(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-12
(45)【発行日】2023-05-22
(54)【発明の名称】ボール発射装置
(51)【国際特許分類】
A63B 69/40 20060101AFI20230515BHJP
【FI】
A63B69/40 501P
A63B69/40 501V
(21)【出願番号】P 2019079935
(22)【出願日】2019-04-19
【審査請求日】2022-02-22
(73)【特許権者】
【識別番号】596017602
【氏名又は名称】共和技研株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126712
【氏名又は名称】溝口 督生
(72)【発明者】
【氏名】田中 完ニ
(72)【発明者】
【氏名】田中 慎一郎
【審査官】安田 明央
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第07662053(US,B1)
【文献】特開平09-276466(JP,A)
【文献】特許第5625098(JP,B1)
【文献】実開平01-077784(JP,U)
【文献】特開2007-259901(JP,A)
【文献】特開2015-073580(JP,A)
【文献】米国特許第04579100(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 69/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発射筒と、
前記発射筒の前方から前記発射筒の内部にボールを供給するボール供給部と、
前記ボール供給部から供給された発射対象となる発射ボールが、前記発射筒内部の発射位置に到達したことを検出する到達検出部と、
前記到達検出部での検出に基づいて、前記発射位置にある前記発射ボールへ空気圧を付与する空気圧付与部と、
前記発射筒の角度を制御する角度制御部と、を備え、
前記角度制御部は、前記ボール供給部から前記発射ボールが供給されて前記発射位置に到達するまでは、前記発射筒の前方を上向きの角度に
向け、
前記空気圧付与部に圧縮空気を供給する圧縮空気タンクを更に備え、
前記発射筒の内部に設けられるボール発射装置用アタッチメントを更に備え、
前記ボール発射装置用アタッチメントは、
前記発射筒内部に設けられるアタッチメント本体部と、
前記アタッチメント本体部に備わり前記発射筒内部を移動するボールに摩擦を付与する摩擦体と、
前記摩擦体へ圧力を付与する圧力付与部と、
前記圧力付与部と前記圧縮空気タンクをつなげる管路と、を、備え、
前記管路は、前記発射筒から発射されるボールに付与される前記圧縮空気タンクからの圧縮空気を前記圧力付与部に付与し、
同一の前記発射ボールに対する前記空気圧付与部からの発射のための空気圧と、前記圧力付与部からの前記摩擦体へ付与される空気圧とは、略同一である、ボール発射装置。
【請求項2】
前記ボール供給部から前記発射筒内部に供給された前記発射ボールは、前記発射筒が上向き角度であることで、自重落下して、前記発射位置に移動する、請求項1記載のボール発射装置。
【請求項3】
前記発射位置は、前記発射筒の根元に設けられる、請求項1または2記載のボール発射装置。
【請求項4】
前記ボール供給部に接続して複数のボールを収容するボール容器を更に備える、請求項1から3のいずれか記載のボール発射装置。
【請求項5】
前記ボール供給部は、前記ボール容器からのボールの供給を受け、前記発射ボールが前記発射筒内部に供給されると、次のボールを前記発射筒内部の手前で停止させ、
前記ボール供給部は、前記発射ボールが前記発射筒から発射されると、前記次のボールを、前記発射筒内部に供給する、請求項4記載のボール発射装置。
【請求項6】
前記ボール容器から、前記ボールは自由落下により、前記ボール供給部に連続的に供給される、
請求項4または5記載のボール発射装置。
【請求項7】
前記発射位置であって前記発射ボールの前方に、前記発射ボールの停止を可能とするストッパーを更に備える、
請求項1から6のいずれか記載のボール発射装置。
【請求項8】
前記角度制御部は、発射される前記発射ボールの速度、角度、球種に合わせて、前記発射筒の角度を変更可能であり、上方からの発射の際には、前記発射筒を下向きにし、
前記発射筒が下向きとなる場合には、前記ストッパーが、前記発射ボールを前記発射位置に発射されるまで停止させる、
請求項7記載のボール発射装置。
【請求項9】
前記発射筒に、複数の前記ボール発射装置用アタッチメントが取り付けられる、
請求項1記載のボール発射装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気圧によってボールを発射でき、ボールを一つずつ発射する際の作業者の作業を削減できる、ボール発射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
野球でのバッティング練習やテニスでのストローク練習などにおいて、野球ボールやテニスボールを自動で発射するボール発射装置が用いられる。野球の練習に使用されるボール発射装置は、ピッチングマシンやバッティングマシーンと呼ばれる。このようにピッチングマシンやバッティングマシーンと呼ばれるボール発射装置が、野球のバッティング練習やテニスのストローク練習などで、練習者にとって利用されている。
【0003】
このような野球やテニスなどの球技におけるボールを発射するボール発射装置としては、先端にボールを載せたアームを回転させてボールを発射するアーム式のものがある。あるいは、近接させた一対のローラーの間にボールを通して、一対のローラーの回転によりボールを発射するローラー式のものがある。
【0004】
これらとは異なり、筒状の発射筒に設置されたボールに対して圧縮空気による空気圧を付与して、空気圧でボールを発射する空気圧によるボール発射装置もある。空気圧でボールを発射するボール発射装置は、空気圧の調整によって、発射されるボールの速度、角度などを様々に制御できる。この様々な制御によって、使用者にとって最適な速度やコントロールのボールを発射することができる。結果として、ボール発射装置を用いた練習効率が高まる。
【0005】
例えば、野球であれば、速度の増減や球種の変化によってより実戦に即したバッティング練習ができる。あるいはテニスであれば、速度、角度、コース、球種などの変化によって、やはり実戦に即したストローク練習やボレー練習ができる。
特に、テニスの場合には、テニスコートを用いたストローク練習やボレー練習を行うことがある。このとき、実際のテニスコートに練習者が立ち、相手方のコートから発射されるボールを打ち返す。ストロークであってもボレーであっても同様である。ここで、より実戦的な練習としては、実際のテニスコートの相手側コートから、テニスプレーヤーが打ってくるボールと同じような軌道や速度のボールが発射されることが好ましい。
【0006】
空気圧によるボール発射装置により、このような練習が行えることが望まれている。
【0007】
このようなボール発射装置に関するいくつかの技術が提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特許5625098号公報
【文献】実開平1-77784号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1は、ボールを発射させるボール発射手段にボールの発射方向や回転を定める制球手段を接続し、制球手段にボールが通過するボール通過通路を形成し、ボール通過通路の先端の投球口からボールを投げ出すピッチングマシーンにおいて、前記ボール発射手段は、ボールを供給するボール供給機構と、ボール供給機構から供給されたボールを空気圧で発射する空気噴射機構とで構成し、制球手段は、ボール通過通路の下側に回転体を設けるとともに、回転体をボールの進行方向に向けてボールの進行速度よりも速い速度で回転させて前記空気噴射機構から発射されたボールの下側に接触させ、回転体の上方に摩擦体を設け、ボールと接触する摩擦体の表面よりもボールと接触する回転体の表面の動摩擦係数を大きくしたことを特徴とするピッチングマシーンを開示する。
