(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-12
(45)【発行日】2023-05-22
(54)【発明の名称】蓋体付き容器
(51)【国際特許分類】
B65F 1/16 20060101AFI20230515BHJP
B65D 43/16 20060101ALI20230515BHJP
【FI】
B65F1/16
B65D43/16 200
(21)【出願番号】P 2019115791
(22)【出願日】2019-06-21
【審査請求日】2022-04-08
(73)【特許権者】
【識別番号】591011650
【氏名又は名称】アスベル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100168321
【氏名又は名称】山本 敦
(72)【発明者】
【氏名】今井 勤
【審査官】村山 達也
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-044249(JP,A)
【文献】特開2008-137759(JP,A)
【文献】特開2014-136583(JP,A)
【文献】特開2018-090364(JP,A)
【文献】実開昭60-012503(JP,U)
【文献】特開平07-277407(JP,A)
【文献】特開平08-110152(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65F 1/16
B65D 43/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓋体付き容器であって、
開口部を有する容器本体と、
前記開口部を上側から閉じるように所定の第1の軸線回りに回動可能に前記容器本体に取り付けられた蓋体と、
前記容器本体に対して前記蓋体を開く方向に付勢する付勢ユニットと、
を備え、
前記付勢ユニットは、前記容器本体に取り付けられる第1の部材と、前記第1の軸線と平行な第2の軸線回りに回動可能に前記第1の部材に接続された第2の部材と、前記第1の部材に対して前記第2の部材を開く方向に付勢する付勢部材と、を有し、
前記容器本体は、前記付勢ユニットが前記第2の部材を介して前記蓋体に付勢力を伝えるための第1の位置と前記第1の位置よりも下方に配置された第2の位置との間で移動可能に前記付勢ユニットを取り付けることが可能な付勢ユニット取付部を有
し、
前記付勢部材は、前記付勢ユニットが前記第2の位置にある状態で、上から見る視点において前記第2の部材が前記容器本体の前記開口部から外れた位置に配置されるように前記第1の部材に対して前記第2の部材を付勢する、蓋体付き容器。
【請求項2】
蓋体付き容器であって、
開口部を有する容器本体と、
前記開口部を上側から閉じるように所定の第1の軸線回りに回動可能に前記容器本体に取り付けられた蓋体と、
前記容器本体に対して前記蓋体を開く方向に付勢する付勢ユニットと、
を備え、
前記付勢ユニットは、前記容器本体に取り付けられる第1の部材と、前記第1の軸線と平行な第2の軸線回りに回動可能に前記第1の部材に接続された第2の部材と、前記第1の部材に対して前記第2の部材を開く方向に付勢する付勢部材と、を有し、
前記容器本体は、前記付勢ユニットが前記第2の部材を介して前記蓋体に付勢力を伝えるための第1の位置と前記第1の位置よりも下方に配置された第2の位置との間で移動可能に前記付勢ユニットを取り付けることが可能な付勢ユニット取付部を有し、
前記容器本体の前記付勢ユニット取付部は、前記第2の位置に配置された前記付勢ユニットの前記第2の軸線を収容するとともに、前記第1の位置に配置された前記付勢ユニットの前記第2の軸線を露出させるように前記付勢ユニットの少なくとも一部を収容可能な第1の収容部を有している
、蓋体付き容器。
【請求項3】
前記付勢ユニット取付部は、前記第2の位置に配置された前記付勢ユニットの上端部を外側に露出させるように前記付勢ユニットを収容可能である、請求項1または請求項2に記載の蓋体付き容器。
【請求項4】
蓋体付き容器であって、
開口部を有する容器本体と、
前記開口部を上側から閉じるように所定の第1の軸線回りに回動可能に前記容器本体に取り付けられた蓋体と、
前記容器本体に対して前記蓋体を開く方向に付勢する付勢ユニットと、
を備え、
前記付勢ユニットは、前記容器本体に取り付けられる第1の部材と、前記第1の軸線と平行な第2の軸線回りに回動可能に前記第1の部材に接続された第2の部材と、前記第1の部材に対して前記第2の部材を開く方向に付勢する付勢部材と、を有し、
前記容器本体は、前記付勢ユニットが前記第2の部材を介して前記蓋体に付勢力を伝えるための第1の位置と前記第1の位置よりも下方に配置された第2の位置との間で移動可能に前記付勢ユニットを取り付けることが可能な付勢ユニット取付部を有し、
前記付勢ユニット取付部は、前記付勢ユニットの前記第2の位置への移動を妨げるように前記第1の位置に配置された前記付勢ユニットの前記第1の部材に係合する付勢ユニット係合部を有する
、蓋体付き容器。
【請求項5】
蓋体付き容器であって、
開口部を有する容器本体と、
前記開口部を上側から閉じるように所定の第1の軸線回りに回動可能に前記容器本体に取り付けられた蓋体と、
前記容器本体に対して前記蓋体を開く方向に付勢する付勢ユニットと、
を備え、
前記付勢ユニットは、前記容器本体に取り付けられる第1の部材と、前記第1の軸線と平行な第2の軸線回りに回動可能に前記第1の部材に接続された第2の部材と、前記第1の部材に対して前記第2の部材を開く方向に付勢する付勢部材と、を有し、
前記容器本体は、前記付勢ユニットが前記第2の部材を介して前記蓋体に付勢力を伝えるための第1の位置と前記第1の位置よりも下方に配置された第2の位置との間で移動可能に前記付勢ユニットを取り付けることが可能な付勢ユニット取付部を有し、
前記蓋体は、前記第1の位置に配置された前記付勢ユニットの前記第2の部材を収容することが可能な第2の収容部と、前記蓋体が閉じられた状態において前記蓋体と前記容器本体との間を封止する環状の封止部材と、を有し、
