(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-12
(45)【発行日】2023-05-22
(54)【発明の名称】組立てボックス
(51)【国際特許分類】
B65D 6/22 20060101AFI20230515BHJP
B65D 6/26 20060101ALI20230515BHJP
【FI】
B65D6/22
B65D6/26 D
(21)【出願番号】P 2018230383
(22)【出願日】2018-12-07
【審査請求日】2021-11-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000010054
【氏名又は名称】岐阜プラスチック工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】村上 拓也
【審査官】永田 勝也
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-269373(JP,A)
【文献】特表2015-510568(JP,A)
【文献】特開2006-036243(JP,A)
【文献】特開2004-338714(JP,A)
【文献】特開平11-152135(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 6/22
B65D 6/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
底部と、
前記底部の周縁部に設けられた下枠と、
前記下枠に対して回転自在に連結される複数の側板と、を備え、
前記複数の側板のうち少なくとも1つは、前記下枠に対して着脱自在な側板であり、
前記着脱自在な側板は、前記下枠に軸支される軸ピンを有し、
前記下枠は、
上端が開放されるとともに前記軸ピンが挿入されるように設けられたスリットと、軸方向のスライド移動によって第一位置と第二位置の間で変位自在なストッパーを有し、
前記ストッパーは、
前記第一位置にあるときには、
前記軸ピンよりも上方で前記スリットを横断する姿勢で、前記軸ピンが前記下枠から外れることを規制し、
前記第二位置にあるときには、
前記軸ピンが前記スリットに沿って上方に移動して前記下枠から外れることを許容するように構成されている
組立てボックス。
【請求項2】
前記複数の側板のうち少なくとも1つは、側板本体と、前記側板本体の側端に装着された縦フレームを有する側板であり、
前記縦フレームは、
前記側板が起立姿勢にあるときに、前記側板が倒れる方向において前記側板本体よりも突出するように形成された延出片と、
前記延出片の一部から内側方に突出する突起部と、を有する
請求項1に記載の組立てボックス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組立てボックスに関する。
【背景技術】
【0002】
折り畳み可能な組立てボックスが、従来公知である。この種の組立てボックスは、底部と、底部の周縁部に設けられた下枠と、下枠に対して回転自在に連結された複数の側板を備える。これら複数の側板には、組立てボックスに重量物を収容したときの荷重や運搬中の振動を原因として下枠から外れることがないように、割ピンやラッチ釘を用いて抜け止めがなされている(特許文献1等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した従来の組立てボックスでは、組み立て状態において、複数の側板の中から所望の側板だけを取り外すことが容易でない。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、使用時に側板が不意に外れることを防止するとともに、状況に応じて、複数の側板の中から所望の側板だけを容易に取り外すことができる組立てボックスを提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一様態に係る組立てボックスは、底部と、前記底部の周縁部に設けられた下枠と、前記下枠に対して回転自在に連結される複数の側板と、を備える。
【0007】