【0010】
しかしながら、特許文献1のボール発射装置は、ボールを一つずつ設置部位に設置して、ボールを発射する。このため、設置部位へのボールの設置に時間がかかってしまう問題がある。このため、次々とボールを発射して、発射されたボールを打ったり受けたりする練習においては、不適である。設置に時間がかかることで、ボールの発射される時間間隔が長くなってしまうからである。
【0011】
また、ボールの投入操作であったり実際のボールの発射操作であったりにおいて、作業者を必要とする問題もある。例えば、ボール発射装置に作業者が寄り添った状態で、ボールの投入、設置、発射制御を行う必要がある。野球などであれば、チーム練習の中で、作業者がボール発射装置を操作することができることもある。しかし、テニスのように一人のコーチが多数のプレーヤーを教えなければならない場合には、コーチがボール発射装置に張り付くこととなり、プレーヤーのコーチングができなくなってしまう問題がある。
【0012】
あるいは、リモコンにより自動操作する場合でも、プレーヤーが行う必要があり、次々とボールを発射する練習をしたい場合には不向きである問題がある。
【0013】
加えて、一度に大量のボールを準備しておいて、短い時間間隔で次々とボールを発射することができない問題もある。この問題により、短い時間間隔でのボール発射を受けて練習することに適してない問題があった。
【0014】
特許文献2は、高圧空気の圧力を受けて筒を移動するボールの面に、山型の凸部を接触させてボールに摩擦を付与するボール回転手段を備えるピッチングマシンを開示する。特許文献4は、筒を移動するボールの一部の面に、2つの凸部が接触することで、人間の投手が二本の指でボールに摩擦を付与することを、模擬的に再現している。この模擬的な再現により、特許文献4に開示されるピッチングマシンは、ボールに回転を付与することができる。
【0015】
しかしながら、特許文献2の技術も、特許文献1と同様の問題を有している。少ない作業者で、短い時間間隔で次々とボールを発射できず、これを必要とする練習に向いていない問題がある。また、特許文献1、2などの技術では、装置のコストが高くなる問題もあり、球技の種類や導入組織によっては、導入が難しい問題もあった。
【0016】
本発明は、上記の課題に鑑み、大量にセットしておいたボールを、操作者を不要として短い時間間隔で次々と発射できるボール発射装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記課題に鑑み、本発明のボール発射装置用アタッチメントは、発射筒と、
前記発射筒の前方から発射筒の内部にボールを供給するボール供給部と、
ボール供給部から供給された発射対象となる発射ボールが、発射筒内部の発射位置に到達したことを検出する到達検出部と、
到達検出部での検出に基づいて、発射位置にある発射ボールへ空気圧を付与する空気圧付与部と、
発射筒の角度を制御する角度制御部と、を備え、
角度制御部は、ボール供給部から発射ボールが供給されて発射位置に到達するまでは、発射筒の前方を上向きの角度に向け、
前記空気圧付与部に圧縮空気を供給する圧縮空気タンクを更に備え、
前記発射筒の内部に設けられるボール発射装置用アタッチメントを更に備え、
前記ボール発射装置用アタッチメントは、
前記発射筒内部に設けられるアタッチメント本体部と、
前記アタッチメント本体部に備わり前記発射筒内部を移動するボールに摩擦を付与する摩擦体と、
前記摩擦体へ圧力を付与する圧力付与部と、
前記圧力付与部と前記圧縮空気タンクをつなげる管路と、を、備え、
前記管路は、前記発射筒から発射されるボールに付与される前記圧縮空気タンクからの圧縮空気を前記圧力付与部に付与し、
同一の前記発射ボールに対する前記空気圧付与部からの発射のための空気圧と、前記圧力付与部からの前記摩擦体へ付与される空気圧とは、略同一である。
【発明の効果】
【0018】
本発明のボール発射装置は、ボール容器に収容されているボールが、発射筒の前方から発射筒内に1個ずつ供給される。この1個ずつ供給されたボールは、発射筒の根元の所定位置に到達するだけで、空気圧の付与を受けて発射される。このため、発射のためのボールの設置に余分な機構、手間、時間を要さないので、短い時間間隔でボールを発射できる。
【0019】
また、ボールが発射されると次のボールがボール容器から落下して、発射筒の根元にある所定位置に重力落下で到達する。到達を検出すると、空気圧が付与されて次のボールも発射される。このように、ボール容器から1個ずつボールが所定位置に到達して次々とボールが発射される。結果として、短い時間間隔でのボール発射が可能となる。
【0020】
また、ボール容器から落下するボールが発射筒の前方から発射筒に入り、重力落下で発射筒の根元にある所定位置に自ら到達する。これにより、ボールを1球ずつ手作業で供給したり特殊な機構を必要としたりすることを削減でき、ボール発射装置を操作する専任作業者を不要とできる。
【0021】
また、上からの角度を持ったボールを発射する場合には、発射筒を若干下向きにする必要がある。ボールを固定して設置する機構を削減していることにより、ボールが発射筒の前に落ちていく可能性があるが、ボールストッパーを設けることで、これを解消している。
【0022】
このように、ボールの供給、発射位置へのボールの移動、固定による発射位置での設置、などの機構や手順を省力していることで、装置のコスト低減、時間間隔の短い連続発射、作業者の不要化を実現しつつ、これにより生じうる問題も解消している。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の実施の形態1におけるボール発射装置の側面図である。
【
図2】本発明の実施の形態1におけるボール発射装置によるボール発射の状態を示す模式図である。
【
図3】本発明の実施の形態1におけるボール供給部からボールが供給される状態を示す模式図である。
【
図4】本発明の実施の形態1における発射位置に到達したボールが発射される状態を示す模式図である。
【
図5】テニスコートにおいてボール発射装置が使用される場合の模式図である。
【
図6】本発明の実施の形態2におけるボール発射装置の側面図である。
【
図7】本発明の実施の形態2におけるボール発射装置の側面図である。
【
図8】本発明の実施の形態2における発射筒周辺のブロック図である。
【
図9】本発明の実施の形態3におけるボール発射装置の模式図である。
【
図10】本発明の実施の形態3におけるアタッチメントとその周辺の模式図である。
【
図11】本発明の実施の形態3におけるボール発射装置の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の第1の発明に係るボール発射装置用アタッチメントは、発射筒と、
発射筒の前方から発射筒の内部にボールを供給するボール供給部と、
ボール供給部から供給された発射対象となる発射ボールが、発射筒内部の発射位置に到達したことを検出する到達検出部と、
到達検出部での検出に基づいて、発射位置にある発射ボールへ空気圧を付与する空気圧付与部と、
発射筒の角度を制御する角度制御部と、を備え、
角度制御部は、ボール供給部から発射ボールが供給されて発射位置に到達するまでは、発射筒の前方を上向きの角度に向ける。
