(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-11
(45)【発行日】2023-05-19
(54)【発明の名称】アルデヒドの製造方法
(51)【国際特許分類】
C07C 45/50 20060101AFI20230512BHJP
C07C 47/02 20060101ALI20230512BHJP
B01J 31/20 20060101ALI20230512BHJP
C07B 61/00 20060101ALN20230512BHJP
【FI】
C07C45/50
C07C47/02
B01J31/20 Z
C07B61/00 300
(21)【出願番号】P 2022566977
(86)(22)【出願日】2021-12-02
(86)【国際出願番号】 JP2021044289
(87)【国際公開番号】W WO2022118917
(87)【国際公開日】2022-06-09
【審査請求日】2023-03-02
(31)【優先権主張番号】P 2020201432
(32)【優先日】2020-12-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】312004880
【氏名又は名称】KHネオケム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】岸本 茂久
(72)【発明者】
【氏名】大形 悠佑
(72)【発明者】
【氏名】金田 陽一
(72)【発明者】
【氏名】北畠 功之
【審査官】中村 政彦
(56)【参考文献】
【文献】英国特許出願公告第00702204(GB,A)
【文献】国際公開第2013/014959(WO,A1)
【文献】特開2007-302669(JP,A)
【文献】特開2001-187759(JP,A)
【文献】特表2001-509496(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第111909014(CN,A)
【文献】特開2000-344695(JP,A)
【文献】特開2002-053501(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第111470962(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C 45/00
C07C 47/00
B01J 31/00
C07B 61/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジイソブチレン(DIB)と、一酸化炭素および水素と、をコバルト系触媒の存在下で反応させて3,5,5-トリメチルヘキサナールを製造する方法であって、
DIBを一酸化炭素および水素と、コバルト系触媒の存在下でDIBの転化率が50~85%に到達するまで反応させる工程(第一段反応工程)と、
前記第一段反応工程で得られた反応物より未反応DIBを分離する工程(未反応DIBの分離工程)と、
分離された未反応DIBを一酸化炭素および水素と、コバルト系触媒の存在下で反応させる工程(第二段反応工程)と、
を含む、3,5,5-トリメチルヘキサナールの製造方法。
【請求項2】
前記第二段反応工程において、反応温度(℃)xとDIBに対するコバルト濃度(g/kg)yとが下記式(1)および(2)を満たす、請求項1に記載の3,5,5-トリメチルヘキサナールの製造方法。
(1)y≦8.0×10
6e
-0.09x
(2)0.1≦y≦20
【請求項3】
前記第二段反応工程において、DIBに対するコバルト濃度(g/kg)yが下記(3)を満たす、請求項2に記載の3,5,5-トリメチルヘキサナールの製造方法。
(3)0.1≦y≦15
【請求項4】
前記第二段反応工程における反応温度が180℃以下である、請求項1~3のいずれかに記載の3,5,5-トリメチルヘキサナールの製造方法。
【請求項5】
請求項1~4のいずれかに記載の製造方法で得られる3,5,5-トリメチルヘキサナールを酸化する工程を含む、3,5,5-トリメチルヘキサン酸の製造方法。
【請求項6】
ジイソブチレン(DIB)と、一酸化炭素および水素と、をコバルト系触媒の存在下で反応させて3,5,5-トリメチルヘキサナールを製造する方法において、3,5,5-トリメチルヘキサノールの生成を抑制する方法であって、
DIBを一酸化炭素および水素と、コバルト系触媒の存在下でDIBの転化率が50~85%に到達するまで反応させる工程(第一段反応工程)と、
前記第一段反応工程で得られた反応物より未反応DIBを分離する工程(未反応DIBの分離工程)と、
分離された未反応DIBを一酸化炭素および水素と、コバルト系触媒の存在下、180℃以下で反応させる工程(第二段反応工程)と、
を含む、方法。
【請求項7】
ジイソブチレン(DIB)と、一酸化炭素および水素と、をコバルト系触媒の存在下で反応させて3,5,5-トリメチルヘキサナールを製造する方法において、3,5,5-トリメチルヘキサノールに対する3,5,5-トリメチルヘキサナールの生成比(3,5,5-トリメチルヘキサナール/3,5,5-トリメチルヘキサノール)を向上させる方法であって、
DIBを一酸化炭素および水素と、コバルト系触媒の存在下でDIBの転化率が50~85%に到達するまで反応させる工程(第一段反応工程)と、
前記第一段反応工程で得られた反応物より未反応DIBを分離する工程(未反応DIBの分離工程)と、
