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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-12
(45)【発行日】2023-05-22
(54)【発明の名称】排ガスの脱硝方法
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/86 20060101AFI20230515BHJP
   B01J 23/30 20060101ALI20230515BHJP
   B01J 23/28 20060101ALI20230515BHJP
【FI】
B01D53/86 222
B01J23/30 A ZAB
B01J23/28 A
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2022550220
(86)(22)【出願日】2022-04-18
(86)【国際出願番号】 JP2022018036
【審査請求日】2022-08-22
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】305027401
【氏名又は名称】東京都公立大学法人
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】清永 英嗣
(72)【発明者】
【氏名】吉田 和広
(72)【発明者】
【氏名】迫谷 聡介
(72)【発明者】
【氏名】盛田 啓一郎
(72)【発明者】
【氏名】村山 徹
(72)【発明者】
【氏名】猪股 雄介
【審査官】長谷部 智寿
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/047377(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/179892(WO,A1)
【文献】特許第7050244(JP,B2)
【文献】特許第6956987(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 53/34-53/86
B01D 53/92
B01D 53/96
B01J 23/30
B01J 23/28
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化バナジウムと、第2の金属を含有する脱硝触媒を、SOを含む排ガスに対して接触させることにより脱硝反応を行う、排ガスの脱硝方法であって、
前記酸化バナジウムは、前記脱硝触媒中に五酸化バナジウム換算で50質量%以上含まれ、
前記第2の金属は、W、及びMoのうち少なくとも何れかであり、
前記排ガスのSOの濃度は、1000ppm以上であり、かつHOの濃度は10体積%以上である、排ガスの脱硝方法。
【請求項2】
前記排ガスの温度は、200℃以下である、請求項1に記載の排ガスの脱硝方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排ガスの脱硝方法に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料の燃焼により大気中に排出される汚染物質の一つとして、窒素酸化物(NO,NO,NO,NO,N,N,N)が挙げられる。窒素酸化物は、酸性雨、オゾン層破壊、光化学スモッグ等を引き起こし、環境や人体に深刻な影響を与えるため、その処理が重要な課題となっている。
【0003】
上記の窒素酸化物を取り除く技術として、アンモニア(NH)を還元剤とする選択的触媒還元反応(NH-SCR)が知られている。特許文献1に記載のように、選択的触媒還元反応に用いられる触媒としては、酸化チタンを担体とし、酸化バナジウムを担持した触媒が広く使用されている。酸化チタンは硫黄酸化物に対して活性が低く、また安定性が高いため最も良い担体とされている。
【0004】
一方で、酸化バナジウムはNH-SCRにおいて主要な役割を果たすものの、SOをSOに酸化するので、触媒中に酸化バナジウムを1wt%程度以上担持できなかった。また、従来のNH-SCRでは、酸化チタン担体に酸化バナジウムを担持させた触媒が低温ではほとんど反応しないので,350-400℃という高温で使用せざるを得なかった。
【0005】
その後、本発明者らは、五酸化バナジウムが43wt%以上存在し、BET比表面積が30m/g以上であり、200℃以下での脱硝に用いられる脱硝触媒を見出した(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2004-275852号公報