前記第2の収容部は、前記蓋体が閉じられた状態において、前記封止部材に対して前記容器本体の反対側で、前記封止部材に囲まれた領域の外側から内側まで延びており、かつ前記封止部材に囲まれた領域の内側で、閉じられた空間を区画している
、蓋体付き容器。
【請求項6】
蓋体付き容器であって、
開口部を有する容器本体と、
前記開口部を上側から閉じるように所定の第1の軸線回りに回動可能に前記容器本体に取り付けられた蓋体と、
前記容器本体に対して前記蓋体を開く方向に付勢する付勢ユニットと、
を備え、
前記付勢ユニットは、前記容器本体に取り付けられる第1の部材と、前記第1の軸線と平行な第2の軸線回りに回動可能に前記第1の部材に接続された第2の部材と、前記第1の部材に対して前記第2の部材を開く方向に付勢する付勢部材と、を有し、
前記容器本体は、前記付勢ユニットが前記第2の部材を介して前記蓋体に付勢力を伝えるための第1の位置と前記第1の位置よりも下方に配置された第2の位置との間で移動可能に前記付勢ユニットを取り付けることが可能な付勢ユニット取付部を有し、
前記容器本体は、前記付勢ユニット取付部を挟んで配置され、前記蓋体を取り付け可能な一対の蓋体取付部を有している
、蓋体付き容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓋体付き容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ごみ箱等の蓋体付き容器として、開口部を有する容器本体と、開口部を覆うように所定の軸線回りに回動可能に容器本体に設けられた蓋体と、蓋体を開く方向に付勢可能な付勢ユニットと、容器本体および蓋体の一方から他方に係合して容器本体に対して蓋体を閉じた状態に保持する係合機構と、を有するものが知られている。係合機構によって蓋体が閉じられた状態において係合機構を解除することにより、付勢ユニットの付勢力によって蓋体を自動的に開くことができる。
【0003】
特許文献1には、前記付勢ユニットとして、容器本体に設けられた穴部に挿入可能な挿入部と、当該挿入部に対して回動可能に設けられたアーム部と、蓋体を開く方向に当該アーム部を内側から付勢する弾性部材と、を備える回動補助部材が開示されている。
【0004】
特許文献1に開示されたごみ箱において、蓋体は容器本体に対して着脱可能に取り付けられているが、容器本体と回動補助部材とは分離困難な状態で互いに結合されている。
【0005】
また、特許文献2には、付勢ユニットとして、蓋体の一端に対して回動可能に取り付けられているとともに、容器本体に設けられた凹部に挿入可能なヒンジ片と、当該凹部にヒンジ片が挿入された状態において容器本体に対して蓋体を開く方向に付勢するねじりコイルばねと、を備えるものが開示されている。
【0006】
特許文献2に開示されたごみ箱では、蓋体とヒンジ片とは分離困難な状態で互いに結合されている。また、容器本体の凹部の底部には穴が設けられており、ヒンジ片には当該穴の縁に係止する係止突起が設けられているため、容器本体とヒンジ片とは一旦結合させると分離させるのは困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特許第6061689号公報
【文献】特開2018-090364号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
蓋体付きの容器は、中空であり嵩張るため、生産工場から搬送する際や販売店舗に陳列する際には、蓋体が取り付けられた状態では大量に取り扱うのが困難であるという問題がある。
【0009】
このような問題に対し、搬送時の形態をコンパクトにするため、容器本体と蓋体とが分離された状態で搬送されることがある。
【0010】
しかし、特許文献1に開示されたごみ箱では、容器本体に回動補助部材が分離困難な状態で結合されているため、蓋体と分離した状態の容器本体の搬送時には、回動補助部材が破損するおそれがある。また、回動補助部材が容器本体に結合されていない状態であれば容器本体の搬送時における回動補助部材の破損を防止できるものの、別途回動補助部材を紛失しないように管理する必要がある。
【0011】
一方、特許文献2に開示されたごみ箱では、蓋体とヒンジ片とは分離困難な状態で互いに結合されているため、蓋体を容器本体から分離した状態では、蓋体の周囲からヒンジ片が露出した状態となり、蓋体の運搬時にヒンジ片が破損するおそれがある。
【0012】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、蓋体と容器本体とを分離した状態での搬送時における付勢ユニットの破損を抑制することができるとともに、付勢ユニットの紛失を防止することができる蓋体付き容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者は、種々検討した結果、上記目的は、以下の発明により達成されることを見出した。
【0014】
本発明の一局面に係る蓋体付き容器は、開口部を有する容器本体と、前記開口部を上側から閉じるように所定の第1の軸線回りに回動可能に前記容器本体に取り付けられた蓋体と、前記容器本体に対して前記蓋体を開く方向に付勢する付勢ユニットと、を備え、前記付勢ユニットは、前記容器本体に取り付けられる第1の部材と、前記第1の軸線と平行な第2の軸線回りに回動可能に前記第1の部材に接続された第2の部材と、前記第1の部材に対して前記第2の部材を開く方向に付勢する付勢部材と、を有し、前記容器本体は、前記付勢ユニットが前記第2の部材を介して前記蓋体に付勢力を伝えるための第1の位置と前記第1の位置よりも下方に配置された第2の位置との間で移動可能に前記付勢ユニットを取り付けることが可能な付勢ユニット取付部を有し、前記付勢部材は、前記付勢ユニットが前記第2の位置にある状態で、上から見る視点において前記第2の部材が前記容器本体の前記開口部から外れた位置に配置されるように前記第1の部材に対して前記第2の部材を付勢する。
【0015】
