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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-11
(45)【発行日】2023-05-19
(54)【発明の名称】エアクリーナ
(51)【国際特許分類】
   F02M 35/10 20060101AFI20230512BHJP
   F02M 35/024 20060101ALI20230512BHJP
【FI】
F02M35/10 301D
F02M35/024 521C
F02M35/024 511A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019217762
(22)【出願日】2019-12-02
(65)【公開番号】P2021088933
(43)【公開日】2021-06-10
【審査請求日】2022-06-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000151209
【氏名又は名称】マーレジャパン株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】506292974
【氏名又は名称】マーレ インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】MAHLE International GmbH
【住所又は居所原語表記】Pragstrasse 26-46, D-70376 Stuttgart, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 範岳
(72)【発明者】
【氏名】吉田 純二
(72)【発明者】
【氏名】片岡 美広
【審査官】津田 真吾
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-105217(JP,A)
【文献】特開2014-218895(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02M 35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング(2、3)によって画定された内部容積が、フィルタエレメント(4)によって上流側のダスト側空気室(33)と、下流側のクリーン側空気室(23)とに仕切られ、前記ダスト側空気室(33)に導入された空気を前記フィルタエレメント(4)で濾過して前記クリーン側空気室(23)に流し、前記クリーン側空気室(23)に接続され、空気流量センサ(22)が取り付けられた出口管(21)から排出するエアクリーナ(1)において、
前記出口管(21)は、前記フィルタエレメント(4)の法線(52)とは異なる方向に延び、
前記エアクリーナ(1)は、前記クリーン側空気室(23)を画定するハウジング(2)の内面に配置された複数のリブ(41、42、43)を有し、
前記複数のリブ(41、42、43)は、前記フィルタエレメント(4)および前記出口管(21)から遠位の前記ハウジングの角部(24)から、前記フィルタエレメント(4)および前記出口管(21)に向かって延び、前記出口管(21)が接続されたハウジングの面(25)よりも手前で終端し、
隣り合うリブの間隔(d)が、前記出口管(21)に向かって狭くなるように構成され、
前記複数のリブ(41、42、43)は、前記クリーン側空気室(23)の空気流を、前記出口管(21)の方向に向かって整流する、
エアクリーナ。
【請求項2】
前記複数のリブ(41、42、43)は、前記ハウジング(2、3)と一体成形されている、請求項1に記載のエアクリーナ。
【請求項3】
前記複数のリブ(41、42、43)は、前記出口管の軸線(51)に対して対称に延びる、請求項1または2に記載のエアクリーナ。
【請求項4】