分離された未反応DIBを一酸化炭素および水素と、コバルト系触媒の存在下、180℃以下で反応させる工程(第二段反応工程)と、
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷凍機油等の原料となるカルボン酸等の原料等として有用な3,5,5-トリメチルヘキサナールの製造方法等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、モノオレフィンを一酸化炭素および水素と反応させて、モノオレフィンよりも炭素数が1つ多い飽和脂肪族アルデヒドおよび飽和脂肪族アルコールを製造する(オキソ反応)方法は、オキソ合成プロセスとして広く用いられている。モノオレフィンを原料にオキソ反応で得られるモノオレフィンよりも炭素数が1つ多いアルデヒドは、冷凍機油等の原料等として有用なカルボン酸の原料となる。カルボン酸はアルデヒドの酸化により得られるため、所望のカルボン酸を得るためには、それに対応するアルデヒドを選択的かつ高収率で得ることが望まれている。
アルデヒドの製造方法においては、ロジウム系触媒やコバルト系触媒を使用する方法が知られているが、コバルトに比べてロジウムは高価である。従って、コバルト系触媒を用いてアルデヒドを選択的かつ高収率で得ることが望ましい。コバルト系触媒の中では、例えばコバルトカルボニル系触媒を使用する方法が知られている。この方法は、反応速度も大きく、触媒回収も容易という長所をもっている。しかし、この方法では、特許文献1にも記載されているように副生成物が多く生成するという問題があった。すなわち、反応初期にモノオレフィンからの主生成物としてモノオレフィンより炭素数の1つ多い飽和脂肪族アルデヒドが得られるが、このアルデヒドは、二次反応としての水素添加反応によりモノオレフィンより炭素数の1つ多い飽和脂肪族アルコールへ変換されるため、これがアルデヒドの収率や純度低下の原因となる。さらにアルコールは、アルデヒドと反応してアセタール由来の副生成物を生成することでさらにアルデヒド収率を低下させる。従って、このような二次反応を抑制し、アルデヒドを選択的かつ高収率で得ることが望まれており、このためアルコールの生成を抑制することが、上記方法の課題となっている。
【0003】
上記の課題を解決する方法として、特許文献1には、モノオレフィンと一酸化炭素と水素とをコバルトカルボニル系触媒存在下で反応させ、次いで反応物から未反応オレフィンを分離し、さらに該未反応オレフィンと一酸化炭素と水素とをコバルト触媒および水存在下で反応させることにより、アセタール等の生成を抑制する方法が開示されており、具体的にはブテンダイマー等が原料として使用されている。
特許文献2では、オレフィンと一酸化炭素と水素とをコバルト触媒存在下で反応させ、次いで反応物からオレフィンおよびパラフィンを含む低沸点物質を分離し、さらに該未反応オレフィンと一酸化炭素と水素とを、コバルト触媒存在下で反応させることにより、副反応を抑制する方法が開示されており、具体的にはジ-n-ブテン等が原料として使用されている。
また、特許文献3には、オレフィンと一酸化炭素と水素とをコバルト触媒存在下で反応させ、次いで反応物から未反応のモノオレフィンを分離し、さらに、該未反応のモノオレフィンと一酸化炭素と水素とを、コバルト触媒存在下で反応させる酸素含有化合物の製造法が開示されており、具体的にはブテン異性体の共二量体等が原料として使用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第4368454号公報
【文献】特開2002-53501号公報
【文献】英国特許第702204号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された方法では、アルコール生成量が多く、アルデヒド選択性が低いため、実用上満足できるものではない。
特許文献2に記載された方法でも、アセタール等の高沸成分の生成は抑制できるものの、アルコール生成量が多く、アルデヒド選択性が低いため、実用上満足できるものではない。
また、特許文献3には、イソブチレンを原料とした反応も記載されているが、未反応のイソブチレンを再度一酸化炭素と水素と反応させることについては記載されていない。
【0006】
上記事情に鑑み、本発明の目的は、冷凍機油等の原料となるカルボン酸等の原料等として有用な3,5,5-トリメチルヘキサナールを選択的に高収率で製造する方法等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[1]
ジイソブチレン(DIB)と、一酸化炭素および水素と、をコバルト系触媒の存在下で反応させて3,5,5-トリメチルヘキサナールを製造する方法であって、
DIBを一酸化炭素および水素と、コバルト系触媒の存在下でDIBの転化率が50~85%に到達するまで反応させる工程(第一段反応工程)と、
前記第一段反応工程で得られた反応物より未反応DIBを分離する工程(未反応DIBの分離工程)と、
分離された未反応DIBを一酸化炭素および水素と、コバルト系触媒の存在下で反応させる工程(第二段反応工程)と、
を含む、3,5,5-トリメチルヘキサナールの製造方法。
[2]
前記第二段反応工程において、反応温度(℃)xとDIBに対するコバルト濃度(g/kg)yとが下記式(1)および(2)を満たす、上記[1]に記載の3,5,5-トリメチルヘキサナールの製造方法。
(1)y≦8.0×106e-0.09x
(2)0.1≦y≦20
[3]