前記複数の側板のうち少なくとも1つは、前記下枠に対して着脱自在な側板である。前記着脱自在な側板は、前記下枠に軸支される軸ピンを有する。前記下枠は、第一位置と第二位置の間で変位自在なストッパーを有する。
【0008】
前記ストッパーは、前記第一位置にあるときには、前記軸ピンが前記下枠から外れることを規制し、前記第二位置にあるときには、前記軸ピンが前記下枠から外れることを許容するように構成されている。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、使用時に側板が不意に外れることを防止するとともに、状況に応じて、複数の側板の中から所望の側板だけを容易に取り外すことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】一実施形態の組立てボックスにおいて蓋板を外した斜視図である。
【
図3】
図3Aは、
図1のP部においてロックピンを非固定位置に移動させた状態を拡大して示す要部正面図であり、
図3Bは、
図3AのC-C線断面図である。
【
図5】
図5Aは、
図1のQ部においてストッパーを第二位置に移動させた状態を拡大して示す要部正面図であり、
図5Bは、
図5AのE-E線断面図である。
【
図6】
図6は、同上の組立てボックスにおいて一対の第二側板のうち1つを外した斜視図である。
【
図7】
図7は、同上の組立てボックスにおいて一対の第一側板を倒した斜視図である。
【
図8】
図8は、同上の組立てボックスにおいて一対の第二側板の1つを更に倒した斜視図である。
【
図9】
図9は、同上の組立てボックスにおいて一対の第二側板のもう1つを更に倒した斜視図である。
【
図11】
図11は、同上の組立てボックスが備える底部と下枠の分解斜視図である。
【
図12】
図12は、同上の組立てボックスが備える一対の第二側板の分解斜視図である。
【
図13】
図13は、同上の組立てボックスの変形例の要部を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(一実施形態)
図1には、一実施形態の組立てボックスの全体を示している。
【0012】
一実施形態の組立てボックスは、平面視矩形状の外形を有する底部1と、平面視矩形状の下枠2と、いずれも矩形平板状である4つの側板3と、同じく矩形平板状の蓋板9を備える。下枠2は、底部1の外周縁部に固定されている。4つの側板3は、下枠2を介して底部1に回転自在に装着されている。
【0013】
底部1の上方には、4つの側板3によって全周を覆われた収納空間が形成される。収納空間は上方に向けて開放され、この開放部分が蓋板9によって着脱自在に覆われる。
【0014】
4つの側板3は、起立姿勢において互いに対向する一対の側板4と、同じく起立姿勢において互いに対向する一対の側板5で構成されている。一対の側板4は、第一方向D1において互いに対向し、一対の側板5は、第二方向D2において互いに対向する。第一方向D1と第二方向D2は、平面視において互いに直交する方向である。本文中で用いる直交の文言は厳密な意味での直交に限らず、略直交な場合を含む。
【0015】
以下においては、区別のために側板4を「第一側板4」と称し、側板5を「第二側板5」と称する。
【0016】
まず、底部1について更に詳しく説明する。
【0017】
底部1は、合成樹脂製の底部本体11と、底部本体11の上面に配置される合成樹脂製の表面材15を備える(
図11等参照)。これら各部材11,15の材質は合成樹脂に限定されず、金属製又は木製であってもよい。また、底部1が表面材15を備えないことも可能である。
【0018】
底部本体11は、周方向に連続する4つの側面を有する。4つの側面の各々に、2つの挿入口117が水平方向に距離をあけて形成されている。各挿入口117には、フォークリフトの爪等が挿入される部分である。
【0019】
表面材15は、軟質のシート材で構成されている。表面材15で底部本体11の上面を覆うことにより、内容物の保護を図ることができ、仮に底部本体11の上面に孔が形成されている場合でも、この孔に内容物が落下することが防止される。
【0020】
次に、下枠2について更に詳しく説明する。
【0021】
