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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-12
(45)【発行日】2023-05-22
(54)【発明の名称】ピックアンドプレース装置
(51)【国際特許分類】
   B23P 19/00 20060101AFI20230515BHJP
   B25J 19/00 20060101ALI20230515BHJP
   B65G 47/90 20060101ALI20230515BHJP
【FI】
B23P19/00 301L
B25J19/00 H
B65G47/90 B
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019100061
(22)【出願日】2019-05-29
(65)【公開番号】P2020192649
(43)【公開日】2020-12-03
【審査請求日】2022-03-08
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (1)平成30年6月11日に株式会社マシンエンジニアリング内ショールームにて展示。(2)平成30年6月18日に株式会社マシンエンジニアリング、PPU ピック&プレースユニット パルス制御モータ X63シリーズ(パンフレット)にて公開。(3)平成30年6月20日~22日に東京ビッグサイトにて展示。(4)平成30年7月5日に株式会社マシンエンジニアリングウェブサイトにて公開。(5)平成30年7月9日に株式会社マシンエンジニアリングウェブサイトにて公開。(6)平成30年8月17日に株式会社マシンエンジニアリングウェブサイトにて公開。(7)平成30年8月29日に大田区産業プラザPiOにて展示。(8)平成30年9月1日に日工フォーラム2018年9月号にて公開。(9)平成30年9月1日に日工フォーラム2018年9月号WEB版にて公開。(10)平成30年9月15日にメカトロニクス2018年10月号にて公開。(11)平成30年9月15日にメカトロニクス2018年10月号WEB版にて公開。(12)平成30年9月20日に実装技術2018年10月号にて公開。(13)平成30年9月20日にオリムベクスタ株式会社高崎営業所にて販売。(14)平成30年12月19日に株式会社ササデン大阪本社にて販売。(15)平成30年12月20日に株式会社マシンエンジニアリング内にて公開。(16)平成30年12月27日にオリムベクスタ株式会社仙台営業所にて販売。(17)平成31年1月10日に新斬MONO Vol.54にて公開。(18)平成31年1月10日に新斬MONO Vol.54WEB版にて公開。(19)平成31年1月25日に株式会社マシンエンジニアリング内ショールームにて展示。(20)平成31年2月6日~8日に東京ビッグサイトにて展示。(21)平成31年2月5日にMEG 製品Guide Book2019/2020にて公開。(22)平成31年2月13日にオリムベクスタ株式会社ウェブサイトにて公開。(23)平成31年2月15日にメカトロニクス2019年3月号にて公開。(24)平成31年2月15日にメカトロニクス2019年3月号WEB版にて公開。(25)平成31年3月1日に新製品情報2019年3月号にて公開。(26)平成31年3月1日に新製品情報2019年3月号WEB版にて公開。
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (27)平成31年3月12日に株式会社ミスミグループ本社にて販売。(28)平成31年3月21日に株式会社マシンエンジニアリングシステム事業部にて販売。(29)平成31年3月22日に株式会社鳥羽洋行にて販売。(30)平成31年4月23日に株式会社ササデン大阪本社にて販売。(31)令和元年5月14日、16日~18日に株式会社マシンエンジニアリング内ショールーム、MEX金沢2019、石川県産業展示館にて展示。
(73)【特許権者】
【識別番号】000137351
【氏名又は名称】株式会社マシンエンジニアリング
(74)【代理人】
【識別番号】110001151
