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特許7278010複数の作業者が連携して業務を行うことを支援する方法、プログラム及び業務支援装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-11
(45)【発行日】2023-05-19
(54)【発明の名称】複数の作業者が連携して業務を行うことを支援する方法、プログラム及び業務支援装置
(51)【国際特許分類】
   G16H 40/20 20180101AFI20230512BHJP
【FI】
G16H40/20
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2022170393
(22)【出願日】2022-10-25
【審査請求日】2022-10-27
(31)【優先権主張番号】P 2022090723
(32)【優先日】2022-06-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】515148929
【氏名又は名称】クェスタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108006
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 昌弘
(72)【発明者】
【氏名】大石 守
【審査官】鹿谷 真紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-197000(JP,A)
【文献】特開2017-056069(JP,A)
【文献】特開2020-129213(JP,A)
【文献】特開2019-096276(JP,A)
【文献】特開2021-196889(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00-80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の作業者が連携して業務を行うことを支援する業務支援装置が実行する方法であって、
前記業務支援装置は、それぞれ一の前記作業者が装着する複数のウェアラブル装置と通信可能であり、
前記業務支援装置が、前記作業者の対応が必要な事象が発生したことを示す事象発生通知を受信すると、前記作業者を含む前記業務の関係者の少なくとも一部に対して情報を表示可能な情報表示装置において、前記事象が発生したことを示す情報を表示させる第1情報表示工程と、
前記業務支援装置が、前記事象発生通知を受信すると、少なくとも一部の前記ウェアラブル装置において、前記事象が発生したことを報知する報知処理を実行させる報知工程とを有し、
前記業務支援装置は、1以上の記憶装置にアクセス可能であり、
1以上の前記記憶装置は、複数の前記作業者に対応する複数の作業者情報を記憶し、
一の前記作業者情報は、
一の前記作業者が担当する1以上の前記事象に関する情報と、
当該1以上の事象の各々について一の前記作業者に設定されたランクの情報と
を含んでおり、
前記報知工程は、
一の前記事象についての前記事象発生通知を受信した場合に、前記作業者情報において当該一の事象を担当することが定められた複数の前記作業者を特定することと、
特定した複数の前記作業者のうち前記ランクが最も高い1以上の前記作業者の前記ウェアラブル装置において前記報知処理を実行させることと、
前記報知処理を開始させてからの経過時間であって、前記報知処理を実行させた前記作業者の前記ウェアラブル装置から前記事象への対応を引き受ける旨の通知を受信するまでの前記経過時間を測定することと、
前記経過時間が所定の1以上のしきい値に達する度に、前記ウェアラブル装置において前記報知処理を実行させる前記作業者の前記ランクの範囲を高位の前記ランクから低位の前記ランクへ広げることとを含む、
方法。
【請求項2】
前記業務支援装置が、前記報知処理を実行させた一の前記作業者の前記ウェアラブル装置から前記事象への対応を引き受ける旨の通知を受信すると、前記一の作業者が前記事象に対応中であることを示す情報を前記情報表示装置において表示させる第2情報表示工程を有する、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記業務支援装置が、前記事象への対応を引き受けた全ての作業者の前記ウェアラブル装置から前記事象への対応が終了したことを示す通知を受信すると、前記事象への対応が完了したことを示す情報を前記情報表示装置において表示させる第3情報表示工程を有する、
請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記業務支援装置が、前記報知処理を実行させた一の前記作業者の前記ウェアラブル装置から前記事象への対応を引き受ける旨の通知を受信すると、前記報知処理を実行させた少なくとも一部の前記作業者の前記ウェアラブル装置において、前記一の作業者が前記事象に対応中であることを示す情報を表示させる第4情報表示工程を有する、
請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記業務支援装置が、前記事象への対応を引き受けた全ての作業者の前記ウェアラブル装置から前記事象への対応が終了したことを示す通知を受信すると、前記報知処理を実行させた少なくとも一部の前記作業者の前記ウェアラブル装置において、前記事象への対応が完了したことを示す情報を表示させる第5情報表示工程を有する、
請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記業務支援装置が、1以上の前記作業者が装着する1以上の前記ウェアラブル装置において前記報知処理を実行させているとき、及び、1以上の前記作業者が前記事象に対応中のときの少なくとも一方において、当該1以上の作業者が装着する1以上の前記ウェアラブル装置と前記情報表示装置とをそれぞれ通話端末とするグループ通話であって、一の前記通話端末のマイクから入力された音声を他の前記通話端末のスピーカにおいて出力させる前記グループ通話の制御を行うグループ通話制御工程を有する、
請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記グループ通話制御工程は、前記事象への対応を引き受けた全ての作業者の前記ウェアラブル装置から前記事象への対応が終了したことを示す通知を受信した場合、前記グループ通話の制御を終了することを含む、
請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記業務支援装置は、1以上の記憶装置にアクセス可能であり、
1以上の前記記憶装置は、複数の対象者に対応する複数の対象者情報を記憶し、
一の前記対象者情報は、
一の前記対象者の外観的特徴に関する外観特徴情報と、
当該一の対象者の移動が許可された移動許可区域に関する移動許可区域情報とを含み、
前記業務支援装置が、1以上の場所に設置された1以上のカメラによる前記対象者の撮像画像と、各対象者の前記外観特徴情報とに基づいて、前記撮像画像に写る前記対象者を特定する対象者特定工程と、
前記業務支援装置が、前記対象者を撮影した前記カメラの設置場所と、前記対象者特定工程において特定した前記対象者の前記移動許可区域情報とに基づいて、特定した前記対象者が前記移動許可区域の外に出る前記事象が発生したか否かを判定する判定工程とを有し、
前記報知工程は、前記判定工程において前記事象が発生したと判定した場合、少なくとも一部の前記ウェアラブル装置において前記報知処理を実行させることを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記報知工程は、前記事象発生通知が示す発生した前記事象が、複数の所定の事象のいずれに当てはまるかを判定し、予め定めた複数の報知態様の中から当該判定の結果に応じて選択した前記報知態様により、前記ウェアラブル装置において前記事象の発生を報知させることを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項10】
複数の作業者が連携して業務を行うことを支援する業務支援装置が実行可能な命令を含むプログラムであって、
