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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-11
(45)【発行日】2023-05-19
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
   G09G 5/02 20060101AFI20230512BHJP
   B60K 35/00 20060101ALI20230512BHJP
   G06F 3/14 20060101ALI20230512BHJP
   G09G 3/20 20060101ALI20230512BHJP
   G09G 5/00 20060101ALI20230512BHJP
   G09G 5/36 20060101ALI20230512BHJP
   G09G 5/37 20060101ALI20230512BHJP
   G09G 5/377 20060101ALI20230512BHJP
   G09G 5/38 20060101ALI20230512BHJP
【FI】
G09G5/02 Z
B60K35/00 Z
G06F3/14 360A
G09G3/20 612U
G09G3/20 641P
G09G3/20 660E
G09G3/20 660J
G09G3/20 660K
G09G3/20 660Q
G09G3/20 680Q
G09G5/00 520H
G09G5/00 550H
G09G5/36 200
G09G5/37 100
G09G5/37 200
G09G5/37 320
G09G5/377 100
G09G5/38 100
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2022000795
(22)【出願日】2022-01-06
(62)【分割の表示】P 2020168796の分割
【原出願日】2011-05-17
(65)【公開番号】P2022064888
(43)【公開日】2022-04-26
【審査請求日】2022-02-01
(73)【特許権者】
【識別番号】391001848
【氏名又は名称】株式会社ユピテル
(72)【発明者】
【氏名】高橋 圭三
【審査官】橋本 直明
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-025134(JP,A)
【文献】特開平09-229692(JP,A)
【文献】特開2021-047407(JP,A)
【文献】特開2004-233098(JP,A)
【文献】特開2007-286593(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第101042300(CN,A)
【文献】特開2007-069766(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0046106(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 5/02
B60K 35/00
G06F 3/14
G09G 3/20
G09G 5/00
G09G 5/36
G09G 5/37
G09G 5/377
G09G 5/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画面に画像を表示する機能を有し、
前記表示する機能は、
道路を含む地図であって、前記道路が前記画面の所定の端部の位置から延びている又は前記道路が前記所定の端部の位置に向かって延びている地図を、前記画面に表示させ、
前記画面の前記所定の端部の位置においてグラデーション領域を前記地図に重ねて表示させ、
前記道路と前記グラデーション領域とが互いに異なる色で重なり合うようにし、
前記道路は、前記地図において人間の目に感知される緑色の第1の道路を含み、
前記表示する機能は、
前記第1の道路に対する前記グラデーション領域の幅を、前記地図における道路以外の領域における前記グラデーション領域の幅よりも広くする
表示装置。
【請求項2】
コンピュータに、請求項1に記載の表示装置の前記表示する機能を実現させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マスク手段の背後に配置された表示手段の画面内と画面外との境界を認識しにくくする表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、カーナビゲーションシステム(いわゆるカーナビ)の普及や、カーオーディオの発展に伴って、自動車の車内に表示装置(以下、車載モニタという)が設置されるケースが増加している。また、自動車の後方にカメラ(以下、バックカメラという)を設置し、車両の後退時に後方の画像を車載モニタに表示する自動車も増えつつある。一方、車載モニタの設置形態も多様化しており、例えば、ダッシュボード上に固定設置するもの、ダッシュボード内に組み込むもの、後部座席用として運転席または助手席のヘッドレストに組み込むもの、後方視認用のバックミラーに液晶表示装置を組み込むものなどがある。ここで、バックミラーに液晶表示装置を組み込んだものを、以下ではバックミラーモニタという。
【0003】
バックミラーモニタは、バックミラーの裏面に液晶表示装置を備え、当該液晶表示装置の画面領域に対応する鏡の部分をハーフミラーにすることで、鏡面を通して液晶表示装置に表示された画像を視認可能としている。すなわち、上述した液晶表示装置に画像が表示されているときは、その画面の光がハーフミラーの領域を透過するため、ユーザは、表示された画像を視認することができる。
【0004】
これに対して、液晶表示装置に何も表示されていないときは、ハーフミラー領域を透過する光がなく、ハーフミラー領域は専ら外来光を反射することになる。このため、ハーフミラー領域は鏡として機能することになり、バックミラーモニタは、液晶表示装置に何も表示されていない場合は、一見すると普通のバックミラーと変わらないように見える。よって、ハーフミラー領域が形成されたバックミラー部分は、液晶表示装置の画面の内側と外側の境界を視認しにくくさせているマスク手段ということもできる。
【0005】
また、特許文献1には、従来の液晶表示装置用バックライトの構造として、透明の基材層の上面に透過光線に対して、拡散、集光および一定方向への屈折という光学的機能を奏する樹脂組成物を形成する一方、基材層の下面には、ランプ側の外縁部などの輝線発生帯域に、種々のインクによってグラデーション印刷を行うことで、輝線防止層を形成するものが提案されている。この輝線防止層は、ベタ塗り域と、グラデーション域とからなり、このグラデーション域によって、輝線防止層の境界線をぼやかすことができるとともに、液晶画面において輝線防止層が視認されにくくなっている。
【0006】
また、特許文献2には、表示画面のアスペクト比と異なるアスペクト比の映像信号を表示可能な映像表示装置において、表示画面のアスペクト比に合わせて映像信号を変換する際に付加されるブランク領域をより趣向性に富んだ表示にするために、映像領域周囲のブランク領域をグラデーション表示することが提案されている。
【0007】
さらに、特許文献3には、アスペクト比4:3のSDコンテンツを含んだアスペクト比16:9のHDコンテンツを表示する場合、SDコンテンツ表示領域と、左右両サイドの帯領域との境界に画面の焼付けが生じるのを避けるために、SD画像の輝度との差が所定の範囲内となるように、帯画像の輝度を段階的に変化させるグラデーション処理を行うテレビジョン受像機が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2002-214407号公報
【文献】特開2007-150502号公報
【文献】特開2008-300930号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述したように、従来のバックミラーモニタは、液晶表示装置に画像が表示されていないときは、マスク手段によって外部からは液晶表示装置の画面が視認しづらい状態になっているため、普通のバックミラーと見分けがつけにくくなっている。しかしながら、液晶表示装置の画面に、カーナビやバックカメラからの画像等を表示させると、表示した画像によって画面のエッジが顕在化してしまう場合がある。このような場合、画像を見る者に、液晶表示装置の画面領域を意識させることとなり、その結果、バックミラーを通して見る画像は、バックミラーに後付けした液晶表示装置によって表示されたものであるとの印象をあからさまに与えてしまい、見る者を興醒めさせてしまう虞があった。
【0010】
本発明は、上記のような課題に鑑みてなされたものであり、マスク手段の背後に設置された表示装置の画面領域を意識させないように画像を表示することで、あたかもマスク手段の全域が表示装置の画面になっているかのような印象を与えることができる表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決するために、本発明は、以下のものを提供する。
(1)画面に画像を表示する表示手段と、
前記画面の前面に配置され、前記画面に画像を表示していない時に前記画面内と前記画面外との境界を視認しにくくするマスク手段と、を備える表示装置であって、
前記表示手段は、前記画面に画像を表示した時に前記画面内と前記画面外の境界を認識しにくくする表示を行うことを特徴とする表示装置。
【0012】
