(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-12
(45)【発行日】2023-05-22
(54)【発明の名称】ゴルフボール型ボールマーカー
(51)【国際特許分類】
A63B 57/30 20150101AFI20230515BHJP
A63B 102/32 20150101ALN20230515BHJP
【FI】
A63B57/30
A63B102:32
(21)【出願番号】P 2022079952
(22)【出願日】2022-05-16
【審査請求日】2022-05-25
(73)【特許権者】
【識別番号】503170983
【氏名又は名称】株式会社大橋金属工芸
(74)【代理人】
【識別番号】100085316
【氏名又は名称】福島 三雄
(74)【代理人】
【識別番号】100171572
【氏名又は名称】塩田 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100213425
【氏名又は名称】福島 正憲
(74)【代理人】
【識別番号】100221707
【氏名又は名称】宮崎 洋介
(74)【代理人】
【識別番号】100224915
【氏名又は名称】西村 茉友
(72)【発明者】
【氏名】大橋 正起
【審査官】槙 俊秋
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3191232(JP,U)
【文献】登録実用新案第3182757(JP,U)
【文献】登録実用新案第3194292(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2014/0100060(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0221734(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0282871(US,A1)
【文献】米国特許第1541504(US,A)
【文献】米国特許第6125747(US,A)
【文献】韓国公開特許第10-2010-0134258(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 57/30
A63B 102/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
差し込み式ボールマーカー部と立体ボールマーカー部とからなるゴルフボール型ボールマーカーであって、
差し込み式ボールマーカー部は、薄板の下面中心に下方に突出する差し込み突部が形成されており、
立体ボールマーカー部は、上面に上底面を、下面に下底面を有し、上底面と下底面との間に胴部が形成されており、
上底面は、平滑に形成されると共に中心に差し込み穴が形成されており、該差し込み穴は、前記差し込み突部を抜き差し可能で、かつ、保持可能に形成されており、
下底面は、平坦な面に形成された周囲部と、周囲部よりも段差を有して凹んだ凹陥部とが形成され、
前記胴部は、半球体の頂面を截頭した形状に形成されていることを特徴とする
ゴルフボール型ボールマーカー。
【請求項2】
差し込み式ボールマーカー部が、ゴルフ場が提供しているプラスチック製のボールマーカーである請求項1に記載のゴルフボール型ボールマーカー。
【請求項3】
胴部の下底面に形成された凹陥部に平板状装飾物が装着されている請求項1に記載のゴルフボール型ボールマーカー。
【請求項4】
凹陥部内に装着された平板状装飾物の表面が、前記周囲部より突出しない深さに形成されている請求項3に記載のゴルフボール型ボールマーカー。
【請求項5】
平板状装飾物に、図形や文字からなる標章あるいは広告文字が付されてなる請求項3又は4に記載のゴルフボール型ボールマーカー。
【請求項6】
胴部の下底面に形成された凹陥部に平板状のマグネットが装着されている請求項1に記載のゴルフボール型ボールマーカー。
【請求項7】
胴部の下底面に形成された凹陥部に、ロゴマークなどの標章が付されたシールが装着されている請求項1に記載のゴルフボール型ボールマーカー。
【請求項8】
胴部の周側面にディンプルが形成されている請求項1に記載のゴルフボール型ボールマーカー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はゴルフボール型ボールマーカーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に、ボールマーカーはゴルフ場のグリーンで使用する。誤球を防止するために、他人がパッティングをするときは自分のボールがある場所にボールマーカーを置き、ボールを拾い上げる。従来のボールマーカーとしては、コインのような小円盤型のものや、画鋲型で差し込み突部を有するものが知られている。小円盤型のものはグリーン上に置いて使用する。差し込み突部を有するものはグリーンに差し込み突部を突き刺して使用する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開第2009-225959号