請求項1~請求項9のいずれか一項に記載された方法の各工程を前記業務支援装置に実行させる前記命令を含んだプログラム。
【請求項11】
複数の作業者が連携して業務を行うことを支援する業務支援装置であって、
処理部と、
前記処理部が実行可能な命令を含んだプログラムを記憶する記憶部とを有し、
前記プログラムが、請求項1~請求項9のいずれか一項に記載された方法の各工程を前記処理部に実行させる前記命令を含む、
業務支援装置。
【請求項12】
複数の作業者が連携して業務を行うことを支援する業務支援装置であって、
請求項1~請求項9のいずれか一項に記載された方法の各工程を実行する手段を備える、
業務支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の作業者が連携して業務を行うことを支援する方法、プログラム及び業務支援装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
屋外の作業現場に配置される表示装置において、作業者用の種々の情報を表示させるシステムが知られている。下記の特許文献に記載される作業現場用サイネージシステムでは、作業現場に配置される表示装置において、タッチ選択可能な複数のサムネイル画像が表示される。複数のサムネイル画像は、それぞれ作業者用の情報に対応しており、1つのサムネイル画像がタッチ操作によって選択されると、選択されたサムネイル画像に対応する作業者用の情報(作業予定表、作業中の建物等の図面、作業現場の騒音や振動の計測値、天気情報、危険予知活動用の情報など)が表示装置において全画面表示される。これにより、作業現場にいる複数の作業者に対して有用な情報を効率的に提供することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-82924号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで病院や介護施設では、患者や入所者がスタッフを呼び出す場合に、ナースコールなどの呼び出しシステムが用いられる。一般的な呼び出しシステムでは、病室などに置かれた呼び出しボダンが操作された場合に、スタッフの詰所(ナースステーションなど)においてブザーやランプなどにより呼び出しの発生が報知される。
【0005】
しかしながら、上述した従来の呼び出しシステムでは、詰所から離れた場所にいるスタッフに対して呼び出しの発生を伝えることができない。呼び出しボタンが操作された病室からの距離が詰所よりも近い場所にスタッフがいたとしても、そのスタッフが呼び出しに気付かなければ、呼び出しへの対応が行われないままになる。そのため、病室から離れた詰所にいるスタッフが呼び出しへの対応を行わなくてはならなくなる。従って、スタッフの対応が必要な事象(患者などからの呼び出し)が発生した場合に、この事象に対して複数のスタッフが連携して効率的に対応することが難しいという不利益がある。
【0006】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、複数の作業者が連携して効率的に業務を行い易くすることができる方法、プログラム及び業務支援装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様は、複数の作業者が連携して業務を行うことを支援する業務支援装置が実行する方法であって、業務支援装置は、それぞれ一の作業者が装着する複数のウェアラブル装置と通信可能であり、業務支援装置が、作業者の対応が必要な事象が発生したことを示す事象発生通知を受信すると、作業者を含む業務の関係者の少なくとも一部に対して情報を表示可能な情報表示装置において、事象が発生したことを示す情報を表示させる第1情報表示工程と、業務支援装置が、事象発生通知を受信すると、少なくとも一部のウェアラブル装置において、事象が発生したことを報知する報知処理を実行させる報知工程とを有し、業務支援装置は、1以上の記憶装置にアクセス可能であり、1以上の記憶装置は、複数の作業者に対応する複数の作業者情報を記憶し、一の作業者情報は、一の作業者が担当する1以上の事象に関する情報と、当該1以上の事象の各々について一の作業者に設定されたランクの情報とを含んでおり、報知工程は、一の事象についての事象発生通知を受信した場合に、作業者情報において当該一の事象を担当することが定められた複数の作業者を特定することと、特定した複数の作業者のうちランクが最も高い1以上の作業者のウェアラブル装置において報知処理を実行させることと、報知処理を開始させてからの経過時間であって、報知処理を実行させた作業者のウェアラブル装置から事象への対応を引き受ける旨の通知を受信するまでの経過時間を測定することと、経過時間が所定の1以上のしきい値に達する度に、ウェアラブル装置において報知処理を実行させる作業者のランクの範囲を高位のランクから低位のランクへ広げることとを含む、方法である。
【0008】
本発明の第2の態様は、複数の作業者が連携して業務を行うことを支援する業務支援装置が実行可能な命令を含むプログラムであって、上記第1の態様に係る方法の各工程を業務支援装置に実行させる命令を含んだプログラムである。
【0009】
本発明の第3の態様は、複数の作業者が連携して業務を行うことを支援する業務支援装置であって、処理部と、処理部が実行可能な命令を含んだプログラムを記憶する記憶部とを有し、プログラムが、上記第1の態様に係る方法の各工程を処理部に実行させる命令を含む、業務支援装置である。
【0010】
本発明の第4の態様は、複数の作業者が連携して業務を行うことを支援する業務支援装置であって、上記第1の態様に係る方法の各工程を実行する手段を備えた業務支援装置である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、複数の作業者が連携して効率的に業務を行い易くすることができる方法、プログラム及び業務支援装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本実施形態に係るシステムの構成の一例を示す図である。
図2図2A及び図2Bは、それぞれ情報表示装置の画面の一例を示す図である。
図3図3A図3Dは、それぞれ情報表示装置の画面において呼び出しの発生を知らせるウィンドウの一例を示す図である。
図4図4A図4Dは、それぞれ情報表示装置の画面において呼び出しの発生を知らせるウィンドウの一例を示す図である。
図5図5Aは、スタッフの腕に装着されたウェアラブル装置の一例を示す図である。図5B図5Gは、それぞれウェアラブル装置の画面の一例を示す図である。
図6図6A図6Fは、それぞれウェアラブル装置の画面の一例を示す図である。
図7図7は、本実施形態に係るシステムにおける処理の一例を説明するためのフローチャートである。
図8図8は、本実施形態に係るシステムにおける処理の一例を説明するためのフローチャートである。
図9図9は、本実施形態に係るシステムにおける処理の一例を説明するためのフローチャートである。
図10図10は、事象の発生をスタッフに報知する処理の一例を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、本実施形態に係るシステムの構成の一例を示す図である。図1の例に示すシステムは、LAN(local area network)などの通信ネットワーク91を介して通信可能な業務支援装置1、情報表示装置3、ウェアラブル装置4、呼び出し操作器5及びカメラ6を有する。
業務支援装置1は、本発明の業務支援装置の一例である。
情報表示装置3は、本発明の情報表示装置の一例である。
ウェアラブル装置4は、本発明のウェアラブル装置の一例である。
カメラ6は、本発明のカメラの一例である。
【0014】
図1に示すシステムでは、介護施設や病院などの業務においてスタッフの対応が必要な事象(呼び出し操作器5による入居者からの呼び出し、カメラ6の撮像画像に基づく徘徊者の検知など)が発生した場合、スタッフの詰所などに配置されたスタッフ用の情報表示装置3において事象の発生を示す情報が表示されるとともに、スタッフのウェアラブル装置4において事象の発生が報知される。
本実施形態における「スタッフ」は、本発明における作業者の一例である。
【0015】
[呼び出し操作器5]
