(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-11
(45)【発行日】2023-05-19
(54)【発明の名称】パターン形成された表面を有するスーパーストレートを備える半導体発光デバイス
(51)【国際特許分類】
H01L 33/58 20100101AFI20230512BHJP
H01L 33/50 20100101ALI20230512BHJP
【FI】
H01L33/58
H01L33/50
(21)【出願番号】P 2020552264
(86)(22)【出願日】2019-04-22
(86)【国際出願番号】 US2019028502
(87)【国際公開番号】W WO2019209708
(87)【国際公開日】2019-10-31
【審査請求日】2020-11-18
(32)【優先日】2018-04-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】321012546
【氏名又は名称】クリーエルイーディー インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウェルチ、エリン
(72)【発明者】
【氏名】フィニー、ポール トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ターサ、エリック
(72)【発明者】
【氏名】デイビス、ケネス、モーガン
【審査官】高椋 健司
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-157990(JP,A)
【文献】特開2007-059378(JP,A)
【文献】特開2012-109532(JP,A)
【文献】特開2013-187245(JP,A)
【文献】特開2004-362887(JP,A)
【文献】特開2010-114218(JP,A)
【文献】国際公開第2017/069964(WO,A1)
【文献】独国特許出願公開第102016101442(DE,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0042546(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0138981(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00-33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光ダイオード(LED)チップと、
前記LEDチップ上のレシピエント発光媒体と、
前記LEDチップと反対側の、前記レシピエント発光媒体上のパターン形成されたスーパーストレートと
を備える半導体発光デバイスであって、前記パターン形成されたスーパーストレートは、前記レシピエント発光媒体との境界面を形成するパターン形成された表面
であって、連続する透明の材料に沿って形成された複数の光学要素を伴う、前記パターン形成された表面を有し、前記境界面は、前記LEDチップの光軸からはずれた角度の関数としての、前記半導体発光デバイスによって放出される光の色点の変動を低減するよう構成される、半導体発光デバイス。
【請求項2】
前
記複数の光学要素
は、前記連続する透明の材料に沿って0.5μmから10μmの範囲のピッチで配置されている、請求項1に記載の半導体発光デバイス。
【請求項3】
前記複数の光学要素は、前記LEDチップに向かって後方に向けられる光の量を低減する、請求項
1に記載の半導体発光デバイス。
【請求項4】
前記複数の光学要素のうちの少なくとも1つは凸状の突起又は凹状のへこみを含む、請求項
1に記載の半導体発光デバイス。
【請求項5】
前記複数の光学要素のうちの少なくとも1つは円形の断面又は多角形の断面を有する、請求項
1に記載の半導体発光デバイス。
【請求項6】
前記パターン形成された表面は、第1のパターン形成された表面であり、
前記パターン形成されたスーパーストレートは、前記パターン形成されたスーパーストレートの前記第1のパターン形成された表面と反対の側面上に、第2のパターン形成された表面を有し、且つ
前記複数の光学要素は、前記第1のパターン形成された表面上の第1の光学要素、及び前記第2のパターン形成された表面上の第2の光学要素を含む、
請求項
1に記載の半導体発光デバイス。
【請求項7】
前記パターン形成されたスーパーストレートは、第1のパターン形成されたスーパーストレートを含み、且つ
前記半導体発光デバイスはさらに、前記第1のパターン形成されたスーパーストレート上に第2のスーパーストレートを備える、
請求項1に記載の半導体発光デバイス。
【請求項8】
前記第1のパターン形成されたスーパーストレートは、複数の第1の光学要素を有し、且つ
前記第2のスーパーストレートは、複数の第2の光学要素を有する第2のパターン形成されたスーパーストレートを含む、
請求項7に記載の半導体発光デバイス。
【請求項9】
前記パターン形成された表面は、前記LEDチップを通って延びる、前記LEDチップの主面に垂直な光軸から40度以内のほぼすべての視角に対して、前記半導体発光デバイスによって放出される前記光のccx及びccy座標の両方の前記変動を0.01以内に低減するよう構成される、請求項1に記載の半導体発光デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、2018年4月23日に出願された米国仮特許出願第62/661,359号、名称「SEMICONDUCTOR LIGHT EMITTING DEVICES INCLUDING SUPERSTRATES WITH PATTERNED SURFACES」の、米国特許法第119(e)の下での利益を主張し、その全内容が本明細書に参照として組み入れられる。
【0002】
本開示は、発光デバイス、より詳細には、パターン形成された表面を有するスーパーストレートを備える、半導体発光デバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
半導体発光デバイスは、今日広く使用されている。半導体発光デバイスは、典型的には、1つ又は複数の発光ダイオード・チップ(「LED:light enitting diode」又は「LEDチップ」)を備える。各LEDチップは、たとえば、サファイア、シリコン、炭化ケイ素、窒化ガリウム、又はガリウムヒ素基板などの基板上に、エピタキシャル成長させ得る一連の半導体層を備え得る。こうしたエピタキシャル層には、1つ又は複数の半導体p-n接合が形成される。p-n接合間に十分な電圧が印加されると、n型半導体層の電子及びp型半導体層の正孔がp-n接合部に向かって流れる。電子及び正孔が互いに向かって流れると、電子は対応する正孔と「衝突」して再結合し、それにより光子が放出されるようになる。LEDチップから放出される光の波長分布は、一般に、使用される半導体材料、並びに電子と正孔との再結合が発生する場所である、デバイスの「活性領域」を構成する薄いエピタキシャル層の構造体によって変わる。
【0004】
LEDチップは、単一色の光を放出するように見える、ほぼ単色の光源である。LEDによって放出される光のスペクトル出力分布は、光検出器で検出されると、LEDチップのスペクトル出力分布が最大に達する波長である、「ピーク」波長が中心に位置し得る。LEDチップのスペクトル出力分布の幅は、通常、約10nmから30nmの間であり、この幅は、発光ピークの両側の、最大照明の半分のところで測定され得る(この幅は、半値全幅、又は「FWHM:full width at half maximum」幅と呼ばれ得る)。
【0005】
可視光は、多くの様々な波長を有する光を含み得る。可視光の見かけ上の色は、色の加重和として色を定義するための基準を提供する、
図1に示す1931CIE色度図などの、2次元色度図を参照して説明できる。
図1に示すように、CIE色度図上の色は、概ねU字型のエリア内にある、x(ccx)座標及びy(ccy)座標(すなわち色度座標)によって定義される。エリアの外側又はその付近の色は、単一の波長又は非常に小さい波長分布を持つ光で構成される飽和色であり、一方エリアの内側の色は、様々な波長の混合物で構成される不飽和色である。多くの様々な波長の混合物であり得る白色光は、概ね、図の中央付近、
図1で10と表示された領域に見られる。領域10のサイズから明らかなように、「白」と見なされ得る多くの様々な光の色相がある。たとえば、高出力ナトリウム蒸気照明デバイスによって生成された光などの一部の「白色」光は、黄色がかった色に見える可能性があるが、一部の蛍光灯デバイスによって生成された光などの他の「白色」光は、より青みがかった色に見える可能性がある。
【0006】
第1及び第2の色の光を放出する光源からの光の組合せは、2つの構成色のどちらとも異なる色を有するように見える可能性がある。組み合わされた光の色は、2つの光源の波長及び相対強度によって変わり得る。たとえば、青色の光源と赤色の光源との組合せによって放出される光は、観察者には、紫色又はマゼンタに見える可能性がある。同様に、青色の光源と黄色の光源との組合せによって放出される光は、観察者には、白色に見える可能性がある。
図1のグラフの各点は、その色を有する光を放出する光源の「色点」と呼ばれる。
図1に示すように、様々な温度に加熱される黒体放射体によって放出される光の色点の位置に対応する、「黒体」軌跡15と呼ばれる色点の軌跡が存在する。黒体軌跡15は、黒体軌跡に沿った色度座標(すなわち色点)がPlanckの式:E(λ)=Aλ
-5/(e
B/T-1)に従うので、「Planckian」軌跡とも呼ばれ、ここでEは発光強度、λは発光波長、Tは黒体の色温度、A及びBは定数である。黒体軌跡15上又はその付近にある色点は、ヒトの観察者にとって心地よい白色光をもたらす。
【0007】
加熱された物体が白熱光を発するようになると、該物体は温度の上昇と共に、最初に赤みがかった色に、次いで黄色がかった色に、最後に青みがかった色に輝く。これは、Wienの変位則と一致し、黒体放射体のピーク放射に関連する波長が、温度の上昇と共に次第に短くなるため発生する。したがって、黒体軌跡15上又はその付近にある光を生成する発光体は、発光体の相関色温度(CCT:correlated color temperature)によって表すことができる。本明細書で使用されるとき、用語「白色光」は、白色として知覚され、1931CIE色度図上の黒色体軌跡のMacAdam楕円の7ステップの範囲内(within 7 MacAdam ellipses)にあり、2000Kから10,000Kの範囲のCCTを有する光を指す。CCTが4000Kの白色光は黄色がかった色に見える可能性があるが、CCTが8000K以上の白色光はより青みがかった色に見える可能性があり、「寒色系」白色光と呼ばれ得る。「暖色系」白色光は、CCTが約2500Kから4500Kの間で、色がより赤みがかった又は黄色がかった白色光を表すのに使用され得る。
【0008】
白色光を放出する半導体発光デバイスは、LEDチップによって放出された光の一部を吸収し、それに応答して他の1色又は複数色の光を放出する、蛍光体などの1種又は複数種類の発光材料でLEDチップを囲繞することにより、実現され得る。このプロセスは、本明細書では、LEDチップによって放出された光の一部を、他の色の光に「変換する」こととも呼ばれる。発光材料で変換されない、LEDによって放出される光と、発光材料によって放出される他の色の光との組合せは、観察者にとって白色又はほぼ白色に見える光を生成し得る。
【0009】
一実例として、白色発光LEDパッケージは、窒化ガリウムベースの青色LED(すなわち、本明細書で定義される、青色の範囲のピーク波長を有する光を放出するLED)を、化学式がY3Al5O12:Ceである、一般にYAG:Ceと呼ばれる、セリウムがドープされたイットリウム・アルミニウム・ガーネット蛍光体などの、「黄色」の蛍光体(すなわち、黄色の範囲のピーク波長を有する光を放出する蛍光体)でコーティングすることによって形成され得る。青色LEDは、たとえば、約460nmのピーク波長を有する光を放出する。LEDによって放出された青色光の一部は変換されずに、YAG:Ce蛍光体粒子間及び/又はYAG:Ce蛍光体粒子を通って進み、一方LEDによって放出された青色光の他の部分は、YAG:Ce蛍光体によって吸収され、励起されて、約550nmのピーク波長を持つ広域スペクトルの蛍光を放出する。YAG:Ce蛍光体によって放出される広域スペクトル光には、多くの種々の色の光(たとえば、緑色、黄色、橙色、さらには赤色光)が含まれる可能性があり、放出光のピーク強度が黄色の範囲にあるので、ほぼ黄色がかった色に見える。YAG:Ce蛍光体によって変換されないLEDからの青色光と、YAG:Ce蛍光体によって放出される他の色の光との組合せは、観察者には白色に見え得る。かかる光は、主に可視発光スペクトルの下半分の光(より短波長側)を含むので、通常、寒色系の白色であると知覚される。放出された白色光をより「暖色系」に見せ、且つ/又はより優れた演色性を示すために、Eu2+がドープされたCaAlSiN3ベースの蛍光体など、赤色範囲内にピーク波長がある光を放出する蛍光体粒子が、青色LEDに塗布されるコーティングに添加され得る。
【0010】
一般に蛍光体は、第1の波長を有する光を吸収し、第1の波長とは異なる(典型的には、より長い)第2の波長を有する光を再放出する。たとえば、「ダウンコンバージョン」蛍光体は、より短い波長を有する光を吸収し、より長い波長を有する光を再放出できる。用語「蛍光体」は、本明細書では、従来燐光と呼ばれてきた材料だけでなく、たとえば、量子ドットなど、可視スペクトルのある波長の光を吸収して異なる波長の光を再放出する、他の発光材料も包含するように、広義に使用されていることが理解されよう。
【0011】
典型的には、蛍光体の粒子は、たとえば、エポキシベース又はシリコーンベースの硬化性樹脂などのバインダ材料に混合され、次いで、LED又は灯具の別の表面上にコーティング、噴霧、又は注がれる。本明細書では、かかる混合物は、「レシピエント発光媒体」と呼ばれる。レシピエント発光媒体は、1種若しくは複数種類の蛍光体が混合される1つの層又は同等のもの、それぞれが1種又は複数種類の同じ又は相異なる蛍光体を含み得る、複数の積み重ねられた層、及び/或いはそれぞれが同じ又は相異なる蛍光体を含み得る、複数の間隔を置いて配置された層を含み得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【文献】米国特許出願第15/657,027号
