(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-11
(45)【発行日】2023-05-19
(54)【発明の名称】動力車両照明アセンブリのための光源のセットを制御するための装置及び方法
(51)【国際特許分類】
H05B 45/18 20200101AFI20230512BHJP
B60Q 1/04 20060101ALI20230512BHJP
【FI】
H05B45/18
B60Q1/04 E
(21)【出願番号】P 2021577826
(86)(22)【出願日】2020-06-29
(86)【国際出願番号】 EP2020068308
(87)【国際公開番号】W WO2020260718
(87)【国際公開日】2020-12-30
【審査請求日】2022-02-15
(32)【優先日】2019-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】391011607
【氏名又は名称】ヴァレオ ビジョン
【氏名又は名称原語表記】VALEO VISION
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100130719
【氏名又は名称】村越 卓
(72)【発明者】
【氏名】オリビエ、バロルジュ
(72)【発明者】
【氏名】トマ、ジロー-ソバール
(72)【発明者】
【氏名】マージャネ、カゼミ
(72)【発明者】
【氏名】ギョーム、ザンテ
【審査官】安食 泰秀
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2007/0108843(US,A1)
【文献】米国特許第08708560(US,B2)
【文献】米国特許第07067995(US,B2)
【文献】米国特許第09894733(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 45/18
B60Q 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
動力車両から所定のイメージを投影することが意図されるピクセル化された発光ダイオード(1)と、前記ピクセル化された発光ダイオード(1)を制御するための制御装置(15)と、を備える動力車両照明アセンブリであって、前記ピクセル化された発光ダイオード(1)は、共通の直流電流(20)が供給され且つ前記共通の直流供給電流(20)のパルス幅変調信号(30a、30b、・・・30i、・・・30n)によってそれぞれ駆動される複数の基本ダイオード(10a,10b,・・・10i,・・・10n)を含み、前記ピクセル化された発光ダイオード(1)は温度センサ(13、13a、・・・13n)を含み、前記制御装置(15)は、前記ピクセル化された発光ダイオード(1)の温度(T)及び/又は1つ以上の基本ダイオード(10a,10b,・・・10i,・・・10n)の温度(T)に基づいて前記パルス幅変調信号を修正するように構成され
、
各基本ダイオード(10a,10b,・・・10i,・・・10n)による光束(Fa,Fb,・・・Fi,・・・Fn)の放出を個別に駆動する前記パルス幅変調信号(30a、30b、・・・30i、・・・30n)に対し、所定の乗算係数(K、K1、K2、K3、K4、Ki、K’、K’’)を適用するように構成され、
様々な乗算係数(K、K1、K2、K3、K4、Ki、K’、K’’)に関し、様々な温度(T)で、前記ピクセル化された発光ダイオード(1)の前記基本ダイオード(10a,10b,・・・10i,・・・10n)によって放出される光束(F)のデータベース(60)を記憶するための記憶モジュール(150)を備える、動力車両照明アセンブリ。
【請求項2】
関連する基本ダイオード(10a,10b,・・・10i,・・・10n)又は基本ダイオード(10a,10b,・・・10i,・・・10n)の関連するグループを各々が有する複数の温度センサ(13a、・・・13n)を備え、前記制御装置(15)は、前記基本ダイオード(10a,10b,・・・10i,・・・10n)又は前記基本ダイオード(10a,10b,・・・10i,・・・10n)のグループに対応する前記パルス幅変調信号(30a、30b、・・・30i、・・・30n)を、前記対応の温度センサ(13a,・・・13n)によって測定される温度に基づいて修正するように構成される、請求項1に記載の照明アセンブリ。
【請求項3】
前記温度センサ(13、13a、・・・13n)によって測定される温度(Ti)に基づいて、及び、前記ピクセル化された発光ダイオード(1)の前記基本ダイオード(10a,10b,・・・10i,・・・10n)によって放出される所定の光束(F1)に基づいて、前記データベース(60)から乗算係数(Ki)を選択するように構成されることを特徴とする請求項
1又は2に記載の照明アセンブリ。
【請求項4】
動力車両から所定のイメージを投影することが意図されるピクセル化された発光ダイオード(1)を制御するための方法であって、前記制御方法は、
- 前記ピクセル化された発光ダイオード(1)の温度(T)及び/又はその1以上の基本ダイオード(10a,10b,・・・10i,・・・10n)の温度(T)を測定する第1ステップ(100)と、
