(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-11
(45)【発行日】2023-05-19
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
A63F 7/02 20060101AFI20230512BHJP
【FI】
A63F7/02 326Z
A63F7/02 334
(21)【出願番号】P 2021012713
(22)【出願日】2021-01-29
【審査請求日】2022-02-07
(73)【特許権者】
【識別番号】599104196
【氏名又は名称】株式会社サンセイアールアンドディ
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】大内 章史
(72)【発明者】
【氏名】山田 輝彦
(72)【発明者】
【氏名】近藤 憲吾
【審査官】河本 明彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-139294(JP,A)
【文献】特開2019-010374(JP,A)
【文献】特開2015-142616(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
A63F 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の制御手段と第2の制御手段とを備え、
前記第1の制御手段は、
所定の第1状態に設定されている場合、当該第1の制御手段と前記第2の制御手段とを繋ぐ特定の通信部を用いて、第1の情報を前記第2の制御手段に出力し、
前記第1状態とは異なる第2状態に設定されている場合、前記特定の通信部を用いて、前記第1の情報とは異なる第2の情報を前記第2の制御手段に出力するものであ
り、
前記第2の制御手段は、
前記第1状態および前記第2状態を含む複数の状態のうちの何れかに前記第1の制御手段を設定する状態設定信号を、前記第1の制御手段に出力可能であり、
前記第1の制御手段は、
前記第1状態に設定するための第1の前記状態設定信号が入力された場合、前記特定の通信部を用いて、前記第1の情報を前記第2の制御手段に出力し、
前記第2状態に設定するための第2の前記状態設定信号が入力された場合、前記特定の通信部を用いて、前記第2の情報を前記第2の制御手段に出力するものであることを特徴とする遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ遊技機等の遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
パチンコ遊技機等の遊技機では、種々の演出が行われることで遊技興趣が高められている。演出には、モータやセンサ、LEDなどの電気部品が用いられており、これらの電気部品は制御手段により制御されている(下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、演出として趣向を凝らしたものを行う場合等には、その制御負担を考慮して、複数の制御手段を搭載することが考えられる。この場合、複数の制御手段を繋ぐ限られた通信部で、いかにして十分な情報を通信するかが問題となる。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものである。すなわち、その課題とするところは、限られた通信部でも多くの情報を複数の制御手段間で通信可能な遊技機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る遊技機は、
第1の制御手段と第2の制御手段とを備え、
前記第1の制御手段は、
所定の第1状態に設定されている場合、当該第1の制御手段と前記第2の制御手段とを繋ぐ特定の通信部を用いて、第1の情報を前記第2の制御手段に出力し、
前記第1状態とは異なる第2状態に設定されている場合、前記特定の通信部を用いて、前記第1の情報とは異なる第2の情報を前記第2の制御手段に出力するものであり、
前記第2の制御手段は、
前記第1状態および前記第2状態を含む複数の状態のうちの何れかに前記第1の制御手段を設定する状態設定信号を、前記第1の制御手段に出力可能であり、
前記第1の制御手段は、
前記第1状態に設定するための第1の前記状態設定信号が入力された場合、前記特定の通信部を用いて、前記第1の情報を前記第2の制御手段に出力し、
前記第2状態に設定するための第2の前記状態設定信号が入力された場合、前記特定の通信部を用いて、前記第2の情報を前記第2の制御手段に出力するものであることを特徴とする遊技機である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、限られた通信部でも多くの情報を複数の制御手段間で通信可能な遊技機を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施形態に係る遊技機の斜視図である。
【
図2】同遊技機が備える遊技機枠の分解斜視図である。
【
図6】同遊技機が備える第2大入賞装置を概略的に示す正面図である。
【
図7】
図4に示すA部分の拡大図であり、同遊技機が備える表示器類を示す図である。
【
図8】同遊技機が備える可動体ユニットとベース枠との関係を示す斜視図である。
【
図9】
図8に示す可動体ユニットの分解斜視図である。
【
図10】
図9に示す連結板とリンクユニットとを示す斜視図である。
【
図11】(A)は枠顔可動体が待機位置から移動し始めた状態を示す図であり、(B)は枠顔可動体が
図11(A)に示す状態よりも動作位置の方へ回転している状態を示す図である。
【
図12】(A)は枠耳可動体が退避位置にある状態を示す図であり、(B)は枠耳可動が露出可能位置にある状態を示す図であり、(C)は枠耳可動体が露出位置にある状態を示す図である。
【
図13】(A)は枠顎可動体が閉鎖位置にある状態を示す図であり、(B)は枠顎可動体が開放位置にある状態を示す図である。
【
図14】枠顔可動体が動作位置にあるときの遊技機の斜視図である。
【
図15】枠顔可動体が動作位置にあるときの遊技機の正面図である。
【
図16】同遊技機の遊技制御基板側の電気的な構成を示すブロック図である。
【
図17】同遊技機の演出制御基板側の電気的な構成を示すブロック図である。
【
図18】同遊技機の駆動制御基板側の電気的な構成を示すブロック図である。
【
図19】製造時の検査を行う場合の電気的な構成を示すブロック図である。
【
図21】遊技制御用マイコンが取得する各種乱数を示す表である。
【
図22】(A)は大当たり判定テーブルであり、(B)はリーチ判定テーブルであり、(C)は普通図柄当たり判定テーブルであり、(D)は普通図柄変動パターン選択テーブルである。
【
図24】電チューの開放パターン決定テーブルである。
【
図25】メイン側タイマ割り込み処理のフローチャートである。
【
図26】サブ制御メイン処理のフローチャートである。
【
図27】サブ側1msタイマ割り込み処理のフローチャートである。
【
図29】サブ側10msタイマ割り込み処理のフローチャートである。
【
図30】受信コマンド解析処理のフローチャートである。
【
図31】変動演出開始処理のフローチャートである。
【
図33】駆動用CPU割り込み処理のフローチャートである。
【
図34】駆動用CPU入力処理のフローチャートである。
【
図35】駆動用CPU出力処理のフローチャートである。
【
図36】(A)製造時の検査において位置センサが正常である場合の表示画面6aの図である。(B)製造時の検査において位置センサに異常がある場合の表示画面6aの図である。(C)製造時の検査において駆動用ROMが正常である場合の表示画面6aの図である。(D)製造時の検査において駆動用ROMに異常がある場合の表示画面6aの図である。
【
図37】変更例に係る遊技機の電気的な構成を示すブロック図である。
【
図38】変更例に係る駆動用CPU出力処理のフローチャートである。
【
図39】他の変更例に係る遊技機の電気的な構成を示すブロック図である。
【
図40】他の変更例に係る駆動用CPU出力処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
1.遊技機の構造
本発明の一実施形態であるパチンコ遊技機について、図面に基づいて説明する。なお、以下の説明において遊技機の一例としてのパチンコ遊技機の各部の左右方向は、そのパチンコ遊技機に対面する遊技者にとっての左右方向に一致させて説明する。また、パチンコ遊技機の各部の前方向をパチンコ遊技機に対面する遊技者に近づく方向とし、パチンコ遊技機の各部の後方向をパチンコ遊技機に対面する遊技者から離れる方向として、説明する。
【0010】
図1に示すように、パチンコ遊技機1は、当該パチンコ遊技機1の外郭を構成する遊技機枠50を備えている。遊技機枠50は、外枠51と内枠52と前枠(ガラス扉枠)53とを備えている。外枠51は、遊技機枠50の外郭を構成する縦長方形状の枠体である。内枠52は、外枠51の内側に配置されていて、縦長方形状の枠体である。前枠53は、内枠52の前方側に配置されていて、縦長方形状のものである。
【0011】
前枠53の下方部は、
図1に示すように、右側の下部に回転角度に応じた発射強度で遊技球を発射させるためのハンドル60を備え、後部に遊技球を貯留する打球供給皿(上皿)61を備え、ハンドル60よりも左方に打球供給皿61に収容しきれない遊技球を貯留する余剰球受皿(下皿)62を備えている。また上皿61よりも前方には、遊技の進行に伴って実行される演出時等に遊技者が操作し得る演出ボタン63(操作手段)やセレクトボタン68が設けられている。
【0012】
なお外枠51の下端の前面側には、左右方向に長い長方形状の幕板51aが配されている。本形態では、外枠51及び内枠52が遊技機枠50の「基枠部」に相当し、前枠53が遊技機枠50の「前枠部又は開閉枠部」に相当する。
【0013】
遊技機枠50は、左端側にヒンジ部54を備えている。
図2に示すように、ヒンジ部54により、前枠53は外枠51及び内枠52に対してそれぞれ回動自在になっていて、内枠52は外枠51及び前枠53に対してそれぞれ回動自在になっている。前枠53の中央には開口部分53aが形成されていて、この開口部分53aに透明のガラス板55が取付けられる。これにより遊技者は、ガラス板55を通して、ガラス板55の後方を視認できるようになっている。前枠53は、
図2に示すように、後方側にベース枠56を備えている。
【0014】
また前枠53は、
図3に示すように、前方側に上側装飾部200と左側装飾部210と右側装飾部220と操作機構部230とを備えている。これら上側装飾部200と左側装飾部210と右側装飾部220と操作機構部230とは、ベース枠56に対して着脱可能に取付けられている。
【0015】
上側装飾部(上部装飾部)200は、遊技機枠50(前枠53)の上部を装飾するものである。上側装飾部200は、
図3に示すように、左右方向の中央に可動体ユニット201を備え、左側に左側装飾体ユニット202Lを備え、右側に右側装飾体ユニット202Rを備えている。左側装飾体ユニット202Lと右側装飾体ユニット202Rとを総称する場合、装飾体ユニット202と言う。可動体ユニット201は、パチンコ遊技機1のモチーフとなっている作品の主人公キャラに変形可能なものである。装飾体ユニット202は、内部に装飾体を備えたユニットであり、前方に向かって斜め上方に傾斜した状態でベース枠56に取付けられている。
【0016】
左側装飾部210は、遊技機枠50(前枠53)の左側を装飾するものである。右側装飾部220は、遊技機枠50の右側を装飾するものである。右側装飾部220は、剣部材221と、剣部材221の下側を収容可能な鞘部材222とを備えている。
【0017】
操作機構部230(遊技媒体貯留部)は、遊技や演出を進行するための操作機構を備えるものである。操作機構部230は、上述したハンドル60と上皿61と下皿62と演出ボタン63とセレクトボタン68とを備えている。
【0018】
ところで
図3に示すように、遊技場の島設備において鉛直方向に起立した垂直壁面SHのうちパチンコ遊技機1の上方には、データカウンタ160が配されている。データカウンタ160は、垂直壁面SHに固定されている固定部材161と、この固定部材161に対して前傾姿勢になるように傾動可能に取付けられているデータ表示装置162とを備えている。
【0019】
データ表示装置162は、後述する大当たり遊技状態の発生回数や高確率状態の発生回数等を表示する略直方体形状のものである。またデータ表示装置162は、遊技者がホールの従業員を呼ぶための呼び出しボタン等を有している。このデータカウンタ160では、垂直壁面SHに対するデータ表示装置162の前傾角度を15度から25度まで可変できるようになっている。なお上側装飾部200の後部は、データ表示装置162が最大の25度の角度で前傾している場合であっても、データ表示装置162に当接しない形状になっている。
【0020】
また上側装飾部200、左側装飾部210、右側装飾部220、及び操作機構部230には、様々な発光色で発光可能な枠ランプ66が多数設けられている。
【0021】
次に、
図4を参照して遊技盤2について説明する。遊技盤2は、遊技機枠50の内部に配されていて、内枠52に取付けられている。遊技盤2の前面側は、前枠53に保護されている。
図4に示すように、遊技盤2の前面側には、鉛直方向に起立した遊技面2aが形成されている。この遊技面2aの前方に、ハンドル60の操作により発射された遊技球が流下する遊技領域3が、レール部材4で囲まれて形成されている。また遊技盤2には、様々な発光色で発光可能な盤ランプ5が多数設けられている。なお遊技盤2は、前側に配されている板状部材と、後側に配されている裏ユニット(後述する各種制御基板、第1画像表示装置6、第2画像表示装置7、ハーネス等を取付けるユニット)とが一体化されたものである。
【0022】
遊技盤2の遊技面2aには、遊技球を誘導する複数の遊技釘(図示省略)が突設されている。また遊技面2aよりも後方には、液晶表示装置である第1画像表示装置(第1表示手段)6が配されている。第1画像表示装置6は、鉛直方向に起立した状態で固定されている。
【0023】
第1画像表示装置6の表示画面6aには、演出図柄(装飾図柄)8L,8C,8Rの変動表示を行う演出図柄表示領域がある。演出図柄表示領域は、例えば「左」「中」「右」の3つの図柄表示エリアからなる。左の図柄表示エリアには左演出図柄8Lが表示され、中の図柄表示エリアには中演出図柄8Cが表示され、右の図柄表示エリアには右演出図柄8Rが表示される。演出図柄はそれぞれ、例えば「1」~「9」までの数字をあらわした複数の図柄からなる。第1画像表示装置6は、左、中、右の演出図柄の組み合わせによって、大当たり抽選の結果を、わかりやすく表示する。
【0024】
例えば大当たりに当選した場合には「777」などのゾロ目で演出図柄を停止表示する。また、はずれであった場合には「263」などのバラケ目で演出図柄を停止表示する。これにより、遊技者にとっては遊技の進行状況の把握が容易となる。つまり遊技者は、一般的には大当たり抽選の結果を第1画像表示装置6にて把握する。なお、図柄表示エリアの位置は固定的でなくてもよい。また、演出図柄の変動表示の態様としては、例えば上下方向にスクロールする態様がある。また、各抽選結果に応じてどのような演出図柄の組み合わせを停止表示するかは任意に変更可能である。
【0025】
第1画像表示装置6は、上記のような演出図柄を用いた演出図柄変動演出(「装飾図柄変動演出」や単に「変動演出」ともいう)のほか、大当たり遊技に並行して行われる大当たり演出や、客待ち用のデモ演出などを表示画面6aに表示する。なお演出図柄変動演出では、数字等の演出図柄のほか、背景画像やキャラクタ画像などの演出図柄以外の演出画像も表示される。
【0026】
図4に示すように、遊技領域3の中央付近であって第1画像表示装置6の前方には、センター装飾体10が配されている。センター装飾体10の下部には、上面を転動する遊技球を、後述の第1始動口20へと誘導可能なステージ部11が形成されている。またセンター装飾体10の左下方には、入口から遊技球を流入させ、出口からステージ部11へ遊技球を流出させるワープ部12が設けられている。
【0027】
遊技領域3における第1画像表示装置6の下方には、第1始動口(第1始動入賞口、第1入球口、固定始動口)20を備える固定入賞装置19が設けられている。第1始動口20は、遊技球の入球し易さが常に変わらない入賞口である。第1始動口20への遊技球の入賞は、第1特別図柄の抽選(大当たり抽選、すなわち大当たり乱数等の取得と判定)の契機となっている。
【0028】
また第1始動口20の下方には、第2始動口(第2始動入賞口、第2入球口、可変始動口)21を備える普通可変入賞装置(いわゆる電チュー)22が設けられている。第2始動口21は、遊技球の入球し易さが変化可能な入賞口である。なお本形態の第2始動口21は、上下方向且つ前後方向に延びる平面で形成される開口部分である。第2始動口21への遊技球の入賞は、第2特別図柄の抽選の契機となっている。
【0029】
電チュー22は、前後方向に進退可能な可動部材(入球口開閉部材)23を備え、可動部材23の作動によって第2始動口21を開閉するものである。可動部材23は、第2始動口21は、可動部材23が前方に進出しているとき(つまり開状態であるとき)だけ遊技球が入球可能となる。つまり、可動部材23が前方に進出しているときに、流下する遊技球が可動部材23の上側に当接すると、左方へ誘導される。これにより、遊技球が第2始動口21に入球可能となる。
【0030】
