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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-12
(45)【発行日】2023-05-22
(54)【発明の名称】退避装置
(51)【国際特許分類】
   B66D 1/16 20060101AFI20230515BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20230515BHJP
【FI】
B66D1/16 A
G08G1/16 C
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2022042068
(22)【出願日】2022-03-17
【審査請求日】2022-03-17
(73)【特許権者】
【識別番号】501098061
【氏名又は名称】株式会社サンエイ
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】東 利保
【審査官】吉川 直也
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第210293702(CN,U)
【文献】特開2008-39686(JP,A)
【文献】実開昭62-105996(JP,U)
【文献】特開2019-14362(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-1934076(KR,B1)
【文献】特開2017-9479(JP,A)
【文献】実開昭61-193480(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66D 1/00-5/34
G08G 1/16
G01M 7/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の車両検出位置を車両が通ったことを検出する車両センサと、
走行する前記車両から退避させる対象物である退避対象物に接続される接続部材と、
前記接続部材を巻き取り可能なリールと、
前記リールに回転力を伝達可能なモータと、
前記モータと前記リールとの間での回転力の伝達を切断する切断状態、および、前記モータと前記リールとの間で回転力を伝達させる伝達状態、に切り換えるクラッチと、
前記車両検出位置を前記車両が通ったことを前記車両センサが検出したときに、前記クラッチを前記切断状態から前記伝達状態に切り換えるクラッチ制御部と、
を備える、
退避装置。
【請求項2】
請求項1に記載の退避装置であって、
前記クラッチ制御部は、前記クラッチを前記伝達状態に切り換えた後、前記クラッチ制御部に設定されたクラッチ解除条件が満たされた時に、前記クラッチを前記切断状態に切り換える、
退避装置。
【請求項3】
請求項2に記載の退避装置であって、
前記クラッチ解除条件は、前記クラッチ制御部が前記クラッチを前記伝達状態に切り換えた後、前記クラッチ制御部に設定された所定時間が経過したことを含む、
退避装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の退避装置であって、
前記モータの出力軸、前記クラッチの回転軸、および前記リールの回転軸は、同一直線上に並ぶように配置される、
退避装置。
【請求項5】
請求項1~3のいずれか1項に記載の退避装置であって、
前記モータに回転させられるフライホイールを備え、
前記フライホイールは、前記クラッチが前記伝達状態のときに前記フライホイールから前記リールに回転力が伝達されるように構成される、
退避装置。
【請求項6】
請求項5に記載の退避装置であって、
前記モータの出力軸、前記クラッチの回転軸、前記リールの回転軸、および前記フライホイールの回転軸は、同一直線上に並ぶように配置される、
退避装置。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の退避装置であって、
前記モータは、電動機であり、
前記クラッチは、電磁クラッチである、
退避装置。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載の退避装置であって、
前記リール、前記モータ、前記クラッチ、および前記クラッチ制御部が搭載された台車部を備える、
退避装置。
【請求項9】
請求項8に記載の退避装置であって、
前記モータ、前記クラッチ、および前記クラッチ制御部の少なくともいずれかのエネルギー源である動力源を備え、
前記動力源は、前記台車部に搭載される、
退避装置。
【請求項10】
請求項9に記載の退避装置であって、
前記動力源は、電力を蓄えるバッテリを備え、
前記バッテリを充電する充電装置を備え、
前記充電装置は、前記台車部に搭載される、
退避装置。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか1項に記載の退避装置であって、
前記リール、前記モータ、前記クラッチ、および前記クラッチ制御部を、上および水平方向から覆うとともに収納する収納部を備える、
退避装置。
【請求項12】
請求項11に記載の退避装置であって、
前記モータ、前記クラッチ、および前記クラッチ制御部の少なくともいずれかのエネルギー源である動力源を備え、
前記動力源は、前記収納部に収納される、
退避装置。
【請求項13】
請求項12に記載の退避装置であって、
前記動力源は、電力を蓄えるバッテリを備え、
前記バッテリを充電する充電装置を備え、
前記充電装置は、前記収納部に収納される、
退避装置。
【請求項14】
請求項11~13のいずれか1項に記載の退避装置であって、
前記収納部は、前記収納部の下側部分を構成する収納部底部を備え、
前記収納部底部は、前記収納部の内部と外部とを連通する通気孔を備える、
退避装置。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか1項に記載の退避装置であって、
前記退避対象物は、人形である、
退避装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、退避対象物を退避させる退避装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に、モータ、クラッチ、およびリールを備える装置が記載されている。同文献に記載の装置では、モータの回転力がクラッチを介してリールに伝えられ、リールがロープを巻き取る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-077047号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、走行する車両の前方に配置された物体と、車両と、の接触を抑制できる装置が望まれている。
【0005】
そこで、本発明は、走行する車両の前方に配置された物体と、車両と、の接触を抑制することができる退避装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
退避装置は、車両センサと、接続部材と、リールと、モータと、クラッチと、クラッチ制御部と、を備える。前記車両センサは、所定の車両検出位置を車両が通ったことを検出する。前記接続部材は、走行する前記車両から退避させる対象物である退避対象物に接続される。前記リールは、前記接続部材を巻き取り可能である。前記モータは、前記リールに回転力を伝達可能である。前記クラッチは、前記モータと前記リールとの間での回転力の伝達を切断する切断状態、および、前記モータと前記リールとの間で回転力を伝達させる伝達状態、に切り換える。前記クラッチ制御部は、前記車両検出位置を前記車両が通ったことを前記車両センサが検出したときに、前記クラッチを前記切断状態から前記伝達状態に切り換える。
【発明の効果】
【0007】
上記構成により、走行する車両の前方に配置された物体と、車両と、の接触を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】退避装置1などを上から見た図であり、退避対象物15が退避する前の状態を示す図である。
図2図1に示す退避対象物15が退避した後の状態を示す図1相当図である。
図3図1に示す退避装置1のブロック図である。
図4図1に示す駆動ユニット20を収納部前側X1から見た図である。
図5図4に示す駆動ユニット20を上側Z1から見た図である。
図6図4のF6矢視図である。
