(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-12
(45)【発行日】2023-05-22
(54)【発明の名称】ラッシングレールの連結構造及び連結具
(51)【国際特許分類】
F16B 5/02 20060101AFI20230515BHJP
B60P 7/06 20060101ALI20230515BHJP
B65D 90/02 20190101ALN20230515BHJP
B65D 88/12 20060101ALN20230515BHJP
【FI】
F16B5/02 H
B60P7/06 Z
B65D90/02 P
B65D88/12 P
(21)【出願番号】P 2020144961
(22)【出願日】2020-08-28
【審査請求日】2022-09-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000229900
【氏名又は名称】日本フルハーフ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100075177
【氏名又は名称】小野 尚純
(74)【代理人】
【識別番号】100102417
【氏名又は名称】飯田 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100113217
【氏名又は名称】奥貫 佐知子
(74)【代理人】
【識別番号】100202496
【氏名又は名称】鹿角 剛二
(74)【代理人】
【識別番号】100194629
【氏名又は名称】小嶋 俊之
(72)【発明者】
【氏名】三澤 清
【審査官】大谷 謙仁
(56)【参考文献】
【文献】実開平5-3182(JP,U)
【文献】実開平4-115195(JP,U)
【文献】特開2019-27554(JP,A)
【文献】登録実用新案第3005968(JP,U)
【文献】特開昭47-15553(JP,A)
【文献】実開昭53-6148(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16B 5/02
B60P 7/06
B65D 90/02
B65D 88/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラッシングレールのレール端部どうしを連結するラッシングレールの連結構造であって、
ラッシングレールは、緊締装置に付属する金具を装着可能な係止孔が形成された本体板部と、該本体板部の幅方向の両端側にラッシングレールの長手方向に沿って形成されたフランジ部と、該本体板部と該フランジ部とを連結し該金具の収容空間を形成する立ち上がり部と、を備え、
該連結構造は、ラッシングレールの長手方向と直交する方向で該係止孔を切断して形成したレール端部どうしを対向させた連結部を連結具により連結する構造であり、
該連結具は、該連結部において、ラッシングレールの裏面側に配設されるベースブロックと、ラッシングレールの表面側に配設され該ベースブロックに締結される固定ブロックと、該ベースブロックに該固定ブロックを締結する締結具とを備え、
一方のレール端部における該係止孔の縁部に形成された該ラッシングレールの裏面側に向かって傾斜する傾斜片と他方のレール端部における係止孔の縁部に形成された該ラッシングレールの裏面側に向かって傾斜する傾斜片とを、該ベースブロックと該固定ブロックとを該締結具により締結することで挟持し、該一方のレール端部と該他方のレール端部とを連結するラッシングレールの連結構造。
【請求項2】
該連結具により2本のラッシングレールを連結したとき、該固定ブロックの頂面、及び該固定ブロックを該ベースブロックに締結する締結具の頭部が、該本体板部の表面よりも、外方に突出しないように設定される請求項1に記載されたラッシングレールの連結構造。
【請求項3】
該ベースブロックには、該連結具により2本のラッシングレールを連結したとき、一方のレール端部の傾斜片の先端部が当接する第1当接壁部と、他方のレール端部の傾斜片の先端部が当接する第2当接壁部とが形成され、該第1当接壁部と該第2当接壁部との距離は、切断されていない係止孔において対向する2つの傾斜片の先端部間の距離に設定される、請求項1又は2に記載されたラッシングレールの連結構造。
【請求項4】
該ベースブロックには、一方のレール端部の傾斜片と他方のレール端部の傾斜片とを挟持する一対の第1挟持部が配設され、該固定ブロックには該第1の挟持部と協働して該一方のレール端部における傾斜片と他方のレール端部における傾斜片とを挟持する一対の第2挟持部が配設され、該第1の挟持部及び該第2の挟持部の少なくとも一方には、凹凸面が形成されている請求項1から3のいずれかに記載されたラッシングレールの連結構造。
