(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-12
(45)【発行日】2023-05-22
(54)【発明の名称】吊荷のための継手、制御装置、制御システム、及び制御方法
(51)【国際特許分類】
B66C 13/06 20060101AFI20230515BHJP
【FI】
B66C13/06 M
(21)【出願番号】P 2022529961
(86)(22)【出願日】2020-11-25
(86)【国際出願番号】 US2020062414
(87)【国際公開番号】W WO2021108703
(87)【国際公開日】2021-06-03
【審査請求日】2022-08-17
(32)【優先日】2019-11-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】519371127
【氏名又は名称】ビタ インクリナータ テクノロジーズ インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】Vita Inclinata Technologies, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】110002295
【氏名又は名称】弁理士法人M&Partners
(72)【発明者】
【氏名】シコラ デリック
(72)【発明者】
【氏名】グッドリッチ ローガン
【審査官】吉川 直也
(56)【参考文献】
【文献】特許第6554258(JP,B1)
【文献】特開2013-067496(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0197718(US,A1)
【文献】米国特許第05524870(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0129749(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0072404(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66C 13/00-13/56
B64D 1/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャリアから主荷重ベアリングラインで吊られた荷の位置、向き、又は運動の少なくとも1つに影響を与える吊荷制御システムであって、
制御システム回転継手、ウインチ、前記荷と前記ウインチに固定されるウインチ制御ライン、スラスタ、センサ群、コンピュータプロセッサ及びメモリとを備え、
前記メモリは、
前記コンピュータプロセッサによって実行されると、前記センサ群からのセンサデータに基づいて、前記ウインチの張力と、前記荷の位置、向き、又は運動の少なくとも1つを決定し、
前記ウインチの張力と、前記荷の位置、向き、又は運動のうちの少なくとも1つに影響を与えるように前記スラスタを制御する制御モジュールを含み、
前記吊荷制御システムは前記制御システム回転継手を介して前記主荷重ベアリングラインに支持され、
前記
制御システム回転継手は、前記吊荷制御システムが前記主荷重ベアリングライン上に大きなトルクを与えることなく、前記吊荷制御システムが前記主荷重ベアリングラインの垂直軸を中心に回転することを可能とし、
前記制御モジュールは
、非線形フィルタを通して、センサ群からのセンサデータを組み合わせることによって、少なくとも前記荷の位置、向き、又は運動を
含む現在の状態を決定し、
前記制御モジュールは、さらに、
前記現在の状態に基づいて、前記ウインチの張力と前記荷の位置、向き、又は運動の少なくとも1つに影響を与えるように前記スラスタ
とを制御する、
吊荷制御システム。
【請求項2】
請求項1記載の吊荷制御システムであって、
前記吊荷制御システムは、前記
制御システム回転継手によってヘッドブロックに固定されるものであり、
前記ヘッドブロックは、前記主荷重ベアリングラインに固定される、吊荷制御システム。
【請求項3】
請求項1記載の吊荷制御システムであって、
前記
制御システム回転継手はベアリングセットを有し、
前記ベアリングセットは、前記主荷重ベアリングラインの中心軸の周りに放射状に配列される、吊荷制御システム。
【請求項4】
請求項1記載の吊荷制御システムであって、
前記主荷重ベアリングラインは、荷ベアリング回転継手を
介して前記荷を支持し、
前記荷ベアリング回転継手は、
前記荷が前記主荷重ベアリングラインに大きなトルクを与えることなく、前記荷
が前記主荷重ベアリングラインの垂直軸を中心に回転
することを可能とする、吊荷制御システム。
【請求項5】
請求項1記載の吊荷制御システムであって、前記ウインチの張力及び前記荷の位置、向き、又は運動のうちの少なくとも1つに影響を与えるように前記スラスタを制御するため
に、
操作モジュールの機能モード又はコマンド状態、推力及び向き
に関する情報、又はファン
に関する情報の少なくとも1つからのフィードバックを用いて、前記現在の状態に基づいて近未来運動を予測す
る、吊荷制御システム。
【請求項6】
請求項1記載の吊荷制御システムであって、前記スラスタは、ファン又はフライホイールの少なくとも1つを含む、吊荷制御システム。
【請求項7】
キャリアから主荷重ベアリングラインで吊られた荷の位置、向き、又は運動の少なくとも1つに影響を与える吊荷制御システムにおいて、
前記キャリアから
前記主荷重ベアリングラインによって吊られた
前記荷の位置、向き、又は運動のうちの少なくとも1つに影響を与えるコンピュータにより実行される方法であって、
センサ群からのセンサデータに基づいて前記荷の位置、向き、又は運動と、ウインチ制御ラインによって前記荷に固定されているウインチの張力を決定するステップと、
前記荷の位置、向き、又は運動の少なくとも1つに影響を与えるために、
制御システム回転継手により、前記主荷重ベアリングラインに大きなトルクを与えることなく、前記主荷重ベアリングラインの垂直軸を中心に回転することが可能な前記ウインチ及びスラスタを制御するステップと、
非線形フィルタを通して、前記センサ群からの
前記センサデータを組み合わせることによって
、前記荷の位置、向き、又は運動、及び前記ウインチの張力を決定するステップをさらに含
むことを特徴とする、方法。
【請求項8】
請求項7記載の方法であって、前記ウインチ制御ラインに張力を加え、前記スラスタを作動させて前記荷の位置、向き、又は運動のうちの少なくとも1つに影響を与えることをさらに含む、方法。
【請求項9】
請求項7記載の方法であって、前記吊荷制御システムから前記ウインチ制御ラインを経由して前記荷にトルクを伝達することをさらに含む、方法。
【請求項10】
請求項7記載の方法であって、前記
荷の位置、向き、又は運動、及び前記ウインチの張力についての現在の状態に基づいて近未来運動を予測し、
前記近未来運動に基づいて前記ウインチ及び前記スラスタを制御するステップをさらに含む、方法。
【請求項11】
請求項10記載の方法であって、前記現在の状態に基づいて近未来運動を予測することは、操作モジュールの機能モード又はコマンド状態、推力及び方向
に関する情報、ファン
に関する情報、又はウインチ
に関する情報のうちの少なくとも1つからのフィードバックによって前記現在の状態を更新することを含むことを特徴とする、方法。
【請求項12】
キャリアから主荷重ベアリングラインによって吊られた荷の位置、向き、又は運動の少なくとも1つに影響を与えるための装置であって、
センサ群からのセンサデータに基づいて、前記荷の位置、向き、又は運動と、ウインチ制御ラインからのウインチの張力とを決定する手段と、
前記ウインチ制御ラインにより前記ウインチを前記荷に固定する手段と、
前記ウインチ、前記ウインチ制御ライン及びスラスタを制御して、前記荷の位置、向き、又は運動のうちの少なくとも1つに影響を与える手段と、
制御システム回転継手のための手段であって、
前記制御システム回転継手によって前記前記ウインチ及び前記スラスタは前記主荷重ベアリングラインに支持され、前記
制御システム回転継手は、前記主荷重ベアリングラインに大きなトルクを与えることなく、前記ウインチ及び前記スラスタが、前記主荷重ベアリングラインの垂直軸を中心に回転することを可能にする手段と、を備え、
非線形フィルタを通して、前記センサ群からのセンサデータを組み合わせることによって
、前記荷の位置、向き、又は運動、及び前記ウインチの張力を決定する手段をさらに備え
る装置。
【請求項13】
請求項12記載の装置であって、
前記ウインチによって前記ウインチ制御ラインに張力を加える手段と、
前記スラスタを作動させて前記荷の位置、向き、又は運動のうちの少なくとも1つに影響を与える手段と、をさらに備える、装置。
【請求項14】
請求項12記載の装置であって、
前記ウインチ制御ラインを介して前記荷にトルクを伝達する手段をさらに備える、装置。
【請求項15】
請求項12記載の装置であって、
荷ベアリング回転継手手段をさらに備え、
前記荷ベアリング回転継手手段によって、前記荷は前記主荷重ベアリングラインに支持され、
前記荷ベアリング回転継手手段は、
前記主荷重ベアリングラインに大きなトルクを与えることなく、前記荷が前記主荷重ベアリングラインの垂直軸を中心に回転することを可能にする
ことを特徴とする装置。
【請求項16】
請求項12記載の装置であって、
前記
荷の位置、向き、又は運動、及び前記ウインチの張力についての現在の状態に基づいて近未来運動を予測する手段と、前記近未来運動に基づいて前記ウインチ及び前記スラスタを制御する手段とをさらに備える、装置。
【請求項17】
請求項16記載の装置であって、
前記現在の状態に基づいて前記近未来運動を予測する手段が、操作モジュールの機能モード又はコマンド状態、推力及び方向
に関する情報、ファン
に関する情報、又はウインチ
に関する情報のうちの少なくとも1つからのフィードバックにより前記現在の状態を更新する手段を備える、装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互参照
本出願は、2020年11月25日に出願され、表題が「COUPLING FOR SUSPENDED LOAD CONTROL APPARATUS, SYSTEM, AND METHOD」のPCT/US2020/062414の国内段階出願であり、PCT/US2020/062414は、2019年11月25日出願、タイトル「SUSPENDED LOAD CONTROL CRANE HOOK APPARATUS, SYSTEM, AND METHOD」の米国特許仮出願62/940,155の非仮出願であり、その利益を主張するとともに引用により組み込まれるものである。
【0002】
本開示は、キャリア下方に設けられるフックによってサスペンションケーブルに吊られた荷(吊荷)を制御するための、及びそれに関連する改良された装置、システム、及び方法に関するものである。
【背景技術】
【0003】
人及び/又は機器(「荷;load」)は、ホイストシステムを用いてヘリコプター、クレーン、飛行機、又は他のキャリアからケーブルによって吊荷として、ある場所に又はある場所から輸送されることがある。クレーン、ヘリコプター、及び航空機(固定翼機を含む)は、本明細書において「キャリア等」と総称されることがある。クレーンなど、地上又は他のプラットフォーム(水上に浮かぶプラットフォーム等)に接続されたキャリア等を、本明細書では「プラットフォーム型キャリア等」と呼ぶことがある。ヘリコプターや航空機(固定翼など)など、プラットフォーム型キャリア等以外のキャリアを、本明細書では「飛行型キャリア等」と呼ぶことがある。
【発明の概要】
【0004】
フック又は同様の構造がサスペンションケーブル(吊りケーブル)の底部に設けられ、荷はフックに固定される場合がある。フックは、キャリアと荷の間で吊り上げ力を伝達することができる。フックは、ブロックを含むアセンブリ(フックブロック)を含むか、又はその一部であってもよく、ブロックは衝撃に耐え、周囲との接触からフックを保護してもよい。
【0005】
