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特許7278275エアロゾル送達デバイス用のエアロゾル前駆体を配合するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-11
(45)【発行日】2023-05-19
(54)【発明の名称】エアロゾル送達デバイス用のエアロゾル前駆体を配合するための方法
(51)【国際特許分類】
   A24B 15/16 20200101AFI20230512BHJP
   A24F 47/00 20200101ALI20230512BHJP
【FI】
A24B15/16
A24F47/00
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020522976
(86)(22)【出願日】2018-10-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-01-07
(86)【国際出願番号】 IB2018058261
(87)【国際公開番号】W WO2019082081
(87)【国際公開日】2019-05-02
【審査請求日】2021-10-11
(31)【優先権主張番号】15/792,120
(32)【優先日】2017-10-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516097871
【氏名又は名称】アール・エイ・アイ・ストラテジック・ホールディングス・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ダル,ギャリー・エム
【審査官】渡邉 洋
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-539645(JP,A)
【文献】特開昭64-016576(JP,A)
【文献】特表2016-520061(JP,A)
【文献】米国特許第05046514(US,A)
【文献】国際公開第2015/084544(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/182736(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/063776(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24B15/00-15/42
A24F47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル前駆体組成物を調製するための方法であって、
1種以上の有機酸及びニコチンを水中に含む水溶液を調製するステップ、
前記水溶液を1種以上の蒸気形成剤と合わせて、エアロゾル前駆体組成物を得るステップ、及び
前記エアロゾル前駆体組成物をエアロゾル送達デバイス内に組み込むステップ
を含み、前記水溶液が、前記1種以上の有機酸のうちの少なくとも1種を所与の量で含有し、前記エアロゾル前駆体組成物が、前記1種以上の有機酸のうちの少なくとも1種を、前記所与の量の約75%以上である最終量で含有する、方法。
【請求項2】
前記最終量が、前記所与の量の約80%以上である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記最終量が、前記所与の量の約90%以上である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記水溶液が、前記1種以上の有機酸を所与の量で含有し、前記エアロゾル前駆体組成物が、前記1種以上の有機酸を、前記所与の量に近い最終量で含有する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記最終量が、前記所与の量の約75%以上である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記最終量が、前記所与の量の約80%以上である、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記最終量が、前記所与の量の約90%以上である、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
前記1種以上の有機酸が、レブリン酸、コハク酸、乳酸、ピルビン酸、安息香酸、フマル酸及びこれらの組合せからなる群から選択される、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記1種以上の蒸気形成剤がポリオールである、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記調製するステップ及び合わせるステップが、加熱なしで実施される、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記調製するステップが、前記水溶液を得るために、加熱、かき混ぜ、撹拌及びこれらの組合せから選択される処理を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記合わせるステップの前又は後に、追加の成分を添加するステップをさらに含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記追加の成分が風味剤である、請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、喫煙物品などのエアロゾル送達デバイスに関し、より詳細には、エアロゾルの生成のために電気的に発生した熱を利用することができるエアロゾル送達デバイス(例えば、電子タバコと一般に呼ばれる喫煙物品)に関する。この喫煙物品は、タバコから作製され得る若しくはタバコに由来し得る材料又はそうでない場合にはタバコを含み得るエアロゾル前駆体であって、人の消費のための吸入可能な物質を形成することが可能な前駆体を、加熱するように構成されることができる。
【背景技術】
【0002】
多くの喫煙デバイスが、長年にわたり、使用のためにタバコを燃焼させる必要がある喫煙製品を改善したもの又は代替品として、提示されてきた。それらのデバイスの多くは、タバコ、葉巻、又はパイプ喫煙に伴う感覚をもたらすが、タバコの燃焼により生じるかなりの量の不完全燃焼及び熱分解生成物を送達しないように設計されてきたとされる。このために、揮発性材料を気化若しくは加熱するため電気エネルギーを利用する、又は著しい程度までタバコを燃焼させずにタバコ、葉巻、又はパイプ喫煙の感覚を与えようと試みる、数多くの喫煙製品、フレーバー発生器、及び医療用吸入器が提案されてきた。例えば、参照により本明細書に組み込むRobinsonらの米国特許第7,726,320号及びCollettらの同第8,881,737号に記述される背景技術で述べられた様々な代替の喫煙物品、エアロゾル送達デバイス、及び熱発生源を参照されたい。また例えば、参照により本明細書に組み込むBlessらの米国特許出願公開第2015/0216232号の商標名及び商業的供給元によって参照される様々なタイプの喫煙物品、エアロゾル送達デバイス、及び電動熱発生源も参照されたい。さらに、様々なタイプの電動エアロゾル送達デバイス及び電動蒸気送達デバイスも、その全てを参照により本明細書に組み込むSearsらの米国特許出願公開第2014/0096781号、Minskoffらの同2014/0283859号、Searsらの同2015/0335070号、Brinkleyらの同2015/0335071号、Ampoliniらの同2016/0007651号、及びWormらの同2016/0050975号に提示されている。これらの代替の喫煙物品のいくつか、例えばエアロゾル送達デバイスは、エアロゾル前駆体(例えば、スモーク液、e-リキッド、又はe-液)の交換可能なカートリッジ又は詰替え可能なタンクを有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許第7,726,320号明細書
【文献】米国特許第8,881,737号明細書
【文献】米国特許出願公開第2015/0216232号明細書
【文献】米国特許出願公開第2014/0096781号明細書
【文献】米国特許出願公開第2014/0283859号明細書
【文献】米国特許出願公開第2015/0335070号明細書
【文献】米国特許出願公開第2015/0335071号明細書
【文献】米国特許出願公開第2016/0007651号明細書