ここで、「表示手段」は画像を表示するものであればよく、例えば、CRT、液晶表示装置、有機ELディスプレイおよびプラズマディスプレイなどがこれに該当する。また、「マスク手段」は、例えば、バックミラーモニタのバックミラー部分におけるハーフミラー領域もしくはミラー領域とハーフミラー領域とからなる領域、または、スモークガラスのように光透過率を低下させた透明部材であってもよい。
【0013】
上述した(1)の発明によれば、「表示手段」は、画面に画像を表示する際に、画面内と画面外の境界を認識しにくくする表示を行うため、「マスク手段」の背後に設置された「表示手段」の画面領域を、従来のように画面に画像を表示していない時だけでなく、画面に表示をしている時にも感じにくくすることができる。すなわち、常に画面領域を感じにくくさせることができる。これにより、その画像を見る者に、あたかもマスク手段の全域が表示装置の画面になっているかのような印象を与えることができる。また、常にマスク手段の全域が表示装置の画面になっているかのような印象を与えることができる。
【0014】
特にマスク手段は、表示手段の画面内と画面外との境界の全域にわたってその境界を視認しにくくする構成とするとよい。例えば表示手段の画面が四角形の画面である場合、その四辺の全域にわたってその境界を視認しにくくする構成とするとよい。
また、マスク手段は、画面内と画面外との境界の全域にわたってその境界を視認しにくくするとともに、さらに上述した境界から画面の外側にまで及ぶ所定の領域を有する構成とするとよい。
さらには、マスク手段は、これらの構成とともに、画面内の全域にわたる領域を有する構成とするとしてもよい。
【0015】
(2)前記表示手段は、前記画面内と前記画面外の境界として認識される主観的輪郭を生じさせにくくする表示を行うことを特徴とする上記(1)に記載の表示装置。
【0016】
ここで、「主観的輪郭」とは、ここで、「主観的輪郭」とは、物理的には存在しないにも関わらずこれを見た者に主観的に認識される輪郭である。例えば、輪郭線に沿った輝度や色の変化が存在しないにも関わらず、輪郭線が知覚される錯視のことをいう。
【0017】
上述した(2)の発明によれば、画面内と画面外の境界として認識される主観的輪郭を生じさせにくくする表示を行うため、本来、画面内と画面外の境界が存在しない位置において、そのような境界があたかも存在するような錯視を生じさせる可能性を低くすることができる。前記画面内と前記画面外の境界として認識される主観的輪郭を生じさせにくくする表示としては、(3)以降に記載する「前記境界を認識しにくくする表示」と同じ構成とするとよく、特に(7)の構成要素を有する構成が有効であり、(8)の構成要素を有する構成が最も有効である。
【0018】
(3)前記表示手段は、前記境界を認識しにくくする表示として、前記画面内に表示した画像を、前記画面外の方向に向けて明度を徐々に低下させるグラデーション表示とすることを特徴とする上記(1)または(2)に記載の表示装置。
【0019】
ここで、グラデーション表示は、画面の境界から一定距離だけ離れたポイントから一律に開始してもよいし、また、画面に表示されている画像の表示色に応じてグラデーション表示の開始ポイント(画面の境界からの距離)を変化させても良い。例えば人間の目に感知されやすい色については、画面の境界から、より離れたポイントからグラデーション表示を開始し、人間の目に感知されにくい色については、画面の境界に近いポイントからグラデーション表示を開始するようにしてもよい。
【0020】
上述した(3)の発明によれば、画面内に表示された情報が、画面外に向けて徐々に明度が低下するように表示されるため、画面の内側と外側の境界において画像を表示していない状態に近づけることができる。これにより、表示装置の画面に画像を表示しているときでも、「マスク手段」によって、画面の内側と外側の境界を認識しにくくすることができ、あたかも「マスク手段」の全域が表示装置の画面になっているかのような印象を与えることができる。
【0021】
(4)前記表示手段の前記画面はドットマトリクスディスプレイとして構成され、
前記表示手段は、前記境界を認識しにくくする表示として、前記画面を構成するドットのうち前記画像が表示される前記画面周縁部分の少なくとも一部のドットにおける明度を低下させることを特徴とする上記(3)に記載の表示装置。
【0022】
上述した(4)の発明によれば、画面に画像が表示されているときに、画面の境界付近の明度が低下するため、画面の内側と外側の境界において表示をしていない状態に近づけることができる。これにより、表示装置の画面に表示をしているときでも、「マスク手段」によって、画面の内側と外側の境界を認識しにくくすることができ、あたかも「マスク手段」の全域が表示装置の画面になっているかのような印象を与えることができる。
【0023】
(5)前記表示手段は、前記画面に表示される画像のうち、前記画面の周縁部分における画像の明度を調整する明度調整手段を有することを特徴とする上記(4)に記載の表示装置。
【0024】
上述した(5)の発明によれば、「明度調整手段」によって、画面周縁部に表示される画像の明度を調整することで、表示装置の画面に画像を表示しているときでも、「マスク手段」により、画面の内側と外側の境界を認識しにくくすることができる。また、明度の調整が可能となるため、画面の内側と外側の境界を認識させにくくするための調整を適度に行うことができる。
【0025】
(6)前記明度調整手段は、前記画面に表示する内容を表す画像データに基づいて、前記画面の周縁部分の表示を行う際に、該画面の周縁部分の表示の明度を、その画像データによって示される明度よりも低下させて表示することを特徴とする上記(5)に記載の表示装置。
【0026】
ここで「画像データ」は、画面に表示される内容を示すものであればあらゆるものが該当する。例えば、写真や図形を表す画像データ以外にも、表示する文字を示すテキストデータおよびその属性データ(文字の色、大きさ及びフォントなど)なども「画像データ」に含まれる。
【0027】
明度調整手段の具体的態様としては、例えば、「画像データ」に基づく表示制御を行うときのソフトウェア処理によって、画面の周縁部分の表示の明度を低下させる構成とするとよい。これにより、ハードウェア構成に変更を加えることなく、「マスク手段」によって画面の内側と外側の境界を認識しにくくすることができるため、コストを抑えつつ、「マスク手段」の全域があたかも表示装置の画面になっているかのような印象を与えることができる。
【0028】
(7)前記明度調整手段は、前記グラデーション表示を開始するドットの位置、または、前記グラデーション表示を行う際のグラデーションの勾配を変化させることを特徴とする上記(6)に記載の表示装置。
【0029】
上述した(7)の発明によれば、表示する画像に付加されるグラデーション領域の幅、または、グラデーション領域内に表示される画像における明度変化の傾きが一様とならないため、画面内と画面外の境界として認識される主観的輪郭を生じさせにくくすることができる。
【0030】
(8)前記明度調整手段は、所定のタイミングで、前記グラデーション表示を開始するドットの位置、または、前記グラデーション表示を行う際のグラデーションの勾配を変化させることを特徴とする上記(7)に記載の表示装置。
【0031】
上述した(8)の発明によれば、表示する画像に付加されるグラデーション領域の幅、または、グラデーション領域内に表示される画像における明度変化の傾きが、所定のタイミングで変化するため、画面内と画面外の境界として認識される主観的輪郭を、より生じさせにくくすることができる。
【0032】
(9)前記表示手段は、
前記ドットマトリクスディスプレイの各ドットに対応する記憶領域を備えた記憶手段と、
前記画像データに基づいて、前記記憶手段の各記憶領域に、対応するドットにおける表示に関する表示データを書き込む表示データ書込手段と、
前記記憶手段の各記憶領域に書き込まれた表示データに基づいて、前記ドットマトリクスディスプレイに画像を表示する画像表示手段と、を備え、
前記データ書込手段は、前記各記憶領域のうち、前記画面の周縁部におけるドットに対応する記憶領域に対し、当該ドットにおける表示が前記画像データによって指定される明度よりも低い明度となる表示データを書き込むことを特徴とする上記(6)~(8)のうちいずれか1つに記載の表示装置。
【0033】
上述した(9)の発明によれば、画像データに基づく画像表示制御を行うに当たり、画像データに基づいて各ドットに対する表示データの書込処理のみを変更するだけで、画面の周縁部分に表示する画像の明度を低下させることができる。これにより、ハードウェア構成に変更を加えることなく、「マスク手段」によって画面の内側と外側の境界を認識しにくくすることができるため、コストを抑えつつ、「マスク手段」の全域があたかも表示装置の画面になっているかのような印象を与えることができる。
【0034】
(10)前記データ書込手段は、前記画像データに基づいて前記画面にオブジェクトを表示するために、前記記憶手段の各記憶領域に前記表示データを書き込む際に、前記オブジェクトの周縁部分がグラデーション表示される表示データに変更することを特徴とする上記(9)に記載の表示装置。
【0035】
上述した(10)の発明によれば、画面の周縁部分の明度が低下するだけでなく、オブジェクトを表す画像の周縁部分もグラデーション表示される。これにより、例えば、表示されるオブジェクトの形状が直線で構成された多角形であり、そのうちの一辺が、画面の内側と外側の境界と平行な直線であった場合、当該オブジェクトの外形を形成する一辺が、画面の内側と外側の境界であるかのように見えてしまうおそれがある。よって、そのような誤認を避けるために、オブジェクトの周縁部分もグラデーション表示することによって、使用者に、表示装置の画面領域を意識させる可能性を低くすることができ、あたかもマスク手段の全域が表示装置の画面になっているかのような印象を与えることができる。
