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特許7278701イメージのシーケンスを送信するための方法、イメージのシーケンスを含むビデオデータを送信するためのシステム
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  • 特許-イメージのシーケンスを送信するための方法、イメージのシーケンスを含むビデオデータを送信するためのシステム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-12
(45)【発行日】2023-05-22
(54)【発明の名称】イメージのシーケンスを送信するための方法、イメージのシーケンスを含むビデオデータを送信するためのシステム
(51)【国際特許分類】
   H04N 19/426 20140101AFI20230515BHJP
【FI】
H04N19/426
【請求項の数】 10
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2015130841
(22)【出願日】2015-06-30
(65)【公開番号】P2016015727
(43)【公開日】2016-01-28
【審査請求日】2018-06-08
【審判番号】
【審判請求日】2020-12-24
(31)【優先権主張番号】62/019,834
(32)【優先日】2014-07-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】14/740,162
(32)【優先日】2015-06-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512187343
【氏名又は名称】三星ディスプレイ株式會社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Display Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】1, Samsung-ro, Giheung-gu, Yongin-si, Gyeonggi-do, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】弁理士法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】魯 寧
【合議体】
【審判長】國分 直樹
【審判官】畑中 高行
【審判官】川崎 優
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-109145(JP,A)
【文献】国際公開第2007/135822(WO,A1)
【文献】特開平9-274473(JP,A)
【文献】特開2006-195151(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N19/00-19/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビデオアダプター及びディスプレイデバイスで実装されるイメージのシーケンスを前記ビデオアダプターから前記ディスプレイデバイスに送信する方法であって、
前記ビデオアダプターは、第1のプロセッサーを備え、前記ディスプレイデバイスは、第2のプロセッサーを備え、
前記第1のプロセッサーによって、重み付け値(α)と以前に形成されたエラーイメージである第1のエラーイメージ(En-1)との間の積を、イメージのシーケンスの第1の入力イメージ(In)に加算して、第1の調整済みイメージ(Fn)を形成するステップと、
前記第1のプロセッサーによって、第1の調整済みイメージ(Fn)をエンコーディングして第1のエンコーディング済みイメージ(Cn)を形成し、前記第1のエンコーディング済みイメージ(Cn)を前記ディスプレイデバイスのフレームバッファーに格納するステップと、
前記第1のプロセッサーによって、前記第1のエンコーディング済みイメージ(Cn)をデコーディングして、第1の出力イメージ(On)を形成するステップと、
前記第1のプロセッサーによって、前記第1の調整済みイメージ(Fn)から前記第1の出力イメージ(On)を減算して、第2のエラーイメージ(En)を形成するステップと、
前記第1のプロセッサーによって、前記第1のエンコーディング済みイメージ(Cn)を、第2のプロセッサーに接続された前記フレームバッファーに送信するステップと、
前記第2のプロセッサーによって、前記第1のエンコーディング済みイメージ(Cn)をデコーディングして、前記第1の出力イメージ(On)を形成するステップと、
前記第2のプロセッサーによって形成された前記第1の出力イメージ(On)をディスプレイの上にディスプレイするステップと、を有し、
第1のエラーイメージ(En-1)は、直前のイメージのエンコード-デコードエラーの結果であり、
前記フレームバッファーのフレームバッファーサイズは、エンコーディングに従って縮小され、
