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特許7278648静静脈体外式血液酸素供給における心拍出量を計算するための装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-12
(45)【発行日】2023-05-22
(54)【発明の名称】静静脈体外式血液酸素供給における心拍出量を計算するための装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/029 20060101AFI20230515BHJP
   A61M 1/16 20060101ALI20230515BHJP
   A61B 5/0275 20060101ALI20230515BHJP
   A61B 5/1455 20060101ALI20230515BHJP
【FI】
A61B5/029
A61M1/16
A61B5/0275 J
A61B5/1455
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021543159
(86)(22)【出願日】2020-01-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-26
(86)【国際出願番号】 US2020015016
(87)【国際公開番号】W WO2020154638
(87)【国際公開日】2020-07-30
【審査請求日】2021-09-13
(31)【優先権主張番号】62/796,800
(32)【優先日】2019-01-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507072829
【氏名又は名称】トランソニック システムズ インク
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100123652
【弁理士】
【氏名又は名称】坂野 博行
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 秀明
(72)【発明者】
【氏名】クリビツキ, ニコライ エム.
(72)【発明者】
【氏名】ガルヤノブ, グレゴリー
【審査官】藤原 伸二
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第6090061(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0057046(US,A1)
【文献】特表2015-529116(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0033314(US,A1)
【文献】特表2008-538934(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/02-5/03
A61M 1/16
A61B 5/145-5/1455
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
脈体外式血液酸素供給を受けている患者の心拍出量を計算するための装置であって、前記装置が、
患者循環系に接続され、該患者循環系から引き出された血液に酸素を供給する血液酸素供給器と、前記患者循環系の静脈部分から血液を前記血液酸素供給器に誘導し、該血液酸素供給器を経て酸素化された血液を前記患者循環系へと誘導するポンプと、を有する体外式血液酸素供給回路と、
前記血液酸素供給器および前記ポンプに接続するように構成されたコントローラと、
を備え、
前記ポンプは、
(a)前記体外式血液酸素供給回路から前記患者循環系の前記静脈部分への、酸素化された第1の血流量を確立し、
)前記体外式血液酸素供給回路から前記患者循環系の前記静脈部分への前記第1の血流量とは異なる血流量であって、酸素化された第2の血流量を確立し、
前記コントローラは、
)測定された前記第1の血流量と、
)測定された前記第1の血流量に対応する前記患者循環系の一部における第1の動脈酸素飽和度の値と、
)前記患者に流入せず、前記体外式血液酸素供給回路内に引き込まれた前記第1の血流量の一部である測定された第1の再循環の血流量と、(f)測定された前記第2の血流量と、
(g)測定された前記第2の血流量に対応する前記患者循環系の前記部分における第2の動脈酸素飽和度の値と、
(h)前記患者に流入せず、前記体外式血液酸素供給回路に引き込まれた前記第2の血流量の一部である測定された第2の再循環の血流量と、
に基づいて、以下のいずれかの式により前記患者の心拍出量を計算するように構成される、
装置。
【数1】
式中、R%は再循環率(%)であり、COは心拍出量であり、Qは、体外回路の流量であり、SaOは、動脈血酸素飽和度であり、Sは、混合静脈酸素飽和度、である、または
【数2】
【数3】
式中、COは心拍出量であり、Qb(1)は、第1のポンプ設定Qb(1)などの体外回路によって供給される第1の流量、Qb(2)は、第2のポンプ設定Qb(2)などの体外回路によって供給される第2の流量であり、R%(1)は、体外回路によって供給される第1の流量での再循環のおけるパーセンテージ(%)であり、R%(2)は、体外循環路によって供給される第2の流量での再循環のパーセンテージ(%)であり、SaO2(1)は、体外循環路によって供給される第1の流量での動脈血酸素飽和度であり、SaO2(2)は、体外循環路によって供給される第2の流量での動脈血酸素飽和度、である、または
【数4】
【数5】
式中、COは心拍出量であり、Qb(1)は、第1のポンプ設定Qb(1)などの体外回路によって供給される第1の流量、Qb(2)は、第2のポンプ設定Qb(2)などの体外回路によって供給される第2の流量であり、R%(1)は、体外回路によって供給される第1の流量での再循環のおけるパーセンテージ(%)であり、R%(2)は、体外循環路によって供給される第2の流量での再循環のパーセンテージ(%)であり、SaO2(1)は、体外循環路によって供給される第1の流量での動脈血酸素飽和度であり、SaO2(2)は、体外循環路によって供給される第2の流量での動脈血酸素飽和度、であり、S2(1)は、体外回路によって供給される第1の流量での混合静脈酸素飽和度であり、S2(2)は、体外回路によって供給される第2の流量での混合静脈酸素飽和度、である、または、
【数6】
式中、COは心拍出量であり、
【数7】
ここで、 eff は、再循環を説明する心臓に入る体外回路(ECMO)フローからのフローの一部であり、は体外回路の流量であり、R%は再循環のパーセンテージであり、SaOは体外回路によって供給される流量での動脈血酸素飽和度であり、Sは体外回路によって供給される流量での混合静脈酸素飽和度であり、Resは肺によって追加された酸素であり、SaOXは、酸素供給器後の血液の酸素飽和度、である、または、

CO*SaO= CO*SPA+ Res= Qeff*SaOX+(CO-Qeff)*S+Res 式16
式中、COは心拍出量であり、
【数7】
ここで、 eff は、再循環を説明する心臓に入る体外回路(ECMO)フローからのフローの一部であり、S PA は、肺動脈の血液の酸素飽和度であり、は体外回路の流量であり、R%は再循環のパーセンテージであり、SaOは体外回路によって供給される流量での動脈血酸素飽和度であり、Sは体外回路によって供給される流量での混合静脈酸素飽和度であり、Resは肺によって追加された酸素であり、SaOXは、酸素供給器後の血液の酸素飽和度、である、または、

CO*SaO= Qeff*Saox+ (CO-Qeff)*S 式19
式中、COは心拍出量であり、
【数7】
ここで、SaOは体外回路によって供給される流量での動脈血酸素飽和度であり、 eff は、再循環を説明する心臓に入る体外回路(ECMO)フローからのフローの一部であり、SaOXは、酸素供給器後の血液の酸素飽和度、であり、Sは、肺を通過した後の混合静脈血の酸素飽和度、である、または、

CO*SaO2(1) = Qeff(1)*Saox2(1) + (CO-Qeff(1))*S2(1) 式20A
CO*SaO2(2) = Qeff(2)*Saox2(2) + (CO-Qeff(2))*S2(2) 式20B
