に対し、車載カメラの設置のために車両本体に穴開け等の加工を施したり、車載カメラに繋がる配線の配索作業等を行ったりすることなく使用できる。車載カメラ等の部品代や、車載カメラ等を設置するための工賃等、設置に要する費用を最小限に抑制することができる。
【0012】
車両メーカーからの出荷時に車両に装備されている車載カメラを用いる構成とするとよい。このようにすれば、撮影に最適な位置や環境等に配置された車載カメラから取得された映像信号に対し、処理部において所定の処理を行うことができる。
【0013】
車両メーカーからの出荷時に車両に装備されている車載カメラを用いる構成とするとよい。このようにすれば、同一の車種でれば車両によらず略一定の位置及び環境等において映像信号を取得し、処理部において所定の処理を行うことができる。
【0014】
「車載カメラ」は、車両メーカーからの出荷時に車両に装備されているカメラであればいかなるものであっても良く、例えば車両に対していわゆる純正品や標準装備等として装備されているカメラを用いることができる。具体的には、本発明の装置におけるカメラには、車両前方に装備されているフロントカメラや、フロントサイドビューカメラ、車両側方に装備されているサイドビューカメラ、車両後方に装備されているバックカメラや電子ルームミラー用カメラ等、適宜のものを選択することができる。上述した「車載カメラ」の数は、いくつで有っても良いが、前述した様々なカメラを複数用いることが望ましい。
【0015】
また、「車両メーカーからの出荷時から車両に装備されている車両側装置」は、映像信号が入力されるものであればいかなるものであっても良く、例えば車両に対していわゆる純正品や標準装備等として装備されている機器類とすることができる。具体的には、本発明の装置において車両メーカーからの出荷時から車両に搭載されている車両側装置には、例えば各種カメラから入力される映像の加工を行うために純正品として装備されている映像加工装置や、複数の映像を合成する合成映像機等の機器や、カーナビゲーション装置、レーダー装置、ドライブレコーダー、液晶モニター等の映像表示装置等、適宜のものを採用することができる。
【0016】
また、「車両メーカーからの出荷時から備えている」ものとは、例えば標準装備の純正品として車両に設けられているものや、いわゆるメーカーオプションのように、ユーザーの希望に応じて車両メーカーが車両の製造時に設置するもの等とするとよい。一方、「車両メーカーからの出荷後に増設される装置」とは、例えばカーショップ等において車両メーカーからの出荷後の車両に対して後付けするために提供されている装置や、車両メーカーからの出荷後、カーディーラー等においてユーザーの要望に応じて取り付けられる部品等とするとよい。
【0017】
また、「前記車載カメラと前記車両側装置との間を流れる映像信号」とは、車載カメラにより取得された映像に係る電気的信号のことであり、有線あるいは無線を問わず例えばCAN、LAN等の通信回線を介して車載カメラと車両側装置との間を流れる映像信号全般を指す。映像信号が流れる回線の形式や、映像信号の種別等については何ら限定されない。
【0018】
「取得部」は、車載カメラと車両側装置との間を流れる映像信号を直接的に取得するものであっても、間接的に取得するものであっても良い。例えば、取得部は、車載カメラと車両側装置とを有線あるいは無線で繋ぐ通信回線に対して直接的に接続され、映像信号を取得するものとするとよい。また、取得部は、車載カメラと車両側装置とを繋ぐ通信回線に対して例えば他の装置等を介して間接的に接続されるものとするとよい。
【0019】
「処理部」は、取得部により取得された映像信号に所定の処理を行うものであればいかなるものであっても良い。処理部が行う所定の処理はいかなるものであっても良いが、特に映像信号を記録する記録処理や、映像信号を他の機器等と通信する通信処理、映像信号を例えばモニタ等の表示装置等に表示するための処理等とするとよい。
【0020】
「出力部」は、取得部により取得された映像信号を、車両メーカーからの出荷時に車両に装備されている車両側装置に向けて直接的あるいは間接的に出力するものであればいかなるものであっても良い。例えば、出力部は、車両側装置との間を有線あるいは無線で繋ぐ通信回線に対して直接的に接続され、映像信号を出力するものであっても、車両側装置と繋がる通信回線に対して例えば他の装置等を介して間接的に接続されるものであっても良い。
【0021】
(2)例えば前記車両側装置として、映像信号を加工した加工映像信号を出力可能なものを備えており、前記取得部に前記加工映像信号を入力することにより、前記処理部において加工映像信号に対して所定の処理を行うものとすると良い。
【0022】
このようにすれば、取得部において車載カメラから取得された映像信号だけでなく、車両側装置において加工して得られた加工映像信号に対しても、処理部において所定の処理を行うことができる。これにより、車載カメラから取得された映像信号だけでなく、車両側装置において加工して得られた加工映像信号についても活用することができる。
【0023】
処理部において加工映像信号に対して行われる「所定の処理」は、いかなるものであっても良いが、特に加工映像信号を記録する記録処理や、加工映像信号を他の機器等と通信する通信処理、加工映像信号を例えばモニタ等の表示装置等に表示するための処理等とすると良い。
【0024】
(3)例えば車両に装備されている車載カメラから出力される映像信号を、未加工のまま前記取得部で取得し、前記処理部において処理可能なものとすると良い。
【0025】
このようにすれば、車両メーカーからの出荷時に車両に装備されている車載カメラから出力された映像信号を未加工のまま取得して処理部での処理に活用できる。特に、例えば、フロントカメラや、フロントサイドビューカメラ、サイドビューカメラ、バックカメラ、電子ルームミラー用カメラ等、一又は複数のカメラから出力された映像信号をそのまま処理部において、例えば記録する処理や、他の機器等と通信する通信処理、例えばモニタ等の表示装置等に表示するための処理等とするとよい。
【0026】
「車載カメラから出力される映像信号を、未加工のまま前記取得部で取得」とは、例えば映像信号の合成処理等の加工や、映像信号の一部を切り出す加工等の加工を施すことなく、車載カメラで得られた映像信号そのものを取得するものとすると良い。
【0027】
(4)例えば前記処理部における処理の一部又は全部が、前記映像信号の記録又は通信による外部への出力のいずれか一方又は双方であるものとすると良い。
【0028】
このようにすれば、車両メーカーからの出荷時に車両に装備されている車載カメラから出力された映像信号を記録したり、通信により外部に出力する処理を行ったりすることができる。車載カメラから出力された映像信号を車両メーカーからの出荷時から搭載されている車両側装置において用いるだけでなく、例えば記録部において記録して活用したり、通信により外部に出力して活用する等の用途に用いることが可能となる。
【0029】
「処理部における処理の一部又は全部が、前記映像信号の記録又は通信による外部への出力」であるとは、処理部における処理として映像信号の記録や外部への出力以外に、例えば映像信号を表示装置等に表示させる表示処理等の処理を含むと良い。
【0030】
(5)例えば通信回線に接続可能な通信部を備えており、前記取得部において取得された映像信号の一部又は全部を前記通信部を介してそのまま出力する処理、あるいは前記取得部において取得された映像信号の一部又は全部を処理部において処理してリアルタイムに前記通信部を介して出力する処理、あるいは前記取得部において取得された映像信号の一部又は全部を処理部において処理したものを一旦記憶してから前記通信部を介して出力する処理、の少なくともいずれかを行うものとすると良い。
【0031】
このようにすれば、例えば取得部において取得された映像信号をそのまま通信部を介して出力する処理や、取得部において取得された映像信号を処理部において処理して通信部を介してリアルタイムに出力する処理、処理部において処理したものを一旦記憶してから通信部を介して出力する処理等を行うことができる。例えば、取得部において取得された映像信号をそのまま通信部を介して出力する処理を行えるようにすることにより、映像信号の出力先となる他の装置等において、車載カメラにより取得された映像信号をそのまま利用することができる。また、例えば取得部において取得された映像信号を処理部において処理して通信部を介してリアルタイムに出力する処理を行えるようにすることにより、映像信号の出力先となる他の装置等において、処理部で処理された映像信号をリアルタイムに利用することができる。また、例えば、処理部において処理したものを一旦記憶してから通信部を介して出力する処理を行えるようにすることにより、処理部での処理された映像信号を記憶させつつ、記憶された映像信号を映像信号の出力先となる他の装置等において利用することができる。
【0032】
「前記取得部において取得された映像信号の一部」とは、取得部において取得された映像信号のうち、例えば複数の車載カメラから得られた映像信号のうち、一部の車載カメラから得られた映像信号等とすると良い。
【0033】