上記の蓋体付き容器では、付勢ユニットを、使用時の位置に相当する第1の位置よりも下方に配置された第2の位置に配置することができるため、搬送時に蓋体と容器本体とを分離した状態において付勢ユニットを第2の位置に配置することにより、付勢ユニットの破損を抑制することができる。
【0016】
本発明の他の局面に係る蓋体付き容器は、開口部を有する容器本体と、前記開口部を上側から閉じるように所定の第1の軸線回りに回動可能に前記容器本体に取り付けられた蓋体と、前記容器本体に対して前記蓋体を開く方向に付勢する付勢ユニットと、を備え、前記付勢ユニットは、前記容器本体に取り付けられる第1の部材と、前記第1の軸線と平行な第2の軸線回りに回動可能に前記第1の部材に接続された第2の部材と、前記第1の部材に対して前記第2の部材を開く方向に付勢する付勢部材と、を有し、前記容器本体は、前記付勢ユニットが前記第2の部材を介して前記蓋体に付勢力を伝えるための第1の位置と前記第1の位置よりも下方に配置された第2の位置との間で移動可能に前記付勢ユニットを取り付けることが可能な付勢ユニット取付部を有し、前記容器本体の前記付勢ユニット取付部は、前記第2の位置に配置された前記付勢ユニットの前記第2の軸線を収容するとともに、前記第1の位置に配置された前記付勢ユニットの前記第2の軸線を露出させるように前記付勢ユニットの少なくとも一部を収容可能な第1の収容部を有している。
【0017】
この態様では、付勢ユニット取付部は、第2の位置において付勢ユニットの第2の軸線を収容する第1の収容部を有するため、搬送時において付勢ユニットを第2の位置に配置することにより、第2の軸線を保護することができる。
【0018】
上記の蓋体付き容器において、前記付勢ユニット取付部は、前記第2の位置に配置された前記付勢ユニットの上端部を外側に露出させるように前記付勢ユニットを収容可能であってもよい。
【0019】
この態様では、第2の位置に配置された付勢ユニットの上端部を容易に摘まんだり指を引掛けたりすることができるため、付勢ユニットを第2の位置から第1の位置に容易に移動させることができる。
【0020】
本発明の他の局面に係る蓋体付き容器は、開口部を有する容器本体と、前記開口部を上側から閉じるように所定の第1の軸線回りに回動可能に前記容器本体に取り付けられた蓋体と、前記容器本体に対して前記蓋体を開く方向に付勢する付勢ユニットと、を備え、前記付勢ユニットは、前記容器本体に取り付けられる第1の部材と、前記第1の軸線と平行な第2の軸線回りに回動可能に前記第1の部材に接続された第2の部材と、前記第1の部材に対して前記第2の部材を開く方向に付勢する付勢部材と、を有し、前記容器本体は、前記付勢ユニットが前記第2の部材を介して前記蓋体に付勢力を伝えるための第1の位置と前記第1の位置よりも下方に配置された第2の位置との間で移動可能に前記付勢ユニットを取り付けることが可能な付勢ユニット取付部を有し、前記付勢ユニット取付部は、前記付勢ユニットの前記第2の位置への移動を妨げるように前記第1の位置に配置された前記付勢ユニットの前記第1の部材に係合する付勢ユニット係合部を有している。
【0021】
この態様では、付勢ユニットを一旦第1の位置に配置すると、付勢ユニット係合部に係合して第2の位置に移動させることが困難であるため、蓋体付き容器の使用中に付勢ユニットが第1の位置から第2の位置に移動するのを抑制することができる。
【0022】
本発明の他の局面に係る蓋体付き容器は、開口部を有する容器本体と、前記開口部を上側から閉じるように所定の第1の軸線回りに回動可能に前記容器本体に取り付けられた蓋体と、前記容器本体に対して前記蓋体を開く方向に付勢する付勢ユニットと、を備え、前記付勢ユニットは、前記容器本体に取り付けられる第1の部材と、前記第1の軸線と平行な第2の軸線回りに回動可能に前記第1の部材に接続された第2の部材と、前記第1の部材に対して前記第2の部材を開く方向に付勢する付勢部材と、を有し、前記容器本体は、前記付勢ユニットが前記第2の部材を介して前記蓋体に付勢力を伝えるための第1の位置と前記第1の位置よりも下方に配置された第2の位置との間で移動可能に前記付勢ユニットを取り付けることが可能な付勢ユニット取付部を有し、前記蓋体は、前記第1の位置に配置された前記付勢ユニットの前記第2の部材を収容することが可能な第2の収容部と、前記蓋体が閉じられた状態において前記蓋体と前記容器本体との間を封止する環状の封止部材と、を有し、前記第2の収容部は、前記蓋体が閉じられた状態において、前記封止部材に対して前記容器本体の反対側で、前記封止部材に囲まれた領域の外側から内側まで延びており、かつ前記封止部材に囲まれた領域の内側で、閉じられた空間を区画している。
【0023】
この態様では、蓋体を閉じたときに蓋体と容器本体との間を封止し、容器内部を密閉状態とすることができる。また、第2の収容部と封止部材とを重ねて配置するため、これらの両者をずらして配置するより蓋体を小さくすることができる。このとき、第2の収容部により封止部材の内外が連通すると臭気が漏れるが、第2の収容部は封止部材に囲まれた領域の内側で閉じられた空間を区画するため、臭気漏れを防止することができる。
【0024】
本発明の他の局面に係る蓋体付き容器は、開口部を有する容器本体と、前記開口部を上側から閉じるように所定の第1の軸線回りに回動可能に前記容器本体に取り付けられた蓋体と、前記容器本体に対して前記蓋体を開く方向に付勢する付勢ユニットと、を備え、前記付勢ユニットは、前記容器本体に取り付けられる第1の部材と、前記第1の軸線と平行な第2の軸線回りに回動可能に前記第1の部材に接続された第2の部材と、前記第1の部材に対して前記第2の部材を開く方向に付勢する付勢部材と、を有し、前記容器本体は、前記付勢ユニットが前記第2の部材を介して前記蓋体に付勢力を伝えるための第1の位置と前記第1の位置よりも下方に配置された第2の位置との間で移動可能に前記付勢ユニットを取り付けることが可能な付勢ユニット取付部を有し、前記容器本体は、前記付勢ユニット取付部を挟んで配置され、前記蓋体を取り付け可能な一対の蓋体取付部を有している。
【0025】