式中、 eff は、再循環を説明する心臓に入る体外回路(ECMO)フローからのフローの一部であり、COは心拍出量でありR%(1)は、体外回路によって供給される第1の流量での再循環のおけるパーセンテージ(%)であり、R%(2)は、体外循環路によって供給される第2の流量での再循環のパーセンテージ(%)であり、SaO2(1)は、体外循環路によって供給される第1の流量での動脈血酸素飽和度であり、SaO2(2)は、体外循環路によって供給される第2の流量での動脈血酸素飽和度であり、SaOX2(1)は、体外回路によって供給される第1の流量での酸素供給器後の血液の酸素飽和度であり、SaOX2(2)は、体外回路によって供給される第2の流量での酸素供給器後の血液の酸素飽和度であり、S2(1)は、体外回路によって供給される第1の流量で肺を通過した後の混合静脈血の酸素飽和度であり、S2(2)は、体外回路によって供給される第2の流量で肺を通過した後の混合静脈血の酸素飽和度、である。
【請求項2】
前記コントローラは、さらに、
測定された前記体外式血液酸素供給回路からの前記第1の血流量中に前記第1の動脈酸素飽和度の値に基づいて前記患者の心拍出量を計算する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第1の再循環の血流量および前記第2の再循環の血流量のうちの1つの通過を測定するためのセンサをさらに含み、
該センサは、前記体外式血液酸素供給回路に動作可能に接続される、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記第1の動脈酸素飽和度の値を測定することが、前記患者の動脈部分における前記第1の動脈酸素飽和度の値を測定することを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記第1の血流量を測定することと、前記第1の動脈酸素飽和度の値を測定することと、前記第1の再循環の血流量を測定することと、前記第2の再循環の血流量を測定することと、前記第2の動脈酸素飽和度の値を測定することと、前記第2の再循環の血流量を測定することの一つが、酸素含有量を測定することに基づいて測定される、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記計算された心拍出量を、前記肺を通過した後の混合静脈血の酸素飽和度と、前記測定された第1の血流量および前記測定された第2の血流量のうちの少なくとも1つに対応する前記体外回路内の前記酸素供給器を通過する前の前記体外回路内の前記血液の前記酸素供給飽和度のうちの1つに対応する量だけ調整することをさらに含む、請求項1に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
適用外。
連邦政府が後援する研究または開発に関する声明
【0002】
適用外。
共同研究契約の当事者名
【0003】
適用外。
配列表の参照
【0004】
適用外。
発明者または共同発明者による事前の開示に関する声明
【0005】
適用外。
【技術分野】
【0006】
本開示は、静脈静脈(VV)体外式回路、および特に静脈静脈体外式膜型酸素供給(ECMO)などであるが、これに限定されない静脈静脈体外式血液酸素供給回路に動作可能に接続された患者の心拍出量を評価することに関する。
【背景技術】
【0007】
VV ECMOは、生命を脅かす呼吸不全、通常は急性呼吸窮迫症候群(ARDS)を経験している患者に採用される医療的処置である。しかしながら、他の適応症には、ウイルス、細菌、真菌、PCPなどの感染症、嚢胞性線維症、出血性自己免疫疾患などの原発性肺疾患、特発性線維症、鎌状赤血球症、原発性肺高血圧症、胸部外傷、肺切除後、移植後、急性、慢性(閉塞性細気管支炎)、慢性呼吸不全移植への橋渡しが含まれる。
【0008】
これらの患者において、肺を通過する血液が十分に酸素化されないため、十分な酸素が組織に供給されない。この酸素送達の欠如は、組織に損傷を与え、最終的には患者を死に至らしめ得る。VV ECMOなどの体外式血液酸素供給は、患者の肺による血液酸素供給を補完または置換する。
【0009】
VV ECMOにおいて、大きなカニューレは通常、大腿静脈および/または頸静脈から挿入され、先端は上大静脈および/または下大静脈または右心房にある。次に、これらのカニューレは、ポンプおよび膜型酸素供給器を含む体外回路に接続される。血液は通常、1つ(または2つの場所)から採取され、右心房の近くに送達されるが、複数の変更がある。患者の血液は、患者から採取されることによって体外回路を通って継続的に循環され、次に、膜型酸素供給器などの酸素供給器を通って循環され、そこで血液が酸素化される。血液は患者に戻され、そこで今酸素化された血液が、右心室から肺を通って左心房に送出され、酸素化された血液が、体組織に送出される。
【0010】
VV ECMO治療の重要な結果は、再循環の発生である。再循環は、患者に戻されている酸素化された血液の一部が患者の心臓に流入せず、体外回路に引き込まれると場合に発生する。これは、引き抜きカニューレおよび送出カニューレの悪い位置決めのため、および/または患者が、酸素化された血液の完全な流れを受け入れるのに不十分な心拍出量を有する場合に発生し得る。再循環の存在は、患者に供給される治療の一部が、実際には患者の回復を援助していないことを意味するため、再循環は、処置中に問題になり得る。
【0011】
VV ECMO処置は通常、良好に機能している心臓を有する患者に適用される。VV ECMOの過程の間、心不全(多くの場合、右心)が発症し得る。これは、生命を脅かす状況になり得る。心臓による循環の十分性は、通常、心拍出量を測定することによって評価される。肺動脈熱希釈および経肺熱希釈などの心拍出量(CO)を測定する現在の標準的な方法は、侵襲的であるだけでなく、しばしば不正確である。VV ECMO設定において、これらの方法は、特に高い再循環レベルで、誤解を招く結果をもたらし得る。その結果、劇的な心不全が見逃され得る。COにおける特定された減少は、薬物療法によって、または患者をVA ECMOに移動することによって、医師に対処され得、(VA ECMOはより侵襲的であるが)体外回路は、肺のサポートに加えて心臓のサポートを提供する。
【発明の概要】
【0012】
概して、本開示は、静脈静脈体外回路に、特に静脈静脈体外式膜型酸素供給(ECMO)回路などの静脈静脈体外式血液酸素供給回路に動作可能に接続された患者における心拍出量、COを測定するための非侵襲的方法および装置を提供する。
【0013】
一構成において、体外回路のポンプからの第1の流量および動脈血酸素飽和度が測定され、通常の生理食塩水などのインジケータの注入が、第1の流量の間の体外回路内の再循環を測定するために使用され、次いで、ポンプの流量が減少(または増加)するなどして変更され、動脈血酸素飽和度において対応する変化が生じる(そのような変化は変動またはドリフトの範囲外である)。これにより動脈血酸素飽和度が変化し、再び生理食塩水の注入が使用され、ポンプからの第2の流量で再循環を測定し、新しい酸素飽和度および再循環の測定値が記録される。患者のCOは、第1の流量、第2の流量、ならびに第1の流量および第2の流量のそれぞれに対応する再循環および動脈血酸素飽和度から計算され得る。
【0014】
一構成において、静脈静脈体外酸素化を受けている患者の心拍出量を計算するための方法が提供され、この方法は、患者循環系の静脈部分から血液を採取して、採取された血液を、アクセス(静脈と呼ばれることもある)ライン、戻り(動脈と呼ばれることもある)ライン、ならびにアクセスラインと戻りラインの中間にある血液酸素供給器を有する静脈静脈体外回路に通し、それにより、採取された血液は、アクセスラインを介して体外回路に入れることと、採取された血液を、アクセスラインおよび血液酸素供給器を通過させて、酸素化された血液を形成することと、酸素化された血液を酸素供給器から戻りラインに通すことと、酸素化された血液を戻りラインから患者の循環器系の静脈部分に導入することと、体外回路(例えば、アクセスライン、血液酸素供給器、戻りラインの1つを通る第1の血流量を測定することと、患者の動脈血酸素飽和度を測定することと、患者の静脈酸素飽和度を測定することと、測定された血流量、測定された動脈酸素飽和度および測定された静脈酸素飽和度に対応する患者の心拍出量を計算することと、を含む。パラメータのいずれかを測定することは、代理パラメータを測定することを含み得ることが企図される。
