(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-11
(45)【発行日】2023-05-19
(54)【発明の名称】薄膜延伸装置の送風装置とその薄膜延伸装置
(51)【国際特許分類】
B29C 55/02 20060101AFI20230512BHJP
【FI】
B29C55/02
(21)【出願番号】P 2020527810
(86)(22)【出願日】2018-11-21
(86)【国際出願番号】 EP2018082111
(87)【国際公開番号】W WO2019101808
(87)【国際公開日】2019-05-31
【審査請求日】2021-10-14
(31)【優先権主張番号】102017127595.9
(32)【優先日】2017-11-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】510331593
【氏名又は名称】ブリュックナー・マシーネンバウ・ゲーエムベーハー・ウント・コー・カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100082049
【氏名又は名称】清水 敬一
(74)【代理人】
【識別番号】100220711
【氏名又は名称】森山 朗
(72)【発明者】
【氏名】バウマイスター・ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】ギアポウリス・アンチモス
(72)【発明者】
【氏名】ホイスル・トビアス
(72)【発明者】
【氏名】ウンターライナー・マルクス
【審査官】田代 吉成
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2012/133152(WO,A1)
【文献】国際公開第2008/114586(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 55/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂薄膜帯(2)を加熱し又は冷却する薄膜延伸装置(1)用の送風装置(3)において、
薄膜進入領域(6a)から薄膜退出領域(6b)への引出方向(4)に搬送面(7)に沿って送風装置(3)内で樹脂薄膜帯(2)を移動する薄膜進入領域(6a)及び薄膜退出領域(6b)と、
薄膜進入領域(6a)と薄膜退出領域(6b)との間に設けられる噴出ノズル装置(8)から樹脂薄膜帯(2)に向かって加熱し又は冷却する空気を噴出する少なくとも1つの第1の噴出ノズル装置(8)と、
少なくとも1つの第1の噴出ノズル装置(8)に設けられて樹脂薄膜帯(2)の引出方向(4)に対して横断する又は直角な長さ方向(5)にかつ搬送面(7)に対して平行に配置される少なくとも1つの噴出ノズル(8a)と、
薄膜進入領域(6a)と薄膜退出領域(6b)との間に配置されて少なくとも1つの第1の吸引装置(9)内の空気を排出する少なくとも2つの吸引路(10a, 10b)を形成する吸引領域(11a, 11b)を有する少なくとも1つの第1の吸引装置(9)とを備え、
少なくとも1つの第1の噴出ノズル装置(8)の少なくとも1つの噴出ノズル(8a)及び少なくとも両吸引領域(11a, 11b)は、搬送面(7)の同一側に配置され、
少なくとも両吸引領域(11a, 11b)は、引出方向(4)に互いに間隔を空けてかつ搬送面(7)に対して平行に配置され、少なくとも両吸引領域(11a, 11b)の長さ方向(5)は、樹脂薄膜帯(2)の引出方向(4)に対して横断方向又は直角に配置され、
少なくとも1つの第1の噴出ノズル装置(8)の少なくとも1つの噴出ノズル(8a)は、第1の吸引領域(11a)と第2の吸引装置(11b)と間に配置され、少なくとも1つの第1の吸引領域(11a)は、樹脂薄膜帯(2)の引出方向(4)の少なくとも1つの噴出ノズル(8a)の前方のみに配置され、少なくとも1つの第2の吸引領域(11b)は、樹脂薄膜帯(2)の引出方向(4)の少なくとも1つの噴出ノズル(8a)の後方のみに配置され、
少なくとも1つの第1の噴出ノズル装置(8)は、複数のノズル筐体(20b, 20c, 20d, 20e, 20f)を備え、主に又は完全に空気不透過性の被覆板(25)は、2つのノズル筐体(20a, 20b, 20c, 20d, 20e, 20f)間に又は2つのノズル筐体(20a, 20b, 20c, 20d, 20e, 20f)から離間して搬送面(7)に対して平行に配置されることを特徴とする送風装置(3)。
【請求項2】
樹脂薄膜帯(2)を加熱し又は冷却する薄膜延伸装置(1)用の送風装置(3)において、
薄膜進入領域(6a)から薄膜退出領域(6b)への引出方向(4)に搬送面(7)に沿って送風装置(3)内で樹脂薄膜帯(2)を移動する薄膜進入領域(6a)及び薄膜退出領域(6b)と、
薄膜進入領域(6a)と薄膜退出領域(6b)との間に設けられる噴出ノズル装置(8)から樹脂薄膜帯(2)に向かって加熱し又は冷却する空気を噴出する少なくとも1つの第1の噴出ノズル装置(8)と、
少なくとも1つの第1の噴出ノズル装置(8)に設けられて樹脂薄膜帯(2)の引出方向(4)に対して横断する又は直角な長さ方向(5)にかつ搬送面(7)に対して平行に配置される少なくとも1つの噴出ノズル(8a)と、
薄膜進入領域(6a)と薄膜退出領域(6b)との間に配置されて少なくとも1つの第1の吸引装置(9)内の空気を排出する少なくとも2つの吸引路(10a, 10b)を形成する吸引領域(11a, 11b)を有する少なくとも1つの第1の吸引装置(9)とを備え、
少なくとも1つの第1の噴出ノズル装置(8)の少なくとも1つの噴出ノズル(8a)及び少なくとも両吸引領域(11a, 11b)は、搬送面(7)の同一側に配置され、
少なくとも両吸引領域(11a, 11b)は、引出方向(4)に互いに間隔を空けてかつ搬送面(7)に対して平行に配置され、少なくとも両吸引領域(11a, 11b)の長さ方向(5)は、樹脂薄膜帯(2)の引出方向(4)に対して横断方向又は直角に配置され、
少なくとも1つの第1の噴出ノズル装置(8)の少なくとも1つの噴出ノズル(8a)は、第1の吸引領域(11a)と第2の吸引装置(11b)と間に配置され、少なくとも1つの第1の吸引領域(11a)は、樹脂薄膜帯(2)の引出方向(4)の少なくとも1つの噴出ノズル(8a)の前方のみに配置され、少なくとも1つの第2の吸引領域(11b)は、樹脂薄膜帯(2)の引出方向(4)の少なくとも1つの噴出ノズル(8a)の後方のみに配置され、
少なくとも1つの噴出ノズル(8a)よりも搬送面(7)方向に突出して、少なくとも1つの噴出ノズル(8a)の長さ方向(5)に配置される案内板(60)を、少なくとも1つの第1の噴出ノズル装置(8)の少なくとも1つの噴出ノズル(8a)に取り付けたことを特徴とする送風装置(3)。
【請求項3】
2つのノズル筐体(20a, 20b, 20c, 20d, 20e, 20f)間に又は2つのノズル筐体(20a, 20b, 20c, 20d, 20e, 20f)から離間して、搬送面(7)に対して平行に配置される主に又は完全に空気不透過性の被覆板(25)の配置位置により、異なる噴出ノズル(8a, 8b, 8c, 8d, 8e, 8f)の隣接する2つの吸引領域(11a, 11b)が制限される請求項1又は2に記載の送風装置(3)。
【請求項4】
2つのノズル筐体(20a, 20b, 20c, 20d, 20e, 20f)は、間隙(28)を形成して互いに隣接して配置され、
吸引路(10a, 10b)は、各ノズル筐体(20a, 20b, 20c, 20d, 20e, 20f)により形成される吸引領域(11a, 11b)から間隙(28)を通って形成され、被覆板(25)は、隔壁(29)により2つのノズル筐体(20a, 20b, 20c, 20d, 20e, 20f)に固定されかつ搬送面(7)方向に突出する請求項3に記載の送風装置(3)。
【請求項5】
両吸引領域(11a, 11b)は、搬送面(7)に重なる領域内の噴出ノズル(8a)の噴出領域でのノズル開口領域(13)の面積よりも、搬送面(7)に重なる領域内で8倍~14倍大きい面積の全吸引開口領域(12)を有する請求項1又は2に記載の送風装置(3)。
【請求項6】
第1の吸引領域(11a)と第2の吸引領域(11b)の全吸引開口領域(12)の面積は、搬送面(7)に重なる領域内の噴出ノズル(8a)の全ノズル開口領域(13)の面積に対し、搬送面(7)に重なる領域内で8倍以上、9倍、10倍、11倍、12倍又は13倍を上回り、かつ/又は、
第1の吸引領域(11a)と第2の吸引領域(11b)の全吸引開口領域(12)の面積は、噴出ノズル(8a)の全ノズル開口領域(13)の面積に対し、搬送面(7)に重なる領域内で14倍以下、13倍、12倍、11倍、10倍又は9倍未満である請求項5に記載の送風装置(3)。
【請求項7】
少なくとも両吸引領域(11a, 11b)は、少なくとも1つの第1の噴出ノズル装置(8)の前方又は後方で、100cm、90cm、80cm、70cm、60cm、50cm、40cm、30cm、20cm又は10cm未満の距離だけ樹脂薄膜帯(2)の引出方向(4)に離間して配置され、かつ/又は