図7図4に示す駆動装置40の斜視図である。
図8図4に示す駆動装置40を収納部前側X1から見た図である。
図9図8に示す駆動装置40を収納部前側X1から見た断面図である。
図10図8に示す駆動装置40を上側Z1から見た図である。
図11図8のF11矢視図である。
図12】第2実施形態の退避装置201の駆動装置240を収納部前側X1から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1実施形態)
図1図11を参照して、第1実施形態の退避装置1について説明する。
【0010】
退避装置1(車両検知式自動巻取装置)は、図1に示すように、車両Cに対して退避対象物15を退避させ、退避対象物15と車両Cとの接触を抑制する装置である。退避装置1は、車両センサ11と、退避対象物15と、駆動ユニット20と、を備える。
【0011】
車両センサ11は、所定の車両検出位置P11を車両Cが通ったことを検出(検知、感知)する。車両検出位置P11は、退避対象物配置位置P15(後述)よりも車両走行方向手前側B(後述)の位置である。車両センサ11は、車両Cと接触しない位置(例えば道路Rの近傍など)に配置される。車両センサ11は、非接触センサである。例えば、車両センサ11は、光を用いたセンサ(光電管センサ、レーザセンサなど)でもよい。例えば、車両センサ11は、電波を用いたセンサなどでもよい。例えば、車両センサ11は、発光部11a(または発信部)と、受光部11b(または受信部)と、を備える。車両センサ11は、発光部11aと受光部11bとが道路Rの幅以上(例えば30m以上など)離れても車両Cを検出可能に構成される。図3に示すように、車両センサ11は、検出結果を示す信号を、制御部80(後述)に送信する。車両センサ11から制御部80への信号の送信は、無線通信により行われてもよく、有線通信により行われてもよい。図1に示すように、例えば、車両センサ11は、センサ台11cに設置される。センサ台11cは、車両センサ11が設置される台である。センサ台11cは、車両Cが走行する地面(例えば道路R)よりも高い位置に車両センサ11を配置するためのものである。例えば、センサ台11cは、1または複数の脚部を有する台(例えば三脚)でもよく、脚立でもよく、箱状の台などでもよい。
【0012】
退避対象物15は、走行する車両Cから退避させる物(退避の対象となる物)である。退避対象物15は、退避対象物配置位置P15に配置される(図2参照)。退避対象物配置位置P15は、退避前の退避対象物15が配置される位置である。退避対象物配置位置P15は、車両Cが通ろうとしている位置(例えば道路R上)の位置である。例えば、退避対象物15は、人形(人間と同様の形態のもの)でもよい(退避装置1は、人形退避装置でもよい)。例えば、退避対象物15は、人形以外のものでもよく、例えば人間以外の動物と同様の形態のものでもよい。退避対象物15は、動物(人間を含む)と同様の形態のものである必要はない。
【0013】
駆動ユニット20は、退避対象物15を退避させる装置である。駆動ユニット20は、退避対象物配置位置P15の近傍(例えば道路Rの近傍)に配置される。図4に示すように、駆動ユニット20は、収納台車部30と、駆動装置40と、図5に示す接続部材71と、接続部材ガイド部材72と、モータ操作部73と、動力源74と、図6に示す充電装置75と、制御部80と、を備える。
【0014】
収納台車部30は、図4に示すように、駆動装置40などを収納し、駆動装置40などの移動を容易にする。収納台車部30は、収納部31と、台車部33と、接続部材繰出孔35と、外部電源接続部37と、を備える。
【0015】
収納部31は、駆動装置40などが収納される部分である。収納部31には、図5に示す接続部材71の一部または全部、接続部材ガイド部材72、図6に示す動力源74、充電装置75、および制御部80、の少なくともいずれか(例えば全部)が収納される。収納部31には、モータ操作部73(図5参照)が収納されてもよい。図4に示すように、収納部31は、箱状である(収納箱である)。例えば、収納部31は、直方体または略直方体状である。収納部31は、防水性を有することが好ましい。さらに詳しくは、収納部31は、例えば降水時などでも、収納部31の内部に水が入らない、または入りにくいように構成されることが好ましい。具体的には、収納部31は、収納部31に収納されるものを、上側Z1および水平方向(さらに詳しくは収納部前後方向Xおよび収納部横方向Y)から覆うように構成される。収納部31は、収納部本体31aと、収納部扉部31bと、を備える。
【0016】
(収納部31などに関する方向)
図5に示すように、収納部31から接続部材71が繰り出されるところ、収納部31から繰り出された接続部材71の長手方向を、収納部前後方向Xとする。収納部前後方向Xにおいて、リール57に対して接続部材71が繰り出される側を収納部前側X1とし、その逆側を収納部後側X2とする。鉛直方向を上下方向Z(上側Z1、下側Z2)とする。上下方向Zおよび収納部前後方向Xに直交する方向を、収納部横方向Yとする。
【0017】
収納部本体31aは、略箱状の部分である。収納部本体31aは、収納部底部31a1と、通気孔31a2と、を備える。収納部底部31a1は、収納部31の底部(下側Z2部分)である(図4参照)。収納部底部31a1は、例えば板状(底板)である。通気孔31a2は、収納部31の内部と外部とを連通する孔(通風孔、連通孔)である。例えば、通気孔31a2は、収納部31の内部の温度が高くなりすぎることを抑制するために設けられる。通気孔31a2は、収納部底部31a1に設けられ(形成され)、例えば収納部底部31a1に複数設けられる。通気孔31a2は、収納部31のうち収納部底部31a1のみに設けられる場合は、例えば降水時などでも、通気孔31a2から収納部31の内部に水が入りにくい。通気孔31a2は、収納部底部31a1の全体に設けられてもよく、一部のみに設けられてもよい。例えば、収納部底部31a1が金属板である場合は、通気孔31a2を有する収納部底部31a1は、パンチングメタルなどである。なお、収納部底部31a1は金属である必要はない。図5では、複数の通気孔31a2のうち一部のみを図示し、1つの通気孔31a2のみに符号を付した。
【0018】
収納部扉部31bは、収納部本体31aに開閉可能に取り付けられる。収納部扉部31bは、収納部本体31aの外部から内部にアクセス可能(作業者の手がアクセス可能)となるように構成される。収納部扉部31bが設けられることで、収納部31の内部の機器のメンテナンス(点検、修理、交換など)が容易になる。収納部扉部31bは、収納部本体31aのどの位置に設けられてもよい。収納部扉部31bは、収納部本体31aの収納部前側X1部分および収納部後側X2部分の少なくともいずれかに設けられてもよい。収納部扉部31bは、収納部本体31aの収納部横方向Yの少なくとも一方側部分(例えば側面)に設けられてもよく、収納部本体31aの上下方向Zの少なくとも一方側部分(上側Z1部分または収納部底部31a1)に設けられてもよい。なお、図5などでは、閉じた状態の収納部扉部31bと収納部本体31aとの間に隙間をあけて図示したが、閉じた状態の収納部扉部31bと収納部本体31aとの間には隙間が設けられなくてもよい。この隙間がない、または少ないことにより、収納部31の防水性を確保することができる。
【0019】
台車部33は、図4に示すように、駆動ユニット20を容易に移動(運搬)可能とする。台車部33には、駆動装置40が搭載される。例えば、台車部33には、図8に示すモータ51、リール57、クラッチ61、およびフライホイール63が搭載される。例えば、図6に示すように、台車部33には、制御部80(例えばクラッチ制御部83など)が搭載されてもよく、動力源74が搭載されてもよく、充電装置75が搭載されてもよい。台車部33は、台部33aと、車輪部33bと、を備える。台部33aは、駆動装置40などが搭載される台である。台部33aは、収納部31の下側Z2部分(収納部底部31a1)と兼用されてもよい。台部33aは、収納部31と一体的に構成されてもよい。台部33aは、収納部31とは別体(例えば取り付け可能)でもよい。車輪部33bは、台部33aよりも下側Z2に配置される。車輪部33bは、台部33aの下側Z2の面に取り付けられる。車輪部33bは、複数(例えば4つなど)設けられる。例えば、車輪部33bは、キャスターでもよい。さらに詳しくは、車輪部33bの回転軸の方向は、台部33aに対して水平方向に回転可能でもよい。車輪部33bは、台部33aに対して回転可能な状態と回転不可能な状態(ロック状態)とに切り換え可能でもよい。この場合、台車部33の移動を制限するための部材(例えば車輪止め)を、台車部33とは別に用意する必要性を減らすことができる。