図11等に示すように、下枠2は、底部本体11の外形の4辺に沿って固定される4つの枠材21,22と、隣接する枠材21,22同士を連結させる4つのコーナー部材25とを備え、これが結合されて全体が矩形枠状に構成される。
【0022】
4つの枠材21,22は、第一方向D1に距離をあけて互いに対向する一対の枠材21と、第二方向D2に距離をあけて互いに対向する一対の枠材22とで、構成されている。
【0023】
以下においては、区別のために枠材21を「第一枠材21」と称し、枠材22を「第二枠材22」と称する。
【0024】
第一枠材21は、底部本体11の上面の外縁部に固定される平板状の固定片211と、固定片211の外側端から上方に立設された平板状の起立片213を、一体に有する金属製の部材である。固定片211が底部本体11に固定された状態で、固定片211は、底部1の表面材15によって覆い隠される。
【0025】
第二枠材22は、底部本体11の上面の外縁部に固定される平板状の固定片221と、固定片221の外側端から上方に立設された平板状の起立片223を、一体に有する金属製の部材である。固定片221が底部本体11に固定された状態で、固定片221は、底部1の表面材15によって覆い隠される。
【0026】
表面材15によって下枠2の固定片211,221が覆われることで、金属製の固定片211,221に内容物が当たることが防止される。また、固定片211,221を底部本体11に固定するための金具に、内容物に当たることが防止される。これにより内容物の破損が抑えられる。
【0027】
第二枠材22は、起立片223の内側面に固定される長板状の段部材225を、更に有する。段部材225は、上下方向の寸法が起立片223よりも短く、かつ、第一方向D1の寸法が起立片223よりも僅かに短く形成されている。起立片223に段部材225が固定された状態で、段部材225の上面には、第二側板5を乗せることのできる段差部分227が形成される。
【0028】
また、起立片223に段部材225が固定された状態で、段部材225の第一方向D1の両端は、起立片223の第一方向D1の両端よりも僅かに内側に位置する。第一方向D1において、段部材225とこれの両側に位置する第一枠材21との間には、上下に細長い隙間23が形成される。隙間23は、第二方向D2の内側方に向けて開放され、かつ上方に向けて開放される。この隙間23は、第一側板4の軸ピン48が挿入される部分である。
【0029】
コーナー部材25は、第一枠材21に固定される平板状の第一固定片251と、第二枠材22に固定される平板状の第二固定片252を、一体に有する平面視L字状の金属部材である。第一固定片251と第二固定片252の間には、第一方向D1において貫通するように、上下に長い一直線状のスリット255が形成されている。スリット255の上端は開放され、スリット255の下端は閉じている。スリット255は、第二側板5の軸ピン58が挿入される部分である。
【0030】
更に、下枠2は、第二側板5が下枠2から外れることを規制するストッパー6(
図4A、
図5A等参照)と、このストッパー6を所定範囲において水平方向にスライド自在に保持する保持機構7を備える。ストッパー6と保持機構7は、4つのコーナー部材25の各々に装着される。
【0031】
これらストッパー6及び保持機構7は、その下に位置する底部1(具体的にはパレット状の底部本体11)よりも外側方にはみ出すことがないように設けている。これにより、例えば一実施形態の組立てボックスを複数並べたときに、ストッパー6及び保持機構7が隣接する他の部材に当たって破損するような事態が抑えられる。
【0032】
ストッパー6は、円柱状の金属部材である。ストッパー6は、その軸方向が第二方向D2と平行になる姿勢で、保持機構7に保持される。本文中で用いる平行の文言は厳密な意味に限定されず、略平行な場合を含む。
【0033】
更にストッパー6には、その軸方向と交差する方向(一実施形態では直交する方向)に突出するように、円柱状の操作バー63が一体に設けられている。
【0034】
保持機構7は、ストッパー6を第二方向D2にスライド自在に保持するカバー部材71と、ストッパー6の先端部を係止することのできる係止部材73を、別体で備える。
【0035】
カバー部材71は第一固定片251の外側面に固定され、係止部材73は第二固定片252の外側面に固定される。この状態で、カバー部材71と係止部材73の間に、コーナー部材25のスリット255が位置する。