少なくとも1つの第1の吸引装置(9)は、少なくとも1つの第1の噴出ノズル装置(8)を介して噴出する容量空気流量の少なくとも80%、85%、90%又は95%を少なくとも両吸引領域(11a, 11b)を介して吸引する請求項1又は2に記載の送風装置(3)。
【請求項8】
第1の吸引領域(11a)の吸引開口領域(12a)の面積は、第2の吸引領域(11b)の吸引開口領域(12b)と実質的に同一の大きさの面積を有し、又は、
第1の吸引領域(11a)の吸引開口領域(12a)と第2の吸引領域(11b)の吸引開口領域(12b)の面積は、30%、25%、20%、15%、10%又は5%未満互いに異なる請求項1又は2に記載の送風装置(3)。
【請求項9】
少なくとも1つの第1の噴出ノズル装置(8)の少なくとも1つの噴出ノズル(8a)に設けられる長孔ノズルのノズル開口領域(13)は、噴出ノズル(8a)の長さ方向(5)に配置されかつ完全に又は部分的に開放する長孔により形成され、及び/又は、
少なくとも1つの第1の噴出ノズル装置(8)の少なくとも1つの噴出ノズル(8a)は、孔付きノズルを備え、
ノズル開口領域(13)は、噴出ノズル(8a)の長さ方向(5)に少なくとも1列にかつ互いに離間して配置されると共に、格子状配列形態の複数の孔を有する請求項1又は2に記載の送風装置(3)。
【請求項10】
第1の吸引領域(11a)は、その長さ方向(5)に少なくとも1列にかつ互いに離間して配置される第1の格子状配列(40a)形態の孔により形成され、かつ/又は、
第2の吸引領域(11b)は、その長さ方向(5)に少なくとも1列にかつ互いに離間して配置される第2の格子状配列(40b)形態の孔により形成される請求項1又は2に記載の送風装置(3)。
【請求項11】
第1の吸引領域(11a)及び/又は第2の吸引領域(11b)の少なくとも1つの孔又は全孔の引出方向(4)の寸法は、第1の吸引領域(11a)及び/又は第2の吸引領域(11b)の長さ方向(5)の寸法よりも大きい請求項10に記載の送風装置(3)。
【請求項12】
ノズル開口領域(13)の少なくとも1つの孔又は全孔の断面は、a)矩形、b)円形、c)楕円形若しくはd)n多角形の形状又はその近似形状を備え、及び/又は、
第1の吸引領域(11a)及び/又は第2の吸引領域(11b)の少なくとも1つの孔又は全孔の断面は、a)矩形、b)円形、c)楕円形若しくはd)n多角形の形状又はその近似形状を備える請求項11に記載の送風装置(3)。
【請求項13】
少なくとも1つの第1の噴出ノズル装置(8)は、少なくとも1つの噴出ノズル(8a)を配置する少なくとも1つのノズル筐体(20a)を備える請求項1又は2に記載の送風装置(3)。
【請求項14】
ノズル筐体(20a)は、引出方向(4)に互い離間して配置される第1の側壁(21a)と第2の側壁(21b)とを備え、第1の側壁(21a)と第2の側壁(21b)は、搬送面(7)の引出方向の横断方向又は直角な少なくとも1つの噴出ノズル(8a)の長さ方向(5)に配置され、
少なくとも1つのノズル筐体(20a)は、噴出ノズル(8a)に対向して少なくとも1つの噴出ノズル(8a)の長さ方向(5)に配置されて側壁(21a, 21b)を互いに連結する背壁(21c)を備え、
少なくとも1つの噴出ノズル(8a)は、両側壁(21a, 21b)間に配置される請求項13に記載の送風装置(3)。
【請求項15】
第1の吸引路(10a)の一部は、第1の側壁(21a)の外側に沿って形成され、
第2の吸引路(10b)の一部は、第2の側壁(21b)の外側に沿って形成される請求項14に記載の送風装置(3)。
【請求項16】
引出方向(4)に沿って互いに離間して配置される両側壁(21a, 21b)は、少なくとも部分的に搬送面(7)に重なって配置され、少なくとも1つのノズル筐体(20a)は、少なくとも部分的に断面が傾斜する側壁(21a, 21b)の端部間に配置される噴出ノズル(8a)を備え、又は、
側壁(21a, 21b)は、実質的に互いに平行に配置されかつ搬送面(7)側の前壁(21d)により閉鎖され、少なくとも1つの噴出ノズル(8a)は、搬送面(7)に隣接して配置される前壁(21d)から突出し、前壁(21d)は、前壁(21d)の第1の部分に沿って形成される第1の吸引路(10a)と、前壁(21d)の第2の部分に沿って形成される第2の吸引路(10b)との2路に区分される請求項15に記載の送風装置(3)。
【請求項17】
両吸引領域(11a, 11b)の両格子状配列(40a, 40b)は、噴出ノズル(8a)のノズル開口領域(13)に隣接してかつ搬送面(7)に対して平行に配置される請求項16に記載の送風装置(3)。
【請求項18】
少なくとも1つの第1の吸引装置(9)は、樹脂薄膜帯(2)の引出方向(4)に対して横断方向の実質的に直角な長さ方向(5)にかつ搬送面(7)に対して平行に配置される少なくとも1つの吸引筐体(26a)を備え、
少なくとも1つの吸引筐体(26a)は、少なくとも1つのノズル筐体(20a)よりも搬送面(7)から離間して配置され、少なくとも1つの吸引筐体(26a)と少なくとも1つのノズル筐体(20a)は、搬送面(7)の同一側に配置され、
少なくとも1つの吸引筐体(26a)は、少なくとも1つの第1の吸引筐体(26a)の長さ方向(5)に形成される貫通吸引長孔(27)又は少なくとも1つの吸引筐体(26a)の長さ方向(5)に互いに離間して配置される複数の吸引開口を備える請求項17に記載の送風装置(3)。
【請求項19】
少なくとも1つの第1の吸引装置(9)は、少なくとも1つの第1の噴出ノズル装置(8)の少なくとも1つのノズル筐体(20a)内に組み込まれる請求項17に記載の送風装置(3)。
【請求項20】
特定の空気量を特定の時間で特定の温度に加熱し又は冷却する少なくとも1つの加熱装置及び/又は冷却装置が設けられ、
少なくとも1つの加熱装置及び/又は冷却装置は、少なくとも1つの第1の噴出ノズル装置(8)に連結される空気出口を備え、
少なくとも1つの加熱装置及び/又は冷却装置に設けられる空気入口は、a)少なくとも1つの第1の吸引装置(9)に連結されて、送風装置(3)を空気噴出ノズル装置として作動し、又はb)送風装置(3)の外側の領域に連結されて、新鮮な空気を吸引する請求項1又は2に記載の送風装置(3)。
【請求項21】
少なくとも1つの第1の噴出ノズル装置(8)の少なくとも1つの噴出ノズル(8a)は、引出方向(4)に互いに離間して配置される2吸引路を有する対ノズルを備え、ノズル開口領域(13)は、引出方向(4)に互いに離間する2つのノズル開口領域を有する請求項1又は2に記載の送風装置(3)。
【請求項22】
樹脂薄膜帯(2)の引出方向(4)に対して横断方向又は直角な長さ方向(5)に配置されかつ搬送面(7)に対して平行に配置される少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ又は5つの追加噴出ノズル(8b, 8c, 8d, 8e, 8f)が少なくとも1つの第1の噴出ノズル装置(8)に設けられ、1つの付加噴出ノズル(8b)又は複数の付加噴出ノズル(8b, 8c, 8d, 8e, 8f)は、噴出領域に独自の各ノズル開口領域(13)を有し、
少なくとも1つの第1の噴出ノズル装置(8)の全噴出ノズル(8a, 8b, 8c, 8d, 8e, 8f)は、引出方向(4)に互いに離間してかつ搬送面(7)の同一側に配置され、
各付加噴出ノズル(8b, 8c, 8d, 8e, 8f)のノズル開口領域(13)の各々は、第1の吸引領域(11a)と第2の吸引領域(11b)との間に配置され、第1の吸引領域(11a)と第2の吸引領域(11b)は、第1の吸引路(10a)又は第2の吸引路(10b)を介して少なくとも1つの第1の吸引装置(9)に連結され、
第1の吸引領域(11a)は、樹脂薄膜帯(2)の引出方向(4)に各付加噴出ノズル(8b, 8c, 8d, 8e, 8f)の前方のみに配置され、第2の吸引領域(11b)は、樹脂薄膜帯(2)の引出方向(4)に各付加噴出ノズル(8b, 8c, 8d, 8e, 8f)の後方のみに配置される請求項1又は2に記載の送風装置(3)。
【請求項23】
被覆板(25)は、隣接する噴出ノズル(8a, 8b, 8c, 8d, 8e, 8f)と同一の長さだけ搬送面(7)から間隔を空ける請求項22に記載の送風装置(3)
【請求項24】
少なくとも1つの第1の噴出ノズル装置(8)の全噴出ノズル(8a, 8b, 8c, 8d, 8e, 8f)は、搬送面(7)から同一の距離離間し、又は、
少なくとも1つの第1の噴出ノズル装置(8)の少なくとも1つの噴出ノズル(8a)は、少なくとも1つの第1の噴出ノズル装置(8)の他の噴出ノズル(8b, 8c, 8d, 8e, 8f)よりも搬送面(7)に対して近く配置される請求項1又は2に記載の送風装置(3)。
【請求項25】
ノズル開口領域(13)を夫々備える1つ又は複数の噴出ノズル(8a, 8b, 8c, 8d, 8e, 8f)を有する少なくとも1つの第2の噴出ノズル装置(30)と、複数の吸引領域(11a, 11b)を有する少なくとも1つの第2の吸引装置(31)とが設けられ、
1つの噴出ノズル(8a)又は複数の噴出ノズル(8a, 8b, 8c, 8d, 8e, 8f)は、樹脂薄膜帯(2)の引出方向(4)に対して横断方向又は直角な長さ方向(5)にかつ搬送面(7)に対して平行に配置され、吸引領域(11a, 11b)は、樹脂薄膜帯(2)の引出方向(4)に対して横断方向又は直角な長さ方向(5)に配置され、少なくとも1つの第2の噴出ノズル装置(30)の1つの噴出ノズル(8a)又は複数の噴出ノズル(8a, 8b, 8c, 8d, 8e, 8f)のノズル開口領域(13)は、少なくとも1つの第2の吸引装置(31)の第1の吸引領域(11a)と第2の吸引領域(11b)との間に配置され、かつ、