- 前記ピクセル化された発光ダイオード(1)の基本ダイオード(10a,10b,・・・10i,・・・10n)による光束(Fa,Fb,・・・Fi,・・・Fn)の放出を駆動するパルス幅変調信号(30a、30b、・・・30i、・・・30n)に適用される乗算係数(K、K1、K2、K3、K4、Ki、K’、K’’)を定め、前記乗算係数(K、K1、K2、K3、K4、Ki、K’、K’’)は前記測定される温度(T)に基づいて定められる、ステップ(300)と、
- 請求項1~
3のいずれか一項に記載される制御装置(15)が、前記ピクセル化された発光ダイオード(1)の基本ダイオード(10a,10b,・・・10i,・・・10n)による前記光束(Fa,Fb,・・・Fi,・・・Fn)の放出を駆動する前記パルス幅変調信号(30a、30b、・・・30i、・・・30n)に対し、前記乗算係数(K、K1、K2、K3、K4、Ki、K’、K’’)を適用するステップ(400)と、
を少なくとも含む方法。
【請求項5】
前記乗算係数を定めるステップ(300)は、様々な所定の乗算係数(K、K1、K2、K3、K4、Ki、K’、K’’)に関し及びその温度センサ(13、13a、・・・13n)によって測定される前記ピクセル化された発光ダイオード(1)の様々な温度に関し、前記ピクセル化された発光ダイオード(1)の前記基本ダイオード(10a,10b,・・・10i,・・・10n)によって放出される光束のデータベース(60)を確立する予備工程(200)によって先行される、請求項
4に記載の方法。
【請求項6】
前記乗算係数(K、K1、K2、K3、K4、Ki、K’、K’’)を定めるステップ(300)は、前記ピクセル化された発光ダイオード(1)の前記基本ダイオード(10a,10b,・・・10i,・・・10n)によって放出される光束(F1)を定める予備ステップを含むことを特徴とする請求項
5に記載の方法。
【請求項7】
前記ピクセル化された発光ダイオード(1)への共通の直流供給電流(20)を、その温度(T)に基づいて修正する追加のステップを含むことを特徴とする請求項
6に記載の方法。
【請求項8】
動力車両のための照明アセンブリであって、前記動力車両から所定のイメージを投影することが意図される少なくとも1つのピクセル化された発光ダイオード(1)を備え、請求項
4~
7のいずれか一項に記載の方法を実施するように構成される制御装置(15)を備えることを特徴とする動力車両のための照明アセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明は、動力車両のための照明及び信号の分野に関する。それは、好ましくは、そのような照明のための発光ダイオードを実装した照明アセンブリにおいて適用される。
【発明の概要】
【0002】
以下でLEDの略語によっても言及される発光ダイオードは、動力車両のための照明及び信号の分野でますます普及しており、これは、これらの源の低消費及び長寿命と、それらの実装の容易さ及び柔軟性との両方によるものである。また、それらの小型サイズのおかげで、複雑な照明面を形成するように複数のそのような光源が組み合わされうるものであり、車両用の新たな照明及び信号の可能性を広げる。これにより、複数の発光ダイオードを組み合わせて、あらかじめ定められる光パターンや光イメージを形成することが可能であり、そのようなパターンを形成する各LEDを独立して制御して、例えば、異なる光の強さの領域を含む複雑な光イメージを形成することができる。そのようなLEDのセットは、ピクセル化された発光ダイオードとも呼ばれ、そのセットの各LED、又は基本ダイオード、は、例えば上記の複雑な光イメージのピクセルを形成する。
【0003】
そのような基本ダイオードは、支持体上に配置されて、関連する電子機器によって制御されうる。例えば、チップは共通の直流供給電流のパルス幅変調方式駆動を行うことで、各基本ダイオードに関して、光束の発光を制御するための個別の信号を生成する。そして、それらの基本ダイオードによって発せられる個々の光束のセットが、これらの基本ダイオードが一緒に形成するピクセル化された発光ダイオードによって投影される光イメージを形成する。例えば、投影されたイメージは規制された光ビームであってもよく、当該規制された光ビームの形状及び強度は、車両の前方において道路の最適照明を可能にする。しかしながら、発光ダイオードの実装の容易さ及び柔軟性は、例えば車両運転支援(警告灯など)を提供することができる任意の他の形態の光のイメージを作り出すことも可能にする。
【0004】
基本ダイオードが動作すると、それらの活性化が温度上昇を生じさせ、それは、これらのダイオードの出力における光束の強度を増加させる影響があり、したがって、温度をさらに上昇させ、場合によってはピクセル化された発光ダイオードによって投影されるイメージの変更をもたらすこと、及び、追加的に基本ダイオードの耐用年数を減少させることという影響がある。いくつかのケースでは、ピクセル化された発光ダイオードによって投影されるイメージの全体的な光強度が増加しうるものであり、道路上で接近する車両のドライバーの目を眩ませるリスクにつながる。他のケースでは、基本ダイオードの加熱が均一でないため、上記で定められるようなピクセル化された発光ダイオードによって投影されるイメージが変形されうる。
【0005】
これらの欠点を抑えるために、温度センサが設置されて、ピクセル化された発光ダイオードの温度を測定し且つこの情報をその制御ユニットに送信するように構成されうる。先行技術で知られているピクセル化された発光ダイオードでは、ピクセル化された発光ダイオードの温度がそのような制御ユニットに伝えられ、当該制御ユニットは、この温度に基づいて上述した共通の直流供給電流を修正するように構成される。しかしながら、そのような駆動は比較的精度が悪く、低い感度を示す。