呼び出し操作器5は、病院や介護施設などにおいて施設入所者の居室や患者の病室などに置かれた機器であり、スタッフを呼び出す場合に操作される。図1に示すシステムは、複数の病室等に置かれた複数の呼び出し操作器5を備える。
【0016】
呼び出し操作器5は、例えば、スタッフの呼び出し指示を入力する入力部(ボタン、スイッチ、タッチセンサなど)と、入力部において呼び出し指示が入力されたことを示す信号(呼び出し信号)を送信する通信部と、入力部において呼び出し指示が入力された場合に通信部から呼び出し信号を送信させる制御を行う制御部とを有する。呼び出し操作器5の通信部は、例えば無線LANの通信回路(通信モジュールなど)を含んでおり、通信ネットワーク91に接続されたアクセスポイント81において受信可能な呼び出し信号を送信する。アクセスポイント81に受信された呼び出し信号は、通信ネットワーク91を介して業務支援装置1に送信される。
【0017】
[カメラ6]
カメラ6は、介護施設や病院などの所定の場所において対象者(施設入所者、患者)を撮影し、その撮像画像を業務支援装置1へ送信する。図1に示すシステムは、複数の場所で対象者の撮影を行う複数のカメラ6を備える。カメラ6は、例えば、対象者の移動が許可された区域(移動許可区域)の出入口付近に設置されており、移動許可区域の外に出た対象者の画像(顔の画像など)を撮影する。
【0018】
[情報表示装置3]
情報表示装置3は、病院や介護施設などにおける業務の関係者(業務を行うスタッフ、スタッフの業務を間接的にサポートするメンバー、業務の管理を行う管理者など)の少なくとも一部に対して情報を表示可能な装置であり、例えばスタッフの詰所などに設置される。情報表示装置3は、例えば、後述する業務支援装置1の通信部11、記憶部12、処理部13と同様な処理部、記憶部、通信部を備えるとともに、ユーザの指示を処理部に入力する入力部(タッチパネル、マウス、キーボードなどの入力装置)、情報を表示する表示部(液晶ディスプレイなどの表示装置)を備える。また情報表示装置3は、スピーカとマイクを備えており、ウェアラブル装置4との間で通話を行うことができる。
【0019】
情報表示装置3は、インターネットなどの外部の通信ネットワーク92上の情報提供サーバ7にアクセスし、業務に関連する種々の情報を情報提供サーバ7から取得して、表示部に表示させる。図1の例において、通信ネットワーク91(LANなど)はゲートウェイ83(ルーター装置など)を介して外部の通信ネットワーク92(インターネットなど)に接続されている。
【0020】
[ウェアラブル装置4]
ウェアラブル装置4は、スタッフの身体に装着可能な装置である。図1に示すシステムは、複数のスタッフに装着された複数のウェアラブル装置4を備える。ウェアラブル装置4は、通信ネットワーク91を介して他の装置(他のウェアラブル装置4、業務支援装置1など)と通信する機能、種々の情報を画面に表示する機能、音声通話の機能などを持つ。ウェアラブル装置4は、スマートウォッチなどの腕時計型の装置でもよいし、頭部に装着可能なメガネ型の装置でもよい。ウェアラブル装置4は、例えば、後述する業務支援装置1の通信部11、記憶部12、処理部13と同様な処理部、記憶部、通信部を備えるとともに、ユーザの指示を処理部に入力する入力部(タッチパネルなどの入力装置)、情報を表示する表示部(液晶ディスプレイなどの表示装置)、報知用の振動発生部(振動モータ)を備える。また情報表示装置3は、スピーカとマイクを備えており、他のウェアラブル装置4や情報表示装置3との間で通話を行うことができる。
【0021】
ウェアラブル装置4は、これを装着したスタッフの生体情報(体温、脈拍、血中酸素濃度、皮膚抵抗値、血圧、身体の加速度など)を検出するセンサを備えていてもよい。ウェアラブル装置4は、センサにより検出した生体情報を業務支援装置1に送信し、業務支援装置1は、ウェアラブル装置4から受信した各スタッフの生体情報を所定のデータベースに記録して管理する。ウェアラブル装置4から収集したスタッフの生体情報は、スタッフの健康管理などに役立てることができる。
【0022】
[業務支援装置1]
業務支援装置1は、複数のスタッフによる業務を支援する処理を行う。業務支援装置1は、スタッフの対応が必要な所定の事象(呼び出し操作器5によるスタッフの呼び出し、カメラ6の撮像画像に基づく徘徊者の検知など)が発生した場合、その事象の発生を示す情報を情報表示装置3において表示させ、少なくとも一部のスタッフのウェアラブル装置4においても、その事象が発生したことを報知する報知処理を実行させる。
【0023】
また業務支援装置1は、1以上のスタッフが装着する1以上のウェアラブル装置4において報知処理を実行させているときや、1以上のスタッフが事象(呼び出し操作器5による呼び出しなど)に対応中のとき、この1以上のスタッフが装着する1以上のウェアラブル装置4と情報表示装置3とをそれぞれ通話端末とするグループ通話の制御を行う。業務支援装置1は、グループ通話の制御において、グループ通話に参加した通話端末のマイクから入力される音声を他の通話端末のスピーカにおいて出力させる制御を行う。
【0024】
例えば業務支援装置1は、通信ネットワーク91に接続された1台若しくは複数台のコンピュータを含んで構成される。図1の例に示す業務支援装置1は、通信部11と、記憶部12と、処理部13を有する。
【0025】
通信部11は、通信ネットワーク91を介して他の装置(情報表示装置3、ウェアラブル装置4、呼び出し操作器5など)と通信を行う。通信部11は、例えばイーサネット(登録商標)や無線LANなどの所定の通信規格に準拠して通信を行う装置(ネットワークインターフェースカードなど)を含む。
【0026】
記憶部12は、処理部13において実行可能な命令を含む1以上のプログラム121や、処理部13による処理の過程で一時的に保存されるデータ、処理部13の処理に利用されるデータ、処理部13の処理の結果として得られたデータなどを記憶する。記憶部12は、例えば、主記憶装置(RAM、ROMなど)と補助記憶装置(フラッシュメモリ、SSD、ハードディスク、メモリカード、光ディスク)などを含んでよい。記憶部12は、1つの記憶装置から構成されてもよいし、複数の記憶装置から構成されてもよい。記憶部12が複数の記憶装置から構成される場合、各記憶装置は、コンピュータのバスや他の任意の通信手段を介して処理部13と接続される。
【0027】
処理部13は、業務支援装置1の全体的な動作を統括的に司り、所定の情報処理を実行する。処理部13は、例えば、記憶部12に格納された1以上のプログラム121の命令に応じて処理を実行する1以上のプロセッサ(CPU(central processing unit)、MPU(micro-processing unit)、DSP(digital signal processor)など)を含む。処理部13は、記憶部12に記憶される1以上のプログラム121の命令を1以上のプロセッサが実行することにより、コンピュータとして動作する。
【0028】
処理部13は、特定の機能を実現するように構成された1つ以上の専用のハードウェア(ASIC(application specific integrated circuit)、FPGA(field-programmable gate array)など)を含んでもよい。この場合、処理部13は、本実施形態において説明する全ての処理をコンピュータにおいて実行してもよいし、少なくとも一部の処理を専用のハードウェアにおいて実行してもよい。
【0029】
プログラム121は、例えばコンピュータ読み取り可能な記録媒体(光ディスク、メモリカード、USBメモリ、その他の非一時的な有形の媒体)に記録されていてもよい。処理部13は、そのような記録媒体に記録された1以上のプログラム121の少なくとも一部を不図示の記録媒体読み取り装置(光ディスク装置など)やインターフェース装置(USBインターフェースなど)により読み込んで、記憶部12に書き込んでもよい。あるいは処理部13は、通信ネットワーク91、92に接続される他の装置から通信部11により1以上のプログラム121の少なくとも一部をダウンロードして、記憶部12に書き込んでもよい。1以上のプログラム121は、後述する本実施形態に係る処理の少なくとも一部を処理部13において実行させる命令を含む。
【0030】
[記憶装置2]
