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特許7277965スーパーキャパシタ用途のための炭素ナノドットから高伝導率多孔質グラフェンへの簡易手段
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-11
(45)【発行日】2023-05-19
(54)【発明の名称】スーパーキャパシタ用途のための炭素ナノドットから高伝導率多孔質グラフェンへの簡易手段
(51)【国際特許分類】
   H01G 11/36 20130101AFI20230512BHJP
   C01B 32/194 20170101ALI20230512BHJP
   C01B 32/184 20170101ALI20230512BHJP
   H01M 4/583 20100101ALI20230512BHJP
   H01G 11/86 20130101ALI20230512BHJP
【FI】
H01G11/36
C01B32/194
C01B32/184
H01M4/583
H01G11/86
【請求項の数】 23
(21)【出願番号】P 2020500741
(86)(22)【出願日】2018-07-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-09-10
(86)【国際出願番号】 US2018041728
(87)【国際公開番号】W WO2019014404
(87)【国際公開日】2019-01-17
【審査請求日】2021-06-15
(31)【優先権主張番号】62/532,684
(32)【優先日】2017-07-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506115514
【氏名又は名称】ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ カリフォルニア
【氏名又は名称原語表記】The Regents of the University of California
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100141265
【弁理士】
【氏名又は名称】小笠原 有紀
(72)【発明者】
【氏名】シュトラウス,フォルカー
(72)【発明者】
【氏名】カナー,リチャード・ビー
(72)【発明者】
【氏名】エル-カディ,マハー・エフ
【審査官】鈴木 駿平
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第103208373(CN,A)
【文献】国際公開第2015/069332(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/047522(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/133571(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 11/00-11/86
H01M 4/00-4/62
C01B 32/00-32/991
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.第1の電極と、
b.誘電体によって前記第1の電極から分離された第2の電極と、を備える、エネルギー貯蔵デバイスであって、
前記第1の電極および前記第2の電極のうちの少なくとも一方が、炭素-炭素結合により相互接続された炭素ナノドットを含む3次元(3D)乱層グラフェンットワークを含、エネルギー貯蔵デバイス。
【請求項2】
前記3D乱層グラフェンネットワークが、多孔質である、請求項1に記載のエネルギー貯蔵デバイス。
【請求項3】
前記3D乱層グラフェンネットワークが、10ナノメートル(nm)~10,000nmの平均孔径を有する、請求項2に記載のエネルギー貯蔵デバイス。
【請求項4】
前記3D乱層グラフェンネットワークが、90%の炭素、8%の酸素、および窒素の元素組成を有する、請求項3に記載のエネルギー貯蔵デバイス。
【請求項5】
前記第1の電極および前記第2の電極のうちの少なくとも一方が、少なくとも100平方メートル/グラムの活性表面積を有する、請求項1に記載のエネルギー貯蔵デバイス。
【請求項6】
前記第1の電極および前記第2の電極のうちの少なくとも一方が、少なくとも200ジーメンス/メートルの電気伝導率を有する、請求項1に記載のエネルギー貯蔵デバイス。
【請求項7】
少なくとも860キロワットの電力密度で少なくとも3ワットアワー/キログラムのエネルギー密度を有する、請求項1に記載のエネルギー貯蔵デバイス。
【請求項8】
少なくとも4ファラド/グラムの特有の重量比容量を有する、請求項1に記載のエネルギー貯蔵デバイス。
【請求項9】
少なくとも30ミリファラド/平方センチメートルの特有の容積比容量を有する、請求項1に記載のエネルギー貯蔵デバイス。
【請求項10】
20,000充放電サイクル後に少なくとも94%の容量を維持する、請求項1に記載のエネルギー貯蔵デバイス。
【請求項11】
3D乱層グラフェンネットワークを合成する方法であって、
a.溶媒中に炭素ナノドット(CND)を溶解させて、CNDスラリーを形成することと、
b.前記CNDスラリーを基板上に投入することと、
c.前記基板上で前記CNDスラリーを乾燥させて、CND膜を形成することと、
d.レーザを用いて前記CND膜の少なくとも一部分を照射して、前記CND膜の少なくとも一部分を炭素-炭素結合により相互接続されたCNDを含む3D乱層グラフェンネットワークに変換することと、を含む、方法。
【請求項12】
前記レーザを用いて前記CND膜を照射することが、所定時間無酸素環境中で所定温度で実施される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記所定温度が、200℃~400℃であり、前記所定時間が、1時間~3時間である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記溶媒が、有機液体である、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記有機液体が、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記CNDスラリーが、40/60のCND対NMP比を有する、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記レーザが、二酸化炭素レーザである、請求項11に記載の方法。
【請求項18】
前記レーザのパワーレベルが、8ワット(W)~13Wである、請求項11に記載の方法。
【請求項19】
前記レーザのパワーレベルが、12W~13Wである、請求項11に記載の方法。
【請求項20】
前記溶媒中に前記CNDを溶解させる前にクエン酸および尿素から前記CNDを合成することをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項21】
前記乱層グラフェンが、少なくとも230平方メートル/グラムの活性表面積、および少なくとも200ジーメンス/メートルの電気伝導率を有する、請求項11に記載の方法。
【請求項22】
前記3D乱層グラフェンネットワークが、多孔質であり、10ナノメートル(nm)~100,000nmの平均孔径を有する、請求項11に記載の方法。
【請求項23】
前記3D乱層グラフェンネットワークが、89%の炭素、8%の酸素、および3%の窒素の元素組成を有する、請求項11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
世界的なエネルギー供給は、材料科学および技術が面する最大の問題の1つである。化石燃料から再生可能エネルギーへの移行に関して、現在の技術の大きな改善および新材料の研究が重要である。
【背景技術】
【0002】
光電子工学から生物医学の範囲の分野で複数の用途を有する、有機ナノ粒子、または炭素ナノドット(CND)と称される有望な種類のナノ材料を対象とする方法および組成物が本明細書に開示される。本開示は、優れた電気化学特性を有する高表面積3次元グラフェンネットワークへの生体分子ベースのCNDの変換のための容易な方法を提供する。
【0003】
いくつかの実施形態では、CNDは、より大きいグラファイト状炭素の酸化開裂またはアモルファス前駆体の炭化のいずれかによって調製される。無定形前駆体の炭化は、大量の酸化基を含有する様々な生体材料および生体分子を使用して無定形炭素をグラファイト状炭素に変態させる。CNDの主要な電気化学特性は、温度および圧力などの炭化プロセス中の条件を制御し、好適な前駆体を選択することによって変更され得る。
【0004】
表面積、結晶性ドメイン、および電子捕獲中心などのCNDの調整可能かつ最適な形態的および電子的特性が、電気化学コンデンサ、スーパーキャパシタ、電池、ハイブリッドスーパーキャパシタ、および擬似コンデンサなどのエネルギー貯蔵デバイスの電気活性構成要素としてのCNDの使用を可能にすることが本明細書に認識される。CNDは、本質的に低電気伝導率を有し、スーパーキャパシタにおけるその直接的な適用を妨げ得る複雑な電気化学的挙動を有するが、それらの豊富な表面官能基が、複数の修飾および反応を可能にする。例として、いくつかの実施形態では、熱処理(熱分解)が、そのような材料特性の修飾、または、光もしくはレーザ照射によるグラフェンへの変換を可能にするために使用される。さらに、CNDがグラファイト/グラフェンコアを含有して、グラフェンのより小さい同族体を形成するため、それらは、より大きい拡張π系の前駆体として使用され得る。
【0005】
乱層グラフェンを含む炭素ネットワークが本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、乱層グラフェンを含む炭素ネットワークは、少なくとも230平方メートル/グラム(m/g)の活性表面積を有する。いくつかの実施形態では、乱層グラフェンを含む炭素ネットワークは、少なくとも約100m/g、少なくとも約120m/g、少なくとも約140m/g、少なくとも約160m/g、少なくとも約180m/g、少なくとも約200m/g、少なくとも約220m/g、少なくとも約240m/g、少なくとも約260m/g、少なくとも約280m/g、または少なくとも約300m/gの活性表面積を有する。いくつかの実施形態では、乱層グラフェンを含む炭素ネットワークは、少なくとも約200ジーメンス/メートル(S/m)の電気伝導率を有する。いくつかの実施形態では、乱層グラフェンを含む炭素ネットワークは、少なくとも約100S/m、少なくとも約120S/m、少なくとも約140S/m、少なくとも約160S/m、少なくとも約180S/m、少なくとも約200S/m、少なくとも約220S/m、少なくとも約240S/m、少なくとも約260S/m、少なくとも約280S/m、または少なくとも約300S/mの電気伝導率を有する。