【0036】
(11)前記データ書込手段は、
前記画面内に表示するオブジェクトの全体が表示されるか否かを判断し、
前記オブジェクトの表示の一部が前記画面内に表示されないと判断したときは、前記画面内に表示されるオブジェクトにおいて、前記画面の周縁部における前記ドットに対応する記憶領域に対し、当該ドットにおける表示が前記画像データによって指定される明度よりも低い明度となる表示データを書き込むことを特徴とする上記(9)に記載の表示装置。
【0037】
上述した(11)の発明によれば、表示対象であるオブジェクトの全体像が画面内に収まり切らず、画面の周縁でオブジェクトの一部が打ち切られる場合は、その画面の周縁部におけるオブジェクトの表示をグラデーション表示する。これにより、オブジェクトの一部が画面の周縁で打ち切られることによって、そのオブジェクトを見る者に表示装置の画面領域を意識させてしまう可能性を低くすることができる。
【0038】
(12)前記データ書込手段は、
前記画面内に、
全体が表示されないオブジェクトが複数あるときは、それら各オブジェクトに対する前記画面の周縁部分における前記グラデーション表示を互いに異ならせる
ことを特徴とする上記(9)に記載の表示装置。
【0039】
上述した(12)の発明によれば、表示する画像において、画面の周縁に至るまで表示されるオブジェクトが複数存在した場合、それら各オブジェクトにおいて、画面の周縁部分におけるグラデーション表示が互いに異なるため、各オブジェクトの端部が、画面の周縁に沿って直線的に揃うことが無く、画面内と画面外の境界として認識される主観的輪郭を生じさせにくくすることができる。
【0040】
(13)前記表示手段は、前記画面の表面側かつ周縁部分に、光透過率を減少させる透過率減少手段を備えることを特徴とする上記(4)に記載の表示装置。
【0041】
上述した(13)の発明によれば、画面の周縁に「透過率減少手段」を設けることによって、画面の境界付近に表示された画像の明度を低下させるため、表示装置の画面に画像を表示しているときでも、「マスク手段」によって画面の内側と外側の境界を認識しにくくすることができる。このため、簡単な構成の追加によって「マスク手段」の全域があたかも表示装置の画面になっているかのような印象を与えることができる。
【0042】
(14)前記表示手段は、前記画面を背面側から照明して前記画面に表示された画像を視認可能にする照明手段と、
前記画面の背面側かつ周縁部分に設けられ、前記照明手段からの光を減光させる減光手段と、を備えることを特徴とする上記(4)に記載の表示装置。
【0043】
上述した(14)の発明によれば、「表示手段」の画面の背面側を照らす「照明手段」からの光のうち、画面の周縁部に対する光が「減光手段」によって減光されるため、表示装置の画面に画像を表示しているときでも、「マスク手段」によって画面の内側と外側の境界を認識しにくくすることができる。このため、簡単な構成によって「マスク手段」の全域があたかも表示装置の画面になっているかのような印象を与えることができる。
【0044】
(15)前記表示手段は、前記画面を背面側から照明して前記画面に表示された画像を視認可能にする照明手段を備え、
前記照明手段は、前記画面の中央部を照明する中央照明部と、周縁部分を照明する周縁照明部と、を有し、前記中央照明部の光量よりも前記周縁照明部の光量を少なくしたことを特徴とする上記(4)に記載の表示装置。
【0045】
上述した(15)の発明によれば、画面の背面側を照らす照明は、画面中央部よりも画面周縁部の方が暗くなるため、表示装置の画面に表示をしているときでも、「マスク手段」によって画面の内側と外側の境界を認識しにくくすることができる。このため、「照明手段」以外の追加的手段を用いることなく、「マスク手段」の全域があたかも表示装置の画面になっているかのような印象を与えることができる。
【発明の効果】
【0046】
以上のように、本発明によれば、マスク手段の背後に設置された表示装置の画面領域を意識させないような表示を行うことで、あたかもマスク手段の全域が表示装置の画面になっているかのような印象を与えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
図1】本発明の実施形態に係る表示装置を備えたレーダー探知機の外観を示す図であり、(a)は正面図、(b)は背面斜視図である。
図2】同レーダー探知機およびそのリモコンの機能ブロック図である。
図3】同レーダー探知機の表示装置に表示される画像の内容を説明するための説明図であり、(a)は待受画面の画像、(b)はレーダースコープ画面の画像の内容を示している。
図4】同表示装置に表示される画像の表示態様を説明するための説明図である。
図5】同表示装置に表示される画像に対してグラデーションを付加するためのグラデーションデータの内容を説明するための説明図である。
図6】同表示装置に表示されるオブジェクトに対してグラデーションを付加する場合について説明するための説明図である。
図7】同表示装置に表示される地図画像において、表示色が異なる複数のオブジェクトに対して、各々異なるグラデーションを付加する場合について説明するための説明図である。
図8】同表示装置において、表示する画像にグラデーション領域を付加する構造について説明するための説明図である。
図9】同表示装置において、表示する画像にグラデーション領域を付加する照明手段の構造について説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
以下、本発明の実施形態に係る表示装置について、図面を参照しつつ説明する。以下に説明する本実施形態では、まず、本表示装置の全体構成について説明する。
【0049】
<レーダー探知機の全体構成>
図1(a)及び(b)は、本発明の表示装置の実施形態を備えるレーダー探知機の外観を示すものである。レーダー探知機10は、本体となる直方体形状の筐体11内外に、図2に示す各種機構を備えており、筐体11の背面に設けられた固定具12a,12bによって車内に設けられたルームミラー(図示略)を上下から挟むことで、レーダー探知機10を固定するようになっている。
【0050】
図1(a)に示すように、筐体11前面(運転者側に向く面)には、車両後方を映すための鏡である長方形のミラー部材13が設けられており、ミラー部材13の右側背面には、表示手段であるディスプレイ部14(以下、説明に応じて「画面14」ともいう)が設けられている。本実施形態では、ディスプレイ部14として、2.8インチの小型の液晶ディスプレイを用いている。ミラー部材13の鏡面において、ディスプレイ部14の画面に対向する領域(図1(a)中、破線で示す領域HM)は、ハーフミラーになっている。以下では、図1(a)中、破線で示す領域をハーフミラー領域HMという。また、ハーフミラー領域HM以外の領域はミラー領域Mという。このハーフミラー領域HMとミラー領域Mとからなる領域は、マスク手段に相当するものであり、これにより、ディスプレイ部14の画面に何らかの画像が表示されているときは、ハーフミラー領域HMを通してその画像を目視することができる。また、ディスプレイ部14が何の画像も表示していないとき(画面が真っ暗になっているとき)は、ハーフミラー領域HMには周りの景色が映され、その背面に設けられたディスプレイ部14の画面が、極めて視認しづらい状態になる。ハーフミラー領域HMの上側には、リモコン28(図2参照)の赤外線信号を受信するための赤外線受光部15が設けてある。
【0051】
図1(b)に示すように、筐体11背面(フロントウィンドウ側に向く面)の図中右側には、音出力手段としてのスピーカ17から出力された音を外部に通過させる放音孔18が形成されている。また、筐体11背面の図中ほぼ中央上側には、DC電源ジャック用の挿入孔19が形成されている。なお、図示は省略するが、本実施形態では、レーダー探知装置10の本体側の電源は、このDCジャックと車両のシガーソケットとを電気的に接続するシガープラグコードを介してシガーソケット(つまり車両のバッテリーである二次電池)から取得するようになっている。さらに、挿入孔19の下側には、マイクロ波受信器22、無線受信器23が内蔵されており、さらにマイクロ波受信器22、無線受信器23の右側には、GPS受信器21が内蔵されている。
【0052】
図1(b)に示す筐体11の左側面には、記憶媒体としてのメモリカード25をメモリカードリーダ24(共に図2参照)に挿入するためのスロット20が形成されている。メモリカードリーダ24は、メモリカード25に格納されたデータを内部に取り込んだり、図2に示すデータベース27や制御部26のメモリの内容をメモリカード25に書き込んだりすることができる。より具体的には、メモリカード25に格納されたデータに、新規な警報対象の情報(経度・緯度を含む位置情報,種別情報等)などについて更新情報がある場合、その更新情報を制御部26が装置に内蔵されるデータベース27に格納(ダウンロード)し、データベース27のデータを更新する。
【0053】
図2において、データベース27は、制御部26であるマイコン内あるいはマイコンに外付けした不揮発性メモリ(例えば、EEPROM)である。データベース27には、出荷時に一定の警報対象に関する情報等が登録してあり、その後に追加される新規な警報対象の情報等を、上記のようにしてデータ更新することができる。
【0054】
無線受信器23は、所定周波数の無線を受信する。赤外線受光部15は、赤外線によりリモコン(携帯機:子機)28とデータ通信をし、本装置に対する各種の設定を行なう。リモコン28は、待受切替ボタン、第一設定ボタン、第二設定ボタン、選択ボタン、取消ボタン、決定ボタン、上下左右の十字ボタン(以上、図示省略)を備えている。
【0055】