一方、第2始動口21は、後方に退避しているとき(つまり閉状態であるとき)には遊技球が入球不可能となる。つまり、可動部材23が後方に退避しているときには、流下する遊技球が可動部材23に当接しない。これにより、遊技球は第2始動口21に入球することなく、後述するアウト口16へ向かう。なお、第2始動口21は、可動部材23が閉状態にあるときには開状態にあるときよりも遊技球が入球困難となるものであれば、可動部材23が閉状態であるときに完全に入球不可能となるものでなくても良い。
【0031】
また第1画像表示装置6の表示画面6aには、第1特図保留の数に応じて演出保留画像9Aを表示する第1演出保留表示エリア9aと、第2特図保留の数に応じて演出保留画像9Bを表示する第2演出保留表示エリア9bとがある。第1特図保留とは、第1始動口20への入球に基づく大当たり抽選が保留されていることを意味する。第2特図保留とは、第2始動口21への入球に基づく大当たり抽選が保留されていることを意味する。演出保留画像9A,9Bの表示により、第1特図保留の数および第2特図保留の数を、遊技者にわかりやすく示すことが可能となっている。
【0032】
また第1始動口20の右斜め上方には、第1大入賞口(第1特別入賞口)30を備えた第1大入賞装置(第1特別可変入賞装置)31が設けられている。第1大入賞装置31は、開状態と閉状態とをとる開閉部材(第1特別入賞口開閉部材)32を備え、開閉部材32の作動により第1大入賞口30を開閉するものである。第1大入賞口30は、開閉部材32が開いているとき(つまり開状態であるとき)だけ遊技球が入球可能となる。
【0033】
また第1大入賞口30の上方には、遊技球が通過可能なゲート(通過領域)28が設けられている。ゲート28への遊技球の通過は、電チュー22を開放するか否かを決める普通図柄抽選(すなわち普通図柄乱数(当たり乱数)の取得と判定)の実行契機となっている。
【0034】
また、ゲート28の右斜め上方には、第2大入賞口(第2特別入賞口)35を備えた第2大入賞装置(第2特別可変入賞装置)36が設けられている。第2大入賞装置36は、開状態と閉状態とをとる開閉部材(第2特別入賞口開閉部材)37を備え、開閉部材37の作動により第2大入賞口35を開閉するものである。第2大入賞口35は、開閉部材37が開いているときだけ(つまり開状態であるとき)だけ遊技球が入球可能となる。
【0035】
また
図4に示すように、遊技盤2の左下部には表示器類40が配置されている。また遊技領域3の左下部や右下部には、普通入賞口27が設けられている。また遊技領域3の最下部には、遊技領域3へ打込まれたもののいずれの入賞口にも入賞しなかった遊技球を遊技領域3外へ排出するアウト口16が設けられている。
【0036】
このように各種の入賞口等が配されている遊技領域3には、左右方向の中央より左側の左遊技領域(第1遊技領域)3Aと、右側の右遊技領域(第2遊技領域)3Bとがある。左遊技領域3Aを遊技球が流下するように遊技球を発射する打方を、左打ちという。一方、右遊技領域3Bを遊技球が流下するように遊技球を発射する打方を、右打ちという。本形態のパチンコ遊技機1では、左打ちにて遊技したときに遊技球が流下し得る流路を、第1流路W1といい、右打ちにて遊技したときに遊技球が流下する流路を、第2流路W2という。
【0037】
第1流路W1上には、普通入賞口27と、第1始動口20と、第2始動口21と、アウト口16とが設けられている。遊技者は左打ちをすることで、第1始動口20への入賞を狙う。なお、第1流路W1を流下した遊技球が第2始動口21へ入賞することは、ほとんどないように構成されている。
【0038】
一方、第2流路W2上には、第2大入賞装置36と、第1大入賞装置31と、普通入賞口27と、第2始動口21と、アウト口16とが設けられている。遊技者は右打ちをすることで、第2大入賞口35への入賞(特定領域39への通過)、ゲート28への通過、又は第1大入賞口30への入賞、又は第2始動口21への入賞を狙う。
【0039】
また本形態のパチンコ遊技機1には、
図4及び
図5に示すように、第1画像表示装置6よりも上方に第2画像表示装置(第2表示手段)7が設けられている。第2画像表示装置7の表示画面7aでは、第1画像表示装置6の表示画面6aで実行される演出図柄変動演出、大当たり演出、客待ち用のデモ演出などに合わせて、背景画像やキャラクタ画像など様々な演出画像が表示されるようになっている。なお本形態では、第1画像表示装置6の表示画面6aと第2画像表示装置7の表示画面7aとが連係してシームレスな画像を表示することができるし、互いに独立して別々な画像を表示することもできる。
【0040】
第2画像表示装置7は、
図5に示すように、前方に向かって斜め上方に傾斜した状態で固定されている。そして、第2画像表示装置7の表示画面7aの上部7bは、遊技盤2の遊技面2aよりも前方に飛び出ている。これにより遊技者には、より近い位置で表示画面7aの上部7bを見せることが可能である。更に、第2画像表示装置7の表示画面7aの上部7bは、
図4に示すように、遊技領域3の上端よりも上方に飛び出ている。これにより遊技者には、遊技領域3の外側でも表示画面7aの上部7bを見せることが可能である。こうして本形態では、第1画像表示装置6の表示画面6aと第2画像表示装置7の表示画面7aとにより、斬新な表示画面が形成されていて、遊技者には広範囲且つ近い距離で演出画像を見せることが可能である。その結果、表示画面6a,7aで表示される演出画像のインパクトを高めることが可能である。
【0041】
また
図5に示すように、遊技盤2の遊技面2aよりも後方には、盤可動体(装飾可動体)15が設けられている。盤可動体15は、第1画像表示装置6の表示画面6aよりも前方で変位可能なものである。盤可動体15は、前方からほとんど視認不可能な原点位置から、第1画像表示装置6の表示画面6aの中央の前方に現われる駆動位置に移動可能である。
【0042】
図6(A)に示すように、第2大入賞装置36の内部には、第2大入賞口35を通過した遊技球が通過可能な特定領域(V領域)39および非特定領域70が形成されている。なお、第2大入賞装置36において、特定領域39および非特定領域70の上流には、第2大入賞口35への遊技球の入賞を検知する第2大入賞口センサ35aが配されている。また、特定領域39には、特定領域39への遊技球の通過を検知する特定領域センサ39aが配されている。また、非特定領域70には、非特定領域70への遊技球の通過を検知する非特定領域センサ70aが配されている。また、第2大入賞装置36は、第2大入賞口35を通過した遊技球を特定領域39または非特定領域70のいずれかに振り分ける振分部材71と、振分部材71を駆動する振分部材ソレノイド73とを備えている。振分部材71は、左右方向に進退するものであり、右方に退避した退避状態(第1状態)又は左方に進出した進出状態(第2状態)をとる。
【0043】
図6(A)は、振分部材ソレノイド73の通電時を示している。
図6(A)に示すように、振分部材ソレノイド73の通電時には、振分部材71は特定領域39への遊技球の通過を許容する第1状態にある。振分部材71が第1状態にあるときは、第2大入賞口35に入賞した遊技球は、第2大入賞口センサ35aを通過したあと特定領域39を通過する。この遊技球のルートを第1のルートという。
【0044】
図6(B)は、振分部材ソレノイド73の非通電時を示している。
図6(B)に示すように、振分部材ソレノイド73の非通電時には、振分部材71は特定領域39への遊技球の通過を妨げる第2状態にある。振分部材71が第2状態にあるときは、第2大入賞口35に入賞した遊技球は、第2大入賞口センサ35aを通過したあと振分部材71の上面を転動して非特定領域70を通過する。この遊技球のルートを第2のルートという。
【0045】
なお本パチンコ遊技機1では、特定領域39への遊技球の通過が後述の高確率状態への移行の契機となっている。つまり特定領域39は、確変作動口となっている。これに対して非特定領域70は、確変作動口ではない。また、第1大入賞装置31には、確変作動口としての特定領域は設けられていない。すなわち非特定領域しか設けられていない。
【0046】
図7に示すように、表示器類40には、第1特別図柄(識別図柄の一例)を可変表示する第1特別図柄表示器41a、第2特別図柄(識別図柄の一例)を可変表示する第2特別図柄表示器41b、及び、普通図柄(普図)を可変表示する普通図柄表示器42が含まれている。また表示器類40には、第1特別図柄表示器41aの作動保留(第1特図保留)の記憶数を表示する第1特図保留表示器43a、第2特別図柄表示器41bの作動保留(第2特図保留)の記憶数を表示する第2特図保留表示器43b、および普通図柄表示器42の作動保留(普図保留)の記憶数を表示する普図保留表示器44が含まれている。
【0047】
第1特別図柄の可変表示は、第1始動口20への遊技球の入賞を契機として行われる。第2特別図柄の可変表示は、第2始動口21への遊技球の入賞を契機として行われる。なお以下の説明では、第1特別図柄(特
図1)および第2特別図柄(特
図2)を総称して特別図柄(特図)ということがある。また第1特図保留および第2特図保留を総称して特図保留ということがある。また、第1特別図柄表示器41aおよび第2特別図柄表示器41bを総称して特別図柄表示器41ということがある。また、第1特図保留表示器43aおよび第2特図保留表示器43bを総称して特図保留表示器43ということがある。
【0048】
特別図柄表示器41では、特別図柄を可変表示したあと停止表示することにより、第1始動口20又は第2始動口21への入賞に基づく抽選(特別図柄抽選、大当たり抽選)の結果を報知する。停止表示される特別図柄(停止図柄、可変表示の表示結果として導出表示される特別図柄)は、特別図柄抽選によって複数種類の特別図柄の中から選択された一つの特別図柄である。停止図柄が予め定めた特定特別図柄(特定の停止態様の特別図柄すなわち大当たり図柄)である場合には、停止表示された特定特別図柄の種類に応じた開放パターンにて第1大入賞口30又は第2大入賞口35を開放させる特別遊技(大当たり遊技)が行われる。
【0049】
特別図柄表示器41は、例えば横並びに配された8個のLEDから構成されており、その点灯態様によって大当たり抽選の結果に応じた特別図柄を表示するものである。例えば大当たり(後述の複数種類の大当たりのうちの一つ)に当選した場合には、「○○●●○○●●」(○:点灯、●:消灯)というように左から1,2,5,6番目にあるLEDが点灯した大当たり図柄を表示する。また、ハズレである場合には、「●●●●●●●○」というように一番右にあるLEDのみが点灯したハズレ図柄を表示する。ハズレ図柄として全てのLEDを消灯させる態様を採用してもよい。また、特別図柄が停止表示される前には所定の変動時間にわたって特別図柄の変動表示(可変表示)がなされるが、その変動表示の態様は、例えば左から右へ光が繰り返し流れるように各LEDが点灯するという態様である。なお変動表示の態様は、各LEDが停止表示(特定の態様での点灯表示)されていなければ、全LEDが一斉に点滅するなどなんでもよい。なお本形態では、第1特別図柄又は第2特別図柄の変動表示及び停止表示に同期して、第1画像表示装置6の表示画面6aにて演出図柄8L,8C,8Rの変動表示及び停止表示が行われる。
【0050】
本パチンコ遊技機1では、第1始動口20または第2始動口21への遊技球の入賞(入球)があると、その入賞に対して取得した大当たり乱数等の各種乱数の値(入賞情報に相当)は、一旦記憶される。詳細には、第1始動口20への入賞であれば第1特図保留として記憶され、第2始動口21への入賞であれば第2特図保留として記憶される。記憶可能な第1特図保留の数又は第2特図保留の数には上限があり、本形態における上限値はそれぞれ4個となっている。
【0051】
記憶された特図保留は、その特図保留に基づく特別図柄の可変表示が可能となったときに消化される。特図保留の消化とは、その特図保留に対応する大当たり乱数等を判定して、その判定結果を示すための特別図柄の可変表示を実行することをいう。従って本パチンコ遊技機1では、第1始動口20または第2始動口21への遊技球の入賞に基づく特別図柄の可変表示がその入賞後にすぐに行えない場合、すなわち特別図柄の可変表示の実行中や特別遊技の実行中に入賞があった場合であっても、所定個数を上限として、その入賞に対する大当たり抽選の権利を留保することができるようになっている。
【0052】
そしてこのような特図保留の数は、特図保留表示器43に表示される。具体的には第1特図保留表示器43aと第2特図保留表示器43bは、それぞれ4個のLEDで構成されており、それぞれ第1特図保留又は第2特図保留の数だけLEDを点灯させることにより、第1特図保留又は第2特図保留の数を表示する。
【0053】
普通図柄の可変表示は、ゲート28への遊技球の通過を契機として行われる。普通図柄表示器42では、普通図柄を可変表示したあと停止表示することにより、ゲート28への遊技球の通過に基づく普通図柄抽選の結果を報知する。停止表示される普通図柄(普図停止図柄、可変表示の表示結果として導出表示される普通図柄)は、普通図柄抽選によって複数種類の普通図柄の中から選択された一つの普通図柄である。停止表示された普通図柄が予め定めた特定普通図柄(所定の停止態様の普通図柄すなわち普通当たり図柄)である場合には、現在の遊技状態に応じた開放パターンにて第2始動口21を開放させる補助遊技が行われる。
【0054】
普通図柄表示器42は、例えば2個のLEDから構成されており、その点灯態様によって普通図柄抽選の結果に応じた普通図柄を表示するものである。例えば抽選結果が当たりである場合には、「○○」(○:点灯、●:消灯)というように両LEDが点灯した普通当たり図柄を表示する。また抽選結果がハズレである場合には、「●○」というように右のLEDのみが点灯した普通ハズレ図柄を表示する。普通ハズレ図柄として全てのLEDを消灯させる態様を採用してもよい。普通図柄が停止表示される前には所定の変動時間にわたって普通図柄の変動表示(可変表示)がなされるが、その変動表示の態様は、例えば両LEDが交互に点灯するという態様である。なお変動表示の態様は、各LEDが停止表示(特定の態様での点灯表示)されていなければ、全LEDが一斉に点滅するなどなんでもよい。
【0055】
本パチンコ遊技機1では、ゲート28への遊技球の通過があると、その通過に対して取得した普通図柄乱数(当たり乱数)の値は、普図保留として一旦記憶される。記憶可能な普図保留の数には上限があり、本形態における上限値は4個となっている。
【0056】
記憶された普図保留は、その普図保留に基づく普通図柄の可変表示が可能となったときに消化される。普図保留の消化とは、その普図保留に対応する普通図柄乱数(当たり乱数)を判定して、その判定結果を示すための普通図柄の可変表示を実行することをいう。従って本パチンコ遊技機1では、ゲート28への遊技球の通過に基づく普通図柄の可変表示がその通過後にすぐに行えない場合、すなわち普通図柄の可変表示の実行中や補助遊技の実行中に入賞があった場合であっても、所定個数を上限として、その通過に対する普通図柄抽選の権利を留保することができるようになっている。
【0057】
そしてこのような普図保留の数は、普図保留表示器44に表示される。具体的には普図保留表示器44は、4個のLEDで構成されており、普図保留の数だけLEDを点灯させることにより普図保留の数を表示するものである。
【0058】
2.枠可動部材の構成
次に
図8~
図15に基づいて、枠可動部材の構成について説明する。本形態では、枠可動部材が、遊技機枠50(前枠53)に複数取付けられていて、それぞれ駆動手段(モータ)の駆動力によって移動可能になっている。なお枠可動部材とは、遊技盤2側ではなく、遊技機枠50側に取付けられている可動部材を意味する。
【0059】
可動体ユニット201は、
図8に示すように、前枠53のベース枠56の上端に設けられている水平状の上壁部57に図示しないビスを用いて着脱可能になっている。この可動体ユニット201は、
図9に示すように、3分割できるものであり、上側蓋部材240と、上側蓋部材240の下方に配されるユニット本体250と、ユニット本体250の前側に組付けられる前側カバー260と、を備えている。ユニット本体250は、枠顔可動体400を備えている。
【0060】
前側カバー260は、
図9に示すように、起立していて、枠顔可動体400の前面側を隠すことができるように、左右方向に長く形成されている。また
図9に示すように、枠顔可動体400の下側には、下側カバー510が取付けられていて、枠顔可動体400の前側には、枠顎可動体600が取付けられている。
【0061】
ユニット本体250には、枠顔可動体400の他、
図10に示すように、連結板301と、枠顔可動体400を回転させるための左側リンクユニット302L及び右側リンクユニット302Rが設けられている。連結板301には、枠顔可動体400の移動を制御する枠中継基板137が取付けられている。
【0062】
左側リンクユニット302Lの構成と右側リンクユニット302Rの構成とは、左右対称で同様である。以下では、左側リンクユニット302Lの構成を代表して説明する。左側リンクユニット302Lは、枠顔可動体400を待機位置又は動作位置に移動可能にするものである。本形態では枠顔可動体400が待機位置にあるときには、枠顔可動体400を略水平状態にしていて、枠顔可動体400が示す主人公キャラの顔が見えないようになっている。一方、枠顔可動体400が動作位置にあるときには、枠顔可動体400を前方に向かって斜め上方に延びる傾斜状態にしていて、枠顔可動体400が示す主人公キャラの顔が見えるようになっている。
【0063】
左側リンクユニット302Lには、