「前記取得部において取得された映像信号の一部又は全部を処理部において処理してリアルタイムに前記通信部を介して出力する処理」とは、例えば映像信号を記録する記録処理や、映像信号を切り出しす処理、映像信号の明るさ、色合い、色調等を調整する処理等の処理を処理部において行いつつ、当該処理により得られた映像信号をリアルタイムに通信部を介して出力するする処理を行うこと等とすると良い。
【0034】
(6)例えば外部メディアと接続可能なメディア接続部を備えており、前記処理部において処理された映像信号の一部又は全部を、前記メディア接続部を介して出力可能であるものとすると良い。
【0035】
このようにすれば、処理部において処理された映像信号の一部又は全部をメディア接続部を介して外部メディアに出力することができる。これにより、例えば、処理部において処理された映像信号の一部又は全部を外部メディアにおいて記録等することができる。
【0036】
なお、「外部メディア」は、例えばSDカードや、microSDカード、USBフラッシュメモリー、ハードディスク、記録型CD、記録型DVDなど、適宜のものとすることができる。
【0037】
(7)例えば前記車載カメラが、車室外に配置されたものであると良い。
【0038】
このようにすれば、車室内に設置したカメラでは得にくい角度や位置で撮影された映像信号を取得することができる。
【0039】
(8)例えば車両メーカーからの出荷時から前記車両の周囲をセンシングするために装備されている所定のセンサーからの出力情報をトリガとして前記処理部において前記映像信号を処理するものとすると良い。
【0040】
このようにすれば、車両メーカーからの出荷時から車両の周囲をセンシングするために設置されている装備であるセンサーの出力信号を、処理部において映像信号を処理するためのトリガとして活用できる。そのため、例えば処理部において映像信号を処理するためのトリガを取得するために例えばセンサ等の検知装置等を、車両メーカーからの出荷後の車両に対して設ける必要がない。そのため、センサーの設置のために車両本体に穴開け等の加工を施したり、センサーに繋がる配線の配索作業等を行ったりすることなく使用できる。従って、センサー等の部品代や、センサー等を設置するための工賃等、設置に要する費用を最小限に抑制することができる。
【0041】
車両メーカーからの出荷時に車両に装備されているセンサーを用いるものとするとよく、このようにすれば、撮影に最適な位置や環境等に配置されたセンサーから出力される出力信号に基づき、処理部において映像信号を処理することができる。
【0042】
車両メーカーからの出荷時に車両に装備されているセンサーを用いるものとするとよく、このようにすれば、同一の車種であれば車両によらず略一定の位置及び環境等において映像信号を取得し、処理部において所定の処理を行うことができる。
【0043】
「センサー」は、車両メーカーからの出荷時に車両に装備されているセンサーであればいかなるものであっても良いが、特に例えば車両に対していわゆる純正品や標準装備等として装備されているセンサーを用いると良い。センサーには、例えばクリアランスソナーやバックソナー、インテリジェントクリアランスソナー等に用いられるフロントサイドセンサー、フロントセンサー、バックサイドセンサー、バックセンサー等、適宜のものを選択して用いる構成とするとよい。上述した「センサー」の数は、いくつで有っても良いが、前述した様々なセンサーを複数用いることが望ましい。
【0044】
(9)例えば前記車両が、所定の条件を満足することを条件として、危険を回避するための危険回避動作を実行するものであり、前記危険回避動作の実行トリガとなる信号に基づいて、前記処理部において前記映像信号を処理するものと良い。
【0045】
このようにすれば、車両が危険回避動作を行う際に、映像信号について、例えば映像信号を記録する記録処理や、映像信号を他の機器等と通信する通信処理、映像信号を例えばモニタ等の表示装置等に表示するための処理等の所定の処理を行うことができる。車両が危険回避動作を実行するための実行トリガとなる信号を、処理部における処理の実行のためのトリガとして使用するものとすると良い。例えば危険回避すべき状況であるか否かの判断を行うための装置等を設けることなく、危険回避すべき状況において処理部において映像信号に所定の処理を施すことができ、その分だけ装置構成や動作を簡素なものとすることができる。
【0046】
なお、「危険を回避するための危険回避動作」とは、車両に対する他の車両等の衝突等に備えてシートベルトを締め上げる動作や、エアバッグを作動させる動作、衝突回避のために自動的にブレーキを作動させるための動作、アンチロック・ブレーキ・システム(ABS)を作動させる動作等、適宜のものとすると良い。
【0047】
(10)例えば前記出力部から出力された前記映像信号が入力される前記車両側装置に隣接する位置に配置する構成とすると良い。
【0048】
このようにすれば、本装置と車両側装置との距離を最小限に抑制できる。これにより、例えば出力部と車両側装置とを有線により接続する場合には、接続用の配線を最小限に抑制することができる。これにより、例えば本装置から車両側装置に伝送される映像信号の通信速度の低下や品質の劣化を最小限に抑制できる。また、例えば出力部と車両側装置とを無線により接続する場合には、例えば通信不良の可能性や通信速度の低下、映像品質の劣化等を最小限に抑制できる。
【0049】
(11)例えば前記車両側装置が、複数の車載カメラから出力される映像信号を合成して合成映像を形成する映像合成装置とすると良い。
【0050】
このようにすれば、車両側装置において合成映像を形成するために車載カメラから出力された画像を、車両側装置に入力されるよりも前に取得部において取得し、処理部において処理できる。また上述したように、本装置は、出力部を備えており、取得部により取得された映像信号を、車両メーカーからの出荷時に車両に装備されている前記車両側装置に向けて直接的あるいは間接的に出力すると良い。このようにすれば、車載カメラから出力された車両側装置に向けて映像信号を合成映像を形成するために出力することもできる。
【0051】
「複数の車載カメラから出力される映像信号を合成して合成映像を形成する映像合成装置」は、例えば車両の駐車等を支援するために車両の周囲がどのような状況であるかを伝えるための合成映像を形成するための装置等とすると良い。
【0052】
(12)例えば車種に応じて設定変更可能な車種設定部を有し、前記車種設定部の設定変更を行うことにより、設定に応じた処理を行うものとすると良い。
【0053】
このようにすれば、車種設定部の設定に応じ、本発明の装置を各種の車種において用いることができる。そのため、本装置は、車種毎に異なるものを準備する必要がない。
【0054】
「車種設定部」は、例えばいわゆるディップスイッチのような機械的に設定変更可能なスイッチ類や、電気的あるいは電子的に設定変更可能なもの等とすると良い。
【0055】
(13)例えば前記車両側装置の一部又は全部が、前記映像信号を受信して映像を表示可能な映像表示装置であり、車両の運転状態を判別するための運転状態判別手段を有し、前記運転状態に応じて前記映像表示装置への画像の表示形態を切替可能であると共に、前記映像表示装置への画像の表示時に選択されていた表示形態を記録可能なものとすると良い。
【0056】
運転状態判別手段により判別された運転状態に応じて、車両側装置をなす映像表示装置における画像の表示形態を切り替えると共に、どのような表示形態で画像が表示されていたかを記録することができる。例えば、車両がどのような運転状態で、どのような状況にあったかを紐付けて記録すると良い。このようにして得られた記録データは、例えば事故原因の特定や解析等に有効に利用できる。例えば、車両の運転状態がバックギアに設定された状態において、車両の周囲の状況がどのような状況であったかを紐付けて記録すると良い。
【0057】
(14)例えば前記車両側装置の一部又は全部が、前記映像信号を受信して映像を表示可能な映像表示装置であり、車両の運転状態を判別するための運転状態判別手段を有し、前記運転状態に応じて前記映像表示装置への画像の表示形態を切替可能であると共に、前記映像表示装置への画像の表示時に選択されていた表示形態、及び時間情報を記録する構成とすると良い。
【0058】
運転状態判別手段により判別された運転状態に応じて、車両側装置をなす映像表示装置における画像の表示形態を切り替えると共に、どのような表示形態で画像が表示されていたかと、時間情報を記録することができる。また、どのような表示形態で画像が表示されていたかを時間情報と共に記録することにより、車両がいつ、どのような状況下にあったかを紐付けて記録することができる。このようにして得られた記録データは、例えば事故原因の特定や解析等に有効に利用できる。例えば、車両の運転状態がバックギアに設定された状態において、車両の周囲の状況及び時間情報を紐付けて記録すると良い。
【0059】
(15)例えば前記車載カメラから出力される映像信号に加え、前記車載カメラとは別に、車両メーカーからの出荷後に前記車両に増設された増設カメラから出力される映像信号を前記取得部において取得し、前記処理部において処理可能なものであり、前記増設カメラにより取得された映像と、前記車載カメラにより取得された映像とを区別して所定の処理を行うと良い。
