(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-11
(45)【発行日】2023-05-19
(54)【発明の名称】小細胞肺がんの治療におけるキアウラニブの使用
(51)【国際特許分類】
A61K 31/47 20060101AFI20230512BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20230512BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20230512BHJP
【FI】
A61K31/47
A61P35/00
A61P43/00 121
(21)【出願番号】P 2021556944
(86)(22)【出願日】2020-03-18
(86)【国際出願番号】 CN2020079822
(87)【国際公開番号】W WO2020192506
(87)【国際公開日】2020-10-01
【審査請求日】2021-09-27
(31)【優先権主張番号】201910229379.6
(32)【優先日】2019-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】519108051
【氏名又は名称】深▲セン▼微芯生物科技股▲フン▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】SHENZHEN CHIPSCREEN BIOSCIENCES CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】21F-24F, Building B, Zhigu Industrial Park, Shuguang Community, Xili Street, Nanshan District, Shenzhen Guangdong 518057, China
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ルー、シエンピン
(72)【発明者】
【氏名】シャン、ソン
(72)【発明者】
【氏名】パン、デースー
(72)【発明者】
【氏名】ニン、チーチアン
【審査官】春日 淳一
(56)【参考文献】
【文献】特表2012-528800(JP,A)
【文献】国際公開第2019/096194(WO,A1)
【文献】特表2022-527895(JP,A)
【文献】SUN, Yongkun et al.,Journal of Hematology & Oncology,2019年01月14日,Vol.12:9,pp.1-10
【文献】U.S. National Library of Medicine,History of Changes for Study:NCT03216343,ClinicalTrials.gov archive,version 3,2019年01月29日,https://clinicaltrials.gov/ct2/history/NCT03216343?A=3&B=3&C=merged#StudyPageTop,2022年8月18日アクセス
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00 ~ 33/44
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療サイクル中に休薬期間がなく、小細胞肺がん
の治療に使用するための、下記の式(I)で示される化合物キアウラニブ
を含む、医薬組成物。
【化1】
【請求項2】
小細胞肺がんは、過去に少なくとも2つの異なる全身化学療法レジメンを受けた後に進行又は再発した小細胞肺がんである、請求項1に記載の使用するための
医薬組成物。
【請求項3】
治療サイクル中に休薬期間がなく、小細胞肺がんを治療するための、下記の式(I)で示される化合物キアウラニブと他の有効医薬化合物
を含む、医薬組成物。
【化2】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
本願は、発明の名称が「小細胞肺がんの治療におけるキアウラニブの使用」である、2019年3月25日に中国特許庁へ提出された中国特許出願201910229379.6に基づく優先権を主張し、その全内容は、全体として援用により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、医薬品技術分野に関し、具体的には、小細胞肺がんの治療における化合物キアウラニブの応用に関する。
【背景技術】
【0003】