図10に示すように、左側枠顔移動モータ311Lが取付けられている。左側枠顔移動モータ311Lは、枠顔可動体400を待機位置と動作位置との間で回転させるための回転駆動力を付与するものである。なお右側リンクユニット302Rには、右側枠顔移動モータが取付けられている。右側枠顔移動モータも、枠顔可動体400を待機位置と動作位置との間で回転させるための回転駆動力を付与するものである。
【0064】
左側リンクユニット302Lには、左側リンク部材340Lが取付けられている。また右側リンクユニット302Rには、右側リンク部材340Rが取付けられている。これらリンク部材340L,340Rに、枠顔可動体400が取付けられている。そして各リンク部材340L,340Rは、それぞれ左側枠顔移動モータ311L及び右側枠顔移動モータの駆動によって、軸中心O1及び軸中心O2周りに回転可能である。これにより、枠顔可動体400は、待機位置から動作位置へ移動する際に、
図11(A)(B)に示すように、前方に向かって主人公キャラの顔が起き上がるように移動(回転)可能である。
【0065】
図12(A)(B)に示すように、下側カバー510には、左側枠耳可動体500L及び右側枠耳可動体500Rが揺動可能且つ直動可能に組付けられている。左側枠耳可動体500Lと右側枠耳可動体500Rは、
図12(A)に示す退避位置と、
図12(B)に示す露出可能位置との間で左右方向に揺動可能であり、
図12(B)に示す露出可能位置と
図12(C)に示す露出位置との間で直動可能(直線状に移動可能)である。
【0066】
図12(C)に示すように、下側カバー510の左側には、左側枠耳移動モータ520Lが取付けられている。また下側カバー510の右側には、右側枠耳移動モータ520Rが取付けられている。左側枠耳移動モータ520Lと右側枠耳移動モータ520Rは、それぞれ左側枠耳可動体500Lと右側枠耳可動体500Rを、退避位置と露出可能位置との間で揺動させるための揺動力を付与すると共に、露出可能位置と露出位置との間で直動させるための直動駆動力を付与するものである。
【0067】
本形態では、枠顔可動体400が待機位置にあるときには(
図1参照)、左側枠耳可動体500Lと右側枠耳可動体500Rは、それぞれ退避位置にある。このとき左側枠耳可動体500Lと右側枠耳可動体500Rは、枠顔可動体400の中に隠れていて、枠顔可動体400の中から露出できないようになっている。その後、枠顔可動体400が待機位置から動作位置へ移動し終えると、左側枠耳可動体500Lと右側枠耳可動体500Rは、先ず退避位置から露出可能位置へ揺動する。これにより、左側枠耳可動体500Lと右側枠耳可動体500Rが枠顔可動体400の内部から上方へ突出可能な状態になる。そして、左側枠耳可動体500Lと右側枠耳可動体500Rは、露出可能位置から露出位置へ直動する。こうして左側枠耳可動体500Lと右側枠耳可動体500Rが、枠顔可動体400よりも上方に突出して露出するようになっている(
図14参照)。
【0068】
なお枠顔可動体400が動作位置から待機位置へ移動する場合には、以下のように動作する。即ち、先ず枠顔可動体400が動作位置にある状態で、左側枠耳可動体500Lと右側枠耳可動体500Rが露出位置から露出可能位置へ直動する。そして、左側枠耳可動体500Lと右側枠耳可動体500Rが露出可能位置から退避位置へ揺動する。こうして、左側枠耳可動体500Lと右側枠耳可動体500Rを枠顔可動体400の内部に収納した後で、枠顔可動体400が動作位置から待機位置へ移動するようになっている。
【0069】
図13(A)(B)に示すように、枠顎可動体600は、枠顔可動体400に対して傾動(回転)可能に組付けられている。本形態では枠顎可動体600が
図13(A)に示す閉鎖位置と、
図13(B)に示す開放位置との間で傾動(回転)可能である。
図13(A)に示すように、枠顎可動体600が閉鎖位置にあるときには、枠顔可動体400が示す主人公キャラの口が閉じている印象を与えることが可能である。一方
図13(B)に示すように、枠顎可動体600が開放位置にあるときには、枠顔可動体400が示す主人公キャラの口が開いている印象を与えることが可能である。
【0070】
図13(A)(B)に示すように、動作位置にあるときの枠顔可動体400の下側に、枠顎移動モータ610が取付けられている。枠顎移動モータ610は、枠顎可動体600を閉鎖位置と開放位置との間で回転(傾動)させるための回転駆動力を付与するものである。
【0071】
図14は、枠顔可動体400が動作位置にあるときの本パチンコ遊技機1の斜視図であり、
図15は、枠顔可動体400が動作位置にあるときの本パチンコ遊技機1の正面図である。枠顎可動体600は、
図15に示すように、枠顔可動体400が動作位置にあるときに限り、閉鎖位置と開放位置との間で傾動するようになっている。
【0072】
3.遊技機の電気的構成
次に
図16~
図18に基づいて、本パチンコ遊技機1における電気的な構成を説明する。
図16に示すように、パチンコ遊技機1は、電力を供給する電源基板150、大当たり抽選や遊技状態の移行などの遊技利益に関する制御を行う遊技制御基板(主制御基板)80、遊技球の払い出しに関する制御を行う払出制御基板170等を備えている。遊技制御基板80は、払出制御基板170と共に、メイン制御部を構成する。
【0073】
電源基板150(電力供給手段)は、パチンコ遊技機1の外部からAC24Vの電源を入力して、AC24Vの電源に基づいてパチンコ遊技機1の動作に必要な各種電圧(DC5V,DC12V,DC18V,DC24V,DC37V)の電力(電源)を生成するものである。なおDC5Vの電力は主に、各種の集積回路(IC)の電源として用いられる。またDC12Vの電力は主に、各種のセンサやソレノイドの電源として用いられる。またDC18Vの電力は主に、各種のLEDの電源として用いられる。またDC24Vの電力とDC37Vの電力は主に、演出用のモータ(駆動手段)の電源として用いられる。
【0074】
電源基板150は、生成した電力を、先ず払出制御基板170に供給する。そして生成した電力を、払出制御基板170を介して遊技制御基板80と後述の演出制御基板90に供給する。更に生成した電力を、払出制御基板170と遊技制御基板80と演出制御基板90を介してその他の機器に対して供給するようになっている。
【0075】
また電源基板150には、電源スイッチ155(電力切替部)が接続されている。電源スイッチ155は、外部から供給されるAC24Vの電源に基づいて電力を供給可能な投入状態(ON状態)、又は電力を供給不能な遮断状態(OFF状態)に切替可能なものである。つまり、電源スイッチ155は、ON操作又はOFF操作により、電源の投入又は電源の遮断を切替えるものであり、電源スイッチ155がON操作されると投入状態になり、電源スイッチ155がOFF操作されると遮断状態になる。なお、電源スイッチ155がON状態である場合、パチンコ遊技機1は電源投入状態であり、電源スイッチ155がOFF状態である場合、パチンコ遊技機1は電源遮断状態である。
【0076】
また電源基板150には、押下操作可能なRAMクリアスイッチ151(RAMクリア操作手段)が設けられている。RAMクリアスイッチ151は、後述する遊技制御用マイコン81の遊技用RAM84に記憶されている遊技の進行に係る情報(例えば高確率状態などの遊技状態の情報、特図保留や大当たりの当否判定の結果などの情報、後述する遊技用CPU82の処理情報)を消去するためのものである。
【0077】
図16に示すように、遊技制御基板80には、プログラムに従ってパチンコ遊技機1の遊技の進行を制御する遊技制御用ワンチップマイコン(以下「遊技制御用マイコン」)81が実装されている。遊技制御用マイコン81には、遊技の進行を制御するためのプログラム等を記憶した遊技用ROM(Read Only Memory)83、ワークメモリとして使用される遊技用RAM(Random access memory)84、遊技用ROM83に記憶されたプログラムを実行する遊技用CPU(Central Processing Unit)82、データや信号の入出力を行うための遊技用I/O(Input/Output)ポート部87が含まれている。
【0078】
遊技用RAM84には、特図保留記憶部85(第1特図保留記憶部85aおよび第2特図保留記憶部85b)が設けられている。第1特図保留記憶部85aは、記憶可能な第1特図保留の数に対応した4つの記憶領域からなる。また第2特図保留記憶部85bは、記憶可能な第2特図保留の数に対応した4つの記憶領域からなる。各記憶領域は4つの記憶領域に分かれている。これらの4つの記憶領域とは、後述の大当たり乱数を記憶する領域、当たり種別乱数を記憶する領域、リーチ乱数を記憶する領域、及び変動パターン乱数を記憶する領域である。また遊技用RAM84には、普図保留記憶部86が設けられている。普図保留記憶部86は、記憶可能な普図保留の数に対応した記憶領域からなる。各記憶領域は、普通図柄乱数を記憶する領域である。また遊技制御基板80上には、
図16に示すように、ベース表示器89が設けられている。ベース表示器89は、遊技に伴って遊技制御用マイコン81により演算されるベースを表示するものである。ベースは、遊技に伴う累積の賞球数を、累積の排出球数(遊技領域3から排出される排出球の累積数)で除した値を百分率で表したものである。なお、累積の発射球数は、遊技領域3に発射された発射球数の累積数でもある。
【0079】
また遊技制御基板80には、
図16に示すように、中継基板88を介して各種センサやソレノイドが接続されている。そのため、遊技制御基板80には各センサから信号が入力され、各ソレノイドには遊技制御基板80から信号が出力される。具体的にはセンサ類としては、第1始動口センサ20a、第2始動口センサ21a、ゲートセンサ28a、第1大入賞口センサ30a、第2大入賞口センサ35a、特定領域センサ39a、非特定領域センサ70a、および普通入賞口センサ27aが接続されている。
【0080】
第1始動口センサ20aは、第1始動口20内に設けられて第1始動口20に入賞した遊技球を検出するものである。第2始動口センサ21aは、第2始動口21内に設けられて第2始動口21に入賞した遊技球を検出するものである。ゲートセンサ28aは、ゲート28内に設けられてゲート28を通過した遊技球を検出するものである。第1大入賞口センサ30aは、第1大入賞口30内に設けられて第1大入賞口30に入賞した遊技球を検出するものである。第2大入賞口センサ35aは、第2大入賞口35内に設けられて第2大入賞口35に入賞した遊技球を検出するものである。特定領域センサ39aは、第2大入賞口35内の特定領域39に設けられて特定領域39を通過した遊技球を検出するものである。非特定領域センサ70aは、第2大入賞口35内の非特定領域70に設けられて非特定領域70を通過した遊技球を検出するものである。普通入賞口センサ27aは、各普通入賞口27内にそれぞれ設けられて普通入賞口27に入賞した遊技球を検出するものである。
【0081】
またソレノイド類としては、電チューソレノイド24、第1大入賞口ソレノイド33、第2大入賞口ソレノイド38、および振分部材ソレノイド73が接続されている。電チューソレノイド24は、電チュー22の可動部材23を駆動するものである。第1大入賞口ソレノイド33は、第1大入賞装置31の開閉部材32を駆動するものである。第2大入賞口ソレノイド38は、第2大入賞装置36の開閉部材37を駆動するものである。振分部材ソレノイド73は、第2大入賞装置36の振分部材71を駆動するものである。
【0082】
さらに遊技制御基板80には、第1特別図柄表示器41a、第2特別図柄表示器41b、普通図柄表示器42、第1特図保留表示器43a、第2特図保留表示器43b、および普図保留表示器44が接続されている。すなわち、これらの表示器類40の表示制御は、遊技制御用マイコン81によりなされる。
【0083】
また遊技制御基板80は、払出制御基板170に各種コマンドを送信するとともに、払い出し監視のために払出制御基板170から信号を受信する。払出制御基板170には、賞球払出装置120、およびカードユニットCU(パチンコ遊技機1に隣接して設置され、挿入されたプリペイドカード等の情報に基づいて球貸しを可能にするもの)が接続されているとともに、発射制御回路111を介して発射装置112が接続されている。発射装置112には、ハンドル60が含まれる。
【0084】
払出制御基板170は、プログラムに従って遊技球の払い出しに係る制御処理を実行可能な払出制御用ワンチップマイコン(以下「払出制御用マイコン」)171を実装している。払出制御用マイコン171(払出制御手段)には、払い出しを制御するためのプログラムを記憶した払出用ROM173、ワークメモリとして使用される払出用RAM174、払出用ROM173に記憶されたプログラムを実行する払出用CPU172、データや信号の入出力を行うための払出用I/Oポート部175が含まれている。
【0085】
払出制御基板170は、遊技制御用マイコン81からの信号や、パチンコ遊技機1に接続されたカードユニットCUからの信号に基づいて、賞球払出装置120の賞球モータ121を駆動して賞球の払い出しを行ったり、貸球の払い出しを行ったりする。例えば、遊技球が第1始動口20に入球(入賞)すると、第1始動口センサ20aによる検出信号が遊技制御用マイコン81に入力される。これにより、遊技制御用マイコン81は、遊技球が第1始動口20に入球したことを示す賞球コマンド(賞球信号)を払出制御基板170に出力する。この場合、賞球コマンドを受信した払出制御用マイコン171は、払出用ROM173に記憶されている賞球数情報に基づいて、賞球モータ121を駆動して、第1始動口20への入球に基づく賞球(例えば3個)の払い出しを行う。このとき、払い出される遊技球は、その計数のため賞球センサ122により検知されて、賞球センサ122による検知信号が払出制御基板170に出力される。
【0086】
本形態では、払出制御基板170にバックアップ電源回路176が設けられている。バックアップ電源回路176は、図示しないコンデンサを備えていて、電源基板150からの電源が供給されない電断時に、バックアップ電源回路176(コンデンサ)から、払出用RAM174及び遊技用RAM84にDC5Vの電力(バックアップ電源)が供給される。これにより、電断時でも、払出用RAM174の記憶内容、及び遊技用RAM84の記憶内容が保持される。
【0087】
なお遊技者による発射装置112のハンドル60(
図1参照)の操作があった場合には、タッチスイッチ114がハンドル60への接触を検知し、発射ボリューム115がハンドル60の回転量を検知する。そして、発射ボリューム115の検知信号の大きさに応じた強さで遊技球が発射されるよう発射ソレノイド113が駆動されることとなる。本パチンコ遊技機1においては、0.6秒程度で一発の遊技球が発射されるようになっている。
【0088】
また遊技制御基板80は、
図17に示す演出制御基板(サブ制御基板)90に対し各種コマンドを送信する。遊技制御基板80と演出制御基板90との接続は、遊技制御基板80から演出制御基板90への信号の送信のみが可能な単方向通信接続となっている。すなわち、遊技制御基板80と演出制御基板90との間には、通信方向規制手段としての図示しない単方向性回路(例えばダイオードを用いた回路)が介在している。
【0089】
図17に示すように、演出制御基板90には、プログラムに従ってパチンコ遊技機1の演出を制御する演出制御用ワンチップマイコン(以下「演出制御用マイコン」)91が実装されている。演出制御用マイコン91には、遊技の進行に伴って演出を制御するためのプログラム等を記憶した演出用ROM93、ワークメモリとして使用される演出用RAM94、演出用ROM93に記憶されたプログラムを実行する演出用CPU92、データや信号の入出力を行うための演出用I/Oポート部95が含まれている。上述したように、演出制御基板90は、払出制御基板170を介して電源基板150から電力(例えばDC5Vの電力)が供給されるようになっている。
【0090】
また
図17に示すように、演出制御基板90には、画像制御基板140が接続されている。演出制御基板90の演出制御用マイコン91は、遊技制御基板80から受信したコマンドに基づいて、画像制御基板140の画像用CPU142に第1画像表示装置6及び第2画像表示装置7の表示制御を行わせる。なお演出制御用マイコン91は、画像制御基板140の画像用入力回路145を介して制御信号を送信する。そして画像用CPU142は、画像制御基板140の画像用出力回路146を介して第1画像表示装置6及び第2画像表示装置7に制御信号を送信する。
【0091】
画像制御基板140の画像用RAM144は、画像データを展開するためのメモリである。画像制御基板140の画像用ROM143には、第1画像表示装置6及び第2画像表示装置7に表示される静止画データや動画データ、具体的にはキャラクタ、アイテム、図形、文字、数字および記号等(装飾図柄を含む)や背景画像等の画像データが格納されている。画像制御基板140の画像用CPU142は、演出制御用マイコン91からの指令に基づいて画像用ROM143から画像データを読み出す。そして、読み出した画像データに基づいて表示制御を実行する。
【0092】
また画像制御基板140には、スピーカ67(音出力手段)が接続されている。演出制御用マイコン91は、遊技制御基板80から受信したコマンドに基づいて、画像制御基板140の音声用CPU147を介してスピーカ67から音声、楽曲、効果音等を出力する。なお音声用CPU147は、画像用CPU142からの指令に基づいて、音声制御回路148を介してスピーカ67の音声制御を行う。スピーカ67から出力する音声等の音響データは、演出制御基板90の演出用ROM93に格納されている。但し、音響データを画像制御基板140の画像用ROM143に格納しても良い。