【氏名又は名称】あいわ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】召田 和重
【審査官】吉川 直也
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-024511(JP,A)
【文献】特開2008-273703(JP,A)
【文献】特開2019-11776(JP,A)
【文献】特開2003-184857(JP,A)
【文献】特開2009-248194(JP,A)
【文献】特開2013-165184(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23P 19/00-21/00
B25J 19/00
B65G 47/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パーツ把持部を支持するとともに曲線部を有する所定軌道を移動するヘッド部と、該ヘッド部を前記所定軌道に沿って移動させる駆動部と、前記ヘッド部の露出部と前記駆動部とを画するカバーと、を備えたピックアンドプレース装置であって、
前記カバーは、カバー本体と、回転カバーとを有しており、
前記カバー本体は、前記所定軌道の曲線部が位置する平面と平行な区画板部を有しており、
前記区画板部は、前記所定軌道に沿った形状の軌道孔を有しており、
前記回転カバーは、前記軌道孔をカバーする大きさであって、前記区画板部に並列して回転自在に設けられていると共に、その回転中心を通る径の方向に長い切欠きを有しており、
前記ヘッド部は、前記軌道孔及び前記切欠きに挿通されて前記露出部が形成され、
前記軌道孔は、前記所定軌道に沿って前記ヘッド部が移動可能であり、
前記切欠きは、前記ヘッド部が長手方向に沿って移動可能であるとともに短手方向への移動が規制されている
ことを特徴としたピックアンドプレース装置。
【請求項2】
前記切欠きの周縁と前記ヘッド部の外周面との間に弾性材が介在されていることを特徴とした請求項1に記載のピックアンドプレース装置。
【請求項3】
前記切欠きの周縁と前記ヘッド部の外周面との間に軸受が介在されていることを特徴とした請求項1に記載のピックアンドプレース装置。
【請求項4】
前記ヘッド部の外周囲にリング部材が取り付けられ、該リング部材の外周面に形成された溝に、前記切欠きの両側縁が係合されてすべり接触していることを特徴とした請求項1に記載のピックアンドプレース装置。
【請求項5】
前記ヘッド部は、外周囲から張り出して設けられたスライドカバーを有し、
前記スライドカバーの寸法は、正面視において、前記切欠きの短手方向の幅より長く、かつ、前記軌道孔の幅より長いものであることを特徴とした請求項1乃至請求項4のうちいずれか1項に記載のピックアンドプレース装置。
【請求項6】
前記回転カバーは、前記切欠きの短手方向の両側縁部分に長手方向に沿うスライドガイドを有しており、
前記スライドカバーの両側端は、前記スライドガイドに摺動可能に係合されていることを特徴とした請求項5に記載のピックアンドプレース装置。
【請求項7】
前記ヘッド部の露出部の先端に、該露出部の先端面より広い面積を有するトッププレートが取り付けられていることを特徴とした請求項1乃至請求項6のうちいずれか1項に記載のピックアンドプレース装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、自動組立て機等において、パーツをフィーダーから組み立て冶具へ供給するなどに用いられるピックアンドプレース装置に関する。
【背景技術】
【0002】
パーツをフィーダーから取り上げ(ピック)て、搬送し、組み立て冶具へ供給(プレース)する工程などに用いられる装置、いわゆるピックアンドプレース装置は、電子機器の組み立て装置などにおいて盛んに用いられている。