【請求項5】
該ベースブロックには、一方のラッシングレールの本体板部の裏面を支持する第1裏面支持部と、他方のラッシングレールの本体板部の裏面を支持する第2裏面支持部とが形成され、第1裏面支持部及び該第2裏面支持部は、該ベースブロックにおいて該傾斜片を挟持する該一対の第1挟持部の外側に形成されている請求項4に記載されたラッシングレールの連結構造。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載されたラッシングレールの連結構造に使用される連結具であって、
該連結具は、ラッシングレールの裏面側に配設されるベースブロックと、ラッシングレールの表面側に配設され該ベースブロックに締結される固定ブロックと、該ベースブロックに該固定ブロックを締結する締結具とを備え、一方のラッシングレールのレール端部における係止孔の縁部に形成された該ラッシングレールの裏面側に向かって傾斜する傾斜片と、他方のラッシングレールのレール端部における係止孔の縁部に形成された該ラッシングレールの裏面側に向かって傾斜する傾斜片とを、該ベースブロック及び該固定ブロックを締結することにより挟持する連結具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラッシングレールのレール端部どうしを連結するラッシングレールの連結構造、及び該連結構造に好適な連結具に関する。
【背景技術】
【0002】
貨物輸送用の車両であるトラックの荷台として、屋根を備え周囲が密閉された直方体形状であるバンタイプの箱型荷台が広く普及している。この箱型荷台に荷物を積載する際に、意図しない積載物の動きを防止すべく、積載物保持部材としての緊締装置、例えば、ラッシングベルト、ラッシングレール等を使用することが知られており、例えば、
図1に示すように、荷室の左右側板の内側に、該緊締装置に付属の金具を係止することが可能な係止孔を複数設けたラッシングレール(
図2も併せて参照)が取り付けられている。
【0003】
ラッシングレールは、上記した箱型荷台に取り付けられることに限定されず、貨物輸送用トラックに採用される様々な仕様(ウイングボディ等)の荷台にも取り付けられ、また、ラッシングレールが取り付けられる位置も、荷台の側板に限らず、天井や、あおり板等にも取り付けられることから、要求される長さは一定ではなく、必要に応じてラッシングレールのレール端部を連結して適宜の長さに調整されたラッシングレールを取り付けるようにしている。なお、ラッシングレールは、係止孔に対して
緊締装置に付属の金具を係止することに限定されず、例えば、箱型荷台内に中仕切り壁を設置する際のフレームを固定したりする際にも使用されるものであり、その用途について特に限定されるものではない。
【0004】
ラッシングレールの連結は、例えば、切断されたラッシングレールのレール端部を溶接により接合して行うことができる。溶接による接合の場合は、接合面に溶接による溶接ビード(盛上り部)が形成されるため、これを除去すべく、研磨仕上げをし、さらに塗装処理が必要になる。このような連結方法は作業に手間が掛かると共に、外観を損ねるという問題もあることから、これに代わる連結方法として、係止孔が形成された部位でラッシングレールを分割してレール端部とし、対向するレール端部の連結部の表面側全体を覆うように連結具の一方を位置付け、ラッシングレールの裏面側に位置付けた他方の連結具とで挟み込むことにより、ラッシングレールのレール端部どうしを連結することが提案されている(例えば、特許文献1、2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】実用新案登録第2526897号公報
【文献】実開平04-115195号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記した特許文献1、2に記載された技術によれば、連結具を使用することで、溶接作業を実施することなく2つのラッシングレールのレール端部を連結することが可能である。しかし、特許文献1、2に記載されたいずれの連結具も、2つのレール端部を対向させた連結部の表面側の全体を覆うようにして連結具の一方を配設し、裏面側に位置付けた他方の連結具とで挟み込むことにより連結することから、少なくとも一方の連結具の厚みだけ、ラッシングレールの本体板(いずれも図中の番号11)の表面よりも外側に突出する状態となる。このように連結されたラッシングレールを荷室の側板に取り付けた場合、ラッシングレールから荷室内側に該連結具が突出する構成となるため、荷室に積載された荷物、梱包材が該連結具の突出部に引っ掛かって損傷するという問題があり、採用することが困難である。