少なくとも1つの第1の噴出ノズル装置(8)と、少なくとも1つの第1の噴出ノズル装置(9)は、搬送面(7)の第1の側に配置され、少なくとも1つの第2の噴出ノズル装置(30)と少なくとも1つの第2の吸引装置(31)は、第1の側に対向する位置の搬送面(7)の第2の逆側に配置される請求項1又は2に記載の送風装置(3)。
【請求項26】
第1の噴出ノズル装置(8)の少なくとも1つの噴出ノズル(8a)は、第2の噴出ノズル装置(30)の少なくとも1つの噴出ノズル(8a)に平面図上重ねられて配置され、
第1の吸引装置(9)の少なくとも1つの第1の吸引領域(11a)は、第2の吸引装置(31)の少なくとも1つの第1の吸引領域(11a)に平面図上重ねられて配置され、
第1の吸引装置(9)の少なくとも1つの第2の吸引領域(11b)は、第2の吸引装置(31)の少なくとも1つの第2の吸引領域(11b)に平面図上重ねられて配置される請求項25に記載の送風装置(3)。
【請求項27】
請求項1~26の何れか1項により構成される1つの送風装置(3)又は複数の送風装置(3)を用いて樹脂薄膜帯(2)を製造することを特徴とする薄膜延伸装置(1)。
【請求項28】
全ての送風装置(3)は、同一の部品で構成され、又は、
少なくとも2つの送風装置(3)は、少なくとも1つの第1の噴出ノズル装置(8)の噴出ノズル(8a~8h)数が異なり、送風装置(3)の少なくとも1つの第1の噴出ノズル装置(8)の全噴出ノズル(8a~8h)の全ノズル開口領域は、別の送風装置(3)の少なくとも1つの第1の噴出ノズル装置(8)の全噴出ノズル(8a~8c)の全ノズル開口領域に一致する請求項27に記載の複数の送風装置(3)を備える樹脂薄膜帯(2)を製造する薄膜延伸装置(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の部品で構成されかつ交換可能な薄膜延伸装置の送風装置(送風モジュール)と、送風装置を取り付ける薄膜延伸装置とに関する。薄膜延伸装置は、例えば、縦延伸装置、横延伸装置、縦延伸と横延伸とを行う順次延伸装置又は同時延伸装置である。
【背景技術】
【0002】
樹脂薄膜(プラスチックフィルム)の製造に役立つ薄膜延伸装置は、異なる温度で作動される様々な複数の領域に区分される。樹脂薄膜(単に薄膜ともいう)を適切な温度に調節する送風装置が薄膜延伸装置に必要である。ある種の薄膜特性を生成し又は設定する機能に加えて、温度調節装置は、処理体系工学的に樹脂薄膜帯を調節温度下で延伸(縦方向及び/又は横方向に)することができる。薄膜延伸装置は、樹脂薄膜帯の搬送方向、即ち引出方向に互いに離間して配置される複数の送風装置を備える。送風装置に設けられる複数の送風ノズルは、樹脂薄膜帯の温度を調節する機能がある。送風ノズルを噴出ノズル又は噴出ノズル装置とも称する。
【0003】
複数の送風ノズルを樹脂薄膜帯に極力接近して配置して、可能な限り良好な熱伝達の達成が従来試みられた。しかし、複数の噴出ノズルを通り複数の噴出ノズル間で、搬送装置により樹脂薄膜帯を搬送するとき、送風ノズルを樹脂薄膜帯に接近して配置する可能性は、実際に樹脂薄膜帯の搬送装置の構造により制限される。また、搬送装置の高さと適切な安全距離の面から、噴出ノズルの樹脂薄膜帯への距離を予め設定すべき問題もある。
【0004】
嵌合式ノズル取付具を使用して、樹脂薄膜帯に接近して噴出ノズルを取付られる可能性がある。しかし、高価なこの解決構造は、稀にしか実現できない。搬送装置に対する樹脂薄膜帯の幅(延伸幅)も調節し設定すべきであるから、ノズル取付部も同時に調節しなければならない。この種のノズル取付具は、機械的に複雑で、価格増大の原因になる。
【0005】
様々の従来の送風装置が公知である。特許文献1は、孔付きノズル形態の送風ノズルを示す。引出方向又はこれに直角(垂直)な横断方向に間隔を空けて配列される複数の孔を通り、容量流量の空気が貫流する。多室装置(供給室、別室、分配室)を介して複数の孔に容量流量の空気が、供給される。
【0006】
特許文献2は、被覆材料用の温度調節装置を示す。樹脂薄膜帯が移動する搬送通路の両側に複数の噴出ノズルが、配置される。噴出ノズルの噴出開口は、複数の循環開口内に配置される。噴出ノズルから噴出される空気噴流は、樹脂薄膜帯の表面に衝突して跳ね返り、その後、循環開口から再び吸引される。
【0007】
特許文献2に開示される温度調節装置は、空気流の流動経路が不明瞭な欠点がある。即ち、噴出する空気流は、時間的に空気流が固定静止する滞留のない混沌変動流を形成すると基本的に表現できる。具体的には、往復方向に混沌として揺動する自由噴流を意味する。自由噴流は、短時間のみ移動する樹脂薄膜帯の表面に衝突し又は短時間のみ直接隣接する吸引開口に偏向する。変動する混沌流は、時間的及び部分的に不均等な樹脂薄膜帯への加熱又は冷却を生じて、不均一な機械的特性が樹脂薄膜帯に形成される難点がある。
【0008】
特許文献2に開示される被覆すべき材料の代わりに、樹脂薄膜帯を製造するとき、品質均一化の問題は、より重大になる。樹脂薄膜帯の機械的特性(例えば、平坦度、曇り度、ガーレー透気度、多孔性又は収縮値)を製造時に均一に保持することが重要である。噴出空気の自由噴流(空気流ともいう)が極端に変動しかつ反転する現象は、極めて異なる熱伝達を樹脂薄膜帯に生じて、樹脂薄膜帯に不均一特性が生ずる欠点となる。例えば、前進移動する樹脂薄膜帯の一部は、常に空気流が真に反転する際に空気流の上方を走行する可能性がある。従って、樹脂薄膜帯の上方通過部は、伝達熱量が減少する難点が発生する。他方、偶然にも常に空気流が樹脂薄膜帯の他の部分に好都合に衝突して、大量の熱伝達が行われることもある。この場合、高い熱伝達の領域と、低い熱伝達の領域とが交互に形成され、樹脂薄膜帯は異なる温度調節を受ける。
【0009】
従来の送風装置と薄膜延伸装置では、空気流の不安定な流動状況は、論理的に不均一な熱交換が行われる原因となる。引出方向に樹脂薄膜帯を移動するとき、部分的かつ時間的に異なる温度調節が樹脂薄膜帯に行われる。このため、異なる時点で時間的にも部分的にも、加熱処理工程又は処理体系工学的工程が、樹脂薄膜帯に行われる。このため、例えば、異なる時点又は異なる位置で結晶化が開始し又は終了して、樹脂薄膜帯の品質特性、例えば、透明性等に悪影響を生ずる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】独国特許第196 23 471(C1)号明細書
【文献】米国特許第3,199,224号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従って、本発明の課題は、樹脂薄膜帯の同時温度調節を達成する薄膜延伸装置用の送風装置とその薄膜延伸装置を提供することにある。特に、より安定な温度調節用の空気流を形成することができる。従って、空気流の強い揺動及び偏向を発生せず、時間的にも部分的にも均等に温度調節を行える自由噴流を形成することができる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の課題は、独立請求項1及び2に記載する本発明の送風装置と、請求項27に記載する本発明の薄膜延伸装置により解決される。請求項3~26は、本発明の送風装置の具体的な構成を記載し、請求項28は、本発明の薄膜延伸装置の具体的な構成を記載する。
【0013】
種々の異なる層厚と組成を有する樹脂薄膜帯の加熱又は冷却に本発明の送風装置を使用できる。薄膜延伸装置の複数の異なる処理領域にこの送風装置を採用できる。送風装置は、樹脂薄膜帯を導入する薄膜進入領域と、適切な温度に調節した樹脂薄膜帯を再び排出する薄膜退出領域とを備える。搬送面に沿って引出方向に薄膜進入領域から薄膜退出領域に樹脂薄膜帯が送風装置内で移動される。樹脂薄膜帯に向かって加熱用又は冷却用の空気を噴出する少なくとも1つの第1の噴出ノズル装置が薄膜進入領域と薄膜退出領域との間に設けられる。少なくとも1つの第1の噴出ノズル装置は、樹脂薄膜帯の引出方向に対して横断方向又は直角な長さ方向にかつ搬送面に対して平行に配置される少なくとも1つの噴出ノズルを備える。また、少なくとも1つの第1の吸引装置は、少なくとも2つの吸引路と、2つの吸引領域とを有し、2つの吸引領域と2つの吸引路とを介して空気が吸引される。薄膜進入領域と薄膜退出領域との間に吸引装置が配置される。少なくとも両吸引領域は、樹脂薄膜帯の引出方向に互いに離間し、引出方向に対して横断方向又は直角な縦方向にかつ搬送面に対して平行に配置される。少なくとも1つの第1の噴出ノズル装置の少なくとも1つの噴出ノズル(直接隣接する)は、第1の吸引領域と第2の吸引領域との間に配置され、少なくとも1つの第1の噴出ノズル装置の少なくとも1つの噴出ノズルと、少なくとも両吸引領域とは、搬送面の同一側に配置される。少なくとも1つの第1の吸引領域は、少なくとも1つの噴出ノズルの樹脂薄膜帯の引出方向の前方のみに配置され、かつ少なくとも1つの第2の吸引領域は、樹脂薄膜帯の引出方向の少なくとも1つの噴出ノズルの後方のみに配置される。