【文献】国際公開第2018/047356号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献2に記載された脱硝触媒は、200℃以下で好ましい脱硝率を得ることができるが、実際に脱硝触媒が用いられる条件は水蒸気及びSOが共存するケースが多く、SO存在下における脱硝率に未だ改善の余地があった。本発明者らは、上記特許文献2に開示された脱硝触媒の更なる改良を試みて鋭意検討した結果、特に200℃以下かつ水蒸気及びSO存在下における好ましい脱硝率が得られる排ガスの脱硝方法を見出した。
【0008】
本発明は、アンモニアを還元剤とする選択的触媒還元反応の際、低温かつ水蒸気及びSO存在下における脱硝率に優れた排ガスの脱硝方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1) 本発明は、酸化バナジウムと、第2の金属を含有する脱硝触媒を、SOを含む排ガスに対して接触させることにより脱硝反応を行う、排ガスの脱硝方法であって、前記酸化バナジウムは、前記脱硝触媒中に五酸化バナジウム換算で50質量%以上含まれ、前記第2の金属は、W、及びMoのうち少なくとも何れかである、排ガスの脱硝方法に関する。
【0010】
(2) 前記排ガスのSOの濃度は、1ppm以上である、(1)に記載の排ガスの脱硝方法。
【0011】
(3) 前記排ガスの温度は、200℃以下である、(1)又は(2)に記載の排ガスの脱硝方法。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、アンモニアを還元剤とする選択的触媒還元反応の際、低温かつ水蒸気及びSO存在下における脱硝率に優れた排ガスの脱硝方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施例及び比較例に係る脱硝触媒のSO存在下での脱硝率を比較したグラフである。
図2】実施例及び比較例に係る脱硝触媒の反応温度と脱硝率との関係を示すグラフである。
図3】実施例及び比較例に係る脱硝触媒の脱硝率を比較したグラフである。
図4】実施例及び比較例に係る脱硝触媒の脱硝率を比較したグラフである。
図5】実施例及び比較例に係る脱硝触媒の脱硝率を比較したグラフである。
図6】実施例及び比較例に係る脱硝触媒のSO濃度と脱硝率との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<排ガスの脱硝方法>
本実施形態に係る排ガスの脱硝方法は、酸化バナジウムと、第2の金属を含有する脱硝触媒を、SOを含む排ガスに対して接触させることにより脱硝反応を行う。具体的な方法としては、無水アンモニア、アンモニア水、又は尿素を還元剤とする、選択式還元触媒反応として公知の方法を用いることができる。
【0015】
本実施形態に係る排ガスの脱硝方法は、水蒸気雰囲気下、かつSO雰囲気下において脱硝反応を行った場合であっても高い脱硝率を達成できる。脱硝反応の際のSO濃度は、例えば1ppm以上であってもよく、2ppm以上であってもよく、5ppm以上であってもよく、15ppm以上であってもよく、100ppm以上であってもよく、1000ppm以上であってもよい。
【0016】
<脱硝触媒>
本実施形態に係る脱硝触媒は、酸化バナジウムを脱硝触媒中に五酸化バナジウム換算で50質量%以上含み、第2の金属を含有する。上記第2の金属は、W、及びMoのうち少なくとも何れかである。本実施形態に係る脱硝触媒は、従来用いられている脱硝触媒と比較して、低温環境下、水蒸気存在下、かつSO存在下でも高い脱硝率を発揮する。
【0017】
以下の説明において、脱硝率をNO転化率として表現する場合がある。NO転化率は、以下の式(1)で示される。
NO転化率(%)=(脱硝反応前のNO濃度-脱硝反応後のNO濃度)/(脱硝反応前のNO濃度)×100 (1)
【0018】
(酸化バナジウム)
本実施形態に係る脱硝触媒に用いられる酸化バナジウムとしては、例えば、酸化バナジウム(II)(VO)、三酸化バナジウム(III)(V)、四酸化バナジウム(IV)(V)、及び五酸化バナジウム(V)(V)が挙げられる。酸化バナジウムとしては、五酸化バナジウムであることが好ましい。五酸化バナジウムのV原子は、脱硝反応中、5価、4価、3価、又は2価の価数を有してもよい。
【0019】
酸化バナジウムは、脱硝触媒中に五酸化バナジウム換算で50wt%以上含まれることが好ましく、60wt%以上存在することがより好ましい。
【0020】
(第2の金属)
本実施形態に係る脱硝触媒に用いられる第2の金属は、W、及びMoのうち少なくとも何れかである。酸化バナジウムを主成分とする脱硝触媒に上記第2の金属が含まれることにより、従来の脱硝触媒と比較して、低温環境下、水蒸気存在下、かつSO存在下でも高い脱硝率を発揮できる。
【0021】
[第2の金属の含有量]
第2の金属の酸化物換算の含有量は、1wt%以上40wt%以下であってもよく、2wt%以上38wt%以下とすると好ましい。また、第2の金属の酸化物換算の含有量は、2wt%以上10wt%以下とするとより好ましい。また、第2の金属の酸化物換算の含有量は、2wt%以上7wt%以下とするとより好ましい。また、第2の金属の酸化物換算の含有量は、3wt%以上7wt%以下とするとより好ましい。また、第2の金属の酸化物換算の含有量は、3wt%以上5wt%以下とするとより好ましい。また、第2の金属の酸化物換算の含有量は、3wt%以上4wt%以下とするとより好ましい。