この構成により、ボールは発射筒内部に自由落下で供給されて、発射位置に到達できる。発射位置に到達すれば、そのままボールが発射されるので、ボールの発射位置への設定やこれを踏まえての発射操作などの操作者の操作を不要とできる。
【0025】
本発明の第2の発明に係るボール発射装置用アタッチメントでは、第1の発明に加えて、ボール供給部から発射筒内部に供給された発射ボールは、発射筒が上向き角度であることで、自重落下して、発射位置に移動する。
【0026】
この構成により、ボールは自ら発射位置に到達できる。余分な機構や操作を不要とできる。
【0027】
本発明の第3の発明に係るボール発射装置用アタッチメントでは、第1または第2の発明に加えて、発射位置は、発射筒の根元に設けられる。
【0028】
この構成により、発射位置に自重で到達したボールへの空気圧の付与が行える。
【0029】
本発明の第4の発明に係るボール発射装置用アタッチメントでは、第1から第3のいずれかの発明に加えて、ボール供給部に接続して複数のボールを収容するボール容器を更に備える。
【0030】
この構成により、次々とボールを発射筒に供給できる。
【0031】
本発明の第5の発明に係るボール発射装置用アタッチメントでは、第4の発明に加えて、ボール供給部は、ボール容器からのボールの供給を受け、発射ボールが発射筒内部に供給されると、次のボールを発射筒内部の手前で停止させ、
ボール供給部は、発射ボールが発射筒から発射されると、次のボールを、発射筒内部に供給する。
【0032】
この構成により、ボールは1球ずつ発射筒に供給され、次々と発射される。
【0033】
本発明の第6の発明に係るボール発射装置用アタッチメントでは、第5の発明に加えて、到達検出部は、発射ボールの発射位置への到達を検出した所定時間後に、ボール供給部へ、次のボールの供給を指示する。
【0034】
この構成により、ボールの発射が終わってから次のボールが供給される。発射の邪魔にならないと共に次々とボールが発射できる。
【0035】
本発明の第7の発明に係るボール発射装置用アタッチメントでは、第4から第6のいずれかの発明に加えて、ボール容器から、ボールは自由落下により、ボール供給部に連続的に供給される。
【0036】
この構成により、ボールの供給および発射について、操作者の都度ごとの操作を不要とできる。
【0037】
本発明の第8の発明に係るボール発射装置用アタッチメントでは、第1から第7のいずれかの発明に加えて、空気圧付与部に圧縮空気を供給する圧縮空気タンクを更に備える。
【0038】
この構成により、ボール発射装置は、空気圧によるボール発射を行える。
【0039】
本発明の第9の発明に係るボール発射装置用アタッチメントでは、第1から第8のいずれかの発明に加えて、発射位置であって発射ボールの前方に、発射ボールの停止を可能とするストッパーを更に備える。
【0040】
この構成により、発射筒を前方下向きとしてボールを発射する場合でも、空気圧の付与の前にボールを発射筒の前方から落下させずに済む。
【0041】
本発明の第10の発明に係るボール発射装置用アタッチメントでは、第9の発明に加えて、角度制御部は、発射される発射ボールの速度、角度、球種に合わせて、発射筒の角度を変更可能であり、上方からの発射の際には、発射筒を下向きにし、
発射筒が下向きとなる場合には、ストッパーが、発射ボールを発射位置に発射されるまで停止させる。
【0042】
この構成により、ストッパーによってボールを落下させずに、上方からの向きでのボール発射を実現できる。特に、ボールの発射位置での固定などの機構を省略しているボール発射装置において効果的である。固定機構などを導入すると、ボールの発射筒での自重落下による発射位置でのセットなどができなくなり、これを解消した本発明のボール発射装置では、このようなストッパーが有効である。
【0043】
本発明の第11の発明に係るボール発射装置用アタッチメントでは、第1から第10のいずれかの発明に加えて、発射筒の内部に設けられるボール発射装置用アタッチメントを更に備え、
ボール発射装置用アタッチメントは、
発射筒内部に設けられるアタッチメント本体部と、
アタッチメント本体部に備わり発射筒内部を移動するボールに摩擦を付与する摩擦体と、
摩擦体へ圧力を付与する圧力付与部と、
圧力付与部と圧縮空気タンクをつなげる管路と、を、備え、
管路は、発射筒から発射されるボールに付与される圧縮空気タンクからの圧縮空気を、圧力付与部に付与して、同一の発射ボールに対する発射のための空気圧と摩擦体へ付与される空気圧は、略同一である。
【0044】
この構成により、ボールを発射する空気圧に比例する空気圧が、圧力付与部を介して、摩擦体に加わる。摩擦体は、この圧力付与部からの圧力で発射筒を移動するボールに接触する。この結果、ボールには発射圧力に比例する圧力で、摩擦体による摩擦が加わる。
【0045】
本発明の第12の発明に係るボール発射装置用アタッチメントでは、第11の発明に加えて、発射筒に、複数のボール発射装置用アタッチメントが取り付けられる。
【0046】
この構成により、球種などの制御のバリエーションが更に広がる。
【0047】
以下、図面を用いて、本発明の実施の形態1について説明する。
【0048】
(実施の形態1)
【0049】
(全体概要)
図1は、本発明の実施の形態1におけるボール発射装置の側面図である。実施の形態1におけるボール発射装置1は、発射筒2の角度を制御して、ボールを発射できるが、
図1では、発射筒2の発射方向に向けて、上向き斜めの角度で示されている。
【0050】
ボール発射装置1は、発射筒2と、ボール供給部3と、到達検出部4と、空気圧付与部5と、角度制御部6と、を備える。また、ボール発射装置1は、空気圧付与部5を通じて、ボールに空気圧を付与する圧縮空気タンク7を備える。更に、ボール発射装置1は、支持フレーム20を備え、支持フレーム20は、発射筒2を支えつつ、ボール発射装置1全体の構造を支える。
【0051】
発射筒2は、ボールを発射する筒状の部材である。ボールは、ボール供給部3から供給されて、空気圧付与部5において圧縮空気タンク7からの空気圧の付与を受けて発射筒2内部を移動する。この移動によって、発射筒2は、ボールを発射する。発射筒2は、ボールへの加速と軌道を作る。これにより、空気圧の付与を受けたボールは、空気圧の大きさに応じた速度および発射筒2の方向や角度に対応した軌道で、発射筒2から発射される。
【0052】
ボール供給部3は、発射筒2の前方から発射筒2の内部にボールを供給する。
図1では、発射筒2の前方(発射口よりは後方)であって、上方からボールを供給する位置に、ボール供給部3が設けられている。ボールは、発射筒2の上方から、このボール供給部3を通じて、発射筒2内部に供給される。すなわち、ボールは、発射筒2の前方から、発射筒2内部に供給される態様である。
【0053】
ボールは、発射筒2の根元に設けられる空気圧付与部5において、空気圧の付与を受けることで発射される。ここで、発射筒2は、空気圧の付与を受けたボールの加速と軌道の安定を生み出す。このため、ボールは、発射筒2の根元において空気圧の付与を受けて、発射筒2の先端まで移動した上で、発射筒2から発射される。
【0054】
このため、ボール供給部3から供給されたボールは、発射筒2の根元に移動する必要がある。ここで、
図1に示されるように、発射筒2は、ボール供給部3からボールが供給されて、発射筒2の発射位置21に到達するまでは、前方を上向きの角度に向けている。すなわち、
図1のように、発射筒2は、前方斜め上を向いている。
【0055】
このような前方上向きであることで、発射筒2の前方にあるボール供給部3から発射筒2内部に入ったボールは、重量落下に従って、発射筒2の根元に移動する(転がり落ちる)。この結果、発射筒2の根元に到達する。この発射筒2の根元には、空気圧付与部5がボールに空気圧を付与して発射を開始する。発射位置21がある。この発射位置21にボールがあることで、空気圧付与部5は、ボールに空気圧を付与できる。
