(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-12
(45)【発行日】2023-05-22
(54)【発明の名称】編織物品質管理装置
(51)【国際特許分類】
G01G 17/02 20060101AFI20230515BHJP
G01G 11/00 20060101ALI20230515BHJP
【FI】
G01G17/02 A
G01G11/00 M
(21)【出願番号】P 2019128639
(22)【出願日】2019-07-10
【審査請求日】2022-06-29
(73)【特許権者】
【識別番号】396012953
【氏名又は名称】三陽メリヤス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100154726
【氏名又は名称】宮地 正浩
(72)【発明者】
【氏名】村島 和徳
(72)【発明者】
【氏名】北畠 保男
【審査官】公文代 康祐
(56)【参考文献】
【文献】実公昭54-038945(JP,Y1)
【文献】実公昭46-004777(JP,Y1)
【文献】特開2004-346452(JP,A)
【文献】登録実用新案第3017986(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2003/0019797(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01G 11/00-11/20
G01G 17/02
B07C 5/16- 5/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
編織機で製造された編織物の品質を管理する編織物品質管理装置であって、
前記編織機から払い出されて投入口に投入された編織物が載置される計量台を有し、当該計量台に載置された編織物の重量を計測する計量機構部と、
前記計量機構部の計量結果に基づいて前記編織物の良否を判定する良否判定部と、
前記計量機構部による計量後の編織物が載置される払出台を有し、当該払出台に載置された編織物を前記良否判定部の判定結果に基づいて良品と不良品とに選別して払い出す選別機構部を備えた編織物品質管理装置。
【請求項2】
前記良否判定部の判定結果に基づいて前記編織機の異常を判定して通報する異常判定部を備えた請求項1に記載の編織物品質管理装置。
【請求項3】
前記計量台と前記払出台とが隣接して配置されており、
前記計量台上と前記払出台上との間で移動体をスライド移動させて当該移動体により前記編織物を押し滑らせて移動可能な移動機構部を備え、
前記移動機構部が、前記計量機構部による計量後の編織物を前記計量台から前記払出台に移送する計量後移動動作を実行する請求項1又は2に記載の編織物品質管理装置。
【請求項4】
前記移動機構部が、前記計量台に載置された編織物を当該計量台の略中央部に寄せる計量前移動動作を実行する請求項3に記載の編織物品質管理装置。
【請求項5】
前記計量台の縁部から上方に延びる櫛歯部を一定間隔で複数並設した櫛状壁を備え、
前記移動体として、下方に垂下する櫛歯部を一定間隔で複数並設した櫛状移動体を備え、
前記櫛状壁の櫛歯部と前記櫛状移動体の櫛歯部とが、当該櫛状移動体の移動方向視において重畳しない状態で配置されており、
前記移動機構部が、前記計量機構部による計量時において、前記櫛
状移動体を前記計量台からみて前記櫛状壁よりも外方に退避させる請求項3又は4に記載の編織物品質管理装置。
【請求項6】
前記選別機構部が、前記払出台を良品払出部が設けられた一方側に傾斜させて当該払出台に載置された良品の編織物を前記良品払出部に滑落させる良品払出動作と、前記払出台を不良品払出部が設けられた他方側に傾斜させて当該払出台に載置された不良品の編織物を前記不良品払出部に滑落させる不良品払出動作とを実行する請求項1~5の何れか1項に記載の編織物品質管理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、編織機で製造された編織物の品質を管理する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
靴下などの編物や織物などの編織物は、給糸を自動的に編成又は織成する自動編成機や自動織成機などの編織機により製造することができる(例えば、特許文献1を参照。)。