【0020】
接続部材繰出孔35は、図5に示すように、収納台車部30(さらに詳しくは収納部31)の内部から外部に、接続部材71を繰り出し可能な孔である。接続部材繰出孔35は、収納部31を収納部前後方向Xに貫通する孔である。接続部材繰出孔35は、収納部31(例えば収納部本体31a)の収納部前側X1部分に設けられる。図4に示すように、接続部材繰出孔35は、収納部前後方向Xから見たときに、リール57の巻胴部57a1(図8参照、後述)の下側Z2の端部と重なる位置、または略重なる位置に配置される。
【0021】
外部電源接続部37は、外部電源(図示なし)と電気的に接続可能である。外部電源接続部37は、動力源74(図6参照、後述)が電力である場合に設けられてもよい。具体的には例えば、外部電源接続部37は、交流100V電源と接続するコネクタなどである。外部電源接続部37は、収納部31に設けられる。外部電源接続部37は、収納部31のどの部分に設けられてもよく、例えば収納部31(例えば収納部本体31a)の収納部前側X1部分などに設けられてもよい。
【0022】
駆動装置40は、接続部材71(図5参照)を巻き取る装置である。例えば、駆動装置40は、収納部31に収納される。図8に示すように、駆動装置40は、フレーム41と、カバー43と、モータ51と、駆動軸53と、図9に示す駆動軸支持部55と、リール57と、リール軸支持部59と、クラッチ61と、フライホイール63と、カラー65と、を備える。
【0023】
(駆動装置40に関する方向)
図8に示すように、リール57の回転軸が延びる方向を、軸方向Aとする。例えば、軸方向Aは、収納部横方向Yと一致または略一致する。軸方向Aの一方側、例えば軸方向Aにおけるモータ51に対するリール57側を、軸方向リール側A2(軸方向A一方側)とする。軸方向Aにおける軸方向リール側A2とは逆側を、軸方向モータ側A1(軸方向A他方側)とする。なお、「軸方向リール側A2」「軸方向モータ側A1」は、図8などに示す駆動装置40を説明するために便宜上付した名称に過ぎない。後述するように、リール57とモータ51とは同軸に配置される必要はない。
【0024】
フレーム41は、モータ51、リール57、およびクラッチ61などを支持する。フレーム41は、駆動軸53を支持してもよく、フライホイール63を支持してもよい。フレーム41の構造は、様々に設定可能である。以下では、図7などに示すフレーム41について説明する。フレーム41は、ベース部41aと、ブラケット41bと、ブラケット連結部41cと、モータ台41dと、を備える。
【0025】
ベース部41aは、フレーム41の下側Z2部分に設けられ、駆動装置40の下側Z2部分に設けられる。図4に示すように、ベース部41aは、収納台車部30に固定され、例えば収納部底部31a1に固定され、例えば台部33aに固定される。ベース部41aは、例えば締結部材(ボルトなど)により着脱可能に収納台車部30に固定される。ベース部41aは、例えば溶接などにより着脱不可能に収納台車部30に固定されてもよい。ある部材が、この部材とは異なる部材に着脱可能に固定(例えば締結部材により固定)されても、着脱不可能に固定(例えば溶接により固定)されてもよいことは、他の部材同士の「固定」についても同様である。図7に示すように、ベース部41aは、例えば板状(ベースプレート)であり、例えば上下方向Zに直交する方向に延びるように設けられる。
【0026】
ブラケット41bは、図9に示すように、駆動軸53などを支持する。例えば、ブラケット41bは、駆動軸支持部55を介して駆動軸53を支持する。図7に示すように、ブラケット41bは、ベース部41aから上側Z1に突出するように設けられる。ブラケット41bは、1つのみ設けられてもよく、複数設けられてもよい。ブラケット41bは、例えば板状などであり、例えば軸方向Aに直交する方向に延びるように設けられる。例えば、ブラケット41bは、モータ側ブラケット41b1と、リール側ブラケット41b2と、を備える。モータ側ブラケット41b1とリール側ブラケット41b2とは、軸方向Aに互いに間隔をあけて配置される。リール側ブラケット41b2は、モータ側ブラケット41b1よりも軸方向リール側A2に配置される。モータ側ブラケット41b1およびリール側ブラケット41b2のそれぞれは、ベース部41aに固定される。
【0027】
ブラケット連結部41cは、ブラケット41bの構成要素が複数設けられる場合に、ブラケット41bの複数の構成要素どうしをつなぐ(連結する)ように設けられる。例えば、ブラケット連結部41cは、モータ側ブラケット41b1とリール側ブラケット41b2とをつなぐように設けられる。例えば、ブラケット連結部41cは、モータ側ブラケット41b1およびリール側ブラケット41b2のそれぞれの上側Z1部分に固定される。例えば、ブラケット連結部41cは、柱状(円柱状、角柱状など)、棒状などでもよい。なお、ベース部41aは、ブラケット連結部41cに含まれてもよい。
【0028】
モータ台41dは、カップリング収納部41d1と、蓋部41d2と、モータ取付部41d3と、を備える。
【0029】
カップリング収納部41d1は、図8に示すように、カップリング53a(後述)が収納される部分である。カップリング収納部41d1は、ブラケット41b(さらに詳しくはモータ側ブラケット41b1)から軸方向モータ側A1に突出するように設けられる。カップリング収納部41d1は、ブラケット41b(さらに詳しくはモータ側ブラケット41b1)に固定される。カップリング収納部41d1は、カップリング53aを覆うような形状を有する。カップリング収納部41d1は、例えば筒状などであり、図7に示す例では、軸方向Aに延びる軸を中心軸とする円筒または略円筒状である。
【0030】
蓋部41d2は、カップリング収納部41d1の蓋である。蓋部41d2は、カップリング収納部41d1の外部から内部にアクセス可能(作業者の手がアクセス可能)となるように構成される。蓋部41d2が設けられることで、カップリング収納部41d1の内部の機器(具体的にはカップリング53a(図8参照))のメンテナンス(点検、修理、交換など)が可能になる。蓋部41d2は、カップリング収納部41d1に開閉可能(たとえば着脱可能)に取り付けられる。図10に示すように、蓋部41d2は、複数(図10では2つ)設けられてもよく、1つのみ設けられてもよい。
【0031】
モータ取付部41d3は、モータ51が取り付けられる部分である。モータ取付部41d3は、モータ台41dの軸方向モータ側A1の端部に設けられる。例えば、図9に示すように、モータ取付部41d3は、モータ出力軸51aを通すことが可能な孔を有する。例えば、モータ取付部41d3は、板状または略板状などであり、軸方向Aに直交する方向に延びるように設けられる。
【0032】
カバー43(図4参照)は、図8に示すように、駆動装置40の回転部分を覆う。例えば、カバー43は、クラッチ61を覆ってもよく、フライホイール63を覆ってもよい。カバー43は、図8に示す例のようにリール57を覆わなくてもよく、リール57を覆ってもよい。カバー43およびベース部41aは、駆動装置40の回転部分(例えばクラッチ61およびフライホイール63)を囲うように配置される。例えば、カバー43は、フレーム41に固定され、具体的には例えば、ベース部41a、モータ側ブラケット41b1、およびリール側ブラケット41b2の少なくともいずれかに固定される。
【0033】
モータ51は、リール57に回転力を伝達可能である。さらに詳しくは、モータ51は、クラッチ61を介してリール57に回転力を伝達可能である。モータ51は、フレーム41(さらに詳しくはモータ取付部41d3)に固定される。モータ51は、電力により駆動するもの(電動機)でもよい。この場合、モータ51は、直流電動機でもよく、交流電動機でもよく、その他の電動機でもよい。具体的には例えば、モータ51は、バッテリ74b(図6参照)により駆動してもよい。モータ51は、熱機関でもよく、燃焼ガスにより駆動するもの(エンジン)でもよい。モータ51は、流体圧により駆動するもの(流体機械)でもよく、例えば油圧モータなどでもよい。モータ51は、減速機を内蔵するギアモータ(ギアードモータ)でもよい。なお、モータ51の回転を減速する減速機が、モータ51の外部に設けられてもよく、減速機が設けられなくてもよい。モータ51は、サーボ機構を備えるサーボモータでもよい。モータ51は、モータ出力軸51aを備える。モータ出力軸51aは、モータ51の駆動により回転する。
