(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-12
(45)【発行日】2023-05-22
(54)【発明の名称】片手着脱を可能とする作業用手袋
(51)【国際特許分類】
A41D 19/00 20060101AFI20230515BHJP
A41D 19/015 20060101ALI20230515BHJP
【FI】
A41D19/00 Z
A41D19/015 610Z
(21)【出願番号】P 2018242023
(22)【出願日】2018-12-26
【審査請求日】2021-11-29
(73)【特許権者】
【識別番号】305001548
【氏名又は名称】石井 格
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石井 格
【審査官】須賀 仁美
(56)【参考文献】
【文献】実開平09-000427(JP,U)
【文献】特開平08-226005(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0098953(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41D19/00-19/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
立体成形された作業用手袋に対し、固定機能を有する固定手段を手袋全体の任意の位置に具備する一方、作業環境において、その固定機能を有する固定手段に対して固定機能を有する物を、利用または任意の位置に備えることにより、作業環境において作業用手袋を固定することが可能となり、
固定機能を有する固定手段の具備と分離を可能とする機能を、指部を含め手袋全体の任意の位置及び固定機能を有する固定手段側のいずれか一方または両方に備える
ことを特徴とする片手着脱を可能とする作業用手袋。
【請求項2】
手袋形状に直線的形状を任意の位置に備え、手首部に伸縮素材を備えることを特徴とする請求項
1に記載の片手着脱を可能とする作業用手袋。
【請求項3】
前記固定機能を有する固定手段は、磁石、面ファスナー、吸盤、フックまたは粘着材から選択されることを特徴とする請求項1
又は2に記載の片手着脱を可能とする作業用手袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は作業用手袋の着脱に関し、特に手袋内面と素手が密着しない立体成形のされた作業用手袋に関するものである。
【背景技術】
【0002】
作業用手袋には業務用、家庭用問わず様々な役割があるが、打撲や切傷など怪我の回避と共に汚物、臭気物、油脂類、危険物などに素手を直接接触させない保護機能がある。しかし、現状ではこの保護機能の役割を完全には果たせていない。
【0003】
実際の作業を考察すれば明らかであるが、作業前後には必ずその手袋の着脱行為があり、その着脱にはもう一方の素手の補助が必須となる。
【0004】
まず手袋装着時には手を挿入する際、開口部周辺の保持に一方の素手を必要とし、また、外す際も最終的に素手による指先部などをつまむ保持が必要となり、結果的に作業対象物に直接触れる手袋表面に素手で触れることとなり、完全な保護が困難であった。
【0005】
この課題に対し、面ファスナーなどを用い、手袋肘部まで覆う形状の危険物を取り扱うことを目的とする従来技術がある(例えば、特許文献1参照)。これは手の甲部から肘部にかけて面ファスナーなどを具備し、作業環境の任意の位置に具備された面ファスナー相手側となる固定対象を利用することにより手袋自体を固定し、もう一方の手の補助なく手袋の着脱を可能とする作業用手袋である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
作業用手袋は、その作業環境や作業内容、作業対象より、手を保護することを目的に使用される。例えば家庭での、暖房器具への灯油の給油作業やトイレ掃除、ペットのトイレ掃除などの身近なものから、業務関係であれば、下水関連、屎尿汲み取り業、油脂類を扱う自動車整備工場や漁港での魚介類を取り扱う作業ほか、あらゆる作業に使用されている。
【0008】
しかし、前記のように、着脱時には必ずもう片方の素手による補助が必須であるため、家庭での灯油の給油をはじめ、完全な手の保護が困難であった。
【0009】
このさまざまな物を取り扱う作業用手袋には手の保護を目的に、着脱の際に面ファスナーや磁石などを利用し、手袋を固定することにより作業対象物に一切素手で触れることなく片手のみでの着脱を可能とする従来技術がある。しかし、この技術には作業用手袋の基本的な形状による課題が存在する。