【文献】実登第3102800号
【文献】実登第3158753号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来技術のボールマーカーは、板厚が小さいためグリーンに設置した時の見た目が平面的である。そのため、遠くから視認することが難しいという問題があった。
【0005】
遠くからの視認性を確保するために、立体的な形状のボールマーカーがあることも知られている。しかし、プレイヤーが立体的なボールマーカーをグリーンで使用すると、他人が打ったボールがボールマーカーと接触し、他人のボールの軌道が変わってしまうことがある。このような場合にはゲームの進行に影響を与えてしまうおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、上記課題を解決する手段として本発明に係るボールマーカーは、差し込み式ボールマーカー部と立体ボールマーカー部とからなるゴルフボール型ボールマーカーであって、差し込み式ボールマーカー部は、薄板の下面中心に下方に突出する差し込み突部が形成されており、立体ボールマーカー部は、上面に上底面を、下面に下底面を有し、上底面と下底面との間に胴部が形成されており、上底面は、平滑に形成されると共に中心に差し込み穴が形成されており、該差し込み穴は、前記差し込み突部を抜き差し可能で、かつ、保持可能に形成されており、下底面は平坦な面に形成された周囲部と、周囲部よりも段差を有して凹んだ凹陥部とが形成され、前記胴部は、半球体の頂面を截頭した形状に形成されていることを特徴とする。
【0007】
上述したボールマーカーによれば、遠くからの視認性に優れたゴルフマーカーを提供することができ、かつ、自身のボールが他人のゴルフボールと接触する可能性があるときは、差し込み式ボールマーカーを選択して使用することもできるボールマーカーを提供することができ、しかも下底面が平坦な面に形成された周囲部と周囲部よりも段差を有して凹んだ凹陥部とが形成されていることにより、凹陥部に平板状装飾物やマグネットあるいはシールを装着することができ、さらに胴部が半球体の頂面を截頭した形状に形成されていることによって、ゴルフボールを想起させるオリジナル性を有するゴルフマーカーの提供を可能とする。
【0008】
前記差し込み式ボールマーカー部は、ゴルフ場が提供しているプラスチック製の差し込み式ボールマーカーであってもよい。
【0009】
前記差し込み式ボールマーカー部をゴルフ場が提供しているプラスチック製の差し込み式ボールマーカーとした場合にあっては、既存の差し込み式ゴルフマーカーをそのまま使うことができるため、製造コストを削減することができる。
【0010】
胴部の下底面に形成された凹陥部に平板状装飾物が装着されていてもよい。
【0011】
胴部の下底面に形成された凹陥部に平板状装飾物が装着されている場合にあっては、記念品や景品として使用することに適したボールマーカーを提供することができる。
【0012】
凹陥部内に装着された平板状装飾物の表面が、周囲部より突出しない深さに形成されていてもよい。
【0013】
凹陥部内に装着された平板状装飾物の表面が、周囲部より突出しない深さに形成される場合にあっては、平板状装飾物に傷が入ることを防止することができる。
【0014】
平板状装飾物に図形や文字からなる標章あるいは広告文字が付されていてもよい。
【0015】
平板状装飾物に図形や文字からなる標章あるいは広告文字が付される場合にあっては、オリジナル商品とすることができ、宣伝広告効果のあるボールマーカーを提供することができる。
【0016】
胴部の下底面に形成された凹陥部に、平板状のマグネットが装着されていてもよい。
【0017】
胴部の下底面に形成された凹陥部に、平板状のマグネットが装着されていることにより、例えば、帽子のつばに磁着体を装着し、この磁着体に着脱させるなどすることができ、マーカーの取り出し操作を容易にすることができると共に、紛失防止に効果的である。
【0018】
胴部の下底面に形成された凹陥部に、ロゴマークなどの標章が付されたシールが装着されていてもよい。
【0019】
凹陥部にロゴマークが印刷などされたシールが貼り付けなどによって装着されることで、オリジナル性を高めることができ、ゴルフの賞品としての使用や記念品としての使用を可能とする。
【0020】
胴部の周側面にディンプルが形成されていてもよい。
【0021】