記憶装置2は、業務支援装置1の処理において使用される種々の情報を記憶する。業務支援装置1と記憶装置2は、任意の通信路(LAN、専用回線網、インターネットなど)介して通信可能である。例えば記憶装置2は、複数の装置からのアクセスを受け付けるファイルサーバやデータベースサーバなどに含まれていてもよいし、業務支援装置1のみアクセス可能な専用の記憶装置でもよい。図1の例において、記憶装置2は、スタッフデータベース21と、対象者データベース22と、対応履歴データベース23とを記憶する。以下の説明では、データベースを「DB」と省略して記載する場合がある。
【0031】
[スタッフDB21]
スタッフDB21は、複数のスタッフに対応した複数のスタッフ情報を含む。一のスタッフ情報は、一のスタッフに関する情報として、当該スタッフを識別するスタッフ識別情報(スタッフID)、当該スタッフに関する個人情報(氏名、所属、職位、連絡先の情報など)、当該スタッフの勤務予定に関する情報などを含む。
【0032】
またスタッフ情報は、一のスタッフが担当する1以上の事象(呼び出しの発生、徘徊者の検知など)に関する情報を含む。
スタッフ情報が含む一の事象に関する情報は、呼び出しの発生や徘徊者の検知に関して当該スタッフが担当するべき病棟、病室、患者などについての情報を含んでよい。
例えば、スタッフ情報は、一のスタッフが担当する呼び出しに関する情報として、呼び出しを行った施設入所者の情報(対象者IDなど)や、呼び出し操作が行われた居室の情報(部屋番号など)を含んでよい。
またスタッフ情報は、一のスタッフが担当する徘徊者に関する情報として、徘徊者となった施設入所者の情報(対象者IDなど)や、カメラ6の撮像画像により徘徊者が検知された場所の情報(移動許可区域の出入口を示す情報など)を含んでよい。
【0033】
[対象者DB22]
対象者DB22は、介護施設や病院などにおいて業務の対象となる複数の対象者(施設入所者、患者など)に対応した複数の対象者情報を含む。一の対象者情報は、一の対象者に関する情報として、当該対象者を識別する対象者識別情報(対象者ID)、当該対象者に関する個人情報(氏名、性別、年齢など)、当該対象者の居室や病室に関する情報、当該対象者の外観的特徴に関する外観特徴情報(顔の特徴、髪型の特徴、体型の特徴、体格の特徴など)を含む。
【0034】
また、一の対象者に関する一の対象者情報は、介護施設や病院などにおいて当該対象者の移動が許可された起動許可区域に関する情報(移動許可区域情報)を含む。対象者が病棟などの移動許可区域の外に出た場合、当該対象者は徘徊者として扱われ、スタッフによる対応(移動許可区域内に連れ戻すこと)が必要となる。
【0035】
[対応履歴DB23]
対応履歴DB23は、スタッフによる事象への対応(呼び出しへの対応、徘徊者への対応など)の履歴に関する情報をそれぞれ含んだ複数の対応履歴情報を含む。一の対応履歴情報は、発生した事象に対応したスタッフの情報(スタッフIDなど)、事象の発生日時に関する情報、発生した事象の内容に関する情報(呼び出しを行った施設入居者の情報、徘徊者が検知された場所の情報、徘徊者となった対象者の識別情報など)、発生した事象に対する対応の結果に関する情報(対応を完了したか否かなど)を含む。事象の発生日時に関する情報は、例えば、事象が発生した日時の情報、スタッフが事象への対応を開始した日時の情報、スタッフによる事象への対応が完了した日時の情報などを含む。
【0036】
ここで、上述した構成を有する図1に示すシステムの動作について説明する。
図7及び図8は、本実施形態に係るシステムにおける処理の一例を説明するためのフローチャートであり、呼び出し操作器5による呼び出しが発生した場合の処理の一例を示す。
ステップST105及びST110は、本発明の報知工程の一例である。
ステップST125は、本発明の第1情報表示工程の一例である。
ステップST140は、本発明のグループ通話制御工程の一例である。
ステップST305は、本発明の第2情報表示工程及び第4情報表示工程の一例である。
ステップST330は、本発明の第2情報表示工程及び第4情報表示工程の一例である。
ステップST415は、本発明の第3情報表示工程及び第5情報表示工程の一例である。
【0037】
業務支援装置1は、介護施設の居室や病院の病室などに置かれた呼び出し操作器5から送信される呼び出し信号を受信すると(ST100)、この呼び出し信号に係わる呼び出しへの対応を担当することがスタッフ情報で定められた1以上のスタッフを特定する(ST105)。例えば業務支援装置1は、呼び出し操作器5から受信した呼び出し信号が示す呼び出し元に関する情報(呼び出しを行った施設入居者の情報、呼び出し操作器5が操作された居室の情報など)と、スタッフDB21のスタッフ情報に含まれる呼び出し元の情報とに基づいて、呼び出しへの対応を担当するべき1以上のスタッフを特定する。
【0038】
業務支援装置1は、特定した1以上のスタッフのウェアラブル装置4において、呼び出し信号が示す呼び出し元からの呼び出しが発生したことを報知する報知処理を実行させる(ST110)。ウェアラブル装置4は、この報知処理において、例えば特定の呼び出し元から呼び出されたことを示す情報を表示部において表示させたり、呼び出しがあったことを知らせる音や振動、光を発生したりする(ST115、ST120)。
【0039】
図5Aは、スタッフの腕に装着されたウェアラブル装置4の一例を示す図である。図5Aに示すウェアラブル装置4は、腕時計型の装置である。図5B図5G及び図6A図6Fは、図5Aに示すウェアラブル装置4において表示される画面Cの例をそれぞれ示す。これらの例において、ウェアラブル装置4の画面Cはタッチ操作が可能である。呼び出し操作器5の操作により呼び出しが発生した場合、業務支援装置1の制御(ST110)によって、ウェアラブル装置4の画面Cには、例えば図5Bに示す情報が表示される(ST115、ST120)。図5Bに示す画面Cは、現在の状態を示す情報(「呼出中」)、呼び出し元に関する情報(「×××号室 〇〇様」)、呼び出し元の対象者を示す画像(顔の画像)を含む。
【0040】
また、業務支援装置1は、呼び出し操作器5から送信される呼び出し信号を受信すると(ST100)、呼び出し信号が示す呼び出し元(施設入居者、居室など)からの呼び出しがあったことを示す情報を情報表示装置3でも表示させる(ST125)。情報表示装置3は、表示部の画面において特定の呼び出し元から呼び出しがあったことを示す情報を表示する(ST130)。この呼び出し中の状態において、情報表示装置3は、呼び出しがあったことを音や光などで報知してもよい。
【0041】
図2A及び図2Bは、情報表示装置3において表示される画面の例をそれぞれ示す。図2Aに示す画面Aには、それぞれ業務に関連する情報を表す8つのサムネイル画像A1~A8が含まれる。情報表示装置3の画面Aはタッチ操作が可能であり、画面Aに表示されるサムネイル画像A1~A8のいずれかがタッチされると、タッチされたサムネイル画像に対応する情報が画面Aにおいて全画面表示される。例えばサムネイル画像A1がタッチされると、複数の呼び出し操作器5に対応する複数の呼び出し元(施設入居者、居室など)の状況(呼び出しの有無、呼び出しへの対応の状況など)が画面Aにおいて全画面表示される。また、サムネイル画像A2がタッチされると、業務用の商品(介護用品など)の注文が可能なWEBサイトなどが画面Aにおいて全画面表示される。
【0042】
呼び出し操作器5の操作による呼び出しが発生した場合、業務支援装置1の制御(ST125)によって、情報表示装置3の画面Aには、例えば図2Bに示すようなウィンドウBがポップアップ表示される(ST130)。図2Bに示すウィンドウBには、現在の状態を示す情報(「呼び出し中」)、呼び出し元に関する情報(「×××号室 〇〇様」)、呼び出し元の対象者を示す画像(顔の画像)、呼び出し中のスタッフに関する情報(「▽▽さん ◇◇さん ◎◎さん □□さん △△さん」)が含まれる。呼び出し中のスタッフのウェアラブル装置4では、報知処理(ST115、ST120)が実行されている。
【0043】
呼び出し中の状態にあるとき、ウェアラブル装置4の画面C(図5B)と情報表示装置3のウィンドウB(図2B)には、それぞれグループ通話開始用のボタン(B1,C1)が配置される。グール通話開始用のボタン(B1,C1)がタッチされると、業務支援装置1は、グループ通話の制御を開始する。図7の例では、情報表示装置3のウィンドウBにおいて通話開始用のボタンB1(図2B)がスタッフ等によりタッチされ、情報表示装置3が業務支援装置1に対してグループ通話の開始を要求する(ST135)。この要求を受けた業務支援装置1は、情報表示装置3を通話端末の1つとするグループ通話の制御を開始する(ST140)。これにより業務支援装置1は、通話端末として情報表示装置3との接続を開始する(ST145)。