【0034】
駆動軸53は、図9に示すように、モータ51の回転力を伝える軸である。駆動軸53は、カップリング53aと、駆動軸本体53bと、駆動軸先端部53cと、を備える。
【0035】
カップリング53aは、モータ出力軸51aと駆動軸本体53bとを接続する。カップリング53aの構造は様々に設定可能であり、図9に示す例では樹脂のスペーサを含むジョータイプである。カップリング53aは、モータ51よりも軸方向リール側A2に配置される。なお、カップリング53aは設けられなくてもよく、モータ出力軸51aが駆動軸53(さらに詳しくは駆動軸本体53b)と兼用されてもよい。
【0036】
駆動軸本体53bは、クラッチ61のロータ61b(後述)などが取り付けられる部分である。例えば、駆動軸本体53bは、モータ出力軸51aと同軸または略同軸に配置される。例えば、駆動軸本体53bは、カップリング53aよりも軸方向リール側A2に配置される。例えば、駆動軸本体53bは、軸方向Aに延びるように設けられる。例えば、駆動軸本体53bは、略円柱状の部材などである。
【0037】
駆動軸先端部53cは、駆動軸本体53bの軸方向リール側A2の端部に設けられる部材である。駆動軸先端部53cは、リール軸支持部59を、軸方向リール側A2から押さえる。例えば、駆動軸先端部53cは、板状など(エンドプレート)であり、軸方向Aに直交する方向に延びるように設けられる。駆動軸先端部53cは、駆動軸本体53bに固定される。
【0038】
駆動軸支持部55は、フレーム41に対して駆動軸53を回転可能に支持する。例えば、駆動軸支持部55は、ブラケット41b(さらに詳しくは、モータ側ブラケット41b1およびリール側ブラケット41b2)に対して駆動軸53を回転可能に支持する。駆動軸支持部55は、軸受を備える。駆動軸支持部55は、転がり軸受を備えてもよく、その他の軸受けを備えてもよい。上記の転がり軸受は、例えば玉軸受け(例えば深溝玉軸受け)でもよく、ころ軸受でもよく、その他の転がり軸受でもよい。
【0039】
リール57は、図7に示すように、接続部材71を巻き取り可能である。リール57は、接続部材71が巻かれる(巻き回される)部材である。リール57は、モータ51から回転力が伝わる場合は、フレーム41対して回転する。リール57は、リール本体57aと、接続部材固定部57b(図11参照)と、を備える。
【0040】
リール本体57aは、接続部材71が巻かれる部分である。リール本体57aは、フレーム41に対して回転可能(回転自在)である。例えば、リール本体57aは、駆動軸53に対して回転可能(回転自在)である。具体的には例えば、図9に示すように、リール本体57aは、リール軸支持部59を介して駆動軸53に取り付けられる。リール本体57aが駆動軸53に取り付けられる場合は、クラッチ61を回転させる軸(すなわち駆動軸53)と、リール本体57aを支持する軸(すなわち駆動軸53)と、が兼用される。また、モータ51の回転力を伝える軸(すなわち駆動軸53)と、リール本体57aを支持する軸(すなわち駆動軸53)と、が兼用される。例えば、リール本体57aは、駆動軸53の軸方向リール側A2の端部に設けられる。リール本体57aは、略円筒状でもよく、略円柱状でもよい。図7に示すように、リール本体57aは、略円盤状でもよく、プーリ(巻取プーリ)でもよい。リール本体57aは、ドラム状でもよい。リール本体57aは、巻胴部57a1と、フランジ部57a2と、接続部材通し孔57a3と、を備える。図8に示すように、巻胴部57a1は、接続部材71が巻かれる部分であり、略円筒状などの部分である。フランジ部57a2は、接続部材71が巻胴部57a1から軸方向Aに外れることを防ぐ部分である。フランジ部57a2は、巻胴部57a1から径方向外側(リール57の回転軸から離れる側)に突出するように設けられる。フランジ部57a2は、軸方向Aに間隔をあけて複数(2つ)設けられ、例えば、リール本体57aの軸方向Aの両端部に設けられる。図11に示すように、接続部材通し孔57a3は、接続部材71が通される孔である。接続部材通し孔57a3は、フランジ部57a2に形成される。
【0041】
接続部材固定部57bは、リール本体57aに接続部材71を固定する部分である。例えば、接続部材固定部57bは、接続部材71の両端部のうち、退避対象物15(図1参照)が取り付けられる側とは反対側の端部(または略端部)をリール本体57aに固定するためのものである。接続部材固定部57bは、退避対象物15(図1参照)が接続部材71から取り外された後に、接続部材71の両端部のうち退避対象物15が取り付けられていた側の端部をリール本体57aに固定するために用いられてもよい。例えば、接続部材固定部57bは、リール本体57aの側面(軸方向A外側の面)に設けられる。例えば、接続部材固定部57bは、巻胴部57a1から、接続部材通し孔57a3を通され、フランジ部57a2よりも軸方向A外側(軸方向リール側A2)に引き出された接続部材71を、リール本体57aに固定する。例えば、接続部材固定部57bは、リール本体57aと接続部材固定部57bとで接続部材71を挟むことで、接続部材71をリール本体57aに固定する。なお、接続部材固定部57bによる接続部材71の固定は様々な方法で行うことが可能である。
【0042】
リール軸支持部59は、図9に示すように、フレーム41に対してリール57を回転自在に支持する。例えば、リール軸支持部59は、駆動軸53に対してリール57を回転自在に支持する。例えば、リール軸支持部59は、駆動軸53に取り付けられる。リール軸支持部59は、軸受である(軸受の具体例は、駆動軸支持部55の説明を参照)。
【0043】
クラッチ61は、モータ51とリール57との間での回転力の伝達の有無を切り換える。クラッチ61は、クラッチ61の状態(駆動装置40の状態)を、「伝達状態」と「切断状態」とに切り換える。伝達状態は、モータ51とリール57との間で回転力を伝達させる状態(クラッチ61をつないだ状態)である。切断状態は、モータ51とリール57との間での回転力の伝達を切断する状態(クラッチ61を切った状態)である。例えば、クラッチ61は、電磁石により(励磁により)作動する電磁クラッチでもよい。クラッチ61は、流体圧により作動する流体圧クラッチでもよく、機械式クラッチでもよい。クラッチ61の配置は、様々に設定可能である。図9に示す例では、クラッチ61は、モータ51よりも軸方向リール側A2に配置され、リール57よりも軸方向モータ側A1に配置され、ブラケット41bよりも軸方向リール側A2に配置される。クラッチ61の構造は、様々に設定可能である。以下では、主に、図9に示す、電磁クラッチであるクラッチ61の一例について説明する。クラッチ61は、ステータ61aと、ロータ61bと、アーマチュア61cと、を備える。
【0044】
ステータ61aは、フレーム41に固定され、例えばブラケット41b(さらに詳しくはリール側ブラケット41b2)に固定される。ステータ61aは、コイル61a1(巻線)を備える。
【0045】
ロータ61bは、駆動軸53と一体的に回転するように、駆動軸53に固定(例えばキーにより固定)される。ロータ61bは、ステータ61aとの間に隙間(少なくとも軸方向Aの隙間)をあけて配置される。ロータ61bは、ステータ61aと軸方向Aに対向する位置に配置される。例えば、ロータ61bは、ステータ61aよりも軸方向リール側A2に配置される。
【0046】
アーマチュア61cは、コイル61a1の状態(励磁または非励磁)に応じて、ステータ61aに対して移動する。アーマチュア61cは、コイル61a1の状態に応じて、コイル61a1に近づく、または、コイル61a1から離れる。アーマチュア61cは、リール57(例えば軸方向モータ側A1の面)に取り付けられる。アーマチュア61cは、軸方向Aに延びる中心軸(具体的には例えば駆動軸53)を中心に、リール57とともに回転するように、リール57に取り付けられる。例えば、アーマチュア61cは、リール57に対して軸方向Aに移動可能に取り付けられる。具体的には例えば、アーマチュア61cは、図示しないバネ(例えば板バネ)を介して、リール57に取り付けられる。アーマチュア61cは、ロータ61bと軸方向Aに対向する位置に配置される。アーマチュア61cは、クラッチ61が切断状態のときには、ロータ61bとの間に隙間(軸方向Aの隙間)をあけて配置される。例えば、アーマチュア61cは、ロータ61bよりも軸方向リール側A2に配置される。
【0047】