また、制御部26は、CPU260,ROM262,RAM264,VRAM266、I/O等(図示略)を備えるマイコンであり、上記の各種の入力機器から入力される情報に基づき所定の処理を実行し、出力機器を利用して所定の警報・メッセージや情報を出力する。なお、VRAM266には、ディスプレイ部14の画面を構成している各画素に、個々に対応する記憶領域が定められているものとする。また、これらの基本構成は、基本的に従来のものと同様のものを用いることができる。
【0056】
本実施形態のレーダー探知機10における機能は、プログラムとして制御部26のEEPROM上に格納され、このプログラムを制御部26のCPUが実行することにより実現される。プログラムによってCPUが実行する機能としては、GPSログ機能、待ち受け画面表示機能、レーダースコープ表示機能、GPS警報機能、レーダー波警報機能、無線警報機能などがあり、本発明における警報手段は、制御部26のCPUの一機能として具現化される。
【0057】
GPSログ機能は、制御部26が1秒ごとにGPS受信器21によって検出された現在位置を、その検出した時刻及び速度(車速)と関連づけて位置履歴として不揮発性メモリに記憶する機能である。この位置履歴は、例えば、NMEA(National Marine Electronics Association)形式で記録する機能である。
【0058】
待ち受け画面表示機能は、図3(a)に示すように、GPS受信器21によって検出した自車両の速度141、緯度142、経度143をディスプレイ部14に表示する機能である。
【0059】
ここで、待ち受け画面表示機能、GPS警報機能、レーダー波警報機能、無線警報機能を実行しているときのディスプレイ部14の画面表示領域140は、メイン表示領域140Aと、アイコン表示領域140Bとに分かれており、各機能に関連する情報は、専らメイン表示領域140Aに表示するようになっている。一方、アイコン表示領域140Bには、方位磁針アイコン144、道路選択アイコン145、レーダー受信感度モードアイコン146、モード選択アイコン147が表示してある。さらに、アイコン表示領域140Bの図中右端には、現在時刻148が表示してある。
【0060】
レーダースコープ表示機能は、図3(b)に示すように、GPS受信器21によって検出した現在位置から所定の範囲内(例えば約1kmの範囲内)にある警報対象をデータベース27に記憶された位置情報に基づいて検索し、自車両と警報対象との相対的な位置関係をディスプレイ部14に表示する機能である。
なお、図3(a),(b)に示した図は、いずれも各機能の実行中に表示される内容を説明するためのものであり、これらの内容が、具体的にどのような態様で表示されるかについては後に詳しく説明する。
【0061】
レーダースコープ表示機能の実行中は、メイン表示領域140Aに、データベース27に記憶された地図情報に基づく地図151を表示し、この地図151上に自車両の位置を示す矢印形の自車両アイコン152を表示する。また、レーダースコープ表示機能の実行中に、イベントが発生した場合(警報を報知するための所定条件が満たされた場合)には、地図151上に「L」「RD」「P」「N」等の文字を有する警報対象アイコン153を表示して、警報対象の種類と位置を示す。さらに、レーダースコープ表示機能の実行中には、メイン表示領域140Aの図中右下に、自車両が走行中の道路の法定速度154、自車両の現在速度155を表示する。
【0062】
図3(a)に示す待ち受け画面表示機能の実行中に、リモコン17に設けた待受切替ボタンの押下を検出すると、制御部26は、図3(b)に示すレーダースコープ表示機能に切り替える。また、レーダースコープ表示機能実行中にリモコン17に設けた待受切替ボタンの押下が検出された場合、待ち受け画面表示機能に切り替える処理を行う。
【0063】
制御部26は、待ち受け画面表示機能又はレーダースコープ表示機能(以下、これらの機能を総称して待受機能と称する)の実行中に、イベントが発生した場合には、GPS警報機能、レーダー波警報機能、無線警報機能の各機能を実現する処理を実行する。各機能の優先順位は、高いほうから、レーダー波警報機能、無線警報機能、GPS警報機能の順に設定している。
【0064】
GPS警報機能は、制御部26が有するタイマーからのイベントにより所定時間間隔(1秒間隔)で実行される処理であり、データベース27に記憶された警報対象の緯度経度と、GPS受信器21によって検出した現在の自車両の緯度経度とに基づいて、両者の距離を算出し、算出した距離が所定の接近距離(例えば、2km以内)になった場合に、ディスプレイ部14に警報を表示し、スピーカ17から効果音、BGM、音声などの警報音を出力する処理である。
【0065】
GPS警報機能の警報対象としては、例えば、速度測定装置(ループコイル、LHシステム、Hシステム、レーダー式オービス等)、ネズミ捕りエリア、移動オービスエリア、追尾式取締りエリア、一時停止取締エリア、交差点取締エリア、その他取締エリア、シートベルト検問エリア、飲酒検問エリア、携帯電話検問エリア、その他検問エリア、交差点監視ポイント、信号無視抑制システム、高速道交通警察隊、Nシステム、交通監視システム、警察署、事故多発エリア、サービスエリア、パーキングエリア、ハイウェイオアシス、高速道長/連続トンネル、ハイウェイラジオ受信エリア、道の駅、ビューポイントパーキング、駐車場、公衆トイレ等があり、これら警報対象の種別情報と、その位置を示す緯度経度情報と、ディスプレイ部14に表示する模式図又は写真のデータと、音声データとを対応付けてデータベース27に記憶している。
【0066】
レーダー波警報機能は、マイクロ波受信器22によって速度測定装置から発せられる所定周波数帯のマイクロ波に相当する電波が検出された場合に、ディスプレイ部14に警報を表示するとともに、スピーカ17から警報音を出力する警報機能である。例えば、速度測定装置の発する所定周波数帯のマイクロ波が、マイクロ波受信器22によって検出された場合には、データベース27に記憶されたレーダーの模式図又は写真を警報としてディスプレイ部14に表示するとともに、データベース27に記憶された音声データを読み出して「レーダーです。スピード注意」という音声をスピーカ17から出力する。
【0067】
無線警報機能は、無線受信器23によって、緊急車両等の発する無線電波を受信した場合に、その走行等の妨げとならないよう、警報を発する機能である。無線警報機能においては、取締無線、カーロケ無線、デジタル無線、特小無線、署活系無線、警察電話、警察活動無線、レッカー無線、ヘリテレ無線、消防ヘリテレ無線、消防無線、救急無線、高速道路無線、警備無線等の周波数をスキャンし、スキャンした周波数で、無線を受信した場合には、データベース27に無線種別ごとに記憶されたその周波数に対応する無線を受信した旨の模式図を警報画面としてディスプレイ部14に表示するとともに、データベース27に無線種別ごとに記憶された音声データを読み出して、スピーカ17からその無線の種別を示す警報音声を出力する。例えば、取締無線を受信した場合には「取締無線です。スピード注意」のように音声を出力する。
【0068】
ここで、レーダースコープ表示機能、GPS警報機能、レーダー波警報機能、無線警報機能には、上述したように種類の異なる複数の警報対象が設定してあり、各警報対象の種類に応じた優先順位が定めてある。各警報対象の優先順位は、例えば、図3(b)に示す警報対象アイコン153の色を優先順位が高い順に「赤」、「黄色」、「青」又は「緑」のグループに色分けすることで視覚化している。そして、例えば、優先順位が一番高い「赤」のグループに属する警報対象については、以下に説明する本実施形態の特徴的な表示態様で警報を報知し、優先順位が二番目以下の「黄色」、「青」又は「緑」のグループに属する警報対象については、従来と同様の一般的な表示態様(図示省略)で警報を報知するようにしている。
【0069】
<表示装置の画面における画像の表示態様>
次に、本実施態様における表示装置の画面に表示される画像の表示態様について、図4を参照して説明する。図4に示す表示態様は、図3(b)に示したレーダースコープ表示機能の実行中に表示される画像に、本実施態様の表示装置における表示態様を適用させたものである。また、図4に示す表示態様は、ディスプレイ部14の画面に表示される態様を図示したものであり、ミラー部材13のハーフミラー領域HMを通して視認される表示態様を図示するものではない。
【0070】
図4に示されるように、本実施形態の表示装置に表示される画像には、ディスプレイ部14の画面の最周縁(以下、エッジともいう)から、画面の内側に向かって徐々に明るくなる、一定幅Wのグラデーション領域Gが存在し、同図中、破線で示すグラデーション領域Gの境界に至ったところで、表示される画像の本来の明るさとなる。言い換えると、グラデーション領域G内において、境界から外側(画面の周縁側)に向かうほど、表示される画像が暗くなり、ディスプレイ部14の画面最周縁に至るまでに、何も表示されていない真っ暗な状態となる。このグラデーション領域Gは、「表示領域の周縁部分」に相当する。また、以下では、ディスプレイ部14の画面のうち、グラデーション領域Gではない領域(図4中、破線内の領域)を、通常領域Nという。
【0071】
なお、図4において、グラデーション領域Gの境界を示す破線は、ディスプレイ部14の画面に表示されるものではないことは、いうまでもない。また、グラデーション領域Gの形状および位置は一定であり、例えば、レーダー探知機10を搭載した車両が走行したことによって、自車両アイコン152の表示が移動、または、地図151の表示がスクロールした場合であっても、それに伴ってグラデーション領域Gが移動または変形することはない。
【0072】