このような編織機では、給糸切れや給糸の詰まりなどが要因で不完全な製品や所定寸法よりも小さい製品などの不良品が製造されることがある。そこで、従来では、編織機で製造された編織物は、検品者による目視等で検品されて、良品と不良品とが選別される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のように編織機で製造された編織物に対して手作業の検品作業で良品と不良品との選別を行うと、人件費が嵩む上に、例えば裏糸の一部の欠損や給糸の詰まりなどの微細な不良を見過ごす虞があるという問題がある。また、編織機から払い出された編織物が検品を受けるまでに時間を要するために、給糸切れなどの異常が継続している編織機において多くの不良品が製造されてしまい、歩留まりや生産効率の悪化の要因となる。
【0005】
この実情に鑑み、本発明の主たる課題は、編織機で製造された編物を良品と不良品とに正確且つ迅速に選別して、不良品増加による歩留まりや生産効率の悪化を抑制可能な編織物品質管理装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1特徴構成は、編織機で製造された編織物の品質を管理する編織物品質管理装置であって、
前記編織機から払い出されて投入口に投入された編織物が載置される計量台を有し、当該計量台に載置された編織物の重量を計測する計量機構部と、
前記計量機構部の計量結果に基づいて前記編織物の良否を判定する良否判定部と、
前記計量機構部による計量後の編織物が載置される払出台を有し、当該払出台に載置された編織物を前記良否判定部の判定結果に基づいて良品と不良品とに選別して払い出す選別機構部を備えた点にある。
【0007】
本構成によれば、計量機構部により、編織機から払い出された編織物の重量を計測することができ、良否判定部により、計量機構部で計測された編織物の重量によりその良否を正確に判定することができる。よって、選別機構部により、編織物を良品と不良品とに迅速に選別することができる。
従って、本発明により、編織機で製造された編物を良品と不良品とに正確且つ迅速に選別して、不良品増加による歩留まりや生産効率の悪化を抑制可能な編織物品質管理装置を提供することができる。
【0008】
本発明の第2特徴構成は、前記良否判定部の判定結果に基づいて前記編織機の異常を判定して通報する異常判定部を備えた点にある。
【0009】
本構成によれば、異常判定部により、例えば不良品判定頻度などの良否判定部の判定結果に基づいて、編織機において給糸切れなどの異常が継続している状態等のような編織機の異常を判定することができる。そして、このような異常がリアルタイムで通報されるので、作業者に対して編織機から異常を取り除かせるように働きかけることができる。
【0010】
本発明の第3特徴構成は、前記計量台と前記払出台とが隣接して配置されており、
前記計量台上と前記払出台上との間で移動体をスライド移動させて当該移動体により前記編織物を押し滑らせて移動可能な移動機構部を備え、
前記移動機構部が、前記計量機構部による計量後の編織物を前記計量台から前記払出台に移送する計量後移動動作を実行する点にある。
【0011】
本構成によれば、移動機構部が計量後移動動作を実行することにより、計量台上とそれに隣接配置された払出台上との間で移動体をスライド移動させて当該移動体により編織物を押し滑らせる形態で、計量機構部による計量後の編織物を計量台から払出台に簡単に移送することができる。
【0012】
本発明の第4特徴構成は、第3特徴構成に加えて、前記移動機構部が、前記計量台に載置された編織物を当該計量台の略中央部に寄せる計量前移動動作を実行する点にある。
【0013】
本構成によれば、移動機構部が計量前移動動作を実行することにより、投入口に投入されて計量台に載置された編織物を、計量機構部による計量前に、計量台の周囲に設けられた壁から引き離して、計量台の略中央部に寄せることができる。よって、計量時における移動体や計量台の周壁に対する編織物の接触を抑制することができ、それに起因する計量機構部の計量精度の悪化を確実に防止して、当該編織物を正確に良品と不良品とに選別することができる。
【0014】
本発明の第5特徴構成は、第3乃至第4特徴構成に加えて、前記計量台の縁部から上方に延びる櫛歯部を一定間隔で複数並設した櫛状壁を備え、
前記移動体として、下方に垂下する櫛歯部を一定間隔で複数並設した櫛状移動体を備え、
前記櫛状壁の櫛歯部と前記櫛状移動体の櫛歯部とが、当該櫛状移動体の移動方向視において重畳しない状態で配置されており、
前記移動機構部が、前記計量機構部による計量時において、前記櫛状移動体を前記計量台からみて前記櫛状壁よりも外方に退避させる点にある。
【0015】
本構成によれば、計量台の縁部に立設する櫛状壁の櫛歯部と櫛状移動体の櫛歯部とが、当該櫛状移動体の移動方向視において重畳しない状態で配置されており、その櫛状移動体が、計量機構部の計量時において計量台からみて櫛状壁よりも外方に退避されるので、計量時における櫛状移動体に対する編織物の接触を確実に防止することができる。