ピックアンドプレース装置には、パーツ搬送のための運動を作り出す駆動機構の態様から油圧・空圧式、モーター式、ソレノイド式、カム式などがあるが、いずれの場合も、パーツ把持部を支持するヘッド部が、駆動機構で動かされて曲線を有する軌道に沿って移動する(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5467435号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載されたようなピックアンドプレース装置は、パーツ把持部が取り付けられるヘッド部の移動範囲をカバーで覆うことができなかった。ところが、カバーを設けないと、装置内に手や指が入り込んで怪我をしたり、可動部のグリースが飛散して製品を汚したり、異物が入り込んでヘッド部の移動を阻害し、機器が損傷を受ける等の様々な問題を引き起こす恐れがあった。
この発明が解決しようとする課題は、ヘッド部の移動範囲にもカバーを設け、ヘッド部が移動する開口を最小限に抑え、手や異物の侵入、グリースの飛散等を防止できるピックアンドプレース装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願請求項1に係る発明は、パーツ把持部を支持するとともに曲線部を有する所定軌道を移動するヘッド部と、該ヘッド部を前記所定軌道に沿って移動させる駆動部と、前記ヘッド部の露出部と前記駆動部とを画するカバーと、を備えたピックアンドプレース装置であって、前記カバーは、カバー本体と、回転カバーとを有しており、前記カバー本体は、前記所定軌道の曲線部が位置する平面と平行な区画板部を有しており、前記区画板部は、前記所定軌道に沿った形状の軌道孔を有しており、前記回転カバーは、前記軌道孔をカバーする大きさであって、前記区画板部に並列して回転自在に設けられていると共に、その回転中心を通る径の方向に長い切欠きを有しており、前記ヘッド部は、前記軌道孔及び前記切欠きに挿通されて前記露出部が形成され、前記軌道孔は、前記所定軌道に沿って前記ヘッド部が移動可能であり、前記切欠きは、前記ヘッド部が長手方向に沿って移動可能であるとともに短手方向への移動が規制されていることを特徴としたピックアンドプレース装置である。
【0006】
本願請求項2に係る発明は、前記切欠きの周縁と前記ヘッド部の外周面との間に弾性材が介在されていることを特徴とした請求項1に記載のピックアンドプレース装置である。
【0007】
本願請求項3に係る発明は、前記切欠きの周縁と前記ヘッド部の外周面との間に軸受が介在されていることを特徴とした請求項1に記載のピックアンドプレース装置である。
【0008】
本願請求項4に係る発明は、前記ヘッド部の外周囲にリング部材が取り付けられ、該リング部材の外周面に形成された溝に、前記切欠きの両側縁が係合されてすべり接触していることを特徴とした請求項1に記載のピックアンドプレース装置である。
【0009】
本願請求項5に係る発明は、前記ヘッド部は、外周囲から張り出して設けられたスライドカバーを有し、前記スライドカバーの寸法は、正面視において、前記切欠きの短手方向の幅より長く、かつ、前記軌道孔の幅より長いものであることを特徴とした請求項1乃至請求項4のうちいずれか1項に記載のピックアンドプレース装置である。
【0010】
本願請求項6に係る発明は、前記回転カバーは、前記切欠きの短手方向の両側縁部分に長手方向に沿うスライドガイドを有しており、前記スライドカバーの両側端は、前記スライドガイドに摺動可能に係合されていることを特徴とした請求項5に記載のピックアンドプレース装置である。
【0011】
本願請求項7に係る発明は、前記ヘッド部の露出部の先端に、該露出部の先端面より広い面積を有するトッププレートが取り付けられていることを特徴とした請求項1乃至請求項6のうちいずれか1項に記載のピックアンドプレース装置である。
【発明の効果】
【0012】
本願発明によれば、カバー本体の区画板部にヘッド部の軌道に沿う軌道孔を形成したので、ヘッド部の移動範囲にもカバー本体を設けることができ、軌道孔のヘッド部が挿通されていない部分は、ヘッド部の移動に伴って回転する回転カバーで覆われるため、カバー本体の外部と内部を連通する開口が非常に小さくて済み、この結果、手や指が駆動部まで入り込んで怪我をしたり、異物が侵入して故障が発生したり、グリースが飛散して製品を汚す等の問題を防ぐことができる。
【0013】
加えて、切欠きの周縁とヘッド部の外周面との間に弾性材を介在すれば、ヘッド部が切欠きの周縁にぶつかって発生する動作音を抑制できる。