【0010】
そもそも作業用手袋は、軍手や薄手のゴム手袋など例外はあるが、人間の自然な手の形を考慮し、手の甲部より指先にかけ掌側に弧状に立体成型される。この形状は脱落防止目的の手首部分の絞り込みも含め、人間の自然な手の形に合わせてあり、フィット感や作業性の観点から、作業用手袋の基本的な形状となる。しかし、従来技術による着脱方法は、この作業用手袋の基本的形状により発生する摩擦や抵抗を加味しない着脱方法であるため、その効果に課題があった。
【0011】
一般的な作業用手袋は、大量生産により立体成型された既製品であり、主にS、M、L、LLなどのサイズからなるが、着脱性のみを追求するのであれば、普段Sサイズを選択する使用者がMやLサイズに変更すれば、形状や手首部分の絞り込みなど一切関係なく、従来技術による着脱は可能となる。だが実際の使用者がサイズを選択する際は一般に作業性を重視しまた、自身の手へのフィット感などを優先するため作業自体に支障を来すようなサイズの選択をすることは基本的にはない。
【0012】
また、使用者は基本的に自身の手にフィットしたサイズの手袋を選択するが、手の形は指の長さや太さのほか、掌の広さや厚み、手首や腕の太さなど人により千差万別であるため、既製品であるS、M、L、LLなど限られた選択肢の中で妥協しサイズを選ぶ。この限られた選択肢は、使用者により個別様々な摩擦や抵抗を着脱時の素手に発生させる。
【0013】
ここで、一般的な手袋着脱時におけるもう一方の手の補助について説明する。まず手袋装着時は、手袋開口部の掌側をつまむことにより、その固定機能を果し装着を可能とする。次に引き抜き時は、手袋指先部をつまむことにより、その固定機能を果すが、更に、この指部固定により手袋掌側へ弧を描く形状に強制的に作用が加わることにより、手の引き抜きを可能とする。
【0014】
そこで課題となるのが従来技術による手袋開口部(肘部)から甲部までの固定機能である。装着時の固定機能に関してはその役割をある程度果たすが、引き抜きに関しては、その甲部までの固定機能では指先部をつまんだ際の固定機能と、手袋形状に強制的に作用を加える役割を果たせていなかった。
【0015】
これは、装着時において抵抗となるのは主に手首部であるが、引き抜き時に関しては、手首部だけでなく指部を含め手袋掌側に摩擦や抵抗が発生するためである。
【0016】
この指先部をつまむ固定行為は、その固定機能だけではなく、指部を含め手袋手首部か
ら指先部までの掌側形状をできるだけストレートにし、掌側に発生する摩擦や抵抗を減らす機能を兼ねている。
【0017】
つまり従来技術は、手袋開口部(肘部)から甲部までの固定機能により着脱を行うが、装着の際はもう片方の手による開口部保持の役割をある程度果たすが、引き抜き時における、もう片方の手による指先部をつまみ固定する機能が備わっていないため、従来技術では、その着脱に課題があった。
【0018】
また、磁石の具備に関し、先行技術である手袋甲側のみの固定機能は、作業内容や作業環境によっては、手袋掌側へ磁石を具備しても問題としない作業もあり、甲側のみの着脱方法は作業内容や作業環境によっては、使用者の安全確保が困難となる場合や無駄な動作を強いることとなる。
【0019】
本発明は、この従来技術の着脱に関する上記課題を解決することを目的とするものである。
【0020】
また、従来技術に関し、作業用手袋固定機能である磁石などの具備は、製造コストや手袋の使用を終え、廃棄する際の分別処理に関し考慮されておらず、昨今騒がれる環境問題についても課題があった。
【0021】
本発明は、磁石などの作業用手袋固定機能の具備と分離に関する課題を解決することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0022】
前記課題を解決するための請求項1記載の発明は、従来技術である磁石等の固定機能の具備に関し、実際の作業内容や作業環境により、安全で効率の良い固定方法が甲側・掌側と異なるため、従来技術による固定機能を、手袋の甲側開口部(肘部)から甲部に限定せず、手袋の甲側掌側を問わず、その固定機能を任意の位置に具備することを特徴とする。
【0023】
また、掌側掌部による固定機能は、甲側固定と違い手袋の甲側から掌側へ弧を描く形状に直接の作用が可能となり、より容易な着脱が可能となる。
【0024】
また、磁石等とは、請求項3に記載のように、実際に手袋を固定可能な物であれば、必ずしも磁石に限らず、例えば面ファスナー、吸盤、フック、粘着材等としてもよく、また、その固定機能の具備に関しても任意に選択可能である。
