(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-11
(45)【発行日】2023-05-19
(54)【発明の名称】遡及的な仮想基礎レートを用いて、インスリン送達を制御するための方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
G16H 20/10 20180101AFI20230512BHJP
【FI】
G16H20/10
(21)【出願番号】P 2019542178
(86)(22)【出願日】2018-02-05
(86)【国際出願番号】 US2018016837
(87)【国際公開番号】W WO2018144992
(87)【国際公開日】2018-08-09
【審査請求日】2021-02-04
(32)【優先日】2017-02-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】501149684
【氏名又は名称】ユニバーシティ オブ バージニア パテント ファウンデーション
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パテク,スティーブン・ディ
(72)【発明者】
【氏名】ブレトン,マーク・ディ
【審査官】青柳 光代
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0273147(US,A1)
【文献】特開2004-024699(JP,A)
【文献】特表2010-519623(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0158471(US,A1)
【文献】特表2010-531707(JP,A)
【文献】特開2004-000555(JP,A)
【文献】Paul Vereshchetin, Marc Breton, Stephen D. Patek,Mealtime Correction Insulin Advisor for CGM-Informed Insulin Pen Therapy,Proceedings of the American Control Conference 2013,American Control Conference,2013年06月,[オンライン]検索日2022/03/15,<URL,https://www.researchgate.net/publication/261320667_Mealtime_correction_insulin_advisor_for_CGM-informed_insulin_pen_therapy>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
G16H 10/00 - 80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者にインスリンを送達するためのシステムであって、
前記患者から血糖測定値を受信するための少なくとも1つの入力装置と、
プロセッサと、を含むグルコメータと、を備え、
前記プロセッサは、
持効型のインスリンのPK特性と前記持効型のインスリンの計画的な注入とに基づいて、インスリン濃度の履歴を推論し、
即効型のインスリンのPK特性に基づいて、前記即効型のインスリンの仮想基礎レートプロファイルを構築し、前記仮想基礎レートプロファイルは、前記推論されたインスリン濃度の履歴と一致する血漿インスリン濃度パターンを提供し、
患者に実際に投与された前記持効型のインスリンの送達の履歴記録とPK特性とに基づいて、前記持効型のインスリンの血漿インスリン濃度を推論し、前記推論された血漿インスリン濃度と一致する血漿インスリン濃度を提供する前記即効型のインスリンの遡及的な仮想基礎レートを構築する、システム。
【請求項2】
前記少なくとも1つの入力装置が、前記患者からの血糖自己測定(SMBG)の測定値を受信する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記少なくとも1つの入力装置が、前記患者からの持続グルコースモニタ(CGM)の測定値を受信する、請求項1または請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記患者に実際に投与された持効型のインスリンの履歴記録は、当該履歴記録によりカバーされる期間の長さを含む関数として表現されている、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項5】
前記推論された血漿インスリン濃度は、以下のように得られ、
【数1】
ここで、I
transient(τ)は、前記履歴記録において、時間τでの血漿インスリン濃度を表し、F
transientは、(i)検討中のインスリンタイプの特定のPKパラメータθと、(ii)得られた初期の血漿インスリン濃度I(0)とを検討したときの過去の送達されたインスリン量に起因する、特定の一時的な血漿濃度を示す関数である、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記血漿インスリン濃度を推論することは、初期の血漿インスリン濃度I(0)を利用し、前記初期の血漿インスリン濃度I(0)は、定常状態の血漿インスリン濃度から推定される、請求項1~請求項5のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項7】
皮下の持続グルコースモニタ(CGM)センサをさらに含み、前記グルコメータが、前記CGMセンサと無線通信する、請求項1~請求項6のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項8】
インスリン送達装置は、ユーザによって手動で作動する携帯用注入装置である、請求項1~請求項7のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項9】
コンピュータによって実行される方法であって、
少なくとも1つのプロセッサにより、患者からの血糖測定値を受信するステップと、
少なくとも1つのプロセッサにより、
持効型のインスリンのPK特性と持効型のインスリンの計画的な注入とに基づいて、インスリン濃度の履歴を推論し、
即効型のインスリンのPK特性に基づいて、前記即効型のインスリンの仮想基礎レートプロファイルを構築し、前記仮想基礎レートプロファイルは、前記推論されたインスリン濃度の履歴と一致する血漿インスリン濃度パターンを提供し、
患者に実際に投与された前記持効型のインスリンの送達の履歴記録とPK特性とに基づいて、前記持効型のインスリンの血漿インスリン濃度を推論し、前記推論された血漿インスリン濃度と一致する血漿インスリン濃度を提供する即効型のインスリンの遡及的な仮想基礎レートを構築する、ステップと、を含む方法。
【請求項10】
前記血糖測定値は、前記患者からの血糖自己測定(SMBG)の測定値を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記血糖測定値は、前記患者からの持続グルコースモニタ(CGM)の測定値を含む、請求項9または請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記患者に実際に投与された持効型のインスリンの履歴記録は、当該履歴記録によりカバーされる期間の長さを含む関数として表現されている、請求項9~請求項11のいずれか1項に記載の
方法。
【請求項13】
前記推論されたインスリン濃度は、以下のように得られ、
【数2】
ここで、I
transient(τ)は、前記履歴記録において、時間τでの血漿インスリン濃度を表し、F
transientは、(i)検討中のインスリンタイプの特定のPKパラメータθと、(ii)得られた初期の血漿インスリン濃度I(0)とを検討したときの過去の送達されたインスリン量に起因する、特定の一時的な血漿濃度を示す関数である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記血漿インスリン濃度を推論することは、初期の血漿インスリン濃度I(0)を利用し、前記初期の血漿インスリン濃度I(0)は、定常状態の血漿インスリン濃度から推定される、請求項9~請求項13のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願および優先権主張の相互参照)
本出願は、2017年2月3日に出願された米国仮出願第62/454,282号の35 U.S.C. 119(e)およびPCT第8条下での利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