前記リブ(41、42、43)の前記出口管(21)側の端部(45)は、前記ハウジングの内面から、前記出口管(21)から離れる方向に延びる、請求項1から3までのいずれか1項に記載のエアクリーナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアクリーナに関し、特に出口管に空気流量センサを取付可能な内燃機関の吸気系のエアクリーナに関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関の吸気系には、外部から取り込んだ空気を内燃機関に供給する前に、空気中のダストを除去するためにエアクリーナが設けられる。エアクリーナの出口管や、出口管から内燃機関までの吸気系の経路中には、内燃機関に供給される空気量を測定する空気流量センサ(MAF(Mass Air Flow)センサ)が設けられる。近年、内燃機関の燃費性能向上や排ガスのクリーン化のために、空気量測定の要求精度が高くなり、エアクリーナの個体間のバラツキを抑えることが求められている。特に、出口管にMAFセンサを組み込むエアクリーナにおいては、出口管を流れる空気流の流速分布が横断面内で均一であることが求められるが、エアクリーナのハウジングの構造やフィルタエレメントの均一性に起因する空気流の流速分布の偏りが生ずる。
【0003】
例えば、出口管の軸線が、平板状のフィルタエレメントの法線と異なる方向を向く構造を有するエアクリーナでは、空気流がフィルタエレメントを通過後に角度をもって出口管に流れるため、出口管の横断面内において空気流の流速分布の偏りが生ずる。また、フィルタエレメントは空気の流れを妨げる抵抗体でもあるが、抵抗の大きさはフィルタエレメントの面内で一様ではなく、また個体差もあるため、フィルタエレメント通過後の空気流の流速分布に偏りが生ずる。このようなエアクリーナの構造やフィルタエレメントの均一性に起因する空気流の流速分布の偏りは、特にMAFセンサが取り付けられている出口管で顕著であるため、出口管内における空気流の流速分布の偏りを抑えることが求められてきた。
【0004】
このため、出口管の入口に金属メッシュや樹脂成型部品など整流構造を設けたり、特許文献1に記載されたように、クリーン側空気室内に整流板を設けて、流速分布の偏りを抑えることが行われてきた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2014-40779号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、整流構造や整流板などの整流部品は、空気の流れを妨げる抵抗体であるため、特に空気流量の低い場合に空気の流れが大きく阻害される。また、整流部品をハウジングと別部品とした場合、別体の整流部品をハウジングに固定することが必要となるため、部品点数の増加や製造工程の複雑化が発生する。出口管の入口に部品整流部品を設ける場合には、ハウジングと一体成形して部品点数の増加や製造工程の複雑化を防止することは可能であるが、成形状態(例えばバリ等)により流速分布の偏りが生じ、さらに出口管の入口からMAFセンサまでの距離が小さいことから、MAFセンサはこの流速分布の偏りの影響を大きく受けて測定精度が劣化するなど二次的な不具合が生ずる問題があった。
【0007】
ところで、出願人の研究の結果、フィルタエレメントの均一性に起因する空気流の流速分布の偏りは、空気流の流量に依存することがわかった。図5は、フィルタエレメントを180度回転させて取り付けた前後のMAFセンサの測定値のバラツキを示した図である。図で横軸は空気流量の大きさを、縦軸はフィルタエレメントの回転前後のMAFセンサの測定値の平均値Qに対する、回転前71と回転後72の測定値の偏差dQの割合dQ/Qを示している。空気流量が低い場合には回転前後でdQ/Qは小さく、空気流量が高くなるにつれて偏差が拡大していることがわかる。この結果から、フィルタエレメントの均一性に起因する空気流の流速分布の偏りは、空気流量が高いときに顕著となることがわかる。さらに、空気流量が低いときには、フィルタエレメントを通過した空気はそのまま進行方向を変えながら出口管に向かうために流速分布の偏りは小さいが、空気流量が高いときには、ハウジングの内面に沿って出口管に向かう流れが発生するため、流速分布の偏りが大きくなる。
【0008】