前記フレームバッファーは、バッファーA及びバッファーBを含むダブル-バッファー構成を有し、
現在の書き込みバッファーへの第1のポインタは、バッファーAを指し、現在の読み取りバッファーへの第2のポインタは、バッファーBを指し、
前記現在の書き込みバッファーに格納されている第1のエンコーディング済みイメージ(Cn)及びデコーディングされた現在の読み取りバッファーの内容に応答して、第1のポインタと第2のポインタが交換され、その結果、現在の書き込みバッファーへの第1のポインタはバッファーBを指し、現在の読み取りバッファーへの2番目のポインタは、バッファーAを指すことを特徴とするイメージのシーケンスを送信するための方法。
【請求項2】
前記重み付け値(α)は、1であることを特徴とする請求項1に記載のイメージのシーケンスを送信するための方法。
【請求項3】
前記重み付け値(α)は、1未満であることを特徴とする請求項1に記載のイメージのシーケンスを送信するための方法。
【請求項4】
前記第1のエンコーディング済みイメージ(Cn)は、前記第1の調整済みイメージ(Fn)によって占められるメモリ量の1/4以下のメモリ量を占めることを特徴とする請求項1に記載のイメージのシーケンスを送信するための方法。
【請求項5】
前記ディスプレイは、少なくとも1秒当たりに120フレームのフレームレートにて動作するように構成されることを特徴とする請求項1に記載のイメージのシーケンスを送信するための方法。
【請求項6】
第1のプロセッサーと、
第1のメモリと、を備え、
前記第1のメモリは、前記第1のプロセッサーによって実行される場合に、
前記第1のプロセッサーによって、イメージのシーケンスの第1の入力イメージ(In)に、以前に形成されたエラーイメージである第1のエラーイメージ(En-1)を加算して、第1の調整済みイメージ(Fn)を形成するステップと、
前記第1の調整済みイメージ(Fn)をエンコーディングして第1のエンコーディング済みイメージ(Cn)を形成し、前記第1のエンコーディング済みイメージ(Cn)をディスプレイデバイスのフレームバッファーに格納するステップと、
前記第1のエンコーディング済みイメージ(Cn)をデコーディングして、第1の出力イメージ(On)を形成するステップと、
前記第1の調整済みイメージ(Fn)から前記第1の出力イメージ(On)を減算して、第2のエラーイメージ(En)を形成するステップと、を実行するための指令のシーケンスを格納し、
第2のプロセッサーと、
第2のメモリと、をさらに備え、
前記第1のメモリは、前記第1のプロセッサーによって実行される場合に、
前記第1のプロセッサーによって、前記第1のエンコーディング済みイメージ(Cn)を前記第2のプロセッサーに接続された前記ディスプレイデバイスの前記フレームバッファーに送信するステップを実行するための指令のシーケンスをさらに格納し、
前記第2のメモリは、前記第2のプロセッサーによって実行される場合に、
前記第2のプロセッサーによって、前記第1のエンコーディング済みイメージ(Cn)をデコーディングするステップを実行するための指令のシーケンスを格納し、
第1のエラーイメージ(En-1)は、直前のイメージのエンコード-デコードエラーの結果であり、
前記フレームバッファーのフレームバッファーサイズは、エンコーディングに従って縮小され、
前記フレームバッファーは、バッファーA及びバッファーBを含むダブル-バッファー構成を有し、
現在の書き込みバッファーへの第1のポインタは、バッファーAを指し、現在の読み取りバッファーへの第2のポインタは、バッファーBを指し、
前記現在の書き込みバッファーに格納されている第1のエンコーディング済みイメージ(Cn)及びデコーディングされた現在の読み取りバッファーの内容に応答して、第1のポインタと第2のポインタが交換され、その結果、現在の書き込みバッファーへの第1のポインタはバッファーBを指し、現在の読み取りバッファーへの2番目のポインタは、バッファーAを指すことを特徴とするイメージのシーケンスを含むビデオデータを送信するためのシステム。
【請求項7】
前記第1のエンコーディング済みイメージ(Cn)は、前記第1の調整済みイメージ(Fn)によって占められるメモリ量の1/4以下のメモリ量を占めることを特徴とする請求項6に記載のイメージのシーケンスを含むビデオデータを送信するためのシステム。
【請求項8】
前記第2のプロセッサーおよび前記第2のメモリは、ディスプレイの構成要素であることを特徴とする請求項6に記載のイメージのシーケンスを含むビデオデータを送信するためのシステム。
【請求項9】
前記第1のプロセッサーおよび前記第1のメモリは、ビデオアダプターの構成要素であることを特徴とする請求項8に記載のイメージのシーケンスを含むビデオデータを送信するためのシステム。
【請求項10】
前記ディスプレイは、1秒当たり120フレーム以上のフレームレートにて動作するように構成されることを特徴とする請求項8に記載のイメージのシーケンスを含むビデオデータを送信するためのシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビデオ送信に係り、さらに詳しくは、デコーディング済みビデオの品質を改善するために、補正を適用しながら、エンコーディング済みビデオを送信するシステムおよび方法に関する。