前記第二段反応工程において、DIBに対するコバルト濃度(g/kg)yが下記(3)を満たす、上記[2]に記載の3,5,5-トリメチルヘキサナールの製造方法。
(3)0.1≦y≦15
[4]
前記第二段反応工程における反応温度が180℃以下である、上記[1]~[3]のいずれかに記載の3,5,5-トリメチルヘキサナールの製造方法。
[5]
上記[1]~[4]のいずれかに記載の製造方法で得られる3,5,5-トリメチルヘキサナールを酸化する工程を含む、3,5,5-トリメチルヘキサン酸の製造方法。
[6]
ジイソブチレン(DIB)と、一酸化炭素および水素と、をコバルト系触媒の存在下で反応させて3,5,5-トリメチルヘキサナールを製造する方法において、3,5,5-トリメチルヘキサノールの生成を抑制する方法であって、
DIBを一酸化炭素および水素と、コバルト系触媒の存在下でDIBの転化率が50~85%に到達するまで反応させる工程(第一段反応工程)と、
前記第一段反応工程で得られた反応物より未反応DIBを分離する工程(未反応DIBの分離工程)と、
分離された未反応DIBを一酸化炭素および水素と、コバルト系触媒の存在下、180℃以下で反応させる工程(第二段反応工程)と、
を含む、方法。
[7]
ジイソブチレン(DIB)と、一酸化炭素および水素と、をコバルト系触媒の存在下で反応させて3,5,5-トリメチルヘキサナールを製造する方法において、3,5,5-トリメチルヘキサノールに対する3,5,5-トリメチルヘキサナールの生成比(3,5,5-トリメチルヘキサナール/3,5,5-トリメチルヘキサノール)を向上させる方法であって、
DIBを一酸化炭素および水素と、コバルト系触媒の存在下でDIBの転化率が50~85%に到達するまで反応させる工程(第一段反応工程)と、
前記第一段反応工程で得られた反応物より未反応DIBを分離する工程(未反応DIBの分離工程)と、
分離された未反応DIBを一酸化炭素および水素と、コバルト系触媒の存在下、180℃以下で反応させる工程(第二段反応工程)と、
を含む、方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、冷凍機油等の原料となるカルボン酸等の原料等として有用な3,5,5-トリメチルヘキサナールを選択的に高収率で製造する方法等を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】工業的連続反応装置を用いて本発明の製造方法を実施する場合のフローの一例である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」ともいう。)について詳細に説明する。なお、本発明は、本実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
【0011】
本実施形態の3,5,5-トリメチルヘキサナールの製造方法は、
ジイソブチレン(DIB)と、一酸化炭素および水素と、をコバルト系触媒の存在下で反応させて3,5,5-トリメチルヘキサナールを製造する方法であって、
DIBを一酸化炭素および水素と、コバルト系触媒の存在下でDIBの転化率が50~85%に到達するまで反応させる工程(第一段反応工程)と、
前記第一段反応工程で得られた反応物より未反応DIBを分離する工程(未反応DIBの分離工程)と、
分離された未反応DIBを一酸化炭素および水素と、コバルト系触媒の存在下で反応させる工程(第二段反応工程)と、
を含む、製造方法である。
本実施形態の製造方法で得られる3,5,5-トリメチルヘキサナール(以下、「ホルミル体」ともいう。)は、いかなる立体構造を有するものであってもよく、それらの混合物であってもよい。
【0012】
以下、本実施形態のホルミル体の製造方法について説明する。
本実施形態のホルミル体の製造方法において、ホルミル体は、DIBを原料として、後述する二段の反応工程を含む三段の工程を含む方法により製造することができる。
【0013】
(第一段反応工程)
本実施形態のホルミル体の製造方法における第一段反応工程は、DIBを一酸化炭素および水素と、コバルト系触媒の存在下でDIBの転化率が50~85%に到達するまで反応させる工程である。本工程では、DIBを一酸化炭素および水素とコバルト系触媒の存在下で反応させ(ヒドロホルミル化反応)、DIBの転化率が50~85%に到達した時点で反応を止める。
【0014】
原料であるDIBは、市販のものを使用してもよく、公知の方法に従って製造してもよい。公知の方法に従って製造する場合、例えば、特開2013-010717に記載のように、流動接触分解(FCC)やエチレンプラントより生成するC4留分からイソブテンを選択的に硫酸と反応させて硫酸イソブチルとして分離し、その後加熱分解することで製造することができる。
【0015】
DIBとしては、2,2,4-トリメチル-1-ペンテン(TM-1)、2,2,4-トリメチル-2-ペンテン(TM-2)、又はその混合物を用いることができる。両者を混合して用いる場合の混合比率としては特に限定されないが、反応性の観点から、TM-1/TM-2比が0.5以上であることが好ましく、1.0以上であることがより好ましく、2.0以上であることがさらに好ましい。
【0016】
原料としてのDIBには、上述したTM-1、TM-2の他に、DIB製造時の原料イソブチレンに含まれる1-ブテン、2-ブテンから副生するC8オレフィン等のその他の成分が一部含まれていてもよい。
【0017】
