(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-11
(45)【発行日】2023-05-19
(54)【発明の名称】一束化吊線
(51)【国際特許分類】
H02G 7/06 20060101AFI20230512BHJP
H02G 1/02 20060101ALI20230512BHJP
G02B 6/48 20060101ALI20230512BHJP
【FI】
H02G7/06
H02G1/02
G02B6/48
(21)【出願番号】P 2022522522
(86)(22)【出願日】2021-02-16
(86)【国際出願番号】 JP2021005668
(87)【国際公開番号】W WO2021229879
(87)【国際公開日】2021-11-18
【審査請求日】2022-10-24
(31)【優先権主張番号】P 2020085967
(32)【優先日】2020-05-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000005186
【氏名又は名称】株式会社フジクラ
(74)【代理人】
【識別番号】110000486
【氏名又は名称】弁理士法人とこしえ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】多木 剛
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 亮
(72)【発明者】
【氏名】大里 健
(72)【発明者】
【氏名】石岡 優征
【審査官】鈴木 大輔
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-178563(JP,A)
【文献】特開2010-266501(JP,A)
【文献】特開2002-247724(JP,A)
【文献】特開2000-166042(JP,A)
【文献】特開平08-240753(JP,A)
【文献】特開2017-034825(JP,A)
【文献】特開2006-340512(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 1/02
H02G 3/04
H02G 7/00-9/12
G02B 6/00
G02B 6/44
G02B 6/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持線と、前記支持線を覆う外皮と、を有する吊線と、
前記吊線に吊り下げられていると共に、ケーブルを挿通させる貫通孔を有するハンガ部と、
前記貫通孔に挿通されている複数の通線紐と、を備え
る一束化吊線であって、
前記通線紐は、前記一束化吊線の全域に亘って、前記貫通孔の内周面における前記吊線側の半分の領域に固定されている一束化吊線。
【請求項2】
支持線と、前記支持線を覆う外皮と、を有する吊線と、
前記吊線に吊り下げられていると共に、ケーブルを挿通させる貫通孔を有するハンガ部と、
前記貫通孔に挿通されている複数の通線紐と、を備え、
前記ハンガ部は、
前記吊線の軸方向に延在すると共に、前記吊線とは反対側に開口する半筒部と、
前記半筒部から前記吊線とは反対側に突出すると共に、前記吊線の軸方向に沿って間隔を空けて配置された複数の半環状部と、を備え、
前記半筒部と前記複数の半環状部とは、前記吊線の前記外皮と一体的に形成されており、
前記通線紐は、前記半筒部の内周面に固定されている一束化吊線。
【請求項3】
請求項1に記載の一束化吊線であって、
前記ハンガ部は、前記吊線の軸方向に沿って間隔を空けて配置され、前記貫通孔を有する複数の環状部を備え、
前記複数の環状部は、前記吊線の前記外皮と一体的に形成されている一束化吊線。
【請求項4】
請求項
2に記載の一束化吊線であって、
前記半筒部は、前記吊線の軸方向に沿って延在し、前記半筒部の内周面に形成された溝を有し、
前記溝は、
前記通線紐が固定されている複数の第1の部分と、
前記第1の部分と前記通線紐の固定強度が異なる複数の第2の部分と、を含む一束化吊線。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一束化吊線に関するものである。
文献の参照による組み込みが認められる指定国については、2020年5月15日に日本国に出願された特願2020-085967に記載された内容を参照により本明細書に組み込み、本明細書の記載の一部とする。
