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特許7278619人工股関節全置換術の術前計画システムおよび方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-12
(45)【発行日】2023-05-22
(54)【発明の名称】人工股関節全置換術の術前計画システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 34/10 20160101AFI20230515BHJP
【FI】
A61B34/10
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020519419
(86)(22)【出願日】2018-10-04
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-12-10
(86)【国際出願番号】 CA2018051253
(87)【国際公開番号】W WO2019068194
(87)【国際公開日】2019-04-11
【審査請求日】2021-09-24
(31)【優先権主張番号】62/569,106
(32)【優先日】2017-10-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/691,912
(32)【優先日】2018-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516108258
【氏名又は名称】インテリジョイント サージカル インク.
(74)【代理人】
【識別番号】110000534
【氏名又は名称】弁理士法人真明センチュリー
(72)【発明者】
【氏名】シッパー・ジョセフ・アーサー
(72)【発明者】
【氏名】ラディオ・アンドレ・ノヴォミール
(72)【発明者】
【氏名】マッケイブ・サマンサ・リン
(72)【発明者】
【氏名】ヴィグドーシック・ジョナサン・マシュー
【審査官】槻木澤 昌司
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-088893(JP,A)
【文献】特表2016-504162(JP,A)
【文献】国際公開第2011/065378(WO,A1)
【文献】特表2016-536051(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 34/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
UIに、患者の筋骨格構造の医用画像に含まれる2の画像であって、前記筋骨格構造の異なる2の基準面のそれぞれにおける同一の対象に対する2の画像を取得および表示するステップと、
2の前記画像において、それぞれに共通する前記筋骨格構造の特徴である共通特徴を特定するステップと、
2の前記画像のそれぞれで特定された共通特徴を、それぞれ3次元において回転および平行移動させることで合致させる画像位置合わせにより、2の前記画像の間の対応関係を表す空間変換を取得するステップと、
前記UIを介してユーザが設定した参照軸であって、2の前記画像のそれぞれにおいて前記筋骨格構造との共通の位置関係を有する軸である参照軸をそれぞれ取得するステップと、
2の前記画像のうちの1の画像において前記UIを介してユーザが設定した位置であって、前記参照軸との相対的な位置関係を有する第1のインプラント位置を取得するステップと、
1の前記画像における前記参照軸に対する前記第1のインプラント位置に3Dインプラントをレンダリング及びオーバーレイすると共に、2の前記画像のうちの他の画像にも、前記空間変換による1の前記画像との対応関係を用いて前記3Dインプラントを前記第1のインプラント位置にレンダリング及びオーバーレイするステップと、
前記画像に、前記3Dインプラントの長軸と前記画像の水平方向とのなす角である前傾斜を決定し表示するステップと、
を備えていることを特徴とするコンピュータ実装方法。
【請求項2】
当該コンピュータ実装方法は、
前記UIを介してユーザが設定した位置であって、前記参照軸との相対的な位置関係を有する第2のインプラント位置を取得するステップを備え、
前記第2のインプラント位置は、前記第1のインプラント位置とは異なる位置であり、
更に当該コンピュータ実装方法は、
前記第2のインプラント位置と前記参照軸と前記空間変換とを用いて、前記3Dインプラントを、2の前記画像における前記第2のインプラント位置にそれぞれレンダリング及びオーバーレイするステップと、
前記画像に、前記第2のインプラント位置にレンダリング及びオーバーレイされた前記3Dインプラントの前記前傾斜を決定し表示するステップと、
を備えていることを特徴とする請求項1記載のコンピュータ実装方法。
【請求項3】
UIに、患者の筋骨格構造の医用画像に含まれる3の画像であって、前記筋骨格構造立位冠状面、仰臥位冠状基準面および前骨盤面による基準面のそれぞれにおける同一の対象に対する3の画像を取得および表示するステップと、
3の前記画像において、それぞれに共通する前記筋骨格構造の特徴である共通特徴を特定するステップと、
3の前記画像のそれぞれにおいて特定された共通特徴を、それぞれ3次元において回転および平行移動させることで合致させる画像位置合わせにより、3の前記画像の間の対応関係を表す空間変換を取得するステップと、
前記UIを介してユーザが設定した参照軸であって、3の前記画像のそれぞれにおいて前記筋骨格構造との共通の位置関係を有する軸である参照軸をそれぞれ取得するステップと、
3の前記画像のうちの1の画像においてUIを介してユーザが設定した外転角および傾斜角による第1角度情報に基づく位置であって、前記参照軸との相対的な位置関係を有する第1のインプラント位置を取得するステップと、
1の前記画像における前記参照軸に対する前記第1のインプラント位置に3Dインプラントをレンダリング及びオーバーレイすると共に、3の前記画像のうちの他の画像にも、前記空間変換による1の前記画像との対応関係を用いて前記3Dインプラントを前記第1のインプラント位置にレンダリング及びオーバーレイするステップと、
3の前記画像のうちの他の画像において、前記第1角度情報と等価な外転角および傾斜角による第1等価角度情報取得するステップと、
前記第1角度情報と前記第1等価角度情報とを同時にリアルタイムで前記UIに表示するステップと、
を備えていることを特徴とするコンピュータ実装方法。
【請求項4】
当該コンピュータ実装方法は、
3の前記画像のうちの他の画像において前記UIを介してユーザが設定した外転角および傾斜角による第2角度情報に基づく位置であって、前記参照軸との相対的な位置関係を有する第2のインプラント位置を取得するステップを備え、
前記第2のインプラント位置は、前記第1のインプラント位置とは異なる位置であり、
更に当該コンピュータ実装方法は、
記第2のインプラント位置と前記参照軸と前記空間変換とを用いて、前記3Dインプラントを、3の前記画像における前記第2のインプラント位置にそれぞれレンダリング及びオーバーレイするステップと、
3の前記画像のうちの他の画像と異なる画像において、前記第2角度情報と等価な外転角および傾斜角による第2等価角度情報取得するステップと、
前記第2角度情報と前記第2等価角度情報とを同時にリアルタイムで前記UIに表示するステップと、
を備えていることを特徴とする請求項3記載のコンピュータ実装方法。
【請求項5】
少なくとも1つの処理ユニットと、少なくとも1つの処理ユニットに結合されたメモリーとを備えるコンピュータシステムであって、少なくとも1つの処理ユニットによって実行されると、請求項1から4のいずれかに記載のコンピュータ実装方法を実行する命令を記憶することを特徴とするコンピュータシステム。
【請求項6】
患者の前記筋骨格構造の画像が入力として提供される前記コンピュータシステムに連結された少なくとも1つの記憶装置に記憶され、
前記画像およびレンダリングを前記画像上にオーバーレイとして表示するために、表示装置が連結され、
ユーザの入力を受信するための1以上の入力装置を備えていることを特徴とする請求項5記載のコンピュータシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(相互参照)
本出願は、米国に関して、パリ条約の優先権を、他の管轄区域に関して、以下の出願に対して主張する。
1)2017年10月6日に出願され、「人工股関節全置換術のための術前計画のためのシステム及び方法」という名称の米国仮出願第62/569,106号
2)2018年6月29日に出願され、「人工股関節全置換術のためのシステム及び術前計画方法」という名称の米国仮出願第62/691,912号
【0002】
本発明は、手術におけるコンピュータ支援手順が含んでいる方法やシステム、より詳細には、人工股関節全置換術の術前計画のための方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
本明細書および関連図面は、主要な例として股関節置換術を用いるが、この例に限定されるものではなく、本明細書に記載されるシステム及び方法は、様々な他の外科的処置または筋骨格診断に適用できる。
【0004】
股関節置換術(または人工股関節全置換術:THA)は、患者の生まれつきの股関節(大腿骨近位部および寛骨臼)を人工インプラントに置き換えることが含まれる。そのインプラントの位置は新しい関節の機能にとって重要である。例えば、取付不良の寛骨臼カップが術後に脱臼することがあり、大腿骨ステムの取付位置が異常であることが人工関節周囲骨折または脚長不等の原因となることがある。インプラントされた人工装具に言及する場合、用語「位置」は、解剖学的軸に対する骨または角度位置(angular position)に対する並進位置(translational position)のような臨床的に関連するパラメータを指し得る。また、用語「位置」は、当業者によってその用いられる状況に基づいて解釈されることを意図している。股関節置換術では、人工関節の両側の結合位置(例えば、股関節の複合前傾(the combined anteversion)は寛骨臼と大腿骨前傾角の合計であり、股関節の安定性に関して臨床的に重要であることが知られている)と同様に、個々のインプラントの位置が重要である。
【0005】
関節インプラントの理想的な位置は患者毎に特有であり、特に、患者の機能的な筋骨格運動学(即ち様々な筋骨格構造が機能肢位(functional positions)を通じてどのように移動するか)に依存する。機能肢位または動作とは、一般に、基本的で日常的な動き(特に、立ち上がる、座る、階段を上る等、基本的な生活の質を維持するために不可欠な動き)の筋骨格系の生体力学および運動力学を意味する。例えば、健常な筋骨格系では、骨盤は立位と座位との間で矢状方向面に傾く。異常な筋骨格系(即ち、関節過可動、変性疾患および/または脊椎融合症)を有する患者は、立位から座位までの矢状方向面における異常な傾き等の異常な機能的筋骨格運動を経験する可能性がある。例えば、硬い脊柱は、座っているときに骨盤が比較的低い(後方への)傾きの変化を起こし、それが異常に高い股関節屈曲をもたらし、患者を衝突(impingement)および/または脱臼の危険にさらすことがある。図1A,1Bは、立位から座位への正常な骨盤運動を図示し、図2A,2Bは立位から座位への異常な骨盤運動を図示しており、脊椎の装具(hardware)によって示されるように、異常は脊柱の硬化によるものである。変形は、機能肢位間の傾斜の変化に影響を及ぼすことに加えて、筋骨格系の位置が正常な健康的な位置から偏向することもある(例えば、不健康な患者は、正常に立っている場合、矢状面および/または冠状面の基準面に傾斜した骨盤を有することがある)。
【発明の概要】
【0006】
本明細書で開示されているのは、特にTHAのための外科手術計画ツールを提供するための方法およびシステムである。患者の筋骨格構造画像(例えば、それぞれの基準面に関連し、同一または異なる機能肢位に関連する)は、共に、かつ位置合わせ(co-registration)および空間変換(spatial transformation)を介して表示され、3Dインプラント又は他のオブジェクトは、各画像に関して正確に同じ位置にレンダリングされ、オーバーレイされる。3Dインプラントは、(ハンドルを介して、または画像処理を用いて自動的に)患者内の既存のインプラントに適合させたり、他の位置、例えば、最初または新しい位置に対する既存の位置または面を測定するために移動させたりしても良い。測定値は、各画像に関連する様々な面に関して、及び/又は既存のインプラントに関して表されることがある。
【0007】
立位AP画像、立位側面画像および患者の筋骨格構造の座位側面画像を取得および表示することと、立位AP画像上および立位側面画像上のそれぞれの座標軸を入力として受信し、それぞれの座標軸に基づいて立位AP画像および立位側面画像上の筋骨格構造における参照軸を定義することと、立位側面画像と座位側面画像とのそれぞれの座標の傾きを入力として受信し、それぞれの座標の傾きに基づいて立位AP画像と立位側面画像との間の筋骨格構造における傾斜パラメータの変化を決定することと、立位AP画像と立位側面画像との間の空間変換、および立位側面画像と座位側面画像との間の空間変換を決定することと、参照軸と、立位AP画像と立位側面画像との間の空間変換とに基づく、参照軸に関連した第1の位置における立位AP画像および立位側面画像のそれぞれの3Dインプラントのレンダリング及びオーバーレイを行うことと、傾斜パラメータの変化と、立位側面画像と座位側面画像との間の空間変換とに基づく、座位側面画像のための第1の位置における3Dインプラントのレンダリング及びオーバーレイを行うことと、3Dインプラントの第2の位置を表す入力を受信することと、それぞれの空間変換および傾斜パラメータの変化を用いて立位AP画像、立位側面画像および座位側面画像のそれぞれをリアルタイムで更新するために、第2の位置における3Dインプラントのレンダリング及びオーバーレイを行うことと、を備えているコンピュータ実装方法が提供される。
【0008】
ンピュータ実装方法において、画像が、X線画像、CT、MRI又はEOSのいずれかによる様式の画像でも良い。
【0009】
コンピュータ実装方法は、傾斜パラメータの変化を表示することを更に備えていても良い。
【0010】
コンピュータ実装方法において、少なくとも部分的には受信した座標に基づいた計算の実行、受信画像間の対応する共通の特徴に基づいた計算の実行および既知の画像から収集した空間情報に基づいた計算の実行のうちの1以上によって、空間変換を決定することを備えていても良い。
【0011】
コンピュータ実装方法において、筋骨格構造が骨盤を含み、人工股関節全置換術(THA)を計画することを備えていても良い。
【0012】
コンピュータ実装方法において、筋骨格構造は骨盤であり、3Dインプラントは寛骨臼カップであり、第1の位置が傾斜40度および前傾15度であっても良い。
【0013】
コンピュータ実装方法において、 第1の位置が、少なくとも部分的には傾斜パラメータの変化に基づき、かつ機能的な患者の動きを通して安定性が最大となるように選択されても良い。
【0014】
コンピュータ実装方法は、インプラントの大きさ及び所望の位置のうちの1又は複数を含むテンプレート情報を受信することと、受信したテンプレート情報の少なくとも一部に従って3Dインプラントをレンダリングすることとを更に備えていても良い。
【0015】
コンピュータ実装方法は、3Dインプラントの現在の位置を表す位置情報を表示することを更に備えていても良い。コンピュータ実装方法において、3Dインプラントは寛骨臼カップであり、位置情報は傾斜角および前傾角度である。
【0016】
コンピュータ実装方法において、立位AP画像、立位側面画像および座位側面画像のいずれかをオーバーレイとした3Dインプラントに関連する画像の操作と、数値の入力とのいずれか1以上に基づいて第2の位置を入力することを更に備えていても良い。コンピュータ実装方法において、画像の操作が、3Dインプラントのオーバーレイに関連するハンドルのクリック及びドラッグを含むことができる。
【0017】
コンピュータ実装方法において、3Dインプラントと関連付けられたレンダリングとに関する画像を、同時に表示するために提供することができる。
【0018】