【0006】
いくつかの実施形態では、多孔質炭素ネットワークは、約10nm~約100,000nmの平均孔径を有する。いくつかの実施形態では、多孔質炭素ネットワークは、少なくとも約10nmの平均孔径を有する。いくつかの実施形態では、多孔質炭素ネットワークは、最大約100,000nmの平均孔径を有する。いくつかの実施形態では、多孔質炭素ネットワークは、約10nm~約50nm、約10nm~約100nm、約10nm~約500nm、約10nm~約1,000nm、約10nm~約5,000nm、約10nm~約10,000nm、約10nm~約50,000nm、約10nm~約100,000nm、約50nm~約100nm、約50nm~約500nm、約50nm~約1,000nm、約50nm~約5,000nm、約50nm~約10,000nm、約50nm~約50,000nm、約50nm~約100,000nm、約100nm~約500nm、約100nm~約1,000nm、約100nm~約5,000nm、約100nm~約10,000nm、約100nm~約50,000nm、約100nm~約100,000nm、約500nm~約1,000nm、約500nm~約5,000nm、約500nm~約10,000nm、約500nm~約50,000nm、約500nm~約100,000nm、約1,000nm~約5,000nm、約1,000nm~約10,000nm、約1,000nm~約50,000nm、約1,000nm~約100,000nm、約5,000nm~約10,000nm、約5,000nm~約50,000nm、約5,000nm~約100,000nm、約10,000nm~約50,000nm、約10,000nm~約100,000nm、または約50,000nm~約100,000nmの平均孔径を有する。いくつかの実施形態では、多孔質炭素ネットワークは、約10nm、約50nm、約100nm、約500nm、約1,000nm、約5,000nm、約10,000nm、約50,000nm、または約100,000nmの平均孔径を有する。いくつかの実施形態では、多孔質炭素ネットワークは、少なくとも約10nm、少なくとも約50nm、少なくとも約100nm、少なくとも約500nm、少なくとも約1,000nm、少なくとも約5,000nm、少なくとも約10,000nm、少なくとも約50,000nm、または少なくとも約100,000nmの平均孔径を有する。いくつかの実施形態では、多孔質炭素ネットワークは、約10nm以下、約50nm以下、約100nm以下、約500nm以下、約1,000nm以下、約5,000nm以下、約10,000nm以下、約50,000nm以下、または約100,000nm以下の平均孔径を有する。
【0007】
いくつかの実施形態では、炭素ネットワークは、約1323cm-1、約1570cm-1、約1604cm-1、および約2636cm-1でD-バンド、G-バンド、D´バンド、およびG´-バンドを有するラマンスペクトルを有する。いくつかの実施形態では、炭素ネットワークは、約1324cm-1でDバンドを有するラマンスペクトルを有する無定形炭素構造をさらに含む。いくつかの実施形態では、炭素ネットワークは、約1468cm-1でD**バンドを有するラマンスペクトルを有する無定形炭素構造をさらに含む。いくつかの実施形態では、炭素ネットワークは、約1574cm-1でGバンドを有するラマンスペクトルを有する無定形炭素構造をさらに含む。いくつかの実施形態では、炭素ネットワークは、約74cm-1の半値全幅を有するG´バンドスペクトル曲線を有する。いくつかの実施形態では、炭素ネットワークは、約89%の炭素、約8%の酸素、および窒素の元素組成を有する。いくつかの実施形態では、炭素ネットワークは、約89%の炭素、約8%の酸素、および約3%の窒素の元素組成を有する。いくつかの実施形態では、炭素ネットワークは、89%の炭素、8%の酸素、および3%の窒素の元素組成を有する。さらに他の実施形態では、炭素ネットワークは、約90%の炭素、約8%の酸素、および窒素の元素組成を有する。
【0008】
本明細書に提供される別の態様は、第1の電極と、誘電体によって第1の電極から分離された第2の電極とを備え、第1の電極および第2の電極のうちの少なくとも一方が、乱層グラフェンを含む炭素ネットワークを含む、エネルギー貯蔵デバイスである。
【0009】
いくつかの実施形態では、エネルギー貯蔵デバイスは、少なくとも約230m/gの活性表面積を有する。いくつかの実施形態では、エネルギー貯蔵デバイスは、少なくとも約100m/g、少なくとも約120m/g、少なくとも約140m/g、少なくとも約160m/g、少なくとも約180m/g、少なくとも約200m/g、少なくとも約220m/g、少なくとも約240m/g、少なくとも約260m/g、少なくとも約280m/g、または少なくとも約300m/gの活性表面積を有する。いくつかの実施形態では、エネルギー貯蔵デバイスは、少なくとも約200S/mの電気伝導率を有する。いくつかの実施形態では、エネルギー貯蔵デバイスは、少なくとも約100S/m、少なくとも約120S/m、少なくとも約140S/m、少なくとも約160S/m、少なくとも約180S/m、少なくとも約200S/m、少なくとも約220S/m、少なくとも約240S/m、少なくとも約260S/m、少なくとも約280S/m、または少なくとも約300S/mの電気伝導率を有する。いくつかの実施形態では、エネルギー貯蔵デバイスは、少なくとも約860キロワットの電力密度で約7.5ワットアワー/キログラム(Wh/kg)のエネルギー密度を有する。いくつかの実施形態では、エネルギー貯蔵デバイスは、少なくとも約800kW kg-1、少なくとも約820kW kg-1、少なくとも約840kW kg-1、少なくとも約860kW kg-1、少なくとも約880kW kg-1、少なくとも約900kW kg-1、少なくとも約920kW kg-1、少なくとも約940kW kg-1、少なくとも約960kW kg-1、少なくとも約980kW kg-1、または少なくとも約1000kW kg-1の電力密度で、少なくとも約3.0Wh/kg、少なくとも約3.5Wh/kg、少なくとも約4.0Wh/kg、少なくとも約4.5Wh/kg、少なくとも約5.0Wh/kg、少なくとも約5.5Wh/kg、少なくとも約6.0Wh/kg、少なくとも約6.5Wh/kg、少なくとも約7.0Wh/kg、少なくとも約7.5Wh/kg、少なくとも約8.0Wh/kg、少なくとも約8.5Wh/kg、または少なくとも約9.0Wh/kgのエネルギー密度を有する。
【0010】
いくつかの実施形態では、エネルギー貯蔵デバイスは、約0.5ミリ秒(ms)~約10msの充放電サイクリングレート時定数を有する。いくつかの実施形態では、エネルギー貯蔵デバイスは、約0.5ms~約0.75ms、約0.5ms~約1ms、約0.5ms~約1.5ms、約0.5ms~約2ms、約0.5ms~約3ms、約0.5ms~約4ms、約0.5ms~約5ms、約0.5ms~約6ms、約0.5ms~約8ms、約0.5ms~約10ms、約0.75ms~約1ms、約0.75ms~約1.5ms、約0.75ms~約2ms、約0.75ms~約3ms、約0.75ms~約4ms、約0.75ms~約5ms、約0.75ms~約6ms、約0.75ms~約8ms、約0.75ms~約10ms、約1ms~約1.5ms、約1ms~約2ms、約1ms~約3ms、約1ms~約4ms、約1ms~約5ms、約1ms~約6ms、約1ms~約8ms、約1ms~約10ms、約1.5ms~約2ms、約1.5ms~約3ms、約1.5ms~約4ms、約1.5ms~約5ms、約1.5ms~約6ms、約1.5ms~約8ms、約1.5ms~約10ms、約2ms~約3ms、約2ms~約4ms、約2ms~約5ms、約2ms~約6ms、約2ms~約8ms、約2ms~約10ms、約3ms~約4ms、約3ms~約5ms、約3ms~約6ms、約3ms~約8ms、約3ms~約10ms、約4ms~約5ms、約4ms~約6ms、約4ms~約8ms、約4ms~約10ms、約5ms~約6ms、約5ms~約8ms、約5ms~約10ms、約6ms~約8ms、約6ms~約10ms、または約8ms~約10msの充放電サイクリングレート時定数を有する。いくつかの実施形態では、エネルギー貯蔵デバイスは、約0.5ms、約0.75ms、約1ms、約1.5ms、約2ms、約3ms、約4ms、約5ms、約6ms、約8ms、または約10msの充放電サイクリングレート時定数を有する。いくつかの実施形態では、エネルギー貯蔵デバイスは、少なくとも約0.5ms、少なくとも約0.75ms、少なくとも約1ms、少なくとも約1.5ms、少なくとも約2ms、少なくとも約3ms、少なくとも約4ms、少なくとも約5ms、少なくとも約6ms、少なくとも約8ms、または少なくとも約10msの充放電サイクリングレート時定数を有する。いくつかの実施形態では、エネルギー貯蔵デバイスは、最大約0.5ms、最大約0.75ms、最大約1ms、最大約1.5ms、最大約2ms、最大約3ms、最大約4ms、最大約5ms、最大約6ms、最大約8ms、または最大約10msの充放電サイクリングレート時定数を有する。
【0011】