【0015】
さらなる構成において、静脈静脈体外式血液酸素供給を受けている患者の心拍出量を評価するための方法が提供され、この方法は、体外血液酸素化回路から患者循環系の静脈部分への第1の血流量を確立することと、第1の血流量を測定することと、第1の血流量に対応する患者の第1の動脈血酸素飽和度を測定することと、第1の血流量に対応する体外式血液酸素供給回路内の第1の再循環を測定することと、体外式血液酸素供給回路から患者循環系の静脈部分への第2の血流量を確立することと、第2の血流量を測定することと、第2の血流量に対応する患者の第2の動脈血酸素飽和度を測定することと、第2の血流量に対応する体外式血液酸素供給回路内の第2の再循環を測定することと、第1の血流両、第2の血流量、第1の動脈酸素飽和度、第2の動脈酸素飽和度、第1の再循環および第2の再循環に対応する患者の心拍出量を計算することと、を含む。
【0016】
別の構成において、この方法は、体外式血液酸素供給回路において、患者循環系の静脈部分への第3の血流量を確立することと、第3の血流量を測定することと、第3の血流量に対応する患者の第3の動脈血酸素飽和度を測定することと、第3の血流量に対応する体外式血液酸素供給回路内の第3の再循環を測定することと、第1の血流量、第2の血流量、第3の血流量、第1の動脈酸素飽和度、第2の動脈酸素飽和度、第3の動脈酸素飽和度、第1の再循環、第2の再循環および第3の再循環に対応する患者の心拍出量を計算することと、を含む。
【0017】
4つ以上の血流量が確立されることができ、測定値は、心拍出量をさらに計算するために使用されることが理解される。したがって、特定の構成において、体外回路からの流量における少なくとも1つの変化がある。
【0018】
さらに開示される方法は、静脈静脈体外式血液酸素供給を受けている患者の心拍出量を評価するための方法であって、体外式血液酸素供給によって患者循環系の静脈部分に送達される酸素化血液の血流量を測定するステップと、患者の動脈血酸素飽和度を測定するステップと、患者の静脈酸素飽和度を測定するステップと、測定された血流量、測定された動脈酸素飽和度、および測定された静脈酸素飽和度に対応する患者の心拍出量を計算するステップと、を含む方法である。この方法は、体外回路を通る再循環を測定し、測定された再循環に対応する心拍出量の計算を調整するさらなるステップを含むことができると考えられる。この方法は、患者循環系の静脈部分に送達される酸素化された血液の血流量を変化させるさらなるステップを含むことができることがさらに企図される。
【0019】
本開示は、体外式血液酸素供給回路に動作可能に接続された患者の心拍出量を定量化するための装置をさらに備え、体外式血液酸素供給回路は、患者循環系、血液酸素供給器、ポンプ、および酸素化された血液を循環システムの静脈部分に戻す戻りラインから血液を引き出すアクセスラインを有し、装置は、血液酸素供給器およびポンプの1つに接続するように構成されたコントローラと、測定されたものに基づいて患者の心拍出量を計算するように構成されたコントローラとを含み、コントローラは、体外回路からの酸素化血液の第1の流量と、第1の流量中の第1の再循環と、第1の流量中の患者の第1の動脈血酸素飽和度と、体外回路からの酸素化血液の測定された第2の流量と、第2の流量の間の第2の再循環と、第2の流量の間の第2の動脈血酸素飽和度と、を計算するように構成される。
【0020】
さらに、装置は、アクセスラインに動作可能に接続された第1のセンサと、戻りラインに動作可能に接続された第2のセンサとを含むことができると考えられる。一構成では、アクセスラインは、インジケータ注入ポートを含むことができる。パルスオキシメータは、動脈血酸素飽和度の測定に使用できることが理解されている。
【0021】
コントローラは、導入されたインジケータに基づいて再循環を計算するように構成されることも可能である。
【0022】
静脈静脈体外血液酸素回路を介して静脈静脈体外式血液酸素供給を受けている患者の心拍出量を計算するためのさらなる装置が提供され、装置は、コントローラ、静脈静脈体外回路に接続されたポンプを含み、静脈静脈体外回路、コントローラに動作可能に接続され、静脈静脈体外回路を介して第1の血流量を生成し、静脈静脈体外回路を介して異なる第2の血流量を生成するように構成されたポンプ、第1の血流量に対応する第1の動脈酸素飽和度および第2の血流量に対応する第2の動脈酸素飽和度を測定するためのコントローラに接続された酸素濃度計であって、コントローラは、第1の測定された動脈血酸素飽和度、第2の測定された動脈血酸素飽和度、第1の血流量、および第2の血流量を計算するように構成される。さらなる構成では、コントローラは、第1の血流量中の第1の再循環量および第2の血流量中の第2の再循環量にさらに対応する心拍出量を計算するように構成される。コントローラは、第1の血流量中に肺を通過した後の混合静脈血の第1の酸素飽和度および第2の血流量の間に肺を通過した後の混合静脈血の第2の酸素飽和度に対応する量によって計算された心拍出量を調整するようにさらに構成することができる。一構成では、コントローラは、最初に測定された動脈酸素飽和度と2番目に測定された動脈酸素飽和度との間の差に対応する量によって計算された心拍出量を調整するように構成される。コントローラは、第1に測定された動脈血酸素飽和度と第2に測定された動脈血酸素飽和度との間の差に比例する量だけ計算された心拍出量を調整するようにさらに構成することができる。
【0023】
以下は、本開示の実施形態を説明するが、本開示は、記載された実施形態に限定されず、本発明の様々な修正が、基本原理から逸脱することなく可能であることを理解されたい。したがって、本開示の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ決定されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】代表的な静脈静脈体外式血液酸素供給回路である。
図2】静脈静脈の体外式血液酸素供給回路における血液の導入と回収の場所を表す。
図3】患者の循環系の動脈側に送達される血液の酸素供給のコンポーネントの概略図である。
図4】体外回路からの第1の血流量で患者循環系の動脈側に送達される血液の酸素供給のコンポーネントの概略図である。
図5】体外回路からの第2のより小さな血流量で患者循環系の動脈側に送達される血液の酸素供給のコンポーネントの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1を参照すると、体外式血液酸素供給回路100が、患者10の循環系20に接続されて示されている。
【0026】
循環系20は、血液、血管系、および心臓を含むヒト(または動物)循環系である。この説明の目的のために、循環系20は、心肺系30と、心肺システムを体の組織に接続する全身システムとを含む。具体的には、体循環系は、体全体の血管系(動脈、静脈、毛細血管)を介して血液を通過させる。
【0027】
心肺系30は、右心、肺および左心、ならびに、右心と肺、肺と左心をつなぐ血管構造や、体外循環路と右心、左心との間に位置する大動脈や大静脈の一部が含まれる。すなわち、理論的には、心肺系30は、右心、肺、左心、および右心を肺に直接接続し、肺を左心に接続する血管構造のみを含む。しかしながら、実際には、右心の大静脈に直接隣接する体外回路100を動作可能に接続することが実際的でない場合がある。したがって、心肺系30は、しばしば、右心に入る限られた長さの静脈を含む。例えば、体外回路100は、大腿静脈に接続することができ、それにより、心肺系30をそのような大腿静脈まで効果的に拡張することができる。
【0028】
心肺および血管系の場合、所与の位置の「上流」という用語は、血流に逆らう方向を指し、所与の位置の「下流」という用語は、所与の位置から離れる血流の方向を指す。「動脈」側または部分は、酸素化された血液が心臓から毛細血管に流れる部分である。「静脈」側または部分は、血液が毛細血管から心臓および肺に(心肺系30に)流れる部分である。
【0029】
従来の体外式血液酸素供給装置の体外回路100の基本的な構成要素は、アクセス(または静脈)ライン110、酸素供給器120および熱交換器(図示せず)、ポンプ130、戻り(または動脈)140、静脈ラインのセンサ116、動脈ラインのセンサ146、およびコントローラ160を含む。
【0030】
