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  • 特許-電気機器収納盤 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-11
(45)【発行日】2023-05-19
(54)【発明の名称】電気機器収納盤
(51)【国際特許分類】
   H05K 7/18 20060101AFI20230512BHJP
   H02B 1/30 20060101ALI20230512BHJP
【FI】
H05K7/18 J
H02B1/30 A
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019005438
(22)【出願日】2019-01-16
(65)【公開番号】P2020113708
(43)【公開日】2020-07-27
【審査請求日】2021-11-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000124591
【氏名又は名称】河村電器産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078721
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 喜樹
(72)【発明者】
【氏名】竹川 直貴
【審査官】黒田 久美子
(56)【参考文献】
【文献】実開昭63-015096(JP,U)
【文献】特開2012-024732(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 7/18
H02B 1/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
棒状フレームを連結して箱状に形成された複数の枠体を上下に重ねて形成され、重ねた枠体同士がボルトにより連結されて成る電気機器収納盤であって、
重ねた双方の前記枠体の棒状フレーム同士の当接面には、ボルト挿通孔同士を合わせるための位置合わせ部が設けられ、
一方の前記枠体の前記位置合わせ部が突起であり、
他方の枠体の前記位置合わせ部が、前記突起を収容する収容部と、前記収容部から直線状に形成されて前記収容部に前記突起を案内するための案内溝とを有して成り、
前記収容部は、前記突起と同一外形で形成された凹部又は孔であることを特徴とする電気機器収納盤。
【請求項2】
前記突起及び前記収容部は、前記枠体の左右或いは前後対称位置に対を成すよう形成されると共に、同様に対称位置に形成された前記案内溝は互いに平行に形成されて成ることを特徴とする請求項1記載の電気機器収納盤。
【請求項3】
前記案内溝は、前記突起の幅より狭い一定幅で形成された切り欠き或いは凹部であることを特徴とする請求項1又は2記載の電気機器収納盤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気機器を収容する枠体或いは箱体から成る電気機器収納盤に関し、詳しくは枠体を上下に連結して構成される電気機器収納盤に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば屋内に変電設備が設置される場合は、省スペースが要求されるため、天井近くまで延びた電気機器収納盤に電気機器が収納されて高さ方向の空間の有効利用が図られる。この場合、使用される電気機器収納盤は、搬入し易くするために上下が分割されて形成され、設置現場において重ねられてボルト止め等で連結される。
そのため、上下に分割された電気機器収納盤の連結を容易に行うための位置決め部材が設けられた。
例えば特許文献1では、下に配置される箱状の枠体の天枠側部に、載置される箱状の枠体を位置決めする部材を設け、上に載置される枠体の底枠を当接させて位置決めした。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-207865号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に開示された構成、即ち上に載置される箱状枠体の底枠を当接させて位置決めする位置決め部材を下側の箱状枠体に設ける構成は、例えば前後方向の位置決めを精度良く行うことができた。しかしながら、その場合左右方向の位置決めは目視に頼っていたため、ボルトを挿通する孔を合わせる作業は更に必要であった。
【0005】