【0093】
なお画像制御基板140にスピーカ67の音声制御を行わせたが、画像制御基板140とは別に音声制御基板を設けて、この音声制御基板にスピーカ67の音声制御を行わせても良い。この場合、音声制御基板は演出制御基板90に接続されていても良いし、画像制御基板140を介して演出制御基板90に接続されていても良い。また音声制御基板にCPUを実装してもよく、その場合、そのCPUに音声制御を実行させてもよい。さらにこの場合、音声制御基板にROMを実装してもよく、そのROMに音響データを格納してもよい。なお本形態のパチンコ遊技機1では、音声や楽曲、効果音等を出力するスピーカ67が、上側装飾部200の後方側の下側に設けられている。
【0094】
また演出制御基板90には、演出ボタン検出スイッチ(SW)63a及びセレクトボタン検出スイッチ68aが接続されている。演出ボタン検出スイッチ63aは、演出ボタン63が押下操作されたことを検出するものである。演出ボタン63が押されると演出ボタン検出スイッチ63aから演出制御基板90に対して検知信号が出力される。また、セレクトボタン検出スイッチ68aは、セレクトボタン68が押下操作されたことを検出するものである。セレクトボタンが押されるとセレクトボタン検出スイッチ68aから演出制御基板90に対して検知信号が出力される。
【0095】
また演出制御基板90には、バックアップ電源回路96が組み込まれている。バックアップ電源回路96は、図示しないコンデンサを備えていて、電源基板150からの電源が供給されない電断時に、バックアップ電源回路96(コンデンサ)から、演出用RAM94にDC5Vの電力(バックアップ電源)が供給される。これにより、演出用RAM94の記憶内容が保持される。
【0096】
なお、演出制御基板90は、画像制御基板140と共に、サブ制御部99(第2の制御手段)を構成する。サブ制御部99を演出制御手段とも言う。第2の制御手段は、演出制御基板90を備えていれば、画像制御基板140を備えていないものであってもよい。
【0097】
また演出制御基板90は、
図18に示す駆動制御基板130に対し各種コマンドを送信したり、駆動制御基板130から種々の情報を受信したりする。すなわち、演出制御基板90と駆動制御基板130とは、互いに情報を送受信可能に接続されている。
【0098】
演出制御基板90の演出制御用マイコン91は、遊技制御基板80から受信したコマンドに基づいて、駆動制御基板130の駆動用CPU132に、各種の可動部材(枠顔可動体400、枠耳可動体500、枠顎可動体600、盤可動体15)や発光部材(枠ランプ66、盤ランプ5)などの演出手段の駆動制御を行わせる。すなわち、駆動用CPU132は、演出制御用マイコン91から受信したコマンドに応じて、各種の可動部材や発光部材などの演出手段の駆動を制御するものである。
【0099】
具体的には、
図18に示すように、駆動制御基板130には、枠ランプ66、盤ランプ5、盤可動体移動モータ15aが接続されている。なお、盤可動体移動モータ15aは、盤可動体15に駆動力(回転力)を付与して、盤可動体15を移動可能にするものである。
【0100】
また、駆動制御基板130には、枠中継基板137が接続されている。枠中継基板137には、枠顔可動体400、枠耳可動体500(左側枠耳可動体500Lと右側枠耳可動体500Rとの総称)、枠顎可動体600等の枠可動部材に関する各種の電気部品が接続されている。すなわち、枠中継基板137には、枠顔可動体400を回転させるための枠顔移動モータ311、枠耳可動体500を揺動及び直動させるための枠耳移動モータ520、枠顎可動体600を回転させるための枠顎移動モータ610が接続されている。なお、枠顔移動モータ311は、左側枠顔移動モータ311Lと右側枠顔移動モータとの総称であり、枠耳移動モータ520は、左側枠耳移動モータ520Lと右側枠耳移動モータ520Rとの総称である。
【0101】
また枠中継基板137には、枠顔可動体400が待機位置(原点位置)にあることを検知するための枠顔原点位置センサ381、枠顔可動体400が動作位置にあることを検知するための枠顔動作位置センサ382が接続されている。また枠中継基板137には、枠耳可動体500(左側枠耳可動体500L,右側枠耳可動体500R)が退避位置(原点位置)にあることを検知するための枠耳原点位置センサ581(左側枠耳原点位置センサ581L、右側枠耳原点位置センサ581R)、枠耳可動体500が露出位置(動作位置)にあることを検知するための枠耳動作位置センサ582(左側枠耳動作位置センサ582L、右側枠耳動作位置センサ582R)が接続されている。また枠中継基板137には、枠顎可動体600が閉鎖位置(原点位置)にあることを検知するための枠顎原点位置センサ681、枠顎可動体600が開放位置(動作位置)にあることを検知するための枠顎動作位置センサ682が接続されている。なお、枠耳原点位置センサ581は、左側枠耳可動体500Lが原点位置にあることを検知するための左側枠耳原点位置センサ581Lと、右側枠耳可動体500Rが原点位置にあることを検知するための右側枠耳原点位置センサ581Rとの総称である。また、枠耳動作位置センサ582は、左側枠耳可動体500Lが動作位置にあることを検知するための左側枠耳動作位置センサ582Lと、右側枠耳可動体500Rが動作位置にあることを検知するための右側枠耳動作位置センサ582Rとの総称である。なお、各種の位置センサ(枠顔原点位置センサ381、枠顔動作位置センサ382、左側枠耳原点位置センサ581L、右側枠耳原点位置センサ581R、左側枠耳動作位置センサ582L、右側枠耳動作位置センサ582R、枠顎原点位置センサ681、枠顎動作位置センサ682)としては、例えばフォトセンサが好適に利用可能である。
【0102】
また
図18に示すように、駆動制御基板130には、駆動用CPU132の他、駆動用ROM133、駆動用RAM134、駆動用I/Oポート部135が実装されている。駆動用ROM133には、駆動用CPU132が実行するプログラムや、枠顔可動体400、枠耳可動体500、枠顎可動体600、盤可動体15等の各種の可動部材の動作態様を規定する動作パターンデータ(駆動データ)、枠ランプ66、盤ランプ5等の各種の発光部材の発光態様(点灯/点滅/消灯や発光色等)を規定する発光パターンデータ(ランプデータ)等が格納されている。また、駆動用RAM134は、各種の可動部材や発光部材の駆動に際して、ワークメモリとして使用される。また、駆動用I/Oポート部135は、演出制御基板90との信号の送受信や、枠中継基板137との信号の送受信に用いられる。
【0103】
また枠中継基板137には、枠顔移動モータ311、枠耳移動モータ520、枠顎移動モータ610といったモータを駆動するためのドライバIC138が実装されている。駆動用CPU132は、演出制御用マイコン91から枠可動部材(枠顔可動体400、枠耳可動体500、枠顎可動体600)の駆動を指示するコマンドを受信した場合、駆動用ROM133から枠可動部材の駆動に係る動作パターンデータを読み出して、その動作パターンデータに対応する駆動信号をドライバIC138に出力する。ドライバIC138は、入力された駆動信号に応じて、枠可動部材に係る各種のモータ(枠顔移動モータ311、枠耳移動モータ520、枠顎移動モータ610)を駆動させる。これにより、枠可動部材の一連の動作(すなわち、枠顔可動体400が待機位置から動作位置になり、枠耳可動体500が退避位置から露出位置になり、枠顎可動体600が閉鎖位置から開放位置になる出現動作や、枠顎可動体600が開放位置から閉鎖位置になり、枠耳可動体500が露出位置から退避位置になり、枠顔可動体400が動作位置から待機位置になる格納動作)が行われる。
【0104】
また駆動用CPU132は、枠可動部材(枠顔可動体400、枠耳可動体500、枠顎可動体600)の出現動作や格納動作に際して、各種の位置センサ(枠顔原点位置センサ381、枠顔動作位置センサ382、枠耳原点位置センサ581、枠耳動作位置センサ582、枠顎原点位置センサ681、枠顎動作位置センサ682)からの信号を、枠中継基板137を介して読み込む。すなわち駆動用CPU132は、枠可動部材の出現動作では、枠顔動作位置センサ382からの信号により、枠顔可動体400が動作位置になったことを確認し、枠耳動作位置センサ582からの信号により、枠耳可動体500が露出位置になったことを確認し、枠顎動作位置センサ682からの信号により、枠顎可動体600が開放位置になったことを確認する。また駆動用CPU132は、枠可動部材の格納動作では、枠顎原点位置センサ681からの信号により、枠顎可動体600が閉鎖位置になったことを確認し、枠耳原点位置センサ581からの信号により、枠耳可動体500が退避位置になったことを確認し、枠顔原点位置センサ381からの信号により、枠顔可動体400が待機位置になったことを確認する。
【0105】
また駆動用CPU132は、演出制御用マイコン91から盤可動体15の駆動を指示するコマンドを受信した場合、駆動用ROM133から盤可動体15の駆動に係る動作パターンデータを読み出して、その動作パターンデータに従って、図示しないモータ用のドライバICを介して盤可動体移動モータ15aの駆動を制御する。また駆動用CPU132は、演出制御用マイコン91から枠ランプ66や盤ランプ5の駆動(発光駆動)を指示するコマンドを受信した場合、駆動用ROM133から枠ランプ66や盤ランプ5の発光に係る発光パターンデータを読み出して、その発光パターンデータに従って、図示しないLED用のドライバICを介して枠ランプ66や盤ランプ5の発光を制御する。
【0106】
なお、駆動制御基板130は、枠中継基板137と共に、駆動制御部139(第1の制御手段の一例)を構成する。駆動制御部139を駆動制御手段とも言う。第1の制御手段は、駆動用CPU132と駆動用ROM133とドライバIC138とを備えていればよい。また、第1画像表示装置6、第2画像表示装置7、スピーカ67、枠ランプ66、盤ランプ5、盤可動体15、枠可動部材(枠顔可動体400、枠耳可動体500、枠顎可動体600)はそれぞれ、演出手段の一例である。
【0107】
ここで
図16~
図18は、あくまで本パチンコ遊技機1における電気的な構成を説明するための機能ブロック図であり、
図16~
図18に示す基板だけが設けられているわけではない。遊技制御基板80を除いて、
図16~
図18に示す何れか複数の基板を1つの基板として構成しても良く、
図16~
図18に示す1つの基板を複数の基板として構成しても良い。
【0108】
4.製造時の検査における電気的構成
次に
図19に基づいて、パチンコ遊技機1の製造時の検査(所定の検査に相当)における電気的構成について説明する。ここでは、演出制御基板90側の検査、特に、枠可動部材(枠顔可動体400、枠耳可動体500、枠顎可動体600)の動作検査、及び、駆動制御基板130の検査について説明する。
【0109】
この検査においては、遊技制御基板80に替えて、検査用基板700が演出制御基板90に接続される。検査用基板700からは、検査コマンドが出力される。演出制御基板90は、検査用基板700から検査コマンドを受信すると、枠可動部材の動作検査(枠可動部材が設計通り正しく動作するかの検査)を行う。枠可動部材の動作検査には、各種の位置センサが正常に機能しているかのセンサ検査が含まれる。また、演出制御基板90は、枠可動部材の動作検査に続いて、駆動用ROM133(記憶手段の一例)が正常なものであるかのROM検査を行う。すなわち演出制御基板90は、製造時の検査において駆動制御基板130から「センサ検査」のための情報と「ROM検査」のための情報とを取得する必要がある。
【0110】
ここで、駆動制御基板130から演出制御基板90への信号の出力は駆動用I/Oポート部135に含まれるシリアルポート135a(特定の通信部の一例、特定の信号出力部とも言う)を介して行われる。このシリアルポート135aからは、8ビットのシリアルデータの送信が可能である。すなわち、このシリアルポート135aに配線されている1本の信号線で一度に通信可能なデータ量は8ビットである。
【0111】
本形態では、枠可動部材に関する位置センサは、全部で8つ(枠顔原点位置センサ381、枠顔動作位置センサ382、左側枠耳原点位置センサ581L、右側枠耳原点位置センサ581R、左側枠耳動作位置センサ582L、右側枠耳動作位置センサ582R、枠顎原点位置センサ681、枠顎動作位置センサ682)である。これらの位置センサは、所定の電気部品の一例である。センサ検査では、駆動制御基板130の駆動用CPU132は、演出制御用マイコン91からの駆動コマンドに応じて、枠中継基板137のドライバIC138に駆動信号を出力し、枠可動部材に出現動作および格納動作を行わせ、このときの各位置センサの情報を枠中継基板137を介して読み込む。そして、この各位置センサの情報から、各位置センサが正常か異常かを示す8ビットのテスト用センサ情報を生成して、シリアルポート135aを通して、演出制御基板90に出力する。演出制御基板90の演出制御用マイコン91は、テスト用センサ情報を受信すると、各位置センサが正常か否かを判定して、この判定結果を示す特定の表示(
図36(A)(B)参照)を、画像制御基板140を介して第1画像表示装置6の表示画面6aに表示させる。
【0112】
また、ROM検査では、駆動制御基板130の駆動用CPU132は、駆動用ROM133のチェックサムを演算し、この演算結果の下位8ビットをROM情報(検査用情報に相当)として、シリアルポート135aを通して、演出制御基板90に出力する。演出制御基板90の演出制御用マイコン91は、ROM情報を受信すると、駆動用ROM133が正常なものであるか否かを判定して、この判定結果を示す特定の表示(
図36(C)(D)参照)を、画像制御基板140を介して第1画像表示装置6の表示画面6aに表示させる。駆動用CPU132から受信した駆動用ROM133のチェックサムが正しいか否かの判定は、駆動制御部139が正常であるか否かの判定であるとも言える。なお、演出制御用マイコン91の演出用ROM93には、正しい駆動用ROM133のチェックサムの値が格納されているものとする。
【0113】
このように製造時の検査では、駆動制御基板130から演出制御基板90に対して、テスト用センサ情報と、ROM情報とを送信する必要があるが、シリアルポート135aを使って一度に送信することが可能な情報は8ビットまでであるため、テスト用センサ情報とROM情報とを同時に駆動制御基板130から演出制御基板90へ送信することはできない。そこで本形態では次のような構成を採用している。
【0114】
すなわち本形態のパチンコ遊技機1では、駆動制御基板130の状態(駆動制御部139の状態でもある)を、検査1、検査2、遊技中の3つに分け、演出制御基板90(演出制御用マイコン91)が駆動制御基板130の状態を設定できるようにしている。すなわち、駆動制御基板130は、演出制御用マイコン91からの状態コマンド(状態設定信号)に応じて、検査1、検査2、遊技中の何れかの状態を設定し、この状態毎に、シリアルポート135aから演出制御基板90に対して出力する信号を変えるようにしている。
【0115】
具体的には、駆動制御基板130は、状態が検査1(第1状態の一例)に設定されている場合、シリアルポート135aからテスト用センサ情報(第1の情報の一例)を出力する。また、状態が検査2(第2状態の一例)に設定されている場合、シリアルポート135aからROM情報(第2の情報の一例)を出力する。また、状態が遊技中(第3状態の一例)に設定されている場合、シリアルポート135aから遊技中のセンサ情報(テスト用ではない遊技中の枠可動部材の動作に応じた位置センサの情報、第3の情報の一例)を出力する。
【0116】
これにより、演出制御基板90と駆動制御基板130との通信に用いるポートの数、言い換えれば信号線の数を増やす等のハードウェアに関する変更を加えることなく、1つのシリアルポート、言い換えれば特定の信号線136(
図19参照)だけを用いて、駆動制御基板130から演出制御基板90に対して多くの情報を送信することが可能である。
【0117】
5.大当たり等の説明
本形態のパチンコ遊技機1では、大当たり抽選(特別図柄抽選)の結果として、「大当たり」と「はずれ」がある。「大当たり」のときには、特別図柄表示器41に「大当たり図柄」が停止表示される。「はずれ」のときには、特別図柄表示器41に「ハズレ図柄」が停止表示される。大当たりに当選すると、停止表示された特別図柄の種類(大当たりの種類)に応じた開放パターンにて、大入賞口(第1大入賞口30および第2大入賞口35)を開放させる「大当たり遊技」が実行される。大当たり遊技は、特別遊技の一例である。
【0118】
大当たり遊技は、本形態では、複数回のラウンド遊技(単位開放遊技)と、初回のラウンド遊技が開始される前のオープニング(OPとも表記する)と、最終回のラウンド遊技が終了した後のエンディング(EDとも表記する)とを含んでいる。各ラウンド遊技は、OPの終了又は前のラウンド遊技の終了によって開始し、次のラウンド遊技の開始又はEDの開始によって終了する。ラウンド遊技間の大入賞口の閉鎖の時間(インターバル時間)は、その閉鎖前の開放のラウンド遊技に含まれる。
【0119】
大当たりには複数の種別がある。大当たりの種別については
図20に示す通りである。
図20に示すように、本形態では大当たりの種別としては、大きく分けて2つ(Vロング大当たりとVショート大当たり)ある。「Vロング大当たり」は、その大当たり遊技中に特定領域39への遊技球の通過が可能な第1開放パターン(Vロング開放パターン)で開閉部材32及び開閉部材37を作動させる大当たりである。「Vショート大当たり」は、その大当たり遊技中に特定領域39への遊技球の通過が不可能な第2開放パターン(Vショート開放パターン)で開閉部材32及び開閉部材37を作動させる大当たりである。