【文献】米国特許出願第14/053,404号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明のいくつかの実施例によれば、半導体発光デバイスは、発光ダイオード(LED)チップと、LEDチップ上のレシピエント発光媒体と、LEDチップと反対側の、レシピエント発光媒体上のパターン形成されたスーパーストレートとを備え、パターン形成されたスーパーストレートは、LEDチップの光軸からはずれた角度の関数としての、半導体発光デバイスによって放出される光の色点の変動を低減するよう構成される、パターン形成された表面を有する。
【0014】
いくつかの実施例では、パターン形成された表面は、複数の光学要素を有する。
【0015】
いくつかの実施例では、複数の光学要素は、半導体発光デバイスによって放出される光の量を低減する一方で、視角の関数としての、半導体発光デバイスによって放出される光の色点の変動を低減するよう構成される。
【0016】
いくつかの実施例では、複数の光学要素のうちの少なくとも1つは、凸状の突起を含む。
【0017】
いくつかの実施例では、凸状の突起は、非線形の側壁を備える。
【0018】
いくつかの実施例では、複数の光学要素のうちの少なくとも1つは、凹状のへこみを含む。
【0019】
いくつかの実施例では、複数の光学要素のうちの少なくとも1つは、円形の断面を有する。
【0020】
いくつかの実施例では、複数の光学要素のうちの少なくとも1つは、多角形の断面を有する。
【0021】
いくつかの実施例では、複数の光学要素は、パターン形成されたスーパーストレート上に格子状に配置される。
【0022】
いくつかの実施例では、パターン形成されたスーパーストレートの、パターン形成された表面と反対側の表面は、ほぼ平面である。
【0023】
いくつかの実施例では、複数の光学要素は、パターン形成されたスーパーストレートの上面にある。
【0024】
いくつかの実施例では、複数の光学要素は、パターン形成されたスーパーストレートの底面にある。
【0025】
いくつかの実施例では、複数の光学要素のうちの少なくとも1つの高さは、1から3マイクロメートル(μm)の間であり、複数の光学要素のうちの少なくとも1つの幅は、2から4μmの間である。
【0026】
いくつかの実施例では、複数の光学要素のピッチは、0.5から10μmの間である。
【0027】
いくつかの実施例では、複数の光学要素のピッチは、複数の光学要素のそれぞれの幅の0.5から10倍の間である。
【0028】
いくつかの実施例では、パターン形成された表面は第1のパターン形成された表面であり、パターン形成されたスーパーストレートは、パターン形成されたスーパーストレートの、第1のパターン形成された表面と反対の側面上に、第2のパターン形成された表面を有し、複数の光学要素は、第1のパターン形成された表面上の第1の光学要素及び第2のパターン形成された表面上の第2の光学要素を含む。
【0029】
いくつかの実施例では、パターン形成されたスーパーストレートは、レシピエント発光媒体に直接接触する。
【0030】
いくつかの実施例では、半導体発光デバイスはさらに、パターン形成されたスーパーストレートとレシピエント発光媒体との間に、空隙を有する。
【0031】
いくつかの実施例では、パターン形成されたスーパーストレートは、第1のパターン形成されたスーパーストレートを含み、半導体発光デバイスはさらに、第1のパターン形成されたスーパーストレート上に第2のスーパーストレートを備え、第2のスーパーストレートは、第1のパターン形成されたスーパーストレートのパターン形成された表面に隣接する主面を有する。
【0032】
いくつかの実施例では、第1のパターン形成されたスーパーストレートは、複数の第1の光学要素を有し、第2のスーパーストレートは、複数の第2の光学要素を有する第2のパターン形成されたスーパーストレートを含む。
【0033】
いくつかの実施例では、第1のパターン形成されたスーパーストレートは、第1の屈折率を有し、第2のスーパーストレートは、第1の屈折率とは異なる第2の屈折率を有する。
【0034】
いくつかの実施例では、半導体発光デバイスはさらに、レシピエント発光媒体とLEDチップとの間に接着剤層を備える。
【0035】
いくつかの実施例では、パターン形成されたスーパーストレートは透明である。
【0036】
いくつかの実施例では、パターン形成された表面は、LEDチップを通って延びる、LEDチップの主面に垂直な光軸から40度以内のほぼすべての視角に対して、半導体発光デバイスによって放出される光のccx及びccy座標の両方の変動を0.01以内に低減するよう構成される。
【0037】
本発明のいくつかの実施例によれば、半導体発光デバイスは、発光ダイオード(LED)チップと、LEDチップ上に直接取り付けられたチップ・カバーとを備える。チップ・カバーは、複数の光学要素を有するパターン形成されたスーパーストレートと、パターン形成されたスーパーストレート上のレシピエント発光媒体とを備え、レシピエント発光媒体は、LEDチップとパターン形成されたスーパーストレートとの間にある。
【0038】
いくつかの実施例では、複数の光学要素のうちの少なくとも1つは、凸状の突起を含む。
【0039】
いくつかの実施例では、凸状の突起は、非線形の側壁を備える。
【0040】
いくつかの実施例では、複数の光学要素のうちの少なくとも1つは、凹状のへこみを含む。
【0041】
いくつかの実施例では、複数の光学要素のうちの少なくとも1つは、円形の断面を有する。
【0042】
いくつかの実施例では、複数の光学要素のうちの少なくとも1つは、多角形の断面を有する。
【0043】
いくつかの実施例では、複数の光学要素は、パターン形成されたスーパーストレート上に格子状に配置される。
【0044】
いくつかの実施例では、パターン形成されたスーパーストレートはパターン形成された表面を有し、パターン形成されたスーパーストレートの、パターン形成された表面と反対側の表面は、ほぼ平面である。
【0045】
いくつかの実施例では、複数の光学要素は、パターン形成されたスーパーストレートの上面にある。
【0046】
いくつかの実施例では、複数の光学要素は、パターン形成されたスーパーストレートの底面にある。
【0047】
いくつかの実施例では、パターン形成されたスーパーストレートは、レシピエント発光媒体に直接接触する。
【0048】
いくつかの実施例では、半導体発光デバイスはさらに、パターン形成されたスーパーストレートとレシピエント発光媒体との間に、空隙を有する。
【0049】
いくつかの実施例では、パターン形成されたスーパーストレートは、サファイア、炭化ケイ素、溶融シリカ、及び/又はガラスを含む。
【0050】
いくつかの実施例では、複数の光学要素は、半導体発光デバイスによって放出される光の量を低減する一方で、視角の関数としての、半導体発光デバイスによって放出される光の色点の変動を低減するよう構成される。
【0051】
いくつかの実施例では、複数の光学要素のうちの少なくとも1つの高さは、1から3マイクロメートル(μm)の間であり、複数の光学要素のうちの少なくとも1つの幅は、2から4μmの間である。
【0052】
いくつかの実施例では、複数の光学要素のピッチは、0.5から10μmの間である。
【0053】
いくつかの実施例では、複数の光学要素のピッチは、複数の光学要素のそれぞれの幅の0.5から10倍の間である。
【0054】
いくつかの実施例では、パターン形成されたスーパーストレートは、パターン形成された表面を有する第1のパターン形成されたスーパーストレートを含み、半導体発光デバイスはさらに、第1のパターン形成されたスーパーストレート上に第2のスーパーストレートを備え、第2のスーパーストレートは、第1のパターン形成されたスーパーストレートのパターン形成された表面に隣接する主面を有する。
【0055】
いくつかの実施例では、第1のパターン形成されたスーパーストレートは、複数の第1の光学要素を有し、第2のスーパーストレートは、複数の第2の光学要素を有する第2のパターン形成されたスーパーストレートを含む。
【0056】
いくつかの実施例では、第1のパターン形成されたスーパーストレートは、第1の屈折率を有し、第2のスーパーストレートは、第1の屈折率とは異なる第2の屈折率を有する。
【0057】
いくつかの実施例では、半導体発光デバイスはさらに、レシピエント発光媒体とLEDチップとの間に接着剤層を備える。
【0058】
いくつかの実施例では、パターン形成されたスーパーストレートは透明である。
【0059】
いくつかの実施例では、パターン形成されたスーパーストレートは、第1のパターン形成された表面と、パターン形成されたスーパーストレートの、第1のパターン形成された表面と反対の側面上に第2のパターン形成された表面とを有し、複数の光学要素は、第1のパターン形成された表面上の第1の光学要素及び第2のパターン形成された表面上の第2の光学要素を含む。
【0060】
いくつかの実施例では、パターン形成されたスーパーストレートは、LEDチップを通って延びる、LEDチップの主面に垂直な光軸から40度以内のほぼすべての視角に対して、半導体発光デバイスによって放出される光のccx及びccy座標の両方の変動を0.01以内に低減するよう構成される。
【0061】
本発明のいくつかの実施例によれば、半導体発光デバイスは、発光ダイオード(LED)チップと、LEDチップ上のレシピエント発光媒体と、LEDチップと反対側の、レシピエント発光媒体上のパターン形成されたスーパーストレートとを備え、パターン形成されたスーパーストレートは、LEDチップを通って延びる、LEDチップの主面に垂直な光軸から40度以内のほぼすべての視角に対して、半導体発光デバイスによって放出される光のccx及びccy色座標の両方の変動を0.01以内に低減するよう構成される、パターン形成された表面を有する。
【0062】
いくつかの実施例では、レシピエント発光媒体は、蛍光体材料及びバインダ材料を含み、バインダ材料の第1の屈折率とパターン形成されたスーパーストレートの第2の屈折率との間の差異は、少なくとも0.3である。
【0063】
いくつかの実施例では、パターン形成された表面は、複数の光学要素を有する。
【0064】
いくつかの実施例では、複数の光学要素は、光軸から少なくとも45°である、LEDチップから放出される光の一部の向きを、LEDチップを通って延びる、LEDチップの主面に垂直な光軸から30°以内に変える。
【0065】
いくつかの実施例では、複数の光学要素は、光軸から少なくとも10°である、LEDチップから放出される光の一部の向きを、LEDチップを通って延びる、LEDチップの主面に垂直な光軸から30°を超える向きに変える。
【0066】
いくつかの実施例では、複数の光学要素のうちの少なくとも1つは、凸状の突起を含む。
【0067】
いくつかの実施例では、凸状の突起は、非線形の側壁を備える。
【0068】
いくつかの実施例では、複数の光学要素のうちの少なくとも1つは、凹状のへこみを含む。
【0069】
いくつかの実施例では、複数の光学要素のうちの少なくとも1つは、円形の断面を有する。
【0070】
いくつかの実施例では、複数の光学要素のうちの少なくとも1つは、多角形の断面を有する。
【0071】
いくつかの実施例では、パターン形成されたスーパーストレートの、パターン形成された表面と反対側の表面は、ほぼ平面である。
【0072】
いくつかの実施例では、複数の光学要素は、パターン形成されたスーパーストレートの上面にある。
【0073】
いくつかの実施例では、複数の光学要素は、パターン形成されたスーパーストレートの底面にある。
【0074】
いくつかの実施例では、複数の光学要素は、半導体発光デバイスによって放出される光の量を低減する一方で、視角の関数としての、半導体発光デバイスによって放出される光の色点の変動を低減するよう構成される。
【0075】
いくつかの実施例では、複数の光学要素のうちの少なくとも1つの高さは、1から3マイクロメートルの間であり、複数の光学要素のうちの少なくとも1つの幅は、2から4μmの間である。
【0076】
いくつかの実施例では、複数の光学要素のピッチは、0.5から10マイクロメートルの間である。
【0077】
いくつかの実施例では、複数の光学要素のピッチは、複数の光学要素のそれぞれの幅の0.5から10倍の間である。
【0078】
いくつかの実施例では、複数の光学要素は、パターン形成されたスーパーストレート上に格子状に配置される。
【0079】
いくつかの実施例では、格子は6角形である。
【0080】
いくつかの実施例では、複数の光学要素は、パターン形成されたスーパーストレート上で変則的なパターンに配置される。
【0081】
いくつかの実施例では、パターン形成された表面は第1のパターン形成された表面であり、パターン形成されたスーパーストレートは、パターン形成されたスーパーストレートの、第1のパターン形成された表面と反対の側面上に第2のパターン形成された表面を有し、複数の光学要素は、第1のパターン形成された表面上の第1の光学要素及び第2のパターン形成された表面上の第2の光学要素を含む。
【0082】
いくつかの実施例では、パターン形成された表面は、LEDチップを通って延びる、LEDチップの主面に垂直な光軸から40度以内のほぼすべての視角に対して、半導体発光デバイスによって放出される光のccx及びccy座標の両方の変動を0.005以内に低減するよう構成される。
【0083】
いくつかの実施例では、パターン形成されたスーパーストレートは透明である。
【0084】
いくつかの実施例では、パターン形成されたスーパーストレートは、レシピエント発光媒体に直接接触する。
【0085】
いくつかの実施例では、半導体発光デバイスはさらに、パターン形成されたスーパーストレートとレシピエント発光媒体との間に、空隙を有する。
【0086】
いくつかの実施例では、パターン形成されたスーパーストレートは、サファイア、炭化ケイ素、溶融シリカ、及び/又はガラスを含む。
【0087】
いくつかの実施例では、パターン形成されたスーパーストレートは、第1のパターン形成されたスーパーストレートを含み、半導体発光デバイスはさらに、第1のパターン形成されたスーパーストレート上に第2のスーパーストレートを備え、第2のスーパーストレートは、第1のパターン形成されたスーパーストレートのパターン形成された表面に隣接する主面を有する。
【0088】
いくつかの実施例では、第1のパターン形成されたスーパーストレートは、複数の第1の光学要素を有し、第2のスーパーストレートは、複数の第2の光学要素を有する第2のパターン形成されたスーパーストレートを含む。
【0089】
いくつかの実施例では、第1のパターン形成されたスーパーストレートは、第1の屈折率を有し、第2のスーパーストレートは、第1の屈折率とは異なる第2の屈折率を有する。
【0090】
特許又は出願書類のファイルは、カラーで作成された少なくとも1つの図面を含む。カラーの図面を含むこの特許又は特許出願公開のコピーは、要求及び必要な料金の支払いに応じて、特許庁により提供される。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【