【0056】
このように、ボール供給部3から供給されたボールが発射位置21に到達するまでは、発射筒2が、前方上向きの角度を持っていることで、ボールは、発射位置21に自重落下のみで到達できる。ボール供給部3から供給されたボールは、余分な機構や自動動作などを必要とせずに、発射筒2の前方から根元である発射位置21に到達できる。
【0057】
到達検出部4は、ボール供給部3から発射筒2内部に供給されたボールが、発射筒2内部の発射位置21に到達したことを検出する。上述のように、前方上向きの角度を持っている発射筒2では、内部に入ったボールが根元に向かって自重落下する。この自重落下によって、ボールは、根元に到達する。この根元には、空気圧付与部5による空気圧の付与を受ける発射位置21がある。到達検出部4は、発射位置21にボールが到達したことを検出する。
【0058】
例えば、到達検出部4は、赤外線センサーや重量センサーを有しており、発射位置21にボールが到達したかどうかを検出する。あるいは、他の種類や方式のセンサー(例えば、LEDを用いたビームセンサー、レーザーセンサー、ファイバーセンサーなど)を有しており、これによって、発射位置21にボールが到達したことを検出してもよい。
【0059】
到達検出部4は、発射位置21にボールが到達したことを、空気圧付与部5に通知する。
【0060】
空気圧付与部5は、到達検出部4による通知に基づいて、発射位置21にあるボールに空気圧を付与する。空気圧付与部5は、圧縮空気タンク7を動作させる機能を有しており、圧縮空気タンク7から圧縮空気を出力させることで、ボールに空気圧を付与できる。
【0061】
空気圧付与部5は、ボールへの効果的な空気圧の付与を行って、ボールを発射させるために、発射位置21で空気圧を付与することが好ましい。このため到達検出部4による発射位置21での検出によって、空気圧を付与する。
【0062】
空気圧を付与されたボールは、発射筒2内部を移動して、発射筒2の先端から発射される。空気圧の大きさによって、ボールの発射速度が制御される。
【0063】
角度制御部6は、発射筒2の角度を制御する。この角度は、主に上下の角度である。もちろん、左右の角度も制御してもよい。ここで、角度制御部6による上下角度の制御によって、ボール供給部3から発射筒2内部に供給されたボールを、発射位置21に到達させることができる。
【0064】
ボール供給部3から発射筒2内部に供給されたボールが、重力落下で発射位置21に到達するまでは、角度制御部6は、発射筒2を前方上向きに制御する。これは、
図1のような状態である。
【0065】
図1のような前方上向きの角度であることで、ボール供給部3から発射筒2内部に供給されたボールは、自重落下して、発射位置21に移動して到達する。到達検出部4は、これを検出する。また、上述の通り、発射位置21は、発射筒2の根元に設けられる。
【0066】
支持フレーム20は、発射筒2を支持しつつ、ボール発射装置1全体の骨格としての役割を行う。これにより、発射筒2の角度が制御される場合でも、発射筒2の角度や位置が安定する。また、ボール発射装置1が使用される場合に、状況に応じて、地面や台に設置できる。
【0067】
圧縮空気タンク7は、圧縮空気を収容している。圧縮空気タンク7は、空気圧付与部5に圧縮空気による空気圧を付与する。この付与により、発射位置21にあるボールに空気圧が付与される。
【0068】
(動作概要)
【0069】
図2は、本発明の実施の形態1におけるボール発射装置によるボール発射の状態を示す模式図である。
図1で示されたボール発射装置1に、実際のボール10が供給されて発射される状態を示している。なお、ここで、ボール発射装置10が取り扱うボールを、ボール10として表記し、発射筒2に供給されて発射される発射対象となるボールを、発射ボール10Aとして表記する。
【0070】
ボール供給部3からボール10が供給される。発射筒2からは、1球ずつのボール10が発射されるので、発射筒2が空の状態でボール10が供給される。すなわち、
図2において、ボール供給部3から供給されるボール10は、発射ボール10Aである。このため、
図2においては、次の発射対象である発射ボール10Aが発射筒2内部に供給される。
【0071】
発射筒2は、この時点では、前方上向きの角度で角度制御されている。角度制御部6が、発射筒2を前方上向きに制御しているからである。このため、発射筒2内部で、発射ボール10Aは、自重落下(重力落下)して、発射筒2の根元に移動する。
図2では、この移動状態の発射ボール10Aを示している。
【0072】
発射ボール10Aは、根元に移動していくことで、根元の発射位置21に到達する。発射位置21は、根元で発射ボール10Aが発射される部分である。この部分で発射ボール10Aは、停止する。この停止した状態を、到達検出部4は、検出する。停止状態であるので、到達検出部4は、発射ボール10Aが発射位置21に到達したものとして検出できる。
【0073】
到達検出部4は、空気圧付与部5に、この検出結果を通知する。空気圧付与部5は、この通知を受けて、圧縮空気タンク7から圧縮空気を発射位置21にある発射ボール10Aに付与する。空気圧を受けた発射ボール10Aは、発射筒2内部を移動して、発射口から発射される。
図2では、この発射された発射ボール10Aも示されている。
【0074】
以上のように、ボール発射装置1は、発射筒2の前方に設けられたボール供給部3から供給されたボール10が自重で発射位置21に到達する。その後、発射位置21で空気圧の付与を受けて、発射筒2から発射される。ボール10の発射後に、次のボール10もボール供給部3から供給されて、同様に自重落下で発射位置21に到達して、空気圧の付与で発射される。
【0075】
このように、ボール供給部3からボール10が次々と供給されることで、ボール10には、発射位置21で空気圧が付与されて、次々と発射される。
【0076】
従来技術のように、ボールを発射位置に固定したり、発射位置に駆動機構などで移動させたりすることなく、発射筒2の角度制御のみで、空気圧付与による発射を可能とする。自重落下でボール10が、発射位置21に到達し、この到達を受ければ、空気圧を付与して発射するだけの処理で済むからである。このため、操作者によるつきっきりの操作などを不要とできる。
【0077】
これにより、短い時間間隔で、次々とボール10を発射できる。このような短い時間間隔でのボール10の発射が可能であることは、次々と発射されるボール10を用いる球技の練習に最適である。野球はもちろんであるが、テニスや卓球などの練習に適している。
【0078】
特に、ボール発射装置1は、自動でボール10を次々と発射する。このため、ボール容器35にボール10をセットすれば、あとは操作者による操作も不要である。この点では、テニスの練習に適しているといえる。このため、例えば、テニスのコーチは練習者のそばについて教えることに専念できる。これにより、練習レベルが向上する。
【0079】
(発射筒の角度制御)
【0080】
ボール10を供給して発射位置21に到達させる制御と、発射位置21に到達したタイミングでボール10を発射する制御について、
図3、
図4を用いて説明する。
図3は、本発明の実施の形態1におけるボール供給部からボールが供給される状態を示す模式図である。
図4は、本発明の実施の形態1における発射位置に到達したボールが発射される状態を示す模式図である。
図3、
図4のいずれも、ボール発射装置1の一部のみの要素を示している。説明の容易性のためである。
【0081】
図3に示されるように、発射筒2の前方上部にあるボール供給部3から、発射対象となる発射ボール10Aが供給される。ボール供給部3は、発射筒2の内部と連通しており、ボール供給部3からの発射ボール10Aは、そのまま発射筒2の内部に入る。