【0060】
車載カメラから出力される映像信号だけでなく、車両メーカーからの出荷後に車両に増設された増設カメラから出力される映像信号についても取得し、処理部において処理することができる。例えば車両メーカーからの出荷時に車両に設置されている車載カメラで取得できる映像信号よりも多くの映像信号を取得したい場合等に、車両メーカーからの出荷後に車両に増設カメラを増設し、その増設カメラにより取得された映像信号を利用することができる。増設カメラにより取得された映像と、車載カメラにより取得された映像とを区別して所定の処理を行える。そのため、例えば増設カメラにより取得された映像を、車載カメラにより取得された映像とは別の用途に用いたり、別の画像処理を加えて活用したりする等、様々な形態で利用することができる。
【0061】
なお、「車両メーカーからの出荷後に前記車両に増設された増設カメラ」とは、例えばいわゆるディーラーオプションのように、ユーザーの希望に応じて車両メーカーから出荷された車両に増設するカメラや、いわゆるカーショップなどにおいて購入して増設するカメラ等とすると良い。
【0062】
また、処理部において行われる「所定の処理」はいかなるものであっても良いが、例えば映像信号を記録する記録処理や、映像信号を他の機器等と通信する通信処理、映像信号を例えばモニタ等の表示装置等に表示するための処理等とすると良い。
【0063】
(16)例えば前記処理部において処理された映像信号に基づき、運転の安全度を評価する安全度評価部を備えていると良い。
【0064】
このようにすれば、運転の安全度の評価を本発明の装置において行うことができる。これにより、例えば運転の安全度の評価のために他の機器等にかかる負荷を抑制することができ、例えばエッジコンピューティングの実現への貢献等に役立てることができる。
【0065】
(17)例えば前記処理部において処理された映像信号に基づく所定の演算処理を行う演算部と、通信回線に接続可能な通信部とを備えており、前記演算部による演算処理結果を、前記通信部を介して出力すると良い。
【0066】
このようにすれば、演算部により映像信号に基づく所定の演算処理を本装置において行い、演算処理結果を通信部を介して出力することができる。これにより、例えば映像信号に基づく所定の演算処理を行うために他の機器等にかかる負荷を抑制することができ、例えばエッジコンピューティングの実現への貢献等に役立てることができる。
【0067】
(18)前記処理部において処理された映像信号に基づき、運転の安全度を評価する安全度評価部と、通信回線に接続可能な通信部とを備えており、前記安全度評価部による評価結果を、所定期間毎に前記通信部を介して出力可能であると良い。
【0068】
このようにすれば、映像信号に基づく運転の安全度の評価を本装置において行うことができ、安全度評価のための処理を他の機器等に負担させることなく行うことができる。また、上述したように安全度評価部による評価結果を所定期間毎に通信部を介して出力することにより、評価結果を常時出力することとする場合に比べて通信負荷を抑制できる。
【0069】
(19)例えば前記処理部において処理された映像信号に基づき、運転の安全度を評価する安全度評価部と、前記安全度評価部による評価結果に基づいて、車両の運転に伴って発生する損害を保障する保険の保険料を導出する保険料導出部とを有すると良い。
【0070】
このようにすれば、映像信号に基づく運転の安全度の評価に加え、評価結果に基づく保険料の導出まで本装置において行うことができる。これにより、安全度評価のための処理や保険料導出のための処理を、他の機器等に負担させることなく行うことができる。
【0071】
(20)前記車両側装置は、例えば上記(1)~(19)のいずれかに記載の装置が搭載されたものであると良い。
【0072】
このようにすれば、車両側装置とは別に上述した装置を設ける必要がなくなる。これにより、装置構成のコンパクト化やシンプル化に貢献することができる。
【0073】
(21)プログラムは、例えば上記(1)~(20)のいずれかに記載の装置の機能を制御手段に実行させるためのものであると良い。
【0074】
上述した構成は例示であり、一部を拡張したり、一部を限定してもよい。また、構成に矛盾の無い範囲で構成が組み合わされてもよい。例えば、上述した(1)から(21)までの発明は、任意に組み合わせることができる。また、例えば(1)の全部または一部の構成を備えずに他の(2)から(21)までの少なくともいずれか1つの構成を備えたものとしてもよい。但し特に、(1)の構成の全部または一部を備えて、(2)から(21)までの少なくともいずれか1つの構成と組み合わせを備えるとよい。また(1)から(21)までの少なくとも1つから任意の構成要素を抽出し、組み合わせてもよい。本願出願人はこれらのような構成についても特許権を取得する意思を有する。
【発明の効果】
【0075】
本発明によれば、従来よりも優れた装置、及びプログラムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0076】
図1】本発明の一実施形態であるドライブレコーダーが搭載される車両の構成を示す模式図である。
図2】本発明の一実施形態であるドライブレコーダーが搭載される前に、車両メーカーからの出荷時から車両が備えているシステム構成を示した概略図である。
図3】本発明の一実施形態に係るドライブレコーダーを車両に搭載した状態を示すシステム概略図である。
図4】第一変形例に係るドライブレコーダーを車両に搭載した状態を示すシステム概略図である。
図5】第二変形例に係るドライブレコーダーを車両に搭載した状態を示すシステム概略図である。
図6】第三変形例に係るドライブレコーダーを車両に搭載した状態を示すシステム概略図である。
図7】第四変形例に係るドライブレコーダーを車両に搭載した状態を示すシステム概略図である。
図8】第五変形例に係るドライブレコーダーを車両に搭載した状態を示すシステム概略図である。
図9】第六変形例に係るドライブレコーダーを車両に搭載した状態を示すシステム概略図である。
図10】第七変形例に係るドライブレコーダーを車両に搭載した状態を示すシステム概略図である。
図11】車載カメラ等により得られた画像の車両側映像表示器への表示形態の一例を示した画像図である。
【発明を実施するための形態】
【0077】
続いて、本発明の装置の一実施形態であるドライブレコーダー10、ドライブレコーダー10に用いられるプログラム、及びドライブレコーダー10を搭載した車両100について、図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の説明においては、ドライブレコーダー10の説明に先立って、車両100の特徴部分について説明する。
【0078】
図1及び図2に示すように、車両100は、車載カメラ110、車両側映像合成装置130、センサー150等を装備したものとされている。車載カメラ110、車両側映像合成装置130、車両側映像表示器140、センサー150等は、車両メーカーからの出荷時から車両100に搭載されているものであり、例えば、標準装備の純正品や、いわゆるメーカーオプションのように、ユーザーの希望に応じて車両メーカーが車両の製造時に設置されるもの等とされている。
【0079】
車載カメラ110は、車両100の車室外に配置されたカメラである。車載カメラ110は、車両100の各部において映像を撮影し、映像信号として出力できる。車載カメラ110は、例えば、車両100の運転者等に見せるための映像を取得するためのカメラや、自動運転や衝突防止動作等のために用いられるセンシング用のカメラとして搭載されたものである。車両100の運転者等に見せるための映像を取得するためのカメラとして、車両100は、例えばフロントカメラ112、フロントサイドビューカメラ114、サイドビューカメラ116L,116R、バックカメラ118、電子ルームミラー用カメラ120を装備している。
【0080】
フロントカメラ112は、車両100の前方に装備され、車両100の正面の映像を撮影するためのカメラである。フロントサイドビューカメラ114は、車両100の前方に装備され、車両100の前側方の映像を撮影するためのカメラである。サイドビューカメラ116L,116Rは、それぞれ車両100の左右側方に装備されたカメラである。バックカメラ118は、車両100の後方に装備され、車両100の後方側の映像を撮影するカメラである。電子ルームミラー用カメラ120は、車室内に配置された電子ルームミラーに写すための画像を撮影するカメラである。また、車両100は、車載カメラとして、自動運転や衝突防止動作等のために用いられるカメラとして、センシングカメラ122を備えている。
【0081】
車両側映像合成装置130は、車載カメラ110から取得される映像を利用する装置である。車両側映像合成装置130は、車載カメラ110と同様に、車両メーカーからの出荷時から車両に装備されている。車両側映像合成装置130は、例えばCAN等の有線回線、あるいは無線回線からなる通信回線132を介して車載カメラ110に対して接続されている。車両側映像合成装置130には、車載カメラ110から出力されて通信回線132を流れる映像信号を取得できる。