【0022】
[脱硝触媒の焼成温度]
本実施形態に係る脱硝触媒は、詳細は後述するが、例えば、酸化バナジウムと第2の金属とを含む前駆体を焼成することで得られる。上記焼成時の温度は、260~400℃であることが好ましく、260~350℃であることがより好ましく、260~320℃とすることが更に好ましい。
【0023】
(他の物質)
本実施形態に係る脱硝触媒は、本発明の効果を阻害しない範囲で、他の物質を含有していてもよい。例えば、本実施形態に係る脱硝触媒は、上記以外に更に炭素を含有することが好ましい。脱硝触媒が不純物として炭素を含むことで、上述した酸化バナジウムの結晶構造において結晶格子中の線や面にひずみが生じることにより、低温環境下における高い脱硝率を発揮できると考えられる。炭素の含有量は、脱硝触媒中において0.05wt%以上3.21wt%以下であることが好ましい。上記炭素の含有量は、0.07wt%以上3.21wt%以下であることがより好ましい。上記炭素の含有量は、0.11wt%以上3.21wt%以下であることがより好ましい。上記炭素の含有量は、0.12wt%以上3.21wt%以下であることがより好ましい。上記炭素の含有量は、0.14wt%以上3.21wt%以下であることがより好ましい。上記炭素の含有量は、0.16wt%以上3.21wt%以下であることがより好ましい。上記炭素の含有量は、0.17wt%以上3.21wt%以下であることがより好ましい。上記炭素の含有量は、0.70wt%以上3.21wt%以下であることがより好ましい。
【0024】
本実施形態に係る脱硝触媒は、350℃以下の脱硝反応に用いられることが好ましい。また、反応温度300℃以下での脱硝反応においても高い脱硝率が得られるため好ましい。反応温度200℃以下での脱硝反応においては、SOからSOへの酸化が発生しないため好ましい。上記反応温度は100~250℃であることがより好ましく、上記反応温度は160~200℃であることが更に好ましい。上記反応温度は80~150℃であってもよい。また、脱硝触媒として五酸化バナジウム(V)(V)のみを含有する脱硝触媒は、反応温度を300℃以上とした場合、比表面積が低下する等、触媒自体が変化してしまい、反応温度を300℃以上にすることができない。第2の金属を有する本実施形態に係る脱硝触媒は、反応温度を300℃以上とした場合であっても高い脱硝率を維持できる。
【0025】
<脱硝触媒の製造方法>
本実施形態に係る脱硝触媒は、例えば、以下のようにして製造できる。まず、脱硝触媒に含まれる各成分を含有する前駆体を調製する。脱硝触媒に含まれる酸化バナジウムは、例えば、バナジン酸塩の水溶液として前駆体中に含有される。上記バナジン酸塩としては、例えば、メタバナジン酸アンモニウム、バナジン酸マグネシウム、バナジン酸ストロンチウム、バナジン酸バリウム、バナジン酸亜鉛、バナジン酸鉛、バナジン酸リチウム等を用いてもよい。
【0026】
脱硝触媒における第2の金属は、例えば、各金属の硝酸塩、塩化物、硫酸塩、キレート錯体、水和物、アンモニウム化合物、リン酸化合物等を上記バナジン酸の水溶液に混合させることで前駆体中に含有される。キレート錯体としては、例えば、シュウ酸やクエン酸等の錯体が挙げられる。
【0027】
上記調整した脱硝触媒の前駆体溶液を蒸発乾固することで、脱硝触媒の前駆体の粉体が得られる。上記前駆体の粉体を所定の温度及び時間で焼成する焼成工程により、脱硝触媒の粉体が得られる。上記により得られた脱硝触媒の粉体を、バインダー等の成分を含む溶媒に分散させた触媒分散液を調製し、公知のハニカム成形体を上記触媒分散液に浸漬させて乾燥させることを1回又は複数回繰り返し、その後所定の温度及び時間で焼成する焼成工程を経ることで、ハニカム触媒を得ることができる。上記以外に、上記脱硝触媒の前駆体溶液を濃縮した濃縮液を作製し、公知のハニカム成形体を上記濃縮液に浸漬させて乾燥させることを1回又は複数回繰り返し、その後所定の温度及び時間で焼成する焼成工程を経ることで、ハニカム触媒を得ることもできる。焼成工程における焼成温度は、上記したように260~400℃であることが好ましく、260~350℃であることがより好ましく、260~320℃とすることが更に好ましい。
【0028】
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれる。
【実施例
【0029】
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。本発明は、これらの実施例によって限定されるものではない。ただし、実施例1及び実施例2は、参考例である。
【0030】
<脱硝触媒の調製>
(実施例1)