健康において、血糖(BG)は、腸、肝臓、膵臓および脳を含むホルモンネットワークによって厳しく制御され、空腹時の血糖水準(~80-100mg/dl)、および一時的な食後のグルコース変動を安定させる。糖尿病は、インスリン作用の不在または損傷により高血糖症になることを特徴とする障害の組み合わせである。ほぼ正常水準の血糖を維持するための強化インスリンおよび経口薬治療は、1型および2型糖尿病のいずれにおいても慢性合併症を著しく軽減するが、潜在的には生命を脅かす重度の低血糖症(SH)のリスクを引き起こす可能性がある。このSHは、不完全なインスリンの補充に起因し、警告症状およびホルモン防御を軽減し得る。
【0003】
1970年代以前は、強化治療は、主にインスリンの1日複数回の注入(MDI)によって規定され、各注入のタイミングおよび投与量は、1日を通してインスリンの必要量を満たすように選択されていた。長年にわたり、MDI療法は、食事と食事の間のインスリンの必要量を満たすために、1日1回あるいは2回投与される持効型インスリン(例えば、グラルギンおよびデテミル)と、食事に関するインスリンの必要量をカバーするための速効型インスリン(例えば、リスプロおよびアスパルト)をいずれも使用することを含むように進化した。多くの患者は、インスリンペンがインスリンの手動注入のための便利なメカニズムであることを発見する。
【0004】
インスリンペンは、インスリンバイアル(持効型または速効型インスリン)と、皮下注入針と、単一のペン型フォームファクター内で一体化したプランジャー機構とからなり、患者が所望の用量を「ダイヤルイン」できるようになっている。1970年代には、持続皮下インスリン注入(CSII、即ち、インスリンポンプ)療法がMDIの実現可能な代案になった。CSII療法は、グリコシル化ヘモグロビン(HbAlc)の低下、血糖変動性の低下、および低血糖の発生率低下と関連するが、ある程度インスリンポンプに関する費用の増加、およびインスリンポンプの使用への訓練された管理を必要とすることを理由に、多くの患者がMDIにとどまっている。
【0005】
BG感知用技術も同様に、長年にわたって変化を遂げた。各サンプルに対するランセットおよび化学試験片の使用を含む血糖自己測定(SMBG)が1960年代に導入され、比較的粗雑且つ非特異的なBG尿検査方法に取って代わった。SMBGは、今日まで治療のためのBGを評価するための主要なメカニズムであり、範囲外のBGレベルに基づいて、食事時のインスリン投与量を補正するためにしばしば使用される。過去10年間、5分以内ごとにBGサンプルを用いる持続グルコースモニタリング(CGM)が、SMBGの付属物として患者に利用可能となり、患者は1日の血糖変動性をより完全に理解できるようになった。CGMの導入により、多くの研究グループは、CGMがCSIIインスリン送達のクローズドループ(closed-loop)の調整をリアルタイムで通知する、安全で効果的な「人工膵臓」の開発のために研究することになった。
【0006】
多くの患者は、人工膵臓に備わるコントロール負担の軽減から利点を得ることができるが、かかる装置は高価であり、主に技術に精通している患者にアピールすることができる。また、多くの患者は、自分でコントロールし続けるために、自動化よりはインスリンの注入に関するCGM情報のアドバイスのみを望む。
【0007】
インスリンポンプのユーザにリアルタイムでアドバイスするためのシステムが、要求に応じた最適な食間の補正ボーラスに焦点を置いた、参照として本明細書に組み込まれているPatekらの「食事行動プロファイルに基づく補正インスリン助言システム」(IFAC 18th World Congress、2011、pp.8354-8359)で研究された。
【0008】
また、参照として本明細書に組み込まれているVereshchetinらの「CGM情報のインスリンペン療法用の食事時の補正インスリンアドバイザー」(2013年6月、米国制御学会(ACC)の議事録)では、まず食事の際にMDI患者にCGM情報のアドバイスを提供する機会を探究した。具体的に、
図12に示すように、「スマート」インスリンペン1201は、(SMBG測定値に加えて、)皮下に移植されたCGMセンサー1204から無線グルコメータ1203により受信されたCGM測定値に基づいて、食事時の速効型インスリン/グラルギンボーラス1202への補正について、ユーザにリアルタイムのアドバイス、および(ii)持効型インスリンの薬物動態特性の内部表現を提供することができる。Vereshchetinらは、スマートインスリンペンのプラットフォームのための一体化したインスリンペン/CGMレシーバの開発のために、MDI患者が最適な補正ボーラスをコンピューティングするためのアルゴリズムの支援から、利益を得ることができる範囲を決定しようとした。
【0009】
Vereshchetinらは、1型糖尿病のMDI療法のためのコンピュータシミュレーション環境に組み込まれ、また薬物動態モデルに基づいて毎日の持効型インスリン注入と共に「仮想基礎レート」プロファイルの概念が導入された、1日1回の持効型インスリンの薬物動態(PK)特性の名目上のモデルを提示し、カルマン(Kalman)フィルタリングによる患者の代謝状態の推定を容易にした。次に、Vereshchetinらは、この代謝状態の推定値を用いて、MDI療法における食事時の速効型ボーラスに対する補正ボーラスの推奨を計算した。修正アドバイザーは、自己治療戦略が平均7.98%(0.52の標準偏差)のHbAlcを達成するインシリコ(in silico)の1型個体群について評価し、その結果、このアルゴリズムは、吸収パラメータkd0の+/-25%の偏差下でも、低血糖のリスクを有意に増加させることなく、飽和度を1%超えで減少させる。インシリコの結果は、CGMとMDIとの組み合わせが1型糖尿病患者の血糖調節の改善に非常に効果的であり、フルクローズドループ(fully closed-loop)ポンプ指向システム(例えば、人工膵臓)の多くの利点を引き出すことができることを示唆している。
【0010】
インシリコの結果を得るために、1型被験者の個体群に対する自己治療のラフモデルを構築し、ここで、グループ全体が平均7.98%のHbAlcを達成するように、各モデルの患者に(i)1日当たりの持効型インスリン投与量と、(ii)炭水化物の割合および補正係数が割り当てられた。次に、標準療法モデルがHbAlcの低減を達成するようにして、低血糖のリスクを2次基準として維持した。
【0011】
食事の際に患者は、食事量の推定値に患者の炭水化物の比率(CR)を適用することにより、炭水化物に関するボーラスを計算した。しかし、患者の補正係数を使用する代わりに、以下の目的関数を最小化することにより、患者の現在の状態(例えば、食事時のBGの高低)を調整するインスリン補正が計算された。
【0012】
【0013】
ここで、Kは、患者が速効型インスリンの食事時のボーラスを送達しようとするステップであり、Nは、計画期間(例えば、N=72(5分間隔)、つまり6時間)であり、QおよびRは、それぞれ正の半定符号行列および定符号の重み行列であり、Δは所望のBGオフセットであり、
【0014】
【0015】
は、以下の式により支配される。
【0016】
【0017】
前記において、補正インスリンボーラスuは、ステップKでのみ適用され、インスリンの他の唯一の変動は、k=0で注入された持効型インスリンの薬物動態(PK)特性によるものである。x(κ)は、患者の状態のカルマンフィルター推定値
【0018】
【0019】
とみなされる。
図13に示すように、食事時の補正ボーラスアルゴリズムは、次のように考案された。患者が離散時間κにおける最適な補正ボーラスに関するアドバイスに興味があると仮定する。アルゴリズムの第1のステップは、CGM/SMBG測定と、最大κまでの患者の仮想基礎偏差u
LAの比率とに基づいて、患者の代謝状態の推定値
【0020】
【0021】
を計算することであった。カルマンフィルターへのCGM入力値は、アルゴリズムパラメータ
【0022】
【0023】
に比例し、患者の1日の平均血糖濃度に基づいて初期化が可能であり、その後、患者がより優れた血糖結果を達成することによって調整できる。実際に、食事時のSMBGサンプルは、推定値
【0024】
【0025】
をコンピューティングする前に、(センサドリフトの影響を排除するために)CGM履歴を調整するために使用され得る。アルゴリズムの次のステップは、(i)患者の代謝状態の現在の推定値、(ii)仮想基礎レート信号uLAの将来値、および(iii)所望のオフセットΔに基づいて、LQ(線形2次)の最適な離散補正ボーラスをコンピューティングすることであった。オフセットΔは、患者が十分に滴定されなかった持効型インスリンの投与量を補償することを可能にし、持効型インスリンの投与量が低すぎると(高平均BGとなる)、補正ボーラスは、少なくとも補正ボーラスの作用期間に適用されるBGオフセットを達成するように設計され得る。パラメータqとΔは、アルゴリズムのチューニングパラメータとして見なされ得る。