患者の筋骨格構造の少なくとも3つの画像であって、1の組の画像は第1の位置における異なるビューであり、他の組の画像は異なる機能肢位における同じビューである画像を取得および表示することと、ユーザ入力に基づいて少なくとも2つの画像上の前記筋骨格構造の参照軸を定義することと、異なる機能肢位における共通のビューの2つの画像に基づく前記筋骨格構造の機能肢位間のパラメータであって、前記患者の前記機能肢位間の位置変化を表す位置変化パラメータを決定することと、前記画像間の空間変換を決定することと、前記参照軸に関連する第1の位置におけるそれぞれの画像への3Dインプラントのレンダリング及びオーバーレイであって、それぞれの前記空間変換に応じ、かつそれぞれの画像に3Dインプラントをレンダリングしたものをオーバーレイすることと、第2の位置を表す入力を受信することと、少なくともほぼリアルタイムに、各画像に応じたレンダリングとオーバーレイとを更新することと、を備えているコンピュータ実装方法が提供される。
【0019】
補足的なコンピューティング装置(computing device)およびコンピュータプログラム製品の態様ならびに他の態様および特徴は、当業者に明白であろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】A及びBは、従来技術による、立位から座位への正常な骨盤運動を示す。
図2】A及びBは、従来技術による、立位から座位への異常な骨盤運動を示す。
図3】解剖学的構造(例えば、異なる図または異なる位置からの同じ解剖学的構造)の画像を表示するように構成され、画像に示された解剖学的構造上の位置に関連する画面上の位置から座標を定義する入力を受け取るように構成されたGUIの一部を示す。
図4】解剖学的構造の画像を表示するように構成され、画像に示された解剖学的構造上の位置に関連する画面上の位置から座標を定義する入力を受け取るように構成されたGUIの一部を示す。
図5】解剖学的構造の画像を表示するように構成され、画像に示された解剖学的構造上の位置に関連する画面上の位置から座標を定義する入力を受け取るように構成されたGUIの一部を示す。
図6】解剖学的構造の画像を表示するように構成され、画像に示された解剖学的構造上の位置に関連する画面上の位置から座標を定義する入力を受け取るように構成されたGUIの一部を示す。
図7】同一の解剖学的構造の複数の画像(例えば、X線画像)を同時に示すGUIを図示している。ここでGUIは、他の特徴の中でも、解剖学的構造上の位置に関連する画面上の位置から座標を定義するために入力を受けるように構成されている。
図8】同一の解剖学的構造の複数の画像(例えば、X線画像)を同時に示すGUIを図示している。ここでGUIは、他の特徴の中でも、解剖学的構造上の位置に関連する画面上の位置から座標を定義するために入力を受けるように構成されている。
図9】コンピューティング装置のブロック図である。
図10】コンピューティング装置のフローチャートである。
図11】コンピューティング装置のフローチャートである。
図12】AおよびBは、それぞれの図における参照軸を示す2つのビューからの解剖学的構造の画像である。
図13】2つの画像を表示し、座標の入力を受信し、それから臨床的に関連のある値を定義する(例えば、計算する)ことを可能にした、GUIの一部の図である。
図14】2つの画像を表示し、座標の入力を受信し、それから臨床的に関連のある値を定義する(例えば、計算する)ことを可能にした、GUIの一部の図である。
図15】コンピューティング装置のフローチャートである。
図16】A~Cは、各画像を表示し、座標の入力を受信し、それから臨床的に関連のある値を定義(例えば計算)することを可能にした、それぞれの画像を示す部分またはそれぞれのGUIの図である。
図17】座標の入力を受信し、それから臨床的に関連する値を定義する(例えば、計算する)ことを可能にするGUIによって表示され得る画像の1つを示す、GUIの一部の図である。
図18】座標の入力を受信し、そこから臨床的に重要な値を定義する(例えば、計算する)ことが可能な4つのそれぞれの画像を示すGUIの一部の図であり、
図19図18のGUIの一部の拡大図である。
図20】コンピューティング装置のフローチャートである。
図21】コンピューティング装置のフローチャートである。
図22】コンピューティング装置のフローチャートである。
図23】スキュー誤差とスキュー誤差を補正するための変換を表すブロック図である。
図24】座標の入力を受信し、そこから臨床的に重要な値を定義(例えば計算)し、セーフゾーンインジケータを表示することが可能な4つのそれぞれの画像を示す、GUIの一部の図である。
図25】座標の入力を受信し、そこから臨床的に重要な値を定義(例えば計算)し、セーフゾーンインジケータを表示することが可能な4つのそれぞれの画像を示す、GUIの一部の図である。
図26】座標の入力を受信し、そこから臨床的に重要な値を定義(例えば計算)し、セーフゾーンインジケータを表示することが可能な4つのそれぞれの画像を示す、GUIの一部の図である。
図27】A及びBは、球体の3Dセクターとして定義されるセーフゾーン(例えば、外転角と前傾角の角度及び範囲に対して定義される)を示す図である。
図28】コンピューティング装置のフローチャートである。
図29】術後解剖学的構造の画像を示すGUIの一部の図である。
図30】術後解剖学的構造の画像を示すGUIの一部の図である。
図31】術後解剖学的構造の画像を示すGUIの一部の図である。
図32図31のGUIの一部の拡大図である。
図33】A及びBは、外転角と前傾角のデルタ測定の角度を示すための半球のカップインプラントの図である。
図34】コンピューティング装置のフローチャートである。
【0021】
【0022】
【0023】
【0024】
【0025】
【0026】
【0027】
【0028】
【0029】
【0030】
【0031】
【0032】
【0033】
【0034】
【0035】
【0036】
【0037】
【0038】
【0039】
【0040】
【発明を実施するための形態】
【0041】
コンピュータ実装方法は、機能的な筋骨格運動学に基づいて、望ましいまたは理想的なインプラント位置を定義する目的で、外科医または他の利用者が手術を計画するのに役立つ。コンピュータ実装方法は、複数の機能的な医用画像にアクセスし、画像内の参照軸を定義し、複数の画像間の空間変換(spatial transformation)を決定し、その空間変換に従って各画像にインプラントの3Dモデルをレンダリングし、各画像に対応するレンダリングされた3Dモデルに基づいてオーバーレイすると共に、画像を表示できる。
【0042】
機能的な医用画像は、患者の筋骨格領域の関心のある(注目すべき)異なるビューの少なくとも2の画像を含むことができる。例えば、前後(AP)ビュー(即ち画像の基準面は患者の冠状基準面に対応する)及び側面ビュー(即ち画像の基準面は患者の矢状方向面に対応する)である。機能的な医用画像は、患者の筋骨格領域の関心のある2の異なった機能肢位(例えば、立位および座位)にある少なくとも2の画像を含むことができる。
【0043】
機能的医用画像は、筋骨格構造が視覚化され得る任意の様式の画像であっても良い。例えば、X線画像、CT(computed tomography)スキャン、MRI(Magnetic Resonance Imaging)スキャン、EOSスキャン(EOS Imagingフランス、パリ)などである。医用画像は、DICOM(登録商標、Digital Imaging and communications in Medicine)、又は他の任意のデジタルフォーマットでも良い。全ての画像は単一の様式の画像でも良く、又は、一部の画像は異なる様式の画像でも良い。
【0044】
機能的な医用画像は、空間変換によって関連付けられる。2の画像間の空間変換は、関心のある筋骨格領域に対する画像基準フレームの姿勢の相対的な変化である。例えば、ある組織の純粋なAPビューの画像基準フレームと、同一の組織の純粋な側面ビューの画像基準フレームとは、各画像間の患者の長手方向を中心に90°の回転した場合の空間変換を意味する。画像の様式、撮像装置および画像プロトコルを含む画像取得の方法は、空間変換に影響する。例えば、いくつかの撮像装置は、同時にかつ垂直方向に撮像する能力を提供する。この場合、空間変換は、撮像装置に基づいて定義されても良い。視差または他のタイプの歪みは、特定の画像の様式に固有で発生する。それぞれの空間変換は、そのような歪みの影響を考慮できる。
【0045】
人工股関節全置換術(以下「THA」と略す)では、患者の機能的な筋骨格運動が、寛骨臼カップインプラント(the acetabular cup implant)の理想的な配列(調節)に影響を及ぼす可能性がある。特に、機能肢位間の矢状骨盤運動(またはその欠如)は、衝突(impingement)および/または脱臼の危険性を最小限にするために、寛骨臼カップをどのような向きにすべきかに影響を与える可能性がある。矢状方向面における骨盤の位置の変化は、異なる機能肢位(例えば、立位と座位)における2の側面のX線画像間の骨盤の向きの違いを定義することで測定できる。矢状方向面における骨盤位の変化は、骨盤傾斜の変化とも呼ばれる。通常の診断および計画の一部のTHAでは、関心のある筋骨格領域(即ち骨盤および大腿骨近位部)の立位側面X線画像が用いられることがある。骨盤の他の機能的な画像も、放射線技師によって実行される定義されたX線プロトコルを介して得られる。このようなプロトコルでは、患者は、X線カセット(the x-ray cassette)と正確に位置合わせされ、罹患した股関節がカセットに近接し、且つ中心に位置することが要求される。固定された焦点距離のようなX線パラメータは、結果として得られるデジタル医用画像(例えば、Digital Imaging and Communications in Medicine:DICOM(登録商標:米国電気工業会の登録商標)フォーマット)に記録または注釈を付けることができる。骨盤および大腿骨近位部(および必要に応じて腰椎)を含め、関心のある筋骨格領域全体を画像化するために、標準フォーマットのX線画像が使用される。
【0046】
THAでは、術前の計画とテンプレート化および術後のインプラント位置確認のためにAP骨盤ビューが標準とされる。例えば、コンピュータ実装方法を用いて、患者のAP骨盤および2の機能的な画像(THAの前後による)を取得できる。機能的な画像は、患者の骨盤部の立位側面ビュー及び座位側面ビューとすることができる。画像は表示用に提供される。AP骨盤は、立位AP骨盤でも良い。
【0047】
画像取得時に、各画像間の空間変換が一部設定される場合がある。例えば、各X線画像において、カセットは、重力の方向(即ち、結果として生じる医用画像のy軸が重力の方向と平行である)に整列されても良い。画像取得時に空間変換の一部分を設定することで、全空間変換を判定するのに要求されるステップを少なくすることができる。
【0048】
図3には、X線画像で示される解剖学的構造上の位置に関連する画面上の位置から座標を定義するために入力を受けるように構成されたグラフィカルユーザインターフェース(以下「GUI」と略す)300の一部が図示されている。立位APのX線画像302上の座標は、少なくとも一つの参照軸に設定するために定義されても良い。図3では、両側坐骨結節の最も下面の座標をユーザが識別し、コンピュータが受信できる(例えば、ユーザがマウス又はタッチスクリーンを用いて、ポイント304Aおよびポイント304Bの両方をクリックする)。この場合、参照軸306は、(GUIにラベル付けされる必要はないが)「外転角基準」と表記される。これはX線画像のカップの傾きがこの軸に対して測定されるからである。他の目標(landmarks)は、本参照軸または他の任意の参照軸を定義するために使用することができ、参照軸はインプラント308の位置を記述するための関連の軸である。
【0049】
立位側面X線画像上の座標は、少なくとも1の参照軸を設定するために定義される。図4には、X線画像402(立位側面X線画像)に示される解剖学的構造上の位置に関連する画面上の位置から、座標を定義するために入力を受けるように構成されたGUI400の一部が図示されている。図4では、前骨盤面(anterior pelvic plane:以下「APP」と略す)(即ち、上前腸骨棘(Anterior superior iliac spine:以下「ASIS」と略す)および恥骨結合)の座標がユーザによって識別され、コンピュータによって受信される(例えば、ユーザがマウス又はタッチスクリーンを用いて404A及び404Bの両方をクリックする)。任意に、参照軸406と医用画像のy軸408(破線として示される)との間の角度410を計算して表示できる。この場合、参照軸は「前傾角基準」と表記される。これはカップの前傾角は、カップの面がこの軸に対して垂直である場合、ゼロであるためである。APPは、一般的に使用される解剖学的な基準面であり、骨盤の基準面を表す。他の目標は、本参照軸または他の任意の参照軸を定義するために使用することができ、参照軸はインプラントの位置を記述するための関連の軸である。
【0050】
立位骨盤基準線の位置を確立するために、筋骨格構造に関連する立位側面X線画像上の座標(即ち、骨盤)を定義できる。図5には、図4のX線画像402に示される解剖学的構造上の位置(図4のような立位側面X線画像)に関連する画面上の位置から、座標を定義する入力を受けるように構成されたGUI400の一部が図示されている。図5では、X線画像が拡大(ズームイン)されている。図5における大腿骨頭502Aの中心および仙骨終板502Bの中間点は、立位骨盤基準線位置を確立する。立位側面X線画像の同じ目標に対応する座位側面X線画像上の座標を定義し、座位骨盤位を定義する。
【0051】
図6には、X線画像602(座位側面X線画像)に示される解剖学的構造上の位置に関連する画面上の位置から、座標を定義するために入力を受けるように構成されたGUI600の一部が図示されている。図6において大腿骨頭602Aの中心および仙骨終板602Bの中間点が再度定義される。コンピューティングユニットは、立位画像と側面画像の座標に基づいて骨盤傾斜角度の変化を計算する。この角度は、図6におけるΔPT604のように表示できる。
【0052】
GUIは、異なるビューからの同じ解剖学的構造の2以上のX線画像を同時に表示する表示装置を介して提供される。GUIは、X線画像のそれぞれに対する(例えば、オーバー)座標を定義するための入力を受信するように構成される。
【0053】
図7,8は、GUIの他の特徴の中でも、解剖学上の位置に関連する画面上の位置から座標を定義するために入力を受けるようにGUIが構成されている、同一の解剖学的構造の複数の画像(例えば、X線画像、MRI、EOSまたは他の画像の様式)を同時に示すGUIを示す。
【0054】
より具体的には、図7は、3つのX線画像302,402及び602を同時に提示するためのGUI700を示し、それぞれが、立位APビュー、立位側面ビュー及び座位側面ビューを含む。GUI700には、コントロール702を上端に沿って表示される。例えば、拡大縮小、コントラスト及び輝度等の表示特性の調整、ディスプレイ内の画像の調整またはスクロール、様々な座標の入力、左右の股関節(解剖学的構造)の選択、X線画像および手術の定義設定の選択を行う。
【0055】
コンピューティングユニットは、3つの画像の間の空間変換を定義する。画像取得方法によってが空間変換についての既知の情報が提供される場合には、この既知の情報が計算に使用されることがある。既知の情報の例としては、以下のいずれかの組み合わせが挙げられる。
・APビューは、側面ビューに対して垂直
・APビュー又は側面ビューは、冠状面および/または矢状面の解剖学的基準面に合わせる
・重力の方向は、結果画像のy軸上に投影される
・撮像装置の投影および/または歪みモデル
【0056】
空間変換の計算には、複数の画像の対応する共通の特徴が特定され、解決アルゴリズムに提供される画像位置合わせの技術を利用することができ、ここで、解決アルゴリズムは、3Dにおける回転および平行移動に基づいて空間変換を決定する。例えば、AP画像と側面骨盤X線画像との間の空間変換は、それぞれの画像(1つのASIS、恥骨、仙骨の下点等)上で少なくとも3対の対応する目標を定義することで計算できる。座標フレームは、各画像の目標に基づいて生成されることがあり、2つの座標フレーム間の変換は、両方の画像間の空間変換として計算されることがある。別の例では、2つの画像に共通するベクトルを、空間変換の計算に使用できる。
【0057】
計算空間の変換は、本明細書に記載されたいずれかの方法の組合せを含み得る。
【0058】
