(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-12
(45)【発行日】2023-05-22
(54)【発明の名称】ガス測定器及びガス測定方法
(51)【国際特許分類】
G01N 27/12 20060101AFI20230515BHJP
G01N 27/00 20060101ALI20230515BHJP
【FI】
G01N27/12 B
G01N27/00 K
G01N27/12 D
(21)【出願番号】P 2020038064
(22)【出願日】2020-03-05
【審査請求日】2022-03-15
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和1年度 国立研究開発法人科学技術振興機構 研究成果展開事業 産学共創プラットフォーム共同研究推進プログラム 産業競争力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】000191009
【氏名又は名称】新東工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】304027349
【氏名又は名称】国立大学法人豊橋技術科学大学
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100161425
【氏名又は名称】大森 鉄平
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 誉久
(72)【発明者】
【氏名】野田 俊彦
(72)【発明者】
【氏名】澤田 和明
【審査官】倉持 俊輔
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第97/005476(WO,A1)
【文献】特開平08-278272(JP,A)
【文献】特開2002-096050(JP,A)
【文献】国際公開第2017/082431(WO,A1)
【文献】特開2018-179842(JP,A)
【文献】特開2020-76690(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 27/12,
G01N 27/00,
JSTPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
その上部が開放された開口を有し、ガスを透過しない材料で形成される基材と、
前記開口を塞ぐように配置され、ガスを透過する材料で形成されるフィルタと、
前記基材及び前記フィルタが画成するガス室と、
前記ガス室内に設けられるガスセンサと、
電圧または電流を印加する電源が接続され、接触した混合ガスに含まれる第1ガスと第2ガスとを反応させ第3ガスを生成し、温度に応じて前記反応が変化する触媒作用を奏する触媒部材と、
を備え、
前記フィルタには、前記触媒部材が設けられ、
前記ガスセンサは、前記触媒部材と接触したガス分子を検出す
る、
ガス測定器。
【請求項2】
前記ガスセンサを含む複数のガスセンサをさらに備え、
前記複数のガスセンサは、前記ガスセンサにより検出されるガス分子のガス種とは異なるガス分子を検出可能な別なガスセンサを含む、請求項
1に記載のガス測定器。
【請求項3】
タイミングを決定する同期信号を出力する信号発生部と、
前記触媒部材の温度を決定する制御信号と前記同期信号とに基づいて、前記同期信号によって決定されるタイミングで前記触媒部材の温度が前記制御信号によって決定される温度となるように前記電源を制御する制御部と、
前記ガスセンサの検出値を、前記同期信号によって決定されるタイミングで取得する取得部と、
前記検出値と前記制御信号とを関連付けて出力する出力部と、
をさらに備える、請求項1
又は2に記載のガス測定器。
【請求項4】
予め取得された関係と前記検出値と前記制御信号とに基づいて、ガス種を判定する判定部をさらに備え、
前記予め取得された関係は、前記ガス種と前記検出値と前記制御信号との関係である、
請求項
3に記載のガス測定器。
【請求項5】
触媒部材の温度を決定する制御信号とタイミングを決定する同期信号とに基づいて、前記同期信号によって決定されるタイミングで前記制御信号によって決定される温度となるように前記触媒部材の温度を制御し、混合ガスに含まれる第1ガスと第2ガスとを前記触媒部材の触媒作用により反応させ、第3ガスを生成する工程と、
前記触媒部材と接触したガスをガスセンサが検出する工程と、
前記ガスセンサの検出値を、前記同期信号によって決定されるタイミングで取得する工程と、
ガス種と前記検出値との予め取得された関係と、取得された前記検出値及び前記制御信号とに基づいて、前記ガス種を判定する工程と、
を備
え、