図9に示す構造のクラッチ61の作動の例は、次の通りである。クラッチ61が切断状態のときは、コイル61a1は、非励磁の状態である。このとき、アーマチュア61cは、コイル61a1とは反対側への(軸方向リール側A2への)バネ(図示なし)の付勢力により、ロータ61bとの間に隙間をあけて配置される。このとき、駆動軸53(モータ51、フライホイール63)と、アーマチュア61c(リール57)と、の間で回転力が伝わらない。クラッチ61が接続状態のときは、コイル61a1は、励磁した状態である。このとき、アーマチュア61cは、板バネ(図示なし)の付勢力よりも大きい力で、コイル61a1に(軸方向モータ側A1に)引き寄せられる。このとき、アーマチュア61cは、ロータ61bに接触する。このとき、駆動軸53(モータ51、フライホイール63)と、アーマチュア61c(リール57)と、の間で回転力が伝わる。
【0048】
フライホイール63は、運動エネルギーを蓄える部材である。フライホイール63は、フレーム41に対して回転可能である。フライホイール63は、モータ51に回転させられる。フライホイール63は、モータ出力軸51aが回転したときに、回転する。フライホイール63は、駆動軸53と一体的に回転するように、駆動軸53に固定(例えばキーにより固定)される。例えば、フライホイール63は、略円盤状でもよく、略円柱状でもよく、略円筒状などでもよい。例えば、フライホイール63は、ベース部41aよりも上側Z1に配置され、ベース部41aと上下方向Zに対向する位置に配置される。例えば、フライホイール63は、モータ側ブラケット41b1とリール側ブラケット41b2との間に配置される。図9に示す例では、フライホイール63は、リール57およびクラッチ61よりも軸方向モータ側A1に配置され、モータ51およびカップリング53aより軸方向リール側A2に配置される。
【0049】
カラー65は、駆動軸53に取り付けられる部材どうしの間隔を調整する部材(スペーサ)である。カラー65は、駆動軸53に取り付けられる部材の配置などに応じて適切な位置に配置される。具体的には、図9に示す例では、カラー65は、駆動軸支持部55とフライホイール63との間、駆動軸支持部55とクラッチ61(ステータ61a)との間、および、リール軸支持部59とクラッチ61(ロータ61b)との間に配置される。
【0050】
(駆動軸53およびその周辺の要素の配置)
図9に示す例では、モータ出力軸51a、カップリング53a、駆動軸本体53b、リール57、クラッチ61、およびフライホイール63、のそれぞれの回転軸は、同軸に配置される。また、同図に示す例では、軸方向Aにおいて、駆動装置40の要素は、モータ51、カップリング53a、フライホイール63、クラッチ61、リール57の順に配置される。一方、これらの要素はどのように配置されてもよい。これらの要素の回転軸が同軸である必要はない。例えば、ある要素の回転軸と、この要素とは異なる要素の回転軸とが、互いに平行でもよく、所定角度で交差(例えば直交)してもよく、非平行かつ交差しなくてもよい。例えば、リール57は、軸方向Aの端の位置に配置される必要はない。また、図9に示す例では、リール57を回転可能に支持する軸(すなわち駆動軸53)と、ロータ61bおよびフライホイール63を回転させる駆動軸53と、が兼用されるが、これらが兼用されなくてもよい。また、駆動装置40は、駆動軸53以外の、力を伝達する機械要素(歯車など)を備えてもよい。
【0051】
接続部材71は、退避対象物15(図1参照)に接続され、図5に示すリール57に巻かれる。接続部材71は、リール57で巻き取ることが可能な形状を有する。例えば、接続部材71は、紐状でもよく、具体的には例えば、糸(テグスなど)でもよく、ロープ(例えばワイヤロープ)でもよく、単線のワイヤーでもよい。接続部材71は、複数の部材が連結されたもの(例えばチェーンなど)でもよい。
【0052】
接続部材ガイド部材72は、接続部材71をガイドする部材である。接続部材ガイド部材72は、リール57と接続部材繰出孔35との間に配置される。接続部材ガイド部材72は、収納部31の内部に配置される。接続部材ガイド部材72は、接続部材71が通される孔を備える。接続部材ガイド部材72の孔は、収納部前後方向Xから見たときに、接続部材繰出孔35と同様の位置に配置され、具体的には、リール57の巻胴部57a1(図8参照、後述)の下側Z2の端部と重なる位置、または略重なる位置に配置される。なお、接続部材繰出孔35およびその周辺部(収納部31の一部)は、接続部材ガイド部材72に含まれてもよい。
【0053】
モータ操作部73は、モータ51を操作するための部分である。モータ操作部73は、退避装置1(図1参照)の使用者(人)に操作される。モータ操作部73は、モータ51を駆動するか否かの選択(オンオフの操作)が可能に構成されてもよい。モータ操作部73は、モータ51の作動の状態(例えば回転数など)の操作が可能に構成されてもよい。例えば、モータ操作部73は、収納部31に設けられてもよい。例えば、モータ操作部73は、収納部31の表面(図5に示す例では上側Z1の面)に設けられてもよく、収納部31の内部に設けられてもよい(収納部31に収納されてもよい)。モータ操作部73は、収納部31の外部に設けられてもよく、収納部31の外部からモータ51を遠隔操作可能に構成されてもよい。例えば、モータ操作部73は、スイッチでもよく、ボタンなどでもよく、物理的スイッチなどでもよく、画面に表示されたスイッチなどでもよい。
【0054】
動力源74(図6参照)は、退避装置1(図1参照)の少なくとも一部の要素のエネルギー源である。例えば、図6に示す動力源74は、駆動ユニット20の少なくとも一部の要素のエネルギー源である。例えば、動力源74は、駆動装置40の少なくとも一部の要素のエネルギー源であり、具体的には例えば、モータ51(図8参照)のエネルギー源でもよく、クラッチ61(図8参照)のエネルギー源でもよい。例えば、動力源74は、制御部80のエネルギー源でもよい。動力源74は、車両センサ11(図1参照)のエネルギー源でもよい。例えば、動力源74は、収納部31に収納される(充電装置75および制御部80も同様)。例えば、動力源74は、台車部33に搭載される(充電装置75および制御部80も同様)。例えば、動力源74は、収納台車部30に対して取り外し可能に搭載される(充電装置75および制御部80も同様)。動力源74は、電源(例えばバッテリ74b)でもよい。動力源74は、燃料または作動流体の、タンクでもよく、ポンプでもよい。動力源74の種類(例えば、電力、燃料、流体圧)は、モータ51(図8参照)、クラッチ61(図8参照)、および制御部80で共通していることが好ましい。例えば、モータ51、クラッチ61、および制御部80の動力源74は、電力である。動力源74の種類(例えば、電力、燃料、流体圧)は、モータ51、クラッチ61、および制御部80で共通していなくてもよい。
【0055】
充電装置75は、動力源74がバッテリ74bを含む場合に、バッテリ74bを充電する装置(充電器)である。例えば、充電装置75は、外部電源接続部37に接続された外部電源の電力を、バッテリ74bに供給する。充電装置75は、外部電源の電力を変換(例えば交流を直流に変換する、電圧を変えるなど)し、変換後の電力をバッテリ74bに供給する。
【0056】
制御部80は、制御を行う。制御部80は、複数か所(図6では2か所)に分けて配置されてもよく、1か所にまとめて配置されてもよい。図3に示すように、制御部80は、検出結果入力部81と、クラッチ制御部83と、モータ制御部85と、を備える。検出結果入力部81は、車両センサ11が出力した検出結果を示す信号を受信する。クラッチ制御部83は、クラッチ61を制御する。クラッチ制御部83は、車両センサ11からの検出結果などに基づいてクラッチ61を制御する(詳細は後述)。モータ制御部85は、モータ51を制御する。モータ制御部85は、モータ操作部73の操作に基づいてモータ51を制御してもよい。モータ制御部85は、モータ51を駆動する装置(モータドライバ)を備えてもよい。
【0057】
車両Cは、図1および図2に示すように、走行可能であり、例えば道路Rなどを走行可能である。例えば、車両Cは、自走可能でも、自走不可能でもよい。具体的には例えば、車両Cは、自動車であり、2輪車でもよく、3輪車でもよく、4輪車でもよく、5輪以上の車輪を有する自動車でもよい。車両Cは、自動車以外のものでもよい。車両Cが走行する向き(進行方向)とは逆側を、車両走行方向手前側Bとする。
【0058】
(作動)
図1に示す退避装置1は、例えば以下のように作動するように構成される。
【0059】
(準備)