画像位置合わせは、関心のある解剖学的構造(例えば、骨盤)に関する3D情報を利用することがある。解剖学的構造に関する3D情報は、患者スキャン(例えば、CTスキャンに由来する分割骨盤)に基づいても良い。3D情報は、一般的な患者のテンプレートに基づいても良く、必要に応じて、身長、体重、骨密度、性別、人種等の患者のパラメータに応じて修正される。3D情報は、2の画像間の空間変換を定義する最適化の計算における制約条件として使用され得る。
【0059】
コンピューティングユニットは、インプラントの3Dモデル(例えば、寛骨臼カップ)に取得できる。インプラントモデルは、一般的なもの(例えば、寛骨臼カップを表す半球)でも良いし、市販の寛骨臼カップインプラントであって特定のデザインのもの(例えば、冠動脈疾患に基づくもの)でも良い。3Dモデルは、図7に示すように、3の画像のそれぞれにレンダリングされて表示される。インプラントは、各画像の筋骨格構造(骨盤等)に対する一貫した3D位置に基づき参照軸および/または空間変換および/または機能肢位の変化に応じて、各画像ごとにレンダリングされる。3Dモデルは、初めにレンダリングされ、最初の位置または初期設定の位置に表示される。THAについては、臨床的に認められているセーフゾーン(safe zone:SZ)の中心である傾斜40°、前傾15°(図7の704,706)のカップが、初期設定となることがある(Lewinnek et al.全股関節置換術後の脱臼、The Journal of Joint and Bone Surgery(JBJ)1978; Kanawadeら。JBJS 2014; Bucklandら、立位から座位への姿勢移動に伴う寛骨臼コンポーネント角変化の予測可能性脊柱変形矯正による寛骨臼前傾の変化:股関節・脊椎外科医間のギャップの橋渡し、JBJS 2015を参照のこと)。
【0060】
あるいは、カップの角度の初期設定は、衝突および/または脱臼の危険性を最小限に抑える(または機能的な患者運動を介して関節の安定性を最大限にする)ための計算の結果から求めることができる。例えば、衝突および/または脱臼の危険性を最小限にするための計算は、機能肢位データの変化(即ち骨盤傾斜角度の変化)を取得することができ、任意に、所望の股関節可動域等の他のデータを取得し、そして、初期設定として使用するカップ角度を計算できる。計算は、コンピュータ・シミュレーション又は脱臼及び/又は衝突のリスクと機能的カップ位置の変化とを相関させる臨床研究に基づくルックアップテーブルを含むことができる。既知のセーフゾーン内でカップの位置を移動させることにより、カップの初期位置を選択できる。カップの位置は、1又は複数の患者の特異的な属性に基づいてセーフゾーン内に移動させることができる。この移動はタイルと前傾の相関に基づいている可能性がある。図24~26、27A及び27Bを参照して後述するように、セーフゾーンの可視化(または複数)は、3の画像のうちの1以上に関するセーフゾーン(または複数のセーフゾーン)の位置を視覚的に示すようにレンダリングされ、表示され得る。代わりに、または追加的に、患者の性別、身長、体重、ボディマスインデックス、またはそれ以上に基づいて配列できる。
【0061】
コンピューティングユニットは、カップの位置に対するリアルタイムの変化(即ち初期設定位置からの変化)に応答する。例えば、ユーザは、その位置を変更するために、3Dインプラントのレンダリングに関連する1又は複数のハンドル(コンピューティングユニットのためのマウス、トラックパッド、タッチスクリーン又は他の入力装置を用いて)をドラッグすることができる。別の方法では、測定値に対する制御は、測定値(前傾および傾斜)を変更するための入力(例えば、数値入力)を受信し、GUIにそのような測定値でカップインプラントを位置決めするよう指示できる。
【0062】
図8には、図7の位置に対して位置が変化したカップインプラント308を示すGUI700が図示される。X線画像の1つに関する制御を使用してカップインプラント308の位置を変更すると、筋骨格構造に対して一貫した3D位置を維持するために、全てのビューにおいて自動的に更新される。寛骨臼カップの位置の変化には、傾斜角と前傾角が含まれる。位置の変化は、任意に、並進位置および/またはレンダリングされたインプラントの大きさを含むことができる。あるいは、大きさ及び並進位置は、3の画像のそれぞれに対して独立に調整できる。インプラントの位置に加えられた変更は、ユーザが遅延に対して不満を抱く及び/又は混乱することがないように、リアルタイムでユーザの入力に応答することが好ましい。
【0063】
図7,8には、「外転角」および「前傾角」と表示されたフィールドがあり、これは、レンダリングされたインプラントの位置をユーザが修正することに応じて更新され、及び/又はユーザが特定のカップ角度を入力することで修正することが可能であり、レンダリングはそれに応じて更新される。
【0064】
図7,8において、コントロール702は、カップ角度のX線画像と手術画像とを切り替えるためのラジオボタン800を有する。コンピュータ実装方法は、それぞれのカップ角度の定義(数学的用語では、これは、所与の3D回転を記述するために異なるオイラー角度のセットを使用することに相当する)に従って、傾斜および前傾の測定値を計算し、表示する。
【0065】
直交性の観点からの2の立位X線画像の使用が記載されており、空間変換を定義する過程を単純化するのに有利である(図7,8においては直交性であり、解剖学的構造に関して共通の重力ベクトル(両画像の垂直方向のマージンと平行)を有するため)。重力のような共通のベクトルを共有することなく、異なるビューからの2のX線画像を使用しても良い。例えば、前立腺肥大症では、患者を仰臥位にして前後軸方向の骨盤X線撮影を行うことが多い。同様に、CTスキャンは、典型的には、画像収集中に患者を仰臥位にする。異なるビューの画像間の空間変換は、共通の重力方向に依存することなく(即ち、前述のように、画像位置合わせの技術が空間変換を定義するために用いられる)、計算されても良い。コンピュータ実装方法は、空間変換を計算するための代替方法を提供することができ、一方の代替方法は、共通のベクトル(例えば、重力)を共有する2つの異なるビューに依存し、他方の代替方法は、画像位置合わせを介した解剖学的目標のマッチングに依存しない。コンピュータ実装方法は、与えられた画像の集合に対して使用する2の代替方法のうちのどちらを示すためにユーザ入力を受信できる。
【0066】
3以上の画像の使用が考えられる。機能的な運動に関連した2以上の画像が使用されることがある。例えば、骨盤の座位および立位側面画像に加えて、屈曲座位ビュー及び/又はステップアップビュー(患者が「ステップアップ(踏み上げる)」ように対側下肢を挙上する)を提供できる。コンピュータ実装方法は、追加の機能的ビューを受信し、機能肢位パラメータの変化(例えば、骨盤傾斜の変化)を計算し、それぞれの空間的な関係を計算し、そして各ビュー上にそれに応じて3Dインプラントを表示する。また、非機能的ビューの追加の使用も考えられる。例えば、仰臥位AP股関節X線画像は臨床現場で一般的に使用されている。このビューと他のビューとの間の空間変換が計算され、3Dインプラントは空間変換に基づいてこの画像に描画される。別の実施形態では、機能的な画像とCTスキャンとの間の空間変換は、仰臥位冠状面、仰臥位横断および仰臥位矢状断像上での3Dインプラントのオーバーレイを可能にする。
【0067】
本明細書に記載されるコンピュータ実装方法は、特定の外科のインプラントに対応する任意の3Dインプラントモデルを利用することができる。例えば、THAでは、寛骨臼カップ3Dインプラントモデルの代わりに、又はそれに加えて、大腿骨プロテーゼの3Dインプラントモデル(一般的なモデル又は製造業者による特定のモデルのいずれか)を使用できる。大腿義足の場合、このインプラントに関連する筋骨格構造は大腿骨であり、大腿骨に関連する参照軸は、それぞれの医用画像で定義できる。その結果、X線画像(例えば、前方骨盤、立位側面X線画像および座位側面X線画像)上に大腿骨ステム及び寛骨臼カップインプラントの両方のレンダリングを設けることができる。大腿骨ステムのバージョンは、THA中に外科医によって制御可能であるため、重要な臨床パラメータである(一方、大腿骨ステムの屈曲および/または内反角度は、一般的に解剖学的構造によって実施される)。大腿骨ステムのバージョンは、大腿骨ステムの位置を表すパラメータ(寛骨臼カップインプラントの傾斜および前傾に類似)である場合がある。大腿骨ステムの位置は、3Dレンダリングに関連するハンドルをクリックすること及び/又は大腿骨ステム位置のためのフィールドに数値を手動で入力することによって、リアルタイムに更新できる。前述の寛骨臼インプラント位置と同様に、大腿骨に対する一貫した3D位置に基づいて、大腿骨ステムレンダリングの位置が各画像上でリアルタイムに更新される場合がある。
【0068】
THAでは、インプラントサイズを予測し、人工器官の予想される位置を定義するために、デジタルテンプレート化(インプラントサイズ決定と呼ばれる)が一般的に行われている。デジタルテンプレート化は、典型的にはAP骨盤またはAP股関節X線画像上で行われる。本明細書におけるコンピュータ実装方法は、外科医が手術前計画を実行するための単一のソフトウェアインターフェースを有するように、テンプレートモジュールを実装できる。あるいは、コンピュータ実装方法は、画像上でインプラントがどのように、またはどこにレンダリングされるかに影響を及ぼすために、テンプレート情報を受信できる。例えば、テンプレート情報は、インプラントサイズ、インプラント作製/モデル、画像のスケーリング因子、インプラントの並進位置を含むことができる。それぞれの画像上で3Dインプラントをレンダリングする場合、テンプレート情報との整合性を得るためにレンダリングされることがある(例えば、テンプレートとしての寛骨臼の人工器官の中心と大きさは、3Dモデルのレンダリングが画像内の同じ位置を中心とし、同じ大きさになるようにする)。
【0069】
本明細書のコンピュータ実装方法は、手術前計画、手術後の検証またはその両方に使用できる。術前および術後の両方の画像が使用される場合、術前および術後の基準軸の変化および傾斜パラメータの変化を計算し、ユーザに提示するために提供できる(例えば、外科的処置の結果として機能的な動きの間の骨盤傾斜の変化がどのように変化したかを定量化するため)。
【0070】
コンピュータ実装方法は、コンピューティング装置(時にはコンピューティングユニットとして参照される)を使用して実施できる。代表的ではあるが限定されない例としては、ノートパソコン、PC、ワークステーション、サーバー、タブレット及びスマートフォンが挙げられる。
【0071】
図9は、本明細書の1又は複数の態様に従って、例えば本明細書に記載される方法の態様のいずれかを実施するコンピューティング装置を提供するための、本実施形態におけるコンピューティング装置(例えば900)のブロック図である。コンピューティング装置900は、1又は複数の処理装置902、1又は複数の入力装置904、表示装置906、1又は複数の通信ユニット908及び1又は複数の出力装置910を含む。コンピューティング装置900はまた、医用画像モジュール914、インプラントモデルモジュール916、表示モジュール218及び通信モジュール920等の1以上のモジュール(例えば、ソフトウェア等)を保存する1又は複数の記憶装置912を含む。通信チャネル(例えば、922)は、通信的、物理的及び/又は動作的にかかわらず、構成要素間通信のために構成要素902~920のそれぞれを結合できる。いくつかの例では、通信チャネル922は、システム・バス、ネットワーク接続、プロセス間通信データ構造、またはデータを通信する他の任意の方法を含むことができる。
【0072】
1以上の処理装置902は、コンピューティング装置900内で機能を実装し、及び/又は命令を実行できる。例えば、処理装置902は、図2に示すモジュールの機能を実行するために、記憶装置912から命令および/またはデータを受信するように構成しても良く、とりわけ、(例えば、オペレーティングシステム、他のアプリケーション等の)コンピューティング装置900は、データ/情報を記憶装置912に格納しても良い)。コンピューティング装置900は、それらがコンピューティング装置900から近接して位置するか遠隔に位置するかにかかわらず、外部貯蔵装置(図示せず)に連結できる。例えば、遠隔記憶装置(図示せず)は、患者の画像を受信するために、装置または他のコンピューティング装置を介してアクセス可能であり得る。画像は、記憶装置912内または術前計画中または術後の再検討の間の使用のためのような外部装置内で、局所的にコピーされ、保存され得る。
【0073】
1又は複数の通信ユニット908は、1以上のネットワーク上でネットワーク信号を送信および/または受信することによって、1以上のネットワーク(図示せず)を介して、サーバ(図示せず)等の外部装置と通信できる。通信ユニットは、無線通信および/または有線通信のための様々なアンテナ及び/又はネットワークインターフェースカード等を含むことができる。
【0074】
入力および出力装置は、1又は複数のボタン、スイッチ、ポインティング装置、カメラ、キーボード、マイクロホン、1又は複数のセンサ(例えば、バイオメトリクス等)、スピーカー、ベル、1又は複数のライト等のいずれかを含むことができる。ユニバーサル・シリアル・バス又は他の通信チャネル(例えば922)を介して、1又は複数の同じものを結合できる。本実施形態では、コンピューティング装置900は、表示装置906を含む。他の例では、コンピューティング装置は外部表示装置(図示せず)に結合される。もちろん、装置900は、表示装置906を有していても良く、また、外部表示装置に結合されても良い。表示装置は、タッチスクリーン等を介してコンピューティング装置900に入力を提供するように構成しても良い。
【0075】
1又は複数の記憶装置912は、コンピューティング装置900の作動中に処理するための指示および/またはデータを保存できる。1又は複数の記憶装置は、例えば短期記憶または長期記憶として、異なる形態および/または構成とすることができる。記憶装置912は、揮発性記憶としての情報の短期保存のために構成しても良く、これは、電源がオフされたときに、保存された内容物を保持しない。揮発性記憶の例としては、ランダムアクセスメモリ(RAM)、ダイナミックRAM(DRAM)、スタティックRAM(SRAM)等がある。一部の例では、記憶装置912はまた、例えば、揮発性記憶よりも大量の情報を保存するため、及び/又は電源が抜けたときに情報を保持するために、そのような情報を長期間保存するために、1又は複数のコンピュータ読み取り可能な保存媒体を含む。非揮発性記憶例には、磁気硬質ディスク、光学ディスク、フロッピーディスク、フラッシュメモリ、又はEPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)またはEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)が含まれる。
【0076】
医用画像モジュール914は、本明細書に記載されているように、様々な形態の医用画像を受信し、それと連携するように構成しても良い。例えば、様々な軸および変換などを決定し、そこからの画像データを表示モジュール918を介して表示するように準備するように構成できる。インプラントモデルモジュール916は、インプラントモデルデータを受信し、それと協働して、本明細書に記載されるように、入力装置の1又は複数からの入力を介してレンダリング及びレンダリングの移動または操作を可能にするように構成しても良い。表示モジュール918は、モジュール914及び916からの画像を表示できる。操作は、1つのモジュールが別のモジュールの機能性を補助できるように、図9のモジュール914~920内に正確に収まらない可能性があることは理解される。追加のモジュールを記憶できる(図示せず)。
【0077】
図10は、コンピューティング装置900によって実行されるコンピュータ実装方法の演算(operations)1000を示すフローチャートである。1002の操作(operations)では、例えば、立位AP画像、立位側面画像、および患者の筋骨格構造の座位側面画像などの解剖学的構造を示す複数の画像を取得し、表示する。1004の操作では、様々な観点(例えば、それぞれ立位AP画像と立位側面画像)から2つのX線画像上のそれぞれの座標軸を入力として受信し、それぞれの座標軸に基づいて、それぞれのX線画像上の筋骨格構造の参照軸(例えば、立位AP画像と立位側面画像)を定義する。