【発明の概要】
【0026】
本発明の一態様によれば、等価のインスリンポンプの構成のために、患者用に開発された仮想基礎レートプロファイルによる計画的なインスリン注入、および過去のインスリン注入のデータベース(即ち、患者が実際に投与した基礎注入)から、遡及的な仮想基礎レートを提供する方法、システム、およびコンピュータ読み取り可能な媒体が提供され、糖尿病患者にMDI(1日複数回の注入)およびCSII(持続皮下インスリン注入(即ち、インスリンポンプ))治療パラメータの分析、設計、最適化および適応のために統一した枠組みを提供する。
【0027】
本発明の別の態様は、計画的なおよび過去のインスリン送達から遡及的な仮想基礎レートを仮想化するための方法、システム、およびコンピュータ読み取り可能な媒体を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明の一態様による仮想基礎レートシステムのブロック図である。
【
図2】24時間にわたる計画的な毎日のインスリン注入に対する仮想基礎レートプロファイルのグラフである。
【
図3】インスリン注入の実際の記録に起因した遡及的な(過去の)仮想基礎レート、および計画的な注入からの仮想基礎レートプロファイルのグラフであって、実際の患者の挙動の結果としてそれらの間の差を示す。
【
図4】ユーザにより記録されたインスリン注入の履歴記録表である。
【
図5】本発明の実施形態の1つ以上の態様を実施し得るマシンの一例のブロック図である。
【
図6A】本発明の実施形態の1つ以上の態様を実施し得るコンピューティング装置のブロック図である。
【
図6B】本発明の実施形態の1つ以上の態様を実施し得るネットワークシステムを示す。
【
図7】ネットワークまたはコンピュータネットワークの一部を用いて、本発明の1つ以上の実施形態を実施し得るシステムを示す。
【
図8】ネットワークまたはコンピュータネットワークの一部を用いて、本発明の1つ以上の実施形態を実施し得るシステムを示す。
【
図9】本発明の1つ以上の実施形態を実施し得る例示的なマシン400のブロック図を示す。
【
図10】本発明の実施形態で使用される無線グルコメータの概略図である。
【
図11】本発明の実施形態で使用される無線グルコメータの概略図である。
【
図12】本発明で使用可能な先行技術の一般的なスマートインスリンペンシステムのブロック図である。
【
図13】本発明と共に使用可能な従来技術の食事時の補正ボーラスアルゴリズムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明の実施形態によると、インスリン(特に、中間型および持効型インスリン製剤)の薬物動態(PK)特性は、計画的なCSII仮想基礎レートプロファイルの構築に用いられ、また患者によるインスリン注入の実際の履歴記録は、遡及的な仮想基礎レートの構築に用いられる。仮想基礎レートプロファイルによる計画的な注入に従って、患者に注入または投与されるインスリンの単位は、遡及的な仮想基礎レートにより修正され、患者の実際のインスリン投与の履歴に基づいて、より正確な用量を患者に提供する。
【0030】
仮想基礎レートプロファイル
一貫した毎日の注入パターン(1日の異なる時間に複数回注入する場合を含む)に基づいて、システム(および関連システム)は、
・インスリンのPK特性を用いて、24時間の周期にわたって血漿インスリン濃度の制限的な連続パターンを推論し、その後、
・CSIIを介して送達される速効型インスリンのPK特性を用いて、24時間の周期にわたって血漿インスリン濃度の同一パターンをもたらす持続的なCSII基礎レートプロファイルを決定する。
【0031】
図2は、午前6時に19.6単位のインスリングラルギンの計画的な毎日の注入によって生じる仮想基礎レートプロファイル201を示す。プロットのy軸の単位はU/時間である。.8167U/hr(点線)での仮想基礎レートプロファイルの時間平均値は、19.6単位のインスリンが24時間計画されているという事実と一致する。この平均値周辺の仮想基礎レートプロファイルの差は、インスリングラルギンのPK特性の結果であって、(一般的な概念的見解にもかかわらず)24時間平坦ではなく、むしろ1日を通して測定可能な立上がり時間およびピーク濃度からの減衰を示す。
【0032】
図1を参照すると、仮想基礎レートプロファイル101は、以下のように構築され得る。
【0033】
1.インスリン注入計画102が与えられると、サブシステム103は、前記計画が相当以前に無限に正確に続くと仮定して、インスリンのPK特性の数学的モデルを用いて、血漿インスリン濃度の定常状態の軌道を推論する。
【0034】
【0035】
ここで、Isteadystate(τ)は、間隔[0、Tday]で表される24時間の各時間σにおける目的の注入を示す、関数J(σ)で表される計画的な注入に基づいて、24時間のうちの時間τにおける血漿インスリン濃度を表す。ここで、Fsteadystateは、計画的な毎日の注入によって生じる定常状態の血漿濃度、および検討中のインスリンタイプの特定のPKパラメーターθを示す関数である。
【0036】
2.CSIIインスリンポンプを介して送達される速効型インスリンのPK特性を用いて、サブシステム103は、基礎注入パターンを示す仮想基礎レートプロファイル
【0037】
【0038】
を推論し、ここで相応する血漿インスリン濃度の定常状態のパターン
【0039】
【0040】
は、毎日の注入からの血漿インスリン濃度パターンと一致し、即ち、以下の式の通りである。
【0041】
【0042】
図3におけるトレース301は、
図4に示すように、例えば、2015年9月21日~2015年10月2日の期間にわたって、実際のインスリングラルギンの注入の記録から生じる過去の仮想基礎レートを示す。
図3において、トレース302は、毎日午前6時に19.6単位のインスリンを計画的に注入することから誘導される仮想基礎レートプロファイルを示す。
図4から、23日目、25日目、26日目および30日目に、患者が持効型インスリンを注入し損なったことが分かる。かかるインスリン注入の漏れは、計画により得られた仮想基礎レートプロファイルとの大幅な基礎レートの偏差をもたらす。本発明は、患者の獲得したプロファイルによる計画的な注入とは異なる不正確なインスリン送達の効果を定量化する新規な方法を提供する。
【0043】
遡及的な仮想基礎レート
図1を再度参照すると、(投与のタイミングおよび投与量を含み、数日にわたる注入の漏れの可能性を勘案する)インスリン注入104の履歴記録に基づいて、サブシステム105は、以下のように遡及的な仮想基礎レート106を構築する。
・インスリンのPK特性を用いて、経時的注入から生じる血漿インスリン濃度を推論し、その後、
・CSIIを介して送達された速効型インスリンのPK特性を用いて、24時間の周期にわたって血漿インスリン濃度の同一の履歴濃度をもたらす持続的なCSII基礎レートプロファイルを決定する。
【0044】
仮想基礎レートプロファイルは、以下のように構築され得る。
1.一定期間にわたって、実際のインスリン注入の記録
【0045】
【0046】
(ここで、Tは、期間(通常、複数日に該当)の長さ)が得られると、システムはインスリンのPK特性の数学的モデルを用いて、これらの注入から生じる血漿インスリン濃度を推論する。即ち、
【0047】
【0048】
であり、ここで、Itransient(τ)は、履歴記録において、時間τでの血漿インスリン濃度を表す。ここで、Ftransientは、(i)検討中のインスリンタイプの特定のPKパラメータθと、(ii)得られた初期の血漿インスリン濃度I(0)とを検討したときの過去の注入に起因する、特定の(一時的な)血漿濃度を示す関数である(初期の血漿インスリン濃度が公知となっていない場合には、前記仮想基礎レートプロファイルの計算により得た定常状態値から推定できる。)。
【0049】
2.CSIIインスリンポンプを介して送達される速効型インスリンのPK特性を用いて、システムは、基礎レートのインスリン送達の仮想履歴記録
【0050】
【0051】
を推論し、ここで、相応する瞬時血漿インスリン濃度
【0052】
【0053】
は、過去の注入からの血漿インスリン濃度パターンと一致し、即ち、以下の式の通りである。
【0054】
【0055】
図10は、ユーザの基礎レートプロファイルによって、ユーザがどのようにインスリン注入の入力および確認を行うかに関する例を示す。ユーザは、注入しようとするインスリンの単位を無線グルコメータ1204のディスプレー上の入力領域1001に入力し、「取消」と「承認」のタッチセンサ式ボタン1002を用いて、その量を承認するか、または注入を取り消すことができる。その後、グルコメータ1203は、