また、グラデーション領域Gの幅とは、画面のエッジに対する垂直方向の長さをいう。また、グラデーション領域Gの幅と、幅Wの方向における明るさの変化の度合い(以下、明度勾配ともいう)とは、ディスプレイ部14の画面の大きさに対するミラー部材13におけるハーフミラー領域HMの大きさ、ハーフミラー領域HMにおける光の透過率、および、ディスプレイ部14の画像表示に関する仕様などに応じて、適宜定めればよい。すなわち、ディスプレイ部14の画面全域に亘って表示した画像を、ミラー部13のハーフミラー領域HMを通して見たときに、画面のエッジが視認されにくい状態となるように、グラデーション領域Gを定めればよい。
【0073】
(作用・効果)
このように、表示する画像に、図4に示すようなグラデーション領域Gを付加することで、次のような作用効果を奏する。
まず、図1(a)に示したレーダー探知機10の正面図において、ディスプレイ部14の画面に何ら画像を表示していない場合は、ハーフミラー領域HMと、ミラー領域Mとの見分けが付きにくく、ミラー部材13の正面は一様な鏡のように見える。このため、ディスプレイ部14の画面内と画面外との境界が視認しにくくなっている。この状態で、例えば、ディスプレイ部14の画面に、表示対象の画像部分が明るく、それ以外の背景部分が暗い画像を表示したとする。この画像を、ミラー部材13のハーフミラー領域HMを通して見ると、表示対象の画像は明確に視認することができるが、その背景部分については、ハーフミラー領域HM(但し表示対象の画像部分を除く)を透過する光が弱く、反射する光が支配的になるため、鏡のように見えることになる。これにより、ミラー部材13において、あたかも鏡の中に表示対象の画像だけが浮かび上がっているように見える。
【0074】
これに対して、従来のように、ディスプレイ部14の画面全域に渡って明るい画像が表示された場合は、ディスプレイ部14の画面のエッジの内側と、外側とで、明暗が顕著になる箇所が生じるため、そのような画像を、ハーフミラー領域HMを通して見た場合、ディスプレイ部14の画面の形状(通常は矩形)が明確に意識されてしまうことになる。
また、例えばディスプレイ部14の画面のエッジに至るまで道路が描画されている場合、それを見た者は、画面の外側に延びていく道路が画面のエッジに至ったがためにそこで表示が打ち切られたように感じることになる。このように、画面のエッジに至る画像であって、さらにその画像が画面の外へ続く部分があると感じられる画像(例えば全体として所定の形態を有するものの一部が表示される画像)が、画面のエッジで打ち切られると、ディスプレイ部14の画面の形状が意識されてしまうことになる。
このため、ミラー部材13の鏡の中に浮かび上がった画像を見ているのではなく、単に、ミラー部材13の裏側に設けられたディスプレイ部14の画面を見ているに過ぎないことが、改めて意識されてしまい、見る者に興醒め、または味気ない思いをさせてしまう可能性がある。
【0075】
そこで本実施形態では、ディスプレイ部14の画面周縁から一定幅Wのグラデーション領域Gを設けて、ディスプレイ部14の画面の周縁近傍に表示される画像を、画面の周縁に向かうに連れて“明”から“暗”へ徐々に移行させることで、ハーフミラー領域HMを通して画像を見たときに、ディスプレイ部14の画面のエッジが目立たなくなるようにしている。これにより、ディスプレイ部14の画面に画像を表示していない時および表示している時のいずれにおいても、常にディスプレイ部14の画面の形状を意識させにくくすることができ、表示された画像を見る者に、興醒めや味気なさを感じさせてしまう可能性が低くなる、という効果を奏する。
【0076】
<画像にグラデーション領域を付加するための実施形態>
次に、ディスプレイ部14に表示される画像に、図4に示したグラデーション領域Gを付加するための各実施形態について説明する。
【0077】
(第1の実施形態)
まず、第1の実施形態について説明する。第1の実施形態は、図4に示したようなグラデーション領域Gを、ディスプレイ部14の画面に画像を表示する際に行う画像処理によって付加するものである。以下、この画像処理をグラデーション付加処理といい、その内容を以下に説明する。
【0078】
まず、CPU260は、図2に示したデータベース27に記憶されている画像データのうち、表示する画像データに基づき、所定の順序に従って1つの画素に対する表示データを決定する。
【0079】
ここで、「所定の順序」は、例えば、ディスプレイ部14の画面を構成する各画素がm行n列のマトリックス状に配置されていたとして、第1行目の各画素行から順に、第m行目までの各画素行について、順次、第1列の画素から第n列の画素までという順序になっているものとする。すなわち、(第1行,第1列)~(第1行,第n列)の画素、次に(第2行,第1列)~(第2行,第n列)の画素、次に(第3行,第1列)~(第3行,第n列)の画素、……、最後に(第m行,第1列)~(第m行,第n列)の画素という順序になっている。
また、「表示データ」は、各画素に対して表示色を指定するデータであり、例えば、三原色(RGB)の各色における階調(0~255)を示すデータである。
【0080】
次に、CPU260は、図2に示したROM262に記憶されているグラデーションデータを参照し、画像データに基づいて表示データを決定した画素に対して予め定められている明度の係数(以下、明度係数という)を認識する。このグラデーションデータは、ディスプレイ部14の画面を構成する個々の画素について、上述した明度係数を規定したものである。この明度係数は、0から1までの範囲の値を取り、「0」は明度が「0」(すなわち黒)であることを意味し、「1」は、決定した表示データの明度そのままであることを意味する。そして、「0」を超え、「1」未満の値は、決定した表示データの明度に対して、その明度を低下させる割合を示している。
【0081】
これよりCPU260は、認識した明度係数の値を、上述で決定した表示データ、すなわち、RGBの各色における階調を示す値にそれぞれ乗算し、その結果を実際の表示に用いる表示データ(以下、変換表示データという)とする。そして、算出した1つの画素に対する変換表示データを、VRAM266(図2参照)内の、その画素に対応する記憶領域に記憶すると、前述した所定の順序に従って、次の画素に対する変換表示データを算出する。このようにして、ディスプレイ部14の画面を構成する全ての画素について変換表示データを求めると、CPU260は、VRAM266に記憶されている変換表示データに従って、ディスプレイ部14の画面を構成する各画素を駆動することで画像を表示する。
【0082】
次に、上述したROM262に記憶されているグラデーションデータの内容について説明する。上述したように、グラデーションデータは、ディスプレイ部14の画面を構成する各画素に対する明度係数によって構成されている。この明度係数の値は、例えば図4に示した画面において、通常領域N内に含まれる画素については「1」になっている。また、ディスプレイ部14の画面の最周縁における画素(すなわち、第1行目と第m行目とにおける第1列~第n列の画素、並びに、第1列目と第n列目とにおける第1行~第m行の画素)については「0」になっている。さらに、通常領域Nとグラデーション領域Gとの境界B(図4中、破線で示す)から、画面の最周縁に至るまでの画素に対する明度係数の値は、「1」から徐々に「0」へ近づくように減少している。ここで、明度係数の値が「1」から「0」へ減少するまでの変化の傾きは、直線であってもよいし、曲線であってもよい。
【0083】
ここで、グラデーション領域Gの幅Wが一定であり、グラデーションデータにおいてグラデーション領域G内における各画素に対する明度係数の値の傾きが一様である場合は、人間の認知特性によって主観的輪郭が認識されやすくなる。ここで、「主観的輪郭」とは、輪郭線に沿った輝度や色の変化が存在しないにも関わらず、輪郭線が知覚される錯視のことをいう。なお、本実施形態で問題とする「主観的輪郭」は、ミラー部材13のハーフミラー領域を通して見た画像の明度や色の変化などによって、その画像を見た者が知覚してしまう、存在しないはずの画面のエッジである。よって、以下で単に「主観的輪郭」といったときは、“画像を見た者に知覚されてしまう存在しないはずの画面のエッジ”を意味する。
【0084】
なお、表示された画像の内容によっても「主観的輪郭」が認識されやすくなる場合もある。例えば、図3に示したアイコン表示領域140Bには、図中左側に正方形の4つのアイコン(方位磁針アイコン144、道路選択アイコン145、レーダー受信感度モードアイコン146、モード選択アイコン147)が横一列に並べて表示され、図中右側には現在時刻が表示されている。このような表示を行った場合、4つのアイコンの下辺と、現在時刻の各文字および数字の底部を結ぶ線とによって、主観的輪郭が認識されてしまう可能性がある。
【0085】
また、図6の地図151では3本の道路が画面の左のエッジ部分に至ったがために、そこで本来さらに続くべき道路の表示が打ち切られたように感じられることで、その部分に画面のエッジがあると認識されやすくなる。しかも、これら3本の道路の端部をある方向(例えば上)から順に結んだ線が主観的輪郭線として認識されてしまう。この線は、画面の左側のエッジと一致するため、結局、主観的輪郭としても画面のエッジが認識されてしまう。
そこで、これまでに説明したように一定の幅wのグラデーションを付与することで、道路の端部を認識しにくくすることができ、道路の表示が打ち切られたように感じられることを抑制できることで、画面のエッジを認識しにくくさせることができる。
【0086】