図1】色度座標によって色を定義する、1931CIE色度図である。
【
図2】チップ・カバーを備える従来の半導体発光デバイスの概略断面図である。
【
図3A】デバイスから放出される光の様々な視角を示す、従来の半導体発光デバイスの概略断面図である。
【
図3B】従来の半導体発光デバイスから放出される光の、知覚される色の変化と、放出光の視角との間の関係を示すグラフである。
【
図3C】従来の半導体発光デバイスから放出される光の、知覚される色の変化と、放出光の視角との間の関係を示すグラフである。
【
図4】本発明の実施例による、半導体発光デバイスの概略断面図である。
【
図5A】
従来の半導体発光デバイスからの発光を示すシミュレーション図である。
【
図5B】従来のデバイスと比較した、本発明の実施例による半導体発光デバイスの動作を示すシミュレーション図である。
【
図6A】本発明の特定の実施例による、半導体発光デバイスが有する光学要素の例示的な構成の概略断面図である。
【
図6B】本発明の特定の実施例による、半導体発光デバイスが有する光学要素の例示的な構成の概略断面図である。
【
図6C】本発明の特定の実施例による、半導体発光デバイスが有する光学要素の例示的な構成の概略断面図である。
【
図7A】本発明の特定の実施例による、半導体発光デバイスが有する光学要素の例示的な構成の概略断面図である。
【
図7B】本発明の特定の実施例による、半導体発光デバイスが有する光学要素の例示的な構成の概略断面図である。
【
図7C】本発明の特定の実施例による、半導体発光デバイスが有する光学要素の例示的な構成の概略断面図である。
【
図8A】本発明の特定の実施例による、半導体発光デバイスが有する光学要素の例示的な構成の概略断面図である。
【
図8B】本発明の特定の実施例による、半導体発光デバイスが有する光学要素の例示的な構成の概略断面図である。
【
図8C】本発明の特定の実施例による、半導体発光デバイスが有する光学要素の例示的な構成の概略断面図である。
【
図9A】光学要素がパターン形成されたスーパーストレートの上面にある、本発明の実施例による半導体発光デバイスの概略断面図である。
【
図9B】
図9Aの半導体発光デバイスの動作を示す概略図である。
【
図10A】光学要素がパターン形成されたスーパーストレートの表面内にへこまされている、
図6Aと同様の半導体発光デバイスを示す図である。
【
図10B】光学要素がパターン形成されたスーパーストレートの表面内にへこまされている、
図7Aと同様の半導体発光デバイスを示す図である。
【
図10C】光学要素がパターン形成されたスーパーストレートの表面内にへこまされている、
図8Aと同様の半導体発光デバイスを示す図である。
【
図11A】パターン形成されたスーパーストレートがへこんだ光学要素を有する、例示的な半導体発光デバイスの概略断面図である。
【
図11B】パターン形成されたスーパーストレートがへこんだ光学要素を有する、例示的な半導体発光デバイスの概略断面図である。
【
図12A】光学要素が突起として2層のスーパーストレート間に設けられた、例示的な半導体発光デバイスの概略断面図である。
【
図12B】光学要素が突起として2層のスーパーストレート間に設けられた、例示的な半導体発光デバイスの概略断面図である。
【
図12C】光学要素がへこみとして2層のスーパーストレート間に設けられた、例示的な半導体発光デバイスの概略断面図である。
【
図12D】光学要素がへこみとして2層のスーパーストレート間に設けられた、例示的な半導体発光デバイスの概略断面図である。
【
図12E】複数のパターン形成されたスーパーストレートを備える、例示的な半導体発光デバイスの概略断面図である。
【
図12F】複数のパターン形成されたスーパーストレートを備える、例示的な半導体発光デバイスの概略断面図である。
【
図12G】両面に光学要素を有する、パターン形成されたスーパーストレートを備えた、例示的な半導体発光デバイスの概略断面図である。
【
図12H】両面に光学要素を有する、パターン形成されたスーパーストレートを備えた、例示的な半導体発光デバイスの概略断面図である。
【
図13】パターン形成されたスーパーストレートが内部光学要素を有する、半導体発光デバイスの概略断面図である。
【
図14】パターン形成されたスーパーストレートとレシピエント発光媒体との間に、空隙をさらに有する、半導体発光デバイスの概略断面図である。
【
図15】レンズを備える成形照明装置内に備えられる、
図4の半導体発光デバイスの概略断面図である。
【
図16】複数のLEDチップを備える半導体発光デバイスに使用される、パターン形成されたスーパーストレートの概略断面図である。
【
図17A】従来のデバイス及び本発明の実施例による半導体発光デバイスの、角度の変化に対する色を示すグラフである。
【
図17B】従来のデバイス及び本発明の実施例による半導体発光デバイスの、角度の変化に対する色を示すグラフである。
【
図17C】相異なる種類のパターン形成されたスーパーストレートを備える本発明の実施例による半導体発光デバイスの、角度の変化に対する色の差異の、性能を示すグラフである。
【
図18A】従来のディフューザの使用によって発生する可能性がある鮮鋭度の低下を、本発明の実施例による例示的な半導体発光デバイスと比較して示すグラフである。
【
図18B】従来のディフューザの使用によって発生する可能性がある鮮鋭度の低下を、本発明の実施例による例示的な半導体発光デバイスと比較して示すグラフである。
【
図19A】従来のデバイスと本発明の実施例による例示的な半導体発光デバイスとの間の、さらなる性能比較を示すグラフである。
【
図19B】従来のデバイスと本発明の実施例による例示的な半導体発光デバイスとの間の、さらなる性能比較を示すグラフである。
【
図20A】従来の半導体発光デバイスの性能を示すグラフである。
【
図20B】従来の半導体発光デバイスの性能を示すグラフである。
【
図21A】本明細書に記載のいくつかの実施例によるデバイスの性能を示すグラフである。
【
図21B】本明細書に記載のいくつかの実施例によるデバイスの性能を示すグラフである。
【
図22A】円形の基部をもつ光学要素を有する半導体発光デバイス及び6角形の基部をもつ光学要素を有する半導体発光デバイスにおける、カラーオーバーアングル(CoA:Color-over-Angle)の変動を示すグラフである。
【
図22B】円形の基部をもつ光学要素を有する半導体発光デバイス及び6角形の基部をもつ光学要素を有する半導体発光デバイスにおける、カラーオーバーアングル(CoA)の変動を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0092】
これらの図は、特定の例示的な実施例で利用される方法、構造体、及び/又は材料の全般的な特性を図示し、以下に提示される書面による説明を補足することを意図していることに留意されたい。ただし、これらの図面は原寸に比例しておらず、所与の実施例の構造上の又は性能上の特性も正確に反映していない可能性があり、本明細書に記載の例示的な実施例に包含される値又は性質の範囲を定義又は制限するものとして解釈されるべきではない。たとえば、層、領域、及び/又は構造上の要素の相対的厚さ及び配置は、明確にするために縮小又は誇張され得る。様々な図面での類似又は同一の参照番号の使用は、類似又は同一の要素又は形体の存在を示すことを意図している。
【0093】
本発明の実施例によれば、ある範囲の視角にわたって半導体発光デバイスによって放出される光の色の一貫性は、半導体発光デバイスのLEDチップと反対側のレシピエント発光媒体上に配置される、パターン形成されたスーパーストレートを追加することによって改善され得る。パターン形成されたスーパーストレートを追加することにより、様々な角度から見たときの放出光に、より均一な色をもたらすように、半導体発光デバイスによって放出される光の特性を変えることができる。
【0094】
レシピエント発光媒体を備えたLEDチップを利用する従来の半導体発光デバイスは、放出光の視角が変化するにつれて、放出光の色が変動を示す光を放出する可能性がある。たとえば、半導体発光デバイスから放出される光の色は、半導体発光デバイスを直接、たとえば真っ直ぐに半導体発光デバイスを見ると、第1の色であり得るが、視角が直視に対して大きくなるにつれて、色は、第2の色になる可能性がある。言い換えれば、半導体発光デバイスから放出される光の知覚される色は、真正面から見た場合と違って、斜めの角度から見た場合には異なる可能性がある。半導体発光デバイスによって、様々な視角にわたって放出される光の色の変動は、デバイスのカラーオーバーアングル(CoA)の変動として知られている。
【0095】
本明細書に記載の実施例によれば、半導体発光デバイスのCoA性能は、半導体発光デバイス内に、複数の光学要素が中に形成された、パターン形成されたスーパーストレートを備えることによって改善され得る。パターン形成されたスーパーストレートは、レシピエント発光媒体中の蛍光体によって放出される光と、LEDチップからの変換されていない光との両方を含む、レシピエント発光媒体から放出される光を受光するよう配置され得る。本明細書で論じられるように、このパターン形成されたスーパーストレートを使用することにより、広範囲の視角にわたる放出光のCoAの変動を改善するために、放出光への追加の屈折及び/又は反射がもたらされ得る。
【0096】
本発明のいくつかの実施例によれば、LEDチップと、LEDチップ上のレシピエント発光媒体と、LEDチップと反対側の、レシピエント発光媒体上のパターン形成されたスーパーストレートとを備える、半導体発光デバイスが提供される。パターン形成されたスーパーストレートとは、LEDチップの放出面に垂直な線からはずれる角度の関数としての、半導体発光デバイスによって放出される光の色点の変動を低減する、パターン形成された表面であり得る。
【0097】
本発明のさらなる実施例によれば、LEDチップ及びLEDチップ上に直接取り付けられたチップ・カバーを備える、半導体発光デバイスが提供される。チップ・カバーは、複数の光学要素を有するパターン形成されたスーパーストレートと、パターン形成されたスーパーストレート上のレシピエント発光媒体とを備え得る。レシピエント発光媒体は、LEDチップとパターン形成されたスーパーストレートとの間に配置され得る。
【0098】
本発明の追加の実施例によれば、LEDチップと、LEDチップ上のレシピエント発光媒体と、LEDチップと反対側の、レシピエント発光媒体上のパターン形成されたスーパーストレートとを備える、半導体発光デバイスが提供される。パターン形成されたスーパーストレートは、LEDチップの主面に垂直に延びる軸の40度以内のほぼすべての視角に対して、放出光のccx及びccy色座標の両方の変動を0.01以内に低減するよう構成された、パターン形成された表面を有する。
【0099】
ここで、本発明の例示的な実施例について、図を参照してより詳細に説明することにする。
【0100】
図2は、チップ・カバー220を備える従来の半導体発光デバイス200の概略断面図である。
図2に示すように、チップ・カバー220は、その上に配置されたレシピエント発光媒体110を具備するスーパーストレート130を備える。チップ・カバー220は、実質的にLEDチップ100を覆うことができ、レシピエント発光媒体110がLEDチップ100とスーパーストレート130との間にあるように配置され得る。次に、LEDチップ100は、たとえば、セラミック基板などの支持基板160上に取り付けられ得る。支持基板160は、支持基板160に突き当たる光がLEDチップ100を通して向け直されるように、反射性の上面を有し得る。スーパーストレート130は、レシピエント発光媒体110の表面を保護することができる。スーパーストレートについては、たとえば、Andrews等の米国特許出願第15/657,027号、名称「Light Emitting Diodes, Components and Related Methods」で論じられている。レシピエント発光媒体110は、典型的には、スーパーストレート130の表面上に噴霧及び/又はさもなければコーティングされる。レシピエント発光媒体については、たとえば、Heikman等の米国特許出願第14/053,404号、名称「Chip with Integrated Phosphor」で論じられている。次いで、チップ・カバー220が、透明な接着剤105の層を使用してLEDチップ100に付着されて、半導体発光デバイス200を提供できる。用語「スーパーストレート」は、本明細書では、スーパーストレートとLEDチップとの間にレシピエント発光媒体を備える、LEDチップ上に配置された層を指すために使用される。スーパーストレートは、LEDチップのいずれの側にあってもよいことが理解されよう。たとえば、フリップ・チップ構造では、スーパーストレートがLEDチップの下にあってもよい。用語「スーパーストレート」は、本明細書において、部分的には、LEDチップの基板などの半導体発光デバイスの一部であり得る他の基板との混同を回避するために使用されている。用語「スーパーストレート」は、該用語が表す構造体の向き、位置、及び/又は構成を制限することを意図するものではない。
【0101】
図3Aは、
図2の半導体発光デバイス200の概略断面図であり、デバイス200から放出される光の様々な視角Θを示す。
図3Aに示すように、LEDチップ100は、それを通して光が放出される発光面100sを有し得る。発光面100sは、LEDチップ100によって放出された光の大部分がそれを通ってレシピエント発光媒体110内へ進む、LEDチップ100の主面であり得る。発光面100sは、たとえば、LEDチップ100の上面又は底面であり得る。LEDチップ100によって放出された光は、レシピエント発光媒体110内へ進む。レシピエント発光媒体110は、LEDチップ100から放出された光の一部を、1色又は複数色の相異なる色の光に変換でき、一方、LEDチップ100によって放出された光の他の部分は、変換されずにレシピエント発光媒体を通過できる。したがって、半導体発光デバイス200から出力される放出光120は、LEDチップ100によって生成される変換されない光ばかりでなく、レシピエント発光媒体110によって放出される光も、両方含む。
【0102】
図3Aに示すように、放出光120は、複数の角度で放出される光を含み得る。たとえば、放出光120は、LEDチップ100の発光面100sに垂直な光軸N(たとえば、光軸)に対して比較的小さい角度Θ
1で放出される、第1の光成分120aを含み得る。光軸Nは、本明細書では、半導体発光デバイスの「表面垂直線」と呼ばれることもある。光軸Nは、LEDチップ100の発光面100sに関連して説明され得るが、いくつかの実施例では、発光面100sは、非線形及び/又は変動する表面を有し得ることが理解されよう。さらに、いくつかの実施例では、光のかなりの部分が、表面100sの近隣の垂直のLED表面など、他の表面を通って放出され得る。通常、光軸Nは、デバイスのピーク放出光度に対応する方向を指す。第1の放出光成分120aは、主として半導体発光デバイス200に直面する場所、たとえば