そこで、本発明はこのような問題点に鑑み、箱状の枠体を上下に重ねた際に、両者の間のボルト挿通孔の位置合わせを容易に行うことができる構造を備えた電気機器収納盤を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する為に、請求項1の発明は、棒状フレームを連結して箱状に形成された複数の枠体を上下に重ねて形成され、重ねた枠体同士がボルトにより連結されて成る電気機器収納盤であって、重ねた双方の枠体の棒状フレーム同士の当接面には、ボルト挿通孔同士を合わせるための位置合わせ部が設けられ、一方の枠体の位置合わせ部が突起であり、他方の枠体の位置合わせ部が、突起を収容する収容部と、収容部から直線状に形成されて収容部に突起を案内するための案内溝とを有して成り、収容部は、突起と同一外形で形成された凹部又は孔であることを特徴とする。
この構成によれば、箱状の枠体を重ねた状態で突起を案内溝に合致させれば、その後の摺動操作でいずれ突起が収容部に合致し、位置合わせが完了する。よって、スムーズにボルト挿通孔同士を合わせることができる。
加えて、収容部が突起と同一外形であるため、収容部に入った突起は全体が収容されて且つガタツキがなく、高い精度で位置合わせできる。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載の構成において、突起及び収容部は、枠体の左右或いは前後対称位置に対を成すよう形成されると共に、同様に対称位置に形成された案内溝は互いに平行に形成されて成ることを特徴とする。
この構成によれば、2カ所の突起を収容部に収容すれば良く、簡易な操作で枠体同士の位置合わせができる。
【0009】
請求項の発明は、請求項1又は2に記載の構成において、案内溝は、突起の幅より狭い一定幅で形成された切り欠き或いは凹部であることを特徴とする。
この構成によれば、突起が案内溝に入っても全体が入り込む事が無い。そのため、重ねた枠体間の隙間の状態から案内溝に突起が入ったらそれを把握でき、案内溝に入ったら後は直線移動すれば良いことを認識でき、位置合わせし易い。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、箱状の枠体を重ねた状態で突起を案内溝に合致させれば、その後の摺動操作でいずれ突起が収容部に合致し、位置合わせが完了する。よって、スムーズにボルト挿通孔同士を合わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に係る電気機器収納盤の一例を示す斜視図である。
図2】突起を設けた枠体の部分斜視図である。
図3】A部拡大図である。
図4】位置合わせ部の断面説明図である。
図5】位置合わせ部の他の例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を具体化した実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。図1は本発明に係る電気機器収納盤の一例を示す斜視図であり、電気機器を組み付けていない状態を示している。
図1に示す電気機器収納盤は、2つの箱状に形成された枠体1(1a,1b)を上下に重ねて形成され、ボルト止めされて連結される。また、必要に応じて側板等が取り付けられて閉塞される。
枠体1は、コ字状の断面を有する金属から成る棒状フレーム10を溶接等で連結して形成され、四角形の底枠11及び天枠12と、両者の4隅の間に立設された4本の支柱13とを有している。底枠11の下面及び天枠12の上面は平坦な面を有し、枠体1を重ねた際に棒状フレーム10の側面同士が密着するよう形成されている。
【0013】
図2は下側に配置される第1の枠体1aの上部を示し、ボルト挿通孔(図示せず)同士を合わせるための位置合わせ部の一方を構成する突起15が天面に形成されている。突起15は半球状に形成され、天枠12の左右双方の辺に左右対称位置に形成されている。
【0014】
図3はA部拡大図であり、位置合わせ部を示している。図3に示すように、上側に配置される第2の枠体1bの底枠11の底面には、位置合わせ部の他方が形成され、突起15を収容する収容孔16、及び収容孔16へ突起15を案内するための案内溝17が形成されている。この収容孔18と案内溝17は、第2の枠体1bの底枠11の左右双方の辺に左右対称位置に形成されている。
【0015】
収容孔16は、突起15の位置に合わせた所定の位置に穿設され、左右の突起15がそれぞれの収容孔16に合致した際に、ボルト挿通孔同士も一致するよう配置されている。
収容孔16は突起15と同一の径で形成された円形の孔であり、合致した際に突起15全体を収容するよう形成されている。
【0016】