【背景技術】
【0002】
一条化吊線は、外皮を有する吊線と、ケーブル貫通孔を有し、所定間隔を空けて設けられたハンガ部材と、ケーブル貫通孔に設けられた導入線と、を備えている(例えば、特許文献1参照)。このような一条化吊線に光ドロップケーブルを敷設する場合、導入線に光ドロップケーブルを接続し、当該導入線をケーブル貫通孔から引き出すことにより、光ドロップケーブルをケーブル貫通孔に挿通させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の一条化吊線では、1回目の光ドロップケーブルの敷設が完了した後、光ドロップケーブルをさらに敷設する場合に、ケーブル貫通孔に導入線を再度挿入し直す必要がある。そのため、2回目以降の敷設作業(追い張り作業)に多くの時間を要してしまう、という問題がある。
【0005】
本発明の目的は、ケーブルの追い張り作業に要する時間の短縮を図ることができる一束化吊線を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[1]本発明の一束化吊線は、支持線と、前記支持線を覆う外皮と、を有する吊線と、前記吊線に吊り下げられていると共に、ケーブルを挿通させる貫通孔を有するハンガ部と、前記貫通孔に挿通されている複数の通線紐と、を備える一束化吊線である。
【0007】
[2]上記発明において、前記ハンガ部は、前記吊線の軸方向に沿って間隔を空けて配置され、前記貫通孔を有する複数の環状部を備え、前記複数の環状部は、前記吊線の前記外皮と一体的に形成されていてもよい。
【0008】
[3]上記発明において、前記通線紐は、前記貫通孔の内周面に固定されていてもよい。
【0009】
[4]上記発明において、前記通線紐は、前記内周面において、前記吊線側の半分の領域に固定されていてもよい。
【0010】
[5]上記発明において、前記ハンガ部は、前記吊線の軸方向に延在すると共に、前記吊線とは反対側に開口する半筒部と、前記半筒部から前記吊線とは反対側に突出すると共に、前記吊線の軸方向に沿って間隔を空けて配置された複数の半環状部と、を備え、前記半筒部と前記複数の半環状部とは、前記吊線の前記外皮と一体的に形成されており、前記通線紐は、前記半筒部の内周面に固定されていてもよい。
【0011】
[6]上記発明において、前記半筒部は、前記吊線の軸方向に沿って延在し、前記半筒部の内周面に形成された溝を有し、前記溝は、前記通線紐が固定されている複数の第1の部分と、前記第1の部分と前記通線紐の固定強度が異なる複数の第2の部分と、を含んでいてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る一束化吊線では、複数の通線紐がハンガ部の貫通孔に挿通されているため、1回目のケーブルの敷設作業において使用されずにハンガ部の貫通孔に残った通線紐を用いて、ケーブルの追い張り作業を行うことができる。これにより、ケーブルの追い張り作業に要する時間の短縮を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、本発明の第1実施形態における一束化吊線を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、本発明の第1実施形態における一束化吊線を用いた追い張り作業を説明する説明図である。
【
図4】
図4は、本発明の第2実施形態における一束化吊線を示す斜視図である。
【
図5】
図5は、本発明の第2実施形態における一束化吊線を懸架した状態を示す側面図である。
【
図7】
図7は、
図4のVII-VII線に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<<第1実施形態>>
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は第1実施形態における一束化吊線を示す斜視図である。
図2は
図1のII-II線に沿った断面図である。なお、
図1及び
図2では、ケーブルを配置する前の状態の一束化吊線を図示している。
【0015】
本実施形態の一束化吊線1は、例えば、複数のケーブルを束ねた状態で保持しながら、当該複数のケーブルを架空するために用いられる吊線である。このケーブルとしては、例えば、光ファイバケーブルやメタルケーブル等の通信ケーブルが挙げられる。この一束化吊線1は、
図1及び