図3Aの場所Aから、半導体発光デバイス200を観察する観察者によって知覚され得る。
【0103】
加えて、放出光120は、LEDチップ100の発光面100sに垂直な光軸Nに対して角度Θ
2の線に沿って放出される、第2の放出光成分120bを含み得る。第2の光成分120bは、主として、LEDチップ100の発光面100sに対して比較的大きな角度に向けられた場所、たとえば
図3Aの場所Bから、半導体発光デバイス200を観察する観察者によって知覚され得る。
【0104】
視角Θが増加するにつれて、放出光120の色も変化し得る。
図3B及び
図3Cは、従来の半導体発光デバイス200から放出される光の色の変化と、放出光120の視角Θとの間の関係を示すグラフである。
図3Bを参照すると、x軸は、LEDチップ100の発光面100sに対する光の視角Θを示す。0度の視角Θは、光軸Nに沿って向けられた視角を示す。視角Θの増加する(及び減少する)角度は、LEDチップ100の発光面100sに垂直な光軸Nからずれた角度に沿って向けられた視点(たとえば、
図3Aの箇所A及びBなど)を示す。
【0105】
図3Bにおいて、y軸は、視角Θの関数としての、1931CIE色度図で指定された、LEDチップ100の放出光120のccx成分(dccx)の変化を示す。変化は、半導体発光デバイス200の光軸Nに沿って知覚される色(たとえば、0度の視角Θ)に関係している。たとえば、
図1を参照すると、放出光120のccx成分の変化は、1931CIE色度図内のX方向の、放出光120の色点の移動を表し得る。
図3Cは、視角Θの関数としての、放出光120の色のccy成分(dccy)の同様の変化(0度の視角Θで知覚される色に対する)を示す。したがって、
図3B及び
図3Cに示すように、視角Θが光軸Nに対して増加するにつれて、放出光120の色は、ccx方向及びccy方向の両方に変化し得る。こうした変化の結果、光の色点は、半導体発光デバイス200に対して視角Θが変化するにつれて変わり得る。これは、第1の角度(たとえば、
図3Aの場所A)から見た光と、第2の角度(たとえば、
図3Aの場所B)から見た光との間に知覚可能な色の差異をもたらし得る。
【0106】
色の変化は、部分的には、放出光120がレシピエント発光媒体110を通過するときに、放出光120の相異なる成分がたどる、違う経路に起因し得る。再び
図3Aを参照すると、光軸Nから比較的小さい角度Θ
1の線に沿ってレシピエント発光媒体110を通過する第1の放出光成分120aは、レシピエント発光媒体110を通る比較的最短の経路をたどることができる。対照的に、光軸Nから比較的大きな角度Θ
2でレシピエント発光媒体110を通過する第2の放出光成分120bは、第1の放出光成分120aよりもレシピエント発光媒体110を横切る距離が長い。結果として、第1の放出光成分120aよりも、第2の放出光成分120bが、より大きな割合だけ、レシピエント発光媒体110の発光材料によって変換され得る。したがって、光軸Nからより大きな角度で放出される光は、光軸Nからより小さな角度で放出される光よりも多くの「変換される光」(すなわち、レシピエント発光媒体110内の発光材料によって放出される光)、及びより少ない「通過する光」(すなわち、波長変換されることなくレシピエント発光媒体を通過する、LEDチップ100によって放出される光)を含み得る。
【0107】
従来の半導体発光デバイスは、レシピエント発光媒体110の上にディフューザ層(たとえば、TiO2の粒子、溶融シリカなどを含む層)を設けることによって、このCoAの変動に対処しようと試みてきた。しかし、かかるディフューザ層は、かかる層がない従来の半導体発光デバイスと比較して、いくつかの用途において重要であり得る、デバイスから放出される光の鮮鋭度及び/又はコントラストの低下をもたらす可能性があり、且つデバイスのコストを増やす可能性もある。さらに、拡散する層は、光のかなりの部分を後方に、LEDチップ100に向かって散乱させる場合があり、そこで光のかなりの部分が吸収される可能性があり、それにより、散乱体が存在しない場合と比べて、LEDチップ100の全体的な効率が低下する。したがって、一般に、屈折及び全反射(TIR:total internal reflection)などの光学的効果を利用して、吸収することが予測される表面に向かって後方に向けられる光の量を最小限に抑えながら、光を十分に混合することが望ましい。
【0108】
図4は、本発明の実施例による、半導体発光デバイス400の概略断面図である。
図4の半導体発光デバイス400は、
図2の従来のデバイスと同様に、支持基板160上にLEDチップ100を備える。しかし、
図4の半導体発光デバイス400は、改良されたチップ・カバー420を備える。改良されたチップ・カバー420は、レシピエント発光媒体410及びパターン形成されたスーパーストレート430を備える。パターン形成されたスーパーストレート430は、パターン形成されたスーパーストレート430に入射する光の一部の向きを、レシピエント発光媒体410から、有利なやり方で変えるよう構成された、複数の構造体を有し得る。いくつかの実施例では、構造体は、パターン形成されたスーパーストレート430の1つ又は複数の表面上にあり得る。他の実施例では、構造体は、パターン形成されたスーパーストレート430の内部領域の中にあり得る。
【0109】
パターン形成されたスーパーストレート430が有する構造体は、本明細書では光学要素450と呼ばれ得る。光学要素450は、パターン形成されたスーパーストレート430に形成される形体であり、自然に且つ/又は製造工程での意図しない副産物として発生する可能性のある、不規則な変動と区別され得る。いくつかの実施例では、光学要素450は、格子又は他の反復構造で設けられ得る。いくつかの実施例では、光学要素450は、パターン形成されたスーパーストレート430の表面における突起(たとえば、パターン形成されたスーパーストレート430からの凸状の延在部)及び/又はへこみ(たとえば、パターン形成されたスーパーストレート430内への凹状の形体)であり得る。いくつかの実施例では、光学要素450は、光の反射を助けるように意図的に配置された、パターン形成されたスーパーストレート430の表面の構造的変動であり得る。いくつかの実施例では、光学要素450は、パターン形成されたスーパーストレート430の表面の縁部及び中心部を含む、パターン形成されたスーパーストレート430の表面の複数の部分上にあり得る。いくつかの実施例では、光学要素450は、パターン形成されたスーパーストレート430全体にわたって均一な形状及び間隔を有し得るが、一方、他の実施例では、間隔又は形状は、パターン形成されたスーパーストレート430全体にわたって、設計によって変わってもよい。
【0110】
光学要素450の形状は、
図4では三角形の断面を有する構造体として示しているが、本明細書でさらに説明するように、サイズ及び構造は変わってもよく、
図4の光学要素450の形状は、単なる例示のためにすぎない。光学要素450は、半導体発光デバイス400のCoAの変動を改善するために、レシピエント発光媒体から放出される放出光480(通過する光及び変換される光の両方を含み得る)をさらに反射するように構成され得る。
【0111】
図4に示すように、レシピエント発光媒体410は、パターン形成されたスーパーストレート430の光学要素450とLEDチップ100との間に配置され得る。いくつかの実施例では、レシピエント発光媒体410は、10マイクロメートル(μm)から100μmの間の厚さを有し得る。いくつかの実施例では、パターン形成されたスーパーストレート430は、125μmから165μmの間の厚さを有し得る。
【0112】
いくつかの実施例では、パターン形成されたスーパーストレート430は、たとえば、サファイア、炭化ケイ素、シリコーン、及び/又はガラス(たとえば、ホウケイ酸塩及び/又は溶融石英)から構成され得る。パターン形成されたスーパーストレート430は、パターン形成され、次いで個片化されたバルク基板から形成され得る。いくつかの実施例では、バルク基板のパターン形成は、エッチング工程(たとえば、湿式又は乾式エッチング)で実行され得る。いくつかの実施例では、バルク基板のパターン形成は、他の方法で、レーザ又は鋸などで表面を変化させることによって実行され得る。いくつかの実施例では、バルク基板は、パターン形成工程が実行される前又は後に薄くされ得る。次いで、レシピエント発光媒体410は、たとえば、バルク基板にレシピエント発光媒体410を噴霧及び/又はさもなければコーティングすることによって、バルク基板上に配置され得る。典型的には、レシピエント発光媒体410がバルク基板に塗布され、その後、たとえば、レーザ又は機械式鋸を使って個片化され、レシピエント発光媒体410及びパターン形成されたスーパーストレート430を備える個々のチップ・カバー420が形成されるが、本発明の実施例はこれに限定されるものではない。チップ・カバー420は、たとえば、透明な接着剤105の層を使用して、LEDチップ100に付着され得る。いくつかの実施例では、透明な接着剤の層105は、約5μmの厚さであり得る。個々のチップ・カバー420は、たとえば、ピックアンドプレース製造工程を使用して、LEDチップ100上に配置され得る。
【0113】
パターン形成されたスーパーストレート430は、チップ・カバー420の一部として示しているが、本発明の実施例は、それに限定されるものではない。半導体発光デバイス400は、中間の改良されたチップ・カバー420を形成することなく、パターン形成されたスーパーストレート430及びレシピエント発光媒体410を利用して形成され得ることが理解されよう。たとえば、いくつかの実施例では、レシピエント発光媒体410は、たとえば、噴霧、注ぎ、又はコーティングなどによってLEDチップ100上に配置され得、パターン形成されたスーパーストレート430は、ピックアンドプレース工程などによってレシピエント発光媒体410上に配置され得る。言い換えれば、レシピエント発光媒体410及びパターン形成されたスーパーストレート430は、最初に別個のチップ・カバー420を形成することなく、LEDチップ100上に個々に配置され得る。かかる実施例では、透明の接着剤層105は存在しなくてもよいが、本明細書に記載の実施例はそれに限定されるものではない。たとえば、LEDチップ100がフリップ・チップ構造で構成されている場合、透明な接着剤層105は存在しなくてもよい。
【0114】
図4はまた、不透明な充填領域470を備える。不透明な充填領域470は、半導体発光デバイス400からの、好ましい上部の発光に有利になるように、側部の発光を抑制できる、反射率の高い囲繞する材料を含み得る。いくつかの実施例では、不透明な充填領域470は、シリコーン材料及び/又は散乱粒子から構成され得る。
図4に示す不透明な充填領域470は、本明細書に記載される実施例のそれぞれに備えられ得る。しかし、不透明な充填領域470は、簡潔にするために、本明細書に含まれる半導体発光デバイスの様々な図から省略される場合がある。
【0115】
図4に示す半導体発光デバイス400の構造体は、代表的なものであることを意図しているが、本発明の実施例はそれに限定されるものではない。たとえば、接着剤層、拡散する層(たとえば、散乱粒子を含む接着剤)、反射及び/又は波長変換層などの追加の層が、LEDチップ100とパターン形成されたスーパーストレート430との間及び/又はパターン形成されたスーパーストレート430上に存在してもよい。
【0116】
図5A及び
図5Bは、従来の半導体発光デバイスと比較した、本発明の実施例による半導体発光デバイスの動作を示すシミュレーション図である。
図5C及び
図5Dは、
図5Bの拡大した部分である。
図5A及び
図5Bを参照すると、シミュレーションは、青色及び黄色の領域/線を含む。青色の領域/線(その実例を、参照番号540を使って
図5Aに示す)は、下にあるLEDの発光面に垂直な軸から比較的小さな角度で放出される光(たとえば、
図3Aの放出光120aの第1の成分)を表す。一方、黄色の領域/線(その実例を、参照番号550を使って
図5Aに示す)は、下にあるLEDの発光面に垂直な軸から比較的大きな角度で放射する光(たとえば、
図3Aの放出光120bの第2の成分)を表す。
図5A及び
図5Bは、LEDの個々の発光点から放出される光を概略的に示す。言い換えれば、
図5A及び
図5Bは、必ずしも、下にあるLED(図示せず)の表面全体にわたって放出される光のすべてを表しているのではなく、特定の発光点510に着目している。LEDは、LEDの表面全体に複数の発光点を有し、発光点510はその1つにすぎないことが理解されよう。
図5A及び
図5Bに概略的に示す現象は、LEDの表面上の複数の点にわたって繰り返され得る。
【0117】
図5Aは、従来の半導体発光デバイスからの発光を示す。
図5Aの下部は、
図5Aの上部の区域「A」の分解図を示す。
図5Aに示すように、LEDの発光面に垂直である光軸に近い角度で放出する発光点510の光(たとえば、青色の領域/線540で示す光)は、主に、半導体発光デバイスの光軸から中心部の視角に沿って外方に向けられる(たとえば、約-45°から約45°)。
図5Aにさらに示すように、LEDの発光面に垂直な軸から、より大きな角度で放出する発光点510の光(たとえば、黄色の領域/線550を使って示す光)は、レシピエント発光媒体110と従来のスーパーストレート130との間の境界面で反射される。このより大きい角度の光は、半導体発光デバイスの光軸からのより広い視角内(たとえば、約-45°から-90°の間の第1の区域から約45°から90°の間の第2の区域まで)に集中する。
図5Aから分かるように、従来のスーパーストレート130内で放出光の内部反射があるが、反射は主により大きい角度の光の反射(たとえば、黄色の領域/線550を使って示す光)である。
図5Aの下部では、光線のわずかな屈曲及び/又は屈折が、発光媒体110と従来のスーパーストレート130との間の境界で明らかである。この屈折は、2つの層間の屈折率の差異に起因する。
図5Aに示すケースでは、発光層110は、従来のスーパーストレートの屈折率(たとえば、1.8)に比べて、より低い屈折率(たとえば、1.41)を有する。
【0118】
図5Bは、本発明の特定の実施例による、半導体発光デバイスからの発光を示す。
図5Bの下部は、
図5Bの上部の区域「B」の分解図を示す。
図5Bに示すように、LEDの発光面に垂直である軸から小さい角度で放出する発光点510の光(たとえば、青色の領域/線540で示す光)は、半導体発光デバイスの光軸からの複数の視角に沿って外方に向けられる(たとえば、約-70°から約70°)。LEDの発光面に垂直である軸からより大きい角度で放出する発光点510の光(たとえば、黄色の領域/線550を使って示す光)もまた、半導体発光デバイスの光軸からより広い視角にわたって分散している(たとえば、約-90°から約90°)。