【0078】
1006の操作では、それぞれの座標の傾き(例えば、立位側面画像と座位側面画像上のそれぞれの)を入力として受信し、それぞれの座標の傾きに基づいて筋骨格構造の傾斜パラメータ(立位AP画像と立位側面画像の間)の変化を決定する。
【0079】
1008の操作では、X線画像のペア間(例えば、異なるビューの画像のペアと同じ視点ではあるが、解剖学的構造の異なる位置を示す画像のペア間)の関連するそれぞれの空間変換を決定する。例えば、手術は、立位AP画像と立位側面画像との間の空間変換および立位側面画像と座位側面画像との間の空間変換を定義できる。
【0080】
演算は、参照軸、空間変換と傾斜パラメータの変化を用いて、それぞれのX線画像に対して3Dインプラントをレンダリングし、オーバーレイする。例えば、1010の操作において、立位AP画像および立位側面画像のための3Dインプラントを、参照軸および立位AP画像と立位側面画像の間の空間変換に基づいて、参照軸に対して第1の位置にレンダリングし、オーバーレイする。1012の操作で、傾斜パラメータの変化および立位側面画像と座位側面画像との間の空間変換に基づいて、座位側面画像の第1の位置に3Dインプラントをレンダリングし、オーバーレイする。
【0081】
演算は、インプラントを第2の位置に移動させ、例えばリアルタイムのように、X線画像のそれぞれにおけるインプラントの第2の位置へのレンダリングおよびオーバーレイを更新するための入力を受けることができる。1014の操作は、3Dインプラントの第2の位置を表す入力を受信し、1016の操作において、第2の位置内の3Dインプラントを、それぞれの空間変換および傾斜パラメータの変化を用いてレンダリングおよびオーバーレイし、立位AP画像、立位側面画像および座位側面画像のそれぞれをリアルタイムで更新する。
【0082】
画像は、以下の様式:X線画像、CT、MRI、EOSのいずれからでも良いことが理解される。コンピュータ実装方法は、傾斜パラメータの変化(および参照軸または他の測定のいずれか)を表示できる。空間変換の決定は、少なくとも部分的には受信した座標に基づいた計算の実行、受信した画像間の対応する共通特徴に基づいた計算の実行および既知の画像から収集した空間情報に基づいた計算の実行の1又は複数を含むことができる。
【0083】
図11は、コンピューティング装置900のようなコンピューティング装置で実行される演算1100のフローチャートである。1102の操作では、患者の筋骨格構造の少なくとも3の画像を取得し、表示する。ここでは、1対の画像は第1の位置の異なるビューであり、別の1対の画像は異なる機能肢位での同じビューである。1104の操作では、ユーザの入力に基づいて、少なくとも2の画像上の筋骨格構造の参照軸を定義する。1106の操作では、機能肢位間の患者の位置変化を表す位置変化パラメータである、異なった機能肢位における共通のビューの2の画像に基づいて、筋骨格構造の位置変化パラメータを定義する。1108の操作では、画像間の空間変換を定義する。1110の操作では、参照軸に対して、およびそれぞれの空間変換に応じて、それぞれの画像上の第1の位置に、各画像の3Dインプラントをレンダリング及びオーバーレイする。1112の操作は、第2の位置を表す入力を受信し、1114の操作では、少なくともほぼリアルタイムに、画像ごとのレンダリング及びオーバーレイを更新する。
【0084】
(位置合わせ画像ビュー)
医用画像の複数の組合せは、コンピューティングシステム内で(即ち、コンピュータ実装方法に従って)位置合わせすることができ、座標系を横切るカップの視覚化の目的のため、及び異なるビューに関連する画像座標系の関係に関する情報を提供できる。これらの医用画像には、立位AP画像、立位側面画像、座位側面画像および仰臥位側面画像が含まれる。
【0085】
(立位APから立位側面へ)
立位AP画像と立位側面画像とは、設計或いは仮定により位置合わせされることがある。コンピュータ実装方法は、両方の画像の垂直軸が平行であり、画像の水平軸が互いに90度オフセットすると仮定する。これは、EOSイメージングシステム(https://www.eos-imaging.com/)で、または、従来のX線画像と画像収集中の念入りな患者の位置決めとで達成される。患者を90°回転させたり、骨盤目標を使用したり、位置決め用のジグ(治具)を使用しても良い。
【0086】
図12A,12Bは、各画像における参照軸を示す2つのビューからの解剖学的構造のEOS画像1200,1202である。両方のEOS画像1200,1202において、垂直軸1204,1206は平行である。AP画像(EOS画像1200)の横軸1208は、側面画像の面に対して垂直であるものとし、側面画像(EOS画像1202)の横軸1210は、AP画像の面に対して垂直であるものとする。
【0087】
(立位側面から座位側面へ)
立位側面と座位画像を位置合わせするために、コンピュータ実装方法は、両方の側面画像の骨盤が画像の基準面内で回転しただけであり、両画像上で同一の骨盤目標を測定することによって測定できると仮定する。使用可能なこのような目標の1つに仙骨傾斜(仙骨上面の角度)がある。
【0088】
図13は、2の画像1301,1302を示すGUI1300の一部である。それぞれの傾きを示す座標をマークする入力が受信されている。2つの画像1300,1302の骨盤の仙骨傾斜を測定するために、丸いハンドルの対の間のより短い直線1304,1306(例えば、1304A,1304B及び1306A,1306B)を使用する。仙骨傾斜角の差は-50度(後方回旋50度)で表示される(1308)。
【0089】
他の目標は、両方の画像で同じ基準線が使用されている限り、使用できる(例えば、股関節中心から手術用ASIS、或いは恥骨からASIS)。
【0090】
(立位APから仰臥位APへ)
2つのAP画像を位置合わせするために、コンピュータ実装方法の演算は、技法およびモデルの使用により、2つのAPX線画像間の骨盤の傾斜の変化を予測するために計算する。それぞれの画像上で、恥骨上端から坐骨横断線までの距離、骨盤出口径(pelvic outlet diameter:POD)など、いくつかの骨性目標が測定される。3Dモデル及び既知の骨盤傾斜を有する合成X線によって、これらの骨盤目標を用いて骨盤傾斜の変化をモデル化した。それと共に、ルックアップテーブル(例:ノモグラム(計算図表))は、母集団のデータを用いて定義した。
【0091】
モデルは1の画像(画像の面に対する骨盤傾斜)について骨盤傾斜を算出する線形モデルであり、骨盤傾斜の違いを計算する。
【数1】
【0092】
ここで、PSTIは恥骨(PUBIS)上端から坐骨横断線(trans ischial line:TI)までの線、PODは骨盤出口径、mとbとはモデルの係数であり、これは性別によって固有である。
【0093】
このモデルを定義する1つの方法は、代表的なサンプルデータセット(例えば、代表的な人口統計学的な特性(性別、人種、年齢、BMI)を有する統計学的に有意な量のX線画像)から、既知の(即ち測定された)モデルへの入力(例えばPSTIとPOD)と既知の(即ち、測定された)モデルからの出力(例えばPT)との両方を収集することである。モデルへの既知の入力および出力の1対のリストを用いることで、任意の線形または非線形の最適化法によって、モデルのパラメータ(例えば、m及びb)を定義することが可能である。ここで説明する例は、2の入力(PSTI及びPOD)と1の出力(PT)を持つ線形モデルだが、入力の数がこれよりも少ない又は多い非線形モデルでも良い。
【0094】
該方法によって、骨盤傾斜(PTD)の差(例えば19°)がGUIを介して表示される。
【0095】
図14には、2の画像1401,1402を示すGUI1400の一部が示されており、両画像上で、恥骨上端から坐骨横断線1406までの線1404の長さが、骨盤出口径(線1408)によって測定およびスケーリングされる。この比率は、骨盤傾斜を測定するために開発されたモデルに組み込まれる。この例は、(GUI要素1410において)前方方向に19°の骨盤傾斜を示す。
【0096】
他の目標を使用しても良い。例えば、"涙滴"(teardrop)線(図14では図示せず)を、坐骨横断線および開発されたモデルの代わりに使用しても良い。
【0097】
図15は、コンピューティング装置900のようなコンピューティング装置で実行される演算1500のフローチャートである。
【0098】
1502の操作では、骨盤を含む患者の筋骨格構造の第1のAP画像および第2のAP画像を取得し、表示する。ここでは、第1の画像と第2の画像は、異なった機能肢位で同じビューである。1504の操作では、入力として第1のAP画像上に指定された目標の座標を受信する。1506の操作では、入力として第2のAP画像上の指定された目標の座標を受信する。1508の操作では、傾斜パラメータへの係数マッピング座標のルックアップテーブルを、実装するコンピュータの機能を用いて第1および第2AP画像から受信した座標に基づいてAP傾斜パラメータの変化を計算する。ここでルックアップテーブルは、代表的な母集団のデータを用いて生成する。1510の操作では、AP傾斜パラメータの変化を用いて、第1のAP画像および第2のAP画像を位置合わせし、GUI内の1番目のAP画像および2番目のAP画像のそれぞれ上の同じ位置に物体をオーバーレイする。AP傾斜パラメータの変化を表示装置に表示する(1512の操作)。
【0099】
コンピュータ実装方法は、更に、3Dインプラント(物体の一例)をレンダリングし、第1のAP画像および第2のAP画像のそれぞれについて、参照軸および傾斜パラメータの変化に基づいて、第1の位置にそれをオーバーレイしても良い。コンピュータ実装方法は、更に、第1の位置(例えば、参照軸に対する角度)を示す数値を表示しても良い。
【0100】
3Dインプラントは寛骨臼カップでも良く、筋骨格構造は患者の骨盤でも良い。数値は、傾斜および前傾でも良く、ここで、傾斜は、内側-外側の参照軸に対して相対的であり、前傾は、それぞれのX線画像の面に対して相対的である。このコンピュータ実装方法では、第1のAP画像は立位AP骨盤のX線画像でも良く、第2のAP画像は仰臥位骨盤のX線画像でも良い。骨盤の指定された目標は、下側両側坐骨結節、恥骨結合、骨盤縁に沿った最外側点である。
【0101】
AP傾斜パラメータの計算は、男性と女性とで異なる母集団のデータに基づいても良く、その場合においては、患者の性別を示す入力を受信しても良い。
【0102】
AP傾斜パラメータに関するコンピュータ実装方法は、本明細書に記載される他のコンピュータ実装方法と併せて実施できる。例えば、一対の画像(例えば、同一位置の異なるビューを含む一対の画像、または異なる機能肢位の同じビューを含む一対の画像)の決定された参照軸を用いて空間変換を決定し、適用可能な場合には、その空間変換を用いて画像上に3Dインプラントをレンダリングして表示するように、コンピュータ実装方法を実施しても良い。
【0103】
(APPに対する機能)
図16A~16Cは、画像1602を示すGUI1600A,1600B及び1600Cの一部の図であり、座標の入力を受信し、それから臨床的に関連のある値を定義する(例えば、計算する)ことを可能にする。図16A~16Cのそれぞれは、立位AP画像(画像1602)を示し、図16Aは、より広い部分を示し、図16B~16Cは、説明を容易にするために、より狭い部分を示す。
【0104】
コンピュータ実装方法に従い、機能肢位(立位冠状)とAPP(一般的に受け入れられている骨盤基準フレーム)との間の位置合わせを計算するために、立位AP画像に水平基準1604A、1604Bおよび1604C(外転角基準)を、立位側面画像に垂直基準(前傾角基準)を測定する(図17参照)。
【0105】
水平基準は、臨床的に許容される目標の任意の数字とすることができる。坐骨間線、涙滴線、閉鎖孔底部の間の線、またはユーザが水平基準(HR)に適していると見なす他の任意の一組の目印とすることができる。異なった水平基準(1604A,1604B及び1604C)の例を図16A~16Cに示し、ここで坐骨横断線を図16A(左)、閉鎖孔底部を図16B(右上)、涙滴線を図16C(右下)に示す。
【0106】
立位側面画像を含む画像1702を示すGUI1700の一部を示す、図17を参照すると、垂直基準1704は、恥骨結合からASIS点までの線である。ASIS点が重なっていない場合、ラインは2つのASIS点を二分できる。図17に示すように、垂直基準線(VR)は恥骨(下の白い円)から示され、2つのASIS点(上の白い円)を二分している。立位冠状面に対する骨盤の測定された傾きは、表示要素1706に示されるように-10.3度(骨盤後傾)である。
【0107】
(位置合わせビュー上のカップ視覚化)
全てのビューが位置合わせされている場合、カップインプラントの視覚的表示は、任意の画像又は全ての画像上で同時に表示することができ、全ての計測基準面で記録される。
【0108】
図18は、他のGUIの類似の機能および特徴を有し、4の画像1802,1804,1806及び1808の全てが存在し、カップオーバーレイ1810(CI)が視覚化される例を含む、GUI1800の一部の説明を示す。この場合、4の画像全てに視覚化されたもの(カップオーバーレイ1810)があり、それらは画像中にカップが存在したかのようにカップの形状を示す。また、立位冠状面(1812A)、仰臥位冠状面基準フレーム(1812B)、ならびにAPP基準フレーム(1812A)を含む、様々な臨床的に関連のある座標系で記録されている測定値1812A及び1812Bもある。
【0109】
これら視覚化されたカップインプラント1810A,1810B,1810C及び1810D、ならびに記録されている角度の測定値1812A,1812Bが連結される。視覚化されたもの(即ち画像1802,1804,1806又は1808のいずれかのカップインプラント1810A,1810B,1810C及び1810Dの1つの位置)のうちのいずれか1つを変更すると、記録された測定値と同様に、他の全ての視覚化されたものが調整される。視覚化されたカップインプラント1810Cが変更されると、視覚化されたカップインプラント1810A,1810B及び1810Dが自動的に変更される。
【0110】
図19は、カップインプラント1810Aを示すGUI1800の拡大された部分を示しており、入力を受信しそれに対する制御を選択または起動し(例えば、GUI1800内のカップインプラントを選択すること)、カップインプラントの位置を変更したものである。コンピュータ実装方法に従って、GUIは、画像ビューのいずれかにおけるカップオーバーレイCIが、それぞれの対象物上のハンドルを用いて調整(移動)できるように構成されている(図19)。ハンドルを1の画像で使用することで、全ての画像のCIがそれに応じて動く。出来る限りリアルタイムに動作させることで、遅延やユーザの不満を避けることができる。カップインプラントは、サイズ(下部のハンドルH1(1902)により)、前傾(中央部のハンドルH2(1904)により)、または傾斜(上部のハンドルH3(1906)により)を調整できる。
【0111】
または、新たな値を測定値テキストボックスに入力して角度を変更することで、画像内のカップオーバーレイを調整(移動)することもできる。CIの位置は、画像の位置合わせを使用して全ての画像で調整される。
【0112】
(異なる基準フレームにおけるカップ角度の複数の表示)
表示される全ての視覚化および測定値(例えば図18)は、骨盤内の所定の方向に配列された単一のカップCIを表し、上述の位置合わせを用いて種々の座標系で表される。
【0113】
傾斜角度および前傾角度の測定値は、トグルスイッチ1814(左下)を使用して、2つの一般的な定義、即ちX線画像および手術画像を用いて記録できる。角度表現を変更しても視覚表現に影響はない。つまり定義を切り替えると、画面に表示される特定の測定値を表すテキストが変更されるが、視覚化は変更されない。(どちらの定義でも)特定の測定値を変更する入力は、医学的に認められた関係に従って視覚化を更新する。
【0114】
異なる画像ペイン1816A,1816B,1816C及び1816Dにおいて、カップは、ユーザがカップを視覚的に位置合わせするのを助けるために、画像ペイン上への投影として視覚化される。ユーザはまた、カップ角度を使用して、適切なカップ位置を決定する。これらの角度は、立位冠状面、仰臥位冠状面、前骨盤面(APP)等の多数の基準フレームに従って計算できる。これらの測定値は、図18の測定値テキストボックスに示されているように、全て同時に表示できる。
【0115】
(前傾横方向)