【0016】
本発明の第6特徴構成は、前記選別機構部が、前記払出台を良品払出部が設けられた一方側に傾斜させて当該払出台に載置された良品の編織物を前記良品払出部に滑落させる良品払出動作と、前記払出台を不良品払出部が設けられた他方側に傾斜させて当該払出台に載置された不良品の編織物を前記不良品払出部に滑落させる不良品払出動作とを実行する点にある。
【0017】
本構成によれば、選別機構部が良品払出動作と不良品払出動作とを実行する形態で、払出台に載置された良品の編織物を良品払出部と不良品払出部とに簡単に選別することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図2】編織物品質管理装置が備える主要部分の斜視図
【
図3】編織物品質管理装置が備える主要部分の斜視図
【
図4】編織物品質管理装置が備える制御装置関連の構成を示すブロック図
【
図5】編織物品質管理装置が備える主要部分の第1状態を示す斜視図
【
図6】編織物品質管理装置が備える主要部分の第2状態を示す斜視図
【
図7】編織物品質管理装置が備える主要部分の第3状態を示す斜視図
【
図8】編織物品質管理装置が備える主要部分の第4状態を示す斜視図
【
図9】編織物品質管理装置が備える主要部分の第5状態を示す斜視図
【
図10】編織物品質管理装置が備える主要部分の第6状態を示す斜視図
【
図11】編織物品質管理装置が備える主要部分の第7状態を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明に係る編織物品質管理装置100の実施形態について図面に基づいて説明する。
図1に示すように、編織物品質管理装置100は、編織機70で製造された編織物Pの品質を管理するものとして利用される。尚、編織機70は、編物や織物などの編織物Pを自動的に製造するものとして構成されており、例えば、編物である靴下を自動的に製造する全自動丸編み機などがある。
編織機70で製造された編織物Pは、自動的に空気搬送路71で搬送されて払出口71aから落下する状態で払い出される。
【0020】
図1、
図2、及び
図3に示すように、編織物品質管理装置100には、払出口71aから落下する編織物Pがと投入される投入口10aが形成されたホッパ10が設けられている。ホッパ10において、投入口10aの周囲には、投入口10aに投入されて落下する編織物Pを中央側に案内する傾斜案内部10bが設けられている。
【0021】
編織物品質管理装置100は、詳細については後述するが、外装パネル61が取り付けられたフレーム枠60に支持される状態で各主要部が装備されており、かかる主要部分としては、
図4にも示すように、計量機構部1、移動機構部2、選別機構部4、及びこれらの作動を制御する制御装置5等が設けられている。
【0022】
計量機構部1は、編織機70から払い出されて投入口10aに投入された編織物Pが載置される計量台11を有し、当該計量台11に載置された編織物Pの重量を計測するものとして構成されている。
計量台11は、投入口10aを通って投下された編織物Pを受け止め、当該受け止めた編織物Pが上面に載置された状態となるように、投入口10aの下方側に配置されている。
計量台11は電子秤装置12に搭載されており、当該電子秤装置12が計量台11に載置された編織物Pの重量を計測し、その計量結果が制御装置5に入力される。
【0023】
計量台11の外周縁部には、計量台11からの編織物Pの落下を防止するための周壁15,16が立設されている。また、この周壁15,16としては、後述する移動方向Xと直行する横断方向に沿って対向する一対の側方壁15と、移動方向Xに沿った後方側(
図3において右下側)に配置された後方壁16とが、設けられている。
また、後方壁16は、計量台11の後方縁部から上方に延びる櫛歯部16aを一定間隔で複数並設した櫛状壁として構成されている。
【0024】
移動機構部2は、計量台11上とそれに隣接して配置された払出台40上との間で移動体21,28をスライド移動させて当該移動体21,28により編織物Pを押し滑らせて移動可能なものとして構成されている。
尚、本願において、当該移動機構部2によって移動体21,28を移動させる方向を移動方向Xとし、当該移動方向Xにおいて、計量台11からみて払出台40側を前方側とし、払出台40からみて計量台11側を後方側とする。
【0025】
移動体21,28としては、移動方向Xに沿って、後方側に配置された第1移動体21と、前方側に配置された第2移動体28とが設けられている。