【0082】
車両側映像合成装置130は、複数の車載カメラから出力される映像信号を合成して合成映像を形成する装置である。車両側映像合成装置130は、例えば、車両の駐車等を支援するために車両の周囲がどのような状況であるかを伝えるための合成映像を形成するもの等とされている。車両側映像合成装置130は、合成映像をなす映像信号を出力できる。
【0083】
車両側映像表示器140は、例えば、液晶モニター等のように映像を表示するための専用装置、あるいはカーナビゲーション装置、レーダー装置、ドライブレコーダー等の装置に付随して設けられた液晶モニター等の表示装置等から構成されている。車両側映像表示器140は、車載カメラ110から出力された映像信号や、車両側映像合成装置130から出力された合成映像をなす映像信号を取得し、表示することができる。また、車両側映像表示器140に表示させる映像については、車両100に設けられた映像切替スイッチ142によって切り替えることができる。映像切替装置142は、専用スイッチやカーナビゲーションシステムのパネルに表示されるスイッチ等とすることができる。
【0084】
センサー150は、車両100の周囲をセンシングするために装備されている。センサー150は、例えば、クリアランスソナーやバックソナー、インテリジェントクリアランスソナー等に用いられるフロントサイドセンサー、フロントセンサー、バックサイドセンサー、バックセンサー等とすると良い。センサー150は、車両100の近傍に他の車両や人、建物等が存在していることを検知すると検知信号を出力できる。センサー150は、車両100にいくつ取り付けられていても良いが、様々な種類のものが複数設けられていると良い。
【0085】
車両100は、所定の条件を満足することを条件として、危険を回避するための危険回避動作を実行できるものとされている。車両100は、危険回避動作として、例えば、他の車両等の衝突等に備えてシートベルトを締め上げる動作、エアバッグを作動させる動作、衝突回避のために自動的にブレーキを作動させるための動作、アンチロック・ブレーキ・システム(ABS)を作動させる動作等を行うものとされている。
【0086】
また、車両100は、上述した車載カメラ110とは別に、増設カメラ160を増設することができる。増設カメラ160は、車両100が車両メーカーから出荷された後に車両100に増設されたカメラである。増設カメラ160は、例えば、カーショップ等において車両メーカーからの出荷後の車両に対して後付けするために提供されているカメラや、車両メーカーからの出荷後、カーディーラー等においてユーザーの要望に応じて取り付けられるカメラ等とすることができる。
【0087】
図2図3を比較して明らかなように、ドライブレコーダー10は、車両100に対し、車両メーカーからの出荷後に増設される装置である。ドライブレコーダー10は、車両100内の任意の位置に設置することが可能であるが、例えば、車両側映像合成装置130に隣接する位置等に配置されると良い。図3に示すように、ドライブレコーダー10は、取得部20、処理部30、及び出力部40を備えている。ドライブレコーダー10は、これらの構成に加え、通信部50、メディア接続部60を備えている。
【0088】
取得部20は、車載カメラ110と車両側映像合成装置130との間を流れる映像信号を取得するものである。取得部20は、映像信号の合成処理等の加工や、映像信号の一部を切り出す加工等の加工を施すことなく、車載カメラ110で得られた映像信号そのものを未加工のまま取得する。取得部20は、映像信号を取得するための入力端子22を複数備えている。図2に示す例においては、入力端子22a~22eからなる5つの端子が設けられている。入力端子22aは、フロントカメラ112あるいはフロントサイドビューカメラ114に繋がる入力ケーブル72aを接続するための端子である。同様に、入力端子22bはサイドビューカメラ116Lに繋がる入力ケーブル72b、入力端子22cはサイドビューカメラ116Rに繋がる入力ケーブル72c、入力端子22dはバックカメラ118あるいは電子ルームミラー用カメラ120に繋がるに繋がる入力ケーブル72dを接続するための端子である。入力端子22eは、車両側映像合成装置130に繋がる入力ケーブル72eを接続するための端子である。
【0089】
処理部30は、取得部20により取得された映像信号に所定の処理を行うものである。処理部30は、取得部20により取得された映像信号を記録する機能(映像録画機能)を実現するための記録処理装置30a、映像信号を他の機器等に向けて出力等するための通信処理を行う通信処理装置30b、映像信号を例えば車両側映像表示器140や別途設けられたモニタ等の表示装置等に表示させるための映像の合成を行う映像合成装置30c等を備えている。
【0090】
出力部40は、取得部20により取得された映像信号を、車両メーカーからの出荷時に車両100に装備されている車両側装置である車両側映像合成装置130に向けて直接的、あるいは他の機器等を介して間接的に出力できる。出力部40は、映像信号を出力するための出力端子42を複数備えている。図@@に示す例においては、出力端子42a~42eからなる5つの端子が設けられている。出力端子42aは、フロントカメラ112あるいはフロントサイドビューカメラ114から取得した映像信号を出力するための出力ケーブル74aを接続するための端子である。同様に、出力端子42bはサイドビューカメラ116Lから取得した映像信号を出力するための出力ケーブル74bを接続するための端子、出力端子42cはサイドビューカメラ116Rから取得した映像信号を出力するための出力ケーブル74cを接続するための端子、出力端子42dはバックカメラ118あるいは電子ルームミラー用カメラ120から取得した映像信号を出力するための出力ケーブル74dを接続するための端子である。出力端子42eは、車両側映像表示器140に繋がる出力ケーブル74eを接続するための端子である。出力端子42eから映像信号を出力することにより車両側映像表示器140に表示される映像は、映像切替スイッチ44により切り替えることができる。
【0091】
通信部50は、通信回線に接続可能なものである。通信部50は、取得部20において取得された映像信号の一部又は全部をそのまま出力する処理を行うことができる。通信部50は、例えばLTE(Long Term Evolution)や、3G、4G、5G等の各種の移動通信規格からなる通信回線に接続して通信可能な通信回路を備えている。ドライブレコーダー10は、通信部50を介して、ユーザのスマートフォンやパーソナルコンピュータ等のクライアント端末からアクセス可能とされたクラウドコンピュータやサーバ等とデータを送受信可能とされている。
【0092】
メディア接続部60は、外部メディアと接続可能なものである。メディア接続部60に接続可能な外部メディアは、例えばSDカードや、microSDカード、USBフラッシュメモリー、ハードディスク、記録型CD、記録型DVD等のメディアとすることができる。メディア接続部60は、処理部30において処理された映像信号の一部または全部を外部メディアに向けて出力し、外部メディアに情報を書き込む機能を備えている。
【0093】
ドライブレコーダー10は、車両メーカーの出荷段階から車両100に用いられていたケーブル、及びケーブルハーネス70を用いて、フロントカメラ112や、フロントサイドビューカメラ114、サイドビューカメラ116L,116R、バックカメラ118、電子ルームミラー用カメラ120、車両側映像合成装置130に対して映像信号を通信可能なように接続することにより車両100に設置される。具体的には、入力ケーブル72a~72eは、車両メーカーの出荷段階から車両100においてフロントカメラ112や、フロントサイドビューカメラ114、サイドビューカメラ116L,116R、バックカメラ118、電子ルームミラー用カメラ120等の車載カメラ110を車両側映像合成装置130に接続するために用いられていたものが流用される。また、ケーブルハーネス70は、出力ケーブル74a~74eを結束したものであり、ドライブレコーダー10と車両側映像合成装置130とを接続するために用いられる。ケーブルハーネス70は、映像信号の品質を確保するために、車両メーカーからの出荷時から車両100で使用されているものと略同一、あるいはそれ以上の品質で映像信号を通信可能なものとされる。
【0094】
ドライブレコーダー10は、車両メーカーからの出荷時から車両100に搭載されているフロントカメラ112や、フロントサイドビューカメラ114、サイドビューカメラ116L,116R、バックカメラ118、電子ルームミラー用カメラ120等の車載カメラ110、及び車両側映像合成装置130から発信された映像信号を利用し、車両100の略全周(略360度)の映像の記録、及び自動伝送を可能とする。具体的には、ドライブレコーダー10は、車両メーカーからの出荷時から車両100に搭載されている各種の車載カメラ110及び車両側映像合成装置130から発信された映像信号を取得部20において取得できる。また、ドライブレコーダー10は、取得部20により取得された映像信号を、処理部30による処理により記録する処理を行う。これと共に、ドライブレコーダー10は、処理部30により、各種の車載カメラ110から取得した映像信号を車両側映像合成装置130に出力したり、各種の車載カメラ110や車両側映像合成装置130から取得した映像信号を車両側映像表示器140に出力する等、ドライブレコーダー10以外の他の機器等と通信する通信処理を行える。また、ドライブレコーダー10は、通信部50を介して通信回線に接続することにより、各種の車載カメラ110や車両側映像合成装置130から取得した映像信号等の情報を伝送できる。また、ドライブレコーダー10は、メディア接続部60を介して外部メディアに接続することにより、各種の車載カメラ110や車両側映像合成装置130から取得した映像信号等の情報を外部メディアに伝送できる。