【文献】米国特許出願公開第2016/0050975号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そのようなエアロゾル送達デバイスのエアロゾル前駆体を調製するための代替方法を提供することが、望ましいと考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(発明の要旨)
本開示は、例えば電子タバコなどのエアロゾル送達デバイスに使用される、エアロゾル前駆体組成物を調製するための方法、及びそのような方法によって提供される組成物に関する。ある特定の利益、例えば成分の安定性は、以下、本明細書で十分に概説するそのような方法によって、提供される。
【0006】
一態様では、エアロゾル前駆体組成物を調製するための方法であって、1種以上の有機酸及びニコチンを水中に含む水溶液を調製するステップ、並びに次いでその水溶液を1種以上の蒸気形成剤と合わせてエアロゾル前駆体組成物を得るステップを含む、方法が提供される。
【0007】
一部の実施形態では、水溶液は、所与の量で1種以上の有機酸のうちの少なくとも1種を含有し、エアロゾル前駆体組成物は、所与の量に近い最終量で1種以上の有機酸のうちの少なくとも1種を含有する。例えば、ある特定の実施形態では、最終量が所与の量の約75%以上であり、所与の量の約80%以上であり、又は所与の量の約90%以上である。一部の実施形態では、水溶液は、1種以上の有機酸を所与の量で含有し、エアロゾル前駆体組成物は、所与の量に近い最終量で、1種以上の有機酸を含有する。例えば最終量は、ある特定の実施形態において、所与の量の約75%以上であり、所与の量の約80%以上であり、又は所与の量の約90%以上である。
【0008】
一部の実施形態では、1種以上の有機酸は、レブリン酸、コハク酸、乳酸、ピルビン酸、安息香酸、フマル酸及びこれらの組合せからなる群から選択される。1種以上の蒸気形成剤は、例えばポリオールとすることができる。そのようなポリオールには、限定するものではないがプロピレングリコール、グリセリン及びこれらの混合物を含めることができる。
【0009】
開示された方法は、ある特定の実施形態において、調製するステップ及び合わせるステップが加熱なしで実施されるように、行なうことができる。一部の実施形態では、調製するステップは、水溶液を提供するために、加熱、かき混ぜ、撹拌及びこれらの組合せから選択された処理を含む。開示された方法は、合わせるステップの前又は後に、追加の成分を添加するステップをさらに含んでいてもよい。そのような追加の成分には、限定するものではないが風味剤を含めることができる。
【0010】
一部の実施形態では、方法は、エアロゾル前駆体組成物を、電子タバコなどのエアロゾル送達デバイス内に組み込むステップをさらに含む。開示された方法により提供される組成物、並びにそのような組成物を含むエアロゾル送達デバイスも、本明細書に開示される。
【0011】
ある特定の実施形態は、下記の通りである:
実施形態1: エアロゾル前駆体組成物を調製するための方法であって、1種以上の有機酸及びニコチンを水中に含む水溶液を調製するステップ、並びに前記水溶液を1種以上の蒸気形成剤と合わせてエアロゾル前駆体組成物を得るステップを含む、方法。
【0012】
実施形態2: 前記水溶液が、1種以上の有機酸のうちの少なくとも1種を所与の量で含有し、前記エアロゾル前駆体組成物が、所与の量に近い最終量で1種以上の有機酸のうちの少なくとも1種を含有する、実施形態1の方法。
【0013】
実施形態3: 最終量が、所与の量の約75%以上である、実施形態2の方法。
【0014】
実施形態4: 最終量が、所与の量の約80%以上である、実施形態3の方法。
【0015】
実施形態5: 最終量が、所与の量の約90%以上である、実施形態4の方法。
【0016】
実施形態6: 前記水溶液が、1種以上の有機酸を所与の量で含有し、前記エアロゾル前駆体組成物が、所与の量に近い最終量で1種以上の有機酸を含有する、実施形態1~5のいずれかの方法。
【0017】
実施形態7: 最終量が、所与の量の約75%以上である、実施形態6の方法。
【0018】
実施形態8: 最終量が、所与の量の約80%以上である、実施形態7の方法。
【0019】
実施形態9: 最終量が、所与の量の約90%以上である、実施形態8の方法。
【0020】
実施形態10: 1種以上の有機酸が、レブリン酸、コハク酸、乳酸、ピルビン酸、安息香酸、フマル酸及びこれらの組合せからなる群から選択される、実施形態1~9のいずれかの方法。
【0021】
実施形態11: 1種以上の蒸気形成剤がポリオールである、実施形態1~10のいずれかの方法。
【0022】
実施形態12: 調製するステップ及び合わせるステップが、加熱なしで実施される、実施形態1~11のいずれかの方法。
【0023】
実施形態13: 調製するステップが、水溶液を得るために加熱、かき混ぜ、撹拌及びこれらの組合せから選択される処理を含む、実施形態1~12のいずれかの方法。
【0024】
実施形態14: 合わせるステップの前又は後に追加の成分を添加するステップをさらに含む、実施形態1~13の方法。
【0025】
実施形態15: 追加の成分が風味剤である、実施形態14の方法。
【0026】
実施形態16: エアロゾル前駆体組成物をエアロゾル送達デバイス内に組み込むステップをさらに含む、実施形態1~15のいずれかの方法。
【0027】
本開示のこれら及びその他の特徴、態様及び利点は、以下の簡単に記述される添付図面と一緒に以下の詳細な記述を読むことから明らかにされる。本発明は、上述の実施形態の2つ、3つ、4つ又はそれ以上の任意の組合せ、並びに本開示に記述されるいずれか2つ、3つ、4つ又はそれ以上の特徴又は要素の組合せを、そのような特徴又は要素が本明細書に記述される特定の実施形態と明らかに組み合わされるか否かに関わらず含む。本開示は、その他のことを文脈が明示しない限り、開示される発明の任意の分離可能な特徴又は要素がその様々な態様及び実施形態のいずれかにおいて組合せ可能であるものとして見られるべきであるように、全体を読むものとする。本発明のその他の態様及び利点は、下記から明らかにされる。
【0028】
本開示を前述の一般的な言葉で記述してきたが、次に、必ずしも縮尺を合わせて描かれていない添付図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明の実施形態の、例示的な方法ステップのフローチャートである。
図2】本開示の例示的な実現例による、制御本体に連結されたカートリッジを含むエアロゾル送達デバイスの、側面図を示す。
図3】様々な例示的な実現例による、エアロゾル送達デバイスの部分切取破断図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
次に本開示について、その例示的な実現例を参照しながら、より十分に以下に記述する。これらの例示的な実現例は、本開示が完全に完成するようにかつ本開示の範囲が当業者に十分伝わるように、記述される。事実、本開示は、多くの異なる形に具体化することができ、本明細書に記述される実現例に限定されると解釈されるべきではなく;むしろ、これらの実現例は、本開示が適用可能な法的要件を満たすように提供される。本明細書及び添付される特許請求の範囲で使用される、単数形「1つ(種)(a)」、「1つ(種)(an)」、及び「その(the)」などは、文脈が他に明示しない限り、複数の指示対象を含む。
【0031】
以下に記述されるように、本開示は、エアロゾル送達システムで使用されるエアロゾル前駆体混合物を調製するための方法に関する。詳細には、そのような方法は、エアロゾル前駆体混合物中に含まれるある特定の成分を特定の順序で合わせて、様々な望ましい特性、例えば目標濃度に一致した成分濃度及び良好な貯蔵安定性を示すエアロゾル前駆体を得るステップを含む。詳細には、本開示の方法は、エアロゾル前駆体混合物の組成及び特性の、比較的高い程度の制御を提供することができる。
【0032】
一般に、エアロゾル前駆体は、様々な成分(即ち、構成成分)の組合せ又は混合物を含む。特定のエアロゾル先駆体成分、及び使用されるそれらの成分の相対量の選択は、エアロゾル送達デバイスのアトマイザーによって生成される主流のエアロゾルの化学組成の全体を制御するために修正することができる。
【0033】
一部の実施形態では、エアロゾル前駆体組成物は、十分な熱をそこに加えることによって(必要に応じて、空気で冷却することによって)目に見えるエアロゾルを生成することができ、エアロゾル前駆体組成物は、「煙様」と見なすことができるエアロゾルを生成することができる。その他の実施形態では、エアロゾル前駆体組成物は、実質的に目に見えないがフレーバー又はテクスチャなどのその他の特徴によって存在すると認識できる、エアロゾルを生成することができる。したがって、生成されたエアロゾルの性質は、エアロゾル前駆体組成物の特定の成分に応じて変えることができる。エアロゾル前駆体組成物は、タバコを燃焼させることによって生成される煙の化学的性質よりも、化学的に単純にすることができる。