【0014】
引出方向の噴出ノズルの前方又は後方のみに吸引領域を配置する構造により、樹脂薄膜帯の全幅に沿いかつ樹脂薄膜帯に向かって流動し、往復方向に揺動も屈曲もしない空気流が形成されて、樹脂薄膜帯に対し一定の均一な熱交換が行われる点で特に有利である。特許文献2に開示される処理装置とは異なり、噴出ノズルは、その縦(長さ)方向の吸引領域に妨げられない。特許文献2の各噴出ノズルは、全ての側で対応する1つの吸引領域により包囲される。噴出ノズルから50cm未満、40cm、30cm、20cm、15cm、10cm又は5cm未満離間して吸引領域を配置することが好ましい。空気流が安定化する理由は、噴出(衝撃)速度が極めて高速のため、自由噴流(空気流)が、即座に吸引領域中に吸引されず、(樹脂薄膜帯で反射する)より長い流動経路を経るためと考えられる。これ以外の可能性は、循環渦が自由噴流(空気流)を側方で支持しかつ安定化させる点にあると思われる。
【0015】
本発明の送風装置の別の構成では、大規模な模擬実験(シミュレーション)により、搬送面に重なる領域内で、両吸引領域の共通の全吸引開口領域の面積が、複数の吸引領域の側方に配置される噴出ノズルの全ノズル開口領域面積の8倍~14倍よりも大きいと、特に良好な結果を達成できる驚愕すべき実験結果が判明した。即ち、明らかに空気流の揺動は、少ない。空気流は、従来装置の空気流よりも、明らかに側方に偏向し、崩壊し又は揺動しない。
【0016】
特定の時間で噴出ノズルから噴出する空気容量流量は、同一時間に両吸引領域から吸引装置に導入される空気容量流量に一致する場合が、特に好適である。
【0017】
噴出ノズルから樹脂薄膜帯への平均熱伝達係数の評価では、本発明の新規な送風装置が、従来の送風装置よりも実質的に高い平均熱伝達係数を達成することが明らかである。また、本発明の送風装置での熱伝達係数は、樹脂薄膜帯に対し、時間的に実質的により安定し又は一定であり、変動量が小さい。送風装置から放出後の樹脂薄膜帯の温度計測値の変動も、実質的に極めて小さい。
【0018】
本発明の好適な実施の形態では、少なくとも1つの噴出ノズルは、長孔ノズルとして形成され、ノズル開口領域は、噴出ノズルの縦方向に形成される完全に又は部分的に開放する長孔により形成される。別法として、孔付きノズルを噴出ノズルに設け、噴出ノズルの長さ方向(引出方向及び/又は引出方向に直角な方向)に配列されかつ互いに離間する格子状配列形態の複数の孔によりノズル開口領域を形成できる。本発明では、ノズル開口領域は、容量空気流量が貫流する少なくとも1つの噴出ノズルの面積であると理解される。完全に又は部分的に(例えば、規則的に離間して補強用のリブで仕切られる形状を含む)開放する長孔の利点は、時間的に非常に安定し送風装置からの空気が樹脂薄膜帯から去った後の温度変動を最小化する熱伝達係数を達成できる点である。このため、この構造は多少複雑になるが、特に縦方向に長い送風装置を配置し、かつ長孔(例えば、長孔幅)の寸法を一定に保持するとき、より複雑になる。従って、この長孔は、規則的な間隔で、数mm~数cmのみの厚さの相応の補強用リブにより、安定化のために遮断される。別の実施の形態では、噴出ノズルは、列状に配置されかつ互いに間隔を空ける複数の孔を有する格子状配列を備える。この種の格子状配列は、極めて単純に製造できしかも機械的安定性が非常に高い。非常に接近して隣合う孔を形成する(例えば、20mm、15mm、12mm、10mm、8mm、6mm又は5mm未満の間隔で複数の孔を形成する)とき、配列孔は、複数の各自由噴流の各孔ではなく、噴出ノズルの縦方向での(共通の)空気流が発生する。2つ以上の配列で複数の孔を設けることもできる。引出方向に互いに離間して配置される特に2~8の配列を設けることができる。配列を構成する複数又は全ての孔は、引出方向に対して縦(横断)方向又は直角方向に配列される例えば長孔である。基本的に、長孔ノズルと孔付きノズルとを組み合わせて少なくとも1つの噴出ノズルを構成してもよい。この場合、噴出ノズルの縦方向に両形状が交互に設けられる。孔付きノズルとして(格子状配列形態で)噴出ノズルを実施する領域は、噴出ノズルの機械的安定化に役立つ。複数の長孔ノズルとして別の複数の領域を実施できる。
【0019】
各吸引領域の縦方向に配列され、互いに離間しかつ相応の第1の格子状配列形態及び第2の格子状配列形態を有する複数の孔により第1の吸引領域と第2の吸引領域を形成することが好適である。これにより、吸引領域の高い機械的な安定性(強度)を確保できる。2以上の配列孔を設けてもよい。特に、引出方向に互いに離間して2個~8個の配列を設けることができる。例えば、引出方向に対して縦方向又は横断方向により長く形成される複数又は全ての孔を長孔とすることができる。
【0020】
各噴出ノズル用の少なくとも1つの第1の噴出ノズル装置に、独自のノズル筐体を設けることが好適である。共通のノズル筐体内に複数の噴出ノズルを基本的に配置してもよい。引出方向に互いに離間して配置され、少なくとも1つの噴出ノズルの縦方向にかつ搬送面の横断方向又は直角に配置される対応する第1の側壁と第2の側壁がノズル筐体に設けられる。少なくとも1つのノズル筐体は、噴出ノズルに対向する位置の背壁を備え、この背壁は、少なくとも1つの噴出ノズルの縦方向に配置されて側壁を互いに連結する。少なくとも1つの噴出ノズルは、複数の側壁間に配置される。ノズル筐体は、噴出ノズルの搬送面に向かう領域内で好適に開放する相応の空気受容部又は空気案内空間を備える、ノズル筐体の構造は特許文献1に開示される。ノズル筐体の側壁は、互いに平行に配置され、ノズル筐体の断面は、長方形形状又は正方形形状である。少なくとも部分的に搬送面に重ねてノズル筐体の側壁を配置でき、少なくとも1つのノズル筐体は、少なくとも部分的に傾斜する断面を含む。
【0021】
各側壁に沿って配置される対応する第1の吸引路と第2の吸引路は、側壁の外側領域に形成される。
【0022】
樹脂薄膜帯の引出方向に対して横断方向、特に直角な縦方向にかつ搬送面に対して平行に配置される対応する1つの吸引筐体が送風装置の更なる改良として吸引装置に設けられる。例えば、少なくとも1つのノズル筐体よりも遠くに搬送面から距離を空けて配置される吸引筐体は、搬送面に対して同一側に配置される。
【0023】
少なくとも1つの第1の噴出ノズル装置の少なくとも1つのノズル筐体に少なくとも1つの第1の吸引装置を組み込むことが好ましい。
【0024】
吸引筐体の縦方向に形成される吸引長孔及び/又は吸引筐体の縦方向に配列されかつ互いに離間する複数の吸引開口が吸引筐体に設けられる。吸引筐体では、吸引長孔又は吸引開口の枠部のみが縦方向に開放することが好ましい。吸引長孔又は吸引開口以外は、対応する複数の側壁及び複数の背壁により閉鎖される。
【0025】
本発明では、複雑なノズル取付具を用いずに、単純な幾何学形状物体を使用して、少なくとも1つの第1の噴出ノズル装置の少なくとも1つの噴出ノズルから空気流を良好に噴出して、樹脂薄膜帯に空気流を接近させる徹底的な調査・研究と模擬実験を行った。本発明の前記目的に利用できる嵌着式ノズル取付具は、内側に滑動させて搬送装置に対する幅位置を調節する複雑な機械的構造のため、高価になる難点がある。少なくとも1つの噴出ノズルよりも搬送面方向に突出して噴出ノズルと同様に縦方向に配置する案内板(案内板装置とも言える)を少なくとも1つの噴出ノズルの片側に取り付ける有利な本発明の別の構成が考え出された。案内板は、縦方向に配置される単一又は複数の案内金属板でも樹脂板でもよい。流路の片側のみで案内板で誘導される空気流は、側方の案内板に吸引され(コアンダ効果)、樹脂薄膜に良好に接近する。これにより、空気流の早期の偏向、崩壊及び揺動を防止でき、薄膜樹脂の均等な温度調節に役立つ。案内板又は案内金属板をコアンダ案内金属板ともいう。
【0026】
第1の噴出ノズル装置と第1の吸引装置とに類似する構造で形成される少なくとも1つの第2噴出ノズル装置と少なくとも1つの第2の吸引装置とを送風装置に設けることが好ましい。樹脂薄膜帯の引出方向に対して横断方向又は直角な縦方向にかつ搬送面に対して平行に配置される単一又は複数の噴出ノズルを第2の噴出ノズル装置に設けることができる。第1の噴出ノズル装置と少なくとも1つの第1の吸引装置は、搬送面の第1の側に配置され、少なくとも1つの第2の噴出ノズル装置と少なくとも1つの第2の吸引装置は、第1の側に対向する逆位置にある搬送面の第2の側に配置されて、樹脂薄膜帯は、両側で温度調節される。
【0027】
樹脂薄膜帯の製造に使用される本発明の薄膜延伸装置は、少なくとも1つの送風装置又は複数の前記送風装置を備える。全て同一の部品で構成される複数の送風装置を採用できる。勿論異なる構成部品の送風装置を採用してもよい。例えば、孔付きノズルで形成される送風装置を一方の少なくとも1つの噴出ノズルに用い、長孔ノズルで形成される送風装置を他方の少なくとも1つの噴出ノズルに用いることができる。複数の吸引領域にも同様の構成を採用できる。送風装置の複数の噴出ノズルを採用するとき、噴出ノズルと、関連する複数の吸引領域とを異なる形態(孔、長孔、大きさ、形状又は配列法(角度位置)等)に構成できる。少なくとも2つの送風装置の少なくとも1つの第1の噴出ノズル装置の噴出ノズル数が異なるとき、別の送風装置の少なくとも1つの第1噴出ノズル装置の全噴出ノズルのほぼ全ノズル開口領域とほぼ同一の大きさの1つの送風装置の少なくとも1つの第1の噴出ノズル装置の全噴出ノズルの全ノズル開口領域を使用して、樹脂薄膜帯との均等な熱交換を常に確保することが好ましい。