【0014】
加えて、切欠きの周縁とヘッド部の外周面との間に軸受を介在すれば、ヘッド部が切欠き内を摺動する際の摩擦を軽減でき、ヘッド部がスムーズに移動する。
【0015】
加えて、ヘッド部の外周囲にリング部材を取り付け、リング部材の外周面に形成された溝に、切欠きの両側縁を係合してすべり接触させることにより、回転カバーが厚み方向にばたつくのを抑制できる。
【0016】
加えて、ヘッド部は、外周囲から張り出して設けられたスライドカバーを有し、スライドカバーの寸法は、正面視において、切欠きの短手方向の幅より長く、かつ、軌道孔の幅より長くしたことにより、ヘッド部の周囲において切欠きをスライドカバーで覆い、駆動部の露出をさらに少なくすることができる。
【0017】
加えて、回転カバーは、切欠きの短手方向の両側縁部分に長手方向に沿うスライドガイドを有し、スライドカバーの両側端は、スライドガイドに摺動可能に係合されていることにより、スライドカバーがヘッド部に対して前後方向の動きが規制され確実にカバーをすることができる。
【0018】
加えて、ヘッド部の露出部の先端に面積が広いトッププレートを取り付ければ、パーツ把持部等を取り付けやすい。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の第1の実施形態を示すピックアンドプレース装置の斜視図である。
図2】本発明の第1の実施形態を示すピックアンドプレース装置の正面図である。
図3】本発明の第1の実施形態を示すピックアンドプレース装置の側面図である。
図4】本発明の第1の実施形態に係るカバー本体、回転カバー及びヘッド部の分解正面図である。
図5】本発明の第1の実施形態に係るカバー本体、回転カバー及びヘッド部の分解断面図である。
図6】本発明の第1の実施形態において、ヘッド部の移動による軌道孔、切欠き及びヘッド部の位置変化を回転カバーの裏側から見た図である。
図7】本発明の第2の実施形態に係るカバー本体、回転カバー及びヘッド部の要部正面図である。
図8】本発明の第2の実施形態において、ヘッド部の移動による軌道孔、切欠き、ヘッド部の位置変化を回転カバーの裏側から見た図である。
図9】本発明の第3の実施形態に係り、(イ)は回転カバー及びヘッド部の要部正面図、(ロ)は回転カバーの要部断面図、(ハ)は回転カバーの要部拡大図である。
図10】本発明の第4の実施形態に係り、(イ)は回転カバー及びヘッド部の要部正面図、(ロ)は回転カバーの要部断面図である。
図11】本発明の第5の実施形態に係るカバー本体、回転カバー及びヘッド部の要部断面図である。
図12】本発明の第6の実施形態に係るカバー本体、回転カバー及びヘッド部の要部断面図である。
図13】本発明の第7の実施形態に係り、(イ)はヘッド部の正面図、(ロ)はカバー本体、回転カバー及びヘッド部の要部断面図である。
図14】本発明の第8の実施形態に係るカバー本体、回転カバー及びヘッド部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態につき図面を参照する等して説明する。なお、本発明は、実施形態に限定されないことはいうまでもない。
【0021】
〔第1の実施形態〕
以下、本発明の第1の実施形態を図1図6と共に説明する。
図1は第1の実施形態を示すピックアンドプレース装置の斜視図であり、図2は第1の実施形態を示すピックアンドプレース装置の正面図であり、図3は第1の実施形態を示すピックアンドプレース装置の側面図であり、図4は第1の実施形態に係るカバー本体、回転カバー及びヘッド部の分解正面図であり、図5は第1の実施形態に係るカバー本体、回転カバー及びヘッド部の分解断面図であり、図6は第1の実施形態において、ヘッド部の移動による変化を示す正面図である。
【0022】
本発明のピックアンドプレース装置は、図1図3に示すように、パーツ把持部を支持するとともに曲線部を有する所定軌道を移動するヘッド部1と、ヘッド部1を所定軌道に沿って移動させる駆動部と、ヘッド部1の露出部と駆動部とを画するカバー2とを備える。
本実施形態において、ヘッド部1は、前後方向に延びる丸軸であり、カバー2の正面から外部に突出して露出部を形成し、その先端にアームを介してパーツ把持部が取り付けられる。