【0034】
特に関心が持たれているのは、その性質がほぼ液体であると特徴付けることができるエアロゾル前駆体である。例えば、代表的なほぼ液体のエアロゾル前駆体は、液体溶液、混和性成分の混合物、又は懸濁した若しくは分散した成分を含む液体の形を有していてもよく、エアロゾル送達デバイスの使用中に経験するような条件下で熱に曝露された後に気化することが可能であり、したがって、吸入することが可能な蒸気及びエアロゾルをもたらすことが可能である。
【0035】
エアロゾル前駆体は、いわゆる「エアロゾル形成剤」成分を、一般に含む。そのような材料は、本開示の特徴であるアトマイザーの通常の使用中に経験するような条件下で熱に曝露されて気化したときに、目に見えるエアロゾルをもたらす能力を有する。そのようなエアロゾル形成材料は、様々なポリオール/多価アルコール(例えば、グリセリン、プロピレングリコール、及びこれらの混合物)を含む。本開示の多くの実施形態は、水、湿分、又は水性液体として特徴付けることができるエアロゾル前駆体成分を含む。ある特定のエアロゾル送達デバイスの通常使用の条件中、これらのデバイス内に含まれる水は気化して、発生するエアロゾルの成分をもたらすことができる。したがって、本開示の目的で、エアロゾル前駆体中に存在する水は、エアロゾル形成材料であると考えられる。例えば、エアロゾル前駆体組成物は、グリセリン及び水の混合物、又はプロピレングリコール及び水の混合物、又はプロピレングリコール及びグリセリンの混合物、又はプロピレングリコール、グリセリン及び水の混合物を含むことができる。
【0036】
エアロゾル前駆体組成物は、さらに、1種以上のフレーバー、医薬品又はその他の吸入可能な材料を含むことができる。感覚特性又は吸い込まれる主流エアロゾルの性質を変化させる様々な着香剤又はフレーバー材料が、エアロゾル前駆体の成分として含まれてもよい。着香剤は、例えば、エアロゾルのフレーバー、芳香及び/又は感覚受容特性を変化させるのに、添加されてもよい。ある特定の着香剤は、タバコ以外の供給源から提供されてもよい。着香剤は、その性質が天然であっても人工であってもよく、濃縮物又はフレーバーパッケージとして用いられてもよい。
【0037】
例示的な着香剤には、バニリン、エチルバニリン、クリーム、紅茶、コーヒー、フルーツ(例えば、リンゴ、サクランボ、イチゴ、モモ、並びにライム及びレモンを含む柑橘類のフレーバー)、花のフレーバー、セイボリーのフレーバー、メープル、メントール、ミント、ペパーミント、スペアミント、ウィンターグリーン、ナツメグ、クローブ、ラベンダー、カルダモン、ジンジャー、蜂蜜、アニス、セージ、シナモン、白檀、ジャスミン、カスカリラ、ココア、リコリス、メントール、並びにタバコ、葉巻及びパイプタバコの着香に伝統的に使用されてきたタイプ及び特性の着香及びフレーバーパッケージが含まれる。使用され得る例示的な植物由来の組成物は、それらの開示全体を参照により本明細書に組み込むDubeらの米国出願第12/971,746号及びDubeらの米国出願第13/015,744号に開示されている。高フルクトースコーンシロップなどのシロップも、用いることができる。ある特定の着香剤は、最終エアロゾル先駆体混合物の配合前に、エアロゾル形成材料中に含まれてもよい(例えば、ある特定の水溶性着香剤を水中に含むことができ、メントールをプロピレングリコール中に含むことができ、ある特定の複合フレーバーパッケージをプロピレングリコール中に含むことができる。)。
【0038】
着香剤は、酸性又は塩基性の特徴(例えば、有機酸、アンモニウム塩又は有機アミン)も含むことができる。有機酸は特に、エアロゾル前駆体と組み合わされてもよいニコチンなどの医薬品のフレーバー、感覚、又は感覚受容特性に所望の変化が得られるよう、エアロゾル前駆体に含まれてもよい。例えば、レブリン酸、コハク酸、乳酸、ピルビン酸、安息香酸及び/又はフマル酸などの有機酸は、ニコチンに対して最大で等モルになる量で(全有機酸含量に対して)、ニコチンと共にエアロゾル前駆体に含まれてもよい。有機酸の任意の組合せを使用することができる。例えば、エアロゾル前駆体は、ニコチン1モル当たりレブリン酸を約0.1~約0.5モル、ニコチン1モル当たりピルビン酸を約0.1~約0.5モル、ニコチン1モル当たり乳酸を約0.1~約0.5モル、又はこれらの組合せを、存在する有機酸の総量がエアロゾル前駆体中に存在するニコチンの総量と等モルになる濃度まで、含むことができる。
【0039】
電子タバコとして特徴付けられるエアロゾル送達デバイスの場合、エアロゾル前駆体は、最も好ましくは、タバコ又はタバコ由来の成分を含む(本明細書では、「ニコチン供給源」と呼ぶ。)。1つの点に関し、タバコは、微細に粉砕され、ミリングされ、又は粉末化されたタバコ葉身など、タバコの部分又は小片として提供されてもよい。別の点に関し、タバコは、タバコの水溶性成分の多くを含む噴霧乾燥抽出物などの抽出物の形で提供されてもよい。代わりに、タバコ抽出物は、比較的高いニコチン含量の抽出物の形を有していてもよく、この抽出物は、タバコ由来の、少量のその他の抽出成分も含む。その他の点に関し、タバコ由来の成分は、タバコに由来するある特定の着香剤など、比較的純粋な形で提供され得る。1つの点に関し、タバコに由来する成分及び高度に精製された形又は本質的に純粋な形で用いられ得る成分が、ニコチン(例えば、医薬品グレードのニコチン)である。
【0040】
タバコ由来の医薬品グレードのニコチンを含むタバコ抽出物を含有するエアロゾル前駆体材料の実施形態において、タバコ抽出物は、例えば、N’-ニトロソノルニコチン(NNN)、(4-メチルニトロソアミノ)-1-(3-ピリジル)-1-ブタノン(NNK)、N’-ニトロソアナタビン(NAT)及びN’-ニトロソアナバシン(NAB)を含むタバコ特異的ニトロサミン(TSNA);ベンズ[a]アントラセン、ベンゾ[a]ピレン、ベンゾ[b]フルオランテン、ベンゾ[k]フルオランテン、クリセン、ジベンズ[a,h]アントラセン及びインデノ[1,2,3-cd]ピレンを含む多環芳香族炭化水素(PAH)などを含む、Hoffmann分析物としてまとめて公知の化合物を実質的に含まないものとして特徴付けることが有利である。ある特定の実施形態では、エアロゾル前駆体材料は、TSNA及びPAHを含むいかなるHoffmann分析物も完全に含まないものとして特徴付けることができる。エアロゾル前駆体材料の実施形態は、約5ppm未満、約3ppm未満、約1ppm未満若しくは約0.1ppm未満又は任意の検出可能限界よりもさらに低い範囲のTSNAレベル(又はその他のHoffmann分析物レベル)を有していてもよい。ある特定の抽出プロセス又は処理プロセスは、Hoffmann分析物濃度の低減を実現するのに使用することができる。例えば、タバコ抽出物は、例えば、それらの全てが参照により本明細書に組み込まれるByrdらの米国特許第9,192,193号;及びBhattacharyyaらの米国特許公開第2007/0186940号;Reesらの同2011/0041859号;及びJonssonらの同2011/0159160号に記述されるものなどの、刷込みポリマー又は非刷込みポリマーに接触させることができる。さらに、タバコ抽出物は、ある特定のアルデヒド及びその他の化合物を除去することができる、アミン官能基を有するイオン交換材料で処理することができる。例えば、それらの全体を参照により本明細書に組み込むHorsewellらの米国特許第4,033,361号及びFiglarらの同6,779,529号を参照されたい。
【0041】