【0025】
また、請求項1記載の作業用手袋は、五指有する腕部を覆う手袋形状に限定されず、四指、三指、二指、ミトンタイプ等としてもよい。
【0026】
前記課題を解決するための本発明は、請求項1に関し、磁石などにより片方の手の補助なく手袋の固定着脱をするが、本発明は指部にもその固定機能のある磁石などを具備することにより、手の甲部より指先に向かい掌側へ弧を描く手袋形状に対し、強制的に作用を加え手袋指部の形状を直線的にし、また同時に、その形状変化により手袋掌側の手首部から指部までが直線的形状となり、その結果、着脱時における素手にかかる摩擦や抵抗を解消し、作業用手袋の片手のみでの容易な着脱を可能とする。
【0027】
前記課題を解決するための請求項2記載の発明は、請求項1記載の作業用手袋の、より容易な着脱を可能とするため、手袋自体の基本形状を変えることを特徴とし、手袋掌側の弧の形状を損なうことなく、甲側開口部から甲部までを直線的な面形状とし、任意の位置に固定機能を具備することを特徴とする。
【0028】
この面形状は、磁石などの固定機能を高めると共に、指部固定時における掌側手首部から指部の形状がより直線的となるよう、指部固定時の掌側への作用に、甲部形状による逃げや遊びをなくすことを特徴とするが、手袋材質や作業内容により、指部の弧の形状等必要ない場合もあり、用途によっては、容易な着脱と固定機能を高めることを目的に、指部を含めた手袋全体の基本形状を変えてもよい。
【0029】
また、この甲側面形状は、一連に限られるものではなく、腕部、甲部等に分けてもよく、その面形状は、甲側に限らず、掌側を含め任意に選択可能である。
【0030】
また、請求項2記載の発明は、手袋の脱落防止と片手での容易な着脱を目的に、手首部に伸縮性のあるゴムによる絞り込みを備えることにより、手首部による摩擦や抵抗を解消することを特徴とするが、その手首部絞り込み機能は、ゴムに限られるものではなく、スプリングほか、伸縮機能を有すれば、任意に選択可能である。
【0031】
前記課題を解決するための請求項1記載の発明は、作業用手袋の固定機能である磁石等などに関し、手袋全体の任意の位置にポケットや差込み口などを備え、その具備と分離を可能とし、また、面ファスナーであれば貼り付けと、指部への具備は巻きつけとすることにより、その製造コストを下げ、安価な製品提供を可能とする。また、差込み口による磁石の具備方法により、昨今問題となるごみの分別処理に関し、手袋廃棄時における容易な分別処理を可能とすることを特徴とする。
【0032】
また、この磁石等の具備に関し、磁石を備えた指サック等も有効であり、固定機能の具備方法は任意に選択可能である。
【発明の効果】
【0033】
請求項1記載の作業用手袋によれば、片手での着脱を可能とする作業用手袋の固定機能の具備を、甲側に限定せず、甲、掌問わず、具備を可能とすることにより、高所や危険な作業環境においても、掌側固定を可能とすることにより、着脱動作時における万が一の際でも、素早い掴み動作を行え、作業中の安全確保に役立つ。
【0034】
本発明の作業用手袋によれば、請求項1記載の作業用手袋に関し、固定機能の具備を、手袋開口部から甲部と限定せず、指部にもその固定機能を具備することにより、着脱の際の摩擦や抵抗となる手首部と、引き抜きの際における掌側手首部から指部にかけての掌側形状による摩擦や抵抗を、指部固定機能によって、手袋掌側を強制的に直線的形状にすることにより、素手への摩擦や抵抗を解消し、双方容易な片手での着脱を可能とする。
【0035】
請求項2記載の作業用手袋によれば、請求項1の作業用手袋に関し、手袋自体の形状および機能を、より容易な着脱を目的に、その形状を甲側腕部から甲部を面形状とし、また、手首部に手袋脱落防止を目的に、伸縮性のあるゴム等を備えるが、まず、この面形状の効果は、磁石などの固定機能を高めると共に、指部固定時における掌側手首部から指部の形状がより直線的となるよう、指部固定時の掌側への作用に、甲部形状による逃げや遊びをなくし、より素手にかかる摩擦や抵抗を軽減する。
【0036】
また、この面形状は、甲側へ限定されるものではなく、作業環境や作業内容などにより、掌側の面形状も含めた任意の位置とすることにより、着脱を容易にし、また、作業環境における着脱動作時の万が一の際でも、素早い掴み動作が可能となり使用者の安全確保に有効となる。
【0037】
また、手首部に伸縮性のある絞り込み機能を備えることにより、着脱時における最大の課題となる手首部の摩擦や抵抗を、伸縮性のあるゴム等を備えることにより、適度な絞りによる手袋脱落防止と、着脱時における手首部の摩擦や抵抗を軽減し、容易な双方片手のみでの着脱を可能とする。