【0002】
<関連出願の相互参照>
本願は、2014年7月1日付けで出願され、発明の名称が「HIGH QUALITY DISPLAY SYSTEM COMBINING COMPRESSED FRAME BUFFER AND TEMPORAL COMPENSATION TECHNIQUE」である米国仮出願第62/019,834号および2015年6月15日付けで出願され、発明の名称が「HIGH QUALITY DISPLAY SYSTEM COMBINING COMPRESSED FRAME BUFFER AND TEMPORAL COMPENSATION TECHNIQUE」である米国正規特許出願第14/740,162号に対して優先権および利益を主張し、前記出願の全体の内容は参照として本願に取り込まれる。
【背景技術】
【0003】
ディスプレイ技術が進歩し、ディスプレイ解像度が、例えば、SDからHDまで、4Kまで、さらに8Kまで増加することに伴い、ディスプレイにおけるフレームのバッファーリングのために用いられる静的ランダムアクセスメモリ(SRAM)の量が増大され、これに伴い、ディスプレイを製造するコストが高騰する。フレームバッファーに格納されているデータを圧縮することはメモリ要件およびコストを減少させるが、いくつかの圧縮アルゴリズムはイメージ品質の劣化を招く虞がある。したがって、許容可能なイメージ品質を保存しながらイメージデータを圧縮するためのシステムおよび方法に対する必要性が存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
イメージのシーケンスにおいてイメージをエンコーディングおよびデコーディング(すなわち、圧縮および解凍)するためにコーデックが用いられ、デコーディング済みイメージは、エラーイメージを計算するために用いられ、エラーイメージは、後続イメージがエンコーディングされる前にそれに加算される。圧縮済みイメージは、ディスプレイデバイスに送信され、ディスプレイデバイスにおいてデコーディングおよびディスプレイが行われる。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、品質を維持しながらビデオイメージを圧縮し、データを送信する方法およびそのシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するためになされた本発明によるイメージのシーケンスを送信するための方法は、ビデオアダプター及びディスプレイデバイスで実装されるイメージのシーケンスを前記ビデオアダプターから前記ディスプレイデバイスに送信する方法であって、前記ビデオアダプターは、第1のプロセッサーを備え、前記ディスプレイデバイスは、第2のプロセッサーを備え、前記第1のプロセッサーによって、重み付け値(α)と以前に形成されたエラーイメージである第1のエラーイメージ(En-1)との間の積を、イメージのシーケンスの第1の入力イメージ(In)に加算して、第1の調整済みイメージ(Fn)を形成するステップと、前記第1のプロセッサーによって、第1の調整済みイメージ(Fn)をエンコーディングして第1のエンコーディング済みイメージ(Cn)を形成し、前記第1のエンコーディング済みイメージ(Cn)を前記ディスプレイデバイスのフレームバッファーに格納するステップと、前記第1のプロセッサーによって、前記第1のエンコーディング済みイメージ(Cn)をデコーディングして、第1の出力イメージ(On)を形成するステップと、前記第1のプロセッサーによって、前記第1の調整済みイメージ(Fn)から前記第1の出力イメージ(On)を減算して、第2のエラーイメージ(En)を形成するステップと、前記第1のプロセッサーによって、前記第1のエンコーディング済みイメージ(Cn)を、第2のプロセッサーに接続された前記フレームバッファーに送信するステップと、前記第2のプロセッサーによって、前記第1のエンコーディング済みイメージ(Cn)をデコーディングして、前記第1の出力イメージ(On)を形成するステップと、前記第2のプロセッサーによって形成された前記第1の出力イメージ(On)をディスプレイの上にディスプレイするステップと、を有し、第1のエラーイメージ(En-1)は、直前のイメージのエンコード-デコードエラーの結果であり、前記フレームバッファーのフレームバッファーサイズは、エンコーディングに従って縮小され、前記フレームバッファーは、バッファーA及びバッファーBを含むダブル-バッファー構成を有し、現在の書き込みバッファーへの第1のポインタは、バッファーAを指し、現在の読み取りバッファーへの第2のポインタは、バッファーBを指し、前記現在の書き込みバッファーに格納されている第1のエンコーディング済みイメージ(Cn)及びデコーディングされた現在の読み取りバッファーの内容に応答して、第1のポインタと第2のポインタが交換され、その結果、現在の書き込みバッファーへの第1のポインタはバッファーBを指し、現在の読み取りバッファーへの2番目のポインタは、バッファーAを指すことを特徴とする。