退避装置1の構成要素は、次のように準備される。車両センサ11は、車両検出位置P11での車両Cの検出が行える位置に配置される。退避対象物15は、退避対象物配置位置P15に配置(静置)される。図5に示すように、接続部材71は、リール57から繰り出され、収納部31(例えば接続部材繰出孔35)から繰り出される。図1に示すように、接続部材71は、退避対象物15に接続される。
【0060】
図8に示すモータ51が始動させられ、モータ出力軸51aが回転する。例えば、退避装置1(図1参照)の使用者が、モータ操作部73(図5参照)を操作する事で、モータ51が始動させられる。フライホイール63は、モータ出力軸51aの回転に伴って回転する(運動エネルギーを蓄える)。フライホイール63は、退避対象物15(図1参照)を接続部材71で引っ張るのに必要なトルクが得られるように、十分な回転速度で回転させられる。なお、モータ51の始動直後は、フライホイール63の回転速度は不十分である。クラッチ61は、切断状態とされる。この状態では、モータ51からリール57に回転力が伝わらない。
【0061】
(車両Cの走行および検出)
図1の退避装置1が準備された状態で、車両Cが走行させられる。車両Cは、車両検出位置P11よりも車両走行方向手前側Bの位置から走行し、車両検出位置P11に到達する。車両センサ11は、車両検出位置P11を車両Cが通ったことを検出するのと同時(または検出後)に、図3に示す制御部80(検出結果入力部81)に信号を送信する。
【0062】
(退避対象物15の退避)
クラッチ制御部83は、図1に示す車両検出位置P11を車両Cが通ったことを車両センサ11が検出したときに、図8に示すクラッチ61を切断状態から伝達状態に切り換える(クラッチ61の切り換えの作動の具体例は上記の通り)。すると、駆動軸53の回転力は、リール57に伝達される。さらに詳しくは、フライホイール63の回転力およびモータ51の回転力は、駆動軸53を介して、リール57に伝達される。すると、リール57は、接続部材71を巻き取る向きに回転し、接続部材71は、リール57に巻き取られる。すると、図2に示す退避対象物15は、接続部材71に引っ張られ、駆動ユニット20に向かって(リール57に向かって)移動する。よって、退避対象物15は、走行する車両Cに対して退避させられる。さらに詳しくは、退避対象物15は、走行する車両Cと接触しないように退避させられる。例えば、退避対象物15は、道路R上の位置から(図1参照)、道路Rの外に退避させられる。
【0063】
(退避対象物15の退避後の作動)
退避対象物15が退避させられた後、退避対象物15が駆動ユニット20に接触することを抑制できるように、図3に示す制御部80が作動する。具体的には例えば、クラッチ制御部83は、クラッチ61を切断状態から伝達状態に切り換えた後、所定のクラッチ解除条件が満たされた時に、クラッチ61を切断状態に切り換える。クラッチ解除条件は、クラッチ制御部83に予め設定される。クラッチ解除条件は、時間に関する条件を含んでもよい。クラッチ制御部83は、タイマーの機能を有してもよい。例えば、クラッチ解除条件は、クラッチ61が切断状態から伝達状態に切り換わった時からの経過時間を含んでもよい。さらに詳しくは、クラッチ解除条件は、クラッチ61が切断状態から伝達状態に切り換わった時から、所定時間(例えば1秒、1.5秒など)が経過したことを含んでもよい。例えば、クラッチ解除条件は、車両センサ11が車両C(図2参照)を検出した時からの経過時間を含んでもよく、退避対象物15(図2参照)の退避を開始した時からの経過時間を含んでもよい。例えば、クラッチ解除条件は、クラッチ61が切断状態から伝達状態に切り換わった時からのリール57(図8参照)の回転数の条件、または巻き取られた接続部材71(図2参照)の長さの条件を含んでもよい。例えば、クラッチ解除条件は、退避対象物15(図2参照)を検出するセンサ(図示なし)が退避されたことを検出したことなどを含んでもよい。
【0064】
図8に示すモータ51は、退避対象物15(図2参照)が退避させられた後、適時に停止させられる。モータ51は、クラッチ61が伝達状態から切断状態に切り換わった後に停止させられてもよく、クラッチ61が伝達状態から切断状態に切り換わるのと同時に停止させられてもよい。モータ51は、退避装置1(図2参照)の使用者の手動操作(モータ操作部73(図5参照)の操作)により停止させられてもよい。モータ51は、所定条件が満たされたときにモータ制御部85(図3参照)に自動的に停止させられてもよい。
【0065】
フライホイール63が設けられる場合は、モータ51の駆動が停止させられても、しばらくの間は、フライホイール63が慣性で回り続け、駆動軸53が回り続ける。一方、フライホイール63が設けられない場合(第2実施形態を参照)は、退避対象物15(図2参照)が退避させられた後、クラッチ61が解除状態にされることなくモータ51が停止させられてもよい。この場合でも、退避対象物15(図2参照)が駆動ユニット20(図2参照)に接触することを抑制することができる。なお、フライホイール63が設けられない場合(第2実施形態を参照)でも、退避対象物15(図2参照)が退避させられた後に、クラッチ61が解除状態にされた後、モータ51が停止させられてもよい。
【0066】
図2に示す退避装置1の使用後に、退避対象物15が接続部材71から取り外される。この状態で、図7に示すリール57が、手動またはモータ51の動力により回転させられることで、接続部材71を巻き取る。
【0067】
(具体例)
図1に示す退避装置1に関するパラメータ(速度など)の具体例を説明する。なお、退避装置1に関するパラメータは様々に設定可能である。下記の各数値は、発明の内容を理解しやすくするための一例にすぎない。
【0068】
車両Cの走行速度Vc[m/s]は、例えば、100km/h(27.2m/s)などである。車両Cの幅は、2.5m~3mなどである。退避対象物15が接続部材71に引っ張られるときの退避対象物15の速度Vd[m/s]は、例えば5m/sなどである。退避対象物15を退避させる時間t[s]は、車両Cから退避対象物15を適切に退避できるような長さに設定される。具体的には例えば、時間tは、1秒~1.5秒などである。この場合、退避対象物15を退避させる距離(移動距離)(t×Vd)は、例えば、t=1秒の場合は5m、t=1.5秒の場合は7.5mとなる。なお、接続部材71の長さは、退避対象物15を退避させる距離(t×Vd)以上の長さとされ、例えば30mなどである。退避対象物15を退避させる時間tでの、例えばVc=27.2m/sで走行する車両Cの走行距離(t×Vc)は、t=1秒の場合は27.2m、t=1.5秒の場合は40.8mとなる。退避対象物配置位置P15から、車両検出位置P11までの距離を、車両Cの走行距離t×Vc以上の距離に設定すれば、退避対象物15を車両Cから適切に退避させることができる。
【0069】
例えば、退避対象物15の質量が5kg、動摩擦係数が1とすると、退避対象物15の動摩擦力F’[N]は、5×1×9.8=49[N]などである。リール57の半径(さらに詳しくはリール57に巻かれた接続部材71の半径)rは、例えば80mm(0.08m)などである。この場合、リール57が1回転したときにリール57が巻き取る接続部材71の長さ2πr[m]は、2×π×0.08≒0.5[m]である。この例では、リール57が退避対象物15を引っ張るのに必要なトルクT=r×F’[N・m]は、0.08×49=3.92[N・m]である。この例では、リール57に必要な回転数N=Vd/2πr[回/s]は、5/(2π×0.08)≒10[回/s](600回/分)である。この例では、リール57を回転させるのに必要な出力P=2πTN(=F’×Vd)[W]は、2×π×3.92×10≒245[W](0.245[kW])である。図7に示すモータ51およびフライホイール63の出力の合計が、リール57を回転させるのに必要な出力P以上であればよい。モータ51の出力が、リール57を回転させるのに必要な出力Pよりも大きい場合は、フライホイール63は不要である(第2実施形態参照)。
【0070】
図6に示す駆動装置40、動力源74、および制御部80の質量は、例えば約100kgなどである。駆動装置40、動力源74、および制御部80が台車部33に搭載される場合は、駆動装置40、動力源74、および制御部80を容易に移動させることができる。
【0071】
(退避装置1の使用例)