肺がんは、悪性腫瘍の中で発生率と死亡率のどちらも一番高いものである。小細胞肺がん(small cell lung cancer、SCLC)は、肺がんの全体の10%から15%を占め、その臨床的特徴及び生物学的挙動が他の種類の肺がんと異なり、倍加時間が短く、早期に転移が起こりやすく、悪性度が非常に高い。未治療患者は2~4か月以内に死亡することがよくあり、初回治療を受けた患者は化学療法に対して敏感であるが、薬剤耐性及び再発を起こしやすく、かつ、二次化学治療薬に対して比較的鈍感であり、予後が悪い。診断された患者は、30%~40%が限局期にあり、60%~70%が進展期にある。長期生存率は、限局期の場合に20%であるが、進展期の場合にわずか2%である。
【0004】
現在、エトポシド/シスプラチンのレジメン(EPレジメン)は、SCLCの主な化学療法レジメンである。第III相臨床試験の結果は、限局期のSCLC患者において、EPレジメンはシクロホスファミド/エピルビシン/ビンクリスチンのレジメン(25%vs.10%、8%vs.3%)より2年及び5年生存率が優れており、進展期SCLC患者において、EPレジメンも同様に生存利益を与えられる、ことを示している。その後の一連の研究でもEPレジメンの治療効果が確認されたため、EPレジメンはSCLCの標準的な一次化学療法になった。
【0005】
イリノテカン/シスプラチン(CPT-11/DDP)(IPレジメン)は、SCLCを治療するもう1つの通常の化学療法レジメンである。対照試験では、IPレジメン群及びEPレジメン群が同時に設定された結果が、2つの群の患者に対する客観的奏効率(ORR)がそれぞれ84.4%、67.5%(P=0.02)であり、生存期間中央値がそれぞれ12.8ヶ月、9.4ヶ月(P=0.002)であったことを示している。
【0006】
上記の従来のEPレジメン及びIPレジメンのほかには、トポテカン又はパクリタキセルとの併用療法などのいくつかの二次治療レジメンもある。研究によると、トポテカンと組み合わせた最良の支持療法群は、全生存期間、生活品質及び症状の改善が単独の最良の支持療法群よりも、いずれも有意に優れていることが示され、そのため、トポテカンがSCLCの二次化学治療薬になっている。
【0007】
上記の治療レジメンがあることにもかかわらず、全体としては、SCLCに対する効果的な治療法が依然として足らない。通常のEP或いはIPレジメンによる治療が失敗した後、二次治療の選択肢(例えば、トポテカン、パクリタキセルなど)が少なく、かつ、二次治療も失敗した後、NCCNなどのガイドラインは支持治療或いは臨床研究のみを推奨し、この場合に利用可能な治療選択肢が不足する。また、EPレジメンでもIPレジメンでも、シスプラチンの毒性がしばしばその治療効果を阻害し、患者が耐性のために治療に影響を与える。従って、小細胞肺がんは、より優れた治療効果及び/又は副作用の少ない治療レジメンを探す必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記事情に鑑みて、本発明は、より優れた治療効果及び/又は副作用の少ない小細胞肺がんの治療レジメンを提供することを目的とする。本発明者らは、式(I)で示される化合物(化学名:N-(2-アミノフェニル)-6-(7-メトキシキノリン-4-オキソ)-1-ナフチルアミド、中国語の一般名:キアウラニブ)が小細胞肺がんを効果的に治療することができ、小細胞肺がんに対する満足のいく臨床的有用率を有し、かつ、非小細胞肺がんや結腸癌などの他の種類の腫瘍よりも優れた抗腫瘍活性を有意に有することを、研究で予期せず発見した。
【化1】
【課題を解決するための手段】
【0009】
従って、一態様においては、本発明は小細胞肺がんを治療するための医薬品の製造におけるキアウラニブの使用を提供する。
【0010】
そして、本発明は、さらに、キアウラニブを、それを必要とする対象に投与することを含む、小細胞肺がんを治療するための方法を提供する。
【0011】
本発明に係る上記の薬品製造における使用及び治療方法においては、キアウラニブが他の有効医薬成分とさらに併用することもできる。
【0012】
本発明の幾つかの好適な実施形態においては、前記小細胞肺がんが再発性又は難治性の小細胞肺がんである。
【0013】
前記再発性又は難治性の小細胞肺がんとは、1つ、2つ、又はそれ以上の異なる治療、特に全身化学療法レジメン(例えば、プラチナ含有化学療法レジメンを含む)を受けた後に現れる小細胞肺がん疾患の進行または再発を指す。
【0014】
キアウラニブは、複数のプロテインキナーゼを標的とする小分子の標的抗腫瘍薬である。しかし、今まで、小細胞肺がんにおけるキアウラニブの応用に関する報告はない。
【0015】
結腸・直腸癌、非小細胞肺がん、胃癌、卵巣癌、甲状腺乳頭癌、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、線維肉腫、低分化型腎癌を含む8種類の腫瘍徴候を有する18名の患者をグループに参加とした、進行固形悪性腫瘍患者のキアウラニブの第I相臨床試験を実行した。その結果は、完全寛解(CR)および部分寛解(PR)を含む、主要な臨床的治療効果の指標の客観的寛解が観察されなかったことを示している。