【0036】
カバー部材71は、第二方向D2に一直線状のガイド溝715を有する。ガイド溝715には、ストッパー6が第二方向D2にスライド自在に収容される。ガイド溝715は、第二方向D2の第一側において開口し、第二方向D2の第二側において閉じている。ここでの第二方向D2の第一側は、第二方向D2のうち第二固定片252に近い側である。
【0037】
カバー部材71には、ガイド溝715内の空間に連通する貫通溝717が設けられている。貫通溝717を通じて、操作バー63がカバー部材71の外側に突出する。貫通溝717の一部が、操作バー63を係止することのできる第一係止溝717aと第二係止溝717bを構成している。第一係止溝717aと第二係止溝717bは、第二方向D2に互いに距離をあけて位置する。
【0038】
操作バー63が第一係止溝717aに係止するとき、ストッパー6は第一位置P1にある(
図4A、
図4B参照)。操作バー63が第二係止溝717bに係止するとき、ストッパー6は第二位置P2にある(
図5A、
図5B参照)。
【0039】
ストッパー6は、第一位置P1と第二位置P2の間で変位自在である。ストッパー6が第一位置P1にあるとき、ストッパー6の先端部は、ガイド溝715の開口を通じて第二方向D2の第一側に突出する。ストッパー6が第二位置P2にあるとき、ストッパー6の先端部は、ガイド溝715に没入する。ストッパー6の先端部は、ストッパー6の水平方向のスライド位置に対応して、カバー部材71から突没自在である。
【0040】
係止部材73は、第二方向D2においてガイド溝715の開口と対向する箇所に、ストッパー6の先端部を受けるための凹部735を有する。ストッパー6が第一位置P1にあるとき、ストッパー6の先端部は、係止部材73の凹部735に挿入される。この状態で、ストッパー6は、カバー部材71と係止部材73の間で水平方向に掛け渡されるように位置する。ストッパー6の上下位置は、コーナー部材25が有するスリット255の下端よりも上方であり、かつスリット255の上端よりも下方である。
【0041】
次に、一対の第一側板4について、更に詳しく説明する。
【0042】
一対の第一側板4は共通の構造を備えるので、以下においては、第一側板4の共通の構造を説明する。
【0043】
第一側板4は、矩形板状である側板本体41と、側板本体41の両側縁部に装着される一対の縦フレーム42と、側板本体41の上下の縁部に装着される一対の横フレーム43と、側板本体41の両側の上角部に装着される一対のロック部45を備える。
【0044】
側板本体41は、樹脂製の中空構造板を主体とし、この中空構造板の厚み方向の両側に更に鋼板を貼り合わせた平板状の板材である。中空構造板は、例えばハニカム構造を有するが、これに限定されず、押し出し成形によってハーモニカの穴のように中空部分を一列に形成した構造や、円形や三角形状の柱体又は錐体が多数並設された構造等の、多様な中空構造が採用可能である。また、樹脂製の中空構造板の代わりに、木製又は金属製の板を用いることも可能である。
【0045】
縦フレーム42は、上下に一直線状に形成された断面コ字状の金属部材である。縦フレーム42の下端部には、円柱状の軸ピン48が一体に設けられている。軸ピン48は、第二方向D2において外側方に突出するように形成されている。一対の縦フレーム42が側板本体41に装着された状態で、第二方向D2の両側に軸ピン48が位置し、両側の軸ピン48は互いに離れる方向に突出する。
【0046】
横フレーム43は、第二方向D2に一直線状に形成された断面コ字状の金属部材である。上側の横フレーム43の外側面には、把持用のバンド49の第一端部が取り付けられている。バンド49の第二端部は、側板本体41の外側面に設けられた面ファスナ415に対して、着脱自在に取り付けられている。
【0047】
図1~
図3B等に示すように、ロック部45は、側板本体41の上角部に固定されるボックス型の外カバー451と、外カバー451の内側に配される内カバー453を備える。
【0048】
外カバー451の外側面には、凹状の操作窓452が形成されている。操作窓452は、内カバー453の一部を外側に露出させるように開口している。