例えば、上述した「主観的輪郭」が認識されにくくするために、ROM262に記憶するグラデーションデータを、図5に示すような内容に設定するとよい。すなわち、図4に示したような、一定の幅wのグラデーションを付与するには、図5に示す境界B上に位置する画素から画面のエッジに位置する画素に向かって、各画素に対する明度係数の値が、「1」から「0」へ一様に減少するように設定する。ここで、境界B上に位置する画素は、第w行第w列、第w行第n-w列、第m-w行第w列、および第m-w行第n-w列の4つの画素を結んだ直線上に位置する画素である。すなわち、境界Bの形状は長方形となり(図5中、細い破線で示す)、各境界B上に位置する画素から、画面のエッジに位置する画素に向かって、明度係数を一様に減少させる。なお以下では、例えば第w行第w列の画素という場合は、(w,w)の画素と表記する。
【0087】
しかし、境界Bの形状を画面のエッジの形状と近い形状とすると、画面のエッジが主観的輪郭として認識される可能性が残る。そこでさらに、「主観的輪郭」が認識されにくくするために、境界Bの形状を長方形ではなく、例えば図5中、太い破線B’で示すように、任意の曲線となるように変形させ、変形後の境界B’上に位置する画素から、画面のエッジに位置する画素に向かって、各画素に対する明度係数の値が、「1」から「0」へ減少するように、グラデーションデータを設定する。境界Bをどのように変形させるかは適宜定めればよいが、例えば、境界B上に位置する画素を基準として、それら各画素の位置において、予め定めておいた最大移動幅の範囲内で、行方向または列方向に任意の画素数分、移動させた後の画素を境界B’上に位置する画素とする。
【0088】
例えば、前述したように、境界B上に位置する画素は、(w,w)、(w,n-w)、(m-w,w)および(m-w,n-w)の4つの画素を結んだ直線上に位置する画素である。そして、(w,w)と(w,n-w)とを結ぶ線上、および(m-w,w)と(m-w,n-w)とを結ぶ線上に位置する画素については、列の値を予め定められた数値範囲内(例えば±30)で、任意に増減させる。また、(w,w)と(m-w,w)とを結ぶ線上および(w,n-w)と(m-w,n-w)とを結ぶ線上に位置する画素については、行の値を予め定められた数値範囲内(例えば±30)で、任意に増減させる。このようにして、境界B’上に位置する画素を定めた後に、それら各画素から画面のエッジに位置する画素に向かって、各画素に対する明度係数の値が、「1」から「0」へ減少するように、グラデーションデータを設定する。
【0089】
上述したようなグラデーションデータは、予め定めておいて図2に示したROM262に記憶しておいても良いし、CPU260によって関数等に基づいて生成するようにしてもよい。例えば、基準となる境界B上に位置する画素を特定できる情報をROM262に記憶しておき、CPU260は、その情報に基づいて図5に示した境界B’を定めるようにする。次にCPU260は、定めた境界B’上に位置する画素から画面のエッジに位置する画素に向かって明度係数の値が減少するグラデーションデータを求める。そして、この処理によって得られたグラデーションデータを、図2に示したデータベース27に記憶する。これにより、CPU260が図4に示した画像を表示する場合は、CPU260はデータベース27に記憶したグラデーションデータに基づいて、グラデーションの付加を行う。
【0090】
上述したグラデーションデータは、境界Bの形状を任意に変化させることで、グラデーション領域の幅を任意に変化させたものであるが、他の方法としては、長方形の境界B上に位置する各画素から、画面のエッジに位置する画素に向かって、各画素に対する明度係数の値を「1」から「0」へ減少させる際に、明度係数の値の傾きを任意に変化させるものであってもよい。例えば、長方形の境界B上の位置から画面のエッジの位置にかけて、明度係数の値が「1」から「0」に直線的に変化するもの、境界B上の位置から画面のエッジよりも境界Bに近い位置で明度係数の値が「0」となる、変化の傾きが急峻となるもの、明度係数の値が曲線的(凸曲線または凹曲線)に変化するもの、など様々な変化の態様を示すものとする。なお、以下では、明度係数の変化の傾きを明度勾配という。
【0091】
このように、グラデーションデータにおける明度勾配を変化させることで、画像に付加されるグラデーションの態様が任意に変化するため、画面を見る者に「主観的輪郭」を認識させにくくすることができる。この方法においても、予め明度勾配を変化させたグラデーションデータをROM262に記憶しておいても良いし、境界B上に位置する画素を特定できる情報をROM262に記憶しておき、CPU260が、その情報に基づいて各画素から画面のエッジに位置する画像に至るまでの明度勾配を任意に変化させ、求まったグラデーションデータをデータベース27に記憶するようにしても良い。さらに、上述した2つの方法を合成して、まず、変形させた境界B’を定め、次いで、境界B’上に位置する各画素から画面のエッジに位置する画素までの明度勾配を任意に変化させるものであってもよい。
【0092】
なお、グラデーションデータをCPU260が定める様にした場合は、所定のタイミングでグラデーションデータを更新するようにするとさらによい。この所定のタイミングとしては、例えば、レーダー探知機10の電源を投入された時、所定日数が経過した時、所定時間が経過した時、表示する画面が切り替わった時、などとするとよい。このようにすれば、画面のエッジに一致たまは近似する主観的輪郭だけでなく、境界Bやグラデーションのパターンによって生じるおそれのある主観的輪郭の発生も抑制できる。
【0093】
さらに、画面を見る者に「主観的輪郭」を認識させにくくするために、主観的輪郭を認識させやすい表示をできるだけ排除するとよい。例えば前述したように、図3に示したアイコン表示領域140Bには、図中左側に、4つの正方形のアイコンを横一列に並べて表示し、図中右側には、現在時刻を表示しているため、各アイコンの下辺と、現在時刻を表す文字及び数字の底部を結ぶ線と、によって主観的輪郭を認識させやすくなっている。
【0094】
そこで、4つのアイコンおよび現在時刻の表示位置が一直線に並ばないように、図中、縦方向における各々の表示位置を適宜ずらしたり、各アイコンの輪郭が画面のエッジと平行な線にならないようにアイコンの形状を変えたりしてもよい。主観的輪郭を認識させにくいアイコンの形状としては、例えば、アイコンの輪郭線が画面のエッジに平行とならないように、アイコンの輪郭を斜めの直線や曲線で構成する、輪郭線を省いたアイコンとする、などの形状が考えられる。また、文字を表示する場合、その文字は色付きで表示してもよいが、文字周辺は全て黒にするとよい。
【0095】
このように、画像を表示する際に上述したグラデーション付加処理を行う制御部26は、「明度調整手段」に相当するといえる。また、上述したVRAMは「記憶手段」に相当し、制御部26は、さらに「データ書込手段」および「画像表示手段」にも相当しているといえる。
【0096】
(第1の実施形態の変形例)
グラデーション領域Gを付加する方法として、上述したように、画像データに基づいてVRAMの各画素に対応する記憶領域に書き込む表示データを、実際の明るさよりも暗くした表示データを書き込む代わりに、画像を表示するための画素数を徐々に減らしていくようにしてもよい。すなわち、本来、地図151を表示させるための表示データを、VRAMの各画素に対応する記憶領域に書き込む代わりに、背景画像(例えば黒)と同じ表示データを書き込むようにし、そのような画素の数を、通常領域Nとグラデーション領域Gとの境界から、画面の周縁に向かって徐々に増やしていくようにする。
【0097】
具体的には、前述したグラデーションデータとして、グラデーション領域Gに含まれる画素に対しては、そのことを示すデータとともに、図5のステップS10で決定した表示データを使用するか、または、背景画像と同じ表示データとするか、を示すデータ(以下、変換指定データという)を定めておく。そして、図5のステップS12における判断処理の結果、CPU260がステップS14の処理を行う際に、その画素に対応する変換指定データに従って、図5のステップS10で決定した表示データ、または、背景画像と同じ表示データを、VRAMの対応する記憶領域に記憶する。
【0098】
したがって、本変形例におけるグラデーションデータにおいては、画面の周縁に近づく程、一定域内における複数の画素のうち、背景画像と同じ表示を行う画素が占める割合が増えていき、その結果、図4のようなグラデーション領域Gが付加されることになる。
なお、上述した変換指定データによって背景画像と同じ表示を行う画素の割合は、明度係数を指定するグラデーションデータと同様、通常領域Nと、グラデーション領域Gとの境界が、図5に示した境界B’となるように、または、画面の周縁に近づくにつれて、背景画像と同じ表示を行う画素が占める割合の変化が一様にならないように、変化させることによって、主観的輪郭を認識させにくくすることができる。
【0099】
(第1の実施形態の応用例1)
上述したように、本実施形態では、グラデーション領域G内における各画素に対する表示データを、本来の明るさよりも各画素の位置に応じた暗さになる表示データに変換している。このため、上述した表示データの変換を行う対象となる画素を変更することで、ディスプレイ部14の画面内におけるグラデーション領域を変化させることができる。
【0100】