案内溝17は突起15の径より小さい幅で形成され、収容孔16の前側端部から前方に向けて一定幅で直線状に形成されている。例えば突起15の径の2分の1程度の幅で形成されている。
【0017】
このように形成された箱状枠体の連結は以下の様に行われる。まず、突起15を有する第1の枠体1aを下に配置し、収容孔16を有する第2の枠体1bをその上に重ねる。尚、このとき突起15を天面に配置(突起15を設けた枠を天枠12として配置)し、収容孔16を底面に配置(収容孔16を設けた枠を底枠11として配置)し、更にこれら位置合わせ部が左右に配置されるよう向きを合わせる。このとき、第2の枠体1bは後方に僅かにずらして載置すると良く、位置合わせ操作がし易くなる。
載置したら、左右方向を合致させる。こうすることで、最初は大きな隙間が両者の間に発生していた状態が案内溝17と突起15が係合すると隙間が小さくなる。
図4はこの状態、即ち案内溝17に突起15が係合し、第1の枠体1aと第2の枠体1bとの間の隙間Dが小さくなった状態を示す断面説明図である。尚、突起15は、ここでは半球状の頭部を有するリベットを天枠12に取り付けて形成した場合を示している。
【0018】
隙間Dが小さくなったら、第2の枠体1bを前方にずらせばやがて収容孔16に突起15が入り込み、隙間は無くなる。この隙間の無い状態が左右に発生すれば、位置合わせが完了する。この結果、ボルト挿通孔同士は合致してボルトをスムーズに挿通でき、上下の枠体1同士の連結が可能となる。
【0019】
このように、枠体1を重ねた状態で突起15を案内溝17に合致させれば、その後の摺動操作でいずれ突起15が収容孔16に合致し、位置合わせが完了する。よって、スムーズにボルト挿通孔同士を合わせることができる。
また、左右2カ所の突起15を収容孔16に収容すれば良く、簡易な操作で枠体同士の位置合わせができる。
更に、収容孔16が突起15と同一外形であるため、収容孔16に入った突起15は全体が収容されて且つ隙間が発生しないため、ガタツキがなく、確実に位置合わせできる。
また、案内溝17が突起15の幅より狭い一定幅で形成されるため、突起15が案内溝17に入っても隙間が狭くなる程度で全体が入り込む事が無く、重ねた枠体1の間の隙間の状態から案内溝17に突起15が入ったらそれを把握できる。案内溝17に入ったら後は直線移動すれば良いことを認識でき、位置合わせし易い。
尚、上記形態では、位置合わせ部を枠体1の左右に配置したが、前後に配置しても良い。
【0020】
図5は位置合わせ部の他の形状を示している。図5(a)は前後対称位置に収容孔16を設け、両者を案内溝17で連結した構成を示している。尚、第1の枠体1aに形成されている突起15に変更はない。このように形成すれば、第2の枠体1bに前後方向の制限が無くなり、予め機器を組み付ける際、前後を気にする必要が無くなる。
図5(b)は収容孔16を辺の中央に配置し、案内溝17をその前後に設けた構成を示している。尚、対応する突起15も辺の中央に設けられる。このように案内溝17を収容孔16の前後に設ければ、第2の枠体1bの最初に載置する位置が限定されないし、前後反転しても突起15の位置は変わらないため、前後方向の制限も無くなる。
図5(c)は案内溝17を一定幅で形成せず、テーパを設けて形成し、収容孔16から徐々に狭くなるよう形成した構成を示している。尚、突起15を辺の中央に形成した構成となっているが、図1に示す端部であっても良い。この場合、突起15が収容孔16に近づけば、隙間が小さくなるため、スライド方向を把握し易い。
図5(d)は、案内溝17を一定幅で形成しているが、2種類の幅で形成し、収容孔16に近い部位を幅広に形成している。このように案内溝17を形成しても図5(c)の形状と同様の効果を奏し、スライド方向を把握し易い。
【0021】
尚、上記実施形態では、突起15はビスを取り付けて形成しているが、他の形態例えばプレス成形で設けても良いし、半球形状でなくても良い。また、収容孔16及び案内溝17は棒状フレーム10に孔或いは溝を設けて形成しているが、穿設せず凹状に形成しても良い。更に、第1の枠体1aに突起15を設け、第2の枠体1bに収容孔16を設けているが、逆であっても良い。
また、2段で形成される電気機器収納盤を示しているが、3段で形成しても良く、それぞれの連結面に上記位置合わせ部を設ければ良く、ボルトによる連結をスムーズに実施できる。
【符号の説明】
【0022】
1・・枠体、1a・・第1の枠体、1b・・第2の枠体、10・・棒状フレーム、11・・底枠、12・・天枠、13・・支柱、15・・突起、16・・収容孔(収容部)、17・・案内溝。
図1
図2
図3
図4
図5