【0120】
より具体的には、「Vロング大当たり」は、総ラウンド数が16Rである。1Rから13Rまでと15Rは第1大入賞口30を1R当たり最大29.5秒にわたって開放する。14Rと16Rは第2大入賞口35を1R当たり最大29.5秒にわたって開放する。この14R及び16Rでは、第2大入賞口35内の特定領域39への通過が容易に可能である。
【0121】
これに対して、「Vショート大当たり」は、総ラウンド数は16Rであるものの、実質的な総ラウンド数は13Rである。つまり、1Rから13Rまでは第1大入賞口30を1R当たり最大29.5秒にわたって開放するが、15Rでは第1大入賞口30を1R当たり0.1秒しか開放せず、また、14Rと16Rでも第2大入賞口35を1R当たり0.1秒しか開放しない。従って、このVショート大当たりでは14Rから16Rまでは、大入賞口の開放時間が極めて短く、賞球の見込めないラウンドとなっている。つまり、Vショート大当たりは実質13Rの大当たりとなっている。
【0122】
また、Vショート大当たりにおける14Rと16Rでは第2大入賞口35が開放されるものの、その開放時間が極めて短く、第2大入賞口35内の特定領域39に遊技球が通過することはほぼ不可能となっている。なお、Vショート大当たりにおける14R及び16Rでは、第2大入賞口35の開放時間が短いことだけでなく、第2大入賞口35の開放タイミングと振分部材71の作動タイミング(第2状態(
図6(B)参照)から第1状態(
図6(A)参照)に制御されるタイミング)との関係からも、特定領域39に遊技球が通過することはほぼ不可能となっている。
【0123】
本形態のパチンコ遊技機1では、大当たり遊技中の特定領域39への遊技球の通過に基づいて、その大当たり遊技の終了後の遊技状態を、後述の高確率状態に移行させる。従って、上記のVロング大当たりに当選した場合には、大当たり遊技の実行中に特定領域39へ遊技球を通過させることで、大当たり遊技後の遊技状態を高確率状態に移行させ得る。これに対して、Vショート大当たりに当選した場合には、その大当たり遊技の実行中に特定領域39へ遊技球を通過させることができないため、その大当たり遊技後の遊技状態は、後述の通常確率状態(非高確率状態)となる。
【0124】
なお、
図20に示すように、第1特別図柄(特
図1)の抽選における大当たりの振分率は、Vロング大当たりが50%、Vショート大当たりが50%となっている。これに対して、第2特別図柄(特
図2)の抽選において当選した大当たりは、全てVロング大当たりとなっている。すなわち、後述の電サポ制御の実行により入球可能となる第2始動口21への入賞に基づく抽選により大当たりに当選した場合には、必ずVロング大当たりとなる。このように本パチンコ遊技機1では、第1始動口20に遊技球が入賞して行われる大当たり抽選(第1特別図柄の抽選)よりも、第2始動口21に遊技球が入賞して行われる大当たり抽選(第2特別図柄の抽選)の方が、遊技者にとって有利となるように設定されている。
【0125】
ここで本パチンコ遊技機1では、大当たりか否かの抽選は「大当たり乱数」に基づいて行われ、当選した大当たりの種別の抽選は「当たり種別乱数」に基づいて行われる。
図21(A)に示すように、大当たり乱数は0~65535までの範囲で値をとる。当たり種別乱数は、0~9までの範囲で値をとる。なお、第1始動口20又は第2始動口21への入賞に基づいて取得される乱数には、大当たり乱数および当たり種別乱数の他に、「リーチ乱数」および「変動パターン乱数」がある。
【0126】
リーチ乱数は、大当たり判定の結果がはずれである場合に、その結果を示す演出図柄変動演出においてリーチを発生させるか否かを決める乱数である。リーチとは、複数の演出図柄(演出図柄)のうち変動表示されている演出図柄が残り一つとなっている状態であって、変動表示されている演出図柄がどの図柄で停止表示されるか次第で大当たり当選を示す演出図柄の組み合わせとなる状態(例えば「7↓7」の状態)のことである。なお、リーチ状態において停止表示されている演出図柄は、表示画面7a内で多少揺れているように表示されていてもよい。このリーチ乱数は、0~127までの範囲で値をとる。
【0127】
また、変動パターン乱数は、変動時間を含む変動パターンを決めるための乱数である。変動パターン乱数は、0~127までの範囲で値をとる。また、ゲート28の通過に基づいて取得される乱数には、
図21(B)に示す普通図柄乱数(当たり乱数)がある。普通図柄乱数は、電チュー22を開放させる補助遊技を行うか否かの抽選(普通図柄抽選)のための乱数である。普通図柄乱数は、0~255までの範囲で値をとる。
【0128】
6.遊技状態の説明
次に、本形態のパチンコ遊技機1の遊技状態に関して説明する。パチンコ遊技機1の特別図柄表示器41および普通図柄表示器42には、それぞれ、確率変動機能と変動時間短縮機能がある。特別図柄表示器41の確率変動機能が作動している状態を「高確率状態」といい、作動していない状態を「通常確率状態(非高確率状態)」という。高確率状態では、大当たり確率が通常確率状態よりも高くなっている。すなわち、大当たりと判定される大当たり乱数の値が通常確率状態で用いる大当たり判定テーブルよりも多い大当たり判定テーブルを用いて、大当たり判定を行う(
図22(A)参照)。つまり、特別図柄表示器41の確率変動機能が作動すると、作動していないときに比して、特別図柄表示器41による特別図柄の可変表示の表示結果(すなわち停止図柄)が大当たり図柄となる確率が高くなる。
【0129】
また、特別図柄表示器41の変動時間短縮機能が作動している状態を「時短状態」といい、作動していない状態を「非時短状態」という。時短状態では、特別図柄の変動時間(変動表示開始時から表示結果の導出表示時までの時間)が、非時短状態よりも短くなっている。すなわち、変動時間の短い変動パターンが選択されることが非時短状態よりも多くなるように定められた変動パターンテーブルを用いて、変動パターンの判定を行う(
図23参照)。つまり、特別図柄表示器41の変動時間短縮機能が作動すると、作動していないときに比して、特別図柄の可変表示の変動時間として短い変動時間が選択されやすくなる。その結果、時短状態では、特図保留の消化のペースが速くなり、始動口への有効な入賞(特図保留として記憶され得る入賞)が発生しやすくなる。そのため、スムーズな遊技の進行のもとで大当たりを狙うことができる。
【0130】
特別図柄表示器41の確率変動機能と変動時間短縮機能とは同時に作動することもあるし、片方のみが作動することもある。そして、普通図柄表示器42の確率変動機能および変動時間短縮機能は、特別図柄表示器41の変動時間短縮機能に同期して作動するようになっている。すなわち、普通図柄表示器42の確率変動機能および変動時間短縮機能は、時短状態において作動し、非時短状態において作動しない。よって、時短状態では、普通図柄抽選における当選確率が非時短状態よりも高くなっている。すなわち、当たりと判定される普通図柄乱数(当たり乱数)の値が非時短状態で用いる普通図柄当たり判定テーブルよりも多い普通図柄当たり判定テーブルを用いて、当たり判定(普通図柄の判定)を行う(
図22(C)参照)。つまり、普通図柄表示器42の確率変動機能が作動すると、作動していないときに比して、普通図柄表示器42による普通図柄の可変表示の表示結果が、普通当たり図柄となる確率が高くなる。
【0131】
また時短状態では、普通図柄の変動時間が非時短状態よりも短くなっている。本形態では、普通図柄の変動時間は非時短状態では30秒であるが、時短状態では1秒である(
図22(D)参照)。さらに時短状態では、補助遊技における電チュー22の開放時間が、非時短状態よりも長くなっている(
図24参照)。すなわち、電チュー22の開放時間延長機能が作動している。加えて時短状態では、補助遊技における電チュー22の開放回数が非時短状態よりも多くなっている(
図24参照)。すなわち、電チュー22の開放回数増加機能が作動している。
【0132】
普通図柄表示器42の確率変動機能と変動時間短縮機能、および電チュー22の開放時間延長機能と開放回数増加機能が作動している状況下では、これらの機能が作動していない場合に比して、電チュー22が頻繁に開放され、第2始動口21へ遊技球が頻繁に入賞することとなる。その結果、発射球数に対する賞球数の割合であるベースが高くなる。従って、これらの機能が作動している状態を「高ベース状態」といい、作動していない状態を「低ベース状態」という。高ベース状態では、手持ちの遊技球を大きく減らすことなく大当たりを狙うことができる。なお、高ベース状態とは、いわゆる電サポ制御(電チュー22により第2始動口21への入賞をサポートする制御)が実行されている状態である。
【0133】
高ベース状態(電サポ制御状態)は、上記の全ての機能が作動するものでなくてもよい。すなわち、普通図柄表示器42の確率変動機能、普通図柄表示器42の変動時間短縮機能、電チュー22の開放時間延長機能、および電チュー22の開放回数増加機能のうち一つ以上の機能の作動によって、その機能が作動していないときよりも電チュー22が開放され易くなっていればよい。また、高ベース状態(電サポ制御状態)は、時短状態に付随せずに独立して制御されるようにしてもよい。
【0134】
本形態のパチンコ遊技機1では、Vロング大当たりへの当選による大当たり遊技後の遊技状態は、その大当たり遊技中に特定領域39への通過がなされていれば、高確率状態かつ時短状態かつ高ベース状態である。この遊技状態を特に、「高確高ベース状態」という。高確高ベース状態は、所定回数(本形態では160回)の特別図柄の可変表示が実行されるか、又は、大当たりに当選してその大当たり遊技が実行されることにより終了する。
【0135】
また、Vショート大当たりへの当選による大当たり遊技後の遊技状態は、その大当たり遊技中に特定領域39の通過がなされていなければ(なされることは略ない)、通常確率状態(非高確率状態すなわち低確率の状態)かつ時短状態かつ高ベース状態である。この遊技状態を特に、「低確高ベース状態」という。低確高ベース状態は、所定回数(本形態では100回)の特別図柄の可変表示が実行されるか、又は、大当たりに当選してその大当たり遊技が実行されることにより終了する。
【0136】
なお、パチンコ遊技機1を初めて遊技する場合において電源投入後の遊技状態は、通常確率状態かつ非時短状態かつ低ベース状態(非電サポ制御状態)である。この遊技状態を特に、「低確低ベース状態」という。低確低ベース状態を「通常遊技状態」と称することもある。また、特別遊技(大当たり遊技)の実行中の状態を「特別遊技状態(大当たり遊技状態)」と称することとする。さらに、高確率状態および高ベース状態のうち少なくとも一方の状態に制御されている状態を、「特典遊技状態」という。
【0137】
高確高ベース状態や低確高ベース状態といった高ベース状態では、右打ちにより右遊技領域3Bへ遊技球を進入させた方が有利に遊技を進行できる。電サポ制御により低ベース状態と比べて電チュー22が開放されやすくなっており、第1始動口20への入賞よりも第2始動口21への入賞の方が容易となっているからである。そのため、普通図柄抽選の契機となるゲート28へ遊技球を通過させつつ、第2始動口21へ遊技球を入賞させるべく右打ちを行う。これにより左打ちをするよりも、多数の始動入賞(始動口への入賞)を得ることができる。なお本パチンコ遊技機1では、大当たり遊技中も右打ちにて遊技を行う。
【0138】
これに対して、低ベース状態では、左打ちにより左遊技領域3A(
図4参照)へ遊技球を進入させた方が有利に遊技を進行できる。電サポ制御が実行されていないため、高ベース状態と比べて電チュー22が開放されにくくなっており、第2始動口21への入賞よりも第1始動口20への入賞の方が容易となっているからである。そのため、第1始動口20へ遊技球を入賞させるべく左打ちを行う。これにより右打ちするよりも、多数の始動入賞を得ることができる。
【0139】
7.パチンコ遊技機1の動作
次に、
図25に基づいて遊技制御用マイコン81の動作について説明し、
図26~
図32に基づいて演出制御用マイコン91の動作について説明し、
図33~
図35に基づいて駆動用CPU132の動作について説明する。まず、遊技制御用マイコン81の動作について説明する。
【0140】
[メイン側タイマ割り込み処理]遊技制御用マイコン81は、
図25に示すメイン側タイマ割り込み処理を例えば4msecといった短時間毎に繰り返す。まず、遊技制御用マイコン81は、大当たり抽選に用いる大当たり乱数、大当たりの種類を決めるための当たり種別乱数、変動演出においてリーチ状態とするか否かを決めるためのリーチ乱数、変動パターンを決めるための変動パターン乱数、普通図柄抽選に用いる普通図柄乱数(当たり乱数)等を更新する乱数更新処理を行う(S001)。なお各乱数の少なくとも一部は、カウンタIC等からなる公知の乱数生成回路を利用して生成されるハードウェア乱数であっても良い。また乱数生成回路は、遊技制御用マイコン81に内蔵されていても良い。
【0141】
次に、遊技制御用マイコン81は、入力処理を行う(S002)。入力処理(S002)では、主にパチンコ遊技機1に取り付けられている各種センサ(第1始動口センサ20a,第2始動口センサ21a、第1大入賞口センサ30a、第2大入賞口センサ35a、普通入賞口センサ27a等(
図16参照))が検知した検出信号を読み込み、入賞口の種類に応じた賞球を払い出すための払い出しデータを遊技用RAM84の出力バッファにセットする。
【0142】
続いて、遊技制御用マイコン81は、始動口センサ検出処理(S003)、特別動作処理(S004)、および普通動作処理(S005)を実行する。始動口センサ検出処理(S003)では、第1始動口センサ20aがONであれば、第1特図保留の記憶が4個未満であることを条件に大当たり乱数等の各種乱数(大当たり乱数、当たり種別乱数、リーチ乱数、及び変動パターン乱数(
図21(A)参照))を取得する。また第2始動口センサ21aがONであれば、第2特図保留の記憶が4個未満であることを条件に大当たり乱数等の各種乱数を取得する。また、ゲートセンサ28aがONであれば、普図保留の記憶が4個未満であることを条件に普通図柄乱数(
図21(B)参照)を取得する。
【0143】
特別動作処理(S004)では、始動口センサ検出処理(S003)にて取得した大当たり乱数等の乱数を判定し、その判定結果を報知するための特別図柄の表示(変動表示と停止表示)を行う。この特別図柄の表示に際しては、特別図柄の変動表示の開始時に変動パターンの情報を含む変動開始コマンドを遊技用RAM84の出力バッファにセットし、特別図柄の停止表示の開始時に変動停止コマンドを遊技用RAM84の出力バッファにセットする。なお変動パターンは、大当たり乱数等の各種乱数の判定に基づき、
図20に示す変動パターン判定テーブルを用いて決定される。そして、大当たり乱数の判定の結果、大当たりに当選していた場合には、所定の開放パターン(開放時間や開放回数)に従って第1大入賞口30又は第2大入賞口35を開放させる大当たり遊技(特別遊技)を行う。ここで
図23に示すように、変動パターンが決まれば、特別図柄の変動表示が実行される変動時間も決まる。
図23の備考欄に示すSPリーチ(スーパーリーチ)とは、ノーマルリーチよりもリーチ後の変動時間が長いリーチである。SPリーチの方がノーマルリーチよりも、当選期待度(大当たり当選に対する期待度)が高くなるようにテーブルの振分率が設定されている。本形態では、スーパーリーチはノーマルリーチを経て発展的に実行される。
【0144】
普通動作処理(S005)では、始動口センサ検出処理にて取得した普通図柄乱数を判定し、その判定結果を報知するための普通図柄の表示(変動表示と停止表示)を行う。普通図柄乱数の判定の結果、普通図柄当たりに当選していた場合には、遊技状態に応じた所定の開放パターン(開放時間や開放回数、
図24参照)に従って電チュー22を開放させる補助遊技を行う。
【0145】
次に、遊技制御用マイコン81は、上述の各処理においてセットしたコマンド等を演出制御基板90等に出力する出力処理を行う(S006)。以上の遊技制御用マイコン81における処理と並行して、演出制御用マイコン91は
図26~
図32に示す処理を行う。以下、演出制御用マイコン91の動作について説明する。
【0146】
[サブ制御メイン処理]演出制御用マイコン91は、パチンコ遊技機1が電源投入されると、
図26に示したサブ制御メイン処理のプログラムを演出用ROM93から読み出して実行する。同図に示すように、サブ制御メイン処理では、最初に、電源投入に応じた電源投入時処理を行う(S101)。電源投入時処理では、例えば、演出用CPU92の設定、SIO、PIO、CTC(割り込み時間の管理のための回路)等の設定等を行う。
【0147】
次に、割り込みを禁止し(S102)、乱数更新処理を実行する(S103)。乱数更新処理(S103)では、種々の演出に関する判定を行うための種々の演出判定用乱数カウンタの値を更新する。種々の演出についての演出判定用乱数カウンタの更新方法は、一例として、前述の遊技制御基板80が行う乱数更新処理と同様の方法をとることができる。更新に際して乱数値を1ずつ加算するのではなく、2ずつ加算するなどしてもよい。これは、前述の遊技制御基板80が行う乱数更新処理においても同様である。
【0148】
乱数更新処理が終了すると、コマンド送信処理を実行する(S104)。コマンド送信処理(S104)では、演出制御基板90の演出用RAM94内の出力バッファに格納されている各種のコマンドを、画像制御基板140や駆動制御基板130に送信する。コマンドを受信した画像制御基板140は、受信したコマンドに従って、表示画面6a,7aに画像を表示したり(画像による種々の演出を実行したり)、音声用CPU147にスピーカ67から音を出力させたり(音声による種々の音演出を実行したり)する。