図11に示すようなスクリーンを表示し、タッチセンサ式ボタン1101を用いて、表示されたインスリン用量が注入されたことを確認するようユーザに要求する。確認すると、注入されたインスリンの単位と共に、日付および時間がデータベース104に記録される。
【0056】
本発明の一態様は、以下で説明するように、多くの新規な又は明白でない特徴、要素および特性だけでなく、利点を提供することができる。例えば、基礎仮想化の利点は、元々インスリンポンプのユーザのために開発された遡及的方法(例えば、治療の最適化)およびオンライン方法(例えば、糖尿病のリアルタイムの判定およびコントロール)を、インスリンの1日複数回の注入(MDI)の治療中である大集団の糖尿病患者に適用させることである。
【0057】
本発明の様々な実施形態の一態様は、以下で説明するように、多くの製品およびサービスに利用することができ、これに限定されない。基礎仮想化は、通常、CSII(インスリンポンプ)を介したインスリン送達を前提とする、全ての遡及的なまたはリアルタイムの適用に使用できる。本発明の実施形態の一態様は、(i)持効型インスリンの毎日の手動注入によって、基礎インスリン要求が達成される治療の最適化、および(ii)基礎仮想化が患者の代謝状態の最良の推定に寄与するリアルタイムの治療アドバイス(例えば、ボーラスまたは運動アドバイス)のためのシステムにおける基礎仮想化の使用を提供する。前記確認された遡及的な適用は、「クラウド」分析の枠組みに自然に適合する一方、リアルタイムの適用は、「クラウド」と、組み込み型計算のハイブリッドとしての形態を取ることができる。
【0058】
本発明の実施形態の一態様は、糖尿病(1型および2型)の治療における様々な「クラウド分析」の適用に使用され得るが、これに限定されない。
【0059】
図5は、
図1に示す本発明の実施形態、または本発明の実施形態の一態様における上位レベルの機能ブロック図であって、
図1に示すシステムは、
図5のプロセッサまたはコントローラ502で実施できる。
【0060】
図5に示すように、プロセッサまたはコントローラ502は、グルコースモニタまたは装置501、および必要に応じてインスリン装置500と通信する。グルコースモニタまたは装置501は、被験者103のグルコースレベルをモニタリングするために、被験者103と通信する。プロセッサまたはコントローラ102は、所要の計算を実行するように構成される。必要に応じて、インスリン装置500は、被験者103にインスリンを送達するために、被験者103と通信する。プロセッサまたはコントローラ502は、所要の計算を実行するように構成される。グルコースモニタ501およびインスリン装置500は、別個の装置または単一の装置として実施できる。プロセッサ502は、グルコースモニタ501、インスリン装置500、または独立型装置(あるいはグルコースモニタ、インスリン装置、または独立型装置のうちの2つ以上の任意の組み合わせ)において局部的に実施できる。プロセッサ502またはシステムの一部は、前記装置が遠隔医療装置として作動するように、遠隔に配置可能である。
【0061】
図6Aを参照すると、その最も基本的な構成において、コンピューティング装置144(例えば、
図5に示すプロセッサ502)は通常、少なくとも1つの処理ユニット150およびメモリ146を含む。コンピューティング装置の正確な構成およびタイプによって、メモリ146は、揮発性(例えば、RAM)、不揮発性(例えば、ROM、フラッシュメモリなど)、またはこれらの2つの組み合わせであり得る。
【0062】
さらに、装置144は、他の特性および/または機能を有してもよい。例えば、前記装置は、さらに、取り外し可能なおよび/または取り外し不可能な記憶装置、例えば、書き込み可能な電気的記憶媒体だけでなく、磁気や光ディスク、またはテープを含み得るが、これに限定されない。このようなさらなる記憶装置は、取り外し可能な記憶装置152、取り外し不可能な記憶装置148の形態で示される。コンピュータ記憶媒体は、コンピュータ読み取り可能な命令、データ構造、プログラムモジュール、または他のデータのような情報を記憶するための任意の方法もしくは技術で実施される揮発性および不揮発性、取り外し可能なおよび取り外し不可能な媒体を含む。メモリ、取り外し可能な記憶装置、および取り外し不可能な記憶装置は、いずれもコンピュータ記憶媒体の例である。コンピュータ記憶媒体は、RAM、ROM、EEPROM、フラッシュメモリや他のメモリ技術のCDROM、デジタル多機能ディスク(DVD)や他の光記憶装置、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスク記憶装置や他の磁気記憶装置、または所望の情報を記憶するために使用可能であるとともに、前記装置によりアクセスできるその他の任意の媒体を含むことができるが、これらに限定されない。かかる任意のコンピュータ記憶媒体は、前記装置の一部であってもよく、または前記装置と共に用いられてもよい。
【0063】
また、前記装置は、他の装置(例えば、他のコンピューティング装置)との通信を可能にする1つ以上の通信接続部154を含み得る。通信接続部は、通信媒体に情報を伝達する。通信媒体は、通常、コンピュータ読み取り可能な命令、データ構造、プログラムモジュールまたは他のデータを搬送波または他の搬送機構などの変調データ信号で実施し、また任意の情報配信媒体を含む。用語「変調データ信号」とは、信号内の情報を符号化、実行または処理するような方式で設定または変更された1つ以上の特徴を有する信号を意味する。例えば、これに限定されないが、通信媒体は、有線ネットワークまたは有線直結接続などの有線媒体と、無線、RF、赤外線および他の媒体などのワイヤレス媒体と、を含む。上述のように、本明細書で使用される用語であるコンピュータ読み取り可能な媒体は、記憶媒体および通信媒体の両方を含む。
【0064】
独立型のコンピューティングマシンに加えて、本発明の実施形態はまた、インフラストラクチャを有するネットワークまたはアドホックネットワークなどのネットワーク手段と通信する複数のコンピューティング装置を含むネットワークシステム上で実施することができる。ネットワーク接続は、有線接続または無線接続が可能である。例として、
図6Bは、本発明の実施形態が実施できるネットワークシステムを示す。この例において、ネットワークシステムは、コンピュータ156(例えば、ネットワークサーバ)、ネットワーク接続手段158(例えば、有線および/または無線接続)、コンピュータ端末機160、およびPDA162(例えば、スマートフォン)(あるいは、携帯電話、ラップトップコンピュータ、タブレットコンピュータ、GPS受信機、MP3プレーヤ、ハンドヘルドビデオプレーヤ、ポケットプロジェクタなどの他のハンドヘルドもしくは携帯用装置、またはこのような機能を組み合わせたハンドヘルド装置(もしくは非携帯用装置))を含む。一実施形態において、156として記載のモジュールは、グルコースモニタ装置であり得ることを理解すべきである。一実施形態において、156と記載のモジュールが、グルコースモニタ装置(またはグルコース計)および/またはインスリン装置であり得ることを理解すべきである。
図6Bに示すまたは論じる任意の構成要素は複数個であり得る。本発明の実施形態は、システムの任意の装置で実施可能である。例えば、命令の実行または他の所望の処理は、156、160および162のいずれかである同じコンピューティング装置で実行可能である。代案として、本発明の実施形態は、ネットワークシステムにおける異なるコンピューティング装置で実施可能である。例えば、所定の所望のもしくは必要な処理や実行は、ネットワークのコンピューティング装置(例えば、サーバ156および/またはグルコースモニタ装置)の1つで行うことができる一方、命令の他の処理および実行は、ネットワークシステムの別のコンピューティング装置(例えば、端末機160)で行うことができ、またはその逆の場合も同様である。実際に、所定の処理または実行は、1つのコンピューティング装置(例えば、サーバ156および/またはグルコースモニタ装置)で行うことができ、また命令の他の処理または実行は、ネットワーク化されているまたはネットワーク化されていない異なるコンピューティング装置で行うことができる。例えば、所定の処理は、端末機160で行うことができる一方、他の処理または命令は、命令が実行される装置162に伝達される。このシナリオは、例えば、PDA装置162が、コンピュータ端末機160(またはアドホックネットワーク内のアクセスポイント)を介してネットワークにアクセスする場合に特に特定の価値があり得る。別の例としては、保護すべきソフトウェアは、本発明の1つ以上の実施形態で実行、符号化または処理することができる。その後、前記処理、符号化または実行されたソフトウェアは、顧客に配布可能である。前記配布は、記憶媒体(例えば、ディスク)または電子コピーの形態で行うことができる。