吊荷がキャリアによって輸送される作業中、風やサスペンションケーブルとの相互作用、及び吊荷を不安定で望ましくない又は危険な方法で動かす原因となり得る他の外部要因及び内部要因に、吊荷はさらされることがある。このような状況に対処するため、また、その他の方法で吊荷を制御するために、キャリアのオペレータは、例えばキャリアから少し離れた場所で(例えば、遠隔操作で動力を供給するファンを使用して)、吊荷制御を提供する機器を使用したい場合がある。
回転するジャイロスコープやフライホイールの向きを変えることで、プラットフォーム型キャリア等の下で吊荷制御を行う他のシステムも開発されているが、これらのシステムは制御システムのタイプが異なる場合があり、トルクは出力できても水平推力が出ない場合があり、また、重量のために飛行型キャリア等の使用には適さない場合がある。
【0006】
ホイストやスリングの作業では、吊荷の制御装置からではなく、フックから直接吊り下げることが望ましい場合がある。これは、フックが非常に頑丈であり、部品が少なく、単一目的であるためと考えられる。
例えば、前述のように、フックはキャリアと荷の間で吊り上げ力を伝達することがあり、その吊り上げ力は非常に大きいことがある。これに対し、吊荷の制御を行うための装置は、例えばファンなど多くの部品を含む場合があり、損傷や故障の可能性が高くなる。キャリア等のオペレータは、吊荷の制御装置から直接吊荷を吊り下げることに抵抗があるか又は不可能であるかもしれないため、フック及び/又はブロックから吊り下げ続けることを好むか又はそうすることが必要となる可能性がある。
【0007】
また、ホイスト(巻き上げ/引き上げ)及びスリング(紐がけ)の作業では、サスペンションケーブルは、編組されたスチールケーブル等であることが多い。編組ケーブルであるか否かによらず、吊りケーブルにトルクがかかると、ケーブルの巻き上がり、巻き戻し、ねじれ、弱化、断線、ウインチへの巻き取りがうまくいかない、などの原因となるため、吊りケーブルにはトルクがかからないようにすることが望ましい。
【0008】
ホイスト及びスリングの作業では、吊荷の運動には、Y軸に沿った垂直移動(上下の運動)(本書では「垂直移動」と呼ぶ)、X軸とZ軸のいずれか又は両方に沿った水平移動、及びY軸の回転又は「ヨー」などの運動が含まれる。水平方向の移動は、横方向の動きとして、又は、X軸とZ軸の両方にある場合は、ケーブルがキャリアに固定されている場所を振り子のピボットポイントとする荷の円錐形の振れ運動(「振り子運動」)として現れることがある。振り子運動には、通常、垂直(鉛直)移動の成分も含まれる。
ロール(X軸を中心とした回転)及びピッチ(Y軸を中心とした回転)も生じるが、浮力がない状態でケーブルによって荷が吊り下げられる場合は、垂直(鉛直)移動、水平移動、振り子運動、及びヨー運動が支配的な運動となる。垂直(鉛直)方向及び水平方向の並進運動は、キャリアの移動、荷の移動、荷とキャリアの運動量の差、プロップウォッシュ(propeller wash)を含む風による衝撃、ホイストからのケーブルの出し入れ、及び外力など、吊りケーブルの移動によって生じることがある。なお、本明細書において、軸とは、吊荷の法線軸、キャリアの法線軸、重力場の法線軸に対する相対的なものである。
【0009】
ヨー、横揺れ、回転運動は、リフト作業を複雑にし、遅れを生じさせ、航空機乗務員、クレーンのオペレータ、地上の人々の死につながる可能性がある。ヨーや横揺れや振れ動きは、荷の搬入や場所への搬出にも支障をきたす可能性がある。例えば、地上作業員は、荷が振り子運動又はヨーを受けている場合、荷に近づくことができない場合があり、又はプラットフォーム型キャリア等のオペレータは、荷が振り子運動又はヨーを受けている場合、所望の目的地に完全に降下させることができない場合がある。例えば、船舶の甲板又は作業現場への荷の配送は、甲板又は作業現場が安定しており、ヒーブ、ロール、又はピッチも受けない場合であっても、荷の振り子運動又はヨーによって著しく複雑になることがある。
【0010】
荷がキャリアに引き寄せられ、サスペンションケーブルが短くなると、荷の望ましくない運動の1つ又は複数の成分が加速されたり、より顕著になったりすることがある。また、荷の水平運動や振れ運動がキャリアと相互作用して、キャリアに危険な反動運動や同調運動が生じることがある。
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従って、トルク又は水平力を提供してヨー、横方向運動、及び振れ運動を制御するような、吊荷の制御を提供する装置が必要とされている。吊荷の制御を提供する装置は、フック及び/又はブロックと連動することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、実施形態に係るキャリア、キャリアフック、及び吊荷制御システム(以下、「SLCS」という。
【
図2】
図2は、実施形態に係る
図1のキャリアフック及びSLCSを部分的に分解した図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る
図1のキャリアフック及びSLCSの一部である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る
図1のキャリアフック及びSLCSの一部を示す分解斜視図である。
【
図5A-5B】
図5Aは、実施形態に係るウインチブラケットの詳細図である。
図5Bは、実施形態に係るウインチブラケット、ウインチ、及びファンユニットの一部を示す詳細図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係るウインチ及び制御ラインの詳細図である。
【
図7A-7B】
図7Aは、実施形態に係るファンユニットブラケットである。
図7Bは、実施形態に係る制御システム回転継手、ファンユニットブラケット、ファンユニット、及びエレクトロニクスボックスの詳細を示す図である。
【
図8】
図8は、実施形態に係るファンユニットブラケット及びエレクトロニクスボックスである。
【
図9A-9B】
図9Aは、実施形態に係るファンユニットである。
図9Bは、実施形態に係る、中心線を通る垂直断面を有する
図9Aのファンユニットである。
【
図10】
図10は、実施形態に係る
図9Aのファンユニットを立面図で垂直断面にした図である。
【
図11】
図11は、実施形態に係るキャリアフック及びSLCSを示す上面図である。
【
図12】
図12は、実施形態に係るキャリアフック、SLCS、及びリモートペンダントである。
【
図13A-13C】
図13Aは、実施形態に係るリモートペンダントの背面立面図である。
図13Bは、実施形態に係るリモートペンダントの斜視図である。
図13Cは、実施形態に係るリモートペンダントの正面立面図である。
【
図14】
図14は、一実施形態によるリモートペンダントインタフェースを含む吊荷制御システムの動作構成要素を概略的に示す図である。
【
図15】
図15は、一実施形態による複数のモード又は指令状態を含む吊荷制御システムの動作ルーチンを示す図である。
【
図16】
図16は、一実施形態に係る吊荷制御システムの判定・制御ルーチンを示す図である。
【
図17A】
図17Aは、制御ラインの張力が不十分な状態で、吊荷制御システムによって制御される吊荷の応答のグラフを示す図である。
【
図17B】
図17Bは、制御ラインに適度な張力がある状態で、吊荷制御システムによって制御される吊荷の応答性を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、図面に例示された実施形態の説明を詳細に参照する。実施形態は、図面及び関連する記述に関連して説明されるが、範囲を本明細書に開示された実施形態に限定する意図はない。それどころか、その意図は、すべての代替案、修正案、及び等価物をカバーすることである。
代替の実施形態では、本明細書に開示された実施形態に範囲を限定することなく、追加の装置、又は図示された装置の組み合わせが追加され、又は組み合わされてもよい。例えば、以下に示す実施形態は、主に、ヘリコプターのスリングロード、捜索及び救助活動、及び/又はクレーン作業の文脈で説明されている。しかしながら、これらの実施形態は例示であり、決して開示された技術を任意の特定の用途又はプラットフォームに限定されるものではない。
「一実施形態において」、「様々な実施形態において」、「いくつかの実施形態において」等のフレーズが繰り返し使用されている。このようなフレーズは、必ずしも同じ実施形態を指すとは限らない。用語「からなる(から構成される)」、「有する(備える)」、及び「含む」は、文脈から他に指示されない限り、同義である。本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用されるように、単数形「a」、「an」、及び「the」は、内容が明確に指示しない限り、複数の参照語を含む。また、「又は」という用語は、内容が明らかに異なる場合を除き、「及び/又は」を含む意味で一般的に採用されることに留意すべきである。図中の要素が文字を含む番号で表示されている場合、その要素のインスタンスは一般的に類似しており、そのような要素のグループは、文字なしで、一緒に又は集合的に参照されることがある。
【0014】
プラットフォーム型キャリアのオペレータは、振り子運動を最小化するために荷を低速で移動させたり、専用の制御ケーブル(地上、近隣の構造物、又はキャリアとの間のもの)を使用したりすることがある。しかし、これらの対策は、コスト、複雑さ、及び吊荷作業の失敗のリスクを増加させる。これらの対策は不十分であり、非常に問題が多い。
【0015】
様々な実施形態では、本明細書でさらに説明するように、吊荷制御システムは、キャリアから独立した荷の制御に対処する。本開示の吊荷制御システム又は吊荷安定システム(まとめて「SLCS」と呼ぶ)は、荷の位置又はその付近でスラスタ、ファン、プロペラ、フライホイール、ジャイロスコープなどから力又は力ベクトルを作用又は出力することによって、荷を制御する。スラスタ、ファン、プロペラ、及び電動ダクト付きファンは、本明細書において「EDF」又は「ファン」と呼ばれることがある。ファン及び/又はウインチによって生成されるベクトル推力は、ヨー運動及び振れ運動を打ち消すために使用されてもよい。ファンによって生成されるベクトル推力は、障害物を回避するため、又は通常の最低エネルギーの吊り下げ位置に対してオフセット位置に荷を移動させるためなど、荷を水平に並進させるために使用されてもよい。ファンやウインチが発生させるベクトル推力は、キャリアから独立して、荷の細かい位置や回転を制御するために使用することができる。ファンによるベクトル推力は、安全な動作パラメータを維持しながらキャリアの動作速度を上げるために使用されることがある。
【0016】
本開示のSLCSは、さらに、フック及び/又はブロックに搭載されてもよい。SLCSは、回転継手を介してフック及び/又はブロックに取り付けられてもよく、回転継手は、1つ又は複数のベアリングを含む。回転継手は、主荷重ベアリングライン(main load bearing line)に大きな(有意な)トルクを与えることなく、SLCSを回転させることができる。
【0017】
本開示のSLCSは、1つ以上のウインチをさらに備えてもよく;ウインチは、1つ以上のウインチ制御ラインで荷に固定されてもよい。SLCSの制御モジュールは、ウインチ制御ラインの張力を維持するためにウインチを制御してもよく;制御モジュールは、荷を制御するためにSLCSのスラスタをさらに制御してもよい。
【0018】
その結果、本明細書で開示するSLCSは、既存のフックやブロックと連携し、安全性を高め、キャリアと荷の操作性能を向上させ、キャリアのオペレータが作業量を増やし、荷の細かい位置と回転を動的に制御するため、荷と周囲の物体へのダメージを軽減することができる。SLCSは、例えば、プラットフォーム型キャリア等の操作や、飛行型キャリア等の操作にメリットをもたらすことができる。
【0019】