よって、エアクリーナの構造やフィルタエレメントの均一性に起因する流速分布の偏りを小さくし、MAFセンサの測定精度を向上させるためには、空気流量が高いときに空気の乱れが生じるポイント、すなわち出口管やフィルタエレメントから遠位のハウジングの角部の空気流の整流を行うことが重要である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題は、ハウジング(2、3)によって画定された内部容積が、フィルタエレメント(4)によって上流側のダスト側空気室(33)と、下流側のクリーン側空気室(23)とに仕切られ、前記ダスト側空気室(33)に導入された空気を前記フィルタエレメント(4)で濾過して前記クリーン側空気室(23)に流し、前記クリーン側空気室(23)に接続され、空気流量センサ(22)が取付可能な出口管(21)から排出するエアクリーナ(1)において、前記出口管(21)は、前記フィルタエレメント(4)の法線(52)方向と異なる方向に延び、前記エアクリーナ(1)は、前記クリーン側空気室(23)を画定するハウジング(2)の内面に配置された複数のリブ(41、42、43)を有し、前記複数のリブ(41、42、43)は、前記フィルタエレメント(4)および前記出口管(21)から遠位の前記ハウジングの角部(24)から、前記フィルタエレメント(4)および前記出口管(21)に向かって延び、前記出口管(21)が接続されたハウジングの面(25)よりも手前で終端し、隣り合うリブの間隔(d)が、前記出口管(21)に向かって狭くなるように構成される、エアクリーナにより、解決することができる。
【0010】
空気流量が高いときに空気の乱れが生じるポイント、すなわち出口管やフィルタエレメントから遠位のハウジングの角部に整流のためのリブを設け、かつ、隣り合うリブの間隔(d)を出口管(21)に向かって狭くなるように構成することにより、空気流量が高いときに空気の乱れを抑えながら空気流を出口管に導くことができる。これにより、出口管内における流速分布の偏りを小さくすることが可能となり、MAFセンサの測定精度を向上させることができる。また、空気流量が低いときには、空気流の多くの部分は内面に沿うことなく、出口管に流れるため、整流部材であるリブが空気の流れの妨げとなることがない。
【0011】
ここで、複数のリブ(41、42、43)は、ハウジング(2、3)と一体成形することが望ましい。これにより、部品点数の増加や製造工程の複雑化を防止することができる。また成形されたリブに成形バリが生じたとしても、リブは出口管から離れて配置されていることから、出口管に取り付けられているMAFセンサは、成形バリによって生ずる空気流の乱れによる影響をほとんど受けない。
【0012】
さらに、複数のリブ(41、42、43)は、出口管の軸線(51)に対して対称に延びることが望ましい。出口管の軸線(51)に対して対称に収束する流れを作ることができることから、出口管における流速分布の偏りを小さくすることが可能となる。
【0013】
さらに、リブ(41、42、43)の出口管(21)側の端部(45)は、ハウジングの内面から、出口管(21)から離れる方向に延びることが望ましい。これにより、リブの端部が出口管の入口付近に達することを防止することができ、出口管における流速分布の偏りを小さくすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】エアクリーナの概略的な分解斜視図である。
図2】エアクリーナの概略的な断面図である。
図3】クリーン側ハウジングの内面を概略的に示した斜視図である。
図4】クリーン側空気室の空気の流れの説明図である。
図5】従来のエアクリーナの空気流の偏りを示す説明図である。
図6】本発明に係るエアクリーナの空気流の偏りを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の一実施例であるエアクリーナ1の概略的な構成を図1および図2に示す。図1は、エアクリーナ1を主要な構成要素ごとに分解した概略的な斜視図であり、図2はエアクリーナ1の上下方向に切ったときの概略的な断面図である。
【0016】
エアクリーナ1は、下部が開口したクリーン側ハウジング2と、上部が開口したダスト側ハウジング3と、ハウジングの内部に配置される平板状のフィルタエレメント4を備える。クリーン側ハウジング2の下端部とダスト側ハウジング3の上端部とが係合することにより、それぞれのハウジングの開口が閉鎖されてエアクリーナ1の内部容積が画定される。
【0017】
エアクリーナ1の内部容積は、閉鎖された開口位置に配置されたフィルタエレメント4によって、ダスト側空気室33とクリーン側空気室23とに分けられる。上流側の空気室であるダスト側空気室33は、フィルタエレメント4とダスト側ハウジング3とによって画定される。また、下流側の空気室であるクリーン側空気室23は、フィルタエレメント4とクリーン側ハウジング2とによって画定される。
【0018】