【0149】
また、演出制御基板90からコマンドを受信した駆動制御基板130は、枠ランプ66や盤ランプ5を発光させたり(発光による種々の発光演出を実行したり)、盤可動体15や枠可動部材(枠顔可動体400、枠耳可動体500、枠顎可動体600)を作動させたり(動作による種々の可動体演出を実行したり)する。このようにして、各種の演出(変動演出、保留演出、可動体演出、操作演出、先読み演出、その他の予告演出、特別遊技に伴うオープニング演出、開放遊技演出、エンディング演出、客待ち演出、演出モードの制御など)が実現される。
【0150】
演出制御用マイコン91は続いて、割り込みを許可する(S105)。以降、ステップS102~S105をループさせる。割り込み許可中においては、受信割り込み処理(S110)、1msタイマ割り込み処理(S111)、および10msタイマ割り込み処理(S112)の実行が可能となる。
【0151】
受信割り込み処理(S110)は、遊技制御基板80から送られた各種のコマンドが演出制御用マイコン91に入力される度に実行される。受信割り込み処理(S110)では、演出制御用マイコン91は遊技制御基板80の出力処理(S006)により送信されてきて受信した各種のコマンドを演出用RAM94の受信バッファに格納する。この受信割り込み処理は、他の割り込み処理(S111,S112)に優先して実行される。
【0152】
[サブ側1msタイマ割り込み処理]演出制御用マイコン91は、
図27に示すサブ側1msタイマ割り込み処理(S111)を1msecといった短時間毎に繰り返す。なお演出制御用マイコン91は、サブ側1msタイマ割り込み処理(S111)を実行すると共に、後述するようにサブ側10msタイマ割り込み処理(
図29参照)を実行するようになっている。
図27に示すように、サブ側1msタイマ割り込み処理ではまず、入力処理を行う(S201)。入力処理(S201)では、演出ボタン検出スイッチ63aやセレクトボタン検出スイッチ68a(
図17参照)からの検知信号に基づいてスイッチデータ(エッジデータ及びレベルデータ)を作成する。
【0153】
続いて、ランプデータ出力処理を行う(S202)。ランプデータ出力処理(S202)では、演出に合うタイミングで枠ランプ66、盤ランプ5を発光させるべく、駆動制御基板130に対して発光コマンドの出力を行う。
【0154】
次いで、後述する駆動制御処理を行う(S203)。駆動制御処理(S203)は、枠顔可動体400、枠耳可動体500、枠顎可動体600、盤可動体15の駆動を制御するための処理である。そして、ウォッチドッグタイマのリセット設定を行うウォッチドッグタイマ処理(S204)を行って、本処理を終える。
【0155】
[駆動制御処理]
図28に示すように、駆動制御処理(S203)ではまず、遊技の進行に合わせて枠顔可動体400を駆動させるタイミングであるか否かを判定し(S301)、判定結果がNOであれば、ステップS303に進むが、判定結果YESであれば、枠顔可動体駆動制御処理(S302)を行う。枠顔可動体駆動制御処理(S302)では、枠顔可動体400を駆動させるための駆動コマンドをセットする。なお本形態では、SPリーチを伴う特定の変動演出パターンが選択された場合に、所定の演出タイミングで(本形態ではSPリーチにおける当落分岐時に)枠顔可動体400が待機位置から動作位置に移動するようになっている。また、枠顔可動体400は、動作位置に位置した後、枠耳可動体500が露出位置から退避位置に戻ったことに応じて、待機位置に移動するようになっている。
【0156】
ステップS303では、遊技の進行に合わせて枠耳可動体500を駆動させるタイミングであるか否かを判定する。この判定結果がNOであれば、ステップS305に進むが、この判定結果YESであれば、枠耳可動体駆動制御処理(S304)を行う。枠耳可動体駆動制御処理(S304)では、枠耳可動体500を駆動させるための駆動コマンドをセットする。なお本形態では、枠顔可動体400が待機位置から動作位置に移動した直後に、枠耳可動体500が退避位置から露出位置に移動するようになっている。また、枠耳可動体500は、露出位置に位置した後、枠顎可動体600が開放位置から閉鎖位置に戻ったことに応じて、退避位置に移動するようになっている。
【0157】
ステップS305では、遊技の進行に合わせて枠顎可動体600を駆動させるタイミングであるか否かを判定する。この判定結果がNOであれば、ステップS307に進むが、この判定結果YESであれば、枠顎可動体駆動制御処理(S306)を行う。枠顎可動体駆動制御処理(S306)では、枠顎可動体600を駆動させるための駆動コマンドをセットする。なお本形態では、枠耳可動体500が退避位置から露出位置に移動した直後に、枠顎可動体600が閉鎖位置から開放位置に移動するようになっている。また、枠顎可動体600は、所定時間、開放位置に位置した後、閉鎖位置に移動するようになっている。
【0158】
ステップS307では、遊技の進行に合わせて盤可動体15を駆動させるタイミングであるか否かを判定する。この判定結果がNOであれば、ステップS309に進むが、この判定結果YESであれば、盤可動体駆動制御処理(S308)を行う。盤可動体駆動制御処理(S308)では、盤可動体15を駆動させるための駆動コマンドをセットする。なお本形態では、SPリーチを伴う特定の変動演出パターンが選択された場合に、所定の演出タイミングで(本形態ではSPリーチ発展時に)盤可動体15を原点位置から駆動位置へ移動させて、その後、所定時間が経過すると、盤可動体15を駆動位置から原点位置へ移動させるようになっている。
【0159】
[サブ側10msタイマ割り込み処理]演出制御用マイコン91は、
図29に示すサブ側10msタイマ割り込み処理を10msecといった短時間毎に繰り返す。
図29に示すように、サブ側10msタイマ割り込み処理ではまず、後述する受信コマンド解析処理を行う(S401)。次いで、サブ側1msタイマ割り込み処理で作成したスイッチデータを10msタイマ割り込み処理用のスイッチデータとして演出用RAM94に格納するスイッチ状態取得処理を行う(S402)。続いて、スイッチ状態取得処理にて格納したスイッチデータに基づいて第1画像表示装置6の表示画面6a及び第2画像表示装置7の表示画面7aの表示内容等を設定するスイッチ処理を行う(S403)。
【0160】
続いて、演出制御用マイコン91は、音声制御処理を行う(S404)。音声制御処理(S404)では、音響データ(スピーカ67から音を出力するためのデータ)の作成、音声用CPU147への音響データの出力、及び音声演出の時間管理等を行う。これにより、実行する演出に合った音声がスピーカ67から出力される。
【0161】
続いて、演出制御用マイコン91は、後述する検査処理(S405)を行う。その後、各種の演出決定用乱数を更新したりするなどのその他の処理を実行して(S406)、本処理を終える。
【0162】
[受信コマンド解析処理]
図30に示すように、受信コマンド解析処理(S401)ではまず、演出制御用マイコン91は、遊技制御基板80から変動開始コマンドを受信したか否か判定し(S501)、受信していれば後述する変動演出開始処理を行う(S502)。
【0163】
続いて、演出制御用マイコン91は、遊技制御基板80から変動停止コマンドを受信したか否か判定し(S503)、受信していれば変動演出終了処理を行う(S504)。変動演出終了処理(S504)では、変動停止コマンドを解析し、その解析結果に基づいて、変動演出を終了させるための変動演出終了コマンドを演出用RAM94の出力バッファにセットする。
【0164】
続いて、演出制御用マイコン91は、遊技制御基板80から大当たり遊技のオープニングの実行開始を示すオープニングコマンドを受信したか否か判定し(S505)、受信していればオープニング演出選択処理を行う(S506)。オープニング演出選択処理(S506)では、オープニングコマンドを解析して、その解析結果に基づいて、大当たり遊技のオープニング中に実行するオープニング演出のパターン(内容)を選択する。そして、選択したオープニング演出パターンにてオープニング演出を開始するためのオープニング演出開始コマンドを演出用RAM94の出力バッファにセットする。
【0165】
続いて、演出制御用マイコン91は、遊技制御基板80から大当たり遊技のラウンド遊技の実行開始を示すラウンド指定コマンドを受信したか否か判定し(S507)、受信していればラウンド演出選択処理を行う(S508)。ラウンド演出選択処理(S508)では、ラウンド指定コマンドを解析して、その解析結果に基づいて、大当たり遊技のラウンド遊技中に実行するラウンド演出(開放遊技演出)のパターン(内容)を選択する。そして、選択したラウンド演出パターンにてラウンド演出を開始するためのラウンド演出開始コマンドを演出用RAM94の出力バッファにセットする。
【0166】
続いて、演出制御用マイコン91は、遊技制御基板80から大当たり遊技のエンディングの実行開始を示すエンディングコマンドを受信したか否か判定し(S509)、受信していればエンディング演出選択処理を行う(S510)。エンディング演出選択処理(S510)では、エンディングコマンドを解析して、その解析結果に基づいて、大当たり遊技のエンディング中に実行するエンディング演出のパターン(内容)を選択する。そして、選択したエンディング演出パターンにてエンディング演出を開始するためのエンディング演出開始コマンドを演出用RAM94の出力バッファにセットする。
【0167】
続いて、演出制御用マイコン91は、検査コマンドを受信したか否かを判定し(S511)、受信していなければステップS513に進むが、受信していれば検査フラグの値を「1」にセットして(S512)、ステップS513に進む。検査コマンドは、上述した検査用基板700が出力するものである。また、検査フラグは、検査の進捗を示すフラグであり、検査中でない場合は「0」にセットされているものとする。
【0168】
ステップS513では、その他の処理として、上記のコマンド以外の受信コマンドに基づく処理(例えば、特定領域39への通過を示すV通過コマンドに基づいて第1画像表示装置6にてV通過報知を行う処理等)を行う。そして、受信コマンド解析処理(S401)を終える。
【0169】
[変動演出開始処理]
図31に示すように、変動演出開始処理(S502)ではまず、演出制御用マイコン91は、変動開始コマンドを解析する(S601)。変動開始コマンドには、変動パターン(
図23参照)の情報や、大当たりの判定等に基づく特図停止図柄データの情報が含まれている。次に演出制御用マイコン91は、変動演出において最終的に停止表示する演出図柄8L,8C,8Rの選択を行う(S602)。続いて演出制御用マイコン91は、変動開始コマンドの解析結果に基づいて、変動演出の内容である変動演出パターンを選択する(S603)。変動演出パターンが決まれば、変動演出の時間、演出図柄の変動表示態様、リーチ演出の有無、リーチ演出の内容、SW演出(演出ボタン演出)の有無、SW演出の内容、演出展開構成、演出図柄の背景の種類等からなる変動演出の内容の詳細が決まることとなる。この変動演出パターンの中には、枠可動部材(枠顔可動体400、枠耳可動体500、枠顎可動体600)に出現動作や格納動作を行わせる変動演出パターンが含まれている。
【0170】
続いて演出制御用マイコン91は、予告演出の選択を行う(S604)。これにより、いわゆるステップアップ予告演出やチャンスアップ予告演出などの予告演出の内容が決定される。
【0171】
ステップS605では、演出制御用マイコン91は、選択した演出図柄、変動演出パターン、及び予告演出にて変動演出を開始するための変動演出開始コマンドを演出用RAM94の出力バッファにセットして、変動演出開始処理(S502)を終了する。ステップS605でセットされた変動演出開始コマンドが、画像制御基板140に送信されると、画像制御基板140の画像用CPU142は、所定の演出画像を画像用ROM143から読み出して、第1画像表示装置6の表示画面6a及び第2画像表示装置7の表示画面7aにて変動演出を行う。
【0172】
[検査処理]
図32に示すように、検査処理(S405)では、演出制御用マイコン91は、検査フラグの値が「1」であるか否かを判定する(S701)。検査フラグの値が「1」でなければステップS705に進むが、検査フラグの値が「1」であれば、製造時の検査を行うべく、駆動制御基板130の状態を「検査1」に設定するための状態コマンド(第1の状態設定信号に相当)を、演出用RAM94の出力バッファにセットする(S702)。そして演出制御用マイコン91は、製造時の検査として枠可動部材(枠顔可動体400、枠耳可動体500、枠顎可動体600)を動作させるための検査用駆動コマンドを、演出用RAM94の出力バッファにセットする(S703)。続いて演出制御用マイコン91は、検査フラグの値を「2」にセットして(S704)、ステップS705に進む。
【0173】
ステップS705では、演出制御用マイコン91は、検査フラグの値が「2」であるか否かを判定する(S705)。検査フラグの値が「2」でなければステップS712に進むが、検査フラグの値が「2」であれば、駆動制御基板130からテスト用センサ情報を受信したか否かを判定する(S706)。なお、テスト用センサ情報は、駆動制御基板130が状態コマンドの受信に応じて状態を「検査1」に設定した場合に演出制御用マイコン91に送信される情報である。
【0174】
ステップS706においてテスト用センサ情報を受信していないと判定した場合には、ステップS712に進む。一方、テスト用センサ情報を受信している場合と判定した場合には、その受信したテスト用センサ情報に基づいて、各種の位置センサ(枠顔原点位置センサ381、枠顔動作位置センサ382、左側枠耳原点位置センサ581L、右側枠耳原点位置センサ581R、左側枠耳動作位置センサ582L、右側枠耳動作位置センサ582R、枠顎原点位置センサ681、枠顎動作位置センサ682)が正常であるか否かを判定する(S707)。この判定結果がYESである場合、各種の位置センサが正常であることを示す特定の表示(センサ正常表示)を表示画面6aに表示するためのセンサ正常表示コマンドを、演出用RAM94の出力バッファにセットして(S708)、ステップS710に進む。センサ正常表示コマンドを受信した画像制御基板140は、
図36(A)に示すセンサ正常表示を、表示画面6aに表示する。この表示を確認することで、各種の位置センサが正常であることを確認することが可能である。
【0175】
これに対して、ステップS707の判定結果がNOである場合、各種の位置センサに異常があることを示す特定の表示(センサ異常表示)を表示画面6aに表示するためのセンサ異常表示コマンドを、演出用RAM94の出力バッファにセットして(S709)、ステップS710に進む。センサ異常表示コマンドを受信した画像制御基板140は、
図36(B)に示すセンサ異常表示を、表示画面6aに表示する。この表示を確認することで、位置センサに異常があることを確認することが可能である。なお、
図36(B)中の「エラー1」の表示は、センサ異常に対応するエラーナンバーである。
【0176】
ステップS710では、駆動制御基板130の状態を「検査2」に設定するための状態コマンド(第2の状態設定信号に相当)を、演出用RAM94の出力バッファにセットする(S710)。そして演出制御用マイコン91は、検査フラグの値を「3」にセットして(S711)、ステップS712に進む。
【0177】
ステップS712では、演出制御用マイコン91は、検査フラグの値が「3」であるか否かを判定する(S712)。検査フラグの値が「3」でなければ本処理を終えるが、検査フラグの値が「3」であれば、駆動制御基板130からチェックサム(ROM情報)を受信したか否かを判定する(S713)。なお、チェックサムは、駆動制御基板130が状態コマンドの受信に応じて状態を「検査2」に設定した場合に演出制御用マイコン91に送信される情報である。
【0178】
ステップS713においてチェックサムを受信していないと判定した場合には、本処理を終える。一方、チェックサムを受信している場合と判定した場合には、その受信したチェックサムに基づいて、駆動用ROM133が正常であるか否かを判定する(S714)。この判定結果がYESである場合、駆動用ROM133が正常であることを示す特定の表示(ROM正常表示)を表示画面6aに表示するためのROM正常表示コマンドを、演出用RAM94の出力バッファにセットして(S715)、ステップS717に進む。ROM正常表示コマンドを受信した画像制御基板140は、
図36(C)に示すROM正常表示を、表示画面6aに表示する。この表示を確認することで、駆動用ROM133が正常であることを確認することが可能である。
【0179】
これに対して、ステップS714の判定結果がNOである場合、駆動用ROM133に異常があることを示す特定の表示(ROM異常表示)を表示画面6aに表示するためのROM異常表示コマンドを、演出用RAM94の出力バッファにセットして(S716)、ステップS717に進む。ROM異常表示コマンドを受信した画像制御基板140は、
図36(D)に示すROM異常表示を、表示画面6aに表示する。この表示を確認することで、駆動用ROM133に異常があることを確認することが可能である。なお、
図36(D)中の「エラー2」の表示は、ROM異常に対応するエラーナンバーである。
【0180】