図5Bに示すように、より大きい角度の光(たとえば、黄色の領域/線550を使って示す光)について、パターン形成されたスーパーストレート430内で放出光の内部反射がある。この効果の組合せ、すなわち、垂直の角度の光(たとえば、青い領域/線540を使って示す光)の、より大きい角度への屈折による屈曲は、より大きい角度の光(たとえば、黄色の領域/線550を使って示す光)の垂直線に向かう内部反射と共に、垂直の光とより大きい角度の光との角度分散を混合することにより、従来のCoAの不均一性に対処する。別の言い方をすれば、パターン形成されたスーパーストレート430内の光の内部反射により、パターン形成されたスーパーストレート430を出る光の分散が、従来の場合(たとえば、
図5A)よりも広い視角にわたってより一貫し得る。
【0119】
パターン形成されたスーパーストレート430内の反射の増加は、少なくとも部分的に光学要素450によるものである。光学要素450は、パターン形成されたスーパーストレート430に入る光の屈折が増加するように、レシピエント発光媒体410との境界面を有する、付加的な表面をもたらす。この効果は、ディフューザを加えるなど、他の材料を使って実行される可能性のある光の単に不規則な散乱(たとえば、等方性散乱)を上回るものであることに留意されたい。むしろ、パターン形成されたスーパーストレート430とレシピエント発光媒体410との間の境界面は、相異なる屈折率を有する材料との規則的に分散される境界面を提供する。この屈折率に差のある表面積の増加は、従来の場合よりも、レシピエント発光媒体410を出てパターン形成されたスーパーストレート430に入る光の、より多くの屈折する機会をもたらす。次いで、この付加的な屈折光は、パターン形成されたスーパーストレート430内で(たとえば、全反射で)反射され、放出光の分散の増加をもたらし得る。
【0120】
したがって、デバイスのCoAの変動を改善する及び/又はそれに影響を与え得る変数には、パターン形成されたスーパーストレート430に使用される材料、並びに光学要素450の構造の両方が含まれる。たとえば、パターン形成されたスーパーストレート430の材料は、パターン形成されたスーパーストレート430とレシピエント発光媒体410との間の屈折率の差異に寄与し得る。パターン形成されたスーパーストレート430の屈折率とレシピエント発光媒体410の屈折率との間の差異がより大きいほど、一層屈折量が多くなり、これにより半導体発光デバイスのCoA性能を改善できるように、向きが変えられ得る光の量が増加する可能性がある。記載された実施例は、主に、発光レシピエント媒体410の屈折率がパターン形成されたスーパーストレート430の屈折率よりも低い場合を包含するが、いくつかの実施例では、発光レシピエント媒体410がパターン形成されたスーパーストレート430よりも高い屈折率を有するように、差異が逆転する場合があることを理解されたい。いくつかの実施例では、さらに異なる屈折率又は屈折率の段階的変化さえも有する、中間層又はコーティングが存在し得る。
【0121】
いくつかの実施例では、屈折は、光の一部の全反射をもたらし得る。いくつかの実施例では、反射は、下にあるLEDの発光面に垂直である軸から比較的大きな角度で放出する光について増加し得る。たとえば、
図4に示すような光学要素450に当たる光は、2回変化し得る。最初に、光は、光学要素450の第1の表面にぶつかり、パターン形成されたスーパーストレート430の屈折率とレシピエント発光媒体410の屈折率との間の差異に起因して屈折され得る。2度目に、光は、光学要素450を通って移動し続け、光学要素450の反対側(たとえば、反対側の側壁)にぶつかったときに再び変化し得る。光学要素450の反対側は、パターン形成されたスーパーストレート430内で光を反射して戻すことができ、この光は、パターン形成されたスーパーストレート430を通ってデバイスを最終的に出る前に、半導体発光デバイスの他の形体によってさらに反射され得る。最終的な結果として、より均一な色点を有する光が、広範囲の視角にわたってデバイスから放出され得る。光学要素450の構造及びパターン形成されたスーパーストレート430で使用される材料を調整することにより、屈折率の差が、パターン形成されたスーパーストレート430内の光の分散をより良くするよう調節され得る。いくつかの実施例では、パターン形成されたスーパーストレート430の屈折率とレシピエント発光媒体410の屈折率との間の差異は、少なくとも約0.3であり得るが、本開示はそれに限定されるものではない。いくつかの実施例では、パターン形成されたスーパーストレート430の屈折率とレシピエント発光媒体410の屈折率との間の差は、0.1から2の間であり得る。いくつかの実施例では、パターン形成されたスーパーストレート430の屈折率とレシピエント発光媒体410の屈折率との間の差は、0.01から0.5の間であり得る。
【0122】
パターン形成されたスーパーストレート430の材料に加えて、光学要素450の配置及び構造もまた、相異なる視角で半導体発光デバイスを出る光の種類について役割を果たし得る。たとえば、光学要素450の形状は、レシピエント発光媒体410を通って放出される光に対して提供される表面に影響を与え得る。本明細書でさらに説明するように、光学要素450の形状は、半導体発光デバイスによって放出される光の分散を調整するよう選択され得る。加えて、光学要素450の配置(たとえば、ピッチ)もまた、レシピエント発光媒体410を通って放出される光に対して提供される表面の多様性に寄与し得る。したがって、光学要素450のピッチもまた、半導体発光デバイスによって放出される光の分散を調整するよう選択され得る。
【0123】
図5C及び
図5Dは、
図5Bの拡大した部分である。
図5Cは、より大きい角度の光(たとえば、図で「黄色」550として示す光)が光学要素450に衝突したときに移動し得る経路の、様々なシミュレーションを示す。
図5Dは、より小さい角度の光(たとえば、図で「青色」540として示す光)の経路の、同様のシミュレーションを示す。
図5C及び
図5D内に、向きを示す目的で、半導体発光デバイスの光軸Nを示す。
図5Cを参照すると、より大きい角度の光が、レシピエント発光媒体410を出るときに光学要素450に当たり得る。レシピエント発光媒体410と光学要素450の材料との間の屈折率の差異のために、屈折が起こり得る。場合によっては、光の屈折は、光が光学要素450の反対側の側壁に当たるように、光の進行方向を変え得る。これが起こると、全反射(TIR)が生じる場合があり、全反射により、光がパターン形成されたスーパーストレート430の上面に向かって反射して戻り得る。この経路を進む光の実例は、
図5Cにおいて「屈折+TIR」と記されている。場合によっては、光の進行方向が変化し得る(たとえば、屈折される)が、該変化は、光を光学要素450の反対側の側壁にぶつけるには十分でない場合がある。この場合、光は、光学要素450の反対側の側壁で反射されて離れる光よりも浅い角度で、パターン形成されたスーパーストレート430の上面に向かって屈折され得る。この経路を進む光の実例は、
図5Cにおいて「屈折のみ」と記されている。いくつかの実施例では、光学要素450は、LEDから放出される、光軸Nから少なくとも45°の光の一部の向きを、光軸Nから30°以内に変え得る。いくつかの実施例では、光学要素450は、LEDから放出される、光軸Nから少なくとも10°の光の一部の向きを、光軸Nから30°を超える向きに変え得る。
【0124】
図5Dを参照すると、より小さい角度の光(たとえば、LEDの発光面に対して垂直により近い角度を有する光)は、レシピエント発光媒体410を出るときに、光学要素450に当たる可能性がある。この光は、
図5Cを参照して上記で論じた、より大きい角度の光と比較して、「より急峻な」角度で光学要素450に当たり得る。以前に論じたように、レシピエント発光媒体410と光学要素450の材料との間の屈折率の差異により、光が光学要素450の第1の表面に当たるときに、より小さい角度で光を屈折し得る。しかし、より小さい角度の光のより急峻な角度のために、屈折は、
図5Cに示す、より大きい角度の光の場合ほど大きくない可能性があり、したがって、光学要素450の反対側の側壁には、より小さい角度の光のよりわずかしか(又はまったく)ぶつかり得ない。したがって、光は、光軸Nに対して角度は増加しているものの、パターン形成されたスーパーストレート430の上面に向かって屈折され得る。この経路を進む光の実例は、
図5Dにおいて「屈折のみ」と記されている。
【0125】
前述のように、
図5A~
図5Dにおける光線の「黄色」(550)及び「青色」(540)の表示は、色を表すことを意図しているのではなく、LEDチップ100及びレシピエント発光媒体110、410の組合せから放出される光の角度を表す。光軸Nからより大きい角度で放射する光は、レシピエント発光媒体110、410を通ってもっと先に進み、したがって、レシピエント発光媒体110、410内で相異なる波長に変換された光の成分を、比例的により多く含むようになる。同様に、光軸Nに対してより小さい角度で放出する光は、レシピエント発光媒体110、410内で相異なる波長に変換された光の成分を、比例的によりわずかしか含まないようになる。両方の種類の光をより広い範囲の視角にわたって分散させることにより、より一貫性のあるCoAを実現できる。
【0126】
図6A、
図6B、及び
図6Cは、本発明の実施例による光学要素450aの例示的な構造を示す。
図6Aに示すように、光学要素450aは、ほぼ円錐形であり得る。円錐形の光学要素450aは、パターン形成されたスーパーストレート430から突出し得る。言い換えれば、パターン形成されたスーパーストレート430は、そこから突出する円錐形の光学要素450aを有するように、スーパーストレートにパターンづけすることにより、形成され得る。いくつかの実施例では、光学要素450aは、
図6Aに示す突起を形成するために、エッチング工程(たとえば、湿式又は乾式エッチング)によって形成され得る。
図6Bは、パターン形成されたスーパーストレート430上の円錐形の光学要素450aの配置の平面図を示す。いくつかの実施例では、円錐形の光学要素450aのそれぞれ1つは、円錐形の光学要素450aの隣接する1つからピッチPaだけ離され得る。
図6Aに示す円錐形の光学要素450aは、線形の側壁を備えるが、本発明の実施例はそれに限定されるものではない。たとえば、いくつかの実施例では、円錐形の光学要素450aを含む光学要素450の側壁は、
図6Cのプロファイル図に示すように、湾曲及び/又は非線形の側壁630aを備え得る。いくつかの実施例では、円錐形の光学要素450aの高さは、約1μmから約2μmであり得る。円錐形の光学要素450aの基部の直径は、約2.2μmから約3μmであり得る。ピッチPaは、約2μmから約4μmの間であり得る。他の実施例では、円錐形の光学要素450aの高さは、約0.5μmから約4μmであり得る。円錐形の光学要素450aの基部の直径は、約1.0μmから約4μmであり得る。ピッチPaは、約1.5μmから約8μmの間であり得る。いくつかの実施例では、ピッチPaは、0.5μmから約10μmの間で変化し得る。いくつかの実施例では、ピッチPaは、円錐形の光学要素450aの寸法に基づき得る。たとえば、いくつかの実施例では、ピッチPaは、円錐形の光学要素450aの寸法(たとえば、幅)の0.5から10倍の間であり得る。
【0127】
図7A、
図7B、及び
図7Cは、本発明の実施例による光学要素450bのさらなる例示的な構造を示す。
図7Aに示すように、光学要素450bは、ほぼ4辺形のピラミッド形状に構成され得る。4辺形ピラミッドの光学要素450bは、パターン形成されたスーパーストレート430から突出するよう構成され得る。4辺形ピラミッドの光学要素450bの基部は、たとえば、4つの辺をもつ4辺形の設計を有し得る。
図7Bは、パターン形成されたスーパーストレート430上の4辺形ピラミッドの光学要素450bの配置の平面図を示す。4辺形ピラミッドの光学要素450bのそれぞれ1つは、4辺形ピラミッドの光学要素450bの隣接する1つからピッチPbだけ離され得る。
図6Cに関して論じたように、4辺形ピラミッドの光学要素450bの側壁630bは、
図7Cのプロファイル図に示すように、湾曲している及び/又は非線形であり得る。側壁630bの湾曲は、
図6Cに示す側壁630aの湾曲と同じでも又は異なってもよい。いくつかの実施例では、4辺形ピラミッドの光学要素450bの高さは、約1μmから約2μmであり得る。4辺形ピラミッドの光学要素450bの基部の辺の寸法(たとえば、長さ又は幅)は、約2.2μmから約3μmであり得る。ピッチPbは、約2μmから約4μmの間であり得る。他の実施例では、4辺形ピラミッドの光学要素450
bの高さは、約0.5μmから約4μmであり得る。4辺形ピラミッドの光学要素450
bの基部の直径は、約1.0μmから約4μmであり得る。ピッチPbは、約1.5μmから約8μmの間であり得る。いくつかの実施例では、ピッチPbは、0.5μmから約10μmの間で変化し得る。いくつかの実施例では、ピッチPbは、4辺形ピラミッドの光学要素450bの寸法に基づき得る。たとえば、いくつかの実施例では、ピッチPbは、4辺形ピラミッドの光学要素450bの寸法(たとえば、幅)の0.5から10倍の間であり得る。
【0128】
図8A、
図8B、及び
図8Cは、本発明の実施例による光学要素450cのさらなる例示的な構造を示す。
図8Aに示すように、光学要素450cは、ほぼ6角形のピラミッド形状に構成され得る。6角形ピラミッドの光学要素450cは、パターン形成されたスーパーストレート430から突出するよう構成され得る。6角形ピラミッドの光学要素450cの基部は、たとえば、6つの辺をもつ6角形の設計を有し得る。
図8Bは、パターン形成されたスーパーストレート430上の6角形ピラミッドの光学要素450cの配置の平面図を示す。6角形ピラミッドの光学要素450cのそれぞれ1つは、6角形ピラミッドの光学要素450cの隣接する1つからピッチPcだけ離され得る。
図6Cに関して論じたように、6角形ピラミッドの光学要素450cの側壁630cは、
図8Cのプロファイル図に示すように、湾曲している及び/又は非線形であり得る。側壁630cの湾曲は、
図6Cに示す側壁630aの湾曲及び/又は
図7Cに示す側壁630bの湾曲と同じでも又は異なってもよい。いくつかの実施例では、6角形ピラミッドの光学要素450cの高さは、約1μmから約1.5μmであり得る。6角形ピラミッドの光学要素450cの基部の最も広い寸法は、約1.8μmから約2.7μmであり得る。ピッチPcは、約2.4μmから約2.8μmの間であり得る。他の実施例では、6角形ピラミッドの光学要素450