前傾(AI1820)は、側面画像に投影されたカップの長軸と、その画像の横方向のマージンとの角度である。AI1820の測定は、選択された角度測定値の定義に対して不変であり、現行のカップ(CC)の視覚化された位置を使用してのみ決定される。測定値は、図18に表示要素1822で確認できる。種々の位置における前傾は、脱臼または脊柱の剛性などの種々の臨床的に重要な事項と相関することが示されている。
【0116】
図20は、コンピューティング装置900のようなコンピューティング装置で実行される演算2000のフローチャートである。手術は、3の画像の中の3Dインプラントを同時にレンダリングし、オーバーレイする方法を提供できる。方法は、図15で既に記載したようなAP傾斜の変化を決定した後、または別の方法で実施できる。
【0117】
2002の操作では、患者の筋骨格構造の第1の画像、第2の画像および第3の画像を取得し、表示する。第1の画像と第3の画像は第1の患者の位置における異なるビューであり、第1の画像、第2の画像、第3の画像を合わせて3の画像が定義される。2004の操作では、ユーザの入力に基づいて、3の画像上の筋骨格構造の参照軸を定義する。2006の操作では、参照軸に基づいて、最初の画像と3番目の画像との間の空間変換を決定する。2008の操作では、参照軸に応答する3つの画像のそれぞれに、第1のインプラント位置の3Dインプラントをレンダリングし、オーバーレイする。ここで、第2の画像上へのオーバーレイは、よりAP傾斜の変化に応じたものであり、第3の画像上へのオーバーレイは、より空間変換に応じたものである。
【0118】
演算2000は、3Dインプラントを第2のインプラント位置にオーバーレイする入力を受信することと、AP傾斜および空間変換の変化に応じた3の画像において、それぞれ第2のインプラント位置における3Dインプラントのオーバーレイを更新することとを含むことができる。
【0119】
図21は、コンピューティング装置900のようなコンピューティング装置で実行される演算2100のフローチャートである。かかる演算は、異なる基準面に関連する筋骨格構造の少なくとも3つの画像、例えば、立位冠状面、仰臥位冠状基準面、および前骨盤面を同時に表示する方法を提供できる。
【0120】
2102の操作では、患者の筋骨格構造の少なくとも3の画像を取得し、UIで表示する。筋骨格構造は立位冠状面、仰臥位冠状基準面、および前骨盤面を含む異なる面と関連付けられている。2104の操作では、少なくとも3の画像のペア間のそれぞれの空間変換を生成するために、それぞれの面と、UIを介して受信した入力によって定義された参照軸とに応じた少なくとも3の画像を共に位置合わせする。2106の操作において、3Dインプラントを、少なくとも3の画像上における異なる面の1の面に関連した外転角と前傾角の角度によって定義された第1のインプラント位置にレンダリングし、オーバーレイする。オーバーレイは、参照軸およびそれぞれの空間変換に更に応じたものとなる。2108の操作では、異なった面の他の面に関連した等価な外転角と前傾角の角度を決定する。2110の操作では、外転角と前傾角の角度の基準と等価な外転角と前傾角の角度が同時にリアルタイムでUI内に表示される。
【0121】
コンピュータ実装方法の演算2100は、さらに、UIを介して入力を受けて、異なる基準面の1つに対して外転角と前傾角の角度によって定義される第2のインプラント位置に3Dインプラントを移動させること、第2のインプラント位置に従って少なくとも3の画像に3Dインプラントをレンダリング及びオーバーレイすること、オーバーレイは、参照軸およびそれぞれの空間変換に更に応じたものであること、異なる面の他の面に関連した第2のインプラント位置の外転角と前傾角の角度を決定すること、及びUIにおける第2のインプラント位置の外転角と前傾角の角度の基準と等価な外転角と前傾角の角度を同時にリアルタイムで表示することを含むことができる。
【0122】
図22は、コンピューティング装置900のようなコンピューティング装置で実行される演算2200のフローチャートである。演算2200は、前傾の基準の定義(および任意に表示する)をコンピュータ実装方法を提供する。
【0123】
2202の操作では、患者の筋骨格構造の少なくとも2の画像を取得し、UIで表示する。少なくとも2の画像は、1以上の側面ビューを含む。2204の操作では、少なくとも2の画像のペア間のそれぞれの空間変換を生成するために、それぞれの面と、UIを介して受信した入力によって定義された参照軸とに応じた少なくとも2の画像を共に位置合わせする。2206の操作では、3Dインプラントを少なくとも2の画像上における第1のインプラント位置にレンダリング及びオーバーレイする。そのオーバーレイは参照軸およびそれぞれの空間変換に更に応じたものである。2208の操作では、1又は複数の側面ビューのそれぞれを決定し、3Dインプラントのそれぞれの前傾の基準を表示する。
【0124】
演算2200は、さらに、UIを介して入力を受けて、3Dインプラントを第2のインプラント位置に移動させることと、第2のインプラント位置に従って、3Dインプラントを少なくとも2の画像にレンダリング及びオーバーレイすることと、オーバーレイは参照軸およびそれぞれの空間変換に更に応じたものであることと、第2のインプラント位置のためのそれぞれの前傾の基準による1以上の側面ビューで決定し表示することとを含むことができる。
【0125】
(コンピュータタブレットとの統合)
本明細書のコンピュータ実装方法はいずれも、タブレット上のウェブブラウザを介して動作するように構成できる。タブレットにカメラを使用する等して、必要な画像をタブレットにアップロードできる。それぞれのX線画像を表示画面の画像を撮影し、識別できる。タブレットが完全に位置決めされていることを確認することは困難であるため、図23に示すように、回転および歪みの誤差を補正することが可能である。
【0126】
この補正を達成する1つの方法は、手動選択、自動的な画像処理アルゴリズムによるもの、または両方の組合せによる4の画像の角を識別し、そして、これらの角を正方形(square)にすると共に、画像の端を表示装置の端と平行にするような変換をし、この変換を画像の一部またはすべての点に適用する。通常の技能を有する者は、歪みを取り除くことおよび類似の技術は既知であろう。
【0127】
(セーフゾーンの可視化)
本明細書中で簡単に述べたように、外科医はしばしばカップのいわゆる「セーフゾーン」を参照する。これは、術後脱臼を減少させる要因となりうるカップ角度の領域(3Dスペースを定義する)を指す。セーフゾーンは、一般に、傾斜/前傾対の角度、および許容可能な逸脱の範囲によって記述される。そのようなセーフゾーンの1つは、傾斜/前傾X線画像40/20度および±10度である。種々の開業医等の教示に従い、異なったセーフゾーン及び/又は範囲が提案され得る。
【0128】
コンピュータ実装方法は、1つのセーフゾーンまたは複数のセーフゾーンに対してレンダリングされオーバーレイされた、セーフゾーンの表示要素のような視覚化を提供できる。図24~26は、画像2402,2404及び2406上のセーフゾーンの可視化を示すGUI2400の一部の図である。図26は、画像2402及び2404のみを示す。図24~26では、セーフゾーン2408A,2408B及び2408Cは、表示画面上で色分けされ得る円弧の形態で、カップの位置がこの円弧の内側または外側であることを示す点線(例えば、カップ中心軸(CA)2410A、2410Bおよび2410C)が、カップ面に垂直であるセーフゾーンの表示要素によって視覚化される。なお、図面には色は示されていない。また、点線CP 2412A、2412B及び2412Cは、カップ面を横切るカップ基準面を図示しても良い。図24では、GUI2400は、立位AP/立位側面カップがセーフゾーンにあり、座位側面カップがセーフゾーンの外側にあることを示している。図25では、座位側面カップがセーフゾーンの外側にあるとき、セーフゾーン2408Cを不透明として示す。
【0129】
セーフゾーンの表示要素は、それぞれの画像において異なる表示が可能である。各画像に対して、それぞれのセーフゾーンの表示要素は、それぞれの表示特性を有することがある。これらの特性の少なくとも1つは、(特定のイメージに対して)3Dインプラントが特定のイメージのセーフゾーンにあるかどうかによって選択される。例えば、特性は色である。円弧のカラーは、カップがいつセーフゾーン内にあるかを示すために使用されることがある(例えば、セーフゾーンの内部については緑色、セーフゾーンの外部については赤色)。図24では、座位側面図(画像2406に対する)のセーフゾーンは、色彩で見たときに赤色であり、強調するために点線の白い輪郭で強調されて、カップがセーフゾーン2408Cの外側(なし)であることを示す。セーフゾーンの他の視覚化特性(表示特性)は、セーフゾーンの円弧またはその境界を内側から外側への指示から区別するために、状態の変化(明滅または光の強さ、色の変化)等を使用できる。
【0130】
内部と外部とを区別するために、異なるオーバーレイの形式が用いられることがある。3Dインプラントが内部にある場合は、円弧に対して少なくとも部分的に透明な色を使用し、外部にある場合は不透明を使用する(例えば、図25の座位側面の画像(右端))、または統一した透明度を使用し、透明/不透明のストライプまたは部分を交互に使用する(例えば、警告バー、チェック付きフラグ(図示せず))等、異なるオーバーレイの形式を使用しても良い。
【0131】
代替として、またはこれに加え、可聴信号または触覚フィードバック(例えば、装置振動)が、出力装置を介して提供されても良い。あるいは、または加えて、カップの面に対して視覚化された正常な線を変化させて、カップがセーフゾーンの内側にあるか否かを示すことができる(例えば、色、明滅、ドット対無地(dotted vs. solid)など(図示せず))。
【0132】
コンピュータ実装方法は、少なくとも2の画像のそれぞれについて、参照軸に対して、およびそれぞれの空間変換に従って、少なくとも2の画像のそれぞれについて、3Dインプラントをレンダリングし、オーバーレイすることができ、そして、3の画像のそれぞれについて、3Dインプラントのための臨床的に許容される安全な位置範囲を示すセーフゾーンの表示要素を、レンダリング及びオーバーレイすることができる。
【0133】
セーフゾーンの表示要素は、画像のそれぞれに対する表示要素でも良い。それぞれの表示要素は、複数の画像における特定の画像に対して、それぞれ表示特性を有し、それぞれ表示特性は、3Dインプラントが特定の画像で臨床的に許容される安全な位置範囲の内側または外側に位置するかどうかの決定に基づいて選択される。
【0134】
カップの計画位置が調整されるにつれて(例えば、GUI内のハンドルを使用すること、または測定値の入力フィールドを通して)、セーフゾーン及び/又はカップ軸線CAの色調および/または他の視覚的な特徴が変化し、カップの角度に基づいて提供される他のフィードバック信号が変化することがある。これは、数値や範囲についての考慮ではなく、カップ位置に関してユーザに対して直感的な視覚(および/または聴覚など)フィードバックを与える。したがって、コンピュータ実装方法は、3Dインプラントの第2の位置を表す入力を受信し、レンダリングの第2の位置を表す入力を受信し、それに応じて3Dインプラントを第2の位置に更新するために、レンダリング及びオーバーレイを行い、少なくともほぼリアルタイムで、それぞれ少なくとも2の画像のそれぞれを更新できる。特定の画像について、第2の位置が特定の画像において臨床的に許容されている安全な位置の内側か外側かを定義できる。それに応じてそれぞれの表示特性を選択できる。そして、画像のそれぞれに対してそれぞれの表示要素をレンダリングし、オーバーレイできる。
【0135】
ここでのセーフゾーンは、立位AP画像(左端)上の水平基準(HR)2414線に対して、また骨盤の冠状基準面に対して(立位側面画像の垂直軸(中央)に対する線VR)、図24~26の紫色で示されている。コンピュータ実装方法では、臨床的に許容される安全な位置範囲は、参照軸に対して少なくとも2つの角度と、それぞれの角度に対して関連する位置範囲に従って定義される。
【0136】
セーフゾーンは、球体の3Dの扇形(3D sector)(例えば、傾斜および前傾の角度および範囲に対して定義される)として画像化できる。この扇形は、図27Aに示される長方形のピラミッド形の扇形として定義することができ、ここで、扇形は、球体の水平赤道から、および垂直基準線から、始点および終点の2つのペアの角度で定義される。扇形は円錐形の扇形として定義でき、球体の垂直基準線および水平基準線に対して1対の角度があり、図27Bに示すように、この示された角度のセットから離れた半径方向の距離を有する。
【0137】
その扇形の視覚化は、2Dビューへの投影として、望ましい形式またはフォーマットで描画できる。すでに述べたように、このような3つのビューが図24,25に示され、図26には2つのビューが示される。3Dインプラントがセーフゾーンの内部にあるか外部にあるかに応じて、レンダリング及び表示するためのセーフゾーンの表示要素および/または軸線CAの適切な形式またはフォーマット(表示特性)を決定できる。カップ面に対する正常な軸を表すカップからの点線は、視覚の補助としての各特定の2Dビューにおいて、それぞれの扇形の内部または外部で存在する。コンピュータ実装方法は、臨床的に許容される安全な位置に対して3Dインプラントを視覚化するのを補助するために、3Dインプラントから伸びる軸線をレンダリングし、オーバーレイすることができる。
【0138】
特定のセーフゾーン(即ち、3Dの扇形)は、それぞれの臨床的に重要な研究(例えば、上述のLewinnek et al.;等)によって定義されることもあれば、外科医によって個別に定義されることもある。ボタン又は他のGUIインターフェース(図示せず)は、視覚化のために、または外科医または他の使用者によるゾーンの定義を可能にするために、それぞれの研究によって決定された所望のセーフゾーンの扇形を選択するために提供され得る。あるいは、複数のセーフゾーン(例:2つの臨床的に重要な情報源から得られたセーフゾーンを示す)を可視化することもできる(図示せず)。例えば、2つのゾーンの重なりは、第3の色(例えば、黄色で視覚化された第1のセーフゾーン、青色で視覚化された第2のセーフゾーン、および緑色で視覚化された全ての重なり(例えば、相加的な着色を介して))によって視覚化される。したがって、コンピュータ実装方法において、臨床的に許容される安全な位置範囲は、規定された標準に従って予め定義されるか、または受信した入力に従って選択的に定義される。コンピュータ実装方法は、定義された標準に従って予め定義された、または受信された入力に従って選択的に定義された、臨床的に許容される安全な位置範囲を選択するための入力の受信を含むことができる。
【0139】
図28は、コンピューティング装置900のようなコンピューティング装置で実行される演算2800のフローチャートである。かかる演算は、多数の画像において、インプラントに対するセーフゾーンを視覚化するためのコンピュータ実装方法を提供できる。
【0140】
2802の操作では、患者の筋骨格構造の少なくとも2つの画像を取得し、表示する。ここでは、1対の画像が第1の位置の異なるビューであるか、または異なる機能肢位で同じビューである。2804の操作では、ユーザの入力に基づいて、少なくとも2の画像のうちの1つ上の筋骨格構造の参照軸を定義する。
【0141】
2806の操作で、参照軸に基づいて少なくとも2の画像間の空間変換を決定する。2808の操作において、少なくとも2の画像の一方の対が異なる機能肢位において同じビューである場合、筋骨格構造の位置変化パラメータを定義する。この位置変化パラメータは、異なる機能肢位間の患者の位置変化を表す。2810の操作で、参照軸に対して第1の位置に、空間変換および位置変化パラメータに応じて、それぞれの画像の3Dインプラントをレンダリング及びオーバーレイする。2812の操作で、3の画像のそれぞれについて、レンダリングおよびオーバーレイは、3Dインプラントのための臨床的に許容される安全な位置範囲を示すセーフゾーンの表示要素を示す。
【0142】
コンピュータ実装方法は、特定のセーフゾーンに対して、ボタン又は他のGUIインターフェース(図示せず)を起動して、カップ軸がセーフゾーンの中央にあるようにカップを自動的に位置決めすることができる、2Dビューのそれぞれにおいて、センタリング機能を提供できる。「ベストフィット」となることもある。この問題は、多重ビューにおける結合最小化として記述でき、線形または非線形の最適化を用いて解くことができた。