ステップS717では、駆動制御基板130の状態を「遊技中」に設定するための状態コマンド(第3の状態設定信号に相当)を、演出用RAM94の出力バッファにセットする(S717)。そして演出制御用マイコン91は、検査フラグの値を「0」にセットして(S718)、本処理を終える。なお、駆動制御基板130の状態が「遊技中」に設定されていて、演出制御基板90に遊技制御基板80が接続されていれば、遊技可能な状態である。
【0181】
以上の演出制御用マイコン91における処理と並行して、駆動用CPU132は
図33~
図35に示す処理を行う。以下、駆動用CPU132の動作について説明する。
【0182】
[駆動用CPU割り込み処理]駆動用CPU132は、
図33に示す駆動用CPU割り込み処理を所定時間毎(例えば4ms毎)に行う。
図33に示すように、駆動用CPU割り込み処理では、駆動用CPU132は、後述する駆動用CPU入力処理(S1001)を行い、続いて、後述する駆動用CPU出力処理(S1002)を行う。
【0183】
[駆動用CPU入力処理]
図34に示すように、駆動用CPU入力処理(S1001)では、駆動用CPU132は、演出制御用マイコン91から状態コマンドを受信したか否かを判定する(S1101)。受信していなければ、ステップS1103に進むが、受信していれば、状態フラグの値を更新してから(S1102)、ステップS1103に進む。ここで、状態フラグは、駆動制御基板130の状態を示すものであり、
図34中の表に示すうように、駆動制御基板130の状態を「検査1」に設定する場合、状態フラグの値を「1」にセットし、駆動制御基板130の状態を「検査2」に設定する場合、状態フラグの値を「2」にセットし、駆動制御基板130の状態を「遊技中」に設定する場合、状態フラグの値を「3」にセットする。なお、「検査1」の状態とは、センサ検査を行う状態であり、「検査2」の状態とは、ROM検査を行う状態である。また、「遊技中」の状態とは、製造時の検査を行う状態ではなく、遊技制御基板80が演出制御基板90に接続されていて、遊技可能となっている状態である。状態フラグの初期値は、「遊技中」に対応する値(本形態では「3」)に電源投入時にまずセットされるものとする。
【0184】
ステップS1103では、駆動用CPU132は、演出制御用マイコン91から検査用駆動コマンドを受信したか否かを判定する(S1103)。受信していなければ、ステップS1105に進むが、受信していれば、検査用駆動信号を枠中継基板137に出力してから(S1104)、ステップS1105に進む。検査用駆動信号は、製造時の検査のために枠可動部材(枠顔可動体400、枠耳可動体500、枠顎可動体600)に一連の出現動作および格納動作を行わせるための信号である。枠中継基板137のドライバIC138は、検査用駆動信号の入力に応じて、枠顔移動モータ311、枠耳移動モータ520、枠顎移動モータ610を適宜駆動する。
【0185】
ステップS1105では、駆動用CPU132は、演出制御用マイコン91から遊技中駆動コマンド(検査中ではなく遊技中の駆動コマンド)を受信したか否かを判定する(S1105)。受信していなければ、ステップS1107に進むが、受信していれば、遊技中駆動信号を枠中継基板137に出力してから(S1106)、ステップS1107に進む。遊技中駆動信号は、遊技の進行に応じて枠可動部材(枠顔可動体400、枠耳可動体500、枠顎可動体600)に一連の出現動作および格納動作を行わせるための信号である。枠中継基板137のドライバIC138は、遊技中駆動信号の入力に応じて、枠顔移動モータ311、枠耳移動モータ520、枠顎移動モータ610を適宜駆動する。
【0186】
ステップS1107では駆動用CPU132は、その他の処理としては例えば、盤可動体15、盤ランプ5、枠ランプ66等の各演出手段の駆動を指示するコマンドを演出制御用マイコン91から受信したか否かを判定し、受信していれば、そのコマンドに応じて、演出手段を駆動させるための駆動信号を出力する。
【0187】
[駆動用CPU出力処理]
図35に示すように、駆動用CPU出力処理(S1002)では、駆動用CPU132は、状態フラグの値が「検査1」に対応する値「1」であるか否かを判定する(S1201)。この判定結果がNOであれば、ステップS1204に進むが、判定結果がYESであれば、センサ検査を行うため、各種の位置センサ(枠顔原点位置センサ381、枠顔動作位置センサ382、左側枠耳原点位置センサ581L、右側枠耳原点位置センサ581R、左側枠耳動作位置センサ582L、右側枠耳動作位置センサ582R、枠顎原点位置センサ681、枠顎動作位置センサ682)の信号を読み込む(S1202)。そして、読み込んだ各種の位置センサの信号からテスト用センサ情報を生成し、シリアルポート135aから演出制御基板90に出力して(S1203)、ステップS1204に進む。テスト用センサ情報には、各種の位置センサが正常であるか異常であるかを示す情報が含まれている。
【0188】
ステップS1204では、駆動用CPU132は、状態フラグの値が「検査2」に対応する値「2」であるか否かを判定する(S1204)。この判定結果がNOであれば、ステップS1207に進むが、判定結果がYESであれば、ROM検査を行うため、駆動用ROM133のチェックサムを算出する(S1205)。そして、算出したチェックサムの下位8ビットを、ROM情報として、シリアルポート135aから演出制御基板90に出力して(S1206)、ステップS1207に進む。チェックサムは、駆動用ROM133として正常なROMが取り付けられているか、すなわち駆動用ROM133に異常はないかの判断に用いられる。
【0189】
ステップS1207では、駆動用CPU132は、状態フラグの値が「遊技中」に対応する値「3」であるか否かを判定する(S1207)。この判定結果がNOであれば、ステップS1211に進むが、判定結果がYESであれば、遊技の進行に合わせた枠可動部材(枠顔可動体400、枠耳可動体500、枠顎可動体600)の駆動中であるか否かを判定する(S1208)。そしてこの判定結果がNOであれば、ステップS1211に進むが、判定結果がYESであれば、各種の位置センサ(枠顔原点位置センサ381、枠顔動作位置センサ382、左側枠耳原点位置センサ581L、右側枠耳原点位置センサ581R、左側枠耳動作位置センサ582L、右側枠耳動作位置センサ582R、枠顎原点位置センサ681、枠顎動作位置センサ682)の信号を読み込む(S1209)。そして、読み込んだ各種の位置センサの信号をセンサ情報として、シリアルポート135aから演出制御基板90に出力して(S1210)、ステップS1211に進む。この遊技中のセンサ情報は、各可動部材が原点位置にあるかや動作位置にあるかといった位置情報を示すものである。
【0190】
ステップS1211では駆動用CPU132は、その他の処理としては例えば、盤可動体15の位置情報を演出制御基板90に出力する。なお、盤可動体15についても、その原点位置や駆動位置を検知するための位置センサが設けられているものとする。
【0191】
8.本形態の効果
以上詳細に説明したように、本形態のパチンコ遊技機1によれば、駆動制御部139(第1の制御手段)が「検査1」の状態に設定されているときと「検査2」の状態に設定されているときとで、共通するシリアルポート135a(特定の通信部)から受信する情報を、テスト用センサ情報としたりROM情報としたりすることが可能である(
図19参照)。よって、駆動制御部139とサブ制御部99(第2の制御手段)とを接続する信号線の数を増やすことなく、サブ制御部99が、駆動制御部139から多くの情報を取得することが可能となる。
【0192】
特に本形態のパチンコ遊技機1によれば、サブ制御部99(演出制御基板90)が、駆動制御部139(駆動制御基板130)を「検査1」の状態に設定したり「検査2」の状態に設定したりすることにより、共通するシリアルポート135aから受信する情報を、テスト用センサ情報としたりROM情報としたりすることが可能である。
【0193】
また本形態のパチンコ遊技機1によれば、駆動制御部139を「検査1」の状態に設定することで、サブ制御部99は、駆動制御部139からテスト用センサ情報を取得するため、各種の位置センサ(枠顔原点位置センサ381、枠顔動作位置センサ382、枠耳原点位置センサ581、枠耳動作位置センサ582、枠顎原点位置センサ681、枠顎動作位置センサ682)が正常に動作しているか否か(つまり各種の位置センサの動作状況)を把握することが可能である。
【0194】
また本形態のパチンコ遊技機1によれば、駆動制御部139を「検査2」の状態に設定することで、サブ制御部99は、駆動制御部139からROM情報(チェックサム)を取得するため、駆動制御部139として正しいものが接続されているか、より詳細には、正しい駆動用ROM133が搭載されているかを把握することが可能である。
【0195】
また本形態のパチンコ遊技機1によれば、サブ制御部99は、駆動制御部139から取得したテスト用センサ情報に基づいて、センサ正常表示(
図36(A)参照)やセンサ異常表示(
図36(B)参照)を行ったり、駆動制御部139から取得したROM情報に基づいて、ROM正常表示(
図36(C)参照)やROM異常表示(
図36(D)参照)を行ったりする。よって、これらの表示を視認することによって、各種の位置センサが正しく動作しているか否かや、駆動用ROM133として正しいものが搭載されているか否かについて把握することが可能である。
【0196】
また本形態のパチンコ遊技機1によれば、製造時の検査において、サブ制御部99が駆動制御部139を「検査1」の状態に設定したり「検査2」の状態に設定したりすることにより、共通するシリアルポート135aから受信する情報を、テスト用センサ情報としたりROM情報としたりすることが可能である。よって、製造時の検査において、サブ制御部99が、駆動制御部139から多くの情報を取得することが可能となる。特に本形態のパチンコ遊技機1のように、サブ制御部99が駆動制御部139から各種の位置センサの情報だけでなく、駆動用ROM133の情報も取得する必要がある場合に、本形態の構成は有効であり、従前の製造時の検査の工程を変えることなく好適に検査を行うことが可能となる。
【0197】
また本形態のパチンコ遊技機1によれば、サブ制御部99は、駆動制御部139を「検査1」の状態や「検査2」の状態だけでなく、「遊技中」の状態に設定することもできるため、遊技中には検査時とは異なる遊技中のセンサ情報を、シリアルポート135aから取得することが可能である。すなわち、サブ制御部99は、遊技中と検査時とで同じシリアルポート135aから異なる情報を取得することが可能となる。
【0198】
9.変更例
以下、変更例について説明する。なお、変更例の説明において、上記形態のパチンコ遊技機1と同様の構成については、同じ符号を付して説明を省略する。勿論、変更例に係る構成同士を適宜組み合わせて構成してもよい。また、上記形態および下記変更例中の技術的特徴は、本明細書において必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【0199】
上記形態では、製造時の演出制御基板90側の検査において、サブ制御部99(第2の制御手段)が駆動制御部139(第1の制御手段)の状態を第1状態(検査1)あるいは第2状態(検査2)に切り替える構成とした。これに対して、遊技の進行中(始動口への入賞に基づく抽選や大当たり遊技の実行が可能な期間中)において、サブ制御部99(第2の制御手段)が駆動制御部139(第1の制御手段)の状態を第1状態あるいは第2状態に切り替えて、駆動制御部139からシリアルポート135aを通じて、状態に応じて異なる情報を受信するように構成してもよい。具体的には例えば、
図37のブロック図に示すように構成してもよい。
【0200】
すなわち
図37に示すように、演出制御基板90には遊技制御基板80が接続されている。また枠中継基板137には、14個の位置センサ(第1位置センサ801、第2位置センサ802、第3位置センサ803、第4位置センサ804、第5位置センサ805、第6位置センサ806、第7位置センサ807、第8位置センサ808、第9位置センサ809、第10位置センサ810、第11位置センサ811、第12位置センサ812、第13位置センサ813、第14位置センサ814)が接続されている。枠可動部材(枠顔可動体400,枠耳可動体500、枠顎可動体600)の動作にあたっては、これらの位置センサ801~814により枠可動部材の位置が細かく検出されるものとする。このため、枠可動部材に上記形態よりも複雑な動作を行わせることが可能となっている。
【0201】
ところで上記形態で説明したように、駆動制御基板130のシリアルポート135a(特定の信号線136)は、8ビットのシリアルデータを送信可能なものであるため、このシリアルポート135aを使って、14個の各位置センサ801~814のON/OFF情報を一度に演出制御基板90に送信することはできない。
【0202】
そこでこの変更例では、駆動制御基板130(駆動制御部139)の状態に「遊技中1」(第1状態の一例)と「遊技中2」(第2状態の一例)とを設け、演出制御基板90(サブ制御部99)が駆動制御基板130の状態を「遊技中1」に設定している場合には、駆動制御基板130は、シリアルポート135aを通じて、第1位置センサ801~第7位置センサ807までの各位置センサのON/OFF情報(第1~第7センサ情報)を演出制御基板90に送信し、演出制御基板90(サブ制御部99)が駆動制御基板130の状態を「遊技中2」に設定している場合には、駆動制御基板130は、シリアルポート135aを通じて、第8位置センサ808~第14位置センサ814までの各位置センサのON/OFF情報(第8~第14センサ情報)を演出制御基板90に送信する。このように構成すれば、駆動制御基板130と演出制御基板90とを接続する信号線の数を増やすことなく、駆動制御基板130から演出制御基板90に対して、多くの情報(すなわち、14個の位置センサ801~814の情報)を送信することが可能となる。言い換えれば、シリアルポート135aから一度に送信可能なビット数を超える数のセンサの情報を送信することが可能となる。
【0203】
なおこの変更例では、駆動用CPU出力処理(S1002)として
図38に示すものを行う。すなわち、駆動用CPU132は、枠可動部材(枠顔可動体400、枠耳可動体500、枠顎可動体600)の駆動中であるか否かを判定し(S1300)、この判定結果がNOであれば本処理を終えるが、この判定結果がYESであれば、続いて、状態フラグの値が「遊技中1」を示す値(例えば「4」とする)であるか否かを判定する(S1301)。そしてこの判定結果がNOであればステップS1304に進むが、この判定結果がYESであれば、第1位置センサ801~第7位置センサ807までの各位置センサの情報を読み込み(S1302)、これらの各位置センサのON/OFF情報を含む第1~第7センサ情報(第1群センサ情報)を、シリアルポート135aから演出制御基板90に出力して(S1303)、ステップS1304に進む。
【0204】
ステップS1304では、駆動用CPU132は、状態フラグの値が「遊技中2」を示す値(例えば「5」とする)であるか否かを判定する(S1304)。そしてこの判定結果がNOであれば本処理を終えるが、この判定結果がYESであれば、第8位置センサ808~第14位置センサ814までの各位置センサの情報を読み込み(S1305)、これらの各位置センサのON/OFF情報を含む第8~第14センサ情報(第2群センサ情報)を、シリアルポート135aから演出制御基板90に出力して(S1306)、本処理を終える。なお、駆動用CPU132は、演出制御基板90から「遊技中1」に設定するための状態コマンド(第1の状態設定信号の一例)を受信したことに応じて、状態フラグの値を「遊技中1」に対応する値に設定し、演出制御基板90から「遊技中2」に設定するための状態コマンド(第2の状態設定信号の一例)を受信したことに応じて、状態フラグの値を「遊技中2」に対応する値に設定するものとする。演出制御基板90は、枠可動部材の駆動中において、先の割り込み処理で、遊技中1(第1状態)に設定する第1の状態設定信号を出力し、その割り込み処理の次の割り込み処理で、遊技中2(第2状態)に設定する第2の状態設定信号を出力すればよい。
【0205】
また他の変更例として、例えば
図39のブロック図に示すように構成してもよい。すなわち
図39に示すように、この変更例では、演出制御基板90には遊技制御基板80が接続されている。また、駆動制御基板130(駆動制御部139)の状態に「遊技中」(第1状態の一例)と「検査」(第2状態の一例)とが設けられている。
【0206】
そして、演出制御基板90(サブ制御部99)が駆動制御基板130の状態を「遊技中」に設定している場合には、駆動制御基板130は、シリアルポート135aを通じて、上記形態と同様、各種の位置センサ(枠顔原点位置センサ381、枠顔動作位置センサ382、枠耳原点位置センサ581、枠耳動作位置センサ582、枠顎原点位置センサ681、枠顎動作位置センサ682)からの信号に基づくセンサ情報を演出制御基板90に送信する。
【0207】
一方、演出制御基板90(サブ制御部99)が駆動制御基板130の状態を「検査」に設定している場合には、駆動制御基板130は、シリアルポート135aを通じて、駆動用ROM133の所定の記憶領域に記憶してある固有値(ここでは「AA」)を演出制御基板90に送信する。固有値「AA」(16進数で2桁の値)の送信は、駆動用ROM133が正しいものであることや駆動制御部139が正しいものであることの確認のために用いられる。すなわち、正しくない駆動用ROMが駆動制御基板130に実装されている場合は、駆動制御基板130から、固有値「AA」が送信されないため、このことをもって演出制御基板90は、駆動用ROMが正しくないと判断することが可能である。この変更例では、センサ情報が第1の情報に相当し、固有値「AA」が第2の情報に相当する。