【0006】
本発明が解決策を提案する技術的課題は、先に定めたようなピクセル化されたダイオードによって発せられる光束の放出を温度に基づいて管理することであり、発明は、そのような発光ダイオード光源のセットを温度に基づいて制御するための装置及び方法を含む動力車両照明アセンブリを提案することを目的としている。
【0007】
その目的を達成するために、発明の1つの主題は、第1の態様によれば、動力車両から所定のイメージを投影することを意図されたピクセル化された発光ダイオードと、前記ピクセル化された発光ダイオードを制御するための制御装置と、を備える動力車両照明アセンブリであり、ピクセル化された発光ダイオードは、共通の直流電流が供給され且つ共通の直流電流のパルス幅変調信号によってそれぞれ駆動される複数の基本ダイオードを含み、ピクセル化された発光ダイオードは温度センサを含み、制御装置は、ピクセル化された発光ダイオードの温度及び/又は1つ以上の基本ダイオードの温度に基づいて、パルス幅変調信号を修正するように構成される。
【0008】
ピクセル化された発光ダイオードは、ここでは、複数のLED基本光源により形成される発光アセンブリを意味するものと理解され、当該複数のLED基本光源は、基本ダイオード又は基本LEDとも呼ばれ、全くの同一の直流電流が供給され、それを搭載した動力車両から複雑な光パターンを一緒に投影するように構成される。有利には、ピクセル化された発光ダイオードの各基本ダイオードによって発せられる光束は、上記の共通供給電流に基づいて且つパルス幅変調信号に基づいて個別に制御され、発明は、そのような信号、又は一次信号、を、1以上の基本ダイオードの作動温度の測定に基づいて又はピクセル化されたダイオードの全体の作動温度の測定にさえ基づいて、変更するように規定し、これは、所定のイメージを発するための装置の出力において一般的な放出束を最適化するためにこの温度を考慮する二次パルス幅変調信号を得るためである。
【0009】
二次信号は、一次信号と同じやり方で、ピクセル化された発光ダイオードの基本ダイオードの端子間の供給電圧を駆動するために共通の直流供給電流を切り刻むように構成され、二次信号は、一次信号を、標準温度に対する温度の変更に対応する係数を考慮して修正したものであることが理解される。
【0010】
そのような駆動は、発明によって提案されるもののような、ピクセル化された発光ダイオードを制御するための制御装置内で実施される。基本ダイオードへの供給電流の変化は、この基本ダイオードによって発せられる光束の強度の対応の変化も伴うことが理解される。このようにして、各基本ダイオードは複雑な光のパターンの、すなわちイメージの、ピクセルのように振る舞い、上記の基本ダイオードのセットによって形成されるピクセル化された発光ダイオードが投影に寄与する。したがって、ピクセル化された発光ダイオードによって投影されるイメージは、ピクセル化された発光ダイオードの各基本ダイオードによって発せられる光束のセットによって作られる。
【0011】
有利には、ピクセル化された発光ダイオードは、温度センサを備える。例示的な一実施形態によれば、そのような温度センサは少なくとも1つの支持体に設置され、当該少なくとも1つの支持体には、ピクセル化された発光ダイオードの基本ダイオードが配置される。そのため、有利には、そのような支持体の平均温度及びそれに配置される基本ダイオードの平均温度を測定する。別の例示的な実施形態によれば、温度センサは、基本ダイオードに統合されることによって、又は対象となる基本ダイオードに可能な限り近い支持体に接着されることによって、各基本ダイオードに結合されてもよく、したがって、ピクセル化されたダイオードの平均温度ではなく、対象となる基本ダイオードの具体的な温度情報を提供する。
【0012】
発明によれば、そのようなピクセル化された発光ダイオードを制御するための制御装置は、ピクセル化された発光ダイオードの温度に基づいて、又はより正確には、上述したように1つ以上の温度センサによって測定される温度に基づいて、パルス幅変調信号に基づく駆動を制御するように構成されている。したがって発明は、それが、パルス幅変調信号の変化であるように、且つ、共通の直流電流の強度の変化ではないように規定し、それは、上記で定められる温度センサにより測定されるピクセル化された発光ダイオード全体の温度に基づいて各基本ダイオードによって個別に発せられる光束の強度を変化させるために、行われる。
【0013】
上記から得られる、すなわちパルス幅変調の設定値を変更することでの調整による、放出される光束の強度の調整は、直流供給電流の電圧を変更することによって得られる調整よりも細かい。例えば、直流供給電流の3~4ボルトのオーダーの電圧の調整の細かさは、4ミリボルトのオーダーの調整である一方で、パルス幅変調信号の変化は、16ビットの分解能に関し、216うちの1のステップを有しうる。
【0014】
個別に又は組み合わせで取り入られる様々な特徴によれば:
- 発明による制御装置は、各基本ダイオードによる光束の放出を個別に駆動するパルス幅変調信号に対し、所定の乗算係数を適用するように構成される。発明の例示的な一実施形態によれば、ピクセル化された発光ダイオードの各基本ダイオードによる光束の放出を個別に駆動するパルス幅変調信号に対し、同じ乗算係数が適用される。別の例示的な実施形態によれば、基本ダイオードの様々なグループに対し、例えばピクセル化された発光ダイオードの様々な領域に位置する基本ダイオードに対し、様々な乗算係数が適用されてもよい。非排他的な例によれば、ピクセル化された発光ダイオードの温度に基づいて投影されるイメージのコントラストを調整するために、様々な基本ダイオードが非常に大きい光束又は逆に非常に小さい光束を発することが意図されているかに応じて、これらの様々な基本ダイオードによって発せられる光束の放出を駆動するパルス幅変調信号に対し、様々な乗算係数が適用されてもよい。