いくつかの実施形態では、多孔質炭素ネットワークは、約10nm~約100,000nmの平均孔径を有する。いくつかの実施形態では、多孔質炭素ネットワークは、少なくとも約10nmの平均孔径を有する。いくつかの実施形態では、多孔質炭素ネットワークは、最大約100,000nmの平均孔径を有する。いくつかの実施形態では、多孔質炭素ネットワークは、約10nm~約50nm、約10nm~約100nm、約10nm~約500nm、約10nm~約1,000nm、約10nm~約5,000nm、約10nm~約10,000nm、約10nm~約50,000nm、約10nm~約100,000nm、約50nm~約100nm、約50nm~約500nm、約50nm~約1,000nm、約50nm~約5,000nm、約50nm~約10,000nm、約50nm~約50,000nm、約50nm~約100,000nm、約100nm~約500nm、約100nm~約1,000nm、約100nm~約5,000nm、約100nm~約10,000nm、約100nm~約50,000nm、約100nm~約100,000nm、約500nm~約1,000nm、約500nm~約5,000nm、約500nm~約10,000nm、約500nm~約50,000nm、約500nm~約100,000nm、約1,000nm~約5,000nm、約1,000nm~約10,000nm、約1,000nm~約50,000nm、約1,000nm~約100,000nm、約5,000nm~約10,000nm、約5,000nm~約50,000nm、約5,000nm~約100,000nm、約10,000nm~約50,000nm、約10,000nm~約100,000nm、または約50,000nm~約100,000nmの平均孔径を有する。いくつかの実施形態では、多孔質炭素ネットワークは、約10nm、約50nm、約100nm、約500nm、約1,000nm、約5,000nm、約10,000nm、約50,000nm、または約100,000nmの平均孔径を有する。いくつかの実施形態では、多孔質炭素ネットワークは、少なくとも約10nm、少なくとも約50nm、少なくとも約100nm、少なくとも約500nm、少なくとも約1,000nm、少なくとも約5,000nm、少なくとも約10,000nm、少なくとも約50,000nm、または少なくとも約100,000nmの平均孔径を有する。いくつかの実施形態では、多孔質炭素ネットワークは、約10nm以下、約50nm以下、約100nm以下、約500nm以下、約1,000nm以下、約5,000nm以下、約10,000nm以下、約50,000nm以下、または約100,000nm以下の平均孔径を有する。
【0012】
いくつかの実施形態では、炭素ネットワークは、約1323cm-1でDバンドを有するラマンスペクトルを有する。いくつかの実施形態では、炭素ネットワークは、約1570cm-1でGバンドを有するラマンスペクトルを有する。いくつかの実施形態では、炭素ネットワークは、約1604cm-1でD´バンドを有するラマンスペクトルを有する。いくつかの実施形態では、炭素ネットワークは、約2636cm-1でGバンドを有するラマンスペクトルを有する。いくつかの実施形態では、コンデンサは、無定形炭素構造をさらに含む。いくつかの実施形態では、無定形炭素構造は、約1324cm-1でDバンド有するラマンスペクトルを有し、いくつかの実施形態では、無定形炭素構造は、約1468cm-1でD**バンドを有するラマンスペクトルを有する。いくつかの実施形態では、無定形炭素構造は、約1574cm-1でGバンドを有するラマンスペクトルを有する。いくつかの実施形態では、炭素ネットワークは、約74cm-1の半値全幅を有するG´バンドスペクトル曲線を有する。いくつかの実施形態では、炭素ネットワークは、多孔質である。
【0013】
いくつかの実施形態では、炭素ネットワークは、約89%の炭素、約8%の酸素、および約3%の窒素の元素組成を有する。いくつかの実施形態では、炭素ネットワークは、約89%の炭素、約8%の酸素、および窒素の元素組成を有する。いくつかの実施形態では、炭素ネットワークは、89%の炭素、8%の酸素、および3%の窒素の元素組成を有する。
【0014】
いくつかの実施形態では、コンデンサは、少なくとも約4ファラド/グラム(F/g)、5F/g、6F/g、8F/g、9F/g、10F/g、12F/g、15F/g、または20F/gの特有の重量比容量を有する。いくつかの実施形態では、コンデンサは、約4F/g~約20F/gの特有の重量比容量を有する。いくつかの実施形態では、コンデンサは、少なくとも約10ミリファラド/立方センチメートル(mF/cm)、15mF/cm、20mF/cm、25mF/cm、30mF/cm、40mF/cm、50mF/cm、または60mF/cmの特有の容積比容量を有する。いくつかの実施形態では、コンデンサは、約10mF/cm~約60mF/cmの特有の容積比容量を有する。いくつかの実施形態では、コンデンサは、少なくとも約20,000充放電サイクル後に初期容量の約85%、90%、94%、98%または99%の容量を有する。いくつかの実施形態では、コンデンサは、少なくとも約20,000充放電サイクル後に初期容量の約85%~約99%の容量を有する。いくつかの実施形態では、コンデンサは、約3オーム~約5オームの等価直列抵抗を有する。いくつかの実施形態では、コンデンサは、少なくとも約3オーム、少なくとも約4オーム、または少なくとも約5オームの等価直列抵抗を有する。いくつかの実施形態では、コンデンサは、最大約3オーム、最大約4オーム、または最大約5オームの等価直列抵抗を有する。
【0015】
本明細書に提供される別の態様は、CNDを溶媒に溶解させて、CNDスラリーを提供することと、CNDスラリーを基板上に投入することと、CNDスラリーを乾燥させて乾燥CND膜を提供することと、乾燥CND膜の少なくとも一部分を乱層グラフェンに変換するために十分であるパワーレベルの光ビームで乾燥CND膜を照射することと、を含む、炭素ネットワークを合成するための方法である。
【0016】
いくつかの実施形態では、CNDは、約200℃~約400℃の所定温度で照射される。いくつかの実施形態では、CNDは、少なくとも約200℃の所定温度で照射される。いくつかの実施形態では、CNDは、最大約400℃の所定温度で照射される。いくつかの実施形態では、CNDは、約1時間~約4時間の所定時間で照射される。いくつかの実施形態では、CNDは、少なくとも約1時間の所定時間で照射される。いくつかの実施形態では、CNDは、最大約4時間の所定時間で照射される。いくつかの実施形態では、溶媒は、有機液体である。いくつかの実施形態では、有機液体は、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)である。
【0017】
いくつかの実施形態では、CNDスラリーは、約0.3:1~約0.9:1のCND対NMP比を有する。いくつかの実施形態では、CNDスラリーは、少なくとも約0.3:1、少なくとも約0.4:1、少なくとも約0.5:1、少なくとも約0.6:1、少なくとも約0.7:1、少なくとも約0.8:1、または少なくとも約0.9:1のCND対NMP比を有する。いくつかの実施形態では、CNDスラリーは、最大約0.3:1、最大約0.4:1、最大約0.5:1、最大約0.6:1、最大約0.7:1、最大約0.8:1、または最大約0.9:1のCND対NMP比を有する。いくつかの実施形態では、CNDスラリーは、約0.3:1~約0.4:1、約0.3:1~約0.5:1、約0.3:1~約0.6:1、約0.3:1~約0.7:1、約0.3:1~約0.8:1、約0.3:1~約0.9:1、約0.4:1~約0.5:1、約0.4:1~約0.6:1、約0.4:1~約0.7:1、約0.4:1~約0.8:1、約0.4:1~約0.9:1、約0.5:1~約0.6:1、約0.5:1~約0.7:1、約0.5:1~約0.8:1、約0.5:1~約0.9:1、約0.6:1~約0.7:1、約0.6:1~約0.8:1、約0.6:1~約0.9:1、約0.7:1~約0.8:1、約0.7:1~約0.9:1、または約0.8:1~約0.9:1のCND対NMP比を有する。いくつかの実施形態では、CNDスラリーは、約0.3:1、約0.4:1、約0.5:1、約0.6:1、約0.7:1、約0.8:1、または約0.9:1のCND対NMP比を有する。
【0018】
いくつかの実施形態では、光ビームは、レーザによって生成される。いくつかの実施形態では、レーザは、二酸化炭素レーザである。いくつかの実施形態では、光ビームは、約8W~約13Wのパワーを有する。いくつかの実施形態では、光ビームは、少なくとも約8W、少なくとも約9W、少なくとも約10W、少なくとも約11W、少なくとも約12W、または少なくとも約13Wのパワーを有する。いくつかの実施形態では、光ビームは、最大約13Wのパワーを有する。いくつかの実施形態では、光ビームは、約12W~約13Wのパワーを有する。
【0019】
方法は、溶媒中にCNDを溶解させる前にクエン酸および尿素からCNDを合成することをさらに含む。いくつかの実施形態では、乱層グラフェンは、少なくとも230平方メートル/グラム(m/g)の活性表面積を有する。いくつかの実施形態では、乱層グラフェンは、少なくとも約100m/g、少なくとも約120m/g、少なくとも約140m/g、少なくとも約160m/g、少なくとも約180m/g、少なくとも約200m/g、少なくとも約220m/g、少なくとも約240m/g、少なくとも約260m/g、少なくとも約280m/g、または少なくとも約300m/gの活性表面積を有する。いくつかの実施形態では、乱層グラフェンは、少なくとも約200S/mの電気伝導率を有する。いくつかの実施形態では、乱層グラフェンは、少なくとも約100S/m、少なくとも約120S/m、少なくとも約140S/m、少なくとも約160S/m、少なくとも約180S/m、少なくとも約200S/m、少なくとも約220S/m、少なくとも約240S/m、少なくとも約260S/m、少なくとも約280S/m、または少なくとも約300S/mの電気伝導率を有する。
【0020】
いくつかの実施形態では、方法は、約1323cm-1でD-バンドを有するラマンスペクトルを有する炭素ネットワークを生成する。いくつかの実施形態では、方法は、約1570cm-1でG-バンドを有するラマンスペクトルを有する炭素ネットワークを生成する。いくつかの実施形態では、方法は、約1604cm-1でD´バンドを有するラマンスペクトルを有する炭素ネットワークを生成する。いくつかの実施形態では、方法は、約2636cm-1でG´-バンドを有するラマンスペクトルを有する炭素ネットワークを生成する。いくつかの実施形態では、方法は、約1324cm-1でDバンドを有するラマンスペクトルを有する無定形炭素構造を生成する。いくつかの実施形態では、方法は、約1468cm-1でD**バンドを有するラマンスペクトルを有する無定形炭素構造を生成する。いくつかの実施形態では、方法は、約1574cm-1でGバンドを有するラマンスペクトルを有する無定形炭素構造を生成する。いくつかの実施形態では、炭素ネットワークは、約74cm-1の半値全幅を有するG´バンドスペクトル曲線を有する。
【0021】