図2に示すように、吊線10と、複数の環状部20と、複数の連結部30と、複数の通線紐40と、を備えている。本実施形態における複数の環状部20が本発明における「ハンガ部」の一例に相当する。
【0016】
吊線10は、例えば、電柱等に懸架される架空線である。この吊線10は、
図1及び
図2に示すように、支持線11と、外皮12と、を備えている。支持線11は、架空された際に掛かる荷重に耐え得る程度の強度を有している。この支持線11としては、例えば、複数の鋼線を撚り合わせたワイヤ等を用いることができる。
【0017】
外皮12は、支持線11の外周を覆う筒状の樹脂である。この外皮12は、上記の連結部30及び環状部20と一体的に形成されている。外皮12、連結部30、及び環状部20を構成する樹脂としては、例えば、ポリエチレン(PE)等を用いることができる。
【0018】
本実施形態の環状部20は、
図2に示すように、内側に円状の貫通孔21を有する円環形状を有している。この環状部20は、連結部30を介して、吊線10の下方に吊り下げられている。この環状部20は、
図1に示すように、吊線10の軸CA
1の方向(図中のY方向)に沿って他の環状部20と間隔を空けて設けられている。なお、本実施形態では、全ての環状部20を略同一の間隔を空けて設けているが、これに限定されない。環状部20同士の間隔は異なっていてもよい。また、本実施形態では、環状部20の形状がいずれも正円であるがこれに限定されない。例えば、環状部20及び貫通孔21の形状が楕円形や多角形であってもよい。
【0019】
環状部20の内周面22の上側領域22aには、複数(本実施形態では3本)の通線紐40が固定されている。通線紐40は、一束化吊線1の先端部1b(
図3(a)及び
図3(b)参照)から後端部1a(
図3(a)及び
図3(b)参照)に亘って、複数の貫通孔21に挿通されている。この通線紐40は、ケーブルの引き込み作業時等に引っ張られることにより、環状部20の内周面22から剥がれる。通線紐40を構成する材料としては、例えば、繊維強化プラスチック(FRP)及びポリプロピレン(PP)等を用いることができる。なお、本実施形態では、3本の通線紐40が設けられているが、これに限定されない。通線紐40は、2本以上設けられていればよい。通線紐40を環状部20に固定する方法としては、例えば、熱融着、又は、接着剤を用いた接着などが挙げられる。環状部20の内周面22に形成した凹部に通線紐40を嵌め込むことで、通線紐40を環状部20に固定してもよい。また、内周面22から突出する爪部に通線紐40を引っ掛けることで、通線紐40を環状部20に固定してもよい。
【0020】
なお、上側領域22aは、内周面22において直線L1で分割された領域のうち上側(+Z側)の領域である。この上側領域22aの内周面22は、下方向(-Z方向)に向くように設けられている。ここで、L1は、環状部20のZ方向に沿った高さを、上側と下側に二等分する直線である。下側領域22bは、この上側領域22aの内周面22は、上方向(+Z方向)に向くように設けられている。この下側領域22bには、通線紐40は設けられていない。後述するように、この下側領域22bには、光ファイバケーブル等のケーブルの敷設作業後に、当該ケーブルが配置される。
【0021】
以上に説明した一束化吊線1は、ケーブルの追い張り作業において以下のように使用される。
【0022】
図3(a)は、第1実施形態における一束化吊線の通線紐とケーブルとの接続作業を説明する説明図である。
図3(b)は、第1実施形態における一束化吊線の環状部へのケーブルの引き込み作業を説明する説明図である。
【0023】
図3(a)及び
図3(b)において、一束化吊線1は、後端部1aが電柱100aに固定されていると共に、先端部1bが電柱100bに懸架されている。また、一束化吊線1の環状部20の内側には、既に、1本のケーブル200aが敷設されている。
【0024】
先ず、ケーブル200bが巻き付けられたドラム300からケーブル200bの先端部201bを取り出す。次いで、
図3(a)に示すように、ケーブル200bの先端部201bと通線紐40の後端部41とを接続する。
【0025】
次いで、
図3(b)に示すように、通線紐40の先端部42を一束化吊線1の先端部1b側から引っ張ることで、通線紐40を環状部20の内周面22(
図2参照)から剥離させる。そして、通線紐40の先端部42をさらに引っ張り、通線紐40を環状部20から引き出す。これにより、ケーブル200bを一束化吊線1の後端部1a側から先端部1b側まで引き込むことができる。