【0082】
ここで、
図3のようなボール供給状態では、発射筒2が前方上向きの角度に制御されている。このため、前方上部から発射筒2内部に入った発射ボール10Aは、自重落下する。この自重落下により、矢印Xの方向に、発射ボール10Aが移動する。この移動によって、発射ボール10Aは、発射筒2の根元に移動する。
【0083】
発射筒2の根元には、空気圧の付与を受ける発射位置21がある。発射ボール10Aは、ななめとなっている発射筒2の状態に対応して、発射位置21に到達する。到達検出部4は、発射位置21に発射ボール10Aが到達したことを検出できる。
【0084】
到達検出部4は、検出結果を空気圧付与部5に通知すると共に角度制御部6にも通知する。ボール発射装置1は、これを使用する球技の種類、練習方法、練習者などの様々な嗜好や要望に応じて、発射する角度を決定する。例えば、上向きの山なりのボールの発射の場合には、ボール発射装置1は、
図3のように前方上向きの発射筒2の角度のまま発射ボール10Aを発射する。
【0085】
このときは、到達検出部4の検出結果を受けて、角度制御部6は、発射筒2の角度をそのままにしておく。そのうえで、空気圧付与部5が、発射ボール10Aに空気圧を付与する。これにより、上向きの角度を持った発射筒2から、発射ボール10Aが発射される。
【0086】
もちろん、上向きの角度で発射する場合であっても、
図3のように発射ボール10Aが供給された際の角度を変更して発射することでもよい。例えば、角度制御部6は、より上向きに発射筒2の角度を制御したり、下向きに発射筒2の角度を制御したりする。
【0087】
例えば、より山なりのボールを発射したい場合や遠方にボールを発射したい場合には、角度制御部6は、発射筒2の角度をより上向きに変化させて制御する。逆に、ある程度遠方であるが、そこまででもない場合には、角度制御部6は、発射筒2の角度を一定の上向き状態に制御する。これらの場合には、例えば、
図3の状態の発射筒2の角度よりも上がったり下がったりすることがある。
【0088】
あるいは、ボール発射装置1は、より直球のボールを発射したい場合がある。まっすぐな軌道であったり、速い軌道であったり、手前に到達する軌道であったりが必要な場合がある。この場合には、角度制御部6は、
図4のように発射筒2の角度を略水平などの角度に変更することもよい。
図4では、発射筒2が、略水平の角度に制御されている。
【0089】
角度制御部6は、発射筒2をこのような角度に制御することもよい。この状態となった後で、空気圧付与部5は、発射位置21にある発射ボール10Aに空気圧を付与する。この結果、
図4の矢印Yのように、発射ボール10Aは、発射筒2内部を加速して、発射筒2の発射口から外部に発射される。
【0090】
このとき、ボール供給部3には、次のボール10Aが待機状態となっている。ボール供給部3は、待機部材31を備えており、この待機部材31が次のボール10Aを待機させている。発射対象である発射ボール10Aが発射されるまで、待機部材31が、ボール供給部3から発射筒2内部にボール10が入るのを待機させている。これにより、ボール供給部3に来ている次のボールが、発射筒2内部を移動して発射されている最中の発射ボール10Aの邪魔をしない。
【0091】
図4のような略水平の角度であれば、よりまっすぐの軌道で、ボール10が発射される。使用者は、練習などの都合に合わせて、このような軌道でのボールを必要とすることもある。
【0092】
また、
図4のように略水平の角度での発射筒2から発射ボール10Aを発射したい場合でも、ボール供給部3から供給されたボール10は、発射位置21に自重落下で到達する必要がある。このため、略水平の角度での発射筒2から発射ボール10Aを発射したい場合でも、ボール供給部3からボール10を供給する時点では、
図3のように、前方上向きの角度に制御されていることが必要である。
【0093】
このように、ボール供給部3から新しい発射ボール10Aが供給される際には、角度制御部6は、発射筒2を前方上向きの角度に制御しておき、到達検出部4が発射位置21に発射ボール10Aが到達したことを検出すると、角度制御部6は、発射軌道に必要となる角度に、発射筒2を制御する。必要となるボールの軌道によって、角度制御部6は、発射筒2の角度をそのままにしておいたり、略水平にしたり、上向きにしたり下向きにしたりする。このように、発射ボール10Aが発射可能となると、角度制御部6は、発射筒2の角度を発射に合わせた角度に変更する。
【0094】
次いで、発射ボール10Aが発射されて、待機部材31で待機させられていた次のボール10Aが発射筒2内部に供給される段階になると、角度制御部6は、再び
図3のように、発射筒2を前方上向きにする。これにより、発射筒2内部に供給された発射ボール10Aは、自重落下で発射位置21に到達する。そして、また発射される。
【0095】
すなわち、
図3、
図4のような態様が繰り返されることで、次々とボールが発射される。角度制御と空気圧の付与が、発射位置21へのボール10の到達を起点に行われるので、短時間間隔で、次々とボール10を発射することができる。特に、到達検出部4での到達検出が、角度制御部6による発射筒2の角度制御、空気圧付与部5による発射ボール10Aへの空気圧の付与を、連続的に動作させる(これらの動作全体を制御する制御部50が備わっていればよい)。
【0096】
また、発射ボール10Aの発射がなされた後で、制御部50は、ボール供給部3の待機部材31を動作させて、次のボール10を、発射筒2内部に入れるようにする。これも、到達検出部4による到達検出を時間起点として制御される。
【0097】
このように、ボール供給部3から発射筒2内部にボール10が供給される場合には、ボール10は、ボール供給部3を自由落下して発射筒2内部に入る。次いで、発射筒2が前方上向きになっているので、入ったボール10は、自重移動して発射位置21に到達する。これを検出したところで、発射筒2の発射角度に合わせた角度制御、空気圧付与部5による空気圧の付与、ボール10の発射が、連続的に制御される。さらには、再び、発射筒2を前方上向きに角度制御して、ボール供給部3から次のボール10が供給される状態を整える。合わせて、待機部材31を解放して、ボール供給部3から、次のボール10が発射筒2内部に入る状態を作る。次のボール10は、再び自重移動して、発射位置21に到達する。
【0098】
制御部50は、これらを制御する。これらの動作の繰り返しが次々と行われることで、ボール発射装置1は、短い時間間隔で、次々とボールを発射できる。
【0099】
(ボール発射角度)
【0100】
図4では、略水平の角度で角度制御されたボール発射装置1からボール10が発射される。このため、まっすぐな軌道を描くボール10が発射される。ここで、ボール発射装置1が、テニスの練習に使用される場合には、テニスのストローク練習によっては、よりコートの深い場所にボール10が到達してほしい場合には、発射筒2の角度は上向きであることが好ましい。
【0101】
あるいは、コートの浅い位置に鋭いボール10が到達してほしい場合には、短く速い軌道でボール10が発射されることが好ましい。これは、例えば、発射筒2が水平向きや下向きであることで実現される。
【0102】
あるいは、ロブのような高い到達点での軌道を描いて、ボール10が到達してほしい場合もある。この場合には、発射筒2が、かなり上向きであり、この発射筒2からボール10が発射されることで実現される。
【0103】
あるいは、コートのクロス方向に長いストロークとなるボールを発射したい場合もある。この場合には、発射筒2が平面での斜め方向を向いていると共に、上向きでかつ高い空気圧でボール10を発射する必要がある。
【0104】