この態様では、付勢ユニットによる付勢部分の両側で蓋体を支持することができるため、蓋体取付部に取り付けられた蓋体に生じるひずみを低減し、蓋体と容器本体との間に隙間が生じるのを抑制することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、蓋体と容器本体とを分離した状態での搬送時における付勢ユニットの破損を抑制することができるとともに、付勢ユニットの紛失を防止することができる蓋体付き容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】
図1は、本実施形態に係る蓋体付き容器の蓋体が開いた状態の外観斜視図である。
【
図2】
図2は、本実施形態に係る蓋体付き容器の蓋体が閉じた状態の外観斜視図である。
【
図3】
図3は、本実施形態に係る蓋体付き容器の分解斜視図である。
【
図4】
図4は、本実施形態に係る付勢ユニットの分解斜視図である。
【
図5】
図5は、本実施形態に係る第1の収容部内部の斜視図である。
【
図6】
図6は、本実施形態に係る第1の収容部内部の斜視図である。
【
図7】
図7は、本実施形態に係る容器本体上部および付勢ユニットの斜視図である。
【
図8】
図8は、本実施形態に係る第2の位置に配置された付勢ユニット近傍の斜視図である。
【
図9】
図9は、本実施形態に係る第2の位置に配置された付勢ユニット近傍の背面図である。
【
図12】
図12は、本実施形態に係る第1の位置に配置された付勢ユニット近傍の斜視図である。
【
図13】
図13は、本実施形態に係る蓋体付き容器の蓋体が閉じた状態の上部の背面図である。
【
図14】
図14は、本実施形態に係る第1の位置に配置された付勢ユニット近傍の上方から見た斜視図である。
【
図15】
図15は、本実施形態に係る第1の位置に配置された付勢ユニット近傍の上方から見た斜視図である。
【
図16】
図16(a)は、本実施形態に係る蓋体の底面図であり、
図16(b)は、本実施形態に係る蓋体の平面図である。
【
図17】
図17(a)は、付勢ユニットが第2の位置に配置された本実施形態の容器本体を積み重ねた状態での正面側から見た斜視図であり、
図17(b)はその背面側から見た斜視図である。
【
図18】
図18(a)は、本実施形態に係る蓋体付き容器の蓋体が70°に開いた状態を示す付勢ユニット部分の縦断面図であり、
図18(b)は、その背面から見た透視図である。
【
図19】
図19は、本実施形態に係る蓋体付き容器の蓋体が閉じた状態を示す縦断面図である。
【
図20】
図20は、本実施形態に係るパッキンの縦断面図である。
【
図21】
図21は、本実施形態に係る蓋体付き容器の容器本体に設けられた突起部分の縦断面図であり、同図(a)は蓋体が90°に開いた状態、同図(b)は蓋体が70°に開いた状態、同図(c)は蓋体が閉じた状態をそれぞれ示す。
【
図22】
図22は、本実施形態に係る蓋体付き容器の係合部材近傍の縦断面図であり、同図(a)は係合部材が閉じた状態、同図(b)は係合部材が開いた状態をそれぞれ示す。
【
図23】
図23は、本実施形態に係る蓋体付き容器の上部の蓋体が閉じた状態における、
図16のXXIII-XXIII線での断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の一実施形態に係る蓋体付き容器について図面に基づいて説明する。
【0029】
(蓋体付き容器の構成)
図1~
図3に示すように、蓋体付き容器1は、ごみ等の収容物を収容する容器本体2と、容器本体2の上部に回動可能に設けられた蓋体3と、容器本体2に対して蓋体3を開く方向に付勢する一対の付勢ユニット5と、容器本体2と蓋体3との間に挟まれる環状のパッキン(封止部材)7と、パッキン7を挟んだ容器本体2と蓋体3とを係合した状態で保持する係合機構(符号なし)と、を備えている。係合機構には、容器本体2の上部に設けられ、蓋体3に係合して容器本体2に対して蓋体3を閉じた状態で保持する係合部材4が含まれる。
【0030】
以下では、
図1の上方向を+Z方向、下方向を-Z方向、容器本体2に係合部材4が設けられている部分から蓋体3が回動可能に設けられている部分に向かう方向を+Y方向、その反対方向を-Y方向とし、+Y方向および+Z方向に直交する方向のうち
図1の右側に向かう方向を+X方向、左側に向かう方向を-X方向として説明する。また、+X方向および-X方向を総称してX方向、+Y方向および-Y方向を総称してY方向、+Z方向および-Z方向を総称してZ方向という。+Z方向を上方向、-Z方向を下方向、Z方向を上下方向ともいう。X方向とY方向とZ方向とはそれぞれ互いに直交する。
【0031】
(容器本体)
容器本体2は、底板2bと、底板2bから上方に延び、X方向またはY方向に互いに対向する2対4枚の側板2aと、を有し、上方に向かって開口する開口部が形成されている。容器本体2の上端には、
図23等に示すように、パッキン7を蓋体3との間で挟む環状の突起部24が設けられている。また、容器本体2の上端の内周に設けられた溝25には、容器本体2の内部に配置したごみ袋等の袋を固定する枠状の袋止め8が設けられている。袋止め8は、
図3に示すように、Y方向に延びる辺の中央部に折り曲げ可能な軸8aが設けられている。
【0032】
図3に示すように、容器本体2の-Y方向の側板2aの上部には、係合部材4を回動可能に取り付け可能な係合部材取付部26が上方に突出するように設けられている。また、容器本体2の+Y方向の側板2aの上部の外面には、側板2aの上端よりも下方に、付勢ユニット5を取り付けることが可能な一対の付勢ユニット取付部(符号なし)が設けられており、付勢ユニット取付部は、それぞれ付勢ユニット5を収容可能な第1の収容部21を有する。
【0033】
当該側板2aの上端には、蓋体3をX方向に平行な第1の軸線回りに回動可能に取り付け可能な一対の蓋体取付部22が設けられている。蓋体取付部22は、第1の収容部21を挟むように設けられており、蓋体取付部22のそれぞれには、X方向外側に突出する軸22aが設けられている。軸22aの中心軸は、蓋体3の回動軸である第1の軸線と一致する。軸22aの周囲には、
図8等に示すように、板バネを形成するように溝22bが設けられており、蓋体3を取り付ける際には当該板バネにより軸22aをX方向内側に押し込むことが可能である。