SLCSは、荷を吊り下げるプラットフォーム(クレーンやヘリコプターの「自機(オウンシップ:Ownship)」の特性など)に依存しない。それは、その状態を独自に判断し、ウインチと荷の間の制御ラインに張力をかけたり、及び/又は、主荷重ベアリングラインに大きな(有意な)トルクを与えずに、荷を安定させたり所望の方向に向けたりするために、独立して推力を与えるからである。これにより、荷台の種類を問わず広く採用することができ、コストダウンとソリューションリスクの低減を実現する。
【0020】
図1は、プラットフォーム型のキャリア124が主荷重ベアリングライン125及び荷ベアリングコネクタライン115A~115Eを介して荷130を支持し、又は再配置する吊荷制御キャリアフックシステム及び荷100の一実施形態を示す図である。プラットフォーム型キャリア124は一例として図示されているが、飛行型キャリアもまた、又は代替的に使用することができる。
【0021】
図1乃至
図4を参照すると、キャリア124は、キャリア124内のウインチ、ホイスト等、吊りケーブル(本明細書では「主荷重ベアリングライン125」ともいう)、主荷重ベアリングライン125に固定されるヘッドブロック145、ヘッドブロックフック150、及び、荷130をヘッドブロックフック150に固定する1以上の荷支持コネクタ線115によって、荷130を支持し得る。
図1に示される例では、荷ベアリングコネクタライン115Aは、複数のコネクタライン115B~115E(コネクタライン115と共にコネクタライン又はライン115と称する)に分岐してもよい。コネクタライン115は、主荷重ベアリングライン125を巻き上げ又は巻き戻さずに荷130が回転、スピン、又はヨーを受けることを可能にする1つ又は複数の荷ベアリング回転継手122A、122B、又は122Cを介してヘッドブロックフック150(
図2参照)に固定され得る。荷ベアリング回転継手122は、例えば、スラストベアリング又は別のベアリングセット若しくはベアリングシステムで構成されてもよい。
図1に示される実施形態では、SLCS105は、4つの制御ライン110A~110D(制御ライン110と総称される)を含む。異なる数の制御ライン、例えば、1本、2本、3本、又は4本以上の制御ラインが使用され得る。主荷重ベアリングライン125は、多くの場合、編組ケーブルを含むケーブルである。主荷重ベアリングライン125のY軸周りの回転は望ましくない場合がある。例えば、編組ケーブルは、回転させられると、巻き戻される可能性があり、又は巻き過ぎのねじれが発生する可能性があり、そのいずれもが、作業の遅れから、損傷、又は主荷重ベアリングライン、ホイスト等を含む装置の壊滅的故障に及ぶ問題を生じさせる可能性がある。この問題に対処するために、荷ベアリング回転継手122A、122B、及び/又は122Cは、荷130と、フック150及び/又はヘッドブロック145の少なくとも1つとの間に位置してもよいが、荷ベアリング回転継手は、荷130が制御されない方法で回転することも可能にし、これは、前述のように、望ましくない可能性がある。
【0022】
SLCS105は、ヘッドブロック145に固定されてもよく、これにより、SLCS105は、既存のクレーン装置の広い範囲に関して使用されることができる。しかしながら、SLCS105が荷130に力を付与する場合、上記に鑑みればSLCS105は、主荷重ベアリングラインに回転力又はトルクを付与するべきでない。これに対処するために、SLCS105は、制御システム回転継手120(
図2を参照されたい)において、それによって、又は関連して、ヘッドブロック145に固定される。制御システム回転継手120は、例えば、スラストベアリングセット、円錐ローラースラストベアリングセット、自動調心ローラースラストベアリングセット等であってもよい。制御システム回転継手120は、キャリア124と荷130との間の主な吊り上げ力を負担又は伝達しなくてもよく、制御システム回転継手120は、SLCS105の重量及び制御ライン110の張力のみを負担してもよい。
【0023】
前述のように、SLCS105は、1つ以上の制御ライン110によって荷130に固定され、制御ライン110は、ウインチ195(
図4、
図5A、
図5B、及び
図6に標識されている)を荷130に固定する。ウインチ195は、i)制御ライン110の弛みを検出するため、及びii)制御ライン110に張力を生じさせ、又は維持するための少なくとも1つのためにSLCS105によって使用されてもよい。SLCS105は、SLCS105から、及びSLCS105の1つ又は複数のファンユニット155から、トルクなどの力を荷130に伝達するために、制御ライン110に張力を生じさせ、又は維持することができる。制御ライン110に張力がないと、SLCS105が荷130の動きに反応し、荷130を制御する能力が著しく損なわれ、又は遅延する可能性がある。SLCS105と荷130との間の反応時間の遅延は、SCLS105が荷130に力を伝達する能力を著しく阻害する可能性がある。従って、制御ライン110の張力を維持することは、荷130を制御するSLCS105の能力、SLCS105による電力使用、SLCS105の電池寿命、及びミッション目標に影響を与える可能性がある。
【0024】
荷130に伝達される力を生成するために、SLCS105は、例えば、ファンユニット155からの推力を用いてもよい。ファンユニット155は、SLCS105の2つ以上の側面で、互いに対向していてもよい。これらの実施例に示されるように、各ファンユニット155は、一般的に互いに反対方向に向けられた2つのEDFから構成される。ファンユニット155のEDFからの推力、ならびにウインチ195及び制御ライン110の張力は、
図14に関連して説明したSLCS105の動作構成要素、
図15に関連して説明したSLCS105の動作ルーチン、及び
図16に関連して説明したSLCS105の決定及び制御ルーチンによって、荷130を制御又は影響を与えるために使用されてもよい。ファンユニット155の代わりに、SLCS105は、1つ以上のフライホイールから構成されてもよく、フライホイールの加速及び回転するフライホイールの向きの変化は、SLCS105にトルクを付与し、このトルクは、ウインチ195及び制御ライン110を用いて荷130に伝達されてもよい。
【0025】
図2は、実施形態による、
図1のキャリアフック及びSLCS105を部分的に分解して示す図である。
図1に関連して説明され、明示された要素に加えて、ヘッドブロック145、ヘッドブロックフック150、制御システム回転継手120、ファンユニット155A及びファンユニット155B、制御ライン荷確保物(ライン-荷固定具)140、及び荷支持コネクタライン荷確保物(ライン-固定具)135が明示されている。これらの構成要素の特定のものより詳細な図も、
図4に提供される。
【0026】
図3は、実施形態による、
図1のキャリアフック及びSLCS105の一部の実施形態を示す図である。
図3において、図示され、ラベル付けされた要素は、以下のように構成される。:
荷130まで延びることができる1つ以上の制御ライン110A~110D(実施形態では、異なる数の制御ラインが使用されてもよい);荷ベアリングコネクタ線(複数可)115(実施形態では、異なる数の荷ベアリングコネクタ線が使用されてもよい);ヘッドブロックフック150;ヘッドブロック145(ヘッドブロックフック150と組み合わせて「キャリアフック」とも呼ばれる場合がある);制御システム回転継手120;ファンユニット155A及びファンユニット155B;ファン電子機器コンジット170;エレクトロニクスボックス(電子機器ボックス)165A及びエレクトロニクスボックス(電子機器ボックス)165B;主電力コンジット180;主電力供給コンジット175;ならびに主荷重ベアリングライン125。
エレクトロニクスボックス165A及びエレクトロニクスボックス165Bは、
図14~
図16に関連して説明したエレクトロニクス(電子部品)、コンピュータ、及びアルゴリズム又はモジュール及び他の動作部品を含むことができる。主電源コンジット180は、キャリア124まで延び、キャリア124内の電源からSLCS105に電力などの電力を供給してもよい。追加的又は代替的に、SLCS105は、SLCS105に一部又は全部の電力を供給するために電池パックを含んでいてもよい。電力を供給することに加えて、主電源コンジット180又は別のコンジットは、SLCS 105と制御信号及び/又はセンサ信号の他のソース又は宛先との間で制御信号及び/又はセンサ信号を中継することができる。前述のように、主荷重ベアリングライン125は、キャリア124のホイストなど、キャリア124まで延びていてもよい。
【0027】
図4は、
図1のキャリアフック及びSLCS105の一部の実施形態の分解詳細図である。図示されラベル付けされた要素は、以下を構成する:制御システム回転継手(rotational coupling)120。制御システム回転継手120は、ファンユニット155、エレクトロニクスボックス165、ウインチブラケット190A及び190B(これらは、ウインチ195A~195Dをファンユニット155A及び155Bに固定してもよく、エレクトロニクスボックス165(エレクトロニクスボックス165は、ファンユニット155上など、別の場所に配置してもよい)を保持してもよい);ウインチ195A~195D。
制御システム回転継手120は、ヘッドブロック145又は主荷重ベアリングライン125に著しいトルクを与えることなく、SLCSがヘッドブロック145から別々に回転することを可能にし、例えば、制御システム回転継手120における摩擦のみがSLCS105からヘッドブロック145にトルクを伝達し、このような摩擦ベースのトルク伝達は比較的僅少で、トルクを吸収し抵抗する主荷重ベアリングライン125の能力(許容量)未満である。制御システム回転継手-ヘッドブロック固定具200は、制御システム回転継手120をヘッドブロック145に固定するための、ボルトなどの1つ又は複数の固定具構造である。
【0028】
図5Aは、ウインチブラケット190の実施形態を示し、これは、ウインチ195をファンユニット155に、ファンユニットブラケット185を介して、制御システム回転継手120に、そしてそれによって、ヘッドブロック145に固定し得る。ウインチ195は、ファンユニットブラケット185及び/又は別の専用の構造など、他の構造を介して制御システム回転継手120に固定されてもよい。
【0029】
図5Bは、ウインチブラケット190及びウインチ195の一実施形態を示す。
図14から
図16に関連して議論された吊荷制御システムの操作(運用)構成要素(コンポーネント)及びモジュールと組み合わせて、ウインチ195又はウインチ195からのデータは、1つ又は複数の制御ライン110上の歪み又は張力の量を感知するために使用されてもよい。
図14から
図16に関連して議論された吊荷制御システムの動作構成要素及びモジュールは、1つ又は複数の制御ライン110上の張力を引き出すためにウインチ195を使用してもよい。制御ライン110上の感知された張力又は張力の欠如は、荷130の所望の又は望ましくない運動を示し、及び/又は荷130の所望の又は望ましくない運動によって生じる可能性がある。張力は、荷130に力を付与するためにウインチ195によって制御ライン110上に付与されてもよく、そのような力は、1つ又は複数のファンユニット155が力を与えるために動作しているときなど、ウインチ195と例えばファンユニット155の間で伝えられるか、ヘッドブロック145上に伝わり、荷130の重心がヘッドブロック145及び主荷重ベアリングライン125に対する方向に偏ってしまう可能性がある。
【0030】
図6は、ウインチブラケット190、ウインチ195、及びウインチ195から延びる制御ライン110の実施形態を示す。1つ以上の制御ライン110又は制御ラインフィーダラインがウインチ195から延びていてもよい。ウインチブラケット190は、ウインチ195を主荷重ベアリングライン125の中心垂直軸(又はY軸)に対して遠位に配置してもよい。前述のように、ウインチブラケット190及びウインチ195は、主荷重ベアリングライン125の中心垂直軸(又はY軸)に関して対称であってよい。実施形態において、より多い又はより少ない数のウインチ195及び/又はウインチブラケット190が使用されてもよい。ウインチ195は、制御ライン110からウインチ195上の張力を感知するための1つ以上の張力センサを含んでいてもよい。張力センサは、例えば、位置エンコーダ、トルクセンサ、ステインゲージ、制御ライン110のためのバネ式及び計器用ガイドなどから構成されてもよい。ウインチ195は、ウインチ195から又はウインチ195に払い出された制御ライン110の量を検出して報知するセンサをさらに含んでいてもよいし、張力センサに組み込んでもよい。