【0028】
第1の吸引領域と第2の吸引領域の側方に配置される更に少なくとも1つの付加噴出ノズルを送風装置に設けることが好適である。付加噴出ノズルの構造と配置は、少なくとも1つの噴出ノズルと同様である。各付加噴出ノズルを配置する更なるノズル筐体が少なくとも1つの第1の噴出ノズル装置に設けられる。少なくとも2つのノズル筐体の間又は2つのノズル筐体から離間して設けられる主に又は完全に空気不透過性の被覆板(被覆板装置ともいえる)を搬送面に平行に配置して、異なる噴出ノズルの2つの隣接する吸引領域の形状を制限し、複数の吸引領域内にのみ空気を吸引して、流動状況を非常に精確にかつ再現可能に設定できる。
【0029】
本発明の種々の実施の形態を添付図面について以下説明する。添付図面では、本発明の装置に使用する均等の装置には、同一の参照符号を付する。添付図面の各図は、以下を示す。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図2A】本発明の送風装置の実施の形態を示す断面図
【
図2B】本発明の送風装置の異なる実施の形態を示す断面図
【
図3】樹脂薄膜帯の搬送面の重複領域の上方に配置した本発明の送風装置の複数の吸引領域と噴出ノズルの底面図
【
図4A】本発明の送風装置の第1の噴出ノズル装置のノズル筐体の底部を示す斜視図
【
図4B】本発明の送風装置の第1の噴出ノズル装置の他のノズル筐体を示す斜視図
【
図5】搬送面の上方と下方の両側に配置した噴出ノズル装置と吸引装置とを備える本発明の送風装置の実施の形態の断面図
【
図6】被覆板により互いに離間してかつ2つの吸引領域を側方に設けた複数の噴出ノズルを備える噴出ノズル装置の底面の部分斜視図
【
図8A】本発明の送風装置の異なる実施の形態の断面図
【
図8B】本発明の送風装置の更に他の実施の形態の断面図
【
図9】異なる数の噴出ノズルを備える本発明の送風装置の更に異なる実施の形態の断面図
【
図10】孔付きノズルの噴出ノズルを備える本発明の送風装置の実施の形態の斜視図
【
図11】第1の噴出ノズル装置に対噴出ノズルを設けた本発明の送風装置の実施の形態の断面図
【
図12A】本発明と従来の送風装置の時間経過に対する温度変化を示す対比グラフ
【
図12B】本発明と従来の送風装置の時間経過に対する平均熱伝達係数の変化を示す対比グラフ
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1は、本発明の薄膜延伸装置1の平面図を示す。縦延伸装置又は横延伸装置、縦延伸段と横延伸段とを備える逐次式延伸装置又は同時延伸装置として、薄膜延伸装置1を構成できる。薄膜延伸装置1は、例えば、種々の複数の処理領域1a, 1b, 1c, 1d及び1eに区分される樹脂薄膜帯2を延伸する機能を備える。薄膜延伸装置1に実際に複数の処理領域1a~1eを全て設ける必要はない。様々な複数の処理領域1a~1e内で樹脂薄膜帯2を異なる温度に暴露して、特定種の薄膜特性を形成し又は設定することもある。第1の処理領域1aを予熱領域ともいう。第2の処理領域1bを、延伸領域ともいい、第3の処理領域1cを、追加加熱領域ともいう。第4の処理領域1dを、中立領域ともいい、第5の処理領域1eを、冷却領域ともいう。各処理領域1a~1e間に、更に複数の中立領域を設けて、複数の処理領域1a~1eを確実に熱的に分離して、複数の各処理領域1a~1e間での強い熱的影響を防止してもよい(処理領域1a~1eの単一処理領域から他の処理領域に流動する空気による影響を阻止する)。
【0032】
処理領域1a~1eは、単一又は複数の本発明の送風装置3を備える。送風装置3は、樹脂薄膜帯2の引出方向4に、約1m、1.5m、2m、2.5m、3m、3.5m、4m、4.5m又は5mの長さを上回るが、好ましくは6m、5m、4m、3m、2m、1m未満の長さに形成される。送風装置3は、更に、樹脂薄膜帯2の引出方向4に対して横断して又は垂直な長さ方向5に、2m、3m、4m、5m、6m、7m、8m、9m、10m、11m、12m、13m又は15mを上回る長さで形成されるが、好ましくは17m、16m、15m、14m、13m、12m、11m、10m、9m、8m、7m、6m、5m、4m、3m又は2m未満の長さに形成される。
【0033】
図示しない換気装置と、対応する図示しない加熱装置及び/又は冷却装置を送風装置3に設けることができる。送風装置3を設ける処理領域1a~1eに対応して、送風装置3は、樹脂薄膜帯2を加熱し又は冷却する。樹脂薄膜帯2の加熱時に、樹脂薄膜帯2方向に噴出される空気の温度は、少なくとも1つの加熱装置及び/又は冷却装置により調節される。例えば、冷却領域1eでは、樹脂薄膜帯2は冷却される。このために、大抵送風装置3の外側から周辺空気が吸引され、樹脂薄膜帯2上に噴出される。外部から吸引する空気を更に追加的に冷却することも可能である。複数の方向転換室を設けて、空気流を極力均一にする好適な送風装置3の特に基本的内部構造を記載する例えば、特許文献1の開示内容を本願に組み込むものとする。第1の処理領域1aに供給される樹脂薄膜帯2は、第5の処理領域1eから取り出される。
【0034】
図2Aと
図2Bは、本発明の送風装置3の異なる実施の形態の断面図を示す。送風装置3の縁部の形状は、選択した特定形状の例示に過ぎない。図示以外の形状で送風装置3を形成してもよい。送風装置3は、薄膜進入領域6aと薄膜退出領域6bとを備える。樹脂薄膜帯2は、搬送面7に沿い薄膜進入領域6aから薄膜退出領域6bへの引出方向4に送風装置3内で移動する。薄膜進入領域6aと薄膜退出領域6bとの間に配置される少なくとも1つの第1の噴出ノズル装置8は、樹脂薄膜帯2方向に加熱空気又は冷却空気を噴出する機能がある。少なくとも1つの第1の噴出ノズル装置8は、少なくとも1つの第1の噴出ノズル8aを備える。少なくとも1つの第1の噴出ノズル8aは、樹脂薄膜帯2の引出方向4に対して横断方向又は直角な長さ方向にかつ搬送面7に平行に配置される。少なくとも1つの噴出ノズル8aの長さ方向は、送風装置3の長さ方向5に平行に配置される。
図2Aと
図2Bに示す実施の形態では、少なくとも1つの第1の噴出ノズル装置8は、少なくとも更に1つの付加噴出ノズル8bを備える。付加噴出ノズル8bは、少なくとも1つの噴出ノズル8aに対して引出方向4にずれて配置される。
【0035】
1つの吸引領域11a, 11bを各々有する少なくとも2つの吸引路10a, 10bは、少なくとも1つの第1の吸引装置9に設けられる。複数の吸引路10a, 10bから空気を吸引する少なくとも1つの第1の吸引装置9も、薄膜進入領域6aと薄膜退出領域6bとの間に配置される。
【0036】
少なくとも両吸引領域11a, 11bは、引出方向4に互いに間隔を空けかつ搬送面7に対して平行に配置される。少なくとも両吸引領域11a, 11bの長さ方向は、樹脂薄膜帯2の引出方向4に対して横断方向又は直角(垂直)に配置される。送風装置3の長さ方向5に対し平行な長さ方向に両吸引領域11a, 11bを配置することが好ましい。
【0037】
少なくとも1つの第1の噴出ノズル装置8の少なくとも1つの噴出ノズル8aは、第1の吸引領域11aと第2の吸引領域11bとの間に配置される。少なくとも1つの第1の噴出ノズル装置8の少なくとも1つの噴出ノズル8aと、少なくとも両吸引領域11a, 11bとは、搬送面7の同一側に配置される。
【0038】
搬送面7に面(重複、対向)する両吸引領域11a, 11bの全吸引開口領域12(
図3)の面積は、少なくとも1つの噴出ノズル8aの噴出領域の搬送面7に面(重複、対向)するノズル開口領域13の面積よりも8倍~14倍大きい。全吸引開口領域12の面積は、第1の吸引領域11aの吸引開口領域12aと、第2の吸引領域11bの吸引開口領域12bとの合計面積である。
【0039】
図2a、
図2b及び
図3に示す少なくとも1つの付加噴出ノズル8bは、噴出ノズル8aと同様に、樹脂薄膜帯2の引出方向4に対して横断する又は直角な長さ方向5にかつ搬送面7に対して平行に配置され、付加噴出ノズル8bの噴出領域に自身のノズル開口領域13が設けられる。少なくとも1つの第1の噴出ノズル装置8の噴出ノズル8aと付加噴出ノズル8bは、引出方向4に互いに離間して配置される。付加噴出ノズル8bのノズル開口領域13は、対応する第1の吸引領域11aと対応する第2の吸引領域11bとの間に配置される。対応する第1の吸引領域11aと第2の吸引領域11bも、第1の吸引路10a又は第2の吸引路10bを介して少なくとも1つの第1の吸引装置9に同様に接続される。対応する各第1の吸引領域11aは、樹脂薄膜帯2の引出方向4の付加噴出ノズル8bの前方にのみ配置され、対応する各第2の吸引領域11bは、樹脂薄膜帯2の引出方向4で付加噴出ノズル8bの後方にのみ配置される。
【0040】
図3は、搬送面7の幅方向の両端間に長さ方向5を配置した両吸引領域11a, 11bを示す。図示のように、複数の吸引領域11a, 11bの端部は、搬送面7の一方の端部又は両端部を部分的に超える幅を有する。搬送面7は、樹脂薄膜帯2が移動し又は延伸する領域である。吸引領域11a, 11bの図示の幅寸法は、搬送面7に重なる全吸引開口領域12の領域のみが重要である。ノズル開口領域13についても同様である。