【0007】
前記重み付け値(α)は、1であることが好ましい
【0008】
前記重み付け値(α)は、1未満であることが好ましい
【0009】
前記第1のエンコーディング済みイメージ(Cn)は、前記第1の調整済みイメージ(Fn)によって占められるメモリ量の1/4以下のメモリ量を占めることが好ましい
【0014】
前記ディスプレイは、少なくとも1秒当たりに120フレームのフレームレートにて動作するように構成されることが好ましい
【0017】
上記目的を達成するためになされた本発明によるイメージのシーケンスを含むビデオデータを送信するためのシステムは、第1のプロセッサーと、第1のメモリと、を備え、前記第1のメモリは、前記第1のプロセッサーによって実行される場合に、前記第1のプロセッサーによって、イメージのシーケンスの第1の入力イメージ(In)に、以前に形成されたエラーイメージである第1のエラーイメージ(En-1)を加算して、第1の調整済みイメージ(Fn)を形成するステップと、前記第1の調整済みイメージ(Fn)をエンコーディングして第1のエンコーディング済みイメージ(Cn)を形成し、前記第1のエンコーディング済みイメージ(Cn)をディスプレイデバイスのフレームバッファーに格納するステップと、前記第1のエンコーディング済みイメージ(Cn)をデコーディングして、第1の出力イメージ(On)を形成するステップと、前記第1の調整済みイメージ(Fn)から前記第1の出力イメージ(On)を減算して、第2のエラーイメージ(En)を形成するステップと、を実行するための指令のシーケンスを格納し、第2のプロセッサーと、第2のメモリと、をさらに備え、前記第1のメモリは、前記第1のプロセッサーによって実行される場合に、前記第1のプロセッサーによって、前記第1のエンコーディング済みイメージ(Cn)を前記第2のプロセッサーに接続された前記ディスプレイデバイスの前記フレームバッファーに送信するステップを実行するための指令のシーケンスをさらに格納し、前記第2のメモリは、前記第2のプロセッサーによって実行される場合に、
前記第2のプロセッサーによって、前記第1のエンコーディング済みイメージ(Cn)をデコーディングするステップを実行するための指令のシーケンスを格納し、第1のエラーイメージ(En-1)は、直前のイメージのエンコード-デコードエラーの結果であり、前記フレームバッファーのフレームバッファーサイズは、エンコーディングに従って縮小され、前記フレームバッファーは、バッファーA及びバッファーBを含むダブル-バッファー構成を有し、現在の書き込みバッファーへの第1のポインタは、バッファーAを指し、現在の読み取りバッファーへの第2のポインタは、バッファーBを指し、前記現在の書き込みバッファーに格納されている第1のエンコーディング済みイメージ(Cn)及びデコーディングされた現在の読み取りバッファーの内容に応答して、第1のポインタと第2のポインタが交換され、その結果、現在の書き込みバッファーへの第1のポインタはバッファーBを指し、現在の読み取りバッファーへの2番目のポインタは、バッファーAを指すことを特徴とする。
【0019】
前記第1のエンコーディング済みイメージ(Cn)は、前記第1の調整済みイメージ(Fn)によって占められるメモリ量の1/4以下のメモリ量を占めることが好ましい
【0020】
前記第2のプロセッサーおよび前記第2のメモリは、ディスプレイの構成要素であること
【0021】
前記第1のプロセッサーおよび前記第1のメモリは、ビデオアダプターの構成要素であること
【0022】
前記ディスプレイは、1秒当たり120フレーム以上のフレームレートにて動作するように構成されること
【発明の効果】
【0026】
本発明の実施形態によれば、品質を維持しながらビデオイメージを圧縮し、データを送信する方法およびそのシステムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】従来の技術のエンコーディング-デコーディングシステムのブロック図である。
図2】本発明の実施形態による時間的な補償を有するエンコーディングおよびデコーディングシステムのブロック図である。
図3】本発明の実施形態によるディスプレイと通信するコンピュータのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
添付図面と関連して後述する詳細な説明は、本発明により提供される圧縮済みフレームバッファーおよび時間的な補償技術を結合する高品質ディスプレイシステムの例示的な実施形態の説明として意図され、本発明が構成または活用可能な唯一の形態を表現するものと意図されない。説明は、例示された実施形態と関連して本発明の特徴を述べる。しかしながら、本発明の思想および範囲内に含まれるものと意図される異なる実施形態によって同一若しくは同等の機能および構造が達成可能であるということが理解されるべきである。本明細書の他の個所に表示されるように、類似の要素番号は類似の要素または特徴を現すように意図される。