体外回路100は、静脈静脈(VV)体外回路100を形成するように構成される。静脈静脈体外回路100では、循環系20から体外回路100への採血部位と体外回路から循環系への血液の導入部位の両方が、図2に示す循環系の静脈部分に生じる。
【0031】
図2を参照すると、一構成では、循環系20から体外回路100への血液の引き抜き部位は下大静脈であり、体外回路から循環系への血液の導入部位は上大静脈である。
【0032】
したがって、VV体外回路100は、循環系20(または心肺系30)の静脈部分から血液を抜き取り、血液を循環系の静脈部分に戻す。採取された血液は、循環系20の静脈部分に戻される前に、ガス交換または酸素供給(ECMO)などによって採取されている間に処理することができる。血液治療は、酸素供給(および二酸化炭素の回収)を含むがこれらに限定されない様々な治療のいずれかであり得る。
【0033】
一般に、アクセスライン110は、患者から体外回路100に血液を引き抜くかまたは排出する。アクセスライン110は、循環系20の静脈部分から、好ましくは心肺系30の静脈部分から延びる。図2を参照すると、アクセスライン110は、典型的には、循環系20への流体接続を提供するアクセスカニューレ112を含む。
【0034】
アクセスライン110はまた、インジケータを体外回路100に導入するための部位として、インジケータ導入ポート114などの導入部位を含むか、または提供することができる。一構成では、希釈指示薬を導入するための指示薬導入ポート114は、酸素供給器120の入口の上流にある。選択された構成において、導入部位114は、酸素供給器1
20に統合することができる。
【0035】
アクセスライン110において、センサ116は、体外回路100を通るインジケータの通過を感知するための希釈センサであり得る。しかしながら、希釈センサ116(およびセンサ146)は、様々なセンサのいずれかであり得、特定のインジケータと協働し得ることが理解される。センサ116(およびセンサ146)は、温度、ドップラー周波数、電気インピーダンス、光学特性、密度、超音波速度、グルコース濃度、酸素飽和度および他の血液物質(任意の物理的、電気的または化学的血液特性)を測定することができる。センサ116は、血流速度を測定することができることも理解される。あるいは、センサ116に加えて、血流速度を測定するための別個のフローセンサ(図示せず)があり得る。したがって、一構成では、本システムは、単一の血液特性センサおよび単一の流量センサを含む。流量および血液パラメータ(特性)を測定するための単一の組み合わされたセンサを使用することができることがさらに企図されている。本明細書に記載されるように、いくつかのポンプ130では、ポンプの回転速度、RPM(毎分回転数)を測定して、血流量の測定値を提供することができる。
【0036】
戻りライン140は、体外回路100を循環系20の静脈部分に接続し、一構成では、心肺系30の静脈部分に接続する。戻りライン140は通常、上大静脈に接続するが、右心房(先端位置)または下大静脈に接続することができる。戻りライン140は、典型的には、循環系20への流体接続を提供する戻り(動脈)カニューレ142を含む。
【0037】
戻りライン140はまた、センサ146などのセンサを含むことができる。センサ146は、センサ116の説明に記載されているように、様々なセンサのいずれかであり得、通常、予想されるインジケータと協調するように選択される。
【0038】
しかしながら、センサ116、146は、体外回路の外側に配置することができることが理解される。すなわち、センサ116、146は、遠隔位置に配置され、体外回路100内において、インジケータ導入から血液中に生じる変化、または、拡散、電磁場、熱場などの手段によってセンサの位置に伝達または転送され得るインジケータ導入に関連する値を測定することができる。2つのセンサが示されているが、再循環を測定するために必要なセンサは1つだけであることが理解される。2つのセンサを使用すると精度を向上させることができるが、再循環を計算するために2つのセンサを使用する必要はない。
【0039】
酸素供給器120は、気泡型酸素供給器と膜型酸素供給器に大きく分類することができる。膜型酸素供給器は、ラミネート型、コイル型、中空ファイバ型に分類される。膜型酸素供給器は、通常、気泡型酸素供給器と比較して、溶血、タンパク質変性、および血液凝固などの血液損傷が少ないため、膜型酸素供給器は気泡型酸素供給器よりも優れている。好ましい構成は、膜型酸素供給器に関して示されているが、任意の型の酸素供給器を使用できることが理解されている。
【0040】
ポンプ130は、蠕動ポンプまたはローラ(またはインペラまたは遠心)ポンプを含むがこれらに限定されない、様々な型のポンプのいずれかであり得る。ポンプ130は、体外回路100を通して血流速度を誘導する。特定の構成に応じて、ポンプ130は、ポンプで直接制御することができ、またはコントローラ160を介して制御して、体外回路100内に所与の血流量を確立することができる。ポンプ130は、体外回路100内の様々な場所のいずれかに配置することができ、図に示される位置に限定されない。一構成では、ポンプ130は市販のポンプであり、様々な流量のいずれかを提供するように設定または調整することができ、流量は、ユーザによって読み取られ、および/またはコントローラ160に送信され、コントローラ160によって読み取られる。
【0041】
コントローラ160は、典型的には、酸素供給器120、ポンプ130、およびセンサ116、146に接続可能である。コントローラ160は、パーソナルコンピュータ、専用デバイスなどのスタンドアロンデバイス、またはポンプ130または酸素供給器120などのコンポーネントの1つに埋め込まれたデバイスであり得る。コントローラ160は、センサ116および146、ポンプ130および酸素供給器120に接続されているように示されているが、コントローラは、センサ、センサまたはポンプ、あるいはセンサの任意の組み合わせ、ポンプと酸素供給器にのみ接続され得る。一構成では、ポンプ130およびコントローラ160のうちの少なくとも1つは、それぞれ、ポンプおよびポンプを通る血液の流量の制御を提供する。また、コントローラ160を酸素濃度計に接続してデータを自動的に収集することも、酸素濃度計データを手動でコントローラに入れることもできることも理解されたい。あるいは、パルスオキシメータ60およびコントローラ160は、単一のユニットとして統合することができる。
【0042】
コントローラ160は、本明細書に記載の方程式でプログラムされ、ユーザおよび/または連結コンポーネントからの入力に基づいて関連する計算を実行することができる。
【0043】
体外回路100を通る正常または順方向の血流は、循環系20(特に心肺回路30)の静脈側からアクセスライン110を介して血液を抜き取り、引き抜かれた血液を体外回路に通すことを含む(酸素化)、および回収された(または処理または酸素化された)血液を、戻りライン140を介して循環系の静脈側に導入する。それにより、ポンプ130は、アクセスライン110から戻りライン140への体外回路100を通る既知の(測定された)血流速度で血流を誘導する。
【0044】
本説明の目的のために、以下の用語が使用される。心拍出量COは、特定の期間(通常は1分間隔)に左心室から送り出される血液の量である。心臓の容量(流量)は、通常、心拍出量COによって測定される。血流量という用語は、血液の通過速度、単位時間あたりの体積を意味する。血流量は、体積流量(「流量」)である。体積流量は、単位時間あたりに導管の断面積を通過する液体の体積の尺度であり、ミリリットル/分(ml/分)またはリットル/分(l/分)などの単位で表すことができる。
【0045】
本開示は、心拍出量、VV ECMO設定などのVV体外式血液酸素供給におけるCOを測定するための単純な非侵襲的技術を提供する。ECMOを含むVV体外式血液酸素供給中のCOを測定するために本技術を適用するために、以下の用語が使用される。
【0046】
は、酸素供給器120を通過しなかった血液の混合静脈酸素飽和度である。
【0047】
SaO-動脈血酸素飽和度(以下に説明するように、血液サンプルまたはパルスオキシメトリで測定できる)
【0048】
は、体外回路の流量である(これは、以下に記載されるように、体外回路内のポンプ130の流量によって測定することができる)
【0049】
R%は再循環率(%)である。
