(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-11
(45)【発行日】2023-05-19
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
A63F 7/02 20060101AFI20230512BHJP
【FI】
A63F7/02 304D
A63F7/02 326Z
(21)【出願番号】P 2020195327
(22)【出願日】2020-11-25
【審査請求日】2021-12-03
(73)【特許権者】
【識別番号】599104196
【氏名又は名称】株式会社サンセイアールアンドディ
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】平 勇輝
(72)【発明者】
【氏名】笹岡 将吾
【審査官】森川 能匡
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-172920(JP,A)
【文献】特開2008-264111(JP,A)
【文献】登録実用新案第3073769(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可動部を動作させる駆動力を発生することが可能なモータと、
前記モータを制御可能なモータ制御手段と、を備える遊技機であって、
前記可動部の動作期間には、
前記動作に必要な前記モータの必要トルクが特定トルクである特定期間と、
前記必要トルクが前記特定トルクよりも低い非特定トルクである非特定期間と、があり、
前記モータ制御手段は、
前記モータの出力トルクを、
前記特定期間には、前記特定トルクよりも高い特定出力トルクとし、
前記非特定期間には、前記非特定トルクよりも高い非特定出力トルクとすることが可能であ
り、
前記特定期間から前記非特定期間になる際には、前記非特定期間の開始タイミングよりも後に、前記モータの出力トルクを、前記特定出力トルクから前記非特定出力トルクに制御することが可能であることを特徴とする遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ遊技機等の遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、遊技機には、例えば下記特許文献1に記載されているように、様々な可動部が設けられている。また、遊技機には、可動部を動作させる駆動源として、モータが用いられていることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、モータの駆動力により可動体を動作させる遊技機においては、消費電力の観点から未だ改善の余地がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る遊技機は、
可動部を動作させる駆動力を発生することが可能なモータと、
前記モータを制御可能なモータ制御手段と、を備える遊技機であって、
前記可動部の動作期間には、
前記動作に必要な前記モータの必要トルクが特定トルクである特定期間と、
前記必要トルクが前記特定トルクよりも低い非特定トルクである非特定期間と、があり、
前記モータ制御手段は、
前記モータの出力トルクを、
前記特定期間には、前記特定トルクよりも高い特定出力トルクとし、
前記非特定期間には、前記非特定トルクよりも高い非特定出力トルクとすることが可能であり、
前記特定期間から前記非特定期間になる際には、前記非特定期間の開始タイミングよりも後に、前記モータの出力トルクを、前記特定出力トルクから前記非特定出力トルクに制御することが可能であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、モータの消費電力を抑制可能な遊技機が提供されている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図3】第2大入賞装置等を詳細に示す正面図である。
【
図5】(A)は盤上可動装置と盤下可動装置とが待機状態のときの演出用ユニットの正面図、(B)は盤上可動装置と盤下可動装置とが作動したときの演出用ユニットの正面図である。
【
図6】主制御基板側の電気的な構成を示すブロック図である。
【
図7】サブ制御基板側の電気的な構成を示すブロック図である。
【
図8】サブ制御基板側の電気的な構成を示すブロック図である。
【
図9】(A)バイポーラ型のステッピングモータを示す図であり、(B)はユニポーラ型のステッピングモータを示す図である。
【
図10】盤上駆動モータドライバ周りの電気回路を示す図である。
【
図11】盤下駆動モータドライバ周りの電気回路を示す図である。
【
図12】演出制御用マイコンと盤駆動中継基板との関係を示す図である。
【
図13】モータへ供給される電流の電流値のパターンを示す図である。
【
図14】(A)は普図関係乱数を示す表であり、(B)は特図関係乱数を示す表である。
【
図15】(A)は当たり判定テーブルの一例であり、(B)は普図変動パターン判定テーブルの一例であり、(C)は補助遊技制御テーブルの一例である。
【
図16】(A)は大当たり判定テーブルの一例であり、(B)は大当たり図柄種別判定テーブルの一例であり、(C)はリーチ判定テーブルの一例である。
【
図17】特
図1変動パターン判定テーブルの一例である。
【
図18】特
図2変動パターン判定テーブルの一例である。
【
図23】特図変動演出の通常変動の具体例を示す説明図である。
【
図24】特図変動演出のNリーチの具体例を示す説明図である。
【
図25】特図変動演出のSPリーチの具体例を示す説明図である。
【
図29】主制御メイン処理のフローチャートである。
【
図30】メイン側タイマ割り込み処理のフローチャートである。
【
図31】サブ制御メイン処理のフローチャートである。
【
図32】1msタイマ割り込み処理のフローチャートである。
【
図34】10msタイマ割り込み処理のフローチャートである。
【
図35】盤上駆動モータの出力トルクの例について説明するための図である。
【
図36】盤下駆動モータの出力トルクの例について説明するための図である。
【
図37】従来の盤上駆動モータ、盤下駆動モータの出力トルクの例について説明するための図である。
【
図38】盤上可動装置と盤下可動装置との複合演出における盤上駆動モータ、盤下駆動モータの出力トルクの例について説明するための図である。
【
図39】可動装置の変更例について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
1.遊技機の構造
本発明の一実施形態に係るパチンコ遊技機について、図面に基づいて説明する。最初に、パチンコ遊技機PY1の構造について
図1~
図5を用いて説明する。なお、以下の説明において、パチンコ遊技機PY1の各部の左右上下方向は、そのパチンコ遊技機PY1に対面する遊技者にとっての(正面視の)左右上下方向のことである。また、「前方」は、パチンコ遊技機PY1から当該パチンコ遊技機PY1に対面する遊技者に近づく方向とし、「後方」は、パチンコ遊技機PY1に対面する遊技者から当該パチンコ遊技機PY1に近づく方向とする。
【0009】
図1に示すように、パチンコ遊技機PY1は、遊技機枠2を備えている。遊技機枠2は、後述する遊技盤ユニットYUが取り付けられる遊技盤取付枠2Aと、遊技盤取付枠2Aにヒンジ2Bを介して回転自在に支持される前枠23mと、を備える。前枠23mは遊技盤取付枠2Aに対して開閉が可能である。前枠23mには、透明板23tが取り付けられている。前枠23mが閉じられているとき、遊技盤取付枠2Aに取り付けられた遊技盤1と透明板23tとは対面する。よって、パチンコ遊技機PY1が遊技店に設置されると、当該パチンコ遊技機PY1の前方にいる遊技者は、透明板23tを通して、遊技盤1に形成された遊技領域6を視認することができる。透明板23tは、透明なガラス板や透明な合成樹脂板等を用いることができる。透明板23tは、パチンコ遊技機PY1の前方から遊技領域6を視認可能であればよい。
【0010】
前枠23mの前面の右下部には、遊技球を発射させるための回転操作が可能なハンドル72kが設けられている。ハンドル72kが操作された量(回転角度)が、遊技球を発射させるために遊技球に与えられる力(後述する発射装置72が発射ソレノイドに駆動させる量)の大きさ(発射強度)に対応付けられている。よって、遊技球は、ハンドル72kの回転操作に応じた発射強度で発射される。また、前枠23mの前面の下部中央には、前方に向けて大きく突出した下部装飾体36が設けられている。下部装飾体36の上面には、ハンドル72kに供給される遊技球を貯留するための上皿34が形成されている。また、下部装飾体36の正面の下部中央には、上皿34に収容しきれない余剰の遊技球を貯留するための下皿35が設けられている。
【0011】
下部装飾体36の上面の上皿34より前方側には、下方に押下操作可能な第1入力装置(以下「通常ボタン」)40が設けられている。また、前枠23mの表面の右縁部から前方に突出して形成されている右部装飾体32において、下方に押下操作可能な第2入力装置(以下「特殊ボタン」)41が設けられている。
【0012】
また、前枠23mの表面の上部から前方に突出して形成されている上部装飾体31の底面に、音を出力可能なスピーカ52が設けられている。スピーカ52は、左側に配置された左スピーカ52Lと、右側に配置された右スピーカ52Rと、からなる。また、前枠23mの右縁部と、下部装飾体36における正面の下皿35の左側および右側とに、発光可能な枠ランプ53が設けられている。さらに、前枠23mの左縁部および右縁部の上側には、遊技興趣を高めることを目的とする演出装置としての可動式の枠可動装置58が取り付けられている。枠可動装置58は、左側に配置された左枠可動装置58Lと、右側に配置された右枠可動装置58Rと、で構成される。
【0013】
なお、遊技機枠2に設けられる部材や装置の位置や数は、遊技に支障をきたさない範囲で適宜に変更可能である。
【0014】
次に、遊技盤ユニットYUについて、主に
図2~
図5を用いて説明する。遊技盤ユニットYUは、遊技盤1と、遊技盤1の背面側に取り付けられた演出用ユニット1Uと、を有する。最初に、遊技盤1について説明する。遊技盤1は透明な合成樹脂板で構成されている。遊技盤1の略中央には正面視略円形の開口部1Aが形成されている。開口部1Aに沿って、遊技球が流下可能な遊技領域6を区画するための略リング状の内側壁部1Bが前方に突出して形成されている。また、内側壁部1Bの外側にも、遊技領域6を区画するための略リング状の外側壁部1Cが前方に突出して形成されている。
【0015】
遊技盤1の前面には、内側壁部1B、外側壁部1Cなどで囲まれた遊技領域6が形成されている。すなわち、遊技盤1の前面が、内側壁部1Bおよび外側壁部1Cによって、遊技領域6とそれ以外の領域とに仕切られている。
【0016】
遊技領域6は、ハンドル72kの操作によって発射された遊技球が流下可能な領域であり、パチンコ遊技機PY1で遊技を行うために設けられている。なお、遊技領域6には、多数の遊技くぎ(図示なし)が突設されている。遊技くぎは、遊技領域6に進入して遊技領域6を流下する遊技球を、後述する第1始動口11、第2始動口12、一般入賞口10、ゲート13、第1大入賞口14、および、第2大入賞口15などに適度に誘導する経路を構成している。なお、第1始動口11や第2始動口12といった始動口を入球口と称し、第1大入賞口14や第2大入賞口15といった大入賞口を特別入賞口あるいは特定の入賞口と称し、ゲート13を通過口あるいは通過領域と称することができるものとする。
【0017】
遊技領域6の中央付近には、開口部1Aの周縁を装飾するセンター枠(センター装飾体)61が設けられている。センター枠61には、後述する第1始動口11へ遊技球を誘導可能なステージや、ステージへ遊技球を誘導可能なワープが設けられている。
【0018】
また、遊技領域6には、遊技球が入球可能な第1始動口11が形成された第1始動入賞装置11Dと、第2始動口12への入球を可能または不可能にさせる第2始動入賞装置(所謂「電チュー」)12Dと、が設けられている。
【0019】
第1始動入賞装置11Dは不動である。そのため、第1始動口11は、遊技球の入球し易さが変化せずに一定(不変)である。遊技球の第1始動口11への入賞は、第1特別図柄(以下、「特
図1」という)の抽選(後述の特
図1関係乱数の取得と判定:以下、「特
図1抽選」ともいう)および特
図1の可変表示の契機となっている。また、遊技球が第1始動口11へ入賞すると、所定個数(本形態では4個)の遊技球が賞球として払い出される。
【0020】
電チュー12Dは、作動可能な電チュー開閉部材12kを備えている。電チュー開閉部材12kは、通常は(通常状態では)、第2始動口12への遊技球の入球が不可能な閉鎖位置にある。そして、特別状態になると、第2始動口12への遊技球の入球が可能な開放位置に移動する。このように、電チュー開閉部材12kが開放位置に移動することを第2始動口12または電チュー12Dの「開状態」ともいい、開状態であるときだけ遊技球の第2始動口12への入球が可能となる。一方、電チュー開閉部材12kが閉鎖位置にあることを第2始動口12または電チュー12Dの「閉状態」ともいう。また、第2始動口12または電チュー12Dが「開状態」になることを「電チュー12Dが開放する」ともいい、電チュー12Dが「閉状態」になることを「電チュー12Dが閉鎖する」ともいう。
【0021】
遊技球の第2始動口12への入賞は、第2特別図柄(以下、「特
図2」という)の抽選(後述の特
図2関係乱数の取得と判定:以下、「特
図2抽選」ともいう)および特
図2の可変表示の契機となっている。また、遊技球が第2始動口12へ入賞すると、所定個数(本形態では4個)の遊技球が賞球として払い出される。なお、遊技領域6には、遊技球を第2始動口12へ誘導する誘導ステージ12gが設けられている。
【0022】
また、遊技領域6には、遊技球が入球可能な一般入賞口(普通入賞口)10が設けられている。遊技球が一般入賞口10へ入賞すると、所定個数(本形態では3個)の遊技球が賞球として払い出される。
【0023】
また、遊技領域6には、遊技球が通過可能なゲート13が設けられている。遊技球のゲート13の通過は、普通図柄(以下、「普図」という)の抽選(すなわち普通図柄乱数の取得と判定:以下、「普図抽選」という)および普図の可変表示の契機となっている。補助遊技が実行されることによって電チュー12Dを開放する。すなわち、補助遊技は、電チュー12Dの開放を伴う遊技である。
【0024】
また、遊技領域6には、遊技球が入球可能な第1大入賞口14が形成された第1大入賞装置14D(以下、「通常AT14D」ともいう)が設けられている。第1大入賞装置14Dは、開状態と閉状態とに作動可能な通常AT開閉部材14kを備える。通常AT開閉部材14kの作動により第1大入賞口14が開閉する。通常AT開閉部材14kは、通常では第1大入賞口14を塞ぐ閉状態になっており、遊技球が第1大入賞口14の中に入球することは不可能である。通常AT開閉部材14kが開状態に作動すると、遊技球が第1大入賞口14の中に入球することが可能になる。このように、通常AT開閉部材14kが開状態であるときだけ遊技球の第1大入賞口14への入球が可能となる。遊技球が第1大入賞口14へ入賞すると、所定個数(本形態では15個)の遊技球が賞球として払い出される。
【0025】
また、遊技領域6には、遊技球が入球可能な第2大入賞口15が形成された第2大入賞装置15D(以下、「VAT15D」ともいう)が設けられている。第2大入賞装置15Dは、作動可能なVAT開閉部材15kを備えている。VAT開閉部材15kは、通常では第2大入賞口15を塞いでいる。VAT開閉部材15kは開状態をとることができる。VAT開閉部材15kが開状態であるときだけ遊技球の第2大入賞口15への入球が可能となる。一方、VAT開閉部材15kが第2大入賞口15を塞いでいる状態を「閉状態」ともいう。このように、VAT開閉部材15kの作動によって第2大入賞口15が開閉する。遊技球が第2大入賞口15へ入賞すると、所定個数(本形態では15個)の遊技球が賞球として払い出される。
【0026】
ここで、
図3を用いて、第2大入賞装置15Dについて詳細に説明する。第2大入賞装置15Dの内部には、第2大入賞口15に入球した遊技球を検知し、遊技球を下方へ通過させることが可能なゲート状の第2大入賞口センサ15aが設けられている。
【0027】
第2大入賞口センサ15aの下流域には、遊技球が通過(進入)可能な特定領域16と非特定領域17とが設けられている。第2大入賞口センサ15aを通過した遊技球は、振分装置16Dによって、特定領域16か非特定領域17かに振り分けられる。振分装置16Dは、略矩形状の平板からなる振分部材16kと、振分部材16kを駆動する振分ソレノイド16sとを備えている。振分部材16kは、振分ソレノイド16sの駆動により、左右にスライド可能に構成されている。
【0028】
振分ソレノイド16sが通電されていないとき、振分部材16kは特定領域16への遊技球の通過を妨げる第1状態(通過阻止状態:
図3(A)の正面視で振分部材16kの左端が特定領域16の左端よりやや右側に位置し、振分部材16kが特定領域16をその直上で覆う状態)にある。振分部材16kが第1状態にあるときは、第2大入賞口15に入賞した遊技球は、第2大入賞口センサ15aを通過した後、特定領域16を通過することは不可能であり、非特定領域17を通過する。この第2大入賞口15から非特定領域17まで流下する遊技球のルートを第1のルートという。
【0029】
一方、振分ソレノイド16sが通電されているとき、振分部材16kは遊技球の特定領域16の通過(進入)を許容する第2状態(通過許容状態:
図3(B)の正面視で振分部材16kの左端が特定領域16の右端よりやや左側に位置し、振分部材16kが特定領域16をその直上で覆わず、特定領域16の直上が開放している状態)にある。振分部材16kが第2状態にあるときは、第2大入賞口15に入賞した遊技球は、第2大入賞口センサ15aを通過したあと特定領域16を通過容易である。この第2大入賞口15から特定領域16まで流下する遊技球のルートを第2のルートという。
【0030】
なお、基本的に、振分部材16kは第1状態で保持されている。すなわち、第1状態が、振分部材16kの通常の状態であるといえる。そして、所定のラウンド遊技(例えば16R)においてのみ、振分ソレノイド16sが通電され、第2状態に変化することができる。なお、振分部材16kの作動態様は適宜変更可能である。
【0031】
特定領域16と非特定領域17には、各領域16、17を通過(進入)した遊技球を検知し、遊技球を下方へ通過させる特定領域センサ16a、非特定領域センサ17aが設けられている。
【0032】
なお、第1大入賞装置14Dおよび第2大入賞装置15Dは、遊技に支障をきたさない範囲で、一方だけを設けるようにすることが可能である。また、遊技性に応じて、第1大入賞装置14Dのような、特定領域や振分装置のない大入賞装置を2つ設ける構成とすることが可能である。
【0033】
また、
図2に示すように、遊技領域6の略最下部には、遊技領域6へ打ち込まれたもののいずれの入賞口にも入賞しなかった遊技球を遊技領域6の外部へ排出する2つのアウト口19が設けられている。また、遊技盤1には、発光可能な盤ランプ54が設けられている。
【0034】
ところで、遊技球が流下可能な遊技領域6は、左右方向の中央より左側の左遊技領域6A(第1遊技領域)と、右側の右遊技領域6B(第2遊技領域)と、に分けることができる。遊技球が左遊技領域6Aを流下するように遊技球を発射させるハンドル72kの操作態様を「左打ち」という。一方、遊技球が右遊技領域6Bを流下するように遊技球を発射させるハンドル72kの操作態様を「右打ち」という。パチンコ遊技機PY1において、左打ちにて遊技球を発射したときに遊技球が流下可能な流路を、第1流路R1といい、右打ちにて遊技球を発射したときに遊技球が流下可能な流路を、第2流路R2という。第1流路R1および第2流路R2は、多数の遊技くぎなどによっても構成されている。
【0035】
第1流路R1上には、第1始動口11と、2つの一般入賞口10と、が設けられている。よって、遊技者は、左打ちにより第1流路R1を流下するように遊技球を発射させることで、第1始動口11、または、一般入賞口10への入賞を狙うことができる。一方、第2流路R2上には、第2始動口12と、一般入賞口10と、ゲート13と、第1大入賞口14と、第2大入賞口15と、が設けられている。よって、遊技者は、右打ちにより第2流路R2を流下するように遊技球を発射させることで、ゲート13の通過や、第2始動口12、一般入賞口10、第1大入賞口14、または、第2大入賞口15への入賞を狙うことができる。
【0036】
なお、何れの入賞口(第1始動口11、第2始動口12、一般入賞口10、第1大入賞口14、および第2大入賞口15)にも入球しなかった遊技球は、アウト口19へ誘導されて排出される。また、各入賞口への入賞による賞球数は、適宜に設定することが可能である。
【0037】
また、遊技盤1の前面に形成された遊技領域6の下方の左隣(遊技領域6以外の部分)には表示器類8が配置されている。
図4に示すように、表示器類8には、特
図1を可変表示する特
図1表示器81a、特
図2を可変表示する特
図2表示器81b、及び、普図を可変表示する普図表示器82が含まれている。また、表示器類8には、後述する特
図1保留数(U1:特
図1表示器81aによる特
図1の可変表示が保留されている数)を表示する特
図1保留表示器83a、および後述する特
図2保留数(U2:特
図2表示器81bによる特
図2の可変表示が保留されている数)を表示する特
図2保留表示器83bが含まれて
いる。
【0038】
特
図1の可変表示は、第1始動口11への遊技球の入賞を契機に特
図1抽選が行われると実行される。また、特
図2の可変表示は、第2始動口12への遊技球の入賞を契機に特
図2抽選が行われると実行される。なお、以下の説明では、特
図1および特
図2を総称して特図あるいは特別図柄といい、特
図1抽選および特
図2抽選を総称して特図抽選という。また、特
図1表示器81aおよび特
図2表示器81bを総称して特図表示器81という。さらに、特
図1保留表示器83aおよび特
図2保留表示器83bを総称して特図保留表示器83という。
【0039】
特図の可変表示は、特図抽選の結果を報知する。特図の可変表示では、特図が可変表示したあと停止表示する。停止表示される特図(停止特図、可変表示の表示結果として導出表示される特別図柄)は、特図抽選によって複数種類の特図の中から選択された一つの特図である。停止特図が予め定めた特定の特図(特定の停止態様の特図すなわち大当たり図柄)である場合には、大入賞口(第1大入賞口14及び第2大入賞口15)を開放させる大当たり遊技(特別遊技の一例)が行われる。なお、大当たり遊技が行われている遊技状態を大当たり遊技状態という。大当たり遊技状態は、遊技者に有利な特別遊技状態の一例である。
【0040】
特図表示器81は、例えば横並びに配された8個のLED(Light Emitting Diode)から構成され、その点灯態様によって特図抽選の結果に応じた特図を表示する。例えば特図抽選の結果が大当たり(後述の複数種類の大当たりのうちの一つ)である場合には、特図表示器81は、「□□■■□□■■」(□:点灯、■:消灯)というように左から1,2,5,6番目にあるLEDの点灯で構成される大当たり図柄を表示する。また、特図抽選の結果がハズレである場合には、特図表示器81は、「■■■■■■■□」というように一番右にあるLEDのみの点灯で構成されるハズレ図柄を表示する。なお、特図抽選の結果に対応するLEDの点灯態様は限定されず、適宜に設定することができる。よって、例えば、ハズレ図柄として全てのLEDを消灯させてもよい。
【0041】
また、特図の可変表示において、特図が停止表示される前には所定の変動時間にわたって特図の可変表示がなされる。特図の可変表示の態様は、例えば左から右へ光が繰り返し流れるように各LEDが点灯する態様である。なお、特図の可変表示の態様は、特に限定されず、各LEDが停止表示(特定の態様での点灯表示)されていなければ、全LEDが一斉に点滅するなど適宜に設定してよい。
【0042】
ところで、パチンコ遊技機PY1では、第1始動口11または第2始動口12への遊技球の入賞(入球)があると、特図抽選などを行うための各種乱数(判定情報の一例)が取得されることがある。この各種乱数は、特図保留として後述の特図保留記憶部105に一旦記憶される。なお、以下において、第1始動口11への遊技球の入賞(入球)により取得された各種乱数のことを「特
図1関係乱数」といい、第2始動口12への遊技球の入賞(入球)により取得された各種乱数のことを「特
図2関係乱数」という。ここで、特
図1関係乱数は、特
図1保留として、特図保留記憶部105の中の特
図1保留記憶部105aに記憶される。一方、特
図2関係乱数は、特
図2保留として、特図保留記憶部105の中の特
図2保留記憶部105bに記憶される。特
図1保留記憶部105aに記憶可能な特
図1保留の数(特
図1保留数)および特
図2保留記憶部105bに記憶可能な特
図2保留の数(特
図2保留数)には上限(本形態では4個)が設定されている。特
図1保留数や特
図2保留数の上限は適宜変更可能であり、上限を「無し」としてもよい。なお、以下において、特
図1保留と特
図2保留を総称して「特図保留」といい、特
図1保留数と特
図2保留数を総称して「特図保留数」という。また、特
図1関係乱数と特
図2関係乱数とを総称して「特図関係乱数」という。
【0043】
パチンコ遊技機PY1では、遊技球が第1始動口11または第2始動口12へ入賞した後すぐに特図の可変表示が行われない場合、具体的には、特図の可変表示の実行中や大当たり遊技の実行中に入賞があった場合、その入賞に対する特図の可変表示(あるいは、特図抽選の権利)を留保することができる。特図保留記憶部105に記憶された特図保留は、その特図保留に基づく特図の可変表示が可能となったときに消化される。すなわち、特図保留の消化とは、その特図保留に対応する特図関係乱数等を判定して、その判定結果を示すための特図の可変表示を実行することをいう。