ヒドロホルミル化反応においては、一般的なヒドロホルミル化反応に用いられるコバルト系触媒が使用可能である。コバルト系触媒としては、例えば、コバルトの酸化物、アセチルアセトナート塩、各種カルボン酸塩、ナトリウム塩、塩化物、カルボニル錯体等が挙げられる。より具体的には、Co2(CO)8、Co4(CO)12、Co6(CO)16、NaCo(CO)4、HCo(CO)4、[Co(CO)3(C5H5)]2(式中、C5H5はシクロペンタジエニル基を表す。)等のコバルトのカルボニル錯体、酸化コバルト、水酸化コバルト、酢酸コバルト、2-エチルヘキサン酸コバルト等が挙げられる。中でも、コバルトのカルボニル錯体や水酸化コバルトが好ましい。これらのコバルト系触媒は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0018】
コバルト濃度は、DIBに対して通常0.01~15g/kgであり、好ましくは0.1~10g/kg、より好ましくは0.3~5g/kgの範囲内にある。DIBに対するコバルト濃度が15g/kg以下であると、反応制御が容易となり所望の転化率で反応を止め易くなる傾向にある。さらに、触媒の沈殿物が生じ難くなる傾向にある。一方で、DIBに対するコバルト濃度が0.01g/kg以上であると、反応速度の低下が抑制され、所望の転化率まで反応させるために必要な反応時間が短くなる傾向にある。
【0019】
ヒドロホルミル化反応は、溶媒を使用せずに行うことも可能であるが、溶媒を使用することもできる。溶媒としては、DIBおよびコバルト系触媒を溶解するものであれば特に限定されない。溶媒の具体例としては、例えば、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、2-エチルヘキサノール、2-オクタノール等のアルコール類;酢酸ブチル、酢酸シクロヘキシル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジ(2-エチルヘキシル)、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジイソデシル、トリメリット酸トリイソノニル等のエステル類;ペンタン、ヘキサン、へプタン、オクタン、イソオクタン、デカン、ドデカン、テトラデカン等の飽和脂肪族炭化水素類;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、シクロオクタン、シクロドデカン、デカリン等の脂環式炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン、アルキルナフタレン等の芳香族炭化水素類;ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類;アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル類等が挙げられる。これらの溶媒は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0020】
ヒドロホルミル化反応の温度は、通常40~180℃であり、好ましくは80~170℃、より好ましくは100~160℃の範囲内である。40℃以上の温度で実施すると、反応速度が向上する傾向にある。一方で、180℃以下の温度で実施すると、一次反応生成物であるアルデヒドから二次反応で生じるアルコール、さらにアルコールから生じるアセタールやエーテル等の副生物の生成量が減少し、反応の収率が向上する傾向にある。
【0021】
ヒドロホルミル化反応は、一酸化炭素と水素との混合ガス(以下、「合成ガス」ともいう。)による加圧下で実施することが好ましい。その際、一酸化炭素と水素は各々独立に反応系内に導入することも、また、予め合成ガスを調製して反応系内に導入することも可能である。反応系内に導入する合成ガスのモル比(=H2/CO)は、通常0.2~5.0、好ましくは0.5~2.0、より好ましくは0.7~1.5の範囲内にある。なお、反応系中にヒドロホルミル化反応に対して不活性なガス、例えばメタン、エタン、プロパン、窒素、ヘリウム、アルゴン、炭酸ガス等が共存していてもよい。
【0022】
ヒドロホルミル化反応は、通常0.2~40MPaGの範囲内の圧力で実施し、好ましくは5~35MPaGの範囲内の圧力で、より好ましくは10~30MPaGの範囲内の圧力で実施する。0.2MPaG以上の圧力で実施すると、コバルト系触媒の安定性が増す傾向にあり(反応系中での触媒析出を抑制)、40MPaG以下の圧力で実施すると、設備の初期投資を抑制できる傾向にある。
【0023】
第一段反応工程における反応は、DIBの転化率が50~85%に到達した時点で反応を止めるが、アルコールの生成を抑制する等の観点から、50~80%に到達した時点で反応を止めるのが好ましく、50~75%に到達した時点で反応を止めるのがより好ましく、60~75%に到達した時点で反応を止めるのがさらに好ましい。DIBの転化率は、ガスクロマトグラフィー等の分析値より算出され、具体的には後述する実施例に記載された方法に従って求めることができる。
【0024】
第一段反応工程においては、ヒドロホルミル化反応後に、中和水洗工程を経ることが好ましい。中和水洗工程においては、例えば、ヒドロホルミル化反応終了後、系内にアルカリ金属化合物またはアルカリ土類金属化合物の水溶液を加えることによりコバルト系触媒を抽出、除去することができる。アルカリ金属化合物またはアルカリ土類金属化合物としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム等の水酸化物、金属塩等があげられる。