【0007】
また、上記特許文献1に記載された連結具による連結は、連結されるラッシングレールを固定する力が弱く連結後のラッシングレールの剛性が確保できないことから、該連結具による連結部に隣接する係止孔を使用禁止とする対応が必要となり、使い勝手が悪いという問題がある。さらに、特許文献2に記載された連結具による連結構造では、連結具により2本のラッシングレールを連結するために、ラッシングレールの本体板に対して、連結用の別途のビス挿通孔(図中16で示されている)を加工する必要があり、手間が掛かるという問題がある。
【0008】
本発明は、上記事実に鑑みなされたものであり、その主たる技術課題は、連結する際の作業性に優れ、2本のラッシングレールのレール端部どうしを強固に連結することができ、荷室内にラッシングレールを設置した際にも、荷室の内側に連結具が突出することを抑制できるラッシングレールの連結構造、及び該連結構造に好適な連結具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記主たる技術課題を解決するため、本発明によれば、ラッシングレールのレール端部どうしを連結するラッシングレールの連結構造であって、ラッシングレールは、緊締装置に付属する金具を装着可能な係止孔が形成された本体板部と、該本体板部の幅方向の両端側にラッシングレールの長手方向に沿って形成されたフランジ部と、該本体板部と該フランジ部とを連結し該金具の収容空間を形成する立ち上がり部と、を備え、該連結構造は、ラッシングレールの長手方向と直交する方向で該係止孔を切断して形成したレール端部どうしを対向させた連結部を連結具により連結する構造であり、該連結具は、該連結部において、ラッシングレールの裏面側に配設されるベースブロックと、ラッシングレールの表面側に配設され該ベースブロックに締結される固定ブロックと、該ベースブロックに該固定ブロックを締結する締結具とを備え、一方のレール端部における該係止孔の縁部に形成された該ラッシングレールの裏面側に向かって傾斜する傾斜片と他方のレール端部における係止孔の縁部に形成された該ラッシングレールの裏面側に向かって傾斜する傾斜片とを、該ベースブロックと該固定ブロックとを該締結具により締結することで挟持し、該一方のレール端部と該他方のレール端部とを連結するラッシングレールの連結構造が提供される。
【0010】
該連結具により2本のラッシングレールを連結したとき、該固定ブロックの頂面、及び該固定ブロックを該ベースブロックに締結する締結具の頭部が、該本体板部の表面よりも、外方に突出しないように設定されることが好ましい。
【0011】
該ベースブロックには、該連結具により2本のラッシングレールを連結したとき、一方のレール端部の傾斜片の先端部が当接する第1当接壁部と、他方のレール端部の傾斜片の先端部が当接する第2当接壁部とが形成され、該第1当接壁部と該第2当接壁部との距離は、切断されていない係止孔において対向する2つの傾斜片の先端部間の距離に設定されることが好ましい。
【0012】
該ベースブロックには、一方のレール端部の傾斜片と他方のレール端部の傾斜片とを挟持する一対の第1挟持部が配設され、該固定ブロックには該第1の挟持部と協働して該一方のレール端部における傾斜片と他方のレール端部における傾斜片とを挟持する一対の第2挟持部が配設され、該第1の挟持部及び該第2の挟持部の少なくとも一方には、凹凸面が形成されていることが好ましい。さらに、ベースブロックには、一方のラッシングレールの本体板部の裏面を支持する第1裏面支持部と、他方のラッシングレールの本体板部の裏面を支持する第2裏面支持部と、が形成されて、第1裏面支持部及び該第2裏面支持部は、該ベースブロックにおいて該傾斜片を挟持する該一対の第1挟持部の外側に形成されていることがより好ましい。
【0013】
また、本発明によれば、上記したラッシングレールの連結構造に使用される連結具であって、該連結具は、ラッシングレールの裏面側に配設されるベースブロックと、ラッシングレールの表面側に配設され該ベースブロックに締結される固定ブロックと、該ベースブロックに該固定ブロックを締結する締結具とを備え、一方のラッシングレールのレール端部における係止孔の縁部に形成された該ラッシングレールの裏面側に向かって傾斜する傾斜片と、他方のラッシングレールのレール端部における係止孔の縁部に形成された該ラッシングレールの裏面側に向かって傾斜する傾斜片と、を該ベースブロック及び該固定ブロックを締結することにより挟持する連結具が提供される。