バナジン酸アンモニウム(NHVO)4.95g(42.31mmol)と、W原子あたりのmol量が1.535mmolのメタタングステン酸と、20mlの純水との混合物に、シュウ酸((COOH))を11.49g(127.6mmol)添加し、室温で10分間攪拌した後、70℃で12時間攪拌した。この前駆体試料を、電気炉によって300℃で4時間焼成することにより、タングステン(W)を含有する五酸化バナジウム(V)の脱硝触媒を得た。なお、生成される脱硝触媒中のW原子につき、金属酸化物(WO)換算でのWOの全重量比が、8.5wt%(3.5mol%)となるように、原料としてのバナジン酸アンモニウムの量を調整した。
【0031】
(実施例2)
バナジン酸アンモニウム(NHVO)4.96g(42.4mmol)とシュウ酸((COOH))11.5g(127.8mmol)とを純水に溶解させ、前駆体錯体を合成した。この前駆体錯体に対し、Mo原子あたりのmol量が2.245mmolの七モリブデン酸六アンモニウム四水和物を添加した。得られたバナジウム-異種金属錯体混合物を電気炉によって300℃の温度で4時間、2回焼成することにより、実施例2の脱硝触媒を得た。生成される脱硝触媒中のMo原子につき、金属酸化物(MoO)換算でのMoOの全重量比が、7.7wt%(5.0mol%)となるように、原料としてのバナジン酸アンモニウムの量を調整した。
【0032】
(比較例1)
使用したバナジン酸アンモニウム(NHVO)及びシュウ酸((COOH))の量を表1に示すものとしたこと以外は、実施例1及び2と同様の方法で比較例1の脱硝触媒を調製した。
【0033】
【表1】
【0034】
[第2金属の有無とNO転化率(水蒸気非存在下、SO存在下)]
図1は、実施例1の脱硝触媒のNO転化率と、比較例1の脱硝触媒のNO転化率を比較するグラフである。反応温度は150℃とし、NO(250ppm)、NH(250ppm)、SO(100ppm)、4体積%O、Arガス中とし、ガス流量を250ml/min-1とした。図1に示すように、実施例1の脱硝触媒は比較例1の脱硝触媒と比較して高いNO転化率が得られる結果が確認された。
【0035】
[第2金属の種類及び反応温度とNO転化率(水蒸気存在下、SO存在下)]
図2は、各実施例及び比較例に係る脱硝触媒の、反応温度とNO転化率との関係を示すグラフである。図2の縦軸はNO転化率を示し、図2の横軸は反応温度(℃)を示す。反応ガスの条件は、図1の反応ガスに対して更に10体積%のHOを含む反応ガスを用いた条件とした。図2に示すように、各実施例の脱硝触媒は比較例1の脱硝触媒と比較して、水蒸気存在下、かつSO存在下において高いNO転化率が得られる結果が確認された。
【0036】
[第2金属の有無とNO転化率(水蒸気存在下、SO存在下)]
図3は、反応温度を150℃とした場合における、各実施例及び比較例に係る脱硝触媒の脱硝率を比較したグラフである。図3における「0%HO」は、図1における反応ガスにおいてSO(100ppm)を含まない反応ガスを用いた条件である。同様に、「10%HO」は、図1における反応ガスにおいてSO(100ppm)を含まず、これに代えて10体積%のHOを含む反応ガスを用いた条件である。同様に、「10%HO、SO 100ppm」は、図1における反応ガスに対して更に10体積%のHOを含む反応ガスを用いた条件とした。図4は、反応温度を172℃としたこと以外は図3と同様の条件とした。図5は、反応温度を200℃としたこと以外は図3と同様の条件とした。図3図4、及び図5に示すように、各実施例の脱硝触媒は比較例1の脱硝触媒と比較して、水蒸気存在下、かつSO存在下において高いNO転化率が得られる結果が確認された。また、SO(100ppm)を含まない場合や、水蒸気を含まない条件においても、比較例に係る脱硝触媒と同等以上のNO転化率が得られる結果が確認された。
【0037】
[SO濃度とNO転化率]
図6は、反応ガス中のSO濃度を変化させた場合の、実施例1と比較例1の脱硝触媒のNO転化率を比較するグラフである。反応温度は150℃とし、図3における「10%HO」の反応ガスに対して更に反応ガス中にそれぞれ0ppm、2ppm、15ppm、100ppm、及び1000ppmのSOを含有させて試験を行った。図6の縦軸はNO転化率を示し、図6の横軸は反応ガス中のSO濃度を示す。図6に示すように、実施例1に係る脱硝触媒は、SO濃度が上昇した場合においても比較例1に係る脱硝触媒よりも高いNO転化率が得られる結果が確認された。
【要約】
アンモニアを還元剤とする選択的触媒還元反応の際、低温かつ水蒸気及びSO存在下における脱硝率に優れた排ガスの脱硝方法を提供する。
酸化バナジウムと、第2の金属を含有する脱硝触媒を、SOを含む排ガスに対して接触させることにより脱硝反応を行う、排ガスの脱硝方法であって、酸化バナジウムは、脱硝触媒中に五酸化バナジウム換算で50質量%以上含まれ、第2の金属は、W、及びMoのうち少なくとも何れかである、排ガスの脱硝方法。
図1
図2
図3
図4
図5
図6