【0031】
図7Aは、ファンユニットブラケット185の実施形態を示し、これは、例えば、ボルト、溶接、ストラップなどを介して、ファンユニット155を制御システム回転継手120に固定してもよい。実施形態において、他の構成要素は、ファンユニット155と制御システム回転継手120との間の中間であってもよい。
【0032】
図7Bは、ファンユニットブラケット185、ファンユニット155、及びエレクトロニクスボックス165に固定された制御システム回転継手120の実施形態を示す図である。
【0033】
図8は、エレクトロニクスボックス165がファンユニットブラケット185に固定された実施形態を示す図である。この実施形態では、エレクトロニクスボックス165は、制御システムアンテナ205を有する。制御システムアンテナ205は、リモートペンダント235及び/又はキャリア124内の構成要素、及び/又はGPS、LIDAR、RADAR、SONAR、画像(可視、赤外線などのカメラ)、音響(マイク)、慣性、ジャイロセンサなどに関する無線センサ、センサ入力、又はセンサ出力など、無線通信を可能にしてもよい。
【0034】
実施形態において、エレクトロニクスボックス165は、例えば、電源システム、電力調整器、リレー、バッファなどで構成され、ファンユニットに調整された電力を供給してもよい。実施形態において、エレクトロニクスボックス165は、バッテリを備えてもよい。実施形態において、エレクトロニクスボックス165は、ファンユニットへの電力を制御するために、例えば、電子速度制御器、モータドライバ、等を備えてもよい。
【0035】
実施形態において、エレクトロニクスボックス165は、例えば、
図14から
図16に関連して説明した、動作部品(例えば、コンピュータプロセッサ及びメモリ)、動作ルーチン、及び吊荷制御システムの決定及び制御ルーチンから構成されてもよい。
【0036】
図9は、ファンユニット155の実施形態を示し、ファンユニット155は、以下を有する。:ファンユニット155への破片の侵入を阻止してもよく、空気又は別の推力流体がファンユニット155から出ることを可能にするファンユニット出口カバー210;ファンユニット155への破片の侵入を阻止してもよく、空気又は別の推力流体がファンユニット155に入ることを可能にしてもよいファン入口220;ならびにファン215Aとファン215B。
ファン215A及びファン215Bは、ダクト付きファンであってもよい。ファン215A及びファン215Bは、エレクトロニクスボックス165内のバッテリパックなど及び/又はキャリア124から得られ、エレクトロニクスボックス165によってファンエレクトロニクスコンジット170を介してファン215A及び/又はファン215Bに供給される電気で、制御信号と連携し得る及び/又はファン215内の電気モータからの電磁周波数(EMF)及び/又はエンコーダフィードバックなどの制御信号の発生と連携し得る電気モータ(複数可)により駆動されても良い。
【0037】
図10は、ファン入口220、ファン215A及びファン215Bを含むファンユニット155の一実施形態を示す図である。ファン215A及びファン215Bは、それぞれが他と反対側の推力を生成するように、互いに180度反対側に配向(位置づけ)されてもよい。ファン215A及びファン215Bは、互いに180度反対以外の向きにされてもよい。
【0038】
ファンユニット155は、1つ又は複数のファンを保護するカウルから構成されてもよい。カウルは、環境との衝撃に耐えるように、硬化されてもよい。カウルユニットは、金属、プラスチック、繊維強化樹脂を含む複合材料等から構成されてもよい。ファンユニット155内のファンは、ブレードと、電気モータなどのモータ(複数可)とから構成されてもよい。ファン内の電気モータは、埃、砂、水、及びゴミに対して密閉されてもよい。
【0039】
各ファンユニットのファンは、スラスト流体(空気など)を固定方向、例えば、互いに反対の固定方向;例えば、180度オフセットした方向に推進する。他の実施形態では、より少ない又はより多い数のファンユニット及び/又はファンが使用されてもよい。他の実施形態では、ファンユニット及び/又はファンは、図示されている以外に整列されてもよく、例えば、軸の他に沿ってオフセットがあってもなくても、180度より大きい又は小さい角度でオフセットされてもよい。ファンユニット内のファンユニット及び/又はファンを動的に再配置するために、機械的なステアリング構成要素が含まれてもよい(図示せず)。
【0040】
ファンユニット155の個々のファンは、SLCS105のようなファンのアセンブリの推力ベクトル化又は推力ベクトル制御を生成するために、異なる電力で別々に作動させることができる。例えば、時計回りのヨー(
図11に対する方向を有する)を生成するために、ファンユニット155Bのファンは、それ自体で、又はファンユニット155Aの反対側の反対側のファンと一緒に作動してトルクを生成することができる。SLCS105及び荷130に横方向の並進力を生じさせるために、ファンユニット155A及び155Bの同じ側のファンが駆動するようにしてもよい。横方向の並進と回転を同時に発生させることができる。
【0041】
図11は、推力ベクトル230A乃至230Dがファンユニット155A及び155Bによって生成され得るSLCS105の実施形態を示す図である。推力ベクトル230A~230Dは、例えば、
図14~
図16で議論された吊荷制御システムの動作構成要素によって制御されて、例えば回転力225(例えばヨー力又はトルク)又は並進力(例えばX及びZ軸の一方又は両方に沿った力)を生成してもよく、これらは制御ライン110の一つ又は複数によってSLCS105と荷130との間で伝達され得る。キャリア124からの吊り上げ力及び並進力は、1つ又は複数の荷ベアリングコネクタライン115によって荷に伝達されてもよい。
【0042】
図12は、リモートペンダント235と無線通信しているSLCS及び荷(ロード)100の実施形態を示す図である。リモートペンダント235は、SLCS105、リモートペンダント235、ユーザ、又はキャリア内のシステムなどの他のソース又は宛先の間で制御信号及び/又はセンサ情報を提供、及び/又は中継することができる。他のソース又は宛先は、SLCS105及びリモートペンダント235の一方又は両方と無線又は有線通信していてもよい。
【0043】
図13Aは、例えば、起動コントローラ240を構成するリモートペンダント235の実施形態を示す図である。
図13Bは、リモートペンダント235の一実施形態の別の図を示す。
図13Cは、例えば、オン/オフスイッチ245、状態セレクタ250、及び手動/回転制御251を備えるリモートペンダント235の一実施形態の別の図を示す。オン/オフスイッチ245は、リモートペンダント235をオンにするために使用されてもよい。状態セレクタ250は、
図15に関連して議論され得るように、SLCS105のコマンド状態を選択するために使用されてもよい。起動コントローラ240は、選択されたコマンド状態において又はそれに関連してSLCS105を活性化(起動)又は非活性化(停止)するために使用されてもよい。手動/回転制御251は、荷130を回転又は並進させるためにファンを手動で作動させるために使用されてもよい。
【0044】
図14は、一実施形態による、吊荷制御システム論理構成要素1401及びリモートインターフェース論理構成要素1450を含む吊荷制御システム(「SLCS」)1400の動作構成要素を模式的に示す図である。吊荷制御システム論理構成要素1401内には、位置センサ1406、方位センサ1407、慣性センサ1408、近接センサ1409、基準位置センサ1410、推力センサ1411(ファンに関連して使用)、ウインチセンサ1412(SLCS内のウインチに関連して使用、例えばウインチの張力(テンション)及び/又はウインチから払い出されるかウインチに巻き上げられるウインチ制御ラインの長さを感知するため)、及びカメラなどがあり得るセンサ群1405(センサスイート)が含まれる。センサ1405の一部又は構成要素は、感知された状態が発生する場所など、エレクトロニクスボックス165の外側に物理的に配置されてもよい。
【0045】
SLCS処理能力又はプロセッサ1420は、例えば、コンピュータプロセッサ及び/又はマイクロコントローラを含む。SLCSメモリ1425は、一般に、ランダムアクセスメモリ(「RAM」)や、ソリッドステートドライブなどの永久非一時的な大容量記憶装置からなり、例えば、ナビゲーションシステム1426、ターゲットデータ1427、モード又はコマンド状態情報1428、及び操作(運用)モジュール1500(オペレーショナルモジュール)及び吊荷制御の決定及び推力制御モジュール1600の、1つ以上のためのソフトウェア又はファームウェアコード、命令、又はロジックが含まれる。通信システム1430は、無線トランシーバなどの無線システム1431と有線システム1432を含む。SLCS出力1415は、例えば、電力コントローラ及び/又はESCを介して、推力制御1416及び張力制御1417を含む。電力管理システム1440は、例えば、バッテリ又はクレーン若しくは他のキャリアからの電力からの電力供給を調整し、分配する。データバスは、吊荷制御システム論理構成要素1401の様々な内部システム及び論理構成要素を結合する。
【0046】
対話型ディスプレイ、対話型制御、リモートペンダント、位置決めユニット、又はターゲットノード(これらはすべて本明細書において「リモートインターフェース」とも呼ばれ得る)は、リモートインターフェース論理構成要素1450の1つ以上を含む計算ユニットであってよく、このようなユニットは、機体、キャリア、リモートペンダント(その実施形態が
図13Aから
図13Cに示される)、タブレットコンピュータなどの別の装置に自己給電又はハードワイヤー接続されてもよい。リモートインターフェース論理構成要素1450は、例えば、無線又は有線コンジット及び通信システムを通じて、SLCSからデータを受信し、及び/又はSLCSにデータを送信してもよい。SLCSからのデータは、リモートインターフェース論理構成要素1450のディスプレイ1461上に又はディスプレイを介して表示又は通信されてもよく、データは解析され、聴覚、触覚、又は視覚の合図に変換されることがある。リモートインターフェース論理構成要素1450は、後述するように、オペレータの所望のコマンド状態及び操作指示をSLCSに伝達することもできる。
【0047】
リモートインターフェース論理構成要素1450は、無線1471又は有線1472であってもよい通信システム1470を介して、吊荷制御システム論理構成要素1401と通信していてもよい。リモートインターフェース論理構成要素1450からの出力1460は、スクリーン又はディスプレイ1461上に表示される情報、及び音声出力(オーディオ出力)1462を介した聴覚的な合図又はリモート音声(荷内のセンサによって検出される音声など)へのアクセスを含んでもよい。出力1460はまた、触覚の合図を出力してもよい。SLCSを制御するためのリモートインターフェース論理構成要素1450への入力1465は、例えば
図13A~