【0095】
また、ドライブレコータ10は、各車載カメラ110により得られた画像を出力端子42eを介して車両側映像表示器140に様々な形態で表示できる。例えば、図11に示すように、車両側映像表示器140に複数の表示枠を設け、各表示枠に車載カメラ110や増設カメラ160から得られた画像を表示することができる。例えば、図11に示すように、1番目の枠に増設カメラ160により得られた画像、2番目の枠に車両100の左側方の画像、3番目の枠に車両100の右側方の画像、4番目の枠に車両100の前方の画像、5番目の枠に車両100の後方の画像、6番目の枠に車両側映像合成装置130による合成処理により得られた車両100の全周の画像を表示する等の形態で画像を表示することができる。
【0096】
上述したように、本実施形態のドライブレコーダー10は、車両メーカーからの出荷時に車両100に装備されている車載カメラ110から出力され、取得部20において取得された映像信号を処理部30において所定の処理を行うと共に、出力部40を介して映像信号を車両側映像合成装置130に向けて出力できる。これにより、車載カメラ110により撮影された映像を車両側映像合成装置130において活用するだけでなく、車両メーカーからの出荷時に増設される本実施形態のドライブレコーダー10においても利用できる。
【0097】
また、本実施形態のドライブレコーダー10は、車両メーカーからの出荷時に車両100に装備されている車載カメラ110を用いるものであり、車両メーカーからの出荷後に新たに車載カメラ110を車両100に設置することなく使用できる。そのため、本実施形態のドライブレコーダー10は、車両メーカーからの出荷後の車両100に対し、車載カメラ110の設置のために車両100本体に穴開け等の加工を施したり、車載カメラ110に繋がる配線の配索作業等を行ったりすることなく使用できる。従って、本実施形態のドライブレコーダー10は、車載カメラ110等の部品代や、車載カメラ110等を設置するための工賃等、設置に要する費用を最小限に抑制することができる。
【0098】
さらに、本実施形態のドライブレコーダー10は、車両メーカーからの出荷時に車両100に装備されている車載カメラ110を用いるものであるため、撮影に最適な位置や環境等に配置された車載カメラ110から取得された映像信号に対し、処理部30において所定の処理を行うことができる。
【0099】
また、本実施形態のドライブレコーダー10は、車両メーカーからの出荷時に車両100に装備されている車載カメラ110を用いるものであるため、同一の車種でれば車両100によらず略一定の位置及び環境等において映像信号を取得し、処理部30において所定の処理を行うことができる。
【0100】
本実施形態のドライブレコーダー10において、「車載カメラ110」は、例えば車両100に対していわゆる純正品や標準装備等として装備されているカメラを用いることができる。具体的には、本実施形態において例示したフロントカメラ112や、フロントサイドビューカメラ114、サイドビューカメラ116L,116R、バックカメラ118、電子ルームミラー用カメラ120等、適宜のものを選択することができる。上述した「車載カメラ110」の数は、いくつで有っても良いが、前述した様々なカメラを複数用いることが望ましい。
【0101】
また、本実施形態では、「車両メーカーからの出荷時から車両100に装備されている車両側装置」の例として、車両側映像合成装置130を例示したが、例えば各種カメラから入力される映像にエフェクトをかける等の加工を行うために純正品として装備されている映像加工装置や、カーナビゲーション装置、レーダー装置、ドライブレコーダー、液晶モニター等の映像表示装置等、適宜のものを採用することができる。
【0102】
また、「車両メーカーからの出荷時から備えている」ものとは、例えば標準装備の純正品として車両100に設けられているものや、いわゆるメーカーオプションのように、ユーザーの希望に応じて車両メーカーが車両100の製造時に設置するもの等を含むものである。一方、「車両メーカーからの出荷後に増設される装置」とは、例えばカーショップ等において車両メーカーからの出荷後の車両100に対して後付けするために提供されているドライブレコーダー10や、車両メーカーからの出荷後、カーディーラー等においてユーザーの要望に応じて取り付けられる部品等を含むものである。
【0103】
また、本実施形態において「車載カメラ110と車両側映像合成装置130との間を流れる映像信号」とは、車載カメラ110により取得された映像に係る電気的信号のことである。本実施形態では、車載カメラ110と車両側映像合成装置130との間を有線により構築された通信系統を介して車載カメラ110と車両側映像合成装置130との間を映像信号が流れるようにした例を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、無線により構築された通信系統を介して車載カメラ110と車両側映像合成装置130との間を映像信号が流れるようにしても良い。
【0104】
また、本実施形態において、取得部20は、車載カメラ110と車両側映像合成装置130との間を流れる映像信号を直接的に取得するものであるが、本発明はこれに限定されるものではなく、車載カメラ110と車両側映像合成装置130との間を流れる映像信号を間接的に取得するものであっても良い。例えば、取得部20は、車載カメラ110と車両側映像合成装置130とを有線あるいは無線で繋ぐ通信回線に対して例えば他の装置等を介して間接的に接続されるものであっても良い。
【0105】
また、本実施形態において、処理部30は、映像信号を記録する記録処理を行うものであるが、処理部30は取得部20により取得された映像信号に所定の処理を行うものであれば良く、本実施形態において例示したものに限定されない。処理部30は、映像信号を記録する記録処理に加えて、あるいは当該記録処理に代えて、映像信号を他の機器等と通信する通信処理、映像信号を例えばモニタ等の表示装置等に表示するための処理等を行うものであっても良い。
【0106】
また、本実施形態において、出力部40は、取得部20により取得された映像信号を、車両メーカーからの出荷時に車両100に装備されている車両側映像合成装置130に向けて直接的に出力するものであるが、車両側映像合成装置130に向けて他の機器等を介して間接的に出力するものであっても良い。また、本実施形態では、出力部40と車両側映像合成装置130とを有線により接続した例を示したが、本発明はこれに限定されず、無線により接続するものであっても良い。
【0107】
本実施形態のドライブレコーダー10は、例えば車両側映像合成装置130として、映像信号を加工した加工映像信号を出力可能なものを備えており、取得部20に加工映像信号を入力することにより、処理部30において加工後の映像を記録可能なものとされている。このような構成によれば、取得部20において車載カメラ110から取得された映像信号だけでなく、車両側映像合成装置130において加工して得られた加工映像信号についても処理部30において記録処理することができる。
【0108】
本実施形態においては、取得部20に加工映像信号を入力することにより処理部30において行う処理として、加工映像信号を記録する記録処理を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。処理部30において行う処理は、前述の記録処理に加えて、あるいは記録処理に代えて、加工映像信号を他の機器等と通信する通信処理、加工映像信号を例えばモニタ等の表示装置等に表示するための処理等とすることができる。
【0109】
本実施形態のドライブレコーダー10は、車両100に装備されている車載カメラ110から出力される映像信号を、未加工のまま取得部20で取得し、処理部30において記録する記録処理や、車両側映像表示器140に表示する処理等を行うことができる。
【0110】
本実施形態のドライブレコーダー10は、車載カメラ110から出力される映像信号を、未加工のまま取得部20で取得するものであり、例えば映像信号の合成処理等の加工や、映像信号の一部を切り出す加工等の加工を施すことなく、車載カメラ110で得られた映像信号そのものを取得するものであるが、本発明はこれに限定されない。例えば、ドライブレコーダー10は、車載カメラ110から出力される映像信号から必要な部分だけを切り出したり、エフェクトをかけたりする等の加工を施したものを取得部20において取得するものとしても良い。