【0044】
そして、特図保留数は、特図保留表示器83に表示される。特
図1保留表示器83aと特
図2保留表示器83bのそれぞれは、例えば4個のLEDで構成されており、特図保留数の分だけLEDを点灯させることにより特図保留数を表示することが可能である。
【0045】
また、普図の可変表示は、普図抽選の結果を報知する。普図の可変表示では、普図が可変表示したあと停止表示する。停止表示される普図(停止普図、可変表示の表示結果として導出表示される普図)は、普図抽選によって複数種類の普図の中から選択された一つの普図である。停止表示された普図が予め定めた特定の普図(所定の停止態様の普図すなわち当たり図柄)である場合には、第2始動口12(電チュー12D)を開放させる補助遊技が行われる。
【0046】
普図表示器82は、例えば2個のLEDから構成されており、その点灯態様によって普図抽選の結果に応じた普図を表示する。普図抽選の結果が当たりである場合には、普図表示器82は、「□□」(□:点灯、■:消灯)というように両LEDの点灯で構成される当たり図柄を表示する。また普図抽選の結果がハズレである場合には、「■□」というように右のLEDのみの点灯で構成されるハズレ図柄を表示する。ハズレ図柄として全てのLEDを消灯させる態様を採用してもよい。なお、普図抽選の結果に対応するLEDの点灯態様は限定されず、適宜に設定することができる。
【0047】
また、普図が停止表示される前には所定の変動時間にわたって普図の可変表示が行われる。普図の可変表示の態様は、例えば両LEDが交互に点灯するという態様である。なお、普図の可変表示の態様は、特に限定されず、各LEDが停止表示(特定の態様での点灯表示)されていなければ、全LEDが一斉に点滅するなど適宜に設定してもよい。
【0048】
パチンコ遊技機PY1では、遊技球がゲート13を通過すると、普図抽選を行うための普通図柄乱数(判定情報の一例)が取得されることがある。この乱数は、普図の可変表示または補助遊技が実行されていないことを条件に、後述の普図保留記憶部106に記憶される。普図保留記憶部106に記憶可能な普図保留の数(普図保留数)には上限(本形態では4個)が設定されている。普図保留数の上限は適宜変更可能であり、上限を「無し」としてもよい。なお、以下において、遊技球がゲート13を通過することにより取得された普通図柄乱数のことを「普図関係乱数」ともいう。また、本形態では、普図保留数を表示する普図保留表示器を設けていないが、普図保留表示器を表示器類8に加えてもよい。普図保留表示器としては、例えば特図保留表示器83と同様の構成のものを採用することが可能である。
【0049】
次に、
図5を用いて、遊技盤1の背面に取り付けられた演出用ユニット1Uについて説明する。演出用ユニット1Uは、主に演出を行う複数の装置をユニット化したものである。演出用ユニット1Uには、画像表示装置50、第1盤可動装置(以下「盤上可動装置」)55、第2盤可動装置(以下「盤下可動装置」)56が搭載されている。
【0050】
画像表示装置50は、例えば20インチの3D液晶ディスプレイで構成され、3D画像を表示可能な表示部50aを具備する。なお、画像表示装置50は、画像を表示することが可能であれば、複数枚の液晶ディスプレイで構成されるものや、EL(Electro Luminescence)ディスプレイで構成されるもの等、他の表示装置であってもよい。
【0051】
盤上可動装置55は、表示部50aに沿って移動可能に構成され、装飾が施された盤上可動体55kを具備する。盤上可動装置55は、盤上可動体55kを動作させる駆動力を発生する駆動源として、盤上駆動モータ55mを有している。盤下可動装置56は、表示部50aに沿って移動可能に構成され、装飾が施された盤下可動体56kを具備する。盤下可動装置56は、盤下可動体56kを動作させる駆動力を発生する駆動源として、盤下駆動モータ56mを有している。
【0052】
図5(A)は、盤上可動体55kおよび盤下可動体56kが作動していない通常の待機状態(初期位置)で保持されている様子を概略化して表している。盤上可動装置55の駆動源が駆動すると、盤上可動体55kは下向きに移動(下降)し、盤下可動装置56の駆動源が駆動すると、盤下可動体56kは上向きに移動(上昇)する。このとき、画像表示装置50は下降した盤上可動体55kまたは上昇した盤下可動体56kに覆われ、画像表示装置50は視認困難となる。
【0053】
なお、遊技盤ユニットYUに設けられる部材や装置の位置や数は、遊技に支障をきたさない範囲で適宜に変更可能である。
【0054】
2.遊技機の電気的構成
次に、
図6~
図13に基づいて、パチンコ遊技機PY1における電気的な構成を説明する。
【0055】
2-1.遊技制御および演出制御等に係る構成
図6~
図8に示すように、パチンコ遊技機PY1は、特図抽選、特図の可変表示、大当たり遊技、後述する遊技状態の設定、普図抽選、普図の可変表示、補助遊技などの遊技利益に関する制御(遊技の進行)を行う遊技制御基板(以下「主制御基板」)100、主制御基板100による遊技の進行に応じた遊技演出(特図変動演出、保留演出、操作演出、大当たり遊技演出など)や客待ち演出などの演出に関する制御を行う演出制御基板(以下「サブ制御基板」)120、および、遊技球の払い出しに関する制御などを行う払出制御基板170等を、遊技盤1の画像表示装置50よりさらに背面側に備えている。主制御基板100を、遊技の制御を行う遊技制御部(メイン制御部)と位置づけることができる。また、サブ制御基板120を、後述する画像制御基板140、ランプ制御回路151、および音声制御回路161とともに、演出の制御を行う演出制御部(サブ制御部)と位置づけることができる。なお、演出制御部は、少なくともサブ制御基板120を備え、演出手段(画像表示装置50、スピーカ52、枠ランプ53、盤ランプ54、および、可動装置55,56,58等)を用いた各種の演出を制御可能であればよい。
【0056】
また、パチンコ遊技機PY1は、電源基板190を備えている。電源基板190は、主制御基板100、サブ制御基板120、及び払出制御基板170に対して電力を供給するとともに、これらの基板を介してその他の機器に対して必要な電力を供給可能である。電源基板190には、バックアップ電源回路192が設けられている。バックアップ電源回路192は、パチンコ遊技機PY1に対して電力が供給されていない場合に、後述する主制御基板100の遊技用RAM104やサブ制御基板120の演出用RAM124に対して電力を供給する。従って、主制御基板100の遊技用RAM104やサブ制御基板120の演出用RAM124に記憶されている情報は、パチンコ遊技機PY1の電断時であっても保持される。また、電源基板190には、電源スイッチ191が接続されている。電源スイッチ191のON/OFF操作により、電源の投入/遮断が切り換えられる。なお、主制御基板100の遊技用RAM104に対するバックアップ電源回路を主制御基板100に設けたり、サブ制御基板120の演出用RAM124に対するバックアップ電源回路をサブ制御基板120に設けたりしてもよい。
【0057】
図6に示すように、主制御基板100には、プログラムに従ってパチンコ遊技機PY1の遊技の進行を制御する遊技制御用ワンチップマイコン(以下「遊技制御用マイコン」)101が実装されている。遊技制御用マイコン101には、遊技の進行を制御するためのプログラムやテーブル等を記憶した遊技用ROM(Read Only Memory)103、ワークメモリとして使用される遊技用RAM(Random Access Memory)104、および遊技用ROM103に記憶されたプログラムを実行する遊技用CPU(Central Processing Unit)102が含まれている。
【0058】
遊技用ROM103には、後述する主制御メイン処理やメイン側タイマ割り込み処理などを行うためのプログラムが格納されている。また、遊技用ROM103には、後述する大当たり判定テーブル、大当たり図柄種別判定テーブル、リーチ判定テーブル、特図変動パターン判定テーブル、先読み判定テーブル、大当たり遊技制御テーブル、当たり判定テーブル、普図変動パターン判定テーブル、補助遊技制御テーブルなどが格納されている。なお、遊技用ROM103は外付けであってもよい。また、遊技用RAM104には、前述した特図保留記憶部105や普図保留記憶部106などが設けられている。
【0059】
また、主制御基板100には、データや信号の入出力を行うための遊技用I/O(Input/Output)ポート部118、および遊技用RAM104に記憶されている情報を遊技用CPU102にクリアさせるためのRAMクリアスイッチ119が実装されている。
【0060】
また、主制御基板100には、所定の中継基板(図示なし)を介して各種センサ類やアクチュエータ類が接続されている。そのため、主制御基板100には、各種センサ類が出力した信号が入力する。また、主制御基板100は、各種アクチュエータ類に信号を出力する。
【0061】
主制御基板100に接続されている各種センサ類には、第1始動口センサ11a、第2始動口センサ12a、一般入賞口センサ10a、ゲートセンサ13a、第1大入賞口センサ14a、第2大入賞口センサ15a、特定領域センサ16a、および、非特定領域センサ17aが含まれている。
【0062】
第1始動口センサ11aは、第1始動口11に入賞した遊技球を検知する。第2始動口センサ12aは、第2始動口12に入賞した遊技球を検知する。一般入賞口センサ10aは、一般入賞口10に入賞した遊技球を検知する。一般入賞口センサ10aは、一般入賞口10毎に設けられている。ゲートセンサ13aは、ゲート13に設けられており、ゲート13を通過した遊技球を検知する。第1大入賞口センサ14aは、第1大入賞口14に入賞した遊技球を検知する。第2大入賞口センサ15aは、第2大入賞口15に入賞した遊技球を検知する。特定領域センサ16aは、特定領域16を通過(特定領域16に進入)した遊技球を検知する。非特定領域センサ17aは、非特定領域17を通過(非特定領域17に進入)した遊技球を検知する。各センサは、遊技球を検知すると、その検知内容に応じた信号を主制御基板100に出力する。
【0063】
なお、主制御基板100に接続されるセンサの種類や数は、遊技に支障をきたさない範囲で適宜に変更可能である。
【0064】
また、主制御基板100に接続されている各種アクチュエータ類には、電チューソレノイド12s、第1大入賞口ソレノイド14s、第2大入賞口ソレノイド15sおよび振分ソレノイド16sが含まれている。電チューソレノイド12sは、電チュー12Dの電チュー開閉部材12kを駆動する。第1大入賞口ソレノイド14sは、第1大入賞装置14Dの通常AT開閉部材14kを駆動する。第2大入賞口ソレノイド15sは、第2大入賞装置15DのVAT開閉部材15kを駆動する。振分ソレノイド16sは、振分装置16Dの振分部材16kを駆動する。
【0065】
なお、主制御基板100に接続されるアクチュエータの種類や数は、遊技に支障をきたさない範囲で適宜に変更可能である。
【0066】
さらに主制御基板100には、表示器類8(特図表示器81、普図表示器82、および、特図保留表示器83)が接続されている。これらの表示器類8の表示制御は、遊技制御用マイコン101によりなされる。
【0067】
また主制御基板100は、払出制御基板170に各種コマンドを送信するとともに、払い出し監視のために払出制御基板170から信号を受信する。払出制御基板170には、カードユニットCU(パチンコ遊技機PY1に隣接して設置され、挿入されているプリペイドカード等の情報に基づいて球貸しを可能にするもの)、および賞球払出装置73が接続されているとともに、発射制御回路175を介して発射装置72が接続されている。なお、発射装置72には、ハンドル72k(
図1参照)が含まれる。
【0068】
払出制御基板170は、遊技制御用マイコン101からの信号や、接続されたカードユニットCUからの信号に基づいて、賞球払出装置73の賞球モータ73mを駆動して賞球の払い出しを行ったり、貸球の払い出しを行ったりする。払い出される遊技球は、その計数のための賞球センサ73aにより検知されて、賞球センサ73aによる検知信号が払出制御基板170に出力される。
【0069】
また、発射装置72には、遊技者などの人のハンドル72k(
図1参照)への接触を検知可能なタッチスイッチ72aが設けられている。遊技者によるハンドル72kの操作があった場合には、タッチスイッチ72aが遊技者のハンドル72kへの接触を検知し、検知信号を払出制御基板170に出力する。また、発射装置72には、ハンドル72kの回転角度(操作量)を検出可能な発射ボリュームつまみ72bが接続されている。発射装置72は、発射ボリュームつまみ72bが検出したハンドル72kの回転角度に応じた強さで遊技球が発射されるよう発射ソレノイド72sを駆動させる。なお、パチンコ遊技機PY1においては、ハンドル72kへの回転操作が維持されている状態では、約0.6秒毎に1球の遊技球が発射されるようになっている。
【0070】
また主制御基板100は、遊技の進行に応じて、サブ制御基板120に対し、遊技に関する情報を含んだ各種コマンドを送信する。サブ制御基板120は、主制御基板100から送られる各種コマンドに基づいて、主制御基板100による遊技の進行状況(遊技の制御内容)を把握することができる。なお、主制御基板100とサブ制御基板120との接続は、主制御基板100からサブ制御基板120への信号の送信のみが可能な単方向通信接続となっている。すなわち、主制御基板100とサブ制御基板120との間には、通信方向規制手段としての図示しない単方向性回路(例えばダイオードを用いた回路)が介在している。
【0071】
図7に示すように、サブ制御基板120には、プログラムに従ってパチンコ遊技機PY1の演出を制御する演出制御用ワンチップマイコン(以下「演出制御用マイコン」)121が実装されている。演出制御用マイコン121には、主制御基板100による遊技の進行に伴って演出を制御するためのプログラム等を記憶した演出用ROM123、ワークメモリとして使用される演出用RAM124、および演出用ROM123に記憶されたプログラムを実行する演出用CPU122が含まれている。また、サブ制御基板120には、データや信号の入出力を行うためのI/Oポート部(入出力回路)138が含まれている。なお、演出用ROM123は外付けであってもよい。
【0072】
図7および
図8に示すように、サブ制御基板120には、画像制御基板140、音声制御基板161、サブ駆動基板107が接続されている。サブ制御基板120の演出制御用マイコン121は、主制御基板100から受信したコマンドに基づいて、画像制御基板140のCPU141に画像表示装置50の表示制御を行わせる。画像制御基板140のRAM143は、画像データを展開するためのメモリである。画像制御基板140のROM142には、画像表示装置50に表示される静止画データや動画データ、具体的にはキャラクタ、アイテム、図形、文字、数字および記号等(装飾図柄を含む)や背景画像等の画像データが格納されている。画像制御基板140のCPU141は、演出制御用マイコン121からの指令に基づいてROM142から画像データを読み出す。そして、読み出した画像データに基づいて表示制御を実行する。
【0073】
またサブ制御基板120には、通常ボタン検出スイッチ(SW)40aが接続されている。通常ボタン検出スイッチ40aは、通常ボタン40が押下操作されたことを検出するものである。通常ボタン40が押されると通常ボタン検出スイッチ40aからサブ制御基板120に対して検知信号が出力される。また、特殊ボタン検出スイッチ41aは、特殊ボタン41が押下操作されたことを検出するものである。特殊ボタン41が押されると特殊ボタン検出スイッチ41aからサブ制御基板120に対して検知信号が出力される。
【0074】
演出制御用マイコン121は、主制御基板100から受信したコマンドに基づいて、音声制御基板161を介してスピーカ52から音声、楽曲、効果音等を出力する。スピーカ52から出力する音声等の音響データは、サブ制御基板120の演出用ROM123に格納されている。なお、音声制御基板161にCPUを実装してもよく、その場合、そのCPUに音声制御を実行させてもよい。さらにこの場合、音声制御基板161にROMを実装してもよく、そのROMに音響データを格納してもよい。また、スピーカ52を画像制御基板140に接続し、画像制御基板140のCPU141に音声制御を実行させてもよい。さらにこの場合、画像制御基板140のROM142に音響データを格納してもよい。
【0075】
またパチンコ遊技機PY1は、
図8に示すように、サブ駆動基板107を備えている。演出制御用マイコン121は、主制御基板100から受信したコマンドに基づいて、
図8に示すサブ駆動基板107を介して枠ランプ53や盤ランプ54等のランプの点灯制御を行う。演出制御用マイコン121は、枠ランプ53、盤ランプ54等のランプの発光態様を決める発光パターンデータ(点灯/消灯や発光色等を決めるデータ、ランプデータともいう)を作成し、発光パターンデータに従って枠ランプ53、盤ランプ54等のランプの発光を制御する。なお、発光パターンデータの作成にはサブ制御基板120の演出用ROM123に格納されているデータを用いる。
【0076】
サブ駆動基板107には、盤駆動中継基板108、枠駆動中継基板109が接続されている。盤駆動中継基板108には、盤上可動装置55を駆動する盤上駆動モータ55m、盤下可動装置56を駆動する盤下駆動モータ56mが接続されている。サブ駆動基板107は、サブ制御基板120からの駆動信号(シリアル信号やクロック信号等)に基づいて、盤駆動中継基板108を介して盤上駆動モータ55m、盤下駆動モータ56mの駆動制御を行う。枠駆動中継基板109には、枠可動装置58を駆動する枠駆動モータ58mが接続されている。サブ駆動基板107は、サブ制御基板120からの駆動信号に基づいて、枠駆動中継基板109を介して枠駆動モータ58mの駆動制御を行う。つまり、演出制御用マイコン121は、主制御基板100から受信したコマンドに基づいて、サブ駆動基板107に接続された盤上駆動モータ55m、盤下駆動モータ56m、枠駆動モータ58mの駆動制御を行う。具体的には、演出制御用マイコン121は、可動装置55,56,58のそれぞれの動作態様を決める動作パターンデータ(駆動データ)を作成し、動作パターンデータに従ってそれぞれの駆動源である各モータの駆動を制御する。動作パターンデータの作成にはサブ制御基板120の演出用ROM123に格納されているデータを用いる。
【0077】
なお、サブ駆動基板107、盤駆動中継基板108、枠駆動中継基板109にCPUを実装してもよく、その場合、そのCPUに各モータの駆動制御や各ランプの点灯制御を実行させてもよい。さらにこの場合、サブ駆動基板107、盤駆動中継基板108、枠駆動中継基板109にROMを実装してもよく、そのROMに発光パターンや動作パターンに関するデータを格納してもよい。
【0078】
本形態においてサブ制御基板120は、画像制御基板140と音声制御基板161とサブ駆動基板107とともにサブ制御部を構成する。なお、サブ制御部は、少なくともサブ制御基板120を備え、演出手段(画像表示装置50、盤ランプ54、枠ランプ53、スピーカ52、可動装置55,56,58等)を用いた遊技演出を制御可能であればよい。
【0079】
ここで
図6~
図8は、あくまで本パチンコ遊技機PY1における電気的な構成を説明するための機能ブロック図であり、
図6~
図8に示す基板だけが設けられているわけではない。主制御基板100を除いて、
図6~
図8に示す何れか複数の基板を1つの基板として構成しても良く、
図6~
図8に示す1つの基板を複数の基板として構成しても良い。
【0080】
また、本形態のサブ制御基板120は、検査基板125を接続することが可能である。検査基板125は、所定の検査が行われる際に接続されるものである。本形態の検査基板125は、盤上駆動モータ55m、盤下駆動モータ56mに検査用の電流を供給する場合に接続される。つまり、検査基板125は、通常の遊技が行われる際には、パチンコ遊技機PY1から取り外されているものである。盤上駆動モータ55m、盤下駆動モータ56mの検査については、後に詳述する。
【0081】
2-2.盤上駆動モータおよび盤下駆動モータ
本形態の盤上駆動モータ55m、盤下駆動モータ56mについて、
図9(A)に基づいて説明する。
図9(A)に示すように、本形態では、盤上駆動モータ55m、盤下駆動モータ56mとして、バイポーラ型のステッピングモータを用いている。
【0082】
バイポーラ型のステッピングモータでは、機能を概略的に説明すると、
図9(A)に示すように、2組のコイルA及びコイルBが設けられている。そしてコイルAには、φ1端子とφ2端子とが設けられている。またコイルBには、φ3端子とφ4端子とが設けられている。このバイポーラ型のステッピングモータを駆動させる場合、
図9(A)の(1)⇒(2)⇒(3)⇒(4)に示すように、コイルAとコイルBに流す電流の向きを交互に切替えるようになっている。
【0083】
即ち、先ず
図9(A)の(1)に示すように、コイルAのφ1端子からφ2端子へ電流を流す。次に
図9(A)の(2)に示すように、コイルBのφ3端子からφ4端子へ電流を流す。続いて
図9(A)の(3)に示すように、コイルAのφ2端子からφ1端子へ電流を流す。最後に
図9(A)の(4)に示すように、コイルBのφ4端子からφ3端子へ電流を流す。以後、上記(1)(2)(3)(4)を繰り返すことにより、回転軸を、発生した磁力で引き付けるように回転させる。こうしてバイポーラ型のステッピングモータでは、各端子に流れる電流の向きが切替わることが特徴になる。
【0084】
次に、従来から演出用のモータとして一般的に用いられているユニポーラ型のステッピングモータについて、
図9(B)に基づいて説明する。ユニポーラ型のステッピングモータでも、機能を概略的に説明すると、
図9(B)に示すように、2組のコイルA及びコイルBが設けられている。そしてコイルAには、φ1端子とφ2端子とが設けられていて、コイルAの中間にタップTPが設けられている。またコイルBには、φ3端子とφ4端子とが設けられていて、コイルBの中間にタップTPが設けられている。タップTPには、常に+電源(DC)が接続されている。このユニポーラ型のステッピングモータを駆動させる場合、
図9(B)の(1)⇒(2)⇒(3)⇒(4)に示すように、タップTPから各端子へ電流を一方向へ流すようになっている。
【0085】
即ち、先ず
図9(B)の(1)に示すように、コイルAのタップTPからφ1端子へ電流を流す。次に
図9(B)の(2)に示すように、コイルBのタップTPからφ3端子へ電流を流す。続いて
図9(B)の(3)に示すように、コイルAのタップTPからφ2端子へ電流を流す。最後に
図9(B)の(4)に示すように、コイルBのタップTPからφ4端子へ電流を流す。以後、上記(1)(2)(3)(4)を繰り返すことにより、回転軸を、発生した磁力で引き付けるように回転させる。こうしてユニポーラ型のステッピングモータでは、各端子に流れる電流の向きが常に一定であることが特徴になる。
【0086】
以上、
図9(B)に示すユニポーラ型のステッピングモータでは、回転時の各フェーズ((1)(2)(3)(4)の何れかの時点)のコイルA,Bにおいて、半分のコイル(巻線)でしか電流が流れていない状態になる。これに対して、
図9(A)に示すバイポーラ型のステッピングモータでは、回転時の各フェーズのコイルA,Bにおいて、電流の向きが切替わるものの、コイル全体に電流が流れている状態になる。即ち常にコイルが機能することになる。従って、本形態のようにバイポーラ型のステッピングモータを用いる場合には、従来のようにユニポーラ型のステッピングモータを用いる場合に比べて、同じ巻き数のコイルであれば、コイルの利用効率が高くなる。その結果、モータを効率良く回転させることが可能であり、低速回転時の出力トルクを高くすることが可能である。
【0087】
なお本形態では、ステッピングモータの励磁方式として、2相励磁を用いている。2相励磁は、パルスを付与する次の相に対して1パルス分だけずらしながら、2相ずつ同時に励磁する方式である。2相励磁であれば、1相ずつ励磁する1相励磁に比べて、回転を安定させることが可能であり、出力トルクを大きくできるというメリットがある。但し、1相励磁に比べて、消費電力が大きくなるというデメリットがある。
【0088】
2-3.盤駆動中継基板
次に
図10~
図12に基づいて、盤駆動中継基板108の電気回路について説明する。前述したように、盤駆動中継基板108には、盤上駆動モータ55m、盤下駆動モータ56mが接続されている。まず、盤駆動中継基板108のうち、盤上駆動モータ55mに係る電気回路について
図10により説明する。
図10に示すように、盤駆動中継基板108には、盤上駆動モータドライバIC11が実装されている。盤上駆動モータドライバIC11は、盤上駆動モータ55mの駆動を制御するステッピングモータドライバである。本形態の盤上駆動モータドライバIC11は、盤上駆動モータ55mのコイルAの各端子φ1,φ2、及びコイルBの各端子φ3,φ4に所定の一定電流を供給することが可能な定電流駆動方式のものである。
【0089】
盤上駆動モータドライバIC11は、
図10に示すように、Vcc端子、VREFA端子、VREFB端子、PHASEUA端子、PHASEUB端子、TRQU0端子、TRQU1端子、STANDBY端子、OUTA+端子、OUTA-端子、OUTB+端子、OUTB-端子及びその他の端子(VM端子、VCP端子、OSCM端子、3ビット分のGND端子、NC(未接続)端子等)を備えている。
【0090】