【0143】
それぞれのセーフゾーンにおいてカップ位置を中心にすることができない(またはその他の方法で位置を決めることができない)場合には、初期設定カップ位置が定義される場所を支配するための固定規則(拘束条件)および/またはユーザが望ましい位置に調節するための制御が設けられることがある。従って、コンピュータ実装方法は、制御インターフェースを介して、入力を受信して、画像のそれぞれに対して臨床的に許容される安全な位置範囲内に3Dインプラントを自動的に位置決めすること、画像のそれぞれにおいて臨床的に許容される安全な位置に応答するセーフゾーン位置に3Dインプラントを位置決めすること、及び画像のそれぞれにおけるセーフゾーン位置に3Dインプラントをレンダリングしてオーバーレイすることを含むことができる。更に、3Dインプラントの位置決めは、画像のそれぞれに対するセーフゾーン位置に最も適合するものを定義することを含むことができる。コンピュータ実装方法は、複数の画像のそれぞれの画像に対して、3Dインプラントのセーフゾーン位置が臨床的に許容される安全な位置の内側か外側かに応じて、セーフゾーンの表示要素のレンダリング及びオーバーレイを更新できる。セーフゾーンの視覚化は、本明細書に記載される他の方法と共に実施できる。
【0144】
従って、以下を含む(安全域の視覚化のための)コンピュータ実装方法が提供される。患者の筋骨格構造の少なくとも2の画像を取得し、表示する。ここでは、1対の画像が異なる位置の異なるビューであるか、または異なる機能肢位の同じビューである。ユーザの入力に基づいて、少なくとも2の画像の少なくとも1の画像上で筋骨格構造の参照軸を定義する。参照軸に基づいて少なくとも2の画像間の空間変換を定義する。少なくとも2の画像の1対が異なる機能肢位で同一のビューである場合、筋骨格構造の位置変化パラメータであって、異なる機能肢位の間の患者の位置変化を表す位置変化パラメータを定義する。参照軸に対する第1の位置および空間変換および位置変化パラメータに応じて、それぞれ画像の3Dインプラントをレンダリングし、オーバーレイする。3の画像のそれぞれに対して、3Dインプラントのための臨床的に許容される安全域を示す表示要素をレンダリングし、オーバーレイする。
【0145】
セーフゾーンの表示要素は、画像のそれぞれに対する、それぞれの表示要素を含むことができ、それぞれの表示要素は、それぞれの表示特性を有し、画像の特定の画像に対して、3Dインプラントが特定の画像において臨床的に許容される安全な位置範囲内または外部に位置するかどうかの決定に基づいて、それぞれの表示特性の少なくとも1つを選択する。それぞれの表示特性は、色、パターン、透明度、形状の輪郭および点滅(強度レベル)および色変化を含む状態の変化を含んでも良い。コンピュータ実装方法は、3Dインプラントの第2の位置を表す入力を受信すること、画像を少なくともほぼリアルタイムでそれぞれ更新するために、第2の位置内の3Dインプラントを描画および重ね合わせること、個々の画像について、第2の位置が特定の画像において臨床的に許容される安全な位置の内側または外側にあるかどうかを定義すること、及びそれぞれの表示特性を適宜選択し、画像のそれぞれに対してそれぞれの表示要素をレンダリングしオーバーレイすることを含むことができる。
【0146】
コンピュータ実装方法は、第2の位置が臨床的に許容される安全な位置範囲外にあるときに、その決定(判断)に応じた聴覚的および/または触覚的なフィードバックを提供することを更に含むことができる。
【0147】
コンピュータ実装方法において、3Dインプラントのレンダリング及びオーバーレイは、3Dインプラントから伸びる軸線のレンダリング及びオーバーレイを含み、臨床的に許容される安全な位置範囲に対する3Dインプラントの視覚化を補助する。
【0148】
コンピュータ実装方法において、臨床的に許容される安全な位置範囲は、参照軸に対して少なくとも2つの角度および少なくとも2つの角度のそれぞれに対して関連する位置範囲に従って定義され得る。3Dインプラントは寛骨臼カップでも良く、少なくとも2つの角度は傾斜角と前傾角度である。
【0149】
コンピュータ実装方法において、臨床的に許容される安全な位置範囲は、定義された標準に従って予め定義されても良く、あるいは受信した入力に従って選択的に定義されても良い。コンピュータ実装方法は、さらに、定義された標準に従って予め定義された位置または受信された入力に従って選択的に定義された位置から臨床的に許容される安全範囲の間を選択するための入力を受信することを含むことができる。
【0150】
コンピュータ実装方法は、制御インターフェースを介して、少なくとも2の画像のそれぞれに対して臨床的に許容される安全な位置範囲内に3Dインプラントを自動的に位置決めする入力を受信すること、少なくとも2の画像のそれぞれにおいて臨床的に許容される安全な位置に応じたセーフゾーン位置に3Dインプラントを位置決めすること、及び少なくとも2の画像のそれぞれにおいてセーフゾーン位置に3Dインプラントをレンダリングしてオーバーレイすることを含むことができる。コンピュータ実装方法において、3Dインプラントの位置決めは、少なくとも2つの画像のそれぞれに対するセーフゾーン位置に最も適合するものを定義することを含むことができる。コンピュータ実装方法は、少なくとも2つの画像のそれぞれに対して、3Dインプラントのセーフゾーン位置が臨床的に許容される安全な位置の内側か外かに応じたセーフゾーン表示要素のレンダリング及びオーバーレイを更新することを含むことができる。
【0151】
コンピュータ実装方法において、少なくとも2の画像は、3の画像でも良く、3の画像のうちの1の組は第1の位置における異なるビューであり、3の画像のうちの他の組は異なる機能肢位の同じビューである。そして、前記の方法は、異なる機能肢位で同じビューを示す他の組に基づいて筋骨格構造の位置変化パラメータを定義することを含み、その位置変化パラメータは異なる機能肢位間の患者の位置変化を表す。そして他の組の間の空間変換を定義することが位置変化パラメータを利用する。
【0152】
コンピュータシステムは、セーフゾーンの視覚化のためのコンピュータ実装方法を実行するように構成しても良く、セーフゾーンの視覚化は、本明細書に記載される他の特徴および機能と組み合わせることができる。
【0153】
(再置換手術(Revision Surgery))
以下の説明は、既存の(第1の)インプラントを、新しい(第2の)インプラントに交換する再置換手術に関するものである。
【0154】
再THA中、外科医はカップを含む既存の股関節インプラントを新しい股関節インプラントに置き換えている。カップが安定している(しかし、磨耗、または誤った位置決めのために交換されている)症例では、カップの向きを既知の解剖学的基準面(例えば、APP、または仰臥位冠状基準面)と比較して測定できる。
【0155】
図29~31は、術後解剖学的構造の画像2902を示すGUI2900の一部の図である。図32は、図31の一部の拡大図である。GUI2900は、他のGUIとして、入力を受信すること、参照軸を定義すること、画像を位置合わせすること、他の測定を定義すること、様々なオーバーレイを示すことなどができるように構成しても良い。GUIは、1以上の画像を表示できる。
【0156】
コンピュータ実装方法によれば、術前計画段階の間に、術前画像(例えば、X線画像または他の様式の画像)がコンピュータによって取得され、図29に示されるように表示装置を介して表示され得る。図29は、X線画像において患者の後方から見た左股関節における現在のカップ(CC)2904を示す。
【0157】
コンピュータ実装方法は、3Dインプラントをレンダリング及びオーバーレイしても良く、そして、定義された解剖学的軸または面(例えば、冠状面、前傾)からの角度(例えば、傾斜および前傾)に関して、3Dインプラントの位置を数値的に表示する。図30は、様々なGUI要素をその上に重ねた立位APのX線画像を含む画像2902を示す。
【0158】
1のオーバーレイは3Dインプラント(第1のカップインプラントCI1 3000)である。画像内の患者の対応するインプラント構造(例えば、立位APのX線画像内の現在のカップCC 2904)と位置合わせされた状態で、3DインプラントCI1 3000をオーバーレイすることによって、軸に対する対応するインプラント構造(現在のカップCC 2904)の位置を、3Dインプラントの位置から定義できる。測定値は、数値表示(ND1 3002)のGUI要素のように表示される。GUIは、3Dインプラント(オーバーレイ)CI1 3000を移動させる3Dインプラントのオーバーレイのためのハンドルを提供し、対応するインプラント構造に合わせるか、またはそれ以外の方法でそれを移動させるように構成しても良い。図30では、カラーで見ると、3DインプラントCI1は青色であり、視覚的位置を示す(X線画像の現在のカップCC 2904上)。ND1 3002における測定値は、3DインプラントCI1 3000の角度(即ち、現在の位置)を示す。カップCC 2904上にオーバーレイすると、これらの数値は、患者中の対応するインプラント構造の測定値を表す。外転角基準3004(IR)(例:画像の軸)が確立され(例:終点を定義するために受信された入力)、表示される場合がある。
【0159】
傾斜および前傾の測定は、1つ以上の方法に従って行うことができる。例えば、コンピュータ実装方法は、ユーザが1つ以上の画像または2つ以上の位置合わせされた画像において、現在のカップCC上に3Dインプラントを手動で適合させるために(例えば、位置および大きさ)、ハンドルを備えた3Dインプラントのオブジェクトを(本明細書の他の箇所に示されるように)、図31に示されるように提供できる。異なるビュー(例:立位APおよび立位側面画像)から同じ機能肢位で作成された位置合わせ画像のうち2つである。表示の拡大縮小、画像の大きさ及び3Dインプラントの大きさの縮小を制御することで、ユーザが3Dインプラントを適合させるために適切な解像度を補助できる。より自動的な様式では、例えば、コンピュータ実装方法は、画像処理を用いて、1の画像または2つ以上の位置合わせされた画像における現在のカップCCの位置を定義することで、3Dインプラントのオブジェクトを現在のカップCCに自動的に適合させることができる。それは、エッジ検出を使用して、傾斜および前傾に関して定義されるカップ面および適用可能な姿勢を決定しても良い。自動的な方法と手動による方法を組み合わせたり、オプションとして提供したりすることがある。3Dインプラントは自動的に適合し、使用者は手動で適合を調整できる。
【0160】
コンピュータ実装方法は、修正ツールを呼び出すための入力を受信すための制御(例えば、ボタン、メニュー項目、音声起動制御)を提供しても良い。GUIは、図31に示されるような、数値表示のための追加の表示要素(例えば、ND2 3100)を表示するように構成しても良い。追加の図形要素は、さらに記述されるような第2の測定セットを示すための第2の数値表示とできる。GUIは、基準カップ位置(スケールの風袋引きと同様)を設定するための入力を受けるために、風袋引きボタン(TB)3102(または他の制御インターフェース)を表示できる。風袋引きボタンが起動(選択)されると、3DインプラントCI1 3000の現在位置(絶対角度40°傾斜および20°前傾)が保存される。視覚的には、3Dインプラントを表す更なる表示要素(例えば、第2の3DインプラントのオーバーレイCI2 3104)が、基準カップ位置に表示され、維持され得る。色で表示すると、CI2 3104が栗色(えび茶色)で表示されることがある。図示しないが、CI2 3104の表示をオンまたはオフにするための制御を提供できる。CI2は、色、線種、形状または他の外観の特性の違いにより、GUIにおけるCI1と区別され得る。
【0161】
第1の3DインプラントのオーバーレイCI1 3000の位置は、1つ以上のハンドル(H1 3108A,H2 3108B及びH3 3108C)を介して、または数値表示ND1 3002への入力を介して等により、第2の位置に移動されて、角度の一方または両方を調整できる。角度を調整する入力(基準データ)は、入力に応じて、患者イメージ2902上のディスプレイ内のCI1 3000の位置を更新するためにGUIを起動することがある(第2の位置内にそれをレンダリング及びオーバーレイするため)。数値表示への入力は、特定の角度の値(例えば、22)または現在の数を上げるか下げるための制御入力(例えば、それぞれのプラス/マイナスまたは他の制御(図示せず)を介して1°を加えるか、または差し引くこと)を受信することを含むことができる。コンピュータ実装方法は、リアルタイムのような3Dインプラントの動き(例えば、ハンドルを介して)に応じて、現在の位置の表示(例えば、ND1 3002における)を更新できる。
【0162】
図31は、カップ傾斜が18度減少し、カップ前傾が7度増加した第2の位置のCI1 3000を示す。数値表示ND1 3002及びND2 3100は、CI1 3000の絶対角度基準値(ND1 3000)と、風袋引きボタンTBを用いて、以前に保存した基準カップ位置に対するCI1 3000のそのような測定値の変化またはデルタ測定値を提示することがある。従って、コンピュータ実装方法は、参照位置と第2の位置との間の差異を含むデルタ測定値を決定し、記憶し、このデルタ測定値を表示できる。
【0163】
図31に示すように、GUI2900は、2つのオーバーレイ(参照位置(栗色)のCI2 3104対第2の位置(シアン)のCI1 3000)を示すことによってカップ位置の変化の視覚的表示と、関連する座標系のカップ方向の番号の両方を提供する。
【0164】
現在では、再置換手術(コンピュータ実装方法により提供される)のための計画セッションの出力は、カップ位置の絶対的な標的ではなく「デルタ」標的(target)となっている。このようなデータは、メモリ(又は他の記憶装置)に保存され、かつ/又は他のコンピューティング装置等に通信されて、術中手術ナビゲーション又は位置確認システムを含む手術手順中に使用される。一例において、データは、マトリックスバーコード(例えばQRコード(登録商標))のように符号化され、表示装置またはプリントアウトを介してそのように通信される。
【0165】
この標的は、解剖学的参照軸のために使用される関連する解剖学的目標(例えば、冠状基準面、APP等)を測定する能力を有し、かつこの位置合わせに対する既存のインプラントの位置を、測定する能力を有する術中手術ナビゲーションシステムに伝達できる。手術ナビゲーションシステムの参照軸が計画ソフトウェアの参照軸と同じであり、測定の対象(即ち、患者)が同じである場合、通信されたターゲットは、手術ナビゲーションシステムによって受信されることができ、手術中測定と併せて、軟組織、誤探査、不正確な患者位置決めなどの要因から生じる可能性がある不一致など、参照軸の不一致による誤差を最小限に抑える手術中ターゲットを提供できる。
【0166】
それぞれの術中手術ナビゲーション又は位置確認システムと手術を補助する方法およびそれぞれの手術計画コンピュータシステムと方法における絶対的な測定が、それぞれの座標系に対して行われるので、そのような座標系は、関連する絶対的な測定のために整列されなければならない。しかし、絶対的な測定値の変化(即ち、計画と術中手術システムの両方における「デルタ」測定)を決定し利用することによって、2つの座標系の違いは打ち消される。計画システム及び方法におけるデルタ測定値と術中システムおよび術式における「デルタ」測定値との関係は、それぞれのアプリケーションの座標システム間の不一致の影響を受けにくい。
【0167】
「デルタ」標的は、解剖学的に関連した座標系、例えば、立位冠状面に対するX線画像の傾き/前傾の中で伝達されると上述されている。絶対的な測定の代わりに「デルタ」に依存することにより、計画ソフトウェアと手術ナビゲーションソフトウェアとの間の参照軸における小さな不一致は、最終的なインプラント位置決めに最小限の影響しか与えない。代わりに、標的は、既存のインプラント自体に対して参照座標系の中で表され、伝達され得るか、またはインプラントと解剖学的測定の組合せに対して表され得る。これは、インプラントが解剖学的目標よりも両方のソフトウェア/システムにおいてより正確に測定されるため、それぞれの計画ソフトウェアとナビゲーションソフトウェアにおける参照軸間のいかなる不一致も減少させることができる。
【0168】