【0034】
また、容器本体2の上端において、第1の収容部21の間には、
図12、
図21に示すように、蓋体3の開き角を制限する一対の突起23が設けられている。突起23の周囲には、
図14に示すように、板バネを形成するように溝23aが設けられており、当該板バネにより突起23を下方に押し込むことが可能である。
【0035】
図7に示すように、第1の収容部21は、容器本体2の+Y方向の側板2aの外面に設けられた、上下に開口部を有する筒状の部分である。付勢ユニット5は、下側の開口部21aから第1の収容部21に挿入される。第1の収容部21の+Y方向の側壁には、上側から順に、付勢ユニット5と係合する第1の貫通孔(付勢ユニット係合部)21cと、第2の貫通孔21bが設けられている。第2の貫通孔21bのX方向両側には、後述のカバー6の突起6aを挿入可能な一対の挿入孔21dが設けられている。
【0036】
(付勢ユニット)
付勢ユニット5は、容器本体2に取り付けられる第1の部材51と、第1の部材51に対して回動可能に第1の部材51に接続された第2の部材52と、第1の部材51に対して第2の部材52を開く方向に付勢する付勢部材53と、を有する。第2の部材52は、第1の部材51に対して、蓋体3の回動軸である第1の軸線と平行(X方向に平行)な第2の軸線回りに回動可能である。
【0037】
図4に示すように、第1の部材51は、底面と、底面から上方に延びる3つの側壁と、を有している。3つの側壁のうち互いにX方向に対向する2つの側壁には、X方向外側に延び、第2の部材52を取り付け可能な第1の軸51aと、X方向内側に延び、付勢部材53を取り付け可能な第2の軸51bとが設けられている。第1の軸51aおよび第2の軸51bの中心軸は、いずれも第2の軸線と一致する。
【0038】
3つの側壁のうち第1の部材51のY方向に垂直な側壁には、周囲に設けられた溝により板バネとして機能するアーム部51dが形成されている。アーム部51dは、上端を軸にY方向に回動可能であり、アーム部51dの下端には、第1の収容部21の第1の貫通孔21cおよび第2の貫通孔21bに係合可能な突起51eが設けられている。突起51eは、上方から下方に向けて広がる形状を有する。また、Y方向に垂直な側壁の下端のX方向両側には、後述のカバー6の突起6aを逃がすことができる凹部51cが設けられている。
【0039】
第2の部材52は、台形状の本体部52aと、本体部52aの下底の両端から延びる1対の側壁52bと、を有する。本体部52aの下底のX方向中央には、付勢部材53のアームを受け入れるアーム挿入孔52dが設けられている。側壁52bには、第1の部材51の第1の軸51aに取り付け可能な軸穴52cが設けられている。
【0040】
付勢部材53は、2つのねじりコイルばねを組み合わせた構成を有する。具体的には、X方向に並んで配置された2つのコイル部53bと、各コイル部53bのX方向内側に設けられ、各コイル部53bを接続するアーム53aと、各コイル部53bのX方向外側に接続された2本のアーム53cとを有する。アーム53cには、それぞれ端部を折り曲げて形成された第1の凸状部53dと第1の凸状部53dよりも小さい第2の凸状部53eが設けられている。負荷のない状態では、アーム53aとアーム53cとの開き角は180°よりも大きくなっている。
【0041】
付勢ユニット5を組み立て方法は以下の通りである。まず、第1の部材51の第2の軸51bのそれぞれに付勢部材53のコイル部53bを取り付ける。このとき、アーム53aが第1の部材51の外側に位置し、アーム53cが第1の部材の内側に位置するように付勢部材53を配置する。次に、アーム53aを、負荷のない状態から第1の部材51に対して第2の部材52を閉じる方向に回転させ、開き角を約180°にして第2の部材52のアーム挿入孔52dに挿入したうえで、軸穴52cを第1の部材51の第1の軸51aに取り付ける。これにより、付勢ユニット5が完成する。付勢ユニット5において、付勢部材53は、第1の部材51に対して第2の部材52を閉じる方向に負荷を受けた状態であるため、常に第1の部材51に対して第2の部材52を開く方向に付勢する。
【0042】
次に、付勢ユニット5の容器本体2への取り付け方法について説明する。まず、
図7に示すように、第1の収容部21の下側の開口部21aから、付勢ユニット5を第2の部材52側から挿入する。付勢ユニット5を上方に移動させると、第1の収容部21の+Y方向を向く側壁の下端と第1の部材51の突起51eとが接触し、第1の部材51のアーム部51dが次第に内側に回動する。さらに付勢ユニット5を上方に移動させると、
図8、
図11に示すように、突起51eの全体が第1の収容部21の第2の貫通孔21bに収容され、アーム部51dが外側に回動する。この状態では、付勢ユニット5を下方に押しても、突起51eの下面が第2の貫通孔21bの下面に係合し、アーム部51dは回動できないため、付勢ユニット5は下方に移動することができない。
【0043】
このようにして、付勢ユニット5は、第2の位置に配置される。第2の位置では、第1の部材51の第1の軸51aおよび第2の軸51bが第1の収容部21に収容される。すなわち付勢ユニット5の第2の軸線は、第1の収容部21に収容される。
【0044】
第2の位置に配置された付勢ユニット5を、さらに上方に移動させると、第2の貫通孔21bの上面と突起51eとが接触し、第1の部材51のアーム部51dが次第に内側に回動する。さらに付勢ユニット5を上方に移動させると、
図12に示すように、突起51eの全体が第1の収容部21の第1の貫通孔21cに収容され、アーム部51dが外側に回動する。この状態でも、付勢ユニット5を下方に押しても、突起51eの下面が第1の貫通孔21cの下面に係合し、アーム部51dは回動できないため、付勢ユニット5は下方に移動することができない。また、このとき、
図18(a)に示すように、付勢ユニット5の第1の部材51の下端から-Y方向に延びる突起部51fが第1の収容部21の内壁21iに係合するため、付勢ユニット5はこれ以上上方に移動することができない。
【0045】