- 制御装置は、様々な乗算係数に関し、様々な温度でピクセル化された発光ダイオードの基本ダイオードによって発せられる光束のデータベースを記憶するための記憶モジュールを備える。一例によれば、そのようなデータベースは、乗算係数の所定のセットに関し、様々な温度で各基本ダイオードによって、一定の所定の共通の直流供給電流に関し、個別に発せられる光束を較正することによって確立される。様々な変形例によると、上記の光束は、絶対値で考えられてもよいし、例えばあらかじめ定められる最大値に関して、正規化されてもよい。言い換えれば、上記データベースは、ピクセル化された発光ダイオードの様々な温度で、予め定められる様々な乗算係数に関し、発せられる光束のチャートのセットを含む。したがってそのようなデータベースは、ピクセル化された発光ダイオードの測定される温度に関し、一方では、ある乗算係数に関してある基本ダイオードによって発せられる光束を確認することを可能にし、他方では、対象となる基本ダイオードによる光束の放出を駆動するパルス幅変調信号に適用される乗算係数を定めることを可能にし、それによりこのようにして得られる二次信号によって前記基本ダイオードが所定の光束を放出する。この最後の点は、例えば、前記基本ダイオードに関して、これらが放出可能な最大束について、最大の許可された放出光束を設定することによって基本ダイオードの寿命を延ばすために、特に興味深いものである。
- 制御装置は、上記で定められる温度センサで測定される温度に基づいて、及び、ピクセル化された発光ダイオードの基本ダイオードによって発せられる所定の光束に基づいて、上記で定められるデータベースから乗算係数を選択するように構成される。上述したように、基本ダイオードによる光束の放出を駆動する信号に適用される乗算係数は、ピクセル化された発光ダイオードの基本ダイオードの寿命を最適化するために、上述した温度センサによって測定される温度に関して、あらかじめ定められる最大の放出束に関連して選択されうることに留意すべきである。一例によれば、この乗算係数は、発明に係る制御装置によって、ピクセル化された発光ダイオードの各基本ダイオードによる光束の放出を駆動する信号に適用されるものである。別の例によれば、この乗算係数は、基本ダイオードの1以上の所定のグループよる光束の放出を駆動するパルス幅変調信号に適用されてもよく、それは、基本ダイオードの他のグループによる光束の放出を駆動するパルス幅変調信号に適用されるために、1つ以上の所定の係数で重み付けされてもよい。
【0015】
このように発明は、ピクセル化された発光ダイオードによって発せられる光束を、その温度に基づいて、調整する可能性を提供することで、それが自ら設定した目的を達成する。
【0016】
別の態様によると、発明は、動力車両から所定のイメージを投影することを意図されたピクセル化された発光ダイオードを制御するための方法におよび、発明による制御方法は:
- ピクセル化された発光ダイオードの温度及び/又はその1つ以上の基本ダイオードの温度を測定する第1ステップと
- ピクセル化されたダイオードの基本ダイオードによる光束の放出を駆動するパルス幅変調信号に適用される乗算係数を定め、その乗算係数は測定される温度に基づいて定められる、ステップと
- 上記で定められ且つ説明される制御装置が、ピクセル化された発光ダイオードの基本ダイオードによって発せられる光束の放出を駆動するパルス幅変調信号に対し、乗算係数を適用するステップと、
を少なくとも含む。
【0017】
そのため発明は、乗算係数の値を、発明による方法の第1ステップで得られる温度の測定値に依存するように規定する。
【0018】
有利には、上記のパルス幅変調信号は、ピクセル化された発光ダイオードへの共通の直流供給電流、すなわち前記ピクセル化された発光ダイオードを形成する基本ダイオードのセットへの共通の直流供給電流、のパルス幅変調駆動信号により構成される。有利ではあるが非排他的な一実施形態によれば、ピクセル化された発光ダイオードの各基本ダイオードによって個別的に光束の放出を駆動するパルス幅変調信号に対し、同じ乗算係数が適用される。
【0019】
発明による方法の特に有利な特徴の1つによれば、上記の乗算係数を定めるステップは、上述のように温度センサによって測定されるその様々な温度に関し、且つ、様々な乗算係数に関し、ピクセル化された発光ダイオードの基本ダイオードによって発せられる光束のデータベースを確立する予備工程によって先行される。
【0020】
より正確には、発明は、各基本ダイオードに関し、所定の共通の直流供給電流に関し、温度に基づいて確立される対象となる基本ダイオードによって発せられる光束の曲線に関し、及び対象となる基本ダイオードによる光束の放出を駆動するパルス幅変調信号に適用される様々な乗算係数に関しても確立されるそのような曲線に関し、規定する。したがってここでは、様々な乗算係数に関して設定された様々な光束曲線は、いかなる乗算係数もない場合に最初に設定される曲線から、あるいは別の観点によって、1に等しい乗算係数に関し、設定される曲線から直接得られるものであると理解すべきである。言い換えれば、上記で定められる表記を参照して、上述のデータベースは、ある一次信号に関して設定される初期曲線に加えて、様々な乗算係数に関して得られる二次信号のセットに関して設定される曲線を含む。