cの高さは、約0.5μmから約3μmであり得る。6角形ピラミッドの光学要素450
cの基部の直径は、約1.0μmから約4μmであり得る。ピッチPcは、約1.5μmから約5μmの間であり得る。いくつかの実施例では、ピッチPcは、0.5μmから約10μmの間で変化し得る。いくつかの実施例では、ピッチPcは、6角形ピラミッドの光学要素450cの寸法に基づき得る。たとえば、いくつかの実施例では、ピッチPcは、6角形ピラミッドの光学要素450cの寸法(たとえば、幅)の0.5から10倍の間であり得る。
【0129】
図6A~
図8Cに関して特定の形状について説明してきたが、本発明のさらなる実施例を提供するために、光学要素450に他の形状が与えられ得ることが理解されよう。たとえば、光学要素450は、様々な数の辺をもつ基部を有するピラミッド、球、回転楕円体、立方体、円柱、放物体などを含む、他の種類の幾何形状であり得る。同様に、様々な光学要素450は、様々なやり方で、パターン形成されたスーパーストレート430上に配置され得る。たとえば、光学要素450は、様々な構造(たとえば、正方形、長方形、6角形など)の格子状に配置され得る。加えて、光学要素450は、変則的な且つ/又は非周期的な配置(たとえば、不規則にパターンづけされた、準結晶など)で、パターン形成されたスーパーストレート上に配置され得る。いくつかの実施例では、光学要素450は、パターン形成されたスーパーストレート430の第1の位置(たとえば、縁部又は中央)に第1の配置で、且つパターン形成されたスーパーストレート430の第2の位置(たとえば、縁部又は中央)に第2の配置で、配置され得る。たとえば、パターン形成されたスーパーストレート430の第1の位置では、規則的な格子状に配置された光学要素450を有することができ、パターン形成されたスーパーストレート430の第2の位置では、不規則に配置された光学要素450を有し得る。いくつかの実施例では、パターン形成されたスーパーストレート430の第1の位置では、第1の構造(たとえば、正方形)の格子状に配置された光学要素450を有することができ、パターン形成されたスーパーストレート430の第2の位置では、第2の構造(たとえば、6角形)の格子状に配置された光学要素450を有し得る。いくつかの実施例では、パターン形成されたスーパーストレート430上の光学要素450は、複数の形状及びサイズから構成され得る。たとえば、第1の種類及び/又は形状の光学要素450(たとえば、
図6A~
図6Cの円錐形の光学要素450a)は、パターン形成されたスーパーストレート430の第1の部分で使用されてもよく、第2の種類及び/又は形状の光学要素450(たとえば、
図8A~
図8Cの6角形ピラミッドの光学要素450c)は、パターン形成されたスーパーストレート430の第2の部分で使用されてもよい。いくつかの実施例では、光学要素450の隣接する光学要素間のピッチは、光学要素450の寸法(たとえば、幅)の0.5から10倍の間であり得る。
【0130】
図4は、光学要素450がパターン形成されたスーパーストレート430の底面(たとえば、LEDチップ100に最も近い、パターン形成されたスーパーストレート430の表面)にある実例を示しているが、他の構造が可能であることが理解されよう。たとえば、
図9Aは、光学要素450がパターン形成されたスーパーストレート430’の上面にある、本発明の実施例による半導体発光デバイス900を示す。
図9Aに示すように、パターン形成されたスーパーストレート430’の底面は、レシピエント発光媒体410に隣接することができ、光学要素450は、パターン形成されたスーパーストレート430’の、レシピエント発光媒体410とは反対側(たとえば、上面)に配置され得る。
図4の照明デバイス400と同様に、パターン形成されたスーパーストレート430’及びレシピエント発光媒体410は、一体にチップ・カバー420’を構成し得るが、本発明はそれに限定されるものではない。いくつかの実施例では、パターン形成されたスーパーストレート430’は、レシピエント発光媒体410とは別個に、LEDチップ100上に配置され得る。かかる実施例では、透明な接着剤層105は必要とされない可能性がある。
【0131】
図9Bは、
図9Aの半導体発光デバイス900の動作を示す概略図である。
図9Bは、
図5A及び
図5Bに示すように、LEDから発光する角度に基づいて、青色(540)又は黄色(550)で示す点光源の光線の同様の表示を含む。簡潔にするために、ここではその説明を繰り返さないことにする。
図9Bに示すように、パターン形成されたスーパーストレート430’の上面に光学要素450を有する半導体発光デバイス900の動作は、パターン形成されたスーパーストレート430’の底面に光学要素450を有する半導体発光デバイス(たとえば、
図4の半導体発光デバイス400)の動作とは異なる。しかし、パターン形成されたスーパーストレート430’とレシピエント発光媒体410との間の材料の屈折率の変動は、やはりパターン形成されたスーパーストレート430’内の反射の増加をもたらす。結果として、半導体発光デバイス900のCoAの変動は、従来のデバイスと比較して変わる。加えて、パターン形成されたスーパーストレート430’の上面に光学要素450を有する半導体発光デバイス900から放出される光の明度は、他の半導体発光デバイスの明度と比較して増加し得る。
【0132】
前述の実施例は、パターン形成されたスーパーストレート430から突出する光学要素450を示しているが、本発明の実施例はそれに限定されるものではないことが理解されよう。たとえば、いくつかの実施例では、光学要素450は、パターン形成されたスーパーストレート430のへこみとして構成され得る。
図10A、
図10B、及び
図10Cは、光学要素450が、パターン形成されたスーパーストレート430の表面から突出するのではなく、パターン形成されたスーパーストレート430の表面内にへこまされていることを除いて、それぞれ
図6A、
図7A、及び
図8Aの光学要素と同様の形状を有する、光学要素450の実施例を示す。たとえば、
図10Aは、パターン形成されたスーパーストレート430の表面内にへこまされた、円錐形の光学要素450a’を示している。
図10Bは、パターン形成されたスーパーストレート430の表面内にへこまされた、4辺形ピラミッドの光学要素450b’を示している。
図10Cは、パターン形成されたスーパーストレート430の表面内にへこまされた、6角形ピラミッドの光学要素450c’を示している。へこまされた光学要素450a’、450b’、450c’は、バルク基板をエッチングし(たとえば、乾式又は湿式エッチングを用いて)、次いでバルク基板を個片化して、光学要素450a’、450b’、450c’を形成することにより、形成され得る。
【0133】
図10A、
図10B、及び
図10Cに示すような、へこまされた光学要素450を有するパターン形成されたスーパーストレート430は、
図4及び
図9に示すようなデバイス構造で利用され得る。たとえば
図11Aは、
図4の半導体発光デバイスと同様のやり方で、へこまされた光学要素450’がパターン形成されたスーパーストレート430の底面にある、例示的な半導体発光デバイス1100を示す。いくつかの実施例では、レシピエント発光媒体410は、へこまされた光学要素450’のへこみ内にあり、且つ/又はへこみを充填できるが、本明細書に記載の実施例はそれに限定されるものではない。たとえば、いくつかの実施例では、へこまされた光学要素450’のへこみは、その中に空所を有する(たとえば、空隙を有する)よう構成され得る。
図11Bは、
図9の照明デバイスと同様のやり方で、へこまされた光学要素450’がパターン形成されたスーパーストレート430’の上面にある、例示的な照明デバイス1100’を示す。
【0134】
図4の半導体発光デバイス400と同様に、
図11A及び
図11Bのパターン形成されたスーパーストレート430、430’、及びレシピエント発光媒体410は、一体にチップ・カバー420、420’を形成し得るが、本発明の実施例はそれに限定されるものではない。いくつかの実施例では、パターン形成されたスーパーストレート430、430’は、レシピエント発光媒体410とは別個に、LEDチップ100上に配置され得る。かかる実施例では、透明な接着剤層105は必要とされない可能性がある。
【0135】
本発明の実施例による半導体発光デバイスはまた、2層のスーパーストレートを使用し、その少なくとも一方がパターン形成されたスーパーストレートであることにより、利点を得ることができる。2層のスーパーストレートを使用することにより、光学要素は、レシピエント発光媒体から間隔をあけて配置され得る。この分離は、2層のスーパーストレート内での放出光のさらなる反射を可能にし、半導体発光デバイスのCoAの変動をさらに改善(たとえば、低減)できる。
図12A及び
図12Bは、光学要素450が2層のスーパーストレート間に設けられた、例示的な半導体発光デバイス1200を示す。
図12Aを参照すると、パターン形成されたスーパーストレート430’は、レシピエント発光媒体410の上に備えられ得る。パターン形成されたスーパーストレート430’は、パターン形成されたスーパーストレート430’の上面に配置された光学要素450を有し得る。光学要素450は、たとえば、
図6A~
図8Cについて本明細書に記載されている光学要素450a、450b、450c、並びに他の形状のいずれかであり得る。半導体発光デバイス1200では、第2のスーパーストレート440が、パターン形成されたスーパーストレート430’上に備えられ得る。いくつかの実施例では、パターン形成されたスーパーストレート430’及び第2のスーパーストレート440は、同じ材料から構成されてもよい。いくつかの実施例では、パターン形成されたスーパーストレート430’及び第2のスーパーストレート440は、相異なる材料から構成されてもよい。相異なる材料を使用することにより、2層のスーパーストレートは、パターン形成されたスーパーストレート430’の屈折率と第2のスーパーストレート440の屈折率との間のさらなる差をもたらすことができ、これにより、半導体発光デバイス1200のCoAのさらなる有益な調整が導入され得る。
【0136】
パターン形成されたスーパーストレート430’から突出する光学要素450のために、パターン形成されたスーパーストレート430’と第2のスーパーストレート440との間に間隙が形成され得る。いくつかの実施例では、パターン形成されたスーパーストレート430’と第2のスーパーストレート440との間の間隙は、アクリル及び/又はシリコーン材料などの、透明な充填材料で充填され得る。いくつかの実施例では、間隙は、たとえば空隙として、実質的に空のままにしておいてもよい。
【0137】
図12Bは、第2のスーパーストレート440がレシピエント発光媒体410上に配置され、パターン形成されたスーパーストレート430が第2のスーパーストレート440上に配置される、半導体発光デバイス1200を示す。この実例では、光学要素450は、パターン形成されたスーパーストレート430と第2のスーパーストレート440との間の境界面で、パターン形成されたスーパーストレート430の底面から突出している。
【0138】
図12A及び
図12Bに示すように、パターン形成されたスーパーストレート430’と第2のスーパーストレート440との間の境界面は、パターン形成されたスーパーストレート430’及び/又は第2のスーパーストレート440内での反射を促進する付加的な構造体を提供し得る。
図4の半導体発光デバイス400と同様に、
図12A及び
図12Bのパターン形成されたスーパーストレート430、430’、第2のスーパーストレート440、及びレシピエント発光媒体410は、一体にチップ・カバー420、420’を形成し得るが、本発明に記載の実施例はそれに限定されるものではない。いくつかの実施例では、パターン形成されたスーパーストレート430、430’は、レシピエント発光媒体410とは別個に、LEDチップ100上に配置され得る。かかる実施例では、透明な接着剤層105は必要とされない可能性がある。
【0139】
図12C及び
図12Dは、光学要素450’がへこみとして2層のスーパーストレート間に設けられた、例示的な半導体発光デバイス1200’を示す。
図12Cの実施例は、パターン形成されたスーパーストレート430’が、突起ではなくへこみである光学要素450’を有することを除いて、
図12Aの構造と同様の構造を有する。したがって、第2のスーパーストレート440は、パターン形成されたスーパーストレート430’上にあり、いくつかの実施例では、パターン形成されたスーパーストレート430’の上面と同じ高さにあり得る。
図12Dの実施例は、
図12Bの実施例と同様の構造を有し、光学要素450’が、パターン形成されたスーパーストレート430の底面に配置されている。
図12C及び
図12Dの実施例では、パターン形成されたスーパーストレート430、430’のへこみで形成された光学要素450’は、材料(たとえば、アクリル及び/又はシリコーン材料)で充填されてもよく、又はいくつかの実施例では、光学要素450’内が空所/間隙のまま残されてもよい。
【0140】
図12A~
図12Dは、パターン形成されたスーパーストレート430、430’をパターン形成されていない第2のスーパーストレート440と組み合わせて、半導体発光デバイスから放出される光のCoAの変動を低減できる実施例を示している。いくつかの実施例では、複数のパターン形成されたスーパーストレートを照明デバイス内で組み合わせ得る。
図12E及び
図12Fは、複数のパターン形成されたスーパーストレートを備える、本発明の実施例による半導体発光デバイス1200’’の断面図である。たとえば、
図12Eに示すように、複数のパターン形成されたスーパーストレート430’は、半導体発光デバイス1200’’から放出される光をさらに調整するために、互いに積み重ねられ得る。2層のパターン形成されたスーパーストレート430’を使用することにより、第1のパターン形成されたスーパーストレート430’の光学要素450’の第1の組を通過した光は、第2のパターン形成されたスーパーストレート430’の光学要素450’の第2の組によってさらに反射され得る。
図12Eのデバイス1200’’は、へこみである光学要素450’を有する2層のパターン形成されたスーパーストレート430’の積み重ねを示しているが、半導体発光デバイスは、3層以上のパターン形成されたスーパーストレート430’も同様に利用し得ることが理解されよう。同様に、
図4に示すような突起である光学要素を有するパターン形成されたスーパーストレートもまた、互いに積み重ねられ得る。
【0141】
相異なる種類の光学要素を利用するパターン形成されたスーパーストレートもまた、互いに積み重ねられ得る。たとえば、