Vcc端子は、5Vの電源が供給される端子である。VREFA端子は、盤上駆動モータ55mに対するA相モータ出力設定端子である。またVREFB端子は、盤上駆動モータ55mに対するB相モータ出力設定端子である。ここで、VREFA端子に作用する電圧によって、後述するOUTA+端子及びOUTA-端子から出力する電流が切替えられる。即ち、VREFA端子に作用する電圧が大きければ、後述するOUTA+端子及びOUTA-端子から出力する電流を大きくすることが可能である。同様に、VREFB端子に作用する電圧によって、後述するOUTB+端子及びOUTB-端子から出力する電流が切替えられる。即ち、VREFB端子に作用する電圧が大きければ、後述するOUTB+端子及びOUTB-端子から出力する電流を大きくすることが可能である。
【0091】
PHASEUA端子は、盤上駆動モータ55m(
図9(A)参照)に対するA相極性設定端子である。PHASEUB端子は、盤上駆動モータ55mに対するB相極性設定端子である。TRQU0端子およびTRQU1端子は、盤上駆動モータ55mに対する出力制御端子である。TRQU0端子およびTRQU1端子には、制御信号として「1」または「0」が入力される。盤上駆動モータドライバIC11は、TRQU0端子およびTRQU1端子に入力された信号に応じて、OUTA+端子、OUTA-端子、OUTB+端子、OUTB-端子から出力する電流を制御することが可能である。この点については後述する。STANDBY端子は、省電力モード設定端子である。GND端子は、グランドに接続するための端子である。
【0092】
OUTA+端子は、盤上駆動モータ55mのA相φ1端子(コイルAのφ1端子,
図9(A)参照)に対する電流出力端子である。OUTA-端子は、盤上駆動モータ55mのA相φ2端子(コイルAのφ2端子)に対する電流出力端子である。OUTB+端子は、盤上駆動モータ55mのB相φ3端子(コイルBのφ3端子)に対する電流出力端子である。OUTB-端子は、盤上駆動モータ55mのB相φ4端子(コイルBのφ4端子)に対する電流出力端子である。
【0093】
盤上駆動モータドライバIC11のOUTA+端子は、制御ラインL11を介してコネクタCN1の1番端子に接続されている。コネクタCN1の1番端子は、図示しないハーネスを介して、盤上駆動モータ55mのコイルAの端子φ1(
図9(A)参照)に接続されている。従って、盤上駆動モータドライバIC11のOUTA+端子から出力される電流を、制御ラインL11を通して、盤上駆動モータ55mのコイルAの端子φ1へ流すことが可能である。
【0094】
また盤上駆動モータドライバIC11のOUTA-端子は、制御ラインL12を介してコネクタCN1の2番端子に接続されている。コネクタCN1の2番端子は、図示しないハーネスを介して、盤上駆動モータ55mのコイルAの端子φ2(
図9(A)参照)に接続されている。従って、盤上駆動モータドライバIC11のOUTA-端子から出力される電流を、制御ラインL12を通して、盤上駆動モータ55mのコイルAの端子φ2へ流すことが可能である。
【0095】
また盤上駆動モータドライバIC11のOUTB+端子は、制御ラインL13を介してコネクタCN1の3番端子に接続されている。コネクタCN1の3番端子は、図示しないハーネスを介して、盤上駆動モータ55mのコイルBの端子φ3(
図9(A)参照)に接続されている。従って、盤上駆動モータドライバIC11のOUTB+端子から出力される電流を、制御ラインL13を通して、盤上駆動モータ55mのコイルBの端子φ3へ流すことが可能である。
【0096】
また盤上駆動モータドライバIC11のOUTB-端子は、制御ラインL14を介してコネクタCN1の4番端子に接続されている。コネクタCN1の4番端子は、図示しないハーネスを介して、盤上駆動モータ55mのコイルBの端子φ4(
図9(A)参照)に接続されている。従って、盤上駆動モータドライバIC11のOUTB-端子から出力される電流を、制御ラインL14を通して、盤上駆動モータ55mのコイルBの端子φ4へ流すことが可能である。
【0097】
図10に示すように、盤上駆動モータドライバIC11のVREFA端子から延びる制御ラインと、VREFBラインから延びる制御ラインとが結合して、1つの制御ラインL15が形成されている。制御ラインL15は、分岐点BTから
図10の上側へ延びる制御ラインL15aと、分岐点BTから
図10の下側へ延びる制御ラインL15bとに分かれている。制御ラインL15aには抵抗R11が接続されていて、制御ラインL15bには抵抗R12が接続されている。
【0098】
制御ラインL15aには、盤上電圧降下回路108Uが組み込まれている。盤上電圧降下回路108U(状態切替手段)は主に、NPN型のトランジスタTR11と、トランジスタTR11のコレクタに接続されている制御ラインL16と、NPN型のトランジスタTR12と、トランジスタTR12のコレクタに接続されている制御ラインL17とを備えている。
【0099】
トランジスタTR11のベースには、VDU1制御信号として「L」レベルの信号又は「H」レベルの信号が入力される。またトランジスタTR11のエミッタは、グランドに接続されている。そして、制御ラインL16には抵抗R13が接続されている。この制御ラインL16は、制御ラインL17と1つに結合した状態で、制御ラインL15aに接続されている。
【0100】
トランジスタTR12のベースには、VDU2制御信号として「L」レベルの信号又は「H」レベルの信号が入力される。またトランジスタTR12のエミッタは、グランドに接続されている。そして、制御ラインL17には抵抗R14が接続されている。この制御ラインL17は、制御ラインL16と1つに結合した状態で、制御ラインL15aに接続されている。このような構成の盤上電圧降下回路108Uは、VREFA端子及びVREFB端子に作用する電圧の大きさを変化させることが可能な回路である。この点については後に詳述する。
【0101】
次に、盤下駆動モータ56mに係る電気回路について
図11により説明する。
図11に示すように、盤駆動中継基板108には、盤下駆動モータドライバIC21および盤下電圧降下回路108Lが実装されている。
図11に示す盤下駆動モータドライバIC21に係る構成は、
図10に示す盤上駆動モータドライバIC11に係る構成と同様であるため、詳細な構成の説明を省略する。
【0102】
また
図12に示すように、盤駆動中継基板108には、入出力IC2が実装されている。入出力IC2は、デジタル信号を入出力するためのものである。入出力IC2には、シリアルデータ入出力端子(SDA端子)、シリアルクロック入力端子(SCL端子)、Vcc端子、6ビット分のアドレス設定端子(A0~A5端子)、12ビット分の出力端子P00~P11、その他の端子(GND端子、INT端子)を備えている。入出力IC2は、例えばGPIO(General Purpose Input Output)等を好適に使用できる。
【0103】
入出力IC2と演出制御用マイコン121とは、I2C(Inter Integrated Circuit)通信方式によって通信可能に接続されている。即ち、演出制御用マイコン121のシリアルポート139が接続されているデータ信号ラインに、入出力IC2のSDA端子が接続されている。また演出制御用マイコン121のシリアルポート139が接続されているクロック信号ラインに、入出力IC2のSCL端子が接続されている。
【0104】
演出制御用マイコン121は、I2C通信方式によって入出力IC2と通信する場合、先ず入出力IC2のアドレス情報をシリアルデータとして送信する。そして、そのアドレス情報と一致するアドレスが割り付けられた入出力IC2から、返答信号を受信すると、入出力IC2に対して、盤上可動装置55、盤下可動装置56を駆動させるための駆動データをシリアルデータとして送信する。入出力IC2は、演出制御用マイコン121から入力される駆動データに基づいて、出力端子P00~P11から制御信号を出力する。これにより、盤上可動装置55、盤下可動装置56が駆動データに基づく動作態様で動作するように、盤上駆動モータ55m、盤下駆動モータ56mを駆動させることが可能である。
【0105】
Vcc端子は、5Vの電源が供給される端子である。A0端子(アドレス設定端子)およびA3端子は、5Vの電源に接続されている。一方、A1端子、A2端子、A4端子及びA5端子は、グランドに接続されている。
【0106】
12ビット分の出力端子P00~P11のうち、6ビット分の出力端子P00~P05は、
図10に示す盤上駆動モータドライバIC11のPHASEUA端子、PHASEUB端子、TRQU0端子、TRQU1端子、VDU2端子、VDU1端子に制御信号を出力する端子である。また、6ビット分の出力端子P06~P11は、
図11に示す盤下駆動モータドライバIC21のPHASELA端子、PHASELB端子、TRQL0端子、TRQL1端子、VDL2端子、VDL1端子に制御信号を出力する端子である。
【0107】
ここで、盤上駆動モータ55mの出力トルクの大きさは、供給される電流(制御ラインL11,L12,L13,L14を流れる電流)の大きさに比例する。盤上駆動モータドライバIC11は、上述したように、定電流駆動方式のものである。この定電流駆動方式のドライバ(盤上駆動モータドライバIC11)においては、OUTA+端子,OUTA-端子,OUTB+端子,OUTB-端子から出力する電流の大きさは、VREFA端子及びVREFB端子に作用する電圧の大きさに依存する。そして、本形態では、VREFA端子及びVREFB端子に作用する電圧の大きさを、VDU1制御信号、VDU2制御信号によって制御することができる。
【0108】
まず、入出力IC2の出力端子P05から、VDU1制御信号として「L」レベルの信号を出力し、且つ出力端子P04から、VDU2制御信号として「L」レベルの信号を出力した場合について説明する。この場合には、
図10に示すように、トランジスタTR11のベースとエミッタの間に電圧が印加されず、且つトランジスタTR12のベースとエミッタの間にも電圧が印加されない。そのため、それぞれのトランジスタTR11,TR12では、コレクタからエミッタに電流が流れない。従って、制御ラインL16に接続されている抵抗R13が機能しないと共に、制御ラインL17に接続されている抵抗R14も機能しないことになる。よって、この場合には、盤上駆動モータドライバIC11のVREFA端子及びVREFB端子に作用する電圧の大きさは、抵抗R11の抵抗値と抵抗R12の抵抗値とだけに依存する。そして、VDU1制御信号が「L」レベルであり、かつ、VDU2制御信号が「L」レベルである場合に、VREFA端子及びVREFB端子に作用する電圧の大きさを、本形態においては第1電圧とする。そして、その結果、盤上駆動モータドライバIC11のOUTA+端子,OUTA-端子,OUTB+端子,OUTB-端子から出力可能な電流の最大の電流値を、本形態では第1基準供給電流値とする。
【0109】
次に、入出力IC2の出力端子P05から、VDU1制御信号として「L」レベルの信号を出力し、且つ出力端子P04から、VDU2制御信号として「H」レベルの信号を出力した場合について説明する。この場合には、
図10に示すように、トランジスタTR11のベースとエミッタの間に電圧が印加されない一方、トランジスタTR12のベースとエミッタの間に電圧が印加される。そのため、トランジスタTR11ではコレクタからエミッタに電流が流れない一方、トランジスタTR12ではコレクタからエミッタに電流が流れる。従って、制御ラインL16に接続されている抵抗R13が機能しない一方、制御ラインL17に接続されている抵抗R14が機能する。よって、この場合には、盤上駆動モータドライバIC11のVREFA端子及びVREFB端子に作用する電圧の大きさは、抵抗R11の抵抗値と抵抗R12の抵抗値だけでなく、抵抗R14の抵抗値にも依存する。そして、VDU1制御信号が「L」レベルであり、かつ、VDU2制御信号が「H」レベルである場合に、VREFA端子及びVREFB端子に作用する電圧の大きさを、本形態においては第2電圧とする。そして、その結果、盤上駆動モータドライバIC11のOUTA+端子,OUTA-端子,OUTB+端子,OUTB-端子から出力可能な電流の最大の電流値を、本形態では第2基準供給電流値とする。本形態では、第2基準供給電流値が、第1基準供給電流値の80%となっている。第2基準供給電流値の第1基準供給電流値に対する割合は、抵抗R14等の抵抗値により設定することが可能である。
【0110】
このように、本形態では、VDU1制御信号とVDU2制御信号との組み合わせにより、盤上駆動モータドライバIC11が盤上駆動モータ55mへ供給可能な電流の最大の電流値(基準供給電流値)を、第1基準供給電流値と第2基準供給電流値との間で切り替えることが可能である。
【0111】
また、前述したように、盤上駆動モータドライバIC11は、TRQU0端子およびTRQU1端子に入力された信号に応じて、OUTA+端子、OUTA-端子、OUTB+端子、OUTB-端子から出力する電流を制御することが可能である。本形態の盤上駆動モータドライバIC11は、TRQU0端子およびTRQU1端子に入力された信号に応じて、基準供給電流値をスケーリングした電流を、盤上駆動モータ55mへ供給可能である。盤上駆動モータドライバIC11は、100%、75%、50%、25%の4パターンのうちのいずれかでスケーリングすることが可能である。
【0112】
すなわち、盤上駆動モータドライバIC11は、入出力IC2からTRQU0端子にTRQU0制御信号として「0」が入力され、且つTRQU1端子にTRQU1制御信号として「0」が入力された場合、基準供給電流値(100%)の電流を、盤上駆動モータ55mへ供給する。盤上駆動モータドライバIC11は、TRQU0制御信号として「1」が入力され、且つTRQU1制御信号として「0」が入力された場合、基準供給電流値の75%の電流を、盤上駆動モータ55mへ供給する。盤上駆動モータドライバIC11は、TRQU0制御信号として「0」が入力され、且つTRQU1制御信号として「1」が入力された場合、基準供給電流値の50%の電流を、盤上駆動モータ55mへ供給する。盤上駆動モータドライバIC11は、TRQU0制御信号として「1」が入力され、且つTRQU1制御信号として「1」が入力された場合、基準供給電流値の25%の電流を、盤上駆動モータ55mへ供給する。
【0113】
このように、本形態では、TRQU0制御信号とTRQU1制御信号との組み合わせにより、盤上駆動モータドライバIC11は、盤上駆動モータ55mへ供給する電流の電流値として、基準供給電流値の所定の割合(100%、75%、50%、25%)にて4パターンの値を設定可能である。
【0114】
すなわち、本形態では、盤上駆動モータドライバIC11が盤上駆動モータ55mへ供給可能な電流の最大値である基準供給電流値を第1基準供給電流値と第2基準供給電流値との間で切り替えることが可能であるとともに、盤上駆動モータ55mへ供給する電流の電流値として、基準供給電流値の所定の割合にて4パターンの値を設定可能である。つまり、盤上駆動モータドライバIC11が盤上駆動モータ55mへ供給可能な電流の電流値は、
図13に示すように、合計で8パターンである。
【0115】
図13には、盤上駆動モータ55mへ供給される電流の8パターンの電流値を、Imax、I80、I75、I60、I50、I40、I25、I20として示している。本形態では、基準供給電流値が第1基準供給電流値であり、盤上駆動モータドライバIC11におけるスケーリングが100%のとき、盤上駆動モータ55mへ供給される電流の電流値が最大(最大供給電流値)となる。この最大供給電流値を、Imaxとして示している。また、
図13には、最大供給電流値Imaxに対する割合をそれぞれ、括弧を付して示している。
【0116】
図13に示すように、基準供給電流値が第1基準供給電流値であり、かつ、盤上駆動モータドライバIC11におけるスケーリングが100%であるとき、電流値Imax(最大供給電流値)の電流が盤上駆動モータ55mへ供給される。基準供給電流値が第2基準供給電流値であり、かつ、盤上駆動モータドライバIC11におけるスケーリングが100%であるとき、電流値I80の電流が盤上駆動モータ55mへ供給される。電流値I80は、電流値Imaxの80%である。基準供給電流値が第1基準供給電流値であり、かつ、盤上駆動モータドライバIC11におけるスケーリングが75%であるとき、電流値I75の電流が盤上駆動モータ55mへ供給される。電流値I75は、電流値Imaxの75%である。基準供給電流値が第2基準供給電流値であり、かつ、盤上駆動モータドライバIC11におけるスケーリングが75%であるとき、電流値I60の電流が盤上駆動モータ55mへ供給される。電流値I60は、電流値Imaxの60%である。基準供給電流値が第1基準供給電流値であり、かつ、盤上駆動モータドライバIC11におけるスケーリングが50%であるとき、電流値I50の電流が盤上駆動モータ55mへ供給される。電流値I50は、電流値Imaxの50%である。基準供給電流値が第2基準供給電流値であり、かつ、盤上駆動モータドライバIC11におけるスケーリングが50%であるとき、電流値I40の電流が盤上駆動モータ55mへ供給される。電流値I40は、電流値Imaxの40%である。基準供給電流値が第1基準供給電流値であり、かつ、盤上駆動モータドライバIC11におけるスケーリングが25%であるとき、電流値I25の電流が盤上駆動モータ55mへ供給される。電流値I25は、電流値Imaxの25%である。基準供給電流値が第2基準供給電流値であり、かつ、盤上駆動モータドライバIC11におけるスケーリングが25%であるとき、電流値I20の電流が盤上駆動モータ55mへ供給される。電流値I20は、電流値Imaxの20%である。
【0117】
そして、盤上駆動モータ55mの出力トルクは、供給される電流の電流値によって異なる。つまり、供給される電流の電流値が大きいほど、盤上駆動モータ55mの出力トルクは高くなる。すなわち、本形態では、盤上駆動モータドライバIC11が盤上駆動モータ55mへ供給する電流の電流値を制御することにより、盤上駆動モータ55mの出力トルクを制御することが可能である。また、盤上駆動モータドライバIC11が盤上駆動モータ55mへ供給する電流の電流値を8パターンで制御可能であることにより、盤上駆動モータ55mの出力トルクについても、8パターンで制御することが可能である。盤下駆動モータ56mについても、盤上駆動モータ55mと同様に、供給する電流値を制御することにより、出力トルクを制御することが可能である。
【0118】
3.遊技機による主な遊技
次に、パチンコ遊技機PY1により行われる主な遊技について、
図14~
図21を用いて説明する。なお、
図14~
図21に示す各テーブルは、本項目の説明のための一般的なものであり、後述する「パチンコ遊技機PY1の特徴部」の説明においてこれらとは別のテーブルを示した場合、パチンコ遊技機PY1ではそのテーブルが用いられているものとする。但し、後述する「パチンコ遊技機PY1の特徴部」の説明において別のテーブルを示さない構成については、この項目で示したテーブルが用いられているものとし、また、後述する「パチンコ遊技機PY1の特徴部」の説明において別のテーブルを示した構成についても、この項目で示したテーブルに変更することが可能であるとする。
【0119】
3-1.普図に関わる遊技
最初に、普図に関わる遊技について説明する。パチンコ遊技機PY1は、発射された遊技球がゲート13を通過すると、普図抽選を行う。普図抽選を行うと、普図表示器82において、普図の可変表示(変動表示を行った後に停止表示)を行う。ここで、停止表示される普図には、当たり図柄とハズレ図柄とがある。なお、普図のハズレ図柄については、後述する特図のハズレ図柄と区別をするために「ハズレ普図」ともいう。当たり図柄が停止表示されると補助遊技が実行されて、当該ゲート13の通過に係る遊技が終了する。一方、ハズレ普図が停止表示されると、補助遊技は行われず、当該ゲート13の通過に係る遊技が終了する。また、以下において、遊技球がゲート13を通過することを「普図始動条件の成立」という。
【0120】
パチンコ遊技機PY1は、このような一連の遊技(普図抽選、普図の可変表示、補助遊技)を行うにあたり、普図始動条件の成立により、普図関係乱数を取得する。取得する普図関係乱数には、
図14(A)に示すように、普通図柄乱数がある。普通図柄乱数は当たり判定を行うための乱数である。乱数を判定情報とも言う。乱数には、適宜に範囲が設けられている。
【0121】
3-1-1.当たり判定
当たり判定は、
図15(A)に示すような当たり判定テーブルに従って、当たりか否か(補助遊技を実行するか否か)を決定するための判定である。当たり判定テーブルは、後述する遊技状態に関連付けられている。すなわち、当たり判定テーブルには、非時短状態で用いる当たり判定テーブル(非時短用当たり判定テーブル)と、時短状態で用いる当たり判定テーブル(時短用当たり判定テーブル)と、がある。各当たり判定テーブルでは、当たり判定の結果である当たりとハズレに、普通図柄乱数の判定値(普通図柄乱数値)が振り分けられている。よって、パチンコ遊技機PY1は、取得した普通図柄乱数を当たり判定テーブルに従って判定することにより、当たりかハズレかの当たり判定を行う。そして、当たり判定の結果に基づいて、普図の可変表示を行うための普図変動パターン判定を行う。当たり判定の結果が当たりであると、基本的には、普図の可変表示で当たり図柄が停止表示される。一方、当たり判定の結果がハズレであると、基本的には、普図の可変表示でハズレ普図が停止表示される。なお、当たりの当選確率については、適宜に変更することが可能である。また、当たり判定テーブルを、遊技状態毎に分けなくてもよい。
【0122】
3-1-2.普図変動
普図変動パターン判定は、
図15(B)に示すような普図変動パターン判定テーブルに従って、普図変動パターンを決定するための判定である。普図変動パターンとは、普図変動時間などの普図の可変表示に関する所定事項に関する識別情報である。
【0123】
普図変動パターン判定テーブルは、遊技状態(非時短状態/時短状態)に関連付けられている。すなわち、普図変動パターン判定テーブルには、非時短状態のときに用いられる普図変動パターン判定テーブル(非時短普図変動パターン判定テーブル)と時短状態のときに用いられる普図変動パターン判定テーブル(時短普図変動パターン判定テーブル)とがある。なお、普図変動パターン判定テーブルを遊技状態毎に分けなくてもよい。
【0124】
各普図変動パターン判定テーブルには、普図変動パターン判定の結果である普図変動パターンが、停止される普図毎に1つ格納されている。すなわち、パチンコ遊技機PY1は、非時短状態においてと時短状態においてとで、普図変動時間を異ならせることが可能である。例えば、非時短状態においては、ハズレの普図(ハズレ普図)を停止表示する場合の普図の可変表示については普図変動時間が例えば30秒となる普図変動パターンに決定し、当たり図柄を停止表示する場合の普図の可変表示については普図変動時間が例えば30秒となる普図変動パターンに決定する。また、時短状態においては、ハズレ普図を停止表示する場合の普図の可変表示については普図変動時間が例えば5秒となる普図変動パターンに決定し、当たり図柄を停止表示する場合の普図の可変表示については普図変動時間が例えば5秒となる普図変動パターンに決定する。この判定で決定された普図変動パターンに対応付けられた普図変動時間の普図の可変表示が、普図表示器82で行われる。また、これら普図変動時間については、適宜に変更することが可能である。このように、当たり判定、および、普図変動パターン判定が行われることによって、普図表示器82において普図の可変表示が行われる。
【0125】
3-1-3.補助遊技
補助遊技は、普図の可変表示で、表示結果(普図抽選の結果)として、当たり図柄が停止表示(導出)されると実行される。
【0126】
補助遊技を構成する要素(補助遊技構成要素)には、電チュー12Dが開放する回数、および各開放についての開放時間などの様々な要素が含まれている。そして、これらの各要素は、遊技状態(非時短状態/時短状態)に対応付けられている。パチンコ遊技機PY1は、遊技状態(非時短状態/時短状態)に基づいて、
図15(C)に示すような補助遊技制御テーブルに従って補助遊技を制御する。補助遊技制御テーブルは、遊技状態(非時短状態/時短状態)に対応付けられている。各補助遊技制御テーブルには、補助遊技構成要素が格納されている。なお、これらの各要素における開放回数や開放時間については、適宜に変更することが可能である。
【0127】
パチンコ遊技機PY1は、非時短状態における補助遊技と時短状態における補助遊技とで、電チュー12Dの開放時間を異ならせている。例えば、非時短状態における補助遊技では、第1の開放時間(遊技球を電チュー12Dに入賞させるのが困難な時間(例えば0.08秒))だけ電チュー12Dを開放する。以下において、非時短状態における補助遊技のことを「ショート開放補助遊技」ともいう。また、時短状態における補助遊技では、第1の開放時間よりも長い第2の開放時間(遊技球を電チュー12Dに入賞させるのが容易な時間(例えば3.0秒))だけ電チュー12Dを開放する。以下において、時短状態における補助遊技のことを「ロング開放補助遊技」ともいう。なお、非時短状態における補助遊技と時短状態における補助遊技とで、電チュー12Dの開放時間が同じであってもよい。
【0128】
3-2.特図に関わる遊技
次に、特図に関わる遊技について説明する。パチンコ遊技機PY1は、発射された遊技球が第1始動口11に入賞すると、特
図1抽選を行う。特
図1抽選が行われると、特
図1表示器81aにおいて、特
図1の可変表示(変動表示を行った後に停止表示)を行って、特
図1抽選の結果を報知する。ここで、停止表示される特
図1には、大当たり図柄およびハズレ図柄がある。すなわち、特
図1抽選の結果には大当たり、およびハズレがある。大当たり図柄が停止表示されると大当たり遊技が実行され、新たな遊技状態が設定されて、当該入賞に基づく遊技が終了する。一方、ハズレ図柄が停止表示されると、大当たり遊技が行われず、当該入賞に基づく遊技が終了する。
【0129】
同様に、パチンコ遊技機PY1は、発射された遊技球が第2始動口12に入賞すると、特
図2抽選を行う。特
図2抽選が行われると、特
図2表示器81bにおいて、特
図2の可変表示(変動表示を行った後に停止表示)を行って、特
図2抽選の結果を報知する。ここで、停止表示される特