【0021】
好ましいが非排他的な一実施形態によれば、ピクセル化された発光ダイオードを形成する基本ダイオードはすべて同一であり、データベースはそれらのうちの1つだけに関して確立される。例えば、ピクセル化された発光ダイオードが異なる基本ダイオードの複数のグループから形成されている他の例によれば、各グループの1つの基本ダイオードに関してそのようなデータベースを確立してもよい。
【0022】
発明による方法の別の特徴によれば、上述の乗算係数を定めるステップは、ピクセル化された発光ダイオードの基本ダイオードによって発せられる光束を定める予備的ステップを含んでいる。言い換えれば、発明による方法は、上記の温度センサによって測定される温度に基づいて、乗算係数が、以前に定められた所望の光束に基づいて選択されることを規定する。この所望の光束は、様々な例によって、ピクセル化された発光ダイオードの1つ又は複数の基本ダイオードによって発せられるルーメンの数によって絶対値で定められてもよいし、或いはそれは、例えば、各基本ダイオードに関して又はピクセル化された発光ダイオード全体に関して最大の許可された放出束に関して、相対値で定められてもよい。この最大の許容された放出束は、例えば、発明による制御装置及び方法を実装する照明アセンブリを搭載した車両が走行している道路の他のユーザを眩惑するあらゆるリスクを制限するように定められてもよいし、或いはそれは、ピクセル化された発光ダイオードの基本ダイオードの寿命を最適化するように定められてもよい。
【0023】
また、発明による方法は、有利な一実施形態によれば、ピクセル化された発光ダイオードへの共通の直流供給電流をその温度に基づいて修正する追加のステップを含んでいてもよい。これは、選択された乗算係数が極端に低い又は高い値を取る場合に特に興味深いものである。非常に低い乗算係数の場合には、良好な状態で視認するには低すぎる光束の放出を避けるために、基本ダイオード又はそのグループへの共通の直流供給電流を増加させることが有利でありうる。逆に、非常に高い乗算係数の場合には、基本ダイオード又はそのグループへの共通の直流供給電流を低減することが、そのあらゆる発光飽和を回避するために、有利でありうるものであり、その飽和は、一方では、ピクセル化された発光ダイオードによって投影されるイメージを見る道路利用者の目を眩ませることにつながりうるものであり、他方では、対象となる基本ダイオードに対する早期ダメージにつながりうる。
【0024】
上述のような照明アセンブリに組み込まれる制御装置を通じて、及びちょうど述べたような制御方法を通じて、発明は、ピクセル化された発光ダイオードを温度に基づいて制御すること及び駆動することを提案することで、それが自ら設定した目的をたしかに達成する。さらに、発明による制御装置及び方法は、動力車両における低追加コストのためのシンプル且つ安価な手段を実施する。
【0025】
発明は最後に、動力車両のための照明アセンブリにもおよび、当該動力車両のための照明アセンブリは、動力車両から所定のイメージを投影することが意図される少なくとも1つのピクセル化された発光ダイオードを備え、ちょうど定められ且つ説明されたような発明による方法を実施するように上記で定められ且つ説明されるような制御装置を備える。
【図面の簡単な説明】
【0026】
発明の他の特徴、詳細、及び利点は、以下の説明及び図面の助けを借りて、より明確に明らかになり、当該図面において:
【
図1】
図1は、従来の技術から知られているような、ピクセル化された発光ダイオードを制御するための制御装置の働きを概略的に示す。
【
図2】
図2は、発明の第1実施形態による、ピクセル化された発光ダイオードを制御するための制御装置の働きを概略的に示す。
【
図3】
図3は、発明による方法の1つの例示的な実施のシーケンスを概略的に示す。
【
図4a】
図4a及び
図4bは、上述した光束のデータベースを構築する工程を概略的に示す。
【
図4b】
図4a及び
図4bは、上述した光束のデータベースを構築する工程を概略的に示す。
【
図5a】
図5a及び
図5bは、
図4a及び
図4bによってその作成が示されるもののようなデータベースにおいて乗算係数を選択するステップを概略的に示す。
【
図5b】
図5a及び
図5bは、
図4a及び
図4bによってその作成が示されるもののようなデータベースにおいて乗算係数を選択するステップを概略的に示す。
【
図6】
図6は、発明の第2実施形態による、ピクセル化された発光ダイオードを制御するための制御装置の働きを概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
まず、図面はその実施のために発明を詳細に説明しているが、それらはもちろん必要に応じて発明をよりよく定めるために用いられうることに留意されるべきである。また、すべての図面において、類似した及び/又は同じ機能を発揮する要素は、同じ参照符号によって示されることに留意されるべきである。
【0028】
図1は、従来の技術から知られているようなピクセル化された発光ダイオードの働きと、その制御装置の働き概略的に示す。
【0029】
この図面は、共通の直流電流20が供給される複数の基本発光ダイオード10a,10b,・・・10i,・・・10nで構成されるピクセル化された発光ダイオード1を含んでいる。基本ダイオード10a,・・・10nは、有利には支持体11に配置され、それらは関連する電子モジュールによって制御される。