【0050】
COは心拍出量である。
【0051】
バランス方程式
【0052】
最初の例では、物質収支方程式が体外回路に適用される。この分析では、次の仮定が行われる:
【0053】
1.肺の酸素供給は 少ない(無視できる)。
【0054】
2.酸素供給器後の血液の酸素飽和度は100%またはそれに近い値である。(以下の式は、酸素供給器120とは異なる酸素飽和度の値に合わせて調整することができる)。
【0055】
3.再循環はない。
【0056】
酸素を適切に考慮すると、最初の方程式は次のようになる:
【0057】
*100+(CO-Q)*S=CO*SaO 式1
【0058】
COの解:
【0059】
*100+CO*S-Q*S=CO*SaO 式2
【0060】
CO×(SaO-S)=Q×(100-S) 式3
【0061】
【数1】
【0062】
現在、VV ECMO治療中、QとSaOは定期的に測定されるがSは測定が困難である。すなわち、体外(ECMO)回路100において酸素供給機前に測定された静脈酸素飽和度の値は、心肺系30における混合静脈酸素飽和度とは異なる可能性があり、また、再循環の存在による影響を受けやすい。
【0063】
したがって、式4は、アクセスライン110で測定されるような測定されたSと併せて、QおよびSaOの測定された信頼できる値とともに使用でき、S値の測定された代理値を認識すると、特定の例、特に再循環が存在する場合、許容できないエラーが生じる可能性がある。
【0064】
したがって、S値の信頼性に応じて、測定されたSの値のメンテナンスが少ないことについて、式4に2つの未知数がある。または、式はSの許容可能な測定値でCO評価に使用できるが、精度は低くなる。
【0065】
再循環を伴うバランス方程式
【0066】
本システムのさらなる構成は、再循環の会計を組み込むことができる。図2を参照すると、VV ECMOなどの静脈静脈体外式血液酸素供給において、再循環は、再注入された酸素化血液が循環系20を通過することなく、アクセス(ドレナージ)カニューレ112を介して再注入された酸素化血液を引き出すことである。再循環された血液は循環系20における酸素送達に寄与しないので、再循環の存在は、体外式血液酸素供給(ECMO)手順の効率を低下させる。
【0067】
再循環の場合、100%酸素化された血液を心臓に運ぶ実際の有効な流れQeffは次のようになる:
【0068】
【数2】
【0069】
式4のQをQeffに置き換えると、次のようになる:
【0070】
【数3】
【0071】
effをQに置き換えると、次のようになる:
【0072】
【数4】
【0073】
体外(ECMO)回路100において酸素供給器前に測定された静脈酸素飽和度の前酸素化器の値は、再循環の存在下での混合静脈酸素飽和度とはさらに異なる。したがって、血液酸素供給器120(ECMO)の入口で測定されたSを使用するには、次の式を使用する必要がある。
【0074】
酸素供給器の流入時に酸素飽和度のバランスを取る:
【0075】
*S2ECMO入口=Q*R%+Q[1-R%/100]*S2静脈血管内 式8
【0076】
式8は次のように書き直すことができる:
【0077】
2静脈血管内=[SVO2ECMO入口-100R%/100]/[1-R%/100]式9
【0078】
これは次のように単純化される:
2静脈血管内=[S2ECMO入口-R%]/[1-R%/100] 式9A
【0079】
2静脈血管内の値は、式4BでSの代わりに使用できるが、この置換により、酸素飽和度がサンプリングされた血管からの酸素飽和度による混合静脈酸素飽和度の置換から計算されたCOにエラーが発生する。
【0080】
再循環を伴う2つのバランス方程式
【0081】
の潜在的に信頼できないまたは未知の値を排除する目的でCO測定の精度を高めるために、Qの値(体外回路100内のポプ130の流量を介するなど)を変更することができる。例えば、戻りライン140を通って心臓に100%酸素化された血液の異なる流量を送達するための増加または減少による。
【0082】
説明の目的で、ポンプの流量を減らすなどして、酸素供給器からの酸素化された血液の流量が減ると仮定する(ここで、Qb(2)<Qb(1))。したがって、より少ない100%酸素化血液が体外回路100から送達され、患者の動脈側で測定される、SaO(2)<SaO(1)。この違いから、SaO、ΔSaOの変化は次のように書くことができる:
【0083】
ΔSaO=SaO2(1)-SaO2(2) 式10
【0084】
式中、インデックス(1)および(2)は、第1のポンプ設定Qb(1)などの体外回路100によって供給される第1の流量、および、第2のポンプ設定Qb(2)などの体外回路によって供給される第2の流量に、それぞれ対応する。
【0085】
このアプリケーションでは、式4Bに類似した2つのバランス方程式があり、体外回路100を通る2つの流れの間のCOの値は変化しないか、または実際の変化は実質的でないか無視できると仮定される。したがって、体外回路100からの酸素化された血液の2つの異なる流量の2つの方程式は次のとおりである:
【数5】
【数6】
【0086】
再循環がない場合、これらの方程式は式4に類似していることがわかる。
【0087】
SaOがSaO2(1)からSaO2(2)に減少する間、Sの減少も予想される。ただし、Sのこの減少の大きさは不明である。SaOの減少の大きさが小さい場合は、
と仮定し、次いで、2つの未知数(COおよびS)を含む連立方程式(式11および式12)をCOについて解くことができ、これは、Sの値に依存せずに、既知または測定されたQb(1)、Qb(2)、%R(1)および%R(2)、SaO2(1)およびSaO2(2)から計算できる。
【0088】
例えば、SaOの減少の大きさが小さい場合、
と仮定して、連立方程式(式11および式12)が提供される:
【0089】
【数7】
【0090】
【数8】
【0091】
さらに、再循環が測定されず、SaOの減少の大きさが小さい場合、
と仮定され、連立方程式(式11および式12)が提供される:
【0092】
【数9】
【0093】
【数10】
【0094】
逆に、S2(1)の減少が動脈血酸素飽和度の減少と同じくらい大きい場合、ΔSaO2,(式10)次いでΔS2=ΔSaO、または:
【0095】
ΔSaO= SaO2(1) - SaO2(2) ΔS = S2(1) - S2(2)
【0096】
この式から、S2(2) は次のように計算できる:
【0097】
2(2) = S2(1)-ΔSaO 式13
【0098】
上記を式11と式12に代入すると、次のようになる:
【0099】
【数11】
【0100】
【数12】
【0101】
この場合も、2つの未知数(COおよびS)を持つ2つの方程式のシステムが提供され、Sの値や測定を必要とせずに、方程式を解いてCOを決定できる。
【0102】
理論的には、実際のCOは、式11、式12から計算された値と式11A~式12Aから計算された値との間にあると考えられている。実際には、動脈血酸素飽和度が低下した後、静脈酸素飽和度も低下することが観察されている。したがって、式11A~式12Aによって提供されるCO値はより正確であるはずである。
【0103】
肺が部分的に機能している(それによって部分的に血液を酸素化する)場合、実際の物質収支方程式には、静脈酸素飽和度ではなく、肺後酸素飽和度を含める必要がある。現在の2流量アプローチの利点は、混合静脈酸素飽和度ではなく、式4(A、B)の静脈酸素飽和度の仮定の必要性から独立している(排除されている)ことである。さらに、S2(2)がΔSaOに従ってSaOの減少の全体量を減少させるのではなく、1/3または1/5などの部分で減少するという仮定のように、式11、式12および式11A~式12Aに適用される中間条件(仮定)が存在する場合があり、次いで CO値のすべての解は、式11、式12と式11A~式12Aの間になる。
【0104】
アプリケーションでは、VV-ECMOなどの体外式血液酸素供給における患者のCOは、次の構成で取得できる。
【0105】
一構成では、患者、特に循環系20は、体外回路100に動作可能に接続され、ここで、当技術分野で知られているカニューレ(アクセスカニューレ)112を含むことができるアクセスライン110は、患者から、特に循環系20の静脈部分、および一構成では下大静脈から血液を採取する。
【0106】