ダスト側ハウジング3には、外気を吸気するための入口管31が、ハウジング3を貫いて接続されている。入口管31から吸気されたダストを含む外気は、ダスト側空気室33を通ってフィルタエレメント4に流れる。
【0019】
フィルタエレメント4は、蛇腹状に折り目が形成されたフィルタ部材によって形成された、平らな上面および下面を有する平板状のエレメントである。フィルタエレメント4は、フィルタ部材を通過する空気中のダストを捕獲することにより、空気を濾過する機能を有する。
【0020】
クリーン側ハウジング2には、フィルタエレメント4を通過して濾過された空気を排出する出口管21が接続されている。出口管21が延びる方向、すなわち出口管21の軸線51は、平板状のフィルタエレメント4の法線52とは、異なる方向を向いている。このため、フィルタエレメント4を通過した空気は、クリーン側空気室23内で進行する方向を変えながら出口管21に向かって流れる。出口管21から排出された空気は、吸気系経路を経て内燃機関に供給される。
【0021】
出口管21の周面には、空気流量センサ(MAFセンサ)22を脱着自在に取付可能なセンサ取付部26が設けられている。センサ取付部26に取り付けられたMAFセンサ22は、出口管21の内部に向かって延出し、出口管21内を流れる空気流量を測定することできる。
【0022】
クリーン側ハウジング2の内面60には、内面60から垂直に延びる3枚のリブ41、42、43が配置されている。本実施態様のエアクリーナ1のリブ41、42、43は3枚であるが、リブの枚数は2枚以上あれば適宜設定可能である。また、本実施態様のエアクリーナ1では、リブ41、42、43をクリーン側ハウジング2と同一の材料で、リブ41、42、43をクリーン側ハウジング2とを一体成形して、部品点数の増加や製造工程の複雑化を防止しているが、リブ41、42、43とクリーン側ハウジング2とを異なるパーツで個別に製造し、溶着などによって固定してもよい。
【0023】
リブ41、42、43の配置を図2図3に示す。図3は、クリーン側ハウジング2の開口から内部をみたときの概略的な斜視図である。リブ41、42、43は、いずれもフィルタエレメント4および出口管21から遠位のクリーン側ハウジング2の角部24から、クリーン側ハウジング2の内面60、61、62に沿って、フィルタエレメント4と出口管21に向かって延びている。
【0024】
ここで、ハウジング2の角部24とは、ハウジング2の2つの面が交差する辺の部分である。すなわち、中央のリブ41と一方の側方のリブ42は、面60と面61とが交差する角部24から、面61に沿ってフィルタエレメント4の方向に、かつ、面60に沿って出口管21に向かって延びる。他方の側方のリブ43は、面60と面62との交差する角部24から、面62に沿ってフィルタエレメント4の方向に、かつ、面60に沿って出口管21に向かって延びる。
【0025】
出口管21の方向に延びるリブ41、42、43は、いずれも出口管21が接続されたハウジング2の面25に達することなく、その手前で終端する。よって、リブ41、42、43の出口管側の端部45は、出口管21から離れた場所に位置する。このため、リブ41、42、43の存在によって出口管21付近の空気流が乱されることがない。特に、リブ41、42、43をクリーン側ハウジング2と一体成形する場合には、リブの端部に生ずる可能性がある成形バリによって出口管21付近の空気流の乱れが発生することを防止することができる。これにより、出口管21内の流速分布の偏りを抑制した空気の流れを作り出すことが可能となる。
【0026】
これに対して、フィルタエレメント4の方向には、リブ41、42、43は、フィルタエレメント4に達するまで(すなわちクリーン側ハウジング2の開口まで)延びてもよい。フィルタエレメント4は、フィルタ材料が蛇腹状に構成されているため粗密が生ずる。このため、空気流がフィルタエレメント4を通過するときの抵抗の大きさはフィルタエレメントの面内で一様ではなく、また個体差もあるため、フィルタエレメント4通過後の空気流の流速分布には偏りが生ずる。リブ41、42、43をフィルタエレメント4付近まで延ばすことにより、フィルタエレメント4通過後の空気流を整流して、流速分布の偏りを小さくすることができる。また、フィルタエレメント4は出口管21から離れているため、リブ41、42、43の成形バリの影響が出口管21付近の空気流に及ぶことがない。
【0027】