エアロゾル前駆体組成物は、内部で利用される材料の様々な量に基づいて、様々な立体配座をとることができる。例えば、有用なエアロゾル前駆体組成物は、最大約98重量%、最大約95重量%又は最大約90重量%のポリオールを含んでいてもよい。この総量は、2種以上の異なるポリオールの任意の組合せに分割することができる。例えば、1種のポリオールは、重量でエアロゾル前駆体の約50%~約90%、約60%~約90%又は約75%~約90%を構成することができ、第2のポリオールは、重量でエアロゾル前駆体の約2%~約45%、約2%~約25%又は約2%~約10%を構成することができる。有用なエアロゾル前駆体は、最大約30重量%、最大約25重量%、約20重量%又は約15重量%の水-特に重量で約2%~約30%、約2%~約25%、約5%~約20%又は約7%~約15%の水を含むこともできる。フレーバーなど(ニコチンなどの医薬を含むことができる)は、重量でエアロゾル前駆体の最大約10%、最大で約8%又は最大で約5%を構成することができる。典型的には、ニコチン以外のフレーバー化合物は、ppm若しくはμg/gレベルで、又は約0.004%~約0.1%で存在することができ;メントールなど、ニコチン以外のいくつかのフレーバー化合物は、より高いレベルで存在することができ、例えばエアロゾル前駆体に対して最大約4重量%(例えば、約1.5重量%~約3重量%の間)で存在することができるが、これらに限定するものではない。さらにメントールが使用される場合、水の量は一部の実施形態において、望ましくは、メントールの沈殿が生じないように最小限に抑えることができる。一部の実施形態において、フレーバーは、エアロゾル形成剤溶液の形でエアロゾル前駆体溶液中に含まれ(例えば、水中、プロピレングリコール及び/又はグリセリン溶液中)、そのような実施形態では、フレーバー含有エアロゾル形成剤溶液を、全エアロゾル前駆体重量に対して約5%~約10重量%の量で用いることができ、1種以上のフレーバーを、その内部に様々な濃度で含めることができる。
【0042】
非限定的な例として、本発明によるエアロゾル前駆体は、グリセロール、プロピレングリコール、水、ニコチン及び1種以上のフレーバーを含むことができる。特に、グリセロールは、約70%~約90重量%、約70%~約85重量%、約70%~約80%、又は約75%~約85重量%の量で存在することができ、プロピレングリコールは、約1%~約10重量%、約1%~約8重量%、又は約2%~約6重量%の量で存在することができ、水は、約1%~約30重量%、例えば約1%~約25重量%、約1%~約10重量%、約1%~約5%、約10%~約25重量%、約10%~約20重量%、約12%~約20重量%、約12%~約16重量%の量で存在することができ、ニコチンは、約0.1%~約7重量%、約0.1%~約5重量%、約0.5%~約4重量%、又は約1%~約3重量%の量で存在することができ、フレーバーは、最大約5重量%、最大約3重量%、又は最大約1重量%の量で存在することができ、全ての量は、エアロゾル前駆体の全重量に対するものである。エアロゾル前駆体の、ある特定の非限定的な例は、約75%~約80重量%のグリセロール、約13%~約15重量%の水、約4%~約6重量%のプロピレングリコール、約2%~約3重量%のニコチン、及び約0.1%~約0.5重量%のフレーバーを含む。ニコチンは例えば、タバコ抽出物からのものであることができる。
【0043】
別の非限定的な例は、より多量のプロピレングリコールを例えば重量で約15%~約40%、例えば約15%~約30%、又は約25%~約35%含み、このときグリセロールは、上記非限定的な例におけるよりも少量で、例えば約40%~約70重量%又は約50%~約70%で存在し、水は、約5%~約20重量%、約10%~約18重量%、又は約12%~約16重量%の量で存在することができ、ニコチンは、約0.1%~約7重量%、約0.1%~約5重量%、約0.5%~約4重量%、又は約1%~約3重量%の量で存在することができ、フレーバーは、最大約5重量%、最大約3重量%、又は最大約1重量%の量で存在することができ、全ての量はエアロゾル前駆体の全重量に対するものである。
【0044】
代表的なタイプのエアロゾル前駆体成分及び配合物は、Robinsonらの米国特許第7,726,320号及びZhengらの米国特許公開第2013/0008457号;Chongらの同2013/0213417号及びCollettらの同2014/0060554号、Lipowiczらの同2015/0020823号;及びKollerらの同2015/0020830号、並びにBowenらのWO2014/182736でも述べられかつ特徴付けられ、それらの開示を参照により本明細書に組み込む。追加のエアロゾル前駆体組成物は、Sensabaugh,Jr.らの米国特許第4,793,365号;Jakobらの米国特許第5,101,839号;BiggsらのPCT WO98/57556;及びChemical and Biological Studies on New Cigarette Prototypes that Heat Instead of Burn Tobacco、R.J.Reynolds Tobacco Company Monograph(1988年)で述べられており、それらの開示を参照により本明細書に組み込む。例示的なエアロゾル前駆体組成物は、関連ある喫煙カートリッジタイプC1a、C2a、C3a、C4a、C1b、C2b、C3b及びC4bを使用して用いることができる、E-CIGという商標名を有する電子葉巻として;並びにRuan SBT Technology and Development Co.,Ltd.、北京、中国からのRyuan噴霧電子パイプ及びRyuan噴霧電子タバコとして、Atlanta Imports Inc.、Acworth、Ga.、USA.を経て入手可能なデバイス内に組み込まれる材料のタイプのものも含む。
【0045】
用いることができるその他のエアロゾル前駆体には、R.J.Reynolds Vapor CompanyによるVUSE(登録商標)製品、Lorillard TechnologiesによるBLU(商標)製品、Mistic EcigsによるMISTIC MENTHOL製品、及びCN Creative Ltd.によるVYPE製品に組み込まれたエアロゾル前駆体を含む。Johnson Creek Enterprises LLCから入手可能な電子タバコ用のいわゆる「スモーク液」も望ましい。発泡性材料の実施形態を、エアロゾル前駆体と共に使用することができ、例として、参照により本明細書に組み込むHuntらの米国特許公開第2012/0055494号に記載されている。さらに、発泡性材料の使用が、例えばNiaziらの米国特許第4,639,368号;Wehlingらの米国特許第5,178,878号;Wehlingらの米国特許第5,223,264号;Patherらの米国特許第6,974,590号;及びBergquistらの米国特許第7,381,667号、並びにStricklandらの米国特許公開第2006/0191548号;Crawfordらの同2009/0025741号;Brinkleyらの同2010/0018539号;及びSunらの同2010/0170522号;及びJohnsonらのPCT WO97/06786に記載されており、それらの全てを参照により本明細書に組み込む。
【0046】
開示される方法によれば、エアロゾル前駆体のある特定の成分は、特定の順序で合わされる。エアロゾル前駆体の調製におけるある特定のステップを示す例示的なフローチャートを、図1に提示する。詳細には、ニコチンを含むエアロゾル前駆体を調製するために、ニコチンは、1種以上の有機酸と有利に最初に合わされる。ニコチンと1種以上の有機酸との組合せは、様々な溶媒中で実施できるが、好ましくは、溶媒は水を含む。溶媒は、水に加えて追加の溶媒を含むことができ、好ましくは水と混和性があり、ニコチン及び/又は有機酸との否定的な相互作用はない。ニコチン、有機酸、及び水を合わせる順序は限定されない。例えば一部の実施形態では、ニコチンと1種以上の有機酸は共に、水溶液/分散体として独立して提供され、水溶液/分散体が合わされる。一部の実施形態では、ニコチン及び1種以上の有機酸を合わせ、水をそこに添加する。その他の実施形態では、水が提供され、そこにニコチン及び有機酸が添加される(未処理/固体形態で又は水溶液/分散体で)。他の実施形態では、未処理のニコチンを、1種以上の有機酸の水溶液/分散体に添加し、さらに他の実施形態では、1種以上の有機酸をニコチンの水溶液に添加する。一部の実施形態では、ニコチンは、グリセリン中溶液として提供される。例えば、そのようなニコチン溶液は、有機酸の水溶液又は分散体と合わせることができる。
【0047】
この混合ステップに用いられる溶媒の量は、変えることができるが、ある特定の実施形態では、最終エアロゾル前駆体で望まれる所与の溶媒の最大量を決定すること、及び最大量以下であるこの混合ステップのための量を使用することが、有益である。例えば、所望の最終エアロゾル前駆体が5重量%以下の水を含む場合、混合ステップで使用される水の量は、有利には、最終エアロゾル前駆体中で5重量%を提供するのに必要とされる値以下である。必要に応じて、この混合物中の水の量は、そこにより多くの水を添加することによって又は水の一部を蒸発させることによって、望み通りに修正することができる。
【0048】