【0049】
内カバー453には、第二方向D2に一直線状のガイド溝455が設けられている。ガイド溝455には、円柱状である金属製のロックピン458が、第二方向D2にスライド自在に収容されている。
【0050】
ロックピン458は、その軸方向が第二方向D2と平行になる姿勢で、ガイド溝455に収容されている。ロックピン458には、その軸方向と交差する方向(一実施形態では直交する方向)に突出するように、円柱状の操作バー459が一体に設けられている。
【0051】
ガイド溝455は、第二方向D2の第一側において開口し、第二方向D2の第二側において閉じている。ここでの第二方向D2の第一側は、側板本体41の別の上角部(つまり、このロック部45が固定された上角部とは別の上角部)から離れる側である。
【0052】
内カバー453には、ガイド溝455の内側の空間と連通する連通口456が設けられている。この連通口456を通じて、操作バー459は内カバー453の外側に突出する。
【0053】
連通口456の一部が、操作バー459を係止することのできる第一係止溝456aと第二係止溝456bを構成している。第一係止溝456aと第二係止溝456bは、第二方向D2に互いに距離をあけて位置する。
【0054】
操作バー459が第一係止溝456aに係止した状態で、ロックピン458は固定位置にある。このとき、ロックピン458の先端部は、内カバー453及び外カバー451よりも第二方向D2の第一側に突出する(
図2A、
図2B参照)。
【0055】
操作バー459が第二係止溝456bに係止した状態で、ロックピン458は非固定位置にある。このとき、ロックピン458の先端部は、内カバー453及び外カバー451の内側に没入する(
図3A、
図3B参照)。ロックピン458の先端部は、ロックピン458の水平方向のスライド位置に対応して、内カバー453及び外カバー451から突没自在である。
【0056】
次に、第二側板5について、更に詳しく説明する。
【0057】
一対の第二側板5は共通の構造を備えるので、以下においては、第二側板5の共通の構造を説明する。
【0058】
図12等に示すように、第二側板5は、矩形板状である側板本体51と、側板本体51の両側縁部に装着される一対の縦フレーム52と、側板本体51の上下の縁部に装着される一対の横フレーム53を備える。
【0059】
側板本体51は、第一側板4の側板本体41と同様に、樹脂製の中空構造板を主体とし、この中空構造板の厚み方向の両側に更に鋼板を貼り合わせた平板状の板材である。中空構造板は、例えばハニカム構造を有するが、これに限定されず、押し出し成形によってハーモニカの穴のように中空部分を一列に形成した構造や、柱体や錐体が多数並設された構造等の、多様な中空構造が採用可能である。また、樹脂製の中空構造板の代わりに、木製又は金属製の板を用いることも可能である。
【0060】
縦フレーム52は、側板本体51の側縁部に装着されるように形成された装着部521と、装着部521から第二方向D2に延出された延出片525とを、一体に有する金属部材である。平面視において、縦フレーム52はL字状の外形を有する。
【0061】
装着部521は、上下に一直線状の外形を有する。装着部521の断面形状は、側板本体51の側縁部が嵌るようにコ字状に設けられている。装着部521の上端部には、係止凹部523が形成されている。係止凹部523は、ロックピン458が固定位置にあるときに、ロックピン458の先端部が挿入される部分である。
【0062】
第二側板5が起立した姿勢において、延出片525は、側板本体51よりも第二方向D2の内側に突出する。ここでの第二方向D2の内側は、言い換えれば、一実施形態の組立てボックスを折り畳むときに第二側板5が倒れる方向である(
図7、
図8等参照)。
【0063】
縦フレーム52には、円柱状の突起部527と軸ピン58が、更に設けられている。
【0064】
突起部527は、延出片525の上端部に一体に設けられている。突起部527は、第一方向D1において内側方に突出するように形成されている。突起部527は、延出片525の内側面のうち、延出片525が側板本体51から突出する方向の先端部分(第二側板5が起立した姿勢では、第二方向D2の内側の端部分)に位置しているが、突起部527の位置はこれに限定されない。突起部527が、延出片525の内側面のうち、延出片525が側板本体51から突出する方向の中間部分(第二側板5が起立した姿勢では、第二方向D2の中間部分)に位置してもよい。