図13Cを参照して、起動コントローラ240、オン/オフスイッチ245、状態セレクタ250、及び手動/回転制御251を介して、タッチスクリーン1466又はジョイスティック1467を介したコマンドを含んでもよい。実施形態において、手動/回転制御251は、SLCSの反対側にあるファン(対向するファン)を作動させて、例えば、荷130に回転力又はトルクを発生させてもよい。実施形態において、追加の制御(複数可)は、例えば、荷130に例えば並進力を生じさせるために、SLCSの同じ側のファンを作動させるために提供されてもよい。実施形態において、追加の制御(複数可)は、例えば、制御ラインを締め付けるために1つ以上のウインチを作動させるように提供されてもよい。様々な実施形態において、リモートインターフェース論理構成要素1450は、本明細書に記載される機能性を集合的に提供する1つ以上の物理的及び/又は論理的デバイスから構成されてもよい。
【0048】
本システムの側面は、本明細書で詳細に説明したコンピュータ実行可能命令の1つ以上を実行するように特別にプログラムされ、構成され、又は構築された、特殊又は特別目的のコンピューティングデバイス又はデータプロセッサに、適切なメモリと組み合わせて具現化することができる。本システムの態様は、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、又はインターネットなどの通信ネットワークを介してリンクされるリモート処理デバイス及びメモリによってタスク又はモジュールが実行される分散コンピューティング環境でも実施され得る。分散コンピューティング環境では、モジュールは、ローカルとリモートの両方のメモリストレージ装置に配置されることがある。
図14に模式的に示されるように、吊荷制御システム論理構成要素1401及びリモートインターフェース論理構成要素1450は、有線又は無線ネットワークによって結合されてもよい。
【0049】
吊荷制御システム論理構成要素1401は、一実施形態に従って、1つ以上のリモートインターフェース論理構成要素1450を含むリモート(遠隔)位置決めユニット、リモートインターフェース、又はターゲットノードと協働してよい。リモート位置決めユニット、リモートインターフェース、又はターゲットノードは、位置基準として吊荷制御システム論理構成要素1401と無線などで通信するように構成された、センサ1468などの内部又は外部センサ群を含んでいてもよい。センサ1468は、センサ1405と同様であってもよいし、センサ1405のサブセットであってもよい。センサ1405が一次センサスイートとみなされる場合、二次センサスイート位置は、主荷重ベアリングライン125が吊り下げられるプラットフォーム、クレーン、航空機、又は他のキャリア内であってもよく、三次センサスイート位置は、荷に対する関心位置(例えば、荷を取得又は提供するための位置決めのための)であってもよい。リモートインターフェース論理構成要素1450は、プロセッサ1420及びメモリ1425と同様であってもよい、プロセッサ1469及びメモリ1473をさらに備えてもよい。メモリ1473は、リモートインターフェースモジュール1474などのリモート位置決めユニット、リモートインターフェース、ターゲットノード、又はリモートインターフェースによって使用される1つ又は複数のモジュールのためのソフトウェア又はファームウェアコード、命令、又はロジックを含んでいてもよい。例えば、リモートインターフェースモジュール1474は、リモート位置決めユニット、リモートインターフェース、ターゲットノード、又はリモートインターフェースに対して、オン/オフを可能にする、SLCSとペアリングする、命令を入力する、などの制御及びインターフェース(例えば、入力/出力)を提供してもよい。
【0050】
リモート位置決めユニット又はリモートインターフェースは、無線トランシーバを介して吊荷制御システムの論理構成要素1401と通信し、位置基準を提供するように構成されたトランシーバを含んでもよい。例えば、リモート位置決めユニット又はリモートインターフェースは、荷が吊り下げられる可能性があるヘリコプターの自機、クレーン、又は他のキャリア124に固定されてもよい。リモート位置決めユニット、リモートインターフェース、又はターゲットノードは、例えば、磁石、ボルト、又は任意の他の固定機構によって、ヘリコプター、クレーン、又はキャリアに固定されてもよい。リモート位置決めユニット、リモートインターフェース、又はターゲットノードは、地上の場所に設置又は落下するか、例えば、救命具又は他の浮遊装置、救助者、ピックアップされる荷、配送される荷の場所、又は運用上の特定の場所に固定することができる。
【0051】
いくつかの実施形態では、リモート位置決めユニット、リモートインターフェース、又はターゲットノードは、手に収まる大きさの、耐久性のあるポリマー又はプラスチックで作られてもよい。リモート位置決めユニット、リモートインターフェース、又はターゲットノードは、外部アンテナを有していてもよい。
【0052】
吊荷制御システム論理構成要素1401及び/又はリモートインターフェース論理構成要素1450の側面は、本明細書で詳細に説明するコンピュータ実行可能命令の1つ以上を実行するように具体的にプログラムされ、構成され、又は構築された、特殊又は特別目的の演算装置又はデータプロセッサにおいて具現化されてもよい。吊荷制御システム論理構成要素1401及び/又はリモートインターフェース論理構成要素1450の態様は、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、又はインターネットなどの通信ネットワークを介してリンクされるリモート処理デバイスによってタスク又はモジュールが実行される分散コンピューティング環境においても実施されることができる。分散コンピューティング環境では、モジュールは、ローカル及びリモートの両方のメモリ記憶装置に配置されることができる。
図14に模式的に示されるように、吊荷制御システム論理構成要素1401及びリモートインターフェース論理構成要素1450は、有線又は無線ネットワークによって結合されてもよい。
【0053】
図15は、一実施形態による複数のモード又はコマンド状態モジュールを含む吊荷制御システム(「SLCS」)の操作モジュール1500の一例を示す図である。決定(判定)及び操作モジュール1500の、又はそれを具体化する命令は、例えばメモリ1425に格納されてもよく、例えばプロセッサ1420、ならびに操作モジュール1500が相互作用し得るSLCSの電気回路、ファームウェア、及び他のコンピュータ及び論理ハードウェアによって実施又は実行され得る。実施形態では、操作モジュール1500の一部又は全部を実行するためのコンピュータプロセッサ及びメモリは、例えば、キャリア内の補助コンピュータ内など、SLCSから遠隔であってもよい。
【0054】
ブロック1505において、吊荷制御システム装置は、荷及び/又は荷が吊り下げられるケーブルの上に設置されてもよい。吊荷制御システム装置は、設置のために電源を入れる必要はない。
【0055】
ブロック1510において、装置内の吊荷制御システム(「SLCS」)は、起動され、操作モジュール1500が起動されてもよい。いくつかの実施形態では、操作モジュール1500は、エレクトロニクスボックス165及び/又はリモートペンダント235上など、SLCS上に位置するボタンの押下によって初期化されてもよい。操作モジュール1500を初期化し得る外部ボタンの近くに、押されると直ちにシャットダウンすることを可能にする別のボタンが存在してもよい。センター又は制御モジュール上の初期化インターフェースに加えて、操作モジュール1500は、システムの隣に直接いないオペレータによって初期化されてもよい。クレーン又は他のキャリア等のオペレータ、ケーブルの端にいる救助者などを含むがこれらに限定されない1人以上の外部オペレータは、操作モジュール1500に無線でリンクされた1つ以上のリモートインターフェースのボタンを押すことによって、操作モジュール1500を初期化してもよい。物理的に分離された制御ユニット、ファンユニットなどの完全なSLCSの1つ以上のモジュールは、ブロック1510で起動(スタートアップ)されてもよく、一緒に機能するようにペアリングされてもよい。ブロック1510の間、操作モジュール1500は、操作モジュール1500が制御することになるファンユニット又はウインチの相対的な向きを決定してもよい。この決定は、各ファンユニット又はウインチのセンサ(複数可)からサンプリングされたコンパス方位など、ファンユニット又はウインチからのセンサ情報に基づいてもよい。この決定は、モジュラーSLCSの構成要素がロープ又はウェビングで囲まれた荷などの不規則な荷に展開され、ファンユニット又はウインチが平行でない可能性がある、又は予め決められた固定された物理的配置を有しない可能性がある場合のように、使用できないファンユニット又はウインチを調整するために実行されてもよい。この判定は、
図16のブロック1635で、ファン及びウインチのマッピングに関して使用されてもよい。SLCSが剛体フレーム内にあり、ファンユニット又はウインチが互いに平行であると推定され得る場合、この判定は必要でない場合がある。この判定は、ファンユニット又はウインチが許容される方向範囲内にない場合、又はそれらが利用できない場合、エラー状態を生成する可能性がある。
【0056】
ブロック1515において、操作モジュール1500は、起動されてもよい。ブロック1515において、操作モジュール1500は、ウインチの起動などによって、1つ又は複数のウインチ制御ラインに張力を与えてもよい。操作モジュール1500は、ウインチ1412センサを用いるなどして、1つ又は複数のウインチ制御ライン上の張力、及び/又は1つ又は複数の制御ラインの長さを感知してもよい。オペレーショナルモジュール1500は、制御ライン上の張力及び/又は制御ラインの長さに関する情報を、例えば、リモートインターフェース論理構成要素に出力してもよい。オペレーショナルモジュール1500は、張力が不十分又は高すぎるウインチ、ウインチへ又はウインチから払い出された不十分又は高すぎるウインチ制御ラインなどのエラー状態が発生したことを決定(判定)してもよい。エラー状態は、リモートインターフェースへのようなオペレータへの報告をもたらしてもよい。;エラー状態は、リモートインターフェースからのようなオペレータからのコマンドによって上書きされてもよい。;エラー状態は、エラー状態が対処されるまで動作モジュール1500が進行しないことをもたらしてもよい。エラー状態は、オペレータがウインチ制御ラインを再固定し、操作モジュール1500を再初期化又は初期化を継続することによって対処されてもよい。
【0057】
ブロック1515においてエラー条件などがない場合、ブロック1520において、操作モジュール1500の機能モード又はコマンド状態が、オペレータ又は別のプロセスからの入力などによって呼び出されることがある。ウインチ制御ラインの張力の維持及びエラー条件の不在は、ブロック1520のパフォーマンスの継続に対する条件であってよい。ブロック1520において、操作モジュール1500は、機能モード又はコマンド状態を実装するために、サブルーチン又はサブモジュールとして、吊荷制御決定及び推力制御モジュール1600を実行又は呼び出す。システムの機能モード又はコマンド状態は、以下の通りであってもよい。
【0058】
アイドルモード1521:SLCSの内部システムは動作しているが(例えば、操作モジュール1500はSLCSと荷の動きを観察し、修正アクションを計算する)、スラスタは停止しているかアイドル速度のみを維持し、荷の動きに影響を与える動作はない。
【0059】
自機、クレーン、キャリアに対する相対位置を維持するモード1522:
吊り下げられた原点に対してSLCSを安定させる。例えば、クレーンの下方にある吊りケーブルの落下点より下に荷がある状態でSLCSを吊るすと、SLCSは吊りケーブルの落下点の真下に留まる。対自機の相対位置を維持するモード1522は、自機の動き(落下点の動きを含む)を定位し、他の吊荷の動きを急激に減衰させるために必要な修正動作を行う。自機又は落下地点が低速で移動している場合、対自機の相対位置を維持するモード1522は、速度又はケーブル張力をカップリングし、2つの物体(entity)が一体となって移動するようにする。荷に外乱が加わった場合、対自機の相対位置を維持するモード1522は、外乱の方向に対して推力やウインチ制御ラインの張力を与え、外乱を打ち消すことで揺れを除去する。
【0060】