【0038】
請求項1記載の作業用手袋によれば、作業用手袋の固定機能である磁石等に関し、その具備と分離機能を、手袋全体の任意の位置に、ポケットや差込み口を備え、あるいは固定機能側である磁石に強力な粘着剤を備え、また、面ファスナーであれば指部への具備を直接巻きつけるなどとし、製品の製造や成型を簡略化し、より安価な製品化が可能となり、広く普及する効果を奏する。
【0039】
また、作業用手袋の固定機能を、容易に具備、分離することを可能とすることにより、昨今問題となる、廃棄物の分別処理に関し、使用済み手袋廃棄時の容易な分別処理が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図1】本発明における指部への固定機能を具備した手袋の正面図である。
【
図2】本発明により双方片手での着脱を可能とした、作業環境における手袋の固定の一例を示す斜視図である。
【
図3】本発明による手袋双方に具備された固定機能により、作業環境における固定機能を必要としない着脱を可能とする手袋の正面図である。
【
図4】市販される一般的な手袋の形状と特徴を示す側面図である。
【
図5】(a)から(c)は、従来技術の課題を、手袋の形状変化により示す側面図である。
【
図6】(a)から(c)は、従来技術の課題となる摩擦や抵抗が発生する手袋の部位を示す側面図である。
【
図7】(a)から(d)は、本発明の特徴となる指部への磁石具備により、手袋基本形状に対し、強制的に作用を加えた状態の手袋側面図である。
【
図8】手袋掌側へ磁石を具備することにより、手袋基本形状に対し、強制的に作用を加えた状態の手袋の側面図である。
【
図9】(a)から(c)は、容易な着脱を目的に、手袋自体の形状を変える一例としての概要図である。
【
図10】手袋構成物の具備と分離を可能とするポケットを備えた手袋の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、本発明による実施形態を説明するが、まず、本発明における従来技術の課題となる、着脱時における素手にかかる摩擦や抵抗について図面を参照して説明する。
【0042】
図4において、1は一般的な作業用手袋の基本形状であり、4は手袋の脱落防止を目的とした手首部の絞り込みであり、4aは手袋甲部より掌側へ弧を描く基本形状である。また、4bは手袋開口部となる。
【0043】
図5にて従来技術の固定機能である磁石を具備した手袋1cの、その甲部までの固定機能による形状変化の一例を説明する。装着時は手首部絞りによる摩擦と抵抗により(b)に示すように形状変化し、また、引き抜き時には手首部の絞り込みと掌側の摩擦や抵抗により、(c)のような形状変化をする。
【0044】
図6は装着時(b)と、引き抜き時(c)における摩擦や抵抗のかかる部位5を示す。また、特に引き抜きの際は、
図4に示した手首部の絞り込み4と、手袋甲部より掌側へ弧を描く形状4aによりその摩擦と抵抗は更に増す。
【0045】
以下、従来技術の課題である、着脱時における素手にかかる摩擦や抵抗に関し、その課題を解決することを目的とする本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
【0046】
図7(a)は、従来技術に対し、その固定機能である磁石等を具備する基本形態1aであり、本発明は指部にも、その固定機能である磁石2を具備することを特徴とする。
【0047】
図7(b)は、指部固定機能である磁石により、手袋の形状に対し、強制的に作用を加えた状態である。
【0048】
図7(d)は、手袋に強制的に作用を加えた磁石2により摩擦や抵抗が軽減された部位4d、4fを示す。
【0049】
図7(c)及び
図7(d)は、本発明における指部固定機能により、着脱時における手袋手首部絞りによる摩擦や抵抗のかかる部位4cと、手袋掌側手首部から指部にかけて弧を描く形状4eにより発生する摩擦や抵抗に対し、手袋形状に強制的に作用を加えることにより、手首部形状にかかる摩擦や抵抗の分散を示す4dと、その効果により掌側形状を強制的に直線化したことを示す4fを示している。
【0050】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0051】
図2は、本発明による代表的な実施形態である。家庭での暖房器具への灯油給油の際の一例であるが、例えば灯油タンク保管場所の近辺に洗濯機等、強磁性を有するものがあれば、その側面に直接本発明による作業用手袋を固定し、灯油に一切触れることのない給油作業が可能となる。また、作業環境において強磁性物がない場合は、金属板などを任意の位置に備えるなど、その固定対象は、任意での選択を可能とする。