【発明の効果】
【0014】
本発明のラッシングレールの連結構造は、ラッシングレールのレール端部どうしを連結するラッシングレールの連結構造であって、ラッシングレールは、緊締装置に付属する金具を装着可能な係止孔が形成された本体板部と、該本体板部の幅方向の両端側にラッシングレールの長手方向に沿って形成されたフランジ部と、該本体板部と該フランジ部とを連結し該金具の収容空間を形成する立ち上がり部と、を備え、該連結構造は、ラッシングレールの長手方向と直交する方向で該係止孔を切断して形成したレール端部どうしを対向させた連結部を連結具により連結する構造であり、該連結具は、該連結部において、ラッシングレールの裏面側に配設されるベースブロックと、ラッシングレールの表面側に配設され該ベースブロックに締結される固定ブロックと、該ベースブロックに該固定ブロックを締結する締結具とを備え、一方のレール端部における該係止孔の縁部に形成された該ラッシングレールの裏面側に向かって傾斜する傾斜片と、他方のレール端部における係止孔の縁部に形成された該ラッシングレールの裏面側に向かって傾斜する傾斜片と、を該ベースブロックと該固定ブロックとを該締結具により締結することで挟持し、該一方のレール端部と該他方のレール端部とを連結するようにしていることから、連結する際の作業性に優れ、2本のラッシングレールのレール端部どうしを強固に連結することができ、荷室内にラッシングレールを設置した際にも、荷室の内側に連結具が突出することを抑制できる。
【0015】
また、本発明の連結具は、ラッシングレールの裏面側に配設されるベースブロックと、ラッシングレールの表面側に配設され該ベースブロックに締結される固定ブロックと、該ベースブロックに該固定ブロックを締結する締結具とを備え、一方のラッシングレールのレール端部における係止孔の縁部に形成された該ラッシングレールの裏面側に向かって傾斜する傾斜片と、他方のラッシングレールのレール端部における係止孔の縁部に形成された該ラッシングレールの裏面側に向かって傾斜する傾斜片とを、該ベースブロック及び該固定ブロックを締結することにより挟持することから、ラッシングレールを連結する際の作業性に優れ、2本のラッシングレールのレール端部どうしを強固に連結することができ、荷室内にラッシングレールを設置した際にも、荷室の内側に連結具が突出することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本実施形態のラッシングレールが配設された貨物輸送車両の箱型荷台を後方から見た概略図である。
【
図2】
図1に示す箱型荷台に配設されたラッシングレールの連結前の斜視図である。
【
図3】
図2に示すラッシングレールを連結する連結具の分解斜視図である。
【
図4】ベースブロックに2つのラッシングレールを位置付ける態様を示す斜視図である。
【
図5】ベースブロックに固定ブロックを締結してラッシングレールを連結する態様を示す斜視図である。
【
図6】(a)
図3に示す連結具により連結されたラッシングレールの平面図、(b)(a)に示すA-Aの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に基づいて構成されるラッシングレールの連結構造、及び連結具の実施形態について、添付図面を参照しながら、詳細に説明する。
【0018】
図1には、本実施形態のラッシングレール連結構造、及び連結具を適用した貨物輸送車両1の箱型荷台2を後方から見た概略図が示されており、説明の都合上、後方開口部を閉塞する後方ドアは省略されている。
図1に示されている通り、箱型荷台2を構成する左側板4a、右側板4bの内側にはそれぞれ車両前後方向に延びるラッシングレール6が2本ずつ取り付けられている。本実施形態のラッシングレール6は、図に示すように、第1ラッシングレール6aと、第2ラッシングレール6bとを長手方向(車両前後方向)の連結部65において連結されたものである。各ラッシングレール6には、ラッシングベルト等の緊締装置に付属の係止用の金具(図示は省略している)が係止可能な車両上下方向に長い長孔形状を有する係止孔61がラッシングレール6の長手方向に沿って多数設けられている。
【0019】
本実施形態のラッシングレール6を
図2に示す。なお、