このようにして、付勢ユニット5は、第1の位置に配置される。第1の位置では、付勢ユニット5の第2の軸線は外部に露出している。第2の部材52は、力を加えない状態では、付勢部材53の付勢力によって第1の部材51に対して開いた状態となる。
【0046】
付勢ユニット5が第2の位置に配置されているとき、使用者が第2の貫通孔21bから突起51eを押し込むことにより、付勢ユニット5が下側の開口部21aから抜き出されてしまうおそれがある。そのため、本実施形態では、
図9に示すように、第2の貫通孔21bを塞ぐカバー6を第1の収容部21に取り付けることにより第2の位置に配置された付勢ユニット5の抜き出しを防止している。
【0047】
カバー6は、
図10および
図12に示すように、板状の本体部(符号なし)と、本体部のX方向両端部に突起6aとを有し、突起6aの先端には返し6bが設けられている。付勢ユニット5を第2の位置に配置した後、挿入孔21dに突起6aを挿入すると、返し6bが第1の収容部21の内面と係合し、カバー6が固定される。これにより、第2の貫通孔21bを通じた突起51eへのアクセスが禁止される。このとき、第1の部材51の突起6aに対向する部分には凹部51cが設けられており、突起6aを逃がすことができ、突起6aと第1の部材51との干渉を防ぐことができる。
【0048】
第1の収容部21には、カバー6の本体部を囲むように+Y方向に突出する保護部21eが設けられている。
図10および
図11に示すように保護部21eの突出高さはカバー6の本体部の厚さとほぼ同一であるため、指や工具をカバー6本体の周囲に引掛けにくく、カバー6を容易に取り外すことができない。
【0049】
ここで、異なる大きさの蓋体付き容器1を作製する場合、付勢ユニット5の第1の部材51および第2の部材52を共通して使用することができるが、蓋体3の大きさ、重さに応じた付勢力を有する付勢部材53を使用する必要がある。このような場合に、付勢部材53の付勢力を、アーム53cの端部に設けられた凸状部の大きさで区別することができる。ある付勢力を有する付勢部材53では、
図4、
図5に示すように、-X方向の第1の凸状部53dよりも+X方向の第2の凸状部53eを小さくし、別の付勢力を有する付勢部材53では、
図6に示すように、+X方向の第3の凸状部53fよりも-X方向の第4の凸状部53gを小さくすることで、付勢力を区別することができる。また、
図5、
図6に示すように、蓋体付き容器1の大きさに応じて、容器本体2の第1の収容部21で囲まれた部分に第1の凸状部53dを収容できる溝21fまたは第3の凸状部53fを収容できる溝21gを設ける。なお、
図5、
図6では、第1の収容部21の+Y方向の側壁を省略している。
【0050】
これにより、蓋体付き容器1の大きさに対応する付勢力を有する付勢部材53を使用した場合、付勢ユニット5を取り付ける際に、
図5、
図6に示すように、溝21fには第1の凸状部53d、溝21gには第3の凸状部53fが収容され、各凸状部が付勢ユニット5の取り付けを阻害しない。一方、蓋体付き容器1の大きさに対応しない付勢力を有する付勢部材53を使用した場合、例えば
図5の容器本体2に
図6で示す付勢部材を使用した場合、第3の凸状部53fが側壁21hの下端に衝突し、付勢ユニット5を取り付けることができず、付勢部材が誤っていることに気づくことができる。
【0051】
(蓋体)
次に、蓋体3について説明する。
【0052】
図16(a)は蓋体の底面図であり、
図16(b)は蓋体の平面図である。いずれの図も、蓋体3が容器本体2に対して閉じられた状態として、方向を示している。
【0053】
図16(a)、(b)に示すように、蓋体3は、天板3aと、天板3aの下面に設けられ、環状のパッキン7を取り付け可能な環状の溝部32aと、付勢ユニット5の第2の部材52を収容可能な一対の第2の収容部31と、係合部材4と係合可能な突起33と、を有する。
【0054】
天板3aの+Y方向の端部には、-Z方向に延び、容器本体2の蓋体取付部22の軸22aに挿入可能な軸穴を有する側板35が設けられている。蓋体取付部22と、側板35は、容器本体2と蓋体3とを回動可能に結合させるヒンジ部を構成する。天板3aのX方向中央部には、+Z方向に立ち上がる立ち上がり部34が設けられており、天板3aの内面の立ち上がり部34に対応する部分には、天板3aのひずみを抑制するための補強リブ36が設けられている。
【0055】
図19等に示すように、溝部32aの外側の縁には-Z方向(容器本体2側)に延びる外壁32bが設けられている。外壁32bは、溝部32aに取り付けられたパッキン7を基準として、溝部32aの外側の縁からパッキン7の-Z方向の端面(後述する変形部7bの底板7c)よりも-Z方向まで延びている。本実施形態では、溝部32aの内壁よりも-Z方向に延びている部分を「外壁32b」と呼んでいる。また、天板3aには、溝部32aを囲むように-Z方向に延びる側壁3bが設けられている。側壁3bと外壁32bとは、コーナー部以外で共通している。
【0056】
図16(a)に示すように、第2の収容部31は、溝部32aで囲まれた領域の外側(+Y方向側)から内側(-Y方向側)まで延びており、溝部32aで囲まれた領域の内側では、閉じられた空間を区画している。そのため、蓋体3を閉じたときに蓋体3と容器本体2との間を封止し、容器内部を密閉状態とすることができる。また、第2の収容部31と溝部32aとをZ方向に重ねて配置するため、第2の収容部31と溝部32aとをZ方向においてずらして配置するよりも蓋体3を小さくすることができる。第2の収容部31により溝部32aで囲まれた領域の内外が連通すると臭気が漏れるが、第2の収容部は溝部32aに囲まれた領域の内側で閉じられた空間を区画するため、臭気漏れを防止することができる。
【0057】
蓋体3を容器本体2に取り付ける際には、
図15に示すように、第1の位置に配置された付勢ユニット5に上方から蓋体3を直立させた状態で近づけ、第2の部材52を第2の収容部31に収容させるとともに、側板35に設けられた軸穴に容器本体2の蓋体取付部22の軸22aを挿入して、容器本体2に回動可能に取り付ける。