【0065】
一対の縦フレーム52が側板本体51に装着された状態で、第一方向D1の両側に延出片525と突起部527が位置する。両側の延出片525は互いに平行に位置し、両側の突起部527は互いに近づく方向に突出する。
【0066】
図1等に示すように、互いに隣接する第一側板4と第二側板5がともに起立姿勢にあるとき、第二側板5の延出片525は、第一側板4の側縁部を、第一方向D1の外側方から覆うように位置する。第二側板5の突起部527は、第一側板4のロック部45が有する操作窓452の凹みに対して、第一方向D1の外側方から挿入される(
図2C参照)。
【0067】
第二側板5の突起部527が第一側板4の操作窓452の凹みに係止することで、組立て時において、第二側板5とこれに隣接する第一側板4との間が開いてしまうことが防止される。
【0068】
軸ピン58は、縦フレーム52の下端部に一体に設けられている。軸ピン58は、第一方向D1において外側方に突出するように形成されている。一対の縦フレーム52が側板本体51に装着された状態で、第一方向D1の両側に円柱状の軸ピン58が位置する。両側の軸ピン58は、互いに離れる方向に突出する。
【0069】
以上、一実施形態の組立てボックスが備える各構成について説明した。
【0070】
図1等に示す組み立て状態において、一対の第一側板4と一対の第二側板5は、いずれも底部1の外周縁部の上に起立姿勢で位置する。底部1の周方向において、第一側板4と第二側板5は交互に位置し、互いに隣接する第一側板4と第二側板5は、第一側板4が有するロック部45を用いて起立姿勢でロックされている。
【0071】
第一側板4は、第一枠材21の内側方において底部1の上に載置される。第一側板4が起立姿勢にあるとき、第一側板4の下端部は、第一枠材21で隠される。第一側板4が有する一対の軸ピン48は、段部材225と第一枠材21の間に形成された隙間23の下部に挿入されている。隙間23の上端は、第二側板5で閉じられる。
【0072】
第二側板5は、第二枠材22の起立片223の内側方において、段部材225の上に載置される。つまり、第二側板5は、隣接する第一側板4よりも一段高い位置に載置される。
【0073】
第二側板5が起立姿勢にあるとき、第二側板5の下端部は、下枠2の起立片223で隠される。第二側板5が有する一対の軸ピン58は、コーナー部材25が有するスリット255の下部に挿し通される。
【0074】
ストッパー6が第一位置P1(
図4A、
図4B参照)にあるとき、ストッパー6は、軸ピン58よりも上方にてスリット255を横断するような姿勢で、保持機構7に保持される。この姿勢にあるストッパー6が、軸ピン58がスリット255に沿って上方に移動することを規制し、第二側板5が外れることを防止する。
【0075】
一実施形態の組立てボックスにおいては、例えば内容物を確認する必要がある等の状況に応じて、
図6に示すように、下枠2から第二側板5だけを簡単に取り外すことができる。
【0076】
つまり、ロック部45のロックピン458を非固定位置(
図3A、
図3B等参照)にまでスライドさせ、ストッパー6を第二位置P2(
図5A、
図5B等参照)にまでスライドさせたうえで、第二側板5を引き上げる作業で、第二側板5を取り外すことが可能である。一対の第二側板5のうち片側だけを取り外すことも可能であるし、両側を取り外すことも可能である。これらの作業に、専用の工具は不要である。
【0077】
取り外された一対の第一側板4と一対の第二側板5は、逆の手順で、底部1に対して簡単に取り付けることができる。具体的には、第一側板4が有する一対の軸ピン48を、対応する隙間23にそれぞれ挿入して、底部1の上に一対の第一側板4を起立姿勢でセットする。次いで、第二側板5が有する一対の軸ピン58を、対応するスリット255にそれぞれ挿入して、一対の第二側板5を起立姿勢でセットする。次いで、第二位置P2に退避させていたストッパー6を第一位置P1にまでスライドさせ、非固定位置に退避させていたロックピン458を固定位置にまでスライドさせる。これらの作業にも、専用の工具は不要である。