図2に示すラッシングレール6は、連結部65を構成する第1ラッシングレール6aのレール端部65aと、第2ラッシングレール6bのレール端部65bとを中心にして全体の一部のみを示すものであり、レール端部65a、レール端部65bの反対側は省略されている。本実施形態のラッシングレール6は、例えば、鉄、アルミ等により形成され(材料は特に限定されない)、図に示すように、係止孔61が形成された平板状の本体板部62と、本体板部62の幅方向(矢印Yで示すY方向)の両端側にラッシングレール6の長手方向(矢印Xで示すX方向)に沿って形成されたフランジ部63と、本体板部62とフランジ部63とを連結し緊締装置に付属の金具等を収容可能な収容空間Sを形成する立ち上がり部64と、を備えており、断面は略ハット形形状をなしている。
【0020】
係止孔61には、長手方向(図中X方向)で対向する縁部の両側に、ラッシングレール6の裏面側に向かって傾斜する傾斜片611、611が形成されている。本実施形態において連結部65を構成する第1ラッシングレール6a側のレール端部65a、及び第2ラッシングレール6b側のレール端部65bは、係止孔61の中央で幅方向(図中Y方向)に切断して形成されている。これにより、第1ラッシングレール6a側のレール端部65a側には略半割された係止孔61及び傾斜片611aが、第2ラッシングレール6b側のレール端部65b側には略半割された係止孔61及び傾斜片611bが残されている。すなわち、第1ラッシングレール6aと第2ラッシングレール6bとを連結する際には、第1ラッシングレール6aのレール端部65aと、第2ラッシングレール6bのレール端部65bとを、
図2に矢印で示す方向で接近させ、傾斜片611aと、傾斜片611bとを対向させた状態で連結する。
【0021】
図3に、第1ラッシングレール6aのレール端部65aと、第2ラッシングレール6bのレール端部65bとを連結する連結具10の斜視図を示す。図に示すように、連結具10は、上記レール端部65aとレール端部65bとを連結する際にラッシングレール6の本体板部62の表面側に配設される固定ブロック12と、ラッシングレール6の本体板部62の裏面側に配設されるベースブロック14と、ベースブロック14に固定ブロック12を締結する締結具であるサラねじ16、16と、を備えている。
【0022】
固定ブロック12は、前記したサラねじ16、16を貫通させる通し孔122、122を備えており、頂面121に開口する通し孔122の上部には、サラねじ16の頭部16aを収容可能なサラ穴122aが形成されている。
図3の右方側に、固定ブロック12を反転し、頂面121を下方に向けて、頂面121と反対側の底面側を上方にした状態の斜視図を示す。固定ブロック12の底面側には、前記した通し孔122、122の開口を連結し長手方向(矢印Yで示す方向)に延び凸状となるガイドレール124が形成されている。ガイドレール124は、その両側が傾斜面124a、124aで形成されている。また、ガイドレール124を挟み、第1ラッシングレール6aのレール端部65aにおける傾斜片611aと第2ラッシングレール6bのレール端部65bにおける傾斜片611bとを挟持する一対の第1挟持部123、123を備えている。さらに、第1挟持部123、123には、凹凸面123aが形成されている。
【0023】
ベースブロック14には、固定ブロック12の通し孔122、122と対応する位置に、雌ねじ孔141、141が穿設され、連結具10により第1ラッシングレール6aのレール端部65aと第2ラッシングレール6bのレール端部65bとを連結するとき、固定ブロック12の一対の第1挟持部123、123と協働して傾斜片611a、611bを挟持する凹凸面142aが形成された第2挟持部142、142と、第1ラッシングレール6a側の傾斜片611aの先端部612aが当接する第1当接壁部143と、第2ラッシングレール6b側の傾斜片611bの先端部612bが当接する第2当接壁部144と、第1ラッシングレール6a側のレール端部65aに隣接する本体板部62の裏面を支持する第1裏面支持部145aと、第2ラッシングレール6b側のレール端部65bに隣接する本体板部62の裏面を支持する第2裏面支持部145bと、を備え、雌ネジ孔141、141が穿設されたベースブロック14の幅方向(矢印Xで示す方向)の中央には、長手方向(矢印Yで示す方向)に延び、上記した固定ブロック12のガイドレール124の形状と対応したガイド溝146が形成されている。ベースブロック14の第1裏面支持部145a及び第2裏面支持部145bは、ベースブロック14の幅方向で見て前記した一対の第2挟持部142、142の外側に形成されている。
【0024】