前記ガスセンサは、前記触媒部材の下流のガス室内に設けられ、
前記ガス室は、その上部が開放された開口を有しガスを透過しない材料で形成される基材と、前記開口を塞ぐように配置されガスを透過する材料で形成されるフィルタとによって画成され、
前記触媒部材は、前記フィルタに設けられる、
ガス測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ガス測定器及びガス測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、ガスセンサを開示する。ガスセンサは、Pt多孔質体で形成された電極を備える。電極に電圧が印加されると、Pt多孔質体の気孔に保持された酸素が解離する。ガスセンサは、解離された酸素によって生じる電流値を検出することで、酸素濃度を検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、測定対象とするガスは、複数の種類のガスを含むことがある。このような場合、特許文献1に記載のガスセンサは、特定のガスに特化して使用されているため、複数の種類のガスを測定できない。本開示は、複数の種類のガスを検出できるガス測定器及びガス測定方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一側面に係るガス測定器は、触媒部材と、ガスセンサと、を備える。触媒部材は、電圧または電流を印加する電源が接続され、接触した混合ガスに含まれる第1ガスと第2ガスとを反応させ第3ガスを生成し、温度に応じて反応が変化する触媒作用を奏する。ガスセンサは、触媒部材と接触したガス分子を検出する。
【0006】
このガス測定器では、触媒部材に電圧または電流が印加されることで触媒部材の温度が変化する。触媒部材の温度に応じてガスの反応が変化する。このため、ガス測定器は、触媒部材の温度を変更することにより、ガスセンサに検出されるガス分子の種類を変化させることができる。よって、ガス測定器は、特定のガスに特化したガス測定器と比べて、複数の種類のガスを検出できる。
【0007】
本開示の他の側面に係るガス測定器は、触媒部材と、温度調整機構と、ガスセンサと、を備える。触媒部材は、接触した混合ガスに含まれる第1ガスと第2ガスとを反応させ第3ガスを生成し、温度に応じて反応が変化する触媒作用を奏する。温度調整機構は、電圧または電流を印加する電源が接続され、前記触媒部材の温度を調整する。ガスセンサは、触媒部材と接触したガス分子を検出する。このガス測定器では、温度調整機構によって触媒部材の温度が変化する。触媒部材の温度に応じてガスの反応が変化する。このため、ガス測定器は、触媒部材の温度を変更することにより、ガスセンサに検出されるガス分子の種類を変化させることができる。よって、ガス測定器は、特定のガスに特化したガス測定器と比べて、複数の種類のガスを検出できる。
【0008】
一実施形態においては、ガスセンサを含む複数のガスセンサをさらに備え、複数のガスセンサは、ガスセンサにより検出されるガス分子のガス種とは異なるガス分子を検出可能な別なガスセンサを含む。この場合、ガス測定器は、複数の種類のガスを測定できる。
【0009】
一実施形態においては、タイミングを決定する同期信号を出力する信号発生部と、触媒部材の温度を決定する制御信号と同期信号とに基づいて、同期信号によって決定されるタイミングで触媒部材の温度が制御信号によって決定される温度となるように電源を制御する制御部と、ガスセンサの検出値を、同期信号によって決定されるタイミングで取得する取得部と、検出値と制御信号とを関連付けて出力する出力部と、をさらに備える。この場合、ガス測定器は、検出値と同期信号を関連付けて出力できる。
【0010】
一実施形態においては、予め取得された関係と検出値と制御信号とに基づいて、ガス種を判定する判定部をさらに備え、予め取得された関係は、ガス種と検出値と制御信号との関係である。この場合、ガス測定器は、触媒部材によって反応して第3ガスを生成する第1ガス及び第2ガスを含む混合ガスのガス種を判定できる。
【0011】
本開示の他の側面に係るガス測定方法は、以下の(1)~(4)の工程を備える。
(1)触媒部材の温度を制御し、混合ガスに含まれる第1ガスと第2ガスとを触媒部材の触媒作用により反応させ、第3ガスを生成する工程。第3ガスの生成は、触媒部材の温度を決定する制御信号とタイミングを決定する同期信号とに基づく。触媒部材の温度は、同期信号によって決定されるタイミングで制御信号によって決定される。
(2)触媒部材と接触したガスをガスセンサが検出する工程。
(3)ガスセンサの検出値を、同期信号によって決定されるタイミングで取得する工程。
(4)ガス種と検出値との予め取得された関係と、取得された検出値及び制御信号とに基づいて、ガス種を判定する工程。