これらのように、ボール発射装置1は、発射筒2の平面方向の向き、上下方向の角度、付与する空気圧の大きさなどの組み合わせを制御することによって、様々な種類のボール10を発射できる。これらは、制御部50に組み込まれた動作プログラムや、操作者による操作によって切り替えられればよい。
【0105】
このため、角度制御部6は、上下方向の角度に加えて平面方向の角度も制御できることも好ましい。制御部50は、角度制御部6を制御する。
【0106】
図5は、テニスコートにおいてボール発射装置が使用される場合の模式図である。テニスコートの一方にボール発射装置1が設置されている。使用者は、逆のコートにおいて練習を行う。ボール発射装置1は、ボールを使用者がいるコートに向けて発射する。
【0107】
軌道Aは、長めでかつ速度のあるストロークとなるボールの発射軌道である。このときは、発射筒2は、水平かやや上向きの角度でボールを発射する。軌道Bは、コートに短く鋭く入ってくるボールの軌道である。ボレー練習などに使用される。この場合には、発射筒2は、水平あるいはやや下向きの角度でボールを発射する。
【0108】
軌道Cは、ロブのような軌道である。この場合には、発射筒2は、上向きでボールを発射する。上向きにより、フライ状のロブボールが発射できる。軌道Dは、クロス方向に足の長いストロークボールを発射する軌道である。この場合には、発射筒2は、平面方向で斜め方向を向いており、やや上向きの角度を持って、ボールを発射する。これにより、軌道Dを持ったボールを発射できる。
【0109】
このように、実施の形態1におけるボール発射装置1は、様々な軌道のボールを発射できる。また、これらを切り替えることもできるし、ボール1球ずつで、異なる軌道とすることもできる。これらも、発射筒2の前方のボール供給部3からのボール供給が自由落下および自重移動でなされてから発射が自動的にされることで実現できる。
【0110】
なお、
図5では、テニスコートでの使用態様を説明したが、他の球技での使用も当然に可能である。
【0111】
以上のように、実施の形態1におけるボール発射装置1は、ボールを発射位置21に設置したり固定したりすることに、特別な機械的構造や電気的処理を必要とせずに、次々とセットしてボールを発射できる。このため、短時間間隔でボールを発射することが求められる球技において、実施の形態1のボール発射装置1は、適切に用いられる。
【0112】
(実施の形態2)
【0113】
次に、実施の形態2について説明する。実施の形態2では、種々のバリエーションや追加的要素について説明する。
【0114】
(ボール容器)
【0115】
図6は、本発明の実施の形態2におけるボール発射装置の側面図である。
図6のボール発射装置1は、ボール容器35を更に備える。ボール容器35は、ボール供給部3に接続して、複数のボール10を収容する。
図6では、この状態を示している。
【0116】
ボール容器35は、複数のボール10を収容可能である。ボール発射装置1において発射筒2の上方に配置されて組み合される。支持フレーム20などで、全体の要素に、ボール容器35が組みつけられれば良い。また、ボール容器35は、ボール10が落下する落下出口36を備えており、これは、ボール供給部3と連結している。この連結によって、落下出口36から落下するボール10は、そのままボール供給部3に入っていく。
【0117】
図6では、次の発射対象となる発射ボール10Aが、ボール容器35から落下して、ボール供給部3に入っていく。ボール供給部3は、発射筒2に繋がっているので、発射筒2に発射ボール10Aが入っていく。このように、ボール容器35から、次々とボール10が発射筒2に供給される。ボール容器35は、発射筒2の上部に構築されているので、ボール10は、自由落下で落下出口36からボール供給部3に落ちていく。
【0118】
図7は、本発明の実施の形態2におけるボール発射装置の側面図である。ボール供給部3は、ボール容器35からのボール10の供給を受ける。
図6のように、発射対象となる発射ボール10Aが発射筒2内部に供給されると、次のボール10を、発射筒2の手前で停止させる。このとき、待機部材31によって、次のボール10が発射筒2内部に入らないように待機させている。
【0119】
ボール容器35がつながっているので、次々とボール供給部3にボール10が供給される。これらのボール10は、待機部材31で待機状態となっている。この状態では、すでに発射筒2内部にある発射ボール10Aが、発射されるようになる。
【0120】
この発射状態である発射ボール10Aが発射筒2から発射されると、待機部材31は、開放して次のボール10を、発射筒2内部に導く。すなわち、ボール供給部3は、次のボール10を、発射ボール10Aとして、発射筒2内部に供給する。このとき、複数のボール10が待機していても、一つのボール10のみを、発射筒2内部に供給する。
【0121】
このように、待機部材31による制御で、ボール容器35から自由落下してくるボール10は、1級ずつ、発射筒2内部に供給される。発射筒2内部に複数のボール10が供給されて、発射動作が邪魔されることはない。
【0122】
到達検出部4は、発射対象となる発射ボール10Aが発射位置21へ到達したことを検出できる。検出結果の通知により、空気圧付与部5は、発射ボール10Aに空気圧を付与する。合わせて、到達検出部4は、発射ボール10Aの発射位置21への到達を検出したタイミングから所定時間後に、ボール供給部3は、次のボール10の発射筒2内部への供給を指示する。このとき、待機部材31を解放して、待機部材31で停止している次のボール10が落下して、発射筒2内部に供給されればよい。
【0123】
このとき、ボール容器35には、多数のボール10が収容されている。また、ボール容器35は、発射筒2の上部に設けられ、ボール供給部3と連結している。このため、ボール容器35に収容されているボール10は、自由落下によりボール供給部3に落下してくる。ボール供給部3では、待機部材31(ボール10を停止させる機能を有する)が、ボール10を停止させて発射筒2内部に入るのを待機させている。
【0124】
このような状況において、到達検出部4が発射ボール10Aの到達から所定時間後に、ボール供給部3に次のボール10の供給を指示する。この指示により、待機部材31が解放されて、待機している次のボール10が発射筒2内部に落下して供給される。もちろん、待機部材31は、すぐに閉じて、更に次のボール10が発射筒2内部に入るのを防ぐ。
図7では、待機部材31が一つの部材のように示されているが、複数の停止機構を有していることで、一つのボール10のみを、発射筒2内部に供給する機構であってもよい。
【0125】
また、到達検出部4がボール供給部3に次のボール10の供給を指示する際に、制御部50を介することでもよい。すなわち、到達検出部4は、到達の検出を制御部50に通知して、制御部50が、これを管理して所定時間後にボール供給部3を制御する処理手順でもよい。この場合は、到達検出部4は、検出結果を通知するまでを行い、制御部50が、実際の動作制御を行う。これは、空気圧付与部5による空気圧の付与も同様である。制御部50が、到達検出部4での検出を受けて、空気圧付与部5に、空気圧の付与を指示する。
【0126】
以上のように、ボール容器35が備わることで、ボール発射装置1は、次々とボール10を発射できる。加えて、ボール容器35には、人力でボール10を追加して入れることもできる。これにより、より長時間において連続してボール10を発射できる。
【0127】
ボール容器35からは自由落下でボール供給部3にボール10が移動する。次いで、ボール供給部3から発射筒2内部に自由落下でボール10が供給される。発射筒2は、前方上向きの角度を持っていることで、ボール10は、自重落下して発射位置21に到達できる。発射位置21に到達したことを検出されると、覇者筒2の角度や方向が適宜制御される。加えて、付与される空気圧も制御される。これらの制御を踏まえて、自動で空気圧が付与される。こうして、適切な方向、球種でのボール10が発射される。