【0029】
例えば、コンピュータディスプレイパネル上におけるディスプレイのためのビデオデータは、コンピュータ310(図3)のビデオアダプター313によって生成され、ビデオデータインターフェースを介してディスプレイに送信され、ビデオデータインターフェースは、高解像度のマルチメディアインターフェース(HDMI(登録商標))またはデジタルビジュアルインターフェース(DVI)のような標準化されたデータリンクであり得る。ディスプレイは、ダブル-バッファー構成に配列される2つのSRAMデータバッファー(または、「フレームバッファー」)を備えてもよく、ダブル-バッファー構成においていつでも一つのバッファー(現在の記録バッファー)はビデオアダプター313から受信される新たなデータに更新される一方、他のバッファー(現在の読取バッファー)はディスプレイパネルの上にイメージを生成するために用いられている。ディスプレイのタイミング制御器と指称される構成要素が、ディスプレイのこのような機能のうちの一部または全部を行うことができる。タイミング制御器は、現在の読取バッファーからビデオデータを読み取り、未処理(raw)のビデオデータを一つ以上のドライバー集積回路(IC)に送信し、次いで、一つ以上のドライバー集積回路はディスプレイパネルのピクセルを照明するようにディスプレイパネルに駆動電流を提供する。ディスプレイは、有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイまたは液晶ディスプレイ(LCD)であり得る。
【0030】
ビデオデータの圧縮は、フレームバッファーメモリの大きさおよびコストを減少させるために用いられる。ビデオアダプター313が、ある程度の圧縮量を提供するエンコーディング方式を用いて、例えば、ビデオデータをディスプレイに送信する前にこれをエンコーディングしてもよく、次いで、タイミング制御器は、データがフレームバッファーから読み取られるときにこれをデコーディングしてもよい。高い圧縮比、例えば、4:1またはその超過は(例えば、2:1の圧縮比よりも)、さらに大きなコスト節減を誘導し、高い圧縮比のコーダ-デコーダ(コーデック)の利用は視覚的に無損失を招かないが、すなわち、ディスプレイ済みイメージにおいて、認知可能な変更または品質における認知可能な劣化を招く虞がある。
【0031】
一実施形態において、ディスプレイに転送されてディスプレイの上にディスプレイされるフレーム(または、「イメージ」)のシーケンスの視覚的な品質を改善するために、時間的な補正システムおよび方法が用いられる。本明細書において用いられるように、時間的な補正とは、フレーム間補正の利用、すなわち、フレームのシーケンスのうちの一つのフレームにおいて測定されたコーディング-デコーディングエラー(または、同等には、圧縮-解凍エラー)を用いてフレームのシーケンスのうちの他のフレームにおけるエラーを減少させることを言う。図1を参照すると、従来の技術の実施形態において、(例えば、ビデオアダプター313によって生成された)元の「入力」イメージ(または、「フレーム」)Iはエンコーディングされ、SRAMフレームバッファーにエンコーディング済みフレームC=E(I)として格納され(ここで、E()は、エンコーディング(すなわち、圧縮)関数である)、次いで、デコーディングされ、「出力」フレームO=D(C)としてディスプレイされ、ここで、D()は、デコーディング(すなわち、解凍)関数である。コーデックが視覚的に無損失ではなければ、出力フレームOは、認知可能な欠陥を有し得る。
【0032】
図2を参照すると、一実施形態において、入力フレームと出力フレームとの間の視覚的な不一致を低減するために時間的な補正が用いられる。(入力イメージのシーケンスの)それぞれの元のフレームまたは「入力」フレームIに対して、先行フレームEn-1からのエラーイメージが加算されて、調整済みイメージF=I+En-1を形成する。調整済みイメージはエンコーディングされて、エンコーディング済みイメージC=E(F)を形成する。一実施形態において、エンコーディングはイメージを少なくとも約4倍圧縮するが、すなわち、それぞれのエンコーディング済みイメージは、対応する調整済みイメージによって占められるメモリ量の1/4以下のメモリ量を占める。一実施形態において、ディスプレイフレームバッファー圧縮、2対1または4対1としてビデオ電子標準委員会(VESA)に提案されたコーデックのグループのうちの任意のコーデックから選択されたコーデックが用いられる。次いで、エンコーディング済みイメージCはデコーディングされて出力イメージO=D(C)を形成し、(次の入力イメージに用いられる)新たなエラーイメージEはE=F-Oとして形成される。本明細書において用いられるように、「エラーイメージ」は、2つのイメージ間の差分として形成されるイメージであり、2つのイメージのそれぞれは、同じディスプレイイメージを表現したり大まかに表現したりする。このため、例えば、2つのイメージが同じであれば(エラーなし)、エラーイメージはゼロのアレイであり、かつ2つのイメージがやや異なると、エラーイメージは小さい数字のアレイであり得る。