図1によって示される例によれば、電子制御モジュール12は、基本ダイオード10a,・・・10i,・・・10nの各々に関し、光束Fa,・・・Fi,・・・Fnの放出を制御するための個別信号30a,30i,・・・30nを生成するように、共通の直流供給電流20のパルス幅変調ベースの駆動を行う。ピクセル化された発光ダイオード1の基本ダイオード10a,・・・10nによって発せられる個々の光束Fa,・・・Fnのセットは、ピクセル化された発光ダイオード1によって投影される発光イメージを形成する。
【0030】
またピクセル化された発光ダイオード1は、ピクセル化された発光ダイオード1の温度Tを測定するように且つこの情報をその制御ユニット14に送信するように構成された温度センサ13を備える。
図1によって示されるような先行技術によれば、ピクセル化された発光ダイオード1の温度Tは、上述の制御ユニット14に伝えられ、当該制御ユニット14は、この温度に基づいて共通の直流供給電流20を修正するように構成される。
【0031】
しかしながら、そのような駆動は比較的精度が悪く、低感度を示す。
【0032】
図2は、発明の第1実施形態によるピクセル化された発光ダイオード1の働き及びその制御装置の働きを概略的に示す。
【0033】
図2は、共通の直流供給電流20が供給される、ピクセル化された発光ダイオード1及びそれを形成する基本ダイオード10a,・・・10nが、概略的に示されて含まれる。
【0034】
また
図2は、ピクセル化された発光ダイオード1の各基本ダイオード10a,・・・10nを駆動するための一次信号30a,・・・30nを個別に生成するように構成された基本ダイオード10a,・・・10nに関する支持体11及びそのための電子制御モジュール12を含み、一次信号30a,・・・30nは、共通の直流供給電流20のパルス幅変調により構成される。各一次信号30iは、このように、パルス幅変調指示であり、当該パルス幅変調指示は、直流電流電圧設定値と組み合わされて、基本ダイオードに適した供給電流を与えることを目的とする。
【0035】
また発明の第1実施形態による
図2によって示されるようなピクセル化された発光ダイオード1は、温度センサ13を備える。様々な例によれば、温度センサ13は、基本ダイオード10a,・・・10nの平均温度を測定するように、あるいは上記で定められる支持体11の平均温度を測定するように構成される。非排他的な一実施形態によれば、各基本ダイオード10a、・・・10nは、それぞれ温度センサ13a、・・・13nと関連付けられている:したがって各基本ダイオード10a、・・・10nにできるだけ近づけて温度センサを配置することは、ピクセル化されたダイオード1の各ポイントの温度に関するより正確な情報を与える。代替として、ピクセル化されたダイオード1の基本ダイオード10a,・・・10nが基本ダイオードの様々なグループに区分されている場合、温度センサは、基本ダイオードの各グループに関連付けられうる。
【0036】
また
図2を参照すると、ピクセル化された発光ダイオード1は、特に、上述の温度センサ13,13a,・・・13nによって測定される温度情報Tを受信するように構成される制御装置15も備える。また、発明によれば、制御装置15は、一次パルス幅変調信号30a,・・・30nに対して、上記の温度Tに基づいて予め定められた乗算係数Kを適用するように構成されている。そして、したがって基本ダイオード10a,・・・10nによる光束F’a,・・・F’nの放出を個別に駆動する二次信号35a,・・・35nは、基本ダイオード10a,・・・10nの各々に関し、共通の直流供給電流20のパルス幅変調ベースの駆動により構成される上記で定められる一次信号30a,・・・30nと、上述の乗算係数Kとの積である。したがって、この例示的な実施形態によれば、ピクセル化された発光ダイオード1への共通の直流供給電流20は変化しないことに留意すべきである。
【0037】
特に
図2によって示される排他的ではない実施形態によれば、同じ乗算係数Kが、基本ダイオード10a、・・・10nによるそれぞれの光束の放出を駆動するために定められた一次パルス幅変調信号30a、・・・30nのすべてに適用される。図面によって示されない他の実施形態によれば、様々な乗算係数K’,K’’が温度Tに基づいて予め定められうるものであり、ピクセル化された発光ダイオード1の基本ダイオードの様々なグループに適用されうる。
【0038】
上述した乗算係数K又は乗算係数K’,K’’を適用することにより、発明は、基本ダイオード10a,・・・10nによる光束の放出を、したがってピクセル化された発光ダイオード1の放出を、駆動する個々の信号の、より正確且つ敏感なパルス幅変調駆動を可能にする。
【0039】
図3は、発明による制御方法の1つの例示的な実施を概略的に示す。
【0040】
この方法の第1ステップ100において、ピクセル化された発光ダイオード1の温度Tは、上記で定められるような温度センサ13、13a、・・・13nによって測定され、制御装置15に送信される。
【0041】
発明による方法の第2ステップ200において、測定された温度Tは、様々な温度で且つ乗算係数Kの様々な値に関してピクセル化された発光ダイオード1の基本ダイオード10a,・・・10nによって発せられる光束Fa,・・・Fnのデータベース60に送信され、データベース60は、