【0044】
業務支援装置1は、通話端末(ここでは情報表示装置3)との接続を開始すると、接続した通話端末に関する情報を、ステップST105で特定したウェアラブル装置4(報知処理実行中のウェアラブル装置4)においてそれぞれ表示させる(ST150)。これにより、ウェアラブル装置4は、例えば図5Cに示すように、接続中の通話端末に関する情報を画面Cにおいて表示する(ST160,ST165)。図5Cの例では、接続中の通話端末に関する情報として通話者名「スタッフ室」を画面Cに表示している。「スタッフ室」は、スタッフの控室(スタッフ室)に設置された業務支援装置1を示す。
【0045】
情報表示装置3は、ボタンB1の操作(ST135)によって通話状態に移行すると、スピーカとマイクが起動して通話音声の入出力が可能な状態になる(ST155)。図3Aは、通話状態に移行した情報表示装置3のウィンドウBの例を示す。この例において、ウィンドウBには、通話を切るためのボタンB2、通話状態を維持したままマイクやスピーカをオフにするためのボタンB3,B4が配置される。
【0046】
呼び出し中(報知処理実行中)の状態にある1つウェアラブル装置4においてグループ通話開始用のボタンC1(図5C)がタッチされると、当該ウェアラブル装置4は業務支援装置1に対してグループ通話の開始を要求する(ST170,ST200)。通話開始の要求を受けた業務支援装置1は、通話端末として当該ウェアラブル装置4との接続を開始する(ST175,ST205)。業務支援装置1は、ウェアラブル装置4を新たな通話端末としてグループ通話に加えた場合、グループ通話に加えた通話端末に関する情報を、ステップST105で特定したウェアラブル装置4(報知処理実行中のウェアラブル装置4)においてそれぞれ表示させるとともに、情報表示装置3においても表示させる(ST180,ST210)。これにより、呼び出し中(報知処理実行中)の各ウェアラブル装置4と情報表示装置3は、新たな通話端末を含む接続中の通話端末に関する情報をそれぞれ表示する(ST185,ST190,ST215,ST225)。また、ボタンC1の操作(ST170,ST200)によってグループ通話に加わったウェアラブル装置4は、スピーカとマイクが起動して通話音声の入出力が可能な状態になる(ST195,ST220)。業務支援装置1は、この状態において、1つの通話端末のマイクから入力された音声を他の通話端末のスピーカから出力させるグループ通話の制御を行う。
【0047】
図5Dは、呼び出し中の状態でグループ通話に加わったウェアラブル装置4の画面Cの例を示す。ウェアラブル装置4は、ボタンC1の操作によってグループ通話に加わると、図5Dに示すように、通話を切るためのボタンC2を画面Cに表示する。またウェアラブル装置4、画面Cに表示するグループ通話の通話者名のリストに、自機の使用者(スタッフの名前)を加える。
【0048】
図3Bは、呼び出し中の状態でグループ通話に複数の通話端末が加わった場合における情報表示装置3のウィンドウBの例を示す。図3Bに示すウィンドウBにおいて、グループ通話に参加中のスタッフの名前には強調表示(背景が黒色、文字が白色)が施されている。この例では、2名のスタッフ(「□□さん」、「△△さん」)がグループ通話に参加中となっている。
【0049】
図3Bに示す画面CにおいてマイクやスピーカをオフにするためのボタンB3,B4が操作されると、図3Cに示すように、マイクのボタンB3がミュート中を表すボタンB3aに変化し、スピーカのボタンB4が消音中を表すボタンB4aに変化する。これにより、マイクからの音の入力が停止されるとともに、スピーカからの音の出力が停止される。ボタンB3a,B4aが再び操作されると、図3Bに示す元のボタンB3,B4に変化し、マイクとスピーカが作動した状態に戻る。
【0050】
呼び出し中(報知処理実行中)のウェアラブル装置4の画面Cには、図5Dに示すように、呼び出しへの対応を引き受ける際に操作されるボタンC3が表示される。ボタンC3が操作されると、ウェアラブル装置4は、図5Eに示すように、呼び出しへの対応を引き受けることを確定させるためのボタンC5と、直前の状態(図5D)に戻るためのボタンC4を画面Cに表示する。ここでボタンC5が操作されると、ウェアラブル装置4は、呼び出しへの対応を引き受ける旨の通知を業務支援装置1に送信する(ST300)。またウェアラブル装置4は、呼び出しの報知処理を終了し、呼び出しへの対応を引き受けた状態に移行する(ST315)。
【0051】
呼び出しへの対応を引き受けたウェアラブル装置4は、実行中の報知処理を終了し、例えば図5Fに示す画面Cを表示する。図5Fに示す画面Cには、現在の状態が呼び出しへの対応中であることを示す情報(「対応中」)、呼び出しへの対応を行っているスタッフに関する情報(「□□さん」)、呼び出しへの対応は行っていないがグループ通話に参加中のスタッフに関する情報(「スタッフ室」、「△△さん」)が含まれる。図5Fの例では、呼び出しへの対応を行っており、かつ、グループ通話に参加中であるスタッフの名前(「□□さん」)が強調表示されている。また図5Fに示す画面Cには、対応を中止する際に操作されるボタンC6と、対応を終了する際に操作されるボタンC7が含まれる。
【0052】
業務支援装置1は、報知処理を実行させた一のスタッフのウェアラブル装置4から、呼び出しへの対応を引き受ける旨の通知を受信すると(ST300)、当該一のスタッフが呼び出しに対応中であることを示す情報を他のウェアラブル装置4(報知処理を実行させたウェアラブル装置4)において表示させるとともに、当該情報を情報表示装置3においても表示させる(ST305)。これにより、情報表示装置3とウェアラブル装置4は、それぞれ業務支援装置1の制御に応じた情報を表示する(ST310,ST320)。
【0053】
一のスタッフが呼び出しへの対応を引き受けた場合、他のスタッフが装着するウェアラブル装置4の画面Cには、例えば図5Gに示す情報が表示される。図5Gに示す画面Cには、図5Fと同様に、現在の状態が呼び出しへの対応中であることを示す情報(「対応中」)、呼び出しへの対応を行っているスタッフに関する情報(「□□さん」)、グループ通話に参加中のスタッフに関する情報(「スタッフ室」、「△△さん」)が含まれる。
【0054】
他方、一のスタッフが呼び出しへの対応を引き受けた場合、情報表示装置3のウィンドウBには、例えば図3Dに示す情報が表示される。図3Dに示すウィンドウBにも、現在の状態が呼び出しへの対応中であることを示す情報(「スタッフ対応中(呼び出し)」)、呼び出しへの対応を行っているスタッフに関する情報(「□□さん」)、グループ通話に参加中のスタッフに関する情報(「△△さん」)が含まれる。図3Dの例では、呼び出しへの対応を行っており、かつ、グループ通話に参加中であるスタッフの名前(「□□さん」)が強調表示されている。スタッフが呼び出しに対応中の場合、ウィンドウBには、画面AにおいてウィンドウBを最小化するためのボタンB6や、ウィンドウBを閉じるためのボタンB5が配置される。
【0055】
また業務支援装置1は、一のスタッフのウェアラブル装置4から呼び出しへの対応を引き受ける旨の通知を受信した場合、報知処理を実行中のウェアラブル装置4と情報表示装置3において、それぞれ報知処理を終了させる(ST305)。
【0056】
一のスタッフが呼び出しへの対応を引き受けている状態で、更に別のスタッフのウェアラブル装置4から呼び出しへの対応を引き受ける旨の通知を受信すると(ST325)、業務支援装置1は、当該別のスタッフも呼び出しに対応中であることを示す情報を他のウェアラブル装置4(報知処理を実行させたウェアラブル装置4)において表示させるとともに、当該情報を情報表示装置3においても表示させる(ST330)。これにより、情報表示装置3とウェアラブル装置4は、それぞれ業務支援装置1の制御に応じた情報を表示する(ST335,ST340)。また、対応を引き受けた当該別のスタッフのウェアラブル装置4では、呼び出しへの対応を引き受けた状態の画面C(図5F)を表示する(ST345)。