このガス測定方法によれば、複数の種類のガスを検出できる。
【発明の効果】
【0012】
本開示に係るガス測定器及びガス測定方法によれば、複数の種類のガスを検出できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】実施形態に係るガス測定器の一例を示す断面図である。
【
図2】
図2の(A)は実施形態に係るガス測定器の一例を示すブロック図である。
図2の(B)は制御信号及び同期信号の一例である。
【
図3】実施形態に係るガス測定方法の一例を示すフローチャートである。
【
図4】触媒部材の温度に応じたガス分子の反応を例示する模式図である。
【
図5】実施形態に係るガス測定器の変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本開示の実施形態について説明する。なお、以下の説明において、同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明は繰り返さない。図面の寸法比率は、説明のものと必ずしも一致していない。「上」「下」「左」「右」の語は、図示する状態に基づくものであり、便宜的なものである。
【0015】
[ガス測定器の構成]
図1は、実施形態に係るガス測定器の一例を示す断面図である。
図1に示されるガス測定器1は、ガスの成分を測定する機器である。ガス測定器1は、電気回路部品として提供され得る。一例として、ガス測定器1は、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)デバイスである。ガス測定器1は、フィルタ10、触媒部材11、基材40、ガスセンサ30を備える。
【0016】
基材40は、その内部に空間を画成する。基材40は、ガスを透過しない材料で形成される。基材40は、その上部が開放され、空間に連通する開口を有する。フィルタ10は、基材40の上部の開口を塞ぐように配置される。フィルタ10は、略板状の部材であり、ガスを透過する材料で形成される。フィルタ10及び基材40は、ガスを透過する隙間が無いように接合される。これにより、フィルタ10及び基材40は、ガス室41を画成する。
【0017】
フィルタ10には、触媒部材11が設けられる。触媒部材11は、電気伝導体であって、通電によって発熱する。触媒部材11は、例えば、白金(Pt)、チタン(Ti)又はイリジウム(Ir)等の金属触媒からなる。触媒部材11は、電圧または電流を印加する電源12に接続され、電圧印加または電流印加によって発熱する。ガス測定器1が複数の触媒部材11を含む場合、複数の触媒部材11はそれぞれが離間して配置される。複数の触媒部材11のそれぞれの間は、ガスが通過可能である。発熱した触媒部材11は、混合ガスに含まれる第1ガスと第2ガスとを反応させて、第3ガスを生成する、触媒作用を奏する。触媒部材11は、略板状のフィルタ10を面内方向に網羅するように配置される。一例として、梁状の触媒部材11が所定の間隔でフィルタ10を覆うように配置される。
【0018】
ガスセンサ30は、ガス室41内に設けられる。一例として、ガスセンサ30は、触媒部材11の下流、即ちガスが触媒部材11に接触して触媒部材11の近傍を通過した側に設けられる。ガスセンサ30は、第1ガス、第2ガス及び反応によって生成された第3ガスのうち少なくとも一つを検出する。ガスセンサ30は、例えば、半導体を利用したガスセンサである。この場合、ガスセンサ30は、ガスセンサ30の表面に接触したガス分子を、電気信号として出力する。
【0019】
[ガス測定器の制御回路]
図2の(A)は、実施形態に係るガス測定器1Aの一例を示すブロック図である。ガス測定器1Aは、測定部2(ガス測定器の一例)と回路部3とを備える。回路部3は、信号発生部50、制御部60、取得部70、出力部80及び判定部90を備える。回路部3は、例えば、電気回路で構成され得る。回路部3は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などの演算装置、ROM(ReadOnly Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)などの記憶装置、及び通信装置などを有する汎用コンピュータで構成されてもよい。
【0020】
信号発生部50は、制御部60及び取得部70へ制御信号及び同期信号を出力する。制御信号は、触媒部材11の温度を決定する信号である。同期信号は、制御部と取得部とのタイミングを決定する信号である。制御部60は、制御信号及び同期信号に基づいて触媒部材11の温度を制御する電圧または電流を触媒部材11へ印加するように、電源12を制御する。
図2の(B)は、制御信号及び同期信号の一例である。