【0025】
第一段反応工程において、ヒドロホルミル化反応の反応形式は、特に限定されず、公知の反応装置を用いた回分式でも、連続式でも実施することができる。反応装置としては、具体的には、撹拌式反応槽、塔型反応槽または管型反応槽のいずれでも実施が可能である。
【0026】
(未反応DIBの分離工程)
本実施形態のホルミル体の製造方法においては、上記第一段反応工程で得られた反応物より未反応DIBを分離する工程(未反応DIBの分離工程)を行う。本工程においては、第一段反応工程で得られた反応組成物またはコバルト系触媒の除去処理を行った該反応組成物から、公知の精製方法により、未反応DIBを分離することができる。
【0027】
公知の精製方法としては、例えば蒸留、吸着、クロマトグラフィー等が挙げられる。中でも、交換を必要とする固定相が不要であるため蒸留が好ましく、減圧蒸留がより好ましい。蒸留操作における条件は、特に限定されない。
【0028】
また、精製後の未反応DIBにはパラフィンが含まれていてもよく、そのまま第二段反応工程の原料としてもよい。
【0029】
(第二段反応工程)
本実施形態のホルミル体の製造方法においては、上記未反応DIBの分離工程において分離された未反応DIBを一酸化炭素および水素と、コバルト系触媒の存在下で反応させる工程(第二段反応工程)を行う。本工程においては、分離された未反応DIBを、ヒドロホルミル化反応に付す。
【0030】
なお、ここで、ヒドロホルミル化反応に付すDIBは、分離された未反応DIBに加えて新たなDIBを混合してもよい。混合する場合の新たなDIBの量は、アルデヒドをより選択的に高収率で得る観点から、未反応DIBと新たなDIBとの全量の75質量%以下であることが好ましく、50質量%以下であることがより好ましく、30質量%以下であることがさらに好ましく、15質量%以下であることが特に好ましい。
【0031】
第二段反応工程におけるヒドロホルミル化反応時のコバルト系触媒、溶媒および合成ガスのモル比は、前記第一段反応工程の条件に準じて選択することができる。
ヒドロホルミル化反応時の圧力は、第一段反応工程と同様の理由から、通常0.2~40MPaGであり、5~35MPaGであることが好ましく、10~30MPaGであることがより好ましく、15~30MPaGであることがさらに好ましい。
【0032】
また、第二段反応工程においては、ヒドロホルミル化反応時のDIBに対するコバルト濃度が0.1~20g/kgであり、かつ、反応温度が100~210℃の範囲内であることが好ましい。中でも、反応温度(℃)xとDIBに対するコバルト濃度(g/kg)yとが下記式(1)および(2)を満たすことがより好ましい。
(1)y≦8.0×106e-0.09x
(2)0.1≦y≦20
反応温度(℃)xとDIBに対するコバルト濃度(g/kg)yとが上記式(1)および(2)を満たす場合、アルコールの生成を抑制しつつ、アルデヒドを高収率で得られる傾向にある。
【0033】
DIBに対するコバルト濃度(g/kg)yは、反応制御の容易さ、触媒の安定性の観点から、下記式(3)を満たすことがさらに好ましい。
(3)0.1≦y≦15
【0034】
また、別の角度からは、第二段反応工程におけるヒドロホルミル化反応時の反応温度は、アルコールの生成を抑える観点から、180℃以下であることが好ましく、170℃以下であることがより好ましく、165℃以下であることがさらに好ましい。
【0035】
第二段反応工程においては、アルデヒドを高収率で得る観点から、未反応DIBの転化率が60~100%に到達した時点で反応を止めることが好ましく、70~95%に到達した時点で反応を止めることがより好ましい。
【0036】
第二段反応工程終了後、上記第一段反応工程で記載した方法と同様にしてコバルト系触媒の除去を行うことが好ましい。
【0037】
第二段反応工程において、ヒドロホルミル化反応の反応形式は、特に限定されず、公知の反応装置を用いた回分式でも、連続式でも実施することができる。反応装置としては、具体的には、撹拌式反応槽、塔型反応槽または管型反応槽のいずれでも実施が可能である。
【0038】
第一段反応工程後の反応組成物や未反応DIB等を分離した粗アルデヒドを含む組成物、第二段反応工程で得られた反応組成物またはコバルト系触媒の除去処理を行った反応組成物から、公知の精製方法によりホルミル体を精製することができる。このとき、第一段反応工程由来の組成物と第二段反応工程由来の組成物とを別々に精製してもよいし、まとめて精製してもよい。公知の精製方法としては、例えば吸着や抽出、中和水洗、蒸留、吸着、クロマトグラフィー、晶析等が挙げられ、これらの方法を適宜組み合わせてもよい。中でも、蒸留が好ましく、減圧蒸留がより好ましい。蒸留操作における条件は、特に限定されない。
【0039】
図1に工業的連続反応装置を用いて本実施形態のホルミル体の製造方法を実施する場合のフローの一例を示す。
原料であるDIBは原料供給配管1を通って、水素と一酸化炭素の混合ガスは配管2を通って、第一段目反応器3に供給される。反応器3を出た液は、未反応DIB回収装置4にて未反応DIBを含有する液とホルミル体を含有する液とに分離される。ホルミル体を含有する液は、アルデヒド精製装置5にて精製され、精製アルデヒド10が得られる。
【0040】