【0065】
図7は、本明細書に記載の実施形態が実施できるコンピュータシステム140および関連インターネット11の接続を含むシステム130を示すブロック図である。かかる構成は、通常、インターネット11に接続され、サーバまたはクライアント(またはその組み合わせ)のソフトウェアを実行するコンピュータ(ホスト)に用いられる。例えば、本明細書に記載の任意のコンピュータまたはプロセッサだけでなく、ラップトップ、最終目的地のコンピュータおよび中継サーバなどのソースコンピュータは、
図7に示すコンピュータシステムの構成およびインターネット接続を用いることができる。システム140は、ノートブック/ラップトップコンピュータ、メディアプレーヤ(例えば、MP3ベースまたはビデオプレーヤ)、携帯電話、個人情報端末機(PDA)、グルコースモニタ装置、インスリン送達装置、画像処理装置(例えば、デジタルカメラもしくはビデオレコーダ)、および/または他の任意のハンドヘルドコンピューティング装置、またはこれらの装置の任意の組み合わせなどの携帯用電子機器として使用され得る。
図7は、コンピュータシステムの様々な構成要素を示しているが、構成要素を相互接続する任意の特定のアーキテクチャまたは方式を示すことを意図するものではなく、このような詳細は、本発明と密接な関係がない。また、より少ない構成要素あるいは恐らくより多くの構成要素を有するネットワークコンピュータ、ハンドヘルドコンピュータ、携帯電話、および他のデータ処理システムが使用され得ることを理解するだろう。
図7のコンピュータシステムは、例えば、Apple MacintoshコンピュータもしくはPower Book、またはIBMの互換性PCであり得る。コンピュータシステム140は、バス137、相互接続、または情報を通信するための他の通信機構、およびプロセッサ138を含み、情報を処理してコンピュータ実行可能な命令を実行するために、一般的に集積回路の形態でバス137と結合される。また、コンピュータシステム140は、プロセッサ138によって実行される情報および命令を記憶するために、バス137に結合されたRAM(Random Access Memory)、または他の動的記憶装置などのメインメモリ134を含む。
【0066】
また、メインメモリ134は、プロセッサ138によって実行される命令の実行の間、一時変数または他の中間情報を記憶するために使用され得る。コンピュータシステム140は、ROM(Read Only Memory)136(もしくは他の不揮発性メモリ)、または静的情報およびプロセッサ138向けの命令を記憶するためにバス137に結合された他の静的記憶装置をさらに含む。磁気ディスクまたは光ディスク、ハードディスクに対する読み書きを行うハードディスクドライブ、磁気ディスクに対する読み書きを行う磁気ディスクドライブ、および/または取り外し可能な光ディスクに対する読み書きを行う光ディスクドライブ(例えば、DVD)などの記憶装置135は、情報および命令を記憶するためにバス137に結合される。ハードディスクドライブ、磁気ディスクドライブおよび光ディスクドライブは、ハードディスクドライブインターフェース、磁気ディスクドライブインターフェースおよび光ディスクドライブインターフェースによって、それぞれシステムバスに接続され得る。前記ドライブおよびその関連コンピュータ読み取り可能な媒体は、汎用コンピューティング装置にコンピュータ読み取り可能な命令、データ構造、プログラムモジュール、および他のデータの不揮発性記憶装置を提供する。通常、コンピュータシステム140は、コンピュータリソースを管理するために不揮発性記憶装置に記憶されているオペレーティングシステム(OS)を含み、コンピュータリソースおよびインターフェースへのアクセスをアプリケーションおよびプログラムに提供する。オペレーティングシステムは、通常、システムデータおよびユーザ入力を処理し、メモリの制御および割り当て、システム要求の優先順位付け、入出力装置の制御、ネットワーキングの活性化、並びにファイルの管理など、タスクおよび内部システムのリソースを割り当てて管理することによって応答する。オペレーティングシステムの例は、Microsoft Windows(登録商標)、Mac OS X、およびLinux(登録商標)であるが、これらに限定されない。
【0067】
用語「プロセッサ」は、これに限定されないが、縮小命令セットコア(RISC)プロセッサ、CISCマイクロプロセッサ、マイクロ制御装置(MCU)、CISCベースの中央処理装置(CPU)、およびデジタル信号処理プロセッサ(DSP)を含む少なくとも1つの命令に対する動作を行うことができる任意の集積回路または他の電子装置(もしくは装置の集まり)を含むことを意味する。かかる装置のハードウェアは、単一の基板(例えば、シリコン「ダイ」)上に一体化するか、または2つ以上の基板に分散され得る。また、プロセッサの様々な機能的態様は、プロセッサに関連するソフトウェアまたはファームウェアとしてのみ実施され得る。
【0068】
コンピュータシステム140は、陰極線管(CRT)、液晶ディスプレイ(LCD)、フラットスクリーンモニタ、タッチスクリーンモニタ、またはテキストおよびグラフィックデータをユーザに表示するための同様の手段などのディスプレイ131にバス137を介して結合され得る。ディスプレイは、ディスプレイを支援するために、ビデオアダプタを介して接続され得る。このディスプレイは、ユーザがシステムの操作に関する情報を見る、入力する、および/または編集することを可能にする。英数字および他のキーを含む入力装置132は、情報および命令選択をプロセッサ138に通信するために、バス138に結合される。別のタイプのユーザ入力装置は、プロセッサ138に方向情報および命令選択を通信し、ディスプレイ131上のカーソル移動を制御するためのマウス、トラックボール、またはカーソル方向キーなどのカーソルコントロール133である。この入力装置は、通常、第1の軸(例えば、x)および第2の軸(例えば、y)の2つの軸で2つの自由度を有し、装置の平面における位置を指定することができる。
【0069】
コンピュータシステム140は、本明細書に記載の方法および技術を実施するために使用され得る。一実施形態によると、これらの方法および技術は、メインメモリ134に含まれる1つ以上の命令の1つ以上のシーケンスを実行するプロセッサ138に応答して、コンピュータシステム140により行われる。かかる命令は、記憶装置135などの別のコンピュータ読み取り可能な媒体からメインメモリ134に入力され得る。メインメモリ134に含まれる命令のシーケンスの実行は、プロセッサ138が本明細書に記載の処理ステップを行うようにする。別の実施形態において、ハードワイヤード回路は、配列を実施するために、ソフトウェア命令の代わりに、またはソフトウェア命令と組み合わせて使用され得る。従って、本発明の実施形態は、ハードウェア回路およびソフトウェアの任意の特定の組み合わせに限定されない。
【0070】
本明細書で使用される用語「コンピュータ読み取り可能な媒体」(または「マシン読み取り可能な媒体」)は、実行するためにプロセッサ(例えば、プロセッサ138)に命令を提供することに関与する任意の媒体もしくはメモリ、またはマシン(例えば、コンピュータ)により読み取り可能な形式で情報を記憶または送信するための任意のメカニズムを指す拡張可能な用語である。かかる媒体は、処理要素および/または制御ロジックによって実行するコンピュータ実行可能命令、並びに処理要素および/または制御ロジックによって操作されるデータを記憶することができ、またこれに限定されないが、非揮発性媒体、揮発性媒体、および送信媒体を含む様々な形態を取ることができる。送信媒体は、バス137を構成するワイヤを含む同軸ケーブルと、銅ワイヤと、光ファイバと、を含む。また、送信媒体は、電波および赤外線データの通信中に発生するような音波もしくは光波の形態、または伝播信号の他の形態(例えば、搬送波、赤外線信号、デジタル信号など)を取ることができる。コンピュータ読み取り可能な媒体の一般的な形態は、例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ、またはその他の磁気媒体、CD-ROM、またはその他の光媒体、パンチカード、紙テープまたは孔のパターンを有するその他の物理的媒体、RAM、PROMおよびEPROM、FLASH-EPROM、またはその他のメモリチップもしくはカートリッジ、後述する搬送波、またはコンピュータ読み取り可能なその他の媒体を含む。
【0071】