第1移動体21及び第2移動体28は、計量台11及び払出台40の上面に下端を近接させた状態で、移動方向Xと直交する板状の部材で構成されており、これら第1移動体21及び第2移動体28の上端部が、移動方向Xに沿って延びる一対のシャフト23,30にスライド自在に装着されたスライダ22,29に夫々固定されている。
【0026】
スライダ22,29は、移動用ベルト24,31に結合されており、この移動用ベルト24,31がシャフト23,30の一端側に固定された移動用モータ25,32の駆動プーリに回し架けられている。
よって、制御装置5が機能する駆動制御部51により夫々の移動用モータ25,32を回転駆動させることで、スライダ22,29に固定された第1移動体21及び第2移動体28を、移動方向Xに沿って移動させることができる。そして、第1移動体21及び第2移動体28を移動方向Xに沿って移動させることで、第1移動体21及び第2移動体28により編織物Pを押し滑らせる状態で、編織物Pを計量台11及び払出台40上で移動方向Xに沿って移動させることができる。
【0027】
また、第1移動体21は、下方に垂下する櫛歯部21aを一定間隔で複数並設した櫛状に形成された櫛状移動体として構成されている。そして、この櫛歯部21aが、第1移動体21の移動に伴って計量台11及び払出台40上の編織物Pを側方から当接して押し滑らせるものとして機能する。
第1移動体21の櫛歯部21aは、移動方向X視において、同じく櫛状に形成された後方壁16の櫛歯部16aと重畳しない状態で配置されている。そして、この第1移動体21を移動方向Xに移動させるにあたり、後方壁16の後方側の位置(例えば
図5、
図7、又は
図10に示す第1移動体21の位置)を初期位置として、当該初期位置から、後方壁16の設置位置を通過して、後方壁16よりも前方側の位置(例えば
図6、
図8、又は
図9に示す第1移動体21の位置)に移動させることができる。
【0028】
また、この第1移動体21には、並設された複数の櫛歯部21aの上端から前方側に向けて延出する平板状のカバー部21bが設けられている。そして、上記初期位置に配置された第1移動体21のカバー部21bは、後方周壁16の櫛歯部16aの上方を覆うものとなる。よって、投入口10aへ投入された編織物Pが後方周壁16の櫛歯部16aの上端に引っ掛かることを防止し、当該編織物Pを計量台11上に好適に案内することができる。
【0029】
一方、第2移動体28は、下方に垂下する平板部28aを有する。そして、この平板部28aが、第2移動体28の移動に伴って計量台11及び払出台40上の編織物Pを側方から当接して押し滑らせるものとして機能する。
第2移動体28を移動方向Xに移動させるにあたり、計量台11の前方側の内部付近(例えば
図5又は
図6に示す第2移動体28の位置)を初期位置として、当該初期位置から後方側(例えば
図7又は
図8に示す第2移動体28の位置)や前方側の位置(例えば
図9、
図10、又は
図11に示す第2移動体28の位置)に移動させることができる。
【0030】
また、この第2移動体28には、平板部28aの上端から前方側に向けて延出する平板状のカバー部28bが設けられている。そして、上記初期位置から後方側に向けて第2移動体28が移動する際でも、投入口10aに対して、当該平板部28aの前方側の空間がカバー部28bにより区画される。よって、投入口10aへ投入された編織物Pが誤って平板部28aの前方側に案内されることを防止し、当該編織物Pを平板部28aの後方側の計量台11上に好適に案内することができる。
【0031】
移動機構部2は、制御装置5の駆動制御部51により、計量機構部1による編織物Pの重量の計測前に行われる計量前移動動作と、計量機構部1による編織物Pの重量の計測後に行われる計量後移動動作とを実行するものとして構成されている。
【0032】
計量前移動動作は、投入口10aから計量台11に編織物Pが投入されたことを計量機構部1により検知してから当該投入された編織物Pの姿勢が安定するまでの時間(例えば3秒)が経過した時点であって計量機構部1による編織物Pの重量計測を行う前のタイミングで行われ、計量台11に載置された編織物Pを当該計量台11の略中央部に寄せる動作である。
【0033】
かかる計量前移動動作では、第1移動体21を
図5に示すような初期位置から
図6に示すような計量台11における略中央部の若干手前の位置まで移動させることで、計量台11上において後方側に偏って載置された編織物Pを中央部に寄せる動作と、第2移動体28を
図5に示すような初期位置から
図7に示すような計量台11における略中央部の若干手前の位置まで移動させることで、計量台11上において前方側に偏って載置された編織物Pを中央部に寄せる動作とが、交互に所定回数繰り返して行われる。
【0034】