【0208】
ここで、演出制御基板90が駆動制御基板130の状態を「検査」に設定するタイミング(すなわち、固有値「AA」の送信タイミング)は、製造時の検査でなく、遊技の進行中であってもよい。具体的には例えば、遊技の進行中において演出制御基板90が駆動制御基板130の状態を定期的に、「遊技中」から「検査」に変更する構成としてもよい。定期的とは例えば、所定時間毎(例えば1時間毎)であってもよいし、所謂客待ち状態(特図保留が1つも無く大当たり遊技の実行中でもない状態)となる毎であってもよい。所定時間の計測は、RTCに基づいて行ってもよいし、割り込み処理でカウントされるタイマに基づいて行ってもよい。
【0209】
このように構成すれば、駆動制御基板130と演出制御基板90とを接続する信号線の数を増やすことなく、遊技の進行中において、駆動制御基板130から演出制御基板90に対して、センサ情報を送信したり、固有値「AA」を送信したりすることが可能である。すなわち、演出制御基板90は、駆動制御基板130からセンサ情報を受信したり、固有値「AA」を受信したりすることで、枠可動部材の駆動制御を行ったり、駆動制御部139の状態確認(駆動用ROM133が正しいものであるかの確認や、駆動用CPU132が正しく動作しているかの確認)を行ったりすることが可能である。そしてこの構成では、遊技中の常時監視により、駆動制御部139の異常を速やかに発見することが可能となる。
【0210】
なおこの変更例では、駆動用CPU出力処理(S1002)として
図40に示すものを行う。すなわち、駆動用CPU132は、状態フラグの値が「遊技中」を示す値(例えば「6」とする)であるか否かを判定する(S1401)。そしてこの判定結果がNOであればステップS1405に進むが、この判定結果がYESであれば、枠可動部材(枠顔可動体400、枠耳可動体500、枠顎可動体600)の駆動中であるか否かを判定する(S1402)。そして、この判定結果がNOであればステップS1405に進むが、この判定結果がYESであれば、続いて、各種の位置センサ(枠顔原点位置センサ381、枠顔動作位置センサ382、枠耳原点位置センサ581、枠耳動作位置センサ582、枠顎原点位置センサ681、枠顎動作位置センサ682)の情報を読み込み(S1403)、これらの各位置センサのON/OFF情報を含むセンサ情報を、シリアルポート135aから演出制御基板90に出力して(S1404)、ステップS1405に進む。
【0211】
ステップS1405では、駆動用CPU132は、状態フラグの値が「検査」を示す値(例えば「7」とする)であるか否かを判定する(S1405)。そしてこの判定結果がNOであれば本処理を終えるが、この判定結果がYESであれば、固有値「AA」を、シリアルポート135aから演出制御基板90に出力して(S1406)、本処理を終える。なお、駆動用CPU132は、演出制御基板90から「遊技中」に設定するための状態コマンド(第1の状態設定信号の一例)を受信したことに応じて、状態フラグの値を「遊技中」に対応する値に設定し、演出制御基板90から「検査」に設定するための状態コマンド(第2の状態設定信号の一例)を受信したことに応じて、状態フラグの値を「検査」に対応する値に設定するものとする。駆動制御基板130を「遊技中」に設定するための状態コマンドは、演出制御用マイコン91が固有値「AA」を受信して、駆動用ROM133が正常である否かの判定を行った後に、駆動制御基板130に送信されるものとする。
【0212】
なお、
図39及び
図40に示す変更例において、固有値「AA」に替えて、駆動用ROM133のチェックサムを送信する構成としてもよい。
【0213】
また上記形態では、駆動制御部139の状態をサブ制御部99が切り替える構成としたが、駆動制御部139が自ら状態を切り替える構成としてもよい。具体的には例えば、駆動制御部139(駆動制御基板130)が、電源投入中の経過時間を計測し、電源投入から所定時間経過までは第1状態に設定し、第1状態となってから所定時間が経過すると第2状態に設定する構成としてもよい。なおこの構成では、さらに、第2状態となってから所定時間が経過すると第1状態に設定する構成としてもよい。
【0214】
また上記形態では、駆動制御基板130は第1の情報として「テスト用センサ情報」を送信し、第2の情報として「ROM情報」を送信し、第3の情報として遊技中の「センサ情報」を送信する構成としたが、第1の情報、第2の情報、及び第3の情報は、適宜変更可能である。例えば、製造時の検査において、盤可動体15の動作確認を行うのであれば、盤可動体15の位置を検知するセンサの情報を第1の情報や第2の情報としてもよい。
【0215】
また上記形態では、サブ制御部99が駆動制御部139から取得した情報に基づいて、
図36(A)に示すセンサ正常表示や、
図36(B)に示すセンサ異常表示、
図36(C)に示すROM正常表示、
図36(D)に示すROM異常表示を行うことが可能な構成とした。これに対して、センサ正常表示やセンサ異常表示のみが可能な構成としたり、ROM正常表示やROM異常表示のみが可能な構成としたりしてもよい。また、センサ異常表示やROM異常表示といった異常表示のみが可能な構成としてもよい。
【0216】
また上記形態では、駆動制御部139(第1の制御手段)の状態として、第1状態(検査1)と第2状態(検査2)と第3状態(遊技中)とがある構成としたが、駆動制御部139(第1の制御手段)の状態は、2つ以上の状態に切り替え可能であれば、4つや5つ等、いくつ設定可能にしてもよい。なお、駆動制御部139の状態の数だけ、1つのシリアルポート135aから演出制御基板90に送信可能な情報の数を増やすことが可能である。
【0217】
また上記形態では、駆動用I/Oポート部135に含まれるシリアルポート135aで8ビットのデータを送信する構成としたが、シリアルポートによって一度に送信可能なデータ量は8ビットに限られず、16ビットなどであってもよい。このような構成であっても、シリアルポートによって一度に送信可能なデータ量を超える量のデータを送信する場合には、上記形態のように、駆動制御基板の状態毎にシリアルポートから演出制御基板90に対して出力する情報を変える構成を好適に用いることができる。
【0218】
また上記形態では、2つの画像表示装置(第1画像表示装置6、第2画像表示装置7)を設けたが、画像表示装置の数は1つであっても、3つ以上であってもよい。
【0219】
また上記形態では、第1始動口20又は第2始動口21への入賞に基づいて取得する乱数(判定情報)として、大当たり乱数等の4つの乱数を取得することとしたが、一つの乱数を取得してその乱数に基づいて、大当たりか否か、大当たりの種別、リーチの有無、及び変動パターンの種類を決めるようにしてもよい。すなわち、始動入賞に基づいて取得する乱数の個数および各乱数において何を決定するようにするかは任意に設定可能である。
【0220】
また上記形態では、いわゆるV確機(特定領域39の通過に基づいて高確率状態に制御する遊技機)として構成したが、当選した大当たり図柄の種類に基づいて高確率状態への移行が決定される遊技機として構成してもよい。また上記形態では、いわゆるST機(確変の回数切りの遊技機)として構成したが、一旦高確率状態に制御されると次の大当たり遊技の開始まで高確率状態への制御が続く遊技機(いわゆる確変ループタイプの遊技機)として構成してもよい。また上記形態では、特
図2の変動を特
図1の変動に優先して実行するように構成した。これに対して、特
図2の変動と特
図1の変動を始動口への入賞順序に従って実行するように構成してもよい。この場合、第1特図保留と第2特図保留とを合算して記憶可能な記憶領域を遊技用RAM84に設け、その記憶領域に入賞順序に従って判定情報を記憶し、記憶順の古いものから消化するように構成すればよい。また、特
図2の変動中であっても特
図1の変動を実行でき、且つ、特
図1の変動中であっても特
図2の変動を実行できるように構成してもよい。つまり、所謂同時変動を行う遊技機として構成してもよい。また、いわゆる1種2種混合機や、ハネモノタイプの遊技機として構成してもよい。すなわち、本発明は、遊技機のゲーム性を問わず、種々のゲーム性の遊技機に対して好適に採用することが可能である。
【0221】
また上記形態では、大当たりに当選してそのことを示す特別図柄が停止表示されたことを制御条件として、大当たり遊技状態(特別遊技状態)に制御されるパチンコ遊技機として構成した。これに対して、スロットマシン(回胴式遊技機、パチスロ遊技機)として構成してもよい。この場合、ビッグボーナスやレギュラーボーナスへの入賞によって獲得メダルを増やす所謂ノーマル機であれば、ビッグボーナスやレギュラーボーナス等のボーナスを実行している状態が特別遊技状態に相当する。また、小役に頻繁に入賞可能なART(アシストリプレイタイム)やAT(アシストタイム)等の特別な遊技期間にて獲得メダルを増やす所謂ART機やAT機であれば、ARTやAT中の状態が特別遊技状態に相当する。また、ノーマル機では特別遊技状態への制御条件は、ビッグボーナスやレギュラーボーナスに当選した上で、有効化された入賞ライン上に、ビッグボーナスやレギュラーボーナスへの移行契機となる図柄の組み合せが各リールの表示結果として導出表示されることである。また、ART機やAT機では特別遊技状態への制御条件は、例えば、ARTやATの実行抽選に当選した上で、規定ゲーム数を消化するなどしてARTやATの発動タイミングを迎えることである。
【0222】
10.本明細書に開示されている発明
この[発明を実施するための形態]における前段落までには、以下の発明が開示されている。以下の説明では、実施形態における対応する構成の名称や表現、図面に使用した符号を参考のためにかっこ書きで付記している。但し、各発明の構成要素はこの付記に限定されるものではない。なお、発明Aは、以下の発明A1~A8の総称である。
【0223】
発明A1:
第1の制御手段(駆動制御部139)と第2の制御手段(サブ制御部99)とを備え、
前記第1の制御手段は、
所定の第1状態(例えば「検査1」の状態)に設定されている場合、当該第1の制御手段と前記第2の制御手段とを繋ぐ特定の通信部(シリアルポート135a)を用いて、第1の情報(テスト用センサ情報)を前記第2の制御手段に出力し、
前記第1状態とは異なる第2状態(例えば「検査2」の状態)に設定されている場合、前記特定の通信部(シリアルポート135a)を用いて、前記第1の情報とは異なる第2の情報(駆動用ROM133のチェックサム、すなわちROM情報)を前記第2の制御手段に出力するものである(
図19参照)ことを特徴とする遊技機。
【0224】
この構成の遊技機によれば、第1の制御手段が第1状態に設定されているときと第2状態に設定されているときとで、共通する特定の通信部から受信する情報を、第1情報としたり第2情報としたりすることが可能である。よって、第1の制御手段と第2の制御手段とを接続する通信部の数を増やすことなく、第2の制御手段が、第1の制御手段から多くの情報を取得することが可能となる。
【0225】
発明A2:
発明A1に記載の遊技機であって、
前記第2の制御手段は、
前記第1状態および前記第2状態を含む複数の状態のうちの何れかに前記第1の制御手段を設定する状態設定信号(状態コマンド)を、前記第1の制御手段に出力可能であり、
前記第1の制御手段は、
前記第1状態に設定するための第1の状態設定信号(「検査1」への設定を指示する状態コマンド)が入力された場合、前記特定の通信部を用いて、前記第1の情報を前記第2の制御手段に出力し、
前記第2状態に設定するための第2の状態設定信号(「検査2」への設定を指示する状態コマンド)が入力された場合、前記特定の通信部を用いて、前記第2の情報を前記第2の制御手段に出力するものであることを特徴とする遊技機。
【0226】
この構成の遊技機によれば、第2の制御手段が第1の制御手段を第1状態に設定したり第2状態に設定したりすることにより、共通する特定の通信部から受信する情報を、第1情報としたり第2情報としたりすることが可能である。
【0227】
発明A3:
発明A2に記載の遊技機であって、
前記第2の制御手段には、前記第1の制御手段を介して所定の電気部品(枠顔原点位置センサ381、枠顔動作位置センサ382、枠耳原点位置センサ581、枠耳動作位置センサ582、枠顎原点位置センサ681、枠顎動作位置センサ682)が接続されており、
前記第1の情報は、前記電気部品の動作状況(各位置センサが正しく動作するか)を示す情報(テスト用センサ情報)であることを特徴とする遊技機。
【0228】
この構成の遊技機によれば、第1の制御手段を第1状態に設定することで、第2の制御手段は、第1の制御手段に接続された電気部品の動作状況を把握することが可能である。
【0229】
発明A4:
発明A3に記載の遊技機であって、
前記第2の情報は、前記第1の制御手段が正常であるかを判別可能な情報であることを特徴とする遊技機。
【0230】
この構成の遊技機によれば、第1の制御手段を第2状態に設定することで、第2の制御手段は、第1の制御手段が正常であるかを把握することが可能である。
【0231】
発明A5:
発明A4に記載の遊技機であって、
前記第2の情報は、前記第1の制御手段が有する記憶手段(駆動用ROM133)に記憶されている情報に基づいて算出した検査用情報(チェックサム)であることを特徴とする遊技機。
【0232】
この構成の遊技機によれば、第2の制御手段は、第1の制御手段が有する記憶手段に記憶されている情報に基づいて算出される検査用情報を取得するため、第1の制御手段の中でも特に記憶手段が正しいかを把握することが可能である。
【0233】
発明A6:
発明A3から発明A5までのいずれかに記載の遊技機であって、
所定の表示手段(第1画像表示装置6)を備え、
前記第2の制御手段は、前記第1の制御手段から入力された前記第1の情報あるいは前記第2の情報に基づいて、特定の表示(
図36に示すセンサ正常表示、センサ異常表示、ROM正常表示、ROM異常表示)を前記表示手段に表示させることが可能であることを特徴とする遊技機。
【0234】
この構成の遊技機によれば、第2の制御手段は、第1の制御手段から取得した第1の情報や第2の情報に基づく特定の表示を、表示手段に表示するため、特定の表示を視認することによって、第1の情報や第2の情報が示す内容を把握することが可能となる。
【0235】
発明A7:
発明A2から発明A6までのいずれかに記載の遊技機であって、
前記第2の制御手段は、所定の検査(製造時の検査)を行う場合に、前記第1の状態設定信号又は前記第2の状態設定信号を前記第1の制御手段に出力するものであることを特徴とする遊技機。
【0236】
この構成の遊技機によれば、製造時の検査において、第2の制御手段が第1の制御手段を第1状態に設定したり第2状態に設定したりすることにより、共通する特定の通信部から受信する情報を、第1情報としたり第2情報としたりすることが可能である。よって、製造時の検査において、第2の制御手段が、第1の制御手段から多くの情報を取得することが可能となる。
【0237】
発明A8:
発明A7に記載の遊技機であって、
前記第2の制御手段は、当該遊技機が遊技可能である場合、前記第1の制御手段を前記第1状態とも前記第2状態とも異なる第3状態(例えば「遊技中」の状態)に設定するための第3の状態設定信号(「遊技中」への設定を指示する状態コマンド)を、前記第1の制御手段に出力可能であり、
前記第1の制御手段は、前記第3の状態設定信号が入力された場合、前記特定の通信部を用いて、前記第1の情報とも前記第2の情報とも異なる第3の情報(遊技中のセンサ情報)を前記第2の制御手段に出力可能なものであることを特徴とする遊技機。
【0238】
この構成の遊技機によれば、第2の制御手段は、第1の制御手段を第3状態に設定することもできるため、共通する特定の通信部から受信することができる情報を一層増やすことが可能である。
【0239】
ところで従来より、パチンコ遊技機等の遊技機では、例えば特開2018-38799号公報に記載されているように、種々の演出が行われることで遊技興趣が高められている。演出には、モータやセンサ、LEDなどの電気部品が用いられており、これらの電気部品は制御手段により制御されている。ここで、演出として趣向を凝らしたものを行う場合等には、その制御負担を考慮して、複数の制御手段を搭載することが考えられる。この場合、複数の制御手段を繋ぐ限られた通信部で、いかにして十分な情報を通信するかが問題となる。
【0240】
上記した発明Aは、特開2018-38799号公報に記載の遊技機に対して、「第1の制御手段は、所定の第1状態に設定されている場合、第1の制御手段と第2の制御手段とを繋ぐ特定の通信部を用いて、第1の情報を第2の制御手段に出力し、第1状態とは異なる第2状態に設定されている場合、特定の通信部を用いて、第1の情報とは異なる第2の情報を第2の制御手段に出力する」という点で相違している。これにより、発明Aは、「限られた通信部でも多くの情報を複数の制御手段間で通信可能な遊技機を提供する」という課題を解決する(作用効果を奏する)ことが可能である。
【符号の説明】
【0241】
1…パチンコ遊技機
6…第1画像表示装置(表示手段)
99…サブ制御部(第2の制御手段)
133…駆動用ROM(記憶手段)
135a…シリアルポート(特定の通信部)
139…駆動制御部(第1の制御手段)
381…枠顔原点位置センサ
382…枠顔動作位置センサ
581…枠耳原点位置センサ
582…枠耳動作位置センサ
681…枠顎原点位置センサ
682…枠顎動作位置センサ