図2には、大当たり図柄、およびハズレ図柄がある。すなわち、特
図2抽選の結果には、大当たり、およびハズレがある。大当たり図柄が停止表示されると大当たり遊技が実行され、新たな遊技状態が設定されて、当該入賞に基づく遊技が終了する。一方、ハズレ図柄が停止表示されると大当たり遊技が行われず、当該入賞に基づく遊技が終了する。
【0130】
なお、以下において、第1始動口11に遊技球が入賞することを「第1始動条件の成立」といい、第2始動口12に遊技球が入賞することを「第2始動条件の成立」という。また、「第1始動条件の成立」と「第2始動条件の成立」をまとめて「始動条件の成立」と総称する。また、特別図柄のハズレ図柄については、前述の普図のハズレ図柄と区別するために「ハズレ特図」ともいう。
【0131】
パチンコ遊技機PY1は、このような一連の遊技(特図抽選、特図の可変表示、大当たり遊技、遊技状態の設定)を行うにあたり、始動条件の成立により、特図関係乱数を取得し、当該乱数について種々の判定を行う。取得する特図関係乱数には、
図14(B)に示すように、特別図柄乱数(大当たり乱数)、大当たり図柄種別乱数、リーチ乱数および特図変動パターン乱数がある。特別図柄乱数は大当たり判定を行うための乱数である。大当たり図柄種別乱数は大当たり図柄種別判定を行うための乱数である。リーチ乱数はリーチ判定を行うための乱数である。特図変動パターン乱数は特別図柄の変動パターン判定を行うための乱数である。乱数を判定情報とも言う。各乱数には、適宜に範囲が設けられている。
【0132】
3-2-1.大当たり判定
大当たり判定は、
図16(A)に示すような大当たり判定テーブルに従って、大当たりか否か(大当たり遊技を実行するか否か)を決定するための判定である。大当たり判定テーブルは、遊技状態、詳細には、通常確率状態であるか高確率状態であるかに関連付けられている。すなわち、大当たり判定テーブルには、通常確率状態において用いられる大当たり判定テーブル(通常確率用大当たり判定テーブル)と高確率状態において用いられる大当たり判定テーブル(高確率用大当たり判定テーブル)とがある。
【0133】
各大当たり判定テーブルでは、大当たり判定の結果である大当たり、およびハズレに、特別図柄乱数の判定値(特別図柄乱数値)が振り分けられている。パチンコ遊技機PY1は、取得した特別図柄乱数を大当たり判定テーブルに従って判定することにより、大当たり、またはハズレの何れであるかを判定する。
図16(A)に示すように、高確率用大当たり判定テーブルの方が、通常確率用大当たり判定テーブルよりも、大当たりと判定される特別図柄乱数判定値が多く設定されている。また、大当たりの当選確率については、適宜に変更することが可能である。
【0134】
3-2-2.大当たり図柄種別判定
大当たり図柄種別判定は、大当たり判定の結果が大当たりである場合に、
図16(B)に示すような大当たり図柄種別判定テーブルに従って大当たり図柄の種別(大当たり図柄種別)を決定するための判定である。大当たり図柄の種別毎に、大当たりの内容、換言すれば、遊技者に付与される遊技特典などで構成される大当たりの構成要素が対応付けられている。
【0135】
大当たり図柄種別判定テーブルは、可変表示される特別図柄の種別(特
図1/特
図2)、言い換えれば、当該大当たり図柄種別判定の起因となる入賞(当該大当たり図柄種別判定を発生させた入賞)が行われた始動口の種別(第1始動口11/第2始動口12)に関連付けられている。すなわち、大当たり図柄種別判定テーブルには、特
図1の可変表示を行うときに用いられる大当たり図柄種別判定テーブル(第1大当たり図柄種別判定テーブル)と特
図2の可変表示を行うときに用いられる大当たり図柄種別判定テーブル(第2大当たり図柄種別判定テーブル)とがある。
【0136】
大当たり図柄には複数種類の種別があり、各大当たり図柄種別判定テーブルでは、大当たり図柄種別判定の結果である大当たり図柄種別に、大当たり図柄種別乱数の判定値(大当たり図柄種別乱数値)が振り分けられている。よって、パチンコ遊技機PY1は、取得した大当たり図柄種別乱数を大当たり図柄種別判定テーブルに従って判定することにより、大当たり図柄の種別を判定する。そして、第1大当たり図柄種別判定テーブルおよび第2大当たり図柄種別判定テーブルでは、大当たり図柄種別乱数値が各種大当たり図柄に適宜に振り分けられている。なお、大当たり図柄種別の振分率については、適宜に変更することが可能である。また、大当たり図柄の種別については、適宜に増加したり減少したりすることが可能である。
【0137】
例えば、
図16(B)に示すように、特
図1についての大当たり図柄種別判定による大当たり図柄種別の振分率を、大当たり図柄Aが50%、大当たり図柄Bが50%にし、特
図2についての大当たり図柄種別判定による大当たり図柄種別の振分率を、大当たり図柄Cが100%にすることが可能である。このように、第1始動口11に遊技球が入賞して行われる特
図1抽選と、第2始動口12に遊技球が入賞して行われる特
図2抽選とで、大当たり図柄種別の振分率を異ならせることが可能である。
【0138】
3-2-3.リーチ判定
リーチ判定は、大当たり判定の結果がハズレである場合に、
図16(C)に示すようなリーチ判定テーブルに従って、後述する特図変動演出でリーチを発生させるか否かを決定するための判定である。
【0139】
リーチ判定テーブルは、遊技状態(非時短状態/時短状態)に関連付けられている。すなわち、リーチ判定テーブルには、非時短状態のときに用いられるリーチ判定テーブル(非時短用リーチ判定テーブル)と時短状態のときに用いられるリーチ判定テーブル(時短用リーチ判定テーブル)とがある。なお、リーチ判定テーブルを遊技状態毎に分けなくてもよい。
【0140】
各リーチ判定テーブルでは、リーチ判定の結果である「リーチ有り(リーチを発生させる)」と「リーチ無し(リーチを発生させない)」に、リーチ乱数の判定値(リーチ乱数値)が振り分けられている。よって、パチンコ遊技機PY1は、取得したリーチ乱数をリーチ判定テーブルに従って判定することにより、リーチ有りかリーチ無しか(リーチを発生させるか否か)を判定する。
図16(C)に示すように、非時短用リーチ判定テーブルと時短用リーチ判定テーブルとで、「リーチ有り(リーチを発生させる)」と判定されるリーチ乱数値の数が異なっている。なお、リーチ有りと判定される確率については、適宜に変更することが可能である。以下において、大当たり判定の結果が「ハズレ」であることを前提に行われる「リーチ有り(リーチを発生させる)」のことを「リーチ有りハズレ」といい、「リーチ無し(リーチを発生させない)」のことを「リーチ無しハズレ」ということもある。
【0141】
3-2-4.特図変動パターン判定
特図変動パターン判定は、
図17~
図18に示すような特別図柄の変動パターン判定テーブル(特図変動パターン判定テーブル)を用いて、特図の可変表示の変動パターン(特図変動パターン)を決定するための判定であり、大当たり判定の結果が大当たり、およびハズレの何れの場合にも行われる。特図変動パターンとは、特図変動時間や後述する特図変動演出の演出フロー(演出内容)などに関する所定事項を識別するための識別情報である。なお、特図変動パターンには、特図変動時間や特図変動演出の演出フロー(演出内容)の他、大当たり判定の結果とリーチ判定の結果に関する識別情報が含まれている。特図変動パターンに含ませる識別情報は、適宜に変更することが可能である。また、特図変動パターンとして、それぞれ識別情報が異なる複数種類の特図変動パターンを用いることが可能であり、その数は適宜に変更することが可能である。
【0142】
特図変動パターン判定テーブルは、判定対象となる可変表示を行う特別図柄の種別(特
図1/特
図2)、言い換えれば、当該特図変動パターン判定の起因となる入賞が行われた始動口の種別(第1始動口11/第2始動口12)に関連付けられている。すなわち、特図変動パターン判定テーブルには、特
図1の可変表示を行うときに用いられる特図変動パターン判定テーブル(特
図1変動パターン判定テーブル:
図17)と、特
図2の可変表示を行うときに用いられる特図変動パターン判定テーブル(特
図2変動パターン判定テーブル:
図18)とがある。なお、特図変動パターン判定テーブルを、特別図柄の種別(特
図1/特
図2)に応じて分けなくてもよい。
【0143】
そして、各特図変動パターン判定テーブルは、遊技状態(非時短状態/時短状態)にも関連付けられている。すなわち、特
図1変動パターン判定テーブルには、非時短状態のときに用いられる特
図1変動パターン判定テーブル(非時短用特
図1変動パターン判定テーブル)と、時短状態のときに用いられる特
図1変動パターン判定テーブル(時短用特
図1変動パターン判定テーブル)とがある。一方、特
図2変動パターン判定テーブルについても同様に、非時短状態のときに用いられる特
図2変動パターン判定テーブル(非時短用特
図2変動パターン判定テーブル)と、時短状態のときに用いられる特
図2変動パターン判定テーブル(時短用特
図2変動パターン判定テーブル)とがある。なお、特図変動パターン判定テーブルを、遊技状態毎に分けなくてもよい。
【0144】
また、遊技状態(非時短状態/時短状態)に関連付けられた各特図変動パターン判定テーブルは、さらに、大当たり判定結果およびリーチ判定結果にも関連付けられている。すなわち、非時短用特
図1変動パターン判定テーブルおよび非時短用特
図2変動パターン判定テーブルにはそれぞれ、大当たり用、リーチ有りハズレ用、およびリーチ無しハズレ用がある。同様に、時短用特
図1変動パターン判定テーブルおよび時短用特
図2変動パターン判定テーブルにもそれぞれ、大当たり用、リーチ有りハズレ用、およびリーチ無しハズレ用がある。なお、特図変動パターン判定テーブルを、大当たり判定結果やリーチ判定結果に応じて分けなくてもよい。
【0145】
さらに、各リーチ無しハズレ用の特
図1変動パターン判定テーブルは、特図保留数にも関連付けられている。例えば、特
図1保留数(U1)が0~2のときに用いられるリーチ無しハズレ用の特
図1変動パターン判定テーブルと、特
図1保留数(U1)が3~4のときに用いられるリーチ無しハズレ用の特
図1変動パターン判定テーブルと、がある。また、各リーチ無しハズレ用の特
図2変動パターン判定テーブルは、特図保留数にも関連付けられている。具体的には、特
図2保留数(U2)が0~2のときに用いられるリーチ無しハズレ用の特
図2変動パターン判定テーブルと、特
図2保留数(U2)が3~4のときに用いられるリーチ無しハズレ用の特
図2変動パターン判定テーブルと、がある。なお、特図変動パターン判定テーブルを、特図保留数に応じて分けなくてもよい。
【0146】
そして、各特図変動パターン判定で決定された特図変動パターンに応じた特図変動時間の特図の可変表示が、特図表示器81で行われる。そして、特図の可変表示で、表示結果(特図抽選の結果)として、大当たり図柄が停止表示されると、即座に次の特図の可変表示が行われず、引き続いて、大当たり遊技が実行される。
【0147】
また、各特図変動パターンには、
図17~
図18の表の右から2番目の欄に示すような特図変動演出の演出フローが関連付けられている。なお、特図変動パターンに特図変動演出の演出フローを関連付けなくてもよい。
【0148】
また、
図17~
図18の表の一番右の欄に示すように、特図変動パターンを、特図(大当たり判定結果)および特図変動演出の演出内容などに関連付けた名称で呼ぶことがある。例えば、大当たりに係る特図変動パターンのことを「大当たり変動」と言う。そして、大当たり変動の中で、リーチの一種であるSPリーチが行われる特図変動パターンのことを「SP大当たり変動」と言い、Lリーチが行われる特図変動パターンのことを「L大当たり変動」と言い、Nリーチで特図変動演出が終わる特図変動パターンのことを「N大当たり変動」と言う。一方、リーチ有りハズレの中で、リーチの一種であるSPリーチが行われる特図変動パターンのことを「SPハズレ変動」と言い、リーチ有りハズレの中で、リーチの一種であるLリーチが行われる特図変動パターンのことを「Lハズレ変動」と言い、リーチ有りハズレの中で、リーチの一種であるNリーチで特図変動演出が終わる特図変動パターンのことを「Nハズレ変動」と言い、リーチ無しハズレに係る特図変動パターンのことを「通常ハズレ変動」と言う。通常ハズレ変動には、変動時間が互いに異なる3種類の変動(通常Aハズレ変動、通常Bハズレ変動、通常Cハズレ変動)がある。また、SP大当たりとSPハズレ変動とを総称する場合、SP変動あるいはSPリーチ変動と言う。
【0149】
3-2-5.先読み判定
パチンコ遊技機PY1は、取得した特図関係乱数に基づいて、
図19に示すような先読み判定テーブルに従って先読み判定を行う。先読み判定は、大当たり判定よりも前に(具体的には例えば始動口への入賞時に)行われる。先読み判定には、例えば、特別図柄乱数が大当たり判定で大当たりと判定されるか否かの判定、大当たり図柄種別乱数が大当たり図柄種別判定で何れの大当たり図柄の種別に決定されるかの判定、特図変動パターン乱数が特図変動パターン判定で何れの特図変動パターンに決定されるかの判定、などがある。先読み判定テーブルは、その始動入賞に係る始動口の種別(第1始動口11/第2始動口12)に関連付けられている。すなわち、先読み判定テーブルには、第1始動口11に入賞した場合の先読み判定テーブル(第1先読み判定テーブル)と、第2始動口12に入賞した場合の先読み判定テーブル(第2先読み判定テーブル)と、がある。第1始動口11は特
図1の抽選の契機となる始動口であるため、第1先読み判定テーブルを特
図1先読み判定テーブルと言うこともできる。また、第2始動口12は特
図2の抽選の契機となる始動口であるため、第2先読み判定テーブルを特
図2先読み判定テーブルと言うこともできる。なお、先読み判定テーブルを、始動口の種別(第1始動口11/第2始動口12)に応じて分けなくてもよい。
【0150】
また、先読み判定テーブルは、遊技状態(非時短状態/時短状態)にも関連付けられている。すなわち、先読み判定テーブルには、非時短状態のときに用いられる先読み判定テーブル(非時短用先読み判定テーブル)と、時短状態のときに用いられる先読み判定テーブル(時短用先読み判定テーブル)と、がある。
【0151】
つまり、先読み判定テーブルには、非時短状態のときに用いられる第1先読み判定テーブルと、時短状態のときに用いられる第1先読み判定テーブルと、非時短状態のときに用いられる第2先読み判定テーブルと、時短状態のときに用いられる第2先読み判定テーブルと、がある。なお、先読み判定テーブルを、遊技状態毎に分けなくてもよい。また、先読み判定にどのような判定を含ませるかは適宜に変更可能である。
【0152】
3-3.大当たり遊技
次に、大当たり遊技について説明する。大当たり遊技は、大入賞口(第1大入賞口14あるいは第2大入賞口15)の開閉を伴う複数回のラウンド遊技と、大当たり遊技が開始してから初回のラウンド遊技が開始されるまでのオープニング(OPとも表記する)と、最終回のラウンド遊技が終了してから大当たり遊技が終了するまでのエンディング(EDとも表記する)とを含んでいる。各ラウンド遊技は、オープニングの終了又は前のラウンド遊技の終了によって開始し、次のラウンド遊技の開始又はエンディングの開始によって終了する。また、OPやEDを設けないようすることが可能である。なお、以下において、所定回数目(所定の順番)のラウンド遊技を、単に「ラウンド」という。例えば、初回(1回目)のラウンド遊技のことを「1ラウンド(1R)」といい、10回目のラウンド遊技のことを「10ラウンド(10R)」という。
【0153】
このような大当たり遊技を構成する要素(大当たり遊技構成要素)には、ラウンド遊技の回数、各回のラウンド遊技における大入賞口(第1大入賞口14、第2大入賞口15)の開放回数、各開放が行われる大入賞口の種別および開放時間、次回の開放まで閉鎖させる時間(閉鎖時間あるいはインターバル時間)、オープニングの時間(オープニング時間)、およびエンディングの時間(エンディング時間)などが含まれている。パチンコ遊技機PY1は、特図の停止表示後、
図20に示すような大当たり遊技制御テーブルに従って大当たり遊技を制御する。
【0154】
図20に示すように、大当たり遊技制御テーブルには、大当たり遊技毎(例えば大当たり遊技A~C毎)に大当たり遊技構成要素が格納されている。各大当たり遊技では、1Rから15Rまでは、最大で29.5秒にわたって第1大入賞口14が開放するラウンド遊技、または、最大で0.1秒にわたって第1大入賞口14が開放するラウンド遊技、が行われる。そして、16R(最終ラウンド)では、最大で29.5秒にわたって第2大入賞口15が開放するラウンド遊技、または、最大で0.1秒にわたって第2大入賞口15が開放するラウンド遊技、が行われる。また、各ラウンド遊技では、予め定めた所定個数(例えば10個)の遊技球が大入賞口センサ14a,15aによって検出されると、大入賞口14,15の最大開放時間が経過する前であっても、ラウンド遊技を終了させる。
【0155】
なお、
図20に示す大当たり遊技Aは、当選した大当たり図柄の種別が大当たり図柄A(
図16(B)参照)である場合に実行され、大当たり遊技Bは、当選した大当たり図柄の種別が大当たり図柄Bである場合に実行され、大当たり遊技Cは、当選した大当たり図柄の種別が大当たり図柄Cである場合に実行される構成とすることが可能である。
【0156】
また、各大当たり遊技構成要素における回数や時間については、適宜に変更することが可能である。また、大当たり遊技を、第1大入賞口14および第2大入賞口15の両方を用いて行うことも一方だけを用いて行うことも可能である。第1大入賞口14だけを用いる大当たり遊技しか行わない構成、あるいは、第2大入賞口15だけを用いる大当たり遊技しか行わない構成とする場合には、用いない方の大入賞口を備えない構成としてもよい。また、実行可能な大当たり遊技の種類は、複数種類であってもよいし、1種類であってもよい。
【0157】
ここで、特定領域16について詳細に説明する。特定領域16は、振分部材16kによって、入賞不可能な閉状態と、入賞可能な開状態とをとるので、振分部材16kの作動態様は、特定領域16の開閉態様ということができる。以下において、振分部材16kの作動態様のことを「特定領域16の開閉態様」ともいう。また、特定領域16が開状態にあることを「V開放」ともいい、特定領域16が閉状態にあることを「V閉鎖」ともいう。
【0158】
振分部材16kは一定の作動態様で制御される(つまり、特定領域16は一定の開閉態様で制御される)。例えば、第2大入賞口15の開放が開始してから15秒間、振分ソレノイド16sが通電され、振分部材16kが第2状態(
図3(B))に制御される。よって、最大で29.5秒にわたって第2大入賞口15が開放するラウンド遊技では、第2大入賞口15の開放時間およびタイミングと、振分部材16kの第2状態に制御されている時間およびタイミングとの関係から、遊技球が特定領域16を通過する(遊技球を特定領域16に進入させる)ことが容易である。一方、最大で0.1秒にわたって第2大入賞口15が開放するラウンド遊技では、第2大入賞口15の開放時間およびタイミングと、振分部材16kの第2状態に制御されている時間およびタイミングとの関係から、遊技球が特定領域16を通過する(遊技球を特定領域16に進入させる)ことはほぼ不可能(困難)である。このように、振分部材16kの一定の作動態様(特定領域16の一定の開閉態様)と、大当たり遊技における第2大入賞口15の開閉態様との組み合わせで、大当たり遊技において遊技球を特定領域16に進入させることの困難性(容易性)を設定することが可能である。なお、振分部材16kの作動態様は適宜に変更可能である。後述する「パチンコ遊技機PY1の特徴部」の説明において別の作動態様を示した場合、パチンコ遊技機PY1ではその作動態様が採用されているものとする。
【0159】
なお、大当たり遊技中に、遊技球の特定領域16への通過(以下、「V通過」ともいう)が容易な第1開放パターン(Vロング開放パターン)でVAT開閉部材15k及び振分部材16kが作動する大当たりを、「Vロング大当たり」といい、遊技球の特定領域16の通過が不可能又は困難な第2開放パターン(Vショート開放パターン)でVAT開閉部材15k及び振分部材16kが作動する大当たりを、「Vショート大当たり」という。
【0160】
3-4.遊技状態
次に、遊技状態について説明する。パチンコ遊技機PY1は、
図21に示すように、「低確率低ベース遊技状態」、「低確率高ベース遊技状態」、「高確率低ベース遊技状態」、「高確率高ベース遊技状態」および「大当たり遊技状態」の何れかの遊技状態にすることが可能である。なお、「低確率低ベース遊技状態」を「低確低ベース状態」と、「低確率高ベース遊技状態」を「低確高ベース状態」と、「高確率低ベース遊技状態」を「高確低ベース状態」と、「高確率高ベース遊技状態」を「高確高ベース状態」と、それぞれ略称することがある。遊技状態を構成する状態として、大当たり判定において「大当たり」と判定される確率に係る状態と、電チュー12Dの開放の容易性に係る状態とがある。前者としては、通常確率状態と高確率状態とがある。一方、後者としては、非時短状態と時短状態とがある。
【0161】
通常確率状態は、「低確率低ベース遊技状態」または「低確率高ベース遊技状態」において設定され、大当たり判定で大当たりと判定される確率が通常の確率である状態である。高確率状態は、「高確率低ベース遊技状態」または「高確率高ベース遊技状態」において設定され、大当たり判定で大当たりと判定される確率が通常確率より高い高確率である状態である。従って、高確率状態は通常確率状態よりも遊技者に有利な遊技状態であると言える。パチンコ遊技機PY1で初めて電源投入されたときには通常確率状態が設定される。そして、大当たりに当選することによって通常確率状態から高確率状態に切り替えることが可能になる。例えば、大当たり遊技において遊技球が特定領域16を通過することによって高確率状態に切り替えることが可能である。また、大当たり図柄の種別によって高確率状態に切り替えることも可能である。高確率状態に切り替える契機をV通過とするか、大当たり図柄の種別とするかは、実現したい遊技性に応じて適宜定めておけばよい。高確率状態では、大当たりに当選することなく所定回数の大当たり判定が行われることや、次回の大当たりに当選することで、高確率状態から通常確率状態に切り替えることが可能である。
【0162】
非時短状態は、「低確率低ベース遊技状態」、「高確率低ベース遊技状態」または「大当たり遊技状態」において設定される。時短状態は、「低確率高ベース遊技状態」または「高確率高ベース遊技状態」において設定され、非時短状態に比べて、1回の補助遊技における電チュー12Dの開放時間が長くなり易い遊技状態である。例えば、時短状態においては、非時短状態における電チュー12Dの開放時間(例えば0.08秒)よりも長い開放時間(例えば3.0秒)となる。また、時短状態では、特図変動時間の短い特図変動パターンが選択されることが非時短状態よりも多くなるように定められた特図変動パターン判定テーブルに従って、特図変動パターン判定が行われる(
図17~
図18参照)。その結果、時短状態では、特図保留の消化のペースが速くなり、始動口への有効な入賞(特図保留として記憶され得る入賞)が発生しやすくなる。そのため、スムーズな遊技の進行のもとで大当たりを狙うことができる。
【0163】
また、時短状態は、非時短状態に比べて、普図変動時間が短くなり易くなっている。例えば、時短状態においては、非時短状態において決定される普図変動時間(30秒)よりも短い普図変動時間(5秒)が決定される(
図15(B))。よって、時短状態の方が、単位時間当たりにおける普図抽選の実行回数が多い。
【0164】
また、時短状態は、非時短状態に比べて、当たり判定で当たりと判定され易くなっている。例えば、時短状態では、非時短状態で当たりと判定される確率(例えば6600/65536)よりも高い確率(例えば59936/65536)で当たりと判定される(
図15(A))。よって、時短状態の方が、単位時間当たりにおいて当たり判定で当たりと判定される回数が多い。
【0165】
このように時短状態では、非時短状態に比して、単位時間当たりの電チュー12Dの開放時間が長くなり、第2始動口12へ遊技球が頻繁に入賞し易くなる。その結果、発射球数に対する賞球数の割合であるベースが高くなる。そのため、ベースの高い時短状態では、所持する遊技球を大きく減らすことなく大当たり当選を狙うことができる。従って、時短状態は非時短状態よりも遊技者に有利な遊技状態であると言える。
【0166】
パチンコ遊技機PY1で初めて電源投入されたときには非時短状態が設定される。そして、例えば、大当たりに当選することによって時短状態が設定可能になる。時短状態では、大当たりに当選することなく所定回数の大当たり判定が行われることや、次回の大当たりに当選することで、時短状態から非時短状態に変更することが可能である。
【0167】
なお、時短状態では、非時短状態に比して、当たりに当選し易く、普図変動時間が短くなり易く、且つ、1回の補助遊技における電チュー12Dの開放時間が長くなり易い。つまり、普図に係る遊技について3つの点で、遊技者に有利に設定されている。しかし、この遊技者に有利に設定されている点はこれらの中の一部であってもよい。また、時短状態における特図変動パターン判定テーブルが、非時短状態におけるものよりも、特図変動時間の短い特図変動パターンが選択され易いものでなくてもよい。
【0168】
なお、パチンコ遊技機PY1で初めて電源投入された後の遊技状態は、通常確率状態且つ非時短状態が設定される「低確率低ベース遊技状態」である。この遊技状態を「通常遊技状態」ともいう。なお、「大当たり遊技状態」では、普図抽選(普図に関する当たり判定)は行われるが特図抽選(大当たり判定)は行われないため、大当たり遊技の開始に伴って、非時短状態が設定される。また、遊技状態については、前述した遊技状態の全てを用いることも一部だけを用いることも可能である。また、本明細書で説明している各種の遊技状態については、「第n遊技状態」(nは1以上の整数)の形式で任意に表現できるものとする。
【0169】
4.遊技機による主な演出