【0057】
グループ通話に参加中の情報表示装置3において通話を切るボタンB2が操作されると、情報表示装置3はグループ通話の切断を業務支援装置1に要求する(ST350)。この要求を受けた業務支援装置1は、情報表示装置3とのグループ通話の接続を終了する(ST355)。この場合、情報表示装置3は、マイクとスピーカを使用する音声通話を終了して非通話状態に移行する(ST365)。非通話状態へ移行した情報表示装置3のウィンドウBには、例えば図4Aに示すように、通話状態で使用されるボタン(通話切断用のボタンB2、通話制御用のボタンB3,B4)の代わりに、グループ通話の開始用のボタンB1が配置される。
【0058】
業務支援装置1は、一の通話端末(ここでは情報表示装置3)との接続を終了した場合(ST355)、当該接続の終了を他の通話端末(ウェアラブル装置4)に通知する(ST360)。この通知を受信した他の通話端末は、画面に表示しているグループ通話の参加者から当該一の通話端末を削除するように表示内容を更新する(ST370,ST375)。
【0059】
呼び出しへの対応を引き受けたスタッフのウェアラブル装置4の画面C(図6A)において、対応の中止を示すボタンC6が操作されると、図6Bに示すように、ウェアラブル装置4の画面Cには、呼び出しへの対応の中止を確定させるためのボタンC12と、直前の状態(図6A)に戻るためのボタンC13が配置される。ここでボタンC12が操作されると、ウェアラブル装置4は、呼び出しへの対応の中止を業務支援装置1に通知する(ST380)。またウェアラブル装置4は、呼び出しを引き受けていない状態に移行し、例えば図6Cに示すような画面Cを表示する。図6Aに示す画面Cにおいて対応中のリストに含まれていたスタッフ「□□さん」は、図6BのボタンC12を操作したことにより、図6Cに示す画面Cにおいて対応中のリストから削除されている。この例において、スタッフ「□□さん」は通話状態を維持しているため、図6Cに示す画面Cにおいて通話中のリストに含まれている。
【0060】
業務支援装置1は、一のウェアラブル装置4から呼び出しへの対応の中止を通知された場合、他のウェアラブル装置4(報知処理が実行されたウェアラブル装置4)と情報表示装置3に対して、呼び出しに対応中のスタッフが更新されたこと(一部のスタッフによる対応が中止されたこと)を示す情報を送信する(ST385)。この情報を受信した他のウェアラブル装置4と情報表示装置3は、画面に表示している呼び出し対応中のスタッフを、受信した情報に応じて更新する(ST390,ST395)。
【0061】
呼び出しへの対応を引き受けたスタッフのウェアラブル装置4の画面C(図6D)において、対応の終了を示すボタンC7が操作されると、図6Eに示すように、ウェアラブル装置4の画面Cには、呼び出しへの対応の終了を確定させるためのボタンC14と、直前の状態(図6D)に戻るためのボタンC15が配置される。ここでボタンC14が操作されると、ウェアラブル装置4は、呼び出しへの対応の完了を業務支援装置1に通知する(ST405)。
【0062】
業務支援装置1は、呼び出しへの対応を引き受けた一のスタッフのウェアラブル装置4から呼び出しへの対応が終了したことを通知された場合、まだ対応中のスタッフが存在する場合は、ステップST385と同様に、呼び出しに対応中のスタッフが更新されたこと(一部のスタッフの対応が終了したこと)を示す情報を他のウェアラブル装置4と情報表示装置3に送信する。この情報を受信した他のウェアラブル装置4と情報表示装置3は、画面に表示している呼び出し対応中のスタッフを、受信した情報に応じて更新する。
【0063】
他方、業務支援装置1は、呼び出しへの対応を引き受けた全てのスタッフのウェアラブル装置4から呼び出しへの対応が終了したことを通知された場合(ST405)、呼び出しへの対応が完了したことを示す情報を、報知処理が実行されたウェアラブル装置4と情報表示装置3においてそれぞれ表示させる(ST415)。これにより、各ウェアラブル装置4は、例えば図6Fに示すように、呼び出しへの対応の完了を知らせる画面Cを表示する(ST420~ST430)。図6Fに示す画面Cには、呼び出しへの対応が完了したことを示す情報(「対応完了」)、呼び出しへの対応を行った(終了した)スタッフの情報(「△△さん」)、対応が完了した日時の情報が含まれる。
【0064】
また、業務支援装置1は、呼び出しへの対応を引き受けた全てのスタッフのウェアラブル装置4から呼び出しへの対応が終了したことを通知された場合(ST405)、グループ通話の制御を終了する(ST410)。
【0065】
業務支援装置1は、呼び出しへの対応が完了した場合、この対応履歴の情報を対応履歴DB23に登録する(ST435)。例えば業務支援装置1は、対応を行った(終了した)スタッフの識別情報(スタッフID)、呼び出しが発生した日時と対応が完了した日時、呼び出しを行った施設入居者の識別情報(対象者ID)、呼び出しへの対応の結果などを対応履歴情報として対応履歴DB23に登録する。
【0066】
次に、スタッフの対応が必要な事象が発生する場合の他の例として、徘徊者が検知された場合の処理について、図9のフローチャートを参照して説明する。
ステップST505は、本発明の対象者特定工程の一例である。
ステップST515は、本発明の判定工程の一例である。
ステップST520及びST525は、本発明の報知工程の一例である。
ステップST540は、本発明の第1情報表示工程の一例である。
【0067】
業務支援装置1は、対象者(施設入居者、患者など)が立ち入る可能性のある1以上の場所に配置された1以上のカメラ6から撮像画像を随時取得する(ST500)。業務支援装置1は、このカメラ6による対象者の撮像画像者と、対象者DB22に登録される各対象者の外観特徴情報(顔の特徴など)とに基づいて、撮像画像に写った対象者を特定する(ST505)。例えば業務支援装置1は、画像に写った対象者を識別するように予め生成された学習済モデルを用いて、撮像画像をこの学習済モデルに適用することにより、撮像画像に写った対象者を特定する。
【0068】
ステップST505において撮像画像に写る対象者が特定された場合(ST510のYes)、業務支援装置1は、対象者を撮影したカメラ6の設置場所と、ステップST505において特定した対象者の対象者情報に含まれる移動許可区域情報とに基づいて、特定した対象者が移動許可区域の外に出る事象が発生したか否かを判定する(ST515)。例えば業務支援装置1は、対象者の撮影場所と、移動許可区域情報が示すこの対象者の移動許可区域とを照合することにより、対象者が移動許可区域の外に出た徘徊者であるか判定する。
【0069】
業務支援装置1は、カメラ6で撮影された対象者が移動許可区域の外に出た徘徊者であると判定した場合(ST515のYes)、この徘徊者への対応を担当することがスタッフ情報で定められた1以上のスタッフを特定する(ST520)。例えば業務支援装置1は、ステップST515で特定した対象者の識別情報(対象者ID)と、スタッフDB21のスタッフ情報において徘徊時に担当することが定められた対象者の識別情報(対象者ID)とに基づいて、徘徊者への対応を担当するべき1以上のスタッフを特定する。
【0070】
業務支援装置1は、特定した1以上のスタッフのウェアラブル装置4において、徘徊者が検知されたことを報知する報知処理を実行させる(ST525)。ウェアラブル装置4は、この報知処理において、例えば徘徊している対象者とその徘徊場所を示す情報を表示部において表示させたり、徘徊者がいることを知らせる音や振動、光を発生したりする(ST530、ST535)。
【0071】
また、業務支援装置1は、徘徊者が検知された場合(ST515のYes)、特定の対象者が特定の場所で徘徊していることを示す情報を情報表示装置3でも表示させる(ST540)。情報表示装置3は、表示部の画面において、徘徊している対象者とその徘徊場所を示す情報を表示する(ST545)。
【0072】
このように、本実施形態によれば、スタッフの対応が必要な事象(呼び出し、徘徊者の検知など)が発生した場合に、その事象の発生を示す情報がスタッフの詰所などに設置された情報表示装置3において表示されるとともに、スタッフが装着するウェアラブル装置4において事象の発生を知らせる報知処理が実行される。これにより、情報表示装置3が表示する情報を見ることが可能なスタッフや業務関係者だけでなく、現場で作業中のスタッフにも事象の発生が知らされるため、手が空いているスタッフや事象の発生場所の近くにいるスタッフが事象に対して臨機応変に対応することが可能になる。従って、複数のスタッフが連携して効率的に業務を行い易くすることができる。