例えば、図3(b)に示した地図151および自車両アイコン152を立体的に表示(3D表示)させる際に、図6(a)に示すように、画面の長辺に平行する地平線Hの表示位置を固定とし、かつ、地平線Hよりも図中上側の領域の背景画像(空に当たる領域)BGを、地図151の表示よりも一様に暗く表示したとする。このような画像に対して、図4に示したグラデーション領域Gを付加したとすると、画面の左右辺および下辺の近傍における地図151の画像に対しては、グラデーション領域Gにおける明度勾配が反映されるが、地平線H近傍における地図151の画像に対しては、グラデーション領域Gにおける明度勾配が反映されない。このため、水平線Hを境界として、地図151の画像と背景画像BGとのコントラストが顕著となり、そのような画像をミラー部材13のハーフミラー領域HMを通して見た場合、地図151の地平線Hが明確に視認され、それがあたかも画面のエッジであるかのように認識されてしまうおそれがある。
【0101】
そこで、図6(b)に示すグラデーション領域G’のように、画面の左右辺および下辺から一定幅Wのグラデーション領域に加え、上辺のグラデーション領域については、地平線Hから下方に向かって一定幅Wのグラデーション領域が付加されるように、本実施形態またはその変形例における表示データの変換を行うとよい。このように、本来、画面のエッジではない箇所であっても、表示する画像の内容によっては、あたかも画面のエッジであるかのように認識されてしまう箇所に対して、グラデーション領域が付加されるような表示データの変換を行うことで、誤認に基づいたディスプレイ部14の画面領域を認識させないようにすることが可能となる。
【0102】
上述したようなグラデーションを付加するには、まず、図4に示したグラデーション領域Gを付加するためのグラデーションデータと、図6(b)に示したグラデーション領域G’を付加するためのグラデーションデータとを、予め図2のROM262に記憶させておく。そして、地図151等を立体表示するときは、後者のグラデーションデータに基づいて、図5のステップS12~S16の処理を行うようにするとよい。
【0103】
(第1の実施形態の応用例2)
上述した応用例1においては、表示する画像に応じて、画面内におけるグラデーション領域Gの位置または範囲などを変更するものであった。これに対して、応用例2は、画像として表示する対象物(以下、オブジェクトという)ごとに、グラデーション領域の幅を変化させるものである。
【0104】
図7(a)に、応用例2による画像の表示態様の一例を示す。この図に示す画像は、基本的には図4に示した画像と同じ内容のものであるが、応用例2における特徴をより明確に図示するために、アイコン表示領域140Bは図示していない。また、この図において、図4に示した各部と同じものについては、同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。なお、図6において、画像として表示されている、地図151内の道路、各種アイコン(自車両アイコン152,警報対象アイコン153)、法定速度154および現在速度155、さらには、その他の数字、文字および線なども、個々のオブジェクトとして扱われている。
【0105】
応用例2では、表示するオブジェクトのうち、オブジェクトの全体を画面内に納めることができず、その一部の表示が画面のエッジで途切れてしまうものについて、そのオブジェクトに対して、途切れた箇所から適宜グラデーション領域を付加するものである。たとえば、図7(a)に示す地図151に表示されているオブジェクト「道路」において、画面のエッジまで至っている道路には、以下のものがある。すなわち、画面の略中央で上下方向に延びる太い道路R1、画面左側から右横方向に延びて道路R1に突き当たる太い道路R2、道路R2から二股に分岐する細い道路R3、画面左側から右側にかけて横方向に延び、道路R2のやや上方において道路R1と交差する細い道路R4、画面左側上方から右斜め上方向に延びて道路R4と交差し、道路R1と合流してさらに画面上方へ至る細い道路R5、および、画面略中央上方において、道路R5と交差する左斜め上へと延びる細い道路R6がある。
【0106】
そして、上述した道路R1~R6の端部において、画面のエッジ部分から各々ランダムな幅w1~w5,w5’,w6を有するグラデーション領域を付加している。これにより、例えば、図7(a)に示す画面左側において、図中、上から順に道路R4、R5、R2、R3の各端部におけるグラデーション領域の幅w4、w5、w2、w3が互いに異なっているため、各道路の端部が視認しにくくなる位置が、縦方向に一直線に並ぶことがない。よって、そのような画面をミラー部材13のハーフミラー領域を通して見た場合、見る者に画面のエッジを意識させにくくすることができる。
【0107】
また、各道路の端部の位置が画面端部でディスプレイ部14の画面のエッジと平行に一直線に並ぶことがなくなるため、各道路の端部を結んだ(ディスプレイ部14の画面のエッジと一致または平行な)主観的輪郭を発生させることもなく、ディスプレイ部14の画面領域を意識させないようにすることができる。特に複数のオブジェクトを画面のエッジに近づけて描画する場合にはその複数のオブジェクトの端部を画面のエッジと平行な方向に順に結んだ仮想線が画面のエッジの線と平行にならないように、オブジェクトの端部の位置を決定するとよい。例えば、グラデーション処理によって完全に道路の消える位置を順に結んだ線(例えばX=0からX=mの方向に順に結んだ仮想線や、Y=0からY=mの方向に順に結んだ仮想線)が、画面の4辺と平行にならないようにランダムな位置に設定するとよい。
【0108】
また、グラデーションの開始位置も同様にしてもよい。すなわち複数のオブジェクトのグラデーション開始位置を画面のエッジと平行な方向に順に結んだ仮想線が画面のエッジの線と平行にならないように、オブジェクトのグラデーション開始の位置を決定するようにしてもよい。さらには、グラデーションのパターン(例えばどのくらいの距離でどのくらい暗くするか)を各オブジェクトごとに異なるものとするとよい。これらのようにすることで、画面のエッジと平行な主観的輪郭の発生を防止することができ、画面のエッジを意識されにくくすることができる。
【0109】
なお、応用例2では、自車両の移動に応じて道路の表示が変化するため、前述したグラデーションデータを予め定めることはできない。このため、CPU260は、道路というオブジェクトを表示する際に、画面のエッジに達する道路を特定し、エッジに達する道路については、各々、画面端部からのグラデーションの幅を任意に決定する。そして、各道路について、決定した幅のグラデーションを付加する処理を行う。この処理は、道路の描画に関わっている画素について、前述したように、画面のエッジに近づくに従って徐々に明度を低下させていく、または、背景画像と同じ表示を行う画素の数を増やす、といった処理である。
【0110】
また、上述した例ではオブジェクトを「道路」としたが、その他のオブジェクト(例えば文字)についても、同様の処理を行うようにしても良い。例えばある文字を表示する際に、CPU260は、その文字全体が画面内に表示されるか否かを判断する。そして、文字全体が画面内に表示されると判断した場合は、その文字に対してグラデーションを付加しない。これに対して、自車両が移動するなどして、その文字の一部が画面によって途切れたと判断したときは、その文字に対して、任意の幅を有するグラデーションを付加する。
【0111】
(第1の実施形態の応用例3)
上述した応用例2においては、画像として表示するオブジェクトごとに、画面内におけるグラデーション領域Gの範囲を変更するものであった。これに対して、応用例3は、各オブジェクトの表示色ごとに、グラデーションの明度勾配を変更するものである。
【0112】
図7(b)に、応用例3による画像の表示態様の一例を示す。この図に示す画像は、基本的には図4に示した画像と同じ内容のものであるが、応用例3における特徴をより明確に図示するために、アイコン表示領域140Bは図示していない。また、この図において、図4に示した各部と同じものについては、同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。なお、図7(b)において、画像として表示されている、地図151内の道路、各種アイコン(自車両アイコン152,警報対象アイコン153)、法定速度154、現在速度155およびその他の数字や線は、個々のオブジェクトとして扱われている。
【0113】
図7(b)に示した地図151の画像において、画面の略中央において上下方向に延びる道路GRは、一般に、人間の目に感知されやすい色(感度の高い色)である緑色で表示されている。また、画面の左端から中央に向かって横方向へ延び、上述した道路GRに突き当たる道路BRは、一般に、人間の目に感知されにくい色(感度の低い色)である青色で表示されている。さらに、道路以外の領域は緑色と青色との中間の感度の色(例えば橙色)で表示されているものとする。
【0114】
図7(b)に示すように、感度の高い色で表示されたオブジェクトである道路GRに対するグラデーション領域の幅Wa(「オブジェクトの周縁部分」に相当)は、道路以外の領域におけるグラデーション領域Gの幅Wよりも広くなっている。これは、道路GRが人間の目に感知されやすい色で表示されているため、画面のエッジからより離れた位置からグラデーションを開始させることで、道路GRにおける見た目上の明度の変化と、道路GR以外の領域における見た目上の明度の変化と、を合わせるようにするためである。
【0115】
また、これとは逆に、感度の低い色で表示されたオブジェクトである道路BRに対するグラデーション領域の幅Wb(「オブジェクトの周縁部分」に相当)は、道路以外の領域におけるグラデーション領域Gの幅Wよりも狭くなっている。これは、道路BRが人間の目に感知されにくい色で表示されているため、画面のエッジからより近い位置からグラデーションを開始させることで、道路BRにおける見た目上の明度の変化と、道路BR以外の領域における見た目上の明度の変化と、を合わせるようとするためである。
【0116】