図1に示す退避装置1は、例えば次のような試験に使用されてもよい。退避対象物15が、所定の形態とされる。例えば、退避対象物15が人形である場合に、所定の衣服が装着されてもよく、所定の大きさに設定されてもよい。また、退避対象物15の周囲の状態が、所定の状態とされる。例えば、退避対象物15の周囲の明るさ(例えば昼、夕方、夜などの明るさ)や、退避対象物15の周囲の天候などが、所定の状態とされる。試験対象者(人)が車両Cに乗った状態で、退避対象物15に向かって所定の走行速度Vcで車両Cを走行させる。そして、車両Cが退避対象物15にどこまで近づけば、試験対象者が退避対象物15を視認できるかを測定する。試験対象者が退避対象物15を視認できたときの、退避対象物15から車両Cまでの距離を測定する。この試験において、車両Cが退避対象物15に向かって走行し、車両Cが車両センサ11に検出されると、退避対象物15が退避されるので、車両Cと退避対象物15との接触が抑制される。なお、上記の試験は退避装置1の使用方法の一例であり、上記の試験以外の用途に退避装置1が用いられてもよい。
【0072】
(第1の発明の効果)
図1に示す退避装置1による効果は次の通りである。退避装置1は、車両センサ11と、接続部材71と、図8に示すリール57と、モータ51と、クラッチ61と、図3に示すクラッチ制御部83と、を備える。車両センサ11は、所定の車両検出位置P11(図1参照)を車両Cが通ったことを検出する。
【0073】
[構成1-1]図1に示すように、接続部材71は、走行する車両Cから退避させる対象物である退避対象物15に接続される。
【0074】
[構成1-2]図8に示すように、リール57は、接続部材71を巻き取り可能である。モータ51は、リール57に回転力を伝達可能である。
【0075】
[構成1-3]クラッチ61は、モータ51とリール57との間での回転力の伝達を切断する切断状態、および、モータ51とリール57との間で回転力を伝達させる伝達状態、に切り換える(クラッチ61の状態を切り換える)。図3に示すクラッチ制御部83は、車両検出位置P11(図1参照)を車両C(図1参照)が通ったことを車両センサ11が検出したときに、クラッチ61を切断状態から伝達状態に切り換える。
【0076】
上記[構成1-3]により、図1に示す車両検出位置P11を車両Cが通ったときに、図8に示すクラッチ61が切断状態から伝達状態に切り換わる。このとき、クラッチ61の状態は、モータ51とリール57との間での回転力の伝達を切断する状態(切断状態)から、モータ51とリール57との間で回転力を伝達させる状態(伝達状態)に、切り換わる。クラッチ61が切断状態から伝達状態に切り換わると、リール57が回転し、リール57が接続部材71を巻き取る(上記[構成1-2])。すると、図1に示すリール57が、接続部材71に接続された退避対象物15(上記[構成1-1])を引っ張ることができる。よって、車両検出位置P11を車両Cが通ったときに、走行する車両Cから退避対象物15を退避させることができる。したがって、走行する車両Cの前方に配置された物体(退避対象物15)と、車両Cと、の接触を抑制することができる。
【0077】
(第2の発明の効果)
[構成2]図3に示すクラッチ制御部83は、クラッチ61を伝達状態に切り換えた後、クラッチ制御部83に設定されたクラッチ解除条件が満たされた時に、クラッチ61を切断状態に切り換える。
【0078】
上記[構成2]により、次の効果が得られる。クラッチ61が伝達状態のままである場合、モータ51の回転力が、図1に示すリール57に伝達され続ける。すると、リール57が退避対象物15を引っ張り続ける。この場合、退避対象物15が、リール57またはその周辺部(例えば収納台車部30など)に接触する場合がある。一方、上記[構成2]では、図8に示すクラッチ61が伝達状態に切り換わった後、クラッチ解除条件が満たされた時に、クラッチ61が切断状態に切り換わる。よって、図1に示す退避対象物15が引っ張られ続けることが抑制される。その結果、退避対象物15がリール57またはその周辺部(例えば収納台車部30など)に接触することを抑制することができる。また、退避対象物15がリール57またはその周辺部に接触しても、接触の衝撃を抑制することができる。また、退避対象物15がリール57またはその周辺部に接触した状態で、接続部材71が退避対象物15を引っ張り続けることを抑制することができる。その結果、接続部材71の損傷(例えば切断)、および、リール57やモータ51など(駆動装置40)の損傷などを抑制することができる。
【0079】
(第3の発明の効果)
[構成3]クラッチ解除条件(上記[構成2])は、クラッチ制御部83がクラッチ61を伝達状態に切り換えた後、クラッチ制御部83に設定された所定時間が経過したことを含む。
【0080】
上記[構成3]により、クラッチ解除条件が満たされたか否かのクラッチ制御部83による判定の処理を簡素にすることができる(複雑な処理は不要である)。また、この判定を行うための構成を簡素にすることができる。具体的には例えば、リール57の回転数や退避対象物15の位置などを検出するセンサなどは不要である。
【0081】
(第4の発明の効果)
[構成4]図9に示すように、モータ出力軸51a(モータ51の出力軸)、クラッチ61の回転軸、およびリール57の回転軸は、同一直線上に並ぶように配置される(同軸である)。
【0082】
上記[構成4]により、モータ出力軸51a、クラッチ61、リール57、およびこれらを支持する部材(具体的には駆動軸53)を、簡素な構成にすることができる。例えば、モータ出力軸51aと、クラッチ61およびリール57の回転軸と、が同軸でない場合は、モータ出力軸51aと、クラッチ61およびリール57の回転軸と、で回転力を伝えるための歯車などが必要になり、構成が複雑になる。
【0083】
(第5の発明の効果)
[構成5]退避装置1(図1参照)は、モータ51に回転させられるフライホイール63を備える。フライホイール63は、クラッチ61が伝達状態のときにフライホイール63からリール57に回転力が伝達されるように構成される。
【0084】
上記[構成5]では、モータ51が駆動すると、フライホイール63が回転する。そして、クラッチ61が切断状態から伝達状態に切り替わると、フライホイール63の回転力がリール57に伝わる。よって、リール57を、モータ51のトルクおよびフライホイール63のトルクにより回転させることができる。よって、リール57にかける必要のあるトルクであって、退避対象物15(図1参照)を退避させるために必要なトルクを、容易に確保することができる。その結果、モータ51に必要なトルクを小さくすることができる。その結果、モータ51を小型化することができてもよく、安価なモータ51を使用することができてもよい。
【0085】
(第6の発明の効果)
[構成6]モータ出力軸51a、クラッチ61の回転軸、リール57の回転軸、およびフライホイール63の回転軸は、同一直線上に並ぶように配置される(同軸である)。
【0086】
上記[構成6]により、モータ出力軸51a、クラッチ61、リール57、フライホイール63、およびこれらを支持する部材(具体的には駆動軸53)を、簡素な構成にすることができる。
【0087】
(第7の発明の効果)
[構成7]モータ51は、電動機である。クラッチ61は、電磁クラッチである。
【0088】
上記[構成7]により、次の効果が得られる。例えば、モータ51が発動機の場合は、燃料が必要であり、燃料などの取り扱いが煩雑になる。また、例えば、モータ51およびクラッチ61の少なくともいずれかが流体圧により作動する場合、モータ51またはクラッチ61を作動させる作動流体が必要であり、作動流体の取り扱いが煩雑になる。一方、上記[構成7]では、モータ51が電動機であり、クラッチ61が電磁クラッチである。よって、モータ51およびクラッチ61のそれぞれのエネルギー源を電力とすることができる。よって、モータ51およびクラッチ61の少なくともいずれかのエネルギー源として燃料や作動流体が用いられる場合に比べ、エネルギー源を容易に取り扱うことができる。また、上記[構成7]では、モータ51およびクラッチ61のエネルギー源の種類(電力)を共通化することができる。よって、退避装置1(図1参照)を簡素に構成することができる。
【0089】
(第8の発明の効果)
[構成8]退避装置1(図1参照)は、図6に示すように、台車部33を備える。台車部33には、図8に示すリール57、モータ51、クラッチ61、および、図6に示すクラッチ制御部83が搭載される。
【0090】
上記[構成8]により、台車部33を移動させることで、図8に示すリール57、モータ51、クラッチ61、および図6に示すクラッチ制御部83を、まとめて運搬することができる。
【0091】