【0128】
ボール容器35からは次々とボール10が落下してくるので、これらの動作が次々と繰り返される。この繰り返しにより、ボール発射装置1は、連続的にボール10を発射することができる。特に、発射位置21での固定やセッティングなどの機構や手間が不要であり、ボール10の発射位置21への到達と発射の際の発射筒2の角度制御が個別に行われることで、ボール10のセットと発射とが、容易に行える。
【0129】
結果として、簡単な操作により、次々とボール10を発射できる。
【0130】
(発射筒)
【0131】
上述したように、発射筒2の角度は制御可能である。角度制御部6は、ボール10の発射位置21への到達までと、ボール10の発射の際とで、異なる角度に発射筒2を制御できる。角度制御部6は、発射される発射ボール10Aの速度、角度、球種に合わせて、発射筒2の角度を変更可能である。
【0132】
例えば、上方から投げ下ろす(打ち下ろす)ようなボール10を発射したい場合がある。テニスや野球などの練習において必要となるからである。この場合には、角度制御部6は、発射筒2を下向きにしてボール10を発射する。
【0133】
逆に、下方から上に向けて投げ上げる(打ち上げる)ようなボール10を発射したい場合がある。この場合には、角度制御部6は、発射筒2を上向きにしてボール10を発射する。
【0134】
(ストッパー)
【0135】
図8は、本発明の実施の形態2における発射筒周辺のブロック図である。上述したように、場合によっては、発射筒2を下向きにしてボール10を発射したい。上から投げ下ろすあるいは打ち下ろす態様の球種でボール10を発射したい場合である。
【0136】
本発明のボール発射装置1は、自重落下で発射位置21にボールを到達させると、空気圧の付与でこのボール10を発射する。このため、発射位置21において、ボールを固定するような機構や処理を有さない。
【0137】
このため、発射対象の発射ボール10Aが発射位置21に到達した後で、発射筒2を下向きにすると、発射ボール10Aが発射位置21からずれてしまう(最終的には発射筒2から落ちてしまう可能性がある)。このような状況に対応するために、発射位置21であって発射ボール10Aの前方に、発射ボール10Aの停止を可能とするストッパー9を更に備えることも好適である。
図8では、このストッパー9が示されている。
【0138】
ストッパー9は、発射ボール10Aの落下を防止できる。発射筒2が下向きになった場合でも防止できる。この状態により、発射筒2が発射のために下向きになる場合には、ストッパー9が、発射されるまで、発射ボール10Aを発射位置21に停止させる。
【0139】
ストッパー9は、自然落下を防止できる程度の突出部である。このため、空気圧付与部5により発射ボール10Aに空気圧が付与されても、発射の障害とはならない。あるいは、空気圧の付与のタイミングで、ストッパー9が、引き戻される構成であってもよい。この場合であれば、発射ボール10Aの移動に、まったく影響を与えない。
【0140】
また、発射筒2は、ストッパー9の先に一定の長さがあるので、ストッパー9を超えた発射ボール10Aは、この発射筒2内部でその軌道と速度が安定する。この安定後に、発射筒2の先端から発射されるので、ストッパー9による影響はほとんど生じない。
【0141】
このように、下向き角度で発射ボール10Aを発射しなければならない場合でも、ストッパー9によって、発射ボール10Aの発射位置21での停止が実現される。これにより、下向き発射も可能となる。
【0142】
以上のように、実施の形態2におけるボール発射装置1は、連続的な発射や自由度の高い発射を実現できる。
【0143】
(実施の形態3)
【0144】
次に、実施の形態3について説明する。実施の形態3でのボール発射装置1は、ボール発射装置用アタッチメント(以下、適宜「アタッチメント」と略す)を備える。アタッチメントは、発射筒2内部を発射により移動する発射ボール10Aに接触して摩擦を付与する。この摩擦により、発射ボール10Aには回転が付与される。
【0145】
図9は、本発明の実施の形態3におけるボール発射装置の模式図である。
図9のボール発射装置1は、アタッチメント100を備えている。なお、図の見やすさのために、ボール容器は省略して示している。
【0146】
アタッチメント100は、発射筒2内部に設けられる。また、発射ボール10Aが空気圧の付与を受けて発射筒2内部を発射のために移動する際に接触する。一方で、ボール供給部3から発射筒2内部に発射ボール10Aが供給されて発射位置21に移動する際には、接触の必要はない。このため、発射筒2内部において、ボール供給部3よりも前方に、アタッチメント100が取り付けられれば良い。
【0147】
図9のような位置にアタッチメント100が取り付けられている。アタッチメント100は、その位置調整によって、発射される発射ボール10Aの表面に接触する。接触により摩擦を与える。発射ボール10Aは、この接触で回転を生じさせて、回転しながら発射される。回転によって、球種や軌道、あるいはコースなどが調整される。この調整により、野球やテニスに必要となる最適なボールを発射できる。
【0148】
野球やソフトボールでは、ボールの球種やコントロールがなされることが、ボール発射装置1において重要である。ボールの構造上、ボール10に回転が付与されると、伸びのある直球、カーブやシュートなどの変化球が、実現できる。また、回転の付与により、速度も目的に合わせやすい。加えて、回転方向によって、変化球が実現できると共にコントロールの調整もできる。
【0149】
テニス等であっても、ボールに回転が付与されることで、軌道の安定や方向に変化をつけるなどのことが可能になる。
【0150】
図10は、本発明の実施の形態3におけるアタッチメントとその周辺の模式図である。発射筒2の内部に取り付けられている。説明の容易性のため、実際には隠れている部材が可視状態として示されているが、実際に製造されたものは、部材の組み合わせによって表に見えるものと隠れているものとがある。
【0151】
アタッチメント100は、アタッチメント本体部20、摩擦体30、圧力付与部40、管路95とを、備える。なお、
図10のアタッチメント100では、摩擦体30と圧力付与部40が2セットとなっているが、1セットでもよいし、3セット以上であってもよい。
【0152】
アタッチメント本体部20は、ボール発射装置用アタッチメント100の全体を形成する。加えて、アタッチメント100を、発射筒2に取り付ける。例えば、アタッチメント本体部20は、発射筒2に取り付ける取り付け器具を備えており、この取り付け器具が、発射筒2へのアタッチメント100の取り付け(あるいは取り外し)を、可能とする。
【0153】
摩擦体30は、アタッチメント本体部20に備わる。摩擦体30は、発射筒2内部を移動する発射ボール10Aに直接的に接触する。この接触により、発射筒2内部を移動する発射ボール10Aに摩擦を付与する。この摩擦付与によって、発射ボール10Aには、回転が生じる。
【0154】
圧力付与部40は、摩擦体30に圧力を付与する。摩擦体30は、発射ボール10Aへの接触を行うが、このとき、摩擦体30の摩擦付与においては、発射ボール10Aへの圧力の違いによって、摩擦付与の度外が変わる。圧力付与部40は、この摩擦体30が付与できる摩擦の度合いを決める圧力を付与する。
【0155】
圧力付与部40による圧力が高ければ、摩擦体30が発射ボール10Aと接触する際の摩擦圧力は大きくなる。逆に、圧力付与部40による圧力が低ければ、摩擦体30が発射ボール10Aと接触する際の摩擦圧力は小さくなる。圧力付与部40は、このように摩擦体30が発射ボール10Aに摩擦を付与する際の圧力(度合い)を、設定できる。