【0058】
第2の収容部31内では、付勢ユニット5の第2の部材52は蓋体3の天板3aにしか接触せず、第2の部材52の天板3aに対向する部分以外は、常に第2の収容部31に対して隙間が空いた状態である。付勢ユニット5が蓋体3を付勢する際には、第2の部材52の天板3aに対向する部分が天板3aに接触し、この部分からのみ付勢力が蓋体3に伝えられる。本実施形態では、第2の部材52は溝部32aに囲まれた領域の外側から内側まで延びており、第2の部材52を十分な長さとすることができる。そのため、第2の部材52から蓋体3に開く方向への付勢力を十分に伝えることができ、付勢ユニット5によって蓋体3を確実に開くことができる。
【0059】
また、本実施形態では、一対の蓋体取付部22が付勢ユニット5を挟むように設けられており、付勢ユニット5による付勢部分の両側で蓋体3を支持することができるため、蓋体取付部22に取り付けられた蓋体3に生じるひずみを低減し、蓋体3と容器本体2との間に隙間が生じるのを抑制することができる。
【0060】
(係合部材)
係合部材4は、X方向に延びる四角柱状の部材であり、
図3に示すように+Y方向の側壁4bにX方向に延びる横溝4cと、横溝4cの両端から下方に向かって延びる縦溝4dとを有する。容器本体2上部には、
図22(a),(b)に示すように、係合部材取付部26からX方向内側に延びる一対の軸26aが設けられており、係合部材4は、下端部において、軸26aにX方向に平行な軸線回りに回動可能に設けられている。係合部材4は、
図3に示す付勢部材4aによって、+Y方向の側壁4bが+Y方向に回動するように付勢されている。なお、
図22(a),(b)には、横溝4cのみ示されており、縦溝4dは示されていない。蓋体3に設けられた突起33は、X方向に延び、横溝4cに嵌まり込む横板33aと、横板33aの両端から下方に向かって延びる逆三角形状であり、縦溝4dに嵌まり込む縦板33bとを有する。
【0061】
蓋体3を閉じた状態では、
図22(a)に示すように、容器本体2に設けられた係合部材4に蓋体3に設けられた突起33が係合し、蓋体3が閉じた状態に保持される。本実施形態では、係合部材4と、上述の容器本体2と蓋体3とを回動可能に結合するヒンジ部とによって、容器本体2と蓋体3とを係合した状態で保持する係合機構が構成される。
【0062】
(パッキン)
環状のパッキン7は、蓋体3が閉じられた状態において蓋体3と容器本体2との間に挟まれ、蓋体3と容器本体2との間を封止する。
図15、
図23等に示すように、パッキン7は、蓋体3の溝部32aの全周にわたって取り付けられる。
【0063】
パッキン7は、シリコンゴム等の弾性を有するゴムや樹脂等からなり、
図19、
図20に示すように、溝部32aに収容される被収容部7aと、溝部32aの深さ方向外側に設けられている変形部7bと、を有する。変形部7bは、溝部32aの外側の縁に設けられた外壁32bによって外側から外壁によって支持される。
【0064】
被収容部7aは、溝部32aの内側と接する寸法を有する。本実施形態では、被収容部7aは、中空であり、被収容部7aの内壁と外壁とを結合して被収容部7aを補強する補強部7fを有する。
【0065】
また、変形部7bも、中空であり、溝部32aの幅よりも広い幅を有する。変形部7bは、溝部32aの内壁の下面に沿って延びる延伸部7eと、延伸部7eの内側端部から溝部32aの深さ方向外側に向かって延びる内壁7dと、内壁7dの溝部32aの深さ方向外側の端部から外側に向かって延びる底板7cと、底板7cの端部に接続された外壁と、を有する。変形部7bの外壁は、底板7c、内壁7dおよび延伸部7eよりも厚く、変形部7bの外側の面と被収容部7aの外側の面は段差なくフラットに設けられている。
【0066】
図21(c)に示すように、蓋体3が閉じられた状態において、容器本体2に設けられた突起部24は、変形部7bの幅方向の中心よりも内側で変形部7bを挟んでいる。
【0067】
また、被収容部7aにおける変形部7bと反対側の端部には、先端に近づくほど幅が狭くなる先細り部7gが形成されている。
【0068】
(付勢ユニットの位置の変動による効果について)
付勢ユニット5が第1の位置に配置されているとき、第1の軸51a、すなわち第2の回転軸が第1の収容部21の上方に露出し、第1の部材51に対して第2の部材52が回動可能となり、第2の部材52から蓋体3に対して付勢力を伝えることができる。
【0069】
第2の位置では、付勢ユニット5が第1の位置よりも下方に配置されているため、搬送時に蓋体3と容器本体2とを分離した状態において、付勢ユニット5を第2の位置に配置することにより、第1の位置に配置されている場合に比べて、付勢ユニット5の破損を抑制することができる。また、第2の位置では、第2の軸線が第1の収容部21に収容されているため、第2の軸線を保護することもできる。さらに、第2の位置に付勢ユニット5を配置しておけば、付勢ユニット5を容器本体2から外すことなく、付勢ユニット5の破損を抑制することができるため、付勢ユニット5の紛失も抑制することができる。
【0070】
また、付勢ユニット5が第2の位置に配置されている状態では、
図17に示すように容器本体2を積み重ねても、下側の容器本体2の付勢ユニット5と、上側の容器本体2の第1の収容部21とが互いに離隔した状態となり、付勢ユニット5の破損を抑制することができる。
【0071】
第1の収容部21は、第2の位置に配置されている付勢ユニット5の上端部、すなわち第2の部材52の先端部を外側に露出させるように付勢ユニット5を収容することが好ましい。この場合、第2の位置に配置された付勢ユニット5の第2の部材52の先端部を容易に摘まんだり指を引掛けたりすることができるため、付勢ユニット5を第2の姿勢から第1の姿勢に容易に移動させることができる。
【0072】
(開閉動作)
蓋体3の開閉動作として、まず、蓋体3を容器本体2に取り付けた直後から閉じた状態となるまでの動作について説明する。
【0073】
図21は、蓋体を容器本体に取り付けた直後から閉じた状態となるまでの断面図であり、同図(a)は蓋体を容器本体2に取り付けた直後(開き角90°)の状態、同図(b)は蓋体の開き角を70°とした状態、同図(c)は蓋体を閉じた状態を示す。