【0111】
本実施形態のドライブレコーダー10は、通信回線に接続可能な通信部50を備えている。そのため、ドライブレコーダー10は、例えば、取得部20において取得された映像信号を通信部50を介してそのまま出力する処理、あるいは取得部20において取得された映像信号の一部又は全部を処理部30において処理してリアルタイムに通信部50を介して出力する処理、あるいは取得部20において取得された映像信号の一部又は全部を処理部30において処理したものを一旦記憶してから通信部50を介して出力する処理等を行うことができる。
【0112】
例えば、取得部20において取得された映像信号をそのまま通信部50を介して出力する処理を行えるようにすることにより、映像信号の出力先となる他の装置等において、車載カメラ110により取得された映像信号をそのまま利用することができる。また、例えば取得部20において取得された映像信号を処理部30において処理して通信部50を介してリアルタイムに出力する処理を行えるようにすることにより、映像信号の出力先となる他の装置等において、処理部30で処理された映像信号をリアルタイムに利用することができる。また、例えば、処理部30において処理したものを一旦記憶してから通信部50を介して出力する処理を行えるようにすることにより、処理部30での処理された映像信号を記憶させつつ、記憶された映像信号を映像信号の出力先となる他の装置等において利用することができる。
【0113】
なお、「取得部20において取得された映像信号の一部」とは、取得部20において取得された映像信号のうち、例えば複数の車載カメラ110から得られた映像信号のうち、一部の車載カメラ110から得られた映像信号等を指す。
【0114】
また、「取得部20において取得された映像信号の一部又は全部を処理部30において処理してリアルタイムに通信部を介して出力する処理」とは、例えば映像信号を記録する記録処理や、映像信号を切り出しす処理、映像信号の明るさ、色合い、色調等を調整する処理等の処理を処理部30において行いつつ、当該処理により得られた映像信号をリアルタイムに通信部を介して出力するする処理を行うこと等を指す。
【0115】
本実施形態のドライブレコーダー10は、例えばSDカードや、microSDカード、USBフラッシュメモリー、ハードディスク、記録型CD、記録型DVDなど、適宜の外部メディアと接続可能なメディア接続部60を備えている。また、ドライブレコーダー10は、処理部30において処理された映像信号の一部又は全部を、メディア接続部60を介して出力可能である。そのため、ドライブレコーダー10は、例えば、処理部30において処理された映像信号の一部又は全部を外部メディアにおいて記録等することができる。
【0116】
なお、本実施形態で例示したドライブレコーダー10は、メディア接続部60を備えたものであるが、本発明はこれに限定されるものではなく、メディア接続部60を備えていないものであっても良い。・
【0117】
また、本実施形態のドライブレコーダー10は、車室外に配置された車載カメラ110において撮影された映像信号を用いるものである。そのため、ドライブレコーダー10は、車室内に設置したカメラでは得にくい角度や位置で撮影された映像信号を取得することができる。
【0118】
なお、本実施形態では、車載カメラ110として車室外に配置されたもののみを用いた例を示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、車載カメラ110の一部又は全部が、車室内に設置されたものであっても良い。
【0119】
また、本実施形態のドライブレコーダー10は、車両100のいずれの箇所に配置するものであっても良いが、例えば出力部40から出力された映像信号が入力される車両側映像合成装置130に隣接する位置に配置するものであると良い。かかる構成によれば、ドライブレコーダー10と車両側映像合成装置130との距離を最小限に抑制できる。これにより、例えば出力部40と車両側映像合成装置130とを有線により接続する場合には、接続用の配線を最小限に抑制することができる。これにより、例えばドライブレコーダー10から車両側映像合成装置130に伝送される映像信号の通信速度の低下や品質の劣化を最小限に抑制できる。また、例えば出力部40と車両側映像合成装置130とを無線により接続する場合には、ドライブレコーダー10を車両側映像合成装置130に隣接する位置に配置することにより、例えば通信不良の可能性や通信速度の低下、映像品質の劣化等を最小限に抑制できる。
【0120】
本実施形態のドライブレコーダー10は、車載カメラ110と車両側映像合成装置130とを繋ぐ配線系統の中間に配置された構成とされている。そのため、ドライブレコーダー10は、車両側映像合成装置130において合成映像を形成するために車載カメラ110から出力された映像信号を、車両側映像合成装置130に入力されるよりも前に取得部20において取得し、処理部30において処理できる。また上述したように、ドライブレコーダー10は、出力部40を備えており、取得部20により取得された映像信号を、車両メーカーからの出荷時に車両100に装備されている車両側映像合成装置130に向けて直接的あるいは間接的に出力することができる。そのため、ドライブレコーダー10は、車載カメラ110から出力された車両側映像合成装置130に向けて映像信号を合成映像を形成するために出力することもできる。
【0121】
なお、本実施形態において、「複数の車載カメラ110から出力される映像信号を合成して合成映像を形成する車両側映像合成装置130」は、例えば車両100の駐車等を支援するために車両100の周囲がどのような状況であるかを伝えるための合成映像を形成するための装置等とすることができる。
【0122】
≪第一変形例≫
以下、上述したドライブレコーダー10の第一変形例について、図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、第一変形例の説明に際し、上記実施形態と共通する構成については同一の符号を付し、詳細の説明については省略する。
【0123】
図4に示すように、ドライブレコーダー10は、取得部20がセンサ入力端子24を備えている。センサ入力端子24は、車両100に装備されているセンサー150に対して配線接続するための端子である。具体的には、センサ入力端子24は、クリアランスソナーやバックソナー、インテリジェントクリアランスソナー等に用いられるフロントサイドセンサー、フロントセンサー、バックサイドセンサー、バックセンサー等のセンサー150を接続できる。
【0124】
ドライブレコーダー10は、センサー150から出力される検知信号をトリガとして処理部30において映像信号を処理できる。具体的には、ドライブレコーダー10は、センサー150から出力される検知信号がセンサ入力端子24を介して入力されることを条件として、車載カメラ110から入力端子22b~22fに入力された映像信号を記録する記録処理を行う。
【0125】
上述した第一変形例のドライブレコーダー10は、処理部30において映像信号を処理するためのトリガを取得するためのセンサ等の検知装置等を、車両メーカーからの出荷後の車両100に対して設ける必要がない。そのため、第一変形例のドライブレコーダー10は、センサー150の設置のために車両100本体に穴開け等の加工を施したり、センサー150に繋がる配線の配索作業等を行ったりすることなく使用できる。従って、第一変形例のドライブレコーダー10は、センサー150等の部品代や、センサー150等を設置するための工賃等、設置に要する費用を最小限に抑制することができる。
【0126】
さらに、本変形例のドライブレコーダー10は、車両メーカーからの出荷時に車両100に装備されているセンサー150を用いるものであるため、撮影に最適な位置や環境等に配置されたセンサー150から出力される出力信号に基づき、処理部30において映像信号を処理することができる。
【0127】
また、本変形例のドライブレコーダー10は、車両メーカーからの出荷時に車両100に装備されているセンサー150を用いるものであるため、同一の車種でれば車両100によらず略一定の位置及び環境等において映像信号を取得し、処理部30において所定の処理を行うことができる。
【0128】
本変形例のドライブレコーダー10に対して接続されるセンサー150は、車両メーカーからの出荷時に車両100に装備されているものであればいかなるものであっても良く、例えば車両100に対していわゆる純正品や標準装備等として装備されているセンサー150を用いることができる。具体的には、本変形例のドライブレコーダー10に対して接続されるセンサー150には、例えばクリアランスソナーやバックソナー、インテリジェントクリアランスソナー等に用いられるフロントサイドセンサー、フロントセンサー、バックサイドセンサー、バックセンサー等、適宜のものを選択することができる。また、ドライブレコーダー10は、車両メーカーからの出荷時に車両100に装備されているセンサー150の全てを接続可能なものであっても、車両メーカーからの出荷時に車両100に装備されているセンサー150の一部のみを接続可能なものであっても良い。
【0129】
≪第二変形例≫