【0026】
その後、ケーブル200bを一束化吊線1の後端部1a側で切断する。また、通線紐40の後端部41とケーブル200bの先端部201bとの接続を解除する。以上のようにして、ケーブル200bの追い張り作業が完了する。
【0027】
本実施形態の一束化吊線1では、複数の通線紐40が環状部20の貫通孔21に挿通されている。そのため、追い張り作業において、新たな通線紐を環状部20に引き込む必要がない。従って、ケーブルの追い張り作業に要する時間の低減を図ることができる。
【0028】
また、本実施形態の一束化吊線1では、通線紐40が環状部20の内周面22に固定されている。そのため、通線紐40による引き込み作業中のケーブル200bにより、残りの通線紐40が一束化吊線1の先端部1b側に引き込まれることを抑制できる。よって、次回の追い張り作業時に、残りの通線紐40の後端部41を、一束化吊線1の後端部1aにおいて容易に取り出すことができる。
【0029】
さらに、本実施形態では、通線紐40が内周面22の上側領域22aに固定されている。そのため、上記の残りの通線紐40が、引き込み作業中のケーブル200bと接触し難い。よって、通線紐40による引き込み作業中のケーブル200bにより、残りの通線紐40が一束化吊線1の先端部1b側に引き込まれることをさらに抑制できる。
【0030】
<<第2実施形態>>
図4は第2実施形態における一束化吊線を示す斜視図である。
図5は第2実施形態における一束化吊線を懸架した状態を示す側面図である。
図6は
図4のVI-VI線に沿った断面図である。
図7は
図4のVII-VII線に沿った断面図である。
【0031】
本実施形態では、ハンガ部が半筒部50及び半環状部60から構成されている点で第1実施形態と相違するが、それ以外の構成は第1実施形態と同様である。以下に、第2実施形態における半筒部50及び半環状部60についてのみ説明し、第1実施形態と同様の構成である部分については同一符号を付して説明を省略する。
【0032】
一束化吊線1Bの半筒部50は、
図4及び
図5に示すように、連結部30を介して吊線10に吊り下げられている。この半筒部50は、吊線10の外皮12及び連結部30と一体的に形成されている。この半筒部50は、吊線10の軸方向(中心軸CA
1に沿った方向)に延在している。この半筒部50は、
図6及び
図7に示すように、吊線10とは反対側(図中の―Z方向側)に開口する半筒形状を有している。なお、半筒部50の形状は、本実施形態では円筒形状であるが、これに限定されない。半筒部50の形状は、例えば、角筒形状であってもよい。
【0033】
この半筒部50の内周面51には、
図6及び
図7に示すように、吊線10の中心軸CA
1の方向に沿った複数の溝70が形成されている。この溝70は、一束化吊線1Bの後端部1a側(
図5参照)から先端部1b側(
図5参照)に亘って、半筒部50の内周面51に連続的に形成されている。
【0034】
この溝70は、
図6に示すように、長手方向の一部では、通線紐40が埋設されている嵌合部71を有している。また、この溝70は、
図7に示すように、長手方向の他の一部では、通線紐40が埋設されていない非嵌合部72も有している。本実施形態では、特に限定されないが、
図5に示すように、通線紐40の一部を曲げたり、引っ張ったりして変形させることで、溝70から脱落させて、非嵌合部72を形成している。本実施形態において、非嵌合部72における通線紐40の固定強度は0である。よって、非嵌合部72における通線紐40の固定強度と、嵌合部71における通線紐40の固定強度は相互に異なっている。ここで、固定強度とは、一の嵌合部71から通線紐40を離脱させるために要する力のことをいう。なお、本実施形態における嵌合部71が本発明における「第1の部分」の一例に相当する。本実施形態における非嵌合部72が本発明における第2の部分の一例に相当する。本発明における「第1の部分と第2の部分の固定強度が異なる場合」には、本実施形態の嵌合部71と非嵌合部72のように、一方の固定強度が0である場合も含まれる。
【0035】
嵌合部71と非嵌合部72は、長手方向において、相互に隣接している。本実施形態では、溝70が、複数の嵌合部71と、複数の非嵌合部72と、を有している。それぞれの嵌合部71は、複数の非嵌合部72の間に配置されている。そのため、通線紐40は、溝70により間欠的に固定されている。本実施形態では、嵌合部71は、一定の間隔毎に配置されている。嵌合部71は、例えば、10m毎に配置されていてもよい。なお、嵌合部71同士の間隔は一定でなくてもよい。