【0033】
単純化された例示的な例において、仮説的なコーデックは、それぞれの入力ピクセル値に2を加算し、次いで、4で割る(任意の分数の部分は廃棄する)エンコーディング関数および4をかけるデコーディング関数を有し得る。このため、エンコーディングおよびデコーディングの結合は、0または1の入力値が0の出力値にマッピングされ、2、3または4の入力値が4にマッピングされる効果を有する。大きい(例えば、16ビット)ピクセル値の場合、このようなコーデックは限られた圧縮を提供するが、これは実施形態の動作を例示する。システムが始まるとき、例えば、n=1において、以前のフレームからいかなるエラーイメージも利用可能ではないためゼロの値が用いられる。入力イメージIのピクセルのピクセル値が3の値を有する定数であれば、第1の調整済みイメージFは3のピクセル値を有し、第1の出力イメージOは4のピクセル値を有し、第1のエラーイメージEは-1のピクセル値を有する。第2の調整済みイメージFは3-1=2のピクセル値を有し、第2の出力イメージOは4のピクセル値を有し、第2のエラーイメージEは-2のピクセル値を有する。第3の調整済みイメージFは3-2=1のピクセル値を有し、第3の出力イメージOは0のピクセル値を有し、第3のエラーイメージは+1のピクセル値を有する。第4の調整済みイメージFは3+1=4のピクセル値を有し、第4の出力イメージは4のピクセル値を有し、第4のエラーイメージは0のピクセル値を有する。このため、第4のエラーイメージは初期値と同じピクセル値を有し、次いで、プロセスは繰り返し行われ、出力イメージの3つのフレームは4のピクセル値を有し、第4のフレームは0のピクセル値を有する。下記表1は、2循環中の動作のシーケンスを示す。
【0034】
【表1】
【0035】
時間の3/4の間に4の値で照明され、時間の1/4の間に0の値で照明されたピクセルの、視聴者によって認知された視覚的な効果は、3の一定のピクセル値で照明されたピクセルを視聴することと類似であり得る。このため、一実施形態において、このシステムは、以前または後続フレームにおいてディスプレイされるイメージの不完全性を一つのディスプレイフレームにおいて補償する。
【0036】
一実施形態において、出力イメージのピクセル値は、上述した例でのように変動可能である。このような変動は、低いディスプレイフレームレートに対してちらつき(flickering)を招く虞があり、ちらつきは1秒当たりに120フレーム(fps)または240fpsのフレームレート(例えば、出力イメージが1秒当たりに120フレームまたはそれを超えるフレームレートにて作動するように構成されるディスプレイによってディスプレイされる場合)に対してはほとんど認知されないか、あるいは、認知不能であり得る。一実施形態において、全体の時間的な平均エラーは、
【0037】
【数1】
【0038】
によって与えられ、累算された平均エラーは、
【数2】
である。本発明の実施形態の利用に起因する認知済みイメージ品質における改善は、静止イメージに対してまたは時間上ほとんど変わらないイメージに対して最大であり得る。
【0039】
一実施形態において、調整済みイメージの計算は、重み付け値αを用いて、調整済みイメージに対する方程式はF=I+αEn-1であるが、すなわち、調整済みイメージFは、重み付け値αおよび以前に形成されたエラーイメージEn-1間の積を入力イメージIに加算することによって形成される。αの値が1である場合、調整済みイメージの計算は上述した通りであり、αの値が0である場合、入力イメージのいかなる調整も存在せず、コーデックは入力イメージに対して直接的に動作する。1未満のαの値は、フレームごとに非常に変わっているイメージのシーケンスに対するまたは特定のフレームレートに対するイメージの認知済み品質において改善を提供し得る。一実施形態において、様々なα値を用いてプロセッシングしたイメージのシーケンスの認知済み品質を判定するために、一つ以上のテスト視聴者を採用することによって、用いられるαの値が選択される。
【0040】
図3を参照すると、一実施形態において、コンピュータ310のようなディスプレイデータのソースは、グラフィックカードなどのビデオアダプター313を備え、次いで、ビデオアダプターはプロセッサー311およびメモリ312を備える。
【0041】
コンピュータは、ディスプレイされるべきグラフィックイメージを形成するための指令をビデオアダプター313に転送し、ビデオアダプター313は、それに基づいてイメージのシーケンスを形成する。すると、これらのイメージのシーケンスは、入力イメージIのシーケンスである。ビデオアダプター313はフレーム(すなわち、出力イメージ)のシーケンスを生成し、これらをHDMI(登録商標)またはDVIなどのビデオデータインターフェース330を介してディスプレイ320に転送する。出力イメージのシーケンスを生成するために、ビデオアダプター313はそれぞれの入力イメージIを生成(または、受信)し、先行フレームからのエラーイメージEn-1を加算することによって入力イメージから調整済みイメージFを形成する。ビデオアダプター313は、調整済みイメージFをエンコーディングして、エンコーディング済みイメージC=E(F)を形成する。ビデオアダプター313は、エンコーディング済みイメージCをビデオデータインターフェース330を介してディスプレイ320に転送する。ビデオアダプター313はまた、エンコーディング済みイメージCをデコーディングして出力イメージO=D(C)および(次の入力イメージにおいて用いられる)新たなエラーイメージE=F-Oを形成する。