採取された血液は、アクセスライン110を通り、ポンプ130を通り、酸素供給器120に送られる。血液は、酸素供給器120で酸素化され、次いで、酸素化された血液を患者、具体的には循環系20、より具体的には循環系20の静脈部分、より具体的には上大静脈などの心肺系30の静脈側に導入するために、戻りライン140を介してポンプで送られる。
【0107】
COを計算するために、循環系20に導入された酸素化された血液の量(流量)が、ポンプ130の容積測定ポンプ流量設定を読み取ることなどによって測定される。しかしながら、体外回路100内の流量計、希釈測定、当技術分野で知られている超音波測定などに限定されない、酸素化された血液の流れを測定するために代替のメカニズムを使用できることが理解される。
【0108】
動脈血酸素飽和度SaOは、パルスオキシメトリや動脈血ガス分析などによって測定される。図1に示すように、パルスオキシメータ60を患者に接続して、動脈血酸素飽和度SaOを測定される。
【0109】
静脈酸素飽和度Sは、体外回路100の酸素供給器の入口で測定される。この測定は、混合静脈酸素飽和度ではなく、代理の測定であると理解されている。しかしながら、肺動脈から採血することに固有の侵入の性質および潜在的な合併症を考慮して、下大静脈から採血された血液からの酸素飽和度の測定が使用される。
【0110】
COを計算するための方法は、COが計算されるパラメータの測定方法に限定されないことに留意されたい。
【0111】
次に、再循環がない、または無視できると仮定すると、COは次のように計算される:
【0112】
【数13】
【0113】
再循環は、当技術分野で知られている以下のメカニズムのいずれかによっても測定することができる:
【表1】
【0114】
ここで、CVL =中心静脈ライン
【0115】
ECMO =体外式膜型酸素供給
【0116】
IVC =下大静脈
【0117】
SVC =上大静脈
【0118】
SaO=動脈血の酸素飽和度
【0119】
PRE =膜型酸素供給器に入る血液の酸素飽和度
【0120】
POST =膜型酸素供給器を出る血液の酸素飽和度
【0121】
=大静脈に戻る静脈血の酸素飽和度
【0122】
したがって、再循環の存在に対応するために上で述べたように、式4Bを使用する。
【0123】
【数14】
【0124】
上記から選択された方程式を使用する代替構成では、患者は、上記のように体外回路100に動作可能に接続されている。本発明の方法は、測定値を取得する特定の方法で説明されているが、識別されたデータを取得する任意の利用可能な方法を使用できることがさらに理解される。
【0125】
この代替構成では、患者循環系20に導入される酸素化された血液の量は、ポンプ130の設定によって識別される。上記のように、再循環Rおよび動脈血酸素飽和度SaOが測定される。
【0126】
次に、体外回路100から循環系20に導入される酸素化された血液の流量は、測定されたSaOに対応する変化を生成するのに十分な量だけ変化する。さらに、一構成では、体外回路100からの酸素化された血液の流量の変化量は、動作誤差、ドリフト、または変動よりも大きい測定されたSaOの変化を与えるのに十分である。いくつかの構成では、体外回路100からの酸素化された血液の流量の変化は、少なくとも元の流量の10%であり、さらなる構成では、元の流量の少なくとも20%であり、他の構成では、少なくとも元の流量の30%である。体外回路100からの酸素化された血液の流量の変化は、本システムから逸脱することなく、動脈酸素飽和度などの血液パラメータの対応する変化を生成するために、特定の状況のセットに依存することができると理解される。
【0127】
体外回路100から循環系20への酸素化された血液の流れの変化は、ポンプ130の動作を変えることによって容易に伝えることができる。したがって、酸素化された血液の第2の流量が循環系20に導入される。
【0128】
体外回路100の酸素化血流量を変更した後、動脈酸素飽和度および第2の流量に対応する再循環を測定する前に、約1分~2分が経過する可能性がある。
【0129】
再循環R、および動脈酸素飽和度SaOは、循環系20に入る酸素化された血液の第2の流量の間に、上記のように測定される。
【0130】
この構成では、Sまたは代理パラメータを測定する必要がないことに注意されたい。次いで、COは、式11および式12または式11Aおよび式12Aによって、循環系20に導入された酸素化血液の測定された第1および第2の流量、ならびに各流量についての対応する再循環および動脈酸素飽和度、SaOから計算できる。
【0131】
さらなる構成では、アクセスライン110および戻りライン140上の希釈センサは、インジケータ導入ポート114での生理食塩水などのインジケータの導入と併せて使用される。次に、再循環は、導入されたインジケータおよび当技術分野で知られているセンサでのインジケータの測定から測定される。
【0132】
動脈血酸素飽和度SaOも、上記のように測定される。
【0133】
次に、酸素化された血液の異なる第2の流量が、少なくとも動脈酸素飽和度、SAOに変化を与えるのに十分な体外回路100に課され、ここで、測定された変化は、上記のような動作変動またはドリフトの外側にある。
【0134】
2番目の流量のポンプ流量が記録され、希釈技術などによって再循環が再度測定される。動脈血酸素飽和度SaOも、2番目の流量中またはそれに対応して測定される。
【0135】
式11および式12または式11Aおよび式12Aによって、循環系20に導入された酸素化血液の測定された第1および第2の流量、ならびに各流量についての対応する再循環および動脈酸素飽和度、SaOから決定できる。
【0136】
上記の分析で述べたように、肺からの酸素供給の寄与は小さい(無視できる)と見なされる。ただし、肺からの酸素供給の寄与を考慮または推定すると、COの評価または計算の精度をさらに向上させることができる。
【0137】
VV ECMO患者の血中酸素飽和度への肺の寄与を組み込んだ単一物質収支方程式
【0138】
心肺系30を通過する2つの流れの組み合わせがあると想定することができる。第1の流れは、体外回路100からの十分に酸素化された血液であり、第2の流れは、臓器からのより酸素化されていない静脈(混合静脈)血液である。これらの2つの流れの混合は、心拍出量COの酸素飽和度を定義する。肺動脈の場合、次の2成分方程式は、VV ECMOでヘモグロビンによって運ばれる酸素飽和度の物質収支を提供する:
【0139】
CO*SPA=Qeff*SaOX+(CO-Qeff)*S 式14
【0140】
式中、Qeffは、再循環を説明する心臓に入る体外回路(ECMO)フローからのフローの一部である。
【0141】
SaOXは、酸素供給器120後の血液の酸素飽和度(約100%)である。
【0142】
COは心拍出量である。
【0143】
は、静脈から右心房に入る血液の混合静脈酸素飽和度である(酸素供給器120を通過しない)。
【0144】
PAは、肺動脈の血液の酸素飽和度である。
【0145】
上記のように、Qeffは次のように定義される。
【0146】
【数15】
【0147】
式中、Qは体外回路の流量であり、
【0148】
R%は再循環のパーセンテージである。
【0149】
肺が部分的に機能していると仮定すると、バランス方程式は次のようになる:
【0150】
CO*SaO= CO*SPA+ Res= Qeff*SaOX+(CO-Qeff)*S+Res 式16
【0151】
式中、Resは肺によって追加された酸素であり、
【0152】
SaOは動脈血酸素飽和度であり。
【0153】
静脈と肺の機能は、次のように関連付けることができる:
【0154】
【数16】
【0155】
次いで、
【0156】
【数17】
【0157】
式中、Sは、肺を通過した後の混合静脈血の酸素飽和度である。
【0158】
最終的に、心肺系30全体の酸素飽和度の物質収支方程式次のようになる:
【0159】
CO*SaO= Qeff*Saox+ (CO-Qeff)*S 式19
【0160】
式19に示すように、酸素供式1給器がすでに100%酸素飽和した後の血液として、肺が血液の静脈部分の酸素飽和度を変えるだけであると考えることができるという感覚がある。実際、図3に見られるように、混合物に作用する肺からの酸素化された血液は、式19を分析するための有用な概念である。
【0161】
式19中、図3を参照すると、再循環を測定すれば、SaOおよびQeffの値を測定することができるが、COおよびSの値は不明である。したがって、2つの未知数を持つ1つの方程式がある。