いくつかの実施形態では、多孔質炭素ネットワークは、約10nm~約100,000nmの平均孔径を有する。いくつかの実施形態では、多孔質炭素ネットワークは、少なくとも約10nmの平均孔径を有する。いくつかの実施形態では、多孔質炭素ネットワークは、最大約100,000nmの平均孔径を有する。いくつかの実施形態では、多孔質炭素ネットワークは、約10nm~約50nm、約10nm~約100nm、約10nm~約500nm、約10nm~約1,000nm、約10nm~約5,000nm、約10nm~約10,000nm、約10nm~約50,000nm、約10nm~約100,000nm、約50nm~約100nm、約50nm~約500nm、約50nm~約1,000nm、約50nm~約5,000nm、約50nm~約10,000nm、約50nm~約50,000nm、約50nm~約100,000nm、約100nm~約500nm、約100nm~約1,000nm、約100nm~約5,000nm、約100nm~約10,000nm、約100nm~約50,000nm、約100nm~約100,000nm、約500nm~約1,000nm、約500nm~約5,000nm、約500nm~約10,000nm、約500nm~約50,000nm、約500nm~約100,000nm、約1,000nm~約5,000nm、約1,000nm~約10,000nm、約1,000nm~約50,000nm、約1,000nm~約100,000nm、約5,000nm~約10,000nm、約5,000nm~約50,000nm、約5,000nm~約100,000nm、約10,000nm~約50,000nm、約10,000nm~約100,000nm、または約50,000nm~約100,000nmの平均孔径を有する。いくつかの実施形態では、多孔質炭素ネットワークは、約10nm、約50nm、約100nm、約500nm、約1,000nm、約5,000nm、約10,000nm、約50,000nm、または約100,000nmの平均孔径を有する。いくつかの実施形態では、多孔質炭素ネットワークは、少なくとも約10nm、少なくとも約50nm、少なくとも約100nm、少なくとも約500nm、少なくとも約1,000nm、少なくとも約5,000nm、少なくとも約10,000nm、少なくとも約50,000nm、または少なくとも約100,000nmの平均孔径を有する。いくつかの実施形態では、多孔質炭素ネットワークは、約10nm以下、約50nm以下、約100nm以下、約500nm以下、約1,000nm以下、約5,000nm以下、約10,000nm以下、約50,000nm以下、または約100,000nm以下の平均孔径を有する。
【0022】
いくつかの実施形態では、炭素ネットワークは、炭素、酸素、および窒素の元素組成を有する。いくつかの実施形態では、炭素ネットワークは、約89%の炭素、約8%の酸素、および約3%の窒素の元素組成を有する。いくつかの実施形態では、炭素ネットワークは、約89%の炭素、約8%の酸素、および窒素の元素組成を有する。いくつかの実施形態では、炭素ネットワークは、89%の炭素、8%の酸素、および3%の窒素の元素組成を有する。いくつかの実施形態では、炭素ネットワークは、少なくとも約40%の炭素の元素組成を有する。いくつかの実施形態では、炭素ネットワークは、少なくとも約4%の酸素、少なくとも約5%の酸素、少なくとも約6%の酸素、少なくとも約7%の酸素、または少なくとも約8%の酸素の元素組成を有する。
【0023】
当業者は、添付図面と併せて以下の詳細な説明を読んだ後、本開示の範囲を認識し、その追加の態様を理解するであろう。
【図面の簡単な説明】
【0024】
本明細書に組み込まれ、一部を形成する添付図面は、本開示のいくつかの態様を例示し、説明と一緒に、本開示の原理を説明する役割を果たす。
【0025】
図1図1Aは、炭素ナノドット(CND)から3次元乱層グラフェン(3D-ts-graphene)を形成する例示的な方法の例示を示す。いくつかの実施形態による、例示的な合成CNDの例示である。図1Bは、炭素ナノドット(CND)から3次元乱層グラフェン(3D-ts-graphene)を形成する例示的な方法の例示を示す。いくつかの実施形態による、CNDをCND300に変換する例示的な熱分解プロセスの例示である。図1Cは、炭素ナノドット(CND)から3次元乱層グラフェン(3D-ts-graphene)を形成する例示的な方法の例示を示す。いくつかの実施形態による、基板上にCND300/NMP(N-メチル-2-ピロリドン)スラリーを加える例示的なプロセスの例示である。図1Dは、炭素ナノドット(CND)から3次元乱層グラフェン(3D-ts-graphene)を形成する例示的な方法の例示を示す。いくつかの実施形態による、例示的なドクターブレード装置の例示である。図1Eは、炭素ナノドット(CND)から3次元乱層グラフェン(3D-ts-graphene)を形成する例示的な方法の例示を示す。いくつかの実施形態による、NMPを蒸発させる例示的なプロセスの例示である。図1Fは、炭素ナノドット(CND)から3次元乱層グラフェン(3D-ts-graphene)を形成する例示的な方法の例示を示す。いくつかの実施形態による、3D-ts-グラフェンへのCND300のレーザを用いた変換の例示的なプロセスの例示である。
図2】例示的なレーザ反応チャンバの写真を示す。
図3A】いくつかの実施形態による、例示的な熱分解されたCND(CND100~400)の特性評価グラフである。いくつかの実施形態による、酸素または窒素の存在下の異なる処理温度での例示的なCND試料の減量パーセントを示すグラフである。
図3B】いくつかの実施形態による、例示的な熱分解されたCND(CND100~400)の特性評価グラフである。いくつかの実施形態による、例示的なCND100~400のX線光電子C1s、N1sおよびO1sスペクトルである。
図3C】いくつかの実施形態による、例示的な熱分解されたCND(CND100~400)の特性評価グラフである。いくつかの実施形態による、約633nmの周波数での励起時の例示的なCND100~400のラマンスペクトルである。
図3D】いくつかの実施形態による、例示的な熱分解されたCND(CND100~400)の特性評価グラフである。いくつかの実施形態による、例示的なCND100~400の粉末X線回折パターンである。
図3E】いくつかの実施形態による、例示的な熱分解されたCND(CND100~400)の特性評価グラフである。いくつかの実施形態による、例示的なCND100~400の正規化されたフーリエ変換赤外分光スペクトルを示す。
図4図4Aはいくつかの実施形態による、例示的な3D-ts-グラフェンネットワーク(レーザスクライブされたCND300)の写真を示す。いくつかの実施形態による、3kVで得られた3D-ts-グラフェンの走査型電子顕微鏡写真である。図4Bはいくつかの実施形態による、例示的な3D-ts-グラフェンネットワーク(レーザスクライブされたCND300)の写真を示す。いくつかの実施形態による、120kVでの例示的な3D-ts-グラフェンの断片の透過型電子顕微鏡写真である。図4Cはいくつかの実施形態による、例示的な3D-ts-グラフェンネットワーク(レーザスクライブされたCND300)の写真を示す。いくつかの実施形態による、例示的な3D-ts-グラフェン断片のエッジの高倍率透過型電子顕微鏡写真である。
図5図5Aはいくつかの実施形態による、3eVにおけるアルゴン下でレーザ変換された例示的な酸化グラファイトの低倍率走査型電子顕微鏡(SEM)写真を示す。図5Bはいくつかの実施形態による、3eVにおけるアルゴン下でレーザ変換された例示的な酸化グラフェンの高倍率SEM写真を示す。図5Cはいくつかの実施形態による、3eVにおけるアルゴン下でレーザ変換された例示的な酸化グラフェンのより高倍率のSEM写真を示す。図5Dはいくつかの実施形態による、3eVにおける酸素下でレーザ変換された例示的な酸化グラフェンの低倍率SEM写真を示す。図5Eはいくつかの実施形態による、3eVにおける酸素下でレーザ変換された例示的な酸化グラフェンの高倍率SEM写真を示す。図5Fはいくつかの実施形態による、3eVにおける酸素下でレーザ変換された例示的な酸化グラフェンのより高倍率のSEM写真を示す。
図6A】いくつかの実施形態による、例示的な3D-ts-グラフェンネットワーク(レーザスクライブされたCND300)の測定グラフを示す。いくつかの実施形態による、約633nmでの励起時に得られた例示的な3D-ts-グラフェンの典型的なラマンスペクトルである。
図6B】いくつかの実施形態による、例示的な3D-ts-グラフェンネットワーク(レーザスクライブされたCND300)の測定グラフを示す。いくつかの実施形態による、C1sピークに拡大した例示的なCND3001sのX線光電子分光スペクトルである。
図7】いくつかの実施形態による、633nmでの励起時のアルゴンおよび酸素下で還元された例示的なレーザ還元酸化グラフェンIrGOのラマンスペクトルを示す。
図8】いくつかの実施形態による、電解質として0.1M TBAPF/MeCN(ヘキサフルオロりん酸テトラブチルアンモニウム/アセトニトリル)中の、IrCND300(Ar)およびIrCND300(O)の薄膜で被覆された例示的な3つの二重層コンデンサのインピーダンスボード線図を示す。
図9】CND300の例示的な光分解メカニズムの例示である。
図10A図10A-10Fは、いくつかの実施形態による、0.1M TB APF溶液を含む電解質を含む例示的な3D-ts-グラフェン電気化学コンデンサの電気化学データを示す。図10Aは、いくつかの実施形態による、例示的な3D-ts-グラフェンの材料変換対レーザパワーおよび伝導率対レーザパワーのグラフである。
図10B図10A-10Fは、いくつかの実施形態による、0.1M TB APF溶液を含む電解質を含む例示的な3D-ts-グラフェン電気化学コンデンサの電気化学データを示す。図10Bは、いくつかの実施形態による、200、500、および1000mVs-1のスキャンレートで1.0Vの有効電位窓における例示的な3D-ts-グラフェンのサイクリックボルタモグラムである。
図10C図10A-10Fは、いくつかの実施形態による、0.1M TB APF溶液を含む電解質を含む例示的な3D-ts-グラフェン電気化学コンデンサの電気化学データを示す。図10Cは、いくつかの実施形態による、例示的な3D-ts-グラフェンの異なる電流密度での定電流充放電曲線である。
図10D図10A-10Fは、いくつかの実施形態による、0.1M TB APF溶液を含む電解質を含む例示的な3D-ts-グラフェン電気化学コンデンサの電気化学データを示す。図10Dは、いくつかの実施形態による、スキャンレートの関数としての、1つまたは3つの順次加えられた層を有する例示的な3D-ts-グラフェン電気化学コンデンサの特有の重量比容量および面積比容量である。
図10E図10A-10Fは、いくつかの実施形態による、0.1M TB APF溶液を含む電解質を含む例示的な3D-ts-グラフェン電気化学コンデンサの電気化学データを示す。図10Eは、いくつかの実施形態による、1つまたは3つの順次加えられた層を有する例示的な3D-ts-グラフェン電気化学コンデンサのナイキスト線図である。