未反応DIBを含有する液は第二段反応原料供給配管6を通って、水素と一酸化炭素の混合ガスは配管7を通って、第二段目反応器8に供給される。反応器8を出た液は、アルデヒド精製装置9にて精製され、精製アルデヒド10が得られる。
【0041】
第一段目反応器3から出た液は、触媒分離装置(図示されていない)にて触媒が分離され、触媒が分離された液が、未反応DIB回収装置4に供給されてもよい。また、第2段目反応器8に供給される液に、新たなDIBを混合してもよく、第二段反応触媒添加装置(図示されていない)により触媒が添加され、反応器8から出た液から、触媒分離装置(図示されていない)にて触媒が分離され、触媒が分離された液が、アルデヒド精製装置9に供給されてもよい。
【0042】
本実施形態のホルミル体の製造方法によれば、DIBから3,5,5-トリメチルヘキサナールを選択的にかつ高収率で製造することができる。
【0043】
本実施形態のホルミル体の製造方法で得られる3,5,5-トリメチルヘキサナールは、冷凍機油等の原料となるカルボン酸等の原料として有用な他、アルコール、アルドール、エステル、アミン等の原料として使用することもできる。
【0044】
本実施形態は、DIBと、一酸化炭素および水素と、をコバルト系触媒の存在下で反応させて3,5,5-トリメチルヘキサナールを製造する方法において、3,5,5-トリメチルヘキサノールの生成を抑制する方法であって、
DIBを一酸化炭素および水素と、コバルト系触媒の存在下でDIBの転化率が50~85%に到達するまで反応させる工程(第一段反応工程)と、
前記第一段反応工程で得られた反応物より未反応DIBを分離する工程(未反応DIBの分離工程)と、
分離された未反応DIBを一酸化炭素および水素と、コバルト系触媒の存在下、180℃以下で反応させる工程(第二段反応工程)と、
を含む、方法を包含する。
【0045】
また、本実施形態は、DIBと、一酸化炭素および水素と、をコバルト系触媒の存在下で反応させて3,5,5-トリメチルヘキサナールを製造する方法において、3,5,5-トリメチルヘキサノールに対する3,5,5-トリメチルヘキサナールの生成比(3,5,5-トリメチルヘキサナール/3,5,5-トリメチルヘキサノール)を向上させる方法であって、
DIBを一酸化炭素および水素と、コバルト系触媒の存在下でDIBの転化率が50~85%に到達するまで反応させる工程(第一段反応工程)と、
前記第一段反応工程で得られた反応物より未反応DIBを分離する工程(未反応DIBの分離工程)と、
分離された未反応DIBを一酸化炭素および水素と、コバルト系触媒の存在下、180℃以下で反応させる工程(第二段反応工程)と、
を含む、方法を包含する。
【0046】
上記方法における3,5,5-トリメチルヘキサノールに対する3,5,5-トリメチルヘキサナールの生成比(3,5,5-トリメチルヘキサナール/3,5,5-トリメチルヘキサノール)は、好ましくは30以上であり、より好ましくは40以上であり、さらに好ましくは50以上である。
【0047】
本実施形態の3,5,5-トリメチルヘキサン酸の製造方法は、上記で得られた3,5,5-トリメチルヘキサナールを酸化する工程を含む、製造方法である。
本実施形態の製造方法で得られる3,5,5-トリメチルヘキサン酸は、いかなる立体構造を有するものであってもよく、それらの混合物であってもよい。
【0048】
3,5,5-トリメチルヘキサナールを酸化する工程は、通常の酸化方法で実施することができ、例えば、特開2001-11009号公報等に記載の方法に従い実施することができる。
【実施例】
【0049】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
DIBの転化率並びに反応後の反応液組成、アルデヒド収率およびアルコール収率は、水素炎イオン検出器付ガスクロマトグラフィーにて分析した。
[水素炎イオン検出器付ガスクロマトグラフィー]
<純度分析時の測定条件>
・装置:SHIMADZU社製ガスクロマトグラフGC-2014
・カラム:AgilentTechnologies社製DB-1(カラム長30m、内径0.25mm、膜厚0.25μm)
・昇温条件:40℃で10分間保持した後、1分あたり8℃の昇温速度で320℃まで昇温し、15分間保持した。
・試料注入部の温度:320℃
・検出器の温度:330℃
【0050】
[実施例1]
(第一段反応工程A)
HCo(CO)4が溶解したDIB(組成:2,2,4-トリメチル-1-ペンテン76質量%、2,2,4-トリメチル-2-ペンテン21質量%、その他3質量%)213.3g(DIBに対するコバルト濃度:1.0g/kg)を500mlSUS316製オートクレーブに仕込み、オートクレーブ内を窒素置換した。次いで水素と一酸化炭素の混合ガス(H2/CO=1.3)にてオートクレーブ内を置換した後、圧力16MPaGとなるように上記混合ガスを供給した。このオートクレーブを電気炉に入れ徐々に昇温して温度が150℃に達してから、オートクレーブ内の圧力が20MPaGで一定となるように上記混合ガスをさらに供給し、0.8時間反応させた。ガスクロマトグラフィーで測定したところ、反応後のDIBの転化率は74%であった。このときのガスクロマトグラフィーで測定した反応液組成を表1に示す。
【0051】
(第二段反応工程)
第二反応工程の原料としては、第一段反応工程Aの反応液から低沸成分(DIB、C8パラフィン)を蒸留精製により回収した想定で組み立て液を作成して用いた。組み立て液Aの組成を表2に示す。
【0052】