【0042】
ディスプレイ320は、エンコーディング済みイメージCのシーケンスを受信する。ディスプレイ320において、それぞれのイメージCは、どのようなバッファーが現在の記録バッファーであるかによって2つのフレームバッファーのうちの一方(バッファーAまたはバッファーB)に格納される。プログラムメモリ322に格納された指令の制御下で、タイミング制御器(TCON)のプロセッサー321は、現在の読取バッファー(バッファーAまたはバッファーBのうちの一方)のコンテンツをデコーディングし、デコーディング済みイメージ情報(すなわち、出力イメージO=D(C))を、低レベルのピクセル駆動値コマンドの形でドライバーICに転送する。新たなフレームの全体が記録バッファーに記録され、読取バッファーのコンテンツが完全に読み取られてデコーディングされた場合、読取および記録バッファーのポインタが交換されて、最近に満たされた記録バッファーは新たな読取バッファーとなり、最近にデコーディングされた読取バッファーは新たな記録バッファーとなる。フレームバッファー(バッファーAおよびバッファーB)はSRAMメモリにて実現され、エンコーディング済み(例えば、圧縮済み)イメージデータを格納した結果、これらのバッファーに対して求められるSRAMメモリの量は低減される。
【0043】
具体的に、図2および図3を参照すると、イメージ(例えば、ビデオデータ)のシーケンスを送信するためのシステムおよび方法は、第1のプロセッサー311および第1のメモリ312を備えてもよく、第1のメモリは、第1のプロセッサー311によって実行される場合に第1のプロセッサー311をして、イメージのシーケンスの第1の入力イメージIに第1のエラーイメージEn-1を加算して、第1の調整済みイメージFを形成せしめ、第1の調整済みイメージFをエンコーディングして第1のエンコーディング済みイメージCを形成せしめ、第1のエンコーディング済みイメージCをデコーディングして、第1の出力イメージOを形成せしめ、且つ、第1の調整済みイメージFから第1の出力イメージOを減算して、第2のエラーイメージEを形成せしめる指令のシーケンスを格納する。一実施形態において、システムは、第2のプロセッサー321および第2のメモリ322をさらに備え、第1のメモリ312は、第1のプロセッサー311によって実行される場合に第1のプロセッサー311をして、第1のエンコーディング済みイメージCを第2のメモリ322に送信せしめる指令のシーケンスをさらに格納し、第2のメモリ322は、第2のプロセッサーによって実行される場合に第2のプロセッサーをして、第1のエンコーディング済みイメージをもデコーディングせしめる指令のシーケンスを格納する。このため、第2のプロセッサーは、デコーディング済みイメージのシーケンスを形成する。一実施形態において、第1のエンコーディング済みイメージは、第1の調整済みイメージによって占められるメモリ量の1/4以下のメモリ量を占める。一実施形態において、第2のプロセッサー321および第2のメモリ322は、ディスプレイ320の構成要素である。一実施形態において、第1のプロセッサー311および第1のメモリ312は、ビデオアダプター313の構成要素である。一実施形態において、ディスプレイ320は、1秒当たりに120フレームまたはそれを超えるフレームレートにて動作するように構成される。
【0044】
用語、「第1の」、「第2の」、「第3の」などは、本明細書において様々な要素、構成要素、領域、層および/または部分を説明するために使用可能であるが、これらの要素、構成要素、領域、層および/または部分がこれらの用語によって制限されてはならないということが理解できる筈である。これらの用語は単に一つの要素、構成要素、領域、層または部分を他の要素、構成要素、領域、層または部分と区別するために用いられる。このため、創作的な概念の思想および範囲を逸脱することなく、下記において議論される第1の要素、構成要素、領域、層または部分は、第2の要素、構成要素、領域、層または部分と指称される。
【0045】
空間的に相対的な用語、例えば、「下」、「下部」、「上」、「上部」などは、本明細書において説明しやすさのために、図示の一つの要素または特徴の、他の要素または特徴に対する関係を説明するために用いられる。これらの空間的に相対的な用語は、図示の配向に加えて、用いられるまたは動作されるデバイスの異なる配向を含むように意図されるということが理解できる筈である。例えば、図面のデバイスがひっくり返されると、他の要素または特徴の「下」または「下部」にあると説明された要素は、その他の要素または特徴の「上」に配向される。このため、例示的な用語である「下」および「下部」は、上および下の配向を両方とも含む。デバイスは他の方式によって配向されてもよく(例えば、90°または他の配向にて回転されてもよく)、本明細書において用いられる空間的に相対的な説明語はこれに基づいて解釈されるべきである。さらに、層が2つの層の「間」にあると指称される場合、その層はこれらの2つの層の間にある唯一の層であるか、あるいは、一つ以上の介入層が存在し得るということが理解できる筈である。