図10F図10A-10Fは、いくつかの実施形態による、0.1M TB APF溶液を含む電解質を含む例示的な3D-ts-グラフェン電気化学コンデンサの電気化学データを示す。図10Fは、いくつかの実施形態による、商用活性炭素ベースのスーパーキャパシタ(Panasonic、5.5V/22mF)との比較における例示的な3D-ts-グラフェン電気化学コンデンサのインピーダンス位相角対周波数(ボード線図)である。
図11】いくつかの実施形態による、1.0MテトラブチルアンモニウムTBAPF/MeCN電解質を含む例示的な3D-ts-グラフェン電池、および商用エネルギー貯蔵デバイスの容積比エネルギーおよび電力密度のグラフである。
図12】いくつかの実施形態による、炭素ネットワークを含む電極を有する例示的なスーパーキャパシタの図である。
図13】いくつかの実施形態による、可撓性誘電体セパレータを有する可撓性金属箔基板上に配設された炭素ネットワークを含む例示的なスーパーキャパシタの例示である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本開示は、高表面積かつ優れた電気化学特性を有する乱層グラフェンを含む炭素ネットワークへの生体分子ベースの炭素ナノドット(CND)の変換のための容易な方法を提供する。乱層グラフェンを含む炭素ネットワーク、および乱層グラフェンを含む炭素ネットワークを含むエネルギー貯蔵デバイスが、本明細書においてさらに提供される。
【0027】
図1A図1Fによって、熱分解およびレーザ処理を介して乱層グラフェンにCNDを変換する方法が本明細書に開示される。図1Aは、例示的な合成されたCNDの図である。図1Bは、いくつかの実施形態による、CNDをCND300に変換する例示的な熱分解プロセスの図である。図1Cは、いくつかの実施形態による、基板上にCND300/NMP(N-メチル-2-ピロリドン)スラリーを加える例示的なプロセスの図である。図1Dは、いくつかの実施形態による、例示的なドクターブレード装置の図である。図1Eは、いくつかの実施形態による、NMPを蒸発させる例示的なプロセスの図である。図1Fは、いくつかの実施形態による、3次元乱層グラフェン(3D-ts-グラフェン)へのCND300のレーザを用いた変換の例示的なプロセスの図である。
【0028】
いくつかの実施形態では、レーザは、赤外線レーザである。例示的なレーザ処理チャンバが図2に示される。本明細書に示され開示される、単純な、費用効果がある、環境に優しい方法は、グラフェンベースの電極の容量と同様の容量を有する高性能電極を容易に生産することができる。いくつかの実施形態では、CNDを乱層グラフェンに変換する方法は、乱層グラフェンの階層的多孔質ネットワークを形成するためにCND/二酸化炭素(CO)プラズマ内で還元されたCNDの反応を用いる。
【0029】
いくつかの実施形態では、熱分解が小分子を用いて実施される。小分子は、例えば、クエン酸および尿素を含み得る。いくつかの実施形態では、小分子は、グラフェンを含まない。いくつかの実施形態では、アニーリングが、最大約400℃で実施される。アニーリングは、管状炉内で実施され得る。さらに、アニーリングは、無酸素環境内で実施され得る。方法は、CNDを基板上に加えることをさらに含み得る。
【0030】
いくつかの実施形態では、方法は、まず、マイクロ波支援熱分解およびアニーリングによってCNDを合成することを含む。いくつかの実施形態では、乱層グラフェンは、3D-ts-グラフェンを含む。いくつかの実施形態では、乱層グラフェンは、3次元開放型多孔質乱層グラフェンネットワークを含む。3D-ts-グラフェンネットワークは、臨界階層的多孔質構造および高表面積などの優れた電気化学特性を呈する。例えば、本明細書に提供される例示的な3D-tsグラフェンネットワークは、約9.4Fg-1の重量比容量、0.1Vs-1のスキャンレート、約870kWkg-1の電力密度で約7.5Wh/kgのエネルギー密度、および1.05msの時定数を有する非常に速い充放電サイクリングレートを有する、理想的な容量挙動を示す。3D-ts-グラフェンネットワークは、グラフェンエアロゲルおよびグラフェンフォームと同様の理想的な形態を呈する。
【0031】
[CNDの熱分解]
炭素ナノドットは、それらのコアにおける拡張π系およびそれらの表面上の様々な官能基を特徴とする。CNDの熱処理は、カルボン酸塩、アミド、およびヒドロキシル基などのこれらの官能基のいくつかの開裂を含む。典型的には、還元プロセスを伴うため、特に興味深いことは、脱炭酸である。
【0032】
いくつかの実施形態では、合成したままのCNDを高温で処理した。いくつかの実施形態では、合成したままのCNDを管状炉内で処理した。いくつかの実施形態では、合成したままのCNDを、それらの表面機能を改質するために無酸素状態で処理した。いくつかの実施形態は、脱気された材料の輸送を確実にするために試料にわたって一定のアルゴン流を用いることをさらに含んだ。図3Aでは、200℃~800℃の異なる温度で処理されたときのCNDの減量が示される。特に、キャリアガス(空気)内の酸素存在下では、例示的なCNDは、約500℃の温度で完全に分解する。無酸素状態では、約20%~約60%の連続的減量が、約200℃~約500℃で観察され、熱分解温度に対する恒量が、約500℃~約800℃で観察される。
【0033】
反応温度、およびその後の材料変換は、大気中の酸化剤としての酸素の存在に強く依存する。無酸素状態では、CND300からの官能基は、開裂して分離され得、炭素内の残りの電子は、π共役ネットワークを形成する。酸素存在下では、炭素は、前駆体CND300の共役骨格から除去され、COの形態での酸素(O)との反応の際に取り除かれる。
【0034】
例示的なCND試料は、異なる温度でCNDをアニーリングすることによって調製され、これらは、それらのアニーリング温度によって本明細書に示され、それによると、例えば、CND300は、約300℃でアニーリングされたCNDを表す。いくつかの実施形態では、より高温でのアニーリングは、水、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)、およびN-メチル-2-ピロリドン(NMP)などの、CNDに対して典型的に使用される極性溶媒中の可溶性の低下を引き起こす。例えば、CND300は、水中よりもDMSO、DMF、およびNMP中でより溶解し得る。CND350は、図3Aに示されるように、超音波処理または加熱を適用したとしても上述された溶媒中で微量だけ溶解し得る。一般に、全てのCNDは、トルエンまたはクロロホルムなどの非極性溶媒中で不溶である。
【0035】
図3Bは、C1s、N1sおよびO1s領域上での強調を伴う、熱分解されたCNDの例示的なX線光電子分光(XPS)スペクトルを示す。見られるように、温度上昇は、炭素を約57%から約70%を超えて増加させ得、それによると、O1sピークの密度は、徐々に減少し、これは、酸素含有官能基の排除を示す。さらに、300℃を超える温度では、O1sピークは、約530eVおよび約532eVで最大値を有する2つの分離ピークに視覚的に分割する。熱重量分析/質量分析によると、-OHおよびCOは、この温度領域内の主な脱離基であり得る。密度の減少はまた、約400eVでN1sピークに対して観察され得るが、しかしながら、約300℃を超える温度では、第2のピークが約400eVで発現し得る。C1s領域で、約100℃~約300℃の温度状況では、酸素結合炭素、C-OH、C=O、およびCOOHは、強度において連続的に減少し得る。特に、これらの中でも、COOHピークが、最も著しく消滅する。他のピークと比較して、sp-混成炭素ピークは、sp-混成炭素ピークのために温度上昇とともに成長し、約300℃を超える温度で支配的になる。
【0036】
XPSデータは、官能基の変換および黒鉛化の増加、つまり、CNDの熱分解処理の際のsp-混成の増加を示し得る。官能基、特に、カルボン酸塩の排除によって、CNDの可溶性が低下し得る。高官能化された炭素ドットから黒鉛化された炭素ドットへの転換点は、約300℃~約350℃の温度範囲で起こる。
【0037】
図3Cによって、約300℃を超える温度で熱分解された例示的なCNDのラマンスペクトルは、背景蛍光によって重ねられ、約1350cm-1および約1600cm-1でのピークが注目に値する。約250℃を超える、より高い熱分解温度では、蛍光が消滅し得、ピークがより顕著になり得る。小さいサイズの共役π系に起因して、Dバンドは、非常に極端であり得る。約1000cm-1~約1700cm-1のCNDのラマンスペクトルは、4つのピーク、すなわち、約1170cm-1、約1350cm-1、約1433cm-1、および約1585cm-1でD*-バンド、D-バンド、D**-バンド、およびG-バンドを含む。D*-バンドおよびD**バンドは、無定形炭素およびナノ結晶ダイヤモンドまたはCH-リッチ相を有する試料中に見出され得る。
【0038】
アニーリングの際、混成炭素膜内のsp-炭素がsp-炭素に変態し、それによると、熱分解温度の上昇に伴って、特に約1170cm-1でのsp-信号が、徐々に低下することが見出される。例えば、CND200は、D*領域およびD領域内で高強度を示すが、CND250についてD*およびDの両方の強度は、非常に小さい場合がある。Dピークが、sp-炭素などの欠陥部位の近くの二重共鳴散乱プロセスに由来するため、その強度は、これらの信号に関する。
【0039】
図3DのX線回折パターンに示されるように、無定形基の存在にかかわらず、結晶相の長距離秩序のみが検出される。全ての試料において、26°2θ範囲のピークが検出され、グラファイト(002)信号が典型的に生じ、各試料のグラファイト状炭素の存在を示す。例示的な試料は、ピーク幅がやや広いため、高い無秩序度を示し得る。約100℃~約300℃のより低温範囲では、ピークは温度上昇に伴って鋭くなる。約300℃を超える温度では、ピークが再び広くなり、追加の広いピーク11°2θが発現し、これは、酸化グラファイトの(002)平面間隔に由来する典型的な偏向角である。この傾向は、温度上昇に伴って、CNDが秩序を獲得し得、材料の長距離秩序が劇的に変化する閾値を通過することを示す。これらの結果は、大部分のsp-混成炭素を有する非常に無秩序であるCNDが、大きい格子間隔を有する適度に秩序化されたグラファイト状材料に変換することを提案する。
【0040】