【0162】
方程式の数に比べて未知数の数を減らすために、以下に示すように2番目の方程式が生成される。
【0163】
VV ECMO患者の血中酸素飽和度への肺の寄与を組み込んだ2つの物質収支方程式
【0164】
単一の方程式と2つの未知数の解決策は、2番目の方程式を取得することである。これにより、数学的に解くことができる2つの未知数を持つ2つの方程式が提示される。2番目の式を作成するために、体外回路の流量であるECMO流量を変更して、動脈血酸素飽和度SaOの測定可能な変化を示します。この変化は、通常の動作変動またはドリフトよりも大きくなる。
【0165】
体外回路流量の変化は増加または減少である可能性があるが、説明の目的で、動脈酸素飽和度ΔSaOの対応する減少を生成するために減少が使用される。図4および図5に示すように、動脈血酸素飽和度のこの低下は、酸素供給器120からの100%飽和血液成分の流れが少なく、臓器からの酸素化の少ない混合静脈血成分の流れが多いためである。体外流量のこの変化は、2番目の物質収支方程式を作成する。
【0166】
したがって、式19から、
【0167】
CO*SaO2(1) = Qeff(1)*Saox2(1) + (CO-Qeff(1))*S2(1) 式20A
【0168】
CO*SaO2(2) = Qeff(2)*Saox2(2) + (CO-Qeff(2))*S2(2) 式20B
【0169】
2方程式系20Aおよび20Bにおいて、指数「1」および「2」は、それぞれ、体外回路100からの第1の流量および体外回路からの第2の流量に関連するそれぞれの値を示す。上記のように、説明の目的で、体外回路の流量の変化は、Qeff(1)>Qeff(2)と見なされる。すなわち、ポンプ流量を減少させることができ、それによって体外回路の流量を減少させることができる。
【0170】
式20Aおよび式20Bは、体外回路100(ポンプ流)の減少中にCOが変化しないか、またはCOの変化が無視できると仮定している。ただし、現在2つの方程式と3つの未知数:CO、S2(1)およびS2(2)がある。繰り返すが、方程式よりも未知数が多いため、連立方程式を直接解くことはできない。
【0171】
現在のモデリングの次のステップは、S2(1)とS2(2)の間の関係を考慮して、現在の連立方程式の解を近似することである。
【0172】
動脈血酸素飽和度SaOの減少に応じて、混合静脈酸素飽和度Sも変化する可能性があり、これは次のように表すことができる:
【0173】
2(2) = S2(1) - ΔS 式21
【0174】
次に、動脈血酸素飽和度の低下中に、残存肺機能が変化しないか、無視できる程度にしか変化しないと仮定すると、次の式は式18および式21から生成できる:
【0175】
2(2) = S2(1) - ΔS 式22
【0176】
簡単にするために、係数Kは、動脈血酸素飽和度の変化に対する混合静脈酸素飽和度の変化の比率として導入される:
【0177】
【数18】
【0178】
次に、式22は式23に基づいて書き直すことができる:
【0179】
2(2) = S2(1) - K*ΔSaO 式24
【0180】
あるいは、式24は次のように書くことができる:
【0181】
K*ΔSaO= S2(1) - S2(2) 式24B
【0182】
式24は、静脈肺後の酸素飽和度の実際の値がわからなくても、混合静脈酸素飽和度の変化がわかっている場合でも、連立方程式を解くことができることを示している。
【0183】
Kの値がわかっているか推定されている場合は、連立方程式20Aと20Bを解いて、COとS2(1)を計算できる。
【0184】
ただし、静脈酸素飽和度の不確実性によるエラーの数学的モデリングは、動脈血酸素飽和度の低下に応じて変化することが認識されている。
【0185】
動脈血酸素飽和度の低下に応じた静脈酸素飽和度の未知の変化によって生じるエラーは、2つの考えられるケースについて数学的に分析できる。
【0186】
ケース1.前酸素供給器の静脈酸素飽和度は利用できない。
【0187】
ケース2.前酸素供給器の静脈酸素飽和度が利用可能である。
【0188】
前酸素供給器の静脈酸素飽和度が利用できるケース2は、前酸素供給器の酸素飽和度SVOXを定期的に測定するECMOデバイスに関連している。また、一部の診療所では、前酸素供給器の静脈酸素飽和度を測定するために血液サンプルが採取される。中心静脈S2(W)の静脈血の酸素飽和度の真の値は、再循環がわかっている場合、酸素供給器120に入る血液の酸素飽和度SVOX%から推定できる:
【0189】
【数19】
【0190】
採取された血液の酸素飽和度S2(W)が式21の混合Sをどの程度正確に表すかは定かではないが、その動的変化は、式24のKの変化の方向/大きさを選択するのに役立つ。
【0191】
したがって、コントローラは、式1~式25に基づいて心拍出量を計算するように構成でき、さらなる構成では、コントローラは、式4、式9A、式11、式12、式12A、式19、式20A、式20B、式23および式24に基づいて心拍出量を計算するように構成される。
【0192】
指標は、測定可能な血液特性を変化させる物質であると理解されている。インジケータは、血液の測定可能なパラメータを変更する場合がある。例えば、インジケータは、化学的、光学的、電気的、熱的、またはそれらの任意の組み合わせであり得る。特定の指標は、予想される動作環境によって少なくとも部分的に決定される。利用可能な指標には、生理食塩水、温度の上昇または低下、染料、さまざまな同位体が含まれる。温度差の使用は、熱源(酸素供給器120内のヒータなど)または周囲の流れ内のヒートシンクを局所的に作成することによって達成することができる。局所的な温度勾配の作成は、血流に追加の量を導入することなく希釈インジケータを使用できるという利点を提供する。すなわち、温度差は、指示薬の量の導入を伴わずに作成することができる。あるいは、ある量の加熱または冷却された血液が、インジケータとしてインジケータ導入ポート114に導入され得る。体外回路100の構成要素を制御して、体外回路内の流れ内にインジケータを作成または誘導することができることも企図される。例えば、濾過または治療速度またはヒータを十分に変更して、体外回路100内に効果的なインジケータを作成し、それが次に心肺系30を通って移動することができる。
【0193】
説明の目的で、計算(または計算)という用語は、性質、量、または量を評価または推定することを含め、数学的に何かの量または数を決定することを意味する。
【0194】
説明の目的で、測定(または測定)という用語は、標準単位でマークされた機器またはデバイスを使用することによって、または比較することによってなど、(何か)のサイズ、量、または程度を確認することを含む、関連するパラメータの量を意味し、それは、既知のサイズの物体を用いており、測定値は、代表値または代理値または代理パラメータのものであり得る。例えば、患者循環系20に導入された酸素化血流量を測定するために、ポンプ130の設定を使用することができ、別個の流量計を使用することができ、または希釈測定を使用することができる。測定は、計算ステップまたは複数のステップを含むことができることがさらに企図される。
【0195】
本明細書で使用される場合、計算または計算という用語は、数学、数学的プロセス、または方程式を使用して数または量を発見または識別するための手段を計算する。
【0196】
本明細書で使用される場合、サロゲートという用語は、1つ以上の他のパラメータのメトリックとして使用されるパラメータである。したがって、説明の目的で、特定のパラメータが測定されたものとして記載されている場合、そのような測定は、本システムから逸脱することなく、測定されたパラメータまたは代理パラメータの代表を含むと理解される。したがって、血流、再循環、または酸素飽和度の測定には、関連する代表的なパラメータの測定と、代理パラメータの測定が含まれることが理解される。例えば、動脈血酸素飽和度の代わりに、酸素含有量(血漿などの血液の他の部分からの寄与を含み得る)を測定できることが理解されている。本分析は酸素飽和度の観点から説明されているが、酸素含有量を使用することができ、記載されている酸素飽和度は酸素飽和度および酸素含有量を包含することが意図されている。
【0197】