【0023】
駆動部は、ヘッド部1の後方に設置され、カム、アクチュエーター等を適宜組み合わせて成る図示しない駆動機構と、駆動機構を動かすモータ3を備える。また、駆動部は、ヘッド部1を垂直に上昇させた後、上方へ凸に湾曲した半円弧に沿って移動させ、次いで垂直に下降させ、垂直な平面内をアーチ状の所定軌道に沿って往復移動させる。この上方へ凸に湾曲した半円弧の部分が、本願発明の曲線部に相当する。
【0024】
カバー2は、カバー本体4と、回転カバー5とを有する。
カバー本体4は、箱形であって駆動機構の周囲を覆い、カバー本体4の背面にモータ3が取り付けられる。また、カバー本体4は、その正面に配置され、ヘッド部1の所定軌道の曲線が位置する面、即ち垂直な平面と平行な区画板部4aを有する。
区画板部4aには、ヘッド部1の所定軌道に沿う形状であるアーチ状の軌道孔6が形成され、ヘッド部1が軌道孔6に挿通されて、所定軌道に沿って移動する。
【0025】
図4及び図5に示すように、カバー本体4は、軌道孔6を境界として分離された下カバー10と上カバー11とから成る。即ち、下カバー10の正面部の上端は軌道孔6の下縁が含まれ、上カバー11の正面部の下端は軌道孔6の上縁が含まれる。このように下カバー10と上カバー11を組み立てて、その間に軌道孔6を形成すると、1枚の板にアーチ状の孔を切り抜く場合と比べて加工しやすい。また、後述する回転カバー5の回転中心軸7は下カバー10に設けられるので、上カバー11だけを取り外すと残された下カバー10側の駆動部などに容易にアクセスが可能となり、メンテナンスなどが行いやすい。
なお、軌道孔6の幅は、ヘッド部1の摺動を阻害しない最狭幅とするのが望ましい。
【0026】
回転カバー5は、軌道孔6の全体を裏からカバーする大きさを有する円形板より成り、カバー本体4の区画板部4aの裏面に並列される。
区画板部4aの裏面において、ヘッド部1の所定軌道の上下方向及び左右方向の中心位置に回転中心軸7が突設され、この回転中心軸7が回転カバー5の中心を貫通して、回転カバー5が区画板部4aに回転自在に取り付けられる。
なお、回転中心軸7の外周囲と回転カバー5との間に、すべり軸受けあるいは転がり軸受を設けると、回転カバー5がスムーズに回転する。
【0027】
回転カバー5の外周部には、回転中心を通る径の方向に長い切欠き8が形成され、切欠き8にヘッド部1が挿通されている。このように、ヘッド部1は、回転カバー5の切欠き8及びカバー本体4の軌道孔6に挿通されて露出部が形成され、カバー2がヘッド部1の露出部と駆動部とを区画している。
切欠き8の短手方向の寸法はヘッド部1の直径よりわずかに大きいだけであって、ヘッド部1は切欠き8の長手方向には移動可能であるが、短手方向への移動は規制される。
【0028】
切欠き8は、図に示す例のように回転カバー5の外周縁に開口している。長手方向の寸法は、ヘッド部1が回転中心軸7から最も離れた位置に移動しても、最も接近した位置に移動しても、ヘッド部1の摺動を規制せず、切欠き8からヘッド部1が脱出しない長さを有する。
なお、本実施の形態では、切欠き8は、回転カバー5の外周縁に開口するものであったが、外周縁に開口していなくても良く、閉じた長孔形状の切欠きでも良い。
【0029】
パーツを掴む際には、図6の(イ)に示すように、ヘッド部1が下降して軌道孔6の一端に位置している。この時、ヘッド部1は、回転カバー5の中心から最も離れ、切欠き8の外周寄りに係合している。
図6の(ロ)に示すように、駆動部によってヘッド部1を垂直に上昇させると、ヘッド部1が切欠き8を押し上げ、回転カバー5が回転する。ヘッド部1は、上昇するのに伴って回転カバー5の中心に近づき、切欠き8の奥端寄りに移動する。
【0030】
次に、図6の(ハ)に示すように、ヘッド部1が軌道孔6の半円弧状部分に沿って移動すると、回転カバー5は回転するが、ヘッド部1と回転カバー5の中心との距離は変わらないので、ヘッド部1は切欠き8に対して移動しない。
さらに、ヘッド部1が垂直に下降して軌道孔6の他端に達すると、パーツが解放される位置に移動したことになる。
【0031】