図2に概略的に示された制御装置15の記憶モジュール150に記憶される。
【0042】
発明による方法の第3ステップ300では、データベース60から、測定された温度Tに関して、基本ダイオード10a,・・・10nによって発せられる光束F1の以前に決定された値に基づいて、乗算係数Kが選択される。一例によれば、発せられる光束F1は、基本ダイオード10a、・・・10nの最大発光放出束Fmaxを参照して、選択されうる。
【0043】
発明による方法の第4ステップ400では、選択された乗算係数Kが、ピクセル化された発光ダイオード1の基本ダイオード10a,・・・10nによる光束の放出のパルス幅変調ベースで駆動するための一次信号30a,・・・30nに適用される。これは、基本ダイオード10a、・・・10nに対する、光束の放出のパルス幅変調ベースの駆動に関してあらかじめ定められる二次信号35a、・・・35nの適用をもたらす。
【0044】
図4a、
図4b、
図5a及び
図5bは、上記で定められるデータベース60を定めるステップと、乗算係数Kを選択するステップとを、より正確に示している。
【0045】
図4a及び
図4bは、データベース60を定める工程をより具体的に示している。
図4aにおいて、温度Tが、例えば上記で定められる温度センサ13,13a,・・・13nによって測定される温度Tが、横座標にプロットされ、ピクセル化された発光ダイオード1の基本ダイオード10a,10b,・・・10nによって発せられる光束Fが縦座標にプロットされている。この図に示される曲線(C1)、(C2)、(C3)、(C4)は、それぞれK1、K2、K3、K4である上記で定められる乗算係数Kに関し、そのような基本ダイオードによって発せられる光束Fの、温度Tに応じた変化を示している。一例によれば、
図4によって示される曲線の縦座標にプロットされた光束Fは、絶対値で測定され、ルーメンで表される。好ましくは、非排他的ではあるが、
図4aによって示される曲線の縦座標にプロットされた光束Fは正規化されており、つまり、それは相対的な光束であり、言い換えれば、対象となる基本ダイオードによって発せられる光束の値、例えばこの基本ダイオードによって発せられる最大束まで減じられた値、である。
【0046】
図4bは、
図4aで示されたすべての曲線を1つの3次元グラフにまとめたものである。そのため以下のものはそれぞれ、この
図4bにおいてプロットされている:
- 直交基準系(X,Y,Z)の軸Xに沿った、ピクセル化された発光ダイオード1の基本ダイオード10a,・・・10nの温度T、
- 上記直交座標系の軸Yに沿った、上記で定められる乗算係数K、
- 及び、上記直交基準系の軸Zに沿った、対象となる基本ダイオード10a,・・・ 10nによって発せられる光束F。
【0047】
図4aで得られ且つここで三次元表示でプロットされる曲線のセットは、第1にそれが属するピクセル化された発光ダイオード1の温度に基づいた考慮の下で、第2に上記で定められる乗算係数Kの様々な値に基づいた考慮の下で、対象となる基本ダイオードの発光面500を形成することに寄与する。そのようなグラフは、ピクセル化された発光ダイオード1の各基本ダイオード10a、・・・10nに関して確立されてもよいことに留意されるべきである。基本ダイオード10a,・・・10nが全て実質的に同一である一例によれば、これらの基本ダイオードの各々に共通するやり方で、
図4bに示されるようなグラフが確立されてもよい。
【0048】
図5a及び
図5bは、ある時点で測定される温度値に基づいて、適用される乗算係数Kを選択するプロセスを示している。上述したように、乗算係数Kは、ピクセル化された発光ダイオード1のある温度Tに関して、それを形成する基本ダイオード10a,・・・10nによって発せられる光束F1に基づいて、選択される。したがって、
図5aを参照すると、乗算係数Kは、上記で定められた発光面500と、上記で定められた直交基準系(X、Y、Z)の平面(XY)に平行な平面600との交点内で選択され、この同じ基準系の軸Zに沿って縦座標F1を有する。上述のように、光束F1は、好ましくは、ただし非排他的に、例えば対象となる基本ダイオードによって発せられる最大光束に対する、相対値で定められる。上述したように、これは、特に、例えば光束F1をそれらが発すことができる最大光束の所定の割合に、例えば60%に、設定することで、基本ダイオードの寿命を増大させることを可能にする。
【0049】
図5bは、上述した平面600の及び面500の交差曲線700を示している。
【0050】
この図において、ピクセル化された発光ダイオード1の温度Tが横座標にプロットされ、乗算係数Kが縦座標にプロットされる。
図5bに示すように、温度Tが増大すると乗算係数Kは減少する。さらに、上述の曲線700上における、上記で定められる温度センサ13,13a,・・・13nによって測定されるピクセル化された発光ダイオード1の温度の各値Tiに関して、乗算係数Kのうちの対応の単一の値Kiが存在し、当該対応の単一の値Kiは、そのため、ある放出された光束F1に関し、温度センサ13,13a,・・・13nによって測定されるピクセル化された発光ダイオード1の温度Tiに関する基本ダイオード10a,・・・10nによる光束の放出を駆動するパルス幅変調信号に適用される乗算係数の値を定める、ということが曲線700の傾向から生じる。
【0051】