理論により限定されるものではないが、一部の実施形態では、ニコチン及び有機酸の初期組合せは、ニコチン及び/又は有機酸を安定化させるのを助けることができると考えられる。一部の実施形態では、ニコチン及び有機酸の初期組合せは、ニコチン及び有機酸を含むニコチン塩(又はその他のニコチン種、例えば共結晶)の形成をもたらし得る。様々な共形成剤を持つニコチン塩は、例えば、それらの全てを全体として参照により本明細書に組み込むDullらの米国特許第9,738,622号及びBowenらの同9,215,895号;並びにDullらの米国特許出願公開第2016/0185750号及びBowenらの同20150020824号に記載されている。
【0049】
ニコチンと1種以上の有機酸とを合わせるこのステップは、一般に、水溶液の形成をもたらす。「水溶液」とは、溶媒の少なくとも一部が水を含む液体を意味する。ニコチン及び有機酸は、典型的には完全に溶解するが、本開示はそれに限定されず、ニコチン及び/又は有機酸の少なくとも一部が完全には溶解せず、例えばいくらかの固体が液相中に分散される、ニコチン及び有機酸の混合物を用いることも可能である。
【0050】
一部の実施形態では、この合わせるステップは実質的に室温で実施され、即ち、ニコチン、有機酸及び溶媒は、エアロゾル前駆体の調製において高温に曝露されない。一部の実施形態では、開示される方法は、合わせるステップの前又は後に、ニコチン、有機酸及び/又は溶媒を加熱するステップを含む。例えば、一部の実施形態では、ニコチン及び有機酸の溶媒中混合物を加熱して、溶媒中へのニコチン及び/又は有機酸の溶解を容易にすることができる。同様に、一部の実施形態では、開示される方法は、調製プロセスのこの段階で混合物をかき混ぜるステップをさらに含む。かき混ぜは、一部の実施形態では、ニコチン及び/又は有機酸の溶媒中への完全な混合及び溶解を容易にするのを助けることができる。
【0051】
これらの成分を混合するのに使用される特定の技法及び装置は、変えることができる。一部の実施形態では、この合わせるステップは、適切な撹拌による(例えば、オーバーヘッドパドル撹拌子又は磁気撹拌棒)ビーカー又は丸底フラスコなどの典型的な実験室用ガラス器具で実施することができる。そのような実験室規模の設備を使用して、エアロゾル前駆体を調製するための追加の成分と同様に、水溶液の成分を合わせる/混合することができる。一部の実施形態では、熱量計(例えば、Mettler Toledo RC1熱量計)を用いて反応発熱をモニターすることができる。大規模で、大型ドラム、鋼製トート、又はガラスライニングされたジャケット付き反応器、例えばPfaudlerから入手可能なものなどを使用して、エアロゾル前駆体が得られるように、追加の成分と同様に水溶液の成分を合わせる/混合することができる。
【0052】
上記で参照される水溶液の調製後、様々なその他の成分を組み込んで最終エアロゾル前駆体を得ることができる。例えば、開示される方法は一般に、水溶液に関して上記で言及されたように、1種以上の「エアロゾル形成剤」成分を添加するステップをさらに含む。開示された方法は、風味剤など、最終エアロゾル前駆体に望まれる1種以上の追加の成分を添加するステップをさらに含むことができる。そのような追加の成分は、独立して又はそのような成分の1種以上の混合物として添加することができる。追加の成分は、当技術分野で公知の任意の手段によって、様々な量で組み込むことができる。典型的には、水溶液は、初期混合ステップ中に加熱された場合、そこに1種以上の追加の成分を添加する前に室温に冷却される。さらなる混合は、各添加の間に実施することができ、多数の成分が別々に添加され、かつ/又は1回で全ての成分が合わされる。この場合も、加熱及び/又はかき混ぜを、プロセスの任意のステップで使用して、例えば溶解/混合を促進させることができる。一実施形態では、方法全体が、加熱なしで実施され、即ち、方法は室温で行なわれる。有利には、プロセスの少なくとも大部分が、加熱なしで実施され、即ち、プロセスの大部分が室温で行なわれる。一実施形態では、ニコチン及び1種以上の有機酸を水中で合わせて水溶液を生成し、その後、1種以上の風味剤をそこに添加し、次いで1種以上のエアロゾル形成剤(例えば、ポリオール/多価アルコール)を添加してエアロゾル前駆体を生成する。
【0053】
有利には、そのような「エアロゾル形成剤」成分(水以外、最初の混合ステップで使用されるもの)なしでニコチン及び有機酸を最初に合わせることによって、有機酸とエアロゾル形成剤成分との間の望ましくない反応を最小限に抑えることができる。特に、ポリオール/多価アルコールが存在しない状態でニコチン及び有機酸を合わせることで、ポリオール/多価アルコールとのエステルの形成による有機酸の損失を最小限に抑えることができる。したがって、本明細書で概説される混合方法は、エアロゾル前駆体中の有機酸の意図される量に近似した有機酸含量を持つ、エアロゾル前駆体配合物を提供することができる。
【0054】
例えば、有機酸の量「A」は、エアロゾル前駆体中の有機酸Aの所望の重量パーセント「x」を理想的に提供するために計算され、したがって有機酸の量「A」は、開示される方法で使用される。有利には、開示された方法に基づいて、エアロゾル前駆体中の有機酸Aの実際の重量パーセントは「x」から著しく逸脱しない。例えば、一部の実施形態では、エアロゾル前駆体中の1種以上の有機酸の濃度は、目標とされるよりも約25%以下少なく、目標とされるよりも約20%以下少なく、目標とされるよりも約10%以下少なく、又は目標とされるよりも約5%以下少ない。複数の異なる有機酸が、開示される方法で使用される場合、各有機酸は独立してこれらの制限を満たし、かつ/又は合わせた有機酸は、これらの制限を満たすことができる。例えば、一部の実施形態では、エアロゾル前駆体中の有機酸のうちの1種以上の濃度は独立して、目標とされるよりも約25%以下少なく、目標とされるよりも約20%以下少なく、目標とされるよりも約10%以下少なく、又は目標とされるよりも約5%以下少なく、かつ/又はエアロゾル前駆体中の有機酸の全濃度は、目標とされるよりも約25%以下少なく、目標とされるよりも約20%以下少なく、目標とされるよりも約10%以下少なく、又は目標とされるよりも約5%以下少ない。
【0055】
本開示は主に、エアロゾル形成剤成分(水以外)が存在しない状態でニコチンを独立して有機酸と合わせる方法に関するが、それに限定されないことに留意されたい。本発明のある特定の利益は、代替の実施形態、例えば有機酸及びエアロゾル形成剤成分を合わせ、そこにニコチンを添加する実施形態で認識することができる。理論により限定されるものではないが、ある特定のそのような系において、ニコチン塩の形成(即ち、ニコチンと1種以上の有機酸との間の反応)は、有機酸とエアロゾル形成剤との間の望ましくない反応よりも迅速にすることができると考えられる。したがって、そのような方法は、開示される本発明の範囲内に包含されることも意図される。
【0056】
本発明の方法は、エアロゾル前駆体中に添加された有機酸の多くの保持をもたらすものであり、ある特定の利益を提供する。例えば、エアロゾル前駆体中の有機酸は、エアロゾル前駆体中に存在するニコチンの少なくとも一部のプロトン化を確実にするのに、有利とすることができると理解される。そのようなプロトン化は、望ましくは、使用者の喉に低度から中低度のざらつき感をもたらす、前駆体から生成されたエアロゾルをもたらす。一般に、少な過ぎる酸がエアロゾル前駆体中に含まれる場合、より多量のニコチンが非プロトン化のままになり、エアロゾルの気相では、使用者は増大した喉のざらつき感を経験することになることが理解される。例えば、参照により本明細書に組み込むLipowiczらの米国特許出願公開第20150020823号を参照されたい。したがって本発明の方法は、目標とする量に近いエアロゾル前駆体中の有機酸の量を提供できるものであり、望ましい感覚/味覚特性(例えば、減少したざらつき感)をもたらすことができる。
【0057】
一部の実施形態では、エアロゾル前駆体のpHは、所望の範囲内で維持することができる。この場合も、副反応の量を制限することによって、エアロゾル前駆体の目標pHをより正確に得ることができる。一部の実施形態では、本明細書に開示される方法は、副生成物含量が減少したエアロゾル前駆体をさらに提供する。この場合も、本発明の方法は、エアロゾル前駆体の成分同士のある特定の相互作用を特に回避するように設計され、したがってそのような相互作用を最小限に抑えることにより、より少ない副生成物が形成され得る。一般に、開示される方法は、それによって生成されたエアロゾル前駆体組成物の組成(例えば、有機酸の量、望ましくない副生成物の量など)及び特性(例えば、pH、安定性)の、高度な制御を行なうことができる。
【0058】