【0041】
吸引開口領域12は、容量流量の空気が流動する吸引領域(開放)面積であると理解すべきである。ノズル開口領域13も同様である。
【0042】
両吸引領域11a, 11bと同様の長さで、少なくとも1つの噴出ノズル8aを長さ方向5に形成することが好ましい。
【0043】
樹脂薄膜帯2の引出方向4に少なくとも1つの噴出ノズル8aの前方にのみ少なくとも1つの第1の吸引領域11aを配置し、樹脂薄膜帯2の引出方向4に少なくとも1つの噴出ノズル8aの後方にのみ少なくとも1つの第2の吸引領域11bを配置して、第1の噴出ノズル8aと任意選択的に第2の噴出ノズル8bとを通り、可能な限り特定の時間間隔で一定容量流量の空気を(量と形態について)放出することが重要である。
【0044】
頭記の通り、少なくとも1つの噴出ノズル8aから放出される特定の時間内の容量空気流量は、両吸引領域11a, 11bを通り吸引される同一の時間内の容量空気流量に実質的に一致する。可能な限り十分な空気流15(
図2A、
図2B)を形成する全吸引開口領域12の面積(両吸引開口領域(断面)12a, 12bの合計面積)は、搬送面7に重なる領域で、少なくとも1つの噴出ノズル8aの全ノズル開口領域13の面積の8倍以上、9倍、10倍、11倍、12倍又は13倍を上回る。また、両吸引領域11a, 11bの全吸引開口領域12の面積は、搬送面7に重なる領域で、少なくとも1つの噴出ノズル8aの全ノズル開口領域13の面積の14倍、14倍、13倍、12倍、11倍、10倍又は9倍未満である。
【0045】
図3は、第2の吸引領域11bの吸引開口領域12bと略同一寸法の第1の吸引領域11aの吸引開口領域12aを示す。両吸引領域11a, 11bの吸引開口領域12a, 12bを互いに異なる寸法で形成しても勿論よい。例えば、吸引開口領域12a, 12bは、30%、25%、20%、15%、10%未満だけ又は5%未満だけ相違することが好ましい。
【0046】
少なくとも1つの第1の噴出ノズル装置8は、少なくとも1つの噴出ノズル8aを配置する少なくとも1つのノズル筐体20aを備える。ノズル筐体20aは、引出方向4に互い離間して配置されかつ少なくとも1つの噴出ノズル8aの長さ方向5に平行(並行)にかつ搬送面7に対して横断して又は直角に配置される第1の側壁21aと第2の側壁21bとを備える。また、少なくとも1つのノズル筐体20aに設けられる背壁21は、少なくとも1つの噴出ノズル8aに対向しかつ噴出ノズル8aの長さ方向5に配置されて、側壁21a, 21bを互いに連結するc。少なくとも1つの噴出ノズル8aは、両側壁21a, 21b間に配置される。
図2Aと
図2Bに示す実施の形態では、少なくとも1つの付加噴出ノズル8bを配置する少なくとも1つの付加ノズル筐体20bが設けられる。付加噴出ノズル8bの構造は、少なくとも1つのノズル筐体20aと同様である。各ノズル筐体20a, 20b内に1つの噴出ノズル8a, 8bを配置することが好ましい。
【0047】
少なくとも1つのノズル筐体20aの第1の壁21aの外側に沿って第1の吸引路10aの一部が形成される。同様に、少なくとも1つのノズル筐体20aの第2側壁21bの外側に沿って第2の吸引路10bの一部が形成される。搬送面7に対し横断方向又は直角に配置される壁部を更に追加して、吸引路10a, 10bを形成する必要はない。少なくとも1つの第1の吸引装置9に基づき、少なくとも1つのノズル筐体20aの側壁21a, 21bに沿う空気流を案内する吸引路10a, 10bを形成することができる。
【0048】
図2Aは、引出方向4に互いに離間しかつ搬送面7に部分的に重複して配置されかつ少なくとも1つのノズル筐体20aに少なくとも部分的に傾斜するテーパ面を付与する両側壁21a, 21bを示す。少なくとも1つの噴出ノズル8aは、搬送面7に対して重複して傾斜する側壁21a, 21bの両端部領域間に形成され又は配置される。
【0049】
図2Bは、互いに離間してかつほぼ平行に配置される側壁21a, 21bと、
図2Aとは異なり、2部分に区分されて搬送面7側を閉鎖する底壁21dと、底壁21dから突出して搬送面7に隣接して配置される少なくとも1つの噴出ノズル8aとを示す。底壁21dの第1の壁に沿って少なくとも1つの第1の吸引路10aが形成され、底壁21dの第2の壁に沿って第2の吸引路10bが形成される。
【0050】
図2Aと
図3に示す空気不透過性の被覆板25は、2つのノズル筐体20a, 20b間に搬送面7に対して平行に配置される。噴出ノズル8aと被覆板25との間の間隙により複数の吸引領域11a, 11bの各々を形成することが好ましい。
図2Bは、ノズル筐体20a, 20bから間隔を空けて配置される被覆板25を示す。
図2Bでも、2つの吸引領域11a, 11bは、異なる噴出ノズル8a, 8bに隣接して、被覆板25により形成される。
【0051】
図2Bに示すノズル筐体20a, 20bは、搬送面7に対して平行(並行)に配置される底壁21dを備え、最も単純な被覆板25は、二次元板として形成される。隔壁(スペーサ)29により底壁21dから離間してかつ搬送面7に対して並行に二次元板を配置することが好ましい。隔壁29に対し被覆板25をねじで固定することが好ましい。少なくとも2つのノズル筐体20a, 20bは、間隙28を形成しつつ互いに隣接して配置される。各吸引領域11a, 11b及びノズル筐体20a, 20bの間隙28を通って複数の吸引路10a, 10bが形成され、被覆板25は、搬送面7方向に突出して、隔壁29を介して2つのノズル筐体20a, 20bに固定される。
【0052】
(平坦な)材料又は(被覆)金属板からなる少なくとも1枚の被覆板を備える被覆板25を平坦に形成することが好ましい。種々の形状(例えば、長方形、正方形等)に被覆板25を形成できる。
【0053】
対応する隔壁29を使用せずに、被覆板25をノズル筐体に固定してもよい。
【0054】
側壁21a, 21bの傾斜に合致する形状で、
図2Aに示す被覆板25を形成できる。被覆板25は、搬送面7に対して平行に配置される少なくとも1つの底壁(本実施の形態では、底壁と頂壁の2面)を有する。互いに平行に配置される底壁と頂壁とを連結する被覆板25の傾斜端壁は、少なくとも1つのノズル筐体20aの少なくとも対応する側壁21a, 21bの傾斜部(少なくとも1つのノズル筐体20aの対向する側壁21b, 21aに対して傾斜する)に対し略平行に配置される。被覆板25の傾斜端壁と、少なくとも1つのノズル筐体20aの側壁21a, 21bの傾斜部との間に、各吸引路10a, 10bが形成される。
【0055】
被覆板25を台形状断面で形成できる。基本的には、間隙28を形成しつつ互いに隣接して配置する少なくとも2つのノズル筐体20a, 20bにより形成される吸引領域11a, 11bから間隙28を通る吸引路10a, 10bを形成することもできる。
【0056】
少なくとも1つの第1の噴出ノズル装置8の全噴出ノズル8a, 8bを搬送面7から同一の距離で配置することが好ましい。少なくとも1つの第1の噴出ノズル装置8の上流の噴出ノズル8aと下流の噴出ノズル8bの中、下流の噴出ノズル8bよりも搬送面7に近い位置に上流の噴出ノズル8aを配置することもできよう。
【0057】
図2Aと
図2Bの実施の形態では、少なくとも1つの隣接する噴出ノズル8a, 8b, 8c, 8d, 8e, 8f及び搬送面7に対してほぼ等距離に被覆板25を配置することが好ましい。
【0058】
図2Aと
図2Bは、樹脂薄膜帯2の温度を調節する空気流15の流路を例示する。噴出ノズル8a, 8b, 8c, 8d, 8e, 8fから噴出される空気流15は、樹脂薄膜帯2に衝突した後、引出方向4及び引出方向4とは逆方向に円柱状に方向転換し、その後、空気流15は、対応する吸引領域11a, 11bを通り排出される。
【0059】
図2Aと
図2Bは、少なくとも1つの吸引筐体26aを備える少なくとも1つの第1の吸引装置9を示し、吸引筐体26aは、樹脂薄膜帯2の引出方向4に対し横断する直角な長さ(縦)方向にかつ搬送面7に対して平行(並行)に配置される。吸引筐体26aを配置する長さ方向は、送風装置3の長さ方向5に対し実質的に平行(並行)である。少なくとも1つの吸引筐体26aは、少なくとも1つのノズル筐体20aよりも搬送面7から遠い距離を空けて配置される。少なくとも1つの吸引筐体26aと、少なくとも1つのノズル筐体8aは、搬送面7の同一側に配置される。少なくとも1つの吸引筐体26aは、長さ方向に貫通する1つの吸引長孔27又は長さ方向に互いに離間して形成される複数の吸引開口を備える。吸引長孔27又は複数の吸引開口は、搬送面7方向及び少なくとも1つのノズル筐体20a方向からの空気を吸引する。少なくとも1つの吸引筐体26aは、吸引長孔27又は相応の複数の吸引開口のみを介して又は主にこれらを介して空気を吸引することが好ましい。
【0060】
図2Aと
図2Bは、第1の噴出ノズル装置8と第1の吸引装置9とに加えて設けられる第2の噴出ノズル装置30と第2の吸引装置31とを点線で示す。
図5を参照されたい。少なくとも1つの第1の噴出ノズル装置8と少なくとも1つの第1の噴出ノズル装置9とに対して搬送面7の対向する逆側に配置される少なくとも1つの第2噴出ノズル装置30と少なくとも1つの第2の吸引装置31とを
図5に示す。
【0061】