本発明の方法および方程式は酸素飽和度に関して説明されているが、血液酸素飽和度の代わりに他のパラメータおよび/または血液のガスを使用できることが理解される。すなわち、血液が体外回路100内のポンプ130によってポンプで送られるとすぐに、血液の物理的/化学的特性は、静脈を流れる血液とは異なるであろう。例えば、血液が酸素供給器120内で冷却(または加熱)され、体内を流れる血液温度が体温である場合、動脈内の温度を測定すると、記録された温度は混合物であり、熱バランスの類似の概念を適用することができる。
【0198】
さらに、患者が人工呼吸器を使用している場合、呼吸数を変更して(減少させるか、一時的に停止させることさえ)、それぞれの血流に対応する測定対象の血液パラメータに変更を与えることができると考えられる。
【0199】
したがって、一構成では、本システムは、体外回路100から少なくとも第1の異なる第2の血流速度を提供することを含み、血液パラメータは、第1の流れ中または第1の流量に対応する患者循環系20の動脈側または第2の流量の間または対応する、ならびに第1および第2の流量のそれぞれに対応する再循環で測定される。上記の式で説明したように、これらの値を使用してCOを計算できる。
【0200】
本開示は、特に一実施形態を参照して詳細に説明されてきたが、変更および修正は、本開示の精神および範囲内で実施され得ることが理解されるであろう。したがって、現在開示されている実施形態は、すべての点で例示的であり、限定的ではないと見なされる。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によって示され、その同等物の意味および範囲内にあるすべての変更は、そこに含まれることが意図されている。
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
実施形態1
静脈静脈体外式血液酸素供給を受けている患者の心拍出量を計算するための方法であって、前記方法が、
(a)体外式血液酸素供給回路から患者循環系の静脈部分への第1の血流量を確立することと、
(b)前記第1の血流量を測定することと、
(c)前記第1の血流量に対応する前記患者循環系の一部における血液パラメータの第1の値を測定することと、
(d)前記第1の血流量に対応する前記体外式血液酸素供給回路内の第1の再循環を測定することと、
(e)前記体外式血液酸素供給回路から患者循環系の前記静脈部分への第2の血流量を確立することと、
(f)前記第2の血流量を測定することと、
(g)前記第2の血流量に対応する前記患者循環系の前記部分における前記血液パラメータの第2の値を測定することと、
(h)前記第2の血流量に対応する前記体外式血液酸素供給回路における第2の再循環を測定することと、
(i)前記第1の血流量、前記第2の血流量、前記血液パラメータの前記第1の値、前記血液パラメータの前記第2の値、前記第1の再循環および前記第2の再循環に対応する前記患者の心拍出量を計算することと、
を含む、方法。
実施形態2
前記体外式血液酸素供給回路からの前記第1の血流量中に前記血液パラメータの前記第1の値を測定することをさらに含む、実施形態1に記載の方法。
実施形態3
前記第1の再循環および前記第2の再循環のうちの1つを測定するために、第1の希釈センサを前記体外回路に動作可能に接続することをさらに含む、実施形態1に記載の方法。
実施形態4
前記血液パラメータが前記患者の動脈血酸素飽和度である、実施形態1に記載の方法。
実施形態5
前記血液パラメータの前記第1の値を測定することが、前記患者の動脈部分における前記血液パラメータの前記第1の値を測定することを含む、実施形態1に記載の方法。
実施形態6
前記第1の血流量を測定する方ことと、前記血液パラメータの前記第1の値を測定することと、前記第1の再循環を測定することと、前記第2の血流量を測定することと、前記血液パラメータの前記第2の値を測定することと、前記第2の再循環を測定することの一つが、代理パラメータを測定することと、を含む、実施形態1に記載の方法。
実施形態7
前記計算された心拍出量を、前記肺を通過した後の混合静脈血の酸素飽和度と、前記測定された第1の血流量および前記測定された第2の血流量のうちの少なくとも1つに対応する前記体外回路内の酸素供給器を通過する前の前記体外回路内の前記血液の前記酸素供給飽和度のうちの1つに対応する量だけ調整することをさらに含む、実施形態1に記載の方法。
実施形態8
静脈静脈体外式酸素供給を受けている患者の心拍出量を計算するための方法であって、前記方法が、
(a)患者循環系の第1の静脈部分から血液を採取して、前記採取された血液を「静脈静脈体外回路に通し、前記静脈静脈対外回路回路には、アクセスライン、戻りライン、および前記アクセスライン、前記戻りラインの中間の血液酸素供給器を有し、前記採取された血液が前記アクセスラインを通って前記戻り体外回路に入り、前記戻りラインを通って患者に戻されることと、
(b)前記採取された血液を前記アクセスラインおよび前記血液酸素供給器を通過させて、酸素化血液を形成することと、
(c)前記酸素化された血液を、前記血液酸素供給器から前記戻りラインを通過させることと、
(d)前記酸素化された血液を前記戻りラインから前記患者循環系の第2の静脈部分に導入することと、
(e)前記体外回路を通る第1の血流量を測定することと、
(f)前記患者の動脈血酸素飽和度を測定することと、
(g)前記患者の静脈酸素飽和度を測定することと、
(h)前記測定された第1の血流量、前記測定された動脈酸素飽和度および前記測定された静脈酸素飽和度に対応する前記患者の心拍出量を計算することと、
を含む、方法。
実施形態9
前記第1の血流量が、インジケータ希釈によって測定される、実施形態8に記載の方法。
実施形態10
動脈血酸素飽和度を測定することが、パルスオキシメータによって前記動脈血酸素飽和度を測定することを含む、実施形態8に記載の方法。
実施形態11
再循環の量を測定し、前記再循環の量に対応して前記計算された心拍出量を調整することをさらに含む、実施形態8に記載の方法。
実施形態12
前記第1の静脈部分と前記第2の静脈部分が異なる、実施形態8に記載の方法。
実施形態13
前記第1の静脈部分と前記第2の静脈部分が同一の広がりを有する、実施形態8に記載の方法。
実施形態14
前記体外回路を通る第1の血流量を測定することが、前記アクセスライン、前記血液酸素供給器、および前記戻りラインのうちの少なくとも1つにおける血流量を測定することを含む、実施形態8に記載の方法。
実施形態15
前記第1の血流量を測定すること、前記動脈酸素飽和度を測定すること、および前記静脈酸素飽和度を測定することのうちの少なくとも1つが、代理パラメータを測定することを含む、実施形態8に記載の方法。
実施形態16
前記回収された血液を通過させることが、前期回収された血液を圧送することを含む、実施形態8に記載の方法。
実施形態17
前記肺を通過した後の混合静脈血の酸素飽和度に対応する量、および前記患者の心肺系を通過する前に前記体外回路に引き出された酸素化血液の再循環量によって前記計算された心拍出量を調整することをさらに含む、実施形態8に記載の方法。
実施形態18
静脈静脈体外式酸素供給を受けている患者の心拍出量を計算するための方法であって、前記方法が、
(a)体外式酸素供給回路によって患者循環系の静脈部分に送達される酸素化血液の第1の血流量に対応する第1の動脈酸素飽和度を測定することと、
(b)前記体外式酸素供給回路によって前記患者循環系の前記静脈部分に送達される前記酸素化血液の第2の血流量に対応する第2の動脈酸素飽和度を測定することと、
(c)心拍出量の計算値を、前記最初に測定された動脈酸素飽和度と前記第2の測定された動脈酸素飽和度との間の差に対応する量によって計算された心拍出量の値を調整することであって、前記心拍出量の前記計算値が、前記第1の測定された動脈酸素飽和度、前記第2の測定された動脈血酸素飽和度、前記第1の血流量および前記第2の血流量に基づくことと、
を含む、方法 。
実施形態19
前記第1の血流量中の第1の測定された再循環および前記第2の血流速量中の第2の測定された再循環に対応する心拍出量の値を計算することをさらに含む、実施形態18に記載の方法。
実施形態20
前記心拍出量の値をその量だけ調整することが、前記心拍出量の前記値を、前記第1の測定された動脈酸素飽和度と前記第2の測定された動脈酸素飽和度との間の差に比例する量だけ調整することを含む、実施形態18に記載の方法。
図1
図2
図3
図4
図5