このように、表示する地図上の“道路”というオブジェクトに対して、各々表示色に応じたグラデーションを付加することで、全体的に画面を見たときに、グラデーション領域Gにおける画像の明度の変化が一様となるように調整することが可能となる。
【0117】
(第2の実施形態)
表示される画像にグラデーション領域Gを付加するための第2の実施形態を、図8に示す。図8は、ディスプレイ部14の概略的な分解斜視図を示すものである。この図において、液晶パネル50は、画像を表示するための長方形の画面を構成している周知の液晶パネルであり、液晶層、透明電極、カラーフィルタおよび偏光板などによって構成されている。照明手段51は、液晶パネル50に表示された画像を視認可能にするために、液晶パネル50の背後から液晶パネル50を照らすものであり、棒状の冷陰極管52と、長方形の導光板53とによって構成されている。冷陰極管52は、導光板53の一方の短辺に沿って設けられており、導光板53は、冷陰極管52が設けられた側の短辺断面から、冷陰極管52の光を取り込んで、液晶パネル50側の面から放出することで、液晶パネル50を背後から照らしている。
【0118】
グラデーション付加フィルタ54は、液晶パネル50に表示された画像に、図4に示したグラデーション領域Gを付加するためのシート状のフィルタであり、その形状および寸法は、液晶パネル50の画像表示領域と一致している。グラデーション付加フィルタ54は、図4に示したグラデーション領域Gに相当する領域において、その境界(図4中、破線で示す)からグラデーション付加フィルタ54の周縁に向かって、光透過率が徐々に低下し、周縁に至ったところで遮光状態となるように形成されている。なお、グラデーション付加フィルタ54において、通常領域Nにおける光透過率はできるだけ高くするのが望ましい。また、例えば、通常領域Nの部分を切り抜いて、一定幅Wを有する矩形枠状のシートにしてもよい。
【0119】
なお、グラデーション付加フィルタ54は、そのグラデーション領域Gにおける光透過率に応じて、液晶パネル50に表示された画像の明るさを低下させる「透過率減少手段」に相当するものである。
【0120】
(第2の実施形態の変形例)
図8に示した第2の実施形態の構成では、グラデーション付加フィルタ54を、液晶パネル50の表面(運転者側に向く面)側に配置しているが、この変形例として、グラデーション付加フィルタ54を液晶パネル50と、照明手段51との間(画面の背面側)に介在させるようにしても良い。この場合、グラデーション付加フィルタ54は、照明手段51からの光を、グラデーション領域Gにおける光透過率に応じて減光させる「減光手段」として機能することになる。
【0121】
また、これとは別に、図8に示したグラデーション付加フィルタ54を設ける代わりに、ミラー部材13のハーフミラー領域HMにおいて、図4に示したグラデーション領域Gに相当する領域における光透過率を徐々に変化させるようにしてもよい。また、グラデーション付加フィルタ54において、図4に示した通常領域Nとグラデーション領域Gとの境界Bを、図5に示した境界B’のように、所定の範囲内で変動する曲線となるようにしてもよい。
【0122】
(第3の実施形態)
図9に、グラデーション領域Gを付加するための第3の実施形態を示す。上述した第2の実施形態では、ディスプレイ部14の構成にグラデーション付加フィルタ54を追加するものであったが、本実施形態では、グラデーション付加フィルタ54を追加する代わりに、ディスプレイ部14を構成する照明手段51に特徴を持たせている。ここで、図9は、ディスプレイ部14を構成している照明手段51(図8参照)の外観を示す正面図であり、(a)は一般的な照明手段を概略的に示したものであり、(b)は第2の実施形態における照明手段を概略的に示したものである。なお、この図において、図8に示した各部と同一の構成については、同じ符号を付し、その詳しい説明を省略する。
【0123】
まず、図9(a)に示す導光板53aは、一般的な照明手段51(例えば図8に示した照明手段)に用いられるものである。この導光板53aの液晶パネル側の面とは反対側の面(以下、裏面という)には、導光板53aの一方の短辺から入射された光を、液晶パネルの背面に向けて反射させるための、白色ドットWDが多数形成されている。白色ドットWDは、例えば、白色のインクを導光板53aの裏面に印刷することによって形成され、本実施形態では、その形状が円形になっている。また、液晶パネルの背面をできるだけ一様な明るさで照らすために、白色ドットWDの大きさと密度は、光源である冷陰極管52に近い程、小さくかつ疎であり、遠くなる程、大きくかつ密になっている。
【0124】
一方、図9(b)に示す第3の実施形態における導光板53aの場合、白色ドットWDの大きさと密度について、同図中、破線内の通常領域Nでは、図9(a)に示した一般的な導光板53aと同様の傾向を示している。これに対して、ハッチングで示すグラデーション領域Gにおいては、図9(a)に示した白色ドットWDに比べ、導光板53bの周縁に近い程、小さくかつ疎となる傾向を示している。この様に白色ドットWDを導光板53bの裏面に形成することで、グラデーション領域Gに表示される画像において、画面の周縁に近づくにつれて、徐々に暗くなるように表示することができる。
【0125】
すなわち、「中央照明部」に対応する「通常領域N」と、「周縁照明部」に対応する「グラデーション領域G」と、における白色ドットWDを、図9(b)に示す導光板53bのように形成することで、「中央照明部の光量よりも周縁照明部の光量を少なく」することができる。なお、図9(b)では、通常領域Nとグラデーション領域Gとの境界Bを直線で示しているが、図5に示した境界B’のように、所定の範囲内で変動する曲線となるように白色ドットWDの大きさ及び配置密度をさだめてもよい。
【0126】
(第3の実施形態の変形例)
図9に示した照明手段は、主に冷陰極管と導光板によって構成されていたが、これとは異なり、例えば、複数の白色LEDをマトリックス状に配置した基板を、液晶パネルの背後に設け、各白色LEDの明るさを調整可能にしておく。そして、通常領域Nに対応する領域内に配置されている各白色LEDの光量よりも、グラデーション領域Gに対応する領域内に配置されている各白色LEDの光量を少なくなるように、調整することによって、「中央照明部の光量よりも周縁照明部の光量を少なく」するようにしてもよい。
【0127】
この明るさの調整は、LEDに供給する電流を変化させることで、または、パルス幅変調(PWM)によって、LEDに電流を供給する時間(パルス幅)およびLEDに電流を供給する時間と供給しない時間との割合(デューティー比)を変化させることで、可能となる。このように、各白色LEDの明るさを調整可能とする手段は、「明度調整手段」に含まれる。
【0128】
<その他の変更>
なお、本発明に係る表示装置における「マスク手段」は、上述した実施形態のように、車内のルームミラーとして機能するミラー部材13に形成された、ミラー領域Mとハーフミラー領域HMとからなる領域に限定されるものではない。例えば、ミラー領域Mもハーフミラー領域としてミラーの全域をハーフミラー領域として構成してもよい。また、自動車のインストルメントパネル(いわゆるインパネ)において、画像表示装置や各種計器の運転者側に設置されるスモークガラスなどのような、光透過率を低下させた透明部材も本発明の「マスク手段」に含まれる。この場合、スモークガラスは、画面に対向する領域を含みその領域の周囲に所定の幅を有する領域をもつ構成とするとよい。このようにすれば、画面に画像を表示していない時はもちろんのこと、画面に表示をしている時にも画面領域を感じにくくすることができる。これにより、その画像を見る者に、あたかもマスク手段の全域が表示装置の画面になっているかのような印象を与えることができる。
【0129】
<作用・効果>
ハーフミラー領域HMとミラー領域Mとによって、ディスプレイ部14の液晶を消灯しているときには、画面の境界を目立たなくすることでミラーと液晶との一体感を増す働きがある。しかし、従来の構成ではディスプレイ部14の液晶が点灯したとたんに画面の境界が認識され、まるでミラー領域Mに四角の写真か絵のシールを貼ったようにみえ興ざめであるという問題があった。この原因は画像が画面のエッジの四角の枠までクッキリ表示されることが一因である。上述した各実施形態の構成によれば、ハーフミラー領域HMを通して画面を見た場合、画面のエッジの四角の液晶枠が感じられないため、ミラーに画像や文字などが浮かび上がっているように見える。つまり、ハーフミラー領域HMとミラー領域Mとからなるマスク手段と、画像とがより一体感をもつことができる。
【符号の説明】
【0130】
10 レーダー探知機
11 筐体
12a,12b 固定具
13 ミラー部材
14 ディスプレイ部14(表示手段)
15 赤外線受光部
17 スピーカ
18 放音孔
19 DC電源ジャック用の挿入孔
20 スロット
21 GPS受信器
22 マイクロ波受信器
23 無線受信器
24 メモリカードリーダ
25 メモリカード
26 制御部(明度調整手段,記憶手段,データ書込手段,画像表示手段)
27 データベース
28 リモコン
50 液晶パネル
51 照明手段
52 冷陰極管
53 導光板
54 グラデーション付加フィルタ(透過率減少手段,減光手段)
140 画面表示領域
140A メイン表示領域
140B アイコン表示領域
141 速度
142 緯度
143 軽度
144 方位磁針アイコン
145 道路選択アイコン
146 レーダー受信感度モードアイコン
147 モード選択アイコン
148 現在時刻
151 地図
152 自車両アイコン
153 警報対象アイコン
154 法定速度
155 自車両の現在速度

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9