各基本ダイオード10a,・・・10nによって個別に発せられる光束が、ピクセル化された発光ダイオード1の全体によって投影されるイメージに基づいて定められる状態で、各基本ダイオード10a,・・・10nによる光束の放出を個別に駆動する信号30a,・・・30nの各々に対して乗算係数Kを適用することは、各基本ダイオード10a,・・・10nによって放出される光束の、ピクセル化された発光ダイオード1の他の基本ダイオードによって放出される光束に対する割合を保持できる限りにおいて、ピクセル化された発光ダイオード1によって投影されるイメージ全体を保持するということを可能にする、ということがここでは理解されるべきである。
【0052】
乗算係数Kは、1より小さくてもよいし、1より大きくてもよいということに留意されるべきである。より正確には、乗算係数Kの1未満の値は、ある温度に関し、対象となる基本ダイオード10a、・・・10nによる光束F1の放出が、対象となる基本ダイオードに対する、同じ光束F1を得るために標準的な温度でこの同じダイオードに適用される一次パルス幅変調信号30a、・・・30nの値よりも低い値の二次パルス幅変調信号35a、...35nの適用を要する、という状況を表す。これは特に、
図5bにおいて曲線700で示されるように、ピクセル化された発光ダイオード1の温度が、これらのダイオードによって発せられる光束の強度値を増大させる発光ダイオードの温度の上昇を増大させる場合である。
【0053】
逆に、1よりも大きな乗算係数Kの値は、ある温度に関し、対象となる基本ダイオード10a、・・・10nによる光束F1の放出が、前記基本ダイオードに対する、同じ光束F1を得るために標準的な温度でこの同じダイオードに適用される一次信号30a、・・・30nの値よりも大きな値を有する二次信号35a、・・・35nの適用を要する、という状況を表す。これは特に、
図5bにおいて曲線700で示すように、ピクセル化された発光ダイオード1の温度が低下する場合である。
【0054】
図2~
図5bによって示される例示的な実施形態によれば、発明は、上記で定められる乗算係数Kを一次信号30a,・・・30nのうちの少なくとも1つに対して適用して、これらの1つ以上の一次信号を、ピクセル化された発光ダイオード1の基本ダイオード10a,10nによる光束の放出を適切に駆動するために共通の直流供給電流20の強度を変調する二次信号35a,・・・35nに変換することによって、ピクセル化された発光ダイオード1によって発せられる光束を調整するものであり、さらにピクセル化された発光ダイオード1の他のすべての動作パラメータは同一のままである。
【0055】
図6は、発明の第2実施形態を示しており、当該第2実施形態において、ピクセル化された発光ダイオード1によって発せられる光束を温度に基づいて調整する方法は、それに対する共通の直流供給電流20を修正する追加のステップを含んでいる。これは、乗算係数Kが非常に小さい場合や、逆に乗算係数Kが1より大きい場合に、特に興味深い。
【0056】
係数Kが1よりもはるかに大きい場合、すなわち、上記を参照すると、ピクセル化された発光ダイオード1の温度が低い場合、直流供給電流20を減少させることが有益でありうる:これは、非常に高い係数Kを適用することで非常に大きな二次信号を得ることからもたらされる飽和のリスクを制限することを可能にする。
【0057】
他の例によれば、乗算係数Kが高い場合、特にピクセル化された発光ダイオード1によって投影されるイメージが強いコントラストの領域を有する場合、直流供給電流20を増加させることが有益でありうる。この場合、ピクセル化された発光ダイオード1の温度の上昇につながる共通の直流供給電流20の増加は、あらかじめ定められる光束F1に関して、初期の乗算係数Kよりも小さい乗算係数の選択につながり、それによって1つの画素から別の画素へのコントラストの損失のリスクを制限する。
【0058】
乗算係数Kが1よりもはるかに低い値を有する場合、すなわち、上記を参照すると、ピクセル化された発光ダイオード1の温度が高い場合、投影イメージにおける過度に暗い領域の発生を回避するために先に定められた共通の直流供給電流20の電圧を増加させることが有益でありうるものであり、当該過度に暗い領域は、乗算係数Kの小さい値のために過度に小さい二次信号の適用からもたらされる。
【0059】
したがってちょうど述べたように発明は、簡単な手段によって、ピクセル化された発光ダイオード1によって発せられる光束の簡単且つ安価な調節を、その温度に基づいて実施することを可能とする。
【0060】
しかしながら、発明は、記載及び図示された手段及び構成に限定されるものではなく、それはあらゆる同等の手段又は構成にも当てはまり、そのような手段のあらゆるその組み合わせにも当てはまる。特に、発明は、ピクセル化された発光ダイオード1を形成する基本ダイオード10a,・・・10nのタイプに関わらず、これらが全て同一であるか或いはこれらが様々なタイプの基本ダイオードの複数のグループに区分されているかに関わらず、適用可能である。この場合、乗算係数K’、K’’、・・・は、基本ダイオードの各グループに関して定められうる。同様に、発明に影響を与えることなく、ピクセル化された発光ダイオード1のいくつかの基本ダイオード10i,・・・10nに関して、所定の重み付け係数に乗算係数Kを割り当てることが、対象の基本ダイオード10i,・・・10nの発光に関連してそれによって投影されるイメージの領域に基づいて実行可能である。これは、ピクセル化された発光ダイオード1によって投影されるイメージが強いコントラストの領域を示し、そしてそれが上記のように共通の直流供給電流20を修正するする必要がない場合に、特に興味深いものである。