HCo(CO)4が溶解した組み立て液A213.3g(DIBに対するコバルト濃度:10.8g/kg)を500mlSUS316製オートクレーブに仕込み、オートクレーブ内を窒素置換した。次いで水素と一酸化炭素の混合ガス(H2/CO=1.3)にてオートクレーブ内を置換した後、圧力16MPaGとなるように上記混合ガスを供給した。このオートクレーブを電気炉に入れ徐々に昇温して温度が120℃に達してから、オートクレーブ内の圧力が20MPaGで一定となるように上記混合ガスをさらに供給し、4時間反応させた。ガスクロマトグラフィーで測定したところ、反応後のDIBの転化率は90.7%であり、アルデヒド収率は65.1%、アルコール収率は0.9%であった。二段通算のアルデヒド収率は75.8%、アルコール収率は1.0%であり、アルデヒド/アルコール比は73.8であった。
【0053】
[実施例2]
第二段反応工程におけるDIBに対するコバルト濃度を5.3g/kgとし、反応温度を130℃とし、反応時間を3時間としたこと以外は、実施例1の第二段反応工程と同様の反応を行った。
反応後のDIBの転化率は90.5%であり、アルデヒド収率は65.6%、アルコール収率は1.5%であった。また、二段通算のアルデヒド収率は76.0%、アルコール収率は1.2%であり、アルデヒド/アルコール比は63.8であった。
【0054】
[実施例3]
第二段反応工程におけるDIBに対するコバルト濃度を11.1g/kgとし、反応温度を140℃とし、反応時間を1時間としたこと以外は、実施例1の第二段反応工程と同様の反応を行った。反応後のDIBの転化率は95.5%であり、アルデヒド収率は67.6%、アルコール収率は2.7%であった。また、二段通算のアルデヒド収率は76.5%、アルコール収率は1.5%であり、アルデヒド/アルコール比は51.1であった。
【0055】
[実施例4]
第二段反応工程におけるDIBに対するコバルト濃度を1.4g/kgとし、反応温度を140℃とし、反応時間を4時間としたこと以外は、実施例1の第二段反応工程と同様の反応を行った。反応後のDIBの転化率は89.3%であり、アルデヒド収率は66.3%、アルコール収率は1.6%であった。また、二段通算のアルデヒド収率は76.1%、アルコール収率は1.2%であり、アルデヒド/アルコール比は62.6であった。
【0056】
[実施例5]
第二段反応工程におけるDIBに対するコバルト濃度を2.8g/kgとし、反応温度を150℃とし、反応時間を1時間としたこと以外は、実施例1の第二段反応工程と同様の反応を行った。反応後のDIBの転化率は89.8%であり、アルデヒド収率は66.5%、アルコール収率は2.3%であった。また、二段通算のアルデヒド収率は76.2%、アルコール収率は1.4%であり、アルデヒド/アルコール比は54.8であった。
【0057】
[実施例6]
第二段反応工程におけるDIBに対するコバルト濃度を1.3g/kgとし、反応温度を150℃とし、反応時間を2時間としたこと以外は、実施例1の第二段反応工程と同様の反応を行った。反応後のDIBの転化率は90.4%であり、アルデヒド収率は63.1%、アルコール収率は2.1%であった。また、二段通算のアルデヒド収率は75.3%、アルコール収率は1.3%であり、アルデヒド/アルコール比は56.2であった。
【0058】
[実施例7]
第二段反応工程におけるDIBに対するコバルト濃度を0.71g/kgとし、反応温度を150℃とし、反応時間を4時間としたこと以外は、実施例1の第二段反応工程と同様の反応を行った。反応後のDIBの転化率は91.4%であり、アルデヒド収率は67.1%、アルコール収率は2.4%であった。また、二段通算のアルデヒド収率は76.4%、アルコール収率は1.4%であり、アルデヒド/アルコール比は53.5であった。
【0059】
[実施例8]
第二段反応工程におけるDIBに対するコバルト濃度を1.4g/kgとし、反応温度を160℃とし、反応時間を0.5時間としたこと以外は、実施例1の第二段反応工程と同様の反応を行った。反応後のDIBの転化率は86.5%であり、アルデヒド収率は56.2%、アルコール収率は1.5%であった。また、二段通算のアルデヒド収率は73.5%、アルコール収率は1.2%であり、アルデヒド/アルコール比は61.0であった。
【0060】
[実施例9]
第二段反応工程におけるDIBに対するコバルト濃度を0.68g/kgとし、反応温度を160℃とし、反応時間を2時間としたこと以外は、実施例1の第二段反応工程と同様の反応を行った。反応後のDIBの転化率は90.8%であり、アルデヒド収率は64.3%、アルコール収率は2.6%であった。また、二段通算のアルデヒド収率は75.6%、アルコール収率は1.5%であり、アルデヒド/アルコール比は50.9であった。
【0061】
[実施例10]
第二段反応工程におけるDIBに対するコバルト濃度を1.4g/kgとし、反応温度を170℃とし、反応時間を0.5時間としたこと以外は、実施例1の第二段反応工程と同様の反応を行った。反応後のDIBの転化率は88.5%であり、アルデヒド収率は64.0%、アルコール収率は3.6%であった。また、二段通算のアルデヒド収率は75.6%、アルコール収率は1.7%であり、アルデヒド/アルコール比は43.6であった。
【0062】
[実施例11]
第二段反応工程におけるDIBに対するコバルト濃度を0.13g/kgとし、反応温度を170℃とし、反応時間を5時間としたこと以外は、実施例1の第二段反応工程と同様の反応を行った。反応後のDIBの転化率は89.5%であり、アルデヒド収率は65.4%、アルコール収率は3.3%であった。また、二段通算のアルデヒド収率は75.9%、アルコール収率は1.7%であり、アルデヒド/アルコール比は45.5であった。