1つの例では、寛骨臼インプラントの「デルタ」標的(半球として表される)を、2つの角度変化で表すことができる:即ち、既存のカップ正常ベクトルと標的カップ正常ベクトルとの間の角度を表すθ角度、および患者の横軸(TA)に対するこの変化の回転を表すファイ(φ)角度である。正常なベクトルは、それぞれのインプラントの顔面に対して相対的である。図32Aは、既存のインプラント及び計画されたインプラントのカップ半球3200及び3202をそれぞれ表している。図32Aでは、既存のインプラントは、半球EI 3200(カップ面の外縁に破線を有する)として、正常線EINL 3206(破線で示す)で表され、計画されたインプラント3202は、正常線PINL 3208で半球PI 3202として表される。図32Aは、シータ(θ)が、計画されたインプラントPINL 3208の正常値と既存のカップEINL 3206の正常値との間の絶対角度である方法を示す。
【0169】
図32Bは、既存のカップ面(既存のカップ法線ベクトルEINL 3206がリーダに向いている)に垂直な位置からの半球3200および3204と同じカップを示し、ファイ(φ)は、両方がカップの面に投影されるときの、本体の赤色の横軸TA 3210と、計画されたカップベクトルPINL 3208との間の角度である。コンピュータ実装方法は、既存のインプラントに対するデルタ測定値を生成するように構成できる。図30,31に関して、3DインプラントCI1 3000は、現在のカップCC 2904(既存のインプラント)上に重ねられる。参照位置は、風袋制御(風袋引きボタン)3102を起動することによってそのように定着される。参照位置に印を付けるために、第2の3DインプラントCI2 3104を重ねる。3DインプラントのオーバーレイCI1 3000を予定の入力位置に移動させる(図31参照)。値θおよびφは、参照位置と計画位置との間で、例えば、3Dインプラントの模型(カップ面およびそれに対する正常の基準面を定義するため)およびX線画像系の座標系におけるその2つの位置を用いて定義できる。これら2つの角度を定義することで、X線画像の座標系との関連を必要とせずに、既存のインプラントに対する計画インプラントの変化を定義する。
【0170】
図30,31には1つのX線画像のイメージのみが示されているが、本明細書の別の箇所に図示されているように、2の位置合わせされたビュー(又はそれ以上)が示されても良い。特定の観点(例えば、ハンドルを介した手動調節等による)におけるCI1 3000の動きは、本明細書の他の箇所に記載されるように、それに応じて他の見解に反映され得る。CI2 3104で表されるように、3Dインプラントおよび任意の保存元の位置を適切にレンダリング及びオーバーレイするために、適当な空間変換(複数)を決定しても良い。
【0171】
図34は、コンピューティング装置900のようなコンピューティング装置で実行される演算3400のフローチャートである。演算3400は、再置換手術のための術前計画法を提供する可能性がある。
【0172】
3402の操作では、患者の筋骨格構造の画像を取得して表示し、表示装置を介して画像を表示する。3404の操作では、筋骨格構造の参照軸(例えば、以前の計算から受信した入力または受信した入力から)を定義する。3406の操作では、画像上の第1の位置、参照軸に対して定義された第1の位置に3Dインプラントをレンダリング及びオーバーレイする。3408の操作では、3Dインプラントのための第2の位置を定義するための入力を受信する。これは、参照軸に対して定義された第2の位置である。3410の操作では、画像上の第2の位置に関連して3Dインプラントをレンダリング及びオーバーレイする。3412の操作では、第1の位置と第2の位置との差異を含むデルタ測定値を決定し、保存する。3414の操作では、表示装置を介してデルタ測定値を表示する。
【0173】
したがって、患者の筋骨格構造の画像に取得し、表示装置を介して画像を表示すること、筋骨格構造の参照軸を定義すること、画像上の第1の位置、参照軸に対して定義された第1の位置に3Dインプラントをレンダリング及びオーバーレイすること、3Dインプラントの第2の位置を定義するための入力を受信すること、参照軸に対して定義された第2の位置であること、画像上の第2の位置に関連して3Dインプラントをレンダリング及びオーバーレイすること、第1の位置と第2の位置との差異を含むデルタ測定を決定して保存すること、及び表示装置を介して表示のためのデルタ測定値を提供することを含むコンピュータ実装方法(例えば、再置換手術を計画するための)が提供される。
【0174】
コンピュータ実装方法は、記憶装置内の3Dインプラントの参照位置として第1の位置を記憶する入力を受信することを含むことができる。コンピュータ実装方法は、3Dインプラントを第2の位置内のオーバーレイとして区別するために、参照位置内の3Dインプラントを表す更なる表示要素をレンダリング及びオーバーレイすることを含むことができる。
【0175】
コンピュータ実装方法において、3Dインプラントは、画像中の患者の対応するインプラント構造とオーバーレイすることができ、ここで、第1の位置は、参照軸に対して対応するインプラント構造の測定を提供する。
【0176】
コンピュータ実装方法は、表示装置を介して、参照軸に対する3Dインプラントの現在位置を表示することを含むことができる。実施されるコンピュータは、3Dインプラントの動きに応じて現在位置の表示を更新することを含むことができる。
【0177】
コンピュータ実装方法は、3Dインプラントのハンドルを表示し、ハンドルを用いて画像上の3Dインプラントを移動させる入力を受信するためのGUIを提供することを含むことができる。コンピュータ実装方法は、3Dインプラントのハンドルを介して第1の位置を定義する入力を受信することを含むことができる。入力は、画像内で見える患者のインプラント上の3Dインプラントの適合を定義できる。
【0178】
コンピュータ実装方法は、画像処理を用いて画像内で見える患者内のインプラントに3Dインプラントの適合を定義できる。
【0179】
コンピュータ実装方法は、参照軸に関する基準データを受信するためのGUIを提供することと、その基準データに従って3Dインプラントをレンダリング及びオーバーレイすること、とを含むことができる。
【0180】
コンピュータ実装方法では、筋骨格構造は股関節構造を含み、3Dインプラントはカップインプラントを含むことができる。
【0181】
コンピュータ実装方法では、第1の位置および第2の位置は、傾斜角および前傾角度に従って定義できる。
【0182】
コンピュータ実装方法は、術前計画システムを提供するように構成されたコンピュータ装置を用いて術前に実施することができ、前記方法は、手術操作を容易にするために術中手術システムを提供するように構成されたコンピュータ装置にデルタ測定値を通信することを含むことができる。
【0183】
コンピュータ実装方法では、画像は、術前に表示される術前画像または術中に表示される術中画像のいずれかを含んでも良い。
【0184】
コンピュータ実装方法は、第1の位置における3Dインプラント及び第2の位置における3Dインプラントによって表されるように、患者内に存在する既存のインプラントに対する角度としてデルタ測定値を決定することを含むことができる。
【0185】
コンピュータ実装方法は、更なる処理のためにデルタ測定値を通信することを含むことができる。更なる処理は、術中手術ナビゲーションシステムを用いて画像内の患者上の手術ナビゲーションでも良く、第1の位置は、術中手術ナビゲーションシステムによって測定される患者内のインプラントのための測定インプラント位置と同じでも良く、術中手術ナビゲーションシステムは、測定インプラント位置に対するインプラント位置への変化を測定するように構成されて良い。
【0186】
コンピュータ実装方法において、画像は、第1の画像を定義することができ、患者の筋骨格構造の第2の画像を取得し、第1の画像と共に表示装置を介して第2の画像を表示すること、第1の画像と第2の画像との間の空間変換を決定すること、第1の画像と第2の画像の両方に3Dインプラントを表示するために参照軸と空間変換に基づいて3Dインプラントを第2の画像上の第1の位置にレンダリング及びオーバーレイすること、及び第2の位置を定義する入力の受信に応じて、第2の画像上の第2の位置に関連して3Dインプラントをレンダリング及びオーバーレイすることを含むことができる。コンピュータ実装方法は、第1画像および第2画像のそれぞれに関するオーバーレイとして3Dインプラントと相互作用するハンドルを提供することを含み、3Dインプラントの第2の位置を定義するための入力は、第1画像および第2画像のいずれかに提供されるハンドルを介して入力を受信することを含むことができる。コンピュータ実装方法では、第1の画像と第2の画像は、同じ機能肢位の異なるビューを構成できる。
【0187】
(結論)
本明細書の方法は、術前または術中に実施できる。即ち、表示される画像は以下のいずれかを含むことができる。術前画像(例えば、術前に表示される手術前に生成される静止X線画像または他の画像または術中に表示される処置中に生成される画像(「術中画像」)、および術中に行われるデルタ測定値を定義する方法。本明細書に記載される計画は、手順中、例えば、手術室内での手順の開始前だけでなく、手術室内での計画を含み得る。
【0188】
さらに、または説明した任意のGUIインターフェースオプション又は制御に代えて、音声によって作動する制御装置を設けることができる。
【0189】
コンピューティング装置の態様に加えて、コンピュータプログラム生成物(product)の態様が開示されており、ここでは、本明細書に格納された任意の態様を実行するようにコンピューティング装置を構成するために、命令が非一時的記憶装置(例えば、メモリー、CD-ROM、DVD-ROM、ディスク等)に格納されていることを、当業者は理解するであろう。
【0190】
実用的な実施は、本明細書に記載される特徴のいずれかまたは全てを含むことができる。これらおよび他の局面、特徴および種々の組合せは、機能、プログラムを実行するための方法、装置、システム、手段として、および他の方法で、本明細書に記載される特徴を組み合わせて表現できる。多くの実施形態が記載されている。それにもかかわらず、本明細書に記載されるプロセスおよび技術的思想および範囲から逸脱することなく、様々な改変を行うことができることは理解されるであろう。さらに、他のステップを提供することもできるし、ステップを記載された工程から排除することもできるし、他の成分を記載されたシステムに添加することも、除去することもできる。したがって、他の態様は特許請求の範囲の範囲内にある。
【0191】
本明細書の記載及びクレームを通して、語は「備える」及び「含む」並びにそれらの変異体は「限定されないが含む」を意味し、それらは他の構成要素、整数又はステップを除外することを意図していない(及び除外しない)。本明細書の記載及びクレーム全体を通して、「単一の」は、文脈上別途必要とされる場合を除き、複数を包含する。特に、不定冠詞が使用される場合は、本明細書は、その状況が他のことを要求していない限り、単数だけでなく複数も意図していると理解されたい。
【0192】
本発明の特徴、整数特性、化合物、特定の局面、実施形態または実施例と関連して記載された化学成分またはグループは、それと相容れない場合を除き、他のいかなる局面、実施形態または実施例にも適用可能であると理解されるべきである。本明細書に開示された全ての特徴(付随するクレーム、要約および図面を含む)および/または開示された任意の方法または方法のステップの全ては、そのような特徴および/またはステップの少なくとも一部が相互排他的である組合せを除き、任意の組合せで組み合わせることができる。本発明は、前述の実施例または実施例の詳細に限定されるものではない。本発明は、本明細書に開示された特徴(付随するクレーム、要約および図面を含む)の任意の新規なもの、または任意の新規な組合せ、または開示された任意の方法または方法のステップの任意の新規なもの、または任意の新規な組合せにまで及ぶ。
<その他>
<手段>
技術的思想1のコンピュータ実装方法は、立位AP画像、立位側面画像および患者の筋骨格構造の座位側面画像を取得および表示することと、前記立位AP画像上および前記立位側面画像上のそれぞれの座標軸を入力として受信し、それぞれの前記座標軸に基づいて前記立位AP画像および前記立位側面画像上の前記筋骨格構造における参照軸を定義することと、前記立位側面画像と前記座位側面画像とのそれぞれの座標の傾きを入力として受信し、それぞれの前記座標の傾きに基づいて前記立位AP画像と前記立位側面画像との間の前記筋骨格構造における傾斜パラメータの変化を決定することと、前記立位AP画像と前記立位側面画像との間の空間変換、および前記立位側面画像と前記座位側面画像との間の空間変換を決定することと、前記参照軸と、前記立位AP画像と前記立位側面画像との間の前記空間変換とに基づく、前記参照軸に関連した第1の位置における前記立位AP画像および前記立位側面画像のそれぞれの3Dインプラントのレンダリング及びオーバーレイを行うことと、前記傾斜パラメータの変化と、前記立位側面画像と前記座位側面画像との間の前記空間変換とに基づく、前記座位側面画像のための前記第1の位置における前記3Dインプラントのレンダリング及びオーバーレイを行うことと、前記3Dインプラントの第2の位置を表す入力を受信することと、それぞれの前記空間変換および前記傾斜パラメータの変化を用いて前記立位AP画像、前記立位側面画像および前記座位側面画像のそれぞれをリアルタイムで更新するために、前記第2の位置における前記3Dインプラントのレンダリング及びオーバーレイを行うことと、を備えている。
技術的思想2のコンピュータ実装方法は、技術的思想1記載のコンピュータ実装方法において、前記画像が、X線画像、CT、MRI又はEOSのいずれかによる様式の画像である。
技術的思想3のコンピュータ実装方法は、技術的思想1又は2に記載のコンピュータ実装方法において、前記傾斜パラメータの変化を表示することを更に備えている。
技術的思想4のコンピュータ実装方法は、技術的思想1から3のいずれかに記載のコンピュータ実装方法において、少なくとも部分的には受信した前記座標に基づいた計算の実行、受信画像間の対応する共通の特徴に基づいた計算の実行および既知の画像から収集した空間情報に基づいた計算の実行のうちの1以上によって、前記空間変換を決定することを備えている。
技術的思想5のコンピュータ実装方法は、技術的思想1から4のいずれかに記載のコンピュータ実装方法において、前記筋骨格構造が骨盤を含み、人工股関節全置換術(THA)を計画することを備えている。
技術的思想6のコンピュータ実装方法は、技術的思想1から5のいずれかに記載のコンピュータ実装方法において、前記筋骨格構造は骨盤であり、前記3Dインプラントは寛骨臼カップであり、前記第1の位置が傾斜40度および前傾15度である。
技術的思想7のコンピュータ実装方法は、技術的思想1から6のいずれかに記載のコンピュータ実装方法において、前記第1の位置が、少なくとも部分的には前記傾斜パラメータの変化に基づき、かつ機能的な患者の動きを通して安定性が最大となるように選択される。
技術的思想8のコンピュータ実装方法は、技術的思想1から7のいずれかに記載のコンピュータ実装方法において、インプラントの大きさ及び所望の位置のうちの1又は複数を含むテンプレート情報を受信することと、受信したテンプレート情報の少なくとも一部に従って前記3Dインプラントをレンダリングすることと、を更に備えている。
技術的思想9のコンピュータ実装方法は、技術的思想1から8のいずれかに記載のコンピュータ実装方法において、前記3Dインプラントの現在位置を表す位置情報を表示することを更に備えている。
技術的思想10のコンピュータ実装方法は、技術的思想9記載のコンピュータ実装方法において、前記3Dインプラントは寛骨臼カップであり、前記位置情報は傾斜角および前傾角度である。
技術的思想11のコンピュータ実装方法は、技術的思想1から10のいずれかに記載のコンピュータ実装方法において、前記立位AP画像、前記立位側面画像および前記座位側面画像のいずれかをオーバーレイとした前記3Dインプラントに関連する画像の操作と、数値の入力とのいずれか1以上に基づいて前記第2の位置を入力する。
技術的思想12のコンピュータ実装方法は、技術的思想11記載のコンピュータ実装方法において、前記画像の操作が、前記3Dインプラントのオーバーレイに関連するハンドルのクリック及びドラッグを含む。
技術的思想13のコンピュータ実装方法は、技術的思想1から12のいずれかに記載のコンピュータ実装方法において、前記3Dインプラントと関連付けられたレンダリングとに関する画像が、同時に表示するために提供される。