以下、上述したドライブレコーダー10の第二変形例について、図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、第二変形例の説明に際し、上記実施形態や上記変形例と共通する構成については同一の符号を付し、詳細の説明については省略する。
【0130】
本変形例のドライブレコーダー10は、車両100が、所定の条件を満足することを条件として、危険を回避するための危険回避動作を実行するものである場合に好適に利用可能なものである。図5に示すように、本変形例のドライブレコーダー10は、取得部20がトリガ取得部26を備えている。トリガ取得部26は、例えば、車両100が備えているCAN等の車両側通信回線170に接続され、車両側通信回線170を流れる危険回避動作の実行トリガとなる信号を取得するものである。本変形例のドライブレコーダー10は、トリガ取得部26が危険回避動作の実行トリガとなる信号を取得することを条件として、処理部30において映像信号について所定の処理を行う。
【0131】
本変形例のドライブレコーダー10は、車両100が危険回避動作を行う際に、映像信号について、例えば映像信号を記録する記録処理や、映像信号を他の機器等と通信する通信処理、映像信号を例えばモニタ等の表示装置等に表示するための処理等の所定の処理を行うことができる。本変形例のドライブレコーダー10は、車両100が危険回避動作を実行するための実行トリガとなる信号を、処理部30における処理の実行のためのトリガとして使用するものである。そのため、本実施形態のドライブレコーダー10は、例えば危険回避すべき状況であるか否かの判断を行うための装置等を設けることなく、危険回避すべき状況において処理部30において映像信号に所定の処理を施すことができ、その分だけ装置構成や動作を簡素なものとすることができる。
【0132】
なお、本変形例において、「危険を回避するための危険回避動作」とは、車両100に対する他の車両100等の衝突等に備えてシートベルトを締め上げる動作や、エアバッグを作動させる動作、衝突回避のために自動的にブレーキを作動させるための動作、アンチロック・ブレーキ・システム(ABS)を作動させる動作等、適宜のものとすることができる。
【0133】
また、本変形例のドライブレコーダー10は、トリガ取得部26が危険回避動作の実行トリガとなる信号を取得することを条件として、処理部30において映像信号について所定の処理を行うものであれば良く、他の判定条件を処理部30において映像信号について所定の処理を行うための条件として付加したものであっても良い。
【0134】
≪第三変形例≫
以下、上述したドライブレコーダー10の第三変形例について、図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、第二変形例の説明に際し、上記実施形態や上記変形例と共通する構成については同一の符号を付し、詳細の説明については省略する。
【0135】
図6に示すように、本変形例のドライブレコーダー10は、車両100の車種に応じて設定変更可能な車種設定部80を有する。ドライブレコーダー10は、車種設定部80の設定変更を行うことにより、設定に応じた処理を行う。車種設定部80は、例えば、いわゆるディップスイッチのような機械的に設定変更可能なスイッチ類や、電気的あるいは電子的に設定変更可能なもの等とされている。
【0136】
本変形例のドライブレコーダー10は、車種設定部80の設定に応じ、各種の車種において用いることができる。そのため、本変形例のドライブレコーダー10は、車種毎に異なるものを準備する必要がない。
【0137】
≪第四変形例≫
以下、上述したドライブレコーダー10の第四変形例について、図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、第二変形例の説明に際し、上記実施形態や上記変形例と共通する構成については同一の符号を付し、詳細の説明については省略する。
【0138】
本変形例のドライブレコーダー10は、車両メーカーからの出荷時から備えている車両側装置の一部又は全部として、映像信号を受信して映像を表示可能な車両側映像表示器140(映像表示装置)を備えた車両100において好適に利用可能なものである。図7に示すように、本変形例のドライブレコーダー10は、運転状態判別装置82(運転状態判別手段)を備えている。
【0139】
運転状態判別装置82は、車両100の運転状態を判別するための装置である。運転状態判別装置82は、取得部20を構成する運転状態信号取得部28と、処理部30を構成する運転状態判別部32とを有する。運転状態信号取得部28は、車両100が備えているCAN、LAN等の通信回線等に接続され、当該通信回線等を流れる運転状態を示す信号(運転状態信号)を取得するものである。また、運転状態判別部32は、運転状態信号取得部28において取得された運転状態信号に基づき、例えば、バックギアに設定された状態であるのか、走行中の状態であるのか等、車両100の運転状態を判別するものである。
【0140】
本変形例のドライブレコーダー10は、運転状態判別装置82により判別された運転状態に応じ、処理部30により車両側映像表示器140への画像の表示形態を切り替える処理を行うと共に、車両側映像表示器140への画像の表示時に選択されていた表示形態、及び時間情報を記録可能である。例えば、ドライブレコーダー10は、ギアをバックギアに入れた運転状態において、車両側映像表示器140への画像の表示形態を車両後方を写した画像に表示形態を切り替えると共に、車両側映像表示器140への画像の表示時に選択されていた表示形態が車両後方を写した画像であること、及びその時間情報を記録可能である。そのため、本変形例のドライブレコーダー10は、車両100がいつ、どのような状況下にあったかを紐付けて記録することができる。例えば、車両100の運転状態がバックギアに設定された状態において、車両100の周囲の状況及び時間情報を紐付けて記録することができる。このようにして得られた記録データは、例えば事故原因の特定や解析等に有効に利用できる。
【0141】
なお、本変形例では、運転状態判別装置82の一例として運転状態信号取得部28及び運転状態判別部32の組み合わせにより構成した例を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、これらの構成に加えて、あるいはこれらの構成に代えて他の構成を加える等しても良い。
【0142】
≪第五変形例≫
以下、上述したドライブレコーダー10の第五変形例について、図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、第二変形例の説明に際し、上記実施形態や上記変形例と共通する構成については同一の符号を付し、詳細の説明については省略する。
【0143】
本変形例のドライブレコーダー10は、車載カメラ110とは別に、車両メーカーからの出荷後に車両100に増設された増設カメラ160を備えた車両100において好適に利用可能なものである。図8に示すように、本変形例のドライブレコーダー10は、取得部20が増設カメラ用入力端子23を備えている。
【0144】
増設カメラ用入力端子23は、増設カメラ160に対して配線接続される端子である。本変形例のドライブレコーダー10は、増設カメラ用入力端子23を介して、増設カメラ160での撮影により得られた映像信号を取得できる。
【0145】
本変形例のドライブレコーダー10は、車載カメラ110から出力される映像信号に加え、車載カメラ110とは別に、車両メーカーからの出荷後に車両100に増設された増設カメラ160から出力される映像信号を取得部20において取得し、処理部30において処理可能なものであり、増設カメラ160により取得された映像と、車載カメラ110により取得された映像とを区別して所定の処理を行える。
【0146】
本変形例のドライブレコーダー10は、車載カメラ110から出力される映像信号だけでなく、車両メーカーからの出荷後に車両100に増設された増設カメラ160から出力される映像信号についても取得し、処理部30において処理することができる。そのため、本実施形態のドライブレコーダー10は、例えば車両メーカーからの出荷時に車両100に設置されている車載カメラ110で取得できる映像信号よりも多くの映像信号を取得したい場合等に、車両メーカーからの出荷後に車両100に増設カメラ160を増設し、その増設カメラ160により取得された映像信号を利用することができる。また、本変形例のドライブレコーダー10では、増設カメラ160により取得された映像と、車載カメラ110により取得された映像とを区別して所定の処理を行える。そのため、例えば増設カメラ160により取得された映像を、車載カメラ110により取得された映像とは別の用途に用いたり、別の画像処理を加えて活用したりする等、様々な形態で利用することができる。
【0147】
なお、「車両メーカーからの出荷後に車両100に増設された増設カメラ160」とは、例えばいわゆるディーラーオプションのように、ユーザーの希望に応じて車両メーカーから出荷された車両100に増設するカメラや、いわゆるカーショップなどにおいて購入して増設するカメラ等を含むものである。
【0148】