【0046】
本明細書において用いられる用語は、単に特定の実施形態を説明するための目的であり、創作的な概念の制限を意図しない。本明細書において用いられるように、「実質的に」、「略」およびこれと類似の用語は、程度の用語として用いられるわけではなく、近似値の用語として用いられ、測定済みまたは計算済み値において、当業者に認識される固有の偏差を説明するものであると意図される。本明細書において用いられるように、「主成分」という用語は、重量において組成の少なくとも半分を構成する成分を意味し、「主部」という用語は、複数の項目に対して適用される場合に項目のうちの少なくとも半分を意味する。
【0047】
本明細書において用いられるように、単数型(「a」、「an」および「the」)は、文脈において特に断りのない限り、複数型を含むように意図される。「有する」および/または「備える」という用語は、本明細書において用いられる場合、言及された特徴、整数、段階、動作、要素、および/または構成要素の存在を特定するが、一つ以上の他の特徴、整数、段階、動作、エレメント、構成要素、および/またはこれらのグループの存在または付加を排除しないということがさらに理解できる筈である。本明細書において用いられるように、「および/または」という用語は、並べられた関連項目のうちの一つ以上の任意の且つ全ての組み合わせを含む。「少なくとも一つ」のような表現は、要素の一覧に先行される場合、要素の全体の一覧を修正するが、一覧の個別的な要素を修正することはない。さらに、創作的な概念の実施形態を説明する場合、「し得る」という用語の使用は、「本発明の一つ以上の実施形態」を指し示す。なお、「例示的な」という用語は、例または例示を指し示すように意図される。
【0048】
本明細書において用いられるように、「用いる」、「利用する」および「用いられる」という用語は、「活用する」および「活用される」とそれぞれ同意語であると考慮される。
【0049】
要素または層が他の要素または層の「上にある」、「それに接続される」、「それに結合される」または「それと隣り合う」と指称される場合、要素または層は他の要素または層の真上にあるか、それに連結されるか、それに結合されるか、それと隣り合うか、あるいは、一つ以上の介入要素または層が存在し得るということが理解できる筈である。逆に、要素または層が他の要素または層の「真上にある」、「それに直結される」、「それに直接的に結合される」、または「その直ぐ隣にある」と指称される場合、いかなる介入要素または層も存在しない。
【0050】
本明細書において用いられるように、「プロセッサー」は複数の要素を備えても良く、要素のそれぞれがプロセッサーと指称されてもよいということが分かる。例えば、プロセッサーチップはいくつかのコアを備えてもよく、コアのそれぞれがプロセッサーと指称されてもよく、プロセッサーが多数のプロセッサーをパイプラインにおいて備えてもよい。
【0051】
本明細書において引用される任意の数値範囲は、引用された範囲内に含まれる同じ数値的な正確度の全ての下位範囲を含むように意図される。例えば、「1.0~10.0」の範囲は、引用された最小値1.0と引用された最大値10.0との間(およびこれらの数字を含む)の、すなわち、例えば、2.4~7.6のように、1.0と同じであるか、あるいは、それよりも大きい最小値を有し、10.0と同じであるか、あるいは、それよりも小さい最大値を有する全ての下位範囲を含むように意図される。本明細書において引用される任意の最大数値制限は、それに含まれるそれよりも小さい全ての数値的な制限を含むように意図されて、本明細書において引用される任意の最小数値制限は、それに含まれるそれよりも大きい全ての数値的制限を含むように意図される。
【0052】
圧縮済みフレームバッファーおよび時間的な補償技術を結合する高品質ディスプレイシステムの例示的な実施形態が本明細書において具体的に説明されて例示されたが、多くの変形および変化が当業者にとって自明である。よって、本発明の原理に即して構成される圧縮済みフレームバッファーおよび時間的な補償技術を結合する高品質ディスプレイシステムは、本明細書において具体的に説明されたところとは異なる方式によって実現されてもよいということが理解されるべきである。本発明はまた、下記の請求項およびこれらの均等物において定義される。
【符号の説明】
【0053】
310 コンピュータ
311 第1のプロセッサー
312 第1のメモリ
313 ビデオアダプター
320 ディスプレイ
321 第2のプロセッサー
322 第2のメモリ
330 ビデオデータインターフェース
図1
図2
図3