図2の(B)では、制御信号は、SIG1、SIG2、SIG3の三種類の温度に相当する信号となる。同期信号は、水晶発振器などの発振器に基づいた矩形波である。制御部60は、制御信号に示される温度となるように、触媒部材11の温度を制御する。取得部70は、同期信号に基づいて検出値を取得する。
【0021】
制御部60は、同期信号の矩形波を所定の回数受信した際に、触媒部材11の温度に対応する波形の制御信号を出力する。一例として、
図2の(B)の3段階に変化する制御信号は、触媒部材11の温度を3段階で制御する。触媒部材11の温度は、無段階で制御されてもよい。この場合、制御信号は、三角波又は正弦波を示す。
【0022】
取得部70は、同期信号の矩形波を所定の回数受信した際に、検出値を取得する。よって、取得部70は、制御信号による触媒部材11の温度の変化に対応した検出値を取得できる。取得部70が検出値を取得する際の矩形波を受信する所定の回数は、制御部60が制御信号を出力する際の矩形波を受信する回数以上でもよい。取得部70が検出値を取得する時期を、制御部60が制御信号を出力する時期よりも遅くすることで、取得部70は、触媒部材11の温度が変化した後に触媒部材11と接触したガス分子が多数となったときの、検出値を取得できる。
【0023】
出力部80は、制御信号と、取得部70から取得された検出値とを関連付けて出力する。
【0024】
判定部90は、ガス種と検出値と制御信号との予め取得された関係と、出力部80により出力された検出値及び制御信号とに基づいてガス種を判定する。ガス種と検出値と制御信号との組合せについては、事前に予め取得され、例えばガス特性テーブルとして記憶される。判定部90は、出力部80によって出力された組合せに基づいてガス特性テーブルを参照し、ガス種を決定する。
【0025】
[ガス測定器の動作]
図3は、実施形態に係るガス測定方法の一例を示すフローチャートである。
図3に示されるフローチャートの工程は、ガス測定器1Aの動作を示す。
図4は、触媒部材の温度に応じたガス分子の反応を例示する模式図である。一例として、検出対象のガスは、水素(H
2)及び酸素(O
2)を含む混合ガスとする。ガス測定器1Aは、水素(H
2)を検出可能なガスセンサ30を有する。
【0026】
図3に示されるように、最初に、触媒部材11の温度は、制御信号及び同期信号に基づいて動作する制御部60によって変更される(ステップS10)。
図4の(A)は、制御信号がSIG1の場合に、触媒部材11と接触するガス分子の反応を示す。一例として、制御信号がSIG1の場合、制御部60は、触媒部材11に電圧または電流を印加しないように、電源12を制御する。よって、触媒部材11は発熱しない。制御信号がSIG1の場合、水素(H
2)は、酸素(O
2)と反応しない。ガスセンサ30は、水素(H
2)を主に検出する(ステップS20)。
【0027】
図4の(B)は、制御信号がSIG2の場合に、触媒部材11と接触するガス分子の反応を示す。制御信号がSIG2の場合、制御部60は、触媒部材11に電圧または電流を印加するように、電源12を制御する。通電によって発熱した触媒部材11は、水素(H
2)と酸素(O
2)とを反応させる。よって、制御信号がSIG2の場合、水素(H
2)と酸素(O
2)との反応によって水(H
2O)が生成される。この場合、触媒部材11と接触した水素(H
2)及び酸素(O
2)の一部が反応して、水(H
2O)が生成される。よって、ガスセンサ30は、水(H
2O)が生成された後の水素(H
2)を検出する(ステップS20)。
【0028】
図4の(C)は、制御信号がSIG3の場合に、触媒部材11と接触するガス分子の反応を示す。制御信号がSIG3の場合、制御部60は、触媒部材11に制御信号がSIG2の場合より大きな電圧または電流を印加するように、電源12を制御する。通電によって発熱した触媒部材11は、水素(H
2)と酸素(O
2)とを反応させる。この場合、触媒部材11と接触した水素(H
2)及び酸素(O
2)の全てが反応して、水(H
2O)が生成される。ガスセンサ30は、水素(H
2)が存在しない場合を検出する(ステップS20)。
【0029】
次に、取得部70は、ガスセンサ30が出力した測定値を、同期信号に基づいて取得する(ステップS30)。
【0030】
判定部90は、ガス特性テーブルと、取得部70により取得された測定値及び制御信号とに基づいて、ガス種を判定する(ステップS40)。制御信号が示す触媒部材11の温度と測定値との予め取得された関係から、混合ガスは、水素(H2)及び酸素(O2)を含むと判定される。
【0031】
[実施形態のまとめ]