【0016】
再発性・難治性の小細胞肺がんのキアウラニブの第Ib相臨床試験をさらに実行した。ここで、小細胞肺がん試験グループに参加した患者が25名であり、そのうちの20名の患者について治療効果を評価した。その結果、4名の患者の最良の治療効果の評価がPRであり、客観的奏効率(ORR)が20%であった。小細胞肺がんの治療の難しさを考えると、この治療の結果が非常に有望である。
【0017】
上記の試験結果は、非小細胞肺がんや結腸癌などの8種類の腫瘍の臨床試験において、キアウラニブが主要な臨床的治療効果の指標で客観的に寛解した患者が観察されなかったことを示している。しかしながら、小細胞肺がんの臨床試験においては、キアウラニブが良好な治療効果を示し、客観的奏効率(ORR)が20%であった。小細胞肺がんがキアウラニブの効果的な腫瘍適応症であることが示される。他の種類の腫瘍の治療効果と比較して、小細胞肺がんに対するキアウラニブの治療効果が予想外である。
【0018】
上記の発見に基づき、本発明は、キアウラニブを単独投与で治療すること、及び他の薬剤、補助薬剤、或いは治療剤と併用して治療すること、並びに他の治療法(例えば、手術療法、放射線療法)と併用して治療することを含むが、これに限定されない、小細胞肺がん患者におけるキアウラニブの応用を提案した。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、第I相臨床研究におけるさまざまな腫瘍に対するキアウラニブの治療効果を示す滝グラフを示す。
【
図2】
図2は、第Ib相臨床研究における小細胞肺がんに対するキアウラニブの治療効果を示す滝グラフを示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明は、小細胞肺がんの治療におけるキアウラニブの応用を開示しているが、当業者はこれらの記載を参考し、それを達成するためにプロセスパラメータを適切に改善することができる。なお、全ての類似な置換および変更が当業者にとって自明であり、それらはすべて本発明に含まれたものとみなされることに留意する必要がある。本発明に係る応用を好適な実施例を用いて説明したが、当業者は、本発明の技術を実施および適用するために、本発明の内容、思想、および範囲から逸脱することなく、本明細書に記載の応用を修正または適切な変更および組み合わせを行うことができることが明らかである。
【0021】
本発明においては、キアウラニブは、その元の化合物又は塩(薬学的に許容される塩)として使用することができる。前記薬学的に許容される塩は、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、硝酸、酢酸、グリコール酸、乳酸、ピルビン酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、フマル酸、リンゴ酸、マンデル酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、パルミチン酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、フェニル酢酸、ケイ皮酸、サリチル酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、又はトルエンスルホン酸などの有機酸又は無機酸を使用することにより製造することができる。
【0022】
本発明に係る薬学的に許容される塩は、従来の方法により調製することができる。例えば、本発明に係る化合物を水混和性有機溶媒(例えば、アセトン、メタノール、エタノール、およびアセトニトリルなど)に溶解し、それに有機酸または無機酸の水溶液を、過剰に添加し、得られる混合物から塩を沈殿させ、溶媒および残りの遊離酸を除去し、次いで沈殿した塩を分離することができる。
【0023】
本発明に係るキアウラニブ又はその薬学的に許容される塩は、溶媒和物形態を含むことができ、好ましくは、前記溶媒和物が水和物である。
【0024】
キアウラニブと他の治療薬との併用の治療においては、前記他の治療薬とは、癌の原因を軽減、減少、調節、改善、又は排除すること、病状を改善すること、又は患者の全体的な治療効果に寄与することができることを含む、癌を治療または予防する効果を有する任意の化合物又は成分を意味する。
【0025】
本発明に係る治療応用において、キアウラニブの投与量が一日1mgから500mgであってもよく、例えば、一日1mgから100mgであり、好ましくは一日5mgから80mg、一日5mgから70mg、一日5mgから60mg又は一日5mgから50mgであり、より好ましい一日の用量は、例えば、一日1mg、2mg、3mg、4mg、5mg、10mg、15mg、20mg、25mg、30mg、35mg、40mg、45mg又は50mgである。具体的な使用量は、患者の実際の状況、治療レジメン、及び他の薬剤の併用の状況に応じて調整することができる。