胴部の周側面にディンプルが形成される場合にあっては、マーカーがより一層ゴルフボールに似た形状となることで特異性を発揮し、意匠性に優れており、顧客の購買意欲を増大させることができる。また、ディンプルを形成することで、持ち上げる際に滑りにくく確実に把持することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、遠くからの視認性に優れたボールマーカーを提供することができるとともに、ゲームの状況に応じて、他の競技者のゴルフボールの進行の妨げにならない薄板のボールマーカーを提供でき、しかもこれら2種類のボールマーカーを一体にして保持することができ、しかも、平板状装飾物やマグネットやシールなどを装着することができ、さらにゴルフボールを容易に想起させるオリジナル性に優れたボールマーカーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】実施形態に係るゴルフボール型ボールマーカー1の斜視図である。
【
図2】実施形態に係る立体ボールマーカー部2と差し込み式ボールマーカー部3を分離した状態のゴルフボール型ボールマーカー1の斜視図である。
【
図3】実施形態に係るゴルフボール型ボールマーカー1の正面図である。
【
図4】実施形態に係るゴルフボール型ボールマーカー1のA-A断面図である。
【
図5】下底面にマグネットを貼り付けた場合のA-A断面図である。
【
図6】下底面に立体的なシールを張り付けた場合のA-A断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明に係るゴルフボール型ボールマーカーについて、図面を参照して説明する。
【0025】
図1に示すとおり、ゴルフボール型ボールマーカー1は立体ボールマーカー部2と差し込み式ボールマーカー部3を有する。各部材はプラスチック製であることが好ましい。
立体ボールマーカー部2は、上底面6、下底面8及び胴部12を有する。
図3に示すとおり、胴部12は、上底面6の周縁から下底面8の周縁に向けて形成される。胴部12は略半球型形状であり、頂面が下底面8と平行に截頭されており、胴部12の周面には円形のディンプル13が多数形成されている。
【0026】
図4に示すとおり、上底面6は立体ボールマーカー部2の上面すなわち、截頭された半球体の頂面に平滑に形成される。上底面6は中心部に差し込み穴7を有する。上底面6の径は下底面8の径よりも小さい。
図4に示すとおり、差し込み穴7は、差し込み突部5の外寸と同一の内寸を有する。差し込み突部5及び差し込み穴7はともに略円錐形である。差し込み穴7は、下底面8を貫通しない程度の深さを有する。
【0027】
図4に示すとおり、下底面8は周囲部9と凹陥部10を有する。下底面8は立体ボールマーカー部2の下面に形成される。具体的には上底面6と平行に対向するように形成されている。
図4に示すとおり、下底面8の周囲部9は平坦な底面を有し、下底面8の外縁から周方向に向かって延在する。
【0028】
図4に示すとおり、凹陥部10は、周囲部9の内側に形成される。凹陥部10は周囲部9と段差を有して上底面6の方向に向かって凹んでいる。
【0029】
図2に示すとおり、差し込み式ボールマーカー部3は、薄板4と差し込み突部5を有する。
【0030】
図1に示すとおり薄板4は円形である。薄板4の面積は上底面6の面積よりも小さく形成されている。
【0031】
図4に示すとおり、差し込み突部5は薄板4の下面中心から下方へ突出するように形成される。具体的には、差し込み突部5は薄板4の一方の平面に、薄板4の中心から板厚方向に伸びる。差し込み突部5の長さは差し込み穴7の深さと同一又は差し込み穴7の深さより短い。
【0032】
次に、本発明に係るゴルフボール型ボールマーカー1を使用する方法を説明する。
【0033】
本発明に係るゴルフボール型ボールマーカー1はグリーンに置いて使用するものである。ゴルフボール型ボールマーカー1を使用する際は、周囲部9が地面と接するように載置する。
【0034】
立体ボールマーカー部2は差し込み式ボールマーカー部3と分離して使用することができる。立体ボールマーカー部2の使用方法もゴルフボール型ボールマーカー1と同様である。
【0035】
差し込み式ボールマーカー部3は立体ボールマーカー部2と分離して使用することができる。差し込み式ボールマーカー部3は差し込み突部5を地面に突き刺すことにより使用するものである。差し込み式ボールマーカー部3が、ゴルフ場で提供されているボールマーカーであってもその使用方法は同様である。
【0036】
薄板4は差し込み式ボールマーカー部3を立体ボールマーカー部2と分離して使用した際に地表に現れる。すなわち、薄板4はゴルフボールがあった場所の目印となる。差し込み突部5は、差し込み式ボールマーカー部3を立体ボールマーカー部2と分離して使用する際に地面に突き刺して使用する。
【0037】
差し込み突部5は、差し込み式ボールマーカー部3を立体ボールマーカー部2に収納する際に差し込み穴7に差し込む。差し込み式ボールマーカー部3を差し込み穴7に差し込むと、プラスチックの弾性変形により差し込み式ボールマーカー部3が差し込み穴7から容易に抜けにくくなる。これにより差し込み穴7は差し込み突部5を保持可能とすることができる。