次に、パチンコ遊技機PY1により行われる主な演出について、
図22~
図28を用いて説明する。
【0170】
4-1.演出モード
最初に、演出モードについて説明する。演出モードは、演出の区分(あるいは、上位概念的な属性)のことである。パチンコ遊技機PY1は、演出モードとして、客待ち演出モード、通常演出モードと、確変演出モード、時短演出モードおよび大当たり演出モードを設定することが可能である。
【0171】
客待ち演出モードは、「低確率低ベース遊技状態」、「低確率高ベース遊技状態」、「高確率低ベース遊技状態」および「高確率高ベース遊技状態」において特図変動演出が行われていないときに設定可能であり、特図変動演出が行われていない待機状態であることを示す演出モードである。客待ち演出モードが設定されているときに客待ち演出が行われる。客待ち演出では、例えば、
図22(A―1)に示すように、表示部50aにおいてパチンコ遊技機PY1を紹介する客待ちデモ動画G100が表示される。また、客待ちデモ動画G100が表示されているときに通常ボタン40が操作されると、
図22(A―2)に示すように、パチンコ遊技機PY1の演出に関する設定を行うための設定画面G101が表示される。演出に関する設定には、スピーカ52から出力される音の音量設定、表示部50aの輝度設定、実行される演出の頻度設定などがある。
【0172】
通常演出モードは、「低確率低ベース遊技状態」または「高確率低ベース遊技状態」において特図変動演出が行われているときに設定可能であり、非時短状態であることを示す演出モードである。通常演出モードには、例えば、
図22(B―1)に示すように、表示部50aにおいて昼間の山の景色を表す背景画像(昼間通常用背景画像G102)が表示される第1通常演出モードと、
図22(B―2)に示すように、表示部50aにおいて夕方の山の景色を表す背景画像(夕方通常用背景画像G103)が表示される第2通常演出モードと、
図22(B―3)に示すように、表示部50aにおいて夜間の山の景色を表す背景画像(夜間通常用背景画像G104)が表示される第3通常演出モードと、があり、大当たりに当選することなく1回または複数回の特図変動演出が行われることを1つの条件として切り替えられる。さらに、第1~第3通常演出モードのそれぞれには、特図変動演出において、リーチが成立する前の通常前段演出モードと、リーチが成立した後の通常後段演出モードと、がある。通常前段演出モードでは、表示部50aにおいて、昼間通常用背景画像G102、夕方通常用背景画像G103および夜間通常用背景画像G104の何れかが表示されるが、通常後段演出モードでは、リーチの種類に応じた専用の背景画像が表示される。また、「高確率低ベース遊技状態」においてのみ設定される特殊演出モードを設けても良い。
【0173】
確変演出モードは、「高確率高ベース遊技状態」において特図変動演出が行われているときに設定可能な演出モードであり、高確率状態且つ時短状態であることを示す演出モードである。確変演出モードでは、例えば、
図22(B―4)に示すように、表示部50aにおいて宇宙を表す背景画像(確変用背景画像G105)が表示される。さらに、確変演出モードには、特図変動演出において、リーチが成立する前の確変前段演出モードと、リーチが成立した後の確変後段演出モードと、がある。確変前段演出モードでは、表示部50aにおいて、確変用背景画像G105が表示されるが、確変後段演出モードでは、リーチの種類に応じた専用の背景画像が表示される。
【0174】
時短演出モードは、「低確率高ベース遊技状態」において特図変動演出が行われているときに設定可能な演出モードであり、通常確率状態且つ時短状態であることを示す演出モードである。時短演出モードでは、例えば、
図22(B―5)に示すように、表示部50aにおいて空を表す背景画像(時短用背景画像G106)が表示される。さらに、時短演出モードには、特図変動演出において、リーチが成立する前の時短前段演出モードと、リーチが成立した後の時短後段演出モードと、がある。時短前段演出モードでは、表示部50aにおいて、時短用背景画像G106が表示されるが、時短後段演出モードでは、リーチの種類に応じた専用の背景画像が表示される。
【0175】
大当たり演出モードは、「大当たり遊技状態」において大当たり遊技が行われているときに設定可能な演出モードであり、大当たり遊技が行われていることを示す演出モードである。大当たり演出モードでは、例えば、大当たり遊技におけるオープニング中には、
図22(C―1)に示すように、表示部50aにおいて、大当たり遊技の開始を示唆するオープニング画像G107や「右打ち」を促す右打ち画像G108が表示される大当たりオープニング演出が行われる。大当たり遊技におけるラウンド中には、
図22(C―2)に示すように、表示部50aにおいて、ラウンド数を示すラウンド画像G109や払い出された賞球数を示唆する賞球数画像G110が表示されるラウンド演出が行われる。大当たり遊技におけるエンディング中には、
図22(C―3)に示すように、表示部50aにおいて、大当たり遊技後に設定される演出モードを示唆するエンディング画像G111や払い出された総賞球数を示唆する総賞球数画像G112が表示される大当たりエンディング演出が行われる。
【0176】
なお、演出モードの種類については、適宜に変更または追加することが可能である。
【0177】
4-2.特図変動演出
次に、特図変動演出(単に「変動演出」とも言う)について説明する。パチンコ遊技機PY1は、特図の可変表示が開始されると、特図の可変表示に係る特図変動パターンおよび特図抽選結果(大当たり判定結果、大当たり図柄種別判定結果、リーチ判定結果、および、特図変動パターン判定結果)などに基づいて、特図変動演出を実行する。特図変動演出では、表示部50aにおいて、所定の背景画像に重畳的に、演出図柄の変動表示が行われる。演出図柄の変動表示では、演出図柄が変動した後に停止する。すなわち、特図変動時間、演出図柄の変動表示が行われた後に、当該変動が停止して、演出図柄の停止表示が行われる。そして、演出図柄の停止表示によって特図抽選の結果が報知される。
【0178】
なお、特図変動演出では、演出図柄の変動表示以外に、画像表示装置50、スピーカ52、枠ランプ53、盤ランプ54、可動装置55,56,58、通常ボタン40、特殊ボタン41などの様々な演出装置を用いた他の演出を行うことが可能である。この場合、演出図柄の停止表示後も、他の演出を継続して行うことが可能である。
【0179】
4-2-1.演出図柄表示領域
画像表示装置50の表示部50aには、
図23(A)に示すように、表示部50aを水平方向に3つに略均等に分けた左側、中央および右側それぞれに、左演出図柄領域50b1、中演出図柄領域50b2、および右演出図柄領域50b3を設けることが可能である。左演出図柄領域50b1は、特図変動演出における演出図柄の停止表示のときに、左演出図柄EZ1を表示する領域である。同様に、中演出図柄領域50b2および右演出図柄領域50b3は、中演出図柄EZ2および右演出図柄EZ3を表示する領域である。
【0180】
また、
図23(A)に示すように、表示部50aの上端部の左端(左上隅)の一区画に、小図柄領域50cを設けることが可能である。小図柄領域50cは、特図の可変表示が行われているときに小図柄KZ1,KZ2,KZ3を変動表示する領域である。
【0181】
なお、
図23(A)において、左演出図柄領域50b1、中演出図柄領域50b2、右演出図柄領域50b3、および小図柄領域50cは二点鎖線で明示されているが、これは左演出図柄領域50b1、中演出図柄領域50b2、右演出図柄領域50b3、および小図柄領域50cの範囲を表すために記載したものであり、実際には表示されていない。また、各領域の範囲は適宜に変更可能である。
【0182】
4-2-2.通常変動
パチンコ遊技機PY1は、特図変動演出において、先ず通常変動を行うことが可能である。通常変動は、特図の可変表示が開始されたことを示唆する演出として機能する。
【0183】
特図の可変表示が開始されると、例えば、
図23(A)に示すように、表示部50aにおいて、左演出図柄EZ1、中演出図柄EZ2および右演出図柄EZ3が停止表示されていると共に、左小図柄KZ1、中小図柄KZ2および右小図柄KZ3が停止表示されており、特図の可変表示が行われておらず、特図の可変表示を待機している状態から、
図23(B)に示すように、その開始に伴って演出図柄EZ1,EZ2,EZ3の変動表示が開始されると共に、小図柄KZ1,KZ2,KZ3の変動表示が開始される。そして、この特図の可変表示の特図変動パターンが、例えば「通常ハズレ変動」の場合には、
図23(C―1)に示すように、左演出図柄EZ1と右演出図柄EZ3とが異なる停止態様で仮停止してから、
図23(D)に示すように、ハズレを示唆する停止態様(所謂バラケ目)で演出図柄EZ1,EZ2,EZ3が停止表示する。このとき、小図柄KZ1,KZ2,KZ3もハズレを示唆する停止態様で一斉に停止表示する。一方、特図の可変表示の特図変動パターンが、例えば「Nハズレ変動」などのリーチ有りの特図変動パターンの場合には、
図23(C―2)に示すように、左演出図柄EZ1と右演出図柄EZ3とが同じ停止態様で仮停止して、リーチが成立する。このとき、小図柄KZ1,KZ2,KZ3の変動表示は継続して行われ、特図変動パターンに応じたリーチ演出が行われる。なお、演出図柄EZ1,EZ2,EZ3の停止順序や停止態様は、適宜に変更することが可能である。
【0184】
4-2-3.Nリーチ
パチンコ遊技機PY1は、通常変動においてリーチが成立するとNリーチを行うことが可能である。Nリーチは、大当たり判定の結果が「大当たり」であった可能性があることを示唆する演出であり、遊技者に大当たりを期待させるための演出として機能する。
【0185】
Nリーチでは、
図24(A)に示すように、リーチが成立した状態が所定時間(例えば、10秒)維持され、
図24(B)に示すように、中演出図柄EZ2の変動速度が徐々に減速していく。そして、特図の可変表示の特図変動パターンが、例えば「Nハズレ変動」の場合には、
図24(C―1)に示すように、ハズレを示唆する停止態様(所謂バラケ目)で演出図柄EZ1,EZ2,EZ3が停止表示する。このとき、小図柄KZ1,KZ2,KZ3もハズレを示唆する停止態様で一斉に停止表示する。一方、特図の可変表示の特図変動パターンが、例えば「N大当たり変動」の場合には、
図24(C-2)に示すように、大当たりを示唆する停止態様(所謂ゾロ目)で停止表示する。このとき、小図柄KZ1,KZ2,KZ3も大当たりを示唆する停止態様で一斉に停止表示する。なお、Nリーチの演出内容は、中演出図柄EZ2が徐々に減速することに限られず、適宜に変更または追加することが可能である。
【0186】
また、ハズレを示唆する演出図柄EZ1,EZ2,EZ3の停止態様に関して、リーチが成立しない場合のバラケ目を「非リーチバラケ目」や「非リーチハズレ目」と称し、リーチが成立する場合のバラケ目を「リーチバラケ目」や「リーチハズレ目」と称する。非リーチバラケ目を構成する各演出図柄EZ1,EZ2,EZ3の組み合わせをどのようにするか(例えば「2・3・1」や「5・8・6」等)、および、リーチバラケ目を構成する各演出図柄EZ1,EZ2,EZ3の組み合わせをどのようにするか(例えば「2・1・2」や「5・4・5」等)は、演出制御用マイコン121によって選択される。また、大当たりを示唆する停止態様(ゾロ目)を構成する各演出図柄EZ1,EZ2,EZ3の組み合わせをどのようにするか(例えば「2・2・2」や「7・7・7」等)は、当選した大当たり図柄の種別に基づいて、演出制御用マイコン121によって選択される。
【0187】
4-2-4.SPリーチ
パチンコ遊技機PY1は、Nリーチの後にSPリーチを行うことが可能である。SPリーチは、大当たり判定の結果が「大当たり」であった可能性が、Nリーチよりも高いことを示唆する演出であり、遊技者に大当たりを期待させるための演出として機能する。
【0188】
SPリーチでは、Nリーチの後に、例えば、
図25(A)に示すように、表示部50aにSPリーチ専用の背景画像(SPリーチ用背景画像G113)が表示され、表示部50aの中央にSPリーチが開始されたことを表す画像(SPリーチ開始タイトル画像)G1が表示される。その後、
図25(B)に示すように、SPリーチ専用演出(例えばバトル演出)が行われる。そして、SPリーチ専用演出の最終局面を迎えると、特図の可変表示の特図変動パターンが、例えば「SP大当たり変動」の場合には、
図25(C―1)に示すように、表示部50aに、大当たりを示唆する演出(例えば、主人公キャラクタ(味方キャラクタ)がバトルに勝利して仁王立ちしている表示)が行われるとともに、演出図柄EZ1,EZ2,EZ3が大当たりを示唆する停止態様(所謂ゾロ目)で停止表示する。このとき、小図柄KZ1,KZ2,KZ3も大当たりを示唆する停止態様で一斉に停止表示する。一方、特図の可変表示の特図変動パターンが、例えば「SPハズレ変動」の場合には、
図25(C―2)に示すように、ハズレを示唆する演出(例えば、敵キャラクタがバトルに勝利して仁王立ちしている表示)が行われるとともに、演出図柄EZ1,EZ2,EZ3がハズレを示唆する停止態様(所謂バラケ目)で停止表示する。このとき、小図柄KZ1,KZ2,KZ3もハズレを示唆する停止態様で一斉に停止表示する。なお、SPリーチの演出内容は、適宜に変更または追加することが可能である。
【0189】
ここで、各リーチに対する演出図柄EZ1,EZ2,EZ3が大当たりを示す態様で停止される可能性(大当たり期待度)について詳細に説明する。各リーチに対する大当たり期待度は、大当たり判定の結果に基づく実行確率によって定められる。例えば、Nリーチの実行確率を、大当たり判定の結果が「ハズレ」の場合には10%とし、大当たり判定の結果が「大当たり」の場合には100%として、SPリーチの実行確率を、大当たり判定の結果が「ハズレ」の場合には4%とし、大当たり判定の結果が「大当たり」の場合には100%とすれば、SPリーチの大当たり期待度を、Nリーチの大当たり期待度よりも高く設定することが可能である。また、SPリーチとしてSPリーチAとSPリーチBとを実行可能にし、SPリーチAの実行確率を、大当たり判定の結果が「ハズレ」の場合には2%とし、大当たり判定の結果が「大当たり」の場合には30%として、SPリーチBの実行確率を、大当たり判定の結果が「ハズレ」の場合には2%とし、大当たり判定の結果が「大当たり」の場合には20%とすれば、SPリーチAの大当たり期待度を、SPリーチBの大当たり期待度よりも高く設定することが可能である。このように、大当たり判定の結果に応じた実行確率を適宜に設定することで、大当たり期待度を設定することが可能である。
【0190】
4-2-5.Lリーチ
パチンコ遊技機PY1は、Nリーチの後にLリーチを行うことが可能である。Lリーチは、特図抽選の抽選結果が「大当たり」であった可能性が、SPリーチよりは低いがNリーチよりも高いことを示唆する演出であり、遊技者に大当たりを期待させるための演出として機能する。なお、Lリーチのリーチ演出の実行時間は、SPリーチのリーチ演出の演出時間よりも短い(
図17および
図18)。よって、Lリーチのリーチ演出では、例えば、SPリーチのリーチ演出よりも短い動画が表示部50aに表示される。なお、Lリーチのリーチ演出の内容は適宜変更可能である。また、Lリーチのリーチ演出の後にSPリーチのリーチ演出が発展的に実行される特図変動パターンを設けてもよい。
【0191】
4-3.保留アイコン表示領域
画像表示装置50の表示部50aには、
図26(A)に示すように、4つの表示領域からなる保留アイコン表示領域50dを設けることが可能である。保留アイコン表示領域50dは、第1表示領域50d1、第2表示領域50d2、第3表示領域50d3および第4表示領域50d4で構成され、特
図1保留数または特
図2保留数に応じて、各表示領域50d1,50d2,50d3,50d4に、保留アイコンHAを表示することが可能である。例えば、特
図1保留数が『1』の場合には、第1表示領域50d1に保留アイコンHAが表示され、特
図1保留数が『2』の場合には、第1表示領域50d1と第2表示領域50d2とに保留アイコンHAが表示される。
【0192】
また、保留アイコン表示領域50dの近傍に、
図26(A)に示すように、1つの表示領域からなる当該アイコン表示領域50eを設けることが可能である。当該アイコン表示領域50eは、特図変動演出が開始されることに応じて、保留アイコンHAと同じ当該アイコンTA(当該保留アイコンTAとも言う)を表示することが可能である。なお、当該アイコンTAとして、保留アイコンHAと異なるアイコンを表示することがあってもよい。
【0193】
なお、保留アイコン表示領域50dを構成する表示領域の数については、適宜に変更することが可能である。また、保留アイコン表示領域50dを、特
図1保留数および特
図2保留数の両方を表示する表示領域とすることも一方だけを表示する表示領域とすることも可能である。また、保留アイコン表示領域50dを設けるが当該アイコン表示領域50eを設けない構成としたり、両者を設けない構成としたりすることも可能である。
【0194】
4-3-1.保留演出
パチンコ遊技機PY1は、遊技球が第1始動口11または第2始動口12に入賞することに応じて、保留演出を行うことが可能である。保留演出は、特
図1保留または特
図2保留の数を遊技者に報知することが可能である。
【0195】
保留演出では、特
図1保留数が『0』のときに遊技球が第1始動口11に入賞すると、特図変動演出が開始され、例えば、
図26(B)に示すように、当該アイコン表示領域50eに当該アイコンTAが表示される。そして、特図変動演出中に更に2個の遊技球が第1始動口11に入賞すると、
図26(C)に示すように、保留アイコン表示領域50dの第1表示領域50d1と第2表示領域50d2とに保留アイコンHAが表示され、特
図1保留数が『2』であることが遊技者に報知される。その後、特図変動演出が終了し、新たな特図変動演出が開始されると、
図26(D)に示すように、保留アイコン表示領域50dの第1表示領域50d1に表示されていた保留アイコンHAが、当該アイコン表示領域50eに移動して当該アイコンTAとして表示され、保留アイコン表示領域50dの第2表示領域50d2に表示されていた保留アイコンHAが、第1表示領域50d1に移動して表示され、特
図1保留数が『1』であることが遊技者に報知される。
【0196】
パチンコ遊技機PY1では、第1始動口11への遊技球の入賞に基づいて取得された特
図1関係乱数または第2始動口12への遊技球の入賞に基づいて取得された特
図2関係乱数のうちの特別図柄乱数と、現在の遊技状態に応じた大当たり判定テーブルとを用いて、大当たり、または、ハズレの何れであるかを判定する大当たり判定が行われる。大当たり判定後、その判定結果は、特図表示器81にて所定の図柄が表示されることで報知される。そして、当該アイコンTAおよび保留アイコンHAはともに、第1始動口11または第2始動口12への遊技球の入賞に基づいて、大当たり判定の権利が生じたことを示すことが可能なアイコンである。さらに、当該アイコンTAおよび保留アイコンHAはともに、大当たり判定の権利が生じた後、その大当たり判定の結果が報知される前であることを示すことが可能なアイコンである。
【0197】
4-4.予告演出
パチンコ遊技機PY1は、特図変動演出中の任意のタイミングで予告演出を行うことが可能である。予告演出は、画像表示装置50、スピーカ52、枠ランプ53、盤ランプ54、可動装置55,56,58、入力装置(通常ボタン40、特殊ボタン41)等を用いた演出であり、大当たり判定の結果や特図変動パターン判定の結果を示唆することが可能である。
【0198】
4-4-1.可動体演出
パチンコ遊技機PY1は、予告演出として、可動装置55,56,58を用いた可動体演出を行うことが可能である。可動体演出は、可動装置55,56,58を作動させる演出であり、遊技者に大当たりを期待させるための演出として機能する。
【0199】
可動体演出では、例えば、NリーチからSPリーチに発展する際に、
図27(A)に示すように、盤上可動装置55および盤下可動装置56が作動し、盤上可動体55kと盤下可動体56kとが、表示部50a上に重なるように移動して、SPリーチに発展することが示唆される。このとき、表示部50aの盤上可動体55kおよび盤下可動体56kと重なっていないスペースにはエフェクト画像が表示される。その後、
図27(B)に示すように、盤上可動体55kと盤下可動体56kとが、通常の待機状態(初期位置)に戻ってSPリーチに発展する。この可動体演出は、発展演出の一例である。なお、可動体演出については、SPリーチへの発展示唆に限られず、適宜に変更または追加することが可能である。また、可動体演出における可動装置の作動内容は、適宜に変更または追加することが可能である。また、演出が発展しない場合(例えばNハズレ変動の場合)に、所謂ガセ演出として、可動体演出を行うようにすることも可能である。
【0200】
4-4-2.操作演出
パチンコ遊技機PY1は、予告演出として、通常ボタン40や特殊ボタン41を用いた操作演出を行うことが可能である。操作演出は、遊技者に通常ボタン40や特殊ボタン41を操作させる演出であり、遊技者に大当たりを期待させるための演出として機能する。
【0201】
操作演出では、例えば、SPリーチにおいて、入力装置(特殊ボタン41)の押下操作が有効な期間(操作有効期間)が発生し、この操作有効期間の発生に伴って、
図28(A)に示すように、特殊ボタン41の操作を促す演出(操作促進演出)が行われる。操作促進演出において、表示部50aに、操作促進画像G3が表示される。操作促進画像G3は、特殊ボタン41を模した画像(特殊ボタン画像G31)と、特殊ボタン41の操作態様(すなわち、押下操作)を表す画像(押下操作画像G32)と、操作有効期間の残り時間を表す画像(操作有効期間残り時間画像G33)と、を含む。なお、操作有効期間残り時間画像G33は、おおむね曲線状のプログレスバーからなり、時間の経過に伴って、遊技者が操作有効期間の残り時間を容易に理解できるように変化する。その後、操作有効期間において特殊ボタン41が押下操作されることに応じて、または、操作有効期間において特殊ボタン41が操作されることなく操作有効期間が経過した後、
図28(B)に示すように、盤上可動装置55が作動し、盤上可動体55kが表示部50a上に重なるように移動して、大当たり期待度が示唆される。なお、操作演出については、盤上可動装置55の作動に限られず、適宜に変更または追加することが可能である。また、特殊ボタン41や通常ボタン40といった操作手段(操作部)の操作を促す操作促進演出を、操作指示演出ともいうことがある。
【0202】
4-4-3.先読み演出
パチンコ遊技機PY1は、予告演出として、特図抽選が行われていない特
図1保留または特
図2保留に対する先読み演出を行うことが可能である。先読み演出は、特
図1保留または特
図2保留に対する特図抽選の抽選結果を事前に示唆するための演出として機能する。
【0203】
先読み演出では、例えば、特
図1保留に対する先読み判定の結果が「大当たり」の場合、
図26(C)に示すように、保留アイコン表示領域50dに通常は「〇」で表示される保留アイコンHAを「☆」で表示することがある。また、先読み判定の結果が「ハズレ」の場合に、所謂ガセ演出として、保留アイコンHAを「☆」で表示することがある。このように、保留アイコンHAや当該アイコンTAを通常態様(本形態では「〇」)ではなく特殊態様(本形態では「☆」)で表示する先読み演出を、保留変化演出と言う。また、保留アイコンHAや当該アイコンTAを総称して、保留表示と言う。本形態では、保留表示として、保留アイコンHAと当該アイコンTAとを表示するが、保留アイコンHAだけを表示し当該アイコンTAを表示しない構成としてもよい。また、保留変化演出において特殊態様の保留表示を行うタイミングは、その保留表示の契機となる始動入賞の発生時であってもよいし、その保留表示のシフト表示時(保留アイコンHAの表示領域を変更したとき)であってもよいし、その保留表示に対応する特図変動の実行中(当該アイコンTAとして表示しているとき)であってもよい。また、保留表示の特殊態様には複数の種類があってもよい。
【0204】
なお、先読み演出は、特
図1保留および特
図2保留の両方または一方に対して行うことが可能である。また、先読み演出は、保留アイコンHAの表示態様の変化に限られず、適宜に変更または追加することが可能である。保留変化演出以外の先読み演出としては、例えば、所謂連続予告などが挙げられる。
【0205】
5.遊技制御用マイコン101による遊技の制御
次に
図29~
図30に基づいて遊技制御用マイコン101による遊技の制御について説明する。なお、以下において説明する遊技制御用マイコン101による遊技の制御において登場するカウンタ、タイマ、バッファ等は、遊技用RAM104に設けられている。
【0206】
[1.主制御メイン処理]
主制御基板100に備えられた遊技制御用マイコン101は、パチンコ遊技機PY1が電源投入されると、遊技用ROM103から
図29に示した主制御メイン処理のプログラムを読み出して実行する。同図に示すように、主制御メイン処理では、まず、電源投入時処理(S001)を行う。電源投入時処理では、遊技用RAM104へのアクセスの許可設定、遊技用CPU102の設定、SIO、PIO、CTC(割り込み時間の管理のための回路)の設定等が行われる。
【0207】
電源投入時処理に次いで、割り込みを禁止し(S002)、普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S003)を実行する。この普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S003)では、
図14(A)および
図14(B)に示した種々の乱数のカウンタ値を1加算して更新する。各乱数のカウンタ値は上限値に達すると「0」に戻って再び加算される。なお各乱数のカウンタの初期値は「0」以外の値であってもよく、ランダムに変更されるものであってもよい。また各乱数のうちの少なくとも一部は、カウンタIC等からなる公知の乱数生成回路を利用して生成される所謂ハードウェア乱数であってもよい。