図12Fに示すように、半導体発光デバイス1200’’は、へこまされた光学要素450’を有するパターン形成されたスーパーストレート430’上に積み重ねられた、突出する光学要素450を有するパターン形成されたスーパーストレート430を備え得る。
図12Fに示す積み重ねの順序は、単なる実例であることが理解されよう。いくつかの実施例では、積み重ねられた、パターン形成されたスーパーストレートの光学要素は、積み重ねられた、パターン形成されたスーパーストレートの共有される表面上又は反対側の表面上にあり得る。
図12E及び
図12Fの両方を参照すると、積み重ねられた、パターン形成されたスーパーストレート430、430’は、レシピエント発光媒体410と組み合わされて、チップ・カバー420’を形成できるが、本明細書に記載の実施例はそれに限定されるものではない。
【0142】
図12G及び
図12Hは、その両方の主面上に光学要素450、450’を有する、パターン形成されたスーパーストレート430’’を備えた半導体発光デバイス1200’’’の概略断面図である。
図12Gに示すように、半導体発光デバイス1200’’’は、たとえば、パターン形成されたスーパーストレート430’’の上面及び下面の両方に突出する光学要素450を有する、パターン形成されたスーパーストレート430’’を備え得る。光学要素450の2つの組を有することで、追加の屈折面が、半導体発光デバイス1200’’’によって反射される光をさらに調整することを可能にし得る。
図12Hは、パターン形成されたスーパーストレート430’’が、パターン形成されたスーパーストレート430’’の上面及び下面の両方のへこみである光学要素450’を有する実例を示す。
図12G及び
図12Hの両方を参照すると、積み重ねられた、パターン形成されたスーパーストレート430’’は、レシピエント発光媒体410と組み合わされて、チップ・カバー420’’を形成できるが、本明細書に記載の実施例はそれに限定されるものではない。
図12G及び
図12Hは、パターン形成されたスーパーストレート430’’が、同じ種類の光学要素450、450’を有する実施例を示しているが、他の構造が可能であることが理解されよう。たとえば、いくつかの実施例では、パターン形成されたスーパーストレート430’’の一方の表面は、突起である光学要素450を有してもよく、他方の表面は、へこみである光学要素450’を有してもよい。同様に、いくつかの実施例では、パターン形成されたスーパーストレートの一方の表面は、第1の形状(たとえば、
図6A~
図8Cに関して論じられた形状又は他のうちの1つ)である光学要素450、450’を有してもよく、他方の表面は、第2の別の形状である光学要素450、450’を有してもよい。
【0143】
図13は、パターン形成されたスーパーストレート430’’’が内部光学要素450’’を有する、半導体発光デバイス1300を示す。光学要素450’’は、パターン形成されたスーパーストレート430’’’の表面ではなく、パターン形成されたスーパーストレート430’’’の内部に形成され得る。いくつかの実施例では、内部光学要素450’’は、バルク基板の内部領域にレーザを集束することによって形成され得る。レーザは、バルク基板内に微細な割れ目を引き起こすように、バルク基板の内部領域にエネルギーを集束できる。微細な割れ目は、内部光学要素450’’を形成するように、バルク基板の構造体を変形及び/又は変化させ得る。したがって、光学要素450’’は、パターン形成されたスーパーストレート430’’’内(たとえば、パターン形成されたスーパーストレート430’’’の上面と下面との間)にある構造的形体を含み得る。
【0144】
バルク基板は、形成後、他のデバイスと共に本明細書に記載されるように(たとえば、
図4の半導体発光デバイス400)、個片化され、LEDチップ100上に配置され得る。いくつかの実施例では、パターン形成されたスーパーストレート430’’’が個片化されてLED上に配置された後に、内部光学要素450’’がパターン形成されたスーパーストレート430’’’内に形成されてもよい。
【0145】
図13に示すように、内部光学要素450’’は、パターン形成されたスーパーストレート430’’’内での反射を促進するための付加的な構造体を提供し得る。
図4の半導体発光デバイス400と同様に、
図13のパターン形成されたスーパーストレート430’’’及びレシピエント発光媒体410が組み合わされて、改良されたチップ・カバー420’’’となり得るが、本明細書に記載の実施例はそれに限定されるものではない。いくつかの実施例では、パターン形成されたスーパーストレート430’’’は、レシピエント発光媒体410とは別個に、LEDチップ100上に配置され得る。かかる実施例では、透明な接着剤層105は必要とされない可能性がある。
【0146】
図14は、パターン形成されたスーパーストレート430とレシピエント発光媒体410との間に空隙1410を有する、半導体発光デバイス1400を示す。半導体発光デバイス1400は、
図4の半導体発光デバイスと同様であり、したがって、簡潔にするために、半導体発光デバイス1400の同様の要素の説明は省略することにする。空隙1410を配置することにより、レシピエント発光媒体410と空隙1410との間に付加的な境界面を設けることができ、追加の屈折率の差が提供される。それによって、レシピエント発光媒体410から放出する光は、レシピエント発光媒体410と空隙1410との間の第1の屈折率の差を有する第1の境界面、並びに空隙1410とパターン形成されたスーパーストレート430との間の第2の屈折率の差を有する第2の境界面に衝突することになる。空隙1410は、支持構造体1420を使用して、パターン形成されたスーパーストレート430をレシピエント発光媒体410より上に持ち上げることによって作り出され得る。
図14は、支持構造体1420が、パターン形成されたスーパーストレート430を支持する、LEDチップ100の側部にあるライザである実例を示している。しかし、他の種類の支持構造体1420が、本明細書に記載の実施例から逸脱することなく、空隙1410を生成可能であることが理解されよう。
【0147】
図15は、レンズ1510を備える成形照明装置内に備えられる、
図4の半導体発光デバイス400を示す
。いくつかの実施例では、レンズ1510の材料は、パターン形成されたスーパーストレート430の上面に直接接触できる。それによって、レンズ1510の材料は、パターン形成されたスーパーストレート430から放出する光に対して異なる屈折率を提供できる。したがって、パターン形成されたスーパーストレート430の構造は、本明細書に記載されるように、他の構造(たとえば、パターン形成されたスーパーストレート430の上に空隙が存在する場合)と比較して、屈折率の変化を明らかにするよう構成され得る。いくつかの実施例では、たとえばスペーサを使用することにより、レンズ1510とパターン形成されたスーパーストレート430との間に空隙を設けることができる。充填材料1520は、半導体発光デバイス400の側部に設けられ得る。いくつかの実施例では、充填材料1520は、半導体発光デバイス400から放出された光を反射する助けとなるよう構成された反射材料であり得る。いくつかの実施例では、充填材料1520は、不透明な充填材であり得る。レンズ1510は、CoAの変動が低減された成形照明装置を提供するように、半導体発光デバイス400を封じ込むために提供され得る。
図15は、半導体発光デバイス400の使用を示しているが、他の半導体発光デバイス(たとえば、半導体発光デバイス1100、1100’、1200、1200’、1200’’、1200’’’、1300、及び1400)が、本明細書に記載の実施例から逸脱することなく、同様に使用できることが理解されよう。
【0148】
前述の実施例は、パターン形成されたスーパーストレート430を、個々のLEDチップ100と共に使用することを含むが、パターン形成されたスーパーストレート430が、複数のLEDチップ100と組み合わせて使用されてもよいことが理解されよう。
図16は、複数のLEDチップ100を備えた半導体発光デバイス1600で使用される、パターン形成されたスーパーストレート430を示す。
図16を参照すると、複数のLEDチップ100が、支持基板160(たとえば、セラミック基板)上に備えられ得る。レシピエント発光媒体1610は、複数のLEDチップ100のそれぞれの上面に、封止充填材として備えられ得る。いくつかの実施例では、レシピエント発光媒体1610は、複数のLEDチップ100の隣接するチップ間の空間内にあってもよく、いくつかの実施例では、空間を充填できる。レシピエント発光媒体1610は、レシピエント発光媒体1610が複数のLEDチップ100から放出された光の変換を実行できるように、蛍光体及び/又は他の材料を含み得る。以前に論じたデバイスと同様に、パターン形成されたスーパーストレート430は、レシピエント発光媒体1610上に配置でき、半導体発光デバイス1600のCoAの変動を低減するよう構成された光学要素450を有し得る。したがって、パターン形成されたスーパーストレート430及びレシピエント発光媒体1610は、複数のLEDチップ100に関してCoAの変動を改善するために、個々のLEDに関して本明細書に記載されるものと同様の機能を実行するであろう。
【0149】
図16は、光学要素450が、パターン形成されたスーパーストレート430の底面から突出する光学要素450として提示される、特定の実施例を示しているが、本発明の実施例によるさらなる半導体発光デバイスを提供するために、パターン形成されたスーパーストレート430、430’、430’’、430’’’の他の実施例が、
図16のパターン形成されたスーパーストレート430の代わりに用いられてもよいことが理解されよう。たとえば、
図16のパターン形成されたスーパーストレート430は、パターン形成されたスーパーストレート430の上面、底面、及び/又は中間領域に光学要素450を有し得る。光学要素450は、円錐、ピラミッド、及び/又は他の幾何形状を含む、様々な形状であり得る。光学要素450は、パターン形成されたスーパーストレート430から突出するか、又はパターン形成されたスーパーストレート430にへこみとして統合され得る。
【0150】
本発明の実施例による半導体発光デバイスは、
図17Aから
図17Cで示すように、従来のデバイスと比較して改善されたCoAの変動を示し得る。
図17A及び
図17Bを参照すると、パターン形成されたスーパーストレートを備えるCoAが改良されたデバイス1720のCoAの変動が、従来のデバイス1710のCoAの変動と比較されている。
図17A~
図17Cに示す従来のデバイスは、
図2に示すようなチップ・カバーであり、平坦なサファイア製スーパーストレート(すなわち、パターン形成及び/又は光学要素がない)が、レシピエント発光媒体の上に配置される。
図17Aは、視角Θの関数としての色のccx座標(dccx)の変動を表す。
図17Bは、視角Θの関数としての色のccy座標(dccy)の変動を表す。
図3B及び
図3Cに関して本明細書で論じたように、従来のデバイス1710の性能は、LEDの発光面に垂直な軸に対して視角Θが増加するにつれて著しく変化する。たとえば、視角Θが大きくなると、ccx方向及びccy方向の両方の偏差が大きくなる。
【0151】
図17A及び
図17Bに見られるように、本発明の実施例による半導体発光デバイスは、LEDの発光面に垂直な軸の75度以内のほぼすべての視角に対して、放出光のccx及びccy成分の変動がかなり減少することを示している。実際、放出光のccx成分及びccy成分の両方が、LEDの発光面に垂直な軸の75度以内のほぼすべての視角に対して、0.01の範囲内に維持されている。さらに、放出光のccx成分及びccy成分の両方が、LEDの発光面に垂直な軸の40度以内のほぼすべての視角に対して、0.005の範囲内に維持されている。
【0152】
図17Cは、様々な種類のパターン形成されたスーパーストレートについての、CoAの変動の差異を示している。たとえば、
図17Cは、円錐形(たとえば、円形断面)の光学要素(たとえば、
図6A~
図6Cに関して記載されたものと同様の実施例)を有する、本発明の実施例による半導体発光デバイス1720a、及び6角形ピラミッドの光学要素(たとえば、
図8A~
図8Cに関して記載されたものと同様の実施例)を有する、本発明の実施例による半導体発光デバイス1720bと比較した、従来の半導体発光デバイス1710のCoAの性能を示す。
図17Cに見られるように、実施例1720a及び1720bの両方が、従来のデバイス1710と比較して、ccy方向の最小の偏差を可能にする。LEDの発光面に垂直な軸の60度以内の視角範囲において、円錐形の光学要素1720aを利用する実施例は、放射光のccy成分にわずかに正の偏差を有し、一方6角形ピラミッドの光学要素1720bを利用する実施例は、放出光のccy成分にわずかに負の偏差を有するが、実施例1720a及び1720bの両方が、従来のデバイス1710よりも偏差が小さい。
【0153】
前述のように、一部の従来のデバイスは、CoAの性能を向上させるために溶融シリカなどのディフューザを利用している。しかし、かかるディフューザは、知覚される光の鮮鋭度及びコントラストを低下させる可能性がある。
図18A及び
図18Bは、本明細書に記載したいくつかの実施例と比較して、ディフューザの使用によって発生する可能性がある鮮鋭度の低下を示している。
図18Aは、相異なる種類の半導体発光デバイス間の相対輝度の比較を示している。
図18Aにおいて、y軸は、半導体発光デバイスから放出される光の相対輝度を示し、x軸は、半導体発光デバイスの中心からの距離(単位はミリメートル)を示す。理想的な環境では、相対輝度は、半導体発光デバイスの表面全体にわたって均一なはずである。実際には、相対輝度は、半導体発光デバイスの中央部分で最大になる傾向がある。
図18Aは、溶融シリカのディフューザを含む従来のデバイス1805、平坦なサファイア製スーパーストレートを具備するチップ・カバーを備えた従来のデバイス1810、円錐形の光学要素を利用するパターン形成されたスーパーストレートを具備するチップ・カバーを備えた、本明細書に記載の実施例によるデバイス1820a、及び6角形ピラミッドの光学要素を利用するパターン形成されたスーパーストレートを具備するチップ・カバーを備えた、本明細書に記載の実施例によるデバイス1820bを比較している。
図18Bは、
図18Aのグラフの上部の拡大版である。
図18Bを参照すると、ディフューザを使用する従来のデバイス1805及び平坦なサファイアを使用する従来のデバイス1810の両方が、パターン形成されたスーパーストレートを使用するデバイス1820a、1820bよりも、比較的早くデバイスの縁部に向かって相対輝度を失い始めることが分かる。さらに、本明細書に記載された実施例1820a、1820bによるデバイスの相対輝度は、半導体発光デバイスの外縁部において、従来のデバイス1805、1810の相対輝度のピークよりも高い、相対輝度のピークを含む。こうしたピークは、本明細書に記載の実施例による半導体発光デバイス内の、光の反射の増加に起因する可能性がある。