一部の実施形態では、実質的に室温でエアロゾル前駆体の調製を実施することにより提供された、さらなる利益があると考えられる(プロセスの大部分は、加熱なしで実施される。)。この場合も、エアロゾル前駆体の成分が熱に曝露されないことにより、得られる生成物は、一部の実施形態においてより安定になることができ、一部の実施形態では、そのような成分の目標量に近い様々な成分の量を示すことができる。
【0059】
開示される方法は、当技術分野で一般に公知のように、エアロゾル前駆体をエアロゾル送達システム内に組み込むステップをさらに含むことができる。エアロゾル送達システムは一般に、吸入可能な物質を形成するよう材料を加熱するのに(好ましくは、材料をいかなる著しい程度にも燃焼させることなく)電気エネルギーを使用し;そのようなシステムの構成要素は、最も好ましくは手持ち式デバイスと考えられるよう十分にコンパクトである物品の形を有する。即ち、好ましいエアロゾル送達システムの構成要素の使用は、エアロゾルが主にタバコの燃焼又は熱分解の副生成物から得られるという意味で、煙の生成をもたらさず、むしろそれらの好ましいシステムの使用は、その内部に含まれるある特定の成分の揮発又は気化から得られる蒸気の生成をもたらす。いくつかの例示的な実現例では、エアロゾル送達システムの構成要素は、電子タバコとして特徴付けることができ、それらの電子タバコは、最も好ましくはタバコ及び/又はタバコ由来の成分を含み、したがってタバコ由来の成分をエアロゾルの形で送達する。本明細書に開示されるように調製されたエアロゾル前駆体を組み込むことができるエアロゾル送達システムは、蒸気生成物品又は医薬送達物品であると特徴付けることもできる。したがって、そのような物品又はデバイスは、1種以上の物質(例えば、フレーバー及び/又は医薬活性成分)を吸入可能な形又は状態で提供するように適合させることができる。例えば吸入可能な物質は、実質的に蒸気の形をとることができる(即ち、その臨界点よりも低い温度で気相にある物質)。代わりに、吸入可能な物質は、エアロゾル(即ち、気体中の微細な固体粒子又は液滴の懸濁体)の形をとることができる。単純化する目的で、本明細書で使用される「エアロゾル」という用語は、目に見えても見えなくても、及び煙様であると考えられ得る形のものであってもなくても、人が吸入するのに適した形又はタイプの蒸気、気体及びエアロゾルを含むことを意味する。
【0060】
エアロゾル送達システムは一般に、ハウジングと呼ぶことができる外側本体又はシェルの内部に提供されるいくつかの構成要素を含む。外側本体又はシェルの全体設計は、様々にすることができ、エアロゾル送達デバイスの全体サイズ及び形状を画定することができる外側本体の形式又は構成は、様々にすることができる。典型的には、タバコ又は葉巻の形状に似ている細長い本体は、単一の一体的ハウジングから形成することができ、又は細長いハウジングは、2つ以上の分離可能な本体で形成することができる。例えば、エアロゾル送達デバイスは、形が実質的に管状の、したがって従来のタバコ又は葉巻の形状に似ている細長いシェル又は本体を含むことができる。一例では、エアロゾル送達デバイスの構成要素の全ては、1つのハウジング内に収容される。代わりに、エアロゾル送達デバイスは、接合されかつ分離可能な2つ以上のハウジングを含むことができる。例えば、エアロゾル送達デバイスは、一端に、1つ以上の再使用可能な構成要素(例えば、再充電可能なバッテリー及び/又はキャパシターなどのアキュムレーター、並びにその物品の動作を制御するための様々な電子部品)を収容するハウジングを含む制御本体を保有し、他端には、取外し可能に連結可能な、使い捨て部分(例えば、使い捨てフレーバー含有カートリッジ)を収容する外側本体又はシェルを保有することができる。それらの全体を参照により本明細書に組み込む2017年9月19日に出願されたSurらの米国特許出願第15/708,729号及び2017年1月27日に出願されたSurらの米国特許出願第15/417,376号に記載されている、デバイスのタイプも参照されたい。
【0061】
本開示のエアロゾル送達システムは、最も好ましくは、電源(即ち、電力供給源)、少なくとも1つの制御構成要素(例えば、物品の電源からその他の構成要素への電流の流れを制御することなどにより、熱を発生させるために電力を作動させ、制御し、調節し及び停止させるための手段-例えば、アナログ電子制御構成要素)、加熱器又は熱発生部材(例えば、電気抵抗加熱素子又はその他の構成要素であり、単独で又は1つ以上の他の要素と組み合わせて、「アトマイザー」と一般に呼ぶことができるもの)、エアロゾル前駆体組成物(例えば、「スモーク液」、「e-リキッド」及び「e-液」と一般に呼ばれる成分など、一般に、十分な熱を加えることでエアロゾルをもたらすことが可能な液体)、及びエアロゾル吸入のためにエアロゾル送達デバイスにおける吸い込みを可能にする口側端部領域又は先端(例えば、発生したエアロゾルを、吸い込むことでそこから引き出すことができる、物品内を通して画定された空気流経路)のいくつかの組合せを含む。
【0062】
様々なエアロゾル送達システム構成要素の選択及び配置構成は、例えば、本開示の背景技術の項で言及されたような代表的な製品など、一般に入手可能な電子エアロゾル送達デバイスを考慮することによって、理解することができる。様々な例では、エアロゾル送達デバイスは、エアロゾル前駆体組成物を保持するように構成されたリザーバーを含むことができる。リザーバーは特に、多孔質材料(例えば、繊維状材料)で形成することができ、したがって多孔質基材(例えば、繊維状基材)と呼ぶことができる。リザーバーは、誘導加熱を容易にするために、フェライト材料の内部に収容されてもよく又はフェライト材料によってその他の手法で取り囲まれてもよい。
【0063】
エアロゾル送達デバイスのリザーバーとして有用な繊維状基材は、複数の繊維又はフィラメントで形成された織布又は不織材料とすることができ、天然繊維及び合成繊維の一方又は両方で形成することができる。例えば繊維状基材は、繊維ガラス材料を含んでいてもよい。特定の例では、酢酸セルロース材料を使用することができる。その他の例示的な実現例では、炭素材料を使用することができる。リザーバーは、実質的に容器の形をとってもよく、その内部に含まれる繊維状材料を含んでいてもよい。
【0064】
図2は、本開示の様々な例示的な実現例による、制御本体102及びカートリッジ104を含むエアロゾル送達デバイス100の側面図を示す。特に図1は、互いに連結された制御本体及びカートリッジを示す。制御本体及びカートリッジは、機能的関係において取外し可能に位置合わせされてもよい。様々な機構は、ネジによる係合、圧入による係合、締まり嵌め又は磁気係合などをもたらすように、カートリッジを制御本体に接続してもよい。エアロゾル送達デバイスは、カートリッジ及び制御本体が組み立てられた構成にある場合、いくつかの例示的な実現例において、実質的に棒様であってもよく、実質的に管形状であってもよく、又は実質的に円筒形状であってもよい。エアロゾル送達デバイスは、断面が実質的に長方形又は偏菱形であってもよく、そのことが、フラットバッテリーを含む電源などの実質的に平らな又は薄膜電源に対してデバイスをさらに適合性あるものにすることができる。カートリッジ及び制御本体は、いくつかの異なる材料のいずれかで形成され得る、個別の、それぞれのハウジング又は外側本体を含んでいてもよい。ハウジングは、任意の適切な、構造的に堅固な材料で形成されてもよい。一部の例では、ハウジングは、ステンレス鋼、アルミニウム又は同様のものなどの金属又は合金で形成されてもよい。その他の適切な材料には、様々なプラスチック(例えば、ポリカーボネート)、プラスチックを覆う金属めっき及びセラミックスなどが含まれる。
【0065】
一部の例示的な実現例では、エアロゾル送達デバイス100の制御本体102又はカートリッジ104の一方又は両方を、使い捨て可能と又は再使用可能と呼んでもよい。例えば、制御本体は、交換可能なバッテリー又は再充電可能なスーパーキャパシターを有していてもよく、したがって、典型的な壁付きコンセントとの接続、カーチャージャー(即ち、シガーライターソケット)との接続、コンピューターとの接続、例えばユニバーサルシリアルバス(USB)ケーブル又はコネクターを通したもの、無線ラジオ周波数(RF)チャージャーとの接続、又は光起電力セル(時々、太陽電池とも呼ばれる)若しくは太陽電池のソーラーパネルとの接続を含めた任意のタイプの再充電技術と組み合わせてもよい。適切な再充電技術のいくつかの例について、以下に記述する。さらに、一部の例示的な実現例では、カートリッジは、その全体を参照により本明細書に組み込むChangらの米国特許第8,910,639号に開示されるように、単回使用カートリッジを含んでいてもよい。
【0066】