このような計量前移動動作が行われることで、投入口10aに投入されて計量台11に載置された編織物Pは、計量機構部1による計量前に、計量台11の周囲に設けられた側方壁15や後方壁16から引き離されて、計量台11の略中央部に寄せられる。このことで、後の計量時における編織物Pの周壁15,16や移動体21,28への接触が抑制される。よって、そのような接触に起因する計量機構部1の計量精度の悪化が確実に防止されて、編織物Pの重量が正確に計測されることになる。
尚、このような計量前移動動作の方法は、適宜変更可能である。また、かかる計量前移動動作を適宜省略しても構わない。
【0035】
そして、上記計量前移動動作後に計量機構部1により編織物Pの重量計測が行われる。この計量機構部1による計量時には、移動機構部2は、
図5に示すように、第1移動体21及び第2移動体28の夫々を初期位置に位置させる。このとき、第1移動体21については、計量台11からみて後方壁15よりも外方に退避されることになる。このことで、計量機構部1による計量時における第1移動体21に対する編織物Pの接触が確実に防止される。
【0036】
計量後移動動作は、計量機構部1による編織物Pの重量計測直後のタイミングで行われ、計量機構部1による計量後の編織物Pを計量台11上からその前方側に隣接配置された払出台40上に移送する動作である。
【0037】
かかる計量後移動動作では、先ず、
図5に示すような初期位置にある第1移動体21と第2移動体28とを、
図8に示すような計量台11の略中央部を前後で挟み込む位置に夫々移動させることで、計量台11の略中央部にある編織物Pを第1移動体21と第2移動体28とで挟み込む動作が行われ、次に、その第1移動体21と第2移動体28とを、
図9に示すような払出台40の略中央部に移動させる動作が行われる。このことで、計量台11上に載置された編織物Pを、第1移動体21の櫛歯部21aと第2移動体28の平板部28aとで挟み込んで払出台40上の略中央部に移動させることができる。更に、編織物Pを払出台40上に移動させた後には、
図10に示すように、第1移動体21の櫛歯部21aは、後方壁16よりも後方側の位置に移動され、第2移動体28の平板部28aは、払出台40よりも前方側の位置に移動されることで、後述する選別機構部4の払出台40の回転動作に対して櫛歯部21a及び平板部28aの干渉が回避される。
尚、このような計量後移動動作の方法は、適宜変更可能である。また、計量台11と払出台40とを1つのもので兼用する場合には、かかる計量後移動動作を省略することができる。
【0038】
選別機構部4は、計量機構部1による計量後の編織物Pが載置される払出台40を有し、当該払出台40に載置された編織物Pを後述する良否判定部52の判定結果に基づいて良品と不良品とに選別して払い出すものとして構成さている。
【0039】
払出台40は、その下面に固定されて移動方向Xに沿った回転軸部41周りに回転自在に支持されており、当該回転軸部41は、回転用モータ42に連結されている。そして、制御装置5が機能する駆動制御部51により回転用モータ42を回転駆動させることで、払出台40を任意の方向に傾斜させて、当該払出台40に載置された編織物Pを任意の方向に滑落させることができる。
【0040】
そして、選別機構部4は、
図11に示すように、払出台40を良品払出ボックス65(良品払出部の一例)が設けられた一方側に傾斜させて当該払出台40に載置された良品の編織物Pを良品払出ボックス65に滑落させる良品払出動作を実行することができる。また、図示は省略するが、払出台40を不良品払出ボックス66(不良品払出部の一例)が設けられた他方側に傾斜させて当該払出台40に載置された不良品の編織物Pを不良品払出ボックス66に滑落させる不良品払出動作を実行することができる。また、不良品払出ボックス66は、良品払出ボックス65よりも後方側に配置されており、払出台40から滑落した不良品の編織物Pは、一旦傾斜案内板45に案内されて、不良品払出ボックス66に投入される。
また、良品払出ボックス65が設けられた側と、不良品払出ボックス66が設けられた側とを仕切る仕切り板62が設けられている。このことにより、払い出された編織物Pの良品と不良品とを確実に区別されることになる。
尚、計量台11と払出台40とを1つのもので兼用することもできる。この場合、計量台11に載置された編織物Pをロボットアーム等により直接保持して、良品払出ボックス65と不良品払出ボックス66とに選別して払い出すように構成することができる。
【0041】
制御装置5は、所定のプログラムを実行することにより、駆動制御部51、良否判定部52、異常判定部53等として機能する。