【0073】
また、本実施形態によれば、事象の発生が報知された一のスタッフのウェアラブル装置4から、事象への対応を引き受ける旨の通知が業務支援装置1において受信された場合、当該一のスタッフが事象に対応中であることを示す情報が情報表示装置3において表示される。これにより、情報表示装置3に表示された情報を見ているスタッフ等が、事象への対応の有無を把握することができる。
【0074】
また、本実施形態によれば、事象の発生が報知された一のスタッフのウェアラブル装置4から、事象への対応を引き受ける旨の通知が業務支援装置1において受信された場合、報知処理が実行された少なくとも一部のウェアラブル装置4において、当該一のスタッフが事象に対応中であることを示す情報が表示される。これにより、報知処理が実行されたウェアラブル装置4を装着するスタッフが、事象に対して他のスタッフが対応したか否かを把握できるため、自分が事象に対応するべきか、対応しなくてもよいかの判断を的確に行うことができる。
【0075】
また、本実施形態によれば、事象への対応を引き受けた全てのスタッフのウェアラブル装置4から、事象への対応が終了したことを示す通知が業務支援装置1において受信された場合、事象への対応が完了したことを示す情報が情報表示装置3において表示される。これにより、情報表示装置3に表示された情報を見ているスタッフ等が、事象への対応の結果を把握することができる。
【0076】
また、本実施形態によれば、事象への対応を引き受けた全てのスタッフのウェアラブル装置4から、事象への対応が終了したことを示す通知が業務支援装置1において受信された場合、報知処理が実行された少なくとも一部のウェアラブル装置4において、事象への対応が完了したことを示す情報が表示される。これにより、報知処理が実行されたウェアラブル装置4を装着するスタッフが、事象への対応の結果を把握することができる。
【0077】
また、本実施形態によれば、1以上のスタッフが装着する1以上のウェアラブル装置4において報知処理を実行させているときに、当該1以上のスタッフが装着する当該1以上のウェアラブル装置4と情報表示装置3とをそれぞれ通話端末とするグループ通話の制御が行われる。これにより、事象に対応する可能性のある複数のスタッフの間で音声通話が可能になる。例えば、誰が事象に対応するのかの調整をスタッフ間で行ったり、対応内容についての情報をスタッフ間で交換したりすることが可能になる。従って、複数のスタッフが連携して業務を行い易くなる。
【0078】
また、本実施形態によれば、1以上のスタッフが事象に対応中のときも、当該1以上のスタッフが装着する当該1以上のウェアラブル装置4と情報表示装置3とをそれぞれ通話端末とするグループ通話の制御が行われる。これにより、事象に対応中のスタッフと他のスタッフとの間で音声通話が可能になる。例えば、事象への対応に関してわからないことを他のスタッフに聞いたり、他のスタッフの応援を要請したりすることが可能になる。従って、複数のスタッフが連携して業務を行い易くなる。
【0079】
また、本実施形態によれば、事象への対応を引き受けた全てのスタッフのウェアラブル装置4から、事象への対応が終了したことを示す通知が業務支援装置1において受信された場合、業務支援装置1によるグループ通話の制御が終了する。これにより、複数の事象への対応が並行して行われる場合において、既に事象への対応が終了した不要なグループ通話の制御を終了させることで、通信帯域の減少による音声通話の品質の低下を効果的に回避できる。
【0080】
また、本実施形態によれば、スタッフが担当するべき事象(呼び出し、徘徊者の検知など)に関する情報がスタッフDB21のスタッフ情報に含まれており、一の事象が発生した場合にウェアラブル装置4の報知処理を実行させるスタッフが、このスタッフ情報に基づいて特定される。これにより、必要なスタッフに限定して事象の発生を知らせることができるため、無関係なスタッフに対して頻繁に事象の発生が報知されることを効果的に防止できる。
【0081】
次に、上述した本実施形態の一変形例について、図10のフローチャートを参照して説明する。この変形例は、業務支援装置1が情報表示装置3やウェアラブル装置4において報知処理を実行させる処理(ST110、図7)に関する。
【0082】
この変形例において、一のスタッフに関する一のスタッフ情報(スタッフDB21)は、当該スタッフが担当する1以上の事象(呼び出しの発生、徘徊者の検知など)に関する情報を含むとともに、当該1以上の事象の各々について当該スタッフに設定されたランクに関する情報を含む。一の事象について一のスタッフに設定されたランクに関する情報は、例えば、当該スタッフに対して当該事象への対応が求められる順位に関する情報を含む。一の事象の担当者として複数のスタッフが割り当てられている場合、当該事象について設定されるランクが高いスタッフほど、当該事象への優先的な対応が要求される。
【0083】
業務支援装置1は、スタッフが対応するべき事象(呼び出し、徘徊者の検知など)が発生した場合に、スタッフDB21のスタッフ情報に基づいて、発生した事象を担当するスタッフを特定し(ST600)、特定したスタッフの中で最もランクの高いスタッフを選択する(ST605)。業務支援装置1は、この選択したスタッフのウェアラブル装置4において報知処理を実行させる(ST610)。
【0084】
業務支援装置1は、ウェアラブル装置4において報知処理を実行させているとき、報知処理を開始させてからの経過時間を取得する(ST615)。取得した経過時間が所定のしきい値を超えておらず(ST625のNo)、かつ、報知処理を実行させているスタッフのウェアラブル装置4から事象への対応を引き受ける通知も受信していない場合(ステップST630のNo)、業務支援装置1は経過時間の取得(ST615)を繰り返す。
【0085】
経過時間が所定のしきい値を超えた場合(ST625のYes)、業務支援装置1は、次にランクの高いスタッフを選択し(ST620)、選択したウェアラブル装置4を報知処理の実行対象に追加して(ST610)、ステップST615以降の処理を繰り返す。すなわち業務支援装置1は、経過時間が所定の1以上のしきい値に達する度に、ウェアラブル装置4において報知処理を実行させるスタッフのランクの範囲を高位のランクから低位のランクへ広げる。
【0086】
この変形例では、報知処理の経過時間が長くなるほど、報知処理の実行対象となるスタッフのランクの範囲が広がるため、高位のランクのスタッフが事象に対応できない場合には、低位のランクのスタッフに対して事象への対応を促すことができる。
【0087】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、更に種々のバリエーションを含んでいる。
【0088】
例えば、業務支援装置1がウェアラブル装置4において事象の発生を報知させる場合、事象の内容に応じて報知の態様を変化させてもよい。すなわち、業務支援装置1は、作業者(スタッフ)の対応が必要な事象が発生したことを示す事象発生通知(呼び出し操作器5からの呼び出し信号など)を受信した場合に、この事象発生通知が示す発生した事象が、複数の所定の事象のいずれに当てはまるかを判定する。そして業務支援装置1は、予め定めた複数の報知態様(例えば複数の報知音、複数の振動パターン、複数の光点滅パターン、複数の報知表示などや、これらの少なくとも一部の組み合わせ)の中から、当該判定の結果に応じて選択した報知態様により、ウェアラブル装置4において事象の発生を報知させる。ウェアラブル装置4を装着した作業者は、発生した事象がどのような種類のものであるかを報知態様から把握できるため、報知を受けた時の作業の状況に応じて事象への対応の有無を素早く決めることが可能となり、作業を効率的に進め易くなる。
【0089】
例えば、上述した実施形態では業務支援装置1と情報表示装置3がそれぞれ独立の装置である例を挙げたが、本実施形態の他の例では、業務支援装置1と情報表示装置3の少なくとも一部が共通の装置(コンピュータなど)を含んでいてもよい。
【0090】