コンピュータ読み取り可能な媒体の様々な形態は、実行のために1つ以上の命令の1つ以上のシーケンスをプロセッサ138に伝達することに関与し得る。例えば、命令は、最初にリモートコンピュータの磁気ディスクに伝達され得る。リモートコンピュータは、命令をダイナミックメモリにロードし、この命令をモデムを用いて電話線を介して送信できる。コンピュータシステム140に対するモデムローカルは、電話線を介してデータを受信し、赤外線送信機を用いてデータを赤外線信号に変換することができる。赤外線検出器は、赤外線信号に担持されたデータを受信し、適切な回路がデータをバス137に位置させることができる。バス137は、データをメインメモリ134に伝達し、プロセッサ138が命令を検索して実行する。メインメモリ134により受信された命令は、必要に応じてプロセッサ138による実行の前後のいずれかに記憶装置135に記憶され得る。
【0072】
また、コンピュータシステム140は、バス137に結合された通信インターフェース141を含む。通信インターフェース141は、ローカルネットワーク111に接続されたネットワークリンク139に双方向データ通信の結合を提供する。例えば、通信インターフェース141は、対応するタイプの電話線にデータ通信接続を提供するためのサービス総合ディジタル網(ISDN)カードまたはモデムであり得る。また別の非限定的な例として、通信インターフェース141は、互換性のあるLANにデータ通信接続を提供するためのローカルエリアネットワーク(LAN)カードであり得る。例えば、IEEE802.3標準に基づくイーサネット(登録商標)ベースの接続は、本明細書に明示している通り、全ての目的のため、その全体が組み込まれているCisco Systems,Inc.の発行番号1-587005-001-3(6/99)「インターネットワーキングテクノロジーハンドブック」、第7章:「Ethernet(登録商標) Technologies」、7-1~7-38頁に記載のような、10/100BaseT、1000BaseT(ギガビットイーサネット)、10ギガビットイーサネット(標準として、IEEE標準802.3ae-2002当たり10GEまたは10GbEまたは10GigE)、40ギガビットイーサネット(40GbE)、または100ギガビットイーサネット(イーサネット標準IEEE P802.3baによる100GbE)などが使用できる。この場合、通信インターフェース141は、本明細書に明示している通り、全ての目的のため、その全体が組み込まれているSMSC(Standard Microsystems Corporation)データシートである「LAN91C111 10/100 Non-PCIイーサネットシングルチップMAC+PHY」Data-Sheet,Rev. 15(2004年2月20日)に記載のSMSC(Standard Microsystems Corporation)LAN91C111 10/100イーサネットトランシーバなどのLANトランシーバまたはモデムを含む。
【0073】
また、無線リンクも実施できる。かかる任意の実施において、通信インターフェース141は、様々なタイプの情報を表すデジタルデータストリームを伝達する電気信号、電磁信号または光信号を送受信する。ネットワークリンク139は、通常、1つ以上のネットワークを介して、他のデータ装置へデータ通信を提供する。例えば、ネットワークリンク139は、ローカルネットワーク111を介した接続をホストコンピュータまたはインターネットサービス提供者(ISP)142により操作されるデータ機器へ提供することができる。即ち、ISP142は、ワールドワイドのパケットデータ通信ネットワークであるインターネット11を介してデータ通信サービスを提供する。ローカルネットワーク111およびインターネット11は、いずれもデジタルデータストリームを伝達する電気信号、電磁信号、または光信号を使用する。コンピュータシステム140にデジタルデータを伝達したり、コンピュータシステム140からのデジタルデータを伝達する、様々なネットワークを介した信号およびネットワークリンク139上の通信インターフェース141を介した信号は、情報を送信する搬送波の例示的な形態である。受信したコードは、受信したそのままプロセッサ138によって実行してもよく、および/または後で実行するために、記憶装置135または他の不揮発性記憶装置に記憶してもよい。このような方法で、コンピュータシステム140は、搬送波の形態でアプリケーションコードを取得することができる。
【0074】
計画的な且つ過去のインスリン送達から仮想基礎レートの仮想化のための方法およびシステムの概念が開発されて本明細書に開示され、また、本明細書に開示されているスキームによって、関連プロセッサ、ネットワーク、コンピュータシステム、インターネット、並びにコンポーネントおよび機能とともに、実施および活用できる。
【0075】
図8は、本発明のグルコース装置がネットワークなしで実行され得るが、ネットワーク、またはネットワークもしくはコンピュータの一部を用いて、本発明の1つ以上の実施形態が実施され得るシステムを示す。
【0076】
図8は、本発明の例を実施できる例示的なシステムを概略的に示す。一実施形態において、グルコースモニタまたはグルコースメータ(および/またはインスリンポンプ)は、被験者(または患者)によって自宅または他の所望の場所で局所的に実施され得る。しかしながら、別の実施形態において、それは臨床環境または支援環境で実施され得る。例えば、
図8を参照すると、臨床セットアップ158は、グルコースに関連する疾患並びに関連する疾患および状態の患者(例えば、159)を診断するために、医師(例えば、164)または臨床医/補助員に場所を提供する。グルコースモニタリング装置10は、独立型の装置であって、患者のグルコースレベルをモニタリングおよび/またはテストするために用いることができる。グルコースモニタ装置10のみが図に示されているが、本発明のシステムおよびその任意の構成要素は、
図8に示す方法で使用され得ることを理解すべきである。システムまたは構成要素は、患者に取り付けられるか、所望のまたは必要な患者と通信することができる。例えば、グルコースモニタ装置10(あるいはコントローラ、および/またはインスリンポンプなどの他の関連装置もしくはシステム、またはその他の所望のもしくは必要な装置もしくは構成要素)を含むシステムまたはその構成要素の組み合わせが、テープまたはチューブ(または他の医療機器もしくは構成要素)により患者に接触、通信または取付が行われ、有線または無線接続を介して通信し得る。かかるモニタおよび/またはテストは、短期(例えば、臨床訪問)または長期(例えば、臨床滞在または家族)であり得る。グルコースモニタリング装置の出力は、医師(臨床医または補助員)が患者へのインスリン注入や食事の供給などの適切な行為、または他の適切な行為やモデル化のために用いることができる。代案として、グルコースモニタリング装置の出力は、即時または将来の分析のために、コンピュータ端末機168に送信することができる。送信は、ケーブルや無線、またはその他の適切な媒体を介して行うことができる。また、患者からのグルコースモニタリング装置の出力は、PDA166などの携帯用機器に送信できる。精度が改善されたグルコースモニタリング装置の出力は、処理および/または分析のために、グルコースモニタリングセンター172に送信できる。かかる送信は、有線または無線であり得るネットワーク接続170など、多くの方法で達成することができる。
【0077】
グルコースモニタリング装置の出力に加えて、エラー、精度改善のためのパラメータ、および任意の精度関連情報を、コンピュータ168、および/またはエラーの分析を実行するためのグルコースモニタリングセンター172などに送信できる。これは、グルコースセンサの重要性により、集積的な精度モニタリング、モデル化、および/または精度向上をグルコースセンタに提供することができる。
【0078】
また、本発明の例は、対象のグルコースモニタリング装置に関連する独立型のコンピューティング装置で実施できる。本発明の例が実施できる例示的なコンピューティング装置(またはその一部)を
図6Aに概略的に示している。
【0079】
図9は、本発明の実施形態の1つ以上の態様が実施できるマシンの例を示すブロック図である。
【0080】
図9は、1つ以上の実施形態(例えば、論じた方法論)が実施(例えば、実行)できる例示的なマシン400のブロック図を示す。
【0081】
マシン400の例としては、ロジック、1つ以上の構成要素、回路(例えば、モジュール)、またはメカニズムを含み得る。回路は、所定の動作を実行するように構成された有形のエンティティである。一例において、回路は、特定の方式で(例えば、内部的に、または他の回路などの外部エンティティに対して)配列することができる。一例において、1つ以上のコンピュータシステム(例えば、独立型、クライアントもしくはサーバコンピュータシステム)、または1つ以上のハードウェアプロセッサ(プロセッサ)は、本明細書に記載のように、所定の作動を実行するように操作する回路として、ソフトウェア(例えば、命令、アプリケーション部分またはアプリケーション)により構成することができる。一例において、ソフトウェアは、(1)非一時的なマシン読み取り可能な媒体上に、または(2)送信信号内に存在することができる。例えば、ソフトウェアは、回路の基盤となるハードウェアによって実行される場合、回路に所定の作動を実行させる。