図3Eのフーリエ変換赤外分光(FT-IR)スペクトルによって、グラファイト状材料への高度に官能化されたCNDの変態もまた観察可能である。比較性を確保するために、全てのスペクトルを約1840cm-1および約1580cm-1で正規化した。約2793cm-1および約3173cm-1で最大化する幅広い吸収が、OH振動に割り当てられる。よく見ると、NH伸縮振動に割り当てられる約3336cm-1および約3443cm-1での2つのピークの存在が明らかになる。これらの両方は、より高い熱分解温度で徐々に消える。約1578cm-1および約1694cm-1で最大値を有する大きい二頂ピークは、芳香族炭素のC=C伸縮振動、ならびに、カルボン酸、カルボン酸塩、およびアミドから生じるカルボニル(C=0)に起因する。約1000cm-1~約1700cm-1領域のピークは、典型的には、C-OH、C-O-C、-C=O、および-COOHなどの酸化官能基に割り当てられる。例えば、約1046cm-1および約1248cm-1でのピークは、C-O-C(エポキシド)およびC-OHの面外振動に割り当てられる。約1144cm-1および約1180cm-1でのピークは、C-N伸縮またはC-O-C面外振動のいずれかに関し得る。CND350およびCND400の顕著な吸収は、約1578cm-1および1046cm-1に現れ、芳香族C=CおよびC-O-C伸縮振動が共鳴している。さらに、約2850cm-1および約2928cm-1でのC-H伸縮振動は、同様の強度で全ての試料に存在する。-OH、-NHおよび-COOHなどの官能基の段階的排除は、より高い熱分解温度によるこれらの基の減少に関する特徴としてFT-IRスペクトルに反映される。約1000cm-1~約1250cm-1領域での酸化グラフェン(002)、O1s XPS信号の散乱およびFT-IR吸収について一般的である、CND350およびCND400についての11°2θでのX線回折ピークに関して、エポキシドの形態の酸素結合が、>300℃での熱分解の際にグラファイト状ナノ粒子の層間に残ると想定される。酸化グラフェンが還元された状態でも、これらのピークは、依然として現れる。
【0041】
これらの熱分解されたCND試料のナノグラファイトの性質は、大きい拡張グラフェンネットワークへの変換のための好適な前駆体を作製する。一般に、可溶性は、試料の加工性に対する重要な基準であるが、しかしながら、官能基の量および性質は、それらの反応性のために重大である。
【0042】
[レーザ誘起変換]
CND300の例示的な膜を、アルミニウム、銅、ポリエチレンテレフタレート、またはガラスなどの異なる基板上に形成した。CND300のスラリーを、約2:3(CND300/NMP)の比で、NMP中で調製した。スラリーは、均質な膜を達成するためにドクターブレードによって基板上に加えられ得る。続いて、図1Fに示されるように、膜を赤外線レーザで照射した。材料に対する変化は、肉眼で見ることができ、それによると、材料の大部分が除去され、茶色がかった色から黒色への変化が起こる。一例では、初期投入のCND300材料の最大約60%を除去した。非照射CND300とは対照的に、照射された断片は、DMSO、NMPおよびDMFなどの典型的な溶媒に不溶性であり得る。
【0043】
レーザ照射の際のCND300膜の形態的変化は、図4Aに提示される走査型電子顕微鏡(SEM)写真に示される。レーザ照射されたCND300膜は、数十ナノメートル~数十ミクロンの範囲の平均孔径の海綿状階層的多孔質構造を呈する。一実施形態では、炭素ネットワークは、10ナノメートル(nm)~100nmの範囲の平均孔径を有する多孔質である。別の実施形態では、炭素ネットワークは、100nm~500nmの範囲の平均孔径を有する多孔質である。さらに別の実施形態では、炭素ネットワークは、500nm~1000nmの範囲の平均孔径を有する多孔質である。また別の実施形態では、炭素ネットワークは、1000nm~10,000nmの範囲の平均孔径を有する多孔質である。またさらに別の実施形態では、炭素ネットワークは、10,000nm~100,000nmの範囲の平均孔径を有する多孔質である。
【0044】
炭素の超薄層が、図4Bの例示的な3D-ts-グラフェンの高倍率写真に見られる。見られるように、細孔は、グラフェンの少しの層のみからなる炭素壁によって分離される。さらに、乱層性質、および層のランダム配向が、図4Cの高倍率透過型電子顕微鏡写真に見られる。
【0045】
図5A図5FのSEM写真では、小さい差異を含む同じ主要な構造的特徴が、反応媒体とは無関係に観察される。より多くの開放気孔が、図5A図5Cによるアルゴン雰囲気下でレーザ焼結されたIrCND300の表面上よりも、図5D図5Fによる酸素雰囲気下でレーザ焼結されたIrCND300の表面上で見出される。
【0046】
例示的な3D-ts-グラフェンは、ダイ吸収方法によって決定された、約230m/gの活性表面積を呈し、これは、グラフェンフォームまたはエアログラフェンなどの他の開放型多孔質炭素ネットワークと並ぶ。例示的なCND300試料のTEM写真は、約数ナノメートルの単位の個々の粒子、および約50nmのサイズを有する凝集粒子を示す。
【0047】
ラマンスペクトルは、ラマンマップを形成するために、試料の異なるスポットに記録され、図6Aに示される。膜の大部分について、乱層グラフェンの典型的なラマンパターンは、約1131cm-1、1582cm-1、1617cm-1、2461cm-1、2655cm-1、および2922cm-1で、D-バンド、G-バンド、D´-バンド、D+D”バンド、G´-バンドおよびD+Gバンドを伴って観察される。G´バンドを、約49cm-1の半値全幅を有するシングルローレンツで適合した。理想的な単層、二層、または三層グラフェンは、約2700cm-1で約24cm-1のFWHMをシングルローレンツまたは一組の区別可能なローレンツのいずれかを示す。D-バンドおよびD´-バンドの両方の高い強度は、材料内の大量の欠陥部位を示し得る。前駆体材料、つまり、CND300の小径を考慮すると、エッジ状態が、欠陥部位の大半を占める。
【0048】
レーザスクライブされたCND300のグラフェン性質はまた、図6BのXPSスペクトルに反映される。スペクトルは、C1s領域で強い信号、N1sおよびO1s領域で無視できる信号を示す。さらに、C1s領域は、C=C炭素に割り当てられる、約295.9eVで最大化するシングルガウス-ローレンツピークによって正確に適合された。C1s、O1s、およびN1sピークエリアから、89%炭素、8%酸素、および3%窒素の元素組成が決定された。
【0049】
材料の全体的な乱層グラフェン様性質の追加の形跡は、粉末X線回折パターンに由来する。CND300に対する比較では、(002)ピークは、26.9°から26.0°2θにシフトされ、これは、個々の層の分離を示す。さらに、22.8°の追加の肩部および約15°まで下がる尾部が現れ、これは、積層されたグラフェン層の回転変位に関して予期される。
【0050】
全ての試料のラマンパターンは、図7に見られるように、同じピークのセット、すなわち、それぞれ、~1329、~1578、~1609、および~2652cm-1でのD-ピーク、G-ピーク、D´ピーク、およびG´-ピークを示す。DバンドおよびD´-バンドの強度は、グラファイト状格子内に欠陥に関する。特に、酸素下で還元された試料、lrCND300(O)は、著しく強化されたD-バンドを示し、これは、大量の欠陥を示している。1584(lrCND300(O))から1581cm-1(lrCND300(Ar))への3cm-1のG-バンドの深色シフトが記されており、これは、反応媒体としてOからArへの転換時の電子密度の増加を示す。
【0051】
図7は、いくつかの実施形態による、633nmでの励起時のアルゴンおよびO下で還元された例示的なレーザ還元酸化グラフェンIrGOのラマンスペクトルを示す。見られるように、G-バンドは、電子ドーピングおよび結晶性ドメインに敏感であり得、それによると、G-バンドのダウンシフトは、グラフェン/グラファイトの伝導バンド内への電子密度のシフト、またはグラファイト状試料中のsp-相のより高度の結晶性のいずれかに由来する。アンドープグラファイトでは、G-バンドは、典型的には、約1580cm-1に位置する。酸素含有官能基は、電子トラップ状態を提供し、共役sp-ネットワークから電子密度を引き出す。
【0052】
開始材料としてより小径のCND300を考慮すると、結果物である3D炭素ネットワークは、よりナノ結晶性質を呈することが予期される。IrCND300の還元中のOの存在は、sp-炭素へのオキシ官能化炭素のより高い反応温度およびより高い変換比をもたらし得、より少ない数のオキシ欠陥およびより高い結晶性を結果的にもたらす。IrCND300の結果的な材料特性に対する反応環境内の酸素の影響は、識別可能ではない場合がある。IrCND300(Ar)では、シート伝導率は、約248S/mの伝導率を有するIrCND300(O2)と比較して、約295S/mの伝導率を有してわずかに高い。
【0053】
図8は、いくつかの実施形態による、電解質として0.1Mヘキサフルオロりん酸テトラブチルアンモニウム/アセトニトリル(TBAPF/MeCN)中の、IrCND300(Ar)およびIrCND300(O)の薄膜で被覆された例示的な3つの二重層コンデンサのインピーダンスボード線図を示す。電気化学インピーダンス分光法によって決定される、サイクリックボルタンメトリ(CV)および周波数応答によって決定される、静電容量についてのデバイス性能は、6M水酸化カリウム、および0.1M TBAPF6/MeCNの密封対称コンデンサアセンブリを含む、異なる電解質系で測定された。
【0054】
見られるように、lrCND300(O)およびlrCND300(Ar)で被覆された電極を有する両方のスーパーキャパシタアセンブリは、純粋に容量性挙動を示し得るが、しかしながら、CV曲線の形状は、hCND300(O)よりもhCND300(Ar)に関する方がより矩形である。hCND300(O)によると、より高い静電容量が達成され、分極効果は、lrCND300(Ar)について約84°およびhCND300(O)について約79°のより高い最大位相角を表示する。意義深いことに、約1.05msおよび約1.95msの短い緩和時間が、lrCND300(Ar)およびlrCND300(O)について、それぞれ、測定された。容量性挙動の周波数領域は、120Hzで約78°の位相角がIrCND300(Ar)で到達され、IrCND300(O)では約60°のみであるため、lrCND300(O)よりもIrCND300(Ar)に関して著しく高い。
【0055】
膜の目視検査は、上層および底層の構造における顕著な差異を示し、それによると、上層が剥がされると、基板上の茶色がかった層が残り、これは、可溶性の上層とは対照的である。底層のラマン分析は、それが未変換CND300を含み得、それによると、そのような層が、基板または膜の厚さにかかわらずに形成され得ることを明らかにした。基盤の熱伝導率の影響は、アルミニウム、金、銅、またはグラファイトなどの異なる金属基板を用いて、ならびに、ポリエチレンテレフタレート、ガラス、または二酸化シリコンなどの断熱基板を用いて同じ結果が得られるため除外される。これらの発見に基づいて、形成メカニズムは、高パワー赤外線レーザビームによるCNDの照射の際に多孔質3D-ts-グラフェンネットワークを形成する、図9に例示されるように、仮定された。