【0156】
管路95は、圧力付与部40と接続して、圧力付与部40に圧縮空気タンク7からの圧縮空気を付与する。すなわち、空気圧を付与する。管路95は、圧縮空気タンク7と圧力付与部40とを接続している。
【0157】
管路95は、発射筒2から発射される発射ボール10Aに付与される圧縮空気タンク7からの圧縮空気を、圧力付与部40に供給する。すなわち、管路95は、ある発射ボール10Aを発射する際に、発射ボール10Aを発射する際の空気圧付与部5に付与するのと同じ圧力の圧縮空気を、圧力付与部40に付与する。同じレベルの圧力が、発射位置21に設置されている発射ボール10Aにも、圧力付与部40に制御される摩擦体30にも付与されることになる。
【0158】
この結果、圧力付与部40が摩擦体30に付与する圧力は、発射筒2内部を移動する発射ボール10Aに付与される空気圧の圧力と同等となる。また、摩擦体30に付与される圧力は、発射筒2内部を移動する発射ボール10Aに加えられる摩擦力に比例することになる。
【0159】
すなわち、ある発射ボール10Aには、圧縮空気タンク7からある圧力の空気圧が付与される。このとき、同時に同じ圧縮空気タンク7から同じタイミングで、圧力付与部40にも空気圧が付与される。それぞれに付与される空気圧は略同一の状態となる。
【0160】
このため、発射ボール10Aが空気圧付与部5から発射される際の空気圧と、発射ボール10Aが接触する摩擦体30による空気圧とは比例した状態となる。この比例した状態の圧力で、摩擦が加えられることで、発射ボール10Aの発射速度に応じた最適な摩擦が付与されることになる。
【0161】
もちろん、上述のように、圧力付与部40が摩擦体30へ付与する圧力は、摩擦体30が発射筒2内部を移動する発射ボール10Aに加える摩擦力に比例する。すなわち、摩擦体30が発射ボール10Aに加える摩擦力は、摩擦体30に圧力付与部40から加えられる圧力によって定まる(圧力の増減と摩擦力の増減が比例する)。
【0162】
(摩擦体との接触メカニズム)
すなわち、圧力付与部40が摩擦体30へ付与する圧力の増減に比例して、摩擦体30が発射ボール10Aに加える摩擦力が比例する。また、圧力付与部40に供給される空気圧は、発射される発射ボール10Aの発射時に付与される空気圧と同じものである。このため、発射ボール10Aが発射されるときには、発射ボール10Aに付与されるのと同じ圧縮空気が、一方では発射ボール10Aに発射空気圧として付与され、同時に圧力付与部40に摩擦空気圧として付与される。このため、発射ボール10Aを発射するのと同等の空気圧が摩擦体30にも付与される。
【0163】
この結果、発射ボール10Aの発射に用いられる圧力と、摩擦体30が発射ボール10Aに摩擦を付与する圧力とが同レベルとなる。同レベルであることで、発射ボール10Aの発射速度が速い場合には、高い圧力により摩擦体30と接触する。発射ボール10Aの発射速度が遅い場合には、低い圧力により摩擦体30と接触する。これにより、ボールの速度に応じた最適な摩擦体30との接触が実現できる。
【0164】
図10の摩擦体30からの矢印と、発射ボール10Aの発射方向に加わる矢印の大きさがそろっているのは、発射ボール10Aの発射速度と、摩擦体30から付与される圧力との比例状態を示している。
【0165】
図11のように矢印が小さいのは、発射速度と摩擦圧力とがそろって小さい場合を示している。
図11は、本発明の実施の形態3におけるボール発射装置の模式図である。
【0166】
なお、複数のアタッチメント100が、発射筒2内部に取り付けられてもよい。
【0167】
また、
図9におけるボール発射装置1は、圧力制御部90を備えている。圧縮空気タンク7からの圧縮空気が、発射ボール10Aを発射する空気圧付与部5とアタッチメント100の圧力付与部40とに付与される。ここで、空気圧付与部5においては、圧縮空気タンク7からの圧縮空気が付与されれば、その瞬間に発射ボール10Aが発射される。このため、圧縮空気の付与は瞬間的でよい。
【0168】
これに対して、アタッチメント100の圧力付与部40に付与される空気は、後述するように摩擦体30を、発射筒2を通過する発射ボール10Aに対して摩擦圧力を付与する必要がある。このとき、発射ボール10Aの通過までは、摩擦体30が摩擦圧力を付与し続ける必要がある。圧縮空気タンク7からの圧縮空気は、瞬間的であり、アタッチメント100の圧力付与部40に加わる圧縮空気も瞬間的となってしまう。瞬間的では、発射ボール10Aが通過する際には、摩擦体30が付与できる摩擦圧力が弱くなってしまう可能性がある。
【0169】
圧力制御部90は、これを防止できる。
【0170】
圧力制御部90は、圧縮空気タンク7からアタッチメント100に供給される圧縮空気が、発射ボール10Aの発射後まで圧力付与部40に残ることを実現する。例えば、圧力制御部90は、逆止弁あるいは電磁弁などを備えている。この逆止弁あるいは電磁弁など(組み合わせでもよい)により、圧縮空気タンク7から管路95を通じて圧力付与部40に供給された圧縮空気が、圧力付与部40において発射後も一定時間残る。すなわち、発射ボール10Aの発射後、発射ボール10Aが摩擦体30を通過するまで、圧縮空気による摩擦圧力が維持される。
【0171】
逆止弁あるいは電磁弁などより、圧力制御部90は、圧縮空気タンク7からの圧縮空気の抜けを防止して、一定時間の摩擦体30による圧力維持を実現できる。このような逆止弁あるいは電磁弁による圧力制御部90が備わることで、発射ボール10Aの通過時において、摩擦体30は、必要な摩擦圧力での接触を実現できる。
【0172】
あるいは、逆止弁あるいは電磁弁などによるのではなく、発射ボール10Aを発射するための圧縮空気の付与後に摩擦体30での圧力を維持できる電子回路を備えることもよい。このような電子回路によって、やはり発射ボール10Aの発射後において、発射ボール10Aが摩擦体30を通過するまでの間、圧力付与部40での摩擦圧力が維持されるからである。
【0173】
このように、アタッチメント100の摩擦体30による圧力付与が、発射ボール10Aの通過時に適切に行われるように、圧力制御部90や専用の電子回路が備わっていることも好適である。
【0174】
また、圧力制御部90は、圧縮空気タンク7からの圧縮空気を、アタッチメント100の圧力付与部40に加えないように、摩擦体30の押し出しを停止させることができる。この場合には、圧力付与部40に摩擦空気圧が付与されないので、発射ボール10Aに接触圧力をかけない。発射ボール10Aに摩擦付与をしたくない場合には、このような制御も可能である。
【0175】
以上のように、実施の形態3におけるボール発射装置1では、発射ボール10Aの発射に用いる空気圧を受けて摩擦圧力を作り出すアタッチメント100を備える。発射ボール10Aは、このアタッチメント100と接触することで、摩擦を受けて、回転を生じさせる。これにより、球種、コース、軌道などを制御された発射ボール10Aを発射することができる。
【0176】
これが相まって、次々と発射されるボールのバリエーションの拡大や球種の安定化などを実現できる。
【0177】
以上、実施の形態1~3で説明されたボール発射装置は、本発明の趣旨を説明する一例であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲での変形や改造を含む。
【符号の説明】
【0178】
1 ボール発射装置
2 発射筒
21 発射位置
3 ボール供給部
4 到達検出部
5 空気圧付与部
6 角度制御部
7 圧縮空気タンク
10 ボール
20 アタッチメント本体部
30 摩擦体
40 圧力付与部
50 制御部
90 圧力制御部
95 管路
100 アタッチメント