【0208】
普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S003)が終了すると、割り込みを許可する(S004)。割り込み許可中は、メイン側タイマ割り込み処理(S005)の実行が可能となる。メイン側タイマ割り込み処理(S005)は、例えば4msec周期で遊技用CPU102に繰り返し入力される割り込みパルスに基づいて実行される。すなわち、メイン側タイマ割り込み処理(S005)は4msec周期で実行される。そして、メイン側タイマ割り込み処理(S005)が終了してから、次にメイン側タイマ割り込み処理(S005)が開始されるまでの間に、普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S003)による種々の乱数のカウンタ値の更新処理が繰り返し実行される。なお、割り込み禁止状態のときに遊技用CPU102に割り込みパルスが入力された場合は、メイン側タイマ割り込み処理(S005)はすぐには開始されず、割り込み許可(S004)がされてから開始される。
【0209】
[2.メイン側タイマ割り込み処理]
次に、メイン側タイマ割り込み処理(S005)について説明する。
図30に示すように、メイン側タイマ割り込み処理(S005)では、まず出力処理(S101)を実行する。出力処理(S101)では、以下に説明する各処理において主制御基板100の遊技用RAM104に設けられた出力バッファにセットされたコマンド等を、サブ制御基板120や払出制御基板170等に出力する。
【0210】
出力処理(S101)に次いで行われる入力処理(S102)では、遊技制御用マイコン101は、例えば、下皿35の満杯を検出する下皿満杯スイッチからの検出信号を取り込み、下皿満杯データとして遊技用RAM104の出力バッファに記憶する。
【0211】
次に行われる普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S103)は、
図29の主制御メイン処理で行う普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S003)と同じである。即ち、
図14(A)および
図14(B)に示した各種乱数のカウンタ値の更新処理は、メイン側タイマ割り込み処理(S005)の実行期間と、それ以外の期間(メイン側タイマ割り込み処理(S005)の終了後、次のメイン側タイマ割り込み処理(S005)が開始されるまでの期間)との両方で行われている。
【0212】
普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S103)に次いで、遊技制御用マイコン101は、センサ検出処理(S104)を行い、続いて普通動作処理(S105)を行い、さらに特別動作処理(S106)を行う。センサ検出処理、普通動作処理および特別動作処理については後述する。
【0213】
特別動作処理(S106)に次いで、振分装置16Dを制御するための振分装置制御処理を行う(S107)。なお、振分装置16Dを作動させるのは、第2大入賞装置15Dを用いた特別遊技を行う場合である。但し、振分装置16Dを、電源投入から常に一定動作で作動させてもよい。
【0214】
次に、遊技制御用マイコン101は、その他の処理(S108)を実行して、メイン側タイマ割り込み処理(S005)を終了する。その他の処理(S108)としては、電源が断たれる際の電源断監視処理、遊技用RAM104に設けられているタイマの更新などが行われる。また、その他の処理(S108)として、遊技者に賞球を払い出す払出制御処理が行われる。払出制御処理では、各入賞口への遊技球の入賞に応じて、賞球要求信号を払出制御基板170に送信する。つまり、払出制御基板170は、賞球要求信号に基づいて、賞球を払い出す。
【0215】
そして、遊技制御用マイコン101は、次に遊技用CPU102に割り込みパルスが入力されるまでは主制御メイン処理のステップS002~S004の処理を繰り返し実行し(
図29参照)、割り込みパルスが入力されると(約4msec後)、再びメイン側タイマ割り込み処理(S005)を実行する。遊技制御用マイコン101は、再び実行されたメイン側タイマ割り込み処理(S005)の出力処理(S101)において、前回のメイン側タイマ割り込み処理(S005)にて遊技用RAM104の出力バッファにセットされたコマンド等を出力する。
【0216】
[2-1.センサ検出処理]
センサ検出処理(S104)では、一般入賞口センサ処理、ゲートセンサ処理、第2始動口センサ処理、第1始動口センサ処理、第1大入賞口センサ処理、第2大入賞口センサ処理、特定領域センサ処理を順次行う。そして、各処理において生成されたコマンドを遊技用RAM104の出力バッファにセットする。
【0217】
一般入賞口センサ処理では、一般入賞口センサ10aによって遊技球が検出されたか否かを判定する。また、当該処理の結果に応じて、一般入賞口センサ用コマンドを生成する。
【0218】
ゲートセンサ処理では、ゲートセンサ13aによって遊技球が検出されたか否かを判定する。遊技球が検出されたと判定されると、普通図柄乱数カウンタのカウンタ値が示す普通図柄乱数を取得し、取得した普通図柄乱数を、遊技用RAM104に設けられた普図保留記憶部106に記憶する。なお、普図保留記憶部106に普通図柄乱数が所定数(例えば4個)記憶されている場合には、新たに取得された普通図柄乱数は記憶されない。また、当該処理の結果に応じて、ゲートセンサ用コマンドを生成する。
【0219】
第2始動口センサ処理では、第2始動口センサ12aによって遊技球が検出されたか否かを判定する。遊技球が検出されたと判定されると、特別図柄乱数カウンタ、大当たり図柄種別乱数カウンタ、リーチ乱数カウンタ及び特図変動パターン乱数カウンタからなる特
図2関係乱数を取得し、取得した特
図2関係乱数を、遊技用RAM104に設けられた特
図2保留記憶部105bに記憶する。特
図2保留記憶部105bは、第1領域から第n領域まで(nは2以上の整数、例えば「4」)の複数の記憶領域があり、取得された特
図2関係乱数は、第1領域から順に記憶される。なお、第n領域まで特
図2関係乱数が記憶されている場合には、新たに取得された特
図2関係乱数は記憶されない。また、取得した特
図2関係乱数と第2先読み判定テーブルとを用いて第2先読み判定を行う。また、当該処理の結果に応じて、特
図2保留記憶部105bに記憶されている特
図2関係乱数の数(特
図2保留数)を表す特
図2保留数コマンドおよび第2先読み判定の結果を表す第2始動入賞コマンドを含む第2始動口センサ用コマンドを生成する。
【0220】
第1始動口センサ処理では、第1始動口センサ11aによって遊技球が検出されたか否かを判定する。遊技球が検出されたと判定されると、特別図柄乱数カウンタ、大当たり図柄種別乱数カウンタ、リーチ乱数カウンタ及び特図変動パターン乱数カウンタからなる特
図1関係乱数を取得し、取得した特
図1関係乱数を、遊技用RAM104に設けられた特
図1保留記憶部105aに記憶する。特
図1保留記憶部105aは、第1領域から第n領域まで(nは2以上の整数、例えば「4」)の複数の記憶領域があり、取得された特
図1関係乱数は、第1領域から順に記憶される。なお、第n領域まで特
図1関係乱数が記憶されている場合には、新たに取得した特
図1関係乱数は記憶されない。また、取得した特
図1関係乱数と第1先読み判定テーブルとを用いて第1先読み判定を行う。また、当該処理の結果に応じて、特
図1保留記憶部105aに記憶されている特
図1関係乱数の数(特
図1保留数)を表す特
図1保留数コマンドおよび第1先読み判定の結果を表す第1始動入賞コマンドを含む第1始動口センサ用コマンドを生成する。
【0221】
第1大入賞口センサ処理では、第1大入賞口センサ14aによって遊技球が検出されたか否かを判定する。また、当該処理の結果に応じた第1大入賞口センサ用コマンドを生成する。
【0222】
第2大入賞口センサ処理では、第2大入賞口センサ15aによって遊技球が検出されたか否かを判定する。また、当該処理の結果に応じた第2大入賞口センサ用コマンドを生成する。
【0223】
特定領域センサ処理では、特定領域センサ16aによって遊技球が検出されたか否か判定する。また、当該処理の結果に応じて、特定領域センサ用コマンドを生成する。
【0224】
[2-2.普通動作処理]
普通動作処理(S105)では、普通図柄待機処理、普通図柄変動処理、普通図柄確定処理、補助遊技制御処理を順次行う。そして、各処理において生成されたコマンドを遊技用RAM104の出力バッファにセットする。
【0225】
普通図柄待機処理は、普図の可変表示および補助遊技が行われていない待機中に行われる処理である。普通図柄待機処理では、普図保留記憶部106に記憶された普通図柄乱数に基づいて当たり判定を行う。また、現在の遊技状態に基づいて普図変動パターン判定を行って普図変動パターンを決定する。そして、当たり判定および普図変動パターンの結果に関する情報を含む普図変動開始コマンドを生成する。それから、決定した普図変動パターンに対応付けられた普図変動時間に基づいて、普図の可変表示を普図表示器82に開始させる。
【0226】
普通図柄変動処理は、普図の可変表示中に行われる処理である。普通図柄変動処理では、実行中の普図の可変表示が開始してから普図変動時間が経過することに応じて、当たり判定結果に基づいて普図の停止表示を行う。そして、普図の可変表示の終了を示す普図変動停止コマンドを生成する。
【0227】
普通図柄確定処理は、普図が停止表示しているときに行われる処理である。普通図柄確定処理では、実行中の普図の停止表示が開始してから所定の停止時間(例えば、0.8秒)が経過することに応じて、停止表示している普図が当たり図柄であるか否かを判定する。当たり図柄が停止表示していれば、現在の遊技状態および補助遊技制御テーブルに基づいて補助遊技を開始させ、補助遊技の開始を示す補助遊技開始コマンドを生成する。
【0228】
補助遊技制御処理は、補助遊技が行われているときに行われる処理である。補助遊技制御処理では、現在の遊技状態および補助遊技制御テーブルに基づいて補助遊技を制御する。また、当該処理の結果に応じて、補助遊技制御用コマンドを生成する。
【0229】
[2-3.特別動作処理]
特別動作処理(S106)では、特別図柄待機処理、特別図柄変動処理、特別図柄確定処理、大当たり遊技制御処理、遊技状態設定処理を順次行う。そして、各処理において生成されたコマンドを遊技用RAM104の出力バッファにセットする。
【0230】
[2-3-1.特別図柄待機処理]
特別図柄待機処理は、大当たり遊技状態ではなく、特図の可変表示が行われていない待機中に行われる処理である。特別図柄待機処理では、特
図2保留記憶部105bに記憶されている特
図2関係乱数に基づいて、特
図2判定処理及び特
図2変動パターン判定処理を行うとともに、特
図2保留記憶部シフト処理を行う。また、特
図1保留記憶部105aに記憶されている特
図1関係乱数に基づいて、特
図1判定処理及び特
図1変動パターン判定処理を行うとともに、特
図1保留記憶部シフト処理を行う。
【0231】
特
図2判定処理では、特
図2保留記憶部105bの第1領域に記憶されていた特
図2関係乱数のうちの特別図柄乱数と、現在の遊技状態に応じた大当たり判定テーブルとを用いて、大当たり、または、ハズレの何れであるかを判定する大当たり判定を行う。大当たり判定の結果が大当たりであれば、特
図2関係乱数のうちの大当たり図柄種別乱数と、特
図2大当たり図柄種別判定テーブルとを用いて、大当たり図柄の種別を判定する大当たり図柄種別判定を行う。そして、判定された大当たり図柄種別を表す図柄指定コマンドを生成する。また、大当たり判定の結果がハズレであれば、ハズレを表す図柄指定コマンドを生成する。なお、ハズレの種別を複数設け、大当たり判定の結果がハズレであれば、ハズレ図柄の種別を判定するようにしてもよい。この場合、図柄指定コマンドにはハズレ図柄の種別を示す情報を含ませるとよい。
【0232】
特
図2変動パターン判定処理は、特
図2判定処理の後に行われる処理である。特
図2変動パターン判定処理では、特
図2保留記憶部105bの第1領域に記憶されていた特
図2関係乱数のうちの特図変動パターン乱数と、現在の遊技状態に応じた特
図2変動パターン判定テーブルとを用いて、特
図2変動パターンを判定する。大当たり判定の結果がハズレであった場合の特
図2変動パターン判定処理では、リーチ判定がなされ、そのリーチ判定の結果に応じて、特
図2変動パターンが判定される。なお、特
図2変動パターンの判定は、特
図2保留記憶部105bに記憶されている特
図2関係乱数の数(特
図2保留数)にも関連付けられている。そして、判定された特
図2変動パターンを表す特
図2変動開始コマンドを生成する。特
図2変動開始コマンドには、特
図2であることに関する情報、大当たり判定の結果に関する情報、大当たり図柄種別判定の結果に関する情報、リーチ判定の結果に関する情報、特
図2変動パターンに対応付けられた特図変動時間の情報などが含まれる。そして、判定された特
図2変動パターンに対応付けられた特図変動時間に基づいて特
図2表示器81bに特
図2の可変表示を開始させる。
【0233】
特
図2保留記憶部シフト処理は、特
図2判定処理及び特
図2変動パターン判定処理が行われる際に行われる処理である。特
図2保留記憶部シフト処理では、特
図2保留記憶部105bに記憶されていた特
図2関係乱数を第1領域側に一つシフトするとともに、第1領域の特
図2関係乱数を特
図2保留記憶部105bからクリアする。このようにして、特
図2関係乱数は取得された順に消化される。そして、当該処理後の特
図2保留数を表す特
図2保留数コマンド生成する。
【0234】
特
図1判定処理では、特
図1保留記憶部105aの第1領域に記憶されていた特
図1関係乱数のうちの特別図柄乱数と、現在の遊技状態に応じた大当たり判定テーブルとを用いて、大当たり、または、ハズレの何れであるかを判定する大当たり判定を行う。大当たり判定の結果が大当たりであれば、特
図1関係乱数のうちの大当たり図柄種別乱数と、特
図1大当たり図柄種別判定テーブルとを用いて、大当たり図柄の種別を判定する大当たり図柄種別判定を行う。そして、判定された大当たり図柄種別を表す図柄指定コマンドを生成する。また、大当たり判定の結果がハズレであれば、ハズレを表す図柄指定コマンドを生成する。なお、ハズレの種別を複数設け、大当たり判定の結果がハズレであれば、ハズレ図柄の種別を判定するようにしてもよい。この場合、図柄指定コマンドにはハズレ図柄の種別を示す情報を含ませるとよい。
【0235】
特
図1変動パターン判定処理は、特
図1判定処理の後に行われる処理である。特
図1変動パターン判定処理では、特
図1保留記憶部105aの第1領域に記憶されていた特
図1関係乱数のうちの特図変動パターン乱数と、現在の遊技状態に応じた特
図1変動パターン判定テーブルとを用いて、特
図1変動パターンを判定する。大当たり判定の結果がハズレであった場合の特
図1変動パターン判定処理では、リーチ判定がなされ、そのリーチ判定の結果に応じて、特
図1変動パターンが判定される。なお、特
図1変動パターンの判定は、特
図1保留記憶部105aに記憶されている特
図1関係乱数の数(特
図1保留数)にも関連付けられている。そして、判定された特
図1変動パターンを表す特
図1変動開始コマンドを生成する。特
図1変動開始コマンドには、特
図1であることに関する情報、大当たり判定の結果に関する情報、大当たり図柄種別判定の結果に関する情報、リーチ判定の結果に関する情報、特
図1変動パターンに対応付けられた特図変動時間の情報などが含まれる。そして、判定された特
図1変動パターンに対応付けられた特図変動時間に基づいて特
図1表示器81aに特
図1の可変表示を開始させる。
【0236】
特
図1保留記憶部シフト処理は、特
図1判定処理及び特
図1変動パターン判定処理が行われる際に行われる処理である。特
図1保留記憶部シフト処理では、特
図1保留記憶部105aに記憶されていた特
図1関係乱数を第1領域側に一つシフトするとともに、第1領域の特
図1関係乱数を特
図1保留記憶部105aからクリアする。このようにして、特
図1関係乱数は取得された順に消化される。そして、当該処理後の特
図1保留数を表す特
図1保留数コマンド生成する。
【0237】
なお、特
図2保留数および特
図1保留数の何れも存在する場合、特
図2判定処理が優先して行われ、特
図2の可変表示と特
図1の可変表示とが並行して行われないようになっている。つまり、遊技制御用マイコン101は、特
図2保留がある場合には、特
図1保留があっても特
図1判定処理を行うことはない。なお、特
図2の可変表示と特
図1の可変表示とが入賞順に行われるように構成したり、同時に行われるように構成したりしてもよい。
【0238】
[2-3-2.特別図柄変動処理]
特別図柄変動処理は、特図の可変表示中に行われる処理である。特別図柄変動処理では、特図変動時間が経過することに応じて、特図表示器81に、特図の可変表示を終了させるとともに、大当たり判定の結果に応じた特図を停止表示させる。大当たり判定の結果が大当たりであれば、大当たりを示す大当たり図柄を停止表示させ、大当たり判定の結果がハズレであれば、ハズレを示すハズレ図柄を停止表示させる。そして、特図の可変表示の終了を示す特図変動停止コマンドを生成する。
【0239】
[2-3-3.特別図柄確定処理]
特別図柄確定処理は、特図が停止表示しているときに行われる処理である。特別図柄確定処理では、現在停止表示している特図が大当たり図柄である場合には、大当たり遊技状態に移行させる。そして、大当たり遊技の開始を示すオープニングコマンドを生成する。オープニングコマンドには、大当たり図柄種別判定の結果に関する情報が含まれる。また、現在停止表示している特図がハズレ図柄であり且つ高確率状態を終了させる場合には、通常確率状態を設定する。そして、通常確率状態への移行を示す高確率終了コマンドを生成する。また、現在停止表示している特図がハズレ図柄であり且つ時短状態を終了させる場合には、非時短状態を設定する。そして、非時短状態への移行を示す時短終了コマンドを生成する。なお、現在停止表示している特図がハズレ図柄であり且つ特
図2保留数および特
図1保留数が「0」の場合には、パチンコ遊技機PY1が待機状態であることを示す客待ちコマンドを生成する。
【0240】
[2-3-4.大当たり遊技制御処理]
大当たり遊技制御処理は、大当たり遊技状態において行われる処理である。大当たり遊技制御処理では、大当たり遊技制御テーブルに従って、大当たり遊技を行う。大当たり遊技状態への移行後、オープニング時間または閉鎖時間の経過に応じて、各ラウンド遊技を開始する。そして、ラウンド遊技の開始を示すラウンド遊技コマンドを生成する。また、最終のラウンド遊技を終了させることに応じて、エンディングを開始する。そして、大当たり遊技の終了を示すエンディングコマンドを生成する。エンディングコマンドには、大当たり図柄種別判定の結果に関する情報が含まれる。
【0241】
[2-3-5.遊技状態設定処理]
遊技状態設定処理は、大当たり遊技状態が終了する際に行われる処理である。遊技状態設定処理では、通常確率状態から高確率状態に変更する場合は、大当たり遊技状態の終了の際に高確率状態を設定する。高確率状態の継続期間を制限する場合には、高確率状態の継続期間(例えば、大当たりに当選することなく高確率状態が継続できる特図の可変表示の回数)も併せて設定する。そして、高確率状態の設定を示す高確率設定コマンドを生成する。また、非時短状態から時短状態に変更する場合は、大当たり遊技状態の終了の際に時短状態を設定する。時短状態の継続期間を制限する場合には、時短状態の継続期間(例えば、大当たりに当選することなく時短状態が継続できる特図の可変表示の回数)も併せて設定する。そして、時短状態の設定を示す時短設定コマンドを生成する。
【0242】
なお、遊技制御用マイコン101が各処理において生成するコマンドは、適宜に追加または変更することが可能である。
【0243】
6.演出制御用マイコン121による演出の制御
次に、
図31~
図34に基づいて演出制御用マイコン121による演出の制御について説明する。なお、以下の演出制御用マイコン121による演出の制御の説明において登場するカウンタ、タイマ、フラグ、バッファ等は、演出用RAM124に設けられている。
【0244】
[1.サブ制御メイン処理]
サブ制御基板120に備えられた演出制御用マイコン121は、パチンコ遊技機PY1が電源投入されると、
図31に示したサブ制御メイン処理のプログラムを演出用ROM123から読み出して実行する。同図に示すように、サブ制御メイン処理では、最初に、電源投入に応じた電源投入時処理を行う(S4001)。電源投入時処理では、例えば、演出用CPU122の設定、SIO、PIO、CTC(割り込み時間の管理のための回路)等の設定等を行う。
【0245】
次に、割り込みを禁止し(S4002)、乱数更新処理を実行する(S4003)。乱数更新処理(S4003)では、種々の演出に関する判定を行うための種々の演出判定用乱数カウンタの値を更新する。種々の演出についての演出判定用乱数カウンタの更新方法は、一例として、前述の主制御基板100が行う乱数更新処理と同様の方法をとることができる。更新に際して乱数値を1ずつ加算するのではなく、2ずつ加算するなどしてもよい。これは、前述の主制御基板100が行う乱数更新処理においても同様である。
【0246】
乱数更新処理が終了すると、コマンド送信処理を実行する(S4004)。コマンド送信処理では、サブ制御基板120の演出用RAM124内の出力バッファに格納されている各種のコマンドを、画像制御基板140に送信する。コマンドを受信した画像制御基板140は、受信したコマンドに従って、表示部50aに画像を表示する(画像による種々の演出を実行する)。なお、サブ制御基板120は、画像制御基板140によって行われる種々の演出とともに、音声制御回路161を介してスピーカ52から音声を出力させたり(音声による種々の音演出を実行したり)、ランプ制御回路151を介して枠ランプ53、および盤ランプ54を発光させたり(発光による種々の発光演出を実行したり)、可動装置55,56,58を作動させたり(動作による種々の可動体演出を実行したり)する。このようにして、各種の演出(特図変動演出、保留演出、操作演出、先読み演出、その他の予告演出、大当たり遊技演出、客待ち演出、演出モードの制御など)が実現される。
【0247】
演出制御用マイコン121は続いて、割り込みを許可する(S4005)。以降、ステップS4002~ステップS4005をループさせる。割り込み許可中においては、受信割り込み処理(S4010)、1msタイマ割り込み処理(S4011)、および10msタイマ割り込み処理(S4012)の実行が可能となる。
【0248】
受信割り込み処理(S4010)は、主制御基板100から送られた各種のコマンドが演出制御用マイコン121に入力される度に実行される。受信割り込み処理(S4010)では、演出制御用マイコン121は主制御基板100の出力処理(S101)により送信されてきて受信した各種のコマンドを演出用RAM124の受信バッファに格納する。この受信割り込み処理は、他の割り込み処理(S4011、S4012)に優先して実行される。
【0249】
[2.1msタイマ割り込み処理]
1msタイマ割り込み処理(S4011)は、サブ制御基板120に1msec周期の割り込みパルスが入力される度に実行される。1msタイマ割り込み処理(S4011)では、
図32に示すように、入力処理(S4101)、発光データ出力処理(S4102)、後述する駆動制御処理(S4103)、ウォッチドッグタイマ処理(S4104)を順次行う。
【0250】
入力処理では、通常ボタン検出スイッチ40aや特殊ボタン検出スイッチ41aなどの遊技者が操作可能な操作部に対する操作を検出し、検出結果に応じてコマンドをセットしたり演出用データを作成したりする。発光データ出力処理では、入力処理や後述する演出データ作成処理等で作成された演出用データに基づいて、画像による演出等に合うタイミングなどで枠ランプ53、および盤ランプ54などのランプを発光させるべく、発光データをランプ制御回路151に出力する。つまり、演出制御用マイコン121は、発光データに従って枠ランプ53、および盤ランプ54などを所定の発光態様で発光させる。ウォッチドッグタイマ処理では、ウォッチドッグタイマのリセット設定を行う。
【0251】
[2-1.駆動制御処理]
駆動制御処理では、入力処理や後述する演出データ作成処理等で作成された演出用データに基づいて、所定のタイミングで可動装置55,56などの可動装置を動作させる可動体演出を行うべく、駆動データを出力する。つまり、演出制御用マイコン121は、駆動データに従って、可動装置55,56などを所定の動作態様で動作させる可動体演出を行う。
【0252】
図33に示すように、駆動制御処理(S4103)ではまず、盤上可動装置駆動データが演出用RAM124の所定の記憶領域にセットされているか否かを判定する(S5001)。盤上可動装置駆動データは、盤上可動体55kを下降または上昇させるための動作パターンデータである。本形態では、例えば、可動体演出や操作演出を伴う特定の変動演出パターンが選択された場合に、所定の演出タイミングで盤上可動装置駆動データがセットされるようになっている。盤上可動装置駆動データがセットされていれば(S5001でYES)、盤上可動装置駆動データに従って盤上駆動モータ55mを駆動させるための制御処理(シリアルポート139からシリアルデータやクロック信号を出力する処理)を行う(S5002)。一方、盤上可動装置駆動データがセットされていなければ(S5001でNO)、ステップS5003に進む。
【0253】