【0056】
CND300が基板上に加えられると、表面上の極性基が、配位結合または水素結合を介して基板に結合し得る。レーザ照射は、他の酸化炭素材料と同様に、上にあるCNDの脱炭酸を誘起し得る。二酸化炭素がCND周辺から除去されると、還元されたCNDコアが残る。これらの還元されたCNDは、基板に結合されていないとき、移動性であり、新たなC-C結合を形成することによって他の還元されたCNDと反応する。このようにして、還元されたCNDは、COと一緒にCNDプラズマを形成し、より低温のゾーンで反応する。ホットプラズマの束は、階層的多孔質構造の形成を可能にする。仮定されたメカニズムの確証が、SEM写真の典型的な柱状3D-ts-グラフェンに示される。
【0057】
CND300から3D-ts-グラフェンへの品質および変換比は、レーザパワー、次いで、エネルギー入力に強く依存する。例示的なCND300膜のアレイを、異なるレーザパワーで照射し、次いで、ラマン分光法によって分析した。約4W~約8Wの低レーザパワー状況では、ラマン分光法は、3D-ts-グラフェンの形跡を示さない場合があるが、官能基の排除を原因とし得る、背景蛍光強度の減少を追加的に示し得る。約8Wを超えるレーザパワーでは、CND300は、3D-ts-グラフェンに変換される。特に、レーザパワーを上昇させると、ラマンスペクトルのD-ピークおよびG-ピークが鋭くなり、欠陥に関するピーク、すなわち、DピークおよびD´-ピークの両方が、強度においてかなり減少する。これは、変換された3D-ts-グラフェンの欠陥密度の劇的な改善を示す。しかしながら、底層は、全ての試料で未変換のままである。図10Aは、レーザによって変換された例示的な材料の重量パーセンテージ、および光分解後の膜内に残る材料の重量パーセンテージのグラフを示し、それによると、より高いレーザパワーは、より多くの材料を変換および除去し得、変換は、約12Wを超えるレーザパワーを使用して達成されている。
【0058】
CND300は、大量の状態でも3D-ts-グラフェンに変換され得る。大量の状態でもCND300を3D-ts-グラフェンに変換する例示的な方法では、CND300粉末の光分解された産物は、別個のガラス瓶内に回収され、NMPを用いて数回洗浄されて、未反応材料が除去された。例示的な洗浄されたバルク粉末試料のラマンスペクトルは、約1323cm-1、1570cm-1、1604cm-1、および2636cm-1で鋭いD-バンド、G-バンド、D´バンド、およびG´-バンドを有する乱層グラフェンの重畳信号、ならびに、約1324cm-1、1469cm-1、および1574cm-1でDバンド、D**バンド、およびGバンドを有する無定形構造を示した。例示的なバルク試料におけるG´バンドのFWHMは、約74cm-1である。
【0059】
[電気化学特性評価および最適化]
3D-ts-グラフェン膜の階層的多孔質構造は、溶媒および電解質にアクセス可能である非常に高い表面積を可能にし、それによると、3D-ts-グラフェン膜の電子特性は、膜厚およびレーザパワーを含む、いくつかのパラメータに依存する。
【0060】
図10Aに示されるように、グラフェン膜の伝導率は、レーザパワーおよび変換比の両方に比例する。膜の伝導率は、プラズマ内で還元されたCND300の良好な相互接続によって達成され得る、変換された炭素ドット(CND300)間の相互接続に依存し得る。一般に、より高い伝導率は、より高いレーザパワーを使用して達成されるが、単層の約2.13S/cm(213S/m)の最大伝導率は、少なくとも約16Wのパワーで達成される。約12W未満のレーザパワーを用いて生成された膜は、大量の未変換材料に起因して、非常に高い内部抵抗を示す。このように、増加したパワーは、より高い局所温度でのCND300から3D-ts-グラフェンへのより多くの変換に起因して、より良好な相互接続を生成する。例示的なCND300試料のラマンスペクトルから、CND300の変換は、約8Wを超えるレーザパワーで有効であり、グラフェンの品質は、欠陥を誘起するD-バンドおよびD´バンドが減少するため、より高いレーザパワーで向上する。
【0061】
しかしながら、過剰なレーザパワーは、CNDプラズマ中のより高い局所温度に起因して、より多くの材料を除去し、次いで、全体性能を低下させ得る。それゆえに、約12W~約20Wのレーザパワーが、高品質膜を生成するために最適である。一例では、可能な限り最高の材料変換は、12.8Wのパワーで3回の照射によって生じる。
【0062】
膜の伝導率は、第1の層に加工された溝の充填を確保するために、2つ以上の層を順次レーザ変換することによって、198S/cmまで2桁の大きさでさらに増加した。
【0063】
例示的な電極を、約1.8cmの面積に対して約0.05mg(0.03mg/cm)の質量負荷で製作し、アセトニトリル中のTB APF6の0.1M溶液の電解質を用いて、密封コイン型電池内での実際の条件下で試験した。電解質として1.0M硫酸を用いて基準測定を実施した。
【0064】
例示的な3D-ts-グラフェン電極のサイクリックボルタモグラムは、1Vの有効電位窓において、図10Bに示される、擬似矩形形状を有し、それによると、形状は、0.1Vs-1~100Vs-1の異なるスキャンレートで維持される。アセトニトリル中のTBAPF6を使用すると、この擬似矩形形状は、最大2.5Vまでのより大きい電圧範囲で維持された。このより大きい電圧窓では、特有の重量比容量(Cm)および容積比容量(CV)は、0.1Vs-1のスキャンレートでCm=9.3Fg-1およびCV=31mFcm-3であるように計算された。この好ましい容量性挙動はまた、図10Cにプロットされた、定電流充放電曲線の擬似矩形形状に反映され、50A/g~2000A/gの電流密度範囲内で維持されている。20,000サイクル後、電極は、その静電容量の約94.6%を保持した。スキャンレートの関数としての重量比容量および面積比容量が、3D-ts-グラフェンの1つの層および別の3つの順次加えられた層を含む電極を有する2つの例示的な3D-ts-グラフェン電池について図10Dに示される。3つの層を順次加える際、面積比容量は、約3の係数で増加し、それによると、追加の材料が、第1の層のレーザ加工された溝内に充填され、全体平均孔径を減少させ、したがって、面積比容量を増加させる。
【0065】
100Ag-1の電流密度で約0.02Vのみの3層電池の非常に小さい内部抵抗の低下が、放電曲線の開始時に観察され、約4.05Ωの等価直列抵抗がこれに由来する。この値は、図10Eおよび図10Fに示される電気化学インピーダンス分光法で確認される。図10Eのナイキスト線図は、100kHz~0.1MHzの周波数範囲について1つまたは3つの順次加えられる層を有する2つの例示的な3D-ts-グラフェン電気化学コンデンサの直接比較を提示する。両方の例示的な電極では、半円は、高周波数領域で観察されず、これは、本質的に電荷移動抵抗がないことを示す。
【0066】
図10Fでは、例示的な3層3D-ts-グラフェン電池の電気化学インピーダンスデータが、商用の活性炭素ベースコンデンサと比較されている。約3.44ms(位相角=45°で291Hz)の緩和時間を有する3D-ts-グラフェン電池の高速充放電レートが注目に値する。約864kW/kgの電力密度で約7.5Wh/kgの重量比エネルギー密度が決定された。これらの値は、炭素フォームおよびホーリーグラフェンなどの他の開放型多孔質炭素構造と比較可能である。容積パラメータに関して、電池は、図11のエネルギー対電力密度プロットに示されるように良好な性能を呈する。商用のアルミニウムベースコンデンサとの比較では、3D-ts-グラフェン電池は、同様の充放電レートを有するが、かなり高いエネルギー密度を有する。
【0067】
全体として、3D-ts-グラフェン電極に基づく電気化学電池は、特に、調製プロセスの単純さに関して、スーパーキャパシタの用途に対する有望な挙動を示す。静電容量に関する改善は、活性炭素に関して得られる1405m/gの値と比較して小さい、特有の表面積を増大させることによって達成可能であると期待される。
【0068】
図12は、本開示の炭素ネットワークからなる電極を有する例示的なスーパーキャパシタの図である。図13は、本開示によって製作された、実現されたスーパーキャパシタの例示である。
【0069】
このように、3D乱層グラフェンネットワーク、ならびに、クエン酸および尿素に基づいてボトムアップ合成された炭素ナノドットの熱分解および赤外線レーザ処理を組み合わせることによって3D乱層グラフェンを形成する方法が本明細書に提供され、それによると、上昇した赤外線温度処理は、CNDの表面上の官能基を除去し、ヒドロキシルは、エポキシ基に変換する。後続のレーザ処理中、熱分解されたCNDは、3D-ts-グラフェンに変換される。階層的多孔質ネットワークは、レーザビーム中で熱分解されたCNDの脱炭酸の際に両方形成する、還元されたCNDおよびCOを含有するホットCNDプラズマの束において形成する。例示的な3D-ts-グラフェンネットワークに基づく電極は、0.1Vs-1で得られる9.37Fg-1の特有の重量比容量、調整可能な面積比容量、および3.44msの緩和時間を含む極端に高速な充電レートを有する、有望な容量性能を示す。3次元グラフェンネットワークを形成する本明細書の方法は、単純であり、安価な小分子前駆体を使用して3次元グラフェン材料の一工程製作を可能にする。さらに、レーザ支援技術は、潜在的用途について現在研究中である非常に小さい特徴サイズのパターン化表面の生成を可能にする。
【実施例
【0070】
[実施例1-炭素ナノドット合成]
クエン酸(5g)および尿素(5g)を脱イオン水(7.5mL)中で溶解させた。反応混合物を有するビーカーを、溶媒が蒸発するまで家庭用電子レンジ(700W)で加熱した。異なるスケールで実施された反応は、同一生成物を得る。全ての実験では、クエン酸と尿素との間の比を一定に維持した。この反応からのCNDを、管状炉内で175℃~800℃の異なる温度で熱分解した。合成したままのCNDを含有する反応容器、典型的には、石英またはアルミナを管状炉の中央に配置した。炉を6K/分の加熱速度で最終温度まで加熱し、最終温度で2時間維持した。アルゴン、窒素、または空気のガス流を、ガス状の反応生成物を除去するために使用した。
【0071】
[実施例2-電極製作]
図2による、レーザ反応チャンバを製作し、これは、ガス出口の反対側のガス入口、および蓋内の2インチのセレン化亜鉛窓を備える。試料をチャンバの中央に配置した。COレーザ(10.6μm)を窓を通してガス反応チャンバ内に放射し、一方で0.1L/秒の連続ガス電流を反応中にガス入口内に挿入した。