また、本変形例のドライブレコーダー10において、処理部30で行われる「所定の処理」はいかなるものであっても良く、例えば映像信号を記録する記録処理や、映像信号を他の機器等と通信する通信処理、映像信号を例えばモニタ等の表示装置等に表示するための処理等とすることができる。
【0149】
≪第六変形例≫
以下、上述したドライブレコーダー10の第六変形例について、図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、第二変形例の説明に際し、上記実施形態や上記変形例と共通する構成については同一の符号を付し、詳細の説明については省略する。
【0150】
図9に示すように、本変形例のドライブレコーダー10は、安全度評価部84を備えている。安全度評価部84は、処理部30において処理された映像信号に基づき、運転の安全度を評価するものである。例えば、安全度評価部84は、映像に映り込んでいる標識の画像に基づき法定速度を認識すると共に、実際の車速を割りだし、法定速度と車速とを比較することにより安全運転を行うドライバーであるのか否かを評価する処理を行うものとすると良い。また、安全度評価部84による評価は、例えばA,B,C,D,Eの5段階のように段階評価とする方法や、100点満点の点数評価にする方法等、適宜の方法で評価することが可能である。
【0151】
また、安全度評価部84は、所定の周期毎に安全度の評価を行う。具体的には、安全度評価部84は、週単位、日単位、月単位、時間単位等の所定の評価決定周期毎に評価を決定するものであると良い。また、安全度評価部84は、前述の評価決定周期よりも短い周期毎に評価(以下、「仮評価」とも称する)を導出しておき、評価決定周期の満了時あるいはその後に、その評価決定周期内に導出された各仮評価を総合して安全度の評価を正式決定するものとすると良い。具体的には、評価決定周期を1週間とした場合、評価決定周期内の各日に仮評価を導出しておき、評価決定周期が満了した時点で各日の仮評価に基づいて総合的に判断することにより、当該評価決定周期における安全度評価を正式決定するようにすると良い。
【0152】
上述したように、本変形例のドライブレコーダー10は、処理部30において処理された映像信号に基づき、運転の安全度を評価する安全度評価部84を備えている。そのため、本変形例のような構成とすれば、運転の安全度の評価を他の装置等に頼ることなく、ドライブレコーダー10において行うことができる。これにより、例えば運転の安全度の評価のために他の機器等にかかる負荷を抑制することができ、例えばエッジコンピューティングの実現への貢献等に役立てることができる。
【0153】
本変形例のドライブレコーダー10は、処理部30において処理された映像信号に基づき、運転の安全度を評価する安全度評価部84と、通信回線に接続可能な通信部50とを備えており、安全度評価部84による評価結果を、所定期間毎に通信部50を介して出力可能であると良い。
【0154】
かかる構成によれば、映像信号に基づく運転の安全度の評価を本変形例のドライブレコーダー10において行うことができ、安全度評価のための処理を他の機器等に負担させることなく行うことができる。また、上述したように安全度評価部84による評価結果を所定期間毎に通信部50を介して出力することにより、評価結果を常時出力することとする場合に比べて通信負荷を抑制できる。
【0155】
また、本変形例のドライブレコーダー10は、処理部30において処理された映像信号に基づき、運転の安全度を評価する安全度評価部84と、安全度評価部84による評価結果に基づいて、車両100の運転に伴って発生する損害を保障する保険の保険料を導出する保険料導出部86とを有すると良い。
【0156】
かかる構成によれば、映像信号に基づく運転の安全度の評価に加え、評価結果に基づく保険料の導出まで本変形例のドライブレコーダー10において行うことができる。これにより、安全度評価のための処理や保険料導出のための処理を、他の機器等に負担させることなく行うことができる。安全度評価部84は、例えば、安全度の評価が常時A評価である優良ドライバーの保険料が、常時C評価であるドライバーの保険料よりも安価になるように保険料の見積もり額を導出したり、最低レベルのE評価であるドライバーについては、事故を起こすリスクを考慮して保険料の見積額を通常よりも相当高い金額として導出するようにしたりすると良い。
【0157】
また、上述したような処理を行えるようにすることで、保険料の導出が人手によらず、あるいは人手による作業を大幅に低減して行うことができる。そのため、本変形例のドライブレコーダー10によれば、自動車保険に係る業務の全自動化に向けて大きな貢献を果たすことができる。また、本変形例のドライブレコーダー10によれば、保険料導出に関する業務から人手を開放あるいは低減できるため、人手を必要とする顧客サポート業務や、事故のケアに割り当てる人手を増強できる。そのため、本変形例のドライブレコーダー10は、自動車保険業界において好適に利用できる。
【0158】
ここで、自動車保険は、契約者が何百万人、何千万人という膨大な数の契約者がいるものと想定される。そのため、本実施例のドライブレコーダー10のように、ドライバーの運転に関し安全度を評価し、個別に保険料の適正額を導出できるようにすれば、保険会社における保険料設定や算出の手間や、サーバー等の機器類に作用する負荷を大幅に削減できる。
【0159】
本変形例のドライブレコーダー10は、車両メーカーからの出荷時から搭載されている車載カメラ110を活用するものであり、従来一般的に用いられているドライブレコーダーとは異なり、前方等の一方向の映像だけでなく、他方向の映像を用いて運転の安全度を全体的に評価できる。また、車載カメラ110は、車両メーカーからの出荷時から搭載されているものであり、設置のために追加費用がかからず、簡素な構成とすることができる。
【0160】
≪第七変形例≫
以下、上述したドライブレコーダー10の第七変形例について、図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、第二変形例の説明に際し、上記実施形態や上記変形例と共通する構成については同一の符号を付し、詳細の説明については省略する。
【0161】
図10に示すように、本変形例のドライブレコーダー10は、演算部88を備えている。演算部80は、処理部30において処理された映像信号に基づき所定の演算処理を行うものである。演算部80が行う演算は、例えば画像信号を処理するための演算処理や、上記第六実施例の安全度評価部84による評価導出のための演算処理等とすれば良い。本変形例のドライブレコーダー10は、演算部88により演算処理を行えるため、エッジコンピューティングの実現のために有効である。
【0162】
また、本変形例のドライブレコーダー10は、演算部88による演算処理を行った後、その演算処理結果を通信部50を介して出力可能である。そのため、本変形例のドライブレコーダー10は、演算処理の対象となる映像信号や、情報量の多い大容量データそのものを通信部50を介して通信するのではなく、映像信号や大容量データから得られる演算処理結果を通信部50による通信対象とし、通信負荷を最小限に抑制できる。
【0163】
上述した各実施例における車載カメラは、例えばカラーの可視光カメラ(例えばRGBを捉えるカメラ)のような通常のカメラとしてもよいが、少なくともいずれか1つのカメラは特殊なカメラとするとよい。特殊なカメラとしては、例えば、赤外カメラや、ToFカメラ、マルチスペクトルカメラ、ハイパースペクトルカメラ、サーモカメラの少なくともいずれか1つとするとよい。特殊なカメラは通常のカメラよりも高価であるが、車両のものを利用するため、コストをかけずに特殊なカメラの映像を利用した所望の処理を本装置にて実現できる。
【0164】
上述した各実施例における車載カメラとしては、特に通常のカメラと特殊なカメラの双方を備えるとよい。特に同一の領域を含んで撮影する通常のカメラと特殊なカメラの双方を備えるとよい。同一の領域を含んで撮影する通常のカメラと特殊なカメラの双方の映像を車両側から取得して双方の映像を利用した処理を行うとよい。
【0165】
本願発明は上述した実施の形態に記載の構成に限定されない。上述した各実施の形態や変形例の構成要素は任意に選択して組み合わせて構成するとよい。また各実施の形態や変 形例の任意の構成要素と、発明を解決するための手段に記載の任意の構成要素または発明 を解決するための手段に記載の任意の構成要素を具体化した構成要素とは任意に組み合わ せて構成するとよい。これらについても本願の補正または分割出願等において権利取得す る意思を有する。
【産業上の利用可能性】
【0166】
本発明の装置は、例えばドライブレコーダー等、あらゆる装置において好適に利用できる。
【符号の説明】
【0167】
10 ドライブレコーダー
20 取得部
30 処理部
40 出力部
50 通信部
60 メディア接続部
80 車種設定部
82 運転状態判別装置
86 保険料導出部
100 車両
110 車載カメラ
130 車両側映像合成装置
150 センサー
160 増設カメラ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11