固定ブロック12の第1挟持部123、123と、ベースブロック14の第2挟持部142、142とは、固定ブロック12をベースブロック14に締結してレール端部65aとレール端部65bとを連結する状態で傾斜片611aと傾斜片611bとで形成される傾斜角度に沿った傾斜角度になるようにその形状が設定される。また、固定ブロック12は、長手方向で見たとき、ラッシングレール6の係止孔61内に収まる寸法であり、ベースブロック14は、固定ブロック12よりも大きい寸法で形成され、平面視で見たとき係止孔61よりも大きな寸法で設定される。
【0025】
本実施形態のラッシングレールの連結構造を構成する第1ラッシングレール6a、第2ラッシングレール6b、及び連結具10は、概ね上記したとおりの構成を備えており、
図4~
図6を参照しながら、本実施形態の連結構造について、以下に説明する。
【0026】
図4に示すように、連結すべき第1ラッシングレール6a、第2ラッシングレール6b、連結具10のベースブロック14を用意したならば、第1ラッシングレール6aのレール端部65aと、第2ラッシングレール6bのレール端部65bとを対向させると共に、ベースブロック14を、第1ラッシングレール6a及び第2ラッシングレール6bの裏面側に位置付ける。そして、第1ラッシングレール6aのレール端部65a側で半割された係止孔61に残る傾斜片611aの先端部612aを、ベースブロック14の第1当接壁部143に対して位置付けると共に、第2ラッシングレール6bのレール端部65b側で半割された係止孔61に残る傾斜片611bの先端部612bを、ベースブロック14の第2当接壁部144に対して位置付ける。
【0027】
次いで、
図5に示すように、ベースブロック14の上方、すなわち、第1ラッシングレール6a及び第2ラッシングレール6bの表面側に固定ブロック12を位置付け、一方のレール端部65aと他方のレール端部65bとを対向させることにより連結部65に形成される係止孔61の上方から、サラねじ16、16を使用して固定ブロック12をベースブロック14に締結する。この際、固定ブロック12の底面に形成された傾斜面124aを有するガイドレール124が、ベースブロック14のガイド溝146に位置付けられてガイドされることで、固定ブロック12とベースブロック14とがより正確に、強固に締結される。このようにして一方のレール端部65aにおける傾斜片611aと、他方のレール端部65bにおける傾斜片611bとが連結具10によって挟持されて、第1ラッシングレール6aと、第2ラッシングレール6bとが連結される。
【0028】
図6(a)には、前記したようにして連結具10によって連結され一体とされた第1ラッシングレール6a及び第2ラッシングレール6bの平面図が示され、
図6(b)には、
図6(a)に示すA-A部の断面図が示されている。
【0029】
上記したように、本実施形態の連結具10を使用して第1ラッシングレール6aと第2ラッシングレール6bとを連結する連結構造により得られる作用効果は、以下のとおりである。
【0030】
上記した実施形態によれば、前記した従来技術のように、連結具を構成する部品の厚みだけ、ラッシングレールの本体板部の表面よりも外側、すなわち、荷台の内部側に突出する、という問題を回避することが可能になる。特に、本実施形態では、
図6(b)に示すように、固定ブロック12の頂面121、及び該固定ブロック12をベースブロック14に締結する締結具であるサラねじ16の頭部16aが、本体板部62の表面62aよりも、外方(図中矢印Zで示す方向)に突出しないように設定されていることから、連結され一体とされたラッシングレール6a、6bを、貨物輸送車両1の荷室内に配設しても、荷室に積載される荷物、梱包材が、連結具10に引っ掛かり損傷するという問題が回避される。
【0031】
また、従来技術において2本のラッシングレールを連結して構成した場合、連結部の強度が低いことから、ラッシングベルトやラッシングビーム等の固定には適さず、連結部近傍の複数の係止孔の使用が禁止されるため、使用者が誤って該複数の係止孔を使用することを防止すべく係止孔を閉塞するプラグキャップを使用する場合がある。しかし、本実施形態のラッシングレールの連結構造、及び連結具を使用することにより、第1ラッシングレール6aと第2ラッシングレール6bとが強固に連結されて、使用が禁止される係止孔61を連結部65に形成される係止孔61のみとすることができる。そして、連結部65に形成される係止孔61は、連結具10によって閉塞されることから、使用者が誤って使用することも防止される。
【0032】