【0026】
本発明に係る治療応用においては、キアウラニブは、任意の適切な医薬組成物の形態として対象に投与することができる。前記医薬組成物は、例えば、カプセル、錠剤、顆粒、粉末、シロップ、乳濁液、マイクロエマルジョン、溶液または懸濁液などの経口投与または非経口投与(筋肉内、静脈内および皮下経路を含む)の剤形であることができる。
【0027】
本発明に係る併用治療応用においては、キアウラニブは、他の治療剤と別々に、同時に、または順次に被治療する対象に投与することができる。また、キアウラニブと他の治療剤とは、同一の医薬組成物に存在することができ、又は異なる医薬組成物(試薬キットまたは薬キット)の形態として別々に投与することができる。以下、本発明で提供されるキアウラニブの応用を、さらに説明する。
【0028】
実施例1:進行固形悪性腫瘍患者の治療におけるキアウラニブの第I相臨床試験
【0029】
治験薬:キアウラニブカプセル、仕様:5mg、25mg、深セン微芯生物科技股分有限公司により製造された。
【0030】
投与レジメン:初始用量を10mg/日とし、初始用量の後で、修正したFibonacci法に従って、グループに参加した患者を低用量から高用量の順に、MTDが決定されるまで、20mg、35mg、50mg、65mg用量群でそれぞれ設定された。
【0031】
キアウラニブカプセルを毎朝1回に経口投与した。バイオアベイラビリティに対する食事の影響の分析データを知る前に、空腹時に服用した。
【0032】
症例数:18名がグループに参加した。
【0033】
選択標準:
1.非小細胞肺がん、結腸・直腸癌、卵巣癌、腎細胞がん、消化管間質腫瘍、胃癌などを含む、組織学や細胞学によって明確に診断された進行固形悪性腫瘍の患者;
2.標準レジメン治療が失敗した、或いは、標準治療レジメンが欠如した患者;
3.ボディマス指数が18~28の範囲にあること;
4.年齢:18~65歳、性別制限なし;
5.ECOGスコア:0または1ポイント;
6.主要臓器の機能は以下の基準を満たすこと:
a)血液一般検査:ヘモグロビン(Hb)≧100g/L(14日以内に輸血なし);好中球絶対数(ANC)≧1.5×109/L;血小板(PLT)≧100×109/L;
b)生化学検査:血清クレアチニンCr≦正常値上限(ULN);ビリルビンBIL≦1.25×ULN;アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)≦1.5×ULN;空腹時トリグリセリド(TG)≦3.0mmol/L,空腹時総コレステロール(TC)≦7.75mmol/L;
c)血液凝固機能:国際標準化比(INR)<1.5。
7.女性は、研究期間中および研究終了後からの6か月以内に避妊手段を使用する必要があり、グループに参加した前の7日以内に血清や尿による妊娠検査が陰性であり、非授乳期の患者であること、男性は、研究期間中及び終了後からの6か月以内避妊手段を使用する必要があること;
8.書面によるインフォームド・コンセントに自発的に署名すること。
【0034】
治療計画:
毎日1回、空腹時に、所定用量のキアウラニブカプセルを経口服用させ、28日を1治療サイクルとした。グループに参加したすべての患者が、治療サイクル中に休薬期間がなく、疾患が進行したか耐えられない毒性が現れたまで試験薬治療を受けた。
【0035】
治療効果評価:腫瘍治療の臨床的利益には、完全寛解(CR)と部分寛解(PR)とが含まれる。
【0036】
判断基準:治療効果は、固形腫瘍のRECIST1.1版(2009年)標準に従って評価された。
【0037】
安全性評価は、身体検査、バイタルサイ、ECOGフィットネススコア、血液一般検査、尿一般検査、12誘導ECG、血液生化学検査、電解質、血液凝固機能、心筋酵素、トロポニン、TSH、FT3、FT4、アミラーゼ、心エコー検査、24時間尿蛋白定量(必要な場合)、有害事象を含む。
【0038】
臨床試験の結果:
試験グループに参加した患者が合計18名であり、すべてFAS、SS及びPPSの分析セットに含まれていた。18名の患者は、7名が(38.9%)結腸・直腸癌であり、5名(27.8%)が非小細胞肺がんであり、また、胃癌、卵巣癌、甲状腺乳頭癌、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、線維肉腫、低分化型腎癌がそれぞれ1名であった。
【0039】
その結果、主要な臨床的治療効果の指標で客観的寛解の症例が観察されず、客観的寛解は完全寛解(CR)と部分寛解(PR)を含む。
実施例2:再発・難治性小細胞肺がんのキアウラニブ単独治療の第Ib相の臨床試験