上述した実施形態では、情報提供サーバ7と業務支援装置1が別の通信ネットワークに接続されているが、本実施形態の他の例では、情報提供サーバ7と業務支援装置1が共通の通信ネットワークに接続されていてもよい。
以下、出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1]
複数の作業者が連携して業務を行うことを支援する業務支援装置が実行する方法であって、
前記業務支援装置は、それぞれ一の前記作業者が装着する複数のウェアラブル装置と通信可能であり、
前記業務支援装置が、前記作業者の対応が必要な事象が発生したことを示す事象発生通知を受信すると、前記作業者を含む前記業務の関係者の少なくとも一部に対して情報を表示可能な情報表示装置において、前記事象が発生したことを示す情報を表示させる第1情報表示工程と、
前記業務支援装置が、前記事象発生通知を受信すると、少なくとも一部の前記ウェアラブル装置において、前記事象が発生したことを報知する報知処理を実行させる報知工程と
を有する方法。
[2]
前記業務支援装置が、前記報知処理を実行させた一の前記作業者の前記ウェアラブル装置から前記事象への対応を引き受ける旨の通知を受信すると、前記一の作業者が前記事象に対応中であることを示す情報を前記情報表示装置において表示させる第2情報表示工程を有する、[1]に記載の方法。
[3]
前記業務支援装置が、前記事象への対応を引き受けた全ての作業者の前記ウェアラブル装置から前記事象への対応が終了したことを示す通知を受信すると、前記事象への対応が完了したことを示す情報を前記情報表示装置において表示させる第3情報表示工程を有する、[2]に記載の方法。
[4]
前記業務支援装置が、前記報知処理を実行させた一の前記作業者の前記ウェアラブル装置から前記事象への対応を引き受ける旨の通知を受信すると、前記報知処理を実行させた少なくとも一部の前記作業者の前記ウェアラブル装置において、前記一の作業者が前記事象に対応中であることを示す情報を表示させる第4情報表示工程を有する、[1]に記載の方法。
[5]
前記業務支援装置が、前記事象への対応を引き受けた全ての作業者の前記ウェアラブル装置から前記事象への対応が終了したことを示す通知を受信すると、前記報知処理を実行させた少なくとも一部の前記作業者の前記ウェアラブル装置において、前記事象への対応が完了したことを示す情報を表示させる第5情報表示工程を有する、[4]に記載の方法。
[6]
前記業務支援装置が、1以上の前記作業者が装着する1以上の前記ウェアラブル装置において前記報知処理を実行させているとき、及び、1以上の前記作業者が前記事象に対応中のときの少なくとも一方において、当該1以上の作業者が装着する1以上の前記ウェアラブル装置と前記情報表示装置とをそれぞれ通話端末とするグループ通話であって、一の前記通話端末のマイクから入力された音声を他の前記通話端末のスピーカにおいて出力させる前記グループ通話の制御を行うグループ通話制御工程を有する、[1]に記載の方法。
[7]
前記グループ通話制御工程は、前記事象への対応を引き受けた全ての作業者の前記ウェアラブル装置から前記事象への対応が終了したことを示す通知を受信した場合、前記グループ通話の制御を終了することを含む、[6]に記載の方法。
[8]
前記業務支援装置は、1以上の記憶装置にアクセス可能であり、
1以上の前記記憶装置は、複数の前記作業者に対応する複数の作業者情報を記憶し、
一の前記作業者情報は、一の前記作業者が担当する1以上の前記事象に関する情報を含み、
前記報知工程は、
一の前記事象についての前記事象発生通知を受信した場合に、前記作業者情報において当該一の事象を担当することが定められた1以上の前記作業者を特定することと、
特定した1以上の前記作業者の前記ウェアラブル装置において前記報知処理を実行させることとを含む、[1]に記載の方法。
[9]
前記業務支援装置は、1以上の記憶装置にアクセス可能であり、
1以上の前記記憶装置は、複数の前記作業者に対応する複数の作業者情報を記憶し、
一の前記作業者情報は、
一の前記作業者が担当する1以上の前記事象に関する情報と、
当該1以上の事象の各々について一の前記作業者に設定されたランクの情報とを含んでおり、
前記報知工程は、
一の前記事象についての前記事象発生通知を受信した場合に、前記作業者情報において当該一の事象を担当することが定められた複数の前記作業者を特定することと、
特定した複数の前記作業者のうち前記ランクが最も高い1以上の前記作業者の前記ウェアラブル装置において前記報知処理を実行させることと、
前記報知処理を開始させてからの経過時間であって、前記報知処理を実行させた前記作業者の前記ウェアラブル装置から前記事象への対応を引き受ける旨の通知を受信するまでの前記経過時間を測定することと、
前記経過時間が所定の1以上のしきい値に達する度に、前記ウェアラブル装置において前記報知処理を実行させる前記作業者の前記ランクの範囲を高位の前記ランクから低位の前記ランクへ広げることとを含む、[8]に記載の方法。
[10]
前記業務支援装置は、1以上の記憶装置にアクセス可能であり、
1以上の前記記憶装置は、複数の対象者に対応する複数の対象者情報を記憶し、
一の前記対象者情報は、
一の前記対象者の外観的特徴に関する外観特徴情報と、
当該一の対象者の移動が許可された移動許可区域に関する移動許可区域情報とを含み、
前記業務支援装置が、1以上の場所に設置された1以上のカメラによる前記対象者の撮像画像と、各対象者の前記外観特徴情報とに基づいて、前記撮像画像に写る前記対象者を特定する対象者特定工程と、
前記業務支援装置が、前記対象者を撮影した前記カメラの設置場所と、前記対象者特定工程において特定した前記対象者の前記移動許可区域情報とに基づいて、特定した前記対象者が前記移動許可区域の外に出る前記事象が発生したか否かを判定する判定工程とを有し、
前記報知工程は、前記判定工程において前記事象が発生したと判定した場合、少なくとも一部の前記ウェアラブル装置において前記報知処理を実行させることを含む、[1]に記載の方法。
[11]
前記報知工程は、前記事象発生通知が示す発生した前記事象が、複数の所定の事象のいずれに当てはまるかを判定し、予め定めた複数の報知態様の中から当該判定の結果に応じて選択した前記報知態様により、前記ウェアラブル装置において前記事象の発生を報知させることを含む、[1]に記載の方法。
[12]
複数の作業者が連携して業務を行うことを支援する業務支援装置が実行可能な命令を含むプログラムであって、
[1]~[11]のいずれか一項に記載された方法の各工程を前記業務支援装置に実行させる前記命令を含んだプログラム。
[13]
複数の作業者が連携して業務を行うことを支援する業務支援装置であって、
処理部と、
前記処理部が実行可能な命令を含んだプログラムを記憶する記憶部とを有し、
前記プログラムが、[1]~[11]のいずれか一項に記載された方法の各工程を前記処理部に実行させる前記命令を含む、
業務支援装置。
[14]
複数の作業者が連携して業務を行うことを支援する業務支援装置であって、
[1]~[11]のいずれか一項に記載された方法の各工程を実行する手段を備える、
業務支援装置。
【符号の説明】
【0091】
1…業務支援装置、11…通信部、12…記憶部、121…プログラム、13…処理部、2…記憶装置、21…スタッフDB、22…対象者DB、23…対応履歴DB、3…情報表示装置、4…ウェアラブル装置、5…呼び出し操作器、6…カメラ、7…情報提供サーバ、81,82…アクセスポイント、83…ゲートウェイ、91,92…通信ネットワーク
【要約】
【課題】複数の作業者が連携して効率的に業務を行い易くすることができる方法、プログラム及び業務支援装置を提供する。
【解決手段】業務支援装置1が実行する方法は、作業者の対応が必要な事象が発生したことを示す事象発生通知(呼び出し操作器5による呼び出し信号など)を業務支援装置1が受信すると、作業者を含む業務の関係者の少なくとも一部に対して情報を表示可能な情報表示装置3において、事象が発生したことを示す情報を表示させる第1情報表示工程と、業務支援装置1が事象発生通知を受信すると、少なくとも一部のウェアラブル装置4において、事象が発生したことを報知する報知処理を実行させる報知工程とを有する。
【選択図】図1
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