移動/停止モード1523:SLCSを定位置に安定させ、天候やクレーン、キャリアなどの吊り具(プラットフォーム)のわずかな動きの影響を打ち消す。このモードは、すべての動きを停止させる効果がある。オペレータは、リモートインターフェイスを介して、SLCSに目標位置を送信することができる。これには少なくとも3つの方法がある。
【0061】
ターゲットノード位置1524:オペレータは、基準位置センサ1468(例えば、位置決めユニット又はターゲットノード)を所望の下降位置に配置してもよい。基準位置センサ1468は、ターゲットノード位置1524モジュールと無線通信して所望の位置を示してもよく、ターゲットノード位置1524モジュールは、SLCSを所望の位置に操縦することによって応答し、同時にこの操縦を助けるためにウインチ張力を調節する。リモートインターフェースディスプレイ1461は、両エンティティの位置情報を受信し、表示してもよい。
【0062】
ユーザ指定位置/配向(方位)1525:オペレータは、リモートインターフェースディスプレイ1461を使用して、ユーザ指定位置/配向1525モジュールに指令された位置又は配向(方位)として指定位置(例えば、緯度及び経度座標)又は配向(方位)を送信することができる。その後、システムは、吊荷を所望の位置に、又は所望の方位に着実に向けることになる。システムは、同時に、位置、距離、及び方位情報に関して、リモートインターフェース論理構成要素1450にフィードバックを送ることになる。
【0063】
位置又は方位保持モード1526:SLCSのすべての動きに抵抗し、自機の動きや外力から独立して現在の位置及び/又は方位を保持する。このモジュールは、すべての動きを停止させる効果がある。このモジュールは、自機の速度、安全係数、物理的制約にそれぞれ条件付きで応答する。
【0064】
直接制御モード1527:SLCSをジョイスティックなどで3自由度操作する。オペレータは、例えば、手動/回転制御251又は別の制御を使用して、位置決め、回転、スラスタ出力レベル、又はウインチ張力を直接制御することが可能である。操作モジュール1500は完全に閉ループであり、動作中に外部制御を必要としないが、ユーザ制御のためのオプションがある。オペレータは、位置決め、回転、スラスタ出力レベル、及びウインチ張力を直接制御するために、直接制御モード1527モジュールに入力を提供することが可能である。
【0065】
障害物回避モジュール1529モジュール:センサ情報を受信して処理し、i)ファンユニットなどのセンサ位置と、環境中で感知された障害物などの物体との距離を等しくする、又はii)荷の形状を測定又は受信し、環境中で感知された障害物の形状を測定し、荷の位置、向き、動きを決定又は受信し、ファンやウインチを起動するなどして障害物と荷の相対関係を調整する。
【0066】
ブロック1530において、オペレータは操作を完了し、SLCSを回収する。
【0067】
ブロック1535において、操作モジュール1500は、対話型制御上のボタンなどを押すことによって、SLCS装置上のボタンを押すことによって、停止されてもよい。SLCS装置が折りたたみ可能なフレーム、推進アーム、ファンユニット、又はウインチを含む場合、ウインチ制御ラインは巻き取られ、コイル状に巻かれ、又は引き出され、アーム又はフレーム部品は折り畳まれ、格納されてもよい、など。SLCS装置が、ファンユニット、ウインチ、ハウジング、電源ハウジングなどの取り外し可能なモジュールを含む場合、モジュールを取り外して分解することができる。また、荷を荷掛けフック等から取り外し、荷及び/又はSLCSの上部のホイストリングから吊りケーブルを取り外してもよい。その後、SLCSを適当な場所に収納することができる。収納時、SLCSは、充電器又は他の電源に電気的に結合されてもよい。
【0068】
図16は、一実施形態による吊荷制御システム(「SLCS」)の決定及び推力制御モジュール1600を示す図である。決定及び推力制御モジュール1600の、又はそれを具体化する命令は、例えばメモリ1425に格納されてもよく、例えばプロセッサ1420、ならびに決定及び推力制御モジュール1600が相互作用し得るSLCSの電気回路、ファームウェア、及び他のコンピュータ及び論理ハードウェアによって実施又は実行されてもよい。実施形態では、決定及び推力制御モジュール1600の一部又は全部を実行するためのコンピュータプロセッサ及びメモリは、例えば、キャリア、リモートインターフェース等の補助コンピュータ内など、SLCSから遠隔であってもよい。
【0069】
決定及び推力制御モジュール1600は、閉ループで動作して、ほぼリアルタイムでその位置及び動きを理解し、最も望ましいシステム応答を決定し、所望の応答(複数可)を空気推進システムスラスタアレイ及び/又はウインチへ送ってケーブルの揺れを軽減し、あるいは動作中に荷を制御してもよい。
【0070】
ブロック1605において、決定及び推力制御モジュール1600は、例えば、加速度計、ジャイロスコープ、磁力計、GPS、ライダー/レーダー、距離計、ウインチセンサ1412などのセンサ1405、又はSLCSのカメラで撮影したウインチ制御ラインの画像のマシンビジョン処理を含むマシンビジョン入力からデータを得てもよい。
【0071】
ブロック1610において、決定及び推力制御モジュール1600は、センサからのデータを結合して、SLCS装置の位置、方位、動き、及び環境を記述するデータ融合を得る。
【0072】
センサデータは、SLCSによってカルマンフィルタの非線形フレーバーを通して融合され、フィルタリングされ、システムの状態の正確な表現が得られる。ファジー調整された比例・積分・微分フィードバック制御器を含む閉ループ制御方式は、深層学習ニューラルネットや未来伝搬型カルマンフィルタ(future propagated Kalman filters)などの高度な制御方式と双方向通信を行い、さらなるリアルタイムシステム同定を可能にすることができる。
【0073】
ブロック1615において、決定及び推力制御モジュール1600は、データ融合に基づいて、及び決定及び制御エンジンから状態推定器へのフィードバックに基づいて、近未来運動(近い将来の動き)を予測するために非線形状態推定器を使用して状態推定を実行する。状態推定及び近未来運動は、回転率又は回転の変化率、質量、質量中心、慣性モーメントなどを含んでもよく、1つ以上のそのようなデータ又はそのようなデータの変化は、1つ以上のウインチ制御ラインの不正な張力と一致することがある。
【0074】
ブロック1617において、決定及び推力制御モジュール1600は、ユーザ入力に従うなどして、機能モード選択を受け取る。
【0075】
ブロック1620において、決定及び推力制御モジュール1600は、ユーザが選択した機能モード又はコマンド状態1617によって知らされる状態推定1615、ならびに推力及び方向及びウインチマッピング1625及び出力制御1640からの追加のフィードバックを取り、SLCSの望ましい運動方向、回転、重心、又は応答速度を決定する。
【0076】
アルゴリズム出力は、ESCのような運動又は電力コントローラに送られ、EDFに所望の推力応答を送り、例えばパルス変調電力信号の位相制御を介してウインチ制御としてウインチに送られる。正味の推力出力とウインチ制御は、エンコーダとロードセルを通してリアルタイムでマッピングされ、その後、閉ループ制御のために決定及び制御ブロック1620以降に送り返される。
【0077】
ブロック1630において、決定及び推力制御モジュール1600は、SLCS装置の決定された推力、ウインチ張力、及び向きを達成するために、EDFからの推力ベクトルで所望の向きをマッピングして推力及び向きマッピングを生成し、ウインチ張力で所望の向きをマッピングしてウインチ張力マッピングを生成する。
【0078】
ブロック1635において、決定及び推力制御モジュール1600は、推力及び配向マッピングをファン及びファン推力ベクトル及びウインチ張力ベクトルにマッピングし、ファン及びウインチマッピングを生成してEDF及びウインチを制御し、SLCSの所望の推力及び配向(方向付け)を達成させる。
【0079】
ブロック1640において、決定及び推力制御モジュール1600は、決定されたように移動又は力を発揮するために、ファン及びウインチマッピングを適用して電力制御信号を出力し、SLCSの決定された推力及び向き(方向付け)を達成するためにファン及び/又はウインチの駆動を決定する。
【0080】
ブロック1640において、SLCSスラスタは、命令された制御出力を発揮し、推力及びウインチ制御の形態で動的応答を実施し、この推力及びウインチ制御は、不要な運動を打ち消し、又はSLCS及び荷を所望の様式で駆動してもよい。
【0081】
不正なウインチ張力エラー状態が検出された場合など、割り込み条件が発生した場合、決定及び推力制御モジュール1600は、それを呼び出した可能性のあるモジュールに終了又は戻ることができる。
【0082】
決定及び推力制御モジュール1600は、高レベルのオペレータが選択した機能制御モード及び/又は機能制御モードによるユーザ入力を除けば、無人化及び自動化されてもよい。正味の出力は、吊荷を移動、安定化、又は制御するための制御力である。
【0083】
高レベルのオペレータが選択した機能制御モードやユーザからの入力を除けば、プロセス全体が無人で、自動化されている。正味の出力は、吊荷を安定させたり制御するための制御力である。
【0084】
図17Aは、制御ライン上の不十分な張力を有する、SLCSによって制御されるための吊荷の応答のグラフを示す。
図17Aは、本明細書に開示されるような装置、システム、及び方法をシステムが含む場合に生じ得るような、制御ライン上の適切な張力を有する、SLCSによって制御されるための吊荷の応答のグラフを図示する。
図17Aの不十分な張力を有するグラフは、SLCSがその吊り下げられた垂直軸の周り(例えば、Y軸の周り)で振動していることを示す。その結果、SLCSが荷を制御する能力が低下し、SLCSから荷への力(例えばトルク)の適用における待ち時間が増加し、SLCSによる電力消費が増加し、性能が著しく低下し、操作において別の装置、例えばSLCSを採用する根拠が損なわれる。
図17Bの適切な張力を有するグラフは、不十分な張力を有するグラフと比較して、SLCSがその吊り下げられた垂直軸(例えば、Y軸)周りの振動を減少させていることを示している。この結果、SLCSが荷を制御する能力が向上し、SLCSから荷への力(例えばトルク)の適用における待ち時間が減少し、SLCSによる電力消費が減少し、動作にSLCSを採用する根拠となる性能を得ることができる。
図17Bのグラフは、
図17Aのように単に荷を1つの方向に保持しようとするのではなく、荷を意図的に回転させ、SLCSの応答をさらに示している。
図17Bのグラフは、さらに
図17Aとは異なるスケールを有しているが、それにもかかわらず、SLCSの著しく改善された性能は、これら2つのグラフの比較において見ることができる。
【0085】
状態表示灯は、SLCSの上方及び下方からの視認及び操作を補助するために、SLCSの様々な表面に取り付けられてもよい。例えば、SLCSは、SLCSの端と向きを識別するスラスタの近くにLEDのような外部照明を有してもよい。これにより、悪天候のような見づらい状況での識別を改善することができる。操作中、リモートインターフェースとシステム本体の両方で、LEDディスプレイインジケータは、システムがアクティブであることを示し、有用な情報を伝える。
【0086】
エレクトロニクスボックス165は、コンピュータプロセッサ及びメモリ、電源、電子速度コントローラ、マイクロコントローラ、センサなどのコンピュータハードウェアを収容し、保護してもよい。電源は、単一のパワーブリックであってもよいし、リチウムポリマー(LiPo)セルなど、直列及び/又は並列に配線されたバッテリーセルのアレイであってもよい。電池は、点検のため、及び/又は、放電した電池と充電した電池を交換するために、取り外し可能であってもよい。電池は、充電ドックに接続するSLCS上又はSLCS内のノード又は無線充電システム、又は主電源コンジット180などの有線接続を介して電力を介して、SLCSに設置されている間に(すなわち、取り外すことなく)充電されることができる。バッテリは、ファンユニットのスラスタが主バッテリから比較的大きな電力を引き出す場合でも、プロセッサに安定した電力を供給するための補助バッテリを含んでもよい。実施形態において、クレーンは、SLCSにいくつかの電力を供給することができ、SLCSは、オンボード電源から他の電力を得ることができる。様々な実施形態において、SLCSは、オンボード電力とリモート電力の組合せにより電力を供給されてもよい。多くの環境では、SLCS のすべての電力はオンボードに含まれ、外部電源又は配送手段の利用可能性に依存することなく、完全な自律的動作を可能にする。