【0078】
また、一実施形態の組立てボックスにおいては、
図7~
図9に示すように一対の第一側板4と一対の第二側板5を内側方に回転させ、底部1の上に倒伏するように順に折り畳むことができる。
【0079】
具体的には、各所のロック部45においてロックピン458を非固定位置にまで移動させたうえで、一対の第一側板4を、それぞれが第二方向D2の両側に有する軸ピン48を中心として内側方に回転させ、底部1の上に倒伏姿勢で積み重ねる(
図7参照)。
【0080】
次いで、一対の第一側板4が軸支されていた位置よりも一段高い位置で下枠2に軸支された一対の第二側板5を、それぞれが第一方向D1の両側に有する軸ピン58を中心として内側方に回転させ、底部1の上に積み重なった一対の第一側板4の上に、更に倒伏姿勢で積み重ねる(
図7、
図8参照)。
【0081】
第二側板5が有する延出片525は、自身が倒れる方向に向けて突出しているが、第二側板5は底部1から一段高い位置で軸支されているので、第二側板5を倒すときに延出片525が底部1に当たって邪魔になることは、防止されている。
【0082】
図10に示すように、第二側板5が倒伏姿勢にあるとき、延出片525は下方に向けて突出し、延出片525から内側方に突出する突起部527は、この第二側板5の下に位置する他の側板(先に倒したもう一方の第二側板5)の端縁部に当接する。これにより、第二側板5の下方にはスペースS1が維持される。スペースS1は、指を引っ掛けることができる程度のスペースである。
【0083】
仮に、延出片525に突起部527が設けられていないと、延出片525は、他の側板と下枠2の間の僅かな隙間に入り込み、第二側板5の下には、指を引っ掛けることができる程度のスペースが形成され難い。一実施形態の組立てボックスでは、突起部527があることでスペースS1が形成され、これにより効率的な組み立て作業が実現される。
【0084】
図示は省略しているが、先に倒した第二側板5においても、その延出片525から突出した突起部527が下にある他の側板(第一側板4)の端縁部に当接し、第二側板5の下方に指を引っ掛けるためのスペースを形成する。
【0085】
底部1の上に倒された一対の第一側板4と一対の第二側板5は、逆の手順で、底部1の上に起立させることができる。具体的には、上下に重なる一対の第二側板5の間のスペースS1に指を挿し入れ、上側の第二側板5を持ち上げて起立姿勢にセットする。次いで、下側の第二側板5を同様に持ち上げて起立姿勢にセットする。更に、上下に重なる一対の第一側板4を順に持ち上げて起立姿勢にセットし、各所のロック部45においてロックピン458を固定位置にまで移動させる。
【0086】
このようにして組み立てられた状態においては、第一側板4が起立姿勢から倒れてしまうことは、固定位置にあるロックピン458の先端部が第二側板5の係止凹部に入り込むことで、防止される。また、第二側板5が起立姿勢から倒れてしまうことは、第二側板5に隣接して第一側板4が起立していることと、第二側板5の突起部527が第一側板4の操作窓452の凹みに入り込むことで、防止される。
【0087】
(変形例)
上記した一実施形態の組立てボックスは一例に過ぎず、一実施形態の組立てボックスの各構成において、種々の変形が可能である。以下の変形例の説明において、上記した一実施形態の組立てボックスと同様の機能を有する構成については、同一符号を付して詳しい説明を省略する。
【0088】
図13には、組立てボックスの変形例の要部を示している。変形例においては、矩形状の外形を有する表面材15の4つの角部に、それぞれ突片152が形成されている。突片152は、下枠2の隙間23に挿入されるように、第二方向D2に突出している。
【0089】
変形例では、表面材15が有する4箇所の突片152が、下枠2に形成された4箇所の隙間23に一対一で嵌り込むので、フォークリフト等を用いて組立てボックスを上下に一回転させるような場合でも、表面材15が底部本体11から脱落する事態が抑えられる。
【0090】
一実施形態の組立てボックスの他の構成においても、同様の作用効果を奏する範囲内において、適宜に設計変更を行うことが可能である。
【0091】