【0082】
一例において、回路は、機械的または電子的に実施できる。例えば、回路は、専用プロセッサ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、または特定用途向け集積回路(ASIC)を含む上述のような1つ以上の技術を実行するように特別に構成された専用回路またはロジックを含み得る。一例において、回路は、所定の作動を行うように一時的に(例えば、ソフトウェアにより)構成され得るプログラマブルロジック(例えば、汎用プロセッサ、または他のプログラマブルプロセッサ内に含まれるような回路)を含み得る。回路を機械的に(例えば、専用および永続的に構成された回路において)または一時的に構成された(例えば、ソフトウェアにより構成された)回路で実施するための決定は、コスト及び時間の考慮によって駆動されることを理解するであろう。
【0083】
従って、用語「回路」は、有形のエンティティを含むと理解され、物理的に構築されるか、永続的に構成されるか(例えば、ハードワイヤード)、または一時的に(例えば、瞬間的に)構成され(例えば、プログラムされ)、特定の方法で作動するか、または特定の作動を行うエンティティである。例えば、一時的に構成された複数の回路が与えられると、各回路は、時間における任意の1つのインスタンスで構成されたり、またはインスタンス化される必要がない。例えば、回路がソフトウェアにより構成された汎用プロセッサを含む場合、汎用プロセッサは、異なる時間にそれぞれ異なる回路として構成できる。そのため、ソフトウェアは、例えば、時間の1つのインスタンスで特定の回路を構成し、時間の別のインスタンスで別の回路を構成するようにプロセッサを構成できる。
【0084】
一例において、回路は、他の回路に情報を提供し、他の回路から情報を受信することができる。この例において、回路は、1つ以上の他の回路に通信可能に結合されていると見なすことができる。このような複数の回路が同時に存在する場合、通信は、回路を接続する信号送信を介して(例えば、適切な回路およびバスを介して)達成可能である。複数の回路が異なる時間で構成またはインスタンス化される実施形態において、かかる回路間の通信は、例えば、複数の回路がアクセスするメモリ構造内における情報の記憶および検索を通じて達成可能である。例えば、1つの回路が作動を実行し、通信可能に結合されているメモリ装置にその作動の出力を記憶することができる。その後、さらなる回路は、メモリ装置にアクセスして、記憶された出力を検索および処理できる。一例において、回路は、入出力装置との通信を開始または受信するように構成でき、またリソース(例えば、情報の集まり)上で作動できる。
【0085】
本明細書に記載の方法の例の様々な作動は、少なくとも部分的に関連作動を行うため、一時的に構成された1つ以上のプロセッサによって(例えば、ソフトウェアによって)、または永続的に構成された1つ以上のプロセッサによって実行可能である。一時的に構成されるか永続的に構成されるかにかかわらず、このようなプロセッサは、1つ以上の作動または機能を行うように作動するプロセッサ実行回路を構成し得る。例えば、本明細書で言及する回路は、プロセッサ実行回路を含み得る。
【0086】
同様に、本明細書に記載の方法は、少なくとも部分的にプロセッサで実行することができる。例えば、方法の作動の少なくとも一部は、1つ以上のプロセッサまたはプロセッサ実行回路によって行うことができる。所定の作動の実行は、単一のマシン内に存在するだけでなく、複数のマシンにわたってデプロイ(deploy)された1つ以上のプロセッサに分散できる。例えば、1つ以上のプロセッサが、単一の場所(例えば、家庭環境、オフィス環境内、またはサーバファームとして)に配置できるのに対し、他の例においては、プロセッサが複数の場所に分散できる。
【0087】
また、1つ以上のプロセッサが、「クラウドコンピューティング」環境において、または「SaaS(software as a service)」として関連作動の実行を支援するように作動することができる。例えば、少なくとも一部の作動は、(プロセッサを含むマシンの例として)コンピュータのグループによって実行でき、これらの動作は、ネットワーク(例えば、インターネット)、および1つ以上の適切なインターフェイス(例えば、アプリケーションプログラムインターフェイス(API))によってアクセス可能である。
【0088】
例示的な実施形態(例えば、装置、システム、または方法)は、デジタル電子回路、コンピュータハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、またはこれらの任意の組み合わせで実施できる。例示的な実施形態は、コンピュータプログラム製品(例えば、プログラマブルプロセッサ、コンピュータ、または複数のコンピュータなどのデータ処理装置により実行されるか、またはその作動を制御するために、情報媒体またはマシン読み取り可能な媒体で有形に具現化されたコンピュータプログラム)を用いて実施できる。
【0089】
コンピュータプログラムは、コンパイル型言語または解釈された言語を含む、任意の形態のプログラミング言語で記録でき、これは、独立型プログラムとしてまたはソフトウェアモジュール、サブルーチン、またはコンピューティング環境における使用に好適な他のユニットとして含む、任意の形態でデプロイされ得る。コンピュータプログラムは、1つのサイトに1つのコンピュータまたは複数のコンピュータで実行されるか、あるいは複数のサイトにわたって分散され、通信ネットワークで相互接続するようにデプロイされ得る。
【0090】
一例において、作動は、入力データを作動して出力を生成することにより機能を行うように、コンピュータプログラムを実行する1つ以上のプログラム可能なプログラマブルプロセッサによって実行できる。作動方法の例は、特殊用途のロジック回路(例えば、FPGA(Field Programmable Gate Array)またはASIC(Application-Specific Integrated Circuit))によって行うことができ、例示的は装置は、特殊用途のロジック回路(例えば、FPGA(Field Programmable Gate Array)またはASIC(Application-Specific Integrated Circuit))として実施できる。
【0091】
コンピューティングシステムは、クライアントおよびサーバを含み得る。クライアントおよびサーバは、通常、互いに遠く離れており、通常、通信ネットワークを介して相互作用する。クライアントとサーバとの関係は、それぞれのコンピュータで実行され、また互いにクライアント-サーバの関係を有するコンピュータプログラムによって発生する。プログラマブルコンピューティングシステムをデプロイする実施形態において、ハードウェアアーキテクチャおよびソフトウェアアーキテクチャの両方を考慮する必要があることが理解されるだろう。具体的に、永続的に構成されたハードウェア(例えば、ASIC)、一時的に構成されたハードウェア(例えば、ソフトウェアとプログラマブルプロセッサとの組み合わせ)、または永続的および一時的に構成されたハードウェアの組み合わせにおいて、どのような機能を実施するかは、設計上の選択となることが理解されるだろう。以下では、例示的な実施形態でデプロイされ得るハードウェア(例えば、マシン400)およびソフトウェアアーキテクチャについて説明する。
【0092】
一例において、マシン400は、独立型の装置として作動することができ、またはマシン400は、他のマシンに接続(例えば、ネットワーク化)することができる。
【0093】
ネットワーク化したデプロイメント(deployment)において、マシン400は、サーバ-クライアントネットワーク環境で、サーバまたはクライアントマシンのいずれかの用量内で作動できる。一例において、マシン400は、ピアツーピア(または他の分散)ネットワーク環境で、ピアマシン(peer machine)として作動することができる。マシン400は、パーソナルコンピュータ(PC)、タブレットPC、セットトップボックス(STB)、個人情報端末機(PDA)、携帯電話、ウェブアプライアンス、ネットワークルータ、スイッチもしくはブリッジ、またはマシン400により取られる(例えば、行われる)行為を特定する命令(順次にまたはその他の方式)を実行できる任意のマシンであり得る。さらに、単一のマシン400のみが示されているが、用語「マシン」は、本明細書で論じている方法論のうち、任意の1つ以上を実行するように、命令のセット(または複数のセット)を個別にまたは共同で実行するマシンの任意の集合を含むものとする。