【0038】
立体ボールマーカー部2は、例えば遠くからの視認性が求められる場合に使用する。
【0039】
差し込み式ボールマーカー部3は、例えば立体的なボールマーカーを使用すると、他人のパッティングの邪魔になる恐れがあるときに使用する。薄板4が平面的であるから、パッティングにより差し込み式ボールマーカー部3とゴルフボールが接触してもゴルフボールの軌道が変わるおそれが少ない。
【0040】
差し込み式ボールマーカー部3は立体ボールマーカー部2から着脱可能であるから、必要に応じて即座に差し込み穴7から取り出して使用することができる。
【0041】
また、差し込み式ボールマーカー部3を立体ボールマーカー部2に収納した場合、各部品が一纏まりとなり、いずれかのボールマーカー部を忘れたり、失くしたりすることを防止することができ、さらにボールマーカーの持ち運びが容易になる。
【0042】
凹陥部10には、マグネット11aを取り付けることもできる。凹陥部10にマグネット11aを取り付けることで、例えば、帽子のつばに磁着体を装着し、この磁着体に着脱させるなどすることができ、操作を容易にすることができると共に、紛失防止に効果的である。
【0043】
凹陥部10には、平板状装飾物11を取り付けることもできる。平板状装飾物11としては、例えば、エポマーク等が挙げられる。平板状装飾物11には、図形や文字からなる標章あるいは広告文字が付されていてもよい。
【0044】
平板状装飾物11を凹陥部10に固定する方法としては、例えば、接着剤による接着や凹陥部10に平板状装飾物11を嵌め込むことが考えられる。
【0045】
平板状装飾物11の表面は、周囲部9より突出しない高さに形成されていることが好ましい。平板状装飾物11の表面を周囲部9より突出しない高さに形成することで、立体ボールマーカー部2の使用時に平板状装飾物11が地面と接しないため、平板状装飾物11に傷が付くことを防止することができる。
【0046】
凹陥部10には、平板状装飾物11のみならず、ロゴマークなどの標章を付したシール11bを貼り付けることもできる。凹陥部10にロゴマークなどの標章を付したシール11bを貼り付けることにより、オリジナル性を有する商品とすることができる。
【0047】
以下では、本実施形態におけるゴルフボール型ボールマーカー1の適宜変更可能な構成の一例を示す。
【0048】
実施形態においては、薄板4の形状が円形であることとした。しかしながら、薄板4の形状は円形に限られるものではない。例えば、四角形や八角形などの多角形形状であってもよい。
【0049】
実施形態においては、ディンプル13の形状は円形であることとした。しかしながら、ディンプル13の形状は円形に限られるものではない。例えば、四角形やその他の非円形形状であってもよい。
【0050】
実施形態においては、差し込み穴7は胴部12を貫通しない深さとした。しかしながら、差し込み穴7は必ずしも胴部12を貫通しない深さであることを要しない。したがって、差し込み穴7が胴部12を貫通するものとしてもよい。
【0051】
差し込み穴7が下底面8を貫通している場合にあっては、下底面8を貫通しない差し込み穴7よりも差し込み穴7にゴミや水が溜まりにくい。
【0052】
実施形態においては、薄板4の面積は上底面6の面積よりも小さく構成されている。しかしながら、薄板4の面積は上底面6の面積よりも小さいものに限定されない。したがって、上底面6よりも大きい面積の薄板4であってもよい。
【0053】
薄板4の面積を上底面6の面積よりも大きくすると、薄板4の周側面が上底面6から張り出し、胴部12と薄板4の間に隙間が生じるので、容易に差し込み穴7から差し込み式ボールマーカー部3を取り出すことができるようになる。
【符号の説明】
【0054】
1 ゴルフボール型ボールマーカー
2 立体ボールマーカー部
3 差し込み式ボールマーカー部
4 薄板
5 差し込み突部
6 上底面
7 差し込み穴
8 下底面
9 周囲部
10 凹陥部
11 平板状装飾物
11a マグネット
11b シール
12 胴部
13 ディンプル
【要約】
【課題】 本発明は、遠くからの視認性に優れ、使用するゴルフマーカーを即座に使い分けることができるゴルフボール型ゴルフマーカーを提供する。
【解決手段】 本発明は、ゴルフボール型の立体ボールマーカー部2と差し込み式ボールマーカー部3を有する。差し込み式ボールマーカー部3は、薄板4の下面中心に下方に突出する差し込み突部5が形成されており、立体ボールマーカー部2は、上面に上底面6を、下面に下底面8を有し、上底面6と下底面8との間に胴部12が形成されている。
上底面6は、平滑に形成されると共に中心に差し込み穴7が形成されており、該差し込み穴7は、前記差し込み突部5を抜き差し可能で、かつ、保持可能に形成されている。
下底面は、平坦な面に形成された周囲部と、周囲部よりも段差を有して凹んだ凹陥部とが形成されている。
【選択図】
図1