ステップS5003では、盤下可動装置駆動データが演出用RAM124の所定の記憶領域にセットされているか否かを判定する。盤下可動装置駆動データは、盤下可動体56kを上昇または下降させるための動作パターンデータである。本形態では、例えば、可動体演出を伴う特定の変動演出パターンが選択された場合に、所定の演出タイミングで盤下可動装置駆動データがセットされるようになっている。盤下可動装置駆動データがセットされていれば(S5003でYES)、盤下可動装置駆動データに従って盤下駆動モータ56mを駆動させるための制御処理(シリアルポート139からシリアルデータやクロック信号を出力する処理)を行う(S5004)。一方、盤下可動装置駆動データがセットされていなければ(S5003でNO)、ステップS5005に進む。
【0254】
ステップS5005では、その他の処理として例えば、枠駆動モータ58mの駆動を制御するための処理を実行したり、各可動装置の駆動が終了した後に演出用RAM124にセットされている駆動データをクリアする。そして駆動制御処理(S4103)を終える。
【0255】
[3.10msタイマ割り込み処理]
10msタイマ割り込み処理(S4012)は、サブ制御基板120に10msec周期の割り込みパルスが入力される度に実行される。10msタイマ割り込み処理(S4012)では、
図34に示すように、受信コマンド解析処理(S4201)、演出タイマ更新処理(S4202)、音声制御処理(S4203)、演出用データ作成処理(S4204)を順次行う。
【0256】
受信コマンド解析処理では、受信割り込み処理(S4010)によって演出用RAM124の受信バッファに格納されたコマンドを解析し、そのコマンドに応じた処理(例えば演出の選択や演出モードの設定、コマンドのセット等)を行う。演出タイマ更新処理では、各演出に関する時間を計測するためのタイマを更新する。例えば、演出タイマ更新処理では、通常ボタン40や特殊ボタン41といった操作部の操作有効期間の開始タイミングや終了タイミングを計測する。音声制御処理では、入力処理や受信コマンド解析処理の処理結果に基づいて、音声データ(スピーカ52からの音声の出力を制御するデータ)の作成と音声制御回路161への出力が行われる。演出用データ作成処理では、受信コマンド解析処理の処理結果に基づいて、演出用データの作成が行われる。
【0257】
ここで、演出制御用マイコン121が遊技制御用マイコン101からコマンドを受信した場合の処理の一例を説明する。演出制御用マイコン121が受信するコマンドは、特図変動開始コマンド(特
図1変動開始コマンド又は特
図2変動開始コマンド)とする。演出制御用マイコン121は、受信コマンド解析処理(S4201)において、特図変動開始コマンドを受信していると判定した場合、変動開始コマンド受信時処理として、そのコマンドが示す特図変動パターンに基づいて、特図変動演出の演出パターン(サブ変動パターン)を選択し、そのサブ変動パターンの情報をセットするとともに、そのサブ変動パターンの情報を含む変動演出開始コマンドを出力バッファにセットする。例えば、特図変動開始コマンドが示す特図変動パターンがSP変動(SP大当たり変動やSPハズレ変動)である場合、SPリーチを行うサブ変動パターンを選択し、そのサブ変動パターンに対応する変動演出開始コマンドを出力バッファにセットする。その後、各処理(コマンド送信処理(S4004)、発光データ出力処理(S4102)、駆動制御処理(S4103)、音声制御処理(S4203)など)が実行されることで、選択したサブ変動パターンに対応する特図変動演出が実現される。なお、このような演出の実現に関する処理の流れは、大当たり遊技演出や客待ち演出、先読み演出、所謂当該変動に伴う予告演出などの他の演出についても基本的には同じである。
【0258】
7.モータの出力トルクの制御
ここで、本形態のパチンコ遊技機PY1では、前述したように、演出制御用マイコン121は、盤上駆動モータ55m、盤下駆動モータ56mへ供給する電流の電流値を制御することが可能である。そしてこれにより、盤上駆動モータ55m、盤下駆動モータ56mの出力トルクを制御することが可能である。
【0259】
図35には、所定の演出を行う際の盤上駆動モータ55mの出力トルクの例を示している。盤上駆動モータ55mの出力トルクを、太い実線により示している。また、盤上駆動モータ55mの必要トルクを、細い実線により示している。モータの必要トルクは、駆動対象となる可動部を動作させるのに必要な、モータのモータ軸換算トルクである。必要トルクは、パチンコ遊技機PY1の設計段階で算出することが可能である。
図35に示すように、盤上駆動モータ55mの必要トルクは、時間とともに変化していることがわかる。モータの必要トルクは、一般的に、例えば、可動部の動作について加減速を行うときと、一定速度での動作を行うときとで異なる。また例えば、一定速度で動作を行う期間であっても、鉛直方向に対する可動部の移動方向が変化する場合には、可動部へ作用する重力の向きが異なることにより、モータの必要トルクが異なるものとなることがある。
【0260】
図35の例において、盤上駆動モータ55mの必要トルクは、時間の経過とともに、必要トルクTNU1、TNU2、TNU3で変化している。具体的に、盤上駆動モータ55mの必要トルクは、時刻t2までは必要トルクTNU1、時刻t2から時刻t4までは必要トルクTNU2、時刻t4から時刻t5までは必要トルクTNU3、時刻t5から時刻t9までは必要トルクTNU2、時刻t9からは必要トルクTNU1となっている。これに対し、盤上駆動モータ55mは、出力トルクが、時刻t1までは出力トルクTOU1、時刻t1から時刻t3までは出力トルクTOU2、時刻t3から時刻t6までは出力トルクTOU3、時刻t6から時刻t10までは出力トルクTOU2、時刻t10からは出力トルクTOU1となるように制御される。
【0261】
また
図35には、出力トルクについてそれぞれ、モータへの供給電流の電流値を、括弧を付して示している。盤上駆動モータ55mは、供給電流が電流値Imaxであるとき出力トルクTOU3で駆動され、供給電流が電流値I75であるとき出力トルクTOU2で駆動され、供給電流が電流値I40であるとき出力トルクTOU1で駆動される。つまり、盤上駆動モータ55mは、供給電流の電流値が高いほど、高い出力トルクで駆動される。また、盤上駆動モータ55mへの供給電流を電流値Imaxとするときには、基準供給電流値は第1基準供給電流値とされ、かつ、盤上駆動モータドライバIC11におけるスケーリングは100%とされる。盤上駆動モータ55mへの供給電流を電流値I75とするときには、基準供給電流値は第1基準供給電流値とされ、かつ、盤上駆動モータドライバIC11におけるスケーリングは75%とされる。盤上駆動モータ55mへの供給電流を電流値I40とするときには、基準供給電流値は第2基準供給電流値とされ、かつ、盤上駆動モータドライバIC11におけるスケーリングは50%とされる。このように、盤上駆動モータ55mは、基準供給電流値と盤上駆動モータドライバIC11におけるスケーリングとが適宜、制御されることで、出力トルクが制御される。
【0262】
また
図35には、盤上駆動モータ55mの必要トルクが最大となる盤上特定期間STU(時刻t4から時刻t5まで)と、盤上特定期間STU前の第1盤上非特定期間SNU1(時刻t4まで)と、盤上特定期間STU後の第2盤上非特定期間SNU2(時刻t5から)とを示している。そして、盤上特定期間STUにおいては、盤上駆動モータ55mの出力トルクを、必要トルクTNU3よりも高い出力トルクTOU3としている。第1盤上非特定期間SNU1と第2盤上非特定期間SNU2とにおける盤上駆動モータ55mの必要トルクは盤上特定期間STUよりも低いものであるが、この期間においてもそれぞれ、盤上駆動モータ55mの出力トルクは、必要トルクよりも高くされている。すなわち、盤上駆動モータ55mの出力トルクは、全期間において、必要トルクよりも高いものとされている。よって、盤上駆動モータ55mは、出力トルクが必要トルクに対して不足することなく、駆動対象の可動部である盤上可動体55kを動作させることが可能である。
【0263】
また、
図35に示すように、盤上駆動モータ55mは、必要トルクが上昇する際には、必要トルクが上昇するタイミングよりも前に、上昇後の必要トルクよりも高いトルクとなるように出力トルクが制御されている。具体的に、盤上駆動モータ55mは、第1盤上非特定期間SNU1から盤上特定期間STUとなる際には、盤上特定期間STUの開始時刻t4よりも前の時刻t3に、出力トルクTOU2から出力トルクTOU3に制御されている。必要トルクの上昇するタイミングに、出力トルクの上昇タイミングが間に合わない場合、出力トルクが不足し、脱調等が生じるなど適切に制御できなくなる可能性がある。これに対し、必要トルクが上昇するタイミングよりも前に、上昇後の必要トルクよりも高いトルクとなるように出力トルクを上昇させる制御を行うことで、必要トルクの上昇するタイミングに出力トルクが不足してしまうことを抑制可能である。よって、本形態では、盤上駆動モータ55mにより、盤上可動体55kを適切に動作させることが可能である。
【0264】
また、
図35に示すように、盤上駆動モータ55mは、必要トルクが低下する際には、必要トルクが低下するタイミングよりも後に、低下後の必要トルクよりも高いトルクとなるように出力トルクが制御されている。具体的に、盤上駆動モータ55mは、盤上特定期間STUから第2盤上非特定期間SNU2となる際には、第2盤上非特定期間SNU2の開始時刻t5よりも後の時刻t6に、出力トルクTOU3から出力トルクTOU2に制御されている。出力トルクの低下タイミングが必要トルクが低下するタイミングに先行してしまった場合、出力トルクが不足し、脱調等が生じるなど適切に制御できなくなる可能性がある。これに対し、必要トルクが低下するタイミングよりも後に、低下後の必要トルクよりも高いトルクとなるように出力トルクを低下させる制御を行うことで、必要トルクの低下するタイミングに出力トルクが不足してしまうことを抑制可能である。よって、本形態では、盤上駆動モータ55mにより、盤上可動体55kを適切に動作させることが可能である。
【0265】
また、盤上駆動モータ55mは、第1盤上非特定期間SNU1と第2盤上非特定期間SNU2とにおいて、出力トルクTOU1、TOU2に制御されることがある。この盤上駆動モータ55mの出力トルクTOU1、TOU2は、盤上特定期間STUにおける必要トルクTNU3よりも低いものである。すなわち、盤上駆動モータ55mの出力トルクは、必要トルクの最高値よりも低く制御されることがある。盤上駆動モータ55mへ供給される電流は、出力トルクが低いほど、低くなる傾向にある。よって、盤上駆動モータ55mを出力トルクTOU1、TOU2にて制御する期間においては、出力トルクTOU3にて制御する期間よりも、盤上駆動モータ55mへ供給する電流の電流値を低くすることができる。すなわち、盤上駆動モータ55mを出力トルクTOU1、TOU2にて制御する期間においては、出力トルクTOU3にて制御する期間よりも、消費電力を低くすることが可能である。
【0266】
また、
図35には、盤上駆動モータ55mの検査用トルクTKUを示している。検査用トルクTKUは、例えば、パチンコ遊技機PY1の製造工程において、盤上可動装置55の動作確認を行う動作確認検査の際に、盤上駆動モータ55mが駆動されるときの出力トルクである。盤上駆動モータ55mを検査用トルクTKUで駆動する場合、サブ制御基板120に検査基板125が接続される。そして、検査基板125から、サブ制御基板120に、盤上駆動モータ55mを検査用トルクTKUにて駆動することを指示する検査信号が送信される。これにより、盤上可動装置55の動作確認検査が行われる。また、検査用トルクTKUは、盤上駆動モータ55mの最高の出力トルクである出力トルクTOU3よりも低い。盤上可動装置55の動作確認検査では、盤上駆動モータ55mのその用途での最高の出力トルクTOU3よりもやや低い検査用トルクTKUにて盤上可動装置55を動作させることで、例えば、複雑な機構の盤上可動装置55の組み付け誤差等に起因する不良を発見すること等が行われる。これにより、動作確認検査をより安全かつ正確に行うことが可能である。
【0267】
また、盤上駆動モータ55mは、供給電流が電流値I80であるとき検査用トルクTKUで駆動される。盤上駆動モータ55mへの供給電流を電流値I80とするときには、基準供給電流値は第2基準供給電流値とされ、かつ、盤上駆動モータドライバIC11におけるスケーリングは100%とされる。すなわち、盤上駆動モータ55mは、盤上可動装置55の動作確認検査では、演出時の動作に係る最高の出力トルクTOU3で駆動する場合と、基準供給電流値が異なるものとされる。盤上駆動モータドライバIC11におけるスケーリングは同じである。これにより、演出時の動作に係る最高の出力トルクTOU3よりもやや低い、盤上可動装置55の動作確認検査に適した検査用トルクTKUで盤上駆動モータ55mを駆動可能である。
【0268】
次に、盤下駆動モータ56mの出力トルクについて説明する。盤下駆動モータ56mの出力トルクについても、盤上駆動モータ55mと同様に、必要トルクよりも高い範囲を維持しつつ、できるだけ低く制御される。
図36には、所定の演出を行う際の盤下駆動モータ56mの出力トルクの例を示している。盤下駆動モータ56mの出力トルクを太い破線により、盤下駆動モータ56mの必要トルクを細い破線により示している。
【0269】
図36の例において、盤下駆動モータ56mの必要トルクは、時刻t8までは必要トルクTNL1、時刻t8から時刻t12までは必要トルクTNL2、時刻t12から時刻t13までは必要トルクTNL3となっている。これに対し、盤下駆動モータ56mは、出力トルクが、時刻t7までは出力トルクTOL1、時刻t7から時刻t11までは出力トルクTOL2、時刻t11から時刻t14までは出力トルクTOL3となるように制御される。
【0270】
また、盤下駆動モータ56mは、供給電流が電流値I80であるとき出力トルクTOL3で駆動され、供給電流が電流値I60であるとき出力トルクTOL2で駆動され、供給電流が電流値I50であるとき出力トルクTOL1で駆動される。つまり、盤下駆動モータ56mも、供給電流の電流値が高いほど、高い出力トルクで駆動される。また、盤下駆動モータ56mへの供給電流を電流値I80とするときには、基準供給電流値は第2基準供給電流値とされ、かつ、盤下駆動モータドライバIC21におけるスケーリングは100%とされる。盤下駆動モータ56mへの供給電流を電流値I60とするときには、基準供給電流値は第2基準供給電流値とされ、かつ、盤下駆動モータドライバIC21におけるスケーリングは75%とされる。盤下駆動モータ56mへの供給電流を電流値I50とするときには、基準供給電流値は第1基準供給電流値とされ、かつ、盤下駆動モータドライバIC21におけるスケーリングは50%とされる。このように、盤下駆動モータ56mについても、基準供給電流値と盤下駆動モータドライバIC21におけるスケーリングとが適宜、制御されることで、出力トルクが制御される。
【0271】
盤下駆動モータ56mの必要トルクが最大となる盤下特定期間STL(時刻t12から時刻t13まで)においては、盤下駆動モータ56mの出力トルクを、必要トルクTNL3よりも高い出力トルクTOL3としている。さらに、盤下特定期間STL前の盤下非特定期間SNL(時刻t12まで)においても、盤下駆動モータ56mの出力トルクは、必要トルクよりも高くされている。すなわち、盤下駆動モータ56mの出力トルクは、全期間において、必要トルクよりも高いものとされている。よって、盤下駆動モータ56mは、出力トルクが必要トルクに対して不足することなく、駆動対象の可動部である盤下可動体56kを動作させることが可能である。
【0272】
また、
図36に示すように、盤下駆動モータ56mについて、必要トルクが上昇する際には、必要トルクが上昇するタイミングよりも前に、上昇後の必要トルクよりも高いトルクとなるように出力トルクを上昇させる制御が行われている。また、盤下駆動モータ56mについて、必要トルクが低下する際には、必要トルクが低下するタイミングよりも後に、低下後の必要トルクよりも高いトルクとなるように出力トルクを低下させる制御が行われている。よって、盤下駆動モータ56mにより、盤上可動体55kを適切に動作させることが可能である。
【0273】
また、盤下駆動モータ56mは、盤下駆動モータ56mは、盤下非特定期間SNLにおいて、出力トルクTOL1、TOL2に制御されることがある。この盤下駆動モータ56mの出力トルクTOL1、TOL2は、盤下特定期間STLにおける必要トルクTNL3よりも低いものである。すなわち、盤下駆動モータ56mの出力トルクは、必要トルクの最高値よりも低く制御されることがある。そして、盤下駆動モータ56mを出力トルクTOL1、TOL2にて制御する期間においては、出力トルクTOL3にて制御する期間よりも、消費電力を低くすることが可能である。
【0274】
また、
図36には、盤下駆動モータ56mの検査用トルクTKLを示している。盤下駆動モータ56mを検査用トルクTKLで駆動する検査においては、サブ制御基板120に検査基板125が接続され、検査基板125からサブ制御基板120に、盤下駆動モータ56mを検査用トルクTKLにて駆動することを指示する検査信号が送信される。これにより、盤下可動装置56の動作確認検査が行われる。
【0275】
また、盤下駆動モータ56mは、供給電流が電流値I75であるとき検査用トルクTKLで駆動される。盤下駆動モータ56mへの供給電流を電流値I75とするときには、基準供給電流値は第1基準供給電流値とされ、かつ、盤下駆動モータドライバIC21におけるスケーリングは75%とされる。すなわち、盤下駆動モータ56mは、盤下可動装置56の動作確認検査では、演出時の動作に係る最高の出力トルクTOL3で駆動する場合と、基準供給電流値が異なるものとされる。盤下駆動モータドライバIC21におけるスケーリングは同じである。これにより、演出時の動作に係る最高の出力トルクTOL3よりもやや低い、盤下可動装置56の動作確認検査に適した検査用トルクTKLで盤下駆動モータ56mを駆動可能である。
【0276】
ここで、本形態とは異なる従来のパチンコ遊技機において、盤上駆動モータ55m、盤下駆動モータ56mを制御する場合について説明する。従来のパチンコ遊技機においては、盤上駆動モータ55m、盤下駆動モータ56mへ供給する電流の電流値を変化させるような制御を行う構成が備えられていない。すなわち、出力トルクを変化させるような制御を行うことが可能な構成が備えられていない。具体的には、従来のパチンコ遊技機には、本形態における盤上電圧降下回路108U、盤下電圧降下回路108Lのように、盤上駆動モータドライバIC11、盤下駆動モータドライバIC21のVREFA端子及びVREFB端子に作用する電圧の大きさを変化させることが可能な回路は実装されていない。また、従来のパチンコ遊技機には、モータドライバとして、盤上駆動モータドライバIC11、盤下駆動モータドライバIC21のように、モータへ供給する電流の電流値として、基準供給電流値の所定の割合にて複数の値を設定できるようなものが用いられていない。そして、従来のパチンコ遊技機においては、盤上駆動モータ55m、盤下駆動モータ56mを駆動する場合、盤上駆動モータ55m、盤下駆動モータ56mの出力トルクが一定に維持される構成となっている。
【0277】
そのような従来のパチンコ遊技機において盤上駆動モータ55m、盤下駆動モータ56mを駆動する場合の出力トルクの例を、
図37に示す。
図37に示すように、従来のパチンコ遊技機では、盤上駆動モータ55m、盤下駆動モータ56mはともに、これらの必要トルクの変化に関係なく、常に一定の出力トルクTOにて駆動される。出力トルクTOは、盤上駆動モータ55mの最高の必要トルクTNU3および盤下駆動モータ56mの最高の必要トルクTNL3のいずれよりも高くされている。このため従来のパチンコ遊技機においても、盤上駆動モータ55m、盤下駆動モータ56mはともに、それぞれ駆動対象の可動部を動作させることが可能である。
【0278】
一方で、従来においては、盤上駆動モータ55mおよび盤下駆動モータ56mの駆動期間中、これらに常に大きな電流値の電流を供給し続けなければならない。つまり、盤上駆動モータ55m、盤下駆動モータ56mの駆動期間中、常に消費電力が高くなってしまう。ところで、パチンコ遊技機において使用可能な電力には上限がある。このため、例えば、盤上駆動モータ55m、盤下駆動モータ56mの駆動期間中には、他のモータやソレノイド、発光部を使用できない可能性等があった。すなわち、盤上駆動モータ55m、盤下駆動モータ56mを駆動するために、他のモータ等の駆動が制限を受けてしまう可能性が高かった。
【0279】
このような問題に対し、本形態のパチンコ遊技機PY1においては、盤上駆動モータ55m、盤下駆動モータ56mを、必要トルクに応じて、できるだけ消費電力を抑えつつ駆動可能である。よって、盤上駆動モータ55m、盤下駆動モータ56mの駆動期間中であっても、これらによる消費電力は常に高いわけではない。よって、盤上駆動モータ55m、盤下駆動モータ56mの駆動期間中であっても、他のモータ等の駆動が制限を受ける可能性を低くすることが可能である。これにより、例えば、盤上可動体55kおよび盤下可動体56kの動作に合わせて、さらに他の可動部の動作や、発光部の点灯等の演出を行うことが可能となり得る。よって、本形態では、可動部や発光部が複合的に演出を行う、興趣性の高い演出を行うことが可能となる。
【0280】
また、
図37には、従来のパチンコ遊技機において、盤上可動装置55および盤下可動装置56の動作確認検査の際の盤上駆動モータ55m、盤下駆動モータ56mの検査用トルクTKを示している。前述したように、従来のパチンコ遊技機においては、盤上駆動モータ55m、盤下駆動モータ56mの出力トルクは一定であり、複数の出力トルクの間で切り替える制御を行うことができない。このため、従来の構成であれば、検査用トルクTKで駆動するためには、盤上可動装置55、盤下可動装置56の動作確認検査の際に、盤上駆動モータ55m、盤下駆動モータ56mの出力トルクを検査用トルクTKとするため、別途、検査用の抵抗を用いること等が必要であった。すなわち、盤上可動装置55、盤下可動装置56の動作確認検査の際には、抵抗を有する検査用回路を取り付ける等の作業が必要であった。また、検査後には、取り付けた検査用回路を取り外す等の作業が必要であった。
【0281】
これに対し、本形態のパチンコ遊技機PY1では、特段の回路を取り付けることなく、制御によって出力トルクを調整可能である。よって、盤上可動装置55、盤下可動装置56の動作確認検査を、少ない作業工程で短時間で行うことが可能である。
【0282】
また、本形態のパチンコ遊技機PY1では、盤上駆動モータ55m、盤下駆動モータ56mの出力トルクを容易に制御可能であるため、上記の盤上可動装置55および盤下可動装置56の動作確認検査の他に、これとは異なる検査を行うことも可能である。本形態では、動作確認検査と異なる検査として、誤動作確認検査を行う例について説明する。誤動作確認検査は、盤上可動装置55および盤下可動装置56が予定されていないタイミングで動作しないことを確認する検査である。すなわち、パチンコ遊技機PY1の設置環境においては、意図せず、盤上駆動モータ55m、盤下駆動モータ56mに微電流が流れてしまうことがあり得る。このような微電流が意図せず流れてしまった場合には、盤上可動装置55および盤下可動装置56は、動作しないことが好ましい。そして、誤動作確認検査は、盤上可動装置55および盤下可動装置56が微電流によって動作してしまわないことを確認するための検査である。誤動作確認検査では、検査基板125より、動作確認検査とは異なる検査信号が演出制御用マイコン121に送信される。
【0283】
誤動作確認検査では、盤上駆動モータ55m、盤下駆動モータ56mに、出力トルクが、演出時における最低の必要トルクよりも低い誤動作検査用トルクとなるように電流を供給する。具体的に、盤上駆動モータ55mの誤動作確認検査では、盤上駆動モータ55mに電流値I20の電流が供給される。盤上駆動モータ55mへの供給電流を電流値I20とするときには、基準供給電流値は第2基準供給電流値とされ、かつ、盤上駆動モータドライバIC11におけるスケーリングは25%とされる。すなわち、盤上駆動モータ55mは、盤上可動装置55の誤動作確認検査では、動作確認検査の場合と、盤上駆動モータドライバIC11におけるスケーリングが異なるものとされる。基準供給電流値は、誤動作確認検査でも、動作確認検査と同じである。
【0284】
また、盤下駆動モータ56mの誤動作確認検査では、盤下駆動モータ56mに電流値I25の電流が供給される。盤下駆動モータ56mへの供給電流を電流値I25とするときには、基準供給電流値は第1基準供給電流値とされ、かつ、盤下駆動モータドライバIC21におけるスケーリングは25%とされる。すなわち、盤下駆動モータ56mは、盤下可動装置56の誤動作確認検査では、動作確認検査の場合と、盤下駆動モータドライバIC21におけるスケーリングが異なるものとされる。基準供給電流値は、誤動作確認検査でも、動作確認検査と同じである。これにより、誤動作確認検査を適切に行うことが可能である。
【0285】
このように、本形態では、盤上駆動モータ55mの出力トルクを、基準供給電流値と盤上駆動モータドライバIC11におけるスケーリングとにより複数のパターンで制御可能である。また、盤下駆動モータ56mの出力トルクを、基準供給電流値と盤下駆動モータドライバIC21におけるスケーリングとにより複数のパターンで制御可能である。よって、盤上可動装置55、盤下可動装置56を用いた演出の実行時には、消費電力を抑制可能である。また、各種の検査工程を、容易に短時間で行うことも可能である。
【0286】
また、本形態では、盤上駆動モータ55mの出力トルクおよび盤下駆動モータ56mの出力トルクを制御可能であることで、盤上可動装置55と盤下可動装置56とを同時に動作させる複合演出において、消費電力の抑制を図ることが可能である。
図38には、盤上可動装置55と盤下可動装置56とによる複合演出を行う際の盤上駆動モータ55mおよび盤下駆動モータ56mの出力トルクの例を示している。なお、
図38は、
図35に示す盤上駆動モータ55mの出力トルクの例と、
図36に示す盤下駆動モータ56mの出力トルクの例とを重ねたものである。
【0287】