このガス測定器1では、触媒部材11に電圧または電流が印加されることで触媒部材11の温度が変化する。触媒部材11の温度に応じてガスの反応が変化する。このため、ガス測定器1は、触媒部材11の温度を変更することにより、ガスセンサ30に検出されるガス分子の種類を変化させることができる。よって、ガス測定器1は、特定のガスに特化したガス測定器と比べて、複数の種類のガスを検出できる。
【0032】
ガス測定器1Aは、同期信号を出力する信号発生部50と、触媒部材11の温度を決定する制御信号と同期信号とに基づいて、触媒部材11の温度を制御する制御部60と、ガスセンサ30の検出値を同期信号に基づいて取得する取得部70と、検出値と制御信号とを関連付けて出力する出力部80と、を備える。この場合、ガス測定器1Aは、検出値と同期信号を関連付けて出力できる。
【0033】
ガス測定器1A及びガス測定方法は、ガス種と検出値及び制御信号との予め取得された関係と、出力部80により出力された検出値及び制御信号とに基づいて、ガス種を判定する判定部90を備える。この場合、ガス測定器1A及びガス測定方法は、触媒部材11によって反応して第3ガスを生成する第1ガス及び第2ガスを含む混合ガスのガス種を判定できる。
【0034】
[変形例]
以上、種々の例示的実施形態について説明してきたが、上記の例示的実施形態に限定されることなく、様々な省略、置換、及び変更がなされてもよい。
【0035】
図5は、実施形態に係るガス測定器の変形例を示す断面図である。ガス測定器1Bは、混合ガスに含まれる第1ガスと第2ガスとを反応させ第3ガスを生成する触媒部材11と、電圧または電流を印加する電源12が接続され、触媒部材11の温度を変更する発熱部20(温度調整機構の一例)と、第1ガス、第2ガス及び反応によって生成された第3ガスのうち少なくとも一つを検出するガスセンサ30と、を備える。
【0036】
発熱部20は、電気伝導体であって、通電によって発熱する。例えば、発熱部20は、ニクロム線である。発熱部20は、触媒部材11を加熱して混合ガスに含まれる第1ガスと第2ガスとを反応させて、第3ガスを生成する。ガス測定器1Bでは、触媒部材11は、発熱しなくてもよい。触媒部材11は、絶縁体に担持されていてもよい。また、ガス測定器1Bは、発熱部20に替えて冷却部(温度調整機構の一例)を備えてもよい。
【0037】
触媒部材11の温度は、発熱部20によって変化される。ガス測定器1Bは、触媒部材11の温度を変化させることで、ガスセンサ30に検出されるガス種を変化させ、複数のガス種を測定できる。よって、ガス測定器1Bは、特定のガスに特化したガス測定器と比べて、複数の種類のガスを検出できる。
【0038】
ガス測定器1は、ガスセンサ30を含む複数のガスセンサを備えていてもよい。第1ガスセンサ31(ガスセンサ30の一例)及び第2ガスセンサ32(別のガスセンサの一例)を有する場合、第2ガスセンサ32は、第1ガスセンサ31で検出したガス分子とは異なる種類のガス分子を主に検出可能に構成されてもよい。この場合、ガス測定器は、複数の種類のガスを測定できる。
【0039】
フィルタ10及びガスセンサ30は、別々に形成された後に組み合わされて作製されてもよい。フィルタ10及びガスセンサ30は、一体として作製されてもよい。
【0040】
信号発生部50は、制御部60と一体であってもよい。取得部70は、出力部80と一体であってもよい。出力部80は、判定部90と一体であってもよい。
【0041】
ガス測定器1は、基材40及びガス室41を含まないように構成されてもよい。この場合、ガス測定器1は、ガスセンサ30にフィルタ10の触媒部材11が密着するように構成される。ガス測定器1は、M種類のガスセンサ(Mは2以上の整数)を備えてもよい。Mが3以上の場合、M種類のガスセンサは同じ種類のセンサを含んでいてもよい。また、触媒部材11の温度は、N段階で(Nは2以上の整数)で制御されてもよい。この場合、ガス測定器1は、最大でM×N種類の組み合わせでガスを測定できる。
【0042】
ガス測定器1Aは、判定部90を含まないように構成されてもよい。この場合、ガス測定器1Aは、出力部80が測定値と制御信号とを外部へ出力する。ガス測定器1Aは、測定値と制御信号との関係を、シミュレーションによって予め取得してもよい。この場合、触媒部材11の温度と第3ガスが生成される速度は、計算で求められる。測定値と制御信号との関係は、既知のガスで校正されてもよい。この場合、ガス種及び生成される第3ガスが特定された既知のガスに基づいて、制御信号と触媒部材11の温度との関係、ガスセンサ30の出力特性は、校正される。
【符号の説明】
【0043】
1,1A,1B…ガス測定器、2…測定部、3…回路部、10…フィルタ、11…触媒部材、20…発熱部、30…ガスセンサ、40…基材、41…ガス室、50…信号発生部、60…制御部、70…取得部、80…出力部、90…判定部。