【0087】
エレクトロニクスボックス165内に含まれるのは、マイクロコントローラユニット又はプロセッサが、セル電圧及びリアルタイムの電力散逸又は消費(これらに限定されない)を含む電力情報を監視できるようにするデータリンクであってもよい。
【0088】
エレクトロニクスボックス165内に収容されるのは、コンピュータプロセッサがEDF内のスラスタの速度、電力引き込み、及び推力を制御することを可能にするスラスターコントローラであってよい。スラスターコントローラは、例えば、EDFのための電子速度コントローラー(「ESC」:electronic speed controller)であってもよい。ESCは、通常、電源、スラスタ、及びプロセッサ若しくはマイクロコントローラ又はその両方への少なくとも3つの接続を備えている。ESCは、電源から電力を取り出し、スラスタに配分して、EDFが生み出す推力の大きさを制御する。
【0089】
エレクトロニクスボックス165内に収容されるのは、コンピュータプロセッサ又は中央処理装置(CPU)であってよい。プロセッサは、シグナルボードコンピュータと1つ以上のマイクロコントローラユニット(「MCU」)とを含む組み込みシステムであってもよい。CPU及びMCUは、データリンク接続がなされ得るハウジング内に収容されてもよい。エレクトロニクスボックス165は、天候などの環境及び動作要因からシステムを保護する、頑丈なプラスチック又はポリマーで作られるか、又はそれらで構成されてもよい。いくつかの実施形態では、CPU及びMCUは、同じプリント回路基板(PCB)に取り付けられる。
【0090】
エレクトロニクスボックス165は、1つ以上の無線トランシーバを含んでもよく、これは、別々の送信機及び受信機、ならびに無線通信用のアンテナを含んでいてもよい。トランシーバ及び/又は無線アンテナは、プロセッサと同じプリント回路基板に取り付けられるか又はプリントされることもある。無線トランシーバは、Bluetooth、Wi-Fi、マイクロ波、及び/又は無線周波数(RF)送受信のためのアクセスポイントを構成してもよい。無線トランシーバは、本明細書でさらに論じるように、遠隔センサ、リモート制御ユニット、リモート位置決めユニット又はターゲットノード、リモートインターフェース等と通信するために使用されてもよい。
【0091】
エレクトロニクスボックス165は、慣性測定ユニット(「IMU」)を含んでもよいベクトルナビゲーションユニットを有してもよい。IMUは、プロセッサに慣性航法データを提供する。
【0092】
SLCS105は、IMUに加えて、1つ以上のセンサを備えてもよいし、センサに通信可能に結合されてもよい。そのような追加のセンサは、例えば、慣性測定システム、方位測定システム、及び絶対位置測定システムから構成されてもよい。慣性測定システム(「IMS」)は、3自由度(3DOF)加速度計、ジャイロスコープ、及び重力センサを含んでもよく、これらは、マイクロエレクトロメカニカルシステム(MEMS)センサで構成されてもよい。方位測定システムは、コンパスなどの磁力計又は磁力計、傾斜計、方向エンコーダ、及び無線周波数相対方位計を含んでもよい。絶対位置測定システムは、全地球測位システム(GPS)センサを含んでもよい。
【0093】
センサは、近接センサ又は光検出及び測距(LIDAR)システム(例えば、回転又は線形)、及び/又は1つ以上のカメラ又は赤外線(IR)センサなどの光センサをさらに含んでもよい。近接センサは、対地高さセンサを含むことができる。光学センサは、ユーザに対して視覚情報を提供することもできる。この情報は、SLCSプロセッサによって、データリンクケーブル及び/又は無線トランシーバを介して、リモートデバイスに通信され得る。近接センサと光学センサは、障害物を検知し、障害物を回避するためにSLCSのコースを変更することによって、システムが360度の認識と衝突回避を可能にすることを可能にする。また、クレーンオペレーターや地上作業員に地上(又は水上)の位置情報を提供することが可能である。周辺環境の視界を必要とするセンサは、SLCS105の表面上又は表面で、及び/又はSLCS105から離れた場所に配置することができる。
【0094】
追加のSLCSセンサは、ハウジング、ファンユニット、コンジット、サスペンションケーブルへの固定構造、制御ライン110などの荷を測定するための歪みセンサを含んでもよい。追加のセンサは、インクリメンタル又はアブソリュートであってもよい回転エンコーダ又はスラスタ速度センサ、及びシャットダウンピン存在センサを含んでもよい。
【0095】
SLCSは、吊荷及び/又はSLCS105(例えば、クレーンに対して)、キャリア、及び荷の目的地などの関心のある目標位置の位置及び/又は動きを特徴付けることを支援するために、リモート位置センサ又はビーコン、リモート計算ユニット、又は目標ノードトランシーバ装置を使用することができる。
【0096】
SLCSプロセッサは、受信したセンサ・システム・データにアルゴリズムを適用し、所望のシステム応答を得る。例えば、GPSセンサデータは、リアルタイムキネティック(RTK)アルゴリズムによって精緻化され、精緻な絶対位置を発展させる場合がある。測定値は、カルマンフィルタリング法などの非線形データ融合法によって融合され、測地空間におけるシステムの位置と動きを特徴付けるために、すべての自由度において最適な状態推定値が得られる場合がある。
【0097】
本開示における装置及び方法は、いくつかの好ましい実施形態に基づいて前述されている。異なる変形例の異なる側面は、本書に基づいて当該分野の当業者が読んだときに、本開示の概念内で読まれるとみなされ得る全ての組み合わせが、互いに組み合わせて説明されると考えられる。好ましい実施形態は、本書の保護の範囲を限定するものではない。
【0098】
本明細書に記載された動作の実施形態は、1つ以上のプロセッサによって実行されると方法を実行する命令をその上に格納したコンピュータ可読記憶装置において実施され得る。プロセッサは、例えば、処理装置及び/又はプログラマブル回路を含んでもよい。記憶装置は、例えば以下のような、任意のタイプの有形の非一過性の記憶装置を含む機械読み取り可能な記憶装置を含んでもよい。例えば、フロッピーディスク、光ディスク、コンパクトディスク読み取り専用メモリ(CD-ROM)、コンパクトディスク書き換え可能(CD-RW)、及び光磁気ディスクを含む任意のタイプのディスクや、半導体デバイス、例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、フラッシュメモリ、磁気カード、光カード、又は電子命令格納に適したあらゆるタイプのストレージデバイス。USB(Universal Serial Bus)は、Universal Serial Bus organizationが2000年4月27日に発行したUniversal Serial Bus Specification, Revision 2.0、及び/又はこの仕様の以降のバージョン、例えば2013年7月26日に発行されたUniversal Serial Bus Specification, Revision 3.1 に準拠又は互換であってもよい。PCIeは、2010年11月にPeripheral Component Interconnect Special Interest Group(PCI-SIG)によって発行されたPCI Express 3.0 Base仕様、バージョン3.0、及び/またはそれ以降、及び/又はこの仕様の関連バージョンに、準拠又は互換であってもよい。
【0099】
本明細書の任意の実施形態で使用される場合、「論理」という用語は、前述の操作のいずれかを実行するための、アプリ、ソフトウェア、及び/又はファームウェアの命令の論理、及び/又は構成ビットストリームによってプログラマブル回路に具現化される論理を指す場合がある。ソフトウェアは、非一過性のコンピュータ可読記憶媒体に記録されたソフトウェアパッケージ、コード、命令、命令セット及び/又はデータとして具現化されてもよい。ファームウェアは、メモリデバイスにハードコード(例えば、不揮発性)されたコード、命令又は命令セット及び/又はデータとして具現化されてもよい。
【0100】
本明細書の任意の実施形態で使用される「回路」は、例えば、単独で又は任意の組み合わせで、ハードワイヤード回路、FPGAなどのプログラマブル回路から構成されてもよい。 ロジックは、集合的に又は個別に、例えば、集積回路(IC)、特定用途向け集積回路(ASIC)、システムオンチップ(SoC)、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、タブレットコンピュータ、サーバ、スマートフォンなど、より大きなシステムの一部を形成する回路として具体化されてもよい。
【0101】
いくつかの実施形態では、ハードウェア記述言語(HDL)が、本明細書に記載される様々な論理及び/又は回路のための回路及び/又は論理実装(複数可)を指定するために使用されてもよい。例えば、一実施形態では、ハードウェア記述言語は、本明細書に記載される1つ以上の回路及び/又は論理の半導体製造を可能にし得る超高速集積回路(VHSIC)ハードウェア記述言語(VHDL)に準拠するか又は互換性を有していてよい。VHDLは、IEEE標準1076-1987、IEEE標準1076.2、IEEE1076.1、VHDL-2006のIEEEドラフト3.0、VHDL-2008のIEEEドラフト4.0及び/又はIEEE VHDL規格の他のバージョン及び/又は他のハードウェア記述規格に準拠してもよいし互換性を持ってもよい。
【0102】
本明細書で使用する場合、用語「モジュール」(又は「ロジック」)は、以下を指すか、一部であるか、又は含む場合がある。特定用途向け集積回路(ASIC)、システムオンチップ(SoC)、電子回路、プログラム可能な回路(FPGAなど)、プロセッサ(共有、専用、又はグループ)あるいは実行可能な機械命令(アセンブラ及び/又はコンパイラから生成される)又はその組み合わせを有する1つ又は複数のソフトウェア又はファームウェアプログラムを実行する他のコンピュータハードウェア部品又は装置、又は組合せ論理回路、及び/又は記述された機能を提供する論理を有する他の適切なコンポーネント。
モジュールは、データの共有又は受け渡しによって統合された別個の独立した構成要素であってもよいし、モジュールは、単一のモジュールのサブ構成要素であってもよいし、複数のモジュールに分割されてもよい。コンポーネント(構成要素)は、図中のフロー図と併せてより詳細に説明するように、単一の計算ノード上で動作するプロセスであってもよく、又は単一の計算ノード上で実装されてもよく、又は並列、同時、順次、又はその組み合わせで動作する複数の計算ノードに分散されてもよい。
【0103】
本明細書において、プロセスは、プロセッサ上で実行されるプログラム(例えば、アプリケーション・プログラム)のインスタンスに対応し、スレッドは、プロセスの一部に対応する。プロセッサは、1つ又は複数の実行コアを含んでもよい。プロセッサは、各々が1つ又は複数の実行コアを含み得る1つ又は複数のソケットとして構成されてもよい。
【0104】