図3は、いくつかの例示的な実現例によるエアロゾル送達デバイス100を、より詳細に示す。そこに示される切取図でわかるように、この場合も、エアロゾル送達デバイスは制御本体102及びカートリッジ104を含むことができ、そのそれぞれは、いくつかのそれぞれの構成要素を含む。図3に示される構成要素は、制御本体及びカートリッジに存在してもよい構成要素を表し、本開示により包含される構成要素の範囲を限定するものではない。図示されるように、例えば制御本体は、制御構成要素208(例えば、電子アナログ構成要素)、センサー210、電源212、及び1つ以上の発光ダイオード(LED)214(例えば、有機発光ダイオード(OLED))などの様々な電子部品を含むことができる制御本体シェル206で、形成することができ、そのような構成要素は様々に位置合わせすることができる。流れセンサーは、加速度計、ジャイロスコープ、光センサー又は近接センサーなど、いくつかの適切なセンサーを含んでいてもよい。
【0067】
電源212は、参照により本明細書に組み込むSurらの米国特許出願第14/918926号に開示されるように、リチウムイオンバッテリー、固体電池又はスーパーキャパシターなどの適切な電源であってもよく又はこれらの電源を含んでいてもよい。適切な固体電池の例には、STMicroelectronics’EnFilm(商標)再充電可能固体リチウム薄膜バッテリーが含まれる。適切なスーパーキャパシターの例には、電気二重層キャパシター(EDLC)、ハイブリッドキャパシター、例えばリチウムイオンキャパシター(LIC)又は同様のものが含まれる。
【0068】
いくつかの例示的な実現例では、電源212は、制御構成要素208(例えば、アナログ電子構成要素)に電流を送達するよう構成された再充電可能な電源であってもよい。これらの例において、電源は、抵抗温度検出器(RTD)を介して充電回路に接続されてもよい。RTDは、電源の温度が閾値量を超えたときに充電回路に信号を伝達するよう構成されてもよく、充電回路は、それに応答して電源の充電を停止するようにしてもよい。これらの例において、電源の安全な充電は、デジタルプロセッサー(例えば、マイクロプロセッサー)及び/又はデジタル処理論理回路から独立して確実にすることができる。
【0069】
LED214は、エアロゾル送達デバイス100が備えることができる、適切な視覚インジケーターの一例であってもよい。いくつかの例においてLEDは、有機LED又は量子ドット対応LEDを含んでいてもよい。音響インジケーター(例えば、スピーカー)、触覚インジケーター(例えば、振動モーター)又は同様のものなどのその他のインジケーターを、有機LED又は量子ドット対応LEDを含めたLEDなどの視覚インジケーターに加えて又はそのような視覚インジケーターの代替例として含めることができる。
【0070】
カートリッジ104は、リザーバーハウジングに貯蔵されたエアロゾル前駆体組成物を加熱器222(時々、加熱素子と呼ばれる)まで吸い上げ又はその他の手法で輸送するように適合された液体輸送素子220に、流体連通しているリザーバー218を、包封するカートリッジシェル216で形成することができる。様々な構成において、この構造をタンクと呼んでもよく;したがって「タンク」及び「カートリッジ」などの用語は、エアロゾル前駆体組成物用のリザーバーを包封し加熱器を含む、シェル又はその他のハウジングを指すのに同義で使用されてもよい。一部の例では、弁を、リザーバーと加熱器との間に配置してもよく、リザーバーから加熱器に入る又は送達されるエアロゾル前駆体組成物の量を制御するように構成されてもよい。
【0071】
その内部を経て電流が印加されたときに熱を生成するように構成される材料の様々な例を用いて、加熱器222を形成してもよい。これらの例における加熱器は、ワイヤーコイル又はマイクロ加熱器などの抵抗加熱素子であってもよい。ワイヤーコイルをそこから形成することができる例示的な材料には、カンタル(FeCrAl)、ニクロム、二ケイ化モリブデン(MoSi)、ケイ化モリブデン(MoSi)、アルミニウムがドープされた二ケイ化モリブデン(Mo(Si,Al))、チタン(Ti)、黒鉛及び黒鉛をベースにした材料(例えば、炭素をベースにしたフォーム及び糸)並びにセラミックス(例えば、正又は負の温度係数のセラミックス)が含まれる。本開示によるエアロゾル送達デバイスに有用な加熱器又は加熱部材の例示的な実現例について、以下にさらに記述し、これらの実現例は、本明細書に記述されるように図3に例示されるものなどのデバイスに組み込むことができる。
【0072】
開口部224は、カートリッジ104からの、形成されたエアロゾルの流出が可能になるように、カートリッジ216に(例えば、口側端部領域に)存在してもよい。加熱器222に加え、カートリッジ104は、1つ以上のその他の電子構成要素226を含んでいてもよい。これらの電子構成要素は、集積回路、メモリ構成要素又はセンサーなどを含んでいてもよい。電子構成要素は、制御構成要素208と及び/又は外部デバイスと、有線又は無線手段によって通信するように適合され得る。電子構成要素は、カートリッジ内のいずれかの場所又はそのベース部228に配置されてもよい。
【0073】
制御構成要素208及びセンサー210は別々に示されているが、制御構成要素及びセンサーは、電子回路基板として組み合わされてもよいことが理解される。さらに電子回路基板は、この電子回路基板を制御本体の中心軸に対して縦方向に平行にすることができるので、図3の図に対して水平に配置されてもよい。一部の例において、センサーは、それ自体の回路基板、又はセンサーを取付けすることができるその他のベース要素を含んでいてもよい。一部の例では、フレキシブル回路基板を利用してもよい。フレキシブル回路基板は、様々な形状に構成されてもよく、実質的に管形状を含んでいてもよい。一部の例では、フレキシブル回路基板は、以下にさらに記述されるように、加熱器の基材と組み合わされてもよく、この基材上に層状化されてもよく、又はこの基材の一部若しくは全てを形成してもよい。
【0074】
制御本体102及びカートリッジ104は、それらの間での流体係合を容易にするよう適合された構成要素を含んでいてもよい。図3に示すように、制御本体は、内部にキャビティ232を有する連結器230を含むことができる。カートリッジのベース部228は、連結器に係合するよう適合させることができ、キャビティ内に嵌るように適合された突起部234を含むことができる。そのような係合は、制御本体とカートリッジとの間の安定な接続を容易にすることができると共に、制御本体の電源212及び制御構成要素208と、カートリッジの加熱器222との間の電気接続を確立することができる。さらに、制御本体シェル206は空気吸入口236を含むことができ、この吸入口はシェルの切込みであってもよく、連結器に接続されて、連結器の周りの周囲空気の通過及びシェル内への進入を可能にし、次いでこの空気は連結器のキャビティ232を通過して、突起部234を通過してカートリッジに入る。
【0075】
使用中、加熱器222は作動して、エアロゾル前駆体組成物の成分を気化させる。エアロゾル送達デバイスの口側端部における吸い込みにより、周囲空気は空気吸入口236に進入し、連結器230のキャビティ232及びベース部228の突起部234の中心開口部を通過する。カートリッジ104では、吸い込まれた空気が、形成された蒸気と合わさって、エアロゾルを形成する。エアロゾルは加熱器から運び出され、吸い出され、又はその他の手法で引き出され、エアロゾル送達デバイスの口側端部の開口部224から出て行く。
【0076】
本開示による有用な連結器及びベース部は、その全体を参照により本明細書に組み込むNovakらの米国特許出願公開第2014/0261495号に記載されている。例えば、図3の連結器230は、ベース部228の内周240に一致するように構成された外周238を画定し得る。一例では、ベース部の内周は、連結器の外周の半径に実質的に等しい又は僅かに大きい半径を画定し得る。さらに、連結器は、ベース部の内周で画定された1つ以上のリセス部244に係合するよう構成された外周で、1つ以上の突起部242を画定してもよい。しかし、構造、形状及び成分の様々なその他の例を用いて、ベース部を連結器に連結してもよい。一部の例では、カートリッジ104のベース部と制御本体102の連結器との間の接続は、実質的に永続的であってもよく、それに対してその他の例では、それらの間の接続は、例えば制御本体を、使い捨て可能な及び/又は詰替え可能な1つ以上の追加のカートリッジと共に再使用できるように、解除可能であってもよい。
【0077】
エアロゾル送達デバイス100は、一部の例において、実質的に棒様又は実質的に管形状又は実質的に円筒形状であってもよい。その他の例では、他の形状及び寸法が包含され、例えば長方形又は三角形の断面又は多面形状などが包含される。