【0072】
[実施例3-電極製作]
炭素ナノドットまたは熱分解されたCND(CND300)をNMP中で溶解させて、40/60のCND/NMP比を有する、より高い粘着性のスラリーを得た。スラリーをドクターブレードによって基板上に投入した。次に、湿潤膜をホットプレート上で200℃で乾燥させた。乾燥膜を、異なるパワー設定で全スペクトルレーザ彫刻機を使用して、40W COレーザ(10.6μm)を用いて照射した。CND300の2つの追加の層を順次加えてレーザ変換した。レーザ変換されたCND300(3D-ts-グラフェン)の粉末試料を、変換された膜からガラス瓶内に回収して、NMPを用いて洗浄した。溶媒を試料に添加し、懸濁液を30分間撹拌し、次いで、懸濁液を遠心分離した。遠心分離後、未反応CND300を含有する上澄部を除去し、沈殿物を、上澄部が透明になるまで繰り返し洗浄した。電気化学コンデンサを、15mmの電極直径を有するコイン型電池の2つの電極構成に組み立てた。電極を、コイン型電池に典型的に使用されるステンレス鋼上、またはアルミニウム箔上のいずれかに直接製作した。アルミナ被覆ポリエチレン膜をセパレータとして使用した。
【0073】
[実施例4-特性評価]
フーリエ変換赤外線分光法を、単一反射ATRユニットが取り付けられたJasco製のFT/IR-4100 FT-IR分光計上で実施した。X線回折パターンを、CuKa放射線を使用してBruker製のD8 Discover粉末X線回折計上で記録した(λ=1.5406Å)。ラマンスペクトルを、個々のスペクトルモードまたはマッピングモードのいずれかで、Renishaw In Viaラマン顕微鏡を用いて記録した。走査型電子顕微鏡観察を、3または5kVの電子加速電圧でFEI Nova 230 Nano SEM上で実施した。試料を、アルミニウムまたは銅箔のいずれかの導電性基板上で調製した。透過型電子顕微鏡観察を、120kVの加速電圧でFEI製のT12 TEM上で実施した。透過型電子顕微鏡観察試料を、レース状炭素支持されたTEMグリッド上へのエタノール中の3D-ts-グラフェン粉末の5μL希釈分散体を滴下投入することによって調製した。X線光電子分光スペクトルを、単色Al Kα X線源(hv=1486.6eV)を備えるKratos Axis Ultra DLD分光計を使用して記録した。高解像度スペクトルを、284.6eVの既知のC1s結合エネルギーを有する炭素テープ(Ted Pella)を使用して較正した。未処理データを、CasaXPSソフトウェア(バージョン2.3.16)を使用して処理した。C1sスペクトルを、それぞれの試料の金属特性を反映するために非対称線形状を用いて適合されたspC-C成分を除く、全てのスペクト成分にガウス-ローレンツ線形状を使用して適合した。
【0074】
[実施例5-活性表面積の決定]
CND300および3D-ts-グラフェンの活性表面積を、メチレンブルー吸着法によって決定した。要するに、一定量のCND300または3D-ts-グラフェンを、24時間、既知の濃度で脱イオン水中のメチレンブルー(MB)の溶液中で撹拌した。溶液を、次いで、16kGで遠心分離して、任意の懸濁浮遊物を除去した。表面に吸着されたMB分子の数を、基準溶液に対する665nmでの吸着の差異から計算した。MB分子毎に、1.35nmの活性表面積を占有するとみなされる。活性炭素を基準として使用した。MBに関与する全ての実験について、ポリプロピレンビーカーおよびガラス瓶を使用した。
【0075】
[実施例6-電気化学特性評価]
電気化学特性は、Biologic VMP3電気化学ワークステーションを用いて実行された。伝導率測定を、シリコン基板上でレーザ変換された膜を用いて実施した。溶液ベース測定を、Ag/Ag+基準電極および白金ワイヤ対電極を使用する3つの電極構成を用いて実施した。電気化学コンデンサを、15mmの電極直径を有するコイン型電池に組み立て、密封条件下で試験した。容積比容量(CV)および重量比容量(C)は、次のとおりである。
【数1】
または次式によるCV曲線の統合による。
【数2】
式中、∫IdVは、0V~1VのCV曲線の面積であり、vは、Vs-1単位のスキャンレートであり、Vは、立方センチメートル単位の電極の体積であり、mは、活性電極材料の質量であり、(E-E)は、ボルト単位の電位走査窓である。特有の重量比エネルギー密度または容積比エネルギー密度を、次式によって計算した。
【数3】
特有の重量比電力密度または容積比電力密度を、次式を使用して得た。
【数4】
【0076】
当業者は、本開示に対する改善および修正を認識するであろう。全てのそのような改善および修正は、本明細書に開示された概念の範囲内であると考えられる。
【0077】
[用語および定義]
別途定義されない限り、本明細書に使用される全ての技術的用語は、本開示が属する分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。
【0078】
本明細書に使用される際、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈が別途明示しない限り、複数の参照を含む。本明細書の「または」に対する任意の参照は、別途記載されない限り、「および/または」を包含する。
【0079】
本明細書に使用される際、「約(about)」という用語は、記載された量の10%、5%、または1%の近傍である量を指し、その中の増分を含む。本明細書に使用される際、「約(about)」という用語は、パーセンテージに対する参照として使用されるとき、列記された値からプラスまたはマイナス10%、5%、または1%内のパーセンテージを指し、その中の増分を含む。
【0080】
本明細書に使用される際、「炭化」という用語は、生体材料の酸化中に起こる無数の複雑なプロセスに対する説明を指す。
【0081】
本明細書に使用される際、「乱層グラフェン」という用語は、層のうちの少なくとも2つの間の相対回転を有する、複数の層を含むグラフェン構造を指す。
【0082】
本明細書に使用される際、「誘電体」という用語は、印加された電解によって極性化され得る電気絶縁体を指す。以下に出願時の特許請求の範囲の記載を転記する。
(1)a.第1の電極と、
b.誘電体によって前記第1の電極から分離された第2の電極と、を備える、エネルギー貯蔵デバイスであって、
前記第1の電極および前記第2の電極のうちの少なくとも一方が、乱層グラフェンを含む炭素ネットワークを含み、前記エネルギー貯蔵デバイスは、最大約8ミリ秒の充放電サイクルレート時定数を有する、エネルギー貯蔵デバイス。
(2)前記炭素ネットワークが、多孔質である、(1)に記載のエネルギー貯蔵デバイス。
(3)前記炭素ネットワークが、約10ナノメートル(nm)~約10,000nmの平均孔径を有する、(2)に記載のエネルギー貯蔵デバイス。
(4)前記炭素ネットワークが、約90%の炭素、約8%の酸素、および窒素の元素組成を有する、(3)に記載のエネルギー貯蔵デバイス。
(5)前記第1の電極および前記第2の電極のうちの少なくとも一方が、少なくとも約100平方メートル/グラムの活性表面積を有する、(1)に記載のエネルギー貯蔵デバイス。
(6)前記第1の電極および前記第2の電極のうちの少なくとも一方が、少なくとも約200ジーメンス/メートルの電気伝導率を有する、(1)に記載のエネルギー貯蔵デバイス。
(7)少なくとも約860キロワットの電力密度で少なくとも約3ワットアワー/キログラムのエネルギー密度を有する、(1)に記載のエネルギー貯蔵デバイス。
(8)少なくとも約4ファラド/グラムの特有の重量比容量を有する、(1)に記載のエネルギー貯蔵デバイス。
(9)少なくとも約30ミリファラド/平方センチメートルの特有の容積比容量を有する、(1)に記載のエネルギー貯蔵デバイス。
(10)約20,000充放電サイクル後に少なくとも約94%の容量を維持する、(1)に記載のエネルギー貯蔵デバイス。
(11)炭素ネットワークを合成する方法であって、
a.溶媒中に炭素ナノドット(CND)を溶解させて、CNDスラリーを形成することと、
b.前記CNDスラリーを基板上に投入することと、
c.前記基板上で前記CNDスラリーを乾燥させて、CND膜を形成することと、
d.光ビームを用いて前記CND膜を照射して、前記CND膜の少なくとも一部分を乱層グラフェンに変換することと、を含む、方法。
(12)前記光ビームを用いて前記CND膜を照射することが、所定時間無酸素環境中で所定温度で実施される、(11)に記載の方法。
(13)前記所定温度が、約200℃~約400℃であり、前記所定時間が、約1時間~約3時間である、(12)に記載の方法。
(14)前記溶媒が、有機液体である、(11)に記載の方法。
(15)前記有機液体が、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)である、(14)に記載の方法。
(16)前記CNDスラリーが、約40/60のCND対NMP比を有する、(15)に記載の方法。
(17)前記光ビームが、レーザによって生成される、(11)に記載の方法。
(18)前記レーザが、二酸化炭素レーザである、(17)に記載の方法。
(19)前記光ビームのパワーレベルが、約8ワット(W)~約13Wである、(17)に記載の方法。
(20)前記光ビームのパワーレベルが、約12W~約13Wである、(17)に記載の方法。
(21)前記溶媒中に前記CNDを溶解させる前にクエン酸および尿素から前記CNDを合成することをさらに含む、(11)に記載の方法。
(22)前記乱層グラフェンが、少なくとも約230平方メートル/グラムの活性表面積、および少なくとも約200ジーメンス/メートルの電気伝導率を有する、(11)に記載の方法。
(23)前記炭素ネットワークが、多孔質であり、約10ナノメートル(nm)~約100,000nmの平均孔径を有する、(11)に記載の方法。
(24)前記炭素ネットワークが、約89%の炭素、約8%の酸素、および約3%の窒素の元素組成を有する、(11)に記載の方法。
(25)少なくとも約230平方メートル/グラムの活性表面積、および少なくとも約200ジーメンス/メートルの電気伝導率を有する乱層グラフェンを含む、炭素ネットワーク。
(26)前記炭素ネットワークが、多孔質であり、約10ナノメートル(nm)~約100,000nmの平均孔径を有する、(25)に記載の炭素ネットワーク。
(27)前記炭素ネットワークが、約89%の炭素、約8%の酸素、および窒素の元素組成を有する、(25)に記載の炭素ネットワーク。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10A
図10B
図10C
図10D
図10E
図10F
図11
図12
図13