ヘッド部1が移動する間、軌道孔6は、切欠き8と一致している部分を除いて、回転カバー5で裏側から覆われ、カバー本体4のヘッド部1が移動する開口は非常に小さくて済む。
また、ヘッド部1は、駆動部の正面側で移動してパーツを搬送するので、カバー本体4の下面が開口していても、駆動部から落下したオイル等でパーツが汚れる心配はない。
【0032】
〔第2の実施形態〕
図7及び図8を参照して、本発明の第2の実施形態を説明する。なお、第1の実施形態と同様の部分については説明を省略し、主に異なる部分について説明する。
第2の実施形態において、ヘッド部1は、垂直に上昇した後、水平に移動し、さらに垂直に下降する門形のアーチ状に移動する。したがって、軌道孔6は、ヘッド部1の軌道である門形のアーチに沿って形成され、第1の実施形態における軌道孔のような円弧状の部分を有していない。
この軌道では、垂直と水平との変化する部分が曲線部で、これが本願発明の曲線部に相当する。
【0033】
パーツを掴む際には、図8の(イ)に示すように、ヘッド部1が下降して軌道孔6の一端に位置する。この時、ヘッド部1は、回転カバー5の中心から最も離れ、切欠き8の外周寄りに係合している。
図8の(ロ)に示すように、駆動部によってヘッド部1を垂直に上昇させると、ヘッド部1が切欠き8を押し上げ、回転カバー5が回転する。ヘッド部1は、上昇するのに伴って回転カバー5の中心に近づき、中心の真横に達した時に回転中心へ再接近して、切欠き8の奥端寄りに移動する。
【0034】
図8の(ハ)に示すように、ヘッド部1が軌道孔6の角部に達すると、ヘッド部1は再度切欠き8の外周寄りに移動する。
次に、図8の(ニ)に示すように、ヘッド部1が水平に移動すると、回転カバー5が回転し、ヘッド部1は、次第に回転カバー5の中心に接近し、中心の直上に達した時に回転中心へ再接近して、切欠き8の奥端寄りに移動する。
【0035】
〔第3の実施形態〕
本発明の第3の実施形態を図9とともに説明する。第1の実施形態あるいは第2の実施形態と同様の部分については説明を省略する。
図9の(イ)、(ロ)に示すように、切欠き8の周縁に沿って、帯状の弾性材12を内周側から表裏面に亘って被せてある。図9の(ハ)に示すように、切欠き8の外周への開口の両側には、切欠き8の奥端方向へ屈曲した返し部13が形成され、ヘッド部1の摺動によって弾性材12が切欠き8から脱出しないようになっている。
このように切欠き8の周縁とヘッド部1の外周面との間に弾性材12を介在すると、ヘッド部1と切欠き8のクリアランスにより、ヘッド部1の移動に伴って発生する動作音を抑制できる。
【0036】
〔第4の実施形態〕
本発明の第4の実施形態を図10とともに説明する。第1の実施形態~第3の実施形態のいずれかと同様の部分については説明を省略する。
ヘッド部1は、外周囲から張り出して設けられた四角形のスライドカバー14を有している。スライドカバー14にヘッド部1が貫通され露出部が形成され、スライドカバー14がヘッド部1に対して回転自在に設けられている。スライドカバー14の幅は、切欠き8の短軸方向の寸法よりやや広く、スライドカバー14の長さは軌道孔6の幅よりやや長い。
【0037】
回転カバー5は、切欠き8の短手方向の両側縁部分に、長手方向に沿うスライドガイド15を有している。一対のスライドガイド15に互い向き合う溝が形成されるようになっており、当該溝にスライドカバー14の両側端がスライドガイド15に摺動自在に係合されている。
本実施形態では、ヘッド部1の周囲に設けたスライドカバー14が切欠き8を塞ぐので、軌道孔6と切欠き8とが合致して回転カバー5でカバーしきれない開口がさらに小さくて済む。
【0038】
〔第5の実施形態〕
本発明の第5の実施形態を図11とともに説明する。第1の実施形態~第4の実施形態のいずれかと同様の部分については説明を省略する。
第5の実施形態は、回転カバー5の切欠き8とヘッド部1との接触による摩擦に配慮したものである。
【0039】
ヘッド部1の外周囲に転がり軸受16を取り付け、転がり軸受16を介してヘッド部1が切欠き8の周縁に接触させている。
本実施形態のように、切欠き8の周縁とヘッド部1の外周面との間に転がり軸受16を介在すれば、ヘッド部1が切欠き8の長手方向に移動する際の摩擦が軽減され、ヘッド部1がスムーズに移動する。