【0036】
溝70の深さdは、通線紐40の直径Dに対して、1/2以上であることが好ましい(d/D≧1/2)。このように、通線紐40の半分以上の部分が溝70に埋設されていることで、通線紐40をより確実に溝70に固定することができる。
【0037】
溝70の深さdは、特に限定されることはないが、0.5mm~10mmとすることができる(0.5mm≦d≦10mm)。通線紐40の直径Dは、特に限定されないが、1mm~10mmとすることができる(1mm≦D≦10mm)。
【0038】
半筒部50の下端面52には、複数の半環状部60が設けられている。複数の半環状部60は、吊線10の中心軸CA1に沿って間隔を空けて配置されている。この半環状部60は、半筒部50と一体的に形成されている。なお、本実施形態では、全ての半環状部60を略同一の間隔を空けて設けているが、これに限定されない。半環状部60同士の間隔は異なっていてもよい。
【0039】
この半環状部60は、半筒部50から吊線10とは反対側(-Z方向側)に向かって突出する半円形状を有している。この半環状部60が、半筒部50の開口を跨ぐように、当該半環状部60の両端が半筒部50の端部に接続されている。半環状部60は、半筒部50の内径と実質的に同一の内径を有している。これにより、半環状部60と半筒部50は、特に限定されないが、一つの円を形成している。よって、本実施形態では、半環状部60及び上記の半筒部50により、吊線10の中心軸CA1方向に沿って延在する貫通孔80が形成される。そして、この半環状部60の内周面61には、上記の第1実施形態と同様に、ケーブルが配置される。
【0040】
本実施形態では、一束化吊線1Bが、半筒部50を備えていることで、当該半筒部50の内周面51に固定された通線紐40を、紫外線や風雨から保護することができる。このため、通線紐40の劣化を抑制することができる。
【0041】
また、本実施形態においても、第1実施形態と同様に、ケーブルの追い張り作業に要する時間の低減を図ることができる。
【0042】
なお、以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。従って、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【0043】
例えば、上記の第1実施形態では、全ての環状部20の内周面22に通線紐40が固定されるがこれに限定されない。第1実施形態において、一部の環状部20に通線紐40が固定されていなくてもよい。
【0044】
また、上記の第2実施形態では、溝70が、半筒部50の内周面51に連続的に形成されているが、これに限定されない。例えば、複数の溝70が、半筒部50の内周面51に間欠的に形成されていてもよい。この場合、溝70は通線紐40を固定する部分のみに形成されていてもよい。また、溝70の深さを、長手方向において変化させてもよい。溝70の深さが深い部分は、溝70の深さが浅い部分と比較して、通線紐40の固定強度が高くなる。深さが深い部分と浅い部分との割合を調整することで、通線紐40の確実な固定と使用時の外しやすさとのバランスを調整することができる。
【0045】
また、上記の第2実施形態では、溝70を用いて通線紐40を半筒部50に固定しているが、これに限定されない。例えば、第1実施形態と同様に、熱融着や接着剤を用いた接着により、通線紐40を固定してもよい。
【0046】
また、ハンガ部の構成は第1及び第2実施形態の構成に限定されない。例えば、ハンガ部は、吊線10の軸CA1に沿って配置された螺旋形状の部材であってもよい。この場合にも、螺旋形状の部材の内部に形成されている貫通孔に通線紐40が挿通される。
【符号の説明】
【0047】
1,1B…一束化吊線
1a…後端部
1b…先端部
10…吊線
11…支持線
12…外皮
20…環状部
21…貫通孔
22…内周面
22a…上側領域
22b…下側領域
30…連結部
40…通線紐
41…後端部
42…先端部
50…半筒部
51…内周面
52…下端面
60…半環状部
61…内周面
70…溝
71…嵌合部
72…非嵌合部
80…貫通孔
100a,100b…電柱
200a,200b…ケーブル
201b…先端部
300…ドラム