【0154】
図19A及び
図19Bは、従来のデバイスと本明細書に記載するいくつかの実施例との間の、さらなる性能比較を示している。
図19Aは、放出光のコントラストに関係するデータを示しており、一般に、数値が小さいほど優れていると考えられる。
図19Aに見られるように、本明細書に記載された、パターン形成されたスーパーストレートを使用する実施例1820a、1820bの性能は、ディフューザを使用する従来のデバイス1805よりも優れており、本明細書に記載したように、CoAの変動をより小さく維持しながら、平坦なサファイア製スーパーストレートを使用する従来のデバイス1810に匹敵する。同様に、
図19Bは、放出光の鮮鋭度に関係するデータを示しており、一般に、数値が小さいほど優れていると考えられる。ここで、本明細書に記載された、パターン形成されたスーパーストレートを使用する実施例1820a、1820bの性能は、ディフューザを使用する従来のデバイス1805及び平坦なサファイア製スーパーストレートを使用する従来のデバイス1810の両方よりも優れている。
【0155】
図20A及び
図20Bは、従来の半導体発光デバイスのCoAの性能を示すグラフである。
図20A及び
図20Bのグラフでモデルにしたデバイスは、
図2のデバイスと構造的に同様の、従来の半導体発光デバイスであり、レシピエント発光媒体上に平坦なサファイア製スーパーストレートを具備するチップ・カバーを備える。
図20Aは、視角の関数としての従来の半導体発光デバイスから放出される光の色の変動を示している。
図20Aは、
図1に示した1931CIE色度図と同様であるが、1976uV CIE色度図上の同じ距離がヒトの観察者の知覚上の同じ色の差異を表すよう修正されている、1976uV CIE色度図での、放出光のv’座標を示している。
図20Aに示すように、従来の半導体発光デバイスでは、半導体発光デバイスによって放出される光の知覚されるv’は、視角が0度から80度に増加するにつれて、0.48から0.51の間で変化する。
図20Aの0度付近の小さなピーク又は隆起は、データの統計的ノイズに起因する可能性が高い。球形メッシュを使用して
図20Aに示すデータを収集でき、データを収集するために使用する「ビン」は、極(0度及び180度に位置する)の近くでより小さくなる。これは、世界地図上の緯度線及び経度線によって作られるスライスが、極の近くでより小さくなるのと大体同じである。より小さいビンは、「赤道」近くのより大きいビンに比べてデータ・ポイントが少ないことを意味し、それによって、統計的ノイズ(たとえば、より低い信号対ノイズ比)がより多くなる可能性があり、0度の印付近で統計的異常が生じ得る。
図20Bは、同じ範囲の視度にわたる、従来の半導体発光デバイスの光度を示している。
図20Bに見られるように、従来の半導体発光デバイスによって放出される光の知覚される強度もまた、視角の関数として変化する。
【0156】
図21A及び
図21Bは、本発明の実施例による半導体発光デバイスについて、
図20A及び
図20Bと同じ性能パラメータを示すグラフである。
図21A及び
図21Bのグラフでモデルにした半導体発光デバイスは、レシピエント発光媒体上にパターン形成されたサファイア製スーパーストレートを備える。パターン形成されたスーパーストレートは、
図4に示すデバイスと同様に、パターン形成されたスーパーストレートの下面に光学要素を有し、光学要素は、
図6A~
図6Cに関して本明細書で論じた円錐形の光学要素である。
図21Aは、視角の関数としての、半導体発光デバイスから放出される光の色の変動を示している。
図21Aは、半導体発光デバイスによって放出される光のv’座標が、視角が0度から80度に増加するにつれて、0.49から0.5の間でわずかしか変化しないことを示している。したがって、本発明の実施例による半導体発光デバイスは、従来のデバイスと比較して、CoAの変動を著しく低減している。
図21Aは、
図20Aに関連して論じた、0度の印付近の同様の統計的異常を示している。ここで
図21Bを参照すると、本発明の実施例による半導体発光デバイスによって放出された光の強度グラフは、従来のデバイスのグラフと非常に類似していることが分かる。したがって、本発明の実施例による半導体発光デバイスは、知覚される放出光の強度にほとんど又はまったく影響を与えることなしに、放出光のCoAの変動を低減できる。
【0157】
本明細書で論じたように、光学要素450は、セグメント化された側面及び/又は丸みを帯びた側壁を備える形状を含む、様々な形状であり得る。光学要素450の形状は、2つの構成要素、すなわち基本形状(たとえば、円錐、ピラミッド、半球など)、及びプロファイルで見たときに形体の側壁に沿って観察され得るそり又は湾曲など(
図6C、
図7C、
図8C参照)、基本形状からのずれ(意図的か、又はパターン形成される形体のエッチング/処理などに起因する)に分けられ得る。
【0158】
主軸を中心にして滑らかに回転した対称形状(たとえば、円錐、球など)は、小平面からなる形状(たとえば、ピラミッド、プリズムなどのように)よりも、径方向均一性又は方位均一性を改善する可能性がある、有益な特性を有し得る。たとえば、円錐を垂直線からある角度で見て、次いで円錐の主軸(基部から先端を指す)を中心にして回転した場合、プロファイルは変わらない。これは、ピラミッドには当てはまらない。したがって、ピラミッドは、パターン形成されたスーパーストレート430の一部として使用されると、色の均一性の変動をもたらし得る。たとえば、LEDチップ100及びピラミッド形状の光学要素450を有するパターン形成されたスーパーストレート430を、垂直線からある角度で見て、次いで回転した場合、光学要素450のそれぞれのプロファイルは、少なくとも部分的に、ピラミッド形状の光学要素450のセグメント化された側面に基づいて変化し得る。これは、測定データに関して、dccyのプロットにおいて、様々な曲線(様々な測定方位を表す)がすべて同一ではなく、相互に有意な広がりを有するという結果をもたらす。いくつかの実施例では、この変動は、半導体発光デバイスを特定の方位角で見たときに、dccy要件には及第し、他では最適下限に機能することを意味し得る。この現象を、円形の基部を有する光学要素(たとえば、
図6A~
図6Cに示すような円錐形の光学要素)を有する半導体発光デバイス、及び6角形の基部を有する光学要素(たとえば、
図8A~
図8Cに示すような6角形ピラミッドの光学要素)を有する半導体発光デバイスにおける、CoAの変動を示すグラフを含む、
図22A及び
図22Bに示す。
図22Aは、dccxの変動対放出光の角度を示し、
図22Bは、dccyの変動対放出光の角度を示す。
図22A及び
図22Bでは、円錐形の光学要素(「円形」と表示)及び6角形ピラミッドの光学要素(「6角形」と表示)について、2つのサンプル(A及びB)からの、相異なる角度(0°、45°、90°、135°)で取得された個々のスライスを示している。
図22A及び
図22Bに示すように、円錐形の光学要素は、CoAの性能において、6角形ピラミッドの光学要素の変動よりも滑らかな変動を有する。
【0159】
プロファイルに湾曲を追加すること(又は自然に発生する湾曲)は、下にある基部の形状の寸法に応じて、CoAの均一性を促進する場合も損なう場合もある。シミュレーションは、湾曲が、特定の円錐の高さと基部との比率ではCoAを改善する可能性があり、他の比率では実際にCoAの不均一性を増大させる可能性があることを示した。概して2つの効果は関連しており、どちらか一方を使用して(制御可能な場合)、他方によってもたらされる悪影響を補正できる。
【0160】
いくつかの実施例では、光学的形体の間隔は、パターンの効果を増加させるか、又は減少させるように使用され得る。光学的形体間の平坦な領域は、パターン形成されていないスーパーストレートと同じように動作し得る。したがって、こうした領域を通って放出される光は、CoAの均一性が不十分な可能性がある。この影響は、大きい角度で最も顕著になり得る。いくつかの実施例では、光学的形体が互いにより近いほど、パターン形成されていない領域からもたらされ得る半導体発光デバイスの放出光への寄与は、一層少ない。
【0161】
したがって、本明細書に記載するように、パターン形成されたスーパーストレートを利用する半導体発光デバイスは、光の性能の他の特性を低下させることなく、CoAの変動に関する改善を可能にし得る。本明細書に記載の実施例で使用するスーパーストレートのパターン形成は、加工技法への比較的小さな修正を加えた既存の装置を使用できるので、半導体発光デバイスのCoAの変動に対する利点は、最小限の中断又は追加費用で実現できる。
【0162】
本明細書で使用されるとき、用語「半導体発光デバイス」は、LED、レーザ・ダイオード、及び1つ又は複数の半導体層を備える他の任意の半導体発光デバイス、並びにかかる半導体発光デバイスを備える、パッケージ化されたランプ、電球、設備器具などを含み得る。こうしたデバイス内に備えられる半導体層は、シリコン、炭化ケイ素、窒化ガリウム、及び/又は他の半導体材料、任意選択の半導体又は非半導体基板、並びに金属及び/又は他の導電性材料を含み得る1層又は複数の接触層を備え得る。本明細書で使用される表現「発光デバイス」及び/又は「照明装置」は、それが発光できるデバイスであることを除いて、限定されるものではない。
【0163】
本開示の実施例による半導体発光デバイスは、ノースカロライナ州DurhamのCree,Inc.によって製造及び/又は販売されている様々なデバイスなどの、炭化ケイ素、サファイア、又は窒化ガリウム基板上に製造されたIII-V窒化物(たとえば、窒化ガリウム)ベースのLEDを含み得る。かかるLEDは、いわゆる「フリップ・チップ」の向きの基板を通って発光が行われるように、動作するよう構成され得る(又は構成されない場合がある)。本開示の実施例による半導体発光デバイスは、LEDの一方の側にカソード接点を、且つLEDの反対の側にアノード接点を備える垂直デバイス、及び両方の接点がデバイスの同じ側にあるデバイスの、両方を含む。半導体発光デバイスの設計及び製造は、当業者にはよく知られており、したがって、設計及び製造のさらなる説明は省略することにする。
【0164】
上記の説明及び図面に関連して、多くの相異なる実施例を本明細書に開示してきた。こうした実施例のすべての組合せ及び部分的組合せをそっくりそのまま説明及び例示することは、はなはだしく反復的で分かり難くすることが理解されよう。したがって、図面を含む本明細書は、本明細書に記載の実施例並びに実施例を製作して使用するやり方及び工程の、すべての組合せ及び部分的組合せの完全な書面による説明を構成すると解釈されるものとし、またどんなかかる組合せ及び部分的組合せへの特許請求にも対応するものとする。
【0165】
本発明について、特定の実施例を示す添付図面を参照して、上記で説明してきた。ただし、この開示は、本明細書に記載された実施例に限定されるものと解釈すべきではない。むしろ、こうした実施例は、この開示が充分且つ完全であり、本開示の範囲を当業者に完全に伝えるように提供される。図面では、明確にするために、層及び領域の厚さが誇張されている。同じ番号は、全体を通して同じ要素を指す。本明細書で使用されるとき、用語「及び/又は」は、関連する列挙された項目のうちの1つ又は複数の、ありとあらゆる組合せを含む。
【0166】
本明細書で使用される用語は、特定の実施例を説明することのみを目的としており、本発明を限定することを意図するものではない。明細書で使用されるとき、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈上明らかにそうでないと示していない限り、複数の形態も同様に含むことを意図する。この明細書で使用されるとき、用語「備える」及び/又は「含む」、並びにその派生語は、述べられた要素、及び/又は構成要素の存在を特定するが、他の1つ又は複数の要素、構成要素、及び/又はそれらの群の存在又は追加を排除するものではないことが、さらに理解されよう。
【0167】
層、領域、又は基板などの要素が、別の要素の「上に」にある、又は「上へ」延びると言われる場合、該要素は他の要素の上に直接あり得るか、又は他の要素の上へ直接延出できる、或いは介在要素も存在し得ることが理解されよう。対照的に、ある要素が別の要素の「直接上に」ある、又は「直接上へ」延びると言われる場合、介在する要素は存在しない。ある要素が別の要素に「接続」又は「結合」されていると言われる場合、その要素は他の要素に直接接続又は結合され得るか、又は介在要素が存在し得ることも理解されよう。対照的に、ある要素が別の要素の「直接接続」されている、又は「直接結合」されていると言われる場合、介在する要素は存在しない。
【0168】
第1、第2などの用語は、本明細書では様々な要素、構成要素、領域、及び/又は層を説明するために使用され得るが、こうした要素、構成要素、領域、及び/又は層は、こうした用語によって限定されるべきではないことが理解されよう。こうした用語は、1つの要素、構成要素、領域、又は層を別の要素、構成要素、領域、又は層と区別するためだけに使用される。したがって、以下で論じる第1の要素、構成要素、領域、又は層は、本発明の教示から逸脱することなく、第2の要素、構成要素、領域、又は層と表現されてもよい。
【0169】
さらに、関係を表す用語である「下」又は「底」及び「上」又は「てっぺん」などは、図に示すように、ある要素と別の要素との関係を説明するために、本明細書で使用され得る。関係を表す用語は、図に描かれている向きに加えて、デバイスの様々な向きを包含することを意図していることが理解されよう。たとえば、図のデバイスをひっくり返した場合、他の要素の「下」側にあると説明されている要素は、他の要素の「上側」側に向けられるであろう。したがって、例示的な用語「下」は、図の特定の向きに応じて、「下」と「上」との両方の向きを包含できる。
【0170】
本明細書では、本開示の理想化された実施例(及び中間構造体)の概略図である断面図を参照しながら、本開示の実施例を説明している。図面内の層及び領域の厚さは、明確にするために誇張され得る。さらに、たとえば製造技法及び/又は許容誤差の結果、図の形状からの変形が予想されるべきである。したがって、本開示の実施例は、本明細書に示す領域の特定の形状に限定されると解釈されるべきではなく、たとえば、製造に起因する形状の誤差を含むべきである。
【0171】
図面及び明細書において、本開示の実施例を開示してきており、特定の用語が使用されているが、該用語は一般的且つ説明的な意味でのみ使用され、限定する目的ではなく、本開示の範囲は以下の特許請求の範囲に記載されている。