(第9の発明の効果)
[構成9]退避装置1(図1参照)は、動力源74を備える。動力源74は、図8に示すモータ51、クラッチ61、および図6に示すクラッチ制御部83の少なくともいずれかのエネルギー源である。動力源74は、台車部33に搭載される。
【0092】
上記[構成8]および[構成9]により、台車部33を移動させることで、図8に示すリール57、モータ51、クラッチ61、図6に示すクラッチ制御部83、および動力源74を、まとめて搬送することができる。
【0093】
(第10の発明の効果)
[構成10]動力源74は、電力を蓄えるバッテリ74bを備える。退避装置1(図1参照)は、バッテリ74bを充電する充電装置75を備える。充電装置75は、台車部33に搭載される。
【0094】
上記[構成8]、[構成9]、および[構成10]により、図8に示すリール57、モータ51、クラッチ61、図6に示すクラッチ制御部83、動力源74(バッテリ74bを含む)、および充電装置75を、まとめて搬送することができる。
【0095】
(第11の発明の効果)
[構成11]退避装置1(図1参照)は、収納部31を備える。収納部31は、図8に示すリール57、モータ51、クラッチ61、および図6に示すクラッチ制御部83を、上側Z1および水平方向(収納部前後方向X、収納部横方向Y)から覆うとともに収納する。
【0096】
上記[構成11]により、図8に示すリール57、モータ51、クラッチ61、および図6に示すクラッチ制御部83が、上側Z1および水平方向から収納部31に覆われる。よって、例えば降水時などでも、図8に示すリール57、モータ51、クラッチ61、および図6に示すクラッチ制御部83に水がかかりにくい。その結果、収納部31とは別の容器やシートなどを用意する必要性を抑制することができる。
【0097】
(第12の発明の効果)
[構成12]退避装置1(図1参照)は、動力源74を備える。動力源74は、図8に示すモータ51、クラッチ61、および図6に示すクラッチ制御部83の少なくともいずれかのエネルギー源である。動力源74は、収納部31に収納される。
【0098】
上記[構成11]および[構成12]により、図8に示すリール57、モータ51、クラッチ61、図6に示すクラッチ制御部83、および動力源74が、上側Z1および水平方向から収納部31に覆われる。よって、例えば降水時などでも、図8に示すリール57、モータ51、クラッチ61、図6に示すクラッチ制御部83、および動力源74に水がかかりにくい。
【0099】
(第13の発明の効果)
[構成13]動力源74は、電力を蓄えるバッテリ74bを備える。退避装置1(図1参照)は、バッテリ74bを充電する充電装置75を備える。充電装置75は、収納部31に収納される。
【0100】
上記[構成11]~[構成13]により、図8に示すリール57、モータ51、クラッチ61、図6に示すクラッチ制御部83、動力源74(バッテリ74bを含む)、および充電装置75が、上側Z1および水平方向から収納部31に覆われる。よって、例えば降水時などでも、図8に示すリール57、モータ51、クラッチ61、図6に示すクラッチ制御部83、動力源74(バッテリ74bを含む)、および充電装置75に水がかかりにくい。
【0101】
(第14の発明の効果)
[構成14]図5に示すように、収納部31は、収納部31の下側Z2部分を構成する収納部底部31a1を備える。収納部底部31a1は、収納部31の内部と外部とを連通する通気孔31a2を備える。
【0102】
上記[構成14]により、収納部31の内部から外部に、通気孔31a2を通して、熱を逃がすことができる。よって、収納部31の内部の温度が高くなりすぎることを抑制することができる。例えば、モータ51の温度が高くなりすぎることを抑制することができる。
【0103】
(第15の発明の効果)
[構成15]図1に示す退避対象物15は、人形である。
【0104】
上記[構成15]により、車両Cおよび人形を使った試験などに退避装置1を利用することができる。
【0105】
(第2実施形態)
主に図12を参照して、第2実施形態の退避装置201について、第1実施形態との相違点を説明する。なお、第2実施形態の退避装置201のうち、第1実施形態との共通点については、説明を省略する。図8に示す例では、モータ51およびフライホイール63の出力(トルク)により、リール57が回転し、退避対象物15(図1参照)が退避した。一方、図12に示すように、第2実施形態の退避装置201では、モータ51のみの出力によりリール57が回転し、退避対象物15(図1参照)が退避する。相違点の詳細は、次の通りである。
【0106】
退避装置201は、ブラケット241bと、モータ251と、を備える。
【0107】
モータ251は、モータ251のトルクのみで、退避対象物15(図1参照)を退避させるのに必要なトルクを確保できるものである。モータ251の具体例は、第1実施形態のモータ51(図8参照)の説明の通りである。具体的には例えば、モータ251は、サーボモータなどである。
【0108】
図8に示す例では、ブラケット41bは、フライホイール63の軸方向A外側の両側に設けられた。具体的には例えば、ブラケット41bは、モータ側ブラケット41b1と、リール側ブラケット41b2と、を備えた。一方、図12に示す例では、ブラケット241bは、クラッチ61とモータ251との間に、1つ(1枚)のみ設けられる。
【0109】
退避装置201では、フライホイール63(図8参照)は不要である。よって、フライホイール63が必要である場合に比べ、駆動装置240を小型化および軽量化することができる。その結果、駆動装置240を(駆動ユニット20(図1参照)を)容易に搬送することができる。また、駆動装置240(駆動ユニット20)の保管スペースを容易に確保することができる。
【0110】
(変形例)
上記実施形態は様々に変形されてもよい。上記実施形態の変形例どうしが様々に組み合わされてもよい。例えば、上記実施形態の構成要素(変形例を含む)の数が変更されてもよく、構成要素の一部が設けられなくてもよい。具体的には例えば、図8に示すモータ51が複数設けられてもよい。また、例えば、図4に示す収納部31が設けられず、台車部33が設けられてもよい。
【0111】
例えば、構成要素の配置は変更されてもよい。具体的には例えば、収納部31に収納されると説明したもの(例えば制御部80)が収納部31に収納されなくてもよい。また、例えば、上記のように、図8に示すモータ51の出力軸と駆動軸53とが一体的に設けられてもよい。
【0112】
例えば、構成要素どうしの固定や連結などは、直接的でも間接的でもよい。例えば、構成要素の包含関係は様々に変更されてもよい。例えば、ある上位の構成要素に含まれる下位の構成要素として説明したものが、この上位の構成要素に含まれなくてもよく、他の構成要素に含まれてもよい。具体的には例えば、図1に示す退避対象物15は、退避装置1に含まれなくてもよい。
【0113】
例えば、互いに異なる複数の部材や部分として説明したものが、一つの部材や部分とされてもよい。例えば、一つの部材や部分として説明したものが、互いに異なる複数の部材や部分に分けて設けられてもよい。具体的には例えば、図3に示す制御部80は、複数に分けて(例えば機能別に)設けられても、一体的に設けられてもよい。
【0114】
例えば、各構成要素は、各特徴(作用機能、配置、形状、製法、作動など)の一部のみを有してもよい。
【符号の説明】
【0115】
1、201 退避装置
11 車両センサ
15 退避対象物
31 収納部
31a1 収納部底部
31a2 通気孔
33 台車部
51、251 モータ
57 リール
61 クラッチ
63 フライホイール
71 接続部材
74 動力源
74b バッテリ
75 充電装置
83 クラッチ制御部
C 車両
P11 車両検出位置
【要約】
【課題】走行する車両の前方に配置された物体と、車両と、の接触を抑制する。
【解決手段】接続部材71は、走行する車両Cから退避させる対象物である退避対象物15に接続される。リール57は、接続部材71を巻き取り可能である。モータ51は、リール57に回転力を伝達可能である。クラッチ61は、モータ51とリール57との間での回転力の伝達を切断する切断状態、および、モータ51とリール57との間で回転力を伝達させる伝達状態、に切り換える。クラッチ制御部83は、車両検出位置P11を車両Cが通ったことを車両センサ11が検出したときに、クラッチ61を切断状態から伝達状態に切り換える。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12