隣り合うリブどうし(リブ41と42、リブ41と43)の間隔dは、出口管21に向かって狭くなる。この構成により、クリーン側空気室23内の空気流を、リブ41、42、43によって出口管21に向かって整流することができ、出口管21付近の空気流の乱れを抑制し、出口管21内を流れる空気流の流速分布の偏りを小さくすることができる。
【0028】
さらに、本実施態様のリブ41、42、43は、出口管の軸線51に対して対称となる方向に延びている。すなわち、中央のリブ41は、面61から出口管の軸線51と平行に延び、側方のリブ42、43は、中央のリブ41からの距離dが互いに等しくなるように、出口管21に向かって延びる。このため、中央のリブ41の両側から出口管21に流れ込む空気流量がほぼ等しくなるため、出口管21付近の空気流の乱れが抑制され、出口管21内を流れる空気流の流速分布の偏りを小さくすることができる。
【0029】
また、リブ41、42、43の出口管側の端部45は、クリーン側ハウジング2の内面60から、出口管21から離れる方向に延びている。すなわち、リブ41、42、43の出口管側の端部45は、ハウジング2の内面60から内面60の法線方向ではなく、法線よりも出口管21とは反対側の方向に延びる。リブの出口管側の端部45は、出口管21に最も近く位置するため、端部45をハウジング2の内面60の法線方向に延ばすと、ハウジングの内面60から離れるにしたがって、端部45が出口管21に近づき、出口管21入口付近の空気流の流れを乱す原因となる。このため、端部をハウジングの内面から出口管から離れる方向に延出させることで、出口管21内を流れる空気流の流速分布の偏りを小さくすることができる。
【0030】
次に、エアクリーナ1のリブ41、42、43の作用について述べる。図4は、クリーン側空気室23を流れる空気流の流れの説明図である。エアクリーナ1を流れる空気流量が低いときには、矢印Aで示すように、フィルタエレメント4を通過した空気流は、クリーン側ハウジング2の内面60まで達することなく、クリーン側空気室23の中央部付近を、次第に進行方向を変化させながら出口管21に向かって流れる。このため、空気流Aはリブ41、42、43によって、流れが妨げられることなく、出口管21に流れることができる。
【0031】
一方、空気流量が高いときには、矢印Aで示す流れのほかに、矢印Bで示すような空気流の流れ、すなわち、クリーン側ハウジング2の内面60の付近まで達し、あるいは内面60に沿って流れる空気流Bが存在する。リブ41、42、43が無い場合には、空気流Bはクリーン側空気室23内の空気流の乱れの原因となるが、リブ41、42、43によって空気流Bは出口管21の方向に向かって整流されるため、クリーン側空気室23内の空気流の乱れを抑制し、出口管21内を流れる空気流の流速分布の偏りを小さくすることができる。
【0032】
図6は、エアクリーナ1に取り付けるフィルタエレメント4を180度回転した前後の、MAFセンサ22の測定値のバラツキを示した図である。図において横軸は空気流量の大きさを、縦軸はフィルタエレメント4の回転前後のMAFセンサ22の測定値の平均値Qに対する、回転前73と回転後74の測定値の偏差dQの割合dQ/Qを示している。図5で示したリブがないハウジングでの測定したときのdQ/Qと比べると、空気流量が低い領域から高い領域まで、測定値の偏差の割合dQ/Qが小さく抑えられていることがわかる。このことから、出口管21の横断面内の流速分布の偏りが抑制され、より精度の高い流量測定が可能となることがわかる。
【0033】
以上、本願発明にかかるエアクリーナに関する説明を行ったが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の概念及び特許請求の範囲に含まれるあらゆる態様を含む。例えば、本実施態様のリブ41、42、43は、平板状のリブで、ハウジング2の内面60に対して垂直に延びているが、内面60に対して非垂直方向に傾斜して延びてもよく、また曲面を有するリブであってもよい。
【符号の説明】
【0034】
1 エアクリーナ
2 クリーン側ハウジング
3 ダスト側ハウジング
4 フィルタエレメント
21 出口管
22 空気流量センサ(MAFセンサ)
23 クリーン側空気室
24 角部(ハウジングの辺)
25、60、61、62 ハウジングの面
26 センサ取付部
31 入口管
33 ダスト側空気室
41、42、43 リブ
45 リブの端部
51 出口管の軸線
52 フィルタエレメントの法線
図1
図2
図3
図4
図5
図6