【0040】
治験薬:キアウラニブカプセル、仕様:5mg、25mg。深セン微芯生物科技股分有限公司により製造された。
【0041】
投与レジメン:キアウラニブカプセルを50mg/日でQD投与(体重及び体表面積の調整なし)した。毎朝、空腹時に水と一緒に服用し、カプセル全体をそのままに飲み込むように服用した。28日間連続投与を1治療サイクルとし、各治療サイクルの間に間隔がなかった。
【0042】
症例数:25名がグループに参加した。
【0043】
選択標準:
1.18歳以上75歳以下、性別制限なし;
2.組織学や細胞学によって確認された小細胞肺がん;
3.過去に少なくとも2つの異なる全身化学療法レジメン(プラチナ含有化学療法レジメンを含んだ)を受けたことがあり、その後、疾患が進行または再発したこと;
4.RECIST1.1標準によると、少なくとも1つの測定可能な標的病変があり、ただし、放射線療法または局所領域治療によって治療された病変は、標的病変と見なされる前に、疾患進行の画像検査による証拠を持つ必要があること;
5.ECOGフィットネススコアが0-1ポイントにあること;
6.主要臓器の機能は以下の基準を満たすこと:
a)血液一般検査:好中球絶対数≧1.5×109/L、血小板≧75×109/L、ヘモグロビン≧80g/L
b)血液生化学検査:総ビリルビン≦正常値上限の1.5倍、AST/ALT≦正常値上限の2.5倍(肝転移の場合、正常値上限の5倍以下)、血清クレアチニン≦正常値上限の1.5倍;
血液凝固機能:プロトロンビン時間-国際標準化比(PT-INR)<1.5。
7.予想生存期間≧3ヶ月;
8.書面によるインフォームド・コンセントに自発的に署名すること。
【0044】
治療計画:
試験対象に毎日1回、空腹時に、キアウラニブカプセル50mgを経口服用させ、28日を1治療サイクルとし、また、治療サイクル中に休薬期間がない。試験期間にわたって、すべての被験者は、疾患の進行、耐えられない毒性反応、死亡、インフォームド・コンセントの撤回、またはフォローアップの喪失のいずれか(最初に発生したほう)が発生するまで、治療を続けた。
【0045】
治療効果評価:RECIST1.1基準に従って、ベースライン期と治療後の第4週末にそれぞれ評価を1回実行し、その後、疾患が進行するまで8週間ごとに評価を繰り返された。腫瘍の画像検査には、首、胸、腹部全体、骨盤のCT又はMRIが含まれ、他の部位の検査は、臨床的適応に基づいて必要に応じて行った。病変のベースライン及びその後の評価および測定では、同じ手段及び方法を使用する必要がある。
【0046】
安全性評価は、身体検査、バイタルサイ、ECOGフィットネススコア、血液一般検査、尿一般検査、12誘導ECG、血液生化学検査、電解質、血液凝固機能、心筋酵素、トロポニン、TSH、FT3、FT4、アミラーゼ、心エコー検査、24時間尿蛋白定量(必要な場合)、有害事象を含む。
【0047】
臨床試験の結果:
段階的にグループに参加した小細胞肺がん患者が25名であり、ただし、治療効果評価した患者が20名であった。その結果、4名の患者は、最良の治療効果の評価がPRであり、客観的奏効率(ORR)が20%であった。これらの結果は、キアウラニブが小細胞肺がんを効果的に治療することができることを示している。
実施例3:他の腫瘍および小細胞肺がんに対するキアウラニブ治療の効果の比較
【0048】
図1は、第I相の臨床試験におけるキアウラニブの複数種の腫瘍の治療効果を示す效滝グラフである。グループに参加した18名患者は、測定可能な病変を有する患者が15名を含み、含まれる腫瘍種類は結腸・直腸癌、非小細胞肺がん、胃癌、卵巣癌、甲状腺乳頭癌、及び低分化型腎癌である。治療後、標的病変がベースラインと比較して30%以上減少した患者がなかった。ここで、標的病変がベースラインと比較して30%減少することは、腫瘍治療における臨床的客観的寛解の標準の一つである。
【0049】
図2は、キアウラニブの小細胞肺がんの第Ib相における治療効果を示す滝グラフであり、ここで、グループに参加した25名の患者は、治療効果が評価された患者が20名を含む。治療後、標的病変が標的ベースラインと比較して30%以上減少した患者が5名(25%)であり、その中の4名の患者は、臨床的治療効果において部分寛解(PR)と評価された。
【0050】
下記の表は、他の腫瘍及び小細胞肺がんに対するキアウラニブ治療の効果の比較を示すものである。キアウラニブは、小細胞肺がんへの客観的寛解、臨床的利益、及び標的病変の減縮などの治療効果の指標が他の腫瘍より有意に優れたことが分かる。
【表1】
【0051】
以上の記載は本発明の好適な実施形態に過ぎなく、当業者にとって、本発明の原理から逸脱することなく、若干の改善および修正を行うことも可能であり、これらの改善および修正も本発明の保護範囲に含まれたものとみなされることに留意する必要がある。