本明細書で使用する「解放可能」、「接続」、「接続可能」、「切断」、「切断可能」は、一般に工具(ドライバー、ペンチ、ドリル、のこぎり、溶接機、トーチ、アイロン、その他の熱源などの工具の例)を使用せずに、又は工具を使用するが再現性のある方法で(ナットとボルト又はねじの使用など)接続又は切断できる2以上の構造物を指す。 本明細書で使用される場合、「取り付ける」、「取り付けられた」、又は「取り付け可能な」は、工具の使用又は化学的若しくは物理的結合によって取り付けられるが、構造又は構成要素が一般に繰り返し可能な方法で解放又は再接続されない2つ以上の構造又は構成要素をいう。本明細書で使用する「固定」、「固定された」、又は「固定可能」は、接続又は取り付けられる2つ以上の構造又は構成要素を指す。
【0105】
SLCS105は、金属、プラスチック、繊維強化樹脂などの複合材料など、任意の適切な材料で形成されてもよい。SLCS105は、密閉されたハッチ又は1つ以上の取り外し可能なパネルを介して内部空間へのアクセスを可能にし、保守及び点検を可能にすることができる。
【0106】
本明細書では特定の実施形態が図示及び説明されたが、当業者には、本開示の範囲を逸脱することなく、図示及び説明された特定の実施形態に代替及び/又は同等の実施形態を代用することができることが理解されよう。例えば、様々な実施形態がクレーンの観点から上述されているが、他の実施形態では、SLCSはヘリコプターの下で採用されてもよい。本願は、本明細書で議論された実施形態のあらゆる適応又は変形をカバーすることを意図している。
【0107】
以下はその一例である。
【0108】
例1.キャリアから主荷重ベアリングラインによって吊荷の位置、向き(方位)、又は運動のうちの少なくとも1つに影響を与える吊荷制御システムであって、回転継手と、ウインチと、荷とウインチに固定されるウインチ制御ラインと、スラスタと、センサ群(センサスイート:sensor suite)と、コンピュータプロセッサと、メモリと、を備える。ここで、前記メモリは、前記コンピュータプロセッサによって実行されると、前記センサ群からのセンサデータに基づいて、前記ウインチの張力と、前記荷の位置、向き、又は運動のうちの少なくとも1つを決定し、前記ウインチ上の張力と、前記荷の位置、向き、又は運動のうちの少なくとも1つに影響を与える(作用する)ように前記スラスタを制御する制御モジュールを含んでおり、前記回転継手は、主荷重ベアリングラインに大きな(有意な)トルクを付与することなく、前記吊荷制御システムが主荷重ベアリングラインの垂直軸(鉛直軸)を中心に回転することを可能にすることを特徴とする。
【0109】
例2.例1記載の吊荷制御システムであって、前記吊荷制御システムは、前記回転継手によってヘッドブロックに固定され、前記ヘッドブロックは、前記主荷重ベアリングラインに固定されること、を特徴とする。
【0110】
例3.例1記載の吊荷制御システムであって、前記回転継手は、ベアリングセットを有し、前記ベアリングセットは、前記主荷重ベアリングラインの中心軸の周りに放射状に配列されている、ことを特徴とする。
【0111】
例4.例1記載の吊荷制御システムであって、前記回転継手は、前記キャリアと前記荷との間で主吊り上げ力は伝達せず、前記吊荷制御システムから前記ウインチ制御ラインを介して前記荷にトルクを伝達するものである、ことを特徴とする。
【0112】
例5.例1に係る吊荷制御システムであって、前記ウインチ制御ラインは、前記キャリアと前記荷との間で主吊り上げ力を伝達せず、前記吊荷制御システムから前記ウインチ制御ラインを経由して前記荷にトルクを伝達するものであることを特徴とする。
【0113】
例6.例1記載の吊荷制御システムであって、主荷重ベアリングラインは、荷ベアリング回転継手を含み、荷ベアリング回転継手は、主荷重ベアリングラインに大きなトルクを与えることなく、主荷重ベアリングラインの垂直軸を中心に荷を回転させる、ことを特徴とする。
【0114】
例7.例1記載の吊荷制御システムであって、複数のスラスタと、複数のウインチと、複数のウインチ制御ラインの少なくとも1つをさらに備える、ことを特徴とする。
【0115】
例8.例1記載の吊荷制御システムであって、推力制御モジュールは、現在の状態を決定するために、センサ群からのセンサデータを、非線形フィルタを通して結合して、少なくとも位置、向き、又は動きを決定し、前記制御モジュールはさらに、現在の状態を使用して、前記ウインチ上の張力及び前記荷の位置、向き、又は運動のうちの少なくとも1つに影響を与えるように前記スラスタを制御する、ことを特徴とする。
【0116】
例9.例8による吊荷制御システムであって、現在の状態を使用して、前記ウインチ上の張力及び前記荷の位置、向き、又は運動のうちの少なくとも1つに影響を与えるように前記スラスタを制御することは、操作モジュールの機能モード又はコマンド状態、推力及び向きマッピング、又はファンマッピングの少なくとも1つからのフィードバックで現在の状態に基づいて近未来運動を予測することである、ことを特徴とする。
【0117】
例10.前記スラスタは、ファン又はフライホイールの少なくとも一方からなることを特徴とする例1記載の吊荷制御システム。
【0118】
例11.キャリアから主荷重ベアリングラインによって吊荷の位置、向き、又は運動のうちの少なくとも1つに影響を与えるコンピュータにより実行される方法であって、以下を含む。
センサ群からのセンサデータに基づき、荷の位置、向き、又は運動と、ウインチの張力とを決定するステップであって、前記ウインチは、ウインチ制御ラインによって荷に固定されているステップと、
荷の位置、向き、又は運動の少なくとも1つに影響を与えるためにウインチ及びスラスタを制御するステップであって、回転継手によって、ウインチ及びスラスタは、主荷重ベアリングラインに大きな(有意な)トルクを与えずに主荷重ベアリングラインの垂直軸を中心に回転させるステップと、
が含まれる、コンピュータにより実行される方法。
【0119】
例12.例11による方法であって、ウインチ制御ラインを緊張させ(張力をかけ)、スラスタを作動させて荷の位置、向き、又は運動のうちの少なくとも1つに影響を与えることをさらに含む、ことを特徴とする。
【0120】
例13.吊荷制御システムからウインチ制御ラインを経由して荷にトルクを伝達することをさらに含む、例11記載の方法。
【0121】
例14.荷とキャリアとの間の主吊り上げ力を伝達することをさらに含み、荷とキャリアとの間の主吊り上げ力が回転継手を迂回(通過)する、例11による方法。
【0122】
例15.例11による方法であって、荷ベアリング回転継手は、主荷重ベアリングラインに大きな(有意な)トルクを与えることなく、主荷重ベアリングラインの垂直軸を中心に荷を回転させることを可能にする、方法。
【0123】
例16.例11による方法であって、センサ群からのセンサデータを、非線形フィルタを通して結合して現在の状態を決定することにより、位置、向き、又は動き、及びウインチの張力を決定することをさらに含み、現在の状態は、位置、向き、又は動き、及びウインチの張力を含む。
【0124】
例17.例16による方法であって、現在の状態に基づいて近未来運動を予測することと、近未来運動に基づいてウインチ及びスラスタを制御することとをさらに含む、例16による方法。
【0125】
例18.例11による方法であって、現在の状態に基づいて近未来運動を予測することは、操作モジュールの機能モード又はコマンド状態、推力及び方向マッピング、ファンマッピング、又はウインチマッピングのうちの少なくとも1つからのフィードバックで現在の状態を更新することを含む、例11による方法。
【0126】
例19.キャリアから主荷重ベアリングラインによって吊荷の位置、向き、又は運動の少なくとも1つに影響を与える装置であって、以下のものを備える。
センサ群からのセンサデータに基づいて、荷の位置、向き、又は運動、及びウインチ制御ラインからのウインチの張力を決定する手段と、ウインチをウインチ制御ラインによって荷に固定する手段と、ウインチ、ウインチ制御ライン、及び荷の位置、向き、又は運動のうちの少なくとも1つに影響を与えるスラスタを制御する手段と、回転継手のための手段であって、前記回転継手は、ウインチ及びスラスタが、主荷重ベアリングラインに大きな(有意な)トルクを与えることなく主荷重ベアリングラインの垂直軸を中心に回転することを可能にする。
【0127】
例20.ウインチ制御ラインをウインチで緊張させる手段と、荷の位置、向き、又は運動の少なくとも1つに影響を与えるためにスラスタを作動させる手段とをさらに備える、例19記載の装置。
【0128】
例21.ウインチ制御ラインを介して荷にトルクを伝達する手段をさらに備える、例19記載の装置。
【0129】
例22.荷とキャリアとの間の主吊り上げ力を伝達する手段をさらに備え、荷とキャリアとの間の主吊り上げ力は回転継手を迂回する、例19記載の装置。
【0130】
例23.主荷重ベアリングラインに大きなトルクを与えることなく、荷が主荷重ベアリングラインの垂直軸を中心に回転することを可能にする荷ベアリング回転継手のための手段をさらに備える、例19記載の装置。
【0131】
例24.センサ群からのセンサデータを、非線形フィルタを通して結合して現在の状態を決定することによって、位置、向き、又は動き、及びウインチの張力を決定する手段をさらに備え、現在の状態は、位置、向き、又は動き、及びウインチの張力を含んでいる、例19による装置。
【0132】
例25.実施例24による装置であって、現在の状態に基づいて近未来運動を予測する手段と、近未来運動に基づいてウインチ及びスラスタを制御する手段とをさらに備える。
【0133】
例26.現在の状態に基づいて近未来運動を予測する手段が、操作モジュールの機能モード又はコマンド状態、推力及び方向マッピング、ファンマッピング、又はウインチマッピングのうちの少なくとも1つからのフィードバックで現在の状態を更新する手段を備える、例19による装置。
【0134】
例27.例19による装置であって、装置は、主荷重ベアリングラインの終端において荷の上方に吊り下げられることである。
【0135】
例28.コンピュータデバイスのプロセッサによる命令の実行に応答して、コンピュータデバイスに以下を行わせる命令を含む1つ又は複数のコンピュータ可読媒体。センサ群からのセンサデータに基づいて、荷の位置、向き、又は動き、及びウインチ制御ラインからのウインチの張力を決定するステップと、ウインチ、ウインチ制御ライン、及びスラスタを制御して、荷の位置、向き、又は動きのうちの少なくとも1つに影響を与えるステップと、コンピュータ装置が回転継手によってキャリア下の主荷重ベアリングラインに固定されており、回転継手は、コンピュータ装置、ウインチ、及びスラスタを主荷重ベアリングラインに大きなトルクを付与することなしに主荷重ベアリングラインの縦軸を中心として回転させるようにするステップ。
【0136】
例29.命令は、さらに、コンピュータデバイスに、ウインチ制御ラインをウインチで緊張させ、スラスタを作動させて荷の位置、向き、又は運動のうちの少なくとも1つに影響を与えるようにさせる、例28によるコンピュータ読取可能媒体。
【0137】
例30.前記命令は、前記コンピュータデバイスに、前記ウインチ制御ラインを介して前記荷にトルクを伝達させることをさらに特徴とする、例28記載のコンピュータ可読媒体。
【0138】
例31.荷とキャリアとの間で主吊り上げ力が伝達され、荷とキャリアとの間の主吊り上げ力は、回転継手を迂回(通過)する、例28記載のコンピュータ可読媒体。
【0139】
例32.命令は、さらに、コンピュータ装置に、センサ群からのセンサデータを非線形フィルタを通して結合して現在の状態を決定することによって、位置、向き、又は動き、及びウインチの張力を決定させ、現在の状態は、位置、向き、又は動き、及びウインチの張力を含む、例28によるコンピュータ読取可能媒体。
【0140】
例33.命令は、さらに、コンピュータデバイスに、現在の状態に基づいて近未来運動を予測させ、近未来運動に基づいてウインチ及びスラスタを制御する手段を備える、例28記載のコンピュータ可読媒体。
【0141】
例34.命令が、さらに、コンピュータデバイスに、現在の状態に基づいて近未来運動を予測させる、操作モジュールの機能モード又はコマンド状態、推力及び方向マッピング、ファンマッピング、又はウインチマッピングの少なくとも1つからのフィードバックで現在の状態を更新する手段を備える、例28によるコンピュータ読取可能な媒体。