例えば、一実施形態においてストッパー6は円柱状であるが、形状はこれに限定されず、例えば四角柱等の多角柱であってもよい。同様に、ストッパー6に結合された操作バー63、ロックピン458、ロックピン458に結合された操作バー459、及び第二側板5の突起部527はいずれも円柱状であるが、形状はこれに限定されず、例えば四角柱等の多角柱であってもよい。
【0092】
また、一実施形態においては、ストッパー6をばね付勢していないが、保持機構7のガイド溝715にばね部材を配し、このばね部材によって、ストッパー6を第二方向D2の第一側にばね付勢することも可能である。
【0093】
また、一実施形態においては、ピン状であるストッパー6の軸方向のスライド移動によって、ストッパー6を第一位置P1と第二位置P2との間で、変位させているが、ストッパー6の構造はこれに限定されない。例えば、ストッパー6をフック状に形成してこれを下枠2に回転自在に連結させ、このストッパー6の回転によって、ストッパー6を、軸ピン58が下枠2から外れることを規制する第一位置と、軸ピン58が下枠2から外れることを許容する第二位置との間で、変位自在とすることも可能である。
【0094】
また、ストッパー6を、チェーンを介して下枠2に連結された金属棒で形成し、下枠2に、棒状のストッパー6を挿し通すことのできる孔を形成することも可能である。この場合、下枠2の孔に棒状のストッパー6を挿し通したときに、ストッパー6は、軸ピン58が下枠2から外れることを規制する第一位置にある。下枠2の孔から棒状のストッパー6を外したときに、ストッパー6は、軸ピン58が下枠2から外れることを許容する第二位置にある。
【0095】
また、一実施形態においては、一対の第一側板4と一対の第二側板5を、底部1に対して回転させることによって底部1の上に積み重ねているが、一対の第一側板4と一対の第二側板5の各々を底部1から取り外したうえで底部1の上に積み重ねることも可能である。
【0096】
(作用効果)
以上、一実施形態及び変形例に基づいて説明したように、本開示の組立てボックスは、第1の特徴として、下記の構成を備える。
【0097】
本開示の組立てボックスは、底部1と、底部1の周縁部に設けられた下枠2と、下枠2に対して回転自在に連結される複数の側板3を備える。複数の側板3のうち少なくとも1つは、下枠2に対して着脱自在な側板5である。着脱自在な側板5は、下枠2に軸支される軸ピン58を有する。下枠2は、第一位置P1と第二位置P2の間で変位自在なストッパー6を有する。ストッパー6は、第一位置P1にあるときには、軸ピン58が下枠2から外れることを規制し、第二位置P2にあるときには、軸ピン58が下枠2から外れることを許容するように構成されている。
【0098】
したがって、上記した従来の組立てボックスでは、側板を取り外すことが困難であるのに対して、第1の特徴を備える本開示の組立てボックスによれば、組み立て状態において、ストッパー6を操作することにより、複数の側板3の中から所望の側板5だけを、専用の工具を用いることなく容易に取り外すことができる。本開示の組立てボックスでは、ストッパー6を第一位置P1にセットしておけば、組立てボックスに重量物を収容したときや、運搬中に大きな振動が生じたときであっても、側板5が下枠2から不意に外れることは防止される。
【0099】
更に、本開示の組立てボックスは、第2の特徴として、第1の特徴に加えて下記の構成を備える。
【0100】
本開示の組立てボックスにおいて、複数の側板3のうち少なくとも1つは、側板本体51と、側板本体51の側端に装着された縦フレーム52を有する側板5である。縦フレーム52は、側板5が起立姿勢にあるときに、側板5が倒れる方向において側板本体51よりも突出するように形成された延出片525と、延出片525の一部から内側方に突出する突起部527を有する。
【0101】
したがって、第2の特徴を備える本開示の組立てボックスによれば、折り畳み状態において、側板5の下に位置する他の側板に対して突起部527が当接することにより、側板5の下に、指を挿し入れるためのスペースS1が確保される。
【符号の説明】
【0102】
1 底部
2 下枠
3 側板
5 側板(第二側板)
51 側板本体
52 縦フレーム
525 延出片
527 突起部
58 軸ピン
6 ストッパー