また、この制御装置5の周辺機器として、情報を表示可能なディスプレイ55、複数のランプを配置してなるインジケータ56、警報音等を発生するブザー57、有線通信又は無線通信により外部端末との間で情報の授受を行う通信部58等が設けられている。
駆動制御部51は、移動用モータ25,32や回転用の回転用モータ42を駆動制御して、移動機構部2や選別機構部4を作動させるものとして構成されている。
【0042】
良否判定部52は、計量機構部1の計量結果に基づいて編織物Pの良否を判定するものとして構成されている。
具体的に良否判定部52では、計量機構部1の計測値が予め設定した最小設定重量を超えた時点で当該計量機構部1の計量台11に編織物Pが載置されたと判定され、編織物Pが載置されたと判定してから当該載置された編織物Pが安定する時間(例えば3秒)が経過した時点の計量機構部1の計測値を編織物Pの重量として認識する。そして、計量機構部1で計測された編織物Pの重量が、予め設定された設定重量範囲内に収まっている場合には、当該編織物Pは良品であると判定される。また、計量機構部1で計測された編織物Pの重量が、設定重量範囲の下限値以下又は上限値以上である場合には、編織機70において給糸切れや給糸の詰まりなどが生じていたり、編織機70の排出不良により複数の編織物Pが同時に払い出されていたりなどが予測されるため、当該編織物Pは不良品であると判定される。尚、本実施形態では、複数の編織物Pが同時に払い出された場合にそれを不良品として判定したが、例えば、計量機構部1で計測された編織物Pの重量が2個以上の編織物Pに対して予め設定された設定重量範囲内に収まっている場合に、2個以上の編織物Pが同時に払い出されたとして、それら2個以上の編織物Pを良品として判定することもできる。
そして、選別機構部4により、良否判定部52の判定結果に基づいて編織物Pが良品と不良品とに選別されて、良品払出ボックス65と不良品払出ボックス66とに払い出されることになる。
【0043】
異常判定部53は、良否判定部52の判定結果に基づいて編織機70の異常を判定して通報するものとして構成されている。
具体的に異常判定部53では、編織機70の異常として、設定重量範囲の上限値を超える重量の編織物Pを設定回数連続して払い出した状態、設定重量範囲の下限値を下回る重量の編織物Pを設定回数連続して払い出した状態、一定時間を超えて編織物Pを払い出さない状態等を、良否判定部52の判定結果等を用いて判定する。そして、このように判定した編織機70の異常は、インジケータ56に配置されたランプの点灯やブザー57が発生する警報音等により、作業者に対してリアルタイムで通報される。
また、異常判定部53は、上記編織機70の異常が所定回数連続して発生した場合などにおいて、当該編織機70を自動停止することもできる。また、夜間等に行われる無人運転時においては、初回の異常判定時に編織機70を自動停止することもできる。
【0044】
インジケータ56やブザー57は、編織機70の状態以外にも、例えば編織物品質管理装置100の異常等についても通報することができる。
また、計量機構部1の計量結果、良否判定部52の判定結果、異常判定部53の判定結果、別途計測した温湿度データ等の情報については、ディスプレイ55に表示したり、レポートとして集計して通信部58を通じて外部の端末に出力することができる。このことで、管理者による迅速な状況把握と正確な生産管理が容易となる。
【0045】
〔別実施形態〕
本発明の他の実施形態について説明する。尚、以下に説明する各実施形態の構成は、それぞれ単独で適用することに限らず、他の実施形態の構成と組み合わせて適用することも可能である。
【0046】
(1)上記実施形態では、良否判定部52の判定結果に基づいて編織機70の異常を判定する異常判定部53を備えたが、例えば編織機70に備えた状態監視用のセンサ等の検出結果を用いて編織機70の異常を判定するように構成することもできる。また、このような異常判定部は、適宜省略しても構わない。
【0047】
(2)上記実施形態では、計量台11上からそれに隣接する払出台40上へ編織物Pを押し滑らせて移動可能な移動機構部2を備えたが、この移動機構部2による編織物Pの移動方法については適宜変更可能である。また、計量台11と払出台40とを兼用して、移動することなく計量後の編織物Pをそのまま払い出すように構成することもできる。
【符号の説明】
【0048】
1 計量機構部
2 移動機構部
4 選別機構部
5 制御装置
10a 投入口
11 計量台
15 側方壁
16 後方壁(櫛状壁)
21 第1移動体(櫛状移動体)
28 第2移動体
40 払出台
52 良否判定部
53 異常判定部
65 良品払出ボックス(良品払出部)
66 不良品払出ボックス(不良品払出部)
70 編織機
100 編織物品質管理装置
P 編織物