【実施例2】
【0052】
図3は、
本発明により可能となる従来技術では困難な着脱方法の実施形態である。
図3に示すように、指部を含めた磁石による固定機能を有する手袋1aにより、材質問わず、両手袋を満たす面さえあれば、手袋指部と甲部双方を対する固定物とすることにより、作業環境における固定物を一切必要とせず、机の上や洗濯機の上蓋ほか、あらゆる物を利用し、左右双方の手袋の着脱が可能となる。
【実施例3】
【0053】
図8は、本発明による掌側固定機能による実施例である。固定機能として磁石2を掌側へ具備する手袋1dにより、高所や足場の悪い場所などでの着脱時における予期せぬ危険な状況に際し、掌側固定方法により、素早い手の掴む行為等を可能とし、使用者の安全確保が可能となる。
【実施例4】
【0054】
本発明による着脱性を高めることを目的に、
図9(a)、
図9(b)に示すように、一般的な手袋基本形状を変え、甲側を面形状6とした手袋1eの概略図である。
【0055】
これは
図9(a)、
図9(b)に示すように甲側を面形状6にすることにより、磁石などの固定機能を高めるとともに、一般的な手袋の形状を、指部固定作用による掌側手首部から指部の形状がより直線的となるよう、指部固定時の掌側への作用に、甲部形状による逃げや遊びをなくし、容易な着脱を可能とする。なお、この形態は、本発明における一例であり、実施形態を限定するものではない。
【実施例5】
【0056】
図9(c)の1fは、本発明による手首部へ伸縮性のある絞り込みを備えた手袋の側面図である。作業用手袋の着脱に関し、最も摩擦や抵抗を発生させるのは手袋手首部であり、この基本形状である脱落防止を目的とした手首部の絞り込みに関し、適度に伸縮性のあるゴム7を具備することにより、脱落防止と、容易な着脱が可能となる。
【実施例6】
【0057】
図10は、本発明における手袋固定機能の具備と分離を可能とする一例である。本発明による固定機能を有する磁石は、強い磁力のあるネオジウム磁石等であるが、着脱時における手の抜き差しには、強い固定機能を必要とするため、その具備に関しては強固なことが求められる。そこで本発明は強固な具備と、相反する容易な分離を可能とするため、手袋にポケット8を備え、この課題を解決した。
【0058】
図10の1gは、代表例としてポケット8を備えた手袋であり、その各ポケットに磁石2を備えることにより、容易な具備と分離を可能とし、製造コストを下げ、また、廃棄時における容易な分別処理が可能となる。なお、この具備と分離は本発明における一例であり、実施形態を限定するものではない。
【実施例7】
【0059】
また
図1の面ファスナーを具備する手袋1bに関し、その具備は基本的に貼り付けであるが、特に指部への具備に関しては雌雄併せ持つ面ファスナー3aを使用し、指部へ巻きつけることにより面ファスナー具備を強固なものとし小面積による貼り付けの剥がれを防止する。
【産業上の利用可能性】
【0060】
一般家庭における暖房器具への灯油の給油やトイレ、ペットのトイレ掃除ほか、軽油、グリス・オイルなど、臭気の強い油脂類を扱う自動車整備士やマシン油などの油脂類を扱う様々な工場。屎尿処理業や汚物、危険物を扱う作業など、あらゆる産業における作業従事者に対し、本発明は手の保護機能として効果があり、その需要は産業上有効となる。
【符号の説明】
【0061】
1 一般的な手袋
1a 甲側開口部から指部まで磁石を具備する手袋
1b 甲側開口部から指部まで面ファスナーを具備する手袋
1c 甲側開口部から甲部まで磁石を具備する手袋
1d 掌側開口部から指部まで磁石を具備する手袋
1e 甲部を面形状とする手袋
1f 伸縮性のあるゴムを具備する手袋
1g 差込み口を具備する手袋
2 磁石
3 面ファスナー
3a 指部へ巻いた面ファスナー
4 手袋の基本形状による手首部の絞り込み
4a 手袋の基本形状による甲側甲部から指部が掌側へ弧を描く形状
4b 手袋の基本形状による開口部
4c 指部への磁石具備による、手首部の摩擦や抵抗解消前の形状
4d 指部への磁石具備による、手首部の摩擦や抵抗解消後の形状
4e 指部への磁石具備による、掌部から掌側指部にかかる摩擦や抵抗解消前の形状
4f 指部への磁石具備による、掌部から掌側指部にかかる摩擦や抵抗解消後の形状
5 着脱時における摩擦や抵抗の発生部位
6 甲側甲部の面形状
7 手首部へ具備した伸縮性のあるゴム
8 磁石を具備するポケット