【0074】
蓋体3を容器本体2に取り付けた直後は、
図21(a)に示すように、容器本体2に設けられた突起23が蓋体3に設けられた障壁37と接触し、蓋体3の回動が妨げられた状態である。この状態から、蓋体3を閉じる方向に一定以上の力を加えると、障壁37が突起23を次第に押し下げ、
図21(b)に示すように、障壁37の下端が突起23を乗り越える。その後は、蓋体3を閉じる方向に、付勢ユニット5の付勢力を超える力を加えれば、
図21(c)に示すように、蓋体3を閉じることができる。
図13には、蓋体3を閉じた蓋体付き容器1の上部を背面から見た状態を示す。
【0075】
蓋体3を閉じると、
図22(a)に示すように、容器本体2に設けられた係合部材4に蓋体3に設けられた突起33が係合し、蓋体3が閉じた状態に保持される。
【0076】
開いた状態の蓋体3を閉じる場合、蓋体3を押し下げると、係合部材4の上端と突起33の縦板33bとが接触し、さらに蓋体3を押し下げると突起33の縦板33bによって係合部材4の側壁4bが-Y方向に回動する。完全に蓋体3が閉じると係合部材4の横溝4cおよび縦溝4dに突起33が嵌まり込み、係合部材4は付勢部材4aに付勢されて側壁4bが+Y方向に回動する。この状態では、付勢ユニット5によって蓋体3が開く方向に付勢されても、突起33と係合部材4とが係合しているため、蓋体3は開かない。
【0077】
蓋体3が閉じた状態で、係合部材4を押し下げると、
図22(b)に示すように、側壁4bが-Y方向に回動し、突起33との係合が解除され、付勢ユニット5の付勢力で蓋体3が開く方向に回動可能となる。閉じた状態の蓋体3を付勢ユニット5の付勢力のみで開いた場合、障壁37の下端が突起を乗り越えることができないため、
図21(b)に示す開き角で蓋体3の回動が止まる。
【0078】
(パッキンの作用)
次に、本実施形態の蓋体付き容器におけるパッキンの作用について説明する。
【0079】
容器本体2に対して蓋体3を閉じると、容器本体2と蓋体3は、係合機構によって突起部24と溝部32aでパッキン7を挟んだ状態で保持される。このとき、パッキン7の変形部7bは変形して突起部24と密着し、容器本体2と蓋体3との間が封止される。
【0080】
本実施形態では、パッキン7の変形部7bは、外側から外壁32bによって支持され、溝部32aの幅方向内側に開放されている。そのため、パッキン7が溝部32aと突起部24とで挟まれた場合に変形部7bの変形方向は内側に限定される。これにより、変形部7bの変形方向が内側および外側にばらつく場合に比べて、突起部24とパッキン7との間に密着しにくい部分が生じにくく、容器本体2と蓋体3との間を安定して封止することができる。また、変形部7bは溝部32aの外側に設けられているため、摘まみやすく、パッキン7を溝部32aから容易に取り外すことができる。また、外壁32bによって収容物およびその臭気をより容器から漏れ出しにくくすることができる。
【0081】
本実施形態では、変形部7bは中空であり、中実である場合よりも変形しやすいため、突起部24とパッキン7との間で密着しにくい部分をより生じにくくすることができる。
【0082】
また、突起部24に変形部7bが挟まれると、外壁32bによって支持された変形部7bの外側部分を中心軸として変形部7bが回動する。本実施形態では、変形部7bの外壁は、底板7c、内壁7dおよび延伸部7eよりも厚く、これらの部分に比べて変形しにくいため、変形部7bの回動の中心軸がぶれにくい。また、本実施形態では、
図21(c)等に示すように、突起部24は、変形部7bの幅方向の中心よりも内側で変形部を挟んでおり、変形部7bは、溝部32aの幅よりも広い幅を有している。そのため、変形部7bの幅方向の中心よりも外側で変形部7bを挟む場合および変形部7bの幅が溝部32aの幅以下である場合に比べて、変形部7b回動の半径が大きくなる。また、突起部24に挟まれる部分が変形部7bの変形方向(内側方向)の端部により近い。これらのことから、変形部7bの幅方向の中心よりも外側で変形部7bを挟む場合に比べて小さい力でも変形部7bを変形させることができ、より安定して容器本体と蓋体との間を封止することができる。
【0083】
本実施形態では、パッキン7の被収容部7aは中空としているが、被収容部7aの内部に補強部7fを設けているため、溝部32aの内部で潰れにくい。また、被収容部7aは、中実としてもよい。被収容部7aを中実とすれば、中空である場合に比べて剛性が大きいため、容易に被収容部7aを溝部32aに収容させることができる。
【0084】
本実施形態では、被収容部7aにおける変形部7bと反対側の端部には、先細り部7gが形成されており、より容易に被収容部7aを溝部32aに収容させることができる。
【0085】
(変形例)
本実施形態では、蓋体3を溝部32aが設けられた第1体とし、容器本体2を突起部24が設けられた第2体としたが、容器本体2に溝部を設けて第1体とし、蓋体3に突起部を設けて第2体としてもよい。ただし、容器本体2を突起部24を設けた場合、溝部を設けた場合に比べて容器本体2を簡単な構造とすることができ、容器本体2を容易に清掃することができる。
【0086】
また、本実施形態では、係合部材4を容器本体2に設けたが、蓋体3に設けてもよい。
【0087】
今回開示された実施形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと解されるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなくて特許請求の範囲により示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0088】
1 蓋体付き容器
2 容器本体
21 第1の収容部(付勢ユニット取付部)
22a 軸(第1の軸線)
3 蓋体
31 第2の収容部
5 付勢ユニット
51 第1の部材
51a 第1の軸(第2の軸線)
51b 第2の軸(第2の軸線)
52 第2の部材
53 付勢部材
7 パッキン(封止部材)