【0040】
〔第6の実施形態〕
図12を参照して本発明の第6の実施形態を説明する。第1の実施形態~第5の実施形態のいずれかと同様の部分については説明を省略する。
第6の実施形態は、第5の実施形態を変形したものである。本実施形態では、ヘッド部1の外周囲にリング部材17が取り付けられる。リング部材17の外周面には溝18が形成され、この溝18に切欠き8の両側縁が係合されてすべり接触させている。
本実施形態によれば、切欠き8の側縁がリング部材17の溝18に係合してヘッド部1の軸方向に位置決めされるため、回転カバー5の厚み方向のばたつきを抑制できる。
【0041】
〔第7の実施形態〕
本発明の第7の実施形態を図13とともに説明する。第1の実施形態~第6の実施形態のいずれかと同様の部分については説明を省略する。
本実施形態では、ヘッド部1の露出部の先端に、露出部の先端面より広い面積を有する四角形のトッププレート19がネジ20によって取り付けられている。トッププレート19の四隅部には固定用孔21が形成されており、これらの固定用孔21を介して、パーツ把持部を支持するアームを簡単にヘッド部1に取り付けることができる。
【0042】
〔第8の実施形態〕
本発明の第8の実施形態を図14とともに説明する。第1の実施形態~第7の実施形態のいずれかと同様の部分については説明を省略する。
本実施形態では、回転カバー5が、カバー本体4の外部において、区画板部4aの表面側に並列し、区画板部4aの表面に突出した回転中心軸7を介して回転自在に設けられている。
したがって、区画板部4aの軌道孔6は、切欠き8と合致する部分を除いて、表面側から回転カバー5で覆われる。
【0043】
〔その他の変形例〕
本願の発明はこれら実施形態に限定されない。
例えば、第1の実施形態及び第2の実施形態のように回転カバーの回転中心をヘッド部の軌道の上下方向及び左右方向の中心に一致させる必要はない。しかし、回転カバーの回転中心とヘッド部の軌道の中心を一致させると、回転カバーの面積が小さくて済み、切欠きも短くすることができて、コスト面で有利である。
【0044】
第1の実施形態及び第2の実施形態では、ヘッド部が駆動部の正面側で垂直な平面内を移動しているが、駆動部の下方を移動することも可能であり、上下方向及び左右方向だけでなく、前後方向に移動させてもよい。
また、ヘッド部がアーチ状の軌道に沿って移動するが、曲線部を有するさらに複雑な軌道に沿って移動させることもできる。
【0045】
第3の実施形態では、切欠き8に弾性材12を設けたが、これに限られない。ヘッド部に弾性材を設けて、切欠きの周縁とヘッド部の外周面との間に弾性材が介在させるようにしても良い。この場合には、リング状の弾性材をヘッド部の外周面であって、切欠きの周縁部に対応する位置に設ける。
【0046】
第4の実施形態では、スライドカバー14が回転カバー5に設けられたスライドガイド15に摺動可能に係合されたものであったが、これに限られない。スライドガイドを省略して設けても良い。この場合、スライドカバーはヘッド部の外周囲に対して、前後方向(図10(イ)において紙面奥行き方向)の移動が規制されるように設ける。形状も四角形に限られず、例えば円形でも良く、スライドカバーの寸法は、正面視において、切欠きの短手方向の幅より長く、かつ、軌道孔の幅より長いものであれば良い。
また、第4の実施形態ではスライドカバーを回転カバーの外側に設けたが、これに限られず、内側に設けても良い。
【0047】
第5の実施形態では、ヘッド部の外周に転がり軸受を設けたが、すべり軸受けを用いても良い。
【0048】
いずれの実施形態における各技術的事項を他の実施形態に適用して実施例としても良い。
【符号の説明】
【0049】
1 ヘッド部
2 カバー
3 モータ
4 カバー本体
4a 区画板部
5 回転カバー
6 軌道孔
7 回転中心軸
8 切欠き
10 下カバー
11 上カバー
12 弾性材
13 返し部
14 スライドカバー
15 スライドガイド
16 転がり軸受
17 リング部材
18 溝
19 トッププレート
20 ネジ
21 固定用孔
図1
図2
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