技術的思想14のコンピュータ実装方法は、患者の筋骨格構造の少なくとも3の画像であって、1の組の画像は第1の位置における異なるビューであり、他の組の画像は異なる機能肢位における同じビューである画像を取得および表示することと、ユーザ入力に基づいて少なくとも2つの画像上の前記筋骨格構造の参照軸を定義することと、異なる機能肢位における共通のビューの2つの画像に基づく前記筋骨格構造の機能肢位間のパラメータであって、前記患者の前記機能肢位間の位置変化を表す位置変化パラメータを決定することと、前記画像間の空間変換を決定することと、前記参照軸に関連する第1の位置におけるそれぞれの画像への3Dインプラントのレンダリング及びオーバーレイであって、それぞれの前記空間変換に応じ、かつそれぞれの画像に3Dインプラントをレンダリングしたものをオーバーレイすることと、第2の位置を表す入力を受信することと、少なくともほぼリアルタイムに、各画像に応じたレンダリングとオーバーレイとを更新することと、を備えている。
技術的思想15のコンピュータ実装方法は、異なる機能肢位における患者の筋骨格構造の第1のAP画像および第2のAP画像を取得および表示することと、前記第1のAP画像上の指定された目標の座標を入力として受信することと、前記第2のAP画像上の前記指定された目標の座標を入力として受信することと、前記第1のAP画像および前記第2のAP画像から受信した座標に基づいたAP傾斜パラメータの変化であって、傾斜パラメータへの座標のマッピング係数の代表的な母集団のデータを用いて生成されたルックアップテーブルを実装する、コンピュータ機能によって計算されるAP傾斜パラメータの変化を取得することと、前記AP傾斜パラメータの変化を用いて前記第1のAP画像および第2のAP画像を共に位置合わせし、前記第1のAP画像および前記第2のAP画像上の同じ位置に物体をオーバーレイすることと、を備えている。
技術的思想16のコンピュータ実装方法は、技術的思想15記載のコンピュータ実装方法において、前記第1のAP画像および前記第2のAP画像のそれぞれについて、参照軸および前記傾斜パラメータの変化に基づく第1の位置に、3Dインプラントをレンダリング及びオーバーレイすることを更に備えている。
技術的思想17のコンピュータ実装方法は、技術的思想15又は16に記載のコンピュータ実装方法において、前記AP傾斜パラメータの変化及び前記第1の位置のいずれか一方または両方を示す数値を表示することを更に備えている。
技術的思想18のコンピュータ実装方法は、技術的思想16記載のコンピュータ実装方法において、前記3Dインプラントが寛骨臼カップであり、前記筋骨格構造が患者の骨盤である。
技術的思想19のコンピュータ実装方法は、技術的思想18記載のコンピュータ実装方法において、前記第1の位置を示す数値を表示することを備え、前記数値が傾斜および前傾であり、前記傾斜が内側-外側の参照軸に対するものであり、前記前傾が各画像の面に対するものである。
技術的思想20のコンピュータ実装方法は、技術的思想15から19のいずれかに記載のコンピュータ実装方法において、前記第1のAP画像が立位AP骨盤のX線画像であり、前記第2のAP画像が仰臥位骨盤のX線画像である。
技術的思想21のコンピュータ実装方法は、技術的思想20記載のコンピュータ実装方法において、前記骨盤の前記指定された目標が、下側両側坐骨結節、恥骨結合および骨盤縁に沿った最外側点である。
技術的思想22のコンピュータ実装方法は、技術的思想15から21のいずれかに記載のコンピュータ実装方法において、前記ルックアップテーブルは、男性と女性とで異なる母集団のデータに基づくものであり、前記患者の性別を示す入力を受信することを備えている。
技術的思想23のコンピュータ実装方法は、技術的思想15及び17から22のいずれかに記載のコンピュータ実装方法において、前記患者の前記筋骨格構造の第3の画像を取得および表示することと、前記第1の画像と前記第3の画像とは、第1の前記患者の位置における異なるビューによる画像であり、前記第1の画像、前記第2の画像および前記第3の画像の3の画像を定義することと、ユーザの入力に基づいて前記3の画像上の前記筋骨格構造の参照軸を定義することと、前記参照軸に基づいて前記第1の画像と前記第3の画像との間の空間変換を決定することと、前記参照軸に応じた前記3の画像のそれぞれの第1のインプラント位置に3Dインプラントをレンダリング及びオーバーレイすることとを備え、前記第2の画像へのオーバーレイは、より前記AP傾斜パラメータの変化に応じたものであり、前記第3の画像へのオーバーレイは、より前記空間変換に応じたものである。
技術的思想24のコンピュータ実装方法は、技術的思想23記載のコンピュータ実装方法において、前記3Dインプラントを第2のインプラント位置にオーバーレイするための入力を受信することと、前記AP傾斜の変化および前記空間変換に応じた前記3の画像において、前記第2のインプラント位置における前記3Dインプラントのオーバーレイを更新することと、を備えている。
技術的思想25のコンピュータ実装方法は、UIに、患者の筋骨格構造の少なくとも3の画像であって、立位冠状面、仰臥位冠状基準面および前骨盤面の異なる面に関連付けられた前記筋骨格構造の画像を取得および表示することと、少なくとも前記3の画像のペア間のそれぞれの空間変換を生成するために、それぞれの面と前記UIを介して受信した入力によって定義された参照軸とに応じた少なくとも前記3の画像を共に位置合わせすることと、3Dインプラントを、少なくとも前記3の画像における前記異なる面の内の1の面に関連した傾斜および前傾の基準によって定義された第1のインプラント位置にレンダリング及びオーバーレイすることと、前記オーバーレイは、前記参照軸およびそれぞれの前記空間変換に更に応じたものであり、前記異なる面の他の面に関連した等価な傾斜および前傾の基準を決定することと、前記傾斜および前傾の基準と前記等価な傾斜および前傾の基準とを同時にリアルタイムで前記UIに表示することと、を備えている。
技術的思想26のコンピュータ実装方法は、技術的思想25記載のコンピュータ実装方法において、前記3Dインプラントを前記異なる面の内の1の面に関連した傾斜および前傾の基準によって定義された第2のインプラント位置へ移動させるために、前記UIを介して入力を受信することと、前記第2のインプラント位置に従って、前記3Dインプラントを少なくとも前記3の画像にレンダリング及びオーバーレイすることと、前記オーバーレイは、前記参照軸およびそれぞれの前記空間変換に更に応じたものであり、前記異なる面の他の面に関連した前記第2のインプラント位置のための等価な傾斜および前傾の基準を決定することと、前記傾斜および前傾の基準と前記第2のインプラント位置のための等価な傾斜および前傾の基準とを同時にリアルタイムで前記UIに表示することと、を備えている。
技術的思想27のコンピュータ実装方法は、UIに、患者の筋骨格構造の少なくとも2の画像であって、1以上の側面ビューを含む画像を取得および表示することと、少なくとも前記2の画像のペア間のそれぞれの空間変換を生成するために、それぞれの面と前記UIを介して受信した入力によって定義された参照軸とに応じた少なくとも前記2の画像を共に位置合わせすることと、3Dインプラントを、少なくとも前記2の画像における第1のインプラント位置にレンダリング及びオーバーレイすることと、前記オーバーレイは、前記参照軸およびそれぞれの前記空間変換に更に応じたものであり、前記3Dインプラントのためのそれぞれの前傾の基準による前記1以上の側面ビューを決定し表示することと、を備えている。
技術的思想28のコンピュータ実装方法は、技術的思想27記載のコンピュータ実装方法において、前記3Dインプラントを第2のインプラント位置へ移動させるために、前記UIを介して入力を受信することと、前記第2のインプラント位置に従って、前記3Dインプラントを少なくとも前記2の画像にレンダリング及びオーバーレイすることと、前記オーバーレイは、前記参照軸およびそれぞれの前記空間変換に更に応じたものであり、前記第2のインプラント位置のためのそれぞれの前傾の基準による前記1以上の側面ビューを決定し表示することと、を備えている。
技術的思想29のコンピュータ実装方法は、患者の筋骨格構造の画像を取得し、表示装置を介して前記画像を表示することと、前記筋骨格構造の参照軸を定義することと、前記画像上における前記参照軸に関連して定義された第1の位置に3Dインプラントをレンダリング及びオーバーレイすることと、前記3Dインプラントのための前記参照軸に関連して定義された第2の位置を定義する入力を受信することと、前記画像上の前記第2の位置に関連した前記3Dインプラントをレンダリング及びオーバーレイすることと、前記第1の位置と前記第2の位置との間の差異によるデルタ測定値を決定及び記憶することと、前記表示装置を介して表示するために前記デルタ測定値を提供することと、を備えている。
技術的思想30のコンピュータ実装方法は、技術的思想29記載のコンピュータ実装方法において、前記3Dインプラントの参照位置として前記第1の位置を記憶装置に記憶する入力を受信することを備えている。
技術的思想31のコンピュータ実装方法は、技術的思想30記載のコンピュータ実装方法において、前記3Dインプラントを前記第2の位置内のオーバーレイとして区別するために、前記参照位置における3Dインプラントを表す更なる表示要素をレンダリング及びオーバーレイすることを備えている
技術的思想32のコンピュータ実装方法は、技術的思想29又は30に記載のコンピュータ実装方法において、前記3Dインプラントが、前記画像中の前記患者の対応するインプラント構造と調節されてオーバーレイされ、前記第1の位置が、前記参照軸に対して前記対応するインプラント構造の基準を提供する。
技術的思想33のコンピュータ実装方法は、技術的思想29から32のいずれかに記載のコンピュータ実装方法において、前記表示装置を介して前記参照軸に対する前記3Dインプラントの現在位置を表示することを備えている。
技術的思想34のコンピュータ実装方法は、技術的思想33記載のコンピュータ実装方法において、前記3Dインプラントの動きに応じて、前記現在位置の表示を更新することを備えている。
技術的思想35のコンピュータ実装方法は、技術的思想29から34のいずれかに記載のコンピュータ実装方法において、前記3Dインプラントのハンドルを表示し、そのハンドルを用いて前記画像上の前記3Dインプラントを移動させる入力を受信するためのグラフィカルユーザインターフェース(GUI)を提供することを備えている。
技術的思想36のコンピュータ実装方法は、技術的思想25記載のコンピュータ実装方法において、前記3Dインプラントのハンドルを介して前記第1の位置を定義する入力を受信することを備えている。
技術的思想37のコンピュータ実装方法は、技術的思想26記載のコンピュータ実装方法において、前記入力が、前記画像内に見える前記患者のインプラント上における前記3Dインプラントに対する適合を定義する。
技術的思想38のコンピュータ実装方法は、技術的思想29から35のいずれかに記載のコンピュータ実装方法において、画像処理を用いて前記画像内に見える前記患者のインプラント上における前記3Dインプラントを適合させることを備えている。
技術的思想39のコンピュータ実装方法は、技術的思想29から38のいずれかに記載のコンピュータ実装方法において、前記参照軸に関する基準データを受信するためのGUIを提供し、前記基準データに従って前記3Dインプラントのレンダリング及びオーバーレイを行うことを備えている。
技術的思想40のコンピュータ実装方法は、技術的思想29から39のいずれかに記載のコンピュータ実装方法において、前記筋骨格構造が股関節構造を含み、前記3Dインプラントがカップインプラントを含む。
技術的思想41のコンピュータ実装方法は、技術的思想29から40のいずれかに記載のコンピュータ実装方法において、前記第1の位置および前記第2の位置が、傾斜角および前傾角度に従って定義される。
技術的思想42のコンピュータ実装方法は、技術的思想29から41のいずれかに記載のコンピュータ実装方法において、前記方法が、術前計画システムを提供するように構成されたコンピュータ装置を用いて術前に実施され、かつ、前記方法が、手術操作を容易にするために術中手術システムを提供するように構成されたコンピュータ装置にデルタ測定値を通信することを備えている。
技術的思想43のコンピュータ実装方法は、技術的思想29から42のいずれかに記載のコンピュータ実装方法において、前記画像が、術前に表示される術前画像または術中に表示される術中画像のいずれかを含む。
技術的思想44のコンピュータ実装方法は、技術的思想29から43のいずれかに記載のコンピュータ実装方法において、前記第1の位置における前記3Dインプラント及び前記第2の位置における前記3Dインプラントによって表される前記患者内の存在するインプラントに対する角度変化として、前記デルタ測定値を決定することを備えている。
技術的思想45のコンピュータ実装方法は、技術的思想29から44のいずれかに記載のコンピュータ実装方法において、前記デルタ測定値が更なる処理のために通信される。
技術的思想46のコンピュータ実装方法は、技術的思想45記載のコンピュータ実装方法において、前記更なる処理は、術中手術ナビゲーションシステムを用いた前記画像内の前記患者上の手術ナビゲーションであり、前記第1の位置は、前記術中手術ナビゲーションシステムによって測定される前記患者内のインプラントに対する測定インプラント位置と同じであり、前記術中手術ナビゲーションシステムが前記測定インプラント位置に対するインプラント位置の変化を測定するように構成されている。
技術的思想47のコンピュータ実装方法は、技術的思想29から46のいずれかに記載のコンピュータ実装方法において、前記画像が第1の画像を定義することであって、前記患者の前記筋骨格構造の第2の画像を取得し、前記第1の画像と共に表示装置を介して前記第2の画像を表示することと、前記第1の画像と前記第2の画像との間の空間変換を決定することと、前記第1の画像と前記第2の画像の両方にそれぞれ前記3Dインプラントを表示するために、前記参照軸と前記空間変換に基づいた前記第2の画像上の前記第1の位置に、前記3Dインプラントをレンダリング及びオーバーレイすることと、前記第2の位置を定義するための入力の受信に応じて、前記第2の画像上の前記第2の位置に関連して前記3Dインプラントをレンダリング及びオーバーレイすることと、を備えている。
技術的思想48のコンピュータ実装方法は、技術的思想47記載のコンピュータ実装方法において、前記第1の画像および前記第2の画像のそれぞれに関するオーバーレイとして、前記3Dインプラントと相互作用するハンドルを提供することを備え、前記3Dインプラントの前記第2の位置を定義する入力が、前記第1の画像および前記第2の画像の一方に提供されるハンドルを介して受信することを備えている。
技術的思想49のコンピュータ実装方法は、技術的思想47又は48に記載のコンピュータ実装方法において、前記第1の画像および前記第2の画像は、同一の機能肢位における異なる図形を含むものである。
技術的思想50のコンピュータ実装方法は、技術的思想1から49のいずれかに記載のコンピュータ実装方法において、前記画像が、X線画像または他の画像様式の画像を取得するカメラ入力装置(タブレットまたは他の計算装置)によって生成され、前記方法が、前記画像として使用される前記画像の歪みの除去を含む画像処理を実行することを備えている。
技術的思想51のコンピュータシステムは、少なくとも1つの処理ユニットと、少なくとも1つの処理ユニットに結合されたメモリーとを備えるコンピュータシステムであって、少なくとも1つの処理ユニットによって実行されると、技術的思想1から50のいずれかに記載のコンピュータ実装方法を実行するようにコンピュータシステムを構成する命令を記憶する。
技術的思想52のコンピュータシステムは、技術的思想51記載のコンピュータシステムにおいて、患者の前記筋骨格構造の画像が入力として提供される前記コンピュータシステムに連結された少なくとも1つの記憶装置に記憶される。
技術的思想53のコンピュータシステムは、技術的思想51又は52に記載のコンピュータシステムにおいて、前記画像およびレンダリングを前記画像上にオーバーレイとして表示するために、表示装置が連結される。
技術的思想54のコンピュータシステムは、技術的思想51から53のいずれかに記載のコンピュータシステムにおいて、ユーザの入力を受信するための1以上の入力装置を備えている。
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