図38に示すように、盤上駆動モータ55mの必要トルクが最高となる盤上特定期間STUと、盤下駆動モータ56mの必要トルクが最高となる盤下特定期間STLとは、タイミングがずらされている。つまり、盤上特定期間STUは盤下非特定期間SNL内の期間であり、盤下特定期間STLは第2盤上非特定期間SNU2内の期間である。これにより、盤上駆動モータ55mが出力トルクTUO3にて駆動されている期間内に、盤下駆動モータ56mは出力トルクTOL1にて駆動されている。また、盤下駆動モータ56mが出力トルクTOL3にて駆動されている期間内に、盤上駆動モータ55mは出力トルクTOU1で駆動されている。よって、盤上可動装置55と盤下可動装置56とが同時に動作する複合演出を行う期間においても、盤上駆動モータ55mの消費電力と盤下駆動モータ56mの消費電力との合計は、従来よりも低減することが可能である。これにより、盤上可動装置55と盤下可動装置56とが同時に動作する複合演出を、パチンコ遊技機PY1における消費電力の上限値に達しない範囲で行うことが可能である。また、盤上可動装置55と盤下可動装置56とが同時に動作する複合演出中に、さらに他の可動部の動作や、発光部の点灯等の演出を行うことが可能となり得る。
【0288】
8.実施形態の効果
以上詳細に説明したように、上記の実施形態に係るパチンコ遊技機PY1は、盤上駆動モータ55mを備えている。盤上駆動モータ55mは、盤上可動体55kを動作させる駆動力を発生することが可能なモータである。また、盤上駆動モータ55mを制御するため、演出制御用マイコン121、入出力IC2、盤上電圧降下回路108U、盤上駆動モータドライバIC11よりなるモータ制御手段を備えている。そして、モータ制御手段は、盤上駆動モータ55mに流れる電流の電流値を制御可能である。これにより、盤上駆動モータ55mの出力トルクを制御可能である。さらに、盤上駆動モータ55mの動作期間には、盤上特定期間STU、第1盤上非特定期間SNU1、第2盤上非特定期間SNU2がある。盤上特定期間STUは、盤上可動体55kの動作に必要な盤上駆動モータ55mの必要トルクが、必要トルクTNU3である期間である。第1盤上非特定期間SNU1、第2盤上非特定期間SNU2は、盤上可動体55kの動作に必要な盤上駆動モータ55mの必要トルクが、必要トルクTNU3よりも低い必要トルクTNU1、TNU2である期間である。そして、モータ制御手段(演出制御用マイコン121等)は、盤上駆動モータ55mの出力トルクを、盤上特定期間STUには、必要トルクTNU3よりも高い出力トルクTOU3とすることが可能である。第1盤上非特定期間SNU1、第2盤上非特定期間SNU2には、必要トルクTNU1、TNU2よりもそれぞれ高い出力トルクTOU1、TOU2とすることが可能である。これにより、パチンコ遊技機PY1では、盤上可動体55kを適切に動作させつつ、盤上駆動モータ55mの消費電力を抑制可能である。
【0289】
また、第1盤上非特定期間SNU1、第2盤上非特定期間SNU2における盤上駆動モータ55mの出力トルクTOU1、TOU2は、盤上特定期間STUにおける必要トルクTNU3よりも低いトルクである。よって、消費電力の抑制効果をより発揮可能である。
【0290】
また、モータ制御手段は、第1盤上非特定期間SNU1から盤上特定期間STUになる際には、盤上特定期間STUの開始時刻t4よりも前の時刻t3に、盤上駆動モータ55mの出力トルクを、出力トルクTOU2から出力トルクTOU3に制御することが可能である。よって、盤上特定期間STUの初期において盤上駆動モータ55mの出力トルクが必要トルクに対して不足してしまうことを抑制可能である。これにより、盤上可動体55kを適切に動作させることが可能である。
【0291】
また、モータ制御手段は、盤上特定期間STUから第2盤上非特定期間SNU2になる際には、第2盤上非特定期間SNU2の開始時刻t5よりも後の時刻t6に、盤上駆動モータ55mの出力トルクを、出力トルクTOU3から出力トルクTOU2に制御することが可能である。よって、盤上特定期間STUの終期において盤上駆動モータ55mの出力トルクが必要トルクに対して不足してしまうことを抑制可能である。これにより、盤上可動体55kを適切に動作させることが可能である。
【0292】
また、パチンコ遊技機PY1は、盤上可動体55kとは異なる可動部として、盤下可動体56kを有している。さらに、盤下可動体56kを動作させる駆動力を発生することが可能な盤下駆動モータ56mを有している。モータ制御手段は、盤下駆動モータ56mを、出力トルクTOL1で駆動する期間と、出力トルクTOL2で駆動する期間と、出力トルクTOL1、TOL2のどちらよりも高い出力トルクTOL3で駆動する期間とがある。そして、モータ制御手段は、盤上駆動モータ55mを出力トルクTOU1で駆動している期間内に、盤下駆動モータ56mを出力トルクTOL3で駆動することがある。これにより、盤上可動体55kと盤下可動体56kとを同時に動作させつつ、消費電力を抑制可能である。
【0293】
また、モータ制御手段の盤駆動中継基板108は、入出力IC2、盤上電圧降下回路108U、盤上駆動モータドライバIC11を有している。盤上電圧降下回路108Uは、入出力IC2が出力するVDU1制御信号及びVDU2制御信号により、盤上駆動モータドライバIC11のVREFA端子及びVREFB端子に作用する電圧の大きさを変化させることが可能である。これにより、盤上駆動モータドライバIC11が盤上駆動モータ55mへ供給可能な電流値の最大値としての基準値である基準供給電流値を、第1基準供給電流値と第2基準供給電流値との間で切り替え可能である。また、盤上駆動モータドライバIC11は、盤上駆動モータ55mに流れる電流の電流値として、基準供給電流値の所定の割合(100%、75%、50%、25%)にて複数(4パターン)の値を設定可能である。よって、盤上駆動モータ55mの出力トルクを適切に制御可能である。
【0294】
また、演出制御用マイコン121は、遊技制御用マイコン101からの信号(受信コマンド)が入力された際には、盤上駆動モータ55mを出力トルクTOU3にて駆動することがある。盤上駆動モータ55mを出力トルクTOU3にて駆動する場合、演出制御用マイコン121、入出力IC2、盤上電圧降下回路108U、盤上駆動モータドライバIC11は、盤上駆動モータ55mへ電流値Imaxの電流を供給することがある。盤上駆動モータ55mへ供給する電流の電流値を電流値Imaxとするとき、基準供給電流値は、第1基準供給電流値とされる。また、演出制御用マイコン121は、検査基板125が接続され、検査基板125から検査信号が入力された際には、盤上駆動モータ55mを検査用トルクTKUにて駆動することがある。盤上駆動モータ55mを検査用トルクTKUにて駆動する場合、演出制御用マイコン121、入出力IC2、盤上電圧降下回路108U、盤上駆動モータドライバIC11は、盤上駆動モータ55mへ電流値I80の電流を供給することがある。盤上駆動モータ55mへ供給する電流の電流値を電流値I80とするとき、基準供給電流値は、第2基準供給電流値とされる。よって、検査にて盤上駆動モータ55mを演出実行時の出力トルクと異なる出力トルクで駆動する場合にも、抵抗等を組み付けるような作業を行うことなく、短時間で容易に検査を行うことが可能である。
【0295】
また、検査として、動作確認検査と誤動作確認検査とを行うことが可能である。演出制御用マイコン121に動作確認検査の検査信号が入力された際には、演出制御用マイコン121、入出力IC2、盤上電圧降下回路108U、盤上駆動モータドライバIC11は、盤上駆動モータ55mへ電流値I80の電流を供給することがある。この盤上駆動モータ55mへ供給する電流の電流値を電流値I80とするとき、盤上駆動モータドライバIC11におけるスケーリングは100%とされる。演出制御用マイコン121に誤動作確認検査の検査信号が入力された際には、演出制御用マイコン121、入出力IC2、盤上電圧降下回路108U、盤上駆動モータドライバIC11は、盤上駆動モータ55mへ電流値I20の電流を供給することがある。この盤上駆動モータ55mへ供給する電流の電流値を電流値I20とするとき、盤上駆動モータドライバIC11におけるスケーリングは25%とされる。よって、複数の検査を短時間で容易に行うことが可能である。
【0296】
また、盤上可動体55kは、動作確認検査にて検査用の動作が可能である。一方、誤動作確認検査では、検査用の動作は行わないことがある。これにより、動作確認を行う動作確認検査と、誤動作が行われないことを確認する誤動作確認検査とを、短時間で容易に行うことが可能である。
【0297】
また、演出制御用マイコン121は、遊技制御用マイコン101からの信号(受信コマンド)が入力された際には、盤上駆動モータ55mを出力トルクTOU1にて駆動することがある。盤上駆動モータ55mを出力トルクTOU1にて駆動する場合、演出制御用マイコン121、入出力IC2、盤上電圧降下回路108U、盤上駆動モータドライバIC11は、盤上駆動モータ55mへ電流値I40の電流を供給することがある。盤上駆動モータ55mへ供給する電流の電流値を電流値I40とするとき、基準供給電流値は、第2基準供給電流値とされる。すなわち、盤上可動体55kに検査に係る動作を行わせる場合だけでなく、盤上可動体55kに遊技に伴う演出に係る動作を行わせる場合にも、基準供給電流値を第2基準供給電流値とすることがある。これにより、盤上可動体55kを用いた演出において、使用可能な盤上駆動モータ55mの出力トルクのパターンを多く設定可能である。よって、適切に消費電力を抑制すること等が可能である。
【0298】
9.変更例
次に、上記実施形態のパチンコ遊技機PY1の変更例について説明する。なお、変更例の説明において、上記実施形態の同様の構成については、同じ符号を付して説明を省略する。勿論、変更例に係る構成同士を適宜組み合わせて構成してもよい。また、上記実施形態および下記変更例中の技術的特徴は、本明細書において必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【0299】
例えば、上記実施形態では、上下の動作、すなわち、鉛直方向に沿って直線移動する盤上可動体55kおよび盤下可動体56kを動作させるモータについて、供給する電流値を制御する具体的について説明した。しかし、供給する電流値を制御可能なモータの駆動対象となる可動部は、当然、鉛直方向に沿って直線移動するものに限られない。例えば、鉛直方向と交差する方向(例えば左右方向)に直線移動する可動部のモータに適用してもよい。また例えば、曲線を有する経路に沿って移動する可動部のモータに適用することも可能である。具他的には、例えば、
図39に示すように、前後方向に延びる回転軸の軸回りに回転移動する可動体155k、156kをそれぞれ有する可動装置155、156に適用することも可能である。可動装置155は、可動体155kを動作させる駆動力を発生するモータ155mを有している。可動装置156は、可動体156kを動作させる駆動力を発生するモータ156mを有している。可動体155kは、
図39(a)に示す左側の位置からセンター枠61に沿って時計周りに回転移動し、
図39(b)に示す右側の位置まで移動可能である。可動体156kは、
図39(a)に示す右側の位置からセンター枠61に沿って時計周りに回転移動し、
図39(b)に示す左側の位置まで移動可能である。このような可動装置155、156のモータ155m、156mでは、可動部の移動方向と鉛直方向との角度が、可動体155k、156kの位置によって常に変化する。これにより、必要トルクの変化が生じがちである。よって、このような可動装置155、156のモータ155m、156mについて、供給する電流の電流値を制御可能であることで、より消費電力の抑制等を期待可能である。また例えば、モータの数はひとつであってもよいし、3以上であってもよい。また例えば、ひとつのモータにより駆動される可動部の数は、複数であってもよい。
【0300】
また、上記実施形態では、VDU1制御信号として「L」レベルの信号を、VDU2制御信号として「L」レベルの信号を出力した場合と、VDU1制御信号として「L」レベルの信号を、VDU2制御信号として「H」レベルの信号を出力した場合とについて説明した。しかし、VDU1制御信号として「H」レベルの信号を、VDU2制御信号として「L」レベルの信号を出力するパターンを設けてもよい。また、VDU1制御信号として「H」レベルの信号を、VDU2制御信号として「H」レベルの信号を出力するパターンを設けてもよい。これにより、モータドライバのVREFA端子及びVREFB端子に作用する電圧の大きさを上記とは異なるものとすることが可能だからである。その結果、第1基準供給電流値および第2基準供給電流値のどちらとも異なる第3基準供給電流値、第4基準供給電流値を、モータドライバのOUTA+端子,OUTA-端子,OUTB+端子,OUTB-端子から出力可能とすることが可能だからである。また、上記実施形態のモータドライバを用いた場合、基準供給電流値のパターンを1つ、増やすことにより、モータに供給可能な電流の電流値のパターンを、さらに4つ、増やすことが可能である。そして、このように、簡素な構成で、モータの出力トルクのパターンを多く設定可能である。
【0301】
また、上記実施形態では、モータドライバとして、モータへ供給する電流の電流値として、基準供給電流値の所定の割合(100%、75%、50%、25%)にて4パターンの値を設定可能なものを説明した。しかし、モータドライバは、基準供給電流値の所定の割合にて複数の値を設定可能であればよく、そのパターンの数は4パターンに限られるものではない。また例えば、上記実施形態では、モータドライバは、モータへ供給する電流の電流値を、基準供給電流値の25%ごとの均等な間隔の割合にて複数の値を設定可能であることとして説明した。しかし、モータドライバが設定可能なモータへの供給電流の電流値は、基準供給電流値の均等な間隔の割合ではなく、基準供給電流値の不均等な間隔の割合にて複数の値を設定可能であってもよい。
【0302】
また、上記実施形態では、特図可変表示に略同調して小図柄KZ1,KZ2,KZ3の可変表示が行われるが、小図柄KZ1,KZ2,KZ3のように3つの図柄で構成させるのではなく、2つなど3つ以外の図柄で構成させてもよい。例えば、特
図1と特
図2とで分けた2つの図柄を設けても良い。また、特
図1と特
図2とで共通の1つの図柄を設けても良い。そして、これらの場合、画像表示装置50の表示部50aで表示し、サブ制御基板120にその制御を行わせても良い。また、遊技盤1の遊技領域6以外の領域において、図柄を表示するLED装置を設けても良い。この場合、そのLED装置の制御を主制御基板100またはサブ制御基板120に行わせても良い。
【0303】
また、上記実施形態では、特
図2判定処理が優先的に行われるが、特
図1判定処理が優先的に行われるように構成しても良い。また、特
図1関係乱数と特
図2関係乱数とについて、保留記憶部に記憶された順番で特図判定処理が行われるようにしても良い。
【0304】
また、上記実施形態では、特
図1の可変表示と特
図2の可変表示とが並行して行われないが、特
図1の可変表示と特
図2の可変表示とが並行して行われるように構成しても良い。
【0305】
また、上記実施形態では、遊技の進行に係る基本的な制御を主制御基板100が行い、遊技の進行(遊技の制御)に応じた演出の進行に係る基本的な制御をサブ制御基板120が行うというように、遊技の制御と演出の制御とを異なる基板で行っているが、一つの基板で行うよう構成しても良い。この場合、画像制御基板140を、その一つの基板に含めても良く、また、その一つの基板とは別に設けても良い。
【0306】
また、上記実施形態では、所謂「第1種」,「デジパチ」といわれるパチンコ遊技機PY1を遊技機として示した。しかしながら遊技機を、所謂「第3種」,「権利物」といわれるパチンコ遊技機や、「第1種」のパチンコ遊技機の特徴と「第2種」のパチンコ遊技機の特徴とを併せ持つ所謂「1種2種混合」といわれるパチンコ遊技機としてもよい。また、ST(スペシャルタイム)の期間、当選確率が高確率状態に制御される所謂「ST機」といわれるパチンコ遊技機としてもよい。
【0307】
10.上記の実施形態に示されている発明
上記の実施形態には、以下の発明(発明A1~A6、発明B1~B7)が示されている。以下に記す発明の説明では、上記した実施の形態における対応する構成名や表現、図面に使用した符号を参考のためにかっこ書きで付記している。但し、各発明の構成要素はこの付記に限定されるものではない。
【0308】
発明A1は、
可動部(盤上可動体55k)を動作させる駆動力を発生することが可能なモータ(盤上駆動モータ55m)と、
前記モータを制御可能なモータ制御手段(演出制御用マイコン121、入出力IC2、盤上電圧降下回路108U、盤上駆動モータドライバIC11)と、を備える遊技機(パチンコ遊技機PY1)であって、
前記可動部の動作期間には、
前記動作に必要な前記モータの必要トルクが特定トルクである特定期間と、
前記必要トルクが前記特定トルクよりも低い非特定トルクである非特定期間と、があり、
前記モータ制御手段は、前記モータの出力トルクを、
前記特定期間には、前記特定トルクよりも高い特定出力トルクとし、
前記非特定期間には、前記非特定トルクよりも高い非特定出力トルクとすることが可能であることを特徴とする遊技機である。
【0309】
従来より、例えば特開2008-272111号公報に記載のように、可動部を動作させる駆動源として、モータが用いられている遊技機がある。しかし、モータの駆動力により可動体を動作させる遊技機においては、消費電力の観点から、改善の余地があった。そして、本構成の遊技機は、特開2008-272111号公報に記載の遊技機に対して、「モータ制御手段は、モータの出力トルクを、特定期間には、特定トルクよりも高い特定出力トルクとし、非特定期間には、非特定トルクよりも高い非特定出力トルクとすることが可能である」という点で相違している。これにより、モータは、可動部を適切に動作させることが可能である。また、モータは、出力トルクによって、消費電力を変化させることが可能である。よって、本構成の遊技機は、「モータの消費電力を抑制可能である」という課題を解決する(作用効果を奏する)ことが可能である。
【0310】
発明A2は、
発明A1に記載の遊技機であって、
前記非特定出力トルクは、前記特定トルクよりも低いことを特徴とする遊技機である。
【0311】
この構成では、消費電力の抑制効果をより発揮可能である。
【0312】
発明A3は、
発明A1または発明A2に記載の遊技機であって、
前記モータ制御手段は、前記非特定期間(第1盤上非特定期間SNU1)から前記特定期間になる際には、前記特定期間の開始タイミング(時刻t4)よりも前(時刻t3)に、前記モータの出力トルクを、前記非特定出力トルクから前記特定出力トルクに制御することが可能であることを特徴とする遊技機である。
【0313】
この構成では、必要トルクが上昇する際に、可動部を適切に動作させることが可能である。
【0314】
発明A4は、
発明A1から発明A3までのいずれかに記載の遊技機であって、
前記モータ制御手段は、前記特定期間から前記非特定期間(第2盤上非特定期間SNU2)になる際には、前記非特定期間の開始タイミング(時刻t5)よりも後(時刻t6)に、前記モータの出力トルクを、前記特定出力トルクから前記非特定出力トルクに制御することが可能であることを特徴とする遊技機である。
【0315】
この構成では、必要トルクが低下する際に、可動部を適切に動作させることが可能である。
【0316】
発明A5は、
発明A1から発明A4までのいずれかに記載の遊技機であって、
前記可動部として、第1の可動部(盤上可動体55k)と第2の可動部(盤下可動体56k)とを有し、
前記モータとして、
前記第1の可動部を動作させる駆動力を発生させる第1のモータ(盤上駆動モータ55m)と、
前記第2の可動部を動作させる駆動力を発生させる第2のモータ(盤下駆動モータ56m)と、を有し、
前記モータ制御手段は、前記第1のモータの出力トルクを前記非特定出力トルク(出力トルクTOU1)に制御している期間内に、前記第2のモータの出力トルクを前記特定出力トルク(出力トルクTOL3)に制御することがあることを特徴とする遊技機である。
【0317】
この構成では、第1の可動部と第2の可動部とを同時に動作させつつ、消費電力を抑制可能である。
【0318】
発明B1は、
可動部(盤上可動体55k)を動作させる駆動力を発生することが可能なモータ(盤上駆動モータ55m)と、
前記モータを制御可能なモータ制御手段(演出制御用マイコン121、入出力IC2、盤上電圧降下回路108U、盤上駆動モータドライバIC11)と、を備える遊技機(パチンコ遊技機PY1)であって、
前記モータ制御手段は、前記モータに流れる電流の電流値を制御可能であることを特徴とする遊技機である。
【0319】
従来より、例えば特開2008-272111号公報に記載のように、可動部を動作させる駆動源として、モータが用いられている遊技機がある。しかし、モータの駆動力により可動体を動作させる遊技機においては、モータの出力トルクを制御できず、改善の余地があった。そして、本構成の遊技機は、特開2008-272111号公報に記載の遊技機に対して、「モータに流れる電流の電流値を制御可能である」という点で相違している。モータは、供給される電流の電流値によって、出力トルクを変化させることが可能である。これにより、本構成の遊技機は、「モータの出力トルク制御可能である」という課題を解決する(作用効果を奏する)ことが可能である。
【0320】
発明B2は、
発明B1に記載の遊技機であって、
前記モータ制御手段は、
前記モータへ供給可能な電流値の基準値である基準供給電流値を、第1の値(第1基準供給電流値)と第2の値(第1基準供給電流値)との間で切り替え可能な第1の制御部(盤上電圧降下回路108U)と、
前記モータに流れる電流の電流値として、前記基準供給電流値の所定の割合(100%、75%、50%、25%)にて複数の値(4パターン)を設定可能である第2の制御部(盤上駆動モータドライバIC11)と、の少なくとも一方を備えることを特徴とする遊技機である。
【0321】
この構成では、モータの出力トルクを適切に制御可能である。
【0322】
発明B3は、
発明B2に記載の遊技機であって、
遊技に応じて所定の遊技信号(特図変動開始コマンド)を前記モータ制御手段に入力可能な遊技信号入力手段(遊技制御用マイコン101)と、
前記第1の制御部と、を備え、
前記第1の制御部は、
前記遊技信号が入力された際には、前記基準供給電流値を前記第1の値とすることがあり、
前記遊技信号とは異なる特定信号(検査信号)が入力された際には、前記基準供給電流値を前記第2の値とすることがあることを特徴とする遊技機である。
【0323】
この構成では、モータを、遊技信号に応じた出力トルクと異なる特定信号に応じた出力トルクで駆動する場合にも、モータの駆動に係る回路に抵抗等を組み付けるような作業を必ずしも行う必要がない。このため、可動部に、短時間で容易に特定信号に応じた動作を行わせることが可能である。
【0324】
発明B4は、
発明B3に記載の遊技機であって、
前記第2の制御部を備え、
前記第2の制御部は、前記特定信号が入力された際には、前記モータに流れる電流の電流値を、第1の設定値(盤上駆動モータドライバIC11におけるスケーリングを80%として電流値I80)にするときと、前記第1の設定値よりも低い第2の設定値(盤上駆動モータドライバIC11におけるスケーリングを20%として電流値I20)にするときとがあることを特徴とする遊技機である。
【0325】
この構成では、特定信号に応じた複数の動作を、短時間で容易に行うことが可能である。
【0326】
発明B5は、
発明B4に記載の遊技機であって、
前記可動部は、
前記第1の制御部が前記基準供給電流値を前記第2の値とし、かつ、前記第2の制御部が前記モータに流れる電流の電流値を前記第1の設定値としているときには特定動作(動作確認検査用の動作)を行うことが可能であり、
前記第1の制御部が前記基準供給電流値を前記第2の値とし、かつ、前記2の制御部が前記モータに流れる電流の電流値を前記第2の設定値としているときには前記特定動作を行わないことがある(誤動作確認検査)ことを特徴とする遊技機である。
【0327】
この構成では、特定動作が行われることの確認と特定動作が行わないことの確認等を、短時間で容易に行うことが可能である。
【0328】
発明B6は、
発明B3から発明B5までのいずれかに記載の遊技機であって、
前記第1の制御部は、前記遊技信号が入力された際にも、前記基準供給電流値を第2の値とする(基準供給電流値を第2基準供給電流値とし、盤上駆動モータドライバIC11におけるスケーリングを50%として電流値I40とする)ことがあることを特徴とする遊技機である。
【0329】
この構成では、遊技信号に応じた動作において、使用可能なモータ55の出力トルクのパターンを多く設定可能である。
【0330】
発明B7は、
発明B3から発明B6までのいずれかに記載の遊技機であって、
前記特定信号は、製造者が入力可能な信号(製造過程にて接続されることがある検査基板125からの検査信号)であることを特徴とする遊技機である。
【0331】
この構成では、遊技機の製造に係る時間や、製造者が可動部についての確認を行う作業の短縮を図ること等が可能である。
【符号の説明】
【0332】
101…遊技制御用マイコン
121…演出制御用マイコン
PY1…パチンコ遊技機(遊技機)
55k…盤上可動体
55m…盤上駆動モータ
56k…盤下可動体
56m…盤下駆動モータ
108U…盤上電圧降下回路
108L…盤下電圧降下回路
IC11…盤上駆動モータドライバ
IC21…盤下駆動モータドライバ
TNU1、TNU2、TNU3…盤上駆動モータの必要トルク
TNL1、TNL2、TNL3…盤下駆動モータの必要トルク
TOU1、TOU2、TOU3…盤上駆動モータの出力トルク
TOL1、TOL2、TOL3…盤下駆動モータの出力トルク
STU…盤上特定期間
SNU1…第1盤上非特定期間
SNU2…第2盤上非特定期間
STL…盤下特定期間
SNL…盤下非特定期間