さらに、連結される第1ラッシングレール6aのレール端部65aと、第2ラッシングレール6bのレール端部65bとを形成する際には、分割前のラッシングレールにおける係止孔61の中央を切削ブレードによって切削しながら切断するため、従来技術のような連結具を使用し、該レール端部65aと該レール端部65bとを当接させてそのまま連結した場合は、連結部65に形成される係止孔61は、切断されていない係止孔61に対して幅が狭くなり、連結部65の両側に形成される係止孔61の間隔P0(
図6(a)を参照)が、連結部65を挟まない係止孔61の間隔P1、P2(
図6(a)を参照)よりも狭くなるおそれがある。これに対し、本実施形態では、上記したように、連結具10を構成するベースブロック14には、第1ラッシングレール6aのレール端部65aの傾斜片611aの先端部612aが当接する第1当接壁部143と、第2ラッシングレール6bのレール端部65bの傾斜片611bの先端部612bが当接する第2当接壁部144とが形成され、第1当接壁部143と第2当接壁部144との距離(
図6(b)中にQ1で示す)は、切断されていない係止孔61において対向する2つの傾斜片611、611の先端部間の距離(
図6(b)中Q2で示す)に設定されている。これにより、
図6(a)に示すように、連結部65を挟んで配設される係止孔61の間隔P0と、連結部65を挟まない係止孔61の間隔P1、P2とを完全に一致させることができ、連結部65が存在しても係止孔61の位置間隔が不規則となることが防止されて、例えば、荷室内の左右の側板にラッシングレールを配設してラッシングビームにより連結する際にも位置ずれが発生することが防止される。
【0033】
さらにいえば、本実施形態によれば、固定ブロック12において、一方のレール端部65aにおける傾斜片611aと他方のレール端部65bにおける傾斜片611bとを挟持する一対の第1挟持部123、123に凹凸面123a、123aが形成され、また、ベースブロック14において一方のレール端部65aにおける傾斜片611aと他方のレール端部65bにおける傾斜片611bとを挟持する一対の第2挟持部142、142に凹凸面142a、142aが形成されていることから、凹凸面123aと凹凸面142aとにより傾斜片611a、611bを噛み込んで挟持することで、連結がより強固がものとなり、連結部65において、レール端部65a、65bがずれることが防止される。なお、本実施形態では、固定ブロック12の第1挟持部123、及びベースブロック14の第2挟持部142のいずれにも凹凸面を形成したが、本発明はこれに限定されず、いずれか一方のみに凹凸面を形成するようにしてもよい。
【0034】
加えて、ベースブロック14には、第1ラッシングレール6aのレール端部65aに隣接する本体板部62の裏面62bを支持する第1裏面支持部145aと、第2ラッシングレール6bのレール端部65bに隣接する本体板部62の裏面62bを支持する第2裏面支持部145bとが形成され、第1裏面支持部145a及び第2裏面支持部145bは、ベースブロック14において傾斜片611a、611bを挟持する一対の第2挟持部142、142の外側に形成されていることから、連結具10によって、レール端部65a、65bに位置する傾斜片611a、611bを挟持すると同時に、レール端部65a、65bに隣接する位置の本体板部62の裏面62bを支持することが可能になり、特に、荷室の側板にラッシングレールを取り付けた際の連結部65における連結剛性がより強固なものとなる。
【0035】
なお、上記した実施形態では、連結具10を構成する締結具として、サラねじ16を使用したが、本発明はこれに限定されず、例えば、ナベねじ、トラスねじ等、別の形状のねじを使用することもできる。その場合は、ねじの頭部が、固定ブロック12の頂面121から外方に突出しないように、通し孔122の上部に上記したサラ穴122aに替えてザグリを形成するとよい。
【符号の説明】
【0036】
1:貨物輸送車両
2:箱型荷台
4a:左側板
4b:右側板
6:ラッシングレール
6a:第1ラッシングレール
6b:第2ラッシングレール
61:係止孔
611、611a、611b:傾斜片
62:本体板部
63:フランジ部
64:立ち上がり部
65:連結部
65a:レール端部
65b:レール端部
10:連結具
12:固定ブロック
121:頂面
122:通し孔
123:第1挟持部
123a:凹凸面
124:ガイドレール
124a:傾斜面
14:ベースブロック
141:雌ねじ孔
142:第2挟持部
143:第1当接壁部
144:第2当接壁部
145a:第1裏面支持部
145b:第2裏面支持部
146:ガイド溝
16:サラねじ