少なくとも1つの第2の噴出ノズル装置30は、ノズル開口領域13を夫々有する単一又は複数の噴出ノズル8a, 8bを備える。少なくとも1つの噴出ノズル8a又は複数の噴出ノズル8a, 8bは、樹脂薄膜帯2の引出方向4を横断する又は直角な縦方向にかつ搬送面7に対して平行に配置される。少なくとも1つの第2の吸引装置31も、同様に、樹脂薄膜帯2の引出方向4を横断する又は直角な縦方向に配置される複数の吸引領域11a, 11bを備える。少なくとも1つの第2の噴出ノズル装置30の少なくとも1つの噴出ノズル8a又は複数の噴出ノズル8a, 8bのノズル開口領域13は、少なくとも1つの第2の吸引装置31の第1の吸引領域11aと第2の吸引領域11bとの間に配置される。少なくとも1つの第2の噴出ノズル装置30と、少なくとも1つの第2の吸引装置31は、第1の噴出ノズル装置8又は第1の噴出ノズル装置9と一致する構造を備えてもよい。
【0062】
第2の噴出ノズル装置30の少なくとも1つの噴出ノズル8aに対し、第1の噴出ノズル装置8の少なくとも1つの噴出ノズル8aを平面図上対向して配置することが好ましい。対応する複数の吸引領域11a, 11bについても同様に、対向して配置することが好ましい。
【0063】
図5に空気流経路15を点線で示す。少なくとも1つの第1の噴出ノズル8aから噴出される空気流15は、樹脂薄膜帯2の表面に衝突する。樹脂薄膜帯2の表面に衝突する空気流15は、円柱状に方向転換して複数の吸引領域11a, 11b(少なくとも1つの噴出ノズル8aに対して直接隣接して配置される)を通じて吸引される。対応する第1の吸引路10a又は第2の吸引路10bは、ノズル筐体20aの底壁21dの一部とノズル筐体20aの対応する側壁21a, 21bにより形成される。
【0064】
図5は、間隙28を形成して互いに隣接して配置される2つのノズル筐体20a, 20bを示す。2つの隣接するノズル筐体20a, 20bの側壁21b間に間隙28が形成される。複数の吸引領域11a, 11bの2つの各第2吸引路10bと間隙28とを通り、容量流量空気が流れて、吸引される。従って、容量流量空気の別個の好適な案内装置は必須ではない。
【0065】
図5は、対応するノズル筐体20aと20bから搬送面7方向に突出する被覆板25も示す。被覆板25は、ノズル筐体20a, 20bの各底壁21dよりも搬送面7の近くに配置される。被覆板25は、隔壁29へのねじ止めにより両ノズル筐体20a, 20bに実質的に固定される。被覆板25の平面図から見て、被覆板25は、底壁21dに重複して配置される。底壁21dと被覆板25との間の間隙28に各吸引路10a, 10bが形成される。隣接する噴出ノズル8a, 8bと搬送面7との同一距離だけ間隔を空けて被覆板25を配置することが好ましい。
【0066】
単一の噴出ノズル8aを備える送風装置3でも、対応する被覆板25により隣接する両吸引領域11a, 11bが形成される。用語「被覆板」は、例えば、長方形又は正方形の形状で実質的に平坦に形成される単一又は複数の板が使用される。
【0067】
図4Aと
図4Bは、例えば、第1の噴出ノズル装置8に使用する種々のノズル筐体20a, 20bの斜視図を示す。空気が通過する少なくとも部分的に開放する開口部がノズル筐体20a, 20bの正面に設けられる。前記の通り、本発明の送風装置3又は本発明の薄膜延伸装置1は、特定の空気量を特定の時間に特定の温度に加熱し又は冷却する加熱装置及び/又は冷却装置を採用できる。少なくとも1つの加熱装置及び/又は冷却装置は、少なくとも1つの第1の噴出ノズル装置8に連絡する空気出口を有する。空気出口は、第1の噴出ノズル装置8の対応するノズル筐体20a, 20bの正面の開口部に実質的に連絡する。少なくとも1つの加熱装置及び/又は冷却装置は、空気入口も備える。少なくとも1つの第1の噴出ノズル装置9に空気入口を連絡して、送風装置3を空気循環装置として作動させることができる。別法として、同様に、少なくとも1つの第1の吸引装置9の少なくとも1つの吸引筐体26aの正面の少なくとも部分的開口に、空気入口を接続することが好ましい。他方で、送風装置3の外側領域に空気入口を連結して、新鮮な空気を吸引することができる。新鮮な空気を追加的に加熱し又は冷却することができる。この場合、用語「冷却する」は、新鮮な空気の吸引のみの冷却で、少なくとも1つの噴出ノズル8aを介して樹脂薄膜帯2に向かって噴出できることは理解されよう。
【0068】
図4Aと
図4Bは、互いに離間して長さ方向5に配列されて第1の格子状配列40a形状の複数の孔で形成される第1の吸引領域11aを示す。第2の吸引領域11bも同様である。また、互いに離間して第2の吸引領域11bの長さ方向5に列状に配置される第2格子状配列40bでの複数の孔により、第2の吸引領域11bが形成される。
【0069】
第1の吸引領域11a及び/又は第2の吸引領域11bの長さ方向5よりも大きく引出方向4に形成される少なくとも1つ又は全孔を有する第1の吸引領域11a及び/又は第2の吸引領域11bが好ましい。
【0070】
第1の吸引領域11a及び/又は第2の吸引領域11bの少なくとも1つ又は全ての孔の平面断面(
図4B)は、矩形、円形、楕円形又はn多角形の各形状又は該形状に近似する。
【0071】
被覆板25と第1の格子状配列40aを互いに連結し、好ましくはねじ止めできる。一体形成も可能である。被覆板25の打抜き加工又はレーザ成形により各孔を製造できる。ノズル筐体20aの別の側壁21b方向に配置される被覆板25にも同様の技術を適用できる。第2の格子状配列40bに被覆板25を固定連結し、ねじ止めし又は格子状配列と一体的に形成することが好ましい。従って、実質的に対応する被覆板25の平面内に各格子状配列40a, 40bが配置される。被覆板25の平面は、搬送面7に対して平行であることが好ましい。対応するノズル筐体20a, 20bに各格子状配列40a, 40bを基本的にねじ止めしてもよい。
【0072】
樹脂薄膜帯2の幅方向と同様に、対応する第1の格子状配列40a又は第2の格子状配列40bを長さ方向5に配列することが好ましい。
【0073】
対応する格子状配列40a, 40b及び被覆板25と同様に、少なくとも1つのノズル筐体20aは、金属製であることが好ましい。
【0074】
図4Bは、少なくとも1つの第1の噴出ノズル装置8の少なくとも1つの噴出ノズル8aに長さ方向5の長孔ノズルで形成されるノズル開口領域13を示す。本実施の形態では、長孔ノズルは、完全に開放する。完全な単一の開放開口に代えて、例えば、(機械的強度を付与する)補強用のリブで仕切られる複数の長孔ノズルも使用できる。
【0075】
第1の噴出ノズル装置8の部分斜視図を示す
図6の実施の形態では、4つのノズル筐体20a, 20b, 20c, 20dは、引出方向4に互いに離間して配置される。各ノズル筐体20a~20dには、噴出ノズル8a, 8b, 8c, 8dが設けられる。噴出ノズル8a~8dの各々は、第1の吸引領域11aと第2の吸引領域11bの側方に設けられる。異なるノズル筐体20a~20dの第1の吸引領域11aと第2の吸引領域11bは、被覆板25により互いに離間して配置される。
【0076】
図7は、本発明の送風装置3の別の実施の形態の断面図を示す。送風装置3は、4つのノズル筐体20a~20dを備える。2つの各ノズル筐体20a, 20b及び20c, 20dは、単一つの吸引筐体26a, 26bに割り当てられる。吸引筐体26a及び26bは、2つの各噴出ノズル8a, 8b及び8c, 8dからの空気を吸引する。2つのノズル筐体20a, 20b;20b, 20c;及び20c, 20dの間に、1つの各被覆板25が離間して配置される。最外位置に配置されるノズル筐体20a及び20dと送風装置3の外壁に接する位置との間にも1つの各被覆板25が配置されて、相応の吸引領域11a, 11bが形成される。
【0077】
両ノズル筐体20a, 20bと共に配置される少なくとも1つの吸引筐体26aと、両ノズル筐体20c及び20dと共に配置される少なくとも1つの別の吸引筐体26bとの間にも1つの付加分離壁50を設けると、吸引筐体26aと26bとの間の空気循環を確実に阻止できる。
【0078】
少なくとも1つの噴出ノズル8a又は全噴出ノズル8a, 8b, 8c, 8dよりも搬送面7方向に突出する案内板60は、少なくとも1つの第1の噴出ノズル装置8の好ましくは少なくとも1つの噴出ノズル8a又は全噴出ノズル8a, 8b, 8c, 8dに配置されて、
図2A及び
図2Bに示す空気流15(
図7に図示省略)を更に安定化することができる。長さ方向5に配置される案内板60により少なくとも1つの噴出ノズル8a又は各噴出ノズル8a, 8b, 8c, 8dを互いに遮蔽することが好ましい。
【0079】
第2の噴出ノズル装置30の噴出ノズル8a~8dにも案内板60を勿論配置できる。
【0080】
案内板60を使用して、樹脂薄膜帯2に空気流15を接近させて、各噴出ノズル8a, 8b, 8c, 8d付近で均等な熱伝達係数を達成できる。製造価格増加の原因となる複雑な構造の嵌着式ノズル取付具は、実質的に必須ではない。噴出ノズル8a, 8b, 8c, 8dの片側(のみ)で、案内板60により、空気流15を形成できる。模擬実験(シミュレーション)では、噴出ノズルから噴射される空気流15は、側方の案内板60に吸引(コアンダ効果)されて、より充分に樹脂薄膜帯2に接近する効果が得られる案内板60の作用は驚愕に値する。案内板60により側方に案内される空気流15は、案内板60の端部で案内板60から解放されて、樹脂薄膜帯2に衝突する。従って、樹脂薄膜帯2に対する空気流15の偏向、崩壊及び揺動は、減少する。このため、樹脂薄膜帯2の各部での均等な温度調節が行われる。