【0094】
例示的なマシン(例えば、コンピュータシステム)400は、プロセッサ402(例えば、中央処理装置(CPU)、グラフィックス処理装置(GPU)またはその両方)、メインメモリ404および静的メモリ406を含むことができ、その一部または全部はバス408を介して互いに通信することができる。マシン400は、ディスプレイユニット410、英数字入力装置412(例えば、キーボード)、およびユーザインターフェース(U1)ナビゲーション装置411(例えば、マウス)をさらに含むことができる。一例において、ディスプレイユニット410、入力装置412、およびUIナビゲーション装置414は、タッチスクリーンディスプレイであり得る。マシン400は、記憶装置(例えば、ドライブユニット)416、信号生成装置418(例えば、スピーカー)、ネットワークインターフェース装置420、およびGPS(Global Positioning System)センサ、コンパス、加速度計、または他のセンサのような1つ以上のセンサ421をさらに含むことができる。
【0095】
記憶装置416は、本明細書に記載の方法論または機能のうちの任意のいずれか1つ以上により具体化したまたは利用されるデータ構造または命令424(例えば、ソフトウェア)の1つ以上のセットが記憶されるマシン読み取り可能な媒体422を含み得る。また、命令424は、マシン400により実行される間、メインメモリ404内、静的メモリ406内、またはプロセッサ402内に完全にまたは少なくとも部分的に存在し得る。一例において、プロセッサ402、メインメモリ404、静的メモリ406もしくは記憶装置416の1つまたは任意の組み合わせは、マシン読み取り可能な媒体を構成することができる。
【0096】
マシン読み取り可能な媒体422は、単一の媒体として示されているが、用語「マシン読み取り可能な媒体」は、1つ以上の命令424を記憶するように構成された単一の媒体または複数の媒体(例えば、集中型または分散型データベース、および/または関連するキャッシュおよびサーバ)を含み得る。用語「マシン読み取り可能な媒体」用語は、マシンによる実行のための命令、また本発明に開示された方法論の任意の1つ以上がマシンにより行われる命令を記憶、符号化、または伝達することができ、またはかかる命令により活用されるまたはそれに関連するデータ構造を記憶、符号化、または伝達することができる任意の有形の媒体を含むと解釈することができる。従って、用語「マシン読み取り可能な媒体」は、これに限定されないが、ソリッドステートメモリー、並びに光学および磁気媒体を含むと解釈することができる。マシン読み取り可能な媒体の具体例は、例として、半導体メモリ装置(例えば、電気的プログラマブル読み取り専用メモリ(EPROM)、電気的消去可能プログラマブル読み取り専用メモリ(EEPROM))およびラッシュメモリ装置と、内部のハードディスクおよびリムーバブルディスクなどの磁気ディスクと、光磁気ディスクと、CD-ROMおよびDVD-ROMディスクと、を含む不揮発性メモリを含み得る。
【0097】
命令424は、多くの転送プロトコル(例えば、フレームリレー、IP、TCP、UDP、HTTPなど)のいずれか1つを利用するネットワークインターフェース装置420による送信媒体を用いる通信ネットワーク426を介してさらに送受信できる。例示的な通信ネットワークとしては、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、パケットデータネットワーク(例えば、インターネット)、携帯電話ネットワーク(例えば、セルラーネットワーク)、POTS(Plain Old Telephone)ネットワーク、およびワイヤレスデータネットワーク(例えば、Wi-Fi(登録商標)として知られているIEEE 802.11標準ファミリー、WiMax(登録商標)として知られているIEEE 802.16標準ファミリー)、特に、ピアツーピア(P2P)ネットワークが挙げられる。用語「送信媒体」は、マシンにより実行される命令を記憶、符号化、または伝達することができる任意の無形の媒体を含み、かかるソフトウェアの通信を促進するために、デジタルもしくはアナログ通信信号、または他の無形の媒体を含むものとする。
【0098】
本明細書で論じる任意の本発明の実施形態に関して言及されている任意の構成要素またはモジュールは、互いに一体的にまたは別途に形成され得ることを理解すべきである。また、構成要素もしくはモジュールの重複機能または構造が実施できる。さらに、様々な構成要素は、任意のユーザ/臨床医/患者、またはマシン/システム/コンピュータ/プロセッサーと、ローカルおよび/または遠隔で通信できる。しかも、様々な構成要素は、無線および/またはハードワイヤ、または他の望ましい利用可能な通信手段、システム、およびハードウェアを介して通信できる。また、様々な構成要素およびモジュールは、同様の機能を提供する他のモジュールまたは構成要素に置き換えることができる。
【0099】
本明細書で論じる装置および関連する構成要素は、解剖学的、環境的および構造的な要求並びに作動要件を提供し満たすために、x、yおよびz面の連続的な幾何学的スペクトル全体の操作に沿って、あらゆる形状を取り得ることを理解すべきである。また、様々な構成要素の位置およびアライメントは、任意でまたは必要に応じて変わり得る。
【0100】
全体にわたって議論された様々な実施形態における任意の構成要素、または構成要素の一部の様々なサイズ、寸法、輪郭、剛性、形状、柔軟性および材料は、任意でまたは必要に応じて変更および活用できることを理解すべきである。
【0101】
前述の図に一部寸法が提供されているが、装置は、装置の構成要素、または構成要素の一部に関する様々なサイズ、寸法、輪郭、剛性、形状、柔軟性および材料を構成することができ、従って、任意でまたは必要に応じて変更および活用できる。
【0102】
要約すると、本発明は特定の実施形態に関して説明されているが、多くの修正、変形、変更、置換および同等物は、当業者にとって明らかであろう。本発明は、本明細書に記載の特定の実施形態により範囲が限定されない。実際に、本明細書に記載のものに加えて、本発明の様々な修正は、前述の説明および添付の図面から当業者に明らかであろう。従って、本発明は、全ての修正および同等物を含む本開示の思想および範囲によってのみ制限されると見なされるべきである。
【0103】
さらに他の実施形態は、所定の例示的な実施形態の前記詳細な説明および図面を読むことにより、当業者には容易に明らかになるであろう。多くの変形、修正およびさらなる実施形態が可能であり、従って、かかる全ての変形、修正および実施形態は、本出願の思想および範囲内にあると見なされるべきであることを理解すべきである。例えば、本出願の任意の部分(例えば、名称、分野、背景、発明の概要、要約書および図面など)の内容に関係なく、その逆を特に明記しない限り、本明細書、または任意の特定の説明や図解された活動もしくは要素、かかる活動の任意の特定の順序、またはかかる要素の任意の特定の相互関係に対する優先権を主張する任意の出願の任意の請求範囲に含める必要はない。また、任意の活動を繰り返したり、任意の活動を複数のエンティティーで実行したり、および/または任意の要素を複製したりすることができる。さらに、任意の活動または要素を除外したり、活動の順序を変更したり、および/または要素の相互関係を変更したりすることができる。その逆を明確に明示しない限り、任意の特定の説明や図解された活動もしくは要素、任意の特定の順序やかかる活動、任意の特定のサイズ、速度、材料、寸法や頻度、またはかかる要素の任意の特定の相互関係性が求められない。従って、説明および図面は、本質的に例示的なものと見なされ、非限定的なものと見なされるべきである。さらに、本明細書に任意の数または範囲が記載されている場合、特に明記しない限り、その数または範囲は近似値である。本明細書に任意の範囲が記載されている場合、特に明記しない限り、その範囲はその中の全ての値およびその中の全ての下位範囲を含む。参照により本明細書に組み込まれている全ての資料(例えば、米国/外国特許、米国/外国特許出願、書籍、記事など)における任意の情報は、かかる情報と本明細書に記載されているその他の記述および図面との間にコンフリクトが存在しない範囲でのみ参照により組み込まれる。万が一、本明細書の任意の請求範囲を無効にするコンフリクトを含むか、またはその優先順位を求めるコンフリクトが発生する場合には、参照資料により組み込まれているかかるコンフリクト情報は、本明細書に具体的に含まれない。