【0078】
図3に示されるリザーバー218は、現在記述されるように、容器とすることができ又は繊維状リザーバーとすることができる。例えばリザーバーは、この例において、カートリッジシェル216の内部を取り囲む管の形状に実質的に形成された不織繊維の1つ以上の層を含むことができる。エアロゾル前駆体組成物は、リザーバー内に保持することができる。例えば液体成分は、リザーバーによって吸着により保持されることができる。リザーバーは、液体輸送素子220と流体連通することができる。液体輸送素子は、この例で金属ワイヤーの形をとる加熱器222に、毛管作用を介してリザーバーに貯蔵されたエアロゾル前駆体組成物を輸送することができる。したがって加熱器は、液体輸送素子と共に加熱配置構成をとる。本開示によるエアロゾル送達デバイスに有用なリザーバー及び輸送素子の例示的な実現例について、以下にさらに記述し、そのようなリザーバー及び/又は輸送素子は、本明細書に記述されるように図3に示されるものなどのデバイスに組み込むことができる。特に、以下にさらに記述される加熱部材及び輸送素子の特定の組合せは、本明細書に記述されるように、図3に示されるものなどのデバイスに組み込まれてもよい。
【0079】
エアロゾル送達デバイスの様々な構成要素は、当技術分野で記述される及び市販の構成要素から選択することができる。本開示により使用することができるバッテリーの例は、その全体を参照により本明細書に組み込むPeckerarらの米国特許出願公開第2010/0028766号に記載されている。
【0080】
エアロゾル送達デバイス100は、エアロゾル発生が望まれるときに加熱器222への電力の供給を制御するために、センサー210又は別のセンサー若しくは検出器を含むことができる。したがって例えば、エアロゾル送達デバイスの場合に加熱器への電力を止め、吸い込みの最中に加熱器による熱の発生を作動させ又は誘発させるために電力をオンにする、手法又は方法が提供される。追加の代表的なタイプの、感知又は検出する機構、その構造及び構成、その構成要素、及びその一般的な操作方法は、それらの全体の全てを参照により本明細書に組み込むSprinkel,Jr.の米国特許第5,261,424号、McCaffertyらの米国特許第5,372,148号、及びFlickのPCT特許出願公開WO2010/003480に記載されている。
【0081】
エアロゾル送達デバイス100は、最も好ましくは、加熱器222への電力の量を制御するための、制御構成要素208又は別の制御機構を組み込む。代表的なタイプの電子構成要素、その構造及び構成、その特徴、及びその一般的な操作方法は、それらの全体を全て参照により本明細書に組み込むGerthらの米国特許第4,735,217号、Brooksらの米国特許第4,947,874号、McCaffertyらの米国特許第5,372,148号、Fleischhauerらの米国特許第6,040,560号、Nguyenらの米国特許第7,040,314号、Panの米国特許第8,205,622号、Fernandoらの米国特許出願公開第2009/0230117号、Colletらの米国特許出願公開第2014/0060554号、Ampoliniらの米国特許出願公開第2014/0270727号、及びHenryらの米国特許出願公開第2015/0257445号に記載されている。
【0082】
エアロゾル前駆体を支持するための代表的なタイプの基材、リザーバー、又はその他の構成要素は、それらの全体の全てを参照により本明細書に組み込むNewtonの米国特許第8,528,569号及びChapmanらの米国特許出願公開第2014/0261487号、Davisらの同2015/0059780号、及びBlessらの同2015/0216232号に記載される。さらに、ある特定のタイプの電子タバコにおける様々な吸い上げ材料並びにそれらの吸い上げ材料の構成及び動作は、その全体を参照により本明細書に組み込むSearsらの米国特許出願公開第2014/0209105号に記載されている。
【0083】
視覚的合図又はインジケーターをもたらす追加の代表的なタイプの構成要素は、視覚的インジケーター及び関連する構成要素、音響インジケーター、触覚インジケーター及び同様のものなどを、エアロゾル送達デバイス100で用いてもよい。適切なLED構成要素並びにその構成及び使用の例は、それらの全体を全て参照により本明細書に組み込むSprinkelらの米国特許第5,154,192号、Newtonの米国特許第8,499,766号、Scatterdayの米国特許第8,539,959号及びSearsらの米国特許第9,451,791号に記載されている。
【0084】
本開示のエアロゾル送達デバイスに組み込むことができる、さらにその他の特徴、制御又は構成要素は、それらの全体の全てを参照により本明細書に組み込むHarrisらの米国特許第5,967,148号、Watkinsらの米国特許第5,934,289号、Countsらの米国特許第5,954,979号、Fleischhauerらの米国特許第6,040,560号、Honの米国特許第8,365,742号、Fernandoらの米国特許第8,402,976号、Kataseの米国特許出願公開第2005/0016550号、Fernandoらの米国特許出願公開第2010/0163063号、Tuckerらの米国特許出願公開第2013/0192623号、Levenらの米国特許出願公開第2013/0298905号、Kimらの米国特許出願公開第2013/0180553号、Sebastianらの米国特許出願公開第2014/0000638号、Novakらの米国特許出願公開第2014/0261495号及びDePianoらの米国特許出願公開第2014/0261408号に記載されている。
【0085】
制御構成要素208は、いくつかの電子構成要素を含み、一部の例では、電子構成要素を支持し電気的に接続するプリント回路基板(PCB)で形成されてもよい。電子構成要素は、デジタルプロセッサー(例えば、マイクロプロセッサー)及び/又はデジタル処理論理回路とは独立して動作するように構成されたアナログ電子構成要素を含んでいてもよい。一部の例では、制御構成要素は、1つ以上のネットワーク、コンピューティングデバイス又はその他の適切に対応可能なデバイスとの無線通信が可能になるように、通信インターフェースに連結されてもよい。適切な通信インターフェースの例は、その内容全体が参照により組み込まれるMarionらの米国特許出願公開第2016/0261020号に開示されている。またそれによりエアロゾル送達デバイスが無線通信するように構成され得る、適切な手法の例は、Ampoliniらの米国特許出願公開第2016/0007651号及びHenry,Jr.らの米国特許出願公開第2016/0219933号に開示されている。
【実施例
【0086】
有機酸を混合槽に添加し、水を添加する。混合物を、溶解が生じるまで撹拌し、水溶液を得る。ニコチンをゆっくりと水溶液に添加し、溶液を、引き続き室温に冷却する(必要な場合)。風味剤を、冷却した水溶液に添加する。その後、エアロゾル形成剤を添加し、混合物を完全に撹拌して、均質な混合物を得る。
【0087】
様々なそのような混合物を調製し、酸の含量に関して分析した。酸の含量は、目標とする酸の含量と同等であることが主にわかった。混合物を、不透明なボトル中で6週間、室温で維持し、酸レベルはこの期間にわたり一定であることがわかった。さらに、その他の同等な混合物を、不透明なボトル中で4週間、室温で維持し、その後、加速試験条件(40℃/75%RH、安定性チャンバー内)に曝露した。この場合も、酸レベルは、この時間/加速条件研究にわって一定であることがわかった。
【0088】
本明細書で述べた本開示の多くの修正例及びその他の実現例を、先の記述及び関連する図面で提示された教示の利益を有する本開示が関係する当業者なら思い浮かべることになる。したがって本開示は、開示される特定の実現例に限定するものではなく、修正例及びその他の実現例は、添付される特許請求の範囲内に含まれるものとすることを理解されたい。さらに、先の記述及び関連する図面は、要素及び/又は機能のある特定の例示的な組合せの文脈において、例示的な実現例について記述するが、添付される特許請求の範囲から逸脱することなく、代替の実現例によって、要素及び/又は機能の異なる組合せが提供され得ることを、理解すべきである。この点に関し、例えば、上記にて明示されるものとは異なる要素及び/又は機能の組合せも、添付される特許請求の範囲のいくつかで述べることができることが企図される。特定の用語が本明細書で用いられるが、それらは包括的及び記述的な意味でのみ使用され、限定を目的とするものではない。
図1
図2
図3