【0081】
従来のノズル取付具よりも好都合に案内板60を基本的に構成できる。例えば、軸着構造により連接する金属板のように、引出方向4又はその逆方向に、案内板60を折曲げることができる。別法として、大型の装着板として案内板60を実施できるが、片側にのみ取り付けられる長孔付き筐体としてのノズル取付具形態とは異なる。
【0082】
図8Aは、本発明の送風装置3の別の実施の形態の断面図を示す。この実施の形態は、少なくとも1つの第1の噴出ノズル装置8の少なくとも1つのノズル筐体20a, 20b, 20c, 20dに組込まれる少なくとも1つの第1の吸引装置9を示す。複数の吸引領域11a, 11bを除き、対応するノズル筐体8aの長さ方向5の端面は、完全に閉鎖され、対応するノズル筐体20aの対応する正面から第1の吸引装置9を通る空気を吸引する。従って、対応する少なくとも1つのノズル筐体20aに1つの個別吸引受容領域を設けることが好ましい。ノズル筐体20a~20d内に吸引筐体26a, 26b, 26c, 26dの統合形構造とも言える。統合形構造により、本発明の送風装置3の小型化構造を実質的に実現できる。
【0083】
図8Bは,
図8Aの本発明の送風装置3の更なる実施の形態を示す。明確化のため、ノズル筐体20a, 20b, 20c, 20dのみを示す。
図8Aとは異なり、2つのノズル筐体20a, 20b間、20b, 20c間及び20c, 20d間の間隙28の少なくとも搬送面7側を被覆板25により閉鎖する。従って、搬送面7から間隙28内に空気流は、流入しない。2つ毎のノズル筐体20a, 20b、20b, 20c及び20c, 20dに対し、被覆板25をねじ止めすることが好ましい。被覆板25は、少なくとも間隙28の幅(引出方向4)に沿いかつ樹脂薄膜帯2の幅に沿って配置される。平坦に形成される被覆板25は、
図8Bに示すように搬送面方向に突出する。単一又は複数の板で被覆板25を形成して、複数の各吸引領域11a, 11b又は各複数の吸引領域11a, 11bのみで圧倒的な量の空気(80%以上の空気量)を吸引することができる。被覆板25に隔壁29を取付け、ノズル筐体20a, 20b、20b, 20c若しくは20c, 20d上に隔壁29を直接配置し、ねじ止めし又は固定連結することができる。
【0084】
図9は、垂直に並置した本発明の複数の送風装置3の断面図を示す。各送風装置3は、異なる数の噴出ノズル8a, 8b, 8c, 8d, 8e, 8f, 8g, 8hを備える。
図9に示す最上段の送風装置3は、8つの噴出ノズル8a~8hを備える。最上段の1段下の送風装置3は、6つの噴出ノズル8a~8fを備える。3段目の送風装置3は、4つの噴出ノズル8a~8dを備える。最下段の送風装置3は、3つの噴出ノズル8a~8cを備える。本発明では、第1の噴出ノズル装置8の全噴出ノズル8a~8hの全ノズル開口領域13は一定である。これは、数の多い噴出ノズル8a~8hの各ノズル開口領域13は、数の少ない噴出ノズル8a~8cの対応するノズル開口領域13よりも小さいことを意味する。これにより、樹脂薄膜帯2に対する伝達熱量は、一定になる。全吸引開口領域12についても同様である。第1の吸引領域11aの各吸引開口領域12aと、第2の吸引領域11bの各吸引開口領域12bとの合計面積が全吸引開口領域となる。
【0085】
第1の噴出ノズル装置8の全吸引開口領域12は、全体として一定である。これは、より多い複数の吸引領域11a, 11bを設けるとき(
図9の最上段に示す)の各第1の吸引領域11a及び第2の吸引領域11bの各吸引開口領域12a, 12b面積は、より少ない数の複数の吸引領域11a, 11bを設けるとき(
図9の最下段に示す)の面積よりも、小さいことを意味する。
【0086】
吸引領域を変更する設計は、噴出ノズル8a, 8b,…n数の異なる少なくとも2つの送風装置3を含む本発明の薄膜延伸装置1に有利である。この場合、送風装置3の少なくとも1つの第1の噴出ノズル装置8の全噴出ノズル8a, 8b,…nの全ノズル開口領域13の大きさは、別の送風装置3の少なくとも1つの第1の噴出ノズル装置8の全噴出ノズル8a, 8b,…nの全ノズル開口領域13の大きさとほぼ同一である。送風装置3の第1の噴出ノズル装置8の全ての複数の吸引領域11a, 11bの全吸引開口領域12を、別の送風装置3の第1の噴出ノズル装置8の全ての複数の吸引領域11a, 11bの全吸引開口領域12と比較するときも、同様である。
【0087】
図9に図示しない第2の噴出ノズル装置30と第2の吸引装置31も、この点は、当然に同様である。
【0088】
5、6、7又は8つ以上のノズル筐体20a~20hを採用するときよりも、3つ又は4つのノズル筐体20a~20dを採用する方が、送風装置3内に均等な空気流を形成できることが、実験で判明した。
【0089】
図10は、本発明の送風装置3の更に異なる実施の形態の斜視図を示す。本実施の形態では、送風装置3に設けられる8つの噴出ノズル8a~8hは、貫通長孔ノズルを備えない。少なくとも1つの第1の噴出ノズル装置8の少なくとも1つの噴出ノズル8a、本実施の形態では、全噴出ノズル8a~8hは、孔付きノズルにより形成され又はこの種の孔付きノズルを備える。噴出ノズル8a~8hの全ノズル開口領域13は、各噴出ノズル8a~8hの縦方向7に配列されかつ互いに離間する複数の孔が格子状配列形態で形成される。
【0090】
ノズル開口領域13の少なくとも1つの孔又は全孔の断面は、矩形、円形、楕円もしくはn多角形又はこれらの近似形状である。
【0091】
図11は、本発明の送風装置3の更に別の実施の形態の断面図を示す。本実施の形態は、引出方向4に互いに離間して配置される4つの噴出ノズル8a~8dを有する。少なくとも1つの第1の噴出ノズル装置8の少なくとも1つの噴出ノズル8a及び本実施の形態による全噴出ノズル8a~8dは、引出方向4に互いに離間して配置される2つの吸引路を形成する対ノズルを備える。ノズル開口領域13は、引出方向4に互いに離間する2つのノズル開口領域の合計面積である。2つの各吸引領域11a, 11bの間に少なくとも1つの噴出ノズル8aが配置される。
【0092】
より少ない数の噴出ノズル8a, 8b,…nを採用すると、より温度均等性が増加する利点が基本的にある。この場合、(高い熱伝達係数の)非常に狭い領域で熱交換が行われるため、逆に、樹脂薄膜帯2への部分的な熱負荷が増加する難点がある。また、噴出する空気は、高速度で樹脂薄膜帯2に衝突する。熱的かつ機械的に敏感な薄膜樹脂(例えば、ポリアミド樹脂、ポリエチレンテトラフタレート樹脂)の樹脂薄膜帯2は、例えば、強力な空気流15により変形(延伸)し又は高温化で損傷する難点があるため、空気の高速衝突は、重大な問題になる。従って、樹脂薄膜帯2の材料に応じて、噴出ノズル8a, 8b,…n数を選択しなければならない。ノズル開口領域13の大きさ、ノズル開口領域13の側方に設けられる複数の吸引領域11a, 11bの全吸引開口領域12にも同様の問題がある。
【0093】
図示しない保持装置に各ノズル筐体20a, 20b,…nを縦方向7に着脱可能に装着して、異なる噴出ノズル8a, 8b,…nを有するノズル筐体20a, 20b,…nと各ノズル筐体20a, 20b,…nとを容易に交換できることが好ましい。吸引筐体26a, 26b,…nも交換可能が好ましい。
【0094】
少なくとも1つの第2の噴出ノズル装置30と少なくとも1つの第2の吸引装置31にも、噴出ノズル装置8と第1の吸引装置9とを使用する全実施の形態を適用できる。
【0095】
図12Aは、時間経過に対する樹脂薄膜帯2の2例の平均温度特性曲線を示す。計測値又は模擬実験(=計測値の算出)から、特性曲線を導出できる。縦軸の温度は、各時点での送風装置3の薄膜退出領域6bでの樹脂薄膜帯2の幅に沿う平均温度を示す。測定する温度は、樹脂薄膜帯2の幅に沿って平均化されかつ樹脂薄膜帯2の幅に沿って間隔を空けて配置される複数の温度検出器(2~30つの温度検出器)で検出される。例えば、平均温度は、温度検出器での計測値を合計して計測値数で除算した値である。丸印付き特性曲線は、本発明の送風装置3を採用した測定結果である。×印付き特性曲線は、従来の送風装置を採用した測定結果である。明らかに従来より温度変動の小さい本発明の送風装置3による樹脂薄膜は、より一定の品質特性が保持されるものと理解できる。
【0096】
図12Bは、全送風装置3からの伝熱による樹脂薄膜帯2での時間経過に伴い変動する熱伝達係数(Heat Transfer Coefficient)の平均値を示す。丸印付き特性曲線は、本発明の送風装置3を採用した測定結果である。×印付き特性曲線は、従来の送風装置を採用した測定結果である。本発明の送風装置3の時間経過に伴う平均熱伝達係数の変動は、明らかに従来より小さく、樹脂薄膜は、一定の良好な品質特性に保持されるものと認識できる。
【0097】
本発明は、前記実施の形態に限定されない。本発明の前記特徴及び/又は図示の全特徴を任意に互いに組み合せることができる。