【0063】
[実施例12]
第二段反応工程におけるDIBに対するコバルト濃度を0.41g/kgとし、反応温度を180℃とし、反応時間を1時間としたこと以外は、実施例1の第二段反応工程と同様の反応を行った。反応後のDIBの転化率は90.4%であり、アルデヒド収率は57.3%、アルコール収率は4.6%であった。また、二段通算のアルデヒド収率は73.7%、アルコール収率は2.0%であり、アルデヒド/アルコール比は36.5であった。
【0064】
[実施例13]
第二段反応工程におけるDIBに対するコバルト濃度を0.12g/kgとし、反応温度を190℃とし、反応時間を2時間としたこと以外は、実施例1の第二段反応工程と同様の反応を行った。反応後のDIBの転化率は88.0%であり、アルデヒド収率は56.7%、アルコール収率は5.8%であった。また、二段通算のアルデヒド収率は73.6%、アルコール収率は2.3%であり、アルデヒド/アルコール比は31.6であった。
【0065】
[実施例14]
(第一段反応工程B)
HCo(CO)4が溶解したDIB(組成:2,2,4-トリメチル-1-ペンテン76質量%、2,2,4-トリメチル-2-ペンテン21質量%、その他3質量%)213.3g(DIBに対するコバルト濃度:1.0g/kg)を500mlSUS316製オートクレーブに仕込み、オートクレーブ内を窒素置換した。次いで水素と一酸化炭素の混合ガス(H2/CO=1.3)にてオートクレーブ内を置換した後、圧力16MPaGとなるように上記混合ガスを供給した。このオートクレーブを電気炉に入れ徐々に昇温して温度が150℃に達してから、オートクレーブ内の圧力が20MPaGで一定となるように上記混合ガスをさらに供給し、0.5時間反応させた。ガスクロマトグラフィーで測定したところ、反応後のDIBの転化率は54%であった。このときのガスクロマトグラフィーで測定した反応液組成を表1に示す。
【0066】
(第二段反応工程)
第二段反応工程の原料としては、第一段反応工程Bの反応液から低沸成分(DIB、C8パラフィン)を蒸留精製により回収した想定で組み立て液を作成して用いた。組み立て液Bの組成を表2に示す。
組み立て液Aの代わりに組み立て液Bを用い、DIBに対するコバルト濃度を1.3g/kgとし、反応温度を150℃とし、反応時間を2時間としたこと以外は、実施例1の第二段反応工程と同様の反応を行った。反応後のDIBの転化率は91.5%であり、アルデヒド収率は67.0%、アルコール収率は2.3%であった。また、二段通算のアルデヒド収率は72.5%、アルコール収率は1.3%であり、アルデヒド/アルコール比は54.9であった。
【0067】
【0068】
【0069】
[比較例1(一段法)]
HCo(CO)4が溶解したDIB(組成:2,2,4-トリメチル-1-ペンテン76質量%、2,2,4-トリメチル-2-ペンテン21質量%、その他3質量%)430.0g(DIBに対するコバルト濃度:2.1g/kg)を1000mlSUS316製オートクレーブに仕込み、オートクレーブ内を窒素置換した。次いで水素と一酸化炭素の混合ガス(H2/CO=1.1)にてオートクレーブ内を置換した後、圧力16MPaGとなるように上記混合ガスを供給した。このオートクレーブを電気炉に入れ徐々に昇温して温度が145℃に達してから、オートクレーブ内の圧力が20MPaGで一定となるように上記混合ガスをさらに供給した。2時間反応させた時点において、転化率は96.9%であった。また、このときのアルデヒド収率は65.7%、アルコール収率は2.5%であり、アルデヒド/アルコール比は26.8であった。
【0070】
実施例1~14および比較例1の通算組成を表3及び表4に示す。実施例についての通算組成は、第一段反応工程と第二段反応工程とで得られた反応組成物の合計の組成を示す。
【0071】
【0072】
【0073】
上記結果から、本発明の製造方法は、アルデヒド収率が高く、またアルデヒド/アルコール比も高い、すなわち不純物であるアルコールが生成しにくくアルデヒド選択性が高い、3,5,5-トリメチルヘキサナールを選択的に高収率で製造することができる方法であることがわかる。
【0074】
[実施例15]
実施例1と同様にして製造後、蒸留精製して得られたアルデヒド840.1gを2Lガラス製フラスコに仕込み、系内を酸素置換した。次いで、スパージャーより酸素を280mL/分で供給した。ガラス製フラスコを徐々に昇温して温度が60℃に達してから7時間反応させた。ガスクロマトグラフィーで測定したところ、3,5,5-トリメチルヘキサン酸の収率は92%であった。
【0075】
本出願は、2020年12月4日出願の日本特許出願(特願2020-201432号)に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明により、冷凍機油等の原料となるカルボン酸等の原料等として有用な3,5,5-トリメチルヘキサナールを選択的に高収率で製造する方法等を提供することができる。
【符号の説明】
【0077】
1:原料供給配管
2:水素と一酸化炭素の混合ガス供給配管
3:第一段目反応器
4:未反応DIB回収装置
5:アルデヒド精製装置
6:第二段反応原料供給配管
7:水素と一酸化炭素の混合ガス供給配管
8:第二段目反応器
9:アルデヒド精製装置
10:精製アルデヒド