(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-11
(45)【発行日】2023-05-19
(54)【発明の名称】コンシズマブの医薬製剤およびその生産方法
(51)【国際特許分類】
A61K 39/395 20060101AFI20230512BHJP
A61K 47/10 20170101ALI20230512BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20230512BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20230512BHJP
A61P 7/04 20060101ALI20230512BHJP
【FI】
A61K39/395 M
A61K39/395 P
A61K47/10
A61K47/26
A61K9/08
A61P7/04
(21)【出願番号】P 2022560374
(86)(22)【出願日】2021-09-23
(86)【国際出願番号】 EP2021076230
(87)【国際公開番号】W WO2022063913
(87)【国際公開日】2022-03-31
【審査請求日】2022-10-03
(32)【優先日】2020-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】511031755
【氏名又は名称】ノヴォ・ノルディスク・ヘルス・ケア・アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ヨーナス・オルデンブルク・ヨルゲンセン
(72)【発明者】
【氏名】サラ・エリザベス・ジョーンズ
【審査官】伊藤 基章
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-527189(JP,A)
【文献】特表2017-519777(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 39/395
A61K 47/00
A61K 9/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンシズマブの医薬製剤を調製する方法であって、
・医薬品有効成分としてコンシズマブを含み、かつpH5.0~6.5、例えばpH5.5~6.5、好ましくはpH6.0を有する、原薬(DS)を取得または調製する工程と、
・フェノール、m-クレゾール、
およびベンジルアルコー
ルから成る群か
ら選択される、1つまたは2つの抗菌性防腐剤を含み、かつpH5.0~6.5、例えばpH5.5~6.5、好ましくは約6.0を有する、界面活性剤を含まない賦形剤水溶液を調製する工程と、
・任意選択で実施される工程であって、前記賦形剤溶液の前記pHを調節する工程と、
・前記DSおよび前記賦形剤溶液を混合する工程と、
・前記DSおよび賦形剤溶液の混合物に界面活性剤を添加する工程
であって、前記界面活性剤は、ポリソルベート20、ポリソルベート80、およびそれらの組合せから成る群から選択される、工程と、
・任意選択で実施される工程であって、水を添加する工程と、を含む、方法。
【請求項2】
前記賦形剤溶液が
、ベンジルアルコール
、m-クレゾール、およびフェノールから成る群から選択される、単一の抗菌性防腐剤を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
・前記防腐剤が、前記DS-賦形剤混合物中35mg/ml未満の濃度のベンジルアルコールであり、その後添加される前記界面活性剤が、ポリソルベート20もしくはポリソルベート80であるか、また
は
・前記防腐剤が、前記DS-賦形剤混合物中3mg/ml未満の濃度のm-クレゾールであり、その後添加される前記界面活性剤が、ポリソルベート20であるか、または
・前記防腐剤が、前記DS-賦形剤混合物中、5mg/ml未満、例えば3mg/ml未満の濃度のm-クレゾールであり、その後添加される前記界面活性剤が、ポリソルベート80であるか、また
は
・前記防腐剤が、前記DS-賦形剤混合物中6mg/ml未満の濃度のフェノールであり、その後添加される前記界面活性剤が、ポリソルベート20であるか、または
・前記防腐剤が、前記DS-賦形剤混合物中、10mg/ml未満、例えば8mg/ml未満、例えば約6mg/mlの濃度のフェノールであり、その後添加される前記界面活性剤が、ポリソルベート80であ
る、請求項1
または2に記載の方法。
【請求項4】
前記賦形剤溶液が、単一の防腐剤としてフェノールを含み、
前記賦形剤溶液中のフェノールの濃度が、55mg/ml未満、例えば約45mg/ml以下であり、
前記DS-賦形剤混合物中のフェノールの濃度が、8mg/ml未満、例えば4.0~7.5mg/ml、例えば約4.0~5.0mg/ml、例えば約6mg/mlであり、かつ
前記界面活性剤が、0.1mg/ml超、例えば0.1~0.3mg/ml、例えば0.2~0.3mg/ml、例えば0.1~2.0mg/mlの最終濃度になるように添加されるポリソルベート80である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項5】
前記原薬および前記界面活性剤を含まない賦形剤水溶液が、同じ緩衝液、等張化剤、粘度低下剤、および安定剤を含む、請求項1~
4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記原薬および前記界面活性剤を含まない賦形剤水溶液が、同じ緩衝液、等張化剤、および塩を含む、請求項1~
5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記界面活性剤を含まない賦形剤水溶液が、ヒスチジン、スクロース、アルギニン塩酸塩、および塩化ナトリウムを含む、請求項1~
6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
請求項1~
7のいずれか一項に記載の方法によって得られる医薬製剤であって、
0.1~2.0mg/ml、例えば0.1~0.3mg/mlのポリソルベート20、
または
0.1~2.0mg/ml、例えば0.1~0.3mg/ml、好ましくは0.25mg/mlのポリソルベート8
0
を含む、医薬製剤。
【請求項9】
5~110mg/ml、例えば5~15mg/ml、例えば約10mg/ml、例えば15~25mg/ml、例えば約20mg/ml、例えば25~35mg/ml、例えば約30mg/ml、例えば35~45mg/ml、例えば約40mg/ml、例えば45~55mg/ml、例えば約50mg/ml、例えば55~65mg/ml、例えば約60mg/ml、例えば65~75mg/ml、例えば約70mg/ml、例えば75~85mg/ml、例えば約80mg/ml、例えば85~95mg/ml、例えば約90mg/ml、例えば95~105mg/ml、例えば90~110mg/ml、例えば約100mg/mlの濃度のコンシズマブを含む、請求項
8に記載の医薬製剤。
【請求項10】
前記医薬製剤が、3~6mg/ml、好ましくは3~4mg/ml、さらにより好ましくは約3.5mg/mlのフェノールを含む、請求項
8または
9に記載の医薬製剤。
【請求項11】
コンシズマブ:5~110mg/ml、好ましくは約10、約40、または約100mg/ml
フェノール:約0.35%(3.5mg/ml)
L-ヒスチジン:約33mM(5.12mg/ml)
塩化ナトリウム:約25mM(1.46mg/ml)
L-アルギニンHCl:約25mM(5.27mg/ml)
スクロース:約150mM(51.3mg/ml)
ポリソルベート80:約0.25mg/ml、および
水
を含み、
約6.0のpHを有する、請求項1~
7のいずれか一項に記載の方法によって得られる医薬製剤。
【請求項12】
血液凝固障害の治療に使用するための、請求項
11に記載の医薬製剤。
【請求項13】
皮下投与される、請求項
8~
12のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項14】
およそ1日1回投与される、請求項
8~
12のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項15】
約0.5~1mg/kg、例えば約0.5mg/kgまたは約1mg/kgの負荷用量のコンシズマブが、治療1日目に投与され、
0.2mg/kgの維持用量のコンシズマブが、治療2日目から少なくとも4週間毎日投与され、
任意選択で、その後任意の時点で、毎日、0.15mg/kg、0.2mg/kg、または0.25mg/kgのコンシズマブへと用量調節を行う、請求項
12~
14のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
抗体、防腐剤、および界面活性剤を含む医薬製剤の製造方法が本明細書に開示される。当該方法およびその医療用途を使用して取得される医薬製剤もまた本明細書に開示される。
【0002】
配列表の参照による組み込み
本出願は、電子形式の配列表とともに提出される。配列表の内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
複数回使用のための医薬製剤は、頻繁な治療を必要とする慢性疾患を有する患者に特に好都合である。
【0004】
医薬製剤は、少なくとも1つの医薬品有効成分(API)に加えて、いくつかの賦形剤を含む。個々の成分、賦形剤、ならびにAPIはすべて、特定の目的を果たす。厳しく制御されるpHの目的は、その貯蔵および使用中に組成物を安定に保つことである。界面活性剤の目的は、タンパク質性APIを安定化し、それが容器および生産材料に吸着することを防止することである。複数回使用のための医薬製剤では、抗菌性防腐剤の目的は、細菌および真菌の成長を防止することである。実際に、複数回使用のための医薬製剤は、それを含む初期滅菌容器が浸透されると(例えば、針によって)、またはその反復使用中に、微生物増殖から保護するために、1つ以上の抗菌性防腐剤を含むことが規制要件である。
【0005】
防腐剤、界面活性剤、および抗体を混合することは、直接的な試みではなく、抗体を含む組成物のpH調節でもないことは、当該技術分野で周知である。一緒に混合すると、防腐剤および界面活性剤ならびに防腐剤および抗体の間に望ましくない相互作用が容易に発生し、その結果、化学的および物理的不安定性がもたらされる。pHを調節することは、抗体を不安定化させることもできる。そのような相互作用は、製剤の質を破壊し、その後廃棄しなければならない。
【0006】
例えば、抗体などのタンパク質性API、および1つ以上の抗菌性防腐剤を含む医薬製剤を生産することは、深刻な課題を呈することが周知である(非特許文献1、非特許文献2)。重要な生産工程は、抗菌性防腐剤を含む溶液が、APIを含む原薬と混合されるときであることが観察された。API由来凝集体および粒子の形成の増加、ならびに精製されたタンパク質性APIの沈殿さえも発生することが観察されている。タンパク質性APIのミスフォールディングは、抗菌性防腐剤の疎水性表面へのタンパク質分子の曝露に起因して起こると考えられる。
【0007】
凝集体および/または粒子の形成を低減するための一般的な戦略は、界面活性剤を医薬品製剤に添加することである(非特許文献3)。しかしながら、界面活性剤の添加は、より高濃度で存在する場合に、界面活性剤および抗菌性防腐剤が相互作用するため、医薬製剤の大規模な製造中のさらなる課題につながる。
【0008】
したがって、当該技術分野では、複数回使用に好適な医薬製剤を調製する異なる方法に対するニーズがある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【文献】Gupta et Kaisheva(2003)AAPS PharmSci;5(2)Article 8
【文献】Meyer et al.(2007)Jour Pharm Sci;96(12)
【文献】Randolph TW,Jones LS.2002.Surfactant-protein interaction in rational design of stable protein formulations:Theory and Practice;pp.159-175
【0010】
本発明は、コンシズマブを含む原薬を、コンシズマブ、少なくとも1つの抗菌性防腐剤、および少なくとも1つの界面活性剤を含む医薬品(医薬製剤)に製剤化する方法に関する。
【0011】
コンシズマブの医薬製剤を調製する方法が本明細書に開示されており、方法は、
・医薬品有効成分としてコンシズマブを含み、かつpH5.0~6.5、例えばpH5.5~6.5、好ましくはpH6.0を有する、原薬(DS)を取得または調製する工程と、
・ベンジルアルコール、クロロブタノール、m-クレゾール、およびフェノールから成る群から選択される、1つまたは2つの抗菌性防腐剤を含み、かつpH5.0~6.5、例えばpH5.5~6.5、好ましくは6.0を有する、界面活性剤を含まない賦形剤水溶液を調製する工程と、
・任意選択で、賦形剤溶液のpHを調節する工程と、
・DSおよび賦形剤溶液を混合する工程と、
・DSおよび賦形剤溶液の混合物に界面活性剤を添加する工程と、
・任意選択で、水を添加する工程と、を含む。
【0012】
任意選択の水の添加の目的は、所望のバッチ体積を達成することであり、それに従って、他のすべての量は事前に計算される。添加される水は通常、注射用水である。
【0013】
本明細書に開示される方法によって取得される医薬製剤が本明細書に開示される。
【0014】
本明細書に開示される方法、具体的には、血液凝固障害の治療におけるその使用によって取得される医薬製剤の医療用途が本明細書に開示される。
【0015】
[配列表]
配列番号1は、コンシズマブの軽鎖を表す。
配列番号2は、コンシズマブの重鎖を表す。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【発明を実施するための形態】
【0017】
本明細書に開示される医薬製剤の製造中、防腐剤、界面活性剤、および抗体を一緒に混合すること、ならびにpHが調節されることを可能にする方法を開発するため、これらの成分が許容できない程度に相互作用することなく、「原薬」を「医薬品」(医薬製剤)に変換する手段が幅広く研究された。
【0018】
本発明者らは、これらの成分が許容できない程度に相互作用することなく、防腐剤、界面活性剤、および抗体を含む組成物を一緒に混合すること、ならびにpHが調節されることを可能にする方法を設計した。さらに、方法は、それが工場フロアでの単一のタンクの使用のみを必要とするため、およびタンクに添加される各組成物の量を計算するのが容易であるため、特に実施が容易であるため、有利である。
【0019】
現在の文脈では、医薬品有効成分(API)は、組み換え産生されたタンパク質、例えば組み換え産生された抗体、例えば組み換え産生された抗TFPI抗体、好ましくはコンシズマブである。
【0020】
本明細書に開示される方法は、パイロット生産(≧2L)および商業生産の両方において、製薬業界によって適用され得る。方法は、医薬品活性成分(API)の上流および下流の製造ならびに精製が完了した後、すなわち、いわゆる「原薬」の生産後に適用され得る。
【0021】
コンシズマブの医薬製剤を調製する方法が本明細書に開示されており、方法は、
・医薬品有効成分としてコンシズマブを含み、かつpH5.0~6.5、例えばpH5.5~6.5、好ましくは約pH6.0を有する、原薬(DS)を取得または調製する工程と、
・ベンジルアルコール、クロロブタノール、m-クレゾール、およびフェノールから成る群から選択される、1つまたは2つの抗菌性防腐剤を含み、かつpH5.0~6.5、例えばpH5.5~6.5、好ましくは6.0を有する、界面活性剤を含まない賦形剤水溶液を調製する工程と、
・任意選択で、賦形剤溶液のpHを調節する工程と、
・DSおよび賦形剤溶液を混合する工程と、
・DSおよび賦形剤溶液の混合物に界面活性剤を添加する工程と、
・任意選択で、水を添加する工程と、を含む。
【0022】
言い換えれば、本明細書に開示される方法は、賦形剤および防腐剤を、界面活性剤ではなく水中に溶解することと、溶液のpHを、5.0~6.5、例えば5.5~6.5、好ましくは約6.0に調節することと、賦形剤溶液を原薬と混合し、次いで、界面活性剤を添加することとを含む。最後に、注射用水(WFI)を添加して、所望の最終体積を達成することができる。
【0023】
コンシズマブの医薬製剤を調製する方法が本明細書に開示されており、方法は、
・医薬品有効成分(API)としてコンシズマブを含み、かつpH5.0~6.5、例えばpH5.5~6.5、好ましくはpH6.0を有する、原薬(DS)を取得または調製する工程と、
・ベンジルアルコール、クロロブタノール、m-クレゾール、およびフェノールから成る群から選択される抗菌性防腐剤を含み、かつpH5.0~6.5、例えばpH5.5~6.5、好ましくは約pH6.0を有する、界面活性剤を含まない賦形剤水溶液を調製する工程と、
・任意選択で、賦形剤溶液のpHを調節する工程と、
・DSおよび賦形剤溶液を混合する工程と、
・DSおよび賦形剤溶液の混合物に界面活性剤を添加する工程と、
・任意選択で、水を添加する工程と、を含み、
・防腐剤は、DS-賦形剤混合物中35mg/ml未満の濃度のベンジルアルコールであり、その後添加される界面活性剤は、ポリソルベート20もしくはポリソルベート80であるか、または
・防腐剤は、その後添加される界面活性剤が、ポロキサマー188である場合、DS-賦形剤混合物中35mg/ml以下の濃度のベンジルアルコールであるか、または
・防腐剤は、その後添加される界面活性剤が、ポリソルベート20、ポリソルベート80、もしくはポロキサマー188である場合、DS-賦形剤混合物中7.5mg/ml以下の濃度のクロロブタノールであるか、または
・防腐剤は、その後添加される界面活性剤が、ポリソルベート20である場合、DS-賦形剤混合物中3mg/ml未満の濃度のm-クレゾールであるか、または
・防腐剤は、その後添加される界面活性剤が、ポリソルベート80である場合、DS-賦形剤混合物中5mg/ml以下の濃度のm-クレゾールであるか、または
・防腐剤は、その後添加される界面活性剤が、ポロキサマー188である場合、DS-賦形剤混合物中10mg/ml未満の濃度のm-クレゾールであるか、または
・防腐剤は、その後添加される界面活性剤が、ポリソルベート20である場合、DS-賦形剤混合物中6mg/ml未満の濃度のフェノールであるか、または
・防腐剤は、その後添加される界面活性剤が、ポリソルベート80である場合、DS-賦形剤混合物中8mg/ml未満、好ましくは約6mg/mlの濃度のフェノールであるか、または
・防腐剤は、その後添加される界面活性剤が、ポロキサマー188である場合、DS-賦形剤混合物中10mg/ml未満の濃度のフェノールである。
【0024】
コンシズマブの医薬製剤を調製する方法が本明細書に開示されており、方法は、
・医薬品有効成分(API)としてコンシズマブを含み、かつpH5.0~6.5、例えばpH5.5~6.5、好ましくは約pH6.0を有する、原薬(DS)を取得または調製する工程と、
・ベンジルアルコールを含み、かつpH5.0~6.5、例えばpH5.5~6.5、好ましくは約pH6.0を有する、界面活性剤を含まない賦形剤水溶液を調製する工程と、
・任意選択で、賦形剤溶液のpHを調節する工程と、
・DS-賦形剤混合物中のベンジルアルコールの濃度が35mg/ml未満となるように、DSおよび賦形剤溶液を混合する工程と、
・DSおよび賦形剤溶液の混合物にポリソルベート20またはポリソルベート80を添加する工程と、
・任意選択で、水を添加する工程と、を含む。
【0025】
コンシズマブの医薬製剤を調製する方法が本明細書に開示されており、方法は、
・医薬品有効成分(API)としてコンシズマブを含み、かつpH5.0~6.5、例えばpH5.5~6.5、好ましくは約pH6.0を有する、原薬(DS)を取得または調製する工程と、
・ベンジルアルコールを含み、かつpH5.0~6.5、例えばpH5.5~6.5、好ましくは約pH6.0を有する、界面活性剤を含まない賦形剤水溶液を調製する工程と、
・任意選択で、賦形剤溶液のpHを調節する工程と、
・DS-賦形剤混合物中のベンジルアルコールの濃度が最大35mg/mlとなるように、DSおよび賦形剤溶液を混合する工程と、
・DSおよび賦形剤溶液の混合物にポロキサマー188を添加する工程と、
・任意選択で、水を添加する工程と、を含む。
【0026】
コンシズマブの医薬製剤を調製する方法が本明細書に開示されており、方法は、
・医薬品有効成分(API)としてコンシズマブを含み、かつpH5.0~6.5、例えばpH5.5~6.5、好ましくは約pH6.0を有する、原薬(DS)を取得または調製する工程と、
・クロロブタノールを含み、かつpH5.0~6.5、例えばpH5.5~6.5、好ましくは約pH6.0を有する、界面活性剤を含まない賦形剤水溶液を調製する工程と、
・任意選択で、賦形剤溶液のpHを調節する工程と、
・DS-賦形剤混合物中のクロロブタノールの濃度が最大7.5mg/mlとなるように、DSおよび賦形剤溶液を混合する工程と、
・DSおよび賦形剤溶液の混合物にポリソルベート20、ポリソルベート80、またはポロキサマー188を添加する工程と、
・任意選択で、水を添加する工程と、を含む。
【0027】
コンシズマブの医薬製剤を調製する方法が本明細書に開示されており、方法は、
・医薬品有効成分(API)としてコンシズマブを含み、かつpH5.0~6.5、例えばpH5.5~6.5、好ましくは約pH6.0を有する、原薬(DS)を取得または調製する工程と、
・m-クレゾールを含み、かつpH5.0~6.5、例えばpH5.5~6.5、好ましくは約pH6.0を有する、界面活性剤を含まない賦形剤水溶液を調製する工程と、
・DS-賦形剤混合物中のm-クレゾールの濃度が3mg/ml未満となるように、DSおよび賦形剤溶液を混合する工程と、
・DSおよび賦形剤溶液の混合物にポリソルベート20を添加する工程と、
・任意選択で、水を添加する工程と、を含む。
【0028】
コンシズマブの医薬製剤を調製する方法が本明細書に開示されており、方法は、
・医薬品有効成分(API)としてコンシズマブを含み、かつpH5.0~6.5、例えばpH5.5~6.5、好ましくは約pH6.0を有する、原薬(DS)を取得または調製する工程と、
・m-クレゾールを含み、かつpH5.0~6.5、例えばpH5.5~6.5、好ましくは約pH6.0を有する、界面活性剤を含まない賦形剤水溶液を調製する工程と、
・任意選択で、賦形剤溶液のpHを調節する工程と、
・DS-賦形剤混合物中のm-クレゾールの濃度が5mg/ml以下となるように、DSおよび賦形剤溶液を混合する工程と、
・DSおよび賦形剤溶液の混合物にポリソルベート80を添加する工程と、
・任意選択で、水を添加する工程と、を含む。
【0029】
コンシズマブの医薬製剤を調製する方法が本明細書に開示されており、方法は、
・医薬品有効成分(API)としてコンシズマブを含み、かつpH5.0~6.5、例えばpH5.5~6.5、好ましくは約pH6.0を有する、原薬(DS)を取得または調製する工程と、
・m-クレゾールを含み、かつpH5.0~6.5、例えばpH5.5~6.5、好ましくは約pH6.0を有する、界面活性剤を含まない賦形剤水溶液を調製する工程と、
・任意選択で、賦形剤溶液のpHを調節する工程と、
・DS-賦形剤混合物中のm-クレゾールの濃度が10mg/ml未満となるように、DSおよび賦形剤溶液を混合する工程と、
・DSおよび賦形剤溶液の混合物にポロキサマー188を添加する工程と、
・任意選択で、水を添加する工程と、を含む。
【0030】
コンシズマブの医薬製剤を調製する方法が本明細書に開示されており、方法は、
・医薬品有効成分(API)としてコンシズマブを含み、かつpH5.0~6.5、例えばpH5.5~6.5、好ましくは約pH6.0を有する、原薬(DS)を取得または調製する工程と、
・フェノールを含み、かつpH5.0~6.5、例えばpH5.5~6.5、好ましくは約pH6.0を有する、界面活性剤を含まない賦形剤水溶液を調製する工程と、
・任意選択で、賦形剤溶液のpHを調節する工程と、
・DS-賦形剤混合物中のフェノールの濃度が6mg/ml未満となるように、DSおよび賦形剤溶液を混合する工程と、
・DSおよび賦形剤溶液の混合物にポリソルベート20を添加する工程と、
・任意選択で、水を添加する工程と、を含む。
【0031】
コンシズマブの医薬製剤を調製する方法が本明細書に開示されており、方法は、
・医薬品有効成分(API)としてコンシズマブを含み、かつpH5.0~6.5、例えばpH5.5~6.5、好ましくは約pH6.0を有する、原薬(DS)を取得または調製する工程と、
・フェノールを含み、かつpH5.0~6.5、例えばpH5.5~6.5、好ましくは約pH6.0を有する、界面活性剤を含まない賦形剤水溶液を調製する工程と、
・任意選択で、賦形剤溶液のpHを調節する工程と、
・DS-賦形剤混合物中のフェノールの濃度が、8mg/ml未満、例えば5.5~6.5mg/ml、好ましくは6mg/mlとなるように、DSおよび賦形剤溶液を混合する工程と、
・DSおよび賦形剤溶液の混合物にポリソルベート80を添加する工程と、
・任意選択で、水を添加する工程と、を含む。
【0032】
コンシズマブの医薬製剤を調製する方法が本明細書に開示されており、方法は、
・医薬品有効成分(API)としてコンシズマブを含み、かつpH5.0~6.5、例えばpH5.5~6.5、好ましくは約pH6.0を有する、原薬(DS)を取得または調製する工程と、
・45mg/ml以下などの55mg/ml未満のフェノールを含み、かつpH5.0~6.5、例えばpH5.5~6.5、好ましくは約pH6.0を有する、界面活性剤を含まない賦形剤水溶液を調製する工程と、
・任意選択で、賦形剤溶液のpHを調節する工程と、
・DS-賦形剤混合物中のフェノールの濃度が、8mg/ml未満、例えば5.5~6.5mg/ml、好ましくは6mg/mlとなるように、DSおよび賦形剤溶液を混合する工程と、
・DSおよび賦形剤溶液の混合物にポリソルベート80を添加する工程と、
・任意選択で、水を添加する工程と、を含む。
【0033】
コンシズマブの医薬製剤を調製する方法が本明細書に開示されており、方法は、
・医薬品活性成分(API)としてコンシズマブを含み、かつpH5.0~6.5、例えば5.5~6.5、好ましくは6.0を有する原薬(DS)を取得または調製し、フェノールの濃度が、55mg/ml未満、例えば45mg/ml以下となるように、L-アルギニンHCl、L-ヒスチジン、スクロース、塩化ナトリウム、フェノール、および水を含む、界面活性剤を含まない賦形剤水溶液を調製し、pHを5.0~6.5、例えば5.5~6.5、好ましくは約6.0に調節する工程と、
・任意選択で、賦形剤溶液のpHを調節する工程と、
・混合物中のフェノールの濃度が、8mg/ml未満、例えば約5.5~6.5、好ましくは約6mg/mlとなるように、賦形剤溶液にDSを添加する工程と、
・0.1~0.3mg/ml、好ましくは約0.25mg/mlの最終濃度まで混合物にポリソルベート80を添加する工程と、
・任意選択で、WFIを最終バッチ体積まで添加する工程と、を含む。
【0034】
コンシズマブの医薬製剤を調製する方法が本明細書に開示されており、方法は、
・医薬品有効成分(API)としてコンシズマブを含み、かつpH5.0~6.5、例えばpH5.5~6.5、好ましくは約pH6.0を有する、原薬(DS)を取得または調製する工程と、
・フェノールを含み、かつpH5.0~6.5、例えばpH5.5~6.5、好ましくは約pH6.0を有する、界面活性剤を含まない賦形剤水溶液を調製する工程と、
・任意選択で、賦形剤溶液のpHを調節する工程と、
・DS-賦形剤混合物中のフェノールの濃度が10mg/ml未満となるように、DSおよび賦形剤溶液を混合する工程と、
・DSおよび賦形剤溶液の混合物にポロキサマー188を添加する工程と、
・任意選択で、水を添加する工程と、を含む。
【0035】
別途明示的に言及されない限り、本明細書に指定される条件は、医薬製剤を調製する方法が室温で実施されるときに適用される。
【0036】
本発明の文脈において、コンシズマブは、医薬品活性成分(API)である。コンシズマブは、WO2010/072691に記載されており、その内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。WO2010/072691では、コンシズマブは、「HzTFPI4F36」および「mAbTFPI2021」と呼ばれ、その軽鎖および重鎖のポリペプチド配列は、それぞれ、配列番号21および配列番号24に提供される。疑義を避けるために、コンシズマブの軽鎖および重鎖のポリペプチド配列も、それぞれ、配列番号1および配列番号2として本明細書に提供される。
【0037】
好適な細胞株におけるコンシズマブの発現もまた、WO2010/072691に記載されている。
【0038】
コンシズマブを含む原薬を調製するために、上流および下流の製造プロセスが行われる。
【0039】
「上流の製造プロセス」という用語は、コンシズマブを発現することができる安定なセルバンクからコンシズマブを製造するプロセスを指す。タンパク質性の医薬品有効成分を組み換え発現することができる細胞の例は、当該技術分野で周知であり、哺乳類HEK293、CHO、BHK、NSO、およびヒト網膜細胞を含む。
【0040】
「未処理バルク」という用語は、上流の製造プロセスの生成物を指す。本発明の文脈において、未処理バルクは、コンシズマブを発現する細胞に栄養を与えるために使用される培地/媒体からの組み換え発現コンシズマブ、細胞破片、および構成成分を含む。
【0041】
未処理バルクは、典型的には、濾過または遠心分離され、次いで、いくつかの精製方法を含むか、またはそれらから成る下流の精製プロセスに供される。コンシズマブなどのモノクローナル抗体の精製方法は、当該技術分野で周知であり、例えば、Pete Gagnon:Purification Tools for Monoclonal Antibodies(1996)ISBN-9653515-9-9に記載されている。そのような方法には、アフィニティクロマトグラフィー(タンパク質Aクロマトグラフィーなど)、イオン交換クロマトグラフィー(アニオン交換クロマトグラフィーおよび陽イオン交換クロマトグラフィーなど)、サイズ排除クロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、限外濾過、およびウイルス濾過が含まれる。本発明の文脈で適用され得る1つの精製プロセスは、WO2009/138484に記載されるものであり、その内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0042】
本明細書の「原薬」は、下流の精製プロセスの最終生産品を指す。「原薬」は、当該技術分野では、「医薬(drug)(医薬(medicinal))品の製造に使用されることが意図され、かつ薬剤の生産に使用されるとき、医薬品の有効成分となる物質の任意の[物質または]混合物を指すものとして周知である(例えば、EMA ICH Q7a:“Good manufacturing practice for active pharmaceutical ingredients”を参照されたい)。規制当局が要求する範囲で、原薬は不純物を本質的に含まないものでなれければならないことは当業者には周知である。下流の精製プロセス中に未処理バルクおよび半処理バルクから除去される不純物には、上流の製造プロセスからの培地成分、細胞破片(宿主細胞タンパク質およびDNAなど)、下流のプロセス工程に由来する任意の不純物(タンパク質Aクロマトグラフィーカラムからのタンパク質Aなど)、微生物(viraなど)、および高分子量タンパク質(HMWP)などのコンシズマブの凝集体または不可逆的に損傷した形態が含まれる。
【0043】
本発明の文脈において、「コンシズマブ原薬」は、医薬品有効成分としてコンシズマブ、および下流のコンシズマブ精製中に使用される緩衝液などの賦形剤を含む。コンシズマブ原薬は、以下:上流の製造プロセスからの培地成分、微生物(viraなど)、細胞破片(宿主細胞タンパク質およびDNAなど)、任意の下流プロセス工程に由来する任意の不純物(タンパク質Aクロマトグラフィーカラムからのタンパク質Aなど)、および高分子量タンパク質(HMWP)などのコンシズマブの凝集体または不可逆的に損傷した形態を、規制当局が要求するレベルに、含まないか、または実質的に含まない。
【0044】
コンシズマブ原薬は、WO2009/138484に記載される下流の精製プロセスを使用して調製されてもよい。
【0045】
原薬は、抗菌性防腐剤を含まない。
【0046】
原薬が医薬品有効成分としてコンシズマブなどの抗体を含む場合、前者は典型的には液体組成物の形態である。この場合、原薬は、80~300mg/mlのコンシズマブ、好ましくは100~140mg/mlのコンシズマブを含み得る。
【0047】
タンパク質を含む原薬は、凍結乾燥または噴霧乾燥固形分であってもよい。しかしながら、通常、抗体を凍結乾燥または噴霧乾燥することを必要としない。
【0048】
コンシズマブを含む原薬は、緩衝液、等張化剤、および塩をさらに含み得る。
【0049】
コンシズマブを含む原薬は、緩衝液、等張化剤、粘度低下剤、および安定剤をさらに含み得る。
【0050】
コンシズマブを含む原薬は、緩衝液としてのヒスチジン、等張化剤としてのスクロース、粘度低下剤としての塩化ナトリウム、および安定剤としてのアルギニンまたはアルギニン塩酸塩をさらに含み得る。
【0051】
好ましい一実施形態では、原薬は、33mmol/Lのヒスチジン、25mmol/Lのアルギニン、25mmol/LのNaCl、150mmol/Lのスクロース、および0.01mg/mLのポリソルベート80(pH6.0)を含む透析濾過緩衝液中に、120mg/mlのコンシズマブを含む。
【0052】
「コンシズマブを含む原薬」などの原薬の生産は、本明細書に開示される製剤方法の実施に先行し、その目的は、最終「医薬品」または医薬製剤を作製することである。
【0053】
本発明の文脈において、「医薬品」という用語は、「医薬製剤」という用語と同義である。本発明の文脈において、「コンシズマブを含む医薬品」という用語は、「コンシズマブを含む医薬製剤」という用語と同義である。
【0054】
本発明を実施するために、「少なくとも1つの抗菌性防腐剤を含む、界面活性剤を含まない賦形剤水溶液」を調製しなければならない。文脈によって別途除外されない限り、「少なくとも1つの抗菌性防腐剤を含む界面活性剤を含まない賦形剤水溶液」、「界面活性剤を含まない賦形剤水溶液」、「界面活性剤を含まない賦形剤溶液」、および「賦形剤溶液」という用語は、本明細書で同義に使用される。
【0055】
医薬組成物における賦形剤の使用は、当業者には周知である。便宜上、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,20th edition,2000への参照がなされる。
【0056】
賦形剤溶液は、原薬と同じ緩衝液、等張化剤、粘度低下剤、および安定剤を含み得る。賦形剤溶液は、原薬と同じ緩衝液、等張化剤、および塩を含み得る。しかしながら、原薬中の賦形剤および賦形剤溶液の濃度は、異なり得る。
【0057】
賦形剤溶液は、少なくとも1つの抗菌性防腐剤または「防腐剤」を含まなければならない。賦形剤溶液は、1つまたは2つの防腐剤を含み得る。防腐剤または防腐剤の組み合わせは、投与経路に適合し、真菌および細菌を含む微生物に対して効果的でなければならず、微生物に対して効果的であることが必要とされる濃度でヒトに毒性であってはならない。
【0058】
医薬製剤中の抗菌性防腐剤の濃度は、規制当局の承認が欧州で求められている場合、欧州薬局方(Pharmacopoeia Europaea,Ph.Eur.)または規制当局の承認が米国で求められている場合、米国薬局方(USP)の薬局方など、関連する薬局方に定義される範囲内でなければならない。そのような薬局方では、複数回用量の医薬製剤について、それぞれの規制当局によって特定される静菌効果を達成するために必要な抗菌性防腐剤の最低濃度が定義される。問題の抗菌性防腐剤のいかなる毒性効果も制限するために、それは、当業者に周知であるように、医薬品中に存在しなければならない最小限の濃度である。
【0059】
賦形剤溶液中の抗菌性防腐剤の濃度は、他の構成成分のうちのいずれも不安定にすることなく、これを達成するように調節されなければならない。
【0060】
一実施形態では、賦形剤溶液は、1つまたは2つの抗菌性防腐剤、ヒスチジン、スクロース、アルギニン塩酸塩、および塩化ナトリウムを含む。
【0061】
本発明の文脈において、少なくとも1つの抗菌性防腐剤は、ベンジルアルコール、クロロブタノール、m-クレゾール、メチルパラベン、フェノール、およびプロピルパラベン、またはそれらの組み合わせから成る群から選択され得る。
【0062】
2つの抗菌性防腐剤は、ベンジルアルコール、クロロブタノール、m-クレゾール、メチルパラベン、フェノール、およびプロピルパラベンから成る群から選択され得る。
【0063】
2つの抗菌性防腐剤は、ベンジルアルコール、クロロブタノール、m-クレゾール、およびフェノールから成る群から選択され得る。
【0064】
単一の抗菌性防腐剤は、ベンジルアルコール、クロロブタノール、m-クレゾール、メチルパラベン、フェノール、およびプロピルパラベンから成る群から選択され得る。
【0065】
単一の抗菌性防腐剤は、ベンジルアルコール、クロロブタノール、m-クレゾール、メチルパラベン、およびフェノールから成る群から選択され得る。
【0066】
単一の抗菌性防腐剤は、ベンジルアルコールであり得る。一実施形態では、原薬および賦形剤溶液の混合物中のベンジルアルコールの濃度は、35mg/ml以下である。一実施形態では、原薬および賦形剤溶液の混合物中のベンジルアルコールの濃度は、20mg/ml以下である。医薬製剤中のベンジルアルコールの濃度には、約9~11mg/mlのベンジルアルコール、例えば約10mg/mlのベンジルアルコールが含まれ得る。
【0067】
単一の抗菌性防腐剤は、クロロブタノールであり得る。一実施形態では、原薬および賦形剤溶液の混合物中のクロロブタノールの濃度は、7.5mg/ml以下である。一実施形態では、原薬および賦形剤溶液の混合物中のクロロブタノールの濃度は、6.5mg/ml以下である。コンシズマブの医薬製剤は、約3.0~7.5mg/mlのクロロブタノール、例えば約5mg/mlのクロロブタノールを含み得る。
【0068】
単一の抗菌性防腐剤は、m-クレゾールであり得る。一実施形態では、原薬および賦形剤溶液の混合物中のm-クレゾールの濃度は、10mg/ml未満である。一実施形態では、原薬および賦形剤溶液の混合物中のm-クレゾールの濃度は、5mg/ml以下である。一実施形態では、原薬および賦形剤溶液の混合物中のm-クレゾールの濃度は、3mg/ml以下である。一実施形態では、原薬および賦形剤溶液の混合物中のm-クレゾールの濃度は、3mg/ml未満である。コンシズマブの医薬製剤は、約2.7~3.2mg/mlのm-クレゾール、例えば約3mg/mlのm-クレゾールを含み得る。
【0069】
好ましい実施形態では、単一の抗菌性防腐剤は、フェノールである。一実施形態では、賦形剤溶液中のフェノール濃度は、55mg/ml未満、例えば約45mg/ml以下である。賦形剤溶液中のフェノールの濃度は、約4~45mg/ml、例えば6~45mg/ml、例えば約4~40mg/ml、例えば約4~10mg/ml、例えば約11~20mg/ml、例えば約11~15mg/ml、例えば約16~20mg/ml、例えば約21~30mg/ml、例えば約21~25mg/ml、例えば約26~30mg/ml、例えば約31~40mg/ml、例えば約31~35mg/ml、例えば約36~40mg/ml、例えば約41~45mg/mlであり得る。
【0070】
一実施形態では、原薬および賦形剤溶液の混合物中のフェノールの濃度は、少なくとも2.5mg/ml、例えば少なくとも3.0mg/ml、および10mg/ml未満、例えば約8mg/ml未満、例えば約2.5~5.0mg/ml、例えば約3.0~5.0mg/ml、例えば約3.0~4.0mg/ml、例えば約3.0mg/ml、例えば少なくとも約3.2mg/ml、例えば約3.5mg/ml、例えば約4.0~7.5mg/ml、例えば約4.0~5.5mg/ml、例えば約4.0~5.0mg/ml、例えば約4.5~5.5mg/ml、例えば約5.5~7.5、例えば約5.5~6.5、例えば約6mg/ml、例えば約6mg/ml以下である。
【0071】
医薬製剤中のフェノールの濃度は、3~6mg/ml、好ましくは3~4mg/ml、さらにより好ましくは約3.5mg/mlであってもよい。
【0072】
コンシズマブを含む原薬は、緩衝液を含んでもよい。賦形剤溶液は、緩衝液を含んでもよい。原薬および賦形剤溶液の混合物は、緩衝液を含んでもよい。コンシズマブを含む医薬製剤は、緩衝液を含んでもよい。
【0073】
タンパク質の正電荷がその負電荷のバランスをとるpHは、その等電点(pI)である。それらのpIを超えるpH値では、タンパク質は、漸進的に電気陰性となる。それらのpIを下回ると、それらは漸進的に電気陽性となる。本発明の文脈では、緩衝液のpHは、コンシズマブのpI範囲内(6.2~6.7)であってもよく、その結果、コンシズマブは中性の正味の電荷を有する。一実施形態では、緩衝液は、組成物の標的pHからpKa値±1pH単位を有する。
【0074】
一実施形態では、緩衝液は、薬学的に許容可能な塩基および薬学的に許容可能な酸の両方を含む、好適な薬学的に許容可能な緩衝液である。いくつかの実施形態では、緩衝液は、塩であってもよい。一実施形態では、緩衝液は、4~8、例えば5~7のpKaを有する。
【0075】
薬学的に許容可能な酸および塩基は、当該技術分野で周知の無機または有機の非毒性の酸/塩基であってもよい。薬学的に許容可能な酸および塩基の例は、酢酸二ナトリウム、炭酸ナトリウム、クエン酸塩、ヒスチジン、リジン、アルギニン、マレイン酸塩、コハク酸塩、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、およびリン酸ナトリウム、またはそれらの混合物である。これらの特定の緩衝液の各々は、本発明の代替的な実施形態を構成する。一実施形態では、緩衝液は、ヒスチジン、マレイン酸塩、コハク酸塩、またはリン酸塩である。一実施形態では、緩衝液は、ヒスチジン、好ましくはL-ヒスチジンである。
【0076】
一実施形態では、組成物は、5~7のpH、例えば5.0、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、もしくは7.0のpH、またはその間の任意の範囲によって定義されるpHに緩衝される。一実施形態では、組成物は、5.0~6.5のpHに緩衝される。一実施形態では、組成物は、5.5~6.5のpHに緩衝される。好ましい実施形態では、組成物は、約6.0のpHに緩衝される。
【0077】
pHを調節するために、塩酸(HCl)または水酸化ナトリウム(NaOH)が賦形剤溶液に添加され得る。
【0078】
コンシズマブを含む原薬は、安定剤を含み得る。少なくとも1つの抗菌性防腐剤を含む界面活性剤を含まない賦形剤水溶液は、安定剤をさらに含み得る。原薬および賦形剤溶液の混合物は、安定剤をさらに含み得る。コンシズマブを含む医薬製剤は、安定剤をさらに含み得る。
【0079】
コンシズマブを含む原薬は、粘度低下剤をさらに含み得る。少なくとも1つの抗菌性防腐剤を含む界面活性剤を含まない賦形剤水溶液は、粘度低下剤をさらに含み得る。原薬および賦形剤溶液の混合物は、粘度低下剤をさらに含み得る。コンシズマブを含む医薬製剤は、粘度低下剤をさらに含み得る。一実施形態では、粘度低下剤は、HisHCl、LysHCl、ArgHCl、NaGlu、NaCl、NaAc、Na2SO4、およびNH4Cl、イミダゾール、カンフォルスルホン酸、ジピコリン酸塩、スコポラミン、1-(3-アミノプロピル)-2-メチル-1H-イミダゾール、プロカイン、リドカイン、クロロキン、4-アミノピリジン、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウム、および4-(3-ブチル-1-イミダゾリオ)-1-ブタンスルホナート、またはそれらの組み合わせから成る群から選択される。好ましい実施形態では、粘度低下剤は、アルギニン塩酸塩(ArgHCl)である。別の好ましい実施形態では、粘度低下剤は、塩化ナトリウム(NaCl)である。別の好ましい実施形態では、粘度低下剤は、アルギニン塩酸塩および塩化ナトリウムの組み合わせである。
【0080】
コンシズマブを含む原薬は、等張化調節剤をさらに含み得る。少なくとも1つの抗菌性防腐剤を含む界面活性剤を含まない賦形剤水溶液は、等張化調節剤をさらに含み得る。原薬および賦形剤溶液の混合物は、等張化調節剤をさらに含み得る。コンシズマブを含む医薬製剤は、等張化調節剤をさらに含み得る。
【0081】
好適な等張化調節剤の例としては、塩(例えば、塩化ナトリウム)、多価アルコール(例えば、プロピレングリコール、グリセロール、キシリトール、マンニトール、またはD-ソルビトール)、単糖類(グルコースまたはマルトース)、二糖類(例えば、スクロース)、アミノ酸(例えば、L-グリシン、L-ヒスチジン、アルギニン、リジン、イソロイシン、アスパラギン酸、トリプトファン、トレオニン)、またはそれらの混合物が挙げられる。一実施形態では、等張化調節剤は、スクロース、マンニトール、またはプロピレングリコールである。好ましい実施形態では、等張化調節剤は、スクロースである。
【0082】
一実施形態では、緩衝液および/もしくは塩(上に記載される)はまた、等張化調節剤として作用するか、または等張化調節剤は、緩衝液および/もしくは塩としても作用し、この場合、等張化調節剤の濃度はそれに応じて計算される。
【0083】
一実施形態では、コンシズマブの医薬組成物中の等張化調節剤の量は、50~250mM、例えば100~200mM、例えば、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、もしくは200のうちのいずれか1つ、またはそれらの間の任意の範囲である。
【0084】
好ましい一実施形態では、コンシズマブの医薬組成物は、約150mMのスクロースを含む。
【0085】
好ましい一実施形態では、コンシズマブの医薬組成物は、等張性である。
【0086】
コンシズマブを含む原薬は、1つ以上の塩をさらに含み得る。賦形剤溶液は、1つ以上の塩を含み得る。原薬および賦形剤溶液の混合物は、1つ以上の塩をさらに含み得る。コンシズマブを含む医薬製剤は、1つ以上の塩をさらに含み得る。塩は、当業者に周知であるように、2つ以上の機能を有し得る。例えば、塩は、関連するpHで緩衝能力を有してもよく、塩は、粘度を低下させてもよく、塩は、安定剤であってもよい。
【0087】
一実施形態では、塩は、無機塩である。一実施形態では、無機塩は、塩化ナトリウムまたは塩化マグネシウムである。
【0088】
一実施形態では、塩は、有機塩である。一実施形態では、塩は、アミノ酸の塩である。一実施形態では、塩は、アミノ酸のL-立体異性体の塩である。一実施形態では、塩は、アルギニン、グリシン、リジン、アスパラギン酸、もしくはグルタミン酸、またはそれらの組み合わせの塩である。一実施形態では、アミノ酸は、アルギニンまたはグリシンである。一実施形態では、アミノ酸は、アルギニン、例えばL-アルギニンである。アミノ酸は、その塩形態またはその遊離形態で組成物に添加され得る。
【0089】
好ましい一実施形態では、有機塩は、アルギニン塩酸塩である。
【0090】
一実施形態では、塩は、無機塩および有機塩の組み合わせである。
【0091】
一実施形態では、塩は、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、チオシアネートナトリウム、チオシアネートアンモニウム、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、塩化カルシウム、アルギニン塩酸塩、塩化亜鉛、酢酸ナトリウム、1つ以上のアミノ酸、またはこれらのうちの2つ以上の組み合わせである。
【0092】
好ましい実施形態では、塩は、塩化ナトリウムおよびアルギニン塩酸塩である。
【0093】
医薬組成物における界面活性剤の使用は、当業者には周知である。便宜上、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,20th edition,2000への参照がなされる。
【0094】
本明細書に開示される方法では、界面活性剤は、原薬および賦形剤溶液の混合物に添加される。したがって、コンシズマブを含む医薬製剤は、界面活性剤を含む。
【0095】
一実施形態では、界面活性剤は、ポリソルベートまたはポリオキシプロピレン-ポリオキシエチレンブロックポリマー(例えば、プルロニック(登録商標)F68、ポロキサマー188および407、トリトンX-100などのポロキサマー)、またはアルキル化もしくはアルコキシル化誘導体などのポリオキシエチレンもしくはポリエチレン誘導体(ポリソルベート、例えば、Tween-20、Tween-40,Tween-80、およびBrij-35)から選択される。
【0096】
好ましくは、界面活性剤は、ポリソルベート20、ポリソルベート80、またはポリオキサマー188から成る群から選択される。界面活性剤は、ポリソルベート20であり得る。界面活性剤は、ポリソルベート80であり得る。界面活性剤は、ポロキサマー188であり得る。
【0097】
賦形剤溶液中に界面活性剤はない。しかしながら、コンシズマブ原薬中にいくらかの界面活性剤が存在し得る。例えば、原薬は、0.0~0.1ポリソルベート80、例えば0.0~0.02mg/mlポリソルベート80、好ましくは約0.01ポリソルベート80を含み得る。
【0098】
医薬製剤は、0.1~2.0mg/ml、例えば0.1~0.3mg/ml、例えば0.1~0.2mg/ml、例えば0.2~0.3mg/ml、例えば約0.25mg/mlのポリソルベート20を含み得る。
【0099】
医薬製剤は、0.1~2.0mg/ml、例えば0.1~0.3mg/ml、例えば0.1~0.2mg/ml、例えば0.2~0.3mg/ml、例えば約0.25mg/mlのポリソルベート80を含み得る。
【0100】
医薬製剤は、0.1~10mg/ml、例えば0.1~2.0mg/ml、例えば0.9~1.1のポロキサマー188、例えば約1.0mg/mlのポロキサマー188を含み得る。
【0101】
原薬、賦形剤溶液、原薬および賦形剤溶液の混合物、または原薬、賦形剤溶液、および界面活性剤の混合物に添加される任意の水は、典型的には、注射用水(WFI)である。
【0102】
本明細書に開示される方法によって取得される医薬製剤は、化学的および物理的に安定しており、不純物を本質的に含まない。医薬製剤は、透明~わずかに乳白色および無色~わずかに黄色の液体であり、目に見える粒子を本質的に含まない。
【0103】
本明細書に開示される医薬製剤は、5~110mg/ml、例えば5~15mg/ml、例えば約10mg/ml、例えば15~25mg/ml、例えば約20mg/ml、例えば25~35mg/ml、例えば約30mg/ml、例えば35~45mg/ml、例えば約40mg/ml、例えば45~55mg/ml、例えば約50mg/ml、例えば55~65mg/ml、例えば約60mg/ml、例えば65~75mg/ml、例えば約70mg/ml、例えば75~85mg/ml、例えば約80mg/ml、例えば85~95mg/ml、例えば約90mg/ml、例えば95~105mg/ml、例えば約100mg/mlのコンシズマブを含み得る。
【0104】
本明細書に開示される医薬製剤は、好ましくは、約10mg/ml、約40mg/ml、または約100mg/mlのコンシズマブを含む。
【0105】
本明細書に開示される医薬製剤は、好ましくは、コンシズマブ、ヒスチジン、スクロース、塩化ナトリウム、アルギニン塩酸塩、ポリソルベート80を含み、5.5~6.5のpH、好ましくは約6.0を有する。
【0106】
好ましい一実施形態では、医薬製剤は、
コンシズマブ:約100mg/ml
フェノール:約0.35%(3.5mg/ml)
L-ヒスチジン:約33mM(5.12mg/ml)
塩化ナトリウム:約25mM(1.46mg/ml)
L-アルギニンHCl:約25mM(5.27mg/ml)
スクロース:約150mM(51.3mg/ml)
ポリソルベート80:約0.25mg/ml
水
pH6.0から成る。
【0107】
別の好ましい実施形態では、医薬製剤は、
コンシズマブ:約40mg/ml
フェノール:約0.35%(3.5mg/ml)
L-ヒスチジン:約33mM(5.12mg/ml)
塩化ナトリウム:約25mM(1.46mg/ml)
L-アルギニンHCl:約25mM(5.27mg/ml)
スクロース:約150mM(51.3mg/ml)
ポリソルベート80:約0.25mg/ml
水
pH6.0から成る。
【0108】
第3の好ましい実施形態では、医薬製剤は、
コンシズマブ:約10mg/ml
フェノール:約0.35%(3.5mg/ml)
L-ヒスチジン:約33mM(5.12mg/ml)
塩化ナトリウム:約25mM(1.46mg/ml)
L-アルギニンHCl:約25mM(5.27mg/ml)
スクロース:約150mM(51.3mg/ml)
ポリソルベート80:約0.25mg/ml
水
pH6.0から成る。
【0109】
治療用途
本明細書に開示され、特許請求される方法によって取得され、次いで製造方法1によって具体化される、本明細書に開示される医薬製剤は、それを必要とする対象者の治療に使用され得る。そのような対象者は、典型的には、少なくとも1つの血液凝固障害を有する。
【0110】
本明細書で使用される場合、「対象者」という用語は、任意のヒトまたは非ヒト動物、好ましくはヒト対象者を含む。
【0111】
ヒト対象者は、成人であり得る。ヒト対象者は、子供であり得る。ヒト対象者は、乳児であり得る。ヒト対象者は、0~12歳の子供であり得る。ヒト対象者は、12~18歳の子供であり得る。
【0112】
「非ヒト動物」という用語は、非ヒト霊長類などの哺乳動物、家畜動物、ならびにウサギ、ラット、およびマウスなどの実験動物を含む、他のすべての脊椎動物を含む。
【0113】
本明細書で使用される場合、「血液凝固障害」という用語は、正常な凝固カスケードの任意の凝固促進成分の任意の質的もしくは量的欠損、または線維素溶解の任意の上方制御によって引き起こされ得る増加された出血傾向を指す。血液凝固障害は、先天性および/または後天性および/または医原性であり得、当業者によって特定される。
【0114】
本明細書に開示される医薬製剤は、先天性血液凝固障害の治療に使用され得る。先天性血液凝固障害は、遺伝的病因を有する。
【0115】
本明細書に開示される医薬製剤は、第V因子欠損症、東テキサス出血障害、第VII因子欠損症、血友病A(第VIII因子欠損症)、血友病B(第IX因子欠損症)、第XI因子欠損症、フォン・ヴィレブランド病;グランツマン血小板無力症およびベルナール・スーリエ症候群などのある特定の血小板障害;ならびにエーラス・ダンロス症候群などのある特定の結合組織障害から成る群から選択される先天性血液凝固障害の治療に使用され得る。
【0116】
本明細書に開示される医薬製剤は、血友病A(第VIII因子欠損症)および血友病B(第IX因子欠損症)から成る群から選択される先天性血液凝固障害の治療に使用され得る。
【0117】
本明細書に開示される医薬製剤は、後天性血液凝固障害の治療に使用され得る。後天性血液凝固障害は、典型的には、HIVなどの感染症、白血病などのある特定のタイプの癌、溶血性尿毒症症候群などの腎疾患、肝炎などの肝臓疾患、全身性エリテマトーデスもしくは後天性血栓性血小板減少性紫斑病などの自己免疫性疾患、急性外傷性血液凝固障害、および/または播種性血管内凝固症候群(DIC)を含む、他の疾患または疾患状態の症状から生じるか、またはこれらである。
【0118】
本明細書に開示される医薬製剤は、1つ以上の凝固因子の後天性欠損症の治療に使用され得る。本明細書に開示される医薬製剤は、1つ以上のセリンプロテアーゼの後天性欠損症の治療に使用され得る。本明細書に開示される医薬製剤は、後天性血小板減少症の治療に使用され得る。本明細書に開示される医薬製剤は、後天性血友病A(FVIII欠損症)および後天性血友病B(FIX欠損症)から成る群から選択される後天性血液凝固障害の治療に使用され得る。
【0119】
本明細書に開示される医薬製剤は、部分的に先天性および部分的に後天性である血液凝固障害の治療に使用され得る。「インヒビター」(すなわち、第VIII因子に対する同種抗体)を有する血友病Aおよび「インヒビター」(すなわち、第IX因子に対する同種抗体)を有する血友病Bは、部分的に先天性および部分的に後天性である血液凝固障害の非限定的な例である。
【0120】
本明細書に開示される医薬製剤は、医原性血液凝固障害の治療に使用され得る。医原性血液凝固障害は、処方薬または他の医薬療法の毒性効果によって引き起こされる。医原性血液凝固障害の1つの非限定的な例は、ビタミンK欠損症によって引き起こされるセリンプロテアーゼ欠損症であり、これは順に、最初に血栓塞栓症を治療するために処方された場合がある、ヘパリン、アスピリン、またはワーファリンなどのビタミンK拮抗薬または血小板凝集阻害剤の投与によって引き起こされる。医原性血液凝固障害の第2の非限定的な例は、過剰および/または不適切な流体療法から生じる凝固因子および血小板の希釈である。本明細書に開示される医薬製剤は、医原性セリンプロテアーゼ欠損症および/または血小板減少症の治療に使用され得る。
【0121】
好ましい一実施形態では、血液凝固障害は、血友病Aである。別の好ましい実施形態では、血液凝固障害は、血友病Bである。別の好ましい実施形態では、血液凝固障害は、インヒビターを有する血友病Aである。別の好ましい実施形態では、血液凝固障害は、インヒビターを有する血友病Bである。別の好ましい実施形態では、血液凝固障害は、血小板減少症によって引き起こされる。別の好ましい実施形態では、血液凝固障害は、フォン・ヴィレブランド病である。別の実施形態では、血液凝固障害は、グランツマン血小板無力症などの血小板障害である。別の実施形態では、血液凝固障害は、ベルナール・スーリエ症候群などの血小板障害である。別の実施形態では、血液凝固障害は、エーラス・ダンロス症候群などの結合組織障害である。別の実施形態では、血液凝固障害は、凝固因子欠損症である。別の実施形態では、血液凝固障害は、セリンプロテアーゼ欠損症である。
【0122】
本明細書に開示される医薬製剤は、出血(出血エピソード)を防止または治療するために使用され得る。一実施形態では、出血は、セリンプロテアーゼ欠損症などの凝固因子欠損症と関連している。一実施形態では、出血は、FII、FV、FVII、FVIII、FIX、FX FXI、および/またはFXIII欠損症に関連している。一実施形態では、出血は、外傷と関連している。別の実施形態では、出血は、手術と関連している。別の実施形態では、出血は、出血性胃炎および/または腸炎と関連している。別の実施形態では、出血は、胃潰瘍などの胃腸管の潰瘍と関連している。別の実施形態では、出血は、中絶、常位胎盤早期剥離、分娩後出血(PPH)、または月経過多に関連してなど、多量の子宮出血である。別の実施形態では、出血は、頭蓋内(ICH)、耳内、眼内、または子宮内など、機械的止血の限られた可能性を有する器官で発生する。別の実施形態では、出血は、抗凝固療法と関連する。
【0123】
本明細書に開示される医薬製剤は、先天性および/または後天性および/または医原性血液凝固障害から続いて起こり得るが、そのように診断されていない疾患を治療するために使用され得る。例えば、本明細書に開示される医薬製剤は、月経過多の治療に使用されてもよく、その根底にある原因は、vWF欠損症および/または子宮内膜症および/または癌などの出血障害であり得る。
【0124】
本明細書に開示される医薬製剤の使用は、上記の疾患または疾患症状のうちのいずれか1つ以上を患う対象者において、失血を著しく低減し、かつ/または年間出血率を著しく低減し得る。
【0125】
本明細書に開示される医薬組成物の使用は、一過性の血小板減少症を引き起こすことなく、凝固時間を低減し得る。
【0126】
本明細書で使用される場合、「治療」という用語は、それを必要とする任意のヒトまたは他の動物対象者の医学的療法を指す。当該対象者は、当該特定の治療の使用が当該ヒトまたは他の対象者の健康に有益であることを示す、暫定的または決定的な診断を与えた医師または獣医師による身体検査を受けていることが期待される。当該治療のタイミングおよび目的は、対象者の健康の現状に従って、個体によって異なり得る。したがって、当該治療は、予防的、緩和的、および/または症候性であり得る。本発明に関して、予防的、緩和的、および/または症候性治療は、本発明の別個の態様を表し得る。
【0127】
本明細書に開示される医薬製剤は、好ましくは、予防的に投与される。本明細書に開示される医薬製剤は、治療的に(要求に応じて)投与され得る。
【0128】
医薬製剤は、状態またはその症状のうちの1つ以上を緩和または部分的に抑止するのに十分な量で、上に記載される血液凝固障害を患う対象者に投与される。そのような治療的治療は、疾患症状の重症度の減少、または無症状期間の頻度もしくは期間の増加をもたらし得る。これを達成するのに十分な量は、「治療有効量」として定義される。例えば、治療が出血またはその期待に応答している場合、療法は、失血体積または年間出血率の減少をもたらし得る。
【0129】
予防(prophylactic)または予防(preventative)用途では、医薬組成物は、状態またはその症状のうちの1つ以上のその後の効果を防止または低減するのに十分な量で対象者に投与される。これを達成するのに十分な量は、「予防有効量」として定義される。例えば、治療が望ましくない出血を防止することである場合、予防効果は、調節因子の非存在下で見られるものと比較して、出血の防止または出血の期間もしくは量の低減として定義され得る。
【0130】
それぞれの目的のための有効量は、疾患または傷害の重症度、ならびに対象者の体重および全身状態に依存する。
【0131】
本明細書に開示される医薬組成物の予防的使用は、血液凝固障害を有する対象者の年間出血率(ABR)を低減し得る。この文脈では、「年間出血率」は、外傷性出血または手術に関連するものではなく特発性出血を指す。一実施形態では、本明細書に開示される医薬組成物の予防的使用は、対象者が特発性出血エピソードに対する「オンデマンド」治療を受けたか、または受けるときのABR未満の、血液凝固障害を有する対象者のABRをもたらすことができ、「オンデマンド」治療は、因子補充療法であり得る。一実施形態では、本明細書に開示される医薬組成物の予防的使用は、オンデマンド治療と比較して、血液凝固障害を有する対象者のABRを80%、好ましくは90%低減することができ、「オンデマンド治療」は、因子補充療法であり得る。一実施形態では、本明細書に開示される医薬組成物の使用は、5以下、例えば4以下、例えば3以下、例えば2以下、例えば1以下である、血液凝固障害を有する対象者のABRをもたらすことができ、好ましくは、対象者は、特発性出血が全くない。
【0132】
好ましくは、本明細書に開示される医薬組成物の予防的使用は、血友病A、血友病B、インヒビターを有する血友病A、および/またはインヒビターを有する血友病Bから成る群から選択される血液凝固障害を患う対象者のABRを著しく低減する。一実施形態では、本明細書に開示される医薬組成物の使用は、5以下、例えば4以下、例えば3以下、例えば2以下、例えば1以下である、そのような対象者のABRをもたらすことができ、好ましくは、対象者は、特発性出血が全くない。一実施形態では、本明細書に開示される医薬組成物の予防的使用は、オンデマンド治療と比較して、血友病Aを有する対象者のABRを80%、好ましくは90%低減することができ、オンデマンド治療は、因子補充療法である。一実施形態では、本明細書に開示される医薬組成物の予防的使用は、オンデマンド治療と比較して、血友病Bを有する対象者のABRを80%、好ましくは90%低減することができ、オンデマンド治療は、因子補充療法である。一実施形態では、本明細書に開示される医薬組成物の予防的使用は、オンデマンド治療と比較して、インヒビターを有する血友病Aを有する対象者のABRを80%、好ましくは90%低減することができる。一実施形態では、本明細書に開示される医薬組成物の予防的使用は、オンデマンド治療と比較して、インヒビターを有する血友病Bを有する対象者のABRを80%、好ましくは90%低減することができる。
【0133】
本明細書に開示される医薬組成物の、要求に応じた、定期的または予防的使用は、月経過多を患う女性における出血を著しく低減し得る。本明細書に開示される医薬組成物の使用により、月経過多を患う妊娠可能年齢の女性が、子供を産むことさえ可能になり、なぜなら、そのような女性は、出血を制御するために避妊薬に頼る必要がないからである。
【0134】
本明細書に開示される医薬製剤は、当該技術分野で既知の様々な方法のうちの1つ以上を使用して、1つ以上の投与経路を介して投与され得る。熟練した医師によって理解されるように、投与経路および/または投与様式は、所望の結果に応じて変化するであろう。
【0135】
本明細書に開示される医薬組成物は、非経口投与に好適である。本明細書で使用される場合、「非経口投与」という語句は、通常、注射による、経腸および局所投与以外の投与様式を意味する。本明細書に開示される医薬製剤は、静脈内投与され得る。本明細書に開示される医薬製剤は、筋肉内に投与され得る。好ましくは、本明細書に開示される医薬製剤は、皮下投与される。
【0136】
本明細書に開示される医薬製剤の好適な用量は、熟練した医師によって決定され得る。本明細書に開示される医薬組成物中の医薬品有効成分(API)、コンシズマブの量は、対象者に毒性であることなく、所望の治療応答を達成するために有効である医薬品有効成分の量を得るために変化され得る。選択された用量レベルは、投与経路、投与時間、API(コンシズマブ)の排泄率、治療の持続時間、本明細書に開示される医薬製剤と組み合わせて使用される他の薬剤、化合物、および/または材料、治療される対象者の年齢、性別、体重、状態、全般的健康、および以前の病歴、ならびに医学分野で周知の類似の要因を含む、様々な薬物動態因子に依存するであろう。
【0137】
本明細書に開示される医薬組成物による治療が開始されると、対象者は、典型的には、1回以上の負荷用量を受け、続いて維持投薬スキームを受ける。用量レジメンは、その後、最適な所望の応答(例えば、治療応答)を提供するように調節され得る。例えば、単回ボーラスが投与されてもよく、いくつかの分割用量が経時的に投与されてもよく、または治療状況の緊急性によって示されるように、用量が比例的に低減もしくは増加されてもよい。
【0138】
投与の用量および頻度は、治療が予防的であるか治療的であるかに応じて変化し得る。投与の用量および頻度は、望ましい治療期間に応じて変化し得る。予防用途では、比較的低い用量は、長期間にわたって所定の間隔で投与され得る。治療用途では、比較的高い用量は、例えば、患者が疾患の症状の部分的または完全な改善を示すまで投与され得る。
【0139】
本明細書に開示される医薬製剤は、およそ毎日、およそ隔日で、およそ3日毎に、およそ4日毎に、およそ5日毎に、およそ6日毎に、およそ毎週、例えば3、4、5、6、7、8、9、または10日毎に投与され得る。好ましくは、医薬製剤は、1日1回または週1回投与される。本明細書に開示される医薬製剤は、およそ8日毎に、およそ9日毎に、およそ10日毎に、およそ11日毎に、およそ12日毎に、およそ13日毎に、およそ2週間に1回、例えば8、9、10、11、12、13、または14日毎に投与され得る。
【0140】
コンシズマブの好適な用量は、体重1kg当たり約0.1~200mgのコンシズマブ(mg/kg)、例えば0.1~50mg/kg、例えば50~100mg/kg、例えば100~150mg/kg、例えば150~200mg/kgの範囲であり得る。
【0141】
コンシズマブの好適な用量は、0.1~2mg/kg、例えば0.1~0.3mg/kg、例えば0.2~0.4mg/kg、例えば0.4~0.6mg/kg、例えば0.6~0.8mg/kg、例えば0.8~1.0mg/kg、例えば1.0~1.2mg/kg、例えば1.2~1.4mg/kg、例えば1.4~1.6mg/kg、例えば1.6~1.8mg/kg、例えば1.9~2.0mg/kgの範囲であり得る。好ましい一実施形態では、コンシズマブの用量は、0.1~0.3mg/kg、例えば0.15mg/kg、例えば0.2mg/kg、例えば0.25mg/kg、例えば0.30mg/kgである。好ましい実施形態では、コンシズマブの用量は、0.2~0.4mg/kg、例えば約0.25mg/kg、例えば約0.35mg/kgである。別の好ましい実施形態では、コンシズマブの用量は、1.6~1.8mg/kg、例えば約1.65mg/kg、例えば約1.75mg/kgである。
【0142】
コンシズマブの好適な用量は、約0.1~50mg/kg、例えば約0.1~10mg/kg、例えば約10~20mg/kg、例えば約20~30mg/kg、例えば約30~40mg/kg、例えば約40~50mg/kgの範囲であり得る。コンシズマブの好適な用量は、約2~3mg/kg/日、例えば約4~5mg/kg/日、例えば約5~6mg/kg/日、例えば約6~7mg/kg/日、例えば約7~8mg/kg/日、例えば約8~9mg/kg/日、例えば約9~10mg/kg/日の範囲であり得る。
【0143】
コンシズマブの好適な用量は、約50~100mg/kg、例えば約60~90mg/kg、例えば50~60mg/kg、60~70mg/kg、例えば約70~80mg/kg、80~90mg/kg、90~100mg/kgの範囲であり得る。
【0144】
コンシズマブの好適な用量は、約100~150mg/kg、例えば約110~140mg/kg、例えば約100~110mg/kg、例えば約110~120mg/kg、例えば約120~130mg/kg、例えば約130~140mg/kg、例えば約140~150mg/kgの範囲であり得る。
【0145】
コンシズマブの好適な用量は、約150~200mg/kg、例えば約160~190mg/kg、例えば約150~160mg/kg、例えば約160~170mg/kg、例えば約170~180mg/kg、例えば約180~190mg/kg、例えば約190~200mg/kgの範囲であり得る。
【0146】
予防療法の場合、コンシズマブの好適な負荷用量は、約0.1μg/kg/日~約200mg/kg/日の範囲であり得る。好ましい実施形態では、コンシズマブの好適な負荷用量は、0.75~2mg/kg/日、例えば約1mg/kg/日、例えば約1.75mg/kg/日の範囲であり得る。
【0147】
予防療法の場合、コンシズマブの好適な維持用量は、約0.1μg/kg/日~約200mg/kg/日の範囲であり得る。好適な維持用量は、約0.1μg/kg/日~約10mg/kg/日であり得る。好適な維持用量は、約0.1mg/kg/日~約5mg/kg/日の範囲であり得る。好ましい実施形態では、コンシズマブの好適な維持用量は、0.1~2mg/kg/日、好ましくは0.2~0.4mg/kg/日、例えば0.25mg/kg/日、例えば0.35mg/kg/日の範囲であり得る。別の好ましい実施形態では、コンシズマブの好適な維持用量は、0.75~2mg/kg/週、例えば約1.5~2.0mg/kg/週、例えば約1.75mg/kg/週の範囲であり得る。
【0148】
毎日の予防療法の場合、0.75~2mg/kg、例えば約1mg/kgの負荷用量は、治療1日目に投与されてもよく、0.25mg/kgの維持用量は、治療2日目から少なくとも6ヶ月間毎日投与されてもよく、治療の最初の6ヶ月間に少なくとも2回の特発性出血を有した対象者は、0.35mg/kg/日に用量漸増されてもよい。これは、一定の治療を必要とする対象、例えば血液凝固因子欠損を有する対象者、例えば血友病A、血友病B、インヒビターを有する血友病A、またはインヒビターを有する血友病Bを有する対象者に好適な用量レジメンであり得る。
【0149】
毎日の予防療法の場合、0.5~1mg/kg、例えば約0.5または約1mg/kgの負荷用量は、治療1日目に投与されてもよく、0.2mg/kgの維持用量は、治療2日目から少なくとも4週間毎日投与されてもよく、任意選択で、その後任意の時点で0.15mg/kg、0.2mg/kg、または0.25mg/kgに用量調節を行う。
【0150】
毎日の予防療法の場合、約0.5mg/kg~1mg/kg、例えば約0.5または約1mg/kgの負荷用量は、治療1日目に投与され、0.1~0.25mg/kg、例えば0.15~0.2mg/kg、例えば0.15mg/kgまたは0.2mg/kgの維持用量は、治療2日目から毎日投与され、任意選択で、治療の最初の4週後、0.15mg/kg、0.2mg/kg、または0.25mg/kgに用量調節を行う。
【0151】
毎日の予防療法の場合、0.5mg/kgの負荷用量は、治療1日目に投与され、続いて治療2日目から毎日0.15mg/kgの用量が毎日投与され、3つ以上の特発性出血エピソードが、治療2日目の後、いずれかの12週間の期間以内に発生した場合には0.20mg/kgへの用量漸増、および3つ以上の特発性出血エピソードが、治療2日目の後、いずれかの12週間の期間以内に発生した場合には0.25mg/kgへのさらなる用量漸増を行う。
【0152】
毎日の予防療法の場合、0.5~1mg/kg、例えば約0.5mg/kgまたは約1mg/kgの負荷用量は、治療1日目に投与され、0.2mg/kgの維持用量は、治療2日目から少なくとも4週間毎日投与され、任意選択で、その後任意の時点で0.15mg/kg、0.2mg/kg、または0.25mg/kgに用量調節を行う。
【0153】
別の実施形態では、0.75~2mg/kg、例えば約1.75mg/kgの負荷用量は、1日目および2日目に投与され、1.75mg/kg/週の維持用量は、8日目から投与される。これは、一定の治療を必要とする対象、例えば血液凝固因子欠損を有する対象者、例えば血友病A、血友病B、インヒビターを有する血友病A、またはインヒビターを有する血友病Bを有する対象者に好適な用量レジメンであり得る。
【0154】
第3の実施形態では、0.75~2mg/kg、例えば約1.75mg/kgの単回用量は、予想される出血の1日または2日前に投与される。これは、過剰な出血から時折または断続的な保護を必要とする対象者に好適な投与レジメンであり得る。例えば、月経過多を有する女性は、そのようなコンシズマブの単回ボーラス注射、好ましくは月経開始の1日または2日前に、利益を得ることができる。
【0155】
第4の実施形態では、0.75~2mg/kg、例えば1mg/kgの負荷用量は、1日目に投与され、約0.25mg/kgの維持用量は、2日目から最大14日間毎日、例えば5、6、7、8、9、10、11、12、13、または14日間毎日投与される。これは、過剰な出血から時折の保護を必要とする対象者に好適な投与レジメンであり得る。例えば、月経過多を有する女性は、月経周期中のそのような投薬レジメンから利益を得ることができ、負荷用量は、好ましくは、月経開始の1日または2日前に投与されるであろう。
【0156】
同じ用量のコンシズマブを受けた、かつ/または同じ用量の同じ治療効果から利益を得る対象者のコンシズマブの血漿濃度には、実質的な個体差が存在し得る。対象者に投与される医薬組成物の量は、当該対象者におけるコンシズマブの血漿濃度が、約50ng/ml~約100μg/ml、例えば約50ng/ml~1μg/ml、例えば約1~5μg/ml、例えば約5~10μg/ml、例えば約10~15μg/ml、例えば約15~20μg/ml、例えば約20~25μg/ml、例えば約25~30μg/ml、例えば約30~35μg/ml、例えば約35~40μg/ml、例えば約40~45μg/ml、例えば約45~50μg/ml、例えば約50~55μg/ml、例えば約55~60μg/ml、例えば約60~65μg/ml、例えば約65~70μg/ml、例えば70~75μg/ml、例えば約75~80μg/ml、例えば約80~85μg/ml、例えば約85~90μg/ml、例えば約90~95μg/ml、例えば約95~100μg/mlとなるようなものであり得る。異なる対象者におけるTFPIプールの相対分布は、そのような個体差を説明し得る。
【0157】
対象者は、本明細書に記載される医薬組成物により治療されてもよく、組成物は、5~150mg/mlのコンシズマブ、例えば約150mg/ml、例えば約140mg/ml、例えば約130mg/ml、例えば約120mg/ml、例えば約110mg/ml、例えば95~105mg/ml、例えば約100mg/ml、例えば約90mg/ml、例えば約80mg/mlのコンシズマブ、例えば約70mg/mlのコンシズマブ、例えば約60mg/mlのコンシズマブ、例えば約50mg/mlのコンシズマブ、例えば45~55mg/ml、例えば約40mg/mlのコンシズマブ、例えば約30mg/mlのコンシズマブ、例えば約20mg/mlのコンシズマブ、例えば8~12mg/ml、例えば約10mg/mlのコンシズマブ、例えば約5mg/mlを含む。より高い体重を有する対象者は、医薬組成物が、より高い濃度、例えば95~105mg/ml、例えば約100mg/kgのコンシズマブを含む場合、注射される体積がより小さくなるため、注射がより快適であると見出し得る。対照的に、医薬組成物が、10mg/mlなどのより低い濃度のコンシズマブを含む場合、乳児の投薬はより正確であり得る。
【0158】
本明細書に開示される医薬製剤は、1つ以上の他の治療剤と同時投与され得る。他の薬剤は、本明細書に開示される医薬製剤の凝固促進効果を補完または促進する薬剤であり得る。他の薬剤は、血液凝固を促進するために作用する薬剤、例えば血液凝固因子、例えば組み換え産生された血液凝固因子であり得る。
【0159】
他の薬剤は、対象者が現在の療法から本明細書に開示される医薬製剤による療法に切り替えられるときに一時的に投与されてもよい。例えば、第VIII因子予防療法から本明細書に開示される医薬製剤による療法に切り替えられている血友病Aを有する対象者は、2週間両方の治療を受けてもよい。
【0160】
本明細書に開示される医薬製剤による予防治療を受けている対象者では、他の治療剤は、いわゆる「破綻出血」の治療のためのものであり得る。インヒビターを有する血友病AまたはBを有する対象者では、破綻出血は、例えば、FEIBA(登録商標)などの活性化プロトロンビン複合体濃縮物(aPCC)、Byclot(登録商標)などの活性化第VII因子(FVIIa)および第X因子(FX)の組み合わせ、またはNovoSeven(登録商標)などの第VIIa因子産物により治療され得る。したがって、本明細書に開示される医薬製剤は、第VIIa因子と同時投与され得る。血友病Aを有する対象者では、破綻出血は、第VIII因子により治療され得る。したがって、本明細書に開示される医薬製剤は、第VIII因子と同時投与され得る。血友病Bを有する対象者では、破綻出血は、第IX因子により治療され得る。したがって、本明細書に開示される医薬製剤は、第IX因子と同時投与され得る。血液凝固障害を有する対象者は、本明細書に開示される医薬製剤、およびアミノカプロン酸またはトラネキサム酸などの抗繊維素溶解薬による治療から利益を得ることができる。一実施形態では、抜歯または手術を受ける血友病を有する対象者は、このような併用療法から利益を得ることができる。別の実施形態では、月経過多を有する対象者は、このような併用療法から利益を得ることができる。
【0161】
2つ以上の薬剤の併用投与は、いくつかの異なる方法で達成され得る。一実施形態では、本明細書に開示される医薬製剤および他の治療剤は、併用療法の一部として別個の組成物で投与され得る。本明細書に開示される医薬製剤は、それらがインビボで同時に存在するように、他の治療剤の前、後、またはそれと同時に投与され得る。
【0162】
以下は、本発明の実施形態の非限定的な一覧である。
【0163】
実施形態
1.コンシズマブの医薬製剤を調製する方法であって、
・医薬品有効成分としてコンシズマブを含み、かつpH5.0~6.5、例えばpH5.5~6.5、好ましくは約pH6.0を有する、原薬(DS)を取得または調製する工程と、
・任意選択でフェノール、m-クレゾール、ベンジルアルコール、およびクロロブタノールから成る群から選択される、1つまたは2つの抗菌性防腐剤を含み、かつpH5.0~6.5、例えばpH5.5~6.5、好ましくは約6.0を有する、界面活性剤を含まない賦形剤水溶液を調製する工程と、
・任意選択で、賦形剤溶液のpHを調節する工程と、
・DSおよび賦形剤溶液を混合する工程と、
・DSおよび賦形剤溶液の混合物に界面活性剤を添加する工程と、
・任意選択で、水を添加する工程と、を含む、方法。
2.コンシズマブの医薬製剤を調製する方法であって、
・医薬品有効成分(API)としてコンシズマブを含み、かつpH5.0~6.5、例えばpH5.5~6.5、好ましくは約pH6.0を有する、原薬(DS)を取得または調製することと、
・ベンジルアルコールを含み、かつpH5.0~6.5、例えばpH5.5~6.5、好ましくは約pH6.0を有する、界面活性剤を含まない賦形剤水溶液を調製することと、
・任意選択で、賦形剤溶液のpHを調節することと、
・DS-賦形剤混合物中のベンジルアルコールの濃度が20mg/ml以下などの35mg/ml未満となるように、DSおよび賦形剤溶液を混合することと、
・DSおよび賦形剤溶液の混合物にポリソルベート20またはポリソルベート80を添加することと、
・任意選択で、水を添加することと、を含む、方法。
3.コンシズマブの医薬製剤を調製する方法であって、
・医薬品有効成分(API)としてコンシズマブを含み、かつpH5.0~6.5、例えばpH5.5~6.5、好ましくは約pH6.0を有する、原薬(DS)を取得または調製することと、
・ベンジルアルコールを含み、かつpH5.0~6.5、例えばpH5.5~6.5、好ましくは約pH6.0を有する、界面活性剤を含まない賦形剤水溶液を調製することと、
・任意選択で、賦形剤溶液のpHを調節することと、
・DS-賦形剤混合物中のベンジルアルコールの濃度が、35mg/ml以下、例えば20mg/ml以下となるように、DSおよび賦形剤溶液を混合することと、
・DSおよび賦形剤溶液の混合物にポロキサマー188を添加することと、
・任意選択で、水を添加することと、を含む、方法。
4.コンシズマブの医薬製剤を調製する方法であって、
・医薬品有効成分(API)としてコンシズマブを含み、かつpH5.0~6.5、例えばpH5.5~6.5、好ましくは約pH6.0を有する、原薬(DS)を取得または調製することと、
・クロロブタノールを含み、かつpH5.0~6.5、例えばpH5.5~6.5、好ましくは約pH6.0を有する、界面活性剤を含まない賦形剤水溶液を調製することと、
・任意選択で、賦形剤溶液のpHを調節することと、
・DS-賦形剤混合物中のクロロブタノールの濃度が、7.5mg/ml以下、例えば6.5mg/ml以下となるように、DSおよび賦形剤溶液を混合することと、
・DSおよび賦形剤溶液の混合物にポリソルベート20、ポリソルベート80、またはポロキサマー188を添加することと、
・任意選択で、水を添加することと、を含む、方法。
5.コンシズマブの医薬製剤を調製する方法であって、
・医薬品有効成分(API)としてコンシズマブを含み、かつpH5.0~6.5、例えばpH5.5~6.5、好ましくは約pH6.0を有する、原薬(DS)を取得または調製することと、
・m-クレゾールを含み、かつpH5.0~6.5、例えばpH5.5~6.5、好ましくは約pH6.0を有する、界面活性剤を含まない賦形剤水溶液を調製することと、
・任意選択で、賦形剤溶液のpHを調節することと、
・DS-賦形剤混合物中のm-クレゾールの濃度が3mg/ml未満となるように、DSおよび賦形剤溶液を混合することと、
・DSおよび賦形剤溶液の混合物にポリソルベート20を添加することと、
・任意選択で、水を添加することと、を含む、方法。
6.コンシズマブの医薬製剤を調製する方法であって、
・医薬品有効成分(API)としてコンシズマブを含み、かつpH5.0~6.5、例えばpH5.5~6.5、好ましくは約pH6.0を有する、原薬(DS)を取得または調製することと、
・m-クレゾールを含み、かつpH5.0~6.5、例えばpH5.5~6.5、好ましくは約pH6.0を有する、界面活性剤を含まない賦形剤水溶液を調製することと、
・任意選択で、賦形剤溶液のpHを調節することと、
・DS-賦形剤混合物中のm-クレゾールの濃度が5mg/ml以下となるように、DSおよび賦形剤溶液を混合することと、
・DSおよび賦形剤溶液の混合物にポリソルベート80を添加することと、
・任意選択で、水を添加することと、を含む、方法。
7.コンシズマブの医薬製剤を調製する方法であって、
・医薬品有効成分(API)としてコンシズマブを含み、かつpH5.0~6.5、例えばpH5.5~6.5、好ましくは約pH6.0を有する、原薬(DS)を取得または調製することと、
・m-クレゾールを含み、かつpH5.0~6.5、例えばpH5.5~6.5、好ましくは約pH6.0を有する、界面活性剤を含まない賦形剤水溶液を調製することと、
・任意選択で、賦形剤溶液のpHを調節することと、
・DS-賦形剤混合物中のm-クレゾールの濃度が10mg/ml未満となるように、DSおよび賦形剤溶液を混合することと、
・DSおよび賦形剤溶液の混合物にポロキサマー188を添加することと、
・任意選択で、水を添加することと、を含む、方法。
8.コンシズマブの医薬製剤を調製する方法であって、
・医薬品有効成分(API)としてコンシズマブを含み、かつpH5.0~6.5、例えばpH5.5~6.5、好ましくは約pH6.0を有する、原薬(DS)を取得または調製することと、
・フェノールを含み、かつpH5.0~6.5、例えばpH5.5~6.5、好ましくは約pH6.0を有する、界面活性剤を含まない賦形剤水溶液を調製することと、
・任意選択で、賦形剤溶液のpHを調節することと、
・DS-賦形剤混合物中のフェノールの濃度が6mg/ml未満となるように、DSおよび賦形剤溶液を混合することと、
・DSおよび賦形剤溶液の混合物にポリソルベート20を添加することと、
・任意選択で、水を添加することと、を含む、方法。
9.コンシズマブの医薬製剤を調製する方法であって、
・医薬品有効成分(API)としてコンシズマブを含み、かつpH5.0~6.5、例えばpH5.5~6.5、好ましくは約pH6.0を有する、原薬(DS)を取得または調製することと、
・55mg/ml未満、例えば45mg/ml以下のフェノール、例えば約4~45mg/mlのフェノールを含み、かつpH5.0~6.5、例えばpH5.5~6.5、好ましくは約pH6.0を有する、界面活性剤を含まない賦形剤水溶液を調製することと、
・任意選択で、賦形剤溶液のpHを調節することと、
・DS-賦形剤混合物中のフェノールの濃度が8mg/ml未満となるように、DSおよび賦形剤溶液を混合することと、
・DSおよび賦形剤溶液の混合物にポリソルベート80を添加することと、
・任意選択で、水を添加することと、を含む、方法。
10.コンシズマブの医薬製剤を調製する方法であって、
・医薬品有効成分(API)としてコンシズマブを含み、かつpH6.0を有する、原薬(DS)を取得または調製することと、
・フェノールの濃度が、55mg/ml未満、例えば45mg/ml以下となるように、L-アルギニンHCl、L-ヒスチジン、スクロース、塩化ナトリウム、フェノール、および水を含む界面活性剤を含まない賦形剤水溶液を調製することおよびpHを6.0に調節することと、
・混合物中のフェノールの濃度が、8mg/ml未満、例えば約4.0~7.5mg/ml、例えば約4.0~5.5mg/ml、例えば約5.5~7.5、例えば約5.5~6.5、好ましくは約6mg/mlとなるように、DSおよび賦形剤溶液を混合することと、
・0.1~2.0mg/ml、例えば0.1~0.3mg/ml、好ましくは約0.25mg/mlの最終濃度まで混合物にポリソルベート80を添加することと、
・任意選択で、WFIを最終バッチ体積まで添加することと、を含む、方法。
11.コンシズマブの医薬製剤を調製する方法であって、
・医薬品有効成分(API)としてコンシズマブを含み、かつpH5.0~6.5、例えばpH5.5~6.5、好ましくは約pH6.0を有する、原薬(DS)を取得または調製することと、
・フェノールを含み、かつpH5.0~6.5、例えばpH5.5~6.5、好ましくは約pH6.0を有する、界面活性剤を含まない賦形剤水溶液を調製することと、
・任意選択で、賦形剤溶液のpHを調節することと、
・DS-賦形剤混合物中のフェノールの濃度が10mg/ml未満となるように、DSおよび賦形剤溶液を混合することと、
・DSおよび賦形剤溶液の混合物にポロキサマー188を添加することと、
・任意選択で、水を添加することと、を含む、方法。
12.コンシズマブの医薬製剤を調製する方法であって、
・医薬品有効成分(API)としてコンシズマブを含み、かつpH6.0を有する、原薬(DS)を取得または調製することと、
・溶液中のフェノールの濃度が、55mg/ml未満、例えば約45mg/ml以下、例えば約6~45mg/mlとなるように、L-アルギニンHCl、L-ヒスチジン、スクロース、塩化ナトリウム、フェノール、および水を含む賦形剤溶液を調製することおよびpHを6.0に調節することと、
・任意選択で、賦形剤溶液のpHを調節することと、
・混合物中のフェノールの濃度が約6mg/ml以下となるように、賦形剤溶液にDSを添加することと、
・0.1~0.3mg/mlの最終濃度まで混合物にポリソルベート80を添加することと、
・任意選択で、水を添加することと、を含む、方法。
13.コンシズマブを含む原薬が、液体組成物である、実施形態1~12のいずれか1つに記載の方法。
14.原薬が、80~300mg/mlのコンシズマブ、好ましくは100~140mg/mlのコンシズマブを含む、実施形態1~13のいずれか1つに記載の方法。
15.コンシズマブを含む原薬が、緩衝液、等張化剤、粘度低下剤、および安定剤をさらに含む、実施形態1~14のいずれか1つに記載の方法。
16.コンシズマブを含む原薬が、緩衝液、等張化剤、および少なくとも1つの塩をさらに含む、実施形態1~15のいずれか1つに記載の方法。
17.コンシズマブを含む原薬が、緩衝液、等張化剤、有機塩、および無機塩をさらに含む、実施形態1~16のいずれか1つに記載の方法。
18.コンシズマブを含む原薬が、緩衝液としてのヒスチジン、等張化剤としてのスクロース、粘度低下剤としての塩化ナトリウム、および安定剤としてのアルギニンまたはアルギニン塩酸塩を含む、実施形態1~17のいずれか1つに記載の方法。
19.原薬および界面活性剤を含まない賦形剤水溶液が、同じ緩衝液、等張化剤、粘度低下剤、および安定剤を含む、実施形態1~18のいずれか1つに記載の方法。
20.原薬および界面活性剤を含まない賦形剤水溶液が、同じ緩衝液、等張化剤、および塩を含む、実施形態1~19のいずれか1つに記載の方法。
21.界面活性剤を含まない賦形剤水溶液が、1つまたは2つの抗菌性防腐剤、ヒスチジン、スクロース、アルギニン塩酸塩、および塩化ナトリウムを含む、実施形態1~20のいずれか1つに記載の方法。
22.抗菌性防腐剤が、ベンジルアルコール、クロロブタノール、m-クレゾール、およびフェノールから成る群から選択される、実施形態1~21のいずれか1つに記載の方法。
23.界面活性剤を含まない賦形剤水溶液が、1つの抗菌性防腐剤を含む、実施形態1~22のいずれか1つに記載の方法。
24.抗菌性防腐剤が、ベンジルアルコールである、実施形態1~3、13~23のいずれか1つに記載の方法。
25.抗菌性防腐剤が、ベンジルアルコールであり、DSおよび賦形剤溶液の混合物中のベンジルアルコールの濃度が、20mg/mlを超えない、実施形態1~3、13~23のいずれか1つに記載の方法。
26.コンシズマブの医薬製剤が、約9~11mg/mlのベンジルアルコール、例えば約10mg/mlのベンジルアルコールを含む、実施形態1~3、13~23のいずれか1つに記載の方法。
27.抗菌性防腐剤が、クロロブタノールである、実施形態1、4、13~23のいずれか1つに記載の方法。
28.防腐剤が、クロロブタノールであり、DSおよび賦形剤溶液の混合物中のクロロブタノールの濃度が、7.5mg/mlを超えない、実施形態1、4、13~23、27のいずれか1つに記載の方法。
29.コンシズマブの医薬製剤が、約3.0~7.5mg/mlのクロロブタノール、例えば約5mg/mlのクロロブタノールを含む、実施形態1、4、13~23、27~28のいずれか1つに記載の方法。
30.抗菌性防腐剤が、m-クレゾールである、実施形態1、5~7、13~23のいずれか1つに記載の方法。
31.防腐剤が、m-クレゾールであり、DSおよび賦形剤溶液の混合物中の抗菌性防腐剤の濃度が、10mg/ml未満、例えば5mg/ml未満、例えば約3mg/ml以下である、実施形態1、5~7、13~23、30のいずれか1つに記載の方法。
32.コンシズマブの医薬製剤が、約2.7~3.2mg/mlのm-クレゾール、例えば約3mg/mlのm-クレゾールを含む、実施形態1、5~7、13~23、30~31のいずれか1つに記載の方法。
33.抗菌性防腐剤が、フェノールである、実施形態1、8~23のいずれか1つに記載の方法。
34.抗菌性防腐剤が、フェノールであり、界面活性剤を含まない賦形剤水溶液中のフェノールの濃度が、55mg/ml未満、例えば45mg/ml以下、例えば約4~45mg/ml、例えば約4~40mg/ml、例えば約4~10mg/ml、例えば約11~20mg/ml、例えば約21~30mg/ml、例えば約31~40mg/ml、例えば約41~45mg/ml、例えば約11~15mg/ml、例えば約16~20mg/ml、例えば約21~25mg/ml、例えば約26~30mg/ml、例えば約31~35mg/ml、例えば約36~40mg/ml、例えば約41~45mg/mlである、実施形態1、8~23、33のいずれか1つに記載の方法。
35.防腐剤が、フェノールであり、DSおよび賦形剤溶液の混合物中のフェノールの濃度が、少なくとも2.5mg/mlおよび約10mg/ml未満、例えば約8mg/ml未満、例えば約6mg/ml以下、例えば約6mg/ml未満、例えば約2.5~5.0mg/ml、例えば約3.0~5.0mg/ml、例えば約3.0~4.0mg/ml、例えば約3.0mg/ml、例えば少なくとも約3.2mg/ml、例えば約3.5mg/ml、例えば約4.0~7.5mg/ml、例えば約4.0~5.5mg/ml、例えば約4.0~5.0mg/ml、例えば約4.5~5.5mg/ml、例えば約5.5~7.5、例えば約5.5~6.5、例えば約6mg/ml、例えば約6mg/ml未満であり、医薬製剤中のコンシズマブの濃度が、約10mg/mlである、実施形態1、8~23、33~34のいずれか1つに記載の方法。
36.防腐剤が、フェノールであり、DSおよび賦形剤溶液の混合物中のフェノールの濃度が、少なくとも2.5mg/mlおよび約10mg/ml未満、例えば約8mg/ml未満、例えば約6mg/ml以下、例えば約6mg/ml未満、例えば約2.5~5.0mg/ml、例えば約3.0~5.0mg/ml、例えば約3.0~4.0mg/ml、例えば約3.0mg/ml、例えば少なくとも約3.2mg/ml、例えば約3.5mg/ml、例えば約4.0~7.5mg/ml、例えば約4.0~5.5mg/ml、例えば約4.0~5.0mg/ml、例えば約4.5~5.5mg/ml、例えば約5.5~7.5、例えば約5.5~6.5、例えば約6mg/mlであり、医薬製剤中のコンシズマブの濃度が、約40mg/mlである、実施形態1、8~23、33~35のいずれか1つに記載の方法。
37.防腐剤が、フェノールであり、DSおよび賦形剤溶液の混合物中のフェノールの濃度が、少なくとも2.5mg/mlおよび約10mg/ml未満、例えば約8mg/ml未満、例えば約6mg/ml以下、例えば約6mg/ml未満、例えば約2.5~5.0mg/ml、例えば約3.0~5.0mg/ml、例えば約3.0~4.0mg/ml、例えば約3.0mg/ml、例えば少なくとも約3.2mg/ml、例えば約3.5mg/ml、例えば約4.0~7.5mg/ml、例えば約4.0~5.5mg/ml、例えば約4.0~5.0mg/ml、例えば約4.5~5.5mg/ml、例えば約5.5~7.5、例えば約5.5~6.5、例えば約6mg/mlであり、医薬製剤中のコンシズマブの濃度が、約100mg/mlである、実施形態1、8~23、33~36のいずれか1つに記載の方法。
38.DSおよび賦形剤溶液の混合物中のフェノールの濃度が、10mg/mlを超えない、例えば6mg/mlである、実施形態1、8~23、33~37のいずれか1つに記載の方法。
39.医薬製剤中のフェノールの濃度が、3~6mg/ml、好ましくは3~4mg/ml、さらにより好ましくは約3.5mg/mlである、実施形態1、8~23、33~38のいずれか1つに記載の方法。
40.界面活性剤が、ポリソルベート20、ポリソルベート80、およびポロキサマー188から成る群から選択される、実施形態1~39のいずれか1つに記載の方法。
41.界面活性剤が、ポリソルベート20である、実施形態1~40のいずれか1つに記載の方法。
42.医薬製剤が、0.1~2.0mg/ml、例えば0.1~0.3mg/mlのポリソルベート20、例えば0.1~0.2mg/ml、例えば0.2~0.3mg/ml、例えば約0.25mg/mlのポリソルベート20を含む、実施形態1~41のいずれか1つに記載の方法。
43.医薬製剤が、約0.25mg/mlのポリソルベート20を含む、実施形態1~42のいずれか1つに記載の方法。
44.界面活性剤が、ポリソルベート80である、実施形態1~40のいずれか1つに記載の方法。
45.医薬製剤が、0.1~2.0mg/mlのポリソルベート80、例えば0.1~0.3mg/ml、例えば0.1~0.2mg/ml、例えば0.2~0.3mg/ml、例えば約0.25mg/mlのポリソルベート80を含む、実施形態1~40、44のいずれか1つに記載の方法。
46.医薬製剤が、約0.25mg/mlのポリソルベート80を含む、実施形態1~40、44~45のいずれか1つに記載の方法。
47.界面活性剤が、ポロキサマー188である、実施形態1~40のいずれか1つに記載の方法。
48.医薬製剤が、0.1~10.0mg/mlのポロキサマー188、例えば0.9~1.1、例えば約1.0mg/mlのポロキサマー188を含む、実施形態1~40、47のいずれか1つに記載の方法。
49.原薬、賦形剤溶液、原薬および賦形剤溶液の混合物、ならびに医薬製剤が、スクロース、マンニトール、またはプロピレングリコールである等張化調節剤を含む、実施形態1~48のいずれか1つに記載の方法。
50.原薬、賦形剤溶液、原薬および賦形剤溶液の混合物、ならびに医薬製剤が、スクロースである等張化調節剤を含む、実施形態1~49のいずれか1つに記載の方法。
51.コンシズマブの医薬製剤が、50~250mMの等張化調節剤、例えば約150mMのスクロースを含む、実施形態1~50のいずれか1つに記載の方法。
52.実施形態1~51のいずれか1つに記載の方法によって取得される医薬製剤。
53.実施形態1~52のいずれか1つに記載の方法によって取得され、かつ5~110mg/ml、例えば5~15mg/ml、例えば約10mg/ml、例えば15~25mg/ml、例えば約20mg/ml、例えば25~35mg/ml、例えば約30mg/ml、例えば35~45mg/ml、例えば約40mg/ml、例えば45~55mg/ml、例えば約50mg/ml、例えば55~65mg/ml、例えば約60mg/ml、例えば65~75mg/ml、例えば約70mg/ml、例えば75~85mg/ml、例えば約80mg/ml、例えば85~95mg/ml、例えば約90mg/ml、例えば95~105mg/ml、例えば約100mg/mlのコンシズマブを含む、医薬製剤。
54.等張性である、実施形態1~53のいずれか1つに記載のコンシズマブの医薬製剤。
55.コンシズマブ、ヒスチジン、スクロース、塩化ナトリウム、アルギニン塩酸塩、ポリソルベート80を含み、かつpH5.5~6.5、好ましくは約6.0を有する、実施形態1~54のいずれか1つに記載の医薬製剤。
56.コンシズマブ:5~110mg/ml、例えば約10、40、または100mg/ml
フェノール:約0.35%(3.5mg/ml)
L-ヒスチジン:約33mM(5.12mg/ml)
塩化ナトリウム:約25mM(1.46mg/ml)
L-アルギニンHCl:約25mM(5.27mg/ml)
スクロース:約150mM(51.3mg/ml)
ポリソルベート80:約0.25mg/ml
水
pH約6.0を含む、実施形態52~55のいずれか1つに記載の医薬製剤。
57.コンシズマブ:約100mg/ml
フェノール:約0.35%(3.5mg/ml)
L-ヒスチジン:約33mM(5.12mg/ml)
塩化ナトリウム:約25mM(1.46mg/ml)
L-アルギニンHCl:約25mM(5.27mg/ml)
スクロース:約150mM(51.3mg/ml)
ポリソルベート80:約0.25mg/ml
水
pH約6.0を含む、実施形態52~56のいずれか1つに記載の医薬製剤。
58.コンシズマブ:約40mg/ml
フェノール:約0.35%(3.5mg/ml)
L-ヒスチジン:約33mM(5.12mg/ml)
塩化ナトリウム:約25mM(1.46mg/ml)
L-アルギニンHCl:約25mM(5.27mg/ml)
スクロース:約150mM(51.3mg/ml)
ポリソルベート80:約0.25mg/ml
水
pH約6.0を含む、実施形態52~56のいずれか1つに記載の医薬製剤。
59.コンシズマブ:約10mg/ml
フェノール:約0.35%(3.5mg/ml)
L-ヒスチジン:約33mM(5.12mg/ml)
塩化ナトリウム:約25mM(1.46mg/ml)
L-アルギニンHCl:約25mM(5.27mg/ml)
スクロース:約150mM(51.3mg/ml)
ポリソルベート80:約0.25mg/ml
水
pH約6.0を含む、実施形態52~56のいずれか1つに記載の医薬製剤。
60.血液凝固障害の治療に使用するための、実施形態52~59のいずれか1つに記載の医薬製剤。
61.後天性および/または先天性および/または医原性の血液凝固障害の治療に使用するための、実施形態52~59のいずれか1つに記載の医薬製剤。
62.後天性の血液凝固障害の治療に使用するための、実施形態52~59のいずれか1つに記載の医薬製剤。
63.先天性の血液凝固障害の治療に使用するための、実施形態52~59のいずれか1つに記載の医薬製剤。
64.一部が先天性であり、一部が後天的である血液凝固障害の治療に使用するための、実施形態52~59のいずれか1つに記載の医薬製剤。
65.医原性の血液凝固障害の治療に使用するための、実施形態52~59のいずれか1つに記載の医薬製剤。
66.先天性および/または後天性および/または医原性の血液凝固障害から生じ得る疾患の治療に使用するための、実施形態52~59のいずれか1つに記載の医薬製剤。
67.出血の治療に使用するための、実施形態52~59のいずれか1つに記載の医薬製剤。
68.血友病A、インヒビター(第VIII因子に対する同種抗体)を有する血友病A、血友病B、インヒビター(第IX因子に対する同種抗体)を有する血友病B、フォン・ヴィレブランド病、グランツマン血小板無力症、およびベルナール・スーリエ症候群から成る群から選択される血液凝固障害の治療に使用するための、実施形態52~59のいずれか1つに記載の医薬製剤。
69.血友病A、インヒビター(第VIII因子に対する同種抗体)を有する血友病A、血友病B、および/またはインヒビター(第IX因子に対する同種抗体)を有する血友病Bの治療に使用するための、実施形態52~59のいずれか1つに記載の医薬製剤。
70.医薬製剤が、皮下投与される、実施形態60~69のいずれか1つに記載の使用のための医薬製剤。
71.予防有効量の実施形態60~69のいずれか1つに記載の使用のための医薬製剤。
72.治療有効量の実施形態60~69のいずれか1つに記載の使用のための医薬製剤。
73.当該医薬製剤が、およそ1日1回投与される、実施形態60~69のいずれか1つに記載の使用のための医薬製剤。
74.当該医薬製剤が、およそ週1回投与される、実施形態60~69のいずれか1つに記載の使用のための医薬製剤。
75.当該医薬製剤が、およそ2週間に1回投与される、実施形態60~69のいずれか1つに記載の使用のための医薬製剤。
76.実施形態52~59のいずれか1つに記載の医薬製剤、および実施形態60~69のいずれか1つに記載の使用のための、第VIIa因子などの1つ以上の他の治療剤。
77.投与される用量が、0.1~200mg/kg、例えば0.1~50mg/kg、例えば50~100mg/kg、例えば100~150mg/kg、例えば150~200mg/kgの範囲である、実施形態60~76のいずれか1つに記載の使用のための医薬製剤。
78.体重1kg当たり0.75~2mgのコンシズマブ、例えば体重1kg当たり約1mgのコンシズマブの負荷用量が、1日目に投与され得、
体重1kg当たり0.25mgのコンシズマブの維持用量が、2日目から少なくとも6ヶ月間毎日投与され得る、実施形態60~76のいずれか1つに記載の使用のための医薬製剤。
79.最初の6ヶ月の後、1日に体重1kg当たり0.35mgのコンシズマブへの用量漸増をさらに含む、実施形態78に記載の使用のための医薬製剤。
80.体重1kg当たり0.75~2mgのコンシズマブ、例えば体重1kg当たり約1.75mgのコンシズマブの負荷用量が、1日目および2日目に投与され、
週に体重1kg当たり1.75mgのコンシズマブの維持用量が、8日目から投与される、実施形態60~77のいずれか1つに記載の使用のための医薬製剤。
81.体重1kg当たり約0.75~2mgのコンシズマブ、例えば体重1kg当たり約1.75mgのコンシズマブの単回用量が、予想される出血の1日または2日前に投与される、実施形態60~77のいずれか1つに記載の使用のための医薬製剤。
82.体重1kg当たり0.75~2mgのコンシズマブ、例えば体重1kg当たり1mgのコンシズマブの負荷用量が、1日目に投与され、
体重1kg当たり約0.25mgのコンシズマブの維持用量が、2日目から最大14日間毎日、例えば5、6、7、8、9、10、11、12、13、または14日間毎日投与される、実施形態60~77のいずれか1つに記載の使用のための医薬製剤。
83.約0.5~1mg/kg、例えば約0.5mg/kgまたは約1mg/kgの負荷用量が、治療1日目に投与され、
0.2mg/kgの維持用量が、治療2日目から少なくとも4週間毎日投与され、
任意選択で、その後任意の時点で0.15mg/kg、0.2mg/kg、または0.25mg/kgに用量調節を行う、実施形態60~77のいずれか1つに記載の使用のための医薬製剤。
【0164】
本発明は、さらなる限定するものとして解釈されるべきではない以下の実施例によってさらに示される。本出願全体を通して引用されたすべての図面ならびにすべての参考資料、特許、および公開された特許出願の内容は、参照により本明細書に明示的に組み込まれる。
【実施例】
【0165】
分析方法
当業者に周知の様々な分析方法を使用して、界面活性剤を含まない賦形剤水溶液およびコンシズマブを含む医薬製剤などの組成物中の凝集体および他の不純物の量を評価する。適切な分析方法を以下のアッセイI~IVに提供する。
【0166】
アッセイI:外観
液体製剤の外観を、試料の目視検査、Ph.Eur.に従う方法によって決定する。試料を、参照懸濁液のセットの清澄度と比較し、各々が所定のNTU(比濁法濁度単位)値を有し、これは濁度の増加とともに増加する。
【0167】
アッセイII:SE-HPLCによる高分子量タンパク質(HMWP)
SE-HPLCを、医薬品中のHMWPを決定するために使用する。これは、APIの含量の決定と同じ分析単位で行われ、この場合、コンシズマブである。HMWPは、コンシズマブのポリマーおよび二量体の形態から成る早期溶出ピークの総和として定義され、二量体の形態は一貫して優性形態であり、ポリマーは定量限界(LOQ)の近くで一定であり、総和の限界を可能にする。これは、総面積のHMWPの割合として測定される。
【0168】
アッセイIII:ClarioStarプレートリーダー
ClarioSTARプレートリーダーを使用して、溶液の乳白色になる変化を決定する。結果を光強度の変化として得ると、これを、溶液中の構成成分間の相互作用を決定するために使用することができる。
【0169】
アッセイIV:マイクロフローイメージング(MFI)による肉眼では見えない(サブビジブル)粒子の定量化
MFIを使用して、医薬品中の肉眼では見えない粒子のサイズおよび数を決定する。MFIでは、連続的な試料ストリームが顕微鏡システムの視野内に位置するフローセルを通過するにつれて、明視野画像を連続的なフレームで捕捉する。試料中に存在する粒子のデジタル画像を、サイズおよび計数のそれらの定量化を可能にする画像形態学分析ソフトウェアによって処理する。結果を、<2μm、<5μm、<10μm、および<25μmのサイズの粒子の数として得る。
【0170】
実施例1:コンシズマブは防腐剤と相互作用する
医薬品有効成分であるコンシズマブは、防腐剤と相互作用し、それを含む製剤中に望ましくない不純物を形成し得る。
【0171】
この実験では、本出願に開示される方法(実施例6の製造方法1によって具体化される)を採用した。実験の目的は、原薬に添加される賦形剤溶液中の防腐剤の濃度を確立することであり、これは、抗体と相互作用する防腐剤をもたらす。異なる濃度の防腐剤を含む6つの賦形剤溶液を、表1に明記されるように試験した。
【0172】
試験された医薬品のバッチは、コンシズマブ(100mg/ml)、L-アルギニン-HCl(5.27mg/ml)、L-ヒスチジン(5.12mg/ml)、塩化ナトリウム(1.46mg/ml)、スクロース(51.3mg/ml)、ポリソルベート80(0.25mg/ml)、およびフェノール(2.5~7.5mg/ml)を含み、水溶液中で6.0のpHを有した。試験されたバッチを、特許請求される製造方法(実施例6の製造方法1)に従って調製した。
【0173】
コンシズマブを含み、pH6.0を有する原薬(DS)を、WO2009/138484に記載される下流プロセスを使用して調製した。この原薬中のコンシズマブの濃度は、139mg/mlであった。界面活性剤を含まない賦形剤溶液を、注射用水(最終コンシズマブ医薬品の体積の10%)中でL-アルギニンHCl、L-ヒスチジン、スクロース、塩化ナトリウム、およびフェノールを溶解することによって調製した。これらの溶液は、25~75mg/mlのフェノールを含んでいた。2N塩酸および/または2N水酸化ナトリウムを使用してpHを6.0に調節し、溶液を均質化した。原薬を混合しながら添加し、最後に、ポリソルベート80を賦形剤溶液およびDSの混合物に添加した。この溶液は、最終のコンシズマブ医薬品の体積の75%であり、3.3~10mg/mlのフェノールおよび0.33mg/mlのポリソルベート80を含んでいた。最終コンシズマブ医薬品の体積の100%に水を添加した(コンシズマブおよび医薬品中のすべての賦形剤の所定の濃度を達成するため)。製剤を混合し、均質化した後、滅菌濾過し、1.5mlのカートリッジに充填した。
【0174】
アッセイIIに記載されるように、適用された原薬バッチおよび製造後の医薬品バッチを、HMWPについて分析することによって評価した。結果および製剤化中のHMWPの計算された増加を表1に表す。
【表1】
【0175】
バッチ5および6については、原薬の添加時に、激しい(heavy)不溶性の沈殿が観察され、これはHMWPの測定前に濾過により除去された。
【0176】
バッチ1~3の結果は、製剤化プロセス中のHMWP%の同様の増加を示すが、一方で、バッチ4~6は、賦形剤溶液および最終製剤中のフェノールの濃度の増加を伴うHMWPの形成の増加を示す。結果は、賦形剤溶液中の55mg/ml以上のフェノールの濃度が、調製中の激しい(heavy)不溶性の沈殿、および製剤化プロセス中のHMWPの形成の増加につながることを示す。
【0177】
この実施例の結果から、事前製剤化された原薬と混合するために使用される溶液中のフェノールの濃度が、55mg/ml未満であるか、または約45mg/mlを超えないべきであることが明らかである。より高い濃度を使用すると、最終医薬製剤の品質は悪影響を受ける。
【0178】
実施例2:防腐剤および界面活性剤は、相互作用して、望ましくない乳白色を形成する
防腐剤および界面活性剤は、相互作用して、製剤中に望ましくない乳白色を形成する。これを、実施例3でも実証する。
【0179】
この実施例では、界面活性剤および防腐剤の間の潜在的な相互作用を調査した。試験された組成物は各々、1つの防腐剤および1つの界面活性剤を含んでいた。一般的に使用される界面活性剤、ポリソルベート20(PS20)、ポリソルベート80(PS80)、およびポロキサマー188(PLX188)を、一般的に使用される防腐剤、フェノール、m-クレゾール、クロロブタノール、およびベンジルアルコールとともに試験した。
【0180】
各界面活性剤の1つの濃度を、一般的に使用されるものを代表するものとして選択したが(表2を参照されたい)、一方で、各防腐剤の一般的に使用される濃度の範囲を選択した(表3を参照されたい)。(V.Gervasi et al,European Journal of Pharmaceutics and Biopharmaceutics 131(2018))8~24は、一般的に使用される濃度を議論している。
【表2】
【表3】
【0181】
賦形剤溶液中またはDSおよび賦形剤溶液の混合物中の濃度がどうなるかを反映するために、医薬品で一般的に使用される濃度よりも高い濃度を試験した:後者の2つの濃度は常に、医薬品の最終濃度よりも高い。
【0182】
界面活性剤を含む水溶液を、防腐剤を含む水溶液に添加することによって、研究を行った。pHを6.0に調節し、溶液を混合し、溶液を直ちに評価した。
【0183】
すべての溶液をアッセイIに従って目視検査した。防腐剤および界面活性剤の間のすべての相互作用は、白色の沈殿物の懸濁液の形態で見られた。溶液の清澄度を、NTU基準3、6、18、30、100、および200と比較した。最大18NTUの清澄度は、ほぼ透明な溶液に対応し、典型的な製造プロセス中に許容される。30NTUは、不明瞭な溶液に対応し、典型的な製造プロセス中に許容されない。
【0184】
フェノールおよび界面活性剤の間の相互作用
表4は、5つの濃度のフェノールのうちの1つ、およびポリソルベート20(0.25mg/ml)、ポリソルベート80(0.25mg/ml)、またはポロキサマー188(1.0mg/ml)のいずれかを含む溶液の結果を提供する。初期の溶液およびpH6.0に調節した溶液の間には、清澄度の差は観察されなかった。
【表4】
【0185】
結果は、フェノールの濃度が少なくとも6mg/mlであったときに、フェノールおよびPS20またはPS80のいずれかの間の相互作用が発生し始めたことを示す。1.0mg/mlのPLX188の場合、10mg/mlのフェノールで相互作用が発生し始めた。結果は、PS20について、6mg/mlのフェノールで許容できない相互作用が見られることを示す。PS80については、8mg/mlで許容できない相互作用が見られ、一方で、ポロキサマー188については10mg/ml以上のフェノールで許容できない相互作用が見られる。
【0186】
m-クレゾールおよび界面活性剤の間の相互作用
表5は、5つの濃度のm-クレゾールのうちの1つ、およびPS20(0.25mg/ml)、PS80(0.25mg/ml)、またはPLX188(1.0mg/ml)のいずれかを含む溶液の結果を提供する。初期の溶液およびpH6.0に調節した溶液の間には、清澄度の差は観察されなかった。
【表5】
【0187】
結果は、m-クレゾールの濃度が3mg/mlであったときに、m-クレゾールおよびPS20またはPS80のいずれかの間の相互作用が発生したことを示す。PLX188の場合、10mg/mlのm-クレゾールで相互作用が見られた。PS20について、許容できない相互作用は、すべての試験された濃度のm-クレゾールで発生した。PS80について、許容できない相互作用は、5mg/mlのm-クレゾールで発生し、PLX188について、許容できない相互作用は、10mg/mlのm-クレゾールで発生した。
【0188】
ベンジルアルコールおよび界面活性剤の間の相互作用
表6は、5つの濃度のベンジルアルコールのうちの1つ、およびPS20(0.25mg/ml)、PS80(0.25mg/ml)、またはPLX188(1.0mg/ml)のいずれかを含む溶液の結果を提供する。初期の溶液およびpH6.0に調節した溶液の間には、清澄度の差は観察されなかった。
【表6】
【0189】
結果は、ベンジルアルコールの濃度が35mg/mlであるとき、ベンジルアルコールおよびPS20またはPS80のいずれかの間で相互作用が発生し、35mg/mlのベンジルアルコールで、清澄度スケールが>200NTUに上昇する。PLX188の場合、35mg/mlのベンジルアルコールでわずかな相互作用(3NTU)のみが観察された。PS20およびPS80について、35mg/mlのベンジルアルコールで許容できない相互作用が発生した。
【0190】
クロロブタノールおよび界面活性剤の間の相互作用
表7は、5つのクロロブタノール濃度のうちの1つ、およびPS20(0.25mg/ml)、PS80(0.25mg/ml)、またはPLX188(1.0mg/ml)のいずれかを含む溶液の結果を提供する。初期の溶液およびpH6.0に調節した溶液の間には、清澄度の差は観察されなかった。
【表7】
【0191】
結果は、PS20またはPS80およびクロロブタノールの間の相互作用が、7.5mg/mlのクロロブタノールで発生し始め、PS20およびPS80について、それぞれ、6.5mg/ml~7.5mg/mlのクロロブタノールで0NTUから18NTUおよび3NTUに清澄度スケールが上昇することを示す。クロロブタノールおよびPLX188の間の相互作用は、試験されたクロロブタノール濃度範囲内では観察されなかった。試験されたすべての界面活性剤について、クロロブタノールについて許容できない相互作用は観察されなかった。
【0192】
これらの合わせた結果は、高濃度でこの研究内で試験された防腐剤および界面活性剤のすべての組み合わせの間にある程度の相互作用があることを示し、クロロブタノールおよびPLX188の組み合わせは例外であり、その場合、試験された濃度範囲内では相互作用は観察されなかった。
【0193】
相互作用の結果に基づいて、防腐剤およぶ界面活性剤を混合するときに特別な注意を払うべきことは明らかである。
【0194】
ベンジルアルコールの濃度は、ポリソルベート20またはポリソルベート80が添加される溶液中で35mg/ml未満であるべきである。ベンジルアルコールの濃度は、ポロキサマー188が添加される溶液中で35mg/ml超であってもよい。
【0195】
クロロブタノールの濃度は、ポリソルベート20、ポリソルベート80、またはポロキサマー188が添加される溶液中で7.5mg/mlと同じくらいであってもよい。
【0196】
m-クレゾールの濃度は、ポリソルベート20が添加される溶液中で3mg/ml未満であるべきである。m-クレゾールの濃度は、ポリソルベート80が添加される溶液中で5mg/mlを超えるべきはない。m-クレゾールの濃度は、ポリソルベート188が添加される溶液中で10mg/ml未満であるべきである。
【0197】
フェノールの濃度は、ポリソルベート20が添加される溶液中で6mg/ml未満であるべきである。フェノールの濃度は、ポリソルベート80が添加される溶液中で8mg/ml未満であるべきである。フェノールの濃度は、ポロキサマー188が添加される溶液中で10mg/ml未満であるべきである。
【0198】
最終医薬品の品質は、より高濃度の防腐剤を使用した場合に影響を受ける。
【0199】
実施例3:防腐剤および界面活性剤は、相互作用して、望ましくない乳白色を形成し得る
この実施例ならびに以前の実施例に示されるように、防腐剤および界面活性剤は、相互作用して、製剤中に望ましくない乳白色を形成し得る。様々な濃度のフェノールおよびポリソルベート80を含む組成物を試験した。実験の目的は、フェノールおよびポリソルベート80の間の相互作用が発生する濃度を決定することであった。
【0200】
異なる濃度のフェノールおよびポリソルベート80を含む水溶液を、96ウェルプレート中で調製した。濃度は、表8に提供される範囲内であり、表9に示される。最終医薬品が100mg/mlのコンシズマブを含む場合、賦形剤溶液中のフェノールの濃度は、例えば、最終DP中のフェノールの濃度よりも10倍高い場合がある。そのため、これは0~5.5mg/mlの最終フェノール濃度を反映する。
【表8】
【0201】
溶液を調製し、その後、ClaroSTARプレートリーダーを使用して分析した(アッセイIII)。結果を光強度の変化として得ると、これを、溶液中の構成成分間の相互作用を決定するために使用することができる。結果を表9に提供する。フェノールを含まない溶液と比較して、光強度の2倍の変化は、溶液中で発生する相互作用を示す。
【表9】
【0202】
結果は、フェノールの濃度が5~10mg/mlであり、ポリソルベート80の濃度が0.1mg/mlよりも高いときに、フェノールおよびポリソルベート80の間の相互作用が発生し始めることを示す。これは、実施例1で表される結果と一致する。結果は、フェノールの濃度が10mg/ml超であるときに、0.03mg/mlのポリソルベート80のより低い濃度でさえも、相互作用が発生することを示す。これらの結果は、ポリソルベート80が添加される溶液中でフェノールの濃度が概して10mg/mlを超えないべきであることを示唆しており、これは、製造中に望ましくない乳白色を引き起こすためである。最終医薬品の品質は、より高濃度を使用した場合に影響を受け得る。ポリソルベート80の濃度が0.03mg/ml未満である場合、最大15mg/mlのフェノールの濃度が許容可能であり得る。
【0203】
実施例4:pH調節は、タンパク質不純物の形成を容易にもたらす
この実験の目的は、pHをpH5.6に調節した組成物におけるコンシズマブの安定性を決定することであった。
【0204】
使用されたコンシズマブを含む製剤は、コンシズマブ(100mg/mlまたは10mg/ml)、L-アルギニン-HCl(5.27mg/ml)、L-ヒスチジン(5.12mg/ml)、塩化ナトリウム(1.46mg/ml)、スクロース(51.3mg/ml)、フェノール(3.5mg/ml)、およびポリソルベート80(0.01mg/ml)を含む水溶液(原薬)であり、pH6.0を有していた。
【0205】
コンシズマブを含む製剤のpHを調節する2つの方法を比較した。方法1では、2N塩酸を、そのpHを直接調節するために、コンシズマブを含む製剤に添加した。方法2は、より低いpHを有する事前製剤化された原薬および賦形剤溶液を使用し、これに、原薬が賦形剤溶液に添加される前に、pH調節のために2N塩酸を添加した。
【0206】
方法1では、賦形剤溶液を、注射用水中でL-アルギニン-HCl、L-ヒスチジン、塩化ナトリウム、スクロース、およびフェノールを溶解し、溶液をpH6に調節することによって調製した。賦形剤溶液に初期量の塩酸を添加し、続いて事前製剤化された原薬を添加した。次いで、混合物のpHを、2N塩酸を使用してpH5.6に調節した。
【0207】
方法2では、賦形剤溶液を、注射用水中でL-アルギニン-HCl、L-ヒスチジン、塩化ナトリウム、スクロース、およびフェノールを溶解し、次いで、2N塩酸を添加することにより溶液をpH5.6に調節することによって調製した。次いで、pH5.6を有する緩衝液交換された、事前製剤化された原薬(DS)を賦形剤溶液に添加した。2N塩酸は、コンシズマブを含む製剤または医薬品(DP)に直接添加されなかった。
【0208】
調製された組成物の化学的安定性は、アッセイIIに記載されるように、HMWPの形成を測定することによって決定した。結果を表10に示す。
【表10】
【0209】
結果は、酸が抗体を含む組成物に直接添加されるときに、酸(HCl)および抗体の間に相互作用が発生することを示す。
【0210】
コンシズマブを含む組成物に酸を直接添加することによってpHを調節することは、高分子量タンパク質(HMWP)などの望ましくないタンパク質不純物の形成を容易にもたらした。原薬(DS)または医薬品(DP)のいずれかへの酸(HCl)の添加は、最終医薬製剤(DP)中に存在するHMWPの割合の許容できない増加をもたらした。対照的に、pHが方法2(実施例6に記載される製造方法1の一部である)を使用して調節された場合、HMWP%の増加は軽度であり、許容可能なレベルであった。
【0211】
いずれの製造プロセスにおいても、2.3%または2.7%のHMWPの増加は許容できないとみなされる。最終医薬品(すなわち、医薬製剤)の品質に影響を与えないために、濃縮酸は、コンシズマブを含む組成物に直接添加するべきではない。
【0212】
実施例5:物理的安定性に対するポリソルベート80の濃度の効果
ポリソルベート80などの界面活性剤は、容器および生産材料への表面吸着を防止し、かつタンパク質凝集に対してタンパク質を安定化するために、コンシズマブ医薬品に含まれる。組成物の安定性は、ポリソルベート80の含量を増加させることによって改善され得る。
【0213】
試験されたバッチは、表11に明記されるコンシズマブ(10mg/mlおよび100mg/ml)、表11に明記されるL-アルギニン-HCl(5.27mg/ml)、L-ヒスチジン(5.12mg/ml)、塩化ナトリウム(1.46mg/ml)、スクロース(51.3mg/ml)、フェノール(3.5mg/ml)、およびポリソルベート80(0.01mg/ml~0.3mg/ml)を、水溶液中でpH6.0で含んでいた。試験された組成物を、現在特許請求されている製造方法(実施例6の製造方法1により具体化される)に従って調製した。
【0214】
コンシズマブを含み、pH6.0を有する原薬(DS)を、WO2009/138484に記載される下流プロセスを使用して調製した。原薬中のコンシズマブの濃度は、123mg/mlであった。界面活性剤を含まない賦形剤溶液を、注射用水(10mg/mlの場合、最終コンシズマブ医薬品の体積の75%、100mg/mlの場合、最終コンシズマブDP体積の10%)中でL-アルギニンHCl、Lヒスチジン、スクロース、塩化ナトリウム、およびフェノールを溶解することによって調製した。2N塩酸および/または2N水酸化ナトリウムを使用してpHを6.0に調節し、溶液を均質化する。コンシズマブ原薬を溶液に添加し、均質化した。ポリソルベート80を添加し、混合物を均質化した。これらの溶液は、10mg/mlのコンシズマブDPの場合、0.01~0.36mg/mlのポリソルベート80および4.2mg/mlのフェノール、ならびに100mg/mlのコンシズマブDPの場合、0.01~0.32mg/mlのポリソルベート80および3.8mg/mlのフェノールを含んでいた。注射用水を最終体積の100%に添加した。製剤を混合し、均質化した後、滅菌濾過し、1.5mlのカートリッジに充填した。
【表11】
【0215】
調製されたバッチの化学的安定性は、アッセイIIに記載されるように、HMWPの形成を測定することによって決定した。結果を表12に示す。
【表12】
【0216】
表12に表される結果は、異なる濃度のポリソルベート80が組成物中に存在する場合、すなわち、組成物がポリソルベート80の濃度にかかわらず化学的に安定である場合には、HMWPのレベルが同等であることを示す。
【0217】
コンシズマブを含むバッチもまた、アッセイIVに記載されるように、マイクロフローイメージング(MFI)を使用して、物理的安定性について試験した。結果は、3つの測定値の平均である。これは、バッチ中の肉眼では見えない(サブビジブル)粒子の量を測定するためである。結果を表13に示す。結果は、ポリソルベート80の濃度が0.1mg/ml、好ましくは少なくとも0.2mg/mlであるときに、肉眼では見えない粒子の数が減少することを示す。
【表13】
【0218】
表12および表13に表される結果は、ポリソルベート80が、0.1mg/ml超、および好ましくは0.2mg/ml超の濃度で、コンシズマブ医薬品のバッチ中に存在するときに、同様の量のHMWPが形成されるが、肉眼では見ることができない粒子は、より少なくしか形成されず、すなわち、組成物は化学的に等しく安定であるが、物理的にはより安定であることを示す。
【0219】
実施例6:製造方法
本研究の目的は、コンシズマブ医薬品(DP)の最終品質に対する、異なる製造方法の効果および成分の添加順序を決定することであった。試験された製造方法を使用して、コンシズマブ(10mg/mlおよび100mg/ml)、L-アルギニン-HCl(5.27mg/ml)、L-ヒスチジン(5.12mg/ml)、塩化ナトリウム(1.46mg/ml)、スクロース(51.3mg/ml)、ポリソルベート80(0.25mg/ml)、およびフェノール(3.5mg/ml)、ならびに水溶液中のpH6.0を含む製剤を生産した。
【0220】
7つの異なる製造方法を試験した。製造方法1は、現在特許請求されている製造方法を具現化している。製剤を、目視検査により評価し、製剤化前のコンシズマブ原薬中のHMWPの含量および最終コンシズマブ医薬品を分析することによって評価した。
【0221】
製造方法1:
この製造方法の流れ図は、
図1に見出され得る。コンシズマブを含み、pH6.0を有する原薬(DS)を、WO2009/138484に記載される下流プロセスを使用して調製した。
1.L-アルギニンHCl、Lヒスチジン、スクロース、塩化ナトリウム、およびフェノールを、注射用水(100mg/mlのコンシズマブDP場合、最終体積の10%、および10mg/mlのコンシズマブDPの場合、最終体積の75%)中で溶解した。この溶液は、10mg/mlのコンシズマブDPの場合、4.7mg/mlのフェノール、および100mg/mlのコンシズマブDPの場合、35mg/mlのフェノールを含んでいた)。
2.pHを、2N塩酸および/または2N水酸化ナトリウムを使用して6.0に調節し、溶液を均質化する。pHを、2N塩酸および/または2N水酸化ナトリウムを使用して6.0に調節し、溶液を均質化した。
3.コンシズマブ原薬(115mg/ml)を溶液に添加し、均質化した。この溶液の体積は、10mg/mlのコンシズマブDPの場合、最終DP体積の84%、および100mg/mlのコンシズマブDPの場合、最終DP体積の97%であった)。この溶液の体積は、10mg/mlのコンシズマブDPの場合、最終DP体積の84%、および100mg/mlのコンシズマブDPの場合、最終DP体積の97%であった。
4.ポリソルベート80(30mg/mlストック溶液)を添加し、均質化した。この溶液は、10mg/mlのDPの場合、0.32mg/mlのポリソルベート80および4.5mg/mlのフェノール、ならびに100mg/mlのDPの場合、0.26mg/mlのポリソルベート80および3.6mg/mlのフェノールを含んでいた。
5.注射用水を最終体積の100%に添加した。製剤を均質化した後、滅菌濾過し、カートリッジに充填した。
【0222】
製造方法2:
この製造方法の流れ図は、
図3に見出され得る。
1.L-アルギニン、Lヒスチジン、スクロース、塩化ナトリウム、およびフェノールを、注射用水(100mg/mlのコンシズマブDP場合、最終体積の10%、および10mg/mlのコンシズマブDPの場合、最終体積の75%)中で溶解した。
2.2N塩酸および/または2N水酸化ナトリウムを使用してpHを6.0に調節し、溶液を均質化した。
3.ポリソルベート80を添加し、溶解した。この溶液は、10mg/mlのコンシズマブDPの場合、0.36mg/mlのポリソルベート80および5.0mg/mlのフェノール、ならびに100mg/mlのコンシズマブDPの場合、2.5mg/mlのポリソルベート80および35mg/mlのフェノールを含んでいた。
4.コンシズマブ原薬(115mg/ml)を溶液に添加し、均質化した。
5.注射用水を最終体積の100%に添加した。製剤を均質化した後、滅菌濾過し、カートリッジに充填した。
【0223】
製造方法3
この製造方法の流れ図は、
図3に見出され得る。
1.L-アルギニン、Lヒスチジン、スクロース、および塩化ナトリウムを、注射用水(100mg/mlのコンシズマブDP場合、最終体積の10%、および10mg/mlのコンシズマブDPの場合、最終体積の75%)中で溶解した。
2.フェノールを添加し、溶解した。
3.ポリソルベート80を添加し、溶解した。この溶液は、10mg/mlのDPの場合、0.36mg/mlのポリソルベート80および5.0mg/mlのフェノール、ならびに100mg/mlのDPの場合、2.5mg/mlのポリソルベート80および35mg/mlのフェノールを含んでいた。
4.コンシズマブ原薬(125mg/ml)を溶液に添加し、均質化した。
5.2N塩酸および/または2N水酸化ナトリウムを使用してpHを6.0に調節し、溶液を均質化した。
6.注射用水を最終体積の100%に添加した。製剤を均質化した後、滅菌濾過し、カートリッジに充填した。
【0224】
製造方法4:
この製造方法の流れ図は、
図4に見出され得る。
1.L-アルギニン、Lヒスチジン、スクロース、塩化ナトリウム、およびポリソルベート80を、注射用水(100mg/mlのコンシズマブDP場合、最終体積の10%、および10mg/mlのコンシズマブDPの場合、最終体積の75%)中で溶解した。
2.2N塩酸および/または2N水酸化ナトリウムを使用してpHを6.0に調節し、溶液を均質化した。
3.原薬(115mg/ml)を溶液に添加し、均質化した。
4.フェノールを添加し、溶解した。この溶液は、10mg/mlのコンシズマブDPの場合、0.32mg/mlのポリソルベート80および4.5mg/mlのフェノール、ならびに100mg/mlのコンシズマブDPの場合、0.26mg/mlのポリソルベート80および3.6mg/mlのフェノールを含んでいた。
5.注射用水を最終体積の100%に添加した。製剤を均質化した後、滅菌濾過し、カートリッジに充填した。
【0225】
製造方法5:
この製造方法の流れ図は、
図5に見出され得る。
1.L-アルギニン、Lヒスチジン、スクロース、および塩化ナトリウムを、注射用水(100mg/mlのコンシズマブDP場合、最終体積の10%、および10mg/mlのコンシズマブDPの場合、最終体積の75%)中で溶解した。
2.2N塩酸および/または2N水酸化ナトリウムを使用してpHを6.0に調節し、溶液を均質化した。
3.コンシズマブ原薬(125mg/ml)を溶液に添加し、均質化した。
4.ポリソルベート80を添加し、溶解した。
5.フェノールを添加し、溶解した。この溶液は、10mg/mlのコンシズマブDPの場合、0.32mg/mlのポリソルベート80および4.5mg/mlのフェノール、ならびに100mg/mlのコンシズマブDPの場合、0.28mg/mlのポリソルベート80および3.9mg/mlのフェノールを含んでいた。
6.注射用水を最終体積の100%に添加した。製剤を均質化した後、滅菌濾過し、カートリッジに充填した。
【0226】
製造方法6:
この製造方法の流れ図は、
図6に見出され得る。
1.L-アルギニン、Lヒスチジン、スクロース、塩化ナトリウム、フェノール、およびポリソルベート80を、コンシズマブ原薬(115mg/ml)中で溶解した。この溶液は、10mg/mlのコンシズマブDPの場合、2.9mg/mlのポリソルベート80および40mg/mlのフェノール、ならびに100mg/mlのコンシズマブDPの場合、0.29mg/mlのポリソルベート80および4.0mg/mlのフェノールを含んでいた。
2.2N塩酸および/または2N水酸化ナトリウムを使用してpHを6.0に調節し、溶液を均質化した。
3.注射用水を最終体積の100%に添加した。製剤を均質化した後、滅菌濾過し、カートリッジに充填した。
【0227】
製造方法7:
この製造方法の流れ図は、
図7に見出され得る。
1.L-アルギニン、Lヒスチジン、スクロース、および塩化ナトリウムを、コンシズマブ原薬(125mg/ml)中で溶解した。
2.フェノールを添加し、溶解した。
3.ポリソルベートを添加し、溶解した。この溶液は、10mg/mlのコンシズマブDPの場合、3.1mg/mlのポリソルベート80および44mg/mlのフェノール、ならびに100mg/mlのコンシズマブDPの場合、0.31mg/mlのポリソルベート80および4.4mg/mlのフェノールを含んでいた。
4.pHを、2N塩酸および/または2N水酸化ナトリウムを使用して6.0に調節し、溶液を均質化した。pHを、2N塩酸および/または2N水酸化ナトリウムを使用して6.0に調節し、溶液を均質化した。
5.注射用水を最終体積の100%に添加した。製剤を均質化した後、滅菌濾過し、カートリッジに充填する。
【0228】
結果
製造方法中の観察結果の概要は、表14で見ることができ、HMWP(%)結果の概要は、表15に見出され得る。
【表14】
【表15】
【0229】
現在特許請求されている製造方法を具体化する製造方法1では、各製造工程のすべての溶液は、溶解および均質化後に、コンシズマブ10mg/mlの医薬品および100mg/mlの医薬品の両方で透明であった。HMWP%の増加は軽度で、許容可能なレベルであった。
【0230】
製造プロセス2および3では、コンシズマブ原薬の添加前にポリソルベート80およびフェノールを添加することは、0.28~2.5mg/mlのポリソルベート80ならびに5.0および35mg/mlのフェノールの範囲内の溶液につながり、典型的な製造プロセス中では許容可能でない望ましくない乳白色を引き起こすことが示された。製造方法3では、10mg/mlのコンシズマブ製剤中のpHを、コンシズマブ原薬の添加後に、2N HClを添加することによって調節した。これは、3.2%のHMWPの増加を引き起こし、これは許容可能であるとみなされない。
【0231】
製造方法4~7は、コンシズマブ原薬の後に、またはそれと同時にフェノールを添加すると、激しい(heavy)不溶性の沈殿が引き起こされることを示した。激しい(heavy)沈殿により、溶液を濾過することが難しくなり、したがって、製造方法4~7内の製剤の大部分は、フェノールの添加後に中止した。製造方法5では、10mg/mlのコンシズマブ製剤が完成した。この製剤では、1.9%のHMWPの増加が観察され、これは許容可能であるとみなされない。
【0232】
実施例7:防腐剤および界面活性剤の異なる組み合わせ
試験された組成物は、コンシズマブ(10mg/ml)、L-アルギニン-HCl(5.27mg/ml)、L-ヒスチジン(5.12mg/ml)、塩化ナトリウム(1.46mg/ml)、スクロース(51.3mg/ml)、表16に明記される防腐剤および界面活性剤を、水溶液中でpH6.0で含んでいた。試験された組成物を、特許請求される製造方法(実施例6の製造方法1)に従って調製した。
【表16】
【0233】
コンシズマブを含み、pH6.0を有する原薬(DS)を、WO2009/138484に記載される下流プロセスを使用して調製した。この原薬中のコンシズマブの濃度は、139mg/mlであった。界面活性剤を含まない賦形剤溶液を、注射用水(10mg/mlの最終コンシズマブDPの体積の75%)中でL-アルギニンHCl、Lヒスチジン、スクロース、塩化ナトリウム、および防腐剤を溶解することによって調製した。2N塩酸および/または2N水酸化ナトリウムを使用してpHを6.0に調節し、溶液を均質化する。コンシズマブ原薬を溶液に添加し、均質化した。界面活性剤を添加し、均質化した。注射用水を最終体積の100%に添加する。製剤を混合し、均質化した後、滅菌濾過し、1.5mlのカートリッジに充填した。
【0234】
調製中、界面活性剤を添加した後の賦形剤溶液および原薬を含む溶液中で、バッチ4および5(それぞれ、ポリソルベート20およびポリソルベート80と組み合わせたm-クレゾール)で望ましくない乳白色が観察された。これは、実施例2の表5の観察と一致する。
【0235】
バッチを30℃および40℃で貯蔵し、その安定性を4週間モニタリングした。調製された組成物の化学的安定性は、アッセイIIに記載されるように、HMWPの形成を測定することによって決定した。結果を、それぞれ表17および表18に示す。
【表17】
【表18】
【0236】
結果は、すべてのバッチが調製後に同様のレベルのHMWP(%)を有することを示す。表17の結果は、すべてのバッチの化学的安定性が、30℃で4週間貯蔵されたとき、一定のままであることを示す。表18の結果は、使用される界面活性剤にかかわらず、防腐剤フェノール、クロロブタノール、またはベンジルアルコールで調製されたバッチの安定性の傾向が類似していることを示す。安定性の傾向は、フェノールと比較してクロロブタノールで調製されたバッチでわずかにより好ましいが、ベンジルアルコールで調製されたバッチは、わずかにより好ましくない。さらに、バッチ6は、m-クレゾールおよびポロキサマー188で調製され、その後、ベンジルアルコールで調製されたバッチと類似した傾向であった。しかしながら、ポリソルベート20およびポリソルベート80と組み合わせたm-クレゾールで調製されたバッチは、フェノールで調製されたバッチと比較して、HWMP(%)のはるかに急激な増加を有する。
【0237】
この研究は、3つの界面活性剤ポリソルベート20(0.25mg/ml)、ポリソルベート80(0.25mg/ml)、およびポロキシマー188(1.0mg/ml)すべてと組み合わせた防腐剤フェノール(4mg/ml)、クロロブタノール(5mg/ml)、またはベンジルアルコール(10mg/ml)を使用して、特許請求される製造方法に従って調製されたコンシズマブ10mg/mlを調製することが可能であることを示す。さらに、界面活性剤ポロキサマー188と組み合わせた防腐剤m-クレゾールを使用して、コンシズマブ10mg/mlを調製することが可能である。しかしながら、ポリソルベート20またはポリソルベート80のいずれかとの組み合わせたm-クレゾールを使用したコンシズマブ10mg/mlの調製は、生産中に望ましくない乳白色を引き起こし、40℃で4週間貯蔵中にHMWP(%)の急激な増加を引き起こす。
【0238】
実施例8:NN7415(コンシズマブ)第3相エクスプローラー7および8(NN7415-4311およびNN7415-4307)試験
エクスプローラー7
これは、4つの群での前向き、多施設、非盲検の臨床試験である。試験は、インヒビターを有する血友病AまたはBを有する成人および青年期の若者(≧12歳)の出血エピソード数の低減における、予防法なし(バイパス剤によるオンデマンド治療)に対する毎日の皮下コンシズマブ予防法の効果および安全性の評価を目的としている。
【0239】
最初に、患者を、試験前の治療レジメンに基づいて、無作為化または非無作為化治療群への割り当てに割り付けた。
【0240】
試験は、主要部分(24または32週間)、延長部分(最大136週間)、および安全性追跡部分(7週間)から成る。試験の主要部分は、患者が少なくとも24週間の参加(群1)または32週間の参加(群2、3、および4)を完了したときに、患者に対して完了となる。試験の主要部分の完了後、すべての患者を、試験の延長部分で継続し、さらに136週間までのコンシズマブによる治療を受けるために招待する。
【0241】
エクスプローラー8:
これは、2つの無作為化群および2つの非無作為化群での前向き、多施設、非盲検臨床試験である。試験は、インヒビターのない血友病AまたはBを有する成人および青年期の若者(≧12歳)における、予防法なし(バイパス剤によるオンデマンド治療)に対する毎日の皮下コンシズマブ予防法の効果および安全性の評価を目的としている。スクリーニング後、患者を、試験前の治療レジメンに基づいて、無作為化または非無作為化治療群への割り当てに割り付けた。
【0242】
試験は、主要部分(24または32週間)、延長部分(最大136週間)、および安全性追跡部分(7週間)から成る。試験の主要部分は、患者が24週間の参加(群1)または32週間の参加(群2、3、および4)を完了したときに、患者に対して完了となる。試験の主要部分の後、すべての患者を、試験の延長部分で継続し、さらに136週間までのコンシズマブによる治療を受けるために招待する。
【0243】
両方の試験での治療(エクスプローラー7およびエクスプローラー8)
エクスプローラー7およびエクスプローラー8で使用される医薬品は、コンシズマブ40mg/mlおよびコンシズマブ100mg/mlの医薬品である。
【0244】
患者をコンシズマブ予防法に無作為化/割り当てする場合、患者は、1.0mg/kgのコンシズマブの負荷用量を受け、続いて、治療2日目から0.20mg/kgのコンシズマブの初期毎日用量を受ける。0.25mg/kgまたは0.15mg/kgのコンシズマブへの可能な用量調節は、コンシズマブ曝露レベルに基づいて、4週間後に行われる。4000ng/ml超のコンシズマブ曝露レベルを有する患者は、0.15mg/kgに用量調節される。200ng/ml未満のコンシズマブ曝露レベルを有する患者は、0.25mg/kgに用量調節される。200~4000ng/mlのコンシズマブの曝露レベルを有する患者は、0.20mg/kgのコンシズマブを受け続ける。
【0245】
本明細書に開示される方法のある特定の特徴が本明細書に例示および記載されているが、ここで、多くの修正、置換、変更、および均等物が当業者に明らかとなるであろう。したがって、添付の特許請求の範囲が、本発明の真の趣旨の範囲内にあるこうしたすべての